JP2004289991A - 制御装置及び自転車 - Google Patents

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Abstract

【課題】CVCC制御を用いた回生制御の容易化、低コスト化、安定性及び信頼性の向上を図る。
【解決手段】CVコントローラ50は、上位コントローラ30によって指示される電圧指令値(Eref=上限充電電圧値OV)に基づいて充放電経路60の電圧を目標値に制御するための電流指令値(Icv)を生成する。比較処理部52は、CVコントローラ50によって指示される電流指令値(Icv)と、上位コントローラ30によって指示される電流指令値(Iref)と、予め設定されている上限電流値(Iccmax)及び下限電流値(Iccmin)とを比較し、その比較結果に基づいてCCコントローラ54に供給する電流指令値(Icc)として決定する。CCコントローラ54は、比較処理部52によって決定された電流指令値(Icc)に基づいて充放電経路60の電流量を目標値に制御する。
【選択図】 図3

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、各種の制御対象を制御するための制御装置、及び助力走行用の駆動モータを備えた自転車に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、回生装置による充電式バッテリと助力用駆動モータを搭載したアシスト型自転車が知られている(例えば、特許文献1〜3参照)。
また、回生装置を用いたシステムとしては、アシスト型自転車に限らず、電気自動車等に種々応用されている(例えば、特許文献4〜9参照)。
このうちアシスト型自転車を従来例として説明する。
一般に、この種のアシスト型自転車では、人力による走行を力行走行といい、下り坂等の重力や外力による走行を回生走行という。
そして、力行走行時には、バッテリから駆動モータに流れる電流を一定の目標値に制御するCC(Constant Current)制御を行うことで力行走行をアシストする。また、回生走行時には、駆動モータからの回生電圧(BEFM)を電源としてCC制御充電が可能である。
また、この充電時には、バッテリの種類によっては安全上、上限充電電圧OV(Over Voltage)を超えないようにする必要があり、充電電圧を一定の目標値に制御するためのCV(Constant Voltage)制御を行い、同時に上限充電電流OC(Over Current)をも超えないように制御しつつ、バッテリに充電する必要があり、この一連の制御をCVCC制御という。
【0003】
そして、このようなCVCC制御は、回生装置に設けられたCCコントローラ及びCVコントローラによって実行される。
すなわち、CCコントローラは充放電経路より検出される電流値に基づくフィードバック制御によって充放電経路の電流値を目標値に制御する。なお、電流値の制御は、例えば駆動モータを制御するモータドライバを通して行う。また、回生(充電)時と力行(放電)時とで充放電経路に流れる電流の方向(電流値の極性)は逆になる。
また、CVコントローラも充放電経路より検出される電圧値に基づくフィードバック制御によって充放電経路の電圧値を目標値に制御するものであるが、充放電経路の電圧値を目標値に一致させるための電流値を算出し、これを電流指令値として充放電経路の電流値を制御することにより、充放電経路の電圧値を目標値に制御する。
【0004】
このようなCCコントローラ及びCVコントローラに対する目標電流値及び目標電圧値の指示と、充放電経路に対するCC制御とCV制御の系統を切り替えることにより、上述したCVCC制御を行う。
具体的には、CCコントローラによるCC制御時にはCVコントローラを完全に停止して制御系から切り離し、上位コントローラからCCコントローラに電流指令値を与えることで電流値の制御を行う。
また、CVコントローラによるCV制御時には、CVコントローラによって生成した電流指令値によってモータドライバを直接制御し、充放電経路に対するCV制御を行う構成と、CVコントローラのマイナーループ(下流)にCCコントローラを設け、CVコントローラによって生成した電流指令値をCCコントローラに送り、このCVコントローラからの電流指令値に基づいてCCコントローラがモータドライバを制御し、充放電経路に対するCV制御を行う構成の2通りの方式が可能である。
【0005】
【特許文献1】
特開2000−6878号公報
【特許文献2】
特開2000−118477号公報
【特許文献3】
特開2002−255080号公報
【特許文献4】
特開平10−84628号公報
【特許文献5】
特開2000−152409号公報
【特許文献6】
特開2002−145168号公報
【特許文献7】
特開平9−149685号公報
【特許文献8】
特開平8−98305号公報
【特許文献9】
特開平10−100741号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上述のようにCCコントローラとCVコントローラの組み合わせによってCVCC制御を行う回生装置においては、CC制御系とCV制御系の移行動作等において、円滑な動作を確保できなかったり、複雑で困難な演算処理が必要となるといった課題がある。
例えば、上述したCC制御時に、CVコントローラを完全に停止して制御を行うため、CV制御の再開時には、CV制御系の起動動作が必要となり、CV制御系の過渡応答によって動作が不安定化するという問題が発生する。これはソフトウエア開発時にも大きな問題となっており、動作上でもしばしば不都合を起こす要因となる。
また、上述したCV制御時には、上位コントローラからCVコントローラに指示する電圧指令値を充電のための目標電流値に一致するように与えねばならず、従って電圧指令値と目標電流値との回路方程式(バッテリのインピーダンス等)が明確になっている必要があったが、実際には温度変化や経時変化等の不確定要因があり、一般にこの関係式を正確に得るのは困難であった。
なお、以上のような問題は、アシスト自転車に限らず、CVCC制御を用いた回生制御を行う各種のシステムにおいて、同様に生じるものである。
【0007】
また、上述のようなCVCC制御以外の制御系においても、各種の制御対象に対する制御装置において、安全性の確保のために、各種の制御量(電流値、電圧値、温度、速度等)を所定の限界値以内に維持する必要があり、さらにその制御をスムーズな制御動作で行なう必要がある(例えば自転車のような乗り物では乗り味の確保を図る必要がある)。なお、以下の説明において、各種の限界値を超えた制御状態をオーバーランといい、それを防止するためのフィードバック制御をオーバーランプロテクト制御というものとする。
【0008】
そこで本発明の目的は、各種の制御量を制御する際に、有効なオーバーランプロテクト制御を行なうことができ、安定性や信頼性の高い動作を得ることが可能な制御装置及び自転車を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明は前記目的を達成するため、所定の制御対象に制御信号を供給することにより、前記制御対象の制御量を制御する第1の制御手段と、前記第1の制御手段に前記制御量を決定する制御指令値を供給することにより、前記制御対象を制御する第2の制御手段と、前記制御対象の所定の状態を検出する状態検出手段とを有し、前記第2の制御手段は、前記制御指令値による制御の結果、前記制御対象の状態が所定の限界値に近づいた場合に、前記制御信号のレベルを徐々に減衰させて前記制御対象の状態が所定の限界値を超えないように制御するオーバーランプロテクト制御を行なうことを特徴とする。
【0010】
また本発明は、車輪の助力駆動を行う駆動モータと、前記駆動モータを制御する制御装置とを有し、前記制御装置が、前記駆動モータに制御電流を供給することにより、前記駆動モータの駆動量を制御する第1の制御手段と、前記第1の制御手段に前記駆動量を決定する電流指令値を供給することにより、前記駆動モータを制御する第2の制御手段と、前記駆動モータの所定の状態を検出する状態検出手段とを有し、前記第2の制御手段は、前記電流指令値による制御の結果、前記駆動モータの状態が所定の限界値に近づいた場合に、前記制御信号のレベルを徐々に減衰させて前記駆動モータの状態が所定の限界値を超えないように制御するオーバーランプロテクト制御を行なうことを特徴とする。
【0011】
本発明の制御装置及び自転車では、各種の制御量を制御する際に、電流指令値等の制御指令値による制御の結果、制御対象の状態が所定の限界値に近づいた場合に、制御信号のレベルを徐々に減衰させて制御対象の状態が所定の限界値を超えないように制御するオーバーランプロテクト制御を行なうようにしたことから、衝撃の小さいシームレスな動作の有効なオーバーランプロテクト制御を行なうことができ、安定性や信頼性の高い動作を得ることが可能となる。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、本発明による制御装置及び自転車の実施の形態例について説明する。
なお、本発明は、アシスト自転車に限らず、各種システムで用いられる制御装置に広く適用し得るものであるが、以下に説明する実施の形態例では、主に本発明を回生装置を有するアシスト自転車に適用した例について説明する。
まず、本発明の第1の実施の形態例を説明する。
本実施の形態例は、上述したCVCC制御に関するものであり、電動自転車(アシスト型自転車)のアクチュエーターとして充電式バッテリ駆動によるブラシレスDCモータ(駆動モータ)を車輪に実装し、ダイレクトドライブ(DD)に用いた場合、力行走行時に、バッテリから駆動モータに電流を流し込むことでトルクを発生し、乗り手をアシストする。また、逆に自転車の車輪に外力(例えば下り坂での重力、手押し走行時の人力等)が加わって車輪と共に駆動モータが回転する場合には、駆動モータに発生する回生電圧(BEFM)を回生電源としてバッテリに電流を流し込み、エネルギーを蓄えるとともに、電動ブレーキ動作も実現できる。
これらの動作をバッテリから見た場合、前者は放電動作であり、後者は充電動作となる。
【0013】
また、この動作を制御面から見ると、放電制御は上述したCC制御、充電制御は充電時のバッテリ流れ込み電流値を制御したい場合はCC制御、バッテリ印加電圧を制御したい場合はCV制御となる。
また、電流・電圧ともに制御したい場合はCVCC制御となる。もちろん、オームの法則に支配されるため、電圧・電流を独立に制御できるわけでは無く、ここでのCVCC制御とは、上限充電電圧(OV)と上限充電電流(OC)の両方を決して超えない範囲での電流制御である。そこで、本実施の形態例では、駆動モータからの回生電圧がバッテリの充電電圧を超えないようにするためのオーバーランプロテクト制御を実現するための構成及び動作を提供するものである。
【0014】
以下、本実施の形態例を図面を用いて具体的に説明する。
図1は本実施の形態例におけるアシスト型自転車の外観を示す側面図であり、図2は図1に示すアシスト型自転車の制御系の構成を示すブロック図である。
図1に示すように、本例のアシスト型自転車は、本体フレーム10と、サドル部12と、ハンドル部14と、ペダル部16、前輪部18と、後輪部20とを有し、サドル部12の中央には操作キーとフラット表示パネルとを含む操作表示部22が取り付けられている。そして、本体フレーム10の内部に、本発明の特徴となる回生装置を含む制御系、充電式のバッテリ、アシスト用の駆動モータ等(図1では省略する)が組み込まれている。
【0015】
図2に示すように、本例のアシスト型自転車の制御系としては、本例におけるアシスト動作及び回生動作の全体を統括制御する上位コントローラ30と、アシスト動作等の電源となる充電式のバッテリ32と、上位コントローラ30からの指示に基づいてバッテリ32の充放電を制御する力行・回生装置34と、駆動モータ36を制御するモータドライバ38と、力行走行と回生走行の検出を行うセンサ部40等を有している。なお、上位コントローラ30には、上述した操作表示部22が接続されている。
上位コントローラ30には、センサ部40からの検出信号に応じて、アシスト動作と回生動作の切り替え信号を力行・回生装置34に供給するとともに、CC制御に必要な電流指令値(Iref)とCV制御に必要な電圧指令値(Eref)すなわち本例ではOV(上限充電電圧値)を力行・回生装置34に供給する。ただし、これらの電流指令値および電圧指令値は、予め力行・回生装置34に設定されていても良いし、その他の外部入力手段によって供給するような構成であってもよい。
【0016】
また、上位コントローラ30には、主にバッテリ32、駆動モータ36、及びモータドライバ38の能力によって決定されるアシスト駆動時(放電時)の上限電流値(Iccmax)と、主にバッテリ32の能力によって決定される回生時(充電時)の下限電流値(Iccmin)の値が不揮発性メモリ等によって予め設定されており、この上限電流値及び下限電流値を力行・回生装置34に供給する。ただし、上限電流値や下限電流値は、予め力行・回生装置34に設定されていても良いし、その他の外部入力手段によって供給するような構成であってもよい。
なお、アシスト動作時のバッテリ32からモータ36等に供給される電流の方向(すなわち放電方向)を正の電流とした場合、上限電流値はアシスト動作時にバッテリ32から出力される正の電流値であり、下限電流値は回生時にバッテリ32に入力される負の電流値である。
また、バッテリ32は、その能力によって充電時の上限電流値OCと上限電圧値OVを有するものであり、これらの値も予め上位コントローラ30内の不揮発性メモリ等に設定されているものとする。
【0017】
図3は本例における力行・回生制御系の構成例を示すブロック図である。
図示のように、本例の力行・回生制御系は、CVコントローラ(電圧制御手段)50、比較処理部(比較手段)52、及びCCコントローラ(電流制御手段)54を有する。
CVコントローラ50は、充放電経路60から得られる電圧値(Ebatout)と上位コントローラ30によって指示される電圧指令値(Eref)とに基づいて充放電経路60の電圧を目標値に制御するための電流指令値(Icv)を生成する。
比較処理部52は、CVコントローラ50によって指示される電流指令値(Icv)と、上位コントローラ30によって指示される電流指令値(Iref)と、予め設定されている上限電流値(Iccmax)及び下限電流値(Iccmin)とを比較し、その比較結果に基づいてCCコントローラ54に供給する電流指令値(Icc)として決定する。
CCコントローラ54は、充放電経路60から得られる電流値(Im)と比較処理部52によって決定された電流指令値(Icc)に基づいて充放電経路60の電流量をモータドライバ38を通して目標値に制御する。
【0018】
なお、図3において、バッテリ32は抵抗Rbatを介して充電経路60に接続され、駆動モータ36はインピーダンスRm+S・Lmを介して充電経路60に接続されている(なお、Sはラプラス演算子である)。そして、回生(充電)時には矢印Aに示すように、駆動モータ36からバッテリ32に電流が流れ、アシスト(放電)時には矢印Bに示すように、バッテリ32から駆動モータ36に電流が流れる。また、バッテリ32の出力電圧(Ebatout(v))はCVコントローラ50に供給され、電圧検知に用いられる。また、回生時に駆動モータ36で生じたモータ電流(バッテリ電流)Imは、CCコントローラ54に供給され、電流検知に用いられる。
また、充電経路60はモータドライバ38が接続されており、このモータドライバ38を通して充電経路60の電流量を制御するようになっている。
【0019】
また、本例においては、充放電経路60の放電時の電流方向を正とし、上述した上限電流値(Iccmax)は、バッテリ32、駆動モータ36、及びモータドライバ38の能力によって決定される正の電流値であり、アシスト時の最大電流値である。また、上述した下限電流値(Iccmin)はバッテリ32の能力によって決定される負の電流値であり、回生時の最小電流値である。
そして、充放電経路60に接続される各ノードのダイナミックレンジは上限電流値(Iccmax)及び下限電流値(Iccmin)に適合する値に設定されているものとする。
また、充放電経路60の放電時(すなわちアシスト時)には、上位コントローラ30によって指示される電流指令値(Iref)は正の値で与えられ、充放電経路60の充電時(すなわち回生時)には上位コントローラによって指示される電流指令値(Iref)及びCVコントローラ50によって指示される電流指令値(Icv)が負の値で与えられる。
なお、充放電経路60に接続される各ノードのダイナミックレンジは上限電流値(Iccmax)及び下限電流値(Iccmin)に適合する値に設定されているものとする。
【0020】
以下、このような回生装置における具体的な動作例について説明する。
まず、CCコントローラ54によるCC制御系について説明する。
駆動モータ36の電流制御系にとって制御対象はモータコイルであり、その主要構成要素はコイルに直接電流を流すモータドライバ38とこのモータドライバ38に適切な制御量を送り出すCCコントローラ54及びモータドライバ38の電源となるバッテリ32である。
CCコントローラ54の主要機能としては次の4つの要素が含まれる。
(1)CC制御系に対して上位コントローラ30から供給される電流指令値(Iref)にモータ36の電流値を適切な応答で収束させるための制御則。なお、以下の説明ではCCコントローラ54としてソフトウエアにて実装されるPI制御系を例に説明するが、ここで利用できるアルゴリズムは他の制御則であっても適用可能であることは勿論である。
(2)バッテリ32やモータドライバ38やモータ36の破損防止、人間に対する安全性を確保するための各種リミッタ機能。
(3)乗り味の確保
(4)CVコントローラとの適切なインターフェース。
【0021】
そこで、次に、CC制御系のPI制御則でのPIパラメータ設計法の一例について説明する。なお、CC制御系に用いる制御則としては、これ以外の制御則であっても勿論構わないものである。
上述のようにCC制御系の制御対象はモータ36のコイルであり、従ってその制御モデルGm(S)は次の式(1−1)のようになる。
【0022】
【数1】
Figure 2004289991
【0023】
なお、Lmはモータコイルのインダクタンス、Rmは抵抗、Sはラプラス演算子である。
また、CC制御系を安定化できる制御則Gcc(S)はシンプルな一例として例えば次の式(1−2)のようになる。
【0024】
【数2】
Figure 2004289991
【0025】
また、PI制御則のサーボパラメータKp、Kiの設計法はいくつも知られているが、ここでは極配置法での公式を用いた例を示す。
そして、この公式適用の場合、実用上、コイル部を1/Sに規格化しておくと便利である。この規格化とPIパラメータ設計法は以下のようになる。
【0026】
まず、モータコイルのインダクタンスをLm、抵抗をRm、ラプラス演算子をSとすると、コイルの伝達関数は式(1−1)となり、この式から次の式(1−3)が得られる。
【0027】
【数3】
Figure 2004289991
【0028】
そこで、この値がちょうど1となるwをw として、次の式(1−4)を得る。
【0029】
【数4】
Figure 2004289991
【0030】
一方、G(S)=Km/Sにおいて、G(S)の絶対値が1となるwをw とするとき、次の式(1−5)が成り立つ。
【0031】
【数5】
Figure 2004289991
【0032】
この式より、Km=w が得られる。よって、式(1−4)から次の式(1−6)が導かれる。
【0033】
【数6】
Figure 2004289991
【0034】
そこで、これを解くと、次の式(1−7)が得られる。
【0035】
【数7】
Figure 2004289991
【0036】
従って、w の近辺においては、Gm(S)は次の式(1−8)となるはずである。
【0037】
【数8】
Figure 2004289991
【0038】
従って、Gm(S)をKmで割れば、w の近辺で1/Sに近似できる。つまり、次の式(1−9)が成り立つ。
【0039】
【数9】
Figure 2004289991
【0040】
つまり、コイルモデルに1/Kmを掛けることで、モータのコイルを1/Sにほぼ規格化できたことになる。
【0041】
このようにして規格化した後のPI制御系のパラメータKp、Kiはアナログモデルでは応答特性(F特)をF0[Hz]極角ψ=0[度]とすると、次の式(1−10)によって設計できる。
【0042】
【数10】
Figure 2004289991
【0043】
なお、実際には、このパラメータKp、Kiを固定しておき、CCコントローラ54の出力に1/Kmを掛けてチューニングすることとなる。
以上で CC−PI制御系のループ設計ができたことになる。
そこで、図3において、CC制御系への電流指令値Icc[A]をImに設定すると、モータにコイル電流Im[A]が流れることとなる。
【0044】
次に、CVコントローラ50によるCV制御系について説明する。
アシスト型自転車では、主に登り坂において人の踏力に加えてモータに電流を流しトルクを発生することで補助する。逆に主に下り坂走行時にはモータに発生する逆起電圧(BEMF)を電圧源とした回生電流でバッテリを充電する。
この回生充電制御の主な目的は、バッテリのエネルギー再利用効率の向上と、電動ブレーキ動作及び乗り心地(いわゆる乗り味)を確保することにある。
また、回生充電制御時の必要機能としては、次のようなものが挙げられる。
(11)バッテリ充電電圧を上限充電電圧OV以下に抑える。
(12)バッテリ充電電流を上限充電電流OC以下に抑える。
(13)乗り味を悪化させない。
(14)できる限り制御応答を落とさない。
【0045】
そして、特に上記(11)の機能を満たすためにCV制御が必要となる。
従って、バッテリ32による印加電圧が上限充電電圧OV以下で回生制御されている状況下では、上記目的(11)以外の目的、機能を満たすためには、CC制御が好ましい。これは一般にCC制御系の応答速度(F特)を大きく設計できるからである。
【0046】
次に、CV制御系の制御対象モデルと制御則について説明する。
まず、CVコントローラ50からCCコントローラ54を見ると、CC制御系が適切に制御されている場合には、CC制御系はモータ36、バッテリ32に対して定電流制御となっている。
図4(A)は、CVコントローラ50からCCコントローラ54を見た場合のCV制御系の制御対象モデルを示す回路図であり、図4(B)は図4(A)を等価回路化した回路図である。
CC制御系の能力が高ければ高い程、図4に示すようなモデルに近づく。モータが回転すると、その速度に比例して逆起電力Emが発生するが、定電流源Iccが存在するため、逆起電力Emの大小に影響されずに、CV制御系の制御量Ebatoutが等価回路によって決定される。つまり、次の式(2−1)が成立する。
【0047】
【数11】
Figure 2004289991
【0048】
そして、この式(2−1)において、第2項のみがIccで影響を受けることに注目し、その成分をあらためてEbatoutとすると、次の式(2−2)が成立する。
【0049】
【数12】
Figure 2004289991
【0050】
この式(2−2)により、CV制御系の制御量Ebatoutは1次伝達関数であり、これはCCコントローラ54の制御対象と同じ形であることが分かる。しかし、Rbat<1[Ω]、Cmb〜5000[μF]が一般に成り立つから、上記式(2−2)の時定数〜5[msec]〜200[hz]程度であり、ロールオフ周波数はCC制御系のF特より多少低い程度である。従って、RbatでCVコントローラ50の出力を割っておけば、CVコントローラ50の制御対象モデルは1とみなせるので、CV制御系の制御則として、例えば以下の式(2−3)を満たす制御器で安定化でき、CCコントローラの制御パラメータと同じ公式(1−10)をそのまま再利用することができる。
【0051】
【数13】
Figure 2004289991
【0052】
次に、比較処理部52によって実行されるCVCC制御系の動作について説明する。比較処理部52では、内部のスイッチSW1を切り替え、CCコントローラへの電流指令値Iccを選択するものである。
ここで、従来のCVCC制御系の動作では、CC制御系とCV制御系とを切り換えるスイッチ動作において、CV制御系自身が外乱要因となることを防止する意味でも、CC制御系が動作している状態では、CV制御系の動作は停止していた。しかし、本例のCVCC制御系の動作では、CV制御系への電圧指令値として上限充電電圧OVを常に与えた状態でCV制御系を動作させている。
そして、最終的なCC制御系への指令電流値Iccは、比較処理部52において、上位コントローラ30からの電流指令値Iref、CVコントローラ50からの電流指令値Icv、及び予め設定された上限電流値Iccmax及び下限電流値Iccminに対して以下のような比較、選択動作を行い、CCコントローラ54に供給する。
【0053】
まず、アシスト時(バッテリ放電時)には、上位コントローラ30からの電流指令値Irefが正の電流値となる。そこで、比較処理部52は、上位コントローラ30からの電流指令値Irefと上限電流値Iccmaxのうちの最小電流値を最終的なCC制御系への指令電流値IccとしてCCコントローラ54に出力する。これを以下の式(3−1)で表すものとする。
Icc=min(Iref、Iccmax)>0 ……(3−1)
この式(3−1)は、通常のアシスト時の制御であり、この時のCV制御系の出力Icvは無関係である。
【0054】
次に、回生時(バッテリ充電時)には、上位コントローラ30からの電流指令値Irefが零または負の電流値となる。
そこで、比較処理部52は、CVコントローラ50からの電流指令値Icvと、上位コントローラ30からの電流指令値Irefと、下限電流値Iccminのうちの最大電流値を最終的なCC制御系への指令電流値IccとしてCCコントローラ54に出力する。これを以下の式(3−2)で表すものとする。
Icc=max(Icv、Iref、Iccmin)≦0 ……(3−2)
【0055】
次に、CVコントローラ50による電流指令値Icvについて説明する。
本例のCVCC制御系では、CVコントローラ50による電流指令値Icvに特徴を有しており、以下のような条件を有している。
まず、バッテリの出力電圧値Ebatoutが上限充電電圧値OVより小さい場合には、
Icv=Iccmin<0 ……式(3−3)
となる。
また、バッテリの出力電圧値Ebatoutが上限充電電圧値OV以上の場合には、
Iccmin≦Icv≦0 ……式(3−4)
となる。
すなわち、Icvはバッテリ出力電圧Ebatoutが上限充電電圧値OVより小さい場合にはIccminと一致し、上限充電電圧値OVを少しでも越え始めると、Iccminと0の間の値をとるようにCV制御が働く。このIcvの振る舞いは、あたかもIcvがCV制御系の出力段の下限電流値Iccminをゆっくり押し上げるように見える。このように、Icvが出力されると、式(3−2)に従ってCC制御系への指令値Iccが制御される。
【0056】
次に、CV制御系の上限電流値と下限電流値の設計方法について説明する。
ここでは、上述した式(3−3)及び式(3−4)が実現できる仕組みをCV制御系の各ノードにおける上限電流値及び下限電流値(Limiter値)から説明する。
なお、ここではCV制御則として、上述の式(2−3)を用いた場合について説明する。なお、このCV制御則は一例であり、他の制御則を用いてもよいことは勿論である。
【0057】
図5は式(2−3)に示す積分器を双1次変換ソフトで実現した場合の構成例を示すブロック図である。
図示のように、この回路は2つの積分器91、92、3つの乗算器93、94、95、1つの加算器96を有して構成され、各積分器91、92は図5(B)に示すような構成を有している。
図中のZは1サンプリング遅延子(Z変換子)を示している。また、一点鎖線による引きだし線は各ノードのLimiter値を示しており、上側の値が最大値(上限値)、下側の値が最小値(下限値)である。なお、Limiter値が記載されないノードは、Limiter値が十分大きいものとする。
また、Iccmax(≧0)、Iccmin(<0)は、次段のCC制御系に入力する電流指令値のLimiter値の上限値及び下限値を示している。
また、−1/Kmは上述した規格化ゲインを表しており、−は回生時にIcvが大きくなると(すなわち、負側から零に近づくと)、バッテリ出力電圧Ebatoutが逆に小さくなる(負方向に変化する)ことを意味している。
さらに、Kp、Kiは、上述した制御パラメータであり、双1次変換係数Ts/2が掛けられた値(Tsは1サンプリング周期)である。
【0058】
本例におけるCV制御系のノードのLimiter値は、図5からも分かるように、次段のCC制御系入力のLimiter値、Iccmax、Iccminから逆算されて設計される。このことは、CV制御系のサーボパラメータKp、Kiがチューニングされて変更されても変更後のKp,Ki値がLimiter値に反映されるため、Limiter値は破綻しないことを示している。
また、上位コントローラ30からのCV制御系への指令電圧には、常時バッテリ上限充電電圧OVが入力される。従って、入力がOV−Ebatout<0の時、積分器の動作上、必然的にCV制御系の出力は、
Icv=Iccmin<0 ……式(3−3)
に一致する。最終的なCC制御系への入力値Iccは図3に示したように、
Icc=max(Icv、Iref、Iccmin)≦0 ……(3−2)
で決定される。
【0059】
つまり、充電が進み、Ebatout−OV≧0に近づいた時にのみ、CV制御系出力Icvが増加してきて、式(3−2)からCC制御系への入力Iccとして初めて採用される仕組みである。換言すれば、充電が進む前、OV−Ebatout>0であれば、CV制御系が動作中であっても出力IcvはCC制御系に何ら影響を与えず、必要になった時点でIcvがIrefに近づき、Irefにスムーズに、かつシームレスに取って代わることになる。この入れ替わりは、充電の速度で行われるから非常にゆっくりしたもので、過渡応答は発生し得ないものである。
【0060】
最後に、バッテリの挙動について説明する。
バッテリ32の充電レベルEbatに関し、図3に示す構成から以下の式(4−1)が成り立つ。
Ebatout=Ebat−Icc×Rbat ……(4−1)
Ebat≦OV ……(4−2)
ここでIccは充電時に−、アシスト時に+である。
従って、充電が進み、Ebat=OV−Icc×Rbatの時点から式(3−2)により、CV制御系の出力IccがCC制御系への入力として採用され始める。この動作は、式(4−1)を事前に保証してくれるので、OV対策として、より安全な動作を実現できることを意味する。
また、このようにEbat=OV以前に充電電流Iccが減少を始める。しかし、この仕組みでIccが減少すると、式(4−1)からEbatoutが減少し、IcvつまりIccが増加し、といった一連の挙動を緩やかに繰り返して、式(4−2)に収束していくが、この状況下では、Iccが十分小さいため、乗り手に衝撃等を与えることはない。この動作より、式(4−2)がより確実に保証され、バッテリの安全上好ましい動作が期待できる。
【0061】
以上のような本例のアシスト自転車では、以下のような効果を得ることが可能である。
(A)CC制御とCV制御間の切り換えがシームレスで、電流・電圧に過渡応答が現れない。従って、乗り手に衝撃等が少なく、乗り味が良く、バッテリにとってもエネルギー効率が良く、寿命・安全性の点で好ましい制御方式を提供することができる。
(B)簡単な制御によってバッテリの上限充電電圧OV及び上限充電電流OCを同時に満足しつつ充放電電流を有効に制御することが可能である。
(C)バッテリ電圧がOV以下の状況では、回生(充電)制御をCC制御できる。つまり、回生制御応答をCC制御応答と同程度に制御でき、好ましい電動ブレーキ性能が得られる。
(D)CC制御系及びCV制御系のサーボパラメータを変更する度にOV制御及びOC制御が破綻しないように各制御系のノードのダイナミックレンジを設計できる。
(E)CV制御に回路方程式を用いないので、モータやバッテリの経時変化・温度特性に性能が左右されず、信頼性、安定性の高いシステムを提供できる。
【0062】
なお、以上の第1の実施の形態例は本発明をアシスト自転車に適用した場合について説明したが、本発明は単独の回生装置として実現できるものであり、アシスト自転車の駆動系に限らず、他のシステムに広く適用できるものである。
また、上述した各種の制御則やアルゴリズムは、本発明の一実施例であり、種々変形し得るものである。
さらに、回生装置としては、バッテリやモータ等と別ユニットとして製品化が可能であり、このような態様についても本発明に含まれるものである。
また、上述の例では、CCコントローラにPI制御系を用いた例を説明したが、本発明は、これに限定されるものではなく、例えばPID制御系を用いてもよいし、あるいは現代制御方式を用いることも可能である。
また、上述の説明では、充放電経路の放電時の電流方向を正とした場合について説明したが、充放電経路の放電時の電流方向を負とした場合も同様の動作となるものであり、この場合には、各電流指令値等の極性は逆になるものとする。
【0063】
次に、本発明の第2の実施の形態例を説明する。
上述したアシスト自転車においては、CVCC制御以外にも安全上及び乗り味上の観点から例えば以下のような各種制御が不可欠となる。
a)バッテリ電圧(Ebat)をモータの逆起電圧(Ebefm )が決して超えてはならない。この制御は、モータドライバとバッテリの保護上必要となるものであり、アシスト動作と回生動作の双方で必要となる。
b)システム内温度(モータ温度/モータドライバ温度/CPU温度その他)がある上限温度を超えてはならない。この制御も、アシスト動作と回生動作の双方で必要となる。
c)また、より一般的な方法として、システム内のある物理量がある閾値を超えないためにスイッチの制御によって動作を切り替えるものが存在する。
本例では、これらの制御をまとめて“オーバーランプロテクト制御(ORP制御)”と呼ぶ。なお、回生時のCV制御はバッテリOVに対するCC制御系をマイナーループとしたORP制御の1つと言える。
そして、上述した第1の実施の形態では、CVCC制御アルゴリズムを改良することで、上記のa)〜c)の制御に対応可能としたものであるが、第2の実施の形態例では、一例として、上記a)の回生時にEbat>=Ebefmを確保するEbat−EbefmORP制御アルゴリズムについて説明したものである。
【0064】
これに対し、第2の実施の形態例は、このEbat−EbefmORP制御のサーボ制御構造に関してのものであり、以下の特徴を有している。
1)マイナーループ(CC制御系)とORP制御間の遷移をループ上シームレスな制御が可能である。すなわち、マイナーループ(CC制御系)とORP制御系との間の従来のような単純なスイッチによる制御構造となっておらず、滑らかな遷移を実現するようになっている。
2)ORP制御系はマイナーループ同様、常に動作中でEbefm 電圧がEbat電圧に達する状況下で初めて連続的で滑らかな意味のある出力を吐き出す(従来の単なるオン/オフ制御ではない)。
3)ORP制御が付加されてもEbefm 電圧がEbat電圧に達する直前迄は応答の速いマイナーループ(CC制御)特性で制御可能である。
【0065】
4)制御構造上はORP制御系はマイナーループを制御する構造をとる。
具体的には、ORP制御系への電圧指令値としてバッテリ端子電圧Ebatout を採用し、マイナーループ(CC制御系)への電流指令値に上下の制限(Limiter )値を設け、特に下限のLimiter 値をOC−値に等しく設定し、最終的なCC制御系への指令値Icc として上位コントローラからの指令値IrefとOC−値とORP制御系出力値Iorpの最大値を採用する。
また、ORP制御系の各ノードがOC−値に対してダイナミックレンジ上過不足なく対応するように、ORP制御系の各ノードLimiterを設定する。
本実施の形態例は、アシスト自転車でのORP制御に以上の手法を採用することで、回生時Ebat>=Ebefmを確保した安全なCC制御下で、回生上限速度を大きくすることが可能であり、その結果、バッテリの充電回収効率を向上させるようにしたものである。なお、上記a)以外の制御についても、a)の手法を適宜適用することで実現される。
【0066】
以下、本実施の形態例を図面を用いて具体的に説明する。
図6は本例における力行・回生制御系の構成例を示すブロック図である。なお、全体の構成は図1及び図2に示すものと共通であるものとする。
図示のように、本例の力行・回生制御系は、ORPコントローラ(電圧制御手段)150、比較処理部(比較手段)152、及びCCコントローラ(電流制御手段)154を有する。
ORPコントローラ150は、充放電経路160から得られる電圧値(Ebatout)とモータ136から得られる逆起電力(Ebefm)とに基づいて充放電経路160の電圧を目標値に制御するための電流指令値(IorpIorp)を生成する。
比較処理部152(SW1)は、ORPコントローラ150によって指示される電流指令値(Iorp)と、上位コントローラ30によって指示される電流指令値(Iref)と、予め設定されている上限電流値(Iccmax)及び下限電流値(Iccmin)とを比較し、その比較結果に基づいてCCコントローラ154に供給する電流指令値(Icc)を決定する。
CCコントローラ154は、充放電経路160から得られる電流値(Im)と比較処理部152によって決定された電流指令値(Icc)に基づいて充放電経路160の電流量をモータドライバ138を通して目標値に制御する。
【0067】
なお、図6において、バッテリ132は抵抗Rbatを介して充電経路160に接続され、駆動モータ136はインピーダンスRm+S・Lmを介して充電経路160に接続されている(なお、Sはラプラス演算子である)。そして、回生(充電)時には矢印Aに示すように、駆動モータ136からバッテリ132に電流が流れ、アシスト(放電)時には矢印Bに示すように、バッテリ132から駆動モータ136に電流が流れる。また、バッテリ132の出力電圧(Ebatout(v))はORPコントローラ150に供給され、電圧検知に用いられる。また、回生時に駆動モータ136で生じたモータ電流(バッテリ電流)Imは、CCコントローラ154に供給され、電流検知に用いられる。
また、充電経路160はモータドライバ138が接続されており、このモータドライバ138を通して充電経路160の電流量を制御するようになっている。さらに、駆動モータ136とバッテリ132との間には、開閉スイッチ(SW2)170が設けられ、逆起電圧がバッテリ電圧に一致または近づいた場合に駆動モータ136とバッテリ132との間を遮断するようになっている。
【0068】
また、本例においては、充放電経路160の放電時の電流方向を正とし、上述した上限電流値(Iccmax)は、バッテリ132、駆動モータ136、及びモータドライバ138の能力によって決定される正の電流値であり、アシスト時の最大電流値であり、アシスト時の最大値で+をとる。また、上述した下限電流値(Iccmin)はバッテリ132の能力によって決定される負の電流値OC−であり、回生時の最小電流値で、−をとる。
そして、充放電経路160に接続される各ノードのダイナミックレンジは上限電流値(Iccmax)及び下限電流値(Iccmin)に適合する値に設定されているものとする。
また、充放電経路160の放電時(すなわちアシスト時)には、上位コントローラ30によって指示される電流指令値(Iref)は正の値で与えられ、充放電経路160の充電時(すなわち回生時)には上位コントローラによって指示される電流指令値(Iref)及びORPコントローラ150によって指示される電流指令値(Iorp)が負の値で与えられる。
なお、充放電経路160に接続される各ノードのダイナミックレンジは上限電流値(Iccmax)及び下限電流値(Iccmin)に適合する値に設定されているものとする。
【0069】
以下、このような回生装置における具体的な動作例について説明する。
本例で説明するEbatout−EbefmORP制御系の動作では、ORP制御系への電圧指令値としてEbatoutが常に与えられた状態で、ダイナミックなORP制御系を常に動作させている。そして最終的なマイナーループ(CC制御系)への指令値Iccは比較処理部152のスイッチSW1を制御して、これらIorp、Iref、Iccmax、Iccminの中から以下に説明するように適正に選択する。
【0070】
次に、スイッチSW1(比較処理部152)、SW2のアルゴリズムについて説明する。
まず、アシスト時(バッテリ放電時)には、上位コントローラ30からの電流指令値Irefが正の電流値となる。そこで、比較処理部152は、上位コントローラ30からの電流指令値Irefと上限電流値Iccmaxのうちの最小電流値を最終的なCC制御系への指令電流値IccとしてCCコントローラ154に出力する。これを以下の式(5−1)で表すものとする。
Icc=min(Iref、Iccmax)>0 ……(5−1)
この式(5−1)は、通常のアシスト時の制御であり、この時のORP制御系の出力Iorpは無関係である。
【0071】
次に、回生時(バッテリ充電時)には、上位コントローラ30からの電流指令値Irefが零または負の電流値となる。
そこで、比較処理部152は、ORPコントローラ150からの電流指令値Iorpと、上位コントローラ30からの電流指令値Irefと、下限電流値Iccminのうちの最大電流値を最終的なCC制御系への指令電流値IccとしてCCコントローラ154に出力する。これを以下の式(5−2)で表すものとする。
Icc=max(Iorp、Iref、Iccmin)≦0 ……(5−2)
となるように、スイッチSW1と指令電流値Iccを制御する。
そして、モータ速度がさらに上がり、指令電流値Iccが零アンペアに近づく、すなわち、
Icc〜0 ……(5−3)
を確認後、EbatoutがEbefmに近づく、すなわち、
Ebat〜Ebefm ……(5−4)
となったら、スイッチSW2をオフとし、バッテリとモータドライバとを完全に切り離し、Ebat≦Ebefmとなった場合のバッテリの安全を確保する。
このスイッチSW2のオフ動作は、Icc〜0を確認後、Ebat〜Ebefmの条件で実行するため、Iccが十分小さい状態で実行されることから、自転車の乗り手にも衝撃を与えない安全な制御となり、回路上もキックバック等のほとんどない安全な制御となっている。
【0072】
次に、ORPコントローラ150による電流指令値Iorpについて説明する。本例のORP制御系は連続的で滑らかな出力であるIorpがとる値に特徴がある。すなわち、バッテリ出力電圧値Ebatoutが逆起電圧値Ebefmより小さい場合には、
Iorp=Iccmin<0 ……式(5−5)
となっている。
また、バッテリ出力電圧値Ebatoutが逆起電圧値Ebefmに近づいた場合には、
Iccmin≦Iorp≦0 ……式(5−6)
となる。
すなわち、Iorpはバッテリ出力電圧Ebatoutが逆起電圧Ebefmより大きい場合にはIccminと一致し、バッテリ出力電圧Ebatoutを少しでも越え始めると、Iccminと0の間の値をとるようにORP制御が働く。このIorpの振る舞いは、あたかもIorpがORP制御系の出力段のLimiter値Iccminをゆっくり押し上げるように見える。このように、Iorpが出力されると、式(5−4)に従ってCC制御系への指令値Iccが制御される。
【0073】
なお、図7は、3相PWMインバータによる3相ACモータのPWMドライバによるCC制御系の構成を示すブロック図である。
ここで、CC制御系210は、モータ電流Imを目標値に適切な応答で収束させるための制御則をもつコントローラである。なお、このCC制御系210ではシステム全体の安全を確保する仕組みも実装されているものとする。
また、PWM発生源220は、H型PWMインバータにCC制御系からの入力を反映させたPWMデューティを生成するとともに、モータ位相を基にモータ界磁位相を制御する。その他は、既に説明した内容であるので省略する。
【0074】
次に、ORP制御系のLimiter値の設計方法について説明する。
ここでは、上述した式(5−4)及び式(5−5)が実現できる仕組みをORP制御系の各ノードにおけるLimiter値から説明する。
なお、ここではORP制御則として、以下の式(5−7)を用いた場合について説明する。なお、このORP制御則は一例であり、他の制御則を用いてもよいことは勿論である。
【0075】
【数14】
Figure 2004289991
【0076】
また、図8は式(5−7)に示す積分器を双1次変換ソフトで実現した場合の構成例を示すブロック図である。
図示のように、この回路は2つの積分器191、192、3つの乗算器193、194、195、1つの加算器196を有して構成され、各積分器191、192は図8(B)に示すような構成を有している。
図中のZは1サンプリング遅延子(Z変換子)を示している。また、一点鎖線による引きだし線は各ノードのLimiter値を示しており、上側の値が最大値(上限値)、下側の値が最小値(下限値)である。なお、Limiter値が記載されないノードは、Limiter値が十分大きいものとする。
また、Iccmax(≧0)、Iccmin(<0)は、次段のCC制御系に入力する電流指令値のLimiter値の上限値及び下限値を示している。
また、−1/Kmは上述した規格化ゲインを表しており、Kp、Kiは、上述した制御パラメータであり、双1次変換係数Ts/2が掛けられた値(Tsは1サンプリング周期)である。
【0077】
図8より分かるように、本例のORP制御系のノードの上限電流値及び下限電流値(Limiter値)は、マイナーループ(CC制御系)から入力されるLimiter値、Iccmax、Iccminから逆算されて設計される。このことは、ORP制御系のサーボパラメータKp、Kiがチューニングされて変更されても、Limiter値は破綻しないことを示している。
また、上位コントローラ30からのORP制御系への指令電圧には、常時バッテリ出力電圧Ebutoutが入力される。従って、入力がEbefm−Ebatout<0の時、積分器の動作上、必然的にORP制御系の出力は、
Iorp=Iccmin<0 ……式(5−5)
に一致する。最終的なCC制御系への入力値Iccは図6に示したように、
Icc=max(Iorp、Iref、Iccmin)≦0 ……(5−6)
で決定される。
【0078】
つまり、モータの回転速度が上がり、Ebefm−Ebatout≧0に近づいた時にのみ、ORP制御系出力Iorpが増加してきて、式(5−2)からCC制御系への入力Iccとして初めて採用される仕組みである。換言すれば、モータ低速時に、Ebefm−Ebatout<0であれば、ORP制御系が動作中であっても出力IorpはCC制御系に何ら影響を与えず、必要になった時点でIorpがIrefに近づき、Irefにスムーズに、かつシームレスに取って代わることになり、過渡応答は発生し得ないものである。
【0079】
最後に、バッテリの挙動について説明する。
バッテリ32の回生動作時に、図6に示す構成から以下の式(6−1)が成り立つ。
Ebatout=Ebat−Icc×Rbat ……(6−1)
Ebefm<Ebat<Ebatout ……(6−2)
ここでIccは充電時に−、アシスト時に+である。
従って、回生時にモータの高速化に伴い、Ebatout=Ebefm+αの時点から式(5−2)により、ORP制御系の出力IccがCC制御系への入力として採用され始める。ただし、EbefmとEbatoutとは、式(6−2)を事前に保証してくれないので、OV対策として、より安全な動作を実現するためには適切なαを設定する必要がある。
【0080】
以上のような本例のアシスト自転車では、以下のような効果を得ることが可能である。
(A)マイナーループ(CC制御)とEbat−EbefmORP制御との間の遷移を制御ループ上シームレスな制御とした。従って、従来のような単純なスイッチによる制御構造となっていないので、充放電電流の過渡応答が極めて少なく、バッテリに対して安全・安心な充電の限界速度を大幅に伸ばすことが可能で回生効率を向上することが可能である。
(B)ハードウエアの変更・追加を必要とせずにソフトウエアの変更のみで実現可能である。
(C)Ebat−EbefmORP制御系は常に動作中で、Ebat− α=Ebefm 条件に達した直後から初めて意味のある出力を吐き出す。また、回生時の制御においても Ebat− α=Ebefmに達する直前迄は応答の速いマイナーループ(CC制御)特性で制御可能である。
(D)回生機能付きアシスト自転車においてアシスト時と電動ブレーキ時で共に滑らかで安心な乗り心地を提供可能である。
【0081】
次に本発明の第3の実施の形態例について説明する。
上述した第1、第2の実施の形態例は、それぞれORP制御の一例を示したものであったが、ORP制御はシステム内の種々の物理量(例えば、電圧、電流、温度、速度等)がシステム上超えてはならないレベルに近づいた場合の複合的なORP制御として適用することが可能である。
図9はこの場合の具体例を示すブロック図であり、3つのORPコントローラ180、182、184を有する力行・回生制御系の構成例を示している。なお、図6と同様の構成については同一符号を付している。
ここでは一例として、温度管理を行なうためのORP制御について説明すると、ORPコントローラからマイナーループ(CC制御系)に出力する電流指令値Ictは、温度が予め決められた上限に近づかない限り一定で、Iccmin(マイナス値)と同じレベルとする。また、温度が上限に近づくと、マイナスのIccminから零アンペアに向かって上昇し、絶対値で減衰していく。
また、その際の制御則は、例えば以下のようなものとなる。
現在の温度=温度限界+k(Ict ×(Rbat+Ramp)−放熱)/発熱 ……(7−1)
なお、Rbatはバッテリの抵抗値、Rampは増幅器の抵抗値である。
【0082】
比較処理部(スイッチSW1)186では、上位コントローラ30からの電流指令値Irefと、予め決まっているLimiter値Iccminと、3つのORP制御系180、182、184からの電流指令値Iorp1、Iorp2、Iorp3を比較し、最も高い(零に近い)電流指令値を選んでマイナーループ(CC制御系)への電流指令値Iccとする。すなわち、
Icc=max(Iorp1、Iorp2、Iorp3、Iref、Iccmin)≦0 ……(7−2)
で決定されることとなる。
さらに、物理量が増えても構造は全く同じである。つまり、複数のダイナミックに動作するORP制御系のうち、上記式7−2を満たす出力が選択され、マイナーループ(CC制御系)への指令値となって、オーバーラン(追い越し)が起こらないように滑らかにシステムが制御される。そして、Icc〜−0を検出したら上述したスイッチSW2をオフ(開放)し、バッテリとモータドライバとを切り離し、システム全体の安定を確保する。
【0083】
以上、本発明の実施の形態例について説明したが、本発明は以上の例に限定されず種々の変形が可能である。
例えば、上記の例では、本発明を電動自転車に適用した例を説明したが、本発明は他の移動装置等に広く適用可能である。また、制御対象としては、上述のようなモータとバッテリのシステムに限らず、電流、電圧、温度、速度、濃度、湿度等といった各種状態管理を必要とするシステムに広く適用できるものである。また、ORP制御が限界を超えた際に最終的に安全確保を行なうための手段(上述したスイッチSW2に相当する手段)としては、制御対象の内容に合わせて適宜設置するものとする。
また、上述した各種の制御則やアルゴリズムは、本発明の一実施例であり、種々変形し得るものである。
また、上述の説明では、充放電経路の放電時の電流方向を正とした場合について説明したが、充放電経路の放電時の電流方向を負とした場合も同様の動作となるものであり、この場合には、各電流指令値等の極性は逆になるものとする。
【0084】
【発明の効果】
以上説明したように本発明の制御装置及び自転車によれば、各種の制御量を制御する際に、電流指令値等の制御指令値による制御の結果、制御対象の状態が所定の限界値に近づいた場合に、制御信号のレベルを徐々に減衰させて制御対象の状態が所定の限界値を超えないように制御するオーバーランプロテクト制御を行なうようにしたことから、衝撃の小さいシームレスな動作の有効なオーバーランプロテクト制御を行なうことができ、安定性や信頼性の高い動作を得ることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態例によるアシスト型自転車の外観を示す側面図である。
【図2】図1に示すアシスト型自転車の制御系の構成を示すブロック図である。
【図3】図1に示すアシスト型自転車における力行・回生制御系の構成例を示すブロック図である。
【図4】図3に示す力行・回生制御系のCVコントローラからCCコントローラを見た場合のCV制御系の制御対象モデルを示す回路図である。
【図5】図3に示す力行・回生制御系に含まれる積分器を双1次変換ソフトで実現した場合の構成例を示すブロック図である。
【図6】図1に示すアシスト型自転車における力行・回生制御系の第2の構成例を示すブロック図である。
【図7】図1に示すアシスト型自転車におけるモータドライバの構成例を示すブロック図である。
【図8】図6に示す力行・回生制御系に含まれる積分器を双1次変換ソフトで実現した場合の構成例を示すブロック図である。
【図9】図1に示すアシスト型自転車における力行・回生制御系の第3の構成例を示すブロック図である。
【符号の説明】
10……本体フレーム、12……サドル部、14……ハンドル部、16……ペダル部、18……前輪部、20……後輪部、22……操作表示部、30……上位コントローラ、32……バッテリ、34……回生装置、36……駆動モータ、38……モータドライバ、40……センサ部、50……CVコントローラ(電圧制御手段)、52……比較処理部(比較手段)、54……CCコントローラ(電流制御手段)、60……充放電経路。

Claims (29)

  1. 所定の制御対象に制御信号を供給することにより、前記制御対象の制御量を制御する第1の制御手段と、
    前記第1の制御手段に前記制御量を決定する制御指令値を供給することにより、前記制御対象を制御する第2の制御手段と、
    前記制御対象の所定の状態を検出する状態検出手段とを有し、
    前記第2の制御手段は、前記制御指令値による制御の結果、前記制御対象の状態が所定の限界値に近づいた場合に、前記制御信号のレベルを徐々に減衰させて前記制御対象の状態が所定の限界値を超えないように制御するオーバーランプロテクト制御を行なう、
    ことを特徴とする制御装置。
  2. 前記制御対象が駆動モータ及びバッテリであり、前記制御信号が前記駆動モータの駆動電流であり、前記制御指令値が前記駆動電流の目標値を指示する電流指令値であることを特徴とする請求項1記載の制御装置。
  3. 充放電経路から得られる電圧値と所定の第1の電圧指令値とに基づいて充放電経路の電圧を目標値に制御するための第1の電流指令値を生成する電圧制御手段と、前記電圧制御手段によって指示される第1の電流指令値と、所定の第2の電流指令値と、所定の上限電流値及び下限電流値とを比較し、その比較結果に基づいて前記電流制御手段に供給する電流指令値として決定する比較手段と、前記充放電経路から得られる電流値と前記比較手段によって決定された電流指令値とに基づいて充放電経路の電流を目標値に制御する電流制御手段とを含む力行・回生制御系を有することを特徴とする請求項1記載の制御装置。
  4. 前記所定の第1の電圧指令値、前記所定の第2の電流指令値及び前記所定の上限電流値及び下限電流値は上位コントローラによって指示されるものであることを特徴とする請求項3記載の制御装置。
  5. 前記所定の第1の電圧指令値、前記所定の第2の電流指令値及び前記所定の上限電流値及び下限電流値は予め設定によって指示されるものであることを特徴とする請求項3記載の制御装置。
  6. 前記充放電経路の放電時の電流方向を正または負のいずれか一方とした場合、前記充放電経路の放電時には前記第2の電流指令値が正または負のいずれか一方の値で与えられ、前記充放電経路の充電時には前記第1の電流指令値及び前第2の電流指令値が正または負のいずれか他方の値で与えられることを特徴とする請求項3記載の制御装置。
  7. 前記上限電流値が正または負のいずれか一方の電流値で設定され、前記下限電流値が正または負いずれか他方の電流値で設定されることを特徴とする請求項6記載の制御装置。
  8. 前記比較手段は、前記充放電経路の放電時には前記第2の電流指令値と前記上限電流値とを比較して小さい方の電流値を前記電流制御手段に供給する電流指令値として選択し、前記充放電経路の充電時には前記第1の電流指令値と前記第2の電流指令値と前記下限電流値とを比較して最も大きい電流値を前記電流制御手段に供給する電流指令値として選択することを特徴とする請求項3記載の制御装置。
  9. 前記充放電経路に並列に接続される充電式バッテリと回生電圧源とを有することを特徴とする請求項3記載の制御装置。
  10. 前記回生電圧源が駆動モータであり、前記電流制御手段は駆動モータのモータドライバを介して前記充放電経路の電流を一定値に制御することを特徴とする請求項9記載の制御装置。
  11. 前記充放電経路の放電時の電流方向を正とした場合、前記上限電流値は前記充電式バッテリ、駆動モータ、モータドライバの能力によって決定される正の電流値であり、前記下限電流値は前記充電式バッテリの能力によって決定される負の電流値であることを特徴とする請求項10記載の制御装置。
  12. 前記比較手段は、前記駆動モータの駆動時には、前記第2の電流指令値と前記上限電流値とのうちの最小値を前記電流制御手段に供給する電流指令値として選択し、前記充電式バッテリの充電時には、前記第1の電流指令値と前記第2の電流指令値と前記下限電流値とのうちの最大値を前記電流制御手段に供給する電流指令値として選択することを特徴とする請求項11記載の制御装置。
  13. 前記電圧制御手段に対する電圧指令値を常に充電式バッテリの上限充電電圧に設定していることを特徴とする請求項12記載の制御装置。
  14. 前記充放電経路に接続される各ノードのダイナミックレンジが前記上限電流値及び下限電流値に適合する値に設定されていることを特徴とする請求項3記載の制御装置。
  15. 前記駆動モータからの回生電圧レベルが前記充電式バッテリの規定電圧レベルに一致または近い値になった場合に、前記駆動モータから充電式バッテリに至る経路を遮断するスイッチ手段を有することを特徴とする請求項10記載の制御装置。
  16. 前記制御対象の状態検出値が所定の限界値に一致または近い値になった場合に、前記制御対象に対する制御動作を前記オーバーランプロテクト制御から強制的に限界値を回避する強制制御に切り替えるスイッチ手段を有することを特徴とする請求項3記載の制御装置。
  17. 前記制御対象の異なる状態を検出する複数の状態検出手段と、前記複数の状態検出手段に対応する複数の第2の制御手段とを有し、前記複数の第2の制御手段からの制御指令値のうち最も小さい制御指令値を選択して前記第1の制御手段に供給する選択手段を有することを特徴とする請求項1記載の制御装置。
  18. 車輪の助力駆動を行う駆動モータと、前記駆動モータを制御する制御装置とを有し、
    前記制御装置が、前記駆動モータに制御電流を供給することにより、前記駆動モータの駆動量を制御する第1の制御手段と、
    前記第1の制御手段に前記駆動量を決定する電流指令値を供給することにより、前記駆動モータを制御する第2の制御手段と、
    前記駆動モータの所定の状態を検出する状態検出手段とを有し、
    前記第2の制御手段は、前記電流指令値による制御の結果、前記駆動モータの状態が所定の限界値に近づいた場合に、前記制御信号のレベルを徐々に減衰させて前記駆動モータの状態が所定の限界値を超えないように制御するオーバーランプロテクト制御を行なう、
    ことを特徴とする自転車。
  19. 前記駆動モータに電力を供給する充電式バッテリと、前記駆動モータにおいて生じた電力によって前記充電式バッテリの充電を行う回生装置と、前記回生装置を制御する上位コントローラとを有し、前記回生装置は、充放電経路から得られる電圧値と所定の第1の電圧指令値とに基づいて充放電経路の電圧を目標値に制御するための第1の電流指令値を生成する電圧制御手段と、前記電圧制御手段によって指示される第1の電流指令値と、所定の第2の電流指令値と、所定の上限電流値及び下限電流値とを比較し、その比較結果に基づいて前記電流制御手段に供給する電流指令値として決定する比較手段と、前記充放電経路から得られる電流値と前記比較手段によって決定された電流指令値とに基づいて充放電経路の電流を目標値に制御する電流制御手段とを有していることを特徴とする請求項18記載の自転車。
  20. 前記所定の第1の電圧指令値、前記所定の第2の電流指令値及び前記所定の上限電流値及び下限電流値は上位コントローラによって指示されるものであることを特徴とする請求項18記載の自転車。
  21. 前記所定の第1の電圧指令値、前記所定の第2の電流指令値及び前記所定の上限電流値及び下限電流値は予め設定によって指示されるものであることを特徴とする請求項18記載の自転車。
  22. 前記電流制御手段は駆動モータのモータドライバを介して前記充放電経路の電流を一定値に制御することを特徴とする請求項19記載の自転車。
  23. 前記充放電経路の放電時の電流方向を正または負のいずれか一方とした場合、前記上限電流値は前記充電式バッテリ、駆動モータ、モータドライバの能力によって決定される正または負のいずれか一方の電流値であり、前記下限電流値は前記充電式バッテリの能力によって決定される正または負のいずれか他方の電流値であることを特徴とする請求項22記載の自転車。
  24. 前記比較手段は、前記駆動モータの駆動時には、前記第2の電流指令値と前記上限電流値とのうちの最小値を前記電流制御手段に供給する電流指令値として選択し、前記充電式バッテリの充電時には、前記第1の電流指令値と前記第2の電流指令値と前記下限電流値とのうちの最大値を前記電流制御手段に供給する電流指令値として選択することを特徴とする請求項23記載の自転車。
  25. 前記電圧制御手段に対する電圧指令値を常に充電式バッテリの上限充電電圧に設定していることを特徴とする請求項24記載の自転車。
  26. 前記充放電経路に接続される各ノードのダイナミックレンジが前記上限電流値及び下限電流値に適合する値に設定されていることを特徴とする請求項19記載の自転車。
  27. 前記駆動モータからの回生電圧レベルが前記充電式バッテリの規定電圧レベルに一致または近い値になった場合に、前記駆動モータから充電式バッテリに至る経路を遮断するスイッチ手段を有することを特徴とする請求項19記載の自転車。
  28. 前記駆動モータの状態検出値が所定の限界値に一致または近い値になった場合に、前記駆動モータに対する制御動作を前記オーバーランプロテクト制御から強制的に限界値を回避する強制制御に切り替えるスイッチ手段を有することを特徴とする請求項18記載の自転車。
  29. 前記駆動モータの異なる状態を検出する複数の状態検出手段と、前記複数の状態検出手段に対応する複数の第2の制御手段とを有し、前記複数の第2の制御手段からの電流指令値のうち最も小さい電流指令値を選択して前記第1の制御手段に供給する選択手段を有することを特徴とする請求項18記載の自転車。
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