JP3000136B2 - 昆虫細胞への外来遺伝子導入用ベクター - Google Patents
昆虫細胞への外来遺伝子導入用ベクターInfo
- Publication number
- JP3000136B2 JP3000136B2 JP8235290A JP23529096A JP3000136B2 JP 3000136 B2 JP3000136 B2 JP 3000136B2 JP 8235290 A JP8235290 A JP 8235290A JP 23529096 A JP23529096 A JP 23529096A JP 3000136 B2 JP3000136 B2 JP 3000136B2
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- gene
- insect cells
- insect
- cells
- vector
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Expired - Lifetime
Links
Landscapes
- Preparation Of Compounds By Using Micro-Organisms (AREA)
- Micro-Organisms Or Cultivation Processes Thereof (AREA)
- Saccharide Compounds (AREA)
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は所望のタンパク質を
コードする遺伝子を昆虫細胞に導入し、細胞中にてその
遺伝子を発現させて、所望のタンパク質を生産させるの
に有用な、昆虫細胞への外来遺伝子導入用ベクターに関
する。
コードする遺伝子を昆虫細胞に導入し、細胞中にてその
遺伝子を発現させて、所望のタンパク質を生産させるの
に有用な、昆虫細胞への外来遺伝子導入用ベクターに関
する。
【0002】
【従来の技術】従来より、昆虫(カイコ)の培養細胞あ
るいは個体を宿主とした外来遺伝子タンパク質の発現に
は、これに感染するバキュロウイルスがベクターとして
用いられている。バキュロウイルスを用いた遺伝子発現
はウイルスを利用するため遺伝子発現は一時的であり、
昆虫の幼虫および細胞系は感染の後死滅する。そのため
遺伝子発現の都度、昆虫の飼育および細胞の培養を行
い、組み換えウイルスを接種しなければならない。そこ
で、目的とする外来遺伝子を導入した連続継代性細胞系
を作出することによって新たに有用生物を作りだし、生
物資源として開発することが試みられるようになってき
た。昆虫細胞においてもこれまで細胞融合、エレクトロ
ポレーション等の方法により外来遺伝子を細胞に偶然に
取り込ませて形質転換細胞ができた報告がある。しかし
ながら、これらの例では細胞の継代に伴って導入された
遺伝子が排除されることがしばしばある。従って、目的
とする遺伝子を昆虫細胞に確実に導入でき、かつ連続継
代的に蛋白質を産生できる形質転換細胞系を樹立するこ
とが望まれるところである。
るいは個体を宿主とした外来遺伝子タンパク質の発現に
は、これに感染するバキュロウイルスがベクターとして
用いられている。バキュロウイルスを用いた遺伝子発現
はウイルスを利用するため遺伝子発現は一時的であり、
昆虫の幼虫および細胞系は感染の後死滅する。そのため
遺伝子発現の都度、昆虫の飼育および細胞の培養を行
い、組み換えウイルスを接種しなければならない。そこ
で、目的とする外来遺伝子を導入した連続継代性細胞系
を作出することによって新たに有用生物を作りだし、生
物資源として開発することが試みられるようになってき
た。昆虫細胞においてもこれまで細胞融合、エレクトロ
ポレーション等の方法により外来遺伝子を細胞に偶然に
取り込ませて形質転換細胞ができた報告がある。しかし
ながら、これらの例では細胞の継代に伴って導入された
遺伝子が排除されることがしばしばある。従って、目的
とする遺伝子を昆虫細胞に確実に導入でき、かつ連続継
代的に蛋白質を産生できる形質転換細胞系を樹立するこ
とが望まれるところである。
【0003】一方、FLP酵素は部位特異的な組換え酵
素の一種であり、該酵素をコードする遺伝子を組み込ん
だプラスミドであるpOG44が知られている [Strata
ge Co. Ltd. 製 ; Stephen O'Gorman, Daniel T. Fox,
Geoffrey M. Wahl, Sience 25, p.1351-1355 (1991)]。
素の一種であり、該酵素をコードする遺伝子を組み込ん
だプラスミドであるpOG44が知られている [Strata
ge Co. Ltd. 製 ; Stephen O'Gorman, Daniel T. Fox,
Geoffrey M. Wahl, Sience 25, p.1351-1355 (1991)]。
【0004】このFLP酵素とその特異的認識部位であ
るFRTを利用し、ゲノムDNA中にFRT部位を保持
するよう作出した細胞へ所望する遺伝子を導入するベク
ター系(FLP−FRTベクター系)が開発され、すで
にβ−ガラクトシダーゼの発現が哺乳類動物細胞及び双
翅目昆虫で確認されている [Stephen O'Gorman, Daniel
T. Fox, Geoffrey M. Wahl, Sience 25, p.1351-1355
(1991) ; Golic, K.G.and Lindquist, S., Cell 59, p.
498-509 (1989)]。
るFRTを利用し、ゲノムDNA中にFRT部位を保持
するよう作出した細胞へ所望する遺伝子を導入するベク
ター系(FLP−FRTベクター系)が開発され、すで
にβ−ガラクトシダーゼの発現が哺乳類動物細胞及び双
翅目昆虫で確認されている [Stephen O'Gorman, Daniel
T. Fox, Geoffrey M. Wahl, Sience 25, p.1351-1355
(1991) ; Golic, K.G.and Lindquist, S., Cell 59, p.
498-509 (1989)]。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明の課題は、昆虫
細胞中において、適宜の外来遺伝子を安定に発現させ
て、所望の生理活性を有するタンパク質を生産するのに
有用な新規な外来遺伝子導入用ベクターを提供すること
にある。
細胞中において、適宜の外来遺伝子を安定に発現させ
て、所望の生理活性を有するタンパク質を生産するのに
有用な新規な外来遺伝子導入用ベクターを提供すること
にある。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者らは上記課題を
解決すべく鋭意研究を重ねた結果、FLP酵素の特異的
認識部位であるFRTを含むベクターが、昆虫細胞への
外来遺伝子の導入にも利用できることを見出し、本発明
を完成するに到った。
解決すべく鋭意研究を重ねた結果、FLP酵素の特異的
認識部位であるFRTを含むベクターが、昆虫細胞への
外来遺伝子の導入にも利用できることを見出し、本発明
を完成するに到った。
【0007】すなわち、本発明は、昆虫細胞で機能しう
るプロモーターの下流に、FLP酵素の特異的認識部位
であるFRT領域を両端に持つマーカー遺伝子、および
リポーター遺伝子を連結させてなるDNA断片を含む、
昆虫培養細胞への外来遺伝子導入用ベクターである。本
発明はまた、上記のベクターにより形質転換した昆虫細
胞である。以下、本発明を詳細に説明する。
るプロモーターの下流に、FLP酵素の特異的認識部位
であるFRT領域を両端に持つマーカー遺伝子、および
リポーター遺伝子を連結させてなるDNA断片を含む、
昆虫培養細胞への外来遺伝子導入用ベクターである。本
発明はまた、上記のベクターにより形質転換した昆虫細
胞である。以下、本発明を詳細に説明する。
【0008】
(1)外来遺伝子導入用ベクター (phsNEOβGa
l)の構築 本発明の外来遺伝子導入用ベクターの構築に使用し得る
ベクターとしては、例えばpBluescript II KS+、pUC8、
pUC9、pUC18 、pUC19 、pUC118、pUC119、pBR322、pGEM
2 、pGEM3zf 等が挙げられる。上記ベクターには、形質
転換体選択のためのマーカー遺伝子として、例えばネオ
マイシン耐性遺伝子、ハイグロマイシン耐性遺伝子等を
使用する。
l)の構築 本発明の外来遺伝子導入用ベクターの構築に使用し得る
ベクターとしては、例えばpBluescript II KS+、pUC8、
pUC9、pUC18 、pUC19 、pUC118、pUC119、pBR322、pGEM
2 、pGEM3zf 等が挙げられる。上記ベクターには、形質
転換体選択のためのマーカー遺伝子として、例えばネオ
マイシン耐性遺伝子、ハイグロマイシン耐性遺伝子等を
使用する。
【0009】プロモーターとしては、昆虫細胞で外来遺
伝子を発現するよう機能しうるものであれば限定されな
いが、例えばショウジョバエ熱ショックタンパク質、多
角体タンパク質、ウイルス感染初期発現タンパク質(I
E−1)等を、またターミネーターとしては、例えばS
V40ポリAを使用する。
伝子を発現するよう機能しうるものであれば限定されな
いが、例えばショウジョバエ熱ショックタンパク質、多
角体タンパク質、ウイルス感染初期発現タンパク質(I
E−1)等を、またターミネーターとしては、例えばS
V40ポリAを使用する。
【0010】本発明にいうリポーター遺伝子とは、プロ
モーターの作用により遺伝子が発現し、その結果、発現
した遺伝子産物が容易にかつ明瞭に判断できる機能を有
するものをいい、具体的には、β−ガラクトシダーゼ遺
伝子、ルシフェラーゼ遺伝子、gfp遺伝子等が用いら
れる。
モーターの作用により遺伝子が発現し、その結果、発現
した遺伝子産物が容易にかつ明瞭に判断できる機能を有
するものをいい、具体的には、β−ガラクトシダーゼ遺
伝子、ルシフェラーゼ遺伝子、gfp遺伝子等が用いら
れる。
【0011】本発明においては、マーカー遺伝子となる
ネオマイシン耐性遺伝子を含むDNA断片であるネオマ
イシンレジスタンスカセットを用い、この両端に、FL
P酵素の特異的認識部位であるFRT(=FLP recombinat
ion target) を配置する。
ネオマイシン耐性遺伝子を含むDNA断片であるネオマ
イシンレジスタンスカセットを用い、この両端に、FL
P酵素の特異的認識部位であるFRT(=FLP recombinat
ion target) を配置する。
【0012】FRTをコードする遺伝子は、pFRTβGAL
(STRATAGE、protocol、SEQUENCE AND SITES, Catalog
♯218403, May 28, 1991) に開示される2087- 2147の塩
基配列の情報に基づき、慣用されている核酸合成の手法
により合成することができる。
(STRATAGE、protocol、SEQUENCE AND SITES, Catalog
♯218403, May 28, 1991) に開示される2087- 2147の塩
基配列の情報に基づき、慣用されている核酸合成の手法
により合成することができる。
【0013】(2)外来遺伝子導入用ベクターの昆虫細
胞への導入 次に、上記で作成した外来遺伝子導入用ベクターを昆虫
細胞に導入し、形質転換する。形質転換を行うには、リ
ポフェクチン法、リン酸カルシウム法、エレクトロポレ
ーション法等の当業界において慣用されている手法を用
いることができる。
胞への導入 次に、上記で作成した外来遺伝子導入用ベクターを昆虫
細胞に導入し、形質転換する。形質転換を行うには、リ
ポフェクチン法、リン酸カルシウム法、エレクトロポレ
ーション法等の当業界において慣用されている手法を用
いることができる。
【0014】本ベクターで形質転換する昆虫細胞として
は、鱗翅目に属する昆虫、具体的には、カイコ、ヨトウ
ガ、シンジュサン、テンサン等の培養細胞が例示され
る。FRTが適切に組み込まれた形質転換細胞は、選択
マーカーを指標に、例えばネオマイシンを添加したシー
プラークアガロースの表面で培養し、コロニーが形成し
てくるものをクローニングすることによって取得する。
は、鱗翅目に属する昆虫、具体的には、カイコ、ヨトウ
ガ、シンジュサン、テンサン等の培養細胞が例示され
る。FRTが適切に組み込まれた形質転換細胞は、選択
マーカーを指標に、例えばネオマイシンを添加したシー
プラークアガロースの表面で培養し、コロニーが形成し
てくるものをクローニングすることによって取得する。
【0015】FLP酵素が形質転換細胞の染色体DNA
中のFRTを認識し、その間で組み換えを行うことは、
FRTを両端に付けた選択マーカー遺伝子を挿入するこ
とによって不活性化されていたレポーター遺伝子の発現
が同細胞内で発現させたFLP酵素により開始されるこ
とにより確認することができる。
中のFRTを認識し、その間で組み換えを行うことは、
FRTを両端に付けた選択マーカー遺伝子を挿入するこ
とによって不活性化されていたレポーター遺伝子の発現
が同細胞内で発現させたFLP酵素により開始されるこ
とにより確認することができる。
【0016】具体的には、別途作成したFLP酵素遺伝
子発現用ベクター(phsFLP) を上記の形質転換細胞に導
入し、発現させたFLP酵素の作用によりネオマイシン
レジスタンスカセットが切り出され、レポーター遺伝子
として連結していたβ−ガラクトシダーゼを発現させ、
これが基質X-gal の添加によって発色することにより確
認する。
子発現用ベクター(phsFLP) を上記の形質転換細胞に導
入し、発現させたFLP酵素の作用によりネオマイシン
レジスタンスカセットが切り出され、レポーター遺伝子
として連結していたβ−ガラクトシダーゼを発現させ、
これが基質X-gal の添加によって発色することにより確
認する。
【0017】(3)樹立された形質転換細胞を用いたタ
ンパク質の生産 (2)で樹立された形質転換細胞は、そのゲノム中のF
RT部位に外来遺伝子を挿入できる特徴を有する。すな
わち、形質転換細胞は、ベクターの導入によって細胞の
ゲノムDNA中に保持されたFRT部位が、FLP酵素
の作用により開裂してその部分に外来遺伝子が導入さ
れ、該遺伝子を発現することができる。
ンパク質の生産 (2)で樹立された形質転換細胞は、そのゲノム中のF
RT部位に外来遺伝子を挿入できる特徴を有する。すな
わち、形質転換細胞は、ベクターの導入によって細胞の
ゲノムDNA中に保持されたFRT部位が、FLP酵素
の作用により開裂してその部分に外来遺伝子が導入さ
れ、該遺伝子を発現することができる。
【0018】外来遺伝子の導入は、具体的には、樹立細
胞にFLP酵素遺伝子の発現ベクターとFRT配列を上
流に1個有する外来遺伝子DNAとを形質転換する共形
質転換法により行うことができる。発現され得るタンパ
ク質としては、医薬、農薬、診断薬の分野で有用な、例
えば各種の酵素、細胞増殖因子、ホルモン、抗癌性ポリ
ペプチド、免疫調節性ポリペプチド、抗ウイルス性ポリ
ペプチド、ウイルス抗原、抗体ワクチン、昆虫ウイルス
感染増殖因子等が例示される。
胞にFLP酵素遺伝子の発現ベクターとFRT配列を上
流に1個有する外来遺伝子DNAとを形質転換する共形
質転換法により行うことができる。発現され得るタンパ
ク質としては、医薬、農薬、診断薬の分野で有用な、例
えば各種の酵素、細胞増殖因子、ホルモン、抗癌性ポリ
ペプチド、免疫調節性ポリペプチド、抗ウイルス性ポリ
ペプチド、ウイルス抗原、抗体ワクチン、昆虫ウイルス
感染増殖因子等が例示される。
【0019】
【実施例】以下、実施例により本発明を更に具体的に説
明するが、本発明の範囲はこれらの実施例に限定される
ものではない。 〔実施例1〕 外来遺伝子導入用ベクター(phsNe
oβGal:図1)の構築 Stratagene 社(North Torrey Pines Road, La Jolla, C
A 92037) から発売されているプラスミドベクターであ
るpNEOβGAL(STRATAGE、protocol、Catalog ♯
218404) のSV40(シミアンウイルス40)初期プロ
モーターを、昆虫のショウジョウバエ由来のHSP70
プロモーターに置き換えた。すなわち、pNEOβGA
Lから配列番号1に記載のFRTをコードする61bpの塩
基配列(pFRTβGAL; STRATAGE 、protocol、SEQUENCE A
ND SITES, Catalog ♯218403, May 28, 1991に記載の20
87- 2147の塩基配列に相当)に挟まれたネオマイシンレ
ジスタントカセット(1,242bp) をHindIII 制限酵素で切
り出し、これを既に構築されているHSP70プロモー
ター、β−ガラクトシダーゼ、およびpolyA終止配
列の塩基配列を持つプラスミドphs(F)βGALの
プロモーター下流に挿入し、T4リガーゼで結合させて
目的とする合計8,657bp からなるphsNeoβGal
を得た(図2)。
明するが、本発明の範囲はこれらの実施例に限定される
ものではない。 〔実施例1〕 外来遺伝子導入用ベクター(phsNe
oβGal:図1)の構築 Stratagene 社(North Torrey Pines Road, La Jolla, C
A 92037) から発売されているプラスミドベクターであ
るpNEOβGAL(STRATAGE、protocol、Catalog ♯
218404) のSV40(シミアンウイルス40)初期プロ
モーターを、昆虫のショウジョウバエ由来のHSP70
プロモーターに置き換えた。すなわち、pNEOβGA
Lから配列番号1に記載のFRTをコードする61bpの塩
基配列(pFRTβGAL; STRATAGE 、protocol、SEQUENCE A
ND SITES, Catalog ♯218403, May 28, 1991に記載の20
87- 2147の塩基配列に相当)に挟まれたネオマイシンレ
ジスタントカセット(1,242bp) をHindIII 制限酵素で切
り出し、これを既に構築されているHSP70プロモー
ター、β−ガラクトシダーゼ、およびpolyA終止配
列の塩基配列を持つプラスミドphs(F)βGALの
プロモーター下流に挿入し、T4リガーゼで結合させて
目的とする合計8,657bp からなるphsNeoβGal
を得た(図2)。
【0020】〔実施例2〕 FRTが組み込まれた形質
転換細胞の確認 培地1ml 当たり1 ×106 個のSf9細胞 [Spodoptera f
rugipeda (ツマジロウサヨトウ) の蛹の卵巣由来の細胞
株IPLB-Sf21AEII からのクローン細胞株] を6穴プレー
トにまき、36時間培養した。1μl 当たり0.3 μgの実
施例1で構築したphsNeoβGalDNAと8μl
のリポフェクチンを混合後、15〜20分間室温に置いた。
培養細胞は牛胎児血清を含まない培地で細胞を洗浄後、
DNA混合液を加え、4時間培養した。混合液の除去
後、細胞は1ml当たり400 から500 μl のネオマイシ
ン(G418)が入った24穴プレートの培地にまき、ネ
オマイシン耐性遺伝子の発現によるスクリーニングを行
った。スクリーニングにあたっては、同時に細胞のクロ
ーニング効率をあげるために培地中に0.75% のシープラ
ークアガロースを24穴プレートの各穴に充填しておい
た。ネオマイシン存在下にあって、コロニー形成により
クローニングし、最終的に合計23株のクローンを樹立
した。各クローン細胞株から得たDNAについてネオマ
イシンレジスタンスカセットを増幅するプライマーセッ
トを用いてPCRを行い、クローン細胞株4個 (レーン
No. 3, 4, 5 及び11) についてネオマイシンレジスタン
スカセットがクローン細胞株に導入されていることが確
認された(図3)。
転換細胞の確認 培地1ml 当たり1 ×106 個のSf9細胞 [Spodoptera f
rugipeda (ツマジロウサヨトウ) の蛹の卵巣由来の細胞
株IPLB-Sf21AEII からのクローン細胞株] を6穴プレー
トにまき、36時間培養した。1μl 当たり0.3 μgの実
施例1で構築したphsNeoβGalDNAと8μl
のリポフェクチンを混合後、15〜20分間室温に置いた。
培養細胞は牛胎児血清を含まない培地で細胞を洗浄後、
DNA混合液を加え、4時間培養した。混合液の除去
後、細胞は1ml当たり400 から500 μl のネオマイシ
ン(G418)が入った24穴プレートの培地にまき、ネ
オマイシン耐性遺伝子の発現によるスクリーニングを行
った。スクリーニングにあたっては、同時に細胞のクロ
ーニング効率をあげるために培地中に0.75% のシープラ
ークアガロースを24穴プレートの各穴に充填しておい
た。ネオマイシン存在下にあって、コロニー形成により
クローニングし、最終的に合計23株のクローンを樹立
した。各クローン細胞株から得たDNAについてネオマ
イシンレジスタンスカセットを増幅するプライマーセッ
トを用いてPCRを行い、クローン細胞株4個 (レーン
No. 3, 4, 5 及び11) についてネオマイシンレジスタン
スカセットがクローン細胞株に導入されていることが確
認された(図3)。
【0021】〔実施例3〕 FLP酵素発現用ベクター
(phsFLP:図4)の構築 Stratagene社から発売されているプラスミドベクターで
あるpOG44のCMV(サイトメガロウイルス)初期
プロモーターを、昆虫のショウジョウバエ由来のHSP
70プロモーターに置き換えた。すなわち、pOG44
からFLPをコードする 1272 bpの塩基配列をPCRで
増幅したのち、これを既に構築されているHPS70プ
ロモーター、β−ガラクトシダーゼ、およびSV40pol
yA終止配列の塩基配列を持つpBluescriptIIKS+プラス
ミドphsSV のプロモーター下流に挿入し、T4リガーゼ
で結合させて目的とするphsFLPを得た(図5)。
(phsFLP:図4)の構築 Stratagene社から発売されているプラスミドベクターで
あるpOG44のCMV(サイトメガロウイルス)初期
プロモーターを、昆虫のショウジョウバエ由来のHSP
70プロモーターに置き換えた。すなわち、pOG44
からFLPをコードする 1272 bpの塩基配列をPCRで
増幅したのち、これを既に構築されているHPS70プ
ロモーター、β−ガラクトシダーゼ、およびSV40pol
yA終止配列の塩基配列を持つpBluescriptIIKS+プラス
ミドphsSV のプロモーター下流に挿入し、T4リガーゼ
で結合させて目的とするphsFLPを得た(図5)。
【0022】
【発明の効果】本発明の外来遺伝子導入用ベクターで形
質転換した昆虫細胞は、所望する有用なタンパク質の永
続的な発現系として利用できる。これにより昆虫由来の
遺伝子産物の機能解析が可能となり、また各種の遺伝子
の発現によって、特に医薬分野などの幅広い利用が可能
となる。また、かかる昆虫培養細胞における外来遺伝子
導入系は、昆虫個体への外来遺伝子導入モデルとなり、
遺伝子組み換え昆虫の作出系の樹立への応用も期待され
る。
質転換した昆虫細胞は、所望する有用なタンパク質の永
続的な発現系として利用できる。これにより昆虫由来の
遺伝子産物の機能解析が可能となり、また各種の遺伝子
の発現によって、特に医薬分野などの幅広い利用が可能
となる。また、かかる昆虫培養細胞における外来遺伝子
導入系は、昆虫個体への外来遺伝子導入モデルとなり、
遺伝子組み換え昆虫の作出系の樹立への応用も期待され
る。
【0023】
配列番号:1 配列の長さ:61bp 配列の型:核酸 鎖の数:二本鎖 トポロジー:直鎖状 配列 GGGC TACCATGGAG AAGTTCCTAT TCCGAAGTTC CTATTCTCTA GAAAGTATAG GAACTTC 61
【0024】配列番号:2 配列の長さ:1272bp 配列の型:核酸 鎖の数:二本鎖 トポロジー:直鎖状 配列 ATGCCACAAT TTGGTATATT ATGTAAAACA CCACCTAAGG TGCTTGTTCG TCAGTTTGTG 60 GAAAGGTTTG AAAGACCTTC AGGTGAGAAA ATAGCATTAT GTGCTGCTGA ACTAACCTAT 120 TTATGTTGGA TGATTACACA TAACGGAACA GCAATCAAGA GAGCCACATT CATGAGCTAT 180 AATACTATCA TAAGCAATTC GCTGAGTTTC GATATTGTCA ACAAGTCACT GCAGTTTAAA 240 TACAAGACGC AAAAAGCAAC AATTCTGGAA GCCTCATTAA AGAAATTGAT TCCTGCTTGG 300 GAATTTACAA TTATTCCTTA CTATGGACAA AAACATCAAT CTGATATCAC TGATATTGTA 360 AGTAGTTTGC AATTACAGTT CGAATCATCG GAAGAAGCAG ATAAGGGAAA TAGCCACAGT 420 AAAAAAATGC TTAAAGCACT TCTAAGTGAG GGTGAAAGCA TCTGGGAGAT CACTGAGAAA 480 ATACTAAATT CGTTTGAGTA TACTTCGAGA TTTACAAAAA CAAAAACTTT ATACCAATTC 540 CTCTTCCTAG CTACTTTCAT CAATTGTGGA AGATTCAGCG ATATTAAGAA CGTTGATCCG 600 AAATCATTTA AATTAGTCCA AAATAAGTAT CTGGGAGTAA TAATCCAGTG TTTAGTGACA 660 GAGACAAAGA CAAGCGTTAG TAGGCACATA TACTTCTTTA GCGCAAGGGG TAGGATCGAT 720 CCACTTGTAT ATTTGGATGA ATTTTTGAGG AATTCTGAAC CAGTCCTAAA ACGAGTAAAT 780 AGGACCGGCA ATTCTTCAAG CAACAAGCAG GAATACCAAT TATTAAAAGA TAACTTAGTC 840 AGATCGTACA ACAAAGCTTT GAAGAAAAAT GCGCCTTATT CAATCTTTGC TATAAAAAAT 900 GGCCCAAAAT CTCACATTGG AAGACATTTG ATGACCTCAT TTCTTTCAAT GAAGGGCCTA 960 ACGGAGTTGA CTAATGTTGT GGGAAATTGG AGCGATAAGC GTGCTTCTGC CGTGGCCAGG 1020 ACAACGTATA CTCATCAGAT AACAGCAATA CCTGATCACT ACTTCGCACT AGTTTCTCGG 1080 TACTATGCAT ATGATCCAAT ATCAAAGGAA ATGATAGCAT TGAAGGATGA GACTAATCCA 1140 ATTGAGGAGT GGCAGCATAT AGAACAGCTA AAGGGTAGTG CTGAAGGAAG CATACGATAC 1200 CCCGCATGGA ATGGGATAAT ATCACAGGAG GTACTAGACT ACCTTTCATC CTACATAAAT 1260 AGACGCATAT AA 1272
【図1】phsNeoβGalの構造を示す。
【図2】phsNeoβGalの構築手順を示す。
【図3】ネオマイシンレジスタンスカセットをプライマ
ーとしたPCRによって増幅された各クローン細胞系の
DNAの電気泳動写真を示す。
ーとしたPCRによって増幅された各クローン細胞系の
DNAの電気泳動写真を示す。
【図4】phsFLPの構造を示す。
【図5】phsFLPの構築手順を示す。
フロントページの続き (56)参考文献 Science,Vol.251(1991) p.1351−1355 Genetics,Vol.137[2 ](1994)p.551−563 Development,Vol. 121[9](1995)p.2923−2936 Nucleic Acids Re s.,Vol.19[21](1991)p. 5895−5900 (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C12N 15/85 - 15/86 C12N 5/10 BIOSIS(DIALOG) JICSTファイル(JOIS) WPI(DIALOG)
Claims (3)
- 【請求項1】 昆虫細胞で機能しうるプロモーターの下
流に、FLP酵素の特異的認識部位であるFRT(=Flp
Recombination Target) 領域を両端に持つマーカー遺伝
子、およびリポーター遺伝子を連結させてなるDNA断
片を含むことを特徴とする、鱗翅目に属する昆虫細胞へ
の外来遺伝子導入用ベクター。 - 【請求項2】 鱗翅目に属する昆虫が、カイコ、ヨトウ
ガ、シンジュサン、およびテンサンより成る群から選ば
れる、請求項1に記載の外来遺伝子導入用ベクター。 - 【請求項3】 請求項1に記載のベクターにより形質転
換した鱗翅目に属する昆虫細胞。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP8235290A JP3000136B2 (ja) | 1996-09-05 | 1996-09-05 | 昆虫細胞への外来遺伝子導入用ベクター |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP8235290A JP3000136B2 (ja) | 1996-09-05 | 1996-09-05 | 昆虫細胞への外来遺伝子導入用ベクター |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH1075790A JPH1075790A (ja) | 1998-03-24 |
JP3000136B2 true JP3000136B2 (ja) | 2000-01-17 |
Family
ID=16983927
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP8235290A Expired - Lifetime JP3000136B2 (ja) | 1996-09-05 | 1996-09-05 | 昆虫細胞への外来遺伝子導入用ベクター |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP3000136B2 (ja) |
-
1996
- 1996-09-05 JP JP8235290A patent/JP3000136B2/ja not_active Expired - Lifetime
Non-Patent Citations (4)
Title |
---|
Development,Vol.121[9](1995)p.2923−2936 |
Genetics,Vol.137[2](1994)p.551−563 |
Nucleic Acids Res.,Vol.19[21](1991)p.5895−5900 |
Science,Vol.251(1991)p.1351−1355 |
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JPH1075790A (ja) | 1998-03-24 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
US4745051A (en) | Method for producing a recombinant baculovirus expression vector | |
US6225060B1 (en) | Baculovirus expression system and method for high throughput expression of genetic material | |
US6090584A (en) | Baculovirus artificial chromosomes and methods of use | |
EP0155476A1 (en) | Production of polypeptides in insect cells | |
JPS6037988A (ja) | 組換えバキユロウイルス発現ベクターの製法 | |
CN111218477B (zh) | 靶向感染哺乳动物细胞的禽4型腺病毒载体及其应用 | |
CN114085841B (zh) | 一种cho细胞基因nw_003614092.1内稳定表达蛋白质的位点及其应用 | |
JP4655388B2 (ja) | タンパク質の生産方法 | |
EP0445227A1 (en) | Position-specific insertion vectors and method of using same | |
JP2004501601A5 (ja) | ||
KR950001993B1 (ko) | B형 간염 표면항원의 제조방법 | |
JP2003501082A (ja) | ハイブリッド酵母−細菌クローニング系およびその使用 | |
CN114317606A (zh) | 靶向人nk细胞的腺病毒载体及其应用 | |
US20220251600A1 (en) | Recombinant transfer vectors for protein expression in insect and mammalian cells | |
JP3000136B2 (ja) | 昆虫細胞への外来遺伝子導入用ベクター | |
KR20040095280A (ko) | 조작된 바쿨로바이러스 및 그것의 용도 | |
US5863730A (en) | Procedure for the polymerization of nucleic acid sequences and its applications | |
CA1324097C (en) | Inducible heat shock and amplification system | |
CN109402096A (zh) | 一种aid酶突变体及其应用 | |
KR100674330B1 (ko) | 접촉 침윤력을 갖는 rna바이러스 벡터 | |
KR102590276B1 (ko) | 조직 특이적 발현을 위한 융합 프로모터 및 이의 용도 | |
Condreay et al. | Virus-based vectors for gene expression in mammalian cells: baculovirus | |
CN115948469A (zh) | 一种提高家蚕细胞表达外源蛋白分泌率的方法 | |
CN117448363A (zh) | 一种融合基因及其制备方法和应用 | |
KR100325394B1 (ko) | 신규한 진핵세포용 유전자 클로닝 전달운반체와 재조합 바이러스 운반체 및 이들을 이용한 재조합 단백질 제조방법 |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
S533 | Written request for registration of change of name |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313533 |
|
S533 | Written request for registration of change of name |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313533 |
|
R370 | Written measure of declining of transfer procedure |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R370 |
|
EXPY | Cancellation because of completion of term |