JP2004285220A - コーティング剤組成物およびディップ成形品 - Google Patents
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Abstract
【課題】十分に洗浄を行なった後においても、着脱性、耐粉落ち性および耐ブロッキング性に優れたディップ成形品および該ディップ成形品に好適なコーティング剤組成物を提供すること。
【解決手段】アルコール性水酸基を含有する水溶性高分子化合物で分散安定化された重合体ラテックスとカチオン性界面活性剤とからなることを特徴とするコーティング剤組成物およびコーティング剤組成物からなるコーティング層をディップ成形物の内表面に有するディップ成形品。
【解決手段】アルコール性水酸基を含有する水溶性高分子化合物で分散安定化された重合体ラテックスとカチオン性界面活性剤とからなることを特徴とするコーティング剤組成物およびコーティング剤組成物からなるコーティング層をディップ成形物の内表面に有するディップ成形品。
Description
【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、コーティング剤組成物及びディップ成形品に関する。さらに詳しくは、洗浄後も濡れた手の着脱性が良く、かつ粉落ち性および耐ブロッキング性に優れたディップ成形品および該ディップ成形品に好適なコーティング剤組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】
天然ゴムラテックスまたは合成ゴムラテックスから作られるディップ成形品は、ゴム手袋、指サックがその代表的なものとして挙げられる。これらのゴム手袋の内表面は、粘着性を有しているために滑り性が小さく、着脱し難く(着脱性に劣る。)、また、保管した場合、手袋の内表面が互いに粘着して(耐ブロッキング性に劣る。)、使用時に剥がす作業が必要となり、薄手の手袋の場合には、手袋の内表面同士を剥がす際に手袋が破れて使用できなくなる問題がある。
【0003】
この手袋の内表面同士の粘着を防止するために、手袋の内表面にタルク等の粉体を散布する方法や、塩素化処理することにより手袋の内表面に凸凹を設ける方法が施されている。しかし、粉体を散布する方法で得た手袋は、手袋の着脱時や装着中に粉体が手袋から脱落するため、この種のゴム手袋を医療用手袋(手術用手袋)に用いた場合は、脱落した粉体により手術部位が汚染されて術後感染を招くおそれがある。また、塩素化処理は、工程の制御が難しく、耐ブロッキング性の改善も十分ではなく、且つ塩素を使用するので環境への負荷が大きいという問題がある。
【0004】
上記のような不具合を改善するために、手袋の内表面にコート層を設ける検討が行なわれている。
例えば、手袋本体に含まれる凝固剤により凝固しない合成ゴムラテックス及び有機微粒子を含む水性分散液から形成された滑性樹脂層を、ゴム手袋の内表面に設けることが提案されている(特許文献1参照)。しかしながら、このような滑性樹脂層を設けることにより、着脱性はある程度改善されはするものの、その改善度合いは不十分であり、かつ、耐ブロッキング性を改善するには至っていない。
【0005】
また、熱可塑性樹脂微粒子、ゴムラテックスおよびブロックイソシアネートからなる樹脂層を、ゴム手袋の内表面に設けることが提案されている(特許文献2参照)。しかしながら、このような方法を採用しても、着脱性の改善は未だ不十分であり、また、樹脂層と手袋本体との密着性が不十分であるため、樹脂層自体が剥離する(耐粉落ち性に劣る。)問題があった。
【0006】
さらに、アルコール性水酸基を有する水溶性高分子化合物で分散安定化された重合体ラテックスを含有するコート層を手袋内表面に設けることが開示されている(特許文献3参照)。このような方法を採用すると、着脱性、耐粉落ち性および耐ブロッキング性を向上させることができるものの、得られた手袋を厳しい条件で洗浄した場合には、着脱性が低下してしまう問題があった。
【0007】
【特許文献1】
特開平11−61527号公報
【特許文献2】
特開平8−294930号公報
【特許文献3】
国際公開WO01/36553号公報
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、十分に洗浄を行なった後においても、着脱性、耐粉落ち性および耐ブロッキング性に優れたディップ成形品および該ディップ成形品に好適なコーティング剤組成物を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明者等は、上記課題を解決するため鋭意検討を進めた結果、ポリビニルアルコールに代表されるアルコール性水酸基を含有する水溶性高分子化合物で分散安定化された重合体ラテックスとカチオン性界面活性剤とからなるコーティング剤を用いて、ディップ成形品の内表面に該コーティング剤からなるコーティング層を設けることにより、上記の目的が達成できることを見出し、この知見に基づき本発明を完成するに至った。
【0010】
かくして、本発明によれば、以下の解決手段(1)〜(4)が提供される。
(1)アルコール性水酸基を含有する水溶性高分子化合物で分散安定化された重合体ラテックスとカチオン性界面活性剤とからなることを特徴とするコーティング剤組成物。
(2)重合体ラテックスが、−20〜30℃の範囲にある第1のガラス転移温度(Tg1)を有する重合体と、60〜140℃の範囲にある第2のガラス転移温度(Tg2)を有する重合体と、を含有してなるものである(1)記載のコーティング剤組成物。
(3)(1)記載のコーティング剤組成物からなるコーティング層をディップ成形物の内表面に有するディップ成形品。
(4)手袋である(3)記載のディップ成形品。
【0011】
【発明の実施の態様】
【0012】
本発明で用いる重合体ラテックスは、アルコール性水酸基を含有する水溶性高分子化合物で分散安定化されたものである。このような重合体ラテックスは、水性媒体中、アルコール性水酸基を含有する水溶性高分子化合物の存在下に、単量体を重合して得られる。
【0013】
水性媒体としては、通常、水が用いられるが、水とメタノール、エタノール、イソプロパノールなどの水溶性有機溶媒との混合物を用いることもできる。水性媒体の使用量は、単量体100重量部に対して、好ましくは100〜500重量、より好ましくは150〜300重量部である。
【0014】
アルコール性水酸基を含有する水溶性高分子化合物(以下、「分散安定剤」ともいう。)は、解離性を有しないアルコール性の水酸基を有し、水に5重量%以上溶解する高分子化合物である。
アルコール性水酸基を含有する水溶性高分子化合物としては、アルキルセルロース、ヒドロキシアルキルセルロースなどのセルロース誘導体;アルキル澱粉、カルボキシメチル澱粉などの澱粉誘導体;アラビアゴム、ポリアルキレングリコール、ポリビニルアルコールなどが例示できる。なかでも、着脱性、耐粉落ち性および耐ブロッキング性により優れる点で、ポリビニルアルコールが好ましく使用できる。
【0015】
ポリビニルアルコールは、ビニルアルコール単位を有し、実質的に水溶性であって、重合時に使用した際に安定な重合体ラテックスが得られるものであればよい。
【0016】
ポリビニルアルコールは、通常、ビニルエステル単量体を主体とするビニル単量体を従来公知の方法で重合して得たビニルエステル重合体(すなわち、ビニルエステル単量体の単独重合体、2種以上のビニルエステル単量体の共重合体、およびビニルエステル単量体と他のエチレン性不飽和単量体との共重合体)を常法によりけん化することにより容易に得られる。また、この重合体の側鎖または末端にメルカプト基などの変性基を導入したものも使用できる。
【0017】
ビニルエステル単量体は、ラジカル重合可能なものであればいずれも使用でき、その具体例としては、ギ酸ビニル、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酢酸イソプロペニル、バレリン酸ビニル、カプリン酸ビニル、ラウリン酸ビニル、ステアリン酸ビニル、安息香酸ビニル、バーサティック酸ビニル、ピバリン酸ビニルなどを挙げることができる。なかでも工業的に製造され安価な酢酸ビニルが好ましい。
【0018】
ビニルエステル単量体と共重合可能な他のエチレン性不飽和単量体としては、エチレン、プロピレン、1−ブテン、イソブテンなどのオレフィン類;アクリル酸、メタクリル酸などのエチレン性不飽和モノカルボン酸;フマル酸、マレイン酸、イタコン酸、無水マレイン酸、無水フタル酸、無水トリメット酸、無水イタコン酸などのエチレン性不飽和多価カルボン酸およびその酸無水物;アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n−プロピル、アクリル酸イソプロピル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸2−エチルヘキシルなどのエチレン性不飽和モノカルボン酸エステル;フマル酸ジメチル、マレイン酸ジエチル、イタコン酸ジイソプロピルなどのエチレン性不飽和多価カルボン酸エステル;メチルビニルエーテル、n−プロピルビニルエーテル、イソプロピルビニルエーテル、n−ブチルビニルエーテル、イソブチルビニルエーテルなどのビニルエーテル類;アクリロニトリル、メタクリロニトリルなどのエチレン性不飽和ニトリル;塩化ビニル、塩化ビニリデン、フッ化ビニル、フッ化ビニリデンなどのハロゲン化ビニル;エチレンスルホン酸、アリルスルホン酸、メタリルスルホン酸、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸などのスルホン酸基含有単量体;ビニルトリメトキシシランなどのビニルシラン単量体;3−アクリルアミドプロピルトリメチルアンモニウムクロライド、3−メタクリルアミドプロピルトリメチルアンモニウムクロライドなどの第4級アンモニウム基含有単量体などを挙げることができる。
【0019】
ポリビニルアルコールのけん化度は、水溶性などの観点から、好ましくは40〜100モル%、より好ましくは60〜99モル%、特に好ましくは80〜95モル%である。けん化度が低すぎると、重合体ラテックス粒子の分散安定性が低下する。
【0020】
ポリビニルアルコールの平均重合度は、好ましくは50〜8,000、より好ましくは100〜6,000、特に好ましくは300〜3,000である。この重合度が低すぎると重合安定性が不十分であり、逆に高すぎると、重合系の粘度上昇による反応熱除去が困難になる、得られる重合体ラテックスの粘度が高くなりすぎ、取り扱いが困難となるなどの問題がある。
【0021】
アルコール性水酸基を含有する水溶性高分子化合物の使用量は、単量体100重量部に対して、好ましくは0.1〜60重量部、より好ましくは0.5〜20重量部、特に好ましくは1〜10重量部である。この量が少なすぎると、重合安定性が不十分であり重合時に凝集物が多量に発生したり、得られる重合体ラテックスの機械的安定性が低下するなどの問題があり、逆に多すぎると、重合系の粘度上昇による反応熱除去が困難になる、得られる重合体ラテックスの粘度が高くなりすぎ、取り扱いが困難となるなどの問題が起きる。
【0022】
なお、重合に際して、乳化重合において通常使用される低分子量の界面活性剤を併用することもできる。(ここで、低分子量とは、1,000以下の分子量を指す。)
低分子量の界面活性剤の使用量は、重合に使用する全単量体100重量部に対して、0.5重量部以下とすることが好ましく、0.2重量部以下とすることが好ましく、使用しないことが特に好ましい。この使用量が多すぎると、耐ブロッキング性および着脱性が低下する傾向にある。
【0023】
本発明で用いる重合体ラテックスを製造するために使用する単量体としては、ラジカル重合可能なものであればいずれも使用でき、例えば、共役ジエン単量体、エチレン性不飽和カルボン酸単量体、芳香族ビニル単量体、エチレン性不飽和カルボン酸エステル単量体、エチレン性不飽和カルボン酸アミド単量体、エチレン性不飽和ニトリル単量体等を挙げることができる。なかでも、芳香族ビニル単量体およびエチレン性不飽和カルボン酸エステル単量体が好ましく、エチレン性不飽和カルボン酸エステル単量体がより好ましい。
【0024】
共役ジエン単量体としては、例えば、1,3−ブタジエン、イソプレン、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン、1,3−ペンタジエン、クロロプレン等が挙げられる。
【0025】
エチレン性不飽和カルボン酸単量体としては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸などのエチレン性不飽和モノカルボン酸;フマル酸、マレイン酸、イタコン酸、ブテントリカルボン酸などのエチレン性不飽和多価カルボン酸;マレイン酸モノエチル、イタコン酸モノメチルなどのエチレン性不飽和多価カルボン酸の部分エステル化物などが挙げられる。
【0026】
芳香族ビニル単量体は、例えば、スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン、クロロスチレン、ヒドロキシメチルスチレンなどを挙げることができる。
【0027】
エチレン性不飽和カルボン酸エステル単量体としては、例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸−2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸トリフルオロエチル、(メタ)アクリル酸テトラフルオロプロピル、(メタ)アクリル酸メトキシメチル、(メタ)アクリル酸エトキシエチル、(メタ)アクリル酸シアノメチル、(メタ)アクリル酸2−シアノエチル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸グリシジルなどのエチレン性不飽和モノカルボン酸エステル単量体;マレイン酸ジブチル、フマル酸ジブチル、マレイン酸ジエチルなどのエチレン性不飽和多価カルボン酸エステルが挙げられる。なかでも、エチレン性不飽和モノカルボン酸エステル単量体が好ましい。
【0028】
エチレン性不飽和カルボン酸アミド単量体としては、例えば、(メタ)アクリルアミド、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチロール(メタ)アクリルアミド、N−メトキシメチル(メタ)アクリルアミドなどが挙げられる。
【0029】
エチレン性不飽和ニトリル単量体としては、例えば、(メタ)アクリロニトリル、フマロニトリル、α−クロロアクリロニトリル、α−シアノエチルアクリロニトリル等が挙げられる。
【0030】
これらの単量体は、単独でまたは2種以上を組み合わせて使用することができる。
【0031】
分散安定剤として機能するアルコール性水酸基を含有する水溶性高分子化合物の使用方法は、特に限定されないが、分散安定剤を予め重合反応器に添加したり、分散安定剤の一部を重合反応器に添加して、重合反応を開始した後、残部を重合反応器に添加したり、重合反応の開始と同時に分散安定剤を連続的または断続的に重合反応器に添加することができる。
【0032】
単量体の添加方法は、特に限定されないが、単量体を予め重合反応器に添加する方法、単量体の一部を重合反応器に添加して重合反応を開始した後残部を重合反応器に添加する方法、重合反応の開始とほぼ同時に単量体を連続的または断続的に重合反応器に添加する方法を採用することができる。なかでも、重合反応の開始とほぼ同時に単量体を連続的に重合反応器に添加する方法が好ましい。
【0033】
単量体と上記の分散安定剤の添加方法は、特に限定されないが、それぞれ別々に添加してもよく、単量体、分散安定剤および水を混合して得られる単量体乳化物の形態で添加してもよい。単量体と分散安定剤とを別々に添加する場合は、両者の添加をほぼ同時に開始するのが好ましく、また、両者の添加をほぼ同時に終了させることが好ましい。なかでも、単量体、分散安定剤および水を混合して得られる単量体乳化物の形態で、連続的に重合反応器に添加する方法が好ましい。
【0034】
単量体を連続的に添加する場合の添加速度は、特に制限はないが、反応中の重合転化率が10重量%以上を保つように制御するのが好ましい。反応途中の好ましい重合転化率は20重量%以上、さらに好ましくは30重量%以上である。単量体の添加速度が速すぎると重合転化率が低くなり、粗大粒子が発生しやすくなる。
【0035】
前記の単量体を重合させる際に使用する重合開始剤は、乳化重合において通常使用されるものが使用できる。重合開始剤の具体例としては、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム、過酸化水素などの水溶性過酸化物;t−ブチルハイドロパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド、ジ−t−ブチルパーオキサイドなどの油溶性過酸化物;過酸化物と重亜硫酸水素ナトリウムなどの各種還元剤との組み合わせによるレドックス系開始剤などを挙げることができる。なかでも水溶性過酸化物が好ましく、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウムなどの過硫酸塩がより好ましい。
重合開始剤の使用量は、単量体100重量部に対して、通常、0.05〜3重量部、好ましくは0.1〜2重量部である。
【0036】
重合開始剤の添加方法は、特に限定されないが、重合開始前の重合反応器に全量を添加したり、重合開始前の重合反応器に一部を投入して重合を開始した後、残部をある特定の時期に添加したり、重合開始前に重合反応器に一部を投入して重合を開始した後、残部を連続的または断続的に重合反応系に添加することができる。
【0037】
分散安定剤としてポリビニルアルコールを使用して重合体ラテックスを製造する場合、重合を水溶性のアルコール存在下に行うことが好ましい。この場合に使用し得るアルコールは、特に限定されないが、炭素数1〜4を有する、1価または多価の水溶性のアルコールが好ましい。このようなアルコールの具体例としては、例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、エチレングリコール、プロピレングリコール、グリセロールなどが挙げられる。
水溶性のアルコールの使用量は、単量体100重量部に対して、好ましくは1〜50重量部、より好ましくは3〜20重量部である。
【0038】
水溶性のアルコールの添加方法は、特に限定されないが、重合開始前の重合反応器に全量を添加したり、重合開始前の重合反応器に一部を投入して重合を開始した後、残部をある特定の時期に添加したり、重合開始前に重合反応器に一部を投入して重合を開始した後、残部を連続的または断続的に重合反応系に添加することができる。なかでも、重合開始前の重合反応器に全量を添加する方法が好ましい。
【0039】
重合に際しては、必須ではないが、連鎖移動剤を使用してもよい。連鎖移動剤としては、例えば、n−ヘキシルメルカプタン、n−オクチルメルカプタン、t−オクチルメルカプタン、n−ドデシルメルカプタン、t−ドデシルメルカプタン、n−ステアリルメルカプタンなどのメルカプタン類;チオグリコール酸、チオリンゴ酸、2−エチルヘキシルチオグリコレートなどのメルカプト基を有する化合物;ジメチルキサントゲンジサルファイド、ジイソプロピルキサントゲンジサルファイドなどのキサントゲン化合物;α−メチルスチレンダイマー、2,4−ジフェニル−4−メチル−1−ペンテン、2,4−ジフェニル−4−メチル−2−ペンテン、1,1,3−トリメチル−3−フェニルインダンなどのα−メチルスチレンダイマー類;ジクロルメタン、ジブロモメタン、四塩化炭素、四臭化炭素などのハロゲン化炭化水素;α−ベンジルオキシスチレン、α−ベンジルオキシアクリロニトリル、α−ベンジルオキシアクリルアミドなどのビニルエーテル;トリフェニルエタン、ペンタフェニルエタンなどが挙げられる。
連鎖移動剤の使用量は、単量体100重量部に対して、通常、5重量部以下である。
連鎖移動剤の添加方法は、特に限定されず、一括添加しても、断続的または連続的に重合反応系に添加してもよい。
【0040】
本発明に用いる重合体ラテックスは、−20〜30℃の範囲にある第1のガラス転移温度(Tg1)を有する重合体と、60〜140℃の範囲にある第2のガラス転移温度(Tg2)を有する重合体と、を含有してなるものが好ましい。
【0041】
Tg1は、−20〜30℃、好ましくは−15〜25℃、より好ましくは−10〜20℃の範囲にあることが好ましい。
Tg2は、60〜140℃、好ましくは70〜130℃、より好ましくは80〜120℃の範囲にあることが好ましい
Tg1およびTg2が上記範囲にあると、本発明の効果がより発現し易い。
【0042】
上記の重合体ラテックスは、Tg1を有する重合体のラテックスとTg2を有する重合体のラテックスとの混合物であっても、Tg1を有する重合体とTg2を有する重合体とがひとつの粒子内に存在する、いわゆる、異相構造型の重合体ラテックスであってもよい。なかでも、本発明の効果がより発現し易い点で、異相構造型の重合体ラテックスであることが好ましい。
【0043】
単量体としては、Tg1を有する重合体を形成し得る単量体(M1)とTg2を有する重合体を形成し得る単量体(M2)を、それぞれ、適宜選択する。それぞれの単量体は、単独であっても2種以上の単量体からなる混合物であってもよい。
【0044】
本発明で使用する重合体ラテックスは、水性媒体中、分散安定剤の存在下、M1とM2とを2段階で重合して得られるものであることが好ましい。この際、M1を重合した後、M2を重合してもよいし、M2を重合した後、M1を重合してもよい。なかでも、M2を重合した後、M1を重合して得られる重合体ラテックスが好ましい。
【0045】
M1とM2の重量比は、M1/M2が好ましくは20/80〜80/20、より好ましくは25/75〜70/30、特に好ましくは30/70〜50/50である。
【0046】
M1の好ましい単量体としては、アクリル酸n−ブチル(BA)とメタクリル酸メチル(MMA)との混合物が挙げられる。その重量比は、BA/MMAが、好ましくは70/30〜30/70、より好ましくは60/40〜40/60、特に好ましくは55/45〜45/55である。
M2の好ましい単量体としては、BAとMMAとの混合物またはMMA単独が挙げられる。その重量比は、BA/MMAが、好ましくは0/100〜20/80、より好ましくは0/100〜15/85、特に好ましくは1/99〜10/90である。
【0047】
2段階で重合する場合、1段目の重合転化率を、好ましくは80重量%以上、より好ましくは90重量%以上、特に好ましくは95重量%以上にする。
【0048】
重合温度は、特に制限はないが、通常、0〜100℃、好ましくは50〜95℃である。
【0049】
所定の重合転化率に到達した後、重合を停止する。重合の停止は、重合停止剤を添加するかまたは単に重合反応系を冷却することによって行うことができる。重合を停止する際の重合転化率は、好ましくは90重量%以上、より好ましくは93重量%以上、特に好ましくは95重量%以上である。
重合を停止した後、所望により、未反応の単量体を除去してもよい。
【0050】
本発明で使用する重合体ラテックスには、必要に応じて、キレート剤、分散剤、pH調整剤、防腐剤、可塑剤、消泡剤などの助剤を重合時または重合後に併用してもよい。
【0051】
以上のようにして得られた重合体ラテックスは、重合に使用した分散安定剤が結合した重合体ラテックス粒子からなる。重合体ラテックス粒子に結合している分散安定剤の量は、重合に使用した単量体が重合して形成された重合体100重量部に対して、好ましくは0.3〜30重量部、より好ましくは0.5〜20重量部、特に好ましくは1〜10重量部である。
【0052】
重合体ラテックス粒子に結合している分散安定剤の量は、例えば、重合に使用する分散安定剤の種類およびその使用量、重合開始剤の種類およびその使用量、並びに重合温度などを調整することにより調整できる。
【0053】
重合体ラテックスの体積平均粒子径は、通常、0.05〜5μm、好ましくは0.08〜2μm、より好ましくは0.1〜1μmである。この平均粒子径が小さくなると、重合中に増粘しやすくなり、取り扱いが困難になる。逆に平均粒子径が大きくなると均一なコーティング層が得られ難くなる。
【0054】
本発明のコーティング剤は、上記のアルコール性水酸基を含有する水溶性高分子化合物で分散安定化された重合体ラテックスとカチオン性界面活性剤とからなる。
【0055】
本発明で用いるカチオン性界面活性剤としては、従来公知のものが使用でき、例えば、第1級アミンの塩、第2級アミンの塩、第3級アミンの塩、第4級アンモニウム塩などが挙げられる。なかでも、第4級アンモニウム塩が好ましく使用できる。
【0056】
第1級アミンの塩としては、例えば、炭素数1〜18のアルキル基、アルケニル基、アリール基、アラルキル基などの置換基を有する第1級アミンの塩酸塩、硫酸塩、硝酸塩、酢酸塩などが挙げられる。
【0057】
第2級アミンの塩としては、例えば、炭素数1〜18のアルキル基、アルケニル基、アリール基、アラルキル基などの置換基を有する第2級アミンの塩酸塩、硫酸塩、硝酸塩、酢酸塩などが挙げられる。
【0058】
第3級アミンの塩としては、例えば、炭素数1〜18のアルキル基、アルケニル基、アリール基、アラルキル基などの置換基を有する第3級アミンの塩酸塩、硫酸塩、硝酸塩、酢酸塩などが挙げられる。
【0059】
第4級アンモニウム塩としては、例えば、下記一般式(1)で表されるもの、ピリジニウム塩、イミダゾリウム塩などが挙げられる。
一般式(1)
【化1】
式中、R1〜R4は、炭素数1〜18のアルキル基、アルケニル基、アリール基、アラルキル基から選ばれる基であり、互いに同一であっても、異なっていてもよい。Xは、ハロゲン原子を表す。
【0060】
一般式(1)で表される化合物の具体例としては、例えば、ラウリルトリメチルアンモニウムクロライド、ラウリルトリメチルアンモニウムブロマイド、セチルトリメチルアンモニウムクロライド、セチルトリメチルアンモニウムブロマイド、ステアリルトリメチルアンモニウムクロライド、ステアリルトリメチルアンモニウムブロマイド、ラウリルベンジルジメチルアンモニウムクロライド、セチルベンジルジメチルアンモニウムクロライド、ジデシルジメチルアンモニウムクロライド、ジステアリルジメチルアンモニウムクロライドなどが挙げられる。
一般式(1)で示される第4級アンモニウム塩のなかでも、R1〜R3が炭素数1〜4の低級アルキル基であり、R4が炭素数8〜18の高級アルキル基であり、対イオンが塩素イオンである化合物が好ましい。なかでも、セチルトリメチルアンモニウムクロライドが特に好ましく使用できる。
【0061】
ピリジニウム塩としては、例えば、下記一般式(2)で表されるものが挙げられる。
一般式(2)
【化2】
式中、R5〜R9は、炭素数1〜18のアルキル基、アルケニル基、アリール基、アラルキル基および水素原子から選ばれる基であり、互いに同一であっても、異なっていてもよい。R10は、炭素数1〜18のアルキル基、アルケニル基、アリール基およびアラルキル基から選ばれる基である。Xは、ハロゲン原子を表す。
【0062】
一般式(2)で表される化合物の具体例としては、例えば、ラウリルピリジニウムクロライド、ラウリルピリジニウムブロマイド、セチルピリジニウムクロライド、セチルピリジニウムブロマイドなどが挙げられる。なかでも、セチルピリジニウムクロライドが好ましく使用できる。
【0063】
イミダゾリウム塩としては、例えば、下記一般式(3)で表されるものが挙げられる。
一般式(3)
【化3】
式中、R11およびR12は、炭素数1〜18のアルキル基、アルケニル基、アリール基、アラルキル基から選ばれる基であり、互いに同一であっても、異なっていてもよい。R13は、炭素数12〜24のアルキル基、アルケニル基、アリール基、アラルキル基から選ばれる基である。Xは、ハロゲン原子である。
一般式(3)で表される化合物の具体例としては、例えば、2−ラウリル−N−メチル−N−ラウリルイミダゾリウムクロライド、2−ラウリル−N−エチル−N−ラウリルイミダゾリウムクロライドなどが挙げられる。
【0064】
上記の第四級アンモニウム塩の中でも、一般式(1)で示される第4級アンモニウム塩及び一般式(2)で示されるピリジニウム塩が好ましく使用でき、一般式(1)で示される第4級アンモニウム塩がより好ましく使用できる。
【0065】
カチオン性界面活性剤の使用量は、前記の重合体ラテックスの固形分100重量部に対して、好ましくは0.5〜20重量部、より好ましくは2〜10重量部である。この使用量が少なすぎると着脱性に劣る傾向があり、逆に多すぎても着脱性を改善する効果が頭打ちとなり、コーティング層に付着した過剰のカチオン性界面活性剤を除去することが困難になる傾向がある。
【0066】
本発明のコーティング剤組成物は、さらに微粒子を含むことが好ましい。微粒子は、特に限定されず、無機微粒子または有機微粒子のいずれを用いてもよい。なかでも、有機微粒子が好ましく使用できる。
【0067】
無機微粒子としては、例えば、シリカ、酸化マグネシウム、二酸化チタン、炭酸カルシウム等が挙げられる。
有機微粒子としては、例えば、アクリル樹脂、アクリル−スチレン樹脂、ウレタン樹脂、ポリアミド樹脂、オレフィン系樹脂、ホルムアルデヒド系樹脂、塩化ビニル系樹脂、塩化ビニリデン系樹脂、セルロース系樹脂、澱粉系およびそれらの架橋物などからなる微粒子が挙げられる。これらのなかでも、アクリル樹脂およびスチレン−アクリル樹脂からなる微粒子が、樹脂のガラス転移温度を比較的自由に調整できることから好ましい。
これらの微粒子は単独で、または2種以上を組み合わせて用いても良い。
【0068】
有機微粒子を構成する樹脂のガラス転移温度は、通常、60〜140℃、好ましくは70〜120℃、より好ましくは80〜110℃である。ガラス転移温度が低すぎると耐ブロッキング性に劣る傾向にあり、逆に高すぎると耐粉落ち性に劣る傾向にある。
【0069】
微粒子の体積平均粒子径は、通常、1〜50μm、好ましくは3〜30μmである。微粒子の体積平均粒子径がこの範囲にあると、より着脱性に優れ、装着感も良好なディップ成形品が得られる。
【0070】
微粒子の形状は、特に限定されないが、球状であることが好ましい。微粒子が球状であると、手袋を装着するときの感触が良好で、着脱時に粒子に力がかかりにくく脱離が少なくなる等の利点が得られる。
【0071】
微粒子の配合量は、前記の重合体ラテックス固形分100重量部に対して、微粒子が、通常、10〜200重量部、好ましくは20〜150重量部、より好ましくは40〜100重量部である。配合比率がこの範囲にあると、着脱性、耐粉落ち性および耐ブロッキング性のバランスにより優れるディップ成形品が得られる。
【0072】
本発明のコーティング剤組成物には、所望により、さらに、増粘剤、湿潤剤、消泡剤、pH調整剤、老化防止剤などを配合できる。また、アルコール類、セルソルブ類、グリコール類、グリセリンなどの水親和性溶媒を、乾燥性や成膜性の向上などの目的に応じて、適宜配合してもよい。
【0073】
コーティング剤組成物の固形分濃度は、通常、1〜15重量%、好ましくは2〜12重量%、より好ましくは3〜10重量%である。
【0074】
本発明のディップ成形品は、前記のコーティング剤組成物からなるコーティング層をディップ成形物の内表面に有する。コーティング量は、特に限定されないが、ディップ成形物の単位表面積に対する固形分量で、好ましくは0.1〜2g/m2、より好ましくは0.15〜1.5g/m2である。
【0075】
ディップ成形物としては、特に限定されないが、常法の直接浸漬法、凝着浸漬法、感熱浸漬法などのディップ成形法により、成形型上にディップ成形して得られる手袋、指サックなどが挙げられる。また、ディップ成形物は、特に限定されないが、天然ゴムラテックスや合成ゴムラテックスからなるものが使用できる。合成ゴムラテックスとしては、例えば、スチレン−ブタジエン共重合体ラテックス、アクリロニトリル−ブタジエン共重合体ラテックス、カルボキシ変性アクリロニトリル−ブタジエン共重合体ラテックスなどが挙げられる。
これらのなかでも、本発明のコーティング剤組成物は、特に、カルボキシ変性アクリロニトリル−ブタジエン共重合体ラテックスを用いて、凝着浸漬法により得られた手袋に好適に使用できる。
【0076】
ディップ成形において用いられる成形型としては、例えば、磁器製、陶器製、金属製、ガラス製、およびプラスチック製のものなどが挙げられる。ディップ成形品が手袋である場合、成形型は人の手の輪郭に対応する形状を有するものであり、製造しようとする手袋の使用目的に応じて、手首から指先までの形状のもの、肘から指先までの形状のもの等、種々の形状のものを用いることができる。
【0077】
ディップ成形物をコーティング剤組成物でコーティングする方法としては、通常、ディップ成形物をコーティング剤組成物に浸漬する方法、ディップ成形物にコーティング剤組成物を塗布する方法などが挙げられる。なかでも、均一な厚みを有するコーティング層が得られやすい点で、ディップ成形物をコーティング剤組成物に浸漬する方法が好ましい。
【0078】
コーティングは、ディップ成形物の製造工程中でディップ成形に引き続いて行ってもよく、また、できあがったディップ成形物に対して、後から行ってもよいが、本発明のディップ成形品がより簡便に得られる点で、前者の方法が好ましい。いずれの場合も、コーティングした後、乾燥してディップ成形品が得られる。
【0079】
ディップ成形物の製造工程中でコーティングを行なう場合は、以下のように行なう。
成形型上に形成されたディップ成形物をコーティング剤組成物に浸漬して、該ディップ成形物上に該コーティング剤組成物からなるコーティング層を形成した後、所望により加熱してディップ成形物を加硫し、次いで、成形型からディップ成形物を反転させながら脱着する。
このようにして、コーティング剤組成物からなるコーティング層をディップ成形物の内表面に有するディップ成形品が得られる。
【0080】
また、コーティングは、ディップ成形物の内表面だけに行っても、内外両表面に行ってもよく、また、ディップ成形物の全面に行っても、部分的に行ってもよい。
【0081】
本発明のディップ成形品は、厚みが約0.1〜約3ミリのものが製造でき、特に厚みが約0.1〜約0.3ミリの薄手のものに好適に使用できる。具体的には、哺乳瓶用乳首、スポイト、導管、水枕などの医療用品;風船、人形、ボールなどの玩具や運動具;加圧成形用バッグ、ガス貯蔵用バッグなどの工業用品;手術用、家庭用、農業用、漁業用および工業用のサポート型またはアンサポート型の手袋;指サックなどが挙げられる。中でも、手袋として好適であり、薄手の手袋として特に好適である。
【0082】
【実施例】
以下、本発明を実施例により、さらに詳細に説明する。なお、以下の記載における「%」および「部」は特に断りのない限り、重量基準である。
【0083】
(重合体ラテックスおよび有機微粒子の評価)
(1)体積平均粒子径(μm)
コールターLS230(コールター社製粒子径測定機)で測定した。
(2)ガラス転移温度(℃)
重合体ラテックスまたは有機微粒子の水分散体を枠付きガラス板に流延し、温度20℃、相対湿度65%の恒温恒湿室に48時間放置して、乾燥したものを試料とした。
上記試料のガラス転移温度を、示差走査熱量計(セイコー電子工業(株)社製:SSC5200)を用いて、開始温度−100℃、昇温速度5℃/分の条件で測定した。
(3)重合体粒子へのポリビニルアルコールの結合量
得られた重合体ラテックスの固形分濃度を10%に調整して、その60gを試料とする。この試料を遠心分離器(国産遠心機社製:H−2000A)を用いて、5℃で13,000rpm、60分間遠心分離し、その上澄み液50gを廃棄した。残部の沈降物に蒸留水50gを加えて、均一にした後、上記と同一条件で遠心分離して、上澄み液50gを廃棄した。残部の沈降物について、さらに、上記と同一の操作を、2回繰り返した。
その後、得られた沈降物を、40℃で48時間、真空乾燥した。得られた重合体を、1H−NMR分析して、重合で生成した重合体100重量部に対する、該重合体に結合しているポリビニルアルコール量を求めた。
ポリビニルアルコール以外のアルコール性水酸基を含有する水溶性高分子化合物の重合体粒子への結合量も同様にして測定することができる。
【0084】
(手袋物性の評価)
(4)着脱性
手袋内部を水で満たした後、それを排出して水に濡れた状態で手袋を装着し、その後脱着するときの難易度を、以下の基準で評価した。
(5)耐ブロッキング性
内表面にコーティング層を有する手袋を2枚のガラス板で挟み、ガラス板上に5Kgのおもりを置き、それを100℃のオーブン中に24時間放置した。室温まで、冷却した後、手袋の内面同士を剥がす際の剥がし易さを以下の基準で判定した。
評価基準
A:容易に剥がすことができる。
B:剥がす際に力を要する。
C:剥がすのが困難であり、無理に剥がすとゴム手袋が破損する。
(6)耐粉落ち性
ASTM D6124−97に従い、脱離樹脂量(mg)を測定した。この量が少ないほど、耐粉落ち性に優れる。
【0085】
(重合体ラテックスの製造)
(参考例1)
撹拌機付きの耐圧容器に、脱イオン水45部、メタクリル酸メチル47.5部、アクリル酸ブチル2.5部、及びポリビニルアルコール(PVA−205、クラレ社製、平均重合度500、けん化度88モル%)2.5部を添加し、撹拌して、単量体乳化物Iを得た。別の攪拌機付きの耐圧容器に、脱イオン水45部、アクリル酸ブチル27.5部、メタクリル酸メチル22.5部及びポリビニルアルコール(PVA−224E、クラレ社製、平均重合度2400、けん化度88モル%)1.5部を添加し、撹拌して、単量体乳化物IIを得た。
【0086】
別途、攪拌機付きの耐圧反応容器に、脱イオン水70部及びエタノール8部を入れ、温度を80℃に昇温し、80℃を維持した状態で、反応容器に前記単量体乳化物Iの連続添加を開始し、次いで、過硫酸カリウム0.3部を脱イオン水10部に溶解した重合開始剤水溶液を添加した。単量体乳化物Iの連続添加は120分間かけて終了した。添加終了後、さらに40分間、後反応を行なった。この時の重合転化率は99%であった。
【0087】
引き続き、単量体乳化物IIを120分間かけて反応容器に連続添加し、添加終了後、さらに2時間、後反応を行なった。その後、冷却して反応を終了させた。この時の重合転化率は98%であった。
未反応単量体を除去した後、固形分濃度を調整して、固形分濃度40%の重合体ラテックスA1を得た。
得られた重合体ラテックスA1の体積平均粒子径、ポリビニルアルコール結合量およびガラス転移温度を測定し、その結果を表1に示す。
【0088】
(参考例2)
表1に示す単量体乳化物Iのみを使用して、1段階で重合する以外は、参考例1と同様にして、重合体ラテックスA2を得た。
得られた重合体ラテックスA2の体積平均粒子径、ポリビニルアルコール結合量およびガラス転移温度を測定し、その結果を表1に示す。
【0089】
(参考例3)
表1に示す単量体乳化物Iに変更する以外は、参考例2と同様にして、重合体ラテックスA3を得た。
得られた重合体ラテックスA3の体積平均粒子径、ポリビニルアルコール結合量およびガラス転移温度を測定し、その結果を表1に示す。
【0090】
(参考例4)
表1に示す、単量体乳化物I、および単量体乳化物IIに変更する以外は、参考例1と同様にして、重合体ラテックスBを得た。なお、ポリビニルアルコールの代わりに、アニオン界面活性剤としてアルキルジフェニルエーテルジスルフォン酸ナトリウム(ペレックスSS−H;花王(株)製)を、ノニオン界面活性剤としてポリオキシエチレンラウリルエーテル(エマルゲン120;花王(株)製)を用いた。
得られた重合体ラテックスBの体積平均粒子径およびガラス転移温度を測定し、その結果を表1に示す。
【0091】
【表1】
【0092】
(有機微粒子の製造)
脱イオン水200部に、平均重合度500、ケン化度88モル%のポリビニルアルコール2部を溶解し、さらに、スチレン92.8部、アクリル酸ブチル7部、ジビニルベンゼン0.2部、t−ドデシルメルカプタン0.9部及びベンゾイルパーオキサイド5部を混合した溶液を添加した後、ホモジナイザー処理を行い、微細分散液を調製した。
これを温度制御ができる攪拌機つきの反応容器に移し、窒素置換を行った後90℃に昇温して重合を開始した。6時間後、冷却して反応を終了させた。このときの重合転化率は97%であった。
未反応単量体を除去した後、固形分濃度を調整して、固形分濃度30%の有機微粒子水性分散体を得た。
この有機微粒子の体積平均粒子径は4.8μm、ガラス転移温度は88℃であった。
【0093】
(実施例1)
(コーティング剤組成物)
重合体ラテックスA1を100部(固形分換算)と上記の有機微粒子水性分散体40部(固形分換算)とセチルトリメチルアンモニウムクロライド5部(固形分換算)とを混合した後、全体の固形分濃度を脱イオン水により4%に調整し、コーティング剤組成物Aを得た。
【0094】
(ディップ成形品の製造)
硫黄1部、ジエチルジチオカルバミン酸亜鉛0.5部、酸化亜鉛0.5部および酸化チタン1.5部を、水3.5部に分散して、加硫剤分散液を調製した。アクリロニトリル−ブタジエン−メタクリル酸共重合体ラテックス(1,3−ブタジエン単位67.5%、アクリロニトリル単位27%およびメタクリル酸単位5.5%、固形分濃度40%、ラテックスpH8.5)250部に、上記の加硫剤分散液7部を添加した後、水酸化カリウム水溶液および水を添加して、pH9.5、固形分濃度30%のディップ成形用組成物を調製した。
【0095】
一方、硝酸カルシウム20部、ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル0.05部及び脱イオン水80部の割合で混合して調製した固形分濃度20.4%の凝固剤溶液に磁器製の手型を10秒間浸漬し、引き上げた後60℃で、10分間乾燥して、凝固剤を手型に付着させた。
次に、凝固剤の付着した手型を上記のディップ成形用組成物に10秒間浸漬し、引き上げて、60℃で5分間乾燥し、50℃温水中に5分間浸漬した後、さらに、60℃で5分間乾燥させた。
【0096】
次いで、その手型を、前記コーティング剤組成物Aに10秒間浸漬し、引き上げた後、70℃で10分間乾燥し、さらに、120℃で20分間加硫処理して、手型の表面に固形皮膜物を得た。最後に、この固形皮膜物を手型から反転させながら剥ぎ取り、コーティング剤組成物Aからなるコーティング層を内表面に有する手袋を得た。この手袋の厚みは0.12mmで、コーティング量は1g/m2であった。
手袋の内表面が外側になるように手袋を反転させた。この手袋の外表面を流水下で1分間、もみ洗いし、乾燥させた後、再度、手袋を反転させた。このように洗浄処理した手袋の特性を評価し、その結果を表2に示す。
【0097】
(実施例2〜4)
コーティング剤組成物Aに代えて、表2に示す配合のコーティング剤組成物B〜Dを用いた以外は、実施例1と同様にして手袋を得た。得られた手袋の特性を評価し、それらの結果を表2に示す。
【0098】
(比較例1)
重合体ラテックスA1を100部(固形分換算)と有機微粒子水性分散体40部(固形分換算)とを混合し、全体の固形分濃度を脱イオン水により4%に調整してコーティング剤組成物Eを得た。コーティング剤組成物Aに代えて、コーティング剤組成物Eを用いた以外は、実施例1と同様にして手袋を得た。得られた手袋の特性を評価し、それらの結果を表2に示す。
【0099】
(比較例2)
重合体ラテックスBを100部(固形分換算)と有機微粒子水性分散体40部(固形分換算)とセチルトリメチルアンモニウムクロライド5部(固形分換算)とを混合した後、全体の固形分濃度を脱イオン水により4%に調整し、コーティング剤組成物Fを得た。コーティング剤組成物Aに代えて、コーティング剤組成物Fを用いた以外は、実施例1と同様にして手袋を得た。得られた手袋の特性を評価し、それらの結果を表2に示す。
【0100】
【表2】
【0101】
表2から次のことがわかる。
カチオン性界面活性剤を含まないコーティング剤組成物Eを用いて製造した比較例1の手袋は、洗浄処理後の着脱性に劣る。
乳化重合において通常使用されるアニオン界面活性剤およびノニオン界面活性剤の存在下で重合して得られた重合体ラテックスBを含むコーティング剤組成物Fを用いて製造した比較例2の手袋は、洗浄処理後の着脱性、耐ブロッキング性および耐粉落ち性に劣る。
【0102】
上記の比較例に比べ、本発明で規定する範囲内のコーティング剤組成物A〜Dを用いて製造した実施例1〜4の手袋は、洗浄後の着脱性、耐粉落ち性および耐ブロッキング性に優れている。このような手袋は、厳しい条件で洗浄される精密電子部品製造用、半導体部品製造用の手袋として好適に使用できる。
【0103】
【発明の効果】
本発明によれば、洗浄後も濡れた手の着脱性が良く、かつ粉落ち性および耐ブロッキング性に優れたディップ成形品および該ディップ成形品に好適なコーティング剤組成物が提供される。
【産業上の利用分野】
本発明は、コーティング剤組成物及びディップ成形品に関する。さらに詳しくは、洗浄後も濡れた手の着脱性が良く、かつ粉落ち性および耐ブロッキング性に優れたディップ成形品および該ディップ成形品に好適なコーティング剤組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】
天然ゴムラテックスまたは合成ゴムラテックスから作られるディップ成形品は、ゴム手袋、指サックがその代表的なものとして挙げられる。これらのゴム手袋の内表面は、粘着性を有しているために滑り性が小さく、着脱し難く(着脱性に劣る。)、また、保管した場合、手袋の内表面が互いに粘着して(耐ブロッキング性に劣る。)、使用時に剥がす作業が必要となり、薄手の手袋の場合には、手袋の内表面同士を剥がす際に手袋が破れて使用できなくなる問題がある。
【0003】
この手袋の内表面同士の粘着を防止するために、手袋の内表面にタルク等の粉体を散布する方法や、塩素化処理することにより手袋の内表面に凸凹を設ける方法が施されている。しかし、粉体を散布する方法で得た手袋は、手袋の着脱時や装着中に粉体が手袋から脱落するため、この種のゴム手袋を医療用手袋(手術用手袋)に用いた場合は、脱落した粉体により手術部位が汚染されて術後感染を招くおそれがある。また、塩素化処理は、工程の制御が難しく、耐ブロッキング性の改善も十分ではなく、且つ塩素を使用するので環境への負荷が大きいという問題がある。
【0004】
上記のような不具合を改善するために、手袋の内表面にコート層を設ける検討が行なわれている。
例えば、手袋本体に含まれる凝固剤により凝固しない合成ゴムラテックス及び有機微粒子を含む水性分散液から形成された滑性樹脂層を、ゴム手袋の内表面に設けることが提案されている(特許文献1参照)。しかしながら、このような滑性樹脂層を設けることにより、着脱性はある程度改善されはするものの、その改善度合いは不十分であり、かつ、耐ブロッキング性を改善するには至っていない。
【0005】
また、熱可塑性樹脂微粒子、ゴムラテックスおよびブロックイソシアネートからなる樹脂層を、ゴム手袋の内表面に設けることが提案されている(特許文献2参照)。しかしながら、このような方法を採用しても、着脱性の改善は未だ不十分であり、また、樹脂層と手袋本体との密着性が不十分であるため、樹脂層自体が剥離する(耐粉落ち性に劣る。)問題があった。
【0006】
さらに、アルコール性水酸基を有する水溶性高分子化合物で分散安定化された重合体ラテックスを含有するコート層を手袋内表面に設けることが開示されている(特許文献3参照)。このような方法を採用すると、着脱性、耐粉落ち性および耐ブロッキング性を向上させることができるものの、得られた手袋を厳しい条件で洗浄した場合には、着脱性が低下してしまう問題があった。
【0007】
【特許文献1】
特開平11−61527号公報
【特許文献2】
特開平8−294930号公報
【特許文献3】
国際公開WO01/36553号公報
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、十分に洗浄を行なった後においても、着脱性、耐粉落ち性および耐ブロッキング性に優れたディップ成形品および該ディップ成形品に好適なコーティング剤組成物を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明者等は、上記課題を解決するため鋭意検討を進めた結果、ポリビニルアルコールに代表されるアルコール性水酸基を含有する水溶性高分子化合物で分散安定化された重合体ラテックスとカチオン性界面活性剤とからなるコーティング剤を用いて、ディップ成形品の内表面に該コーティング剤からなるコーティング層を設けることにより、上記の目的が達成できることを見出し、この知見に基づき本発明を完成するに至った。
【0010】
かくして、本発明によれば、以下の解決手段(1)〜(4)が提供される。
(1)アルコール性水酸基を含有する水溶性高分子化合物で分散安定化された重合体ラテックスとカチオン性界面活性剤とからなることを特徴とするコーティング剤組成物。
(2)重合体ラテックスが、−20〜30℃の範囲にある第1のガラス転移温度(Tg1)を有する重合体と、60〜140℃の範囲にある第2のガラス転移温度(Tg2)を有する重合体と、を含有してなるものである(1)記載のコーティング剤組成物。
(3)(1)記載のコーティング剤組成物からなるコーティング層をディップ成形物の内表面に有するディップ成形品。
(4)手袋である(3)記載のディップ成形品。
【0011】
【発明の実施の態様】
【0012】
本発明で用いる重合体ラテックスは、アルコール性水酸基を含有する水溶性高分子化合物で分散安定化されたものである。このような重合体ラテックスは、水性媒体中、アルコール性水酸基を含有する水溶性高分子化合物の存在下に、単量体を重合して得られる。
【0013】
水性媒体としては、通常、水が用いられるが、水とメタノール、エタノール、イソプロパノールなどの水溶性有機溶媒との混合物を用いることもできる。水性媒体の使用量は、単量体100重量部に対して、好ましくは100〜500重量、より好ましくは150〜300重量部である。
【0014】
アルコール性水酸基を含有する水溶性高分子化合物(以下、「分散安定剤」ともいう。)は、解離性を有しないアルコール性の水酸基を有し、水に5重量%以上溶解する高分子化合物である。
アルコール性水酸基を含有する水溶性高分子化合物としては、アルキルセルロース、ヒドロキシアルキルセルロースなどのセルロース誘導体;アルキル澱粉、カルボキシメチル澱粉などの澱粉誘導体;アラビアゴム、ポリアルキレングリコール、ポリビニルアルコールなどが例示できる。なかでも、着脱性、耐粉落ち性および耐ブロッキング性により優れる点で、ポリビニルアルコールが好ましく使用できる。
【0015】
ポリビニルアルコールは、ビニルアルコール単位を有し、実質的に水溶性であって、重合時に使用した際に安定な重合体ラテックスが得られるものであればよい。
【0016】
ポリビニルアルコールは、通常、ビニルエステル単量体を主体とするビニル単量体を従来公知の方法で重合して得たビニルエステル重合体(すなわち、ビニルエステル単量体の単独重合体、2種以上のビニルエステル単量体の共重合体、およびビニルエステル単量体と他のエチレン性不飽和単量体との共重合体)を常法によりけん化することにより容易に得られる。また、この重合体の側鎖または末端にメルカプト基などの変性基を導入したものも使用できる。
【0017】
ビニルエステル単量体は、ラジカル重合可能なものであればいずれも使用でき、その具体例としては、ギ酸ビニル、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酢酸イソプロペニル、バレリン酸ビニル、カプリン酸ビニル、ラウリン酸ビニル、ステアリン酸ビニル、安息香酸ビニル、バーサティック酸ビニル、ピバリン酸ビニルなどを挙げることができる。なかでも工業的に製造され安価な酢酸ビニルが好ましい。
【0018】
ビニルエステル単量体と共重合可能な他のエチレン性不飽和単量体としては、エチレン、プロピレン、1−ブテン、イソブテンなどのオレフィン類;アクリル酸、メタクリル酸などのエチレン性不飽和モノカルボン酸;フマル酸、マレイン酸、イタコン酸、無水マレイン酸、無水フタル酸、無水トリメット酸、無水イタコン酸などのエチレン性不飽和多価カルボン酸およびその酸無水物;アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n−プロピル、アクリル酸イソプロピル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸2−エチルヘキシルなどのエチレン性不飽和モノカルボン酸エステル;フマル酸ジメチル、マレイン酸ジエチル、イタコン酸ジイソプロピルなどのエチレン性不飽和多価カルボン酸エステル;メチルビニルエーテル、n−プロピルビニルエーテル、イソプロピルビニルエーテル、n−ブチルビニルエーテル、イソブチルビニルエーテルなどのビニルエーテル類;アクリロニトリル、メタクリロニトリルなどのエチレン性不飽和ニトリル;塩化ビニル、塩化ビニリデン、フッ化ビニル、フッ化ビニリデンなどのハロゲン化ビニル;エチレンスルホン酸、アリルスルホン酸、メタリルスルホン酸、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸などのスルホン酸基含有単量体;ビニルトリメトキシシランなどのビニルシラン単量体;3−アクリルアミドプロピルトリメチルアンモニウムクロライド、3−メタクリルアミドプロピルトリメチルアンモニウムクロライドなどの第4級アンモニウム基含有単量体などを挙げることができる。
【0019】
ポリビニルアルコールのけん化度は、水溶性などの観点から、好ましくは40〜100モル%、より好ましくは60〜99モル%、特に好ましくは80〜95モル%である。けん化度が低すぎると、重合体ラテックス粒子の分散安定性が低下する。
【0020】
ポリビニルアルコールの平均重合度は、好ましくは50〜8,000、より好ましくは100〜6,000、特に好ましくは300〜3,000である。この重合度が低すぎると重合安定性が不十分であり、逆に高すぎると、重合系の粘度上昇による反応熱除去が困難になる、得られる重合体ラテックスの粘度が高くなりすぎ、取り扱いが困難となるなどの問題がある。
【0021】
アルコール性水酸基を含有する水溶性高分子化合物の使用量は、単量体100重量部に対して、好ましくは0.1〜60重量部、より好ましくは0.5〜20重量部、特に好ましくは1〜10重量部である。この量が少なすぎると、重合安定性が不十分であり重合時に凝集物が多量に発生したり、得られる重合体ラテックスの機械的安定性が低下するなどの問題があり、逆に多すぎると、重合系の粘度上昇による反応熱除去が困難になる、得られる重合体ラテックスの粘度が高くなりすぎ、取り扱いが困難となるなどの問題が起きる。
【0022】
なお、重合に際して、乳化重合において通常使用される低分子量の界面活性剤を併用することもできる。(ここで、低分子量とは、1,000以下の分子量を指す。)
低分子量の界面活性剤の使用量は、重合に使用する全単量体100重量部に対して、0.5重量部以下とすることが好ましく、0.2重量部以下とすることが好ましく、使用しないことが特に好ましい。この使用量が多すぎると、耐ブロッキング性および着脱性が低下する傾向にある。
【0023】
本発明で用いる重合体ラテックスを製造するために使用する単量体としては、ラジカル重合可能なものであればいずれも使用でき、例えば、共役ジエン単量体、エチレン性不飽和カルボン酸単量体、芳香族ビニル単量体、エチレン性不飽和カルボン酸エステル単量体、エチレン性不飽和カルボン酸アミド単量体、エチレン性不飽和ニトリル単量体等を挙げることができる。なかでも、芳香族ビニル単量体およびエチレン性不飽和カルボン酸エステル単量体が好ましく、エチレン性不飽和カルボン酸エステル単量体がより好ましい。
【0024】
共役ジエン単量体としては、例えば、1,3−ブタジエン、イソプレン、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン、1,3−ペンタジエン、クロロプレン等が挙げられる。
【0025】
エチレン性不飽和カルボン酸単量体としては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸などのエチレン性不飽和モノカルボン酸;フマル酸、マレイン酸、イタコン酸、ブテントリカルボン酸などのエチレン性不飽和多価カルボン酸;マレイン酸モノエチル、イタコン酸モノメチルなどのエチレン性不飽和多価カルボン酸の部分エステル化物などが挙げられる。
【0026】
芳香族ビニル単量体は、例えば、スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン、クロロスチレン、ヒドロキシメチルスチレンなどを挙げることができる。
【0027】
エチレン性不飽和カルボン酸エステル単量体としては、例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸−2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸トリフルオロエチル、(メタ)アクリル酸テトラフルオロプロピル、(メタ)アクリル酸メトキシメチル、(メタ)アクリル酸エトキシエチル、(メタ)アクリル酸シアノメチル、(メタ)アクリル酸2−シアノエチル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸グリシジルなどのエチレン性不飽和モノカルボン酸エステル単量体;マレイン酸ジブチル、フマル酸ジブチル、マレイン酸ジエチルなどのエチレン性不飽和多価カルボン酸エステルが挙げられる。なかでも、エチレン性不飽和モノカルボン酸エステル単量体が好ましい。
【0028】
エチレン性不飽和カルボン酸アミド単量体としては、例えば、(メタ)アクリルアミド、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチロール(メタ)アクリルアミド、N−メトキシメチル(メタ)アクリルアミドなどが挙げられる。
【0029】
エチレン性不飽和ニトリル単量体としては、例えば、(メタ)アクリロニトリル、フマロニトリル、α−クロロアクリロニトリル、α−シアノエチルアクリロニトリル等が挙げられる。
【0030】
これらの単量体は、単独でまたは2種以上を組み合わせて使用することができる。
【0031】
分散安定剤として機能するアルコール性水酸基を含有する水溶性高分子化合物の使用方法は、特に限定されないが、分散安定剤を予め重合反応器に添加したり、分散安定剤の一部を重合反応器に添加して、重合反応を開始した後、残部を重合反応器に添加したり、重合反応の開始と同時に分散安定剤を連続的または断続的に重合反応器に添加することができる。
【0032】
単量体の添加方法は、特に限定されないが、単量体を予め重合反応器に添加する方法、単量体の一部を重合反応器に添加して重合反応を開始した後残部を重合反応器に添加する方法、重合反応の開始とほぼ同時に単量体を連続的または断続的に重合反応器に添加する方法を採用することができる。なかでも、重合反応の開始とほぼ同時に単量体を連続的に重合反応器に添加する方法が好ましい。
【0033】
単量体と上記の分散安定剤の添加方法は、特に限定されないが、それぞれ別々に添加してもよく、単量体、分散安定剤および水を混合して得られる単量体乳化物の形態で添加してもよい。単量体と分散安定剤とを別々に添加する場合は、両者の添加をほぼ同時に開始するのが好ましく、また、両者の添加をほぼ同時に終了させることが好ましい。なかでも、単量体、分散安定剤および水を混合して得られる単量体乳化物の形態で、連続的に重合反応器に添加する方法が好ましい。
【0034】
単量体を連続的に添加する場合の添加速度は、特に制限はないが、反応中の重合転化率が10重量%以上を保つように制御するのが好ましい。反応途中の好ましい重合転化率は20重量%以上、さらに好ましくは30重量%以上である。単量体の添加速度が速すぎると重合転化率が低くなり、粗大粒子が発生しやすくなる。
【0035】
前記の単量体を重合させる際に使用する重合開始剤は、乳化重合において通常使用されるものが使用できる。重合開始剤の具体例としては、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム、過酸化水素などの水溶性過酸化物;t−ブチルハイドロパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド、ジ−t−ブチルパーオキサイドなどの油溶性過酸化物;過酸化物と重亜硫酸水素ナトリウムなどの各種還元剤との組み合わせによるレドックス系開始剤などを挙げることができる。なかでも水溶性過酸化物が好ましく、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウムなどの過硫酸塩がより好ましい。
重合開始剤の使用量は、単量体100重量部に対して、通常、0.05〜3重量部、好ましくは0.1〜2重量部である。
【0036】
重合開始剤の添加方法は、特に限定されないが、重合開始前の重合反応器に全量を添加したり、重合開始前の重合反応器に一部を投入して重合を開始した後、残部をある特定の時期に添加したり、重合開始前に重合反応器に一部を投入して重合を開始した後、残部を連続的または断続的に重合反応系に添加することができる。
【0037】
分散安定剤としてポリビニルアルコールを使用して重合体ラテックスを製造する場合、重合を水溶性のアルコール存在下に行うことが好ましい。この場合に使用し得るアルコールは、特に限定されないが、炭素数1〜4を有する、1価または多価の水溶性のアルコールが好ましい。このようなアルコールの具体例としては、例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、エチレングリコール、プロピレングリコール、グリセロールなどが挙げられる。
水溶性のアルコールの使用量は、単量体100重量部に対して、好ましくは1〜50重量部、より好ましくは3〜20重量部である。
【0038】
水溶性のアルコールの添加方法は、特に限定されないが、重合開始前の重合反応器に全量を添加したり、重合開始前の重合反応器に一部を投入して重合を開始した後、残部をある特定の時期に添加したり、重合開始前に重合反応器に一部を投入して重合を開始した後、残部を連続的または断続的に重合反応系に添加することができる。なかでも、重合開始前の重合反応器に全量を添加する方法が好ましい。
【0039】
重合に際しては、必須ではないが、連鎖移動剤を使用してもよい。連鎖移動剤としては、例えば、n−ヘキシルメルカプタン、n−オクチルメルカプタン、t−オクチルメルカプタン、n−ドデシルメルカプタン、t−ドデシルメルカプタン、n−ステアリルメルカプタンなどのメルカプタン類;チオグリコール酸、チオリンゴ酸、2−エチルヘキシルチオグリコレートなどのメルカプト基を有する化合物;ジメチルキサントゲンジサルファイド、ジイソプロピルキサントゲンジサルファイドなどのキサントゲン化合物;α−メチルスチレンダイマー、2,4−ジフェニル−4−メチル−1−ペンテン、2,4−ジフェニル−4−メチル−2−ペンテン、1,1,3−トリメチル−3−フェニルインダンなどのα−メチルスチレンダイマー類;ジクロルメタン、ジブロモメタン、四塩化炭素、四臭化炭素などのハロゲン化炭化水素;α−ベンジルオキシスチレン、α−ベンジルオキシアクリロニトリル、α−ベンジルオキシアクリルアミドなどのビニルエーテル;トリフェニルエタン、ペンタフェニルエタンなどが挙げられる。
連鎖移動剤の使用量は、単量体100重量部に対して、通常、5重量部以下である。
連鎖移動剤の添加方法は、特に限定されず、一括添加しても、断続的または連続的に重合反応系に添加してもよい。
【0040】
本発明に用いる重合体ラテックスは、−20〜30℃の範囲にある第1のガラス転移温度(Tg1)を有する重合体と、60〜140℃の範囲にある第2のガラス転移温度(Tg2)を有する重合体と、を含有してなるものが好ましい。
【0041】
Tg1は、−20〜30℃、好ましくは−15〜25℃、より好ましくは−10〜20℃の範囲にあることが好ましい。
Tg2は、60〜140℃、好ましくは70〜130℃、より好ましくは80〜120℃の範囲にあることが好ましい
Tg1およびTg2が上記範囲にあると、本発明の効果がより発現し易い。
【0042】
上記の重合体ラテックスは、Tg1を有する重合体のラテックスとTg2を有する重合体のラテックスとの混合物であっても、Tg1を有する重合体とTg2を有する重合体とがひとつの粒子内に存在する、いわゆる、異相構造型の重合体ラテックスであってもよい。なかでも、本発明の効果がより発現し易い点で、異相構造型の重合体ラテックスであることが好ましい。
【0043】
単量体としては、Tg1を有する重合体を形成し得る単量体(M1)とTg2を有する重合体を形成し得る単量体(M2)を、それぞれ、適宜選択する。それぞれの単量体は、単独であっても2種以上の単量体からなる混合物であってもよい。
【0044】
本発明で使用する重合体ラテックスは、水性媒体中、分散安定剤の存在下、M1とM2とを2段階で重合して得られるものであることが好ましい。この際、M1を重合した後、M2を重合してもよいし、M2を重合した後、M1を重合してもよい。なかでも、M2を重合した後、M1を重合して得られる重合体ラテックスが好ましい。
【0045】
M1とM2の重量比は、M1/M2が好ましくは20/80〜80/20、より好ましくは25/75〜70/30、特に好ましくは30/70〜50/50である。
【0046】
M1の好ましい単量体としては、アクリル酸n−ブチル(BA)とメタクリル酸メチル(MMA)との混合物が挙げられる。その重量比は、BA/MMAが、好ましくは70/30〜30/70、より好ましくは60/40〜40/60、特に好ましくは55/45〜45/55である。
M2の好ましい単量体としては、BAとMMAとの混合物またはMMA単独が挙げられる。その重量比は、BA/MMAが、好ましくは0/100〜20/80、より好ましくは0/100〜15/85、特に好ましくは1/99〜10/90である。
【0047】
2段階で重合する場合、1段目の重合転化率を、好ましくは80重量%以上、より好ましくは90重量%以上、特に好ましくは95重量%以上にする。
【0048】
重合温度は、特に制限はないが、通常、0〜100℃、好ましくは50〜95℃である。
【0049】
所定の重合転化率に到達した後、重合を停止する。重合の停止は、重合停止剤を添加するかまたは単に重合反応系を冷却することによって行うことができる。重合を停止する際の重合転化率は、好ましくは90重量%以上、より好ましくは93重量%以上、特に好ましくは95重量%以上である。
重合を停止した後、所望により、未反応の単量体を除去してもよい。
【0050】
本発明で使用する重合体ラテックスには、必要に応じて、キレート剤、分散剤、pH調整剤、防腐剤、可塑剤、消泡剤などの助剤を重合時または重合後に併用してもよい。
【0051】
以上のようにして得られた重合体ラテックスは、重合に使用した分散安定剤が結合した重合体ラテックス粒子からなる。重合体ラテックス粒子に結合している分散安定剤の量は、重合に使用した単量体が重合して形成された重合体100重量部に対して、好ましくは0.3〜30重量部、より好ましくは0.5〜20重量部、特に好ましくは1〜10重量部である。
【0052】
重合体ラテックス粒子に結合している分散安定剤の量は、例えば、重合に使用する分散安定剤の種類およびその使用量、重合開始剤の種類およびその使用量、並びに重合温度などを調整することにより調整できる。
【0053】
重合体ラテックスの体積平均粒子径は、通常、0.05〜5μm、好ましくは0.08〜2μm、より好ましくは0.1〜1μmである。この平均粒子径が小さくなると、重合中に増粘しやすくなり、取り扱いが困難になる。逆に平均粒子径が大きくなると均一なコーティング層が得られ難くなる。
【0054】
本発明のコーティング剤は、上記のアルコール性水酸基を含有する水溶性高分子化合物で分散安定化された重合体ラテックスとカチオン性界面活性剤とからなる。
【0055】
本発明で用いるカチオン性界面活性剤としては、従来公知のものが使用でき、例えば、第1級アミンの塩、第2級アミンの塩、第3級アミンの塩、第4級アンモニウム塩などが挙げられる。なかでも、第4級アンモニウム塩が好ましく使用できる。
【0056】
第1級アミンの塩としては、例えば、炭素数1〜18のアルキル基、アルケニル基、アリール基、アラルキル基などの置換基を有する第1級アミンの塩酸塩、硫酸塩、硝酸塩、酢酸塩などが挙げられる。
【0057】
第2級アミンの塩としては、例えば、炭素数1〜18のアルキル基、アルケニル基、アリール基、アラルキル基などの置換基を有する第2級アミンの塩酸塩、硫酸塩、硝酸塩、酢酸塩などが挙げられる。
【0058】
第3級アミンの塩としては、例えば、炭素数1〜18のアルキル基、アルケニル基、アリール基、アラルキル基などの置換基を有する第3級アミンの塩酸塩、硫酸塩、硝酸塩、酢酸塩などが挙げられる。
【0059】
第4級アンモニウム塩としては、例えば、下記一般式(1)で表されるもの、ピリジニウム塩、イミダゾリウム塩などが挙げられる。
一般式(1)
【化1】
式中、R1〜R4は、炭素数1〜18のアルキル基、アルケニル基、アリール基、アラルキル基から選ばれる基であり、互いに同一であっても、異なっていてもよい。Xは、ハロゲン原子を表す。
【0060】
一般式(1)で表される化合物の具体例としては、例えば、ラウリルトリメチルアンモニウムクロライド、ラウリルトリメチルアンモニウムブロマイド、セチルトリメチルアンモニウムクロライド、セチルトリメチルアンモニウムブロマイド、ステアリルトリメチルアンモニウムクロライド、ステアリルトリメチルアンモニウムブロマイド、ラウリルベンジルジメチルアンモニウムクロライド、セチルベンジルジメチルアンモニウムクロライド、ジデシルジメチルアンモニウムクロライド、ジステアリルジメチルアンモニウムクロライドなどが挙げられる。
一般式(1)で示される第4級アンモニウム塩のなかでも、R1〜R3が炭素数1〜4の低級アルキル基であり、R4が炭素数8〜18の高級アルキル基であり、対イオンが塩素イオンである化合物が好ましい。なかでも、セチルトリメチルアンモニウムクロライドが特に好ましく使用できる。
【0061】
ピリジニウム塩としては、例えば、下記一般式(2)で表されるものが挙げられる。
一般式(2)
【化2】
式中、R5〜R9は、炭素数1〜18のアルキル基、アルケニル基、アリール基、アラルキル基および水素原子から選ばれる基であり、互いに同一であっても、異なっていてもよい。R10は、炭素数1〜18のアルキル基、アルケニル基、アリール基およびアラルキル基から選ばれる基である。Xは、ハロゲン原子を表す。
【0062】
一般式(2)で表される化合物の具体例としては、例えば、ラウリルピリジニウムクロライド、ラウリルピリジニウムブロマイド、セチルピリジニウムクロライド、セチルピリジニウムブロマイドなどが挙げられる。なかでも、セチルピリジニウムクロライドが好ましく使用できる。
【0063】
イミダゾリウム塩としては、例えば、下記一般式(3)で表されるものが挙げられる。
一般式(3)
【化3】
式中、R11およびR12は、炭素数1〜18のアルキル基、アルケニル基、アリール基、アラルキル基から選ばれる基であり、互いに同一であっても、異なっていてもよい。R13は、炭素数12〜24のアルキル基、アルケニル基、アリール基、アラルキル基から選ばれる基である。Xは、ハロゲン原子である。
一般式(3)で表される化合物の具体例としては、例えば、2−ラウリル−N−メチル−N−ラウリルイミダゾリウムクロライド、2−ラウリル−N−エチル−N−ラウリルイミダゾリウムクロライドなどが挙げられる。
【0064】
上記の第四級アンモニウム塩の中でも、一般式(1)で示される第4級アンモニウム塩及び一般式(2)で示されるピリジニウム塩が好ましく使用でき、一般式(1)で示される第4級アンモニウム塩がより好ましく使用できる。
【0065】
カチオン性界面活性剤の使用量は、前記の重合体ラテックスの固形分100重量部に対して、好ましくは0.5〜20重量部、より好ましくは2〜10重量部である。この使用量が少なすぎると着脱性に劣る傾向があり、逆に多すぎても着脱性を改善する効果が頭打ちとなり、コーティング層に付着した過剰のカチオン性界面活性剤を除去することが困難になる傾向がある。
【0066】
本発明のコーティング剤組成物は、さらに微粒子を含むことが好ましい。微粒子は、特に限定されず、無機微粒子または有機微粒子のいずれを用いてもよい。なかでも、有機微粒子が好ましく使用できる。
【0067】
無機微粒子としては、例えば、シリカ、酸化マグネシウム、二酸化チタン、炭酸カルシウム等が挙げられる。
有機微粒子としては、例えば、アクリル樹脂、アクリル−スチレン樹脂、ウレタン樹脂、ポリアミド樹脂、オレフィン系樹脂、ホルムアルデヒド系樹脂、塩化ビニル系樹脂、塩化ビニリデン系樹脂、セルロース系樹脂、澱粉系およびそれらの架橋物などからなる微粒子が挙げられる。これらのなかでも、アクリル樹脂およびスチレン−アクリル樹脂からなる微粒子が、樹脂のガラス転移温度を比較的自由に調整できることから好ましい。
これらの微粒子は単独で、または2種以上を組み合わせて用いても良い。
【0068】
有機微粒子を構成する樹脂のガラス転移温度は、通常、60〜140℃、好ましくは70〜120℃、より好ましくは80〜110℃である。ガラス転移温度が低すぎると耐ブロッキング性に劣る傾向にあり、逆に高すぎると耐粉落ち性に劣る傾向にある。
【0069】
微粒子の体積平均粒子径は、通常、1〜50μm、好ましくは3〜30μmである。微粒子の体積平均粒子径がこの範囲にあると、より着脱性に優れ、装着感も良好なディップ成形品が得られる。
【0070】
微粒子の形状は、特に限定されないが、球状であることが好ましい。微粒子が球状であると、手袋を装着するときの感触が良好で、着脱時に粒子に力がかかりにくく脱離が少なくなる等の利点が得られる。
【0071】
微粒子の配合量は、前記の重合体ラテックス固形分100重量部に対して、微粒子が、通常、10〜200重量部、好ましくは20〜150重量部、より好ましくは40〜100重量部である。配合比率がこの範囲にあると、着脱性、耐粉落ち性および耐ブロッキング性のバランスにより優れるディップ成形品が得られる。
【0072】
本発明のコーティング剤組成物には、所望により、さらに、増粘剤、湿潤剤、消泡剤、pH調整剤、老化防止剤などを配合できる。また、アルコール類、セルソルブ類、グリコール類、グリセリンなどの水親和性溶媒を、乾燥性や成膜性の向上などの目的に応じて、適宜配合してもよい。
【0073】
コーティング剤組成物の固形分濃度は、通常、1〜15重量%、好ましくは2〜12重量%、より好ましくは3〜10重量%である。
【0074】
本発明のディップ成形品は、前記のコーティング剤組成物からなるコーティング層をディップ成形物の内表面に有する。コーティング量は、特に限定されないが、ディップ成形物の単位表面積に対する固形分量で、好ましくは0.1〜2g/m2、より好ましくは0.15〜1.5g/m2である。
【0075】
ディップ成形物としては、特に限定されないが、常法の直接浸漬法、凝着浸漬法、感熱浸漬法などのディップ成形法により、成形型上にディップ成形して得られる手袋、指サックなどが挙げられる。また、ディップ成形物は、特に限定されないが、天然ゴムラテックスや合成ゴムラテックスからなるものが使用できる。合成ゴムラテックスとしては、例えば、スチレン−ブタジエン共重合体ラテックス、アクリロニトリル−ブタジエン共重合体ラテックス、カルボキシ変性アクリロニトリル−ブタジエン共重合体ラテックスなどが挙げられる。
これらのなかでも、本発明のコーティング剤組成物は、特に、カルボキシ変性アクリロニトリル−ブタジエン共重合体ラテックスを用いて、凝着浸漬法により得られた手袋に好適に使用できる。
【0076】
ディップ成形において用いられる成形型としては、例えば、磁器製、陶器製、金属製、ガラス製、およびプラスチック製のものなどが挙げられる。ディップ成形品が手袋である場合、成形型は人の手の輪郭に対応する形状を有するものであり、製造しようとする手袋の使用目的に応じて、手首から指先までの形状のもの、肘から指先までの形状のもの等、種々の形状のものを用いることができる。
【0077】
ディップ成形物をコーティング剤組成物でコーティングする方法としては、通常、ディップ成形物をコーティング剤組成物に浸漬する方法、ディップ成形物にコーティング剤組成物を塗布する方法などが挙げられる。なかでも、均一な厚みを有するコーティング層が得られやすい点で、ディップ成形物をコーティング剤組成物に浸漬する方法が好ましい。
【0078】
コーティングは、ディップ成形物の製造工程中でディップ成形に引き続いて行ってもよく、また、できあがったディップ成形物に対して、後から行ってもよいが、本発明のディップ成形品がより簡便に得られる点で、前者の方法が好ましい。いずれの場合も、コーティングした後、乾燥してディップ成形品が得られる。
【0079】
ディップ成形物の製造工程中でコーティングを行なう場合は、以下のように行なう。
成形型上に形成されたディップ成形物をコーティング剤組成物に浸漬して、該ディップ成形物上に該コーティング剤組成物からなるコーティング層を形成した後、所望により加熱してディップ成形物を加硫し、次いで、成形型からディップ成形物を反転させながら脱着する。
このようにして、コーティング剤組成物からなるコーティング層をディップ成形物の内表面に有するディップ成形品が得られる。
【0080】
また、コーティングは、ディップ成形物の内表面だけに行っても、内外両表面に行ってもよく、また、ディップ成形物の全面に行っても、部分的に行ってもよい。
【0081】
本発明のディップ成形品は、厚みが約0.1〜約3ミリのものが製造でき、特に厚みが約0.1〜約0.3ミリの薄手のものに好適に使用できる。具体的には、哺乳瓶用乳首、スポイト、導管、水枕などの医療用品;風船、人形、ボールなどの玩具や運動具;加圧成形用バッグ、ガス貯蔵用バッグなどの工業用品;手術用、家庭用、農業用、漁業用および工業用のサポート型またはアンサポート型の手袋;指サックなどが挙げられる。中でも、手袋として好適であり、薄手の手袋として特に好適である。
【0082】
【実施例】
以下、本発明を実施例により、さらに詳細に説明する。なお、以下の記載における「%」および「部」は特に断りのない限り、重量基準である。
【0083】
(重合体ラテックスおよび有機微粒子の評価)
(1)体積平均粒子径(μm)
コールターLS230(コールター社製粒子径測定機)で測定した。
(2)ガラス転移温度(℃)
重合体ラテックスまたは有機微粒子の水分散体を枠付きガラス板に流延し、温度20℃、相対湿度65%の恒温恒湿室に48時間放置して、乾燥したものを試料とした。
上記試料のガラス転移温度を、示差走査熱量計(セイコー電子工業(株)社製:SSC5200)を用いて、開始温度−100℃、昇温速度5℃/分の条件で測定した。
(3)重合体粒子へのポリビニルアルコールの結合量
得られた重合体ラテックスの固形分濃度を10%に調整して、その60gを試料とする。この試料を遠心分離器(国産遠心機社製:H−2000A)を用いて、5℃で13,000rpm、60分間遠心分離し、その上澄み液50gを廃棄した。残部の沈降物に蒸留水50gを加えて、均一にした後、上記と同一条件で遠心分離して、上澄み液50gを廃棄した。残部の沈降物について、さらに、上記と同一の操作を、2回繰り返した。
その後、得られた沈降物を、40℃で48時間、真空乾燥した。得られた重合体を、1H−NMR分析して、重合で生成した重合体100重量部に対する、該重合体に結合しているポリビニルアルコール量を求めた。
ポリビニルアルコール以外のアルコール性水酸基を含有する水溶性高分子化合物の重合体粒子への結合量も同様にして測定することができる。
【0084】
(手袋物性の評価)
(4)着脱性
手袋内部を水で満たした後、それを排出して水に濡れた状態で手袋を装着し、その後脱着するときの難易度を、以下の基準で評価した。
(5)耐ブロッキング性
内表面にコーティング層を有する手袋を2枚のガラス板で挟み、ガラス板上に5Kgのおもりを置き、それを100℃のオーブン中に24時間放置した。室温まで、冷却した後、手袋の内面同士を剥がす際の剥がし易さを以下の基準で判定した。
評価基準
A:容易に剥がすことができる。
B:剥がす際に力を要する。
C:剥がすのが困難であり、無理に剥がすとゴム手袋が破損する。
(6)耐粉落ち性
ASTM D6124−97に従い、脱離樹脂量(mg)を測定した。この量が少ないほど、耐粉落ち性に優れる。
【0085】
(重合体ラテックスの製造)
(参考例1)
撹拌機付きの耐圧容器に、脱イオン水45部、メタクリル酸メチル47.5部、アクリル酸ブチル2.5部、及びポリビニルアルコール(PVA−205、クラレ社製、平均重合度500、けん化度88モル%)2.5部を添加し、撹拌して、単量体乳化物Iを得た。別の攪拌機付きの耐圧容器に、脱イオン水45部、アクリル酸ブチル27.5部、メタクリル酸メチル22.5部及びポリビニルアルコール(PVA−224E、クラレ社製、平均重合度2400、けん化度88モル%)1.5部を添加し、撹拌して、単量体乳化物IIを得た。
【0086】
別途、攪拌機付きの耐圧反応容器に、脱イオン水70部及びエタノール8部を入れ、温度を80℃に昇温し、80℃を維持した状態で、反応容器に前記単量体乳化物Iの連続添加を開始し、次いで、過硫酸カリウム0.3部を脱イオン水10部に溶解した重合開始剤水溶液を添加した。単量体乳化物Iの連続添加は120分間かけて終了した。添加終了後、さらに40分間、後反応を行なった。この時の重合転化率は99%であった。
【0087】
引き続き、単量体乳化物IIを120分間かけて反応容器に連続添加し、添加終了後、さらに2時間、後反応を行なった。その後、冷却して反応を終了させた。この時の重合転化率は98%であった。
未反応単量体を除去した後、固形分濃度を調整して、固形分濃度40%の重合体ラテックスA1を得た。
得られた重合体ラテックスA1の体積平均粒子径、ポリビニルアルコール結合量およびガラス転移温度を測定し、その結果を表1に示す。
【0088】
(参考例2)
表1に示す単量体乳化物Iのみを使用して、1段階で重合する以外は、参考例1と同様にして、重合体ラテックスA2を得た。
得られた重合体ラテックスA2の体積平均粒子径、ポリビニルアルコール結合量およびガラス転移温度を測定し、その結果を表1に示す。
【0089】
(参考例3)
表1に示す単量体乳化物Iに変更する以外は、参考例2と同様にして、重合体ラテックスA3を得た。
得られた重合体ラテックスA3の体積平均粒子径、ポリビニルアルコール結合量およびガラス転移温度を測定し、その結果を表1に示す。
【0090】
(参考例4)
表1に示す、単量体乳化物I、および単量体乳化物IIに変更する以外は、参考例1と同様にして、重合体ラテックスBを得た。なお、ポリビニルアルコールの代わりに、アニオン界面活性剤としてアルキルジフェニルエーテルジスルフォン酸ナトリウム(ペレックスSS−H;花王(株)製)を、ノニオン界面活性剤としてポリオキシエチレンラウリルエーテル(エマルゲン120;花王(株)製)を用いた。
得られた重合体ラテックスBの体積平均粒子径およびガラス転移温度を測定し、その結果を表1に示す。
【0091】
【表1】
【0092】
(有機微粒子の製造)
脱イオン水200部に、平均重合度500、ケン化度88モル%のポリビニルアルコール2部を溶解し、さらに、スチレン92.8部、アクリル酸ブチル7部、ジビニルベンゼン0.2部、t−ドデシルメルカプタン0.9部及びベンゾイルパーオキサイド5部を混合した溶液を添加した後、ホモジナイザー処理を行い、微細分散液を調製した。
これを温度制御ができる攪拌機つきの反応容器に移し、窒素置換を行った後90℃に昇温して重合を開始した。6時間後、冷却して反応を終了させた。このときの重合転化率は97%であった。
未反応単量体を除去した後、固形分濃度を調整して、固形分濃度30%の有機微粒子水性分散体を得た。
この有機微粒子の体積平均粒子径は4.8μm、ガラス転移温度は88℃であった。
【0093】
(実施例1)
(コーティング剤組成物)
重合体ラテックスA1を100部(固形分換算)と上記の有機微粒子水性分散体40部(固形分換算)とセチルトリメチルアンモニウムクロライド5部(固形分換算)とを混合した後、全体の固形分濃度を脱イオン水により4%に調整し、コーティング剤組成物Aを得た。
【0094】
(ディップ成形品の製造)
硫黄1部、ジエチルジチオカルバミン酸亜鉛0.5部、酸化亜鉛0.5部および酸化チタン1.5部を、水3.5部に分散して、加硫剤分散液を調製した。アクリロニトリル−ブタジエン−メタクリル酸共重合体ラテックス(1,3−ブタジエン単位67.5%、アクリロニトリル単位27%およびメタクリル酸単位5.5%、固形分濃度40%、ラテックスpH8.5)250部に、上記の加硫剤分散液7部を添加した後、水酸化カリウム水溶液および水を添加して、pH9.5、固形分濃度30%のディップ成形用組成物を調製した。
【0095】
一方、硝酸カルシウム20部、ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル0.05部及び脱イオン水80部の割合で混合して調製した固形分濃度20.4%の凝固剤溶液に磁器製の手型を10秒間浸漬し、引き上げた後60℃で、10分間乾燥して、凝固剤を手型に付着させた。
次に、凝固剤の付着した手型を上記のディップ成形用組成物に10秒間浸漬し、引き上げて、60℃で5分間乾燥し、50℃温水中に5分間浸漬した後、さらに、60℃で5分間乾燥させた。
【0096】
次いで、その手型を、前記コーティング剤組成物Aに10秒間浸漬し、引き上げた後、70℃で10分間乾燥し、さらに、120℃で20分間加硫処理して、手型の表面に固形皮膜物を得た。最後に、この固形皮膜物を手型から反転させながら剥ぎ取り、コーティング剤組成物Aからなるコーティング層を内表面に有する手袋を得た。この手袋の厚みは0.12mmで、コーティング量は1g/m2であった。
手袋の内表面が外側になるように手袋を反転させた。この手袋の外表面を流水下で1分間、もみ洗いし、乾燥させた後、再度、手袋を反転させた。このように洗浄処理した手袋の特性を評価し、その結果を表2に示す。
【0097】
(実施例2〜4)
コーティング剤組成物Aに代えて、表2に示す配合のコーティング剤組成物B〜Dを用いた以外は、実施例1と同様にして手袋を得た。得られた手袋の特性を評価し、それらの結果を表2に示す。
【0098】
(比較例1)
重合体ラテックスA1を100部(固形分換算)と有機微粒子水性分散体40部(固形分換算)とを混合し、全体の固形分濃度を脱イオン水により4%に調整してコーティング剤組成物Eを得た。コーティング剤組成物Aに代えて、コーティング剤組成物Eを用いた以外は、実施例1と同様にして手袋を得た。得られた手袋の特性を評価し、それらの結果を表2に示す。
【0099】
(比較例2)
重合体ラテックスBを100部(固形分換算)と有機微粒子水性分散体40部(固形分換算)とセチルトリメチルアンモニウムクロライド5部(固形分換算)とを混合した後、全体の固形分濃度を脱イオン水により4%に調整し、コーティング剤組成物Fを得た。コーティング剤組成物Aに代えて、コーティング剤組成物Fを用いた以外は、実施例1と同様にして手袋を得た。得られた手袋の特性を評価し、それらの結果を表2に示す。
【0100】
【表2】
【0101】
表2から次のことがわかる。
カチオン性界面活性剤を含まないコーティング剤組成物Eを用いて製造した比較例1の手袋は、洗浄処理後の着脱性に劣る。
乳化重合において通常使用されるアニオン界面活性剤およびノニオン界面活性剤の存在下で重合して得られた重合体ラテックスBを含むコーティング剤組成物Fを用いて製造した比較例2の手袋は、洗浄処理後の着脱性、耐ブロッキング性および耐粉落ち性に劣る。
【0102】
上記の比較例に比べ、本発明で規定する範囲内のコーティング剤組成物A〜Dを用いて製造した実施例1〜4の手袋は、洗浄後の着脱性、耐粉落ち性および耐ブロッキング性に優れている。このような手袋は、厳しい条件で洗浄される精密電子部品製造用、半導体部品製造用の手袋として好適に使用できる。
【0103】
【発明の効果】
本発明によれば、洗浄後も濡れた手の着脱性が良く、かつ粉落ち性および耐ブロッキング性に優れたディップ成形品および該ディップ成形品に好適なコーティング剤組成物が提供される。
Claims (4)
- アルコール性水酸基を含有する水溶性高分子化合物で分散安定化された重合体ラテックスとカチオン性界面活性剤とからなることを特徴とするコーティング剤組成物。
- 重合体ラテックスが、−20〜30℃の範囲にある第1のガラス転移温度(Tg1)を有する重合体と、60〜140℃の範囲にある第2のガラス転移温度(Tg2)を有する重合体と、を含有してなるものである請求項1記載のコーティング剤組成物。
- 請求項1記載のコーティング剤組成物からなるコーティング層をディップ成形物の内表面に有するディップ成形品。
- 手袋である請求項3記載のディップ成形品。
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