JP2003062670A - スタッド溶接方法及びスタッド溶接装置 - Google Patents

スタッド溶接方法及びスタッド溶接装置

Info

Publication number
JP2003062670A
JP2003062670A JP2001259137A JP2001259137A JP2003062670A JP 2003062670 A JP2003062670 A JP 2003062670A JP 2001259137 A JP2001259137 A JP 2001259137A JP 2001259137 A JP2001259137 A JP 2001259137A JP 2003062670 A JP2003062670 A JP 2003062670A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
pin member
base material
coating
stud
welding
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2001259137A
Other languages
English (en)
Inventor
Masayuki Sato
正行 佐藤
Satohiro Yoshikawa
覚博 吉川
Fumiichiro Masuda
文一郎 増田
Masaki Sakakura
正樹 坂倉
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
TILEMENT CORP
Original Assignee
TILEMENT CORP
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by TILEMENT CORP filed Critical TILEMENT CORP
Priority to JP2001259137A priority Critical patent/JP2003062670A/ja
Publication of JP2003062670A publication Critical patent/JP2003062670A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Arc Welding Control (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 表面に電気絶縁性の被膜が形成された母材に
対するスタッド溶接を、優れた作業性と経済性をもっ
て、しかも安全に実施し得る方法と、それに有利に用い
られ得る装置とを提供する。 【解決手段】 溶接ガン12に保持されたピン部材14
を、その先端部において、母材60の表面に形成された
電気絶縁性の被膜62に押し付けつつ、該溶接ガン12
に内蔵された駆動機構36にて、軸心方向に往復動せし
め、及び/又は軸心回りに回転させることにより、該ピ
ン部材14の先端部を該被膜62に食い込ませ、そし
て、その状態下で、該ピン部材14と該母材60との間
で、該被膜62における該ピン部材14の先端部との接
触部位を破壊するための電荷と、該ピン部材14を該母
材60にスタッド溶接するための電荷を放電させること
により、該被膜62の該ピン部材14との接触部位を破
壊して、該ピン部材14を該母材60にスタッド溶接す
るように構成した。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【技術分野】本発明は、スタッド溶接方法及びスタッド
溶接装置に係り、特に、表面に電気絶縁性の被膜が形成
された母材に対して、ピン部材を有利に溶接し得るスタ
ッド溶接方法と、かかる方法に好適に使用可能なスタッ
ド溶接装置に関するものである。
【0002】
【背景技術】従来から、所定のピンやボルト、スタッド
等のピン部材を金属製の母材に立設せしめる方法の一つ
として、スタッド溶接方法が、知られている。また、公
知の如く、このスタッド溶接方法は、一般に、ピン部材
を保持する溶接ガンと、該溶接ガンに保持されたピン部
材を母材にスタッド溶接するための電荷を供給する電源
装置とを有するスタッド溶接装置を用い、かかるスタッ
ド溶接装置の溶接ガンに保持されたピン部材を、その先
端部と母材表面との間に電源装置から供給される電荷を
放電させることによって、母材に対して迅速に且つ容易
に溶接するようにしたものである。
【0003】ところが、ピン部材が溶接されるべき母材
の表面に、電気絶縁性の塗膜や酸化膜等の被膜が形成さ
れている場合には、上述の如き従来のスタッド溶接方法
の実施手順に従って作業を行なっても、母材に対して、
ピン部材を直接に溶接することが出来なかったのであ
り、そのため、スタッド溶接を行なうのに先だって、グ
ラインダ等により電気絶縁性の被膜等を削り取る、面倒
で、しかも多大な労力負担が強いられる作業を行なわな
ければならなかったのである。
【0004】かかる状況下、表面に電気絶縁性の被膜が
形成された母材に対してピン部材を有利にスタッド溶接
し得る方法が、特開平2−308046号公報や特開平
1−290847号公報、特開2001−58270号
公報等において、提案されている。
【0005】すなわち、特開平2−308046号公報
や特開平1−290847号公報等には、溶接ガンに保
持されたピン部材の先端部を母材表面上の電気絶縁性被
膜に押し付けた状態下で、溶接ガンを回転操作して、ピ
ン部材を軸心回りに回転させることにより、或いは溶接
ガンをハンマ等で押打して、ピン部材に押打力を加える
ことにより、ピン部材の先端部を、被膜に、溶接可能な
深さまで食い込ませ、その後、ピン部材を、母材との間
の放電により、母材に溶接するようにしたスタッド溶接
手法が、開示されている。
【0006】また、特開2001−58270号公報に
おいては、主電源と、それよりも高電圧の副電源を有す
ると共に、主電源から供給される電荷により、ピン部材
を母材に溶接するための電荷を蓄える主コンデンサと、
副電源から供給される電荷により、被膜を破壊するため
の電荷を蓄える、主コンデンサよりも低容量の副コンデ
ンサを有する電源装置を備えたスタッド溶接装置を用
い、溶接ガンに保持されたピン部材の先端部を、母材表
面に形成された被膜の表面に押し付けた状態下で、主コ
ンデンサと副コンデンサの電荷を同時に放電させること
により、被膜のピン部材との接触部位を破壊した後、ピ
ン部材を母材に溶接するようにしたスタッド溶接手法
が、明らかにされている。
【0007】これらの公報に開示されるスタッド溶接方
法によれば、表面に電気絶縁性の被膜が形成された母材
に対してピン部材をスタッド溶接するに際して、グライ
ンダ等を用いて被膜を削り取る面倒な作業から、有利に
解放され得ることとなるのである。
【0008】しかしながら、前記公報において開示され
たスタッド溶接方法のうち、溶接ガンに対する回転操作
や押打操作により、該溶接ガンに保持されたピン部材を
母材表面上の被膜に食い込ませるようにした手法にあっ
ては、あくまでも、作業者の人力にて、ピン部材を被膜
に食い込ませなければならないため、そのような作業に
大きな労力を費やす必要があるといった労力負担におけ
る問題が未だ内在していたのであり、また、ピン部材を
被膜の表面に接触させた状態下で、被膜のピン部材との
接触部位を破壊するための電荷と、ピン部材を母材に溶
接するための電荷を、母材とピン部材との間で放電させ
るようにしたスタッド溶接手法においては、被膜のピン
部材との接触部位を破壊するのに、実際には5000V
以上の極めて高い電圧が必要となるため、使用される溶
接装置が極めて高価なものとなってしまうばかりでな
く、作業中に感電事故等が惹起される恐れが高いといっ
た大きな欠点が存していたのである。
【0009】
【解決課題】ここにおいて、本発明は、上述せる如き事
情を背景にして為されたものであって、その第一の解決
課題とするところは、表面に電気絶縁性の被膜が形成さ
れた母材に対するピン部材のスタッド溶接を、労力面と
経済面とにおいて課せられる負担の増加を可及的に抑制
しつつ、しかも安全に実施することが出来る方法を提供
することにある。また、本発明にあっては、そのような
スタッド溶接方法の実施に際して、有利に使用可能なス
タッド溶接装置を提供することを、その第二の解決課題
とするものである。
【0010】
【解決手段】そして、本発明は、上述せる如き第一の課
題の解決のために、表面に電気絶縁性の被膜が形成され
た母材に対して、ピン部材をスタッド溶接するに際し
て、前記ピン部材を保持する保持機構と、該保持機構に
て保持されたピン部材の軸心方向における往復動及び/
又は該軸心回りの回転を行なわしめる駆動機構とを備え
た溶接ガンを用い、該ピン部材を該溶接ガンの前記保持
機構に保持させた状態下で、該ピン部材の先端部を前記
母材の表面に形成された前記被膜に押し付けつつ、該溶
接ガンの前記駆動機構にて、該ピン部材を前記軸心方向
に往復動せしめ、及び/又は該軸心回りに回転せしめる
ことにより、該ピン部材の先端部を該被膜に食い込ませ
た後、該ピン部材の先端部と前記母材との間で、該被膜
における該ピン部材の先端部との接触部位を破壊するた
めの電荷と、該ピン部材を該母材にスタッド溶接するた
めの電荷を放電させることにより、該被膜の該ピン部材
との接触部位を破壊して、該ピン部材を該母材にスタッ
ド溶接するようにしたことを特徴とするスタッド溶接方
法を、その要旨とするものである。
【0011】要するに、この本発明に従うスタッド溶接
方法にあっては、溶接ガンの保持機構に保持されたピン
部材を、母材表面上の電気絶縁性被膜に押し付けた状態
下において、ピン部材と母材との間での放電を行なう前
に、溶接ガンに装備された駆動機構にて、ピン部材を自
動的に軸心回りに回転させるか又は軸心方向に往復動さ
せ、或いはそれらピン部材の回転と往復動の両方を行な
うことにより、該ピン部材の先端部を被膜に食い込ませ
るようにしたものであるところから、溶接ガンに対する
回転操作や押打操作により、該溶接ガンに保持されたピ
ン部材を母材表面上の被膜に食い込ませた上で、放電に
よる所定の溶接作業を行なうようにした従来手法とは異
なって、ピン部材の先端部を被膜に食い込ませるため
に、作業者の人力に依存した、大きな労力を要する作業
を行なう必要が、効果的に解消され得るのであり、しか
も、その後におけるピン部材と母材との間での放電によ
り、被膜のピン部材との接触部位が破壊されることとな
るため、ピン部材の被膜に対する食込み量も有利に少な
く抑えられ得、それによって、ピン部材を被膜に食い込
ませるための作業が、より迅速に且つ容易に実施され得
るのである。
【0012】また、本発明に係るスタッド溶接方法にお
いては、上述の如く、ピン部材の先端部を母材表面上の
被膜に食い込ませた後、ピン部材と母材との間で、被膜
におけるピン部材との接触部位を破壊するための電荷
と、ピン部材を母材に溶接するための電荷を放電させる
ことにより、該被膜のピン部材との接触部位を破壊し
て、ピン部材を母材にスタッド溶接するようにしたもの
であるところから、ピン部材を被膜に食い込ませた分だ
け、放電によって破壊されるべき被膜の厚さを有利に減
少せしめ得るのであり、それによって、ピン部材を被膜
の表面に接触させた状態下において、被膜のピン部材と
の接触部位を破壊するための電荷をピン部材と母材との
間で放電させることにより、被膜のピン部材との接触部
位を破壊するようにした従来手法を実施する際に比し
て、被膜のピン部材との接触部位を破壊するための電荷
の大きさを極めて有利に小さく為し得、その結果とし
て、かかる電荷を供給するための電源装置に要される費
用や、作業中における感電事故の発生を効果的に少なく
抑えることが出来るのである。
【0013】従って、かくの如き本発明に従うスタッド
溶接方法によれば、表面に電気絶縁性の被膜が形成され
た母材に対するピン部材のスタッド溶接を、労力面と経
済面とにおいて課せられる負担の増加を可及的に抑制し
つつ、しかも安全に実施することが出来るのである。
【0014】また、本発明にあっては、前記第二の技術
的課題を解決するために、表面に電気絶縁性の被膜が形
成された母材に対して、ピン部材をスタッド溶接するた
めの装置であって、(a)前記ピン部材を前記母材にス
タッド溶接するための電荷を供給する第一の電源部と、
前記被膜における該ピン部材との接触部位を破壊するた
めの電荷を供給する第二の電源部を備えた電源手段と、
(b)前記ピン部材を保持する保持機構と、該保持機構
に保持された該ピン部材の先端部が、前記母材の表面に
形成された前記被膜に押し付けられた状態下において、
該ピン部材を軸心方向に往復動せしめ、及び/又は該軸
心回りに回転せしめて、該ピン部材の先端部を該被膜に
食い込ませる駆動機構と、該駆動機構にて該被膜に食い
込まされた該ピン部材の先端部と該母材との間で、前記
電源手段における第一の電源部と第二の電源部からそれ
ぞれ供給される前記電荷を放電させて、該被膜における
該ピン部材の先端部との接触部位を破壊すると共に、該
ピン部材を該母材にスタッド溶接する放電機構を備えた
溶接ガンとを有することを特徴とするスタッド溶接装置
をも、また、その要旨とするものである。
【0015】このような本発明に従うスタッド溶接装置
にあっては、ピン部材を、溶接ガンの保持機構に保持し
て、母材表面上の電気絶縁性被膜に押し付けた状態下
で、溶接ガンに装備された駆動機構を作動させて、自動
的に、軸心回りに回転させるか、または軸心方向に往復
動させ、或いはそれらの回転と往復動の両方を行なうこ
とにより、該ピン部材の先端部を被膜に食い込ませるこ
とが出来、また、そのようなピン部材の被膜への食い込
み状態下で、放電機構にて、電源手段から供給される、
被膜のピン部材との接触部位を破壊するための電荷と、
ピン部材を母材に溶接するための電荷とを、ピン部材と
母材との間で放電させることにより、該被膜のピン部材
との接触部位を破壊して、ピン部材を母材にスタッド溶
接することが可能となるのである。
【0016】従って、かかる本発明に従う溶接装置にお
いては、上述せる如き優れた特徴を発揮するスタッド溶
接方法の実施に際して極めて有利に使用され得るのであ
り、その結果として、表面に電気絶縁性の被膜が形成さ
れた母材に対するピン部材のスタッド溶接が、労力負担
と経済負担の増加を可及的に抑制しつつ、しかも安全に
実施され得ることとなるのである。
【0017】
【発明の実施の形態】以下、本発明を更に具体的に明ら
かにするために、本発明に係るスタッド溶接方法及びス
タッド溶接装置の構成について、図面を参照しつつ、詳
細に説明することとする。
【0018】先ず、図1には、本発明に従う構造を有す
るスタッド溶接装置の一実施形態が、概略的に示されて
いる。かかる図1から明らかなように、本実施形態のス
タッド溶接装置は、電源手段たる電源装置10と、該電
源装置10に対して電気的に接続された溶接ガン12と
を含んで構成されている。そして、電源装置10から溶
接ガン12に供給される電荷によって、該溶接ガン12
に保持されるピン部材14を所定の母材にスタッド溶接
し得るようになっているのである。
【0019】より具体的には、スタッド溶接装置を構成
する溶接ガン12は、略円筒状の本体16と、該本体1
6の外面における軸方向中間部から側方に向かって一体
的に延出して設けられた、使用者によって把持される把
持部18を有して成っている。また、かかる溶接ガン1
2の本体16内の前部(図1中左側部位)には、溶接さ
れるべきピン部材14を保持するための保持機構として
のプラグ20が、従来のものと同様な構造をもって、配
置されている。
【0020】すなわち、このプラグ20は、軸方向の一
方側が他方側よりも小径とされた略段付の円柱形状を呈
するアルミニウム製のジャケット22を有しており、ま
た、このジャケット22は、本体16と同軸上におい
て、小径部を本体16の前方側に位置せしめた状態で、
該軸方向に往復移動可能に配されている。そして、かか
るジャケット22にあっては、その小径部に、円板状の
永久磁石からなる二つの固定マグネット24,24が、
外挿固定されていると共に、該小径部の端面の中心部位
にワイヤ取付穴26が設けられ、更に、このワイヤ取付
穴26内には、多数のワイヤ28が、一部を外方に突出
せしめた状態で、挿入、固定されている。また、それら
多数のワイヤ28におけるワイヤ取付穴26からの突出
部分は、略直角に折り曲げられて、小径部の端面上にお
いて、放射状に広がるように位置せしめられている。
【0021】一方、溶接ガン10における本体16内の
中間部位には、真鍮製の棒材からなるシャフト30が、
前記プラグ20が配置される本体16の前部から後部
(図1中右側部位)側に向かって、本体16と同軸的に
延出する状態で、該軸方向に往復移動可能に配置されて
いる。そして、このシャフト30は、リード線31を介
して、電源装置10に対して電気的に接続されていると
共に、その前端部において、前記プラグ20におけるジ
ャケット22の大径部の端面の中心部位に設けられたシ
ャフト取付穴32内に挿入され、且つかかる挿入部分
が、止めねじにより、ジャケット22に連結されてい
る。
【0022】また、このようなシャフト30にあって
は、本体16内を後部側に向かって移動せしめられた際
に、図示しないコイルばねの付勢力によって、本体16
の前部側に向かって付勢せしめられるようになってお
り、更に、かかるシャフト30の後部側への移動位置が
予め定められた規定位置に達し、それが本体16内に設
けられた複数のフォトセンサ34にて検出されることに
よって、電源装置12から供給される電荷が、前記リー
ド線31を通じて、シャフト30に通電せしめられ得る
ようになっている。
【0023】かくして、本実施形態では、溶接されるべ
き金属製のピン部材14が、その一端部に一体形成され
た座金部15等において、プラグ20における多数のワ
イヤ28に接触せしめられつつ、固定マグネット24,
24に対して、その磁力にて吸着されることにより、該
プラグ20に保持されるようになっており、また、その
ようなピン部材14のプラグ20に対する保持状態下
で、ピン部材14が、その先端部において、母材(図示
せず)に押し付けられて、互いに連結されたプラグ20
とシャフト30とが、本体16内を後部側に向かって、
規定位置にまで、軸方向に一体移動せしめられることに
より、ピン部材14を母材にスタッド溶接するための電
荷が、電源装置12からシャフト30に供給されると共
に、該シャフト30とプラグ20とを介して、ピン部材
14に通電せしめられ得るように構成されているのであ
る(図2参照)。
【0024】ところで、かくの如き構造とされた本実施
形態のスタッド溶接装置にあっては、特に、溶接ガン1
2における本体16の後部に、ソレノイド36が配設さ
れている。
【0025】より詳細には、このソレノイド36は、前
記シャフト30に対して、本体16の軸方向に所定距離
を隔てて、同軸上に位置せしめられた円筒状のハウジン
グ38を有しており、また、かかるハウジング38内に
おける本体16の前部側の端部には、電源装置10に対
して前記リード線31を通じて電気的に接続されたコイ
ル40が、位置固定に設けられている。
【0026】そして、このコイル40内には、全体とし
て、略T字形状を呈する可動鉄心42が、そのT字形状
の頭部44をコイル40内に突入位置せしめる一方、脚
部46をコイル40内から、ハウジング38における本
体16の後部側の端部に向かって延出せしめた状態で、
軸方向に移動可能に配置されている。なお、かかる可動
鉄心42は、コイル40への通電により該コイル40が
励磁された際に、該コイル40における該可動鉄心42
の頭部44の突入部位に生ずる磁極と同一の磁極を該頭
部44が有するように磁化されている。
【0027】また、そのようなコイル40が本体16の
前部側の端部に設けられたハウジング38内には、コイ
ル40の配置側と反対側に、圧縮コイルばね48が、該
コイル40から突出せしめられた可動鉄心42の脚部4
6に外挿され、且つ両端部を、本体16の後端部の内壁
面と可動鉄心42の頭部44における脚部46側の端面
とに係合させた状態で、本体16の軸心方向に付勢力を
発揮し得るように配設されている。
【0028】これによって、かかるソレノイド36にあ
っては、コイル40が通電により励磁された際に、可動
鉄心42の頭部44が、コイル40における該頭部44
の突入部位と反発し合って、可動鉄心42の全体が、ハ
ウジング38内を、本体16の後部側に所定量だけ移動
せしめられる一方、コイル40への通電が解消されて、
該コイル40が消磁せしめられた際には、圧縮コイルば
ね48の付勢力により、可動鉄心42が本体16の前部
側に移動せしめられて、後部側に移動する前の位置に復
帰せしめられるようになっている。そして、コイル40
への通電とその解消が短い間隔で交互に行なわれるよう
に、換言すれば、ソレノイド36が間欠駆動せしめられ
るように、ソレノイド36への電荷の供給が、電源装置
10に設けられたソレノイド用制御回路(図示せず)に
て制御されることによって、可動鉄心42が、軸心方向
に往復動せしめられ得るように構成されているのであ
る。
【0029】また、ここでは、ソレノイド36のコイル
40内に、該ソレノイド36と前記シャフト30との間
において、それらと同軸上に且つ軸方向に移動可能に配
置された、アルミニウム製の棒状連結金具50の一端部
が、突入せしめられて、該コイル40内に配された可動
鉄心44の頭部42に対して固着されている。そして、
この棒状連結金具50にあっては、その他端部に穴部5
2が設けられており、この穴部52に、シャフト30の
後端部が挿入せしめられた状態下で、止めねじにより固
定されている。
【0030】かくして、ソレノイド36の可動鉄心44
が、棒状連結金具50を介して、シャフト30に対し
て、本体16の軸心方向に一体移動可能に連結されお
り、以て、ソレノイド36の間欠駆動による可動鉄心4
2の軸心方向への往復動に伴って、シャフト30の前端
部に固定されたプラグ20に保持されるピン部材14
が、その軸心方向に往復動せしめられ得るようになって
いるのである。なお、ここでは、ピン部材14の母材等
への押付け時におけるシャフト30の後部側への移動に
伴って、ソレノイド36の可動鉄心44も一体移動せし
められることにより、かかるシャフトの30の前記規定
位置への移動が阻害されないようになっている。
【0031】そして、本実施形態では、特に、そのよう
なソレノイド36の間欠駆動に伴うピン部材14の往復
動が、表面に電気絶縁性の塗膜や酸化膜等の被膜が形成
された母材にピン部材14の先端部を押し付けて、該ピ
ン部材14が溶接ガン12の本体16の後部側に所定量
だけ移動せしめられた時に限って、行なわれるようにな
っている。
【0032】すなわち、溶接ガン10の本体16内に
は、前述せる如く、シャフト30が本体16の後部側に
向かって前記規定位置まで移動せしめられた際に、それ
を検出する前記フォトセンサ34が設けられていると共
に、プラグ20に保持されたピン部材14を介して、該
ピン部材14が接触せしめられる母材の電気抵抗を随時
検出する公知の検出器(図示せず)と、該検出器による
検出値に基づいて、ピン部材14が接触する母材の表面
に電気絶縁性の被膜が形成されているか否かを判断し
て、その判断結果に応じた指示信号を前記電源装置10
のソレノイド用制御回路に出力するコントローラ(図示
せず)とが、設けられている。
【0033】また、このコントローラは、予め定められ
た互いに大きさの異なる第一の基準値と第二の基準値と
第三の基準値が記憶され、それら3種類の基準値のそれ
ぞれと、検出器により検出された値が比較されるように
なっている。そして、かかるコントローラにあっては、
それら3種類の基準値のうちの最も大きな値を有する第
一の基準値と検出器による検出値とを比較した結果、該
検出値の方が大きかった場合には、母材表面に電気絶縁
性の被膜が形成されていると判断して、ソレノイド36
を間欠駆動させるための電荷を供給せしめるように指示
する指示信号を、前記電源装置10のソレノイド用制御
回路に出力するように構成されており、また、前記3種
類の基準値のうち最も小いさな値である第三の基準値よ
りも、検出器による検出値が小さかった場合には、母材
表面に電気絶縁性の被膜が形成されていないと判断し
て、前記電源装置10のソレノイド用制御回路に対し
て、何等の指示信号も出力しないようになっている。更
に、後述する如く、ソレノイド36の駆動状態下で、検
出器にて検出される値が、徐々に減少して、第一の基準
値よりも小さく且つ第三の基準値よりも大きな値である
第二の基準値に達した際には、ソレノイド36への電荷
の供給を停止せしめるように指示する指示信号を、電源
装置10のソレノイド用制御回路に出力するように構成
されているのである。
【0034】一方、電源装置10のソレノイド用制御回
路は、前記フォトセンサ34からの検出信号が入力され
ている時に限って、上述如きコントローラからの各種の
指示信号に従って、ソレノイド36への電荷の供給や、
その停止を制御し得るように構成されている。
【0035】かくして、本実施形態のスタッド溶接装置
においては、表面に電気絶縁性の塗膜や酸化膜等の被膜
が形成された母材にピン部材14の先端部を押し付け
て、該ピン部材14が溶接ガン12の本体16の後部側
に規定位置まで移動せしめられた時に限って、ソレノイ
ド36が間欠駆動せしめられて、溶接ガン12の前端部
に保持されたピン部材14が、その軸心方向に往復動せ
しめられ得るように構成されており、また、そのような
ピン部材14の往復動によって、該ピン部材14の先端
部が、母材表面に形成された電気絶縁性の被膜に食い込
み得るようになっているのである。
【0036】なお、このようなピン部材14の被膜への
食込みが進行するに従って、被膜におけるピン部材14
との接触部位の厚さが徐々に薄くなり、それに伴って、
かかる部位の電気抵抗が次第に減少せしめられて、前記
検出器による検出値が次第に小さくなり、やがて、被膜
におけるピン部材14との接触部位の厚さが所定の厚さ
となると、前記第二の基準値に到達する。一方、前述せ
るように、ソレノイド36は、検出器による検出値が第
二の基準値に達すると、その駆動が停止せしめられるよ
うに構成されている。それ故、ここでは、ピン部材14
が、母材表面上の被膜に、ある程度の深さだけ食い込ん
だ時点で、ソレノイド36の間欠駆動に伴うピン部材1
4の往復動が、自動的に停止せしめられるようになって
いるのである。
【0037】また、ここにおいて、前述せる如く、本実
施形態のスタッド溶接装置にあっては、プラグ20に保
持されたピン部材14の母材への押付けにより、シャフ
ト30が本体16の後部側に規定位置まで移動せしめら
れた際に、シャフト30に対して、ピン部材14を母材
にスタッド溶接するための電荷が供給されるようになっ
ているのであるが、本実施形態では、特に、母材の表面
に電気絶縁性の被膜が形成されている場合に限って、ピ
ン部材14を母材にスタッド溶接するための電荷に加え
て、かかる被膜におけるピン部材14との接触部位を破
壊するための電荷が、電源装置12からシャフト30に
供給されるように構成されている。
【0038】すなわち、本実施形態のスタッド溶接装置
においては、溶接ガン12のシャフト30に電荷を供給
する電源装置10が、第一の電源部54と、該第一の電
源部54よりも高電圧の第二の電源部56の2種類の電
源部を有している。また、図1には明示されてはいない
ものの、それら二つの電源部54,56のうち、第一の
電源部54には、ピン部材14を母材にスタッド溶接す
るための電荷を蓄える第一のコンデンサが内蔵されてい
る一方、第二の電源部56には、母材表面に電気絶縁性
の塗膜や酸化膜等の被膜が形成されている場合に、該被
膜を介して、ピン部材14を母材に押し付けた際におけ
る、かかる被膜のピン部材14との接触部位を破壊する
ための電荷を蓄える、第一のコンデンサよりも低容量の
第二のコンデンサが内蔵されており、更に、それら第一
及び第二のコンデンサにそれぞれ蓄えられた電荷の供給
を制御するコンデンサ用制御回路が、設けられている。
そして、そのような第一及び第二の電源部54,56
が、前記リード線31にて、溶接ガン12に対して電気
的に接続されている。なお、図1中、58は、母材に接
続するためのアース線である。
【0039】一方、溶接ガン10の本体16内には、前
述せる如き構造を有する検出器とコントローラとが設け
られており、このコントローラは、検出器にて検出され
る電気抵抗値が前記第一の基準値よりも大きく、母材表
面に電気絶縁性の被膜が形成されていると判断した際に
は、電源装置10のコンデンサ用制御回路に対して、何
等の指示信号も出力しないようになっており、かかる電
気抵抗値が、前述せるピン部材14の被膜への食込みの
進行に伴って徐々に減少して、第二の基準値に達した際
に、第一のコンデンサと第二のコンデンサのそれぞれに
蓄えられた電荷をシャフト30に対して同時に供給する
ように指示する所定の指示信号を、電源装置10のコン
デンサ用制御回路に出力するように構成されている。ま
た、かかるコントローラにあっては、該検出器にて検出
される電気抵抗値が前記第三の基準値よりも小さく、母
材表面に電気絶縁性の被膜が形成されていないと判断し
た際には、第一のコンデンサに蓄えられた電荷のみをシ
ャフト30に対して供給するように指示する所定の指示
信号を、電源装置10のコンデンサ用制御回路に出力す
るようになっている。
【0040】なお、前述せるように、第二の電源部56
に設けられた、前記電気絶縁性の被膜におけるピン部材
14との接触部位を破壊するための電荷を蓄える第二の
コンデンサが、第一の電源部54に設けられた、ピン部
材を母材にスタッド溶接するための電荷を蓄える第一の
コンデンサよりも低い容量をもって構成されているた
め、それら2種類のコンデンサから電荷が同時に供給さ
れた際には、その初期段階において、第一のコンデンサ
と第二のコンデンサからの電荷が加算されて、シャフト
30に供給されるものの、その終期段階では、第一のコ
ンデンサからの電荷のみが、シャフト30に供給される
ようになっている。
【0041】かくして、本実施形態のスタッド溶接装置
においては、表面に電気絶縁性の被膜が形成された母材
に対して、ピン部材14の先端部が押し付けられて、該
ピン部材14が溶接ガン12の本体16の後部側に規定
位置まで移動せしめられた際に、ピン部材14が、その
往復動により該被膜に食い込まされ、その食込み深さが
ある程度の量に到達した時点で、電源装置10の第一の
電源部54と第二の電源部56からそれぞれ供給される
電荷が、母材とピン部材14との間で放電せしめられ、
それによって、被膜が破壊されて、ピン部材14が母材
にスタッド溶接されるようになっているのである。ま
た、表面に電気絶縁性の被膜が何等形成されていない母
材に対して、ピン部材14の先端部が押し付けられて、
該ピン部材14が溶接ガン12の本体16の後部側に規
定位置まで移動せしめられた際には、その時点で、電源
装置10の第一の電源部54から供給される電荷のみ
が、母材とピン部材14との間で放電せしめられて、ピ
ン部材14が母材にスタッド溶接されるようになってい
るのである。このことから明らかなように、本実施形態
では、放電機構が、シャフト30にて構成されているの
である。
【0042】而して、かくの如き構造とされたスタッド
溶接装置を用いて、例えば、表面に、電気絶縁性の塗料
が塗装されてなる被膜が形成された母材に対して、ピン
部材をスタッド溶接する際には、有利には、以下のよう
にして、その作業が進められることとなる。
【0043】すなわち、先ず、図1に二点鎖線で示され
るように、ピン部材14を、その座金部15において、
溶接ガン12のプラグ20に吸着させて、保持せしめ
る。
【0044】なお、ここでは、先端が尖鋭とされたピン
部材が、好適に用いられる。それにより、本工程の後に
実施される、後述する工程において、ピン部材14の先
端部を母材表面上の被膜に対して、スムーズに且つ容易
に食い込ませるが出来る。なお、尖鋭とされたピン部材
14の先端部形状や、該ピン部材14に一体形成された
座金部15の形状が、例示のものに、何等限定されるも
のでないことは、言うまでもないところである。
【0045】次いで、図2に示されるように、電源装置
10から延びるアース線58を母材60に接続せしめた
状態下で、該母材60の表面に形成された電気絶縁性の
被膜62に対して、溶接ガン12のプラグ20に保持さ
れたピン部材14の先端部を押し付けることにより、ピ
ン部材14が保持されるプラグ20に連結されたシャフ
ト30を、溶接ガン10の本体16内に配設されたコイ
ルばね(図示せず)の付勢力に抗して、該本体16の後
部側に向かって移動させる。そして、そのような本体1
6の後部側への移動により、シャフト30を前記規定位
置に位置させることによって、電源装置10からの電荷
を本体16内のソレノイド36に断続的に供給し、該ソ
レノイド36を間欠駆動せしめて、該ソレノイド36の
可動鉄心42と共に、シャフト30、及びプラグ20を
介してそれに連結されたピン部材14を、それぞれの軸
方向(図2中、矢印方向)に往復動させる。
【0046】なお、このピン部材14の往復動の開始時
には、ピン部材14と母材60との間に、被膜62が、
電気絶縁性を十分に発揮し得る厚さをもって介在せしめ
られて、溶接ガン10の本体16に内蔵された検出器に
て検出される電気抵抗値が、前記第一の基準値よりも大
きくなっているため、電源装置10の第一及び第二の電
源部54,56からの電荷が、シャフト30を通じてピ
ン部材14に供給されることはない。
【0047】引き続き、母材60の表面上の被膜62に
対して、ピン部材14の先端部を押し付けたまま、シャ
フト30が前記規定位置に位置せしめられた状態を維持
せしめて、ピン部材14の軸心方向への往復動を継続せ
しめることにより、図3に示される如く、ピン部材14
の先端部にて、被膜62における該ピン部材14の先端
部との接触部位を削り取りようにして、該ピン部材14
の先端部を被膜62に食い込ませる。そして、そのよう
なピン部材14の先端部の被膜62への食込みにより、
被膜62におけるピン部材14の先端部との接触部位の
厚さを減少させて、被膜62の該接触部位の電気絶縁性
を低下させる。
【0048】このように、本工程では、ピン部材14の
先端部の被膜62への食込みが進行するのに従って、被
膜62におけるピン部材14の先端部との接触部位の電
気絶縁性が低下せしめられるため、ピン部材14の先端
部の被膜62への食込み深さが、ある程度の量となる
と、溶接ガン12の本体16に内蔵された検出器にて検
出される電気抵抗値が前記第二の基準値に到達せしめら
れる。これによって、電源装置10からソレノイド36
への電荷の供給が停止せしめられて、ソレノイド36の
間欠駆動が自動的に停止せしめられると共に、ピン部材
14の往復動も停止せしめられる。そして、その一方
で、電源装置10の第一及び第二の電源部54,56に
おける第一及び第二のコンデンサから、ピン部材14を
母材60にスタッド溶接するための電荷と、被膜62に
おけるピン部材14の先端部との、薄肉化された接触部
位を破壊するための電荷が、ピン部材14に対して、シ
ャフト30を通じて同時に供給せしめられて、それらの
電荷が、母材60とピン部材14との間で放電されるの
である。
【0049】なお、前述せるように、被膜62における
ピン部材14との接触部位を破壊するための電荷を供給
する第二の電源部56における第二のコンデンサが、ピ
ン部材14を母材60にスタッド溶接するための電荷を
供給する第一の電源部54における第一のコンデンサよ
りも低い容量をもって構成されているため、本工程で、
それら2種類のコンデンサから電荷が同時に供給された
際には、その初期段階において、第一のコンデンサと第
二のコンデンサから供給された電荷が加算されて、母材
60とピン部材14との間で放電せしめられ、また、そ
の終期段階では、第一のコンデンサから供給された電荷
のみが、母材60とピン部材14との間で放電せしめら
れることとなる。
【0050】かくして、本工程で実施される母材60と
ピン部材14との間での放電の初期段階において、被膜
62におけるピン部材14との接触部位を破壊し、その
後、図4に示されるように、該放電の終期段位で、ピン
部材14の先端部を溶融させて、その溶融部位におい
て、該ピン部材14を、母材60の、被膜62が破壊さ
れて表面が露出せしめられた部位にスタッド溶接するの
である。
【0051】このように、本実施形態においては、溶接
ガン10の本体16の前部に保持せしめたピン部材14
の先端部を、母材60の表面に形成された電気絶縁性の
被膜62に押し付けつつ、該ピン部材14を、その軸心
方向に往復動させることにより、該被膜62に適当な深
さまで食い込ませて、被膜62におけるピン部材14の
先端部との接触部位の電気絶縁性を低下させた状態下
で、かかるピン部材14と母材60との間で、該被膜6
2の接触部位を破壊するための電荷と、ピン部材14を
母材60にスタッド溶接するための電荷とを放電させ
て、該被膜62の接触部位を破壊した後、ピン部材14
を母材16にスタッド溶接するようにしたものであると
ころから、ピン部材14を被膜62に何等食い込ませる
ことなく、単に、被膜62の表面に接触させただけの状
態下において、ピン部材14と母材60との間で、被膜
62におけるピン部材14との接触部位を破壊するため
の電荷と、ピン部材14を母材60にスタッド溶接する
ための電荷とを放電させて、スタッド溶接を行なう場合
に比して、被膜62におけるピン部材14との接触部位
を破壊するための電荷の大きさを、極めて有利に小さく
為すことが出来、それによって、かかる電荷を供給する
ための電源装置に要される費用や、作業中における感電
事故の発生を効果的に少なく抑えることが可能となるの
である。
【0052】しかも、本実施形態では、ピン部材14の
先端部を、母材60の表面に形成された電気絶縁性の被
膜62に押し付けた状態下で、ソレノイド36を駆動さ
せることにより、ピン部材14が、その軸心方向に自動
的に往復動せしめられるようになっているため、人力
で、溶接ガン12を押打したり、回転させたりして、ピ
ン部材14の先端部を被膜62に食い込ませる場合とは
異なって、ピン部材14の先端部を母材60に押し付け
る、労力負担の小さな作業を行なう以外、人力を加える
作業を何等行なうことなく、ピン部材14の先端部を母
材60の表面に形成された電気絶縁性の被膜62に食い
込ませることが出来るのである。
【0053】従って、このような本実施形態によれば、
表面に電気絶縁性の被膜62が形成された母材60に対
するピン部材14のスタッド溶接を、可及的に小さな労
力負担と経済負担とをもって、しかも安全に行なうこと
が可能となるのである。
【0054】また、本実施形態においては、単に、溶接
ガン12の前部に保持されたピン部材14を母材60の
表面上の被膜62に押し付ける作業を行なうだけで、ピ
ン部材14の往復動の開始及び停止、更にはピン部材1
4と母材60との間での放電の開始及び停止が、全て自
動で行なわれるようになっているところから、ピン部材
14を母材60にスタッド溶接するための作業を、より
容易に且つ迅速に行なうことが出来るのである。
【0055】以上、本発明の具体的な構成について詳述
してきたが、これはあくまでも例示に過ぎないものであ
って、本発明は、上記の記載によって、何等の制約をも
受けるものではない。
【0056】例えば、前記実施形態では、ピン部材14
の先端部を、母材60の表面に形成された電気絶縁性の
被膜62に食い込ませ得るように、ピン部材14を駆動
せしめる駆動機構が、ピン部材14を、その軸心方向に
往復動させるソレノイド36にて構成されていたが、か
かる駆動機構として、ピン部材14を軸心回りに回転さ
せるようにした構造のものを採用することも、可能であ
る。
【0057】なお、かくの如き駆動機構を採用する場合
には、例えば、図5に示される如く、プラグ20におけ
るジャケット22のシャフト取付穴32内に挿入される
シャフト30の前端部の外周面に、周方向に連続して延
びる周溝64を設けて、該シャフト30の前端部をジャ
ケット22に固定する止めねじ66の先端を、該周溝6
4内に突入せしめることにより、プラグ20の全体を、
軸心回りの回転は許容されるものの、軸心方向への移動
が阻止されるように、シャフト30の前端部に対して固
定する。また、そのようなプラグ20におけるジャケッ
ト22の外周面に、ギヤ部68を周設する。更に、溶接
ガン12の本体16内における該プラグ20の配設部位
に、駆動機構としてのモータ70を設け、また、該モー
タ70の駆動軸に取り付けられた歯車72を、プラグ2
0におけるジャケット22のギヤ部68に噛合せしめ
る。そして、モータ70の駆動方式として、前記実施形
態におけるソレノイド36の駆動方式と同様な方式を採
用するのである。なお、かかる図5においては、前記実
施形態と同様な構造とされた部材や部位について、前記
実施形態と同一の符号を付すことにより、その詳細な説
明は省略した。
【0058】かくの如き構造によれば、プラグ20に保
持されたピン部材14の先端部を、母材60の表面に形
成された電気絶縁性の被膜62に押し付けつつ、モータ
70の駆動に伴って回転せしめることにより、かかるピ
ン部材14の先端部を、該被膜62に食い込ませること
が出来、また、そのような状態下で、電源装置(10)
における第一の電源部(54)と第二の電源部(56)
から供給された電荷を、ピン部材14と母材60との間
で放電させることにより、被膜62におけるピン部材1
4の先端部との接触部位を破壊して、該ピン部材14を
母材60にスタッド溶接することが出来るのである。従
って、このような本実施形態にあっても、前記実施形態
と同様な効果が、極めて有効に享受され得ることとなる
のである。
【0059】なお、本実施形態における、ピン部材14
を回転させる駆動機構と、前記実施形態における、ピン
部材14を往復動させる駆動機構の両方を、溶接ガン1
2に設けて、それら2種類の駆動機構を同時に駆動さ
せ、或いは何れか一方を適宜に選択して、駆動させるこ
とによって、ピン部材14の先端部を、母材60の表面
に形成された電気絶縁性の被膜62に食い込ませるよう
にしても、何等差し支えないのである。
【0060】また、ピン部材14を軸心回りに回転させ
る駆動機構や、ピン部材24を軸心方向に往復動させる
駆動機構の構造は、前記二つの実施形態において例示さ
れるものに、決して限定されるものでなく、ピン部材1
4を、直接的に或いは間接的に、軸心回りに回転させ得
る公知の各種の構造や、軸心方向に往復動させ得る公知
の各種の構造が、それぞれ、適宜に採用され得ること
は、勿論である。
【0061】さらに、前記実施形態では、ピン部材14
が母材60に押し付けられて、シャフト30が、溶接ガ
ン12の本体16内を、その後部に向かって規定位置ま
で移動せしめられた状態下で、該本体16内の検出器に
よる検出値が第二の基準値に達した時点で、即座に、第
一及び第二の電源部54,56から供給される電荷が、
ピン部材14と母材60との間で放電せしめられるよう
になっていたが、例えば、溶接ガン12の把持部18に
所定のスイッチを設け、このスイッチをON作動させな
い限りは、例え、検出器による検出値が第二の基準値に
達しても、第一及び第二の電源部54,56から供給さ
れる電荷が、ピン部材14と母材60との間で放電せし
められることのないように、構成することも可能であ
る。このような構造によれば、ピン部材14と母材60
との間での放電時に、作業者が、一方の手で、ピン部材
14と母材60とを同時に接触して、感電事故を起こす
ようなことが可及的に防止され得、それによって、スタ
ッド溶接作業の安全性が、更に一層有利に高められ得る
のである。
【0062】更にまた、前記実施形態では、母材60の
表面上の電気絶縁性の被膜62にピン部材14の先端部
を押し付けた状態下で、溶接ガン12の本体16内に設
けられた検出器にて検出される電気抵抗値に基づいて、
ピン部材14の往復動の開始及び停止や、ピン部材14
と母材60との間での放電の開始等が実施されるように
なっていたが、例えば、溶接ガン12や電源装置10等
に所定のタイマ機構を内蔵せしめたり、或いはそれらに
適当なスイッチ等を設けて、それらタイマ機構の時間計
測やスイッチのON/OFF操作に基づいて、ピン部材
14の往復動の開始及び停止や、ピン部材14と母材6
0との間での放電の開始等を行なわしめるように構成す
ることも、可能である。
【0063】また、勿論、ピン部材14を溶接ガン12
に保持させる保持機構の構造も、前記実施形態に示され
るものに、何等限定されるのものでない。
【0064】その他、一々列挙はしないが、本発明は、
当業者の知識に基づいて種々なる変更、修正、改良等を
加えた態様において実施され得るものであり、また、そ
のような実施態様が、本発明の趣旨を逸脱しない限り、
何れも、本発明の範囲内に含まれるものであることは、
言うまでもないところである。
【0065】
【発明の効果】以上の説明からも明らかなように、本発
明に従うスタッド溶接方法によれば、表面に電気絶縁性
の被膜が形成された母材に対するピン部材のスタッド溶
接を、労力面と経済面とにおいて課せられる負担の増加
を可及的に抑制しつつ、しかも安全に実施することが出
来るのである。
【0066】また、本発明に従うスタッド溶接装置にあ
っては、上述せる如き優れた特徴を発揮するスタッド溶
接方法の実施に際して極めて有利に使用され得るのであ
り、その結果として、表面に電気絶縁性の被膜が形成さ
れた母材に対するピン部材のスタッド溶接が、労力負担
と経済負担の増加を可及的に抑制しつつ、しかも安全に
実施され得ることとなるのである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に従うスタッド溶接装置の一例を概略的
に示す、一部切欠図を含む概略説明図である。
【図2】本発明手法に従って、ピン部材を母材にスタッ
ド溶接する工程の一例を示す説明図であって、図1に示
されたスタッド溶接装置の溶接ガンに保持されたピン部
材を母材に押し付けて、軸心方向に往復動させている状
態を示している。
【図3】本発明手法に従って、ピン部材を母材にスタッ
ド溶接する工程の別の例を示す説明図であって、ピン部
材の先端部を母材に食い込ませた状態を示している。
【図4】本発明手法に従って、ピン部材を母材にスタッ
ド溶接する工程の更に別の例を示す説明図であって、ピ
ン部材の先端部を母材に溶接した状態を示している。
【図5】本発明に従うスタッド溶接装置の別の例を示
す、図2に対応した、一部切欠図を含む要部拡大説明図
である。
【符号の説明】
10 電源装置 12 溶接ガン 14 ピン部材 20 プラグ 30 シャフト 36 ソレノイ
ド 40 コイル 42 可動鉄心 54 第一の電源部 56 第二の電
源部 60 母材 62 被膜 70 モータ
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 増田 文一郎 東京都足立区入谷8−7−16 一文機工株 式会社内 (72)発明者 坂倉 正樹 東京都足立区入谷8−7−16 一文機工株 式会社内

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 表面に電気絶縁性の被膜が形成された母
    材に対して、ピン部材をスタッド溶接するに際して、 前記ピン部材を保持する保持機構と、該保持機構にて保
    持されたピン部材の軸心方向における往復動及び/又は
    該軸心回りの回転を行なわしめる駆動機構とを備えた溶
    接ガンを用い、該ピン部材を該溶接ガンの前記保持機構
    に保持させた状態下で、該ピン部材の先端部を前記母材
    の表面に形成された前記被膜に押し付けつつ、該溶接ガ
    ンの前記駆動機構にて、該ピン部材を前記軸心方向に往
    復動せしめ、及び/又は該軸心回りに回転せしめること
    により、該ピン部材の先端部を該被膜に食い込ませた
    後、該ピン部材の先端部と前記母材との間で、該被膜に
    おける該ピン部材の先端部との接触部位を破壊するため
    の電荷と、該ピン部材を該母材にスタッド溶接するため
    の電荷を放電させることにより、該被膜の該ピン部材と
    の接触部位を破壊して、該ピン部材を該母材にスタッド
    溶接するようにしたことを特徴とするスタッド溶接方
    法。
  2. 【請求項2】 表面に電気絶縁性の被膜が形成された母
    材に対して、ピン部材をスタッド溶接するための装置で
    あって、 前記ピン部材を前記母材にスタッド溶接するための電荷
    を供給する第一の電源部と、前記被膜における該ピン部
    材との接触部位を破壊するための電荷を供給する第二の
    電源部を備えた電源手段と、 前記ピン部材を保持する保持機構と、該保持機構に保持
    された該ピン部材の先端部が、前記母材の表面に形成さ
    れた前記被膜に押し付けられた状態下において、該ピン
    部材を軸心方向に往復動せしめ、及び/又は該軸心回り
    に回転せしめて、該ピン部材の先端部を該被膜に食い込
    ませる駆動機構と、該駆動機構にて該被膜に食い込まさ
    れた該ピン部材の先端部と該母材との間で、前記電源手
    段における第一の電源部と第二の電源部からそれぞれ供
    給される前記電荷を放電させて、該被膜における該ピン
    部材の先端部との接触部位を破壊すると共に、該ピン部
    材を該母材にスタッド溶接する放電機構を備えた溶接ガ
    ンとを、有することを特徴とするスタッド溶接装置。
JP2001259137A 2001-08-29 2001-08-29 スタッド溶接方法及びスタッド溶接装置 Pending JP2003062670A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2001259137A JP2003062670A (ja) 2001-08-29 2001-08-29 スタッド溶接方法及びスタッド溶接装置

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2001259137A JP2003062670A (ja) 2001-08-29 2001-08-29 スタッド溶接方法及びスタッド溶接装置

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2003062670A true JP2003062670A (ja) 2003-03-05

Family

ID=19086556

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2001259137A Pending JP2003062670A (ja) 2001-08-29 2001-08-29 スタッド溶接方法及びスタッド溶接装置

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2003062670A (ja)

Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR101050239B1 (ko) 2006-05-30 2011-07-19 준이치 미조구치 스터드 용접 방법
CN103753029A (zh) * 2013-12-23 2014-04-30 江苏烁石焊接科技有限公司 一种摩擦清理均化下的电弧金属螺柱焊接方法及装置
EP3466589A1 (de) * 2017-10-09 2019-04-10 HILTI Aktiengesellschaft Befestigungsverfahren
JP2020093275A (ja) * 2018-12-11 2020-06-18 日鉄日新製鋼株式会社 スタッド溶接用の通電治具およびスタッド溶接方法

Cited By (10)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR101050239B1 (ko) 2006-05-30 2011-07-19 준이치 미조구치 스터드 용접 방법
CN103753029A (zh) * 2013-12-23 2014-04-30 江苏烁石焊接科技有限公司 一种摩擦清理均化下的电弧金属螺柱焊接方法及装置
CN103753029B (zh) * 2013-12-23 2016-01-20 江苏烁石焊接科技有限公司 一种摩擦清理均化下的电弧金属螺柱焊接方法及装置
EP3466589A1 (de) * 2017-10-09 2019-04-10 HILTI Aktiengesellschaft Befestigungsverfahren
WO2019072629A1 (de) * 2017-10-09 2019-04-18 Hilti Aktiengesellschaft Befestigungsverfahren
JP2020536742A (ja) * 2017-10-09 2020-12-17 ヒルティ アクチエンゲゼルシャフト 固定方法
JP7030966B2 (ja) 2017-10-09 2022-03-07 ヒルティ アクチエンゲゼルシャフト 固定方法
RU2770164C2 (ru) * 2017-10-09 2022-04-14 Хильти Акциенгезельшафт Способ крепления
JP2020093275A (ja) * 2018-12-11 2020-06-18 日鉄日新製鋼株式会社 スタッド溶接用の通電治具およびスタッド溶接方法
JP7172539B2 (ja) 2018-12-11 2022-11-16 日本製鉄株式会社 スタッド溶接用の通電治具およびスタッド溶接方法

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP5784473B2 (ja) 回転打撃工具
JP6455615B2 (ja) 打撃作業機
EP2520397A1 (en) Motorized tool
JP7062400B2 (ja) インパクトドライバ
CN109382779B (zh) 电动作业机
WO2013183433A1 (ja) 電動工具
JP2001320898A5 (ja)
JP2003062670A (ja) スタッド溶接方法及びスタッド溶接装置
JP2005246600A (ja) 固定素子打ち込み装置及びその作動方法
JP4692813B2 (ja) 電磁弁駆動制御装置
JP2013516152A (ja) ユニバーサルモータ用の制動装置
WO2013136673A1 (ja) 電動工具
CN112571360B (zh) 旋转冲击工具
JP3972539B2 (ja) 内燃機関用スパークプラグの製造方法
CN104976008A (zh) 发动机起动设备
JP5906627B2 (ja) 点火装置
JP3938335B2 (ja) スタッド溶接方法及びスタッド溶接装置
JPH04104064A (ja) 加速度センサの製作方法
JP6279364B2 (ja) モータ制御装置
JP2002172467A (ja) コンデンサ放電型のスタッド溶接方法
JP4786922B2 (ja) スタッド溶接ガン
JP2004291021A (ja) スタッド溶接装置及びスタッド溶接方法
JP3573604B2 (ja) 破壊装置
US4603457A (en) Method and device for making a wrapped joint
JP2593953Y2 (ja) ガスシールドアーク溶接用トーチのスパッタ除去装置