JP2021115575A - スタッド溶接方法及びアース電極 - Google Patents

スタッド溶接方法及びアース電極 Download PDF

Info

Publication number
JP2021115575A
JP2021115575A JP2020008326A JP2020008326A JP2021115575A JP 2021115575 A JP2021115575 A JP 2021115575A JP 2020008326 A JP2020008326 A JP 2020008326A JP 2020008326 A JP2020008326 A JP 2020008326A JP 2021115575 A JP2021115575 A JP 2021115575A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
stud
stud welding
steel sheet
galvanized steel
steel plate
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2020008326A
Other languages
English (en)
Other versions
JP7295435B2 (ja
Inventor
忍 狩野
Shinobu Kano
忍 狩野
教昌 三浦
Norimasa Miura
教昌 三浦
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Nippon Steel Corp
Original Assignee
Nippon Steel Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Nippon Steel Corp filed Critical Nippon Steel Corp
Priority to JP2020008326A priority Critical patent/JP7295435B2/ja
Publication of JP2021115575A publication Critical patent/JP2021115575A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP7295435B2 publication Critical patent/JP7295435B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Landscapes

  • Arc Welding In General (AREA)

Abstract

【課題】亜鉛系めっき鋼板のスタッド溶接に関して、アース電極及びアース配線にめっき金属が付着することを抑制し、スタッドと亜鉛系めっき鋼板とを良好に接合するスタッド溶接方法を提供する。【解決手段】本発明は、亜鉛系めっき鋼板1の端面7にアース電極9を押圧して接触させること、前記スタッド2をスタッド溶接電源のプラス側に接続し、前記アース電極9をスタッド溶接電源のマイナス側に接続すること、設定電圧が100〜160Vであること、を含むスタッド溶接方法である。前記アース電極9は、絶縁部を介して前記亜鉛系めっき鋼板1の両面を挟持する取付手段と、前記亜鉛系めっき鋼板1の端面7に接触する導電部と、前記スタッド溶接電源に連結されたアース配線13とを含む、通電治具8により押圧することが好ましい。【選択図】図1

Description

本発明は、亜鉛系めっき鋼板とスタッドとを溶接するスタッド溶接方法に関する。また、本発明は、前記スタッド溶接方法に使用されるアース電極に関する。
スタッド溶接とは、スタッド(例えば、ピン、ボルト、ねじ)を被溶接材(例えば、鋼板)の表面に押し当てて、両者の間にアークを発生させた後、スタッドを被溶接材へ押し付けて溶接する方法である。供給電力の種類に応じて、コンデンサー方式、電力アーク方式がある。コンデンサー方式は、CD(Capacitor Discharge)スタッド溶接とも呼ばれる。図9にコンデンサー方式によるスタッド溶接の模式図を示す。スタッド溶接用ガン4には、直流電源を備えたスタッド溶接機の陽極側または陰極側の配線30が接続される。被溶接材1には、被溶接材1の表面に電極9が取り付けられ、スタッド溶接用ガン4と逆の極性の配線13が接続される。スタッド2の先端には、小さい突起が設けられている。
被溶接材と接続した上記の電極及び配線は、アースを取るための役割を持っている。本明細書では、以下、被溶接材と接続した電極及び配線を、それぞれ「アース電極」、「アース配線」という。
スタッド2を保持したスタッド溶接用ガン4により、スタッド2の突起を被溶接材1に押し付けて接触させる。そして、スタッド溶接用ガン4のスイッチを入れると、スタッド溶接機のコンデンサーに蓄えられた電気が極めて短時間のうちに、スタッド先端の突起に流れて、被溶接材1とスタッド2との間にアークが発生する。それとともに、スタッド2を押し付けて、瞬時に両者を溶接することができる。
CDスタッド溶接の速度は、約6/1000秒であり、一瞬でスタッドと鋼板とを接合する。従来、CDスタッド溶接は、鋼板を陽極に接続し、スタッドを陰極に接続し、鋼板にスタッドを押し当てた状態で通電する必要があったことから、表面に塗装、皮膜、めっき等を有する鋼板には不向きとされている。そのため、一般には、冷間圧延鋼板及び鋼帯(JIS G3141)、機械構造用炭素鋼(JIS G4051)等に適用されている。
特開平2−205268号公報
CDスタッド溶接は、普通鋼からなる被溶接物に適用されることが多い。亜鉛系めっき鋼板に適用した場合、当該めっき鋼板表面のめっき層により、当該めっき鋼板表面に取り付けられたアース電極と当該めっき鋼板との間でスパークが発生しやすくなり、それにともない鋼板表面のめっき金属が飛散する。飛散しためっき金属は、アース電極の表面や当該アース電極がスタッド溶接機の電源に連結されたアース配線の表面に付着し、アース電極及びアース配線の通電抵抗を上昇させる。そのため、溶接電流が変動し、スタッドと亜鉛系めっき鋼板との間におけるアークの発生状態が不安定となり、スタッドの接合不良を引き起こすという問題があった。
特許文献1には、被溶接物(母材)を陰極とし、溶接物(スタッドボルト)を陽極としたコンデンサースタッド溶接方法が記載され、亜鉛めっき鋼板にフッ素樹脂を塗布したフッ素樹脂鋼板を用いた実施例が記載されている。しかし、特許文献1にはアーク電極の接続形態が具体的に開示されておらず、また、アース電極及びアース配線にめっき金属が付着して接合不良が生じる課題について認識されていない。
そこで、本発明では、亜鉛系めっき鋼板のスタッド溶接に関して、アース電極及びアース配線にめっき金属が付着することを抑制し、スタッドと亜鉛系めっき鋼板とを良好に接合するスタッド溶接方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記の目的を達成するために検討した結果、亜鉛系めっき鋼板の端面にアース電極を押圧して接触させるとともに、スタッド及びアース電極に接続する極性を特定することにより、アース電極と当該めっき鋼板との間でスパッタの発生が抑制され、アース電極及びアース配線へのめっき付着を抑制できることを見出して、本発明を完成した。具体的には、本発明は、以下のものを提供する。
(1)亜鉛系めっき鋼板とスタッドとを溶接するスタッド溶接方法であって、前記亜鉛系めっき鋼板の端面にアース電極を押圧して接触させること、前記スタッドをスタッド溶接電源のプラス側に接続し、前記アース電極をスタッド溶接電源のマイナス側に接続すること、設定電圧が100〜160Vであること、を含むスタッド溶接方法。
(2)前記アース電極は、絶縁部を介して前記亜鉛系めっき鋼板の両面を挟持する取付手段と、前記亜鉛系めっき鋼板の端面に接触する導電部と、前記スタッド溶接電源に連結されたアース配線とを含む、通電治具により押圧する、(1)に記載のスタッド溶接方法。
(3)電極の面積が160mm以上である、(1)又は(2)に記載のスタッド溶接方法に使用されるアース電極。
(4)電極の材質が銅である、(1)又は(2)に記載のスタッド溶接方法に使用されるアース電極。
本発明によれば、亜鉛系めっき鋼板のスタッド溶接において、アース電極と当該めっき鋼板との間でスパッタの発生が抑制され、アース電極の表面及びアース配線の表面にめっき金属が付着することを抑制できる。そのため、スタッドと鋼板との間で安定的にアークを発生し、スタッドと鋼板とを良好に接合することができる。また、溶接後の後処理として、アーク電極の取付部位を清浄する手間を軽減することができる。
本発明に係るスタッド溶接方法の概要を示す図である。 本発明に係るアース電極の実施形態を説明するための模式図である。 本発明に係るアース電極の押圧手段を示す図である。 図3を拡大した図である。 図4の要部を示す斜視図である。 図5の断面を示す図である。 比較例で使用した参考治具を示す図である。 実施例で使用した引張試験機を説明するための断面模式図である。 従来のスタッド溶接方法を説明するための模式図である。
以下、本発明に係る実施形態について説明する。本発明は、以下の説明に限定されるものではない。
(スタッド溶接方法)
本実施形態に係るスタッド溶接方法は、亜鉛系めっき鋼板とスタッドとを溶接するスタッド溶接方法であって、前記亜鉛系めっき鋼板の端面にアース電極を押圧して接触させることを含む。当該端面とは、鋼板本体の両面を囲む端部の面を指す。本明細書では、以下、鋼板本体の両面を単に「表面」と記載することがある。また、亜鉛系めっき鋼板を「めっき鋼板」と略記することもある。
(アース電極)
アース電極は、アースを目的とした電極であり、金属材料からなる。本実施形態に係るアース電極は、亜鉛系めっき鋼板の端面に取り付けられる。通常の鋼板形状であれば、4つの端面があり、確実にアースを取るため、当該端面に2個のアース電極が取り付けられる。アース電極の取付場所としては、異なる箇所に位置する2つの端面にそれぞれ1個のアース電極を取り付けることができる。この場合は、図1に示すように、相対する位置にある各端面にアーク電極9を取り付けてもよい。図1は、スタッド溶接用ガン4には、直流電源を備えたスタッド溶接機3の陽極または陰極の配線30が接続される。亜鉛系めっき鋼板1の端面には、通電治具8のアース電極9が取り付けられ、スタッド溶接用ガン4と逆の極性のアース配線13が接続される。
アース電極は、図2に示すように、亜鉛系めっき鋼板1の同じ箇所に位置する端面7に2個のアース電極9を取り付けることができる。その場合は、アース電極9同士の間隔を空けることが好ましい。
アース電極の面積は、取り付けられる端面の面積によって適宜に設定することができる。例えば、160mm以上であると、確実にアースを取ることができるので、溶接時のアークが安定して良好な接合部を形成に寄与する。
アーク電極の材質は、銅やアルミニウムなどの導電性材料であることが好ましい。
(アース電極を押圧する通電治具)
本実施形態に係るスタッド溶接方法は、アース電極を亜鉛系めっき鋼板の端面に押圧して接続することが好ましい。具体的には、絶縁部を介して亜鉛系めっき鋼板の両面を挟持する取付手段と、亜鉛系めっき鋼板の端面に接触する導電部と、スタッド溶接電源に連結されたアース配線とを含む、通電治具により押圧することが好ましい。
本実施形態に係る通電治具は、亜鉛系めっき鋼板とスタッドとを溶接するスタッド溶接に適用される。図3に、当該通電治具を用いたスタッド溶接の実施形態例を示す。図4に、当該通電治具の構造を拡大した正面図を示す。図5は、通電治具の要部を示した斜視図である。図6は、通電治具の側面を図5のT方向から見た図である。
図3に示すように、通電治具8は、絶縁部11を介して亜鉛系めっき鋼板1(以下、「めっき鋼板」という。)の両面を挟持する取付手段10と、めっき鋼板1の端面7に接触する導電部12と、スタッド溶接機3の電源に連結されたアース配線13とを含む。スタッド溶接を行うため、通電治具8をめっき鋼板1の端面側に取り付けるときは、導電部12を端面7に押し付けて端面7と十分に接触させることが好ましい。導電部12は、取付手段10に結合されて配置されている。取付手段10と導電部12は、双方が一体的に作製された部材を用いてもよい。または、取付手段10と導電材12を別個に作製し、双方が接合された部材を用いてもよい。
(取付手段)
通電治具の取付手段は、絶縁部、取付部、把持部および固定部を備えることが好ましい。例えば、図4に示すように、取付部14は、絶縁部11を介してめっき鋼板1の両面を挟持する手段である。把持部15は、取付部14を脱着自在に操作する手段である。絶縁部11は、電気的な絶縁性材料からなる部材であって、取付部14においてめっき鋼板1と対向する側に設けられる。取付部14における対向面に絶縁シートを貼り付けてもよい。
図5及び図6に示すように、取付部14を押圧するため、押圧具19を連結具23の一端に連結させて設けることが好ましい。取付部14の上面に溝部20が設けられ、押圧具19は、溝部20の中に移動自在に配置される。押圧具19が溝部20から外れないように、溝部20の上部空間の一部を覆う突出壁を設けて、押圧具19と係合させる構造とすることが好ましい。溝部20は、めっき鋼板1の端面側へ向かって降下する傾斜形状を有している。そのため、溝部の端面側に壁またはストッパーを設けて、押圧具19が溝部20から外れないようにすることが好ましい。把持部15を操作すると、連結具23を介して押圧具19を上下方向に移動させることができる。
図4に示すように、押圧具19がめっき鋼板1へ向かって移動する場合、押圧具19は、溝部20の中の傾斜する底面25(以下、「傾斜面」ということもある。)に対して一定の押圧力で押し付けることになる。取付部14は、押圧力の鉛直成分によりめっき鋼板1と密着するように押し付けられる。それに加えて、取付部14は、押圧力の水平成分により、めっき鋼板1の端面7と反対側の方向へ移動するように押し付けられる。取付部14は、溝部20内で移動可能であるから、上記の押し付けにより傾斜面25の上で端面7と反対側へスライドする。このような取付部14の移動形態に伴い、取付部14の側面に設けた導電部12は、めっき鋼板1の端面7に当たる方向へ押し付けられるので、めっき鋼板1端面と導電部12との密着性も向上する。
図4に示すように、取付部14は、めっき鋼板1の両面に対して脱着自在とするように1対の部材で構成することが好ましい。把持部15は、手動で操作し得るように1対の部材で構成することが好ましい。取付部14と把持部15とは、連結軸16を介して連結されており、把持部15の動きに応じて取付部14が作動してめっき鋼板との脱着が行われる。このような脱着操作を円滑に行うため、取付部14及び把持部15と連結軸16との間に複数の連結具21,22,23を設けてもよい。
把持部15の各部材の間隔を狭めると、連結具21,22,23を介して取付部14の各部材の間隔が狭まる方向へ移動し、取付部14によりめっき鋼板の両面を挟むことができる。把持部15の各部材の間隔を広げると、取付部14の各部材の間隔が広がる方向へ移動し、通電治具がめっき鋼板から取り外すことができる。把持部15には、各部材の間隔を調整する固定部17と調整具18が設けることが好ましい。
固定部17は、例えば、把持部15の各部材にその一端を結合させた棒状部材と、各部材の間隔を広げる方向へ付勢するバネのような付勢部材とを有している。固定部17は、棒状部材の位置を固定及び解除する調整具18と組み合わせることができる。通電治具を使用しないときは、付勢手段により棒状部材が伸びるので、把持部の間隔が広がった状態にある。通電治具をめっき鋼板の端面に取り付けるときは、把持部を握って棒状部材を縮める。把持部の間隔に連動して取付部の各部材の間隔が狭まり、所定の挟持状態になれば、調整具により固定部を固定して、通電治具をめっき鋼板の端部に取り付けることができる。溶接が終了して通電治具をめっき鋼板から外すときは、調整具で棒状部材の固定を解除すると、棒状部材が伸びて把持部の間隔が広がり、それにともない取付部の間隔が広がり通電治具をめっき鋼板から取り外すことができる。
取付手段の素材は、特に限定されない。導電性材料または非導電性材料のいずれでもよく、金属材料や樹脂材料を用いることができる。
(導電部)
通電治具の導電部は、銅やアルミニウムなどの導電性材料からなる部材である。めっき鋼板の形状に応じて、板状や棒状などの形状を適宜に選定できる。導電部がめっき鋼板の端面に接触する当接面についても、めっき鋼板の端面形状に応じて、平面状や曲面状などの形状を適宜に選定できる。また、導電部と取付手段の取付部とを一体の部材で構成する場合は、取付部も導電性材料で構成される。
(アース配線)
通電治具の導電部は、アース配線によりスタッド溶接機の電源と連結される。連結箇所としては、図3に示すように、導電部12と直接に接続することができる。図4および図5に示すように、取付部14の外面に設けた端子24にアース配線13を接続してもよい。取付部14が導電部と一体の部材であるときは、端子24から導電部へ通電することができる。取付部が非導電性材料からなるときは、導電部12から端子24まで連結される導体を取付部14の内面に設けることにより、導電部12へ通電することができる。
上述した本実施形態に係る通電治具を使用することができる。めっき鋼板の端面の導電性領域に、通電治具の導電部を接触させることにより、スタッドとめっき鋼板の端面との間が通電されて、スタッドは、めっき鋼板の片面との間でアークが発生し、そのアーク熱によりスタッドがめっき鋼板の片面に溶接される。
(アーク電極と電源との接続形態)
本実施形態に係るスタッド溶接方法は、前記スタッドをスタッド溶接電源のプラス側に接続し、前記アース電極をスタッド溶接電源のマイナス側に接続することを含む。従来のスタッド溶接方法は、スタッドをマイナス側に接続し、母材側をプラス側に接続する正極性溶接により行うことが一般的である。亜鉛系めっき鋼板の場合、正極性溶接を適用すると、スタッド側の溶融に比べて母材側の溶融が大きいため、めっき金属の飛散が生じて接合不良を招く傾向にあった。
それに対し、本実施形態に係るスタッド溶接方法は、スタッドをプラス側に接続し、母材側をマイナス側に接続する逆極性溶接により行われる。スタッド側の溶融が大きくなる一方で、亜鉛系めっき鋼板の溶融が適度に進行するため、めっき金属の飛散を抑制されてスタッドと亜鉛系めっき鋼板とを接合することができる。
(設定電圧)
スタッド溶接するときの設定電圧は、スタッドボルトやめっき鋼板に応じて選定することができる。スタッドの接合性の観点で、設定電圧の下限値は、100Vが好ましい。設定電圧の上限値は、160Vが好ましく、150Vがより好ましい。
(亜鉛系めっき鋼板)
本発明に係るスタッド溶接方法は、亜鉛系めっき鋼板に適用される。当該めっき鋼板は、スタッド溶接を行う部分にスタッドボルトを立てて、スタッドボルトを介して、当該めっき鋼板の板厚方向に所定の面圧を付与しつつ、スタッドボルトの端面を板材の表面に接触させることができる程度に平板状の部分を有する素形材であればよい。
亜鉛系めっき鋼板の母材は、特に限定されない。炭素鋼の冷延鋼板や熱延鋼板、ステンレス鋼板(オーステナイト系、マルテンサイト系、フェライト系、フェライト・マルテンサイト二相系を含む)を用いることができる。
亜鉛系めっきの種類は、特に限定されない。亜鉛めっき鋼板、Zn−Al合金めっき鋼板、Zn−Al−Mg合金めっき鋼板、Zn−Al−Mg−Si合金めっき鋼板、Al−Zn合金めっき鋼板などを用いることができる。
(スタッド)
スタッドとして、スタッドボルトを使用することができる。スタッドボルトは、鉄製、ステンレス製、またはアルミニウム製が好ましい。スタッドボルトの表面には、必要に応じて、銅やニッケルなどのめっきを施してもよい。
以下、本発明の実施例について説明する。本発明は、以下の実施例に限定されるものではない。
(実施例1)
スタッドボルトを用いて、スタッド溶接を行った。スタッドボルトとして、日本ドライブイット株式会社製のストレートタイプのM5を使用した。スタッドボルトの材質は、軟鋼であった。
亜鉛系めっき鋼板は、質量%でZn−6%Al−3%Mg合金めっき鋼板組成のめっき層を有する鋼板を使用した。板厚が2.3mm、めっきの両面3点平均最小付着量が140g/mであった。
上記のめっき鋼板を100mm×100mmの矩形に切断して溶接試験に供する試験用鋼板とした。試験用鋼板の端面は、基材の表面が一部露出していた。
スタッド溶接は、コンデンサースタッド溶接機として、日本ドライブイット株式会社製のCDスタッド溶接機(JDI−80)を用いた。日本ドライブイット株式会社製スタッド溶接用ガン(H100)に保持されたスタッドボルトがプラス側(陽極側)であり、試験用鋼板がマイナス側(陰極側)であるように、それぞれの配線をスタッド溶接機の直流電源へ接続した。この接続形態は、逆極性溶接に相当する。
アース電極として、図3に示すような通電治具を2つ用いて、試験用鋼板(図3の亜鉛系めっき鋼板1)の同じ端面に間隔を空けて取り付けた。通電治具8を試験用鋼板1の端面7の側に押圧するように取り付けて、アース電極(図3の導電部12)を端面7に当接させた。溶接時の設定電圧として、50〜170Vの範囲で10V毎に変化させた13段階の電圧を設定した。スタッドボルトは、68Nの加圧力により試験用鋼板の表面へ押し付けた。当該加圧力は、溶接ガンに取付けられたスタッドボルトを、溶接機に付属した荷重計に押付けて測定した。
所定の溶接条件によりスタッド溶接を行い、スタッドボルトと試験用鋼板とが接合した接合試験体を得た。同じ試験用鋼板の上で、スタッドボルト及び溶接位置を変えながらスタッド溶接を繰り返して、10個のスタッドボルトを溶接した接合試験体を得た。
(接合性評価試験)
スタッド溶接の接合性を評価するための引張試験機の概要を図8に示す。図8に示すように、引張試験機41は、把持具42と固定台44とを備え、当該把持具42は、一端にスタッドボルト52を嵌合する開口を有し、当該開口の内部に雌ネジ状の内溝が設けられ、他端に引張部43を有している。当該固定台44は、一端に試験用鋼板1の表面を拘束する係止部45を有し、他端に引張部46を有している。
接合試験体のスタッドボルト51及び試験用鋼板52を引張試験機41の把持具42及び固定台44に装着し、引張部43,46を介して引っ張って、接合試験体が破断するまで荷重を掛けた。破断した箇所に基づいて接合性を評価した。接合界面の接合強度がスタッドボルトの機械的強度よりも大きいことが望ましい。そのため、スタッドボルトで破断した場合は、接合性が良好(〇)であると判定し、接合界面で破断した場合は、接合性が不良(×)であると判定した。
(外観観察)
溶接後のアース電極の表面およびアース配線の表面において、めっき金属の付着の有無を目視で観察した。
引張試験機により測定した結果を表1に示す。表1のNo.A1〜No.A13は、所定の設定電圧でスタッド溶接が行われた接合試験体に対応する。当該接合試験体を、以下、「試験例A1」等のようにいう。表1の「溶接履歴」欄には、所定の溶接条件において10回のスタッド溶接を行われた順に、各スタッド溶接の接合性の良否を示した。表1の「接合良好個数」は、10回のスタッド溶接のうち、接合性が良好(〇)であったスタッド溶接の回数を意味する。
Figure 2021115575
試験例A1〜A13は、いずれも亜鉛系めっき鋼板の端面にアース電極を押圧して接触させるとともに、スタッドをスタッド溶接電源のプラス側に接続し、アース電極をスタッド溶接電源のマイナス側に接続することによりスタッド溶接を行った例である。溶接後のアース電極の表面およびアース配線の表面には、めっき金属の付着が観察されなかった。
さらに、試験例A6〜A12は、本発明の範囲に含まれる設定電圧でスタッド溶接が行われたものである。表1に示すように、10回の溶接において、試験例A6〜10の設定電圧100〜150Vでのスタッド溶接は、全ての溶接において接合性が良好であり、試験例A12の設定電圧160Vでのスタッド溶接は、9回の溶接において接合性が良好であった。
以上のことから、本発明に係るスタッド溶接方法により、アース電極の表面及びアース配線の表面においてめっき金属の付着を抑制できること、そのため、スタッドとめっき鋼板との間で安定的にアークが発生し、スタッドと鋼板とを良好に接合することができることを確認できた。
(比較例1)
スタッドボルトをマイナス側に接続し、試験用鋼板をプラス側に接続した。アースのこのスタッドボルト及び試験用鋼板の極性を変えて正極性にした点を除いて、実施例1と同様の手順で、スタッド溶接を行い、接合性を評価した。その測定結果を表2に示す。表2のNo.B1〜No.B13は、所定の設定電圧でスタッド溶接が行われた接合試験体に対応する。当該接合試験体を、以下、「試験例B1」等のようにいう。
Figure 2021115575
表2に示すように、10回の溶接において、試験例B8、B9の設定電圧120〜140Vでのスタッド溶接は、全ての溶接において接合性が良好であり、試験例B10の設定電圧140Vでのスタッド溶接は、9回の溶接において接合性が良好であった。実施例1に比べて、良好な接合性が得られる設定電圧の範囲が狭かった。スタッド溶接を行う際の設定電圧を広い範囲から選定できる点で、本発明に係るスタッド溶接方法におけるスタッドをスタッド溶接電源のプラス側に接続し、アース電極をスタッド溶接電源のマイナス側に接続することが有利であることを確認できた。
(比較例2)
比較例2として、従来のスタッド溶接方法と同様に、試験用鋼板におけるスタッドボルトを接合させる片面と同じ表面にアース電極を配置する方式を用いた。図7に示すように、スタッドボルトを接合させる一方の面5と他方の面6から通電させるため、参考治具31を試験用鋼板51の端面側に取り付けた。実施例1と同様に、2つの参考治具31が、同じ端面において間隔を空けて取り付けられた。参考治具31は、試験用鋼板51の両面を挟むための1対の挟持片32,33を備えており、挟持片32は、把持片34の先端に結合している。さらに、挟持片33,34を連結する連結部35と、挟持片33,34が試験用鋼板51を挟む方向へ付勢するバネ36と、挟持片33に接続されたアース配線37とを備えている。
参考治具31を使用するときは、把持片34と一方の挟持片33とを手で握って両者の間隔を狭めることにより、他方の挟持片32と一方の挟持片33との間隔が広がる。その広げた状態で、参考治具31を試験用鋼板51の端部に取り付ける。その後、把持片34から手を離すと、バネ36で付勢されて挟持片32と挟持片33が被溶接材1を挟んで、参考治具31が固定される。挟持片33は、導電性の銅材料で構成されているので、挟持片33と接触した試験用鋼板51の表面から通電させることができる。
このようにアース電極の設置場所を試験用鋼板の本体表面としたことを除いて、実施例1と同様の手順で、スタッド溶接を行い、接合性を評価した。その測定結果を表3に示す。表3のNo.C1〜No.C13は、所定の設定電圧でスタッド溶接が行われた接合試験体に対応する。当該接合試験体を、以下、「試験例C1」等のようにいう。
Figure 2021115575
表3に示すように、試験例C1〜C13は、10回のスタッド溶接のうち、接合良好個数が5個以下であり、実施例1に比べて接合性が劣った。本発明に係るスタッド溶接方法における亜鉛系めっき鋼板の端面にアース電極を押圧して接触させることが良好な接合性を確保するために必要であることを確認できた。
以上のことから、本発明は、亜鉛系めっき鋼板のスタッド溶接に関して、アース電極及びアース配線にめっき金属が付着することを抑制し、スタッドと亜鉛系めっき鋼板とを良好に接合するスタッド溶接方法を提供することができる。また、溶接後の後処理として、アーク電極の取付部位を清浄する手間を軽減することができる。
1 亜鉛系めっき鋼板(被溶接材)
2 スタッド
3 スタッド溶接機
4 スタッド溶接用ガン
5 一方の面
6 他方の面
7 端面
8 通電治具
9 アース電極
10 取付手段
11 絶縁部
12 導電部
13 アース配線
14 取付部
15 把持部
16 連結軸
17 固定部
18 調整具
19 押圧具
20 溝部
21 連結具
22 連結具
23 連結具
24 端子
25 傾斜面
30 配線
31 参考治具
32 挟持片
33 挟持片
34 把持片
35 連結部
36 バネ
37 アース配線
41 引張試験機
42 把持具
43 引張部
44 固定台
45 係止部
46 引張部
51 試験用鋼板
52 スタッドボルト

Claims (4)

  1. 亜鉛系めっき鋼板とスタッドとを溶接するスタッド溶接方法であって、
    前記亜鉛系めっき鋼板の端面にアース電極を押圧して接触させること、
    前記スタッドをスタッド溶接電源のプラス側に接続し、前記アース電極をスタッド溶接電源のマイナス側に接続すること、
    設定電圧が100〜160Vであること、を含むスタッド溶接方法。
  2. 前記アース電極は、絶縁部を介して前記亜鉛系めっき鋼板の両面を挟持する取付手段と、前記亜鉛系めっき鋼板の端面に接触する導電部と、前記スタッド溶接電源に連結されたアース配線とを含む、通電治具により押圧する、請求項1に記載のスタッド溶接方法。
  3. 電極の面積が160mm以上である、請求項1又は2に記載のスタッド溶接方法に使用されるアース電極。
  4. 電極の材質が銅である、請求項1又は2に記載のスタッド溶接方法に使用されるアース電極。
JP2020008326A 2020-01-22 2020-01-22 スタッド溶接方法及びアース電極 Active JP7295435B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2020008326A JP7295435B2 (ja) 2020-01-22 2020-01-22 スタッド溶接方法及びアース電極

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2020008326A JP7295435B2 (ja) 2020-01-22 2020-01-22 スタッド溶接方法及びアース電極

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2021115575A true JP2021115575A (ja) 2021-08-10
JP7295435B2 JP7295435B2 (ja) 2023-06-21

Family

ID=77175501

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2020008326A Active JP7295435B2 (ja) 2020-01-22 2020-01-22 スタッド溶接方法及びアース電極

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP7295435B2 (ja)

Citations (7)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS51157858U (ja) * 1975-06-10 1976-12-15
JPS60157077U (ja) * 1984-03-23 1985-10-19 株式会社東芝 電気溶接用ワ−クの接地装置
JPS63101181U (ja) * 1986-12-15 1988-07-01
JP2004291021A (ja) * 2003-03-27 2004-10-21 Tilement Corp スタッド溶接装置及びスタッド溶接方法
JP2014213377A (ja) * 2013-04-30 2014-11-17 株式会社大林組 溶接方法
JP2019171464A (ja) * 2018-03-29 2019-10-10 日鉄日新製鋼株式会社 スタッド溶接方法および接合体
CN112496507A (zh) * 2020-10-27 2021-03-16 中国核工业华兴建设有限公司 一种基于压型钢板的螺柱焊接方法

Patent Citations (7)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS51157858U (ja) * 1975-06-10 1976-12-15
JPS60157077U (ja) * 1984-03-23 1985-10-19 株式会社東芝 電気溶接用ワ−クの接地装置
JPS63101181U (ja) * 1986-12-15 1988-07-01
JP2004291021A (ja) * 2003-03-27 2004-10-21 Tilement Corp スタッド溶接装置及びスタッド溶接方法
JP2014213377A (ja) * 2013-04-30 2014-11-17 株式会社大林組 溶接方法
JP2019171464A (ja) * 2018-03-29 2019-10-10 日鉄日新製鋼株式会社 スタッド溶接方法および接合体
CN112496507A (zh) * 2020-10-27 2021-03-16 中国核工业华兴建设有限公司 一种基于压型钢板的螺柱焊接方法

Also Published As

Publication number Publication date
JP7295435B2 (ja) 2023-06-21

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP5793495B2 (ja) 直流マイクロパルスを用いた抵抗スポット溶接方法及びシステム
JP2013501628A5 (ja)
JPWO2019124464A1 (ja) 抵抗スポット溶接継手の製造方法
JP5064688B2 (ja) 抵抗溶接装置
KR20170045337A (ko) 아크 스폿 용접 방법 및 그것을 실행하는 용접 장치
US20110253681A1 (en) Method of controlling an indentation depth of an electrode into a metal substrate during welding
WO2011145506A1 (ja) 塗装鋼板の溶接方法
JP6094079B2 (ja) 抵抗スポット溶接方法
JP7295435B2 (ja) スタッド溶接方法及びアース電極
JP2006281278A (ja) 抵抗溶接法
US20190224775A1 (en) Method for joining dissimilar metal plates
JP2017177112A (ja) スポット溶接物の製造方法およびそのための製造装置
JP7172539B2 (ja) スタッド溶接用の通電治具およびスタッド溶接方法
JP5906618B2 (ja) 抵抗スポット溶接方法
CN110948098B (zh) 间接点焊装置及焊接方法
JP2014057978A (ja) 抵抗スポット溶接方法
KR20130012812A (ko) 이차전지의 터미널리드와 버스바의 연결 방법
US11549535B2 (en) Joined body, automobile seat frame, and joining method
CN115151368A (zh) 电阻点焊方法
JP6406297B2 (ja) スポット溶接物の製造方法およびそのための製造装置
JP2008036672A (ja) 亜鉛系合金めっき鋼板のスポット溶接方法
JP2006181627A (ja) 鉄系材料とアルミニウム系材料との拡散接合方法
US20220016726A1 (en) Method of resistance spot welding and resistance spot welding apparatus
CN114466721B (zh) 电阻点焊方法及电阻点焊接头的制造方法
JP5873402B2 (ja) スポット溶接用電極チップ

Legal Events

Date Code Title Description
A711 Notification of change in applicant

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A712

Effective date: 20200901

A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20220905

TRDD Decision of grant or rejection written
A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20230428

A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20230509

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20230522

R151 Written notification of patent or utility model registration

Ref document number: 7295435

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R151