JP2004290182A - 昆虫発現用遺伝子ベクターおよび遺伝子産物製造法 - Google Patents

昆虫発現用遺伝子ベクターおよび遺伝子産物製造法 Download PDF

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Abstract

【課題】
カイコに代表される昆虫を用いて、同時に異なる2種の遺伝子のタンパク質発現を2種の遺伝子プロモーターであるポリヘドリンプロモーターおよびp10プロモーターにより可能にすること、また同時に同種の遺伝子のタンパク質発現も可能となる。その結果、異なる2種の遺伝子からなるイヌインターロイキン12の発現や同じ2つのタンパク質が結合して活性を有するイヌインターフェロン−γの発現も可能にすることを課題とする。
【解決手段】
少なくとも2つのプロモーターを有する昆虫発現用遺伝子ベクター。
【選択図】なし

Description

本発明は、少なくとも2つのプロモーターを有することにより同時に少なくとも2種の遺伝子のタンパク質発現を可能にする昆虫用発現遺伝子ベクターおよびそのベクターを用いて遺伝子導入された昆虫細胞、昆虫を用いた外来タンパク質の製造方法に関する。さらに、蛋白質の一次構造がイヌの遺伝情報由来であるイヌインターロイキン12を作製し量産して、以って医薬品(抗腫瘍)とする事を目的とした、イヌインターロイキン12の製造法に関する。
遺伝子組換え技術を用いた外来タンパク質の生産は、様々な産業に利用されている。その宿主として主に大腸菌、酵母、動物細胞、植物細胞、昆虫細胞などが用いられている。しかし、あらゆる外来タンパク質を効率よく生産できる宿主は開発されておらず、目的とするタンパク質ごとに生産系を構築することが必要であり、個々の宿主における外来タンパク質生産技術においてさらなる技術革新が望まれている。
大腸菌などの細菌または酵母の系では、翻訳後修飾に問題があり、タンパク質を十分機能する形で合成できないことがある。また、動物細胞は、タンパク質を機能する形で合成できることが多いが、一般的に増殖させるのが困難で産生量も低く経済的ではない。
一方、昆虫または昆虫細胞を用いた遺伝子組み換えタンパク質の生産では、酵素や生理活性を持つ有用タンパク質等が、比較的安価に量産でき、動物に近いタンパク質の翻訳後修飾が得られることが知られている。具体的には、核多核体病ウイルスの一種であるAutographa californica nuclear polyhedrosis virus (AcNPV)のDNAを用いて、組換えバキュロウイルスを調製し、ヨトウガ細胞(Spodoptera frugiperda)に感染させ、発現・生産させる報告がある。外来タンパク質の量産が可能であり、医薬品として製品化された生理活性タンパク質も知られている(特許文献1、特許文献2)。
昆虫の中でもカイコを用いた生理活性タンパク質の生産は、ヨトウガ細胞を用いたタンパク質生産に比べタンパク質生産性が高いという報告があり、また比較的安価に製造可能である。カイコでの発現方法としてはポリヘドリンをプロモーターとする発現用遺伝子ベクターに発現させる遺伝子を組み込み、組換えバキュロウイルスを作製し、本ウイルスをカイコ細胞やカイコに添加し、目的となるタンパク質を発現させるというものである(特許文献3、特許文献4)。その他p10プロモーター(特許文献5)を用いた昆虫細胞での生理活性タンパク質の生産に関する報告もある。
しかし、本法では、カイコを用いた一種のタンパク質でのみ構成される外来タンパク質の発現は可能であるが、2種のタンパク質を同時に発現させることで生理活性の得られるタンパク質の発現・生産は不可能であった。中でもサイトカインの一種であるインターロイキン12は、p35およびp40の2種のタンパク質がヘテロダイマー構造を有しておち、すなわち2種のタンパク質がダイマー構造をとって初めて生理活性を有するタンパク質の発現は困難であった。
特開昭61−9288号公報 特開昭61−9297号公報 特開昭61−009288号公報 特開昭62−208276号公報 米国特許第5571709号明細書
少なくとも2種の外来タンパク質遺伝子を同時に発現させる発現用遺伝子ベクターの構築が課題である。また、2種のタンパク質が同時に発現することにより生理活性を有するタンパク質の発現ならびに、2種のタンパク質がヘテロダイマー構造を有することより生理活性を発揮するイヌインターロイキン12の発現・生産を、本発現用遺伝子ベクターを用いることにより可能にすることが課題である。
すなわち、本発明は基本的には以下の構成を有する。
少なくとも2つのプロモーターを有する昆虫発現用遺伝子ベクター。
ポリヘドリンプロモーターを有するpBK blueベクターの下流に昆虫由来p10プロモーターを導入した外来タンパク質の発現用遺伝子ベクターを新規に構築した。
本発現用遺伝子ベクターに、2種の外来タンパク質発現遺伝子を同時に組込む事を可能にし、もって宿主を昆虫やカイコとしたとき同時に異なる2種のタンパク質発現させることを可能にした。また、2種の遺伝子(p35およびp40)からなるイヌインターロイキン12発現用遺伝子ベクターの構築を可能にし、カイコでのイヌインターロイキン12の発現を可能にした。また、ホモダイマーを形成することにより活性を発揮するイヌIFN-γ、2種のタンパク質のヘテロダイマーを形成することにより活性を発揮するヒトアクチビンについてもイヌIL12同様に発現用ベクターを構築し、カイコでの発現を可能にした。
本発明において、少なくとも2つのプロモーターを有する昆虫発現用遺伝子ベクターとしては、ポリヘドリンプロモーターおよびp10プロモーターを有する昆虫発現用遺伝子ベクターである。これは、2つのプロモーターを有するものであり、かつ、この2つは種類の異なるものであるが、場合によっては同種のプロモーターであっても構わない。前記ベクターとしては、ポリヘドリンプロモーターを有するpBK blueベクターの下流に昆虫由来p10プロモーターを導入した外来タンパク質の発現用遺伝子ベクターである。pBK blueは、プロモーターとしてポリヘドリンを有する昆虫細胞用の発現遺伝子ベクターとして汎用されており、本ベクターを使用することにより外来遺伝子を昆虫やカイコなどで発現させることができる。昆虫や昆虫細胞よりDNAを調製し、適当なプライマーを設計し、PCR法によりp10プロモーター遺伝子を取得することができる(文献1、2)。pBK blueを適当な制限酵素により処理し、p10プロモーターにも制限酵素サイトを付加しておくことにより、両DNAをDNAリガーゼなどにより結合させることにより、ポリヘドリンプロモーターとp10プロモーターの両方を有する発現用遺伝子ベクターを調製することが可能となる。
かかるベクターのそれぞれのプロモーターの下流に、常法により外来タンパク質をコードするDNA配列を導入して発現させることにより、前記外来タンパク質を同時に製造することができる。これにより、複数種のサブユニットより構成されるタンパク質、特にヘテロダイマーより構成されるタンパク質等の製造に好適である。ヘテロダイマータンパク質としてはインターロイキン12やヒトアクチビンAB等が例示され得る。また同じ2つのタンパク質が結合することにより生物活性を有するタンパク質の発現にも本ベクターは適応可能であり、かかるタンパク質としてはイヌインターフェロン−γ等が例示される。
本発明の製造法で得られるインターロイキン12(以下IL12)としてはヒトインターロイキン12、ほ乳類のインターロイキン12などがあげられ、特にイヌIL12の製造に好ましく本発明が適用できる。
イヌIL12の2つのサブユニットをそれぞれコードするDNAを組み込んだプラスミドは例えば次のようにして製造することができる。すなわち、イヌの細胞からポリ(A)RNAを抽出した後、cDNAを合成し、それぞれのサブユニットをコードする遺伝子配列を元にしたプライマーを用いてポリメラーゼ連鎖反応(以下PCRと略す)を行うことによって、イヌIL12の2つのサブユニットをそれぞれコードする遺伝子を得ることができる。イヌの細胞、例えばマイトジェンなどで刺激されたイヌリンパ球などによりRNAを得る方法としては、通常の方法、例えば、ポリソームの分離、ショ糖密度勾配遠心や電気泳動を利用した方法などがあげられる。上記イヌ細胞よりRNAを抽出する方法としては、グアニジン・チオシアネート処理後CsCl密度勾配遠心を行うグアニジン・チオシアネート−塩化セシウム法(文献3)、バナジウム複合体を用いてリボヌクレアーゼインヒビター存在下に界面活性剤で処理したのちフェノール抽出を行う方法(文献4)、グアニジン・チオシアネート−ホット・フェノール法、グアニジン・チオシアネート−グアニジン塩酸法、グアニジン・チオシアネート−フェノール・クロロホルム法、グアニジン・チオシアネートで処理したのち塩化リチウムで処理してRNAを沈殿させる方法などの中から適当な方法を選んで行うことができる。
イヌリンパ球などより通常の方法、例えば塩化リチウム/尿素法、グアニジン・イソチオシアネート法、オリゴdTセルロース法などによりmRNAを単離し、得られたmRNAから通常の方法、例えば Gublerらの方法(文献5)、H.Okayamaらの方法(文献6)などによりcDNAを合成する。得られたmRNAからcDNAを合成するには基本的にはトリ骨芽球ウイルス(AMV)などの逆転写酵素などを用いるほか1部プライマーを用いてDNAポリメラーゼなどを用いる方法を組み合わせてよいが、市販の合成あるいはクローニング用キットを用いるのが便利である。このcDNAを鋳型としてイヌIL12の2つのサブユニットをそれぞれコードする遺伝子の塩基配列を基にしたプライマーを用いてPCRを行うことによってイヌIL12の2つのサブユニットをそれぞれコードするDNAを得ることができる。
宿主として昆虫細胞、例えばヨトウガ細胞(Spodoptera frugiperda)、キャベツルーパー細胞(Trichoplusiani)等を使用することができる。
発現ベクターとしては、ウイルス(バキュロ(昆虫))などが使用できる。発現ベクターによる宿主の形質転換は、当該技術分野においてよく知られている常法により行うことができ、これらの方法は例えば、カレント プロトコールス イン モレキュラー バイオロジー(Current Protocols in Molecular Biology)、ジョン ウィリー アンド サンズ(John Wiley & Sons)社、に記載されている。形質転換体の培養も常法に従って行うことができる。
すなわち、カイコに感染する組換えカイコ核多角体病ウイルスを作製することによって、カイコ発現系を用いても生産することができる。組換えカイコ核多角体病ウイルスは、イヌIL12p35およびp40の蛋白質をコードするDNAをカイコのクローニングベクターに連結して作製した組換え体プラスミドとカイコ核多角体病ウイルスDNAとを、カイコ樹立細胞にコトランスフェクションして作製することができる。従って、組換え体ウイルスは、in vivo的な方法で作製することができる。すなわち、イヌIL12p35およびp40の蛋白質をコードするDNA部分を、ポリヘドリンプロモーター及びp10プロモーターの両方を有する発現用遺伝子ベクターに、一般的な遺伝子操作に従って連結することにより組換え体プラスミドを作製することができる。この組換え体プラスミドとカイコ核多角体病ウイルスDNA(文献8)とを、文献のような方法でカイコ樹立細胞、例えばBmN株(文献8)にコトランスフェクションした後、培養を続け、培養液中に出現した非組換え体(野性型)と組換え体のウイルスの中から限界希釈法、もしくはプラーク法などの一般的な方法によって組換え体ウイルスをクローニングすることができる。組換え体ウイルスは多角体の形成能がないことから、野性型ウイルスと容易に区別できる。イヌIL12の生産は、前記の組換えカイコ核多角体ウイルスをカイコ樹立細胞中、またはカイコ生体中で増殖させることにより行なう。
カイコ樹立細胞を用いる場合は、前記組換え体ウイルスを含む培養液により、BmN細胞を感染させ、平面培養または浮遊培養により培養する。BM−N細胞を培養する培地としては、例えば牛血清を添加したTC−10培地(文献8)やTC−100培地(日本農産工業株式会社製)を使用することができる。培養温度は25〜28℃が適当である。培養後、培養液を遠心分離しその上清からイヌIL12を回収する。
産生されたイヌIL12は非還元下、ドデシル硫酸ナトリウムポリアクリルアミドゲル電気泳動(SDS−PAGE)により、見かけの分子量が約70〜80kDであると言う結果が得られる。
SDS−PAGEでは、70〜80kDのバンドが還元条件下では分子量約40kDと約35kDの2つのサブユニットを生じる。
イヌIL12は、以下の実施例で示すようにin vitroでイヌ白血球からのインターフェロンγの誘導能により主に特性化される。
以下に実施例を示し、本発明を更に具体的に説明するが、本発明はこれら実施例の記載に限定されるものではない。
実施例1 発現用遺伝子ベクターDNAの調製
カイコ由来p10プロモーターDNAを、カイコ遺伝子の配列を参考に合成した(配列番号1)。合成したDNAの末端にはEcoRIによる切断部位に相当する塩基配列を付加させており、得られたp10プロモーター遺伝子をT4 polynucleotide kinase、ATP存在下でリン酸化した。次にpBK blue vectorをEcoRIにより切断し、アルカリフォスファターゼにより脱リン酸化処理を行い、p10プロモーター遺伝子共存下、DNA ligation kit verII(宝酒造株式会社製)により16℃、30分の条件下pBK blue vectorとp10 promoterの連結を行った。次に連結した遺伝子をXL−10 Gold コンピテントセル(Stratagene社製)に形質転換を行った。得られた形質転換体より、常法によりポリヘドリンプロモーター及びp10 promoterを含む発現用遺伝子ベクターDNAを調製した(配列番号2)。
実施例2 イヌIL12p40、p35遺伝子を導入したベクターの調製
(1)イヌcDNAの調製
イヌ肝臓、およびニワトリニューカッスル病ウイルスで7時間処理した(107 pfu/ml)イヌ脾臓由来リンパ球より、それぞれ、ISOGEN(ニッポンジーン社)を用いて総RNAを調製した。得られたイヌ肝臓由来RNAとイヌ脾臓由来リンパ球由来RNAはそれぞれ、以下の通りの処理を行った。即ち、RNAを1mM EDTAを含む10mM トリス塩酸緩衝液(pH7.5)(以下TEと略する。)に溶解し、70℃で5分間処理した後、1M LiClを含むTEを同量加えた。0.5M LiClを含むTEで平衡化したオリゴdTセルロースカラムにRNA溶液をアプライし、同緩衝液にて洗浄した。さらに0.3M LiClを含むTEにて洗浄後、0.01% SDSを含む2mM EDTA(pH7.0)で吸着したポリ(A)RNAを溶出した。こうして得られたポリ(A)RNAを用いて一本鎖cDNAを合成した。すなわち、滅菌した0.5mlのミクロ遠心チューブに5μgのポリ(A)RNAと0.5μgのオリゴdTプライマー(12−18mer)を入れ、ジエチルピロカルボネート処理滅菌水を加えて12μlにし、70℃で10分間インキュベートしたのち氷中に1分間つけた。これに200mM トリス塩酸(pH8.4),500mM KCl溶液を2μl,25mM MgCl2 を2μl,10mM dNTPを1μlおよび0.1M DTTを2μlそれぞれ加え、42℃で5分間インキュベートしたのち、200ユニットのGibcoBRL社製SuperScript II RTを1μl加え、42℃でさらに50分間インキュベートしてcDNA合成反応を行った。さらに70℃で15分間インキュベートして反応を停止し、氷上に5分間置いた。この反応液に1μlのE.coli RNaseH(2units/ml)を加え、37℃で20分間インキュベートした。
かくして、イヌ肝臓由来RNAとイヌ脾臓由来リンパ球由来RNAからそれぞれイヌ肝臓由来cDNAとイヌ脾臓由来リンパ球由来cDNAが得られた。
(2)イヌIL12p40遺伝子のクローニング
イヌIL12p40のN末端およびC末端の塩基配列(文献7)をもとに、
5´GGGGTACCATGCATCCTCAGCAGTTGGT3´(配列番号3)

5´CGTCTAGACTAACTGCAGGACACAGATG3´(配列番号4)
の2種類のプライマーをDNAシンセサイザーにて合成した。上記(1)のイヌ肝臓より得られたcDNAを0.5mlのミクロ遠心チューブに2μl添加し、各プライマーを20pmol,20mMトリス塩酸緩衝液(pH8.0)、1.5mM MgCl2 、25mM KCl,100μg/ml ゼラチン、50μMdNTP、4単位 TaqDNAポリメラーゼとなるように各試薬を加え、全量100μlとする。DNAの変性条件を94℃,1分、プライマーのアニーリング条件を55℃、2分、プライマーの伸長条件を72℃、3分の各条件でPerkin−Elmer Cetus社のDNAサーマルサイクラーを用い、35サイクル反応させた。これを1%アガロースゲルにて電気泳動し、約990bpのDNA断片を常法(文献9)に従って調製した。
このDNA断片をInvitrogen社のT−Vectorに宝酒造株式会社のDNA Ligation Kit Ver.1を用いて連結した。これを用いて常法に従い大腸菌を形質転換し、得られた形質転換体よりプラスミドDNAを常法により調製した。次にこのプラスミドにPCR断片が挿入されていることを前述と同じ条件のPCRによって確認後、蛍光DNAシーケンサー(パーキンエルマー社製DNAシーケンサー373S)を用い、その添付プロトコールに従って、パーキンエルマー社のダイターミネーターサイクルシーケンシングキットを用いて、得られたDNA断片がイヌIL12p40をコードする配列であることを確認した(配列番号5)。
(3)イヌIL12p35遺伝子のクローニング
イヌIL12p35のN末端およびC末端の塩基配列(文献7)をもとに、
5´CATGCCATGGATGTGTCCAGCGCGCAGCCT3´(配列番号6)

5´AACTGCAGCTAGGAAGAACTCAGATAGCT3´(配列番号7)
の2種類のプライマ−をDNAシンセサイザーにて合成した。上記(1)の鶏ニューカッスル病ウイルスで処理したイヌ脾臓由来リンパ球より得られたcDNAを鋳型として上記(2)と同様にして約670bpのDNA断片を得、T−Vectorに挿入し、イヌIL12p35をコードする配列であることを確認した(配列番号8)。
(4)イヌIFN-γ遺伝子のクローニング
イヌIFN-γのN末端およびC末端の塩基配列をもとに、
5´GGGGTACCATGAATTATACAAGCTATATCTTA 3´(配列番号9)

5´AACTGCCGTCTAGACTGCTCTTGCGCGGCC3´
(配列番号10)
さらにイヌIFN-γのN末端およびC末端の塩基配列をもとに、
5´CATGCCATGAATTATACAAGCTATATCTTA 3´(配列番号11)

5´AACTGCTTATTTCGATGCTCTTGCGCGGCC3´
(配列番号12)
の4種類のプライマ−をDNAシンセサイザーにて合成した。上記(1)の鶏ニューカッスル病ウイルスで処理したイヌ脾臓由来リンパ球より得られたcDNAを鋳型として上記(2)と同様にして約500bpのDNA断片を得、T−Vectorに挿入し、イヌIFN-γをコードする配列であることを確認した(配列番号13)。
(5)ヒトActivinAB遺伝子のクローニング
ヒトinhibinβA遺伝子のクローニング
ヒトinhibinβAのN末端およびC末端の塩基配列をもとに、
5´GGGGTACCATGCCCTTGCTTTGGCTGAGAGGA 3´(配列番号14)

5´CGTCTAGACCTATGAGCACCCACACTCCTCCAC3´
(配列番号15)
の2種類のプライマ−をDNAシンセサイザーにて合成した。ヒトcDNA(Stratagene社製)を鋳型として上記(2)と同様にして約1500bpのDNA断片を得、T−Vectorに挿入し、ヒトinhibinβAをコードする配列であることを確認した(配列番号16)。
ヒトinhibinβB遺伝子クローニング
ヒトinhibinβBのN末端およびC末端の塩基配列をもとに、
5´CATGCCCCTGTACGTCGTGCGGCGGCTTCC 3´(配列番号17)

5´AACTGCTCAGGCGCAGCCGCACTCCTCCAC3´
(配列番号18)
の2種類のプライマ−をDNAシンセサイザーにて合成した。ヒトcDNAを鋳型(Stratagene社製)として上記(2)と同様にして約1000bpのDNA断片を得、T−Vectorに挿入し、ヒトinhibinβBをコードする配列であることを確認した(配列番号19)。
(6)発現用遺伝子ベクターへのイヌIL12遺伝子の組込み
実施例1で調製した発現用遺伝子ベクター及びイヌIL12を構成するp40をそれぞれkpnIおよびXbaIで制限酵素処理した。次に1%アガロースゲルにより電気泳動を行い、常法により目的の遺伝子の切り出しを行った。即ち、電気泳動により分離したアガロースゲル上のDNAを、UVランプ照射して目的の遺伝子(p40またはp35遺伝子)を確認して、アガロースゲルごと切り出した。その後、geneclean kitにより余分なアガロースを除き、目的遺伝子のみを抽出した。得られた遺伝子断片をgenecleanIIkit(フナコシ社製)により抽出し、DNA ligation kit verII(宝酒造株式会社製)により16℃、30分の条件下発現用遺伝子ベクターとp40遺伝子の連結を行った。次に連結した遺伝子をXL−10 Gold コンピテントセル(Stratagene社製)に常法により形質転換を行った。得られた形質転換体から、アルカリ法によりイヌIL12p40遺伝子断片を含む発現用遺伝子ベクターDNAを調製した。次にこの遺伝子ベクターDNAをNcoIとSse8387Iで、イヌIL12p35遺伝子をNcoIとPstIで制限酵素処理し、1%アガロースゲルにより電気泳動を行い、目的の遺伝子の切り出しを行う。得られた遺伝子断片をgenecleanIIkit(フナコシ社製)により抽出し、DNA ligation kit verII(宝酒造株式会社製)により16℃、30分の条件下発現用遺伝子ベクターとp35遺伝子の連結を行った。次に連結した遺伝子をXL−10 Gold コンピテントセル(Staratagene社製)に形質転換を行った。得られた形質転換体から、アルカリ法によりイヌIL12p35およびp40遺伝子断片を含む発現用遺伝子ベクターDNAを調製した。
(7)発現用遺伝子ベクターへのイヌIFN-γ遺伝子の組込み
実施例1で調製した発現用遺伝子ベクター及びイヌIFN-γ遺伝子をkpnIおよびXbaIで制限酵素処理した。次に1%アガロースゲルにより電気泳動を行い、常法により目的の遺伝子の切り出しを行った。即ち、電気泳動により分離したアガロースゲル上のDNAを、UVランプ照射して目的の遺伝子を確認して、アガロースゲルごと切り出した。その後、geneclean kitにより余分なアガロースを除き、目的遺伝子のみを抽出した。得られた遺伝子断片をgenecleanIIkit(フナコシ社製)により抽出し、DNA ligation kit verII(宝酒造株式会社製)により16℃、30分の条件下発現用遺伝子ベクターとイヌIFN-γ遺伝子の連結を行った。次に連結した遺伝子をXL−10 Gold コンピテントセル(Stratagene社製)に常法により形質転換を行った。得られた形質転換体から、アルカリ法によりイヌIFN-γ遺伝子断片を含む発現用遺伝子ベクターDNAを調製した。次にこの遺伝子ベクターDNAをNcoIとSse8387Iで、イヌIFN-γ遺伝子をNcoIとPstIで制限酵素処理し、1%アガロースゲルにより電気泳動を行い、目的の遺伝子の切り出しを行う。得られた遺伝子断片をgenecleanIIkit(フナコシ社製)により抽出し、DNA ligation kit verII(宝酒造株式会社製)により16℃、30分の条件下発現用遺伝子ベクターとイヌIFN-γ遺伝子の連結を行った。次に連結した遺伝子をXL−10 Gold コンピテントセル(Staratagene社製)に形質転換を行った。得られた形質転換体から、アルカリ法によりイヌIFN-γ遺伝子断片を2つ含む発現用遺伝子ベクターDNAを調製した。
(8)発現用遺伝子ベクターへのヒトActivinAB遺伝子の組込み
実施例1で調製した発現用遺伝子ベクター及びヒトActivinABを構成するinhibinβAをkpnIおよびXbaIで制限酵素処理した。次に1%アガロースゲルにより電気泳動を行い、常法により目的の遺伝子の切り出しを行った。即ち、電気泳動により分離したアガロースゲル上のDNAを、UVランプ照射して目的の遺伝子(inhibinβA遺伝子)を確認して、アガロースゲルごと切り出した。その後、geneclean kitにより余分なアガロースを除き、目的遺伝子のみを抽出した。得られた遺伝子断片をgenecleanIIkit(フナコシ社製)により抽出し、DNA ligation kit verII(宝酒造株式会社製)により16℃、30分の条件下発現用遺伝子ベクターとinhibinβA遺伝子の連結を行った。次に連結した遺伝子をXL−10 Gold コンピテントセル(Stratagene社製)に常法により形質転換を行った。得られた形質転換体から、アルカリ法によりinhibinβA遺伝子断片を含む発現用遺伝子ベクターDNAを調製した。次にこの遺伝子ベクターDNAをNcoIとSse8387Iで、inhibinβB遺伝子をNcoIとPstIで制限酵素処理し、1%アガロースゲルにより電気泳動を行い、目的の遺伝子の切り出しを行う。得られた遺伝子断片をgenecleanIIkit(フナコシ社製)により抽出し、DNA ligation kit verII(宝酒造株式会社製)により16℃、30分の条件下発現用遺伝子ベクターとinhibinβB遺伝子の連結を行った。次に連結した遺伝子をXL−10 Gold コンピテントセル(Staratagene社製)に形質転換を行った。得られた形質転換体から、アルカリ法によりinhibinβAおよびinhibinβB遺伝子断片を含む発現用遺伝子ベクターDNAを調製した。
実施例3 イヌIL12を発現するカイコ組換えウイルスの調製
(1)組み換えウイルスの作製
文献8の方法で組換えウイルスを作製した。すなわち、50mM HEPESバッファー(pH7.1)、0.28M NaCl、0.7mM Na2HPO4、0.7mM NaH2PO4カらなる2.5mlの溶液に、2.5mlのDNA混合液(0.25M CaCl2、カイコ核多角体病ウイルスBmNPV T3株(文献8)のDNA10μg、実施例2で得られたカイコ発現用組換えベクター65μgを含む)を滴下し、生じた懸濁液0.5mlを5mlの10%FBSを添加したTC−10培地(文献8)中、25cm2のフラスコで平面培養した約3×105個のBmN細胞の培養基に加え、カイコ細胞にDNAを導入した。20時間後、新鮮な培地と交換し、さらに7日間培養後、培養液を回収した。その培養液を遠心して清澄化した上清を希釈して平面に培養したBmN細胞の培養基に添加して8日間培養後、顕微鏡観察によりウイルス感染が見られ、かつ多角体が形成していない培養基を選択した(限界希釈法)。
限界希釈法を7回繰り返し、組換え体ウイルスをクローニングした。ここで作製したイヌインターロイキン12をコードするDNA(配列番号:3、配列番号:4、配列番号:5、配列番号:6、配列番号:7、配列番号:8)を含む組換えウイルスをrBNVCaIL12とした。
(2)組換え体ウイルス液の調製
75cm2のフラスコ底面で、15mlの10%FBSを含むTC−10培地中で平面培養した約3×106個のBmN細胞に、前記(3)でクローニングした組換え体ウイルスを含む培養液50μlづつをBmN細胞に添加して、27℃で5日間培養後、培養液を3,000rpmで5分間遠心分離して、遠心上清を組換え体ウイルス液として得た。
実施例4 イヌIL12の製造、検出、活性測定
(1)イヌIL12の昆虫細胞での製造
実施例3で得られたウイルス液を107倍希釈し、その1mlをBmN細胞の培養基に添加して27℃で7日間培養を続けると、顕微鏡観察によって培養基のBmN細胞にそれぞれウイルス感染が認められた。
(2)イヌIL12のカイコでの製造
実施例3で得られたウイルス液を10倍希釈し、その50μLを5齢カイコに接種し、27℃で4〜5日間培養を続け、その後カイコを切開し、その体液をイヌIL12を回収した。
(3)イヌIL12の検出
上記(1)および(2)により得られた昆虫細胞およびカイコ体液中のイヌIL12をウエスタンブロッティング法によって検出した。培養上清をアトー株式会社製のパジェル中、SDS−PAGEに供した。その後、アトー株式会社製のクリアブロットメンブランに常法に従ってブロッティング後、メンブランを、抗イヌp40ポリクローナル抗体および抗イヌp35ポリクローナル抗体を含むウサギ血清を含むブロックエース(大日本製薬株式会社製)溶液に6時間反応させ、0.02%Tween20を含むPBSにて3回洗浄し、さらにペルオキシダーゼ標識ヤギ抗ウサギIgG(バイオラット株式会社製)を含むブロックエース溶液に6時間反応させ、同様に洗浄した後、コニカ株式会社製のコニカイムノステインHRP1000にて発色を行った。その結果、約40kD、約75kDおよび約85kDの3本のバンドが検出された。このうち、約75kDのバンドが、イヌp40とp35のヘテロダイマーから成るイヌIL12であり、約40kDのバンドは、イヌp40モノマー、約85kDのバンドは、イヌp40ホモダイマーである。
(4)イヌIL12の活性測定
上記(1)および(2)で生産されたイヌIL12の活性測定は以下のようにして行った。イヌリンパ球からのイヌIFNγ誘導活性検定のために、抗ウイルス活性を測定した。イヌ脾臓よりリンパ球を分離し、10%FBS−ERDFに106 cells/mlの細胞密度で懸濁し、このうち2.5mlとヒトIL2(Genzyme社製)250Uを6cmディッシュに添加した。これに上記(1)で得られた培養上清2.5mlとヒトIL2(Genzyme社)250Uを加え、5%CO2 、37℃の条件で2日間培養し、ウイルスとしてVesicular Stomatitis Virus,感受性細胞としてMDCK(ATCC CCL−34)を用い、文献10のCPE法に従ってこの培養液の抗ウイルス活性を測定した。その結果、107単位/ml以上の抗ウイルス活性が検出された。
実施例5 イヌIFN-γを発現するカイコ組換えウイルスの調製
(1)組換えウイルスの作製
文献8の方法で組換えウイルスを作製した。すなわち、50mM HEPESバッファー(pH7.1)、0.28M NaCl、0.7mM Na2HPO4、0.7mM NaH2P4カらなる2.5mlの溶液に、2.5mlのDNA混合液(0.25M CaCl2、カイコ核多角体病ウイルスBmNPV T3株(文献8)のDNA10μg、実施例2で得られたカイコ発現用組換えベクター65μgを含む)を滴下し、生じた懸濁液0.5mlを5mlの10%FBSを添加したTC−10培地(文献8)中、25cm2のフラスコで平面培養した約3×105個のBmN細胞の培養基に加え、カイコ細胞にDNAを導入した。20時間後、新鮮な培地と交換し、さらに7日間培養後、培養液を回収した。その培養液を遠心して清澄化した上清を希釈して平面に培養したBmN細胞の培養基に添加して8日間培養後、顕微鏡観察によりウイルス感染が見られ、かつ多角体が形成していない培養基を選択した(限界希釈法)。
限界希釈法を7回繰り返し、組換え体ウイルスをクローニングした。ここで作製したイヌIFN-γをコードするDNA(配列番号:9、配列番号:10、配列番号:11、配列番号:12、配列番号:13)を含む組換えウイルスをrBNVCaIFN-gとした。
(2)組換え体ウイルス液の調製
75cm2のフラスコ底面で、15mlの10%FBSを含むTC−10培地中で平面培養した約3×106個のBmN細胞に、前記(3)でクローニングした組換え体ウイルスを含む培養液50μlづつをBmN細胞に添加して、27℃で5日間培養後、培養液を3,000rpmで5分間遠心分離して、遠心上清を組換え体ウイルス液として得た。
実施例6 イヌIFN-γの製造、検出、活性測定
(1)イヌIFN-γの昆虫細胞での製造
実施例5で得られたウイルス液を107倍希釈し、その1mlをBmN細胞の培養基に添加して27℃で7日間培養を続けると、顕微鏡観察によって培養基のBmN細胞にそれぞれウイルス感染が認められた。
(2)イヌIFN-γのカイコでの製造
実施例5で得られたウイルス液を10倍希釈し、その50μLを5齢カイコに接種し、27℃で4〜5日間培養を続け、その後カイコを切開し、その体液を回収した。
(3)イヌIFN-γの検出
上記(1)および(2)により得られた昆虫細胞およびカイコ体液中のイヌIFN-γをウエスタンブロッティング法によって検出した。培養上清をアトー株式会社製のパジェル中、SDS−PAGEに供した。その後、アトー株式会社製のクリアブロットメンブランに常法に従ってブロッティング後、メンブランを、抗イヌIFN-γポリクローナル抗体を含むウサギ血清を含むブロックエース(大日本製薬株式会社製)溶液に6時間反応させ、0.02%Tween20を含むPBSにて3回洗浄し、さらにペルオキシダーゼ標識ヤギ抗ウサギIgG(バイオラット株式会社製)を含むブロックエース溶液に6時間反応させ、同様に洗浄した後、コニカ株式会社製のコニカイムノステインHRP1000にて発色を行った。その結果、約20kD、約40kDのバンドが検出された。このうち、約40kDのバンドは、イヌIFN-γホモダイマーである。
(4)イヌIFN-γの活性測定
上記(1)および(2)で生産されたイヌIFN-γの活性測定は以下のようにして行った。文献10のCPE法に従ってこの培養液の抗ウイルス活性を測定した。その結果、107単位/ml以上の抗ウイルス活性が検出された。
実施例7 ヒトActivinABを発現するカイコ組換えウイルスの調製
(1)組換えウイルスの作製
文献8の方法で組換えウイルスを作製した。すなわち、50mM HEPESバッファー(pH7.1)、0.28M NaCl、0.7mM Na2HPO4、0.7mM NaH2P4カらなる2.5mlの溶液に、2.5mlのDNA混合液(0.25M CaCl2、カイコ核多角体病ウイルスBmNPV T3株(文献8)のDNA10μg、実施例2で得られたカイコ発現用組換えベクター65μgを含む)を滴下し、生じた懸濁液0.5mlを5mlの10%FBSを添加したTC−10培地(文献8)中、25cm2のフラスコで平面培養した約3×105個のBmN細胞の培養基に加え、カイコ細胞にDNAを導入した。20時間後、新鮮な培地と交換し、さらに7日間培養後、培養液を回収した。その培養液を遠心して清澄化した上清を希釈して平面に培養したBmN細胞の培養基に添加して8日間培養後、顕微鏡観察によりウイルス感染が見られ、かつ多角体が形成していない培養基を選択した(限界希釈法)。
限界希釈法を7回繰り返し、組換え体ウイルスをクローニングした。ここで作製したヒトActivinABをコードするDNA(配列番号:14、配列番号:15、配列番号:16、配列番号:17、配列番号:18、配列番号:19)を含む組換えウイルスをrBNVhuActとした。
(2)組換え体ウイルス液の調製
75cm2のフラスコ底面で、15mlの10%FBSを含むTC−10培地中で平面培養した約3×106個のBmN細胞に、前記(3)でクローニングした組換え体ウイルスを含む培養液50μlづつをBmN細胞に添加して、27℃で5日間培養後、培養液を3,000rpmで5分間遠心分離して、遠心上清を組換え体ウイルス液として得た。
実施例8 ヒトActivinABの製造、検出、活性測定
(1)ヒトActivinABの製造
実施例7で得られたウイルス液を10倍希釈し、その50μLを5齢カイコに接種し、27℃で4〜5日間培養を続け、その後カイコを切開し、その体液中に分泌されるヒトActivinABを回収する。
(2)ヒトActivinABの検出
上記により得られた昆虫細胞の培養上清中のヒトActivinABをウエスタンブロッティング法によって検出した。培養上清をアトー株式会社製のパジェル中、SDS−PAGEに供した。その後、アトー株式会社製のクリアブロットメンブランに常法に従ってブロッティング後、メンブランを、抗ヒトActivinポリクローナル抗体を含むウサギ血清を含むブロックエース(大日本製薬株式会社製)溶液に6時間反応させ、0.02%Tween20を含むPBSにて3回洗浄し、さらにペルオキシダーゼ標識ヤギ抗ウサギIgG(バイオラット株式会社製)を含むブロックエース溶液に6時間反応させ、同様に洗浄した後、コニカ株式会社製のコニカイムノステインHRP1000にて発色を行った。その結果、約50kD、約90kD2本のバンドが検出された。このうち、約90kDのバンドが、ヒトinhibinβAおよびinhibinβBのヘテロダイマーから成るヒトActivinABであり、約50kDのバンドは、ヒトinhibinβAまたはinhibinβBモノマーある。
(3)ヒトActivinの活性測定
上記(2)で生産されたヒトアクチビンの活性測定は以下のようにして行った。すなわちアクチビンによるK562細胞のヘモグロビン放出により行った。(文献11)
96穴プレートにK562細胞(2×105cells/mL)を10%FBSを含むRPMI-1640培地により、(3)で得られたアクチビンを含む培養上清非存在下または存在下、4日間培養を行う。次に細胞をPBSにより2回Washし、滅菌した水50μLに懸濁し、遠心操作により上清画分40μLを得る。得られた上清に0.5mg/mL O-phenylenediamine と0.03%過酸化水素を含むクエン酸緩衝液200μLを加え、暗下15分処理した。その後2.5M硫酸を50μL加え、490nmの吸光度の測定を行った。その結果、ヒトアクチビン存在下の方の実施サンプルは、非存在下の方のコントロールサンプル(cont)に比べて有意にヘモグロビンの誘導を行った。
〈参考文献〉
1.Maedaら:Proc.Japan.Acad.Ser、B60、423 (1984)
2.Tomitaら:Cytotechnology、17、65(1995)
3.Chirgwinら:Biochemistry、18、5294(1979).
4.Bergerら:Biochemistry,18,5143(1979).
5.Gublerら:Geen.25,236-269(1983).
6.Okayamaら:Mol.Cell.Biol.,2,161,(1982) &3,280,(1983).
7.Okanoら:J.Interferon & Cytokine Res.,17,713-718(1997).
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10.F.L.Grabamラ:Virology 54,536(1973).
11.Jennieら:Endcrinology.1993.132.2732-34
ポリヘドリンプロモーターを有するpBK blueベクターの下流に昆虫由来p10プロモーターを導入した外来タンパク質の発現用遺伝子ベクターを新規に構築した。
本発現用遺伝子ベクターに、2種の外来タンパク質発現遺伝子を同時に組込む事を可能にし、もって宿主を昆虫やカイコとしたとき同時に異なる2種のタンパク質発現させることを可能にした。また、2種の遺伝子(p35およびp40)からなるイヌインターロイキン12発現用遺伝子ベクターの構築を可能にし、カイコでのイヌインターロイキン12の発現を可能にした。また、ホモダイマーを形成することにより活性を発揮するイヌIFN-γ、2種のタンパク質のヘテロダイマーを形成することにより活性を発揮するヒトアクチビンについてもイヌIL12同様に発現用ベクターを構築し、カイコでの発現を可能にした。

Claims (7)

  1. 少なくとも2つのプロモーターを有する昆虫発現用遺伝子ベクター。
  2. 少なくともポリヘドリンプロモーターおよびp10プロモーターを有する昆虫発現用遺伝子ベクター。
  3. 少なくとも2種の外来タンパク質発現遺伝子を同時に含むことを特徴とする請求項1又は2に記載の昆虫発現用遺伝子ベクター。
  4. 配列番号5および配列番号8で示される塩基配列を含むイヌインターロイキン12発現用遺伝子ベクターであることを特徴とする請求項2に記載の昆虫発現用遺伝子ベクター。
  5. 請求項1〜4のいずれかに記載の昆虫遺伝子発現ベクターにより作製された遺伝子組換えバキュロウイルスを用いて遺伝子産物を生産することを特徴とする遺伝子産物製造法。
  6. 遺伝子組換えバキュロウイルスが組換えカイコ核多角体病ウイルスであることを特徴とする請求項5記載の遺伝子産物製造法。
  7. 遺伝子組換えしたバキュロウイルスをカイコ樹立細胞中またはカイコ生体中で増殖させることを特徴とする請求項5または6記載の遺伝子産物製造法。
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