JP2004285523A - 多色オフセット印刷用薄葉塗被紙 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】晒化学パルプ及び/又は脱墨古紙パルプを主体とする原紙の両面に、有機中空粒子と帯電防止剤を含有した塗被組成物を塗被、乾燥し、その後金属ロールと樹脂ロールからなるインラインキャレンダーにより金属ロール表面温度150℃〜200℃、線圧180kg/cm〜250kg/cmで紙の表裏がそれぞれ1回づつ金属ロールに当たるように2ニップ処理され、少なくとも片面側の白紙光沢度(JIS P 8142)が50%以上、坪量が50g/m2以下であるオフセット印刷用新聞用紙。
【選択図】なし
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は多色オフセット印刷に供せられる薄葉塗被紙に関し、さらに詳しくは、剛度の低下のない、白紙光沢度が高い、印刷適性、印刷作業性にすぐれた多色オフセット印刷用薄葉塗被紙に関する。
【0002】
【従来の技術】
ダイレクトメール、カタログ販売などの漸増、出版物の増加ないし増ページ化は、近年の一般的傾向であるが、これに伴って、印刷業界、出版業界でも省資源化と低コスト化の要求から、印刷用紙も近年軽量化の方向に進みつつある。
【0003】
印刷用塗被紙のなかでも、特に坪量50g/m2以下の薄物の印刷用塗被紙は、印刷用薄葉塗被紙と呼ぶが、上記ダイレクトメールやカタログ用途を目的とした軽量印刷用紙としては、従来、非塗被グレードの薄葉印刷紙、或いは坪量60g/m2程度の軽量コート紙、微塗工紙などが使用されていた。
【0004】
一方、印刷物について言えば、ビジュアル化、高級化がますます要求される傾向にあるため、印刷用薄葉塗被紙といえども、一般の印刷用紙なみ、或いはそれ以上の印刷品質が要求され、印刷画像の冴えや、印刷された商品のイメージを効果的に高めるために、白色度や不透明度が高いことは勿論、特に、紙表面の光沢度が高く、平滑性が良好であることが求められる。また印刷方法としては製版代が安く抑えられる事から多色のオフセット印刷が多く用いられるようになってきている。
【0005】
一般に、低坪量である印刷用薄葉塗被紙は、一般の印刷用塗被紙に比べて剛度が劣る。一方で光沢度や平滑性を高めるためには、塗被量を多くするか、或いは塗被、乾燥後にカレンダー処理などの表面処理を施す必要があるが、特に印刷用薄葉塗被紙に関して言えば、前者では、製品の質量を一定とする場合には、塗被量が増えた分だけ、相対的にパルプ繊維の質量が減少することを意味し、その結果、光沢度や平滑度は改善できるものの、紙厚や剛度が低下する。後者においても、紙厚や剛度を維持するために、十分なカレンダー処理が行うことが困難であり、その結果、所望とする光沢度、平滑度を得ることが難しい状況にある。そこで、紙厚や剛度の低下を抑えながら、光沢度や平滑度の高い、高品質な印刷用薄葉塗被紙の開発が強く望まれている。
【0006】
印刷用塗被紙には、紙表面の白紙光沢度(前記)や平滑度を高めるために、特に微粒なカオリンや炭酸カルシウム等の無機顔料、あるいはスチレン−アクリル共重合体を主体とした有機顔料が適宜配合されて使用されている。しかしながら、本発明のような、一般の印刷用塗被紙に比べて、特に坪量の低い印刷用薄葉塗被紙においては、これらの組み合わせでは、前述したような本発明で所望とする白紙光沢度50%以上となる高い白紙光沢度と紙厚や剛度をバランスさせることが困難である。また、有機顔料の中でも特に有機中空粒子が効果的に白紙光沢度を改善できる顔料として知られているが、その使用量が多くなった場合、或いはスーパーカレンダー等で処理する場合、剛度が低下するのみならず、カレンダー汚れ等の別の不具合が発生し好ましくない。
【0007】
なお、有機中空粒子を印刷用紙へ適用する提案としては、例えば特開平2−74698号公報(特許文献1)には有機中空粒子の軽量印刷用塗被紙への使用が提案され、その中には印刷強度の観点から平均粒子径として0.2〜0.7μmのものが最適であるとしている。一方、粒子のシェルの部分には一定の厚みが必要であるため、この粒子径の範囲では、比較的低い空隙率しか得られず、結果的に、前記したカレンダーによる粒子の変形不足により光沢度や平滑度の改善効果が期待できないといった難点がある。
【0008】
坪量50g/m2以下の印刷用薄葉塗被紙をオフセット印刷、特に多色オフセット印刷に用いる場合には白紙光沢度、平滑度といった物性を満足するだけでは実用に適したものにはならない。一般に低坪量の印刷用塗被紙は印刷乾燥工程で静電気を帯びやすく、その帯電に起因して製本工程では折り機でのシワの発生や印刷シートの重送などのトラブルを誘発する。このトラブルの原因である静電気の発生を抑えるために製本工程で加湿を行うと、紙表面にぼこ付きが生じ、印刷物の画像イメージを著しく損なう虞がある。印刷乾燥工程で静電気を帯びるのは、もともと印刷用薄葉塗被紙は水分を保持する植物パルプ分が少ないため、印刷乾燥工程での加熱により紙から水分が容易に蒸発してしまうためと考えられる。特に多色で印刷を行う場合は、単色等で印刷を行う場合に比べて、一般的に乾燥温度が高く設定されるので、水分の蒸発が大きくなる傾向にあり、結果的により帯電しやすい状態になると考えられている。
上記の課題がにより、現状では坪量50g/m2下の印刷用薄葉塗被紙は、特に多色オフセット印刷においては印刷適性・印刷作業性を共に満足するもは得られていない。
【0009】
【特許文献1】特開平2−74698号公報
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、白紙光沢度が高く、優れた印刷品質を有し、印刷作業性に優れる多色オフセット印刷用薄葉塗被紙を提供するものである。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明者等は多色オフセット印刷に適した印刷用薄葉塗被紙について白紙光沢度の向上、平滑性の向上と紙厚、剛度、さらにはカレンダー汚れ、印刷等の操業上の課題を解決するべく、使用する顔料等について鋭意検討を重ねた。即ち、白紙光沢度、平滑性を改善できる顔料としては、微粒のカオリンや有機中空粒子等があり、これらの顔料について種々検討を行った結果、粒子径が大きく、空隙率の大きい有機中空粒子が、他の顔料に比較し、相対的に高い光沢度が得られやすく、さらに、特定の条件でソフトニップのカレンダー処理を行うことにより、カレンダー汚れ等のトラブルが発生することなく、紙厚、剛度を維持したまま効果的に白紙光沢度、平滑性の改善が可能であることを見出し、本発明を完成させるに至った。
【0012】
本願は以下の発明を包含する。
(1)晒化学パルプ及び/又は脱墨古紙パルプを主体とする原紙の両面に、有機中空粒子と帯電防止剤を含有した塗被組成物を塗被、乾燥し、その後金属ロールと樹脂ロールからなるインラインキャレンダーにより金属ロール表面温度150℃〜200℃、線圧180kg/cm〜250kg/cmで紙の表裏がそれぞれ1回づつ金属ロールに当たるように2ニップ処理され、坪量が50g/m2以下で、少なくとも片面側の白紙光沢度(JIS P 8142)が50〜70%である多色オフセット印刷用薄葉塗被紙。
【0013】
(2)スタティックディケイメーターで測定した、5kV帯電後の半減時間が0.3秒以下である(1)記載の多色オフセット印刷用薄葉塗被紙。
【0014】
(3)前記塗被組成物中に撥水剤を含有する(1)記載の多色オフセット印刷用薄葉塗被紙。
【0015】
(4)前記塗被組成物はフィルムトランスファー方式の塗被装置により塗被される(1)記載の多色オフセット印刷用薄葉塗被紙。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下、本発明について詳細に述べる。先ず、本発明で特徴となる有機中空粒子としては、スチレン−アクリル共重合体の水分散体として提供され、粒子のコア部分に水を充満した球状体である。この球状体は乾燥により、水が飛散して中空構造となり、さらにカレンダー等の熱、或いは加圧処理によりシェル部分が潰れて、紙表面での光沢度向上や平滑度向上に寄与するものである。
【0017】
中空有機顔料の空隙率は、少なくとも空隙率が40%以上であることが望ましい。上限については格段に限定するものではないが、安定した中空状態が保持されることを考慮すると85%と推定される。40%未満では、塗被条件により、白紙光沢度改善効果が期待できない虞れがあり、他方85%を越えるように空隙率を高めると、少しの衝撃等で中空状態が破壊され易くなり、中空状態を維持するのが難しくなる虞れがある。
【0018】
そして、安定して空隙率が40%以上の有機中空粒子を得るには、その平均粒子径としては、0.7μm以上、好ましくは3μm以下で調整されるのが好ましい。因みに、その平均粒子径が0.7μm未満では、有機中空粒子として、本発明が所望とする白紙光沢度の改善効果が不十分となる虞れがあり、他方3μmを越えるような大きな粒子では、塗被過程等の機械的衝撃により中空状態が壊され、有機中空粒子としての作用効果が期待できなく懸念がある。なお、有機中空粒子の空隙率は、粒子の内径、外径をベースとして、以下の計算式により求められる。即ち、空孔部の体積をv、空孔を含めた粒子全体の体積をVとすると、空隙率X(%)=〔v/V〕×100で示される。
【0019】
このような比較的高い空隙率を有する有機中空粒子は、そのシェル部分の厚みが必然的に薄くなるために、カレンダー等の圧力により容易に潰れて、光沢度が発現する作用機構をもつ反面、従来から一般的に使用されるスーパーカレンダー等のように多段処理する場合、或いはカレンダー処理時のニップ圧力が高過ぎたりすると、有機中空粒子がカレンダーロール表面に融着、堆積する、いわゆるカレンダーロール汚れのトラブルが発生し、操業上大きな問題となる。これらの問題に対して、本発明では、種々カレンダーの中でも特に、金属ロールと樹脂ロールからなり、高温、高圧により少ないニップ数でも効果的に紙表面の光沢化、平滑化処理を行うことができる、いわゆるソフトニップカレンダーを用いることを特徴とし、有機中空粒子がロール上に融着することなく効果的に変形するために、本発明が所望とする白紙光沢度50%以上、好ましくは55%以上の効果を得ることが可能となったものである。
【0020】
有機中空粒子と併用される他の顔料としては、特に限定されるものではないが、一般印刷用塗被紙の製造分野で使用されている塗被紙用顔料、例えばカオリン、焼成カオリン、無定形シリカ、酸化亜鉛、酸化アルミニウム、水酸化アルミニウム、炭酸カルシウム、二酸化チタン、珪酸アルミニウム、珪酸マグネシウム、炭酸マグネシウム等の無機顔料、およびプラスチックピグメント、バインダーピグメント等の有機顔料を適宜混合使用できる。その場合の有機中空粒子の配合比率としては、全顔料100質量%に対して3〜40質量%の含有量が好ましい。因みに3質量%未満では、本発明が所望とする白紙光沢度の向上効果が得られなく虞れがあり、他方40質量%を越えると、コストアップとなるばかりでなく、印刷強度の低下、光沢度の向上効果が頭打ちとなるので好ましくなく、その点を考慮して上記の如き顔料の併用をすべきである。
【0021】
次いで、顔料と併用される接着剤としては特に限定されるものではないが、例えば酵素変性澱粉、酸化澱粉、カチオン化澱粉、尿素燐酸エステル化澱粉などの澱粉類、カルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシアルキルセルロース等の水溶性セルロース化合物、PVA化合物やポリアクリルアミド類、スチレン−ブタジエン共重合体ラテックス、あるいはメチルメタアクリレート−ブタジエン共重合体ラテックス等の合成ラテックス類が挙げられる。
【0022】
また、塗被組成物中には、上記顔料、接着剤の他に塗被紙製造分野で通常使用されている表面サイズ剤、消泡剤、帯電防止剤、撥水剤、防腐剤、増粘剤、各種染料が適宜併用される。これらの中でも、特に薄葉印刷紙では、水分を保持するパルプ繊維分が少ないために、オフセット印刷工程、特に多色オフセット印刷の場合、乾燥工程において、水分が蒸発し静電気を帯びやすく、さらに本発明のように有機中空粒子等のような有機顔料を使用する場合、塗被紙として、帯電し易い状態となる。これら紙の水分不足を補う目的で、印刷工程でスチームまたは加湿ロールで水分を紙に補給することが行われているが、加湿量を適性に調整することが難しく、加湿量が過剰な場合や、適量の加湿でもそれが均一でない場合には紙表面にぼこつきを生じ易くなる。そのため、塗被組成物に帯電防止剤を含有させることが必須となる。
【0023】
本発明で仕様可能な帯電防止剤としては、例えば、無機系の帯電防止剤として、塩化ナトリウム、塩化カリウム等のアルカリ金属塩、塩化カルシウム、塩化バリウム等のアルカリ土類金属塩、有機系の帯電防止剤としては、グリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、アルキルジエタノールアミン、ヒドロキシアルキルモノエタノールアミン、ポリオキシエチレンアルキルアミン、ポリオキシエチレンアルキルアミン脂肪酸エステル、アルキルジエタノールアマイド等の各種グリセリン系やアミン系等、またアルキルスルホン酸塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキルホスフェート、ポリアクリル酸塩、ポリスチレンスルホン酸塩、ポリマレイン酸塩、カチオン系では、テトラアルキルアンモニウム塩、トリアルキルベンジルアンモニウム塩などの各種4級アンモニウム塩、両性系では、アルキルベタイン、アルキルイミダゾリウムベタインなどが例示できる。
【0024】
上記した帯電防止剤の中でも、ポリアクリル酸塩、ポリマレイン酸塩、ポリアクリル−マレイン酸コポリマー塩等は、通常、顔料の分散剤としても使用されることから,塗被組成物及び塗被層に対する悪影響が少ないこと加えて、塩素分を含まないため環境保全の観点からも好ましく、本発明で使用する帯電防止剤として好適である。
【0025】
塗被組成物中への帯電防止剤の含有量としては、塗被層中の全顔料100質量%に対して、0.1〜5質量%の範囲で調節される。帯電防止剤の含有量が0.1質量%未満では、十分な表面抵抗低減効果が得られず、5質量%を超えると、表面抵抗低減効果は良好でも塗被組成液の粘度増加、更に印刷適性、特に白紙光沢や平滑性の低下やインキ着肉不良等の別の不具合を招き好ましくない。
【0026】
塗被層へ帯電防止剤を含有せしめることで、塗被層の表面抵抗が下がることは、絶縁計での測定で判る。さらに、スタティックディケイメーターでの測定により、実際に紙を帯電させたときの半減時間を測定することにより判る。従って、この両者から、紙が帯電してからの静電気の逃げ易さを確認できるので、より実際の印刷機での状況に照らして、紙の電気特性を認識することができる。
実際にオフセット印刷機では、シート出し部の静電気発生量が0〜−5kVであれば、静電気により、シート同士がくっつく可能性が低く、印刷作業性が良好となる。
【0027】
本発明の多色オフセット印刷用薄葉塗被紙は、スタティックディケイメーターで測定した5kVの半減時間が0.3秒以下であることが好ましい。この半減時間は紙が帯びる静電気の尺度として考えられており、この時間が長いほど静電気を帯び易いと考えられる。多色オフセット印刷用薄葉塗被紙は、印刷時、乾燥時、製本時など静電気を発生させる工程が多く、5kV帯電後の半減時間が0.3秒以下である印刷用塗被紙は、いずれの工程においても静電気の発生が抑制できると考えられる。
【0028】
本発明では更に必要に応じて塗被組成物に撥水剤を含有させる事がこのましい。オフセット印刷の場合は印刷時に付与される湿し水が容易に紙層内に浸透してパルプ繊維を過分に濡らし、紙層中の微細繊維や内添填料などが紙層から塗被層に滲み出すことが考えられるため、湿し水の紙層内への浸透のコントロールが必要な場合には撥水剤を含有させることが有効である。
【0029】
本発明で使用可能な撥水剤の種類としては、各種ワックス、高級脂肪酸誘導体、クロム酸塩、ジルコニウム塩、ポリオレフィン系樹脂、剛性樹脂類、シリコン樹脂、フッ素化合物等を挙げることができる。通常、内添サイズ剤として用いられるロジンサイズ剤、合成サイズ剤、石油樹脂系サイズ剤、スチレン系サイズ剤、中性ロジン系サイズ剤、アルケニル無水コハク酸、アルキルケテンダイマー等も、本発明の撥水剤として使用できる。
【0030】
上に例示した撥水剤の中でも、アルキルケテンダイマー(以下、AKDと記す)は、サイズ剤として塗被層に配合した場合、撥水性の立ち上がりにやや時間がかかるものの、比較的少ない添加量で効率的に紙に撥水性を付与することができ、尚且つ印刷適性への悪影響が少ないので、本発明の撥水剤として好適である。特に、アニオン性のAKDは、塗被組成物中に配合しても、流動性にあまり影響を与えないために好ましい。
【0031】
撥水剤の添加量は、塗被組成物中の全顔料100質量%に対して、0.1〜5質量%の範囲で調節される。撥水剤の含有量が0.1質量%未満では、十分な撥水効果が得られず、5質量%を超えると、撥水効果が良好でも、塗被液の物性が悪化し、塗被操業に悪影響が出るため好ましくない。
【0032】
かくして得られた塗被組成物は、固形分濃度30〜65質量%に調整され、原紙上に塗被される。その際の塗被量は、通常乾燥質量で、原紙の両面に8g/m2以上16g/m2未満の範囲で塗被、乾燥される。因みに、8g/m2未満の場合には、十分な白紙光沢度が得られ難く、他方16g/m2以上の場合、坪量を一定とした場合に、パルプ繊維分が少なくなり、剛度の低下を招くので好ましくない。
【0033】
本発明における塗被原紙は、パルプ繊維を主体とするものであり、原料のパルプ繊維としては化学パルプ(NBKP、LBKP等)、機械パルプ(GP、CGP、RGP、PGW、TMP等)、脱墨古紙パルプ(DIP)等が単独または任意の比率で混合され紙料として調整された後、抄紙に供される。なお、紙料中にはクレー、無定形シリカ、タルク、酸化チタン、炭酸カルシウム、ホワイトカーボン等の填料が添加される。さらに、必要に応じて紙力増強剤、歩留まり向上剤、硫酸バンド、強化ロジンサイズ剤、エマルジョンサイズ剤等のサイズ剤、耐水化剤、着色剤、或いは紫外線防止剤等の一般に公知公用の抄紙用薬品が添加され、公知公用の抄紙機により抄紙される。
【0034】
上記の原紙上には本発明の特徴となる塗被組成物が塗被、乾燥されるが、その場合の塗被装置としては特に限定されるものではないが、例えば2ロールサイズプレス、ブレードメタリングサイズプレス、ロッドメタリングサイズプレス、ゲートロールコートー、ブレードコーター、バーコーター、ロッドブレードコーター、エアーナイフコーター、カーテンコーター、スプレーコーター等が適宜使用されるが、中でもゲートロールコーター、ブレードメタリングサイズプレス、ロッドメタリングサイズプレス等のフィルムトランスファー方式の塗被装置を使用すると、フィルム状の塗被膜が原紙への転写されるので、塗被組成物が原紙内部に浸透するよりは原紙の表面層にとまるため、結果的に有機中空粒子も原紙表面層に近い部分に散在することが可能になるため、カレンダー処理による光沢度、平滑度発現性が高くなるので好ましい。
【0035】
また、湿潤塗被層を乾燥する方法としては、例えば、蒸気加熱シリンダー、加熱熱風エアードライヤー、ガスヒータードライヤー、電気ヒータードライヤー、赤外線ヒータードライヤー、高周波ヒータードライヤー等、あるいは、レーザー加熱、電子線加熱、誘電加熱等各種の方法が単独または併用して採用される。中でも蒸気加熱ドライヤー、加熱熱風エアードライヤーが好ましく、またこれらの併用も好ましい。
【0036】
本発明では、紙表面の平滑化を行う際のカレンダー処理は、前述したように、少ないニップ数で紙表面の光沢化、平滑化処理を行うために金属ロールと樹脂ロールからなり、金属ロールの表面温度が150℃〜200℃、線圧180〜250kg/cmでか紙の表裏がそれぞれ1回ずつ金属ロールにあたるように2ニップ処理する。
金属ロールの温度が150℃未満では所望の白色度、平滑度を得る事ができず、また200℃を越えた場合にはカレンダー汚れ、原紙の地合いの影響による光沢ムラの発生が懸念されるため好ましくない。また、線圧が180kg/cm未満の場合には有機中空粒子による白紙光沢度の発現性が低く、他方250kg/cmを越える場合はカレンダー汚れだけでなく、紙厚の減少による剛度低下が起こるため好ましくない。
【0037】
本発明の多色オフセット印刷用薄葉塗被紙は、坪量50g/m2以下という低坪量にも関わらず、剛度の低下を起こす事なく、白紙光沢度50%以上、好ましくは55%〜70%であり、多色のオフセット印刷時にぼこ付きを起こす事がない。
70%を越えた白紙光沢度にする場合には有機中空粒子の高配合、あるいは強スーパーカレンダー処理等が考えられるが、前述したように剛度の低下、カレンダー汚れが懸念されるため好ましくない。
【0038】
【実施例】
以下、本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明はこれらにより限定されるものではない。下記実施例及び比較例中「部」は「質量部」、「%」は「質量%」を意味するものである。
【0039】
[実施例1]
(塗被組成物の調整)
カオリン60部(商品名;プレミア、イメリスミネラルズジャパン社製)、重質炭酸カルシウム35部(商品名;カービタル90、イメリスミネラルズジャパン社製)、平均粒子径1μm、空隙率50%の有機中空粒子5部(商品名;HP−91、ローム&ハース社製)からなる顔料成分に、pH調整剤として苛性ソーダを顔料100部当り0.1部加え、コーレス分散機を用いて顔料スラリーを調整した。この顔料スラリーに接着剤として、熱水で加熱溶解した固形分濃度20%の酸化澱粉(商品名;エースA、王子コーンスターチ社製)3部、スチレン−ブタジエン共重合ラテックス(商品名;PA−9100、日本A&L社製)12部、撥水剤としてAKDエマルジョン(商品名;SKS−293F、荒川化学工業社製)2部、帯電防止剤としてポリアクリル酸ソーダ(東亞合成社製)2.5部を加えて、固形分濃度54%の塗被組成物を調整した。
【0040】
(印刷用薄葉塗被紙の作成)
得られた塗被組成物を、米坪32g/m2の原紙(NBKP/LBKP=3/7、灰分17%)上にゲートロールコーターを用い両面の塗被量合計が12g/m2となるように塗被、乾燥して薄葉印刷用塗被紙を得た。次いで、得られた薄葉印刷用塗被紙を金属ロールと硬質プラスチックロールよりなるソフトニップカレンダー設備を用い、表面温度150℃、線圧190kg/cmの条件で、片面が1回ずつ金属ロールに接するよに通紙処理を行い、坪量45.8g/m2の印刷用薄葉塗被紙を得た。
【0041】
[実施例2]
実施例1において、ソフトニップカレンダーでの処理条件を表面温度190℃、線圧240kg/cmに変更した以外は実施例1と同様にして坪量45.1g/m2の印刷用薄葉塗被紙を得た。
【0042】
[実施例3]
実施例1において、塗被組成物中の顔料の種類を、平均粒子径1.1μm、空隙率55%の有機中空粒子(商品名;AE851、JSR社)とし、有機中空粒子の配合部数を10部、カオリンの配合部数を55部に変更したこと以外は、実施例1と同様にして坪量45.3g/m2の印刷用薄葉塗被紙を得た。
【0043】
[実施例4]
実施例1において、塗被組成物中の顔料の種類を、平均粒子径0.55μm、空隙率25%の有機中空粒子(商品名;OP−84J、ローム&ハース社製)とし、有機中空粒子の配合部数を45部、カオリンの配合部数を20部に変更したこと以外は、実施例1と同様にして坪量45.5g/m2の印刷用薄葉塗被紙を得た。
【0044】
[実施例5]
実施例1において、塗被組成物中の顔料の種類を平均粒子1.0μm、空隙率55%の有機中空粒子(商品名;HP−1055、ローム&ハース社製)15 部、カオリンの配合部数を50部に変更し、ソフトニップカレンダーの表面温度180℃、線圧220kg/cmにした以外は、実施例1と同様にして坪量45.7g/m2の印刷用薄葉塗被紙を得た。
【0045】
[実施例6]
実施例1において、撥水剤を無配合とした以外は実施例1と同様にして坪量45.8g/m2の印刷用薄葉塗被紙を得た。
【0046】
[比較例1]
実施例1において、塗被組成物中のカオリンの種類をカオリン(商品名;カオファイン90、シール社製)とし、カオリンの配合部数を80部、重質炭酸カルシウムの配合部数を20部、有機中空粒子を無配合としたこと以外は実施例1と同様にして坪量45.6g/m2の印刷用薄葉塗被紙を得た。
【0047】
[比較例2]
実施例1において、塗被組成物中のカオリンの種類をカオリン(商品名;カオファイン90、前記)とし、カオリンの配合部数を80部、重質炭酸カルシウムの配合部数を20部、有機中空粒子を無配合、帯電防止剤を無配合としたこと以外は実施例1と同様にして坪量45.6g/m2の印刷用薄葉塗被紙を得た。
【0048】
[比較例3]
実施例1において帯電防止剤を無配合としたこと以外は実施例1と同様にして坪量45.8g/m2の印刷用薄葉塗被紙を得た。
【0049】
[比較例4]
実施例1において、ソフトニップカレンダーの処理条件の表面温度を140℃に変更した以外は実施例1と同様にして坪量45.2g/m2の印刷用薄葉塗被紙を得た。
【0050】
[比較例5]
実施例1において、ソフトニップカレンダーの処理条件の線圧を160kg/cmに変更した以外は実施例1と同様にして坪量45.2g/m2の印刷用薄葉塗被紙を得た。
【0051】
[比較例6]
実施例1において、ソフトニップカレンダーの処理条件の表面温度を210℃に変更した以外は実施例1と同様にして坪量45.8g/m2の印刷用薄葉塗被紙を得た。
【0052】
[比較例7]
実施例1において、ソフトニップカレンダーの処理条件の線圧を260kg/cmに変更した以外は実施例1と同様にして坪量45.2g/m2の印刷用薄葉塗被紙を得た。
【0053】
[比較例8]
実施例1において、塗被紙を得た後、次いで金属ロールとコットンロールの組み合わせよりなる、表面温度45℃、線圧200kg/cmのスーパーカレンダー設備で11ニップの通紙処理を行ったこと以外は、実施例1と同様にして坪量45.8g/m2の印刷用薄葉塗被紙を得た。
【0054】
実施例および比較例で得た塗被紙について、下記に示す品質評価を行い、得られた結果を表1に示した。
(白紙光沢度)
JIS P 8142に従い、角度75°で測定した。
(平滑度)
JAPAN TAPPI No.5 王研式平滑度計で測定した。
(クラークこわさ)
JIS P 8143に従い測定した。
【0055】
(カレンダー汚れ)
連続20000m通紙処理後のカレンダー金属ロール表面の汚れ程度を目視により評価した。
○;ロール表面の汚れ、曇りがほとんど見られない。
△;ロール表面に僅かに曇りが認められる。
×;ロール表面が白く汚れている。
(表面抵抗)
印刷用薄葉塗被紙サンプルを、温度23℃、湿度50%RHの雰囲気に24時間放置した。その雰囲気下で極超絶縁計(SM−10型、東亜電波社)を使用して測定した。
【0056】
(静電気発生量)
オフセット印刷機(三菱リソピアL BT−3−1100、三菱重工社)を使用し、カラー4色刷りを行い、折機出口での静電気発生量を測定した。そして、下記に示す基準により、静電気発生量を評価した。
○;0.0〜−5.0kv
△;−5.0〜−10.0kv
×;−10.0kv以上
静電気が−5.0kv以下でないと次の折工程でトラブルを生じるので、△または×の評価であれば操業不可能である。
【0057】
(5kV、50%半減時間)
印刷用薄葉塗被紙サンプルを、温度23℃、湿度20%RH雰囲気下で、スタティックディケイメーター(electro−tech system社製)を使用して、5kV帯電後の半減時間を測定した。5kV帯電後の半減時間が0.3秒以下である印刷用薄葉塗被紙は、印刷、乾燥、製本、いずれの工程においても静電気の発生が抑制できる。
【0058】
(ぼこ付き)
オフセット印刷機(前記)を使用し、カラー4色刷りを行い、印刷物シートのぼこ付きを目視にて評価した。加湿は、クーリングロール通過後の、アプリケーターロールにて印刷物の表裏に加湿液を塗被した。加湿液は、日本プレート社、TOYO#007(カチオン系界面活性剤、水性シリコン)の3%希釈液を用いた。目視評価の基準を下記に示す。
○;ぼこ付きがほとんど認められない。
△;ややぼこ付きが多い。
×;ぼこ付きがひどい。
【0059】
【表1】
【0060】
表1から明らかなように、本発明に係る薄葉印刷用塗被紙は、カレンダー汚れを発生させることなく、白紙光沢度、剛度に優れ、また、多色オフセット印刷工程での静電気及びぼこ付き発生の少ない多色オフセット印刷用薄葉塗被紙であった。
【0061】
【発明の効果】
以上のように、本発明の多色オフセット印刷用薄葉塗被紙は、剛度の低下を抑えながら、高い白紙光沢度を有し、カレンダー処理過程でのロール汚れがなく、優れた印刷適性、印刷作業性を有している。
Claims (4)
- 晒化学パルプ及び/又は脱墨古紙パルプを主体とする原紙の両面に、有機中空粒子と帯電防止剤を含有した塗被組成物を塗被、乾燥し、その後金属ロールと樹脂ロールからなるインラインキャレンダーにより金属ロール表面温度150℃〜200℃、線圧180kg/cm〜250kg/cmで紙の表裏がそれぞれ1回づつ金属ロールに当たるように2ニップ処理され、少なくとも片面側の白紙光沢度(JIS P 8142)が50%以上、坪量が50g/m2以下であることを特徴とする多色オフセット印刷用塗被紙。
- スタティックディケイメーターで測定した、5kV帯電後の半減時間が0.3秒以下であることを特徴とする請求項1記載の多色オフセット印刷用薄葉塗被紙。
- 前記塗被組成物中に撥水剤を含有することを特徴とする請求項1記載の多色オフセット印刷用薄葉塗被紙。
- 前記塗被組成物はフィルムトランスファー方式の塗被装置により塗被されることを特徴とする請求項1記載の多色オフセット印刷用薄葉塗被紙。
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---|---|---|---|
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Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2010031422A (ja) * | 2008-07-30 | 2010-02-12 | Oji Paper Co Ltd | 塗工紙 |
JP2014040697A (ja) * | 2007-06-18 | 2014-03-06 | Omnova Solutions Inc | 塗工紙または塗工板紙 |
CN104911946A (zh) * | 2015-06-29 | 2015-09-16 | 蒋勇 | 一种铜版纸 |
-
2003
- 2003-03-24 JP JP2003080854A patent/JP2004285523A/ja active Pending
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