JP5594207B2 - ディップ成形用ラテックスの製造方法、ディップ成形用ラテックス及びディップ成形用組成物並びにディップ成形物 - Google Patents
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Description
このようなアクリロニトリル−ブタジエン共重合体ラテックスの生産に当たっては、特にコスト的観点から、如何に重合生産性を向上させるかが課題である。このためには、乳化重合による製造に際し、重合系における単量体濃度を高く(水の量を少なく)することが肝要である。
しかしながら、単量体濃度を高くすると、凝集物が多量に生成したり反応器缶壁にスケールが付着したりするという生産上の問題や、得られるラテックスの特性がディップ成形用として満足すべきものではないといった品質上の問題が生じる。
例えば、特許文献1には、風合い及び引張強度に優れたディップ成形物を与えるアクリロニトリル−ブタジエン共重合体ラテックスが開示されているが、そこに開示されている重合方法において水の量を減らしていくと、反応器缶壁にスケールが付着し、得られるラテックスは、多量の微小凝集物が発生してしまうということが判明した。
また、本発明の他の目的は、このディップ成形用ラテックスの製造方法によって得られる、ディップ成形用として満足すべき特性を有するディップ成形用ラテックスを提供することにある。
更に、本発明の他の目的は、このディップ成形用ラテックスを含有してなるディップ成形用組成物を提供することにある。
更に、本発明の他の目的は、このディップ成形用組成物を用いて優れた特性を有するディップ成形物を提供することにある。
また、本発明によれば、上記本発明のディップ成形用ラテックスの製造方法によって得られるディップ成形用ラテックスが提供される。
更に、本発明によれば、上記本発明のディップ成形用ラテックスを含有してなるディップ成形用組成物が提供される。
更に、本発明によれば、上記本発明のディップ成形用組成物をディップ成形してなるディップ成形物が提供される。
これらの共役ジエン単量体は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
共役ジエン単量体としては、上記のうち、1,3−ブタジエン及びイソプレンが好ましく、1,3−ブタジエンがより好ましく、用いられる。
これらのエチレン性不飽和ニトリル単量体は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
エチレン性不飽和ニトリル単量体は、上記のうち、アクリロニトリル及びメタクリロニトリルが好ましく、アクリロニトリルがより好ましく、用いられる。
カルボキシル基を含有するエチレン性不飽和単量体の具体例としては、アクリル酸、メタクリル酸等のエチレン性不飽和モノカルボン酸単量体;イタコン酸、マレイン酸、フマル酸等のエチレン性不飽和多価カルボン酸単量体;フマル酸モノブチル、マレイン酸モノブチル、マレイン酸モノ−2−ヒドロキシプロピル等のエチレン性不飽和多価カルボン酸部分エステル単量体を挙げることができる。
スルホン酸基を含有するエチレン性不飽和単量体の具体例としては、スチレンスルホン酸等を挙げることができる。
酸無水物基を含有するエチレン性不飽和単量体の具体例としては、無水マレイン酸、無水シトラコン酸等のエチレン性不飽和多価カルボン酸無水物を挙げることができる。
これらのエチレン性不飽和酸単量体はアルカリ金属塩又はアンモニウム塩として用いることもできる。
これらのエチレン性不飽和酸単量体は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
これらのエチレン性不飽和酸単量体の中でも、エチレン性不飽和カルボン酸単量体が好ましく、エチレン性不飽和モノカルボン酸単量体がより好ましく、メタクリル酸が特に好ましい。
エチレン性不飽和カルボン酸エステル単量体は、エチレン性不飽和モノカルボン酸エステルであってもエチレン性不飽和多価カルボン酸エステルであってもよい。
エチレン性不飽和モノカルボン酸エステルの具体例としては、アクリル酸エステル単量体及びメタクリル酸エステル単量体(以下、アクリル酸及びメタクリル酸を総称して、「(メタ)アクリル酸」ということがある。)等を挙げることができる。
(メタ)アクリル酸エステル単量体の代表的なものとしては、(メタ)アクリル酸アルキルエステル、(メタ)アクリル酸アリールエステル等を挙げることができる。
これらの(メタ)アクリル酸アルキルエステルや(メタ)アクリル酸アリールエステルは、アルキル基やアリール基の水素原子が、ハロゲン原子、水酸基、エポキシ基、アミノ基、シアノ基、アルコキシ基等で置換されたものであってもよい。
エチレン性不飽和ジカルボン酸ジエステルの具体例としては、マレイン酸ジエチル、マレイン酸ジブチル等のマレイン酸ジエステル;フマル酸ジエチル、フマル酸ジブチル等のフマル酸ジエステル;イタコン酸ジメチル、イタコン酸ジエチル等のイタコン酸ジエステル;等を挙げることができる。
そのような単量体の具体例としては、ジビニルベンゼン等のポリビニル芳香族単量体;ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトール(メタ)アクリレート等のポリアクリレート単量体;等を挙げることができる。
その他のエチレン性不飽和単量体の使用量は、重合に用いる全単量体100重量部に対して、19.5重量部以下である。その他のエチレン性不飽和単量体の使用量は、好ましくは14重量部以下、より好ましくは9重量部以下である。この量が多すぎると、得られるディップ成形物の風合いと引張強度とのバランスに劣る。
これらの重合開始剤は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
重合開始剤の使用量は、特に限定されないが、重合に使用する全単量体100重量部に対して、0.01〜1.0重量部であることが好ましい。
これらの還元剤は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
還元剤の使用量は、特に限定されないが、過酸化物開始剤1重量部に対して0.03〜10重量部であることが好ましい。
非イオン性乳化剤の具体例としては、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェノールエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエステル、ポリオキシエチレンソルビタンアルキルエステル等を挙げることができる。
共重合性乳化剤の具体例としては、α,β−不飽和カルボン酸のスルホエステル、α,β−不飽和カルボン酸のサルフェートエステル、スルホアルキルアリールエーテル等を挙げることができる。
乳化剤としては、上記のうち、アニオン性乳化剤が特に好適に用いられる。
初期単量体重合時における乳化剤の使用量は、初期重合単量体100重量部に対して、
通常、0.2〜8重量部、好ましくは0.3〜6重量部、より好ましくは0.5〜4重量部である。
この追加乳化剤の添加の時期は、初期重合単量体の重合転化率が40〜70重量%の範囲にあるときであることが必須であり、好ましくは45〜65重量%、より好ましくは50〜60重量%の範囲にあるときである。添加の時期が早すぎると、ラテックス粘度が上昇してディップ成形性が悪くなり、逆に添加の時期が遅すぎると、重合時の安定性が悪く、凝集物が発生する。
追加乳化剤の添加方法は、特に限定されないが、水溶液として添加することが、操作上、簡便である。
また、追加乳化剤は、全量を一度に添加してもよく、一定時間に亘って、添加してもよい。
ここで、逐次添加とは、絶え間なく単量体を添加する連続添加及び単量体を間欠的に添加する間欠添加の双方を含む概念である。
残余の単量体を逐次添加するに際して、単量体の組成は、逐次添加全時間帯に亘って同一でも、時間によって変化させてもよい。
このとき、エマルジョンは、通常、単量体100重量部に対して、水10〜200重量部及び乳化剤0.3〜3重量部を用いて調製すればよい。
このエマルジョンの調製に用いる乳化剤は、特に限定されないが、初期重合単量体の重合に用いたものを用いることが好ましい。
重合反応を停止する際の重合転化率は、好ましくは90重量%以上、より好ましくは93重量%以上である。
重合終了の方法は、重合停止剤の添加によってもよく、高温重合の場合は、重合系の温度を低下させることによってもよい。
その具体例としては、ヒドロキシルアミン、ヒドロキシアミン硫酸塩、ジエチルヒドロキシアミン、ヒドロキシアミンスルホン酸及びそのアルカリ金属塩等のヒドロキシアミン化合物;ジメチルジチオカルバミン酸ナトリウム;ハイドロキノン誘導体;カテコール誘導体;ヒドロキシジメチルベンゼンチオカルボン酸、ヒドロキシジエチルベンゼンジチオカルボン酸、ヒドロキシジブチルベンゼンジチオカルボン酸等の芳香族ヒドロキシジチオカルボン酸及びこれらのアルカリ金属塩等の芳香族ヒドロキシジチオカルボン酸化合物;等が挙げられる。
重合停止剤の使用量は、特に限定されないが、通常、全単量体100重量部に対して、0.1〜2重量部である。
また、本発明のディップ成形用ラテックスの製造方法によって得られる本発明のディップ成形用ラテックスは、凝集物の含有量、特に200メッシュ以上の凝集物の含有量、が少なく、好適には、ディップ成形用ラテックスの全固形分に対して、0.01重量%以下、より好適には0.005重量%以下である。
加硫剤としては、ディップ成形において通常用いられるものが使用できる。その具体例としては、粉末硫黄、硫黄華、沈降硫黄、コロイド硫黄、表面処理硫黄、不溶性硫黄等の硫黄;ヘキサメチレンジアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン等のポリアミン類;等が挙げられる。なかでも、硫黄が好ましい。
加硫剤の使用量は、ラテックス固形分100重量部に対して、好ましくは0.1〜5重量部、より好ましく0.3〜3重量部、特に好ましくは0.5〜2重量部である。
その具体例としては、ジエチルジチオカルバミン酸、ジブチルジチオカルバミン酸、ジ−2−エチルヘキシルジチオカルバミン酸、ジシクロヘキシルジチオカルバミン酸、ジフェニルジチオカルバミン酸、ジベンジルジチオカルバミン酸等のジチオカルバミン酸類及びそれらの亜鉛塩;2−メルカプトベンゾチアゾール、2−メルカプトベンゾチアゾール亜鉛、2−メルカプトチアゾリン、ジベンゾチアジル・ジスルフィド、2−(2,4−ジニトロフェニルチオ)ベンゾチアゾール、2−(N,N−ジエチルチオ・カルバイルチオ)ベンゾチアゾール、2−(2,6−ジメチル−4−モルホリノチオ)ベンゾチアゾール、2−(4′−モルホリノ・ジチオ)ベンゾチアゾール、4−モルホニリル−2−ベンゾチアジル・ジスルフィド、1,3−ビス(2−ベンゾチアジル・メルカプトメチル)ユリア等が挙げられる。なかでも、ジブチルジチオカルバミン酸亜鉛、2−メルカプトベンゾチアゾール、2−メルカプトベンゾチアゾール亜鉛が好ましい。
これらの加硫促進剤は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
加硫促進剤の使用量は、ラテックス固形分100重量部に対して、好ましくは0.1〜5重量部、より好ましくは0.3〜3重量部、特に好ましくは0.5〜2重量部である。
本発明のディップ成形用組成物のpHは、通常、8.5〜12、好ましくは9〜11の範囲である。
ディップ成形法としては、通常の方法を採用すればよく、例えば、直接浸漬法、アノード凝着浸漬法、ティーグ凝着浸漬法等が挙げられる。なかでも、均一な厚みを有するディップ成形物が得られやすい点で、アノード凝着浸漬法が好ましい。
凝固剤は、通常、水、アルコール、又はそれらの混合物の溶液として使用する。凝固剤濃度は、通常、5〜50重量%、好ましくは10〜30重量%である。
重合終了後、缶壁及び撹拌翼に付着しているスケールを目視で観察する。
〔ラテックスの粘度〕
ラテックスの固形分濃度を45%に、pHを8.3に調整して、B型粘度計を用いて計測する。
固形分濃度約45%の試料ラテックスの正確な固形分濃度を測定し、その試料ラテックス約100gを精秤した後、重量既知の200メッシュのSUS製金網でろ過し、金網上の凝集物を数回水洗して、ラテックスを除去する。これを、105℃で60分間、乾燥した後、その乾燥重量を測定する。
凝集物含有率は、下記(1)式から求められる。
凝集物含有率(%)={(A−B)/(C×D)}×10,000 (1)
ここで、
A: 乾燥後の、金網及び乾燥凝集物の重量
B: 金網の重量
C: 試料ラテックスの重量
D: 試料ラテックスの全固形分(%)
である。
(ディップ成形品の物性評価用試験片の作製)
ASTM D412に準じて、ゴム手袋状のディップ成形品をダンベル(Die−C)で打ち抜いて、試験片とした。
(引張強度)
試験片を、テンシロン万能試験機を用いて、引張速度500mm/分で引っ張り、破断直前の引張強度を測定した。
窒素置換した耐圧重合反応器に、初期重合単量体としてアクリロニトリル13.5部、1,3−ブタジエン33.75部及びメタクリル酸2.75部の合計50部、分子量調整剤としてt−ドデシルメルカプタン(tDM)0.5部、脱イオン水95部、乳化剤としてドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム(DBS)1.0部、重合開始剤として過硫酸カリウム0.2部、及び還元剤としてエチレンジアミン四酢酸ナトリウム(EDTA)0.1部を仕込んだ。重合系内の温度を35℃に上昇させて重合反応を開始した。
重合転化率が50%になった時点で、追加乳化剤として、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム1.0部を10%水溶液で一括添加した。
追加乳化剤ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウムの添加終了後、アクリロニトリル13.5部、1,3−ブタジエン33.75部及びメタクリル酸2.75部の合計50部(残余の単量体)並びにt−ドデシルメルカプタン0.4部を脱イオン水15.0部及びドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム0.5部で乳化して得たエマルジョンを270分間に亘って、重合系に連続添加した。この連続添加終了時の重合転化率は60%であった。
その後、全単量体の重合転化率が97%になるまで重合を継続し、その後、ジエチルヒドロキシルアミン0.1部を添加して重合反応を停止した。
得られたラテックスから、未反応単量体を留去した後、固形分濃度及びpHを調整して、固形分濃度45%、pH8.3のディップ成形用ラテックス1Aを得た。
重合反応後の反応器缶壁及び撹拌翼へのスケールの付着状況並びに得られたディップ成形用ラテックス1Aの200メッシュオン凝集物量及びB型粘度を表1に示す。
上記ディップ成形用ラテックス1Aを固形分濃度40%に調整し、その250部(固形分100部に相当)に、硫黄1部、酸化亜鉛1.5部、ジエチルカルバミン酸亜鉛0.5部、水酸化カリウム0.03部及び水5.63部を混合して調製した加硫剤分散液8.66部を混合した後、適量の5%水酸化カリウム水溶液、脱イオン水を加えて、固形分濃度30%、pH9.8のディップ成形用組成物1Bを得た。
一方、硝酸カルシウム20部、非イオン性乳化剤のポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル0.05部及び水80部を混合して調製した凝固剤水溶液に手袋型を1分間浸漬し、引き上げた後、50℃で3分間乾燥して、凝固剤を手袋型に付着させた。次に、凝固剤の付着した手袋型を上記のディップ成形用組成物1Bに6分間浸漬し、引き上げた後、そのディップ成形層が形成された手袋型を25℃で3分間乾燥し、次いで40℃の温水に3分間浸漬して、水溶性不純物を溶出させた。次いで、その手袋型を80℃で20分間乾燥し、引続き、120℃で25分間熱処理してディップ成形層を加硫した。最後に、加硫したディップ成形層を手袋型から剥して、手袋形状のディップ成形物1Cを得た。このディップ成形物1Cの引張強度の評価結果を表1に示す。
初期重合単量体の組成及び残余の単量体の組成を表1に示すように変えたほかは、実施例1Aと同様にして、ディップ成形用ラテックス2Aを得た。
重合反応後の反応器缶壁及び撹拌翼へのスケールの付着状況並びに得られたディップ成形用ラテックス2Aの200メッシュオン凝集物量及びB型粘度を表1に示す。
上記ディップ成形用ラテックス2Aを用いて、実施例1Bと同様にして、ディップ成形用組成物2Bを得た。
上記ディップ成形用組成物2Bを用いて、実施例1Cと同様にして、ディップ成形物2Cを得た。このディップ成形物2Cの引張強度の評価結果を表1に示す。
初期重合単量体の組成及び残余の単量体の組成を表1に示すように変えたほかは、実施例1Aと同様にして、ディップ成形用ラテックス3Aを得た。
重合反応後の反応器缶壁及び撹拌翼へのスケールの付着状況並びに得られたディップ成形用ラテックス3Aの200メッシュオン凝集物量及びB型粘度を表1に示す。
上記ディップ成形用ラテックス3Aを用いて、実施例1Bと同様にして、ディップ成形用組成物3Bを得た。
上記ディップ成形用組成物3Bを用いて、実施例1Cと同様にして、ディップ成形物3Cを得た。このディップ成形物3Cの引張強度の評価結果を表1に示す。
窒素置換した耐圧重合反応器に、アクリロニトリル27.0部、1,3−ブタジエン67.5部及びメタクリル酸5.5部の重合に使用する全単量体合計100部、t−ドデシルメルカプタン0.5部、脱イオン水150部、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム1.5部、過硫酸カリウム0.2部及びエチレンジアミン四酢酸ナトリウム0.1部を仕込んだ。重合系内の温度を35℃に上昇させて重合反応を開始した。
重合転化率が50%になった時点で、追加乳化剤として、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム1.0部を10%水溶液で一括添加した。
その後、全単量体の重合転化率が97%になるまで重合を継続し、その後、ジエチルヒドロキシルアミン0.1部を添加して重合反応を停止した。
得られたラテックスから、未反応単量体を留去した後、固形分濃度及びpHを調整して、固形分濃度45%、pH8.3のディップ成形用ラテックスC1Aを得た。
重合反応後の反応器缶壁及び撹拌翼へのスケールの付着状況並びに得られたディップ成形用ラテックスC1Aの200メッシュオン凝集物量及びB型粘度を表1に示す。
上記ディップ成形用ラテックスC1Aを用いて、実施例1Bと同様にして、ディップ成形用組成物C1Bを得た。
上記ディップ成形用組成物C1Bを用いて、実施例1Cと同様にして、ディップ成形物C1Cを得た。このディップ成形物C1Cの引張強度の評価結果を表1に示す。
重合時の脱イオン水の量を150部から110部に減少させたほかは、比較例1と同様にして、固形分濃度45%、pH8.3のディップ成形用ラテックスC2Aを得た。
重合反応後の反応器缶壁及び撹拌翼へのスケールの付着状況並びに得られたディップ成形用ラテックスC2Aの200メッシュオン凝集物量及びB型粘度を表1に示す。
上記ディップ成形用ラテックスC2Aを用いて、実施例1Bと同様にして、ディップ成形用組成物C2Bを得た。
上記ディップ成形用組成物C2Bを用いて、実施例1Cと同様にして、ディップ成形物C2Cを得た。このディップ成形物C2Cの引張強度の評価結果を表1に示す。
窒素置換した耐圧重合反応器に、脱イオン水95部、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム0.5部及びエチレンジアミン四酢酸ナトリウム0.1部を仕込み、重合系内の温度を35℃に上昇させた。
次いで、アクリロニトリル27.0部、1,3−ブタジエン67.5部及びメタクリル酸5.5部の重合に使用する全単量体合計100部並びにt−ドデシルメルカプタン0.5部を、脱イオン水15.0部及びドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム0.5部を用いて調製したエマルジョンの連続添加(添加速度:10部/時)を開始した。
エマルジョンの連続添加開始15分後に、過硫酸カリウム0.2部を添加して重合を開始した。
エマルジョンの連続添加が終了した時点で、追加乳化剤として、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム1部を10%水溶液で一括添加した。
その後、全単量体の重合転化率が97%になるまで重合を継続し、その後、ジエチルヒドロキシルアミン0.1部を添加して重合反応を停止した。
得られたラテックスから、未反応単量体を留去した後、固形分濃度及びpHを調整して、固形分濃度45%、pH8.3のディップ成形用ラテックスC3Aを得た。
重合反応後の反応器缶壁及び撹拌翼へのスケールの付着状況並びに得られたディップ成形用ラテックスC3Aの200メッシュオン凝集物量及びB型粘度を表1に示す。
上記ディップ成形用ラテックスC3Aを用いて、実施例1Bと同様にして、ディップ成形用組成物C3Bを得た。
上記ディップ成形用組成物C3Bを用いて、実施例1Cと同様にして、ディップ成形物C3Cを得た。このディップ成形物C3Cの引張強度の評価結果を表1に示す。
初期重合単量体の重合時のメタクリル酸の量を2.75部から5.5部に変え、残余の単量体中のメタクリル酸の量をゼロとしたほかは、実施例1と同様にして、固形分濃度45%、pH8.3のディップ成形用ラテックスC4Aを得た。
重合反応後の反応器缶壁及び撹拌翼へのスケールの付着状況並びに得られたディップ成形用ラテックスC4Aの200メッシュオン凝集物量及びB型粘度を表1に示す。
上記ディップ成形用ラテックスC4Aを用いて、実施例1Bと同様にして、ディップ成形用組成物C4Bを得た。
上記ディップ成形用組成物C4Bを用いて、実施例1Cと同様にして、ディップ成形物C4Cを得た。このディップ成形物C4Cの引張強度の評価結果を表1に示す。
本発明のディップ成形用ラテックスの製造方法によれば、重合時のスケールやラテックス中の凝集物の発生もなく、pH調整後のラテックスの粘度も上昇せず、また、得られたディップ成形用ラテックスから得たディップ成形物の引張強度も良好である(実施例1〜3)。
これに対して、全単量体を一括添加して重合した場合、固形分濃度が40%のときは、重合時のスケールやラテックス中の凝集物の発生もなく、ラテックスの粘度やディップ成形物の引張強度も本発明のそれらと同等である(比較例1)。しかし、ラテックスの重合生産性を向上させるべく固形分濃度を上げると、多量の重合時スケールやラテックス中の凝集物の発生が見られる。
全単量体を連続添加した場合は、重合時のスケールやラテックス中の凝集物の発生はなく、得られるラテックスの粘度も本発明のそれと同等であるが、得られるディップ成形物の引張強度は、本発明のそれと比べると大幅に低下する(比較例3)。
本発明の重合方法と同様に、初期重合単量体を用いて重合を開始し、その後、乳化剤を添加し、次いで、残余の単量体を重合する方法を採用した場合でも、単量体の組成が本発明で規定する範囲を外れるときは、重合時のスケールやラテックス中の凝集物の発生はなく、得られるディップ成形物の引張強度は本発明のそれと同等であるものの、得られるラテックスの粘度が大幅に上昇してしまう(比較例3)。
Claims (2)
- 共役ジエン単量体50〜89.5重量部、エチレン性不飽和ニトリル単量体10〜40重量部、エチレン性不飽和酸単量体0.5〜10重量部及びこれらと共重合可能なその他のエチレン性不飽和単量体0〜19.5重量部からなる単量体100重量部を共重合するディップ成形用ラテックスの製造方法であって、(1)使用する全単量体の40〜60重量%からなる単量体であって重合に使用するエチレン性不飽和酸単量体全量の40〜60重量%を含有する初期重合単量体を用いて第一段階の重合を開始し、(2)前記初期重合単量体の重合転化率が40〜70重量%の範囲にあるときに、重合に使用する全単量体重量に対して0.1〜5重量%の追加乳化剤を重合系に添加し、(3)前記乳化剤添加終了後、残余の単量体を重合系に逐次添加して第二段階の重合を行ない、前記第一段階の重合においては、前記初期重合単量体100重量部に対して0.2〜8重量部の乳化剤を使用し、前記第二段階の重合においては、前記残余の単量体100重量部に対して0.3〜3重量部の乳化剤を使用することを特徴とするディップ成形用ラテックスの製造方法。
- 請求項1に記載のディップ成形用ラテックスの製造方法によって得られるディップ成形用ラテックス。
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