JP4787440B2 - 変異型frt配列を含有してなるdna - Google Patents

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Description

技術分野
本発明は、変異型FRT配列を含有したDNAとその応用に関する。さらに詳しくは、野生型FRT配列とは特異的組換え反応は起こさないが変異型同士では特異的組換え反応を起こす変異型FRT配列と、該変異型FRT配列を用いた遺伝子置換方法並びに特異的DNA組換え方法に関する。
背景技術
酵母(Saccharomyces cerevisiae)の2ミクロンDNAによりコードされるリコンビナーゼFLPは、FRT配列と呼ばれる34塩基の特定のDNA配列を認識し、2つのFRT配列間でDNA鎖の切断、鎖の交換と結合の全行程を行なう部位特異的なDNA組換え酵素である(Babineau et al.,J.Biol.Chem.,Vol.260,12313−12319(1985))。同一DNA分子上に同方向の2つのFRT配列が存在する場合は、リコンビナーゼFLPによりその間に挟まれたDNA配列が切り出されて環状分子となり(切り出し反応)、またその逆に、異なるDNA分子上に2つのFRT配列が存在し、その一方が環状DNAである場合は、FRT配列を介して環状DNAが他方のDNA分子上に挿入される(挿入反応)。
挿入反応と切り出し反応は可逆的であるが、挿入反応により同一DNA分子上に2つのFRT配列が存在すると、ただちに切り出し反応も起こるため、反応の平衡は切り出し反応側に偏っている。従って、挿入反応により任意のDNAを他のDNA分子上に挿入できる頻度は極めて低いことが知られている。
FRT配列は34塩基のDNA配列からなり(Jayaram et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.Vol.82.5875−5879(1985))、2つの13塩基の逆方向反復配列(inverted repeat)に挟まれた8塩基の配列はスペーサー領域と呼ばれ、DNA鎖の組換えはスペーサー領域で行われることが知られている(Umlauf SW.et al.,EMBO Journal,Vol.7.1845−1852(1988)、Lee J.et al.,EMBO Journal,Vol.18.784−791,1999)。FRT配列(配列番号:1)を示す。
Figure 0004787440
このスペーサー領域の塩基を本来のFRT配列(野生型FRT配列)とは異なる塩基に変える(変異型FRT配列)ことにより、野生型FRT配列との間では特異的DNA組換え反応が起きないが、2つの変異型FRT配列間では特異的DNA組換え反応が起きることが発見された(Schlake T.et al.,Biochemistry,Vol.33.12746−12751(1994))。さらに、この変異型FRT配列を用い、動物由来培養細胞において、リコンビナーゼFLPの存在下に異なる2つのDNA分子に存在する遺伝子を置換できることが示された。すなわち、あるDNA分子の変異型FRT配列と野生型FRT配列との間に存在する遺伝子Aを、他のDNA分子上に存在する変異型FRT配列と野生型FRT配列との間に存在する遺伝子Bと置換できることが示された(Schlake T.et al.,Biochemistry,Vol.33.12746−12751(1994)、Seibler J.et al.,Biochemistry,Vol.36.1740−1747(1997))。
FRT配列のスペーサー領域に変異を導入した既存の変異型FRT配列として、TATTTGAA(F3という)をスペーサー領域に有する配列(配列番号:6)が知られている(前述Seibler J.ら)。Seiblerらは、この変異型FRT配列(F3)と野生型FRT配列とを用い、動物細胞染色体での遺伝子置換を行なったが、置換前後の遺伝子に薬剤耐性遺伝子を用い、薬剤選択により遺伝子置換された細胞の濃縮を行なったにもかかわらず、遺伝子置換効率は21−38%に過ぎなかった(Seibler J.et al.,Biochemistry,Vol.37.6229−6234(1998))。薬剤選択を行わなければ、この遺伝子置換効率はさらに低下すると考えられる。すなわち、先行技術のF3の変異は、効率の良い遺伝子置換反応を行なうには不十分な配列であり、より効率の良い変異型FRT配列が求められている。
また、CTTGTGAA(F5という)のスペーサー領域を有する変異型FRT配列(配列番号:7)を用いた遺伝子置換の効率も実用には不十分である。
発明の開示
本発明の目的は、リコンビナーゼFLPの存在下、野生型FRT配列とは組換え反応が起きないが、同一配列の2つの変異型FRT配列間では組換え反応が起こる変異型FRT配列を含有したDNAを提供することにある。さらに本発明の目的は、野生型FRT配列と変異型FRT配列又は異なる配列の変異型FRT配列との組み合わせにより、動物細胞をはじめとする高等真核細胞で、効率の高い遺伝子挿入もしくは遺伝子置換を行なう方法を提供し、その方法を動植物細胞への遺伝子導入、組換えウイルス作製、動植物個体での遺伝子操作などに応用することにある。
本発明者らは、目的の変異型FRT配列を検索するため、FLP依存DNA組換え反応の効率を測定する非常に鋭敏かつ直接的なin vitroの試験方法の開発に成功した。この試験法を用い、FRT配列のスペーサー領域を他の塩基に置換した新たな変異型FRT配列のDNA組換え反応の効率を測定することにより、野生型FRT配列とは組換え反応が起きないが、同一配列の2つの変異型FRT配列間での組換え反応が起こる新たな変異型FRT配列を発見することに成功した。
すなわち、本発明は、
〔1〕 酵母2ミクロンDNA由来の下記の野生型FRT配列(配列番号:1):
Figure 0004787440
において、中央部の8塩基(スペーサー領域)の塩基が下記(1)〜(4):
(1)TCTCTGGA (f2161)
(2)TCTCCAGA (f2151)
(3)TATCTTGA (f2262)及び
(4)TTTCTGGA (f61)
からなる群より選ばれた配列の塩基に置換された配列を有する変異型FRT配列(それぞれ配列番号:2〜5)を含有してなるDNA;
〔2〕 前記〔1〕に規定された変異型FRT配列において、スペーサー領域を除く領域において少なくとも1個の塩基の置換をさらに有する配列からなり、下記(A)及び(B)の性質を有する変異型FRT配列を含有してなるDNA:
(A)リコンビナーゼFLPの存在下でも野生型FRT配列との間で特異的DNA組換え反応が起こらない、及び
(B)リコンビナーゼFLPの存在下、同一の配列を有するもう1つの変異型FRT配列との間で特異的DNA組換え反応が起こる;
〔3〕 リコンビナーゼFLPの存在下でも、異なる配列を有するもう1つの変異型FRT配列との特異的DNA組換え反応が起こらない、前記〔1〕又は〔2〕記載の変異型FRT配列を含有してなるDNA;
〔4〕 少なくとも1つの野生型FRT配列と少なくとも1つの前記〔1〕〜〔3〕いずれかに規定された変異型FRT配列とを含有してなるDNA;
〔5〕 野生型FRT配列と変異型FRT配列との間に所望の遺伝子を有してなる前記〔4〕記載のDNA;
〔6〕 互いに異なる配列をもつ少なくとも2つの前記〔3〕に規定された変異型FRT配列を含有してなるDNA;
〔7〕 互いに異なる配列をもつ2つの変異型FRT配列の間に所望の遺伝子を有してなる前記〔6〕記載のDNA;
〔8〕 前記〔4〕〜〔7〕いずれかに記載のDNAにより形質転換された細胞;
〔9〕 下記のDNA(a)及びDNA(b)をリコンビナーゼFLPの存在下に反応させ、下記のDNA(c)を得ることを特徴とする遺伝子置換方法:
DNA(a):野生型FRT配列、遺伝子A及び前記〔1〕〜〔3〕いずれかに記載の変異型FRT配列をこの順に有するDNA;
DNA(b):野生型FRT配列、遺伝子B及びDNA(a)と同じ変異型FRT配列をこの順に有するDNA;
DNA(c):DNA(a)において、遺伝子Aが遺伝子Bに置換されたDNA;
ここで、遺伝子A及び遺伝子Bは互いに異なる任意の遺伝子である;
〔10〕 下記のDNA(d)及びDNA(e)をリコンビナーゼFLPの存在下に反応させ、下記のDNA(f)を得ることを特徴とする遺伝子置換方法:
DNA(d):互いに異なる配列をもつ2つの前記〔3〕に規定された変異型FRT配列(それぞれ変異型FRT配列1及び変異型FRT配列2という)及び遺伝子Aを変異型FRT配列1、遺伝子A及び変異型FRT配列2の順に有するDNA;
DNA(e):変異型FRT配列1、遺伝子B及び変異型FRT配列2をこの順に有するDNA;
DNA(f):DNA(d)において、遺伝子Aが遺伝子Bに置換されたDNA;
ここで、遺伝子A及び遺伝子Bは互いに異なる任意の遺伝子である;
〔11〕 遺伝子Bが機能的な遺伝子ではないことを特徴とする、前記〔9〕又は〔10〕記載の方法;
〔12〕 遺伝子Aが機能的な遺伝子ではないことを特徴とする、前記〔9〕又は〔10〕記載の方法;
〔13〕 DNA(a)若しくはDNA(d)が細胞の染色体DNAであり、DNA(b)若しくはDNA(e)がプラスミドDNA又は二本鎖環状DNAウイルスのDNAである、前記〔9〕〜〔12〕いずれかに記載の方法;
〔14〕 DNA(a)若しくはDNA(d)が細胞の染色体DNAであり、DNA(b)若しくはDNA(e)が細胞内で変換されることにより二本鎖環状DNAとなる性質を有する、前記〔9〕〜〔12〕いずれかに記載の方法;
〔15〕 DNA(a)若しくはDNA(d)が二本鎖DNAウイルスの染色体DNAであり、DNA(b)若しくはDNA(e)がプラスミドDNA又は二本鎖環状DNAウイルスのDNAである、前記〔9〕〜〔12〕いずれかに記載の方法;
〔16〕 DNA(a)若しくはDNA(d)が二本鎖DNAウイルスの染色体DNAであり、DNA(b)若しくはDNA(e)が細胞内で変換されることにより二本鎖環状DNAとなる性質を有する、前記〔9〕〜〔12〕いずれかに記載の方法;
〔17〕 二本鎖DNAウイルスがアデノウイルスである、前記〔15〕又は〔16〕記載の方法;
〔18〕 前記〔4〕〜〔7〕いずれかに記載のDNAを染色体上に有してなるトランスジェニック動物;
〔19〕 前記〔4〕〜〔7〕いずれかに記載のDNAを含有してなる医薬;並びに
〔20〕 酵母2ミクロンDNA由来の下記の野生型FRT配列(配列番号:1):
Figure 0004787440
において、スペーサー領域の7番目の塩基にGからCへの置換を有する2つの変異型FRT配列(配列番号:32)を用い、リコンビナーゼFLPの存在下に特異的DNA組換え反応を行なうことを特徴とする、特異的DNA組換え方法に関する。
発明を実施するための最良の形態
本発明の変異型FRT配列を含有したDNAは、酵母2ミクロンDNA由来の下記の野生型FRT配列(配列番号:1):
Figure 0004787440
において、中央部の8塩基(スペーサー領域)の塩基が下記(1)〜(4):
(1)TCTCTGGA (f2161)
(2)TCTCCAGA (f2151)
(3)TATCTTGA (f2262)及び
(4)TTTCTGGA (f61)
からなる群より選ばれた配列の塩基に置換された配列を有する変異型FRT配列(それぞれ、配列番号:2〜5)を含有したDNAである。本発明のDNAは、前記(1)〜(4)からなる群より選ばれた配列を含有するため、リコンビナーゼFLPの存在下、野生型FRT配列とは組換え反応が起きないが、同一配列の2つの変異型FRT配列間では組換え反応が起こるという優れた性質を発現する。また、本発明のDNAによれば、より高い遺伝子置換効率で遺伝子置換を行なうことができる。
また、本発明の変異型FRT配列を含有したDNAは、単離DNAであってもよく、合成DNAであってもよい。
本発明において、「リコンビナーゼFLP」とは、酵母(Saccharomyces cerevisiae)の2ミクロンDNAによりコードされ、2つのFLPの認識配列(FRT配列)間の部位特異的組換え反応を行なう酵素をいう(Babineau et al.,J.Biol.Chem.,Vol.260,12313−12319(1985))。リコンビナーゼFLPにより、同一方向に配置された2つのFRT配列に挟まれた領域を切り出すことが可能である。
本発明において、「FRT配列」とは、配列番号:1に示される34塩基からなるDNA配列(Jayaram et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.Vol.82.5875−5879(1985))をいう。「スペーサー領域」とは、前記FRT配列中の2つの逆方向反復配列(13bp)に挟まれた8塩基のDNA配列をいう。本明細書においては、この34塩基からなるFRT配列を特に「野生型FRT配列」と称する。
本発明において、「変異型FRT配列」とは、上記野生型FRT配列の少なくとも1つの塩基が他の塩基に置換されたDNA配列をいう。本発明において、「スペーサー領域を置換した変異型FRT配列」とは、野生型FRT配列の8塩基のスペーサー領域のうち少なくとも1つの塩基が他の塩基に置換されたDNA配列をいう。
本発明の変異型FRT配列を含有したDNAは、前述した変異型FRT配列のうち、野生型FRT配列とはFLP依存DNA組換え反応が起こらないが、同一配列の2つの変異型FRT配列間での組換え反応が起こる変異型FRT配列を含有したDNAである。従って、スペーサー領域だけでなく逆方向反復配列部の塩基がさらに置換されている変異型FRT配列であっても、上記性質を満たす限りは本発明の変異型FRT配列に含まれる。
すなわち、本発明の変異型FRT配列を含有したDNAには、変異型FRT配列において、スペーサー領域を除く領域において少なくとも1個の塩基の置換をさらに有する配列からなり、下記(A)及び(B)の性質:
(A)リコンビナーゼFLPの存在下でも野生型FRT配列との間で特異的DNA組換え反応が起こらない、及び
(B)リコンビナーゼFLPの存在下、同一の配列を有するもう1つの変異型FRT配列との間で特異的DNA組換え反応が起こる、
を有する変異型FRT配列を含有したDNAも含まれる。
かかるDNAには、リコンビナーゼFLPの存在下でも、異なる配列を有するもう1つの変異型FRT配列との特異的DNA組換え反応が起こらないという性質を有する配列を含有したDNAも含まれる。
また、本明細書においては、変異型FRT配列において、スペーサー領域を除く領域において塩基の欠失または挿入を有する配列からなるDNAであっても、前記(A)及び(B)の性質を有する配列を含有したDNAも本発明の範囲に含まれる。
なお、本明細書においては、「野生型FRT配列」と「変異型FRT配列」とを包括的に、単に「FRT配列」と称する場合がある。
本明細書において、「リコンビナーゼFLPの存在下での特異的DNA組換え反応」と「FLP依存DNA組換え反応」とは同じ意味であり、リコンビナーゼFLPの存在する条件下に、2つのFRT配列を含有したDNAの間で起こる、DNA鎖の切断、DNA鎖の交換と結合の全行程の反応のことをいう。
本発明の変異型FRT配列を含有したDNAとしては、例えば、少なくとも1つの野生型FRT配列と少なくとも1つの前記変異型FRT配列とを含有したDNA並びに互いに異なる配列をもつ少なくとも2つの前記変異型FRT配列を含有したDNA等が挙げられるが、特にこれらに限定されるものではない。
かかるDNAを用いて、2つのFRT配列の間、すなわちFRT配列とFRT配列との間に所望の遺伝子を有するDNAを作製し、得られたDNAを遺伝子置換法に用いることができる。かかるDNAも本発明に含まれる。具体的には、野生型FRT配列と変異型FRT配列との間に所望の遺伝子を有したDNA、互いに異なる2つの変異型FRT配列の間に所望の遺伝子を有したDNAが挙げられる。
前記「所望の遺伝子」は、特に制限はなく、タンパク質をコードする遺伝子や、プロモーターやポリA配列などの構造遺伝子、あるいはリンカー等の機能を有しない遺伝子であってもよい。
本明細書において、「遺伝子置換」とは、異なる2つのDNA分子上に存在する遺伝子を入れ換えることをいう。リコンビナーゼFLPの存在下に、野生型FRT配列と変異型FRT配列とを用いて遺伝子置換を行なう方法の概念は、既存の文献(Schlake T.et al.,Biochemistry,Vol.33.12746−12751(1994))に開示されている。
本発明の変異型FRT配列を含有したDNAを用いた遺伝子置換法のDNA組換え反応効率は、本発明者らが開発した非常に鋭敏かつ直接的なin vitroのFLP依存DNA組換え反応効率の測定方法により測定することができる。
本測定方法の概略は、適当な長さのDNAに2つのFRT配列を挿入した基質DNAをリコンビナーゼFLP存在下に一定時間反応後、適当な制限酵素で消化し、電気泳動により分離したDNAバンドのサイズから反応効率を測定するものである。反応前の基質DNAバンドの量と組換え反応により生じたDNAバンドの量が直接比較できるため、DNA組換え反応効率を定量的に測定できる。すでに本発明者らは、同様の原理で他のリコンビナーゼであるP1ファージ由来のCre依存DNA組換え反応の効率を測定する方法を確立している(Lee,G.et al.,Gene Vol.14,55−65(1998))。以下に本測定方法を詳しく説明する。
まず、野生型FRT配列及びそのスペーサー領域を他の塩基に置換した変異型FRT配列を有するDNAを合成する。当該DNAを合成する方法としては、PCR法、部位特異的変異法など特に制限はないが、DNA合成機等を用いて化学的に相補的な一本鎖DNAを合成し、その後相補鎖をアニーリングし二本鎖DNAとして用いるのが望ましい。FRT配列を有するDNAは、34塩基のFRT配列を含んでいれば特に制限はないが、FRT配列以外に制限酵素の認識配列を含むことが望ましい。
次に、野生型又は変異型FRT配列を有する上記DNAを、適当な長さのDNA断片、例えばプラスミドpBR322を制限酵素消化して直鎖状にしたDNA断片の両端に連結し、両端に2つの野生型FRT配列もしくは、2つの同じ配列の変異型FRT配列を有する直鎖状DNA断片を調製する。次いで、このDNA断片に適当な長さのDNA断片、例えば、アデノウイルス由来のDNA断片を連結したプラスミドを作製し、これを制限酵素消化して直鎖状の基質DNAを調製する。また、野生型FRT配列を1つ有するプラスミドから、同様の方法により、野生型FRT配列と変異型FRT配列とを有する直鎖状の基質DNAを調製する。
リコンビナーゼFLPを含む酵素溶液の調製法は特に制限はなく、リコンビナーゼFLPを発現するように工夫された酵母、大腸菌等や、培養細胞などから調製できるが、リコンビナーゼFLPを発現する組換えアデノウイルスを感染させた培養細胞の抽出液を用いることが好ましい。その理由は、組換えアデノウイルス感染細胞では、目的のタンパク質を大量に発現するからである。
以上の基質DNAとリコンビナーゼFLPを含む酵素溶液とを一定時間反応させた後、反応液を適当な制限酵素で消化し、アガロース電気泳動で生じたDNAバンドを解析する。この測定方法では、未反応の基質DNA、組換え反応により生じたDNA、及び組換え反応の中間体DNAの量を直接比較できるため、2つの同じ配列の変異型FRT配列間、及び野生型FRT配列と変異型FRT配列との間での組換え反応の効率を定量的にかつ高感度に測定できる。
本発明者らは、FRT配列のスペーサー領域の2番目の塩基の変異と5〜7番目の塩基の変異の組合せが特に重要との仮説を立て、f2161(配列番号:2)、f2151(配列番号:3)、f2262(配列番号:4)、f2272(配列番号:8)、f2373(配列番号:9)の5種類の変異型FRT配列を考案した。さらに、2塩基置換との比較のため、1塩基のみ置換したf61変異型FRT配列(配列番号:5)も考案した。
次いで、前記6種類の変異型FRT配列に関して、同じ配列を有する2つの変異型FRT配列間での組換え反応の効率を、前記測定系で測定する。なお比較のため、先行技術の変異であるF3並びにその他の1塩基置換の2種類の変異型FRT配列(第2図参照)についても測定した。
先行技術であるF3の配列を有する変異型FRT配列の組換え効率は、野生型FRT配列の約65%であり、十分な組換え効率でないことが示された。一方、本発明のf2161とf2262の変異型FRT配列は、F3よりも高い組換え効率を示し、f2151とf61それぞれの組換え効率は、F3とほぼ同じかやや低いものの実用上十分に使用可能な効率であった。すなわち、f2161、f2262、f2151及びf6の各変異型FRT配列は、本発明の目的を達しうる変異型FRT配列である。また、配列公知のf72(配列番号:32)は、予想外の結果を示し、野生型FRT配列の2倍以上の組換え効率を示した。すなわち、f72は、野生型FRT配列よりも効率の高い、FLP依存DNA組換え反応の基質として用いることができる。
さらに、野生型FRT配列と変異型FRT配列間での組換え反応の効率を同様に測定することにより、野生型FRT配列とは特異的組換え反応は起こさないが変異型同士では特異的組換え反応を起こす変異型FRT配列を目的の変異型FRT配列として選択することができる。
本発明の変異型FRT配列を含有したDNAにより、遺伝子置換効率に優れた遺伝子置換方法が可能になる。かかる遺伝子置換方法も本発明に含まれる。
本発明の遺伝子置換方法としては、下記のDNA(a)及びDNA(b)をリコンビナーゼFLPの存在下に反応させ、下記のDNA(c)を得ることを特徴とする遺伝子置換方法(以下、「遺伝子置換方法1」という場合がある):
DNA(a):野生型FRT配列、遺伝子A及び本発明の変異型FRT配列をこの順に有するDNA;
DNA(b):野生型FRT配列、遺伝子B及びDNA(a)と同じ変異型FRT配列をこの順に有するDNA;
DNA(c):DNA(a)において、遺伝子Aが遺伝子Bに置換されたDNA;
並びに
下記のDNA(d)及びDNA(e)をリコンビナーゼFLPの存在下に反応させ、下記のDNA(f)を得ることを特徴とする遺伝子置換方法(以下、「遺伝子置換方法2」という場合がある):
DNA(d):互いに異なる配列をもつ2つの本発明の変異型FRT配列(それぞれ変異型FRT配列1及び変異型FRT配列2という)及び遺伝子Aを変異型FRT配列1、遺伝子A及び変異型FRT配列2の順に有するDNA;
DNA(e):変異型FRT配列1、遺伝子B及び変異型FRT配列2をこの順に有するDNA;
DNA(f):DNA(d)において、遺伝子Aが遺伝子Bに置換されたDNA;
が挙げられる。ここで、遺伝子A及び遺伝子Bは互いに異なる任意の遺伝子である。また、遺伝子A及び遺伝子Bは、それぞれ、機能的な遺伝子ではないものでもよい。
本明細書において、「機能的な遺伝子でない」とは、構造遺伝子の既知の機能又は制御機能をもたないDNA配列であることを意味する。かかる例示としては、リンカー等が挙げられる。
本発明の遺伝子置換方法の具体例として、遺伝子置換方法1(野生型FRT配列と変異型FRT配列とを用いた方法)について説明するが、遺伝子置換方法2(変異型FRT配列1と変異型FRT配列2とを用いた方法)の場合も同様である。また、動物細胞の染色体の遺伝子を置換する場合を例として説明するが、本方法は動物細胞の染色体に限らず、動物ウイルスのゲノムや、植物細胞、酵母又は細菌等の微生物の染色体や、バクテリオファージなどにも適用できる。
まず、動物細胞の染色体にあらかじめ野生型FRT配列と変異型FRT配列とを挿入しておく。野生型FRT配列と変異型FRT配列との間には任意の遺伝子Aが存在してよく、この場合は遺伝子置換となる。一方、遺伝子Aが存在しない場合には、遺伝子挿入となる。
一方、野生型FRT配列と変異型FRT配列とを挿入した環状DNA分子内の2つのFRT配列の間に、導入しようとする遺伝子Bを挿入しておく(野生型FRT配列/遺伝子B/変異型FRT配列と称す)。
この「環状DNA分子」は、例えば、プラスミドDNAや二本鎖環状DNAウイルスのようにあらかじめ環状である分子であってもよく、また常法により細胞内に導入後、細胞内で変換されることにより二本鎖環状DNAとなる性質を有する分子であってもよい。
前記野生型FRT配列/遺伝子B/変異型FRT配列を含む環状DNA分子を公知の方法により前述した細胞内に導入し、同時に公知の方法によりリコンビナーゼFLPを細胞内で発現させることにより、環状DNA分子上の遺伝子Bが細胞の染色体上の野生型FRT配列と変異型FRT配列との間に挿入される。その際、細胞の染色体上の2つのFRT配列の間に遺伝子Aが存在する場合は、この遺伝子Aが除かれ遺伝子Bが挿入される遺伝子置換となる。染色体上の2つのFRT配列の間に遺伝子が存在しない場合には遺伝子挿入となる。さらに、環状DNAの2つのFRT配列の間に遺伝子が存在しない場合は、染色体上の遺伝子Aを除くこと(遺伝子欠失)ができる。また、遺伝子Aを除いても染色体上には2つのFRT配列は存在するので、2つのFRT配列の間に任意の遺伝子Cを有する別の環状DNA分子を用いることにより、再びこの染色体上の2つのFRT配列間に遺伝子を導入することができる。前記遺伝子挿入及び遺伝子欠失も本発明の遺伝子置換法の範囲に含まれる。
細胞にDNA分子を導入する方法としては、一般的に用いられている方法を使用することができる。その例として、エレクトロポレーション法、リン酸カルシウム共沈殿法、DEAE−dextran法、リポフェクション法、遺伝子銃等の物理化学的方法、環状DNAウイルス等の生物学的方法等が挙げられる。
環状DNAウイルスとしては、用いる細胞の種類により異なるが、例えば、パピローマウイルスやSV40などが挙げられる。
細胞内に導入後、環状分子とする方法の例としては、リコンビナーゼを用いる方法が挙げられ、リコンビナーゼとしては、バクテリオファージP1由来のリコンビナーゼCre(Sternberg et al.,J.Mol.Biol.Vol.150,467−486(1981))、チゴサッカロマイセス・ルーイのpSR1プラスミド由来のR(Matsuzaki et al.,Mol.Cell.Biol.Vol.8,955−962(1988))、リコンビナーゼFLPなどが挙げられる。
細胞中の染色体にあらかじめ2つのFRT配列を挿入する場合、例えば、2つのFRT配列が存在するプラスミドDNA等を用いて細胞を形質転換すればよい。
形質転換時の遺伝子導入方法としては、前述した物理化学的方法が挙げられる。さらに、レトロウイルスやアデノ随伴ウイルス、HIV等の、ウイルスゲノムを細胞の染色体に挿入する性質を有するウイルスを用いてもよい。
動物細胞内でリコンビナーゼFLPを発現させる方法としては、リコンビナーゼFLPの遺伝子を保持したDNAやRNAを細胞に導入後、細胞内でリコンビナーゼFLPを発現させる方法(リコンビナーゼFLP遺伝子導入法)、リコンビナーゼFLPタンパク質そのものを細胞内に導入する方法(リコンビナーゼFLPタンパク質導入法)等が挙げられる。
リコンビナーゼFLP遺伝子導入法の例としては、FLPの遺伝子を保持したDNAやRNAを前述した物理化学的方法で細胞に導入する方法や、ウイルスベクターを用いる方法が挙げられる。ウイルスベクターとしては、アデノウイルス、ワクシニアウイルス、ヘルペスウイルス、EBウイルスなどが挙げれられるが、その遺伝子導入効率の高さからアデノウイルスが好適である。
本発明の変異型FRT配列を含有したDNAを用いた細胞染色体上での遺伝子置換法の利点は、その効率の高さと染色体の特定の部位に遺伝子を挿入できることである。特に、染色体の特定部への遺伝子導入は、形質転換細胞を取得する上では極めて重要である。
その理由は、DNAを用いた通常の形質転換法(相同組換え以外の方法)や、レトロウイルスやアデノ随伴ウイルスなどのウイルスベクターを用いた従来の方法では、染色体上での目的遺伝子の挿入部位はランダムであるため、挿入部位により目的遺伝子の発現量及びその染色体での安定性に大きな差がある。したがって、例えば、目的遺伝子を安定に(長期間)、かつ高レベルでの発現が可能な形質転換細胞株を得るには、非常に多くの細胞株をスクリーニングする必要があり、しかも、1遺伝子ごとに、すなわち1回の形質転換ごとに、このスクリーニングを繰り返さなければならないという煩雑な操作を要する。それに対し、本発明による遺伝子置換方法によれば、2つのFRT配列に挟まれたある遺伝子の発現を指標にして、その発現量が高く安定な細胞株を一旦取得すれば、任意のどの遺伝子を導入しても、遺伝子の発現が高く安定な細胞株を容易に取得することができる。しかも、その効率は極めて高いため、通常必要な薬剤選択の操作が必要なく、細胞のクローン化の操作だけで目的の細胞株を短期間に取得することができる。対象とする細胞株に特に制限はないが、トランスジェニック動物の作製に用いるES細胞などの形質転換には、特に有効である。
本発明には、前記変異型FRT配列を含有したDNAにより形質転換された細胞も含まれる。
本発明の遺伝子置換方法は、培養細胞だけでなく動物個体に対しても適用されうる。特定の外来遺伝子を動物個体で発現させる方法として、トランスジェニック動物の技術がある。しかしながら、通常の方法でトランスジェニック動物を作製するには、まず目的遺伝子を発現するES細胞等を作製し、次いでこのES細胞等を仮親の腹で発生させ、生まれた子どもについて目的遺伝子の発現を指標にスクリーニングし、さらに目的遺伝子を発現している動物個体をかけ合わせて初めて多数のトランスジェニック動物が得られるという複雑な操作が必要である。したがって目的の遺伝子を発現するトランスジェニック動物の作製には非常に時間がかかるという欠点を有する。通常これらの操作には半年から1年を要する。
本発明の遺伝子置換法を用いた場合、一旦遺伝子導入用のトランスジェニック動物を作製すれば、個々の遺伝子に応じたトランスジェニック動物の作製は不要となる。遺伝子導入用のトランスジェニック動物とは、染色体に変異型FRT配列と野生型FRT配列とを挿入した動物で、その作製は従来のトランスジェニック動物作製と同様の方法で行ない、薬剤による選択のため2つのFRT配列の間にネオマイシン耐性遺伝子等の薬剤耐性遺伝子を挿入してもおいてもよい。かかる遺伝子導入用動物に、DNA(a):野生型FRT配列と変異型FRT配列との間に目的遺伝子を挿入したDNA、すなわち、野生型FRT配列、遺伝子A及び前記変異型FRT配列をこの順に有する環状DNAとリコンビナーゼFLPとを導入することにより、DNA(a)とリコンビナーゼFLPの両者が導入された組織や細胞で目的遺伝子が染色体に挿入され、その遺伝子を発現させることができる。動物個体へのDNA(a)とリコンビナーゼFLPとの導入は、リポソーム法やウイルスベクター、遺伝子銃など既存の方法で十分に行なうことができる。
本発明の方法を用いれば、異なる遺伝子を導入する場合でも、遺伝子に応じたDNA(a)を用いるだけでよく、非常に時間のかかるトランスジェニック動物の作製を行なう必要がない。本発明は、前記変異型FRT配列を含有したDNAを染色体上に有したトランスジェニック動物をも包含する。本発明のトランスジェニック動物は、本発明の変異型FRT配列を含有したDNAを染色体上に有しているため、種々の遺伝子の導入に汎用できるという優れた性質を有する。
さらに、DNA(a)とリコンビナーゼFLPとの両者を局所的に導入するだけで、目的の臓器や組織にのみ目的遺伝子を挿入することもできる。
本発明の遺伝子置換方法は、組換えウイルスの作製にも用いることができる。ウイルスとしてDNAウイルスが挙げられ、DNAウイルスとして、アデノウイルス、単純ヘルペスウイルス、EBウイルス、サイトメガロウイルス等のヘルペスウイルス、ワクシニアウイルス、カナリアポックスウイルス等のポックスウイルス、昆虫のバキュロウイルス等が挙げられる。また、ウイルスとしてRNAウイルスが挙げられ、特にレトロウイルスの作製に好適である。
レトロウイルスベクターを作製する場合、力価の高いウイルス産生細胞を各遺伝子を産生するレトロウイルスベクターごとに選択しているが、本発明の遺伝子置換方法により、一度マーカー遺伝子を発現するウイルス高産生細胞株を樹立しておけば、この細胞株染色体上のマーカー遺伝子を目的遺伝子と置換することにより、高産生株を容易に得ることができると考えられる。
本発明の遺伝子置換方法による組換えウイルス作製の具体的な方法を、組換えアデノウイルスの作製を例として説明する。従来の技術での組換えアデノウイルスの作製方法は、アデノウイルスゲノム及び目的遺伝子を挿入したプラスミドベクターやコスミドベクター等で、293細胞などの細胞を形質転換し、相同組換えにより生じた組換えウイルスをクローン化後、目的のウイルスを選別し増殖させる方法であり、これには長期間の作業が必要である。
本発明の遺伝子置換方法による組換えウイルス作製によれば、効率の低い相同組換えを介さないため、短期間に目的の組換えウイルスを作製することができる。すなわち、変異型FRT配列と野生型FRT配列とを挿入した遺伝子導入用のアデノウイルスをまず作製しておき、次いでこのウイルスを293細胞など組換えアデノウイルス作製に適した細胞に感染させ、同時に野生型FRT配列と変異型FRT配列との間に目的遺伝子を挿入したプラスミドDNAを該細胞に導入するとともにリコンビナーゼFLPを発現させることにより、変異型FRT配列と野生型FRT配列との間に目的遺伝子が挿入された組換えウイルスが高頻度に得られる。この場合、遺伝子導入用のアデノウイルスは、FLPによる組換えによりFRT配列にはさまれたパッケージング配列が除去されるように作製し、プラスミドDNAから目的遺伝子と同時にパッケージング配列を加えて置換することにより、目的ウイルスが選択的に得られるようにするのが望ましい。リコンビナーゼFLPは、プラスミドDNAの形で導入してもよいし、またあらかじめ細胞を形質転換し、リコンビナーゼFLPを発現するようにしておいてもよい。
リコンビナーゼFLPを発現する形質転換細胞の例としては、リコンビナーゼFLPを恒常的に発現する細胞や、ある条件でリコンビナーゼFLPの発現を誘導する細胞が挙げられる。後者の例としては、薬剤などの存在下あるいは非存在下でリコンビナーゼFLPの発現を誘導する細胞や、プロモーターとFLP遺伝子との間にリコンビナーゼの認識配列−スタッファー(stuffer)DNA−リコンビナーゼの認識配列を挿入した細胞にリコンビナーゼを作用させることによりリコンビナーゼFLPの発現を誘導する場合が挙げられる。
リコンビナーゼ及びその認識配列の例としては、P1ファージ由来のリコンビナーゼCreとloxP配列が挙げられる。リコンビナーゼを作用させる方法としては、プラスミドDNA、リポソームなどを用いる遺伝子導入あるいはリコンビナーゼタンパク質そのものを導入する方法や、アデノウイルスベクターなどウイルスベクターを用いる方法が挙げられるが、アデノウイルスベクターを用いる方法が望ましい。
外来遺伝子Aが外来遺伝子Bに置換された組換えアデノウイルスを作製する場合について説明する。遺伝子導入用の組換えアデノウイルスの構造の例として、アデノウイルス左端逆方向反復配列(inverted terminal repeat:ITR)、野生型FRT配列、パッケージング配列、野生型FRT配列、遺伝子A及び変異型FRT配列の順にFRT配列を挿入したアデノウイルスが挙げられる。ここで、野生型FRT配列/遺伝子Aの断片はE1欠失部位に挿入される。
外来遺伝子B挿入用プラスミドDNAの例としては、野生型FRT配列、パッケージング配列、遺伝子B及び変異型FRT配列の構造を有するプラスミドが挙げられる。これらの遺伝子導入用のアデノウイルスと外来遺伝子B挿入用プラスミドDNAとを同時に或いは順次、リコンビナーゼFLPを発現させるようにした293細胞などの細胞に導入すると、遺伝子導入用のアデノウイルスでは2つの野生型FRT配列に挟まれたパッケージング配列が除かれるとともに、野生型FRT配列、遺伝子A及び変異型FRT配列の部分がプラスミド由来の〔野生型FRT配列/パッケージング配列/遺伝子B/変異型FRT配列〕に置換された組換えアデノウイルスが生成する。遺伝子置換されなかった遺伝子導入用のアデノウイルスは、反応効率が高い2つの野生型FRT配列間の通常の「切り出し反応」によりパッケージング配列が除去されているため、ウイルスDNAは複製するもののウイルス粒子(virion)内にDNAがパッケージングされずウイルスとしては複製しない。一方、遺伝子置換されたアデノウイルスはパッケージング配列を有するため、ウイルスとして複製できるため、「遺伝子B」に置換された組換えアデノウイルスが高頻度に得られる。
遺伝子導入用のアデノウイルスの変異型FRT配列の挿入位置は、外来遺伝子Aの隣接部位であってもよいし、アデノウイルスゲノム上の遺伝子Aから離れた部位であってもよい。後者の挿入位置の例としては、L3遺伝子とE2A遺伝子との間の非翻訳領域、E3遺伝子の欠失部位、E4遺伝子の上流域と右端ITRとの間などが挙げられる。これらの位置に変異型FRT配列を挿入して遺伝子置換を行なう場合、生成するアデノウイルスDNAがウイルス粒子(virion)に効率よくパッケージングされるように、目的遺伝子挿入用プラスミドの野生型FRT配列/変異型FRT配列間のDNAのサイズを調節する必要があるが、遺伝子置換された組換えアデノウイルスはウイルスの複製に必須の遺伝子を欠失しているため、遺伝子治療用ベクターとして用いる場合、現在のアデノウイルスベクターで問題となっている副作用が軽減できると考えられる。
以上の方法を、さらに具体的により詳細に説明する。まず、293細胞などアデノウイルスE1A遺伝子を発現しE1遺伝子を欠失した非増殖型アデノウイルスの増殖に好適な細胞を、〔プロモーター/loxP配列/薬剤耐性遺伝子/ポリA配列、loxP配列/FLP遺伝子/ポリA配列〕の構造を有するDNAで形質転換し、リコンビナーゼCre依存にFLPを発現する細胞株(Cre依存FLP発現細胞)を得る。ここで、薬剤耐性遺伝子は形質転換細胞株を選別するために必要であり、その例としてネオマイシン耐性遺伝子、ハイグロマイシン耐性遺伝子などが挙げられる。また、プロモーターとしては、哺乳動物細胞で機能する限り特に限定されないが、その例として、CAGプロモーター(特開平3−168087号公報)、EF−1αプロモーター(Gene,Vol.91,217−223(1990))、SRαプロモーター(Molecular and Cellular Biology,Vol.8,466−472(1991))等が挙げられる。さらに、リコンビナーゼFLP遺伝子の5’側又は3’末端に核移行シグナル配列を接続させていてもよい。
遺伝子導入用組換えアデノウイルスは、Cre依存FLP発現細胞にリコンビナーゼCreを供給しFLPを発現させる役割を兼ね、左端ITRとパッケージング配列との間に野生型FRT配列を挿入し、E1欠失部位に野生型FRT配列とリコンビナーゼCre発現単位(プロモーターとポリA配列を含む)をこの順になるよう挿入し、さらにL3遺伝子とE2A遺伝子との間の非翻訳領域、E3遺伝子の欠失部位、E4遺伝子の上流域と右端ITRとの間のいずれかの位置に変異型FRT配列を挿入しておく。以下の例では、E4遺伝子の上流域と右端ITRとの間に変異型FRT配列を挿入した場合について説明する。左端ITRとパッケージング配列との間の野生型FRT配列の挿入部位に特に制限はないが、ヒトアデノウイルス5型の塩基配列で143〜148位に挿入するのが好ましい。プロモーターとしては、哺乳動物細胞で機能する限り特に限定されないが、その例として、前述したCAGプロモーター、EF−1αプロモーター、SRαプロモーター等が挙げられる。さらに、リコンビナーゼCre遺伝子配列の5’側又は3’側の末端に核移行シグナル配列を接続させていることが好ましい。これは、細胞質で合成されたリコンビナーゼCreがその認識配列であるloxP配列を有するDNAに効果的に作用するには、核内に移行する必要があり、核移行シグナル配列はこれを促進する(Daniel Kalderonら、Cell.39、499−509(1984))からである。核移行シグナル配列を有するCre遺伝子は、プラスミドpSRNCre(Kanegae Y.et al.,Nucleic Acid Res.,Vol.23,3816−3821(1995))等から得ることができる。
外来遺伝子挿入用プラスミドの例としては、〔野生型FRT配列/パッケージング配列/遺伝子Bの発現単位/変異型FRT配列〕の構造を有するプラスミドが挙げられる。ここで野生型FRT配列とパッケージング配列との間のDNA配列に特に制限はないが、遺伝子導入用組換えアデノウイルスと同じDNA配列を有するのが望ましい。
前述したCre依存FLP発現細胞に遺伝子導入用組換えアデノウイルスを感染させるとともに、外来遺伝子挿入用プラスミドで形質転換すると、まず遺伝子導入用組換えアデノウイルスにより発現したCreタンパク質により、Cre依存FLP発現細胞の2つのloxP配列の間の薬剤耐性遺伝子とポリA配列が除かれ、リコンビナーゼFLPが発現する。次いでリコンビナーゼFLPの作用により、Creを発現する遺伝子導入用組換えアデノウイルスの2つの野生型FRT配列に挟まれたパッケージング配列が除かれるとともに、遺伝子導入用組換えアデノウイルスの野生型FRT配列と変異型FRT配列との間のCre発現単位とアデノウイルスゲノムの大部分(L1遺伝子からL5遺伝子まで)が、外来遺伝子挿入用プラスミドの〔野生型FRT配列/パッケージング配列/遺伝子Bの発現単位/変異型FRT配列〕と置換される。従って、遺伝子置換により生じたアデノウイルスは、〔左端ITR/FRT配列/パッケージング配列/遺伝子Bの発現単位/変異型FRT/右端ITR〕の構造となり、アデノウイルスゲノムの大部分を欠失しているため、このウイルス単独では増殖できない。一方、遺伝子置換しなかった遺伝子導入用組換えアデノウイルスは、パッケージング配列が除かれているため、そのゲノムDNAが複製しアデノウイルスの増殖に必須のタンパク質を産生するものの、そのゲノム自体は感染性ウイルス粒子にパッケージングされないため、ウイルス自体は増殖せずヘルパーウイルスとして作用する。その結果、遺伝子置換により生じたアデノウイルスは、このヘルパーウイルスが産生するアデノウイルスタンパク質によりそのゲノムDNAが複製するとともに、正常なパッケージング配列を有しているため感染性ウイルス粒子にパッケージングされウイルスとして選択的に増殖する。従って、この一連の反応で生じた組換えアデノウイルスの大部分は、遺伝子置換され、かつアデノウイルスゲノムの大部分を欠失した目的アデノウイルスであることが期待される。
さらに前記f72により、酵母2ミクロンDNA由来の下記の野生型配列(配列番号:1):
Figure 0004787440
において、スペーサー領域の7番目の塩基にGからCへの置換を有する2つの変異型FRT配列(配列番号:32)を用い、リコンビナーゼFLPの存在下に特異的DNA組換え反応を行なう、特異的DNA組換え方法が提供される。
本発明の変異型FRT配列を含有したDNAは、医薬として遺伝子治療にも用いることができる。本発明の医薬は、本発明のDNAを含有しているため、効率よく、染色体への遺伝子を挿入及び除去ができるという優れた性質を有する。本発明の医薬の遺伝子治療への適用を以下に説明する。
まず、ヒト細胞の染色体に変異型FRT配列と野生型FRT配列とをあらかじめ挿入する。そのために、変異型FRT配列と野生型FRT配列とを有するDNAが医薬として用いられる。該DNAは、例えば、レトロウイルスやアデノ随伴ウイルス(AAV)などのウイルスベクター中に含まれる形で投与される。なかでも、レトロウイルスによる遺伝子導入は、染色体にランダムに挿入されるが、AAVでは染色体の特定の部位(第19番染色体のAAV−S1領域)に挿入される確率が高いという観点から、AAVを使用することが好ましい。この染色体の特定部位への遺伝子導入にはAAVがコードするウイルス遺伝子(Rep)が必須であるが、現在用いられているAAVベクターではAAV遺伝子の大部分が除かれているため、染色体への特異的組み込み機構は失われている。しかし、変異型FRT配列と野生型FRT配列とを合わせてもわずか100塩基足らずであるため、AAVの全ウイルス遺伝子を保持したまま、2つのFRT配列を挿入したウイルスを作製できる。その挿入位置は、AAV遺伝子の両端に存在する逆方向反復配列(inverted terminal repeat:ITR)の各々すぐ内側が望ましい。この2つのFRT配列を挿入したAAVをヒトに投与することにより、染色体に2つのFRT配列を挿入することができる。
次いで、野生型FRT配列と変異型FRT配列との間に目的遺伝子を挿入した環状DNA分子を含有した医薬と、リコンビナーゼFLPタンパク質又はFLP遺伝子を保持したDNAを投与することにより、染色体上に存在する2つのFRT配列の間に挟まれたAAV遺伝子が除かれ、目的遺伝子に置換される。
本発明の医薬は、有効成分であるDNA分子を安定な状態に保持するための成分、例えば、緩衝成分、分解保護剤(例えば、核酸分解酵素の阻害因子など)などを適宜含有してもよい。また、本発明の医薬は、細胞及び/又は組織への導入に適した薬剤をさらに含有してもよい。
医薬としての環状DNA分子とリコンビナーゼFLPもしくはFLP遺伝子を保持したDNA分子をヒト細胞に導入する方法としては、ウイルスベクターやリポソームベクターなど既存の遺伝子治療に用いられているベクターを用いる方法が挙げられる。
本発明の医薬を遺伝子治療に用いる場合、患者への投与法としては、該医薬を直接体内に導入するin vivo法、及び、ヒトからある種の細胞を取り出して体外で該医薬を該細胞に導入し、その細胞を体内に戻すex vivo法がある(日経サイエンス,1994年4月号,20−45頁、月刊薬事,36(1),23−48,1994、実験医学増刊,12(15),1994、日本遺伝子治療学会編遺伝子治療開発研究ハンドブック,エヌ・ティー・エス,1999)。
in vivo法により投与する場合は、本発明の医薬を、例えば、静脈、動脈、皮下、皮内、筋肉内などに投与するか、対象となる組織に直接投与することができる。
具体的には、例えば、実験手引書などにその調製法、投与法などが詳しく解説されている(別冊実験医学,遺伝子治療の基礎技術,羊土社,1996、別冊実験医学,遺伝子導入&発現解析実験法,羊土社,1997、日本遺伝子治療学会編遺伝子治療開発研究ハンドブック,エヌ・ティー・エス,1999)。
このようにして染色体に遺伝子が挿入されたヒト細胞では、目的遺伝子の両端に変異型FRT配列と野生型FRT配列が存在し、さらにその外側にAAVのITRが存在するのみで、AAVの構造遺伝子は存在しないため、AAV由来のタンパク質が発現し抗原となることもなく、目的遺伝子の発現が長期間安定に持続することが期待できる。また、挿入した遺伝子が不要になった場合、野生型FRT配列と変異型FRT配列の間に遺伝子が存在しない環状DNA分子を投与することにより、挿入した遺伝子を染色体から除くことができる。さらに、その後再び染色体への遺伝子の挿入が必要になった場合、2つのFRT配列が染色体上に残っているため、前述した方法で任意の遺伝子を挿入することができる。このように、本発明の変異型FRT配列をもつDNAは、染色体への遺伝子を挿入及び除去が自由にできる遺伝子治療のための医薬として用いることができる。
また、基質特異性の異なる三つ以上のFRT配列を用いることにより、遺伝子置換方法の応用範囲をさらに広げることが可能である。基質特異性の異なる三つのFRT配列の組み合わせとして、例えば、野生型FRT配列と2つの変異型FRT配列、三つの変異型FRT配列等が挙げられる。本方法を、野生型FRT配列、変異型FRT配列1、変異型FRT配列2の三つの異なるFRT配列が同一DNA上に存在する場合を例として説明する。野生型FRT配列、遺伝子A、変異型FRT配列1、遺伝子B及び変異型FRT配列2をこの順に有するDNA(a)に、野生型FRT配列、遺伝子C及び変異型FRT配列1を有する環状DNA(b)とをリコンビナーゼFLPの存在下に反応させると、DNA(a)中の遺伝子Aを遺伝子Cに置換することができる。一方、環状DNA(b)の代わりに、変異型FRT配列1、遺伝子D及び変異型FRT配列2をこの順で有する環状DNA(c)とをリコンビナーゼFLPの存在下に反応させると、DNA(a)中の遺伝子Bを遺伝子Dに置換することができる。すなわち、異なる環状DNAを用いるだけで、DNA(a)に存在する複数の遺伝子のうち目的の遺伝子のみを任意の遺伝子に置換することができる。
以下、実施例により本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はこれらの実施例によりなんら限定されるものではなく、本発明の技術分野における通常の変更ができることは言うまでもない。なお、実施例中のファージ、プラスミド、DNA、各種酵素、大腸菌、培養細胞等を取り扱う諸操作は、特に断らない限り、「Molecular Cloning,A Laboratory Manual,T.Maniatisら編、第2版(1989),Cold Spring Harbor Laboratory」に記載の方法に準じて行なった。
実施例1
<リコンビナーゼFLPを含む細胞抽出液の調製>
(1)リコンビナーゼFLP発現組換えアデノウイルスの作製
リコンビナーゼFLPの翻訳開始コドンの前後の塩基配列をKozak配列に合わせたプラスミドを得るため、以下の操作を行なった。
(a)プラスミドpUCFLPは、酵母(Saccharomyces cerevisiae)の2ミクロンDNA(6318bp:James et al.,Nature,Vol.286,860−865(1980))のSphI部位(5568番目)からXbaI部位(703番目)までのFLP遺伝子全長を含む断片(1457bp)が、プラスミドpUC19のSphI−XbaI部位間に挿入されたプラスミドである。pUCFLPをXbaI及びSphIで消化し、FLP遺伝子全長を含む約1.5kbの断片を得た。
(b)5’末端突出側がHindIII切断部位と、もう一方の末端がSphI切断部位と結合可能で、かつ翻訳開始コドンの上流にPstI部位を有する以下の配列の合成DNAアダプターを調製した。
Figure 0004787440
(a)及び(b)の両DNAをpUC19のHindIII−XbaI部位間に挿入し、プラスミドpUKFLP(4.1kb)を得た。
pUKFLPをPstI及びFspIで消化後平滑化したFLPコード領域を含む1.4kbの断片を、コスミドベクターpAxCAwtのプロモーターとポリA配列との間のSwaI部位に挿入し、コスミドベクターpAxCAFLPを得た。
pAxCAFLPとアデノウイルスDNA−末端タンパク質複合体とを既知の方法(Miyake et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.Vol.93,1320−1324(1996)及び特開平7−298877号公報)に従いリン酸カルシウム共沈法で293細胞を形質転換し、目的のFLP発現組換えアデノウイルスAxCAFLP(E1及びE3遺伝子欠失)を得た。(2)リコンビナーゼFLPを含む細胞抽出液の調製
リコンビナーゼFLP依存組換え反応に用いるFLPを含む細胞抽出液を得る目的で以下の操作を行なった。AxCAFLP(約1x10 PFU)を、225cmフラスコ1本の293細胞(ヒト胎児腎臓由来細胞株)に感染(37℃、1時間)させ、培地(5%FCS含有DMEM培地)を添加後さらに24時間培養した。培養終了後、低速遠心機で1000回転5分遠心し、培養上清を捨て細胞を集めた。細胞に保存用緩衝液[10%グリセロール/20mMトリス塩酸(pH7.5)/300mM塩化ナトリウム/1mM EDTA(pH7.5)])1mlを加え細胞を懸濁し、密閉型ソニケーターで200W、3分(30秒x 6回)細胞を破砕し、細胞内に存在するリコンビナーゼFLPを放出させた。得られた細胞破砕液を高速遠心機で10,000回転20分遠心し、その上澄に最終濃度0.1mMとなるようPMSF(フェニルメチルスルフォニルフロライド)を加え冷凍保存(−80℃)した。
実施例2
<変異型FRT配列を含む基質DNAの調製>
(1)変異型FRT配列を含む合成DNAの作製
野生型FRT配列の8塩基のスペーサー部分を他の塩基に置換した変異型FRT配列を含む52塩基の合成DNAを作製した。また同時に野生型FRT配列を含む52塩基の合成DNAも作製した。野生型FRT配列の合成DNAの構造を第1図(センス鎖は配列番号:12、アンチセンス鎖の配列番号:13)に、変異型FRT配列を含む9種類の合成DNAの配列(センス鎖及びアンチセンス鎖)及び該野生型FRT配列の合成DNAの配列を第2図に示す。
野生型センス鎖とアンチセンス鎖は相補配列ではなく、各々の鎖をアニーリングし二本鎖DNAとした際、5’末端がそれぞれ4塩基突出し、各々の末端が制限酵素XhoI及びSpeIの消化断片になるように設計した。そのため、これらの二本鎖DNAは、XhoI断片側は制限酵素XhoI及びSalI消化断片と、SpeI断片側は制限酵素SpeI及びNheI消化断片と結合できる。
全ての一本鎖合成DNAは、5’末端をT4ポリヌクレオチドキナーゼでリン酸化し、それぞれの変異に対応するセンス鎖及びアンチセンス鎖をアニーリングした。以後、この二本鎖合成DNAを変異型FRT合成DNAと呼ぶ。
(2)2つの野生型FRT配列もしくは2つの同じ配列の変異型FRT配列を含む基質DNAの調製
直鎖状DNAの両端に同じ配列の変異型FRT配列を有する基質DNAを得る目的で、以下の操作を行なった。
プラスミドpBR322を制限酵素NheI及びSalIで同時に消化し、野生型FRT又は変異型FRT合成DNA9種類をそれぞれライゲーション反応(プラスミド:合成DNAのモル比1:20)を行なった後、制限酵素XhoI及びSpeIで同時に消化した。この制限酵素消化によりpBR322 DNAの両端に複数個結合した野生型もしくは変異型FRT合成DNAが除かれ、pBR322 DNAの両端に野生型もしくは同じ配列の変異型FRT合成DNAが各一ヶ所ずつ結合した約4.1kbの直鎖状DNAが生じる。次いでこれら反応物をアガロース電気泳動し、約4.1kbのバンドをゲルから切り出した後GEANCLEAN II(BIO101社製)により精製した。この操作により、pBR322 DNAの両端に2つの野生型FRT配列もしくは2つの同じ配列の変異型FRT配列が結合した直鎖状DNA断片を得た。
この断片にアデノウイルス5型由来のDNA断片を結合したプラスミドを構築するため、以下の操作を行なった。
アデノウイルス5型のE1及びE3遺伝子以外のほぼ全長が挿入されたコスミドベクターpAxcw(特開平8−308585号公報15頁)を制限酵素XbaI及びXhoIで同時に消化し、生じたDNA断片のうちの3.8kbの断片(アデノウイルス5型塩基配列24,796−28,592番目)を単離した。この3.8kbの断片と、前述したpBR322 DNAの両端に同じ配列のFRT合成DNAが結合したDNA断片とをリガーゼで結合すると、制限酵素SpeI断片とXbaI断片とが結合した結果、環状化した。このDNAで大腸菌を形質転換し、2つの野生型FRT配列もしくは2つの同じ配列の変異型FRT配列を有するプラスミドpBxxAxx(7.9kb、第3図)を得た。なお、pBxxAxxは同じ配列の2つのFRT配列を有するプラスミドの総称で、例えば、FRT配列が野生型の場合はpBfwtAfwtと、F3の場合はpBF3AF3と、f2161の場合はpBf2161Af2161と称する。
pBfwtAfwt並びに変異型FRT配列を含む9種類のプラスミドを制限酵素DraIで消化し、次に示すFLP依存DNA組換え反応の基質DNAとして用いた。
実施例3
<2つの同じ配列の変異型FRT配列間でのFLP依存DNA組換え反応>
以下に示すアッセイ方法で、2つの変異型FRT配列間でFLP依存組換え反応が起きるかどうかを検討した。終濃度、50mMトリス塩酸(pH7.5)/10mM MgCl/5mM DTTを含む緩衝液に、実施例2で調製したDraI消化済みプラスミドDNA(1.5μg)と実施例1で調製したFLPを含む細胞抽出液25μlを加え(反応液量50μl)、30℃で30分反応した。反応終了後、反応液に200μlの滅菌水及び50μlの20mM EDTA溶液(pH8.0)を加え、フェノール/クロロホルム抽出並びにクロロホルム抽出を行ない、さらにエタノール沈殿し、得られたDNAをRNaseA(20μg/ml)を含むTEバッファー(pH8.0)20μlに溶解した。次いで、その全量を制限酵素NcoI消化し、アガロースゲル電気泳動後、臭化エチジウム(EtBr)染色により検出されたDNAのバンドを解析した。
基質DNAには制限酵素NcoIサイトが一ヶ所のみ存在するので、FLPによる組換え反応を行わないDraI消化済みの基質DNA(7.2kbと0.7kb)を制限酵素NcoI消化すると、5.9kb、1.3kbに0.7kbを加えた3本のバンドが生じる。一方、基質DNAがFLPにより組換え反応を起こすと、変異型FRTを1個有する約3.8kbの環状DNAと変異型FRTを1個有する約3.4kbの直鎖状DNAが生じるので、これらを制限酵素NcoI消化すると、前記3.8kb及び3.4kbのバンドに0.7kbのバンドを加えた3本のバンドが生じる(第4図参照)。従って、3.8kb及び3.4kbのバンドはFLPによる組換え反応が起きたことを示し、5.9kb及び1.3kbのバンドはFLPによる組換え反応が起きていないことを示すので、これらのバンドの量比により組換え反応の効率が分かる。
なお、反応効率を数値化するため、3.8kb及び3.4kbのバンドのDNA量の合計に対する反応系の全DNA量の比を、2つのFRT配列間の組換え率(%)として算出した。
本測定方法における野生型FRT配列間の組換え率は4.8%で、先行技術であるF3の変異型FRT配列間の組換え率は3.1%と、野生型FRT配列より明らかに低い値であった。それに比べ、f2161の組換え率は4.5%、f2262の組換え率は3.8%と、いずれもF3よりも高い組換え率を示した。また、f2151は2.9%、f61は2.6%とF3よりやや低い組換え率であり、f2272とf2273のそれぞれの組換え率は0であった。さらに、公知配列f72の組換え率は10.9%であり野生型の2倍以上であった。
以上の結果より、本発明のf2161及びf2262の変異型FRT配列は、先行技術であるF3の変異型FRT配列よりも組換え効率の点で優れており、また、f2151とf61はF3とほぼ同程度の反応効率であることが示された。
実施例4
<野生型FRT配列と変異型FRT配列との間でのFLP依存DNA組換え反応>
(1)野生型FRT配列を1つ有するプラスミド(pBRFRT)の構築
プラスミドpBR322に野生型FRT配列が1つ挿入されたプラスミド(pBRFRT)を構築するため、以下の(a)及び(b)の操作を行なう。
(a)プラスミドpBR322の制限酵素NheIサイトからEcoNIサイト間の約0.4kbの断片を、XhoIリンカーを用いて野生型loxP配列を含むDNAに置換したプラスミドpBRwt(Lee,G.et al.,Gene Vol.14,55−65(1998))を制限酵素XhoIで消化する。この断片と実施例2−(1)で作製した野生型FRT配列を含む52塩基の合成DNAとをライゲーション後、制限酵素SpeI及びPstIで同時に消化し、pBR322 DNAの両端に複数個結合した野生型FRT合成DNAを除く。次いで反応物をアガロース電気泳動し、約3kbのバンドをゲルから切り出し、野生型FRTを1つ含む約3.0kbの断片を得る。
(b)プラスミドpBR322を制限酵素PstI及びNheIで同時に消化後、アガロース電気泳動し、生じた2本のDNAバンドのうち約1.0kbの断片を回収する。
(a)及び(b)で調製した両DNAをライゲーションし、pBR322のNheIサイトとEcoNIサイトとの間に野生型FRT配列が1つ挿入されたプラスミドpBRFRT(4.4kb、第5図)を得る。
(2)野生型FRT配列と変異型FRT配列とを含むプラスミドの構築並びに基質DNAの調製
プラスミドpBRFRTの野生型FRT配列から約30bp離れた位置にSalIサイトが存在するので、pBRFRTを制限酵素SalIで消化し直鎖状にした後、実施例2−(1)で作製した変異型FRT配列を含む52塩基の合成DNA(9種類)を各々ライゲーションする。この操作によりpBRFRTのSalI消化部位に変異型FRT合成DNAのXhoI消化断片側が結合する。次いで、反応液を制限酵素SpeII及びXhoIで同時に消化し、pBRFRTの両端に複数個結合する変異型FRT合成DNAを除いた後、未反応及び制限酵素消化された変異型FRT合成DNAをGEANCLEAN II(BIO101社製)により反応液から除き、片方の端に野生型FRT配列が、他方の端に変異型FRT配列が各1つ結合した直鎖状DNA(約4.1kb)を得る。
この断片と実施例2−(2)で調製したアデノウイルス5型ゲノムを制限酵素XhoIとXbaIとで同時に消化した約3.8kbとをライゲーションし、プラスミドpBfwtAxx(7.9kb、第6図)を得る。なお、プラスミドpBfwtAxxは上記方法により構築した一連のプラスミドの総称で、実際には第2図に示した変異型FRT配列と野生型FRT配列とを各1つずつ有する個々のプラスミドのことである。
プラスミドpBfwtAxxを制限酵素DraIで消化し、次に示すFLP依存DNA組換え反応の基質DNAとして用いる。
(3)野生型FRT配列と変異型FRT配列との間でのFLP依存DNA組換え反応
前述した基質DNAを実施例3で示した反応液に加え、30℃で30分FLP依存組換え反応を行なう。反応終了後のDNAを精製し、制限酵素NcoI消化後アガロースゲル電気泳動を行ない、EtBr染色により検出されるDNAのバンドを解析する。
基質DNAには、制限酵素NcoIサイトが1か所のみ存在するので、FLPによる組換え反応を行なわないDraI消化済みの基質DNA(7.2kbと0.7kb)を制限酵素NcoI消化すると、5.9kb断片、1.3kb断片に0.7kbを加えた3本のバンドが生じる。一方、基質DNAがFLPにより組換え反応を起こすと、FRT配列を1個有する約3.8kbの環状DNAとFRT配列を1個有する約3.4kbの直鎖状DNAが生じるので、これらを制限酵素NcoI消化すると3.8kb、3.4kbに0.7kbを加えた3本のバンドが生じる(第7図参照)。従って、3.8kb及び3.4kbのバンドはFLPによる組換え反応が起きたことを示し、5.9kb及び1.3kbのバンドはFLPによる組換え反応が置き換えていないことを示すので、これらのバンドの量比により組換え効率が示される。
実施例5
<野生型FRT配列と変異型FRT配列との間でのFLP依存DNA組換え反応>
(1)野生型FRT配列と変異型FRT配列とを含むプラスミドの構築並びに基質DNAの調製
34bpの野生型FRT配列を含む54塩基の合成DNA(配列番号:33)及びその相補鎖をプラスミドpUC18のSmaI部位に挿入して、野生型FRT配列が同方向に2個挿入され、かつ2個の野生型FRT配列間にSwaI部位を有したプラスミドpUFwF(2.8kb、第8図中のA)を得た。
プラスミドpCALNLZ(Y.Kanegae et.al.,Gene,Vol.181,207−212(1996))をMluI及びXhoIで消化後平滑化したネオマイシン耐性遺伝子とSV40のポリA配列とを含む断片を得た。ついで前記ネオマイシン耐性遺伝子とSV40のポリA配列を含む断片とをpUFwFのSwaI部位に挿入し、プラスミドpUFNF(3.9kb、第8図中のB)を得た。
プラスミドpCALNLw(Kanegae Y.et.al.,Gene,Vol.181,207−212(1996))のSwaI部位に27塩基の合成ポリリンカー(5’−AAA TTG AAT TCG AGC TCG GTA CCC GGG−3’、配列番号:34)及びその相補鎖を挿入し、プラスミドpCALNL5(6.1kb、第8図中のC)を得た。次いで、pUFNFをBamHI及びAsp718で消化後平滑化したFRT配列/ネオマイシン耐性遺伝子/SV40のポリA配列/FRT配列を含む約1.2kbの断片を得た。前記約1.2kbの断片と、pCALNL5をMluI及びXhoIで消化後平滑化したCAGプロモーターを含む約4.9kbの断片とを連結し、プラスミドpCAFNF5(6.1kb、第8図中のD)を得た。pCAFNF5は、野生型FRT配列とグロビンポリA配列との間にcDNA挿入用のポリリンカー(SwaI−EcoRI−ScaI−KpnI−SmaI部位)を有する。
プラスミドpCAFNF5をSalI及びPvuIIで消化後、末端を平滑化し、さらに自己ライゲーションさせ、〔プロモーター−野生型FRT配列−ネオマイシン耐性遺伝子の一部〕を除いたプラスミドpdNF(4.1kb、第8図中のE)を得た。
実施例2で作製した、二つの同じ配列の変異型FRT配列を有するプラスミドpBxxAxx(xxはf72、f2161、f2262もしくはF3のいずれか)をBspEI及びAatIIで同時に消化し、変異型FRT配列を有する約50bpの断片(a)を得た。一方、プラスミドpdNFをBspEI及びAatIIで同時に消化し、野生型FRT配列を含まない断片(b)を得た。前記(a)及び(b)の両断片をライゲーションし、pdNFの野生型FRT配列を変異型FRT配列に置換したプラスミドpdNmF(4.1kb、第8図のF)を得た。
緑色蛍光タンパク質(GFP)の変異体をコードするDNAが挿入された市販発現プラスミドpEGFP−C1(4.7kb、CLONTECH社製)の、GFP遺伝子の3’末端とポリA配列との間に存在するマルチクローニングサイト中のBglII部位とXhoI部位との間に、両端がBglII部位並びにXhoI部位であり、かつ内部に連続した二つの終止コドンを含むように設計した下記の18塩基の合成DNAリンカー:
Figure 0004787440
を挿入し、プラスミドpEGFP−s(4.7kb)を得た。
プラスミドpEGFP−sをAgeI及びXhoIで同時に消化し、さらにKlenow酵素で両端を平滑化して、GFP遺伝子全長を含む約0.8kbのDNA断片(a)を得た。また、アデノウイルスE1及びE3遺伝子以外のアデノウイルス5型ゲノムの大部分を含み、かつE1遺伝子欠失部位にCAGプロモーターが挿入されたコスミドベクターpAxCAwt(Kanegae Y.et.al.,Nucleic acid Res.,Vol.23,3816−3821(1995))には、プロモーターとポリA配列との間にClaI部位−SwaI部位−ClaI部位の順にクローニング部位が存在する。そこで、pAxCAwtをSwaI消化した後、前述した約0.8kbのDNA断片(a)を連結しコスミドベクターpAxCAGFPを得た。
pAxCAGFPをSalI消化後、自己ライゲーションさせ、アデノウイルスDNAの大部分を除いた(左端約0.4kbは含む)プラスミドpxCAGFP(6.1kb、第8図中のG)を得た。pxCAGFPはGFP遺伝子の両端にClaI部位が存在するので、pxCAGFPをClaI消化した後、Klenow酵素で両端を平滑化したGFP遺伝子全長を含む約0.8kbのDNA断片を得た。この断片を前述したプラスミドpCAFNF5のポリリンカー中のSmaI部位に挿入し、プラスミドpCAFNFG(6.9kb、第8図中のH)を得た。
最後に、プラスミドpCAFNFGのCsp45I部位からEcORI部位間と、プラスミドpdNmFのCsp45I部位からEcoRI部位間とを置換し、最終的な目的プラスミドpCAFNmFG(6.9kb、第8図中のI)を得た。プラスミドpCAFNmFGは野生型FRT配列と変異型FRT配列とを各1つずつ含む一連のプラスミドの総称である。前記pCAFNmFGは、実際にはf72、f2161、f2262もしくはF3のいずれかの変異型FRT配列(mF)を含んでいる。
これらのプラスミドpCAFNmFGもしくは二つの野生型FRT配列を含むプラスミドpCAFNFGを制限酵素HindIIIで消化して直鎖状DNAとした後、次に示すFLP依存組換え反応の基質DNAとして用いた。
(2)野生型FRT配列と変異型FRT配列との間でのFLP依存DNA組換え反応
終濃度50mMトリス塩酸(pH7.5)/10mM MgCl/5mM DTTを含む緩衝液に、前述した基質DNA1μgと実施例1で調製したFLPを含む細胞抽出液25μlとを加え(反応液量50μl)、30℃で30分反応した。反応終了後、反応液に200μlの滅菌水及び50μlの20mM EDTA溶液(pH8.0)を加え、フェノール/クロロホルム抽出並びにクロロホルム抽出を行ない、さらにエタノール沈殿した。得られたDNAを、RNaseA(20μg/ml)を含むTEバッファー(pH8.0)20μlに溶解した。次いで、その全量を制限酵素FspIで消化し、アガロースゲル電気泳動後、臭化エチジウム(EtBr)染色により検出されたDNAのバンドを解析した。 HindIII消化済みの基質DNAには制限酵素FspI部位が二ヶ所存在し、FLPによる組換え反応が起きない場合は、基質DNAを制限酵素FspI消化すると2.8kb、2.4kb、1.8kbの3本のバンドが生じる。一方、基質DNAがFLPにより組換え反応を起こすと、約5.7kbの直鎖状DNAと約1.2kbの環状DNAとが生じ、これらを制限酵素FspI消化すると、3.9kb、1.2kb、1.8kbの3本のバンドが生じる(第9図)。従って、3.9kb及び1.2kbのバンドはFLPによる組換え反応が起きたことを示し、2.8kb及び2.4kbのバンドはFLPによる組換え反応が起きていないことを示すので、これらのバンドの量比により組み換え反応の効率が分かる。そこで、反応効率を数値化するため、反応後の全DNA量に対する3.9kbのバンドの比を、二つのFRT配列間の組換え率(単位:%)として算出した。
本測定方法を用いて野生型FRT配列間の組換え率を求めると約28%であった。一方、野生型FRT配列と変異型FRT配列との間の組換え反応では、測定した全ての変異型FRT配列(f2161、f2262、f72並びにF3)の組換え率は、検出限度以下(0.2%未満)であった。
本実施例並びに実施例3の結果より、本発明のf2161及びf2262の変異型FRT配列は、野生型FRT配列とは組換え反応が起きないが、同一配列の変異型FRT配列間では効率よく組換え反応が起きることが明らかになった。
配列表フリーテキスト
配列番号:10は、合成DNAアダプターの配列である。
配列番号:11は、合成DNAアダプターの配列である。
配列番号:12は、野生型FRT配列を基にデザインしたオリゴヌクレオチドの配列である。
配列番号:13は、野生型FRT配列を基にデザインしたオリゴヌクレオチドの配列である。
配列番号:14は、変異型FRT配列を基にデザインしたオリゴヌクレオチドの配列である。
配列番号:15は、変異型FRT配列を基にデザインしたオリゴヌクレオチドの配列である。
配列番号:16は、変異型FRT配列を基にデザインしたオリゴヌクレオチドの配列である。
配列番号:17は、変異型FRT配列を基にデザインしたオリゴヌクレオチドの配列である。
配列番号:18は、変異型FRT配列を基にデザインしたオリゴヌクレオチドの配列である。
配列番号:19は、変異型FRT配列を基にデザインしたオリゴヌクレオチドの配列である。
配列番号:20は、変異型FRT配列を基にデザインしたオリゴヌクレオチドの配列である。
配列番号:21は、変異型FRT配列を基にデザインしたオリゴヌクレオチドの配列である。
配列番号:22は、変異型FRT配列を基にデザインしたオリゴヌクレオチドの配列である。
配列番号:24は、変異型FRT配列を基にデザインしたオリゴヌクレオチドの配列である。
配列番号:25は、変異型FRT配列を基にデザインしたオリゴヌクレオチドの配列である。
配列番号:26は、変異型FRT配列を基にデザインしたオリゴヌクレオチドの配列である。
配列番号:27は、変異型FRT配列を基にデザインしたオリゴヌクレオチドの配列である。
配列番号:28は、変異型FRT配列を基にデザインしたオリゴヌクレオチドの配列である。
配列番号:29は、変異型FRT配列を基にデザインしたオリゴヌクレオチドの配列である。
配列番号:30は、変異型FRT配列を基にデザインしたオリゴヌクレオチドの配列である。
配列番号:31は、変異型FRT配列を基にデザインしたオリゴヌクレオチドの配列である。
配列番号:32は、変異型FRT配列を基にデザインしたオリゴヌクレオチドの配列である。
配列番号:33は、FLP認識配列を基にデザインしたオリゴヌクレオチドの配列である。
配列番号:34は、順にSwaI、EcoRI、ScaI、KpnI及びSmaIの認識配列を基にデザインしたオリゴヌクレオチドの配列である。
配列番号:35は、BglII認識配列、2つの終止コドン及びXhoI認識配列をコードする配列を基にデザインされたオリゴヌクレオチドの配列である。
配列番号:36は、BglII認識配列、2つの終止コドン及びXhoI認識配列をコードする配列を基にデザインされたオリゴヌクレオチドの配列である。
産業上の利用可能性
本発明の変異型FRT配列を含有したDNAは、リコンビナーゼFLPの存在下、野生型FRT配列とは組換え反応が起きないが、同一配列の2つの変異型FRT配列での組換え反応が起こるという優れた性質を発現する。したがって、高い効率の遺伝子置換方法が可能になるという優れた効果を奏する。さらに本発明DNAにより、野生型FRT配列と変異型FRT配列、又は異なる配列の変異型FRT配列を組み合わせて、動物細胞をはじめとする高等真核細胞における、効率の高い遺伝子置換方法が提供される。
【配列表】
Figure 0004787440
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【図面の簡単な説明】
第1図は、野生型FRT配列の合成DNAの構造を示す図である。(s)はセンス鎖(配列番号:12)を、(a)はアンチセンス鎖(配列番号:13)を示す。
第2図は、変異型FRT配列を含む合成したDNAの配列を示す。下線は、野生型から置換した塩基を示す。
第3図は、プラスミドpBxxAxxの構造を示す模式図である。太線部分はアデノウイルス由来であり、細線部分はpBR322由来である。「M」は変異型FRT配列を意味し、文字上の矢印はFRT配列の向きを示す。Apはアンピシリン耐性遺伝子、oriは大腸菌の複製開始起点を示す。
第4図は2つの同じ配列の変異型FRT間でのリコンビナーゼFLP依存組換え反応の測定法の原理を示す模式図である。太線部分はアデノウイルス由来であり、細線部分はpBR322由来である。
第5図は、プラスミドpBRFRTの構造を示す模式図である。「F」は野生型FRT配列を意味し、文字上の矢印はFRT配列の向きを示す。Apはアンピシリン耐性遺伝子、oriは大腸菌の複製開始起点を示す。
第6図は、プラスミドpBfwtAxxの構造を示す模式図である。太線部分はアデノウイルス由来であり、細線部分はpBR322由来である。「F」は野生型FRT配列を、「M」は変異型FRT配列を意味し、文字上の矢印はFRT配列の向きを示す。Apはアンピシリン耐性遺伝子、oriは大腸菌の複製開始起点を示す。
第7図は野生型FRT配列と変異型FRTとの間でのリコンビナーゼFLP依存組換え反応の測定法の原理を示す模式図である。「F」及び白抜きの箱は野生型FRT配列を、「M」及び黒塗りの箱は変異型FRT配列を意味し、文字上の矢印はFRT配列の向きを示す。また、太線部分はアデノウイルス由来であり、細線部分はpBR322由来である。
第8図は、プラスミドpCAFNmFGの構築方法を示す模式図である。図中、wFは野生型FRT配列を、mFは変異型FRT配列を示す。また、CAGはCAGプロモーターを、GpAはグロビンポリA配列を、pAは、SV40のポリA配列を、Ad5はヒトアデノウイルス5型ゲノムの一部を示す。
第9図は、野生型FRT配列と変異型FRT配列との間でのリコンビナーゼFLP依存組換え反応の原理を示す模式図である。図中、白抜きの矢印はFRT配列を、矢印は制限酵素FspI部位を示す。また、数字はFspI消化DNA断片の長さ(kb)を示す。

Claims (19)

  1. 酵母2ミクロンDNA由来の下記の野生型FRT配列(配列番号:1):
    Figure 0004787440
    において、中央部の8塩基(スペーサー領域)の塩基が下記(1)又は(2):
    (1)TCTCTGGA (f2161)又は
    (2)TATCTTGA (f2262)
    の配列の塩基に置換された配列を有する変異型FRT配列(それぞれ配列番号:2又は4)を含有してなるDNA。
  2. 配列番号2又は4で表される塩基配列からなる変異型FRT配列において、スペーサー領域を除く領域において1個の塩基の置換をさらに有する配列からなり、下記(A)及び(B)の性質を有する変異型FRT配列を含有してなるDNA:
    (A)リコンビナーゼFLPの存在下でも野生型FRT配列との間で特異的DNA組換え反応が起こらない、及び
    (B)リコンビナーゼFLPの存在下、同一の配列を有するもう1つの変異型FRT配列との間で特異的DNA組換え反応が起こる。
  3. リコンビナーゼFLPの存在下でも、異なる配列を有するもう1つの変異型FRT配列との特異的DNA組換え反応が起こらない、請求項1又は2記載の変異型FRT配列を含有してなるDNA。
  4. 少なくとも1つの野生型FRT配列と少なくとも1つの請求項1〜3いずれかにおいて記載された変異型FRT配列とを含有してなるDNA。
  5. 野生型FRT配列と変異型FRT配列との間に所望の遺伝子を有してなる請求項4記載のDNA。
  6. 互いに異なる配列をもつ少なくとも2つの請求項3において記載された変異型FRT配列を含有してなるDNA。
  7. 互いに異なる配列をもつ2つの変異型FRT配列の間に所望の遺伝子を有してなる請求項6記載のDNA。
  8. 請求項4〜7いずれかに記載のDNAにより形質転換された細胞。
  9. 下記のDNA(a)及びDNA(b)をリコンビナーゼFLPの存在下に反応させ、下記のDNA(c)を得ることを特徴とする(但し、ヒトを対象とした治療方法を除く)遺伝子置換方法:
    DNA(a):野生型FRT配列、遺伝子A及び請求項1〜3いずれかにおいて記載の変異型FRT配列をこの順に有するDNA;
    DNA(b):野生型FRT配列、遺伝子B及びDNA(a)と同じ変異型FRT配列をこの順に有するDNA;
    DNA(c):DNA(a)において、遺伝子Aが遺伝子Bに置換されたDNA;
    ここで、遺伝子A及び遺伝子Bは互いに異なる任意の遺伝子である。
  10. 下記のDNA(d)及びDNA(e)をリコンビナーゼFLPの存在下に反応させ、下記のDNA(f)を得ることを特徴とする(但し、ヒトを対象とした治療方法を除く)遺伝子置換方法:
    DNA(d):互いに異なる配列をもつ2つの請求項3において記載された変異型FRT配列(それぞれ変異型FRT配列1及び変異型FRT配列2という)及び遺伝子Aを変異型FRT配列1、遺伝子A及び変異型FRT配列2の順に有するDNA;
    DNA(e):変異型FRT配列1、遺伝子B及び変異型FRT配列2をこの順に有するDNA;
    DNA(f):DNA(d)において、遺伝子Aが遺伝子Bに置換されたDNA;
    ここで、遺伝子A及び遺伝子Bは互いに異なる任意の遺伝子である。
  11. 遺伝子Bが機能的な遺伝子ではないことを特徴とする、請求項9又は10記載の方法。
  12. 遺伝子Aが機能的な遺伝子ではないことを特徴とする、請求項9又は10記載の方法。
  13. DNA(a)若しくはDNA(d)が細胞の染色体DNAであり、DNA(b)若しくはDNA(e)がプラスミドDNA又は二本鎖環状DNAウイルスのDNAである、請求項9〜12いずれかに記載の方法。
  14. DNA(a)若しくはDNA(d)が細胞の染色体DNAであり、DNA(b)若しくはDNA(e)が細胞内で変換されることにより二本鎖環状DNAとなる性質を有する、請求項9〜12いずれかに記載の方法。
  15. DNA(a)若しくはDNA(d)が二本鎖DNAウイルスの染色体DNAであり、DNA(b)若しくはDNA(e)がプラスミドDNA又は二本鎖環状DNAウイルスのDNAである、請求項9〜12いずれかに記載の方法。
  16. DNA(a)若しくはDNA(d)が二本鎖DNAウイルスの染色体DNAであり、DNA(b)若しくはDNA(e)が細胞内で変換されることにより二本鎖環状DNAとなる性質を有する、請求項9〜12いずれかに記載の方法。
  17. 二本鎖DNAウイルスがアデノウイルスである、請求項15又は16記載の方法。
  18. 請求項4〜7いずれかに記載のDNAを染色体上に有してなるトランスジェニック非ヒト動物。
  19. 請求項4〜7いずれかに記載のDNAを含有してなる医薬。
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