JP2003501082A - ハイブリッド酵母−細菌クローニング系およびその使用 - Google Patents

ハイブリッド酵母−細菌クローニング系およびその使用

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Abstract

(57)【要約】 大きい核酸のクローニング、操作および送達のための組換えアプローチならびに組換え系を開示する。相同組換えに依存して、大きい核酸セグメントの単離、操作および送達を媒介するベクターを開示する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】 (発明の分野) 本発明は、種々の遺伝子工学目的(遺伝子治療を含む)のための、大きい核酸
の捕捉、クローニング、操作および送達に関する。本発明はさらに、新規な組換
えクローニングベクターおよびクローニング系、ならびにその使用方法に関する
【0002】 (発明の背景) クローニングベクターは、種々の細胞プロセスおよびその基礎をなす生化学的
経路を、理解および操作するために重要である。このような理解は、科学的知識
を豊富にし、そして新しい発見を導く助けとなる。最終的に、このような発見は
、価値ある研究ツールならびに効果的な治療組成物および治療的処置の発展を導
き得る。
【0003】 短い配列の操作可能な多くのベクターとは全く対照的に、大きい核酸配列(例
えば、ゲノム全体)の遺伝子解析、遺伝子工学および遺伝子送達のためのツール
としてのクローニングベクターは、ほとんど開発されていない。複雑な配列のク
ローニングおよび操作は、連結反応の効率に悪影響を及ぼす挿入物の長さに起因
して、特別に困難であった。また、独特な制限部位の少なさが、大きい核酸の調
製をさらに制限する。
【0004】 今日までの、大きい核酸配列の分析および操作のために最適化されたこれらの
系は、このような配列の標的細胞への送達に効果的でない。大きい配列の送達に
ために最適化された系もまた、核酸の分析/操作に効率的ではなかった。例えば
、外来遺伝子を含有するウイルスベクターを調製するために、Stratfor
d−Perricaudetら(J.Clin.Invest.90:626−
630,1992)は、哺乳動物パッケージング細胞株において組換えウイルス
を生成するための相同組換えの使用を教示する。
【0005】 広く使用されるウイルスベクターの中で、レンチウイルスは増殖させることが
困難であり得、そして比較的小さい(約9kb)。従って、このようなベクター
は、増殖困難性および制限された長さの挿入物の受容能力に苦難する(Wive
lら(1998)Hematol.Oncol.Clin.North Am.
12(3):483−501)。制限された挿入物サイズは、調節配列の付加を
おそらく妨げる、さらなる弱点を有する。
【0006】 同様に、AAVベースのベクターは、比較的小さいサイズ(約4.5kb)の
ために、最大の挿入物サイズが非常に制限される(Flotteら(1995)
Gene Ther.2(6):357−362)。
【0007】 アデノウイルスベースのベクターは、増殖の容易さ、高レベルの導入遺伝子(
transgene)発現、宿主ゲノム中の組み込みの欠損(これは、変異の危
険性を低下する)、およびより長い挿入物(約35kb)を保持する能力を含む
、いくつかの魅力的な特徴を提供する(Hardyら(1997)J.Viro
l.71(3):1842−1849)。
【0008】 組換えアデノウイルスを開発するいくつかの努力は、3つの異なるアプローチ
を使用し、これらは、哺乳動物細胞、酵母細胞または細菌細胞のいずれかにおけ
る相同組換えに依存する。
【0009】 哺乳動物細胞における相同組換えは、最も広範に適用される。Mittalら
(Virus Research 28:67−90,1993)は、スプリッ
ト欠損ゲノムを含む2つのプラスミドの、この欠損アデノウイルスをレスキュー
し得る相補パッケージング細胞株への同時トランスフェクションを教示する。
【0010】 しかし、上記のように、哺乳動物細胞における相同組換えは、希少な事象であ
る。従って、哺乳動物細胞の使用は、非効率的であり得る。この哺乳動物細胞ア
プローチはまた、繰り返しの複数回のプラーク精製、ならびに複雑かつ時間のか
かるウイルス生成プロトコルを必要とする。さらに、アデノウイルス配列の末端
以外のベクターの領域における特異的変異の導入は、非常に退屈なものであるの
で、この組換えベクターにおける複数の変異の操作および回収は、実質的に不可
能である。
【0011】 Ketnerら(Proc.Natl.Acad.Sci.91:6186−
6190,1994)は、酵母ベースの系を教示し、ここで、全長アデノウイル
スゲノムは感染性の酵母人工染色体としてクローン化され、そして維持される。
この系は、このベクター内の任意の配列を改変するため、および必要な場合に複
数の挿入物を導入するために、酵母における高い相同組換え効率に依存した。し
かし、この組換えベクターの低い形成効率およびこの組換えベクターの酵母細胞
からの低い収率は、ビリオンをレスキューする能力を極度に制限し、従って、ト
ランスフェクションを非常に困難なものにする。
【0012】 この酵母ベースの系の制限を克服するための試みは、Chartierら(V
irol.70:4805−4810,1996)、Crouzetら(Pro
c.Natl.Acad.Sci.94:1414−1419,1997)およ
びHeら(Proc.Natl.Acad.Sci.95:2509−2514
,1998)に細菌系の開発を促した。細菌系は、より高い組換え効率の利点を
提供し、従って、より効率的である。
【0013】 しかし、これらの系は、組換えクローンを同定するために、大きな、煩雑なス
クリーニングプロセスを必要とする。他の考慮すべき制限は、複数の変異挿入物
を操作することができないことおよび各々の特定の細菌系に高度に特異的な細菌
シャトルベクターを必要とすることである。
【0014】 従って、汎用性の組換えベクターおよび既存のアプローチの欠点を克服し得る
方法の、未だ満たされていない必要性が残存する。このようなベクターおよび方
法は、分裂細胞および非分裂細胞の両方の広い標的範囲、および高レベルの導入
遺伝子発現を可能にするべきである。理想的には、このような系は、宿主ゲノム
中の組み込みの危険性を最小化しながら、高い組換え効率を有する。この必要性
に応じるために、このような系は、広範なスクリーニングプロトコルの必要性を
最小化しながら、大きい配列および複数の変異挿入物の操作を可能にするべきで
ある。このようなベクターはまた、容易に増殖され、そしてインビトロまたはイ
ンビボでのこのような組換え核酸の哺乳動物細胞への直接的な送達のために、十
分な量の回収を可能にするべきである。
【0015】 (発明の要旨) 本発明は、標的細胞への大きい核酸の捕捉、クローニング、操作、生成および
送達に対する、汎用的な組換えアプローチを提供する。本発明は、組換えクロー
ニング系を提供する。より詳細には、本発明は、相同組換え技術に依存する、細
胞またはウイルスへの大きい核酸セグメントの単離、操作および送達を媒介する
ためのベクターを提供する。本発明はまた、大きい核酸をクローン化、操作およ
び送達するために、このような組換えクローニングベクターを使用するための方
法を提供する。さらに、本発明は、トランスジェニック植物およびトランスジェ
ニック動物の研究の促進因子として、ならびに植物および動物の遺伝子工学アプ
ローチ(例えば、遺伝子治療およびワクチン適用のような)のために、このよう
な組換えクローニング系を使用するための方法を提供する。
【0016】 第1の局面において、本発明は、以下を含む組換えクローニング系を提供する
:(a)第1の選択マーカーおよび第1の環化エレメントを含む、第1のアーム
;ならびに(b)第2の選択マーカーおよび第2の環化エレメントを含む、第2
のアーム。少なくとも1つのアームはまた、複製起点を含む。本発明の別の好ま
しい実施態様において、各々のアームはまた、希少な制限エンドヌクレアーゼ認
識部位を含む。本発明のさらに別の好ましい実施態様において、各アームはポリ
リンカーを含む。第1の環化エレメントは、第1のLoxP部位を含む核酸配列
であり得、そして第2の環化エレメントは、第2のLoxP部位を含む核酸配列
であり得る。
【0017】 1つの好ましい実施態様において、本発明は、以下を含む組換えクローニング
系を提供する:(a)第1の選択マーカー、第1の環化エレメントおよび標的核
酸の5’末端配列に相同な第1の核酸を含む、第1のアーム;ならびに(b)第
2の選択マーカー、第2の環化エレメントおよび標的核酸の3’末端配列に相同
な第2の核酸を含む、第2のアーム。
【0018】 本発明はまた、本発明に従う組換えクローニング系および標的核酸を含む組成
物を提供する。本発明の1つの実施態様において、標的核酸は、真核生物核酸で
ある。本発明の1つの実施態様において、標的核酸は、哺乳動物核酸である。好
ましい実施態様において、標的核酸は、ヒト核酸である。別の好ましい実施態様
において、標的核酸は、ウイルス核酸である。
【0019】 1つの実施態様において、目的のエレメントの全ては、単一の分子(例えば、
環状物、プラスミドまたはエピソームを含む)に含まれる。従って、別の局面に
おいて、本発明は、酵母選択マーカー、細菌選択マーカー、テロメア、セントロ
メア、酵母複製起点、細菌複製起点および希少な制限エンドヌクレアーゼ認識部
位を含む、組換えクローニングベクターを提供する。本発明の1つの実施態様に
おいて、ベクターは、少なくとも1つの独特のクローニング部位を含む。好まし
い実施態様において、ベクターはポリリンカーを含む。本明細書中で明らかにさ
れるように、このベクターは、従来の遺伝子工学方法によって容易に操作され、
標的核酸に隣接する核酸に相同な核酸の導入を促進する。従って、1つの実施態
様において、本発明は、標的核酸の5’末端に相同な第1の核酸;および標的核
酸の3’末端に相同な第2の核酸を含む、クローニングベクターを提供する。
【0020】 別の局面において、本発明は、標的核酸を含むギャップを埋めた(gap−f
illed)ベクターを生成する方法を提供する。この方法において、標的核酸
、標的核酸の5’末端に相同な第1の核酸、第1の選択マーカーおよび第1の環
化エレメントを含む第1のアーム、ならびに標的核酸の3’末端に相同な第2の
核酸、第2の選択マーカーおよび第2の環化エレメントを含む第2のアームが、
相同組換えを可能にする条件下で接触される。本発明のこの局面に従う方法は、
この2つのアームと標的核酸との間での相同組換えによって、ギャップを埋めた
ベクターを生成する。本発明のこの局面に従う1つの実施態様において、少なく
とも1つのアームは、複製起点をさらに含む。本発明の別の好ましい実施態様に
おいて、各アームは、希少な制限エンドヌクレアーゼ認識部位をさらに含む。本
発明のさらに好ましい実施態様において、第1の環化エレメントは、第1のLo
xP部位を有する核酸であり、そして第2の環化エレメントは、第2のLoxP
部位を有する核酸である。
【0021】 1つの好ましい実施態様において、相同組換えは、インビトロで行われる。こ
の局面の特に好ましい実施態様において、相同組換えは、インビボで行われる。
より好ましい実施態様において、相同組換えは、酵母細胞において生じる。1つ
の好ましい実施態様において、相同組換えは、Saccharomyces c
erevisiae、Saccharomyces pombeまたはSacc
haromyces ustillagoにおいて生じる。
【0022】 別の局面において、本発明は、本発明に従う組換えクローニング系または組換
えクローニングベクターを保持する、真核生物宿主細胞を提供する。1つの実施
態様において、真核生物宿主細胞は、酵母細胞である。本発明の1つの好ましい
実施態様において、酵母細胞は、Saccharomyces cerevis
iae、Saccharomyces pombeまたはSaccharomy
ces ustillagoである。
【0023】 なお別の局面において、本発明は、本発明のギャップを埋めたアームを環化す
る方法を提供する。本発明の1つの実施態様において、ギャップを埋めたベクタ
ーを、第1のLoxP部位および第2のLoxP部位とCreとを接触させるこ
とによって環化し、それによって、部位特異的組換えによる環化されたギャップ
を埋めたベクターを産生する。好ましい実施態様において、ギャップを埋めたベ
クターは、細菌内で環化される。別の好ましい実施態様において、ギャップを埋
めたベクターが、インビトロにおいて環化される。本発明は、本発明のその局面
の環化されたギャップを埋めたベクターを含む細菌細胞を、さらに提供する。
【0024】 さらなる局面において、本発明は、以下の工程を含む組換え送達ユニットを生
成する方法を提供する:(a)標的核酸を含むギャップを埋めたベクターの産生
工程;および(b)送達ユニット内へのギャップを埋めたベクターの導入工程。
本発明の1つの実施態様において、送達ユニットはウイルスである。従って、ギ
ャップを埋めたベクターの導入は、工程(a)のベクターを、相補する哺乳動物
細胞に導入することによって生じ、複製欠損ウイルスベクターを生成する。この
ベクターは、送達ユニット内への導入前に、直鎖状であっても、環状であっても
よい。
【0025】 さらなる局面において、本発明は、新規の組換えクローニング系、および所定
のウイルスまたは哺乳動物細胞型における特定の核酸の役割を調査するのに有用
な方法を提供する。本発明に適切なこのベクターおよび方法は、本発明の前述の
局面について考察されるものと、実質的に同一である。
【0026】 他の局面において、本発明は、核酸のクローニング、操作および送達のために
有用な、組換えクローニング系およびその系を使用する方法を提供する。本発明
のいくつかの実施態様において、このベクターおよび方法が、インビトロおよび
インビボの両方での遺伝子移入、ならびにインビボのワクチン接種および他の遺
伝子治療適用を含む治療または診断の目的のために使用される。他の好ましい実
施態様において、本発明のベクターおよび方法が、ウイルス、植物、細菌、線虫
、魚、ハエ、哺乳動物、ならびに動物の分子遺伝子操作のために使用される。従
って、いくつかの好ましい実施態様において、本発明は、機能的ゲノム学的(g
enomics)アプローチを介して同定された遺伝子の標的確認のため、およ
び任意の所定のゲノム位置に挿入される哺乳動物遺伝子のライブラリーの構築の
ための、ツールおよび方法を提供する。
【0027】 (発明の詳細な説明) 本発明は、大きな核酸の操作および送達に関する。本発明はさらに、組換えク
ローニングベクターおよび組換えクローニング系、ならびにこれらの使用方法に
関する。
【0028】 広範な関連性のない細胞型および細胞周期段階において機能し得る(従って、
異なる系の利点を組み合わせる、強力な操作ツールおよび方法を提供する)汎用
性のあるクローニング系が、開発され得たことを認識することは、予測しない発
見であった。本発明のハイブリッドクローニング系および方法は、所定の核酸の
捕獲および操作のための系としての汎用性の高い酵母と、そのような核酸の増幅
のための高効率の細菌の系とを組み合わせる。大きな核酸フラグメントの単離、
操作、および送達を媒介する、相同組換えに依存する組換えベクターを構築した
。本明細書において記載される本発明はまた、大きな核酸を、クローニング、操
作および送達すすためのそのような組換えクローニングベクターを使用するため
の方法を提供する。最後に、本発明は、トランスジェニックな植物および動物の
研究の増強因子として、および遺伝子治療アプローチのための、ならびに植物お
よび動物の遺伝子操作アプローチのための、そのような組換えクローニング系を
使用する方法を提供する。
【0029】 本明細書において使用される技術用語および科学用語は、そうでないと定義さ
れない限り、本発明の属する分野の当業者によって一般に理解される意味を有す
る。当業者に公知の種々の資料および方法論に対して、本明細書において参照が
なされる。組換えDNA技術の一般原則を示す標準的な参考の研究としては、S
ambrookら、「Molecular Cloning:A Labora
tory Manual」、第2版、Cold Spring Harbor
Laboratory Press、Plainview、New York、
1989;Kaufmanら編、「Handbook of Molecula
r and Cellular Methods in Biology an
d Medicine」、CRC Press、Boca Raton、199
5;およびMcPherson編、「Directed Mutagenesi
s:A Practical Approach」、IRL Press、Ox
ford、1991が挙げられる。本発明の選択された局面のために有用な一般
的な方法論および酵母遺伝学の方法論を教示する標準的な参照文献としては;S
hermanら、「Laboratory Course Manual Me
thods in Yeast Genetics」、Cold Spring
Harbor Laboratory、Cold Spring Harbo
r、New York、1986およびGuthrieら、「Guide to
Yeast Genetics and Molecular Biolog
y」、Academic、New York、1991が挙げられる。
【0030】 当業者に公知の任意の適切な材料および/または方法が、本発明を実行するに
おいて利用され得る。本発明を実行するための材料および/または方法が記載さ
れる。以下の記載および実施例において言及がなされる材料、試薬などは、他に
注記しない限り、商業的供給原から入手可能である 以下の記載においては、組換えDNA(rDNA)技術において用いられる多
数の通常用いられる用語が利用される。
【0031】 本明細書において一般的に理解され、そして用いられる場合、「単離した核酸
分子」、「単離した核酸」または「単離した核酸配列」は、ヌクレオチドの重合
体をいい、そしてデオキシリボ核酸(DNA)およびリボ核酸(RNA)を含む
がそれらに限定されない。
【0032】 「組換えDNA」は、異なる供給源由来のものを含むDNAセグメントを、組
換えDNA技術(すなわち、分子遺伝的操作)を用いて、連結することにより形
成される任意のDNA分子である。
【0033】 本明細書において一般的に理解され、そして用いられる場合、「DNAセグメ
ント」は、ヌクレオチドの直線ストレッチを含む分子をいい、ここでこのヌクレ
オチドは、タンパク質、タンパク質フラグメントまたはポリペプチドと呼ばれる
アミノ酸残基の直線配列を含む分子を、遺伝子コードを通じてコードし得る配列
に存在する。
【0034】 「遺伝子」は、単一のポリペプチド鎖またはタンパク質をコードするDNAで
あり、そして本明細書において用いる場合、5’および3’非翻訳末端を含み得
る。このポリペプチドは、このタンパク質の機能的活性が保持される限り、コー
ド配列の全長配列または任意の部分によりコードされ得る。
【0035】 「相補的DNA(cDNA)」は、メッセンジャーRNA(「mRNA」)の
逆転写により合成される組換え核酸分子である。
【0036】 「構造遺伝子」は、mRNAに転写されるDNAである。次いで、mRNAは
、特定のポリペプチドのアミノ酸特性の重合体に翻訳される。
【0037】 「制限エンドヌクレアーゼ」(または「制限酵素」)は、核酸分子中の塩基の
特定の配列(通常、4、5または6塩基対の長さ)を認識し、そしてそこかまた
は近位で核酸を切断する能力を有する酵素である。例えば、EcoRIは、配列
GAATTC/CTTAAGを認識する。
【0038】 「希な制限エンドヌクレアーゼ認識部位」は、核酸において頻繁には乗じない
部位である。希な制限エンドヌクレアーゼ認識部位の非限定的な例としては、酵
素I−SceIおよびNotIにより認識される核酸が挙げられる。ところが、
ゲノムにおいて共通である配列を認識する制限エンドヌクレアーゼは、広範囲の
DNAフラグメントが、希な切断物を生じるために、ゲノムDNAが同じもので
消化され、そしてアガロースゲル電気泳動およびエチジウムブロミド染色により
大きさに提示される場合、「スメア」を生じる。なぜなら認識部位がゲノム中で
共通でなく、同じ条件下でDNAフラグメントの別個のバンドを生じるからであ
る。
【0039】 「制限フラグメント」は、制限エンドヌクレアーゼでの消化により生成される
DNA分子である。所定のゲノムまたは核酸分子は、特定の制限エンドヌクレア
ーゼにより、制限フラグメントのセットに消化され得る。
【0040】 サザーンハイブリダイゼーション手順は、特定のDNAを可視化することを意
味する。標識したDNA分子またはプローブは、固体基質(例えば、ニトロセル
ロースフィルター)に結合する断片化した一本鎖DNAにハイブリダイズされる
。標識したDNAプローブに対して相補的なDNAを保有するフィルター上の領
域は、再アニーリング反応の結果として、それ自体により標識される。このよう
な標識を示すフィルターの領域が可視化される。ハイブリダイゼーションプロー
ブは、一般に、特定のDNAフラグメントの分子クローニングにより産生される
【0041】 「オリゴヌクレオチド」、「オリゴ」または「オリゴマー」は、2つ以上のデ
オキシリボヌクレオチドまたはリボヌクレオチドからなる分子である。正確な大
きさは、多くの因子に依存し、次には、オリゴヌクレオチドの最終的な機能また
は用途に依存する。オリゴヌクレオチドは、合成的にかまたはクローニングによ
り誘導され得る。
【0042】 「プライマー」は、標的の近位またはそこでアニーリングし得るオリゴヌクレ
オチドである。このプライマーは一般に、一本鎖核酸であり、そしてしばしば、
核酸鎖に相補的であるプライマー伸長産物の合成が開始される条件下におかれた
場合、DNA合成の起点として働く。
【0043】 「発現」は、構造遺伝子がポリペプチドを生成するプロセスである。これは、
遺伝子のmRNAへの転写を含み、そしてこのようなmRNAのポリペプチドへ
の翻訳もまた含み得る。
【0044】 「ベクター」は、核酸を運搬するビヒクルである。ベクターは、核酸分子キャ
リアであり、ここで目的の核酸がビヒクル核酸の組み込み部分としてそれに挿入
される。ベクターはしばしば、特定の機能、例えば、マルチクローニング部位、
複製起点、選択マーカーなどを供給する有益な核酸を含む。
【0045】 「クローニングベクター」は、単一分子の一部としてベクターに含まれる目的
の核酸を保有するのに適切な核酸である。クローニングベクターは、さらなる操
作および増幅のために目的の核酸分子を捕獲するように働き得る。
【0046】 「発現ベクター」は、クローニングベクターに類似のベクターまたはビヒクル
であるが、これは、宿主への形質転換後、発現ベクター中にクローニングされた
核酸を発現し得る。クローニングした核酸は通常、特定の制御の制御のもと(す
なわち、作動可能に連結される)か、または調節核酸(例えば、プロモーター配
列)のもとに置かれる。発現制御配列は、発現が生じる条件(例えば、ベクター
が原核生物宿主または真核生物宿主において作動可能に連結された遺伝子を発現
するように設計されているか否か)に依存して変化する。このベクターはさらに
、エンハンサーエレメント、終止配列および組織特異性エレメントのような転写
エレメント、ならびに翻訳開始部位および翻訳終止部位を含み得る。
【0047】 配列(タンパク質または核酸のいずれか)の「機能的誘導体」は、誘導体が作
製される親タンパク質または親核酸の生物学的活性に実質的に類似する生物学的
活性(機能的または構造的のいずれか)を有する分子である。タンパク質の機能
的誘導体は、翻訳後修飾(例えば、共有結合された炭水化物)を含み得、これは
、特定の機能を果たすためのそのような修飾の必要性に依存する。用語「機能的
誘導体」は、分子の「フラグメント」、「セグメント」、「改変体」、「アナロ
グ」または「化学的誘導体」を含むことが意図される。
【0048】 本明細書中で使用される場合、分子は、通常には別の分子の一部ではないさら
なる化学部分が含まれる場合に、その別の分子の「化学的誘導体」であるといわ
れる。例えば、そのような部分は、分子の溶解度、吸収、生物学的半減期などを
改善し得る。あるいは、部分は、分子の毒性を低減し得、分子の任意の所望され
ない副作用などを除去または減弱し得る。そのような効果を媒介し得る部分は、
「Remington’s Pharmaceutical Sciences
」(1980)に開示される。そのような部分の分子へのカップリング手順は、
当該分野において周知である。
【0049】 タンパク質または核酸の「改変体」は、その親タンパク質または親核酸のいず
れかに対して、構造および生物学的活性が実質的に類似する分子をいうことが意
図される。従って、その用語が本明細書中で使用される場合、2つの分子が共通
の活性を有し、そして互いに置換し得るならば、たとえそれらの分子のうちの一
方の組成または二次構造、三次構造もしくは四次構造が他方において見られるも
のと同一ではないとしても、あるいはアミノ酸配列またはヌクレオチド配列が同
一ではないとしても、その2つは改変体であると考えられる。
【0050】 「変異」は、遺伝物質における任意の検出可能な変化であり、この変化は、娘
細胞、そしておそらく変異細胞または変異個体を生じる後の世代にさえ遺伝され
得る。変異細胞の子孫が多細胞生物において体細胞のみを生じる場合、細胞の変
異スポットまたは変異領域は、固体培養物において生じる。有性生殖生物の生殖
細胞系における変異は、配偶子によって次世代に遺伝され、おそらく体細胞およ
び生殖細胞の両方において新しい変異状態を有する個体を生じ得る。変異は、1
つ以上のデオキシリボヌクレオチドの化学的構成もしくは物理学的構成、易変性
、複製、表現型機能または組換えに影響を及ぼす、検出可能な非天然の変化のい
ずれか(またはそれらの組合せ)であり得;ヌクレオチドは、付加、欠失、置換
、逆位、または新しい位置に転位(逆位ありおよび逆位なし)され得る。変異は
、自発的に生じ得、そして変異原の適用によって実験的に誘導され得る。核酸分
子の変異改変体は変異から生じる。変異ポリペプチドは、変異核酸分子から生じ
得る。
【0051】 「ポリリンカー」は、公知のベクターまたはプラスミドに、制限認識部位(マ
ッピングおよびクローニングするために使用され得る)を導入する、構築された
DNAである。ポリリンカーはまた、「マルチクローニング部位」として同定さ
れる。
【0052】 「精製された」タンパク質または核酸は、細胞性成分から分離された、タンパ
ク質または核酸である。精製されたタンパク質または核酸は、天然において見ら
れないレベルの純度にまで単離されている。「単離された」は、天然において見
られないあるレベルの精製を示すことが意図される。
【0053】 本発明は、新規のクローニング系を提供し、この系は(a)順に、第1の選択
マーカーおよび第1の環化エレメントを含む第1のアーム;ならびに(b)第2
の選択マーカーおよび第2の環化エレメントを含む第2のアーム、を含む。アー
ムのうちの1つはまた、複製起点を含み得る。
【0054】 本明細書中で使用する用語「アーム」は、酵母宿主および細菌宿主において複
製し得る部分を生成するために必要な、第1のアームおよび第2のアームまたは
左アームおよび右アームとしても示される2つのアームのうちの一方を示す。本
発明によるアームは、好ましくは酵母中でアセンブリする。このことは、遺伝子
操作が、高度に汎用性のある酵母系においてもたらされるのを可能にする。酵母
ベクターは、文献に広く記載されており、酵母ベクターの操作方法もまた、本明
細書中以後で議論されるように周知である(例えば、Ketnerら(1994
)Proc.Natl.Acad.Sci.(USA)91:6186〜619
0を参照のこと)。
【0055】 遺伝子操作の後、このクローニング系は、より大量の核酸を調製するために適
切な細菌環境への移行を可能にする。細菌型ベクターの代表的な例としては、P
1人工染色体、細菌性人工染色体(BAC)および単一コピープラスミドF因子
が挙げられる(Shizuyaら(1992)Proc.Natl.Acad.
Sci.89:8794〜8797)。同様に、細菌ベクターは当該分野におい
て周知である(例えば、Ioannouら(1994)Nature 6:84
〜89)。
【0056】 本発明はまた、酵母選択マーカー;細菌選択マーカー;テロメア;セントロメ
ア;酵母複製起点;細菌複製起点;および稀な制限エンドヌクレアーゼ認識部位
を一分子中に含む組換えベクター(例えば、プラスミドまたはエピソーム)を提
供する。
【0057】 目的の組換えベクターは、目的の標的核酸を目的のベクター中へ捕捉および組
み込むための、酵母における相同組換えを可能にする。目的の標的核酸は、大き
な核酸であり得、そして例えば、その中に目的の外来遺伝子を含んでいるベクタ
ー(例えば、ウイルスベクター)を含み得る。ウイルスベクターにおける目的の
外来遺伝子は、その転写された産物、およびおそらくその転写産物の翻訳産物が
、しばしば目的の宿主(例えば、ヒト)において利益を有する外来遺伝子である
。従って、目的の発明は、目的の治療遺伝子を含むウイルスベクターのクローニ
ングおよび調製を可能にする。
【0058】 本発明によるベクターは、酵母においてテロメアとして機能する適切に配向さ
れたDNAおよびセントロメアを含む。任意の適切なテロメアが使用され得る。
適切なテロメアは、酵母においてテロメア機能を提供し得る多くの生物由来のテ
ロメア反復を含むがこれらに限定されない。ヒトにおける末端反復配列(TTA
GGG)Nは、トリパノソーマにおける末端反復配列と同一であり、そして酵母
における末端反復配列((TG)13Nおよびテトラヒメナにおける末端反復
配列(TTGGG)Nと類似する(SzostakおよびBlackburn(
1982)Cell 29:245−255;Brown(1988)EMBO
J.7:2377−2385;ならびにMoyzisら(1988)Proc
.Natl.Acad.Sci.85:6622−6626)。
【0059】 用語「セントロメア」は、本明細書中で、本発明のベクターの減数分裂および
有糸分裂での安定な複製および正確な分配を媒介し、それによって、娘細胞への
適切な分離を確実にする核酸を同定するために用いられる。適切なセントロメア
は、大きな直鎖状プラスミドに有糸分裂安定性および減数分裂安定性を付与する
酵母のセントロメアCEW4を含むがこれに限定されない(Murrayおよび
Szostak(1983)Nature 305:189−193;Carb
on(1984)Cell 37:351−353;ならびにClarkら(1
990)Nature 287:504−509)。
【0060】 本発明による2つのアームの少なくとも1つまたは環状ベクターは、選り抜き
の宿主細胞/粒子において機能する、少なくとも1つの複製系を含む。本明細書
中以後明らかになるように、当業者は、選り抜きの標的核酸の操作、増幅および
/または送達が、1より多くの宿主細胞/粒子の使用を必要とし得ることを理解
する。従って、選り抜きの各々の宿主細胞/粒子において機能的な1より多くの
複製系が含まれ得る。
【0061】 宿主細胞のうちの1つが哺乳動物宿主細胞である場合、複製系は、哺乳動物細
胞において複製することが公知のウイルス(例えば、SV40、エプスタイン−
バー、レトロウイルス、パポバウイルス、アデノウイルス、パピローマウイルス
、アデノ随伴ウイルス(AAV)、レンチウイルス、hcMVなど)由来の複製
系を含む。宿主細胞が原核生物(特にE.coli)である場合、複製系は、原
核生物(例えば、P1プラスミドレプリコン、ori、P1溶解性レプリコン、
ColE1、BAC、単一コピー性プラスミドF因子など)において機能的であ
る複製系を含む。
【0062】 本発明の好ましい実施態様では、1または両方のいずれかのアームおよび環状
ベクターはさらに、大きな核酸の複製を支持し得る、酵母複製起点を含む。本発
明による複製領域の好ましい非限定的な例は、自律複製配列、すなわち「ARS
エレメント」を含む。ARSエレメントは、高頻度形質転換を付与する酵母配列
として同定された。テトラヒメナDNA末端は、酵母におけるARSエレメント
としてARS1およびARSH4とともに用いられた(Kissら(1981)
Mol.Cell Biol.1:535−543;Stinchcombら(
1979)Nature 282:39;ならびにBartonおよびSmit
h(1986)Mol.Cell Biol.6:2354)。本発明の好まし
い実施態様では、アームの各対(左アームおよび右アーム)について、2以上の
複製起点が存在し得る。後者は、非常に長いDNA配列が導入されたベクターに
ついての好ましい実施態様であることが見出された。
【0063】 本発明の局面による第1および/または第2のアームは、環状化されたベクタ
ー形態(例えば、プラスミド形態)において連結され得る。環状化は、インビボ
またはインビトロで目的のアームを用いて生じ得る。あるいは、目的の環状ベク
ターが用いられ得る。本明細書中で用いられ、そして本明細書中上記で、手短に
部分的に説明されるように、用語「ベクター」は、プラスミドもしくはファージ
のDNA、またはDNAもしくは他の核酸がクローニングされ得る他の核酸を示
す。このベクターは、宿主細胞において自律複製し得、そしてこのような核酸が
決定可能な様式で切断され得、そして核酸フラグメントが挿入され得る、1また
は少数の制限エンドヌクレアーゼ認識部位によってさらに特徴付けられ得る。こ
のベクターはさらに、このベクターで形質転換された細胞の同定に適切な選択マ
ーカーを含み得る。
【0064】 用語「選択マーカー」は、本明細書中で、ネガティブおよび/またはポジティ
ブ方法論によって、ベクターを含む組換え宿主細胞の検出および/または選択を
可能にする配列を同定するために用いられる。このようなネガティブまたはポジ
ティブな選択マーカーは、挿入された遺伝子または核酸であり得る。当業者は、
適切な選択マーカーの選択は、用いられる宿主細胞、ウイルスまたは他の実体の
遺伝子型に依存することを認識する。従って、(以下により詳細に記載される)
細菌におけるアームおよびベクターの選択は、細菌性選択マーカーを使用して達
成され得る。細菌選択マーカーの好ましい非限定的な例としては、例えば、その
細胞に有効な影響を有し得る(例えば、その細胞に対して細胞傷害性である)因
子に対して細胞を感受性または耐性にする遺伝子が挙げられる。従って、公知の
選択遺伝子としては、種々の抗生物質に対して耐性を付与する選択遺伝子(例え
ば、AMP(アンピシリン)、TET(テトラサイクリン)およびKAN(カナ
マイシン)マーカー)が挙げられる。
【0065】 同様に、酵母におけるベクターの選択は、酵母選択マーカーの使用により達成
され得る。例としては、公知のHIS3、TRP1、URA3、LEU2および
ADEマーカーが挙げられる。本発明のいくつかの実施態様では、ベクターまた
はアームは、2以上の選択マーカーを含み得る。従って、1つの実施態様では、
アームは、標的核酸との相同組換えで失われるADEマーカー、およびHIS3
マーカーを含み得る。他のアームは、TRPIマーカーを含み得る。選択は、形
質転換された細胞を、適切なドロップアウト選択培地(例えば、Watsonら
(1992)Recombinant DNA、第2版,Freeman an
d Co.,New York,New Yorkを参照のこと)で増殖させる
ことによって達成される。例えば、HIS3は、第1のアームを含む細胞の選択
を可能にする。TRP1は、第2のアームを含む細胞の選択を可能にする。AD
Eは、相同組換えが起きたクローンのスクリーニングおよび選択を可能にする。
ADEは、色選択(赤)を可能にする。
【0066】 用語「環化エレメント」は、組換えベクターへの目的のアームの環化を促進し
得る核酸を示すために用いられる。当業者は、適切な環化エレメントとしては、
組換え事象を促進する種々の公知の反復配列が挙げられることを認識する。それ
ゆえ、環化エレメントの代表例としては、縦列反復(例えば、Alu配列(Ga
rzaら(1989)Science 246:641−646)など)が挙げ
られる。別の環化エレメントは、Creレコンビナーゼと接触して所定の部位で
部位特異的組換え事象を生じる、LoxP部位間での相互作用を含む。環化エレ
メントとして適切なLox部位の非限定的な代表例は、米国特許第5,658,
772号に記載される。別の実施態様では、環化エレメントは、FLP媒介組換
えに従う。本発明による環化エレメントとして適切なFLP配列およびFLPレ
コンビナーゼの非限定的な代表例は、米国特許第5,677,177号に記載さ
れる。
【0067】 クローニングを促進するために、各アームはまた、稀な制限エンドヌクレアー
ゼ認識部位を含むべきである。「稀な制限エンドヌクレアーゼ認識部位」は、核
酸において頻繁には現れない、制限エンドヌクレアーゼ酵素の基質である。稀な
制限エンドヌクレアーゼ認識部位の非限定的な例としては、I−SceIおよび
NotIによって認識される制限エンドヌクレアーゼ認識部位が挙げられる。
【0068】 本発明のなお別の好ましい実施態様では、各アームは、ポリリンカーを含む。
【0069】 さらに、本発明は、アームまたは環状ベクターの両方がまた、目的の標的核酸
の5’末端配列および3’末端配列に相同な核酸を含む、クローニング系を提供
する。
【0070】 用語「相同」は、本明細書中で使用される場合、一本鎖にされたかまたは一本
鎖である標的核酸(例えば、遺伝子、転写制御エレメントまたは遺伝子内DNA
)の一部にハイブリダイズする能力を有するに十分な直鎖状同一性または類似性
であることを意味する。このようなハイブリダイゼーションは通常、好ましくは
ワトソン−クリック塩基対を形成する、相補鎖間の塩基特異的水素結合の結果で
ある。実際問題として、このような相同性は、相同組換え事象の観察から推論さ
れ得る。好ましくは、このような相同性は、約8塩基〜約1000塩基、そして
最も好ましくは約12塩基〜約500塩基の直鎖状核酸である。当業者は、相同
性が、より長い核酸ストレッチに及び得ることを認識する。
【0071】 「標的配列」、「目的の外来遺伝子」、「導入遺伝子」および「挿入物」は、
本発明によるクローニングおよび発現系またはベクターにおいて挿入されること
が求められる任意の配列または核酸を言及するために用いられる。
【0072】 本発明の標的核酸は、複雑にかなり変動し得る。標的核酸は、ウイルス性、原
核生物性または真核生物性のDNA、より具体的には哺乳動物DNA(例えば、
cDNA)、より具体的にはエキソン(コード)配列ならびにイントロン(非コ
ード)配列の両方を含み得る。それゆえ、本発明の標的核酸は、1以上の遺伝子
を含み得る。好ましい実施態様では、標的核酸は、染色体である。標的核酸また
は、任意の起源および/または性質の核酸であり得る。従って、標的核酸は、原
核生物または真核生物の核酸であり得る。標的核酸はまた、DNAウイルス(例
えば、アデノウイルス、ヒトヘルペスウイルス、水痘−帯状疱疹ウイルス、ポッ
クスウイルス、パポバウイルス、サイトメガロウイルス(CMV)、エプスタイ
ン−バーウイルス、アデノ随伴ウイルス(AAV)または単純ヘルペスウイルス
)またはRNAウイルス(例えば、レトロウイルス、レンチウイルス(例えば、
ヒト免疫不全ウイルス、マウス白血病ウイルスまたはアルファウイルス))を含
むウイルスであり得る。
【0073】 本発明のベクターは、構築物の調製、増幅、宿主細胞の形質転換またはトラン
スフェクション、および(該当する場合)宿主細胞への組み込みにおいて用途を
見出し得る、標的配列以外の機能的実体を含むようにさらに改変され得る。
【0074】 本発明の1つの実施態様では、標的核酸は、調節核酸を含む。「調節配列」ま
たは「調節核酸」は、本明細書中で、それによって制御される核酸の複製、転写
および/または発現を(直接的または間接的のいずれかで、そして上方または下
方のいずれかに)調節する、任意の配列または核酸を示すために広範な意味で用
いられる。このような調節核酸による制御は、核酸を構成的または誘導的に転写
および/または翻訳されるようにし得る。調節核酸の例としては、転写プロモー
ターおよびエンハンサーが挙げられるがこれらに限定されない。従って、本発明
のアームおよびベクターは、転写調節領域(例えば、転写開始領域など)を含み
得る。当業者は、多数の転写開始配列(チミジンキナーゼプロモーター、β−ア
クチンプロモーター、免疫グロブリンプロモーター、メタロチオネインプロモー
ター、ヒトサイトメガロウイルスプロモーターおよびSV40プロモーターを含
む)が単離されており、そして利用可能であることを認識する。
【0075】 本発明はまた、ギャップを埋めたベクターを生成する方法を提供する。ベクタ
ーは、標的核酸の5’領域および3’領域に相同な配列の間の領域(ギャップ)
を埋めることにより、本発明による標的核酸の相同組換えおよび挿入の際に「ギ
ャップを埋めた」と規定される。それゆえ、本発明のクローニング系を、相同組
換えを可能にする条件下で標的核酸と接触させる。好ましい実施態様では、この
方法は、以下を相同組換えを可能にする条件下で合わせる:(i)標的核酸の5
’末端に相同な第1の核酸、第1の選択マーカーおよび第1の環化エレメントを
含む第1のアーム;(ii)標的核酸;ならびに(iii)標的核酸の3’末端
に相同な第2の核酸、第2の選択マーカーおよび第2の環化エレメントを含む第
2のアーム。本発明のこの局面による方法は、2つのアームと標的核酸との間で
の相同組換えによってギャップを埋めたベクターを生じる。このアームおよび標
的核酸において見出される相同領域間での交換は、相同な核酸間での任意の点で
の相同組換えによってもたらされる。
【0076】 目的の環状ベクターに関して、「ギャップを埋めること」は、本質的に、その
ベクターへの標的配列の挿入、すなわち、サブクローニングである。
【0077】 好ましい実施態様では、相同組換えは、当該分野で周知の方法論によってイン
ビトロでもたらされ得る。例えば、本発明の方法は、酵母溶解産物調製物を用い
て実施され得る。別の好ましい実施態様では、相同組換えはインビボで起きる。
それゆえ、本発明の方法は、相同組換え事象を支持し得る任意の宿主細胞(例え
ば、細菌、酵母および哺乳動物の細胞など)を用いて実施され得る。当業者は、
適切な宿主の選択は、この方法のクローニング系において用いられる選択マーカ
ーの特定の組み合わせに依存することを認識する。
【0078】 目的の宿主細胞へとベクターを導入するために用いられ得る技術としては、リ
ン酸カルシウム/DNA共沈、エレクトロポレーション、細菌−プロトプラスト
融合、核へのDNAのマイクロインジェクションなどが挙げられる。DNAは、
一本鎖または二本鎖、直鎖または環状、弛緩またはスーパーコイルであり得る。
当業者は、多数のプロトコルが、例えばKeownら(Meth.Enzymo
l.185:527−537,1990)において記載されるような哺乳動物細
胞をトランスフェクトするために実質的に交換可能に用いられ得ることを認識す
る。好ましくは、真核生物細胞(例えば、酵母細胞(例えば、Saccharo
myces cerevisiae、S.pombeまたはS.ustilla
go))が用いられる。酵母細胞中に核酸を導入するための方法は当該分野で周
知である。それゆえ、このような工程は、従来の形質転換方法論によって達成さ
れ得る。適切な方法論の非限定的な例としては、エレクトロポレーション、アル
カリカチオンプロトコルおよびスフェロプラスト細胞の形質転換が挙げられる。
【0079】 組換え酵母細胞は、当該分野で周知の方法に従って、本明細書中に記載される
選択マーカーを用いて選択され得る。それゆえ、当業者は、本発明のギャップを
埋めたベクターを保有する組換え酵母細胞が、その中に含まれる選択マーカーに
基づいて選択され得ることを認識する。それゆえ、HIS3およびTRPIを保
有する組換えベクターは、形質転換酵母細胞を、hisおよびtrpを欠くドロ
ップアウト選択培地の存在下で増殖させることにより選択され得る。単離された
ポジティブクローンは、さらに精製され、そして例えば、制限分析、電気泳動、
サザンブロット分析、ポリメラーゼ連鎖反応などによって分析されて、本発明の
組換えベクターの存在および構造が確認され得る。
【0080】 本発明はさらに、本発明の方法に従って操作された、ギャップを埋めたベクタ
ーを提供する。このようなベクターは、本発明のアームまたはベクターと、選り
抜きの標的核酸との間の相同組換えの産物である。
【0081】 本発明はまた、本発明によるクローニング系またはベクターを保有する、原核
生物細胞および真核生物宿主細胞を提供する。1つの実施態様では、真核生物宿
主細胞は酵母細胞である。本発明の好ましい実施態様では、酵母細胞は、Sac
charomyces cerevisiae、S.pombeまたはS.us
tillagoである。適切な細菌細胞は、E.coliおよびB.subti
lisである。
【0082】 別の局面では、本発明は、本発明のギャップを埋めたアームを環化する方法を
提供する。ギャップを埋めたベクターは、その中に含まれる第1および第2のL
ox部位とCreとを接触させ、それにより、部位特異的組換えによって環化し
たギャップを埋めたベクターを生成することにより環化され得る。ギャップを埋
めたベクターは、細菌において環化され得る。本発明はさらに、本発明の環化し
たギャップを埋めたベクターを含む細菌細胞を提供する。
【0083】 本発明はさらに、大きな標的核酸を細胞または粒子(例えば、ウイルスなど)
中にクローニング、操作および送達するための方法を提供する。本発明によれば
、ウイルスクローニング系は、標的配列を含むように操作され、そして本明細書
中以後で提供される例から明らかになるように、高い効率でクローニングされた
標的核酸内の任意の核酸を遺伝的に改変するために、酵母の高い相同組換え率を
使用することが可能である非感染性誘導体化クローンとして維持される。
【0084】 ギャップを埋めた直鎖状ベクターは、インビトロまたはインビボで、例えば、
細菌中で環状ベクターへと変換され得る。目的の環状ベクターは、増幅、精製、
切断および使用されて、細胞に直接的にまたは標的細胞へのその後の送達のため
に適切な送達系に導入されるに十分な量のDNAが回収され得る。この方法論は
、任意の大きなウイルス性または非ウイルス性ゲノムをクローニングおよび改変
するに大きな多用途性を提供し、そして組換えベクターとしてのその使用を容易
に促進する。
【0085】 細胞への、ギャップを埋めたベクターの直接送達は、当該分野で周知の方法(
例えば、リン酸カルシウム形質転換方法論またはエレクトロポレーションなど)
によってもたらされ得る(Sambrookら、前出を参照のこと)。
【0086】 従って、本発明は、以下の工程を包含する組換え送達ユニットを生成するため
の方法を提供する:(a)標的配列を含むギャップを埋めたベクターを生成する
工程;(b)必要に応じて、本発明のギャップを埋めたベクターアームを環化す
る工程;(c)このベクターを増殖させる工程;および(d)このギャップを埋
めたベクターを送達ユニットに導入する工程。本発明の1つの実施態様では、こ
の送達ユニットは、ウイルスである。それゆえ、ギャップを埋めたベクターの導
入は、このベクターを補完哺乳動物細胞に導入して、複製欠損ウイルスベクター
を生成することによりもたらされる。ギャップを埋めたベクターが、増幅されそ
して送達ユニットに配置される前に環化または線状化され得ることが認識される
【0087】 従って、本発明はまた、以下の工程を包含する組換え送達ユニットを生成する
方法を提供する:(a)標的配列を含むギャップを埋めたベクターを生成する工
程;(b)ギャップを埋めたベクターアームを必要に応じて環化する工程;(c
)このベクターを増殖させる工程;(d)このギャップを埋めたベクターを線状
化する工程;および(e)このギャップを埋めたベクターを送達ユニットに導入
する工程。本発明の1つの実施態様では、送達ユニットはウイルスである。それ
ゆえ、線状化されたギャップを埋めたベクターの導入は、このベクターを補完哺
乳動物細胞に導入して、複製欠損ウイルスベクターを生成することによりもたら
される。当業者は、このベクターが線状化されるか否かは、操作される配列と相
関することを認識する。
【0088】 用語「送達ユニット」とは、本発明のギャップを埋めたベクター(DNAまた
はRNA)に会合し得、そして特定の器官、組織または個体の細胞型へのインビ
ボまたはエキソビボでのこのようなベクターDNAまたはベクターRNAの輸送
を媒介し得る任意の実体を意味する。送達ユニットは当該分野で公知であり、そ
してDNAに複合体化し得る、リポソーム、タンパク質複合体、多糖、合成有機
ポリマーまたは両親媒性物質(脂質を含む)を含む。本発明のベクターを送達ユ
ニットに導入するための方法は、当該分野で周知である。例えば、Sambro
okら、前出を参照のこと。このような方法は、用いられる送達ユニットの性質
および標的核酸の性質に依存してかなり変動することが当業者に明らかである。
【0089】 本明細書中上記で議論するように、標的核酸は、種々の型のDNA(例えば、
動物起源、植物起源またはウイルス起源)であり得る。従って、ギャップを埋め
たベクター核酸の、送達ユニット細胞における挿入は、任意の所定の適用におけ
る標的核酸の性質および選り抜きの送達ユニットまたは粒子に依存する。本明細
書中のどこかに考察されるように、ギャップを埋めたベクターにおける標的核酸
は、ウイルス核酸を単独でまたは宿主細胞または選り抜きの粒子において発現さ
れるべき核酸と組み合わせて含み得る。ウイルス核酸を含む標的核酸は、形質転
換方法論によってウイルス粒子に導入され得る。当業者は、いくつかの方法が当
該分野で利用可能であり、そして当該分野で周知であることを認識する。1つの
このような方法論は、ウイルス粒子のパッケージングのための補完パッケージン
グ因子を提供するパッケージング細胞株における、ウイルスタンパク質をコード
する核酸のトランスフェクションを含む。これらの例では、標的核酸は、ウイル
スキャプシドに、例えば、適切な補完細胞株を用いてパッケージングすることに
よって導入される。
【0090】 標的核酸を含むギャップを埋めたベクターは、大きな核酸(例えば、組換えア
デノウイルスベクター)をコードすることおよび操作することを可能にする。例
えば、ギャップを埋めたアームは、(例えば、上記のようなLox/Cre媒介
組換えによって)環化され、増幅され、そしてこの目的のために操作された稀な
切断制限エンドヌクレアーゼを用いて線状化される。次いで、この線状化された
ベクターは、失われたウイルス機能の生成を可能にし、それによって完全にアセ
ンブルしたアデノウイルスを生成する、補完パッケージング細胞株をトランスフ
ェクトするために用いられる。アデノウイルス配列のパッケージングのために有
用なパッケージング細胞株の例としては、293細胞、293 E4細胞(Wa
ngら(1995)Gene Therapy 2:775−785)および9
11細胞(Fallauxら(1996)Human Gene Therap
y 7:215−222)が挙げられる。このようなビリオンは、下記のような
遺伝子治療適用のためにさらに用いられ得る。当業者は、本明細書中に記載され
るベクターおよび方法が、当該分野で公知の標準的方法に従って、送達するため
にパッケージングされるべき種々のウイルスベクターを操作するように容易に改
変され得ることを認識する。
【0091】 本発明の別の実施態様では、本発明のギャップを埋めたベクターは、閉じた環
状形態で、または線状化された形態で、非ウイルス性送達ユニットに導入される
。非ウイルス性送達ユニットの例としては、DNAへ複合体化し得る、リポソー
ム、タンパク質複合体、多糖、合成有機ポリマーおよび両親媒性物質(脂質を含
む)が挙げられる。このような送達ユニットへDNAを導入するための方法は、
当該分野で周知である。例えば、「Gene Therapy Protoco
ls」、Robbins編、Humana Press,Totowa,New
Jersey(1997)および「Gene Therapy」、Lemoi
neおよびCooper編、Bios Scientific Publish
ers,Oxford,U.K.(1997)を参照のこと。それゆえ、例えば
、本発明のベクターは、リン酸カルシウム方法論、エレクトロポレーションまた
はマイクロインジェクションを用いて導入され得る。
【0092】 本発明のクローニング系および方法は、種々の目的のために有用である。例え
ば、ベクターは、インビトロおよびインビボでの遺伝子移入、インビボでのワク
チン接種および遺伝子治療を含む、治療的または診断的目的のために用いられ得
る。本発明のアセンブルした送達ユニットは、その中に含まれる核酸荷物(ca
rgo)を標的細胞へと送達するために用いられ得る。
【0093】 それゆえ、本発明は、失われた遺伝子機能を提供し、それゆえ疾患症状を改善
するために用いられ得る。例えば、βサラセミアおよび鎌状赤血球貧血という疾
患は、成体βグロビン遺伝子の異常発現によって引き起こされる。これらの疾患
を被る大部分の個体は、βグロビンについての正常コピーの胎児遺伝子を有する
。しかし、胎児遺伝子は、高メチル化されており、そしてサイレントである。胎
児グロビン遺伝子の置換は、必要とされるグロビン機能を提供し、それによって
疾患症状を改善し得る。
【0094】 本発明はまた、遺伝子を上方調節または下方調節して、ヒトの疾患を担う異常
な遺伝子発現パターンを代償するために用いられ得る。さらに、クローニング系
およびこの使用方法は、遺伝子発現の抑制を含む、良性および悪性の腫瘍および
他のヒト疾患に対する治療アプローチにおいて有用である。他の好ましい実施態
様では、本発明のベクターおよび方法は、ウイルス、植物ならびに動物の分子遺
伝操作のために使用される。
【0095】 従って、目的の発明は、大量の特に大きな核酸(例えば、目的の治療遺伝子の
ような目的の遺伝子を保有する組換えベクター)を生成する手段を本質的に提供
し、ここで本発明の産物は、組換え遺伝子および遺伝子産物について公知のよう
に、任意の種々の使用(例えば、治療的使用または診断的使用)のために用いら
れ得る。
【0096】 以下の実施例は、本発明のさらなる特定の好ましい実施態様を例示することが
意図され、そして全く限定されない。当業者は、単なる慣用実験を用いて、本明
細書中に記載される特定の物質および手順に対する多数の等価物を認識するかま
たは確認し得る。このような等価物は、本発明の範囲内にあると考えられ、そし
て以下の特許請求の範囲によって含まれる。
【0097】 (実施例) 以下は、本明細書に記載される実施例において使用される材料および方法の列
挙である。
【0098】 (プラスミド:)ギャップを埋める(gap−filling)ベクターであ
るp−left、pTrp34.1、pHisAdv−22、pTrp1014
−29およびpTrp366−22を図に記載する。ベクターは、ギャップを埋
めるために必要とされるシス作用エレメントの全てを含み、酵母および細菌の両
方において本発明に従うベクターを維持および環化する。ベクターp2Pucを
図に記載する。それは、アデノウイルスベクターの種々の領域へトランスジーン
をシャトル(shuttle)するために使用され得るベクターの例である。
【0099】 pAd10sacBII(pED−R2P2の構築のために使用される)は、
Pierceら(Proc.Natl.Acad.Sci.(USA)89:2
056−2060、1992)に記載され;そしてpED−R2P2の構築のた
めに使用されるpYAC−S/N−3は、EcoRI部位でのリンカーの挿入な
らびにNotIおよびSfiI部位の導入による、pYAC4由来である。pY
AC4は、Burkeら、Science 236:806−812(1987
)に記載される。pTrp1014−29の構築のために使用されるAd5−1
014を、Wangら、Gene Therapy 4:393−400(19
97)に記載されるようにA1014アデノウイルスのPCR増幅によって単離
した。pLOX−Ade/UraおよびpLOX−CMV−W9を構築するため
に使用されるpAdLOXは、Hardyら(1997)J.Virol.71
:1842−1849に記載される。
【0100】 (酵母および細菌株:)Saccharomyces cerevisiae
株YPH857(MATα、his3−Δ200、trp1Δ1、ura3−5
2、leu2−Δ1、Lys2−801、ade2−101)を、酵母の形質転
換において使用し、そしてTrp+ベクターおよびHIS+ベクターについての選
択を可能にした。E.coli株N53529(これは、構成的に発現されたP
1 Cre組換え遺伝子を含む(例えば、Sauerら(1998)Gene
70:331−341;およびSauerら(1989)Nucl.Acids
Res.17:147−161に記載される通り))を使用して、例えば、S
auerら(1988)前出;Sauerら(1989)前出;Abremsk
iら(1983)Cell 32:1301−1311;およびSteinbe
rgら(1983)Ann.Rev.Genet.17:123−154に記載
されるように、Lox/Cre組換えを使用することによって、本発明のギャッ
プを埋めたアームを環化した。
【0101】 DH10B株(Life Technologies)を、0.7のOD550
への増殖によってエレクトロコンピテント(electrocpmpetent
)にし、そして氷冷10%グリセロールでそれを収集および洗浄し、ドライアイ
スエタノール槽中でフラッシュ凍結し、そして−80℃で保存した。総酵母DN
Aを、Shermanら(以下)に記載されるように調製し、そしてBio−R
ad Gene Pulsar Electroporatorにおいて0.1
cmのキュベットを1,800V、200オーム、および25mFで使用するこ
とによって、E.coli株DH10B中にエレクトロポレートした。細胞を、
回復を可能にし、そしてクローンを、カナマイシン(5mg/l)プレート上で
選択した。当該分野で公知である多くの他の形質転換方法が、本明細書に詳細に
記載されるかまたは参照される方法の代わりに置換され得ることは、当業者に明
らかである。
【0102】 1014欠失は、Armentanoら、Hum.Gen.Ther.6:1
343−1353(1995)に記載される。366欠失は、Armentan
oら、J.Virol.71:2408−2416(1997)に記載される。
【0103】 (アガロースゲル電気泳動)制限フラグメントの長さを決定するために、サイ
ズに基づいて二本鎖DNA分子を分画するための分析方法が、必要である。この
ような分画を達成するために最も一般的に使用される技術(唯一の技術ではない
が)は、アガロースゲル電気泳動である。この方法の原理は、DNA分子が、最
大分子の移動を最も大きな程度に、および最小分子の移動を最も小さな程度に遅
延させる篩ゲル中を移動することである。パルスフィールドゲル電気泳動(PF
GE)は、より大きなDNAフラグメントの分画を可能にする。
【0104】 (サザン転写手順)サザン転写手順(サザンブロッティングともいわれる)の
目的は、分画手順から得られたDNAフラグメントの相対的位置を保持しながら
、アガロースゲル電気泳動によって分画されたDNAをニトロセルロースフィル
ター紙または別の適切な表面もしくは支持体へ転写することである。アガロース
ゲルからニトロセルロースへの転写を達成するために使用されるこの方法論は、
毛管作用または電気泳動的転移によって、ゲルからニトロセルロース紙へDNA
を引き出すことを包含する。サザンハイブリダイゼーション転移手順によるよう
にニトロセルロースフィルター上へ固定化された、ブロットされた核酸のプロー
ブ化を、標識プローブを使用することによって達成し得る。
【0105】 (核酸ハイブリダイゼーション)核酸ハイブリダイゼーションは、相補的塩基
配列を有する2つの一本鎖核酸分子が、適切な条件下で熱力学的に有利な二本鎖
構造を再形成するという原理に依存する。二本鎖構造は、一方がサザンハイブリ
ダイゼーション転移手順によるようにニトロセルロースフィルター上に固定化さ
れる場合でさえ、2つの相補的一本鎖核酸の間で形成する。試験されるべきDN
Aを、制限エンドヌクレアーゼで消化し、アガロースゲル電気泳動によって分画
し、一本鎖形態へ変換し、そしてニトロセルロース紙へ転写する。結合した核酸
を、ハイブリダイゼーションプローブへ再アニーリングするために利用した。ハ
イブリダイゼーション条件の例は、Ausubelら、「Current Pr
otocols in Molecular Biology」、John W
iley&Sons,Inc.、New York,NY(1989)において
見出され得る。例えば、ニトロセルロースフィルターを、50%ホルムアミド、
高濃度塩(5×SSC[20×:3M NaCl/0.3M クエン酸三ナトリ
ウム]または5×SSPE[20×:3.6M NaCl/0.2M NaH2
4/0.02M EDTA、pH7.7])、5×デンハルト溶液、1% SD
Sおよび100μg/ml変性サケ精子DNAを含む溶液中で標識プローブとと
もに68℃で一晩インキュベートする。続いて、以下の所望のストリンジェンシ
ーに基づいて選択される温度で0.2×SSC/0.1% SDS中で数回洗浄
した:室温(低ストリンジェンシー)、42℃(中程度のストリンジェンシー)
または68℃(高ストリンジェンシー)。選択された温度を、DNAハイブリッ
ドの融点(Tm)に基づいて決定する。他のハイブリダイゼーション条件および
洗浄条件を、当該分野で公知の核酸の物理的特徴、核酸ハイブリダイゼーション
速度論および所望の結果によって当業者の自由裁量で利用し得、そして調節し得
る。
【0106】 (ハイブリダイゼーションプローブ)サザンハイブリダイゼーション手順にお
いて特定のDNAを可視化するために、標識化DNA分子またはハイブリダイゼ
ーションプローブを、ニトロセルロースフィルターに結合した、分画したDNA
に反応させる。標識DNAプローブに相補的なDNA配列を保有するフィルター
上の領域は、それら自体が標識されて再アニーリング反応の結果となる。このよ
うな標識化を示すフィルターの領域を、可視化する。ハイブリダイゼーションプ
ローブを、一般に、特定のDNAの分子クローニングによって生成する。この標
識(例えば、放射性核種、発光部分、酵素、抗原など)は当該分野で公知である
【0107】 (PCR増幅)ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)は、大量の標的配列を生成す
るための周知の方法である。一般に、増幅プライマーを、標的基質核酸配列にア
ニールさせる。適切な酵素を使用して、そして適切な条件下で、プライマーに隣
接して見出されるかまたはプライマー間に見出される配列を、合成によって増幅
する。サンプルPCR反応条件は、以下である:標準的なPCR反応緩衝液中に
dNTP(最終濃度200mMの各デオキシヌクレオチド三リン酸)、5’プラ
イマーおよび3’プライマー(各600mM)、鋳型DNA(1g)、MgSO 4 (20mM)、DNAポリメラーゼ(2.5U)(与えられた全ての濃度は、
この反応についての最終濃度である)。この反応を、まず94℃で3分間実施し
、次いで、94℃で1分間、55℃で1分間および68℃で3分間を5サイクル
、続いて、94℃で1分間、63℃で1分間および68℃で3分間を15サイク
ル、続いて、4℃で反応を保持する。個々の反応条件は、例えば、所望の結果お
よび核酸の物理的特性に基づいて、当業者によって設定可能である。
【0108】 (実施例1) (酵母および細菌の形質転換) 酵母株YPH857を、SheistlおよびGeitz(Curr.Gen
et.16:339−346,1989)ならびにShermanら、「Lab
oratory Course Manual Methods in Yea
st Genetics」(Cold Spring Harbor Labo
ratory Press、Cold Spring Harber、1986
)に記載されるような酢酸リチウム法によって、ベクターアーム(PHis A
dv−22(5μg);pTrp1014−29(10μg))およびAd5フ
ィラー(充填)(filler)DNA(10μg)を用いて形質転換した。酵
母形質転換体を、ヒスチジンを欠く選択培地上で選択し、そしてトリプトファン
を欠く選択培地プレート上でスクリーニングした。酵母増殖および表現型試験の
ための標準的な方法を、Shermanら(前出)によって記載されるように利
用した。E.coli株N53529またはDH10Bを0.7のOD550へ細
胞を増殖させてエレクトロコンピテントにし、次いで、氷冷10%グリセロール
でそれを収集および2回洗浄し、ドライアイスエタノール槽中でフラッシュ凍結
し、そして−80℃で保存した。総酵母DNAを、Shermanら(前出)に
記載されるように調製し、そして、例えば、Bio−Rad Gene Pul
sar Electroporatorにおいて0.1cmのキュベットを1,
800V、200オーム、および25mFで使用することによって、E.col
i株中にエレクトロポレートした。細胞を、回復を可能にし、そしてクローンを
、カナマイシン(5mg/l)プレート上で選択した。当該分野で公知である多
くの他の形質転換方法が、本明細書に詳細に記載されるかまたは参照される方法
の代わりに置換され得ることは、当業者に明らかである。
【0109】 (実施例2) (DNAの精製および分析) ベクターからのDNAを、当該分野で公知の方法に従って単離および分析した
。記載される特定の方法に対する例示の目的のためであり、そして限定すること
なく、アデノウイルス配列(本実施例に記載されるような)でギャップを埋めた
、得られた代表的なベクターのDNAを、低融解プラグにおいて調製し、そして
パルスフィールドゲル電気泳動(PFGE)によって分析するか、あるいは適切
な制限エンドヌクレアーゼ(例えば、SmaI)で消化し、そして従来のアガロ
ースゲル電気泳動によって分析した。代替において、ベクターを、クローン化さ
れた特定の配列に基づいて、2つ以上の制限エンドヌクレアーゼで消化した(例
えば、SmaI、I−SceIおよびSmaI/I−SceI消化および標準的
な電気泳動での分析)。これらの目的のために有用な標準的なプロトコルは、G
emmillら(「Advances in Genome Biology」
第1巻、「Unfolding The Genome」217−251頁、R
am S.Verma編)において十分に記載されている。当該分野で公知の多
くの他の方法が、詳細に記載されるかまたは参照される方法の代わりに置換され
得ることは、当業者に明らかである。
【0110】 (実施例3) (HIS左アームの構築) リンカーを、pleft(Mendezら、「Genome Mapping
and Sequencing Meeting」、Cold Spring
Harbor Laboratory Press、Cold Spring
Harbor、1993)(これは、7つの独特なクローニング部位(Lox
p部位およびI−Sce1部位(18マーの稀切断酵素(rare cutte
r)))を含んだ)へクローン化した。構築物であるpleftG−5は、HI
S3、テロメア、LOXp部位およびこの稀切断酵素部位を含む。
【0111】 (実施例4) (TRP右アームの構築) リンカーを、pAd10Sac BII(Pierceら(1992)Pro
c.Natl.Acad.Sci.(USA)89:2056−2060)(こ
こで、4つの独特な部位およびI−SecI部位(18マーの稀切断酵素)が含
まれた)へクローン化した。次の2つのフラグメントは、pYAC−s/n−3
由来であった。第1のフラグメント(これは、CEN、TRP1およびARSマ
ーカーを含む)を、AatIIで切断し、平滑末端化/DNAポリメラーゼKl
enow(New England Biolabs,Beverly、MA)
で充填し、次いで、SfiIで切断して、このフラグメントを放出した。第2の
フラグメント(これは、TELを含む)を、XhoIで切断し;平滑末端化/D
NAポリメラーゼKlenowで充填し、そしてBamHIで切断して、このフ
ラグメントを放出した。3方向の連結を、pAd10sacBII(SfiI/
BamHI)および以前に記載したフラグメントを用いて設定した。PTrp3
4−1は、必要とされる全てのエレメント(TRP1、テロメア、セントロメア
、ARSおよびI−SceI部位)、P1プラスミドレプリコン、KAN、P1
溶解レプリコン(Pierceら(1992)Proc.Natl.Acad.
Sci.89:2056−2060)、4つの独特なクローニング部位ならびに
LoxP部位を、ギャップを埋めるアームのために有する。Trp1014−2
9およびPTrp366−22を、両方、AD5−1014(Armentan
oら(1995)Hum.Gene Ther.6:1343−1353)およ
び/またはAD5−366(Armentanoら(1997)J.Virol
.71:2408−2416)のいずれかの、1.5kbの3’末端のPCRベ
ースのクローニング、さらにBamHIおよびISce−I末端の付加、ならび
にPTrp34−1(I−SceI/BamHI)へのクローニングによって、
作製した。このクローンを使用して、アデノウイルスベクターを含むインサート
のギャップを埋め得、そして1014E4欠失または366欠失のいずれかを、
それぞれ導入し得る。このベクターを、標的化のためにBamHIによって線状
化した。
【0112】 (実施例5) (ベクターのギャップを埋める) 本発明に従うクローニング系の使用を例示するために、代表的なアームple
ft(左アーム)およびpTrp(右アーム)を改変して、アデノウイルスゲノ
ムの一部と5’および3’相同性を共有する配列(すなわち、代表的な標的配列
)を含んだ。pleft6は、HIS3酵母選択マーカー、酵母テロメア配列、
LoxP部位、I−SceI部位、および5’または3’相同性がクローン化さ
れ得るポリリンカーを有する。pTrp34.1は、TRPI酵母選択マーカー
、酵母テロメア配列、LoxP部位、I−SceI部位、P1プラスミドレプリ
コン複製起点、P1溶解レプリコン、KAN遺伝子、ARS、CEN、および5
’または3’相同性がクローン化され得るポリリンカーを有する。3つのエレメ
ントを、従来の方法によってYPH−857酵母細胞株に導入した。
【0113】 (実施例6) (ΔE1/E4(1014)Ad5構築) 酵母における相同性組換えを使用することによって、重複相同片を使用する、
前述の左アーム、右アームおよび標的配列を、酵母中の単一モジュールへ再構築
する。構築物は、両方のアーム(HIS+(TEL)およびTRP+(CEN、A
RS、TEL))が存在し機能的である場合にのみ、維持され、そして安定であ
る。相同性の5’末端および3’末端がクローン化され得る限り、フィラーDN
Aのサイズまたは含量は制限されない。
【0114】 pTrp1014−29(これは、Ad51014由来の十分な3’相同性お
よびE4欠失を共有する配列を含む)を、pHISADV−22(これは、AD
V−1由来の5’末端相同性およびE1欠失を含む)と共に使用した。2つのア
ームを、Ad5 DNAを用いて酵母(YPH857)へ同時トランスフェクト
した。総アデノウイルスDNAでプローブした、Hisについての選択、および
上記のトリプトファンの非存在下での増殖によるTrpについてのスクリーニン
グにより獲得された、得られた陽性クローンのサザンブロット分析は、全マーカ
ー(TRP+、HIS+)を有するようにさらなる分析で見出されたクローン(Y
AC18またはY18)を同定した。Y18は、約65kbのサイズである。こ
の分析は、YAC18を生成する相同組換えが、アデノウイルス、Hisおよび
Trpマーカーを保有する他のクローンと比較して、E1Δの3’末端で生じる
が、E1の5’で生じる相同組換えに起因してE1を含むことによって、より大
きいことを表した。
【0115】 (実施例7) (アデノベクター構築) 代表的なベクターであるpED−R2P2は、1014E4欠失をAd5ウイ
ルスへ導入するために有用である。0〜1.3mμ(マップユニット、1マップ
ユニットは、約360bp;Ad5の5’末端に対応する)を含む650bpの
BclIフラグメントを、LTR領域にハイブリダイズするように設計されたプ
ライマー(5’−ATCGTGATCACATCATCAATAATATACC
−3’)(配列番号1)およびAd5配列の5’末端からの650bpをハイブ
リダイズするように設計された別のプライマー(5’−CAAGTATCGGG
TATATACCTACTAGTACGT−3’)(配列番号2)を使用して、
PCR増幅(以下に記載されるのと同じサイクリングパラメーターを使用する)
によってpAdLOXから単離した。これらのプライマーは、隣接するBclI
部位(これは、BamHI適合性である)もまた含む650bpのフラグメント
を生成するように設計した。得られたフラグメントを、Ad51014由来の十
分な3’末端相同性およびE4欠失を共有する配列を含むpTrp1014−2
9中のBamHI部位にクローン化した。得られた23kbのベクターであるp
ED−R2P2を、Ad5 DNAと共に酵母(YPH857)へ同時トランス
フェクトし、Trpプレート上で選択し、そしてサザンブロットによってE3配
列の存在についてスクリーニングした。次いで、このギャップを埋めたベクター
を、DH10Bへ導入し、カナマイシン選択し、そして増幅した。得られた陽性
クローン(Trpについての選択によって得られた)を、総アデノウイルスDN
Aを用いてプローブして、アデノYAP−R2P2(1014)と命名されたそ
のクローンを同定し、全てのマーカー(すなわち、GFP、およびE3)を有す
ることをさらなる分析において見出した。
【0116】 (実施例8) (変異体アデノベクターの構築) 変異を、pED−R2D2ベクターを使用して、Ad5中に導入した。pED
−R2D2構築物由来の5’末端相同性と共に、3’末端相同性およびE4欠失
Ad51014を含むベクターpED−R2D2を、Ad5−GFP(E4+
DNAまたはAd5−GFP(366)DNAのいずれかを用いて、酵母(YP
H857)へ同時トランスフェクトし、そしてTrpプレート上で選択した。次
いで、ギャップを埋めたベクターを、DH10Bへ導入し、カナマイシン選択し
、そして増幅した。クローンの分析(例えば、制限マッピングによる)は、予測
される変異を示した。
【0117】 (実施例9) (ギャップを埋めたアデノベクターのE1領域の改変) pLOX−Ade/Uraを使用して、酵母マーカーおよびSV40 ポリA
配列を、アデノベクターのE1領域へ移動させた。pLOX−Ade/Uraは
、pAdLOXに由来し、ADE2酵母選択マーカー、およびURA3酵母選択
マーカー、TEL、LoxP部位、I−SceI部位、1〜1.3mμのAd5
領域(Ad5の5’領域に対応する)およびSV40 ポリAを有するポリリン
カーを含んだ。pLOX−Ade/Uraを、Bsu36Iで切断し、Ad5−
GFP(E4+)DNAを用いて酵母株YPH857に同時トランスフェクトし
、そしてSC−URA、SC−Trpプレート上で選択した。Ura/Trp陽
性クローンを、Ade陽性およびGFP陰性であることによって選択した。次い
で、クローンを、エレクトロポレーションによって酵母から細菌へ移動させた。
一旦陽性クローンがカナマイシン選択を使用して選択されると、クローンを増幅
し、そして標準的な方法論によって精製した。次いで、増幅したDNAを必須の
稀切断酵素で消化して、ウイルスゲノムを放出し、そして相補的細胞をトランス
フェクトするため、および感染性アデノウイルスをレスキューするために使用し
た。
【0118】 pAdLOXを使用して、トランスジーン(CMV−W9)を本発明のAd5
ベクターのE1領域へ移動させた。ベクターは、相同組換えを使用することによ
って、トランスジーンのAd5ベクターへの導入ならびにAd5 PAC16−
A/U(E4+、E3+)上に見出されるURA3マーカーの5FOAの陰性選択
およびADE1マーカーの色の選択(白から赤)を可能にする。pLOX−CM
V−W9を、SfiIで切断し、Ad5 PAC16−A/U(E4+、E3+
を用いて酵母株YPH857へ同時トランスフェクトし、そしてSC−Trp、
5FOAプレート上で選択した。Ade-およびCMV−W9+クローンを、エレ
クトロポレーションによって、酵母のバックグラウンドから細菌へ移動させた。
一旦CMV−W9 Ad5クローンがカナマイシン選択を使用して選択されると
、このクローンを、標準的な方法論によって増幅および精製した。次いで、増幅
したDNAを、必須の稀切断酵素で消化して、ウイルスゲノムを放出し、そして
相補的細胞をトランスフェクトするため、および感染性アデノウイルスをレスキ
ューするために使用した。
【0119】 (実施例10) (アーム置換) ギャップを埋めたアデノベクターのHIS3アームを、配列(トランスジーン
p38)の挿入によって変異誘発した。プラスミドp2Pucを使用して、ギャ
ップを埋めたアデノベクターのHIS3アームを改変した。より詳細には、p2
PUCを(a)E1欠失をAd5ベクターへ導入するために、そして(b)ポリ
リンカーへクローニングすることによって、使用し、p38のcDNAのような
トランスジーンを標的化するために使用した。プラスミドp2PUCおよびp2
PUC38を、NotIによって線状化し、そして酢酸リチウム法を使用してア
デノYAC18を含む酵母株中に別々に形質転換した。酵母形質転換体を、リジ
ンを欠く選択培地上で選択し、そしてヒスチジンを欠く選択培地プレート上でス
クリーニングした。Lys+を試験したがHIs-であった酵母クローンを、プラ
グにして、そしてPFGEによって試験した。全てのクローンを、総アデノウイ
ルスDNAと共にハイブリダイズした。YAC18は、65kbで陽性クローン
を示した。酵母株Y18L/H/Tは、Lys+、HIS+およびTRP+であり
、そして65kbおよび70kbで二重泳動(douplet running
)を示す。Y18+p2PUCは、70kbで陽性フラグメントを示し、そして
Y18+p2PUC+p38は、73kbで陽性クローンを示した。Y18は、L
ysプローブについて陰性であり、HISプローブについて陽性であり、そして
p38プローブについて陰性であり、これは、HIS領域がインタクトであり、
そしてp2PUCまたはp2PUC38によって標的化されないことを示す。Y
18+PUCは、Lysについて陽性であり、HISについて陰性であり、そし
てp38について陰性であった。このデータは、Y18+PUCのHIS3(5
’)アームがp2PUCのLysアームによって標的化および置換されており、
そして増加するサイズがpHISAde−22(8kb)とp2PUC(13k
b)との間の差異に起因することを示す。Y18+p38は、Lysについて陽
性であり、HISについて陰性であり、p38について陽性であり、そしてY1
+2PUCよりもわずかに高く(73kb)泳動する。そのことは、Y18+
38のHIS3(5’)アームがベクターp2PUC+p38のLysアームに
よって標的化および置換されており、そしてまたp38トランスジーンを標的化
していることを示す。Y18PUCとY18p38との間のサイズの差異は、p
38のp2PUCへの3kbのインサートに起因し、3kb大きい総組換えベク
ターを作製する。Y18L/H/Tは、LysおよびHISについて陽性である
が、p38について陰性である。二重線は、p2PUC(Lys+)で標的化さ
れたもの、および標的化されていないもの(HIS+、Lys+)が存在する2つ
のベクターが存在することを示す。
【0120】 (実施例11) (1工程) 変異を、アーム上の酵母マーカーに対する選択の使用なしに(すなわち、ギャ
ップを埋めたベクター配列の中間に変異を導入するために)、ギャップを埋めた
ベクターへ導入し得る。ΔE1/E4 1014株(His+、Trp+、Ura + およびAde+)を、稀な部位(I−PpoI)を含むURA/ADEオメガベ
クターで形質転換して、標的後のオメガベクターのベクターへの挿入をマッピン
グした。URA/ADEオメガベクターを改変して、ADV−5のアデノウイル
ス配列と相同性を共有する5’領域中の配列および3’領域中の配列を含んだ。
相同組換えに続いて、得られたクローン(例えば、アデノ802)を単離し、そ
してDNAを上記のように精製した。アデノ802を使用して株ΔE1/E4
1014(His+、Trp+、Ura+およびAde+)を形質転換した。ΔE1
/E4 1014(His+、Trp+、Ura-およびAde-)クローンを、H
isプレート上で選択し、そしてtrpの存在下でAde(赤色選択)、および
Uraの損失についてスクリーニングした。
【0121】 (実施例12) (2工程インおよびアウト) 変異を、アームに対する選択の使用なしにベクターへ導入し、そしてここで、
この変異をエキソビボで酵母から作製した。新規の欠失(delB)を、タンデ
ム複製(C)の標的化およびURA3酵母マーカー上での5FOAの陰性選択に
よるURA3およびADE1の除去によって作製した(Boekeら(1984
)Mol.Gen.Genet.197:345−346;BrownおよびS
zostak(1983)Meth.Enzymol.101:278−290
)。
【0122】 (実施例13) (酵母から細菌系への転移およびベクターの環化) ギャップを埋めたベクターを、酵母バックグラウンドから細菌へ移動させ、そ
して本発明に従う代表的な環化エレメントを使用して環化する。クローンWΔE
1/E4 1014 Lys+Trp+由来の総DNAを、標準的なプロトコルに
従って精製した。E.coli株N53529を、0.7のOD550への増殖に
よってエレクトロコンピテントにし、次いで、氷冷10%グリセロールでそれを
収集および2回洗浄し、ドライアイスエタノール槽中でフラッシュ凍結し、そし
て−80℃で保存した。次いで、総酵母DNAを、Bio−Rad Gene
Pulsar Electroporatorにおいて0.1cmのキュベット
を1,800V、200オーム、および25mFで使用することによって、N5
3529(Cre+)中にエレクトロポレートした。細胞を、回復を可能にし、
そしてクローンを、カナマイシン(5mg/l)プレート上で選択した。陽性ク
ローンを標準的なプラスミド法によって同定、増幅および選択した。アデノウイ
ルス陽性クローンを、I−SceI消化によって線状化した。アームおよび細菌
配列の消化ならびに欠失に続いて、精製したウイルスゲノムを使用して、293
E4/2930F6細胞をトランスフェクトした(Wangら(1995)Ge
ne Therapy 2:775−783)。
【0123】 (実施例14) (組換え送達の操作およびアセンブリ) (ユニット:アデノウイルスアセンブリ) 293−E4細胞を、トランスフェクトの前に48時間、プレートあたり2.
5×106個の細胞で、10cmプレートにプレート化した。トランスフェクト
の1時間前、細胞に10mlの新鮮培地(293/TSA培地):DME、50
mlドナー仔ウシ血清(10%)、5mlグルタミンおよび5mlペン/ストレ
ップ(pen/strep)を供給した。5μgのDNAを、I−SceI消化
によって線状化し、そしてリン酸カルシウム沈殿によって293−E4細胞と組
み合わせた(Wiglerら(1979)Cell 57:777−785)。
トランスフェクション後、細胞を、39℃で5日間インキュベートし、収集し、
次いでドライアイス/エタノール槽中で3回凍結および溶融させた。次いで、細
胞を3000×gで10分間遠心分離し、そして細胞溶解物を、新鮮な293−
E4細胞に添加した。次いで、ウイルスDNAを抽出する(Hirt(1967
)J.Mol.Bio.26:365−369を参照のこと)。アデノウイルス
DNAを、SmaIおよびSmaI/I−SceIで消化する。消化したDNA
を0.7%アガロースゲル上で分画し、そして構造的完全性を確認する。
【0124】 (等価物) 当業者は、本発明の精神および範囲を逸脱することなく、たかだか慣用的な実
験以外を使用して、本明細書に記載される特定の物質および手順に対する多くの
等価物を認識し、または確認し得る。このような等価物は、本発明の範囲内にあ
ると考えられ、そして上述の特許請求の範囲によって包含される。
【0125】 全ての参考文献は本明細書に引用され、そしてその全体において本明細書に参
考として援用される。
【図面の簡単な説明】
本発明の上記および他の目的の局面、その種々の特徴、ならびに本発明自体が
、添付の図面を含む本明細書の記載において提供される。 図面において、以下の略号を使用する:HIS3:酵母HIS3遺伝子;TR
P1:酵母TRP1遺伝子;URA3:酵母URA3遺伝子;ADE1:酵母A
DE1遺伝子;LYS2:酵母LYS2遺伝子;TEL:酵母テロメア;CEN
:酵母セントロメア;ARS:自律複製配列、酵母の複製起点;5FOA:5−
フルオロオロチン酸;mμまたはmu:マップ単位;AMP:アンピシリン耐性
決定因子;KAN:カナマイシン耐性決定因子;Ori;ColE1複製起点;
LOX:LoxP部位;Adeno:アデノウイルス;PCR:ポリメラーゼ連
鎖反応;PFG:パルスフィールドゲル;CMV:サイトメガロウイルス;E1
、E2およびE4:アデノウイルスゲノムの部分;Δ:欠失;GFP:グリーン
蛍光タンパク質;P1:細菌人工染色体;CRE:Creリコンビナーゼ;RE
P:複製起点;Ψ:ウイルスパッケージングシグナル;POLY AA:ポリア
デニル化部位;ITR:逆方向末端反復配列およびPF:パルスフィールド。多
数の制限エンドヌクレアーゼ部位が、公知の命名を使用して示される(例えば、
SnaBI、XhoI、NotI、I−SceI、I−PpoIなど)。
【図1】 図1は、本発明に従う代表的なDNAクローニング系を示す。工程1は、ギャ
ップを埋めたベクターとしての大きなDNAの捕獲、クローニングおよび操作を
するための、酵母細胞中の相同組換えを示す。工程2は、細菌中でのCre−L
ox組換えを促進し、直鎖状構築物を、細菌中で増幅されそして精製され得る環
化された機能的核酸へ変換する、代表的な環化エレメントであるLoxPの使用
を示す。次に、ベクターがウイルスゲノム(すなわち、アデノウイルス)に由来
する場合か、またはウイルスが適切なウイルスエレメントを含むように操作され
る場合、工程3は、細菌細胞がウイルスゲノムを放出し、そして感染性のウイル
ス粒子の回収を可能にするように処理され得ることを、示す。
【図2】 図2は、本発明に従う代表的な環状ベクターを示す。工程1は、ギャップを埋
めたベクターとしての大量のDNAの捕獲、クローニングおよび操作をするため
の、酵母細胞中の相同組換えを示す。工程2は、細菌中で増幅されそして精製さ
れ得るギャップを埋めたベクターの能力を示す。次に、ベクターがウイルスゲノ
ム(例えば、示されるようなアデノウイルス)に由来する場合か、またはウイル
スが適切なウイルスエレメントを含むように操作される場合、工程2は、ベクタ
ーがウイルスゲノムを放出し、そして感染性のウイルス粒子(例えば、示される
ようなアデノウイルス)の回収を可能にするように切断され得ることを示す。
【図3】 図3は、本発明に従う代表的なクローニング系を示す。このクローニング系は
、左アーム(pleftGと命名する)および右アーム(pTrp34−1と命
名する)を含む。
【図4】 図4は、5’および3’末端における配列AおよびBと相同な配列を含む標的
配列の操作のための代表的なベクターの調製を示す。この代表的なベクター(す
なわち、Trp34−1)は、模式的に示すように、TRP1、LoxP部位、
I−SCEI部位、P1プラスミドレプリコンori、P1溶菌レプリコン、K
AN、細菌選択マーカー、ARS、CEN、TEL、ならびに5’−A相同配列
および3’−B相同配列がクローニングされ得るポリリンカーを含む。5’−A
相同配列および3’−B相同配列は、酵母中でギャップを埋めるためにベクター
を直鎖状にするために使用されるNotI認識部位によって隔てられる。
【図5】 図5は、本発明に従う代表的な左アームを示す。リンカーが、7つの独特のク
ローニング部位、LoxP部位およびI−SceI認識部位を含むPleft中
にクローニングされた。生じる構築物PleftG−5は、HIS3、テロメア
(白三角)、LoxP部位および稀な切断酵素認識部位を含む。PHis AD
V−22もまた、アデノウイルス粒子のような送達ユニットと組み合わせて、本
発明に従って、使用され得る。
【図6】 図6は、本発明に従う代表的な右アームを示す。代表的な右アームであるpT
rp34−1は、ギャップを埋めるアームのための、TRP1、テロメア、セン
トロメア、ARS、I−SceI部位、P1プラスミドレプリコン、KAN、P
1溶菌レプリコン、4つの独特のクローニング部位およびLoxP部位を含む。
pTrp1014−29およびpTrp366−22の両方が、AD5−101
4またはAD5−366のいずれかの3’末端の1.5kbのPCR増幅によっ
て得られ、そしてpTrp34−1中にクローニングされた。
【図7】 図7は、Ad5ウイルス中への1014 E4欠失の導入のために有用な、代
表的なベクターpED−R2P2を示す。
【図8】 図8は、相同性の3’末端およびE4欠失を含む代表的なベクターであるpE
D−R2D2、Ad510T4を、pR2P2構築物由来の相同性の5’末端と
ともに使用するAd5構築物の構築を示す。
【図9】 図9は、本発明に従う代表的なギャップを埋めたベクターの生成を示す。酵母
における相同組換えを使用して、示されるような3つの重複する相同部分を、酵
母中の酵母人工染色体中に再構築する。両方のアームHIS+(TEL)および
Trp+(CEN、ARS、TEL)が、存在して機能的である場合、ギャップ
を埋めたベクターは、維持され、そして安定である。
【図10】 図10は、アーム置換プラスミドp2Pucの構築の図示である。図に示すよ
うに、以下の工程を達成した:(i)45bpのリンカーをpYAC−4中にク
ローニングした、(ii)His3遺伝子を除去した、(iii)Ura3遺伝
子を除去した、(iv)酵母マーカーLYS2を挿入した、そして(v)Ad5
の5’末端を挿入した。生じる構築物p2Pucは、LYS2、テロメア、Lo
xP部位、稀な切断酵素認識部位およびAd5の5’末端を含む。p2Pucを
使用して、ギャップを埋めたアデノベクターの5’末端を改変し得る。
【図11】 図11は、ウイルスアーム置換のプロセスの図示である。プラスミドp2Pu
cを使用して、ギャップを埋めたアデノベクターのHIS3アームを改変する。
本発明のその局面に従って、p2Pucを使用して、トランスジーンをアデノベ
クターのE1領域中に移動させる。このベクターを使用して、Adゲノム中に、
トランスジーンを移動させ得るか、またはE1欠失を導入し得る。
【図12】 図12は、本発明に従う方法の図示である。この方法によって、アーム上の酵
母マーカーに対する選択を使用することなく、変異をベクター中に導入し得る。
例示するように、本発明に従う方法は、ベクターの操作のための、汎用性のある
アプローチである。実施例において、エキソビボで変異誘発した酵母株を使用し
て、ベクターの中央に変異を作製した。
【図13】 図13は、ギャップを埋めた環状ベクターのE1領域を改変するための、本発
明の方法およびベクターの使用を示す図示である。
【図14】 図14は、本発明に従う方法の図示である。この方法によって、アームに対す
る選択を使用することなく、ベクター中に変異を導入し得る。そしてこの方法に
おいて、変異は、(クローン化された)酵母のエキソビボにおいて作製されてい
ない。この図において、新規の欠失(delB)を、縦列重複(C)を標的化す
ることによって、およびURA3酵母マーカーにおける5FOAのネガティブ選
択によるURA3およびADE1酵母マーカーの除去によって、作製した。
【図15】 図15は、本発明の方法の図示である。この方法によって、ギャップを埋めた
ベクターは、(a)Creタンパク質を発現する細菌株Cre−Lox組換えに
よって環化され;(b)従来のプロトコールに従って、細菌中で増幅されそして
精製され;そして(c)直鎖化の後に、相補細胞株中に移入され、本発明の実施
態様に従う組換えアデノウイルス粒子を産生する。
【図16】 図16は、トランスジーン(CMV−W9)のAd5ベクターのE1領域内へ
の移動を示す図示である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (31)優先権主張番号 09/484,830 (32)優先日 平成12年1月18日(2000.1.18) (33)優先権主張国 米国(US) (81)指定国 EP(AT,BE,CH,CY, DE,DK,ES,FI,FR,GB,GR,IE,I T,LU,MC,NL,PT,SE),OA(BF,BJ ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GW,ML, MR,NE,SN,TD,TG),AP(GH,GM,K E,LS,MW,MZ,SD,SL,SZ,TZ,UG ,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,MD, RU,TJ,TM),AE,AG,AL,AM,AT, AU,AZ,BA,BB,BG,BR,BY,CA,C H,CN,CR,CU,CZ,DE,DK,DM,DZ ,EE,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM, HR,HU,ID,IL,IN,IS,JP,KE,K G,KP,KR,KZ,LC,LK,LR,LS,LT ,LU,LV,MA,MD,MG,MK,MN,MW, MX,MZ,NO,NZ,PL,PT,RO,RU,S D,SE,SG,SI,SK,SL,TJ,TM,TR ,TT,TZ,UA,UG,US,UZ,VN,YU, ZA,ZW Fターム(参考) 4B024 AA20 BA80 CA02 DA02 DA06 DA12 EA02 FA15 4B065 AA80X AA90X AB01 BA01 CA24 CA44

Claims (47)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 クローニング系であって、以下: (a)第1の選択マーカーおよび第1の環化エレメントを有する、第1のアー
    ム;および (b)第2の選択マーカーおよび第2の環化エレメントを有する、第2のアー
    ム を含み、ここで、少なくとも1つのアームが複製起点をさらに含む、 クローニング系。
  2. 【請求項2】 各アームが希少な制限エンドヌクレアーゼ認識部位をさらに
    含む、請求項1に記載のクローニング系。
  3. 【請求項3】 各アームがポリリンカーをさらに含む、請求項1に記載のク
    ローニング系。
  4. 【請求項4】 前記第1の環化エレメントが、第1のLOX部位を含む核酸
    であり、かつ前記第2の環化エレメントが、第2のLOX部位を含む核酸である
    、請求項1に記載のクローニング系。
  5. 【請求項5】 請求項1に記載のクローニング系であって、ここで: (a)前記第1のアームが、標的核酸の5’末端に相同な第1の核酸をさらに
    含み;そして (b)前記第2のアームが、該標的核酸の3’末端に相同な第2の核酸をさら
    に含む、 クローニング系。
  6. 【請求項6】 請求項1に記載のクローニング系および標的配列を含む、組
    成物。
  7. 【請求項7】 前記標的配列がウイルスの核酸である、請求項6に記載の組
    成物。
  8. 【請求項8】 前記ウイルスがDNAウイルスである、請求項7に記載の組
    成物。
  9. 【請求項9】 前記DNAウイルスが、アデノウイルス、アデノ随伴ウイル
    ス、ポックスウイルス、パポバウイルスおよびヘルペスウイルスからなる群より
    選択される、請求項8に記載の組成物。
  10. 【請求項10】 前記ウイルスがRNAウイルスである、請求項7に記載の
    組成物。
  11. 【請求項11】 前記RNAウイルスがレトロウイルスである、請求項10
    に記載の組成物。
  12. 【請求項12】 前記レトロウイルスがレンチウイルスである、請求項11
    に記載の組成物。
  13. 【請求項13】 前記レンチウイルスがヒト免疫不全ウイルスである、請求
    項12に記載の組成物。
  14. 【請求項14】 以下を含む、ベクター: (a)酵母選択マーカー; (b)細菌選択マーカー; (c)テロメア; (d)セントロメア; (e)細菌複製エレメント; (f)酵母複製エレメント;および (g)少なくとも1つの希少な制限エンドヌクレアーゼ認識部位。
  15. 【請求項15】 少なくとも1つの独特の制限エンドヌクレアーゼ認識部位
    を含む、請求項14に記載のベクター。
  16. 【請求項16】 ポリリンカーを含む、請求項14に記載のベクター。
  17. 【請求項17】 標的核酸の5’末端に相同な第1の核酸、および該標的核
    酸の3’末端に相同な第2の核酸を含む、請求項14に記載のベクター。
  18. 【請求項18】 標的核酸をさらに含む、請求項14に記載のベクター。
  19. 【請求項19】 前記標的核酸がウイルスの核酸配列である、請求項18に
    記載のベクター。
  20. 【請求項20】 請求項1に記載のクローニング系を含む、真核生物宿主細
    胞。
  21. 【請求項21】 前記真核生物宿主細胞が酵母細胞である、請求項20に記
    載の真核生物宿主細胞。
  22. 【請求項22】 前記酵母細胞がSaccharomyces cerev
    isiaeである、請求項21に記載の真核生物宿主細胞。
  23. 【請求項23】 請求項14に記載のベクターを含む、細胞。
  24. 【請求項24】 真核生物細胞である、請求項23に記載の細胞。
  25. 【請求項25】 前記真核生物細胞が酵母細胞である、請求項24に記載の
    細胞。
  26. 【請求項26】 前記酵母細胞がSaccharomyces cerev
    isiaeである、請求項25に記載の細胞。
  27. 【請求項27】 請求項6に記載の組成物を含む、細胞。
  28. 【請求項28】 真核生物細胞である、請求項27に記載の細胞。
  29. 【請求項29】 前記真核生物細胞が酵母細胞である、請求項28に記載の
    細胞。
  30. 【請求項30】 前記酵母細胞がSaccharomyces cerev
    isiaeである、請求項29に記載の細胞。
  31. 【請求項31】 細菌である、請求項27に記載の細胞。
  32. 【請求項32】 請求項7に記載の組成物を含む、細菌細胞。
  33. 【請求項33】 請求項1または請求項18に記載のベクターを含む、細胞
  34. 【請求項34】 細菌である、請求項33に記載の細胞。
  35. 【請求項35】 標的核酸を含むベクターを生成する方法であって、相同組
    換えを可能にする条件下で、以下: (a)標的核酸; (b)該標的核酸の5’末端に相同な核酸、第1の選択マーカーおよび第1の
    環化エレメントを含む、第1のアーム;ならびに (c)該標的核酸の3’末端に相同な第2の核酸、第2の選択マーカー、およ
    び第2の環化エレメントを含む、第2のアーム を接触させる工程を包含し、ここで、(a)、(b)および(c)の相同組換え
    は、該標的核酸を含む該ベクターを生成する、方法。
  36. 【請求項36】 少なくとも1つのアームが複製起点をさらに含む、請求項
    35に記載の方法。
  37. 【請求項37】 各アームが希少な制限エンドヌクレアーゼ認識部位をさら
    に含む、請求項35に記載の方法。
  38. 【請求項38】 前記第1の環化エレメントが、第1のLoxP部位を含む
    核酸であり、かつ前記第2の環化エレメントが、第2のLoxP部位を含む核酸
    である、請求項35に記載の方法。
  39. 【請求項39】 相同組換えが酵母細胞中で生じる、請求項35に記載の方
    法。
  40. 【請求項40】 前記標的核酸を含む前記ベクターを環化する工程をさらに
    包含する、請求項35に記載の方法。
  41. 【請求項41】 請求項38に記載の方法であって、ここで、前記ベクター
    は、前記第1のLoxP部位および前記第2のLoxP部位をCreに接触させ
    て環化され、これによって、部位特異的組換えによる環化された組換えベクター
    を生成する、方法。
  42. 【請求項42】 前記ベクターが細菌中で環化される、請求項38に記載の
    方法。
  43. 【請求項43】 前記標的核酸を含む前記ベクターを、該ベクターを増殖さ
    せるために細菌中に導入する工程をさらに包含する、請求項35に記載の方法。
  44. 【請求項44】 組換え核酸を生成する方法であって、以下: (a)以下: (i)標的核酸;ならびに (ii)作動可能に連結した以下を含む、ベクター: (1)酵母選択マーカー; (2)細菌選択マーカー; (3)テロメア; (4)セントロメア; (5)酵母複製エレメント; (6)細菌複製エレメント; (7)該標的核酸の5’末端に相同な核酸; (8)該標的核酸の3’末端に相同な核酸;および (9)少なくとも1つの希少な制限エンドヌクレアーゼ認識部位 を酵母細胞中で接触させる工程であって、ここで、(i)および(ii) の相同組換えが該組換え核酸を生成する、工程; (b)該酵母細胞から該組換え核酸を単離する工程;ならびに (c)該組換え核酸を細菌に導入する工程であって、ここで、該組換え核酸が 該細菌中で増幅される、工程 を包含する、方法。
  45. 【請求項45】 前記酵母細胞がSaccharomyces cerev
    isiaeである、請求項44に記載の方法。
  46. 【請求項46】 前記細菌がEscherichia coliである、請
    求項44に記載の方法。
  47. 【請求項47】 前記標的核酸がウイルス核酸を含む、請求項44に記載の
    方法。
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