JP2004289264A - 画像読取装置及びその駆動調整方法 - Google Patents

画像読取装置及びその駆動調整方法 Download PDF

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Abstract

【課題】センサパネルごとのフォトセンサの出力特性のバラツキや被写体の固有の特性に関わらず、良好なコントラストで被写体画像を読み取ることができる画像読取装置及びその駆動調整方法を提供する。
【解決手段】画像読取装置は、フォトセンサアレイ100と、トップゲートドライバ110と、ボトムゲートドライバ120と、ドレインドライバ130に加え、ドレインドライバ130を介して読み出された検出信号を階調データに変換するA/Dコンバータ140と、被写体画像の読み取り動作制御や画像データの生成制御を行うとともに、被写体に対して感度調整用読取動作を実行して、A/Dコンバータ140におけるアナログ−デジタル変換処理に用いるハイレベル側及びローレベル側の基準電圧を最適値に調整制御する機能を備えたコントローラ150と、を備えている。
【選択図】 図5

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、画像読取装置及びその駆動調整方法に関し、特に、画像読取用のセンサから出力されるアナログ信号をデジタル変換し、該デジタル信号に基づいて所望の被写体の画像情報を取得する画像読取装置、及び、該画像読取装置における最適な読取感度及び駆動電圧の調整方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、印刷物や写真、指紋等の被写体画像を読み取る画像読取装置として、例えば、CCD(Charge Coupled Device)等の光電変換素子(フォトセンサ)をライン状又はマトリクス状に配列して構成されるフォトセンサアレイを備え、該フォトセンサアレイ上の検知面に載置された被写体に対して、照射光を照射し、その反射光を各フォトセンサにより読み取り電気信号に変換することにより、被写体画像を読み取る構造が知られている。
【0003】
ここで、CCDは、周知の通り、各フォトセンサの受光部に照射された光量に対応して発生する電子−正孔対の量(電荷量)を、水平走査回路及び垂直走査回路により検出し、照射光の輝度を検知するものであり、デジタルビデオカメラや複写機等、様々な撮像装置や画像読取装置に適用されている。このようなCCDを用いたフォトセンサシステムにおいては、走査された各フォトセンサを選択状態にするための選択トランジスタを、各フォトセンサごとに個別に設ける必要があるため、検出精度の向上等に伴って検出画素数を増大させると、システムの構成が大型化するという問題を有している。
【0004】
そこで、近年、このような問題を解決するための構成として、例えば、特許文献1等に記載されているように、フォトセンサ自体にフォトセンス機能と選択トランジスタ機能とを持たせた、いわゆる、ダブルゲート構造を有する薄膜トランジスタ(以下、「ダブルゲート型フォトセンサ」と記す)が開発され、システムの小型化、及び、画素の高密度化を図る試みがなされている。ダブルゲート型フォトセンサの具体的な構成や制御方法については詳しく後述することとする。
【0005】
なお、特許文献1には、上記ダブルゲート型フォトセンサを2次元配列して構成されるフォトセンサアレイを適用した画像読取装置(フォトセンサシステム)において、正規の画像読取動作に先立って、読取感度を段階的に変化させて被写体画像を読み込み、各読取感度ごとの明度データのデータ範囲(最大値と最小値の差分)を算出し、これらのデータ範囲のうち、最も大きいデータ範囲を示す読取感度(ダブルゲート型フォトセンサの光蓄積期間)を求めることにより、良好なコントラストを有する画像データを取得することができる感度調整方法が記載されている。
【0006】
ところで、上述したようなCCDやダブルゲート型フォトセンサからなるフォトセンサアレイを適用した画像読取装置においては、特許文献1等にも記載されているように、一般に、フォトセンサから出力される検出信号(アナログ信号)をアナログ−デジタル(A/D)変換処理して、デジタル信号からなる階調データに変換し、この階調データに基づいて被写体画像を生成する信号処理が行われている。
【0007】
ここで、検出信号のアナログ−デジタル変換処理においては、ハイレベル(例えば、黒画像パターン読取時)及びローレベル(例えば、白画像パターン読取時)を規定する基準電圧を設定し、該基準電圧に基づく電圧範囲を階調数で分割し、上記検出信号のアナログ電圧を各階調電圧に対応させることにより、デジタル値に変換する手法が採用されている。そして、従来技術においては、上記ハイレベルを規定する基準電圧として例えば5V、ローレベルの場合では0Vとなるように、固定された一定電圧に設定されていた。
【0008】
【特許文献1】
特許第3116950号公報 (第7頁〜第8頁、図3〜図5)
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
従来における、アナログ−デジタル変換処理に用いる基準電圧を固定的に設定した構成においては、センサパネルごとの製造バラツキ等によりフォトセンサの出力特性(出力電圧)にバラツキが生じた場合、被写体画像のコントラストに対応した階調が表現されないという問題を有していた。
【0010】
具体的には、例えば、上述したように黒画像パターンとして5Vの検出電圧が得られ、白画像パターンとして0Vの検出電圧が得られる場合に対応してA/D変換器の基準電圧が設定されているにもかかわらず、フォトセンサの出力特性のバラツキにより、黒画像パターンの読取時に4V、白画像パターンの読取時に1Vの検出電圧しか得られない場合(すなわち、電圧幅3V)には、予めアナログ−デジタル変換処理に設定された基準電圧の電圧範囲(5V)を適用すると、階調データの階調数が少なくなってしまい、該階調データではコントラストの幅が狭くなって、充分な階調表現を実現することができないという問題を有していた。
【0011】
また、従来、画像読取装置に明確な白黒の画像パターンを有する基準試料を備えて、基準電圧の設定を、この基準試料の読取結果に基づいて行うようにする構成が知られているが、本願発明者らがこのような基準試料に基づくフォトセンサの検出信号(検出電圧)と、正規の画像読取動作の対象となる実際の被写体を用いた場合の検出信号について鋭意検討したところ、白黒の画像パターン(すなわち、明暗パターン)が明確ではない特定の被写体においては、その固有の性質や読取条件、周辺環境等により上記検出信号の電圧幅が大きく変化することが判明した。具体的には、例えば、フォトセンサを指紋読取装置等に適用した場合、被写体となる指紋の個人差や気温、湿度等の外的環境に起因して、比較的高い頻度で画像パターンが不鮮明になることが観測された。
【0012】
このような被写体においては、基準試料を用いた場合に比較して画像パターンのコントラストの幅(明暗の差)が小さくなり、フォトセンサの検出信号の電圧差が狭くなるため、上述したような基準試料を用いたA/Dコンバータの出力のピーク値に基づいて、アナログ−デジタル変換処理の基準電圧を設定した場合、上述したような基準電圧を予め固定的に設定した構成と同様に、階調データの階調数が少なくなり、充分な階調表現を実現することができなくなるという問題を有している。
【0013】
そこで、本発明は、上述した問題点に鑑み、センサパネルごとのフォトセンサの出力特性のバラツキや被写体の固有の特性に関わらず、良好なコントラストで被写体画像を読み取ることができる画像読取装置及びその駆動調整方法を提供することを目的とする。
【0014】
【課題を解決するための手段】
請求項1記載の画像読取装置は、複数のフォトセンサが配列されたフォトセンサアレイを備え、前記フォトセンサの各々から出力される検出信号を、アナログ−デジタル変換処理することにより得られる階調データに基づいて、所望の被写体の画像情報を取得する画像読取装置において、少なくとも、前記フォトセンサアレイにより前記所望の被写体を読み取ることにより得られる前記階調データに対応する電圧に基づいて、前記アナログ−デジタル変換処理において前記階調データを規定する基準電圧を設定する基準電圧設定手段と、前記フォトセンサアレイにより得られる前記階調データに対応する電圧に基づいて、前記所望の被写体を読み取る際に前記フォトセンサを駆動するために印加される駆動制御信号の電圧を設定する駆動制御電圧設定手段と、の何れか一方を備えることを特徴とする。
【0015】
請求項2記載の画像読取装置は、請求項1記載の画像読取装置において、前記画像読取装置における前記基準電圧設定手段は、少なくとも、前記フォトセンサアレイにより前記所望の被写体を読み取る正規の画像読取動作に先立って、前記フォトセンサアレイの画像読取感度を複数段階に変化させて、前記被写体を読み取る感度調整用読取動作を実行制御する感度調整制御手段を有することを特徴とする。
【0016】
請求項3記載の画像読取装置は、請求項1記載の画像読取装置において、前記画像読取装置における前記基準電圧設定手段は、更に、前記感度調整用読取動作により得られた前記階調データから、前記画像読取感度ごとに、前記階調データの最大値及び最小値を抽出する測定量比較手段と、前記画像読取感度ごとに抽出された前記階調データの最大値及び最小値に基づいて、前記階調データのデータ範囲を算出するデータ範囲算出手段と、前記データ範囲の前記画像読取感度ごとの変化に基づいて、最適画像読取感度を導出する最適画像読取感度抽出手段と、前記最適画像読取感度における前記階調データの最大値及び最小値に対応する電圧を、前記アナログ−デジタル変換処理において前記階調データを規定する基準電圧に設定する手段と、を有することを特徴とする。
【0017】
請求項4記載の画像読取装置は、請求項2又は3記載の画像読取装置において、前記感度調整制御手段は、前記被写体の読取領域単位ごとに、前記フォトセンサアレイの前記画像読取感度を段階的に異なるように設定することを特徴とする。
請求項5記載の画像読取装置は、請求項2又は3記載の画像読取装置において、前記感度調整制御手段は、前記フォトセンサアレイを構成する前記フォトセンサの受光時間を調整することにより、前記画像読取感度を段階的に異なるように設定することを特徴とする。
【0018】
請求項6記載の画像読取装置は、請求項1乃至5のいずれかに記載の画像読取装置において、前記フォトセンサは、半導体層からなるチャネル領域を挟んで形成されたソース電極及びドレイン電極と、前記チャネル領域の上方及び下方に各々絶縁膜を介して形成された第1のゲート電極及び第2のゲート電極と、前記第1のゲート電極の上方に形成され、前記被写体が載置される被写体検知面と、を有し、前記第1のゲート電極にリセットパルスを印加して前記読取画素を初期化し、前記ドレイン電極にプリチャージパルスを印加した後、前記第2のゲート電極に読み出しパルスを印加することにより、前記初期化終了から前記読み出しパルスの印加までの電荷蓄積期間に、前記チャネル領域に入射した光の量に応じた電荷を蓄積し、該電荷量に対応する電圧を前記検出信号として出力することを特徴とする。
【0019】
請求項7記載の画像読取装置は、請求項6記載の画像読取装置において、前記画像読取感度は、前記フォトセンサに設定される前記電荷蓄積期間であることを特徴とする。
請求項8記載の画像読取装置は、請求項3記載の画像読取装置において、前記調整用読取動作により得られた前記階調データから、前記画像読取感度ごとに、少なくとも、前記階調データの最大値又は最小値を抽出して除外する特定データ除去動作を実行する特定データ除去手段をさらに有し、前記測定量比較手段は、前記特定データ除去動作により前記最大値又は最小値が除外された前記階調データから、前記画像読取感度ごとに、前記階調データの最大値及び最小値を抽出することを特徴とする。
【0020】
請求項9記載の画像読取装置は、請求項1記載の画像読取装置において、前記画像読取装置における前記駆動制御電圧設定手段は、少なくとも、前記フォトセンサアレイにより前記所望の被写体を読み取る正規の画像読取動作に先立って、前記フォトセンサアレイに印加される駆動制御信号の電圧を複数段階に変化させて、前記所定の被写体を読み取る電圧調整用読取動作を実行制御する電圧調整制御手段を有することを特徴とする。
【0021】
請求項10記載の画像読取装置は、請求項9記載の画像読取装置において、前記画像読取装置における前記駆動制御電圧設定手段は、更に、前記電圧調整用読取動作により得られた前記階調データから、前記アナログ−デジタル変換処理における前記基準電圧に近似する電圧値を有する前記階調データを抽出する階調データ抽出手段と、前記抽出された前記階調データから前記基準電圧に最も近似する電圧値を有する前記階調データを抽出し、該抽出された階調データに対応する電圧を、前記駆動制御信号の電圧に設定する制御電圧設定手段と、を有することを特徴とする。
【0022】
請求項11記載の画像読取装置は、請求項9乃至10のいずれかに記載の画像読取装置において、前記フォトセンサは、半導体層からなるチャネル領域を挟んで形成されたソース電極及びドレイン電極と、前記チャネル領域の上方及び下方に各々絶縁膜を介して形成された第1のゲート電極及び第2のゲート電極と、前記第1のゲート電極の上方に形成され、前記被写体が載置される被写体検知面と、を有し、前記第1のゲート電極にリセットパルスを印加して前記読取画素を初期化し、前記ドレイン電極にプリチャージパルスを印加した後、前記第2のゲート電極に読み出しパルスを印加することにより、前記初期化終了から前記読み出しパルスの印加までの電荷蓄積期間に、前記チャネル領域に入射した光の量に応じた電荷を蓄積し、該電荷量に対応する電圧を前記検出信号として出力することを特徴とする。
【0023】
請求項12記載の画像読取装置は、請求項11記載の画像読取装置において、前記駆動制御信号は、前記フォトセンサのソース電極及びプリチャージ電極に印加されるソース電圧及びプリチャージ電圧であることを特徴とする。
請求項13記載の画像読取装置は、請求項12記載の画像読取装置において、前記駆動制御電圧設定手段は、前記プリチャージ電圧を段階的に異なるように設定して、前記電圧調整用読取動作を実行することにより、黒画像パターンに対応した前記階調データを得ることを特徴とする。
【0024】
請求項14記載の画像読取装置は、請求項12記載の画像読取装置において、前記駆動制御電圧設定手段は、前記ソース電圧を段階的に異なるように設定して、前記電圧調整用読取動作を実行することにより、白画像パターンに対応した前記階調データを得ることを特徴とする。
請求項15記載の画像読取装置は、請求項13又は14記載の画像読取装置において、前記駆動制御電圧設定手段は、前記フォトセンサアレイを暗状態に設定して、前記黒画像パターンに対応した前記階調データを得る前記電圧調整用読取動作を実行し、前記フォトセンサアレイを明状態に設定して、前記白画像パターンに対応した前記階調データを得る前記電圧調整用読取動作を実行することを特徴とする。
【0025】
請求項16記載の画像読取装置は、請求項10乃至15のいずれかに記載の画像読取装置において、前記駆動制御電圧設定手段は、前記階調データ抽出手段により抽出された前記階調データから、前記基準電圧に近似する電圧値を有する前記階調データが抽出されない場合に、前記基準電圧を可変設定することを特徴とする。
【0026】
請求項17記載の画像読取装置の駆動調整方法は、複数のフォトセンサが配列されたフォトセンサアレイを備え、前記フォトセンサの各々から出力される検出信号を、アナログ−デジタル変換処理することにより得られる階調データに基づいて、所望の被写体の画像情報を取得する画像読取装置の駆動調整方法において、少なくとも、前記フォトセンサアレイにより前記所望の被写体を読み取る正規の画像読取動作に先立って、前記フォトセンサアレイの画像読取感度を複数段階に変化させて、前記被写体を読み取る感度調整用読取動作を実行制御する手順と、前記感度調整用読取動作により得られた前記階調データから、前記画像読取感度ごとに、前記階調データの最大値及び最小値を抽出する手順と、前記画像読取感度ごとに抽出された前記階調データの最大値及び最小値に基づいて、前記階調データのデータ範囲を算出する手順と、前記データ範囲の前記画像読取感度ごとの変化に基づいて最適画像読取感度を導出する手順と、前記最適画像読取感度における前記階調データの最大値及び最小値に対応する電圧を、前記アナログ−デジタル変換処理において前記階調データを規定する基準電圧に設定する手順と、を含むことを特徴とする。
【0027】
請求項18記載の画像読取装置の駆動調整方法は、請求項17記載の画像読取装置の駆動調整方法において、前記感度調整用読取動作は、前記被写体の読取領域単位ごとに、前記フォトセンサアレイを構成する前記フォトセンサの受光時間を調整することにより、前記画像読取感度を段階的に異なるように設定することを特徴とする。
請求項19記載の画像読取装置の駆動調整方法は、請求項17又は18記載の画像読取装置の駆動調整方法において、前記感度調整用読取動作により得られた前記階調データから、前記画像読取感度ごとに、少なくとも、前記階調データの最大値又は最小値を抽出して除外する特定データ除去動作を実行する手順を含むことを特徴とする。
【0028】
請求項20記載の画像読取装置の駆動調整方法は、複数のフォトセンサが配列されたフォトセンサアレイを備え、前記フォトセンサの各々から出力される検出信号を、アナログ−デジタル変換処理することにより得られる階調データに基づいて、所望の被写体の画像情報を取得する画像読取装置において、少なくとも、前記フォトセンサアレイにより前記所望の被写体を読み取る正規の画像読取動作に先立って、前記フォトセンサアレイに印加される駆動制御信号の電圧を複数段階に変化させて、前記被写体を読み取る電圧調整用読取動作を実行制御する手順と、前記電圧調整用読取動作により得られた前記階調データから、前記アナログ−デジタル変換処理における前記階調データを規定する基準電圧に近似する電圧値を有する前記階調データを抽出する手順と、前記抽出された前記階調データから前記基準電圧に最も近似する電圧値を有する前記階調データを抽出し、該抽出された階調データに対応する電圧を、前記所望の被写体を読み取る際に、前記フォトセンサを駆動するために印加される駆動制御信号の電圧に設定する手順と、を含むことを特徴とする。
【0029】
請求項21記載の画像読取装置の駆動調整方法は、請求項20記載の画像読取装置の駆動調整方法において、前記調整用読取動作は、前記被写体の読取領域単位ごとに、前記フォトセンサを駆動するために印加される前記駆動制御信号の電圧を調整することにより、前記画像読取感度を段階的に異なるように設定することを特徴とする。
【0030】
請求項22記載の画像読取装置の駆動調整方法は、請求項20記載の画像読取装置の駆動調整方法において、前記フォトセンサは、半導体層からなるチャネル領域を挟んで形成されたソース電極及びドレイン電極と、前記チャネル領域の上方及び下方に各々絶縁膜を介して形成された第1のゲート電極及び第2のゲート電極と、前記第1のゲート電極の上方に形成され、前記被写体が載置される被写体検知面と、を備え、前記第1のゲート電極にリセットパルスを印加して前記読取画素を初期化し、前記ドレイン電極にプリチャージパルスを印加した後、前記第2のゲート電極に読み出しパルスを印加することにより、前記初期化終了から前記読み出しパルスの印加までの電荷蓄積期間に、前記チャネル領域に入射した光の量に応じた電荷を蓄積し、該電荷量に対応する電圧を前記検出信号として出力する構成を有し、前記電圧調整用読取動作は、前記プリチャージ電圧を段階的に異なるように設定することにより、黒画像パターンに対応した前記階調データを取得し、前記ソース電圧を段階的に異なるように設定することにより、白画像パターンに対応した前記階調データを取得することを特徴とする。
【0031】
請求項23記載の画像読取装置の駆動調整方法は、請求項21記載の画像読取装置の駆動調整方法において、前記電圧調整用読取動作は、前記フォトセンサアレイを暗状態に設定することにより、前記黒画像パターンに対応した前記階調データを取得し、前記フォトセンサアレイを明状態に設定することにより、前記白画像パターンに対応した前記階調データを取得することを特徴とする。
【0032】
請求項24記載の画像読取装置の駆動調整方法は、請求項20乃至22のいずれかに記載の画像読取装置の駆動調整方法において、前記抽出された前記階調データから前記基準電圧に最も近似する電圧値を有する前記階調データを抽出する手順において、前記基準電圧に近似する電圧値を有する前記階調データが抽出されない場合に、前記基準電圧を可変設定して、前記一連の手順を再度実行することを特徴とする。
【0033】
すなわち、本発明に係る画像読取装置及びその駆動調整方法においては、被写体を読み取る正規の画像読取動作に先立つ任意のタイミングで、該画像読取動作の対象となる被写体を用い、該被写体の読取領域単位ごと(例えば、1行ごと)にフォトセンサアレイの読取感度(フォトセンサの受光感度;電荷蓄積期間)が段階的に変化するように設定して、画像パターンを読み取る感度調整用読取動作を行い、階調データのデータ範囲(ダイナミックレンジ)が最大となる読取感度を抽出し、当該読取感度における階調データの最大値及び最小値に対応する階調電圧を、アナログ−デジタル変換処理(A/Dコンバータ)における基準電圧に設定する基準電圧設定動作を行うように構成されている。
【0034】
これにより、当該被写体固有の読取感度ごとのコントラスト(明暗差)の傾向、すなわち、被写体の画像パターンの特性(より詳しくは、被写体の固有の性質や読取条件、周辺環境等)やダブルゲート型フォトセンサの出力特性を把握し、これらに対応した最適なコントラストを有する読取感度に基づいて、A/Dコンバータの基準電圧を設定することができるので、被写体の画像パターンが鮮明でない場合や、製造バラツキや画像読取装置の経時変化により、フォトセンサアレイの出力特性にバラツキが生じていた場合であっても、当該被写体画像を良好な階調数の階調データとして読み取ることができ、階調表現が良好な画像情報を生成することができる。
【0035】
ここで、上記感度調整用読取動作により得られる各読取感度ごとの階調データから、少なくとも、輝点欠陥等の異常画素や異物の付着等に起因する階調データを除去する特定階調データ除去動作を行い、その後の階調データにより得られる読取感度ごとのコントラストの傾向に基づいて、上記A/Dコンバータの基準電圧を設定する基準電圧設定動作を行うようにしてもよい。
これにより、フォトセンサアレイから出力される検出信号に異常値が含まれている場合であっても、被写体の特性等に応じた良好なコントラストを有する画像情報を得ることができる。
【0036】
また、本発明に係る画像読取装置及びその駆動調整方法においては、被写体を読み取る正規の画像読取動作に先立つ任意のタイミングで、アナログ−デジタル変換処理(A/Dコンバータ)における基準電圧を固定的に設定し、かつ、暗状態及び明状態の各感度調整条件で、読取領域単位ごと(例えば、1行ごと)にフォトセンサに印加されるプリチャージ電圧及びソース電圧を段階的に変化させるように設定して、画像パターンを読み取る電圧調整用読取動作を行い、上記基準電圧に近似する電圧値を有する階調データを抽出し、当該階調データが得られるプリチャージ電圧及びソース電圧を、正規の画像読取動作を実行する際のプリチャージ電圧及びソース電圧として設定する制御電圧設定動作を行うように構成されている。
【0037】
これにより、上記電圧調整用読取動作に基づいて判明した、暗状態(黒画像パターン読取時)及び明状態(白画像パターン読取時)におけるダブルゲート型フォトセンサの出力特性に対応した最適なコントラストに基づいて、フォトセンサアレイ(ダブルゲート型フォトセンサ)に印加されるプリチャージ電圧及びソース電圧を設定することができるので、製造バラツキや画像読取装置の経時変化により、フォトセンサアレイの出力特性にバラツキが生じていた場合であっても、所望の被写体画像を良好な階調数の階調データとして読み取ることができ、階調表現が良好な画像情報を生成することができる。
【0038】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明に係る画像読取装置及びその駆動調整方法の実施の形態について、詳しく説明する。
まず、本発明に係る画像読取装置に適用して良好なフォトセンサの構成について説明する。なお、本発明に係る画像読取装置においては、以下に示すダブルゲート型フォトセンサを適用したフォトセンサアレイに限定されるものではなく、上述したCCD等の周知のフォトセンサを良好に適用することができる。
【0039】
<ダブルゲート型フォトセンサ>
図1は、本発明に係る画像読取装置に適用可能なダブルゲート型トランジスタによるフォトセンサ(以下、「ダブルゲート型フォトセンサ」と記す)の概略構成を示す断面構造図である。
図1(a)に示すように、ダブルゲート型フォトセンサ10は、概略、励起光(ここでは、可視光)が入射されると、電子−正孔対が生成されるアモルファスシリコン等の半導体層(チャネル領域)11と、半導体層11の両端に、各々nシリコンからなる不純物層17、18を介して形成され、クロム、クロム合金、アルミ、アルミ合金等から選択された導電性材料からなり、可視光に対して不透明なドレイン電極12及びソース電極13と、半導体層11の上方(図面上方)にブロック絶縁膜14及び上部(トップ)ゲート絶縁膜15を介して形成された酸化スズ膜やITO膜(インジウム−スズ酸化膜)等の透明電極層からなり、可視光に対して透過性を示すトップゲート電極(第1のゲート電極)21と、半導体層11の下方(図面下方)に下部(ボトム)ゲート絶縁膜16を介して形成されたクロム、クロム合金、アルミ、アルミ合金等から選択された導電性材料からなり、可視光に対して不透明なボトムゲート電極(第2のゲート電極)22と、を有して構成されている。そして、このような構成を有するダブルゲート型フォトセンサ10は、図1(a)に示すように、ガラス基板等の透明な絶縁性基板19上に形成されている。
【0040】
なお、図1(a)において、トップゲート絶縁膜15、ブロック絶縁膜14、ボトムゲート絶縁膜16を構成する絶縁膜、及び、トップゲート電極21上に設けられる保護絶縁膜20は、いずれも半導体層11を励起する可視光に対して高い透過率を有する材質、例えば、窒化シリコンや酸化シリコン等により構成されていることにより、図面下方に設けられた光源(図示を省略)からの照射光を図面上方に透過させるとともに、保護絶縁膜20の上方に設けられた検知面(被写体検知面)DTCに載置された被写体に反射して、図面上方からダブルゲート型フォトセンサ10(詳しくは、半導体層11)に入射する光のみを検知する構造を有している。
【0041】
なお、このようなダブルゲート型フォトセンサ10は、一般に、図1(b)に示すような等価回路により表される。ここで、TGはトップゲート電極21に電気的に接続されたトップゲート端子、BGはボトムゲート電極22に電気的に接続されたボトムゲート端子、Sはソース電極13に電気的に接続されたソース端子、Dはドレイン電極12に電気的に接続されたドレイン端子である。
【0042】
<フォトセンサシステム>
図2は、上述したダブルゲート型フォトセンサを上記絶縁性基板上に2次元配列して構成されるフォトセンサアレイを備えたフォトセンサシステムの概略構成図である。なお、ここでは、複数のダブルゲート型フォトセンサを2次元配列(マトリクス状に配列)して構成されるフォトセンサアレイを示して説明するが、複数のダブルゲート型フォトセンサを、例えば、X方向に1次元配列してラインセンサアレイを構成し、該ラインセンサアレイをX方向に直交するY方向に移動させて2次元領域を走査(スキャン)するものであってもよい。
【0043】
図2に示すように、フォトセンサシステムは、大別して、多数のダブルゲート型フォトセンサ10を、例えば、n行×m列(n、mは任意の自然数)のマトリクス状に配列したフォトセンサアレイ100と、各ダブルゲート型フォトセンサ10のトップゲート端子TG(トップゲート電極21)を行方向に接続して伸延するトップゲートライン101と、各ダブルゲート型フォトセンサ10のボトムゲート端子BG(ボトムゲート電極22)を行方向に接続して伸延するボトムゲートライン102と、各ダブルゲート型フォトセンサ10のドレイン端子D(ドレイン電極12)を列方向に接続して伸延するドレインライン(データライン)103と、ソース端子S(ソース電極13)を接地電位に共通に接続するソースライン(コモンライン)104と、トップゲートライン101に接続されたトップゲートドライバ110と、ボトムゲートライン102に接続されたボトムゲートドライバ120と、ドレインライン103に接続され、コラムスイッチ131、プリチャージスイッチ132、出力アンプ133等を備えてなるドレインドライバ130と、を有して構成されている。
【0044】
なお、図2において、φtgは、リセット電圧(リセットパルス)及びキャリヤ蓄積電圧のいずれかとして選択的に出力される信号φT1、φT2、…φTi、…φTnを生成するための制御信号であり、φbgは、読み出し電圧(読み出しパルス)及び非読み出し電圧のいずれかとして選択的に出力される信号φB1、φB2、…φBi、…φBnを生成するための制御信号、φpgは、プリチャージ電圧(プリチャージパルス)Vpgを印加するタイミングを制御するプリチャージ信号である。
【0045】
<フォトセンサシステムの駆動制御動作>
図3は、上述したフォトセンサシステムにおける基本的な駆動制御方法を示すタイミングチャートである。図4は、上述したようなフォトセンサシステムを画像読取装置(指紋読取装置)に適用した場合の要部断面図である。なお、図4においては、図示の都合上、フォトセンサシステムの断面部分を表すハッチングの一部を省略する。
【0046】
図3に示すように、まず、リセット動作(初期化動作)においては、トップゲートドライバ110によりトップゲートライン101を介して、i行目(iは任意の自然数;i=1、2、・・・n)のダブルゲート型フォトセンサ10のトップゲート端子TGにリセットパルス(例えば、Vtg=+15Vのハイレベル)φTiを印加して、半導体層11、及び、ブロック絶縁膜14における半導体層11との界面近傍に蓄積されているキャリヤ(ここでは、正孔)を放出する(リセット期間Trst)。
【0047】
次いで、電荷蓄積動作(キャリヤ蓄積動作)においては、トップゲートドライバ110によりトップゲート端子TGにローレベル(例えば、Vtg=−15V)のバイアス電圧φTiを印加することにより、リセット動作を終了し、キャリヤ蓄積動作による電荷蓄積期間Taがスタートする。
電荷蓄積期間Taにおいては、図4に示すように、図1に示したダブルゲート型フォトセンサ10が形成された透明な絶縁性基板19下方に設けられたバックライト(光源)BLから、検知面DTCに載置された被写体(例えば、指)FGに対して照射光Laが照射され、その反射光Lbが透明電極層からなるトップゲート電極21を通過して半導体層11に入射する。
【0048】
ここで、被写体FGとして、例えば、指を載置した場合について詳しく説明すると、バックライトBLから放射された照射光Laは、ダブルゲート型フォトセンサ10(詳しくは、ボトムゲート電極22、ドレイン電極12、ソース電極13)の形成領域を除く、透明な絶縁性基板19と絶縁膜15、16、20を透過して被写体FGに照射される。被写体FGに照射された照射光Laは、検知面DTCと被写体FGが密着する領域(被写体接触部;ここでは、指紋FPの凸部FPa)においては、皮膚表層FGs内を散乱、反射しながら伝搬して、その光Lbの一部が、透明な絶縁膜20、15、14及びトップゲート電極21を透過して各ダブルゲート型フォトセンサ10の半導体層11に励起光として入射される。
【0049】
一方、検知面DTCと被写体FGが密着しない領域(被写体非接触部;ここでは、指紋FPの凹部FPb及び指の外縁部よりも外側の領域)においては、照射光Laは、指紋検出面130aと被写体間の空気層を通過し、被写体(指)FGに到達して皮膚表層FGs内で散乱するが、皮膚表層FGs内の光Lcは光学的に空気層に抜けにくいため、凹部FPbに対応する位置に配置されたダブルゲート型フォトセンサ10への入射が抑制される。
これにより、電荷蓄積期間Ta中にトップゲート電極21側から半導体層11に入射した光量に応じて、半導体層11の入射有効領域(キャリヤ発生領域)で電子−正孔対が生成され、半導体層11とブロック絶縁膜14との界面近傍(チャネル領域周辺)に正孔が蓄積される。
【0050】
また、プリチャージ動作においては、上記電荷蓄積期間Taに並行する特定のタイミングで、ドレインドライバ130によりプリチャージ信号φpgに基づいてドレインライン103を介して、ドレイン端子Dにプリチャージパルス(プリチャージ電圧)Vpgを印加することにより、ドレイン電極12に電荷を保持させる(プリチャージ期間Tprch)。
【0051】
そして、読み出し動作においては、上記プリチャージ期間Tprchを経過した後、ボトムゲートドライバ120によりボトムゲートライン102を介して、ボトムゲート端子BGにハイレベル(例えば、Vbg=+10V)の読み出しパルスφBiを印加することにより、電荷蓄積期間Taにチャネル領域に蓄積されたキャリヤ(正孔)に応じたドレイン電圧VDがドレインドライバ130(コラムスイッチ131)により読み出され、検出信号として出力される(読み出し期間Tread)。
【0052】
ここで、ドレイン電圧VDの変化傾向は、電荷蓄積期間Taに受光した光量に密接に関連し、電荷蓄積期間Taに蓄積されたキャリヤが多い場合(明状態)には、ドレイン電圧VDが急峻に低下する傾向を示し、一方、蓄積されたキャリヤが少ない場合(暗状態)には緩やかに低下する傾向を示すので、例えば、読み出し期間Treadの開始から所定の時間経過後のドレイン電圧VD(=Vrd)を検出することにより、ダブルゲート型フォトセンサ110に入射した光の量、すなわち、被写体の明暗パターンに対応した明度データを検出することができる。
【0053】
すなわち、トップゲートドライバ210からトップゲートライン101を介して、トップゲート端子TGに信号φTiを印加することにより、フォトセンス機能が実現され、ボトムゲートドライバ220からボトムゲートライン102を介して、ボトムゲート端子BGに信号φBiを印加し、ドレインライン103を介してドレイン電圧をドレインドライバ230に取り込んで、シリアルデータ又はパラレルデータの出力電圧Voutとして出力することにより、選択読出機能が実現される。
【0054】
そして、このような特定の行(i行目)に対する一連の画像読取動作を1サイクルとして、上述したフォトセンサアレイ100の各行(i、i+1、・・・)に対して、同等の処理手順を繰り返すことにより、もしくは、該処理手順の一部を時間的にオーバーラップさせて(重ねて)、同時並行的に実行することにより、ダブルゲート型フォトセンサを用いたフォトセンサシステムを、被写体の2次元画像を明度データとして読み取る画像読取装置として動作させることができる。
【0055】
<画像読取装置の第1の実施形態>
次に、本発明に係る画像読取装置の第1の実施形態について説明する。なお、本実施形態においては、上述したダブルゲート型フォトセンサの構成及び駆動制御方法を適宜参照するものとする。
図5は、本発明に係る画像読取装置の第1の実施形態を示すブロック図であり、図6は、本実施形態に係るフォトセンサシステムに適用されるコントローラの一構成例を示す概念的なブロック図である。なお、図2に示したフォトセンサシステムと同等の構成については、同一の符号を付して、その説明を簡略化又は省略する。
【0056】
図5に示すように、本実施形態に係る画像読取装置は、大別して、図2に示したフォトセンサシステムと同様の構成を有するフォトセンサアレイ100と、トップゲートドライバ110と、ボトムゲートドライバ120と、ドレインドライバ130に加え、ドレインドライバ130を介して読み出されたアナログ信号からなる検出信号(ドレイン電圧)を、デジタル信号からなる階調データ(明度データ)に変換するアナログ−デジタル変換器(以下、「A/Dコンバータ」と略記する)140と、フォトセンサアレイ100による被写体画像の読み取り動作制御や画像データの生成制御、さらには、画像データの加工や照合等の所定の処理を実行する外部機能部200とのデータのやり取り等の制御を行うとともに、被写体に対して感度調整用読取動作を実行して、後述するA/Dコンバータ140におけるアナログ−デジタル変換処理に用いる基準電圧を最適値に調整制御する機能を備えたコントローラ150と、コントローラ150のワークエリアとして用いられ、取得した階調データや画像データ、フォトセンサアレイ100における読取感度(受光感度)の設定等に関連する処理データ等を一時的に保存(記憶)するRAM160と、コントローラ150の制御プログラムや制御用各種データを保持するROM170と、フォトセンサアレイ100の背面側にあって、フォトセンサアレイ100上面の被写体検知面DTC上に載置された被写体に対して、所定の輝度の照射光を照射するバックライトBLと、を有して構成されている。
【0057】
ここで、本実施形態におけるコントローラ150は、例えば、図6に示すように、トップゲートドライバ110やボトムゲートドライバ120、プリチャージスイッチ132における動作を制御するデバイスコントローラ151と、RAM160やROM170との間でデータ等の書き込み/読み出し等を行い、各種データを管理するデータコントローラ152と、これらのコントローラ151、152を所定の制御プログラムにしたがって統括するとともに、外部機能部200等とのインターフェースを担い、制御信号のやり取りを行うメインコントローラ153と、以下に示すような機能を備えたデータ比較器154、加算器155、データセレクタ156、感度設定レジスタ157及びバックライト発光制御部158を備えている。
【0058】
なお、上記コントローラ150の構成において、デバイスコントローラ151、データコントローラ152、メインコントローラ153及び感度設定レジスタ157は、本発明に係る感度調整制御手段を構成する。また、データ比較器154は、本発明に係る測定量比較手段及び最適画像読取感度抽出手段を構成し、加算器155は、本発明に係るデータ範囲算出手段を構成する。すなわち、上記各手段及びデータセレクタ156を含んで構成されるコントローラ150は、本発明に係る基準電圧設定手段を構成する。
【0059】
データ比較器154は、感度調整用読取動作において、フォトセンサアレイ100を構成するダブルゲート型フォトセンサ10の受光時間(すなわち、上述した電荷蓄積期間)を変化させつつ被写体画像を読み取り、A/Dコンバータ140を介して取得した階調データ(明度データ)に基づいて、各受光時間における該階調データ相互の大小関係を比較して、飽和値を除く最大値及び最小値を抽出するとともに、加算器155により各受光時間ごとに算出されるダイナミックレンジ(階調データのデータ範囲)から最大値を抽出する。
【0060】
加算器155は、データ比較器154により抽出された階調データの最大値及び最小値の差分から上記ダイナミックレンジを算出して、データセレクタ156へ出力する。
データセレクタ156は、A/Dコンバータ140を介して入力された階調データ、及び、データ比較器154、さらには、加算器155を介して処理された階調データ(ダイナミックレンジ等)、並びに、処理済みデータ等を入力とし、これらのデータを必要に応じてRAM160への書き込みや読み出し、あるいは、データ比較器154や加算器155への再入力、データコントローラ152を介して外部機能部200へ出力する動作等を切換制御する。
【0061】
特に、データセレクタ156は、メインコントローラ153及びデータコントローラ152からの指令(制御信号)に基づいて、後述する感度調整用読取動作において、上記データ比較器154により抽出された階調データのダイナミックレンジが最大値となる読取感度(受光時間)における、当該階調データの最大値及び最小値に対応する電圧値をRAM160から読み出して、当該電圧値をA/Dコンバータ140の基準電圧(最大基準電圧、最小基準電圧)として供給、設定する。
【0062】
また、感度設定レジスタ157は、少なくとも感度調整用読取動作において、データコントローラ152からの制御信号に基づいて、フォトセンサアレイ100を構成する各ダブルゲート型フォトセンサ10の受光時間を、被写体画像の読取領域単位ごと(例えば、行ごと)に段階的に変化させるように、デバイスコントローラ151からトップゲートドライバ110、ボトムゲートドライバ120及びプリチャージスイッチ132に出力する制御信号φtg、φbg、φpgのタイミングを設定制御する。
また、バックライト発光制御部158は、感度調整用読取動作及び正規の被写体画像の読取動作において、バックライトBLを所定の輝度で発光させて、フォトセンサアレイ100を介して、被写体に照射させる制御を行う。
【0063】
これにより、コントローラ150は、トップゲートドライバ110、ボトムゲートドライバ120及びプリチャージスイッチ132に各制御信号φtg、φbg、φpgを出力して、図3に示したように、リセット期間及び読み出し期間に、トップゲートドライバ110及びボトムゲートドライバ120の各々から、各ダブルゲート型フォトセンサ10のトップゲート端子TG及びボトムゲート端子BGに所定の信号電圧(リセットパルスφTi、読み出しパルスφBi)を印加するとともに、プリチャージ期間に、プリチャージスイッチ132を介して各ダブルゲート型フォトセンサ10のドレイン端子Dにプリチャージ電圧Vpgを印加する動作を制御する。
【0064】
そして、コントローラ150には、電荷蓄積期間(受光時間)に、被写体の画像パターンに対応して各ダブルゲート型フォトセンサ10に蓄積された電荷量に応じたドレイン電圧VDがコラムスイッチ131により検出信号として検出され、アンプ133及びA/Dコンバータ140を介してデジタル信号に変換されて、階調データとして入力される。コントローラ150は、この階調データに基づいて被写体の画像データを生成して、例えば、RAM160への書き込みや読み出し、あるいは、外部機能部200への出力を実行する。なお、外部機能部200としては、任意の画像処理や画像表示を行うことができる機器であればよく、近年急速に普及し、高性能化が著しいパーソナルコンピュータ等を良好に適用することができる。
【0065】
<画像読取装置の駆動調整方法>
次いで、上述したコントローラによる処理動作(A/Dコンバータの基準電圧設定動作)について、図面を参照して説明する。
図7は、本実施形態に係る画像読取装置に適用されるコントローラにより実現される処理動作の一例を示すフローチャートである。ここでは、図5及び図6に示した画像読取装置の構成を適宜参照しながら説明する。
【0066】
本実施形態に係るコントローラ150は、被写体に対する正規の画像読み取り動作に先立つ任意のタイミングで、以下に示すような感度調整用読取動作及び基準電圧設定動作を順次実行するように、上記画像読取装置(フォトセンサシステム)の各構成を制御する。ここで、以下に示す一連の処理手順は、コントローラ150によって、例えば、ROM170にあらかじめ格納された制御プログラムがRAM160にロードされて、実行されることにより実現される。
【0067】
本実施形態に係るコントローラの処理動作は、具体的には、図7に示すように、まず、被写体の正規の読み取り動作に先立つ任意のタイミングで、メインコントローラ153により感度調整用読取動作が開始され、データコントローラ152を介して、感度設定レジスタ157に感度調整用読取動作のための読取感度が設定されて、フォトセンサアレイ100の一面側に設けられた検知面DTCに載置された被写体の画像を読み取る動作を実行する(S101)。
【0068】
ここで、感度設定レジスタ157に設定される読取感度(すなわち、フォトセンサアレイ100を構成する各ダブルゲート型フォトセンサ10に設定される電荷蓄積期間)は、フォトセンサアレイ100における読取領域単位ごと、例えば、一行ごと、あるいは、所定の複数行ごと、もしくは、上記被写体画像の1画面ごとに、段階的に順次異なるように設定され、上述した画像読取動作(図3参照)と同様に、各行ごとにダブルゲート型フォトセンサ10を順次駆動することにより、単一の被写体を複数の異なる読取感度で読み取る感度調整用読取動作を実行する。なお、感度調整用読取動作の具体例については、詳しく後述する。
【0069】
そして、このような感度調整用読取動作によりフォトセンサアレイ100(ダブルゲート型フォトセンサ10)から出力された検出信号(アナログ信号)は、アンプ133及びA/Dコンバータ140を介して、デジタル信号からなる階調データに変換されてコントローラに取り込まれ、例えば、直接データセレクタ156を介してRAM160に格納されるか、もしくは、一旦データ比較器154に入力される。
【0070】
次いで、データコントローラ152によりデータセレクタ156を介して、上記ステップS101により得られた階調データのうち、各読取感度ごと(すなわち、各行ごと、あるいは、所定の複数行ごと、もしくは、上記被写体画像の1画面ごと)に各ダブルゲート型フォトセンサ10から得られた階調データを抽出してデータ比較器154に読み込み(S102)、各読取感度ごとに階調データ相互の大小関係を比較して、最大となる階調データ(最も明るい階調に相当する)及び最小となる階調データ(最も暗い階調に相当する)を抽出する(S103)。
【0071】
そして、データコントローラ152により制御される加算器155により、各読取感度ごとに抽出された階調データの最大値と最小値の差分、すなわち、ダイナミックレンジ(データ範囲)を算出し、その結果をデータセレクタ156を介して、RAM160に一旦格納する(S104)。このようなダイナミックレンジの算出処理を各読取感度ごとに順次実行する。
【0072】
次いで、RAM160に格納された各読取感度ごとのダイナミックレンジを、データセレクタ156を介して、データ比較器154に読み込み、読取感度に対するダイナミックレンジの変化傾向から、ダイナミックレンジが最大となる読取感度を抽出する(S105)。これにより、メインコントローラ153は、抽出された当該読取感度を、被写体の画像パターンに対応した良好なコントラストを得ることができる最適な読取感度であると判断する。
【0073】
そして、データコントローラ152は、データセレクタ156を介して、該抽出された読取感度における階調データの最大値及び最小値をRAM160から読み出し(S106)、当該階調データの最大値及び最小値の各々に対応する階調電圧Vdh、VdlをA/Dコンバータ140に出力し、アナログ−デジタル変換処理における階調データを規定するハイレベル側及びローレベル側の基準電圧に書き換え設定して(S107)、基準電圧設定動作を終了する。
【0074】
<感度調整用読取動作>
次いで、上述したコントローラの処理動作に適用される感度調整用読取動作(ステップS101)について、図面を参照して具体的に説明する。
図8は、本実施形態に係る感度調整用読取動作において、対象となる領域及びその読取動作の具体例を示す概念図である。
【0075】
本実施形態に適用される感度調整用読取動作は、具体的には、デバイスコントローラ151からトップゲートドライバ110、ボトムゲートドライバ120、プリチャージスイッチ132に出力、設定される各制御信号及び読取感度(電荷蓄積期間)に基づいて、上述したフォトセンサアレイ100の画像読取動作(図3参照)と同様に、検知面DTCに載置された被写体の画像を、図8(a)、(b)に示すように、フォトセンサアレイ100の有効読取領域30について、又は、図8(c)に示すように、有効読取領域30内に予め設定された検出エリア(所定の行範囲及び列範囲からなる領域)40について読み取る動作を実行する。
【0076】
ここで、フォトセンサアレイ100を構成する各ダブルゲート型フォトセンサ10に設定される読取感度(すなわち、電荷蓄積期間)は、例えば、一行ごとに段階的に順次異なるように設定されるものであってもよいし、所定の複数行ごとに順次異なるように設定されるものであってもよいし、有効読取領域30の全域や検出エリア40内の全域のように、被写体画像の全域ごと(すなわち、一画面ごと)に、異なるように設定されるものであってもよい。
【0077】
また、感度調整用読取動作におけるダブルゲート型フォトセンサ10の具体的な駆動方法は、例えば、図8(a)に示すように、256行×196列の画素(すなわち、256×196個のダブルゲート型フォトセンサ)からなるフォトセンサアレイ100において、1行目から256行目までの全ての行について順次読み取るものであってもよいし、図8(b)に示すように、10行目、20行目、・・・180行目、190行目、・・・のように複数行おき(ここでは、10行おき)に、順次読み取るものであってもよい。
【0078】
また、ダブルゲート型フォトセンサ10のさらに他の駆動方法としては、例えば、図8(c)に示すように、有効読取領域30のうち、64行目〜191行目の行範囲及び67列目〜130列目の列範囲に設定された検出エリア40の全ての行について、順次読み取るものであってもよいし、図8(b)に示した場合と同様に、例えば、検出エリア40内の70行目、80行目、・・・180行目、190行目のように複数行おき(ここでは、10行おき)に、順次読み取るものであってもよい。
【0079】
そして、上述したような感度調整用読取動作においては、以下に示すような読取感度の設定方法を良好に適用することができる。
図9は、本実施形態に係る感度調整用読取動作に適用可能な読取感度(電荷蓄積期間)の設定方法の一例を示すタイミングチャートである。ここでは、図1、図2に示したフォトセンサシステムの構成を適宜参照しながら説明する。
【0080】
上述した図8に示したダブルゲート型フォトセンサ10の駆動方法において、フォトセンサアレイ100(有効読取領域30)又は検出エリア40の全行又は特定の行について、段階的に異なる読取感度を設定する手法としては、図9に示すように、まず、フォトセンサアレイ100を構成するダブルゲート型フォトセンサ10の各々に対して、一括して同時にリセットパルスφT1、φT2、…φTnを印加してリセット動作を実行し、全ての行におけるダブルゲート型フォトセンサ10の電荷蓄積期間T、T、…Tn− 、Tを一斉にスタートした後、各行ごとのダブルゲート型フォトセンサ10に印加されるプリチャージ信号φpg及び読み出しパルスφB1、φB2、…φBnを所定の時間間隔(遅れ時間Tdelay)で段階的に変化させることにより、各行ごとのダブルゲート型フォトセンサ10におけるプリチャージ動作及び読み出し動作のタイミングを順次異ならせて、各行ごとに設定される電荷蓄積期間T、T、…Tn− 、Tを上記時間間隔(Tdelay)で相互に変化させるように制御する。
【0081】
これにより、感度調整用読取動作において、読取動作を実行する各行ごと(上記図8に示したように全行であってもよいし、特定の行であってもよい)に異なる読取感度(すなわち、行数分の異なる読取感度)で読み取られた階調データを、1回(1画面分)の被写体画像の読取動作により取得することができる。
なお、本発明に係る画像読取装置に適用される読取感度(電荷蓄積期間)の設定方法は、上述した手法に限定されるものではなく、少なくとも、被写体画像を異なる読取感度で読み取り、各読取感度ごとに階調データを取得できるものであれば、例えば、単一の読取感度により被写体画像の一画面分を読み取った後、読取感度を変更して再度被写体画像を読み取る動作を複数回繰り返すようにしたものであってもよいし、さらに他の方法であってもよいことはいうまでもない。
【0082】
<駆動調整方法の具体例>
次に、上述した画像読取装置及びその駆動調整方法(感度調整用読取動作及び基準電圧設定動作)の具体的な適用例について、図面を参照して説明する。
図10は、本実施形態に係る画像読取装置の駆動調整方法の対象となる被写体(指)と検出エリアの関係、及び、被写体画像(指紋画像)の実験画像を示す図である。そして、図11は、本実施形態に係る駆動調整方法(感度調整用読取動作)により得られた階調データ(明度データ)の変化の一例を示すグラフであり、図12は、本実施形態に係る駆動調整方法(感度調整用読取動作)により得られた指紋画像の階調データに基づくダイナミックレンジの変化、及び、行番号とダイナミックレンジ、最大値及び最小値となる階調データの階調電圧との対応関係を示す図である。
【0083】
まず、図10(a)に示すように、正規の画像読取動作における被写体である指FGを用い、少なくとも、256行×196列の画素(フォトセンサ)からなるフォトセンサアレイ100の有効読取領域30内に、被写体を載置、接触することにより全域が覆われる、予め設定された64行目〜191行目の行範囲(128行)及び67列目〜130列目の列範囲(64列)からなる検出エリア40に対して、各行ごとのフォトセンサ群に上述したように順次異なる電荷蓄積期間を設定して上記指FGの画像パターンを読み取る感度調整用読取動作を実行することにより、図10(b)に示すように、一画面分の画像読取動作で各行ごとに読取感度が段階的に異なる指紋画像を得る。
【0084】
このような指紋画像において、白として観測される階調データ(すなわち、明状態の基準値)と、黒として観測される階調データ(暗状態の基準値)との間を、例えば256階調に設定し、任意の行(読取感度)の各画素における階調データの変化を検証すると、電荷蓄積期間Taが短く設定された行においては、図11(a)〜(c)に示すように、指紋画像全体が略暗状態として読み取られ、当該行における階調データの最大値と最小値の差分(ダイナミックレンジ)は、微小又は小さな数値となる。一方、電荷蓄積期間Taが長く設定された行においては、指紋画像全体が略明状態として読み取られ、当該行における階調データの最大値と最小値の差分(ダイナミックレンジ)は、やはり微小又は小さな数値となる。
【0085】
これに対して、図11(d)、(e)に示すように、指紋画像のコントラスト(明暗差)が比較的明確な領域においては、上記階調データの最大値と最小値の差分(ダイナミックレンジ)は、大きな数値を示す。なお、図11においては、検出エリア40内の任意の行として、便宜的に80行目、104行目、128行目、152行目及び176行目について、列ごとの階調データの変化傾向を示した。
【0086】
したがって、各行ごと(読取感度ごと)に階調データの最大値と最小値を抽出して、その差分からダイナミックレンジを算出することにより、図12(a)に示すように、行番号が小さい領域では略暗状態となり、また、行番号が大きい領域では略明状態となって、いずれもダイナミックレンジが小さく算出され、一方、暗状態と明状態の間の特定の行RCaにおいて、ダイナミックレンジが最大値MA1を示す変化傾向が得られる。
【0087】
ここで、フォトセンサアレイ100を構成する各ダブルゲート型フォトセンサ10の出力特性のバラツキが、比較的狭くかつ均一である場合には、概略、図12(a)に示したようなダイナミックレンジの変化傾向の誤差範囲に含まれるので、当該バラツキによる階調データへの影響は軽微となる。
これにより、ダイナミックレンジが最大となる行番号RCaが特定され、図12(b)に示すように、当該行(例えば、RCa=176行)における階調データの最大値(例えば、251)及び最小値(例えば、58)を読み出して、当該階調データに対応する階調電圧Vsh(176)、Vsl(176)を、A/Dコンバータにおけるハイレベル及びローレベルの基準電圧Vdh、Vdlに設定する。
【0088】
このように、本実施形態に係る画像読取装置及びその駆動調整方法においては、正規の画像読取動作に先立って、該画像読取動作の対象となる被写体を用いて、段階的に読取感度(電荷蓄積期間)を変化させて被写体画像を読み取る感度調整用読取動作を行い、当該被写体固有の読取感度ごとのコントラスト(明暗差)の傾向を事前に把握して、最適なコントラストを示す(階調データのダイナミックレンジが最大となる)読取感度を抽出し、当該読取感度における階調データの最大値及び最小値に対応する階調電圧を、フォトセンサから出力される検出信号(アナログ信号)から階調データ(デジタル信号)を生成するA/Dコンバータの、ハイレベル側及びローレベル側の基準電圧に設定する基準電圧設定動作を行うように構成されている。
【0089】
これにより、上記調整用読取動作に基づいて判明した、被写体の画像パターン(より詳しくは、被写体の固有の性質や読取条件、周辺環境等)やダブルゲート型フォトセンサの出力特性に対応した最適なコントラストに基づいて、A/Dコンバータの基準電圧を設定することができるので、被写体の画像パターンが鮮明でない場合や、製造バラツキや画像読取装置の経時変化により、フォトセンサアレイの出力特性にバラツキが生じていた場合であっても、当該被写体画像を良好な階調数の階調データとして読み取ることができ、階調表現が良好な画像情報を生成することができる。
【0090】
<駆動調整方法の他の具体例>
次に、上述した画像読取装置及びその駆動調整方法(感度調整用読取動作及び基準電圧設定動作)の他の具体的な適用例について、図面を参照して説明する。ここでは、上述した具体例において、ダブルゲート型フォトセンサの出力特性の異常や、検知面上への異物の付着等による異常画素が存在する場合の駆動調整方法について説明する。
【0091】
図13は、本具体例における駆動調整方法の一例を示すフローチャートである。図14は、異常画素が存在するフォトセンサアレイで感度調整用読取動作を行った場合の被写体画像(指紋画像)を示す実験画像であり、図15は、本具体例において感度調整用読取動作により得られた階調データの変化の一例を示すグラフであり、図16は、本具体例において感度調整用読取動作により得られた指紋画像の階調データに基づくダイナミックレンジの変化、及び、行番号とダイナミックレンジ、最大値及び最小値となる階調データの階調電圧との対応関係を示す図である。ここでは、図5及び図6に示した画像読取装置の構成を適宜参照しながら駆動調整方法を説明する。また、上述した駆動調整方法(図7参照)及び具体例(図10乃至図12参照)と同等の動作については、その説明を簡略化又は省略する。
【0092】
まず、図13に示すように、図10(a)に示した場合と同様に、フォトセンサアレイ100の有効読取領域30内に予め設定された検出エリア40に載置、接触された指FGの画像パターン(指紋)を、各行ごとに読取感度(電荷蓄積期間)を異なるように設定して読み取る感度調整用読取動作を実行することにより、図14に示すような指紋画像を得る(S201)。ここで、フォトセンサアレイ100には、ダブルゲート型フォトセンサの出力特性の異常や、検知面上への異物の付着等に起因する異常画素が存在し、図14に示すように、検出エリア40内の指紋画像に異常に高い階調データを示す輝点欠陥ILが発生しているものとする。
【0093】
このような指紋画像において、図7に示した駆動調整方法と同様に、検出エリア40内の各行について階調データの変化を検証すると、上記図11(a)〜(e)に示したように、各読取感度ごとに被写体の画像パターンに応じた階調データの数値変化が得られるとともに、それに加えて、例えば、図15(b)に示すように、図14に示した輝点欠陥ILの位置に対応する列番号Rp(例えば、104行目)に、異常に大きな数値を示す階調データが観測される。
【0094】
この場合、上述した具体例と同様に、階調データの最大値と最小値を抽出して、その差分からダイナミックレンジを算出する処理(図7に示したステップS103、S104に相当)を行った場合、図16(a)に示すように、行番号が小さい領域及び行番号が大きい領域では画像パターンの明暗差が小さくため、ダイナミックレンジが小さく算出され、その間の特定の行RCaにおいて、ダイナミックレンジが最大値MA1を示す変化傾向が得られるとともに、上記輝点欠陥ILの位置に対応する行RCb(=104行目)において、見かけ上、最大値MA1よりも大きな最大値MA2が出現する。
【0095】
このようなダイナミックレンジの変化に対して、最大値を示す行(読取感度)を抽出し、その階調データの最大値及び最小値を読み出す処理(図7に示したステップS105、S106に相当)を実行すると、図16(b)に示すように、輝点欠陥ILに起因する最大値MA2を示す104行目における階調データの最大値(例えば、255)及び最小値(例えば、0)が読み出されて、当該階調データに対応する階調電圧Vsh(104)、Vsl(104)が、A/Dコンバータにおけるハイレベル及びローレベルの基準電圧Vdh、Vdlとして設定される可能性がある。すなわち、誤った基準電圧Vdh、Vdlが、最適なコントラストで被写体画像を読み取るための条件として設定される可能性がある。
【0096】
そこで、本具体例においては、指紋画像に輝点欠陥ILが発生した場合、例えば、各読取感度ごと(各行ごと)の階調データのうち、大きい方から1個又は複数個の階調データ(すなわち、少なくとも最大値を含む階調データ)を一義的に除去する特定階調データ除去動作(特定データ除去動作)を実行することにより、異常に大きな数値として観測された列番号Rpの階調データが必然的に除去されることになる(S202、S203)。
【0097】
本具体例に適用される特定階調データ除去動作は、具体的には、図6に示したコントローラ150において、まず、上記ステップS201により得られた階調データのうち、各読取感度ごとに得られた階調データが抽出されてデータ比較器154に読み込まれ、該階調データ相互の大小関係を比較し、所定の条件を満たす特定の階調データ、すなわち、最大値となる階調データ、もしくは、階調データの大きい順に複数個の階調データ群を抽出して除去する。ここで、少なくとも、上記特定の階調データを除外した残りの階調データは、一旦RAM160等に格納される。したがって、データ比較器154は、本発明に係る特定データ除去手段を構成する。
そして、特定の階調データを除外した残りの階調データを、各読取感度ごとにデータ比較器154に再び読み込み、階調データ相互の大小関係を比較して、最大値及び最小値となる階調データを抽出して、その差分からダイナミックレンジを算出する(S204)。
【0098】
ここで、本具体例に示したような特定階調データ除去動作(ステップS203)においては、図15(a)、(c)〜(e)に示すように、輝点欠陥ILが存在しない行においても、少なくとも階調データの最大値が除去されることになるが、図16(a)の曲線に示すように、各行におけるダイナミックレンジは、行RCaを頂点(最大値)として緩やかに小さくなる変化傾向に大きな変化は生じないので、ダイナミックレンジの本来の最大値MA1を示す行RCaのごく近傍の行番号(例えば、175行目)を良好に特定して、図16(c)に示すように、当該行(175行)における階調データの最大値(例えば、249)及び最小値(例えば、60)を読み出して、当該階調データに対応する階調電圧Vsh(175)、Vsl(175)を、A/Dコンバータにおけるハイレベル及びローレベルの基準電圧Vdh、Vdlに設定する(S207、S208)。
【0099】
このように、本具体例に係る画像読取装置及びその駆動調整方法においては、正規の画像読取動作に先立って、被写体画像を読み取る感度調整用読取動作により得られる各読取感度ごとの階調データから、少なくとも、輝点欠陥等の異常画素に起因するものである可能性が比較的高い、最大値となる階調データを除去する特定階調データ除去動作を行い、その後の階調データにより得られる当該被写体固有の読取感度ごとのコントラスト(明暗差)の傾向に基づいて、最適なコントラストを示す読取感度における階調データの最大値及び最小値に対応する階調電圧を、A/Dコンバータのハイレベル側及びローレベル側の基準電圧に設定する基準電圧設定動作を行うように構成されている。
【0100】
これにより、フォトセンサアレイにある程度の個数の素子欠陥が存在している場合や、検知面にある程度汚れが付着している場合等であっても、被写体の特性等に応じた良好なコントラストの画像データを得ることができるようにA/Dコンバータの基準電圧を設定することができる。
なお、本具体例においては、特定階調データ除去動作として、各読取感度ごとの階調データから、少なくとも最大値を含む1または複数の階調データを一義的に除去する処理を示したが、本発明はこれに限定されるものではなく、異常値を示す特定の階調データを除去することができるものであれば、他の手法を用いるものであってもよい。
【0101】
<画像読取装置の第2の実施形態>
次に、本発明に係る画像読取装置の第2の実施形態について説明する。
図17は、本発明に係る画像読取装置の第2の実施形態を示すブロック図である。また、図18は、本実施形態に係る画像読取装置に適用されるフォトセンサシステムの一例を示す概略構成図であり、図19は、本実施形態に係るフォトセンサシステムに適用されるコントローラの一構成例を示す概念的なブロック図である。なお、図2に示したフォトセンサシステム及び上述した第1の実施形態(図5)に示した画像読取装置と同等の構成については、同一の符号を付して、その説明を簡略化又は省略する。
【0102】
上述した第1の実施形態においては、フォトセンサアレイ(ダブルゲート型フォトセンサ)から出力された検出信号をアナログ−デジタル変換するA/Dコンバータの基準電圧を、被写体の画像パターン(被写体の固有の性質や読取条件、周辺環境等)やダブルゲート型フォトセンサの出力特性のバラツキに対応させて、可変的に設定する構成及び方法について説明したが、本実施形態においては、A/Dコンバータの基準電圧を固定した状態で、少なくともダブルゲート型フォトセンサの出力特性のバラツキに対応させて、画像読取動作に関連する駆動制御信号の信号電圧を可変的に設定する構成及び方法を有している。
【0103】
図17、図18に示すように、本実施形態に係る画像読取装置は、大別して、図2に示したフォトセンサシステム及び図4に示した画像読取装置と同様の構成を有するフォトセンサアレイ100と、トップゲートドライバ110と、ボトムゲートドライバ120と、コラムスイッチ131及びアンプ133と、A/Dコンバータ140と、RAM160と、ROM170と、バックライトBL(図17においては、図示の都合上、省略)と、を備え、さらに、上述したプリチャージスイッチを備えるとともに、ダブルゲート型フォトセンサに印加されるプリチャージ電圧Vpgを任意の電圧値に設定制御するプリチャージ電圧設定部134と、ダブルゲート型フォトセンサに印加されるソース電圧Vsを任意の電圧値に設定制御するソース電圧設定部135と、フォトセンサアレイ100による画像読取動作や、各種データのやり取り等を制御するとともに、所定の電圧条件で電圧調整用読取動作を実行して、上記プリチャージ電圧Vpg及びソース電圧Vsの電圧値を、ダブルゲート型フォトセンサの出力特性のバラツキに対応した最適値に調整制御する機能を備えたコントローラ150Bと、を有して構成されている。
【0104】
ここで、プリチャージ電圧設定部134は、例えば、図18に示すように、フォトセンサアレイ100に配設された各ドレインライン103に一端側が接続され、後述する電圧制御部134bに他端側が接続され、後述するコントローラ150Bから出力されるプリチャージパルスφpgに基づいて、オン/オフ状態が制御される複数のスイッチからなるプリチャージスイッチ群134aと、コントローラ150Bから出力されるプリチャージ制御信号Spgに基づいて、所定の電圧値を有するプリチャージ電圧Vpgを生成し、上記プリチャージスイッチ群134aを介して、各ドレインインライン103に印加する電圧制御部134bと、を有して構成されている。そして、プリチャージ電圧設定部134は、後述する電圧調整用読取動作において、上記プリチャージ制御信号Spgに基づく所定のタイミングで(所定の読取領域単位の動作期間ごとに)プリチャージ電圧Vpgを段階的に変化させる制御を実行する。
【0105】
ソース電圧設定部135は、後述する電圧調整用読取動作において、上記プリチャージ電圧設定部134によりプリチャージ電圧Vpgを段階的に変化させて、各ドレインインライン103に印加する動作期間(ハイレベル調整期間)とは、時間的に重ならない別の動作期間(ローレベル調整期間)で、コントローラ150Bから出力されるソース制御信号Ssに基づく所定のタイミングで(所定の読取領域単位の動作期間ごとに)、フォトセンサアレイ100に配設された各ソースライン104を介して、ダブルゲート型フォトセンサ10のソース端子に印加するソース電圧Vsを段階的に変化させる制御を実行する。
【0106】
A/Dコンバータ140は、上述した第1の実施形態と同様に、ダブルゲート型フォトセンサ10から出力されたアナログ信号からなる検出信号をデジタル信号からなる階調データに変換する機能を有するものであるが、本実施形態においては、アナログ−デジタル変換処理における階調データを規定するハイレベル側及びローレベル側の基準電圧は、予め所定の電圧値に固定的に設定されている。
【0107】
また、本実施形態に適用されるコントローラ150Bは、例えば、図19に示すように、少なくとも、後述するプリチャージ電圧設定部134及びソース電圧設定部135における電圧設定動作を制御するデバイスコントローラ151と、上述した第1の実施形態(図6参照)と略同等の機能を有し、後述するような本実施形態特有の動作を実行するデータコントローラ152、メインコントローラ153、データ比較器154、データセレクタ156、感度設定レジスタ157と、を備えた構成を有している。
【0108】
なお、上記コントローラ150Bの構成において、デバイスコントローラ151、データコントローラ152及びメインコントローラ153及び感度設定レジスタ157は、本発明に係る電圧調整制御手段を構成する。また、データ比較器154は、本発明に係る階調データ抽出手段を構成し、データコントローラ152、メインコントローラ153及びデータセレクタ156は、本発明に係る制御電圧設定手段を構成する。すなわち、上記各手段を含んで構成されるコントローラ150Bは、本発明に係る駆動制御電圧設定手段を構成する。
【0109】
データ比較器154は、少なくとも、後述する電圧調整用読取動作において、フォトセンサアレイ100を構成するダブルゲート型フォトセンサ10に印加するプリチャージ電圧Vpg又はソース電圧Vsを変化させつつ読み取り、A/Dコンバータ140を介して取得した階調データの電圧値(階調電圧)と、A/Dコンバータ140に予め固定的に設定され、アナログ−デジタル変換処理における階調データを規定するハイレベル側(黒画像パターン読取時)及びローレベル側(白画像パターン読取時)の基準電圧とを比較して、飽和値を除く近似値を抽出する。
【0110】
データセレクタ156は、A/Dコンバータ140を介して入力された階調データ、及び、データ比較器154を介して処理された階調データ、並びに、処理済みデータ等を入力とし、これらのデータを必要に応じてRAM160への書き込みや読み出し、あるいは、データ比較器154への再入力、データコントローラ152を介して外部機能部200へ出力する動作等を切換制御する。
【0111】
特に、データセレクタ156は、メインコントローラ153及びデータコントローラ152からの指令(制御信号)に基づいて、後述する電圧調整用読取動作において、上記データ比較器154により抽出されたA/Dコンバータ140の基準電圧に近似する階調電圧に対応するプリチャージ電圧Vpg又はソース電圧VsをRAM160から読み出して、デバイスコントローラ151を介してプリチャージ電圧設定部134又はソース電圧設定部135に当該電圧値を設定する。
【0112】
また、感度設定レジスタ157は、少なくとも電圧調整用読取動作において、データコントローラ152からの制御信号に基づいて、フォトセンサアレイ100を構成する各ダブルゲート型フォトセンサ10に印加するプリチャージ電圧Vpg又はソース電圧Vsを、被写体画像の読取領域単位ごと(例えば、行ごと)に段階的に変化させるように、デバイスコントローラ151からプリチャージ電圧設定部134及びソース電圧設定部135に出力する各制御信号Spg、Ssを設定する。
【0113】
<画像読取装置の駆動調整方法>
次いで、上述したコントローラによる処理動作(プリチャージ電圧/ソース電圧の設定動作)について、図面を参照して説明する。
図20は、本実施形態に係る駆動調整方法に適用される電圧調整用読取動作の一例(ハイレベル調整動作)を示すタイミングチャートであり、図21は、本実施形態に係る駆動調整方法に適用される電圧調整用読取動作の他の例(ローレベル調整動作)を示すタイミングチャートである。ここでは、図17乃至図19に示した画像読取装置の構成を適宜参照しながら説明する。
【0114】
本実施形態に係るコントローラ150Bは、被写体に対する正規の画像読み取り動作に先立つ任意のタイミングで、以下に示すような電圧調整用読取動作及び制御電圧設定動作を順次実行するように、上記画像読取装置(フォトセンサシステム)の各構成を制御する。ここで、以下に示す一連の処理手順は、じょうじゅつした第1の実施形態と同様に、コントローラ150Bによって、例えば、ROM170にあらかじめ格納された制御プログラムがRAM160にロードされて、実行されることにより実現される。
【0115】
本実施形態に係るコントローラの処理動作は、具体的には、まず、被写体の正規の読み取り動作に先立つ、任意かつ独立したタイミングで、メインコントローラ153により電圧調整用読取動作が開始され、データコントローラ152を介して、感度設定レジスタ157に電圧調整用読取動作のための電圧条件が設定されて、所定の電圧条件下にあるフォトセンサアレイ100で読取動作を実行する。
【0116】
ここで、感度設定レジスタ157に設定される電圧条件は、フォトセンサアレイ100を構成する各ダブルゲート型フォトセンサ10に印加されるプリチャージ電圧Vpg又はソース電圧Vsであって、これらの電圧値が、フォトセンサアレイ100における読取領域単位ごと、例えば、一行ごと、あるいは、所定の複数行ごと、もしくは、1画面ごとに、段階的に順次異なるように設定され、上述した画像読取動作(図3参照)と同様に、各行ごとにダブルゲート型フォトセンサ10を順次駆動することにより、複数の異なる読取感度で読み取る電圧調整用読取動作を実行する。
【0117】
具体的には、黒画像パターンに対する電圧調整(すなわち、A/Dコンバータ140により変換されたハイレベル側の階調データの適正化処理)を行う場合には、まず、フォトセンサアレイ100の検知面DTCを暗状態に設定し、例えば、図20に示すように、フォトセンサアレイ100を構成するダブルゲート型フォトセンサ10のトップゲート端子TGに対して、各行ごとにリセットパルスφTiを順次印加して初期化動作(リセット期間Trst)を実行した後、電荷蓄積期間Taを開始する。ここで、リセット期間においては、デバイスコントローラ151からのプリチャージ制御信号Spgに基づいて、プリチャージ電圧設定部134により、プリチャージ電圧Vpgが0Vになるように設定される。
【0118】
そして、予め設定された電荷蓄積期間Ta中に、プリチャージパルスφpgに基づいて、各ダブルゲート型フォトセンサ10のドレイン端子にプリチャージ電圧Vpgを印加してプリチャージ状態に設定する(プリチャージ期間Tprch)。ここで、本実施形態においては、プリチャージ制御信号Spgに基づいて、プリチャージ電圧設定部134により、少なくともプリチャージ期間を含む所定の期間、各行ごとのダブルゲート型フォトセンサ10のドレイン端子に印加されるプリチャージ電圧Vpgの電圧値が、例えば、段階的が低くなるように設定する。
【0119】
その後、上記電荷蓄積期間Taを経過した行のダブルゲート型フォトセンサ10のボトムゲート端子BGに読み出しパルスφBiを順次印加して、当該読出期間Tread中におけるプリチャージ電圧Vpgの変化(暗状態であるため、実質的に変化なし)をコラムスイッチ131により検出し、アンプ133により所定の信号電圧に増幅して検出信号としてA/Dコンバータ140に出力する。なお、上記一連の電圧調整用読取動作においては、デバイスコントローラ151からのソース制御信号Ssに基づいて、ソース電圧設定部135により、全てのダブルゲート型フォトセンサ10のソース端子に印加されるソース電圧Vsが一定の電圧、例えば、0Vになるように設定される。
【0120】
A/Dコンバータ140は、予め設定された基準電圧に基づいて、上記検出信号をアナログ−デジタル変換して、階調データを生成し、コントローラ150Bに出力する。コントローラ150Bは、サンプリング制御信号SMPにより設定される所定のタイミングで上記階調データを取り込む。ここで、検出信号の信号電圧がハイレベル側の基準電圧よりも高い場合には、ハイレベル側の基準電圧と同一の電圧値を有する階調データが得られる。
【0121】
すなわち、プリチャージ電圧設定部134により設定されたプリチャージ電圧Vpgが、暗状態(黒表示パターン)を良好に読み取ることができない電圧値に設定されている場合(基準電圧により規定される電圧範囲を逸脱する電圧値に設定されている場合)には、A/Dコンバータ140から出力される階調データは、ハイレベル側の基準電圧に対して飽和状態を示す。一方、プリチャージ電圧Vpgが、暗状態(黒表示パターン)を良好に読み取ることができる電圧値に設定されている場合(基準電圧により規定される電圧範囲内に設定されている場合)には、階調データは、ハイレベル側の基準電圧以下であって、かつ、該基準電圧に近似する階調電圧を有する。
【0122】
また、白画像パターンに対する電圧調整(すなわち、A/Dコンバータ140により変換されたローレベル側の階調データの適正化処理)を行う場合には、まず、フォトセンサアレイ100の検知面DTCを明状態に設定し、例えば、図21に示すように、各行ごとのダブルゲート型フォトセンサ10に対して、リセットパルスφTiを順次印加して初期化動作(リセット期間Trst)を実行した後、電荷蓄積期間Taを開始する。ここで、リセット期間においては、デバイスコントローラ151からのプリチャージ制御信号Spgに基づいて、ソース電圧設定部135により、ソース電圧Vsが0Vになるように設定される。
【0123】
そして、予め設定された電荷蓄積期間Ta中に、プリチャージパルスφpgに基づいて、各ダブルゲート型フォトセンサ10にプリチャージ電圧Vpgを印加してプリチャージ状態に設定する(プリチャージ期間Tprch)。ここで、本実施形態においては、デバイスコントローラ151からのプリチャージ制御信号Spgに基づいて、プリチャージ電圧設定部134により、全てのダブルゲート型フォトセンサ10に印加されるプリチャージ電圧Vpgが一定電圧に設定される。また、このとき、デバイスコントローラ151からのソース制御信号Ssに基づいて、ソース電圧設定部135により、少なくともプリチャージ期間を含む所定の期間、各行ごとのダブルゲート型フォトセンサ10のソース端子に印加されるソース電圧Vsの電圧値が、例えば、段階的に低くなるように設定する。
【0124】
その後、上記電荷蓄積期間Taを経過した行のダブルゲート型フォトセンサ10に読み出しパルスφBiを順次印加して、当該読出期間Tread中におけるプリチャージ電圧Vpgの変化(明状態であるため、大幅に低下)をコラムスイッチ131により検出し、アンプ133を介して検出信号としてA/Dコンバータ140に出力する。
【0125】
A/Dコンバータ140は、予め設定された基準電圧に基づいて、上記検出信号をアナログ−デジタル変換して、階調データを生成し、コントローラ150Bに出力する。コントローラ150Bは、サンプリング制御信号SMPにより設定される所定のタイミングで上記階調データを取り込む。ここで、検出信号の信号電圧がローレベル側の基準電圧よりも低い場合には、ローレベル側の基準電圧と同一の電圧値を有する階調データが得られる。
【0126】
すなわち、ソース電圧設定部135により設定されたソース電圧Vsが、明状態(白表示パターン)を良好に読み取ることができない電圧値に設定されている場合(基準電圧により規定される電圧範囲を逸脱する電圧値に設定されている場合)には、A/Dコンバータ140から出力される階調データは、ローレベル側の基準電圧に対して飽和状態を示す。一方、ソース電圧Vsが、明状態(白表示パターン)を良好に読み取ることができる電圧値に設定されている場合(基準電圧により規定される電圧範囲内に設定されている場合)には、階調データは、ローレベル側の基準電圧以上であって、かつ、該基準電圧に近似する階調電圧を有する。
【0127】
そして、このような電圧調整用読取動作によりフォトセンサアレイ100(ダブルゲート型フォトセンサ10)からA/Dコンバータ140を介して、コントローラ150Bに取り込まれた階調データは、例えば、データセレクタ156を介してRAM160に格納される。
上述した電圧調整用読取動作により得られた階調データは、データコントローラ152によりデータセレクタ156を介して、各読取感度ごと(例えば、各行ごと)にデータ比較器154に読み込まれ、当該階調データの電圧値と、予めA/Dコンバータ140に固定的に設定されたハイレベル側又はローレベル側の基準電圧との大小関係が比較される。
【0128】
ここで、階調データの電圧値(階調電圧)がハイレベル側又はローレベル側の基準電圧と同一である場合には、上記電圧調整用読取動作により得られた階調データ(階調電圧)が飽和状態にあるものと判断して、当該階調データ(又は、対応する読取感度)を制御電圧設定処理の対象から一義的に除外する。一方、飽和状態にない階調データについては、データ比較器154により、各読取感度の中から階調データの電圧値がハイレベル側又はローレベル側の基準電圧に最も近似する階調データを抽出し、当該階調データに対応する読取感度を最適状態と判断して、上記電圧調整用読取動作において当該読取感度に設定したプリチャージ電圧Vpg又はソース電圧Vsを、プリチャージ電圧設定部134又はソース電圧設定部135に各々設定して、制御電圧設定動作を終了する。
【0129】
このように、本実施形態に係る画像読取装置及びその駆動調整方法においては、正規の画像読取動作に先立って、A/Dコンバータの基準電圧を固定的に設定し、かつ、明状態及び暗状態の各感度調整条件で、段階的に電圧条件(プリチャージ電圧又はソース電圧)を変化させて電圧調整用読取動作を行い、暗状態及び明状態の各感度調整条件で、上記A/Dコンバータのハイレベル側及びローレベル側の基準電圧に近似する電圧値を有する階調データを抽出して、当該階調データに対応する読取感度として設定されたプリチャージ電圧及びソース電圧を、それぞれ正規の画像読取動作を実行する際のプリチャージ電圧及びソース電圧として設定する制御電圧設定動作を行うように構成されている。
【0130】
これにより、上記調整用読取動作に基づいて判明した、暗状態及び明状態におけるダブルゲート型フォトセンサの出力特性に対応した最適なコントラストに基づいて、フォトセンサアレイ(ダブルゲート型フォトセンサ)に印加されるプリチャージ電圧及びソース電圧を設定することができるので、製造バラツキや画像読取装置の経時変化により、フォトセンサアレイの出力特性にバラツキが生じていた場合であっても、所望の被写体画像を良好な階調数の階調データとして読み取ることができ、階調表現が良好な画像情報を生成することができる。
【0131】
なお、本実施形態においては、上記調整用読取動作に適用される電圧調整条件として、フォトセンサアレイを暗状態又は明状態に設定して読取動作を実行し、プリチャージ電圧又はソース電圧を段階的に変化させる場合について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば、上述した第1の実施形態に示したように、正規の画像読取動作における被写体を検知面に載置させた状態で、プリチャージ電圧を変化させて読み取るハイレベル調整動作と、ソース電圧を変化させて読み取るローレベル調整動作を順次実行するようにしてもよい。
【0132】
これによれば、被写体の画像パターン(より詳しくは、被写体の固有の性質等)及びダブルゲート型フォトセンサの出力特性に対応した最適なコントラストに基づいて、プリチャージ電圧及びソース電圧を設定することができるので、被写体の画像パターンが鮮明でない場合や、フォトセンサアレイの出力特性にバラツキが生じていた場合であっても、当該被写体画像を良好な階調数の階調データとして読み取ることができ、階調表現が良好な画像情報を生成することができる。
【0133】
また、本実施形態に示した一連の電圧調整動作において、電圧調整用読取動作により得られた階調データの電圧が、いずれの読取感度においても、A/Dコンバータに固定的に設定されたハイレベル側又はローレベル側の基準電圧に対して飽和状態を示す場合や、該基準電圧に対して所定の近似範囲にない場合には、例えば、コントローラ150Bからの制御信号により該基準電圧を、所定の電圧分だけ上昇又は下降させるように変更設定して、再度上述した電圧調整制御を行って、再度上記感度調整動作を実行するようにしてもよい。
【0134】
次いで、上述した第2の実施形態において示した電圧調整用読取動作に適用可能な明状態及び暗状態の設定機構について簡単に説明する。
図22は、本実施形態に係る画像読取装置の駆動調整方法に適用可能な明暗状態設定機構を示す概略構成図である。
本実施形態に係る画像読取装置においては、上述した電圧調整用読取動作を実現するために、例えば、図22(a)に示すように、画像読取装置(フォトセンサアレイ100)の検知面DTCの上方に、必要に応じてフォトセンサアレイ100への外光の入射を遮断する遮光カバー300と、該遮光カバー300の上記フォトセンサアレイ100側(すなわち、内側)に、フォトセンサアレイ100の全域を所定の照射光で均一に照射する平面ライト(面光源)FLTと、を備えた明暗状態設定機構を適用することができる。
【0135】
ここで、遮光カバー300及び平面ライトFLTは、例えば、本実施形態に係る画像読取装置に付設された構成を有するものであってもよいし、画像読取装置とは別個に構成された装置であってもよい。すなわち、本実施形態に係る画像読取装置が搭載される電子機器に、開閉式やスライド式の機構を有して一体的に設けられた構成を有するものや、当該電子機器とは別個に、製造工場の検査ライン等に設けられたものであってもよく、メンテナンス時や工場出荷時等にフォトセンサアレイを外光から遮断するように設定することができるものであればよい。
【0136】
このような明暗状態設定機構を用いた電圧調整用読取動作において、ハイレベル調整動作においては、図22(b)に示すように、少なくとも画像読取装置のフォトセンサアレイ100の上方及び側方を遮光カバー300により被覆して、外光LYが入射しない状態とするとともに、平面ライトFLTを発光させない状態(消灯状態)とすることにより、上記暗状態を実現することができる。
また、ローレベル調整動作においては、図22(c)に示すように、フォトセンサアレイ100を遮光カバー300により被覆して、外光LYが入射しない状態とするとともに、平面ライトFLTを所定の輝度で発光させて、フォトセンサアレイ100に照射光Lxを均一に照射した状態(点灯状態)とすることにより、上記明状態を実現することができる。
【0137】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明に係る画像読取装置及びその駆動調整方法によれば、被写体を読み取る正規の画像読取動作に先立つ任意のタイミングで、該画像読取動作の対象となる被写体を用いて、読取感度を段階的に変化させる感度調整用読取動作を行い、ダイナミックレンジが最大となる読取感度の階調データの電圧をA/Dコンバータにおける基準電圧に設定する基準電圧設定動作を行うように構成されているので、被写体の画像パターンが鮮明でない場合や、製造バラツキや画像読取装置の経時変化により、フォトセンサアレイの出力特性にバラツキが生じていた場合であっても、当該被写体画像を良好な階調数の階調データ(コントラスト)として読み取ることができ、階調表現が良好な画像情報を生成することができる。
【0138】
また、本発明に係る画像読取装置及びその駆動調整方法においては、正規の画像読取動作に先立つ任意のタイミングで、暗状態及び明状態の各感度調整条件下で、フォトセンサに印加するプリチャージ電圧及びソース電圧の電圧値を段階的に変化させる電圧調整用読取動作を行い、A/Dコンバータにおける基準電圧に近似する電圧値を有する階調データが得られるプリチャージ電圧及びソース電圧を、正規の画像読取動作を実行する際のプリチャージ電圧及びソース電圧として設定する制御電圧設定動作を行うように構成されているので、製造バラツキや画像読取装置の経時変化により、フォトセンサアレイの出力特性にバラツキが生じていた場合であっても、当該被写体画像を良好な階調数の階調データ(コントラスト)として読み取ることができ、階調表現が良好な画像情報を生成することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る画像読取装置に適用可能なダブルゲート型トランジスタによるフォトセンサ(ダブルゲート型フォトセンサ)の概略構成を示す断面構造図である。
【図2】ダブルゲート型フォトセンサを絶縁性基板上に2次元配列して構成されるフォトセンサアレイを備えたフォトセンサシステムの概略構成図である。
【図3】フォトセンサシステムにおける基本的な駆動制御方法を示すタイミングチャートである。
【図4】フォトセンサシステムを画像読取装置(指紋読取装置)に適用した場合の要部断面図である。
【図5】本発明に係る画像読取装置の第1の実施形態を示すブロック図である。
【図6】本実施形態に係るフォトセンサシステムに適用されるコントローラの一構成例を示す概念的なブロック図である。
【図7】本実施形態に係る画像読取装置に適用されるコントローラにより実現される処理動作の一例を示すフローチャートである。
【図8】本実施形態に係る感度調整用読取動作において、対象となる領域及びその読取動作の具体例を示す概念図である。
【図9】本実施形態に係る感度調整用読取動作に適用可能な読取感度(電荷蓄積期間)の設定方法の一例を示すタイミングチャートである。
【図10】本実施形態に係る画像読取装置の駆動調整方法の対象となる被写体(指)と検出エリアの関係、及び、被写体画像(指紋画像)の実験画像を示す図である。
【図11】本実施形態に係る駆動調整方法(感度調整用読取動作)により得られた階調データ(明度データ)の変化の一例を示すグラフである。
【図12】本実施形態に係る駆動調整方法(感度調整用読取動作)により得られた指紋画像の階調データに基づくダイナミックレンジの変化、及び、行番号とダイナミックレンジ、最大値及び最小値となる階調データの階調電圧との対応関係を示す図である。
【図13】本具体例における駆動調整方法の一例を示すフローチャートである。
【図14】異常画素が存在するフォトセンサアレイで感度調整用読取動作を行った場合の被写体画像(指紋画像)を示す実験画像である。
【図15】本具体例において感度調整用読取動作により得られた階調データの変化の一例を示すグラフである。
【図16】本具体例において感度調整用読取動作により得られた指紋画像の階調データに基づくダイナミックレンジの変化、及び、行番号とダイナミックレンジ、最大値及び最小値となる階調データの階調電圧との対応関係を示す図である。
【図17】本発明に係る画像読取装置の第2の実施形態を示すブロック図である。
【図18】本実施形態に係る画像読取装置に適用されるフォトセンサシステムの一例を示す概略構成図である。
【図19】本実施形態に係るフォトセンサシステムに適用されるコントローラの一構成例を示す概念的なブロック図である。
【図20】本実施形態に係る駆動調整方法に適用される電圧調整用読取動作の一例(ハイレベル調整動作)を示すタイミングチャートである。
【図21】本実施形態に係る駆動調整方法に適用される電圧調整用読取動作の他の例(ローレベル調整動作)を示すタイミングチャートである。
【図22】本実施形態に係る画像読取装置の駆動調整方法に適用可能な明暗状態設定機構を示す概略構成図である。
【符号の説明】
10 ダブルゲート型フォトセンサ
100 フォトセンサアレイ
110 トップゲートドライバ
120 ボトムゲートドライバ
130 ドレインドライバ
131 コラムスイッチ
132 プリチャージスイッチ
134 プリチャージ電圧設定部
135 ソース電圧設定部
140 A/Dコンバータ
150、150B コントローラ

Claims (24)

  1. 複数のフォトセンサが配列されたフォトセンサアレイを備え、前記フォトセンサの各々から出力される検出信号を、アナログ−デジタル変換処理することにより得られる階調データに基づいて、所望の被写体の画像情報を取得する画像読取装置において、
    少なくとも、前記フォトセンサアレイにより前記所望の被写体を読み取ることにより得られる前記階調データに対応する電圧に基づいて、前記アナログ−デジタル変換処理において前記階調データを規定する基準電圧を設定する基準電圧設定手段と、前記フォトセンサアレイにより得られる前記階調データに対応する電圧に基づいて、前記所望の被写体を読み取る際に前記フォトセンサを駆動するために印加される駆動制御信号の電圧を設定する駆動制御電圧設定手段と、の何れか一方を備えることを特徴とする画像読取装置。
  2. 前記画像読取装置における前記基準電圧設定手段は、
    少なくとも、前記フォトセンサアレイにより前記所望の被写体を読み取る正規の画像読取動作に先立って、前記フォトセンサアレイの画像読取感度を複数段階に変化させて、前記被写体を読み取る感度調整用読取動作を実行制御する感度調整制御手段を有することを特徴とする請求項1記載の画像読取装置。
  3. 前記画像読取装置における前記基準電圧設定手段は、更に、前記感度調整用読取動作により得られた前記階調データから、前記画像読取感度ごとに、前記階調データの最大値及び最小値を抽出する測定量比較手段と、
    前記画像読取感度ごとに抽出された前記階調データの最大値及び最小値に基づいて、前記階調データのデータ範囲を算出するデータ範囲算出手段と、
    前記データ範囲の前記画像読取感度ごとの変化に基づいて、最適画像読取感度を導出する最適画像読取感度抽出手段と、
    前記最適画像読取感度における前記階調データの最大値及び最小値に対応する電圧を、前記アナログ−デジタル変換処理において前記階調データを規定する基準電圧に設定する手段と、
    を有することを特徴とする請求項2記載の画像読取装置。
  4. 前記感度調整制御手段は、前記被写体の読取領域単位ごとに、前記フォトセンサアレイの前記画像読取感度を段階的に異なるように設定することを特徴とする請求項2又は3記載の画像読取装置。
  5. 前記感度調整制御手段は、前記フォトセンサアレイを構成する前記フォトセンサの受光時間を調整することにより、前記画像読取感度を段階的に異なるように設定することを特徴とする請求項2又は3記載の画像読取装置。
  6. 前記フォトセンサは、半導体層からなるチャネル領域を挟んで形成されたソース電極及びドレイン電極と、前記チャネル領域の上方及び下方に各々絶縁膜を介して形成された第1のゲート電極及び第2のゲート電極と、前記第1のゲート電極の上方に形成され、前記被写体が載置される被写体検知面と、を有し、
    前記第1のゲート電極にリセットパルスを印加して前記読取画素を初期化し、前記ドレイン電極にプリチャージパルスを印加した後、前記第2のゲート電極に読み出しパルスを印加することにより、前記初期化終了から前記読み出しパルスの印加までの電荷蓄積期間に、前記チャネル領域に入射した光の量に応じた電荷を蓄積し、該電荷量に対応する電圧を前記検出信号として出力することを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載の画像読取装置。
  7. 前記画像読取感度は、前記フォトセンサに設定される前記電荷蓄積期間であることを特徴とする請求項6記載の画像読取装置。
  8. 前記画像読取装置は、
    前記調整用読取動作により得られた前記階調データから、前記画像読取感度ごとに、少なくとも、前記階調データの最大値又は最小値を抽出して除外する特定データ除去動作を実行する特定データ除去手段をさらに有し、
    前記測定量比較手段は、前記特定データ除去動作により前記最大値又は最小値が除外された前記階調データから、前記画像読取感度ごとに、前記階調データの最大値及び最小値を抽出することを特徴とする請求項3記載の画像読取装置。
  9. 前記画像読取装置における前記駆動制御電圧設定手段は、
    少なくとも、前記フォトセンサアレイにより前記所望の被写体を読み取る正規の画像読取動作に先立って、前記フォトセンサアレイに印加される駆動制御信号の電圧を複数段階に変化させて、前記所定の被写体を読み取る電圧調整用読取動作を実行制御する電圧調整制御手段を有することを特徴とする請求項1記載の画像読取装置。
  10. 前記画像読取装置における前記駆動制御電圧設定手段は、更に、
    前記電圧調整用読取動作により得られた前記階調データから、前記アナログ−デジタル変換処理における前記基準電圧に近似する電圧値を有する前記階調データを抽出する階調データ抽出手段と、
    前記抽出された前記階調データから前記基準電圧に最も近似する電圧値を有する前記階調データを抽出し、該抽出された階調データに対応する電圧を、前記駆動制御信号の電圧に設定する制御電圧設定手段と、
    を有することを特徴とする請求項9記載の画像読取装置。
  11. 前記フォトセンサは、半導体層からなるチャネル領域を挟んで形成されたソース電極及びドレイン電極と、前記チャネル領域の上方及び下方に各々絶縁膜を介して形成された第1のゲート電極及び第2のゲート電極と、前記第1のゲート電極の上方に形成され、前記被写体が載置される被写体検知面と、を有し、
    前記第1のゲート電極にリセットパルスを印加して前記読取画素を初期化し、前記ドレイン電極にプリチャージパルスを印加した後、前記第2のゲート電極に読み出しパルスを印加することにより、前記初期化終了から前記読み出しパルスの印加までの電荷蓄積期間に、前記チャネル領域に入射した光の量に応じた電荷を蓄積し、該電荷量に対応する電圧を前記検出信号として出力することを特徴とする請求項9乃至10のいずれかに記載の画像読取装置。
  12. 前記駆動制御信号は、前記フォトセンサのソース電極及びプリチャージ電極に印加されるソース電圧及びプリチャージ電圧であることを特徴とする請求項11記載の画像読取装置。
  13. 前記駆動制御電圧設定手段は、前記プリチャージ電圧を段階的に異なるように設定して、前記電圧調整用読取動作を実行することにより、黒画像パターンに対応した前記階調データを得ることを特徴とする請求項11記載の画像読取装置。
  14. 前記駆動制御電圧設定手段は、前記ソース電圧を段階的に異なるように設定して、前記電圧調整用読取動作を実行することにより、白画像パターンに対応した前記階調データを得ることを特徴とする請求項12記載の画像読取装置。
  15. 前記駆動制御電圧設定手段は、前記フォトセンサアレイを暗状態に設定して、前記黒画像パターンに対応した前記階調データを得る前記電圧調整用読取動作を実行し、前記フォトセンサアレイを明状態に設定して、前記白画像パターンに対応した前記階調データを得る前記電圧調整用読取動作を実行することを特徴とする請求項13又は14記載の画像読取装置。
  16. 前記駆動制御電圧設定手段は、前記階調データ抽出手段により抽出された前記階調データから、前記基準電圧に近似する電圧値を有する前記階調データが抽出されない場合に、前記基準電圧を可変設定することを特徴とする請求項10乃至15のいずれかに記載の画像読取装置。
  17. 複数のフォトセンサが配列されたフォトセンサアレイを備え、前記フォトセンサの各々から出力される検出信号を、アナログ−デジタル変換処理することにより得られる階調データに基づいて、所望の被写体の画像情報を取得する画像読取装置の駆動調整方法において、
    少なくとも、前記フォトセンサアレイにより前記所望の被写体を読み取る正規の画像読取動作に先立って、前記フォトセンサアレイの画像読取感度を複数段階に変化させて、前記被写体を読み取る感度調整用読取動作を実行制御する手順と、
    前記感度調整用読取動作により得られた前記階調データから、前記画像読取感度ごとに、前記階調データの最大値及び最小値を抽出する手順と、
    前記画像読取感度ごとに抽出された前記階調データの最大値及び最小値に基づいて、前記階調データのデータ範囲を算出する手順と、
    前記データ範囲の前記画像読取感度ごとの変化に基づいて最適画像読取感度を導出する手順と、
    前記最適画像読取感度における前記階調データの最大値及び最小値に対応する電圧を、前記アナログ−デジタル変換処理において前記階調データを規定する基準電圧に設定する手順と、
    を含むことを特徴とする画像読取装置の駆動調整方法。
  18. 前記感度調整用読取動作は、前記被写体の読取領域単位ごとに、前記フォトセンサアレイを構成する前記フォトセンサの受光時間を調整することにより、前記画像読取感度を段階的に異なるように設定することを特徴とする請求項17記載の画像読取装置の駆動調整方法。
  19. 前記画像読取装置の駆動調整方法は、
    前記感度調整用読取動作により得られた前記階調データから、前記画像読取感度ごとに、少なくとも、前記階調データの最大値又は最小値を抽出して除外する特定データ除去動作を実行する手順を含むことを特徴とする請求項17又は18記載の画像読取装置の駆動調整方法。
  20. 複数のフォトセンサが配列されたフォトセンサアレイを備え、前記フォトセンサの各々から出力される検出信号を、アナログ−デジタル変換処理することにより得られる階調データに基づいて、所望の被写体の画像情報を取得する画像読取装置において、
    少なくとも、前記フォトセンサアレイにより前記所望の被写体を読み取る正規の画像読取動作に先立って、前記フォトセンサアレイに印加される駆動制御信号の電圧を複数段階に変化させて、前記被写体を読み取る感度調整用読取動作を実行制御する手順と、
    前記感度調整用読取動作により得られた前記階調データから、前記画像読取感度ごとに、前記アナログ−デジタル変換処理における前記階調データを規定する基準電圧に近似する電圧値を有する前記階調データを抽出する手順と、
    前記抽出された前記階調データから前記基準電圧に最も近似する電圧値を有する前記階調データを抽出し、該抽出された階調データに対応する電圧を、前記所望の被写体を読み取る際に、前記フォトセンサを駆動するために印加される駆動制御信号の電圧に設定する手順と、
    を含むことを特徴とする画像読取装置の駆動調整方法。
  21. 前記調整用読取動作は、前記被写体の読取領域単位ごとに、前記フォトセンサを駆動するために印加される前記駆動制御信号の電圧を調整することにより、前記画像読取感度を段階的に異なるように設定することを特徴とする請求項20記載の画像読取装置の駆動調整方法。
  22. 前記フォトセンサは、半導体層からなるチャネル領域を挟んで形成されたソース電極及びドレイン電極と、前記チャネル領域の上方及び下方に各々絶縁膜を介して形成された第1のゲート電極及び第2のゲート電極と、前記第1のゲート電極の上方に形成され、前記被写体が載置される被写体検知面と、を備え、前記第1のゲート電極にリセットパルスを印加して前記読取画素を初期化し、前記ドレイン電極にプリチャージパルスを印加した後、前記第2のゲート電極に読み出しパルスを印加することにより、前記初期化終了から前記読み出しパルスの印加までの電荷蓄積期間に、前記チャネル領域に入射した光の量に応じた電荷を蓄積し、該電荷量に対応する電圧を前記検出信号として出力する構成を有し、
    前記電圧調整用読取動作は、前記プリチャージ電圧を段階的に異なるように設定することにより、黒画像パターンに対応した前記階調データを取得し、
    前記ソース電圧を段階的に異なるように設定することにより、白画像パターンに対応した前記階調データを取得することを特徴とする請求項20記載の画像読取装置の駆動調整方法。
  23. 前記電圧調整用読取動作は、前記フォトセンサアレイを暗状態に設定することにより、前記黒画像パターンに対応した前記階調データを取得し、前記フォトセンサアレイを明状態に設定することにより、前記白画像パターンに対応した前記階調データを取得することを特徴とする請求項20記載の画像読取装置の駆動調整方法。
  24. 前記画像読取装置の駆動調整方法は、前記抽出された前記階調データから前記基準電圧に最も近似する電圧値を有する前記階調データを抽出する手順において、前記基準電圧に近似する電圧値を有する前記階調データが抽出されない場合に、前記基準電圧を可変設定して、前記一連の手順を再度実行することを特徴とする請求項20乃至22のいずれかに記載の画像読取装置の駆動調整方法。
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