JP7020487B2 - ディップ成形体の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、ディップ成形体の製造方法に係り、さらに詳しくは、黄変などの着色の発生が有効に防止されたディップ成形体の製造方法に関する。
重合体ラテックスを含有するディップ成形用組成物をディップ成形することで、乳首、風船、手袋、バルーン、サック等のディップ成形体を得る技術が知られている。
たとえば、特許文献1では、カルボン酸変性ニトリル系共重合体ラテックスを含有するディップ成形用組成物を、凝固塩として硝酸塩を用いて、ディップ成形することでディップ成形体を製造する技術が開示されている。この特許文献1によれば、手術用手袋、検査手袋、コンドーム、カテーテル、産業用手袋、家庭用手袋または健康管理用品などに用いられるディップ成形体を得るものであるが、その一方で、この特許文献1の技術において得られるディップ成形体は、架橋時の加熱等により黄変してしまうという問題があり、製品価値の向上という観点より、このような黄変の抑制が望まれていた。
特開2016-532743号公報
本発明は、このような実状に鑑みてなされたものであり、黄変などの着色の発生が有効に防止されたディップ成形体を製造するための方法を提供することを目的とする。
本発明者等は、上記目的を達成するために鋭意検討を行った結果、重合体ラテックスを含有するディップ成形用組成物を、凝固塩として硝酸塩を用いて、ディップ成形する際に、ディップ成形用組成物中に含まれる亜硝酸イオンの量を10重量ppm以下に制御した条件にてディップ成形を行うことで、上記目的を達成できることを見出し、本発明を完成させるに至った。
すなわち、本発明によれば、重合体ラテックスを含有するディップ成形用組成物をディップ成形することで、ディップ成形体を製造する方法であって、凝固塩として硝酸塩を用いるとともに、前記ディップ成形用組成物中における亜硝酸イオンの量を10重量ppm以下に制御した条件にてディップ成形を行うことを特徴とするディップ成形体の製造方法が提供される。
本発明の製造方法において、前記ディップ成形用組成物中における硝酸イオンの量を10重量ppm以下に制御した条件にてディップ成形を行うことが好ましい。
本発明の製造方法において、前記ディップ成形用組成物中における脱窒菌の量を1.0×10(CFU/ml)以下に制御した条件にてディップ成形を行うことが好ましい。
また、本発明の製造方法において、前記ディップ成形用組成物を保管する際における保管温度を0~18℃の範囲とすることが好ましい。
本発明の製造方法においては、前記ディップ成形用組成物として、凝固塩として硝酸塩を用いたディップ成形に既に使用した履歴を有するディップ成形用組成物を用いることができる。
本発明の製造方法において、前記ディップ成形用組成物の固形分濃度が、3.0~50重量%であることが好ましい。
本発明の製造方法において、前記重合体ラテックスを構成する重合体が、ニトリルゴムであることが好ましい。
本発明によれば、黄変などの着色の発生が有効に防止されたディップ成形体を製造するための方法を提供することができる。
本発明のディップ成形体の製造方法は、重合体ラテックスを含有するディップ成形用組成物をディップ成形することで、ディップ成形体を製造する方法であって、凝固塩として硝酸塩を用いるとともに、前記ディップ成形用組成物中における亜硝酸イオンの量を10重量ppm以下に制御した条件にてディップ成形を行うものである。
<重合体ラテックス>
まず、本発明の製造方法で用いる、重合体ラテックスについて説明する。
本発明の製造方法で用いる、重合体ラテックスを構成する重合体としては、その重合体の種類に特に限定はなく、天然ゴム;ブタジエンやイソプレンなどの共役ジエンを含む単量体を重合してなる共役ジエン系ゴム;等が挙げられる。これらの中でも、共役ジエン系ゴムが好ましい。共役ジエン系ゴムとしては、ニトリル基含有単量体を共重合してなるいわゆるニトリルゴム、イソプレンゴム、スチレン-ブタジエンゴム、クロロプレンゴム等が挙げられ、これらの中でも、ニトリルゴムが特に好ましい。
ニトリルゴムとしては、特に限定されないが、α,β-エチレン性不飽和ニトリル単量体および共役ジエン単量体、ならびに必要に応じて用いられる共重合可能なその他の単量体を共重合したものを用いることができる。
α,β-エチレン性不飽和ニトリル単量体としては、特に限定されないが、ニトリル基を有し、炭素数が、好ましくは3~18であるエチレン性不飽和化合物を用いることができる。このようなα,β-エチレン性不飽和ニトリル単量体としては、たとえば、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、ハロゲン置換アクリロニトリルなどが挙げられ、これらの中でも、アクリロニトリルが特に好ましい。なお、これらのα,β-エチレン性不飽和ニトリル単量体は、1種単独用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
ニトリルゴムにおけるα,β-エチレン性不飽和ニトリル単量体単位の含有割合は、全単量体単位に対して、好ましくは10~50重量%、より好ましくは15~45重量%、さらに好ましくは20~40重量%である。α,β-エチレン性不飽和ニトリル単量体単位の含有割合を上記範囲にすることにより、得られるディップ成形体を引張強度および風合いに優れたものとすることができる。
共役ジエン単量体としては、1,3-ブタジエン、イソプレン、2,3-ジメチル-1,3-ブタジエン、1,3-ペンタジエン、クロロプレンなどの炭素数4~6の共役ジエン単量体が好ましく、1,3-ブタジエンおよびイソプレンがより好ましく、1,3-ブタジエンが特に好ましい。なお、これらの共役ジエン単量体は、1種単独用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
ニトリルゴムにおける共役ジエン単量体単位の含有割合は、ニトリルゴムを構成する全単量体単位に対して、好ましくは30~89重量%、より好ましくは40~84重量%、さらに好ましくは50~78重量%である。共役ジエン単量体単位の含有割合を上記範囲にすることにより、得られるディップ成形体を引張強度および風合いに優れたものとすることができる。
また、ニトリルゴムとしては、α,β-エチレン性不飽和ニトリル単量体および共役ジエン単量体に加えて、エチレン性不飽和酸単量体を共重合してなるものであってもよい。
エチレン性不飽和酸単量体としては、特に限定されないが、たとえば、カルボキシル基含有エチレン性不飽和単量体、スルホン酸基含有エチレン性不飽和単量体、リン酸基含有エチレン性不飽和単量体などが挙げられる。
カルボキシル基含有エチレン性不飽和単量体としては、特に限定されないが、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸等のエチレン性不飽和モノカルボン酸;フマル酸、マレイン酸、イタコン酸、無水マレイン酸、無水イタコン酸等のエチレン性不飽和多価カルボン酸およびその無水物;マレイン酸メチル、イタコン酸メチル等のエチレン性不飽和多価カルボン酸の部分エステル化物;などが挙げられる。
スルホン酸基含有エチレン性不飽和単量体としては、特に限定されないが、ビニルスルホン酸、メチルビニルスルホン酸、スチレンスルホン酸、(メタ)アリルスルホン酸、(メタ)アクリル酸-2-スルホン酸エチル、2-アクリルアミド-2-ヒドロキシプロパンスルホン酸などが挙げられる。
リン酸基含有エチレン性不飽和単量体としては、特に限定されないが、(メタ)アクリル酸-3-クロロ-2-リン酸プロピル、(メタ)アクリル酸-2-リン酸エチル、3-アリロキシ-2-ヒドロキシプロパンリン酸などが挙げられる。
これらのエチレン性不飽和酸単量体は、アルカリ金属塩またはアンモニウム塩として用いることもでき、また、1種単独用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。上記のエチレン性不飽和酸単量体のなかでも、カルボキシル基含有エチレン性不飽和単量体が好ましく、エチレン性不飽和モノカルボン酸がより好ましく、メタクリル酸またはアクリル酸が好ましく、メタクリル酸が特に好ましい。
ニトリルゴムにおけるエチレン性不飽和酸単量体単位の含有割合は、ニトリルゴムを構成する全単量体単位に対して、好ましくは1~20重量%、より好ましくは1~15重量%、さらに好ましくは2~10重量%である。エチレン性不飽和酸単量体単位の含有割合を上記範囲とすることにより、得られるディップ成形体の引張強度をより高めることができる。
また、ニトリルゴムとしては、α,β-エチレン性不飽和ニトリル単量体、共役ジエン単量体、および必要に応じて含有されるエチレン性不飽和酸単量体に加えて、これらの単量体と共重合可能なその他の単量体を共重合したものであってもよい。
共重合可能なその他の単量体としては、スチレン、アルキルスチレン、ビニルナフタレン等のビニル芳香族単量体;フルオロエチルビニルエーテル等のフルオロアルキルビニルエーテル;(メタ)アクリルアミド、N-メチロール(メタ)アクリルアミド、N,N-ジメチロール(メタ)アクリルアミド、N-メトキシメチル(メタ)アクリルアミド、N-プロポキシメチル(メタ)アクリルアミド等のエチレン性不飽和アミド単量体;(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸-2-エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸トリフルオロエチル、(メタ)アクリル酸テトラフルオロプロピル、マレイン酸ジブチル、フマル酸ジブチル、マレイン酸ジエチル、(メタ)アクリル酸メトキシメチル、(メタ)アクリル酸エトキシエチル、(メタ)アクリル酸メトキシエトキシエチル、(メタ)アクリル酸シアノメチル、(メタ)アクリル酸-2-シアノエチル、(メタ)アクリル酸-1-シアノプロピル、(メタ)アクリル酸-2-エチル-6-シアノヘキシル、(メタ)アクリル酸-3-シアノプロピル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシプロピル、グリシジル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート等のエチレン性不飽和カルボン酸エステル単量体;ジビニルベンゼン、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトール(メタ)アクリレート等の架橋性単量体;などが挙げられる。これらの共重合可能なその他の単量体は、単独で、または2種以上を組み合わせて使用することができる。
ニトリルゴムにおける共重合可能なその他の単量体の単位の含有割合は、ニトリルゴムを構成する全単量体単位に対して、好ましくは20重量%以下、好ましくは15重量%以下、さらに好ましくは10重量%以下である。
本発明で用いる重合体ラテックスが、ニトリルゴムなどの共役ジエン系ゴムである場合、本発明で用いる重合体ラテックスは、たとえば、上記の単量体を含有してなる単量体混合物を乳化重合することにより得ることができる。乳化重合に際しては、通常用いられる、乳化剤、重合開始剤、分子量調整剤等の重合副資材を使用することができる。これら重合副資材の添加方法は特に限定されず、初期一括添加法、分割添加法、連続添加法などいずれの方法でもよい。
乳化剤としては、特に限定されないが、たとえば、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェノールエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエステル、ポリオキシエチレンソルビタンアルキルエステル等の非イオン性乳化剤;ドデシルベンゼンスルホン酸カリウム、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウムなどのアルキルベンゼンスルホン酸塩、高級アルコール硫酸エステル塩、アルキルスルホコハク酸塩等のアニオン性乳化剤;アルキルトリメチルアンモニウムクロライド、ジアルキルアンモニウムクロライド、ベンジルアンモニウムクロライド等のカチオン性乳化剤;α,β-不飽和カルボン酸のスルホエステル、α,β-不飽和カルボン酸のサルフェートエステル、スルホアルキルアリールエーテル等の共重合性乳化剤などを挙げることができる。なかでも、アニオン性乳化剤が好ましく、アルキルベンゼンスルホン酸塩がより好ましく、ドデシルベンゼンスルホン酸カリウムおよびドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウムが特に好ましい。これらの乳化剤は、単独で、または2種以上を組合せて用いることができる。乳化剤の使用量は、単量体混合物100重量部に対して、好ましくは0.1~10重量部である。
重合開始剤としては、特に限定されないが、たとえば、過硫酸ナトリウム、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム、過リン酸カリウム、過酸化水素等の無機過酸化物;ジイソプロピルベンゼンハイドロパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイド、t-ブチルハイドロパーオキサイド、1,1,3,3-テトラメチルブチルハイドロパーオキサイド、2,5-ジメチルヘキサン-2,5-ジハイドロパーオキサイド、ジ-t-ブチルパーオキサイド、ジ-α-クミルパーオキサイド、アセチルパーオキサイド、イソブチリルパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド等の有機過酸化物;アゾビスイソブチロニトリル、アゾビス-2,4-ジメチルバレロニトリル、アゾビスイソ酪酸メチル等のアゾ化合物;などを挙げることができる。これらの重合開始剤は、それぞれ単独で、または2種類以上を組み合わせて使用することができる。
なお、過酸化物開始剤は、重合体ラテックスを安定して製造することができ、しかも、機械的強度が高く、風合いが柔らかなディップ成形物が得られるので好ましく用いられる。重合開始剤の使用量は、単量体混合物100重量部に対して、好ましくは0.01~10重量部、より好ましくは0.01~2重量部である。
また、過酸化物開始剤は還元剤との組み合わせで、レドックス系重合開始剤として使用することができる。この還元剤としては、特に限定されないが、硫酸第一鉄、ナフテン酸第一銅等の還元状態にある金属イオンを含有する化合物;メタンスルホン酸ナトリウム等のスルホン酸化合物;ジメチルアニリン等のアミン化合物;エチレンジアミン四酢酸ナトリウム等のカルボン酸化合物;などが挙げられる。これらの還元剤は単独で、または2種以上を組合せて用いることができる。還元剤の使用量は、過酸化物100重量部に対して3~1000重量部であることが好ましい。
乳化重合する際に使用する水の量は、使用する全単量体100重量部に対して、80~600重量部が好ましく、100~200重量部が特に好ましい。
単量体の添加方法としては、たとえば、反応容器に使用する単量体を一括して添加する方法、重合の進行に従って連続的または断続的に添加する方法、単量体の一部を添加して特定の転化率まで反応させ、その後、残りの単量体を連続的または断続的に添加して重合する方法等が挙げられ、いずれの方法を採用してもよい。単量体を混合して連続的または断続的に添加する場合、混合物の組成は、一定としても、あるいは変化させてもよい。また、各単量体は、使用する各種単量体を予め混合してから反応容器に添加しても、あるいは別々に反応容器に添加してもよい。
さらに、必要に応じて、キレート剤、分散剤、pH調整剤、脱酸素剤、粒子径調整剤等の重合副資材を用いることができ、これらは種類、使用量とも特に限定されない。
乳化重合を行う際の重合温度は、特に限定されないが、通常、5~95℃、好ましくは30~70℃である。重合時間は5~40時間程度である。
以上のように単量体混合物を乳化重合し、所定の重合転化率に達した時点で、重合系を冷却したり、重合停止剤を添加したりして、重合反応を停止する。重合反応を停止する際の重合転化率は、好ましくは90重量%以上、より好ましくは93重量%以上である。
重合停止剤としては、特に限定されないが、たとえば、ヒドロキシルアミン、ヒドロキシアミン硫酸塩、ジエチルヒドロキシルアミン、ヒドロキシアミンスルホン酸およびそのアルカリ金属塩、ジメチルジチオカルバミン酸ナトリウム、ハイドロキノン誘導体、カテコール誘導体、ならびに、ヒドロキシジメチルベンゼンチオカルボン酸、ヒドロキシジエチルベンゼンジチオカルボン酸、ヒドロキシジブチルベンゼンジチオカルボン酸などの芳香族ヒドロキシジチオカルボン酸およびこれらのアルカリ金属塩などが挙げられる。重合停止剤の使用量は、単量体混合物100重量部に対して、好ましくは0.05~2重量部である。
重合反応を停止した後、所望により、未反応の単量体を除去し、固形分濃度やpHを調整することで、重合体ラテックスを得ることができる。
<ディップ成形用組成物>
本発明の製造方法で用いるディップ成形用組成物は、上述した重合体ラテックスを少なくとも含有するものであり、上述した重合体ラテックスに加えて、架橋剤を含有するものであることが好ましい。
架橋剤としては、ディップ成形において通常用いられるものが使用でき、たとえば、粉末硫黄、硫黄華、沈降性硫黄、コロイド硫黄、表面処理硫黄、不溶性硫黄などの硫黄;塩化硫黄、二塩化硫黄、モルホリンジスルフィド、アルキルフェノールジスルフィド、ジベンゾチアジルジスルフィド、カプロラクタムジスルフィド、含リンポリスルフィド、高分子多硫化物などの含硫黄化合物;テトラメチルチウラムジスルフィド、ジメチルジチオカルバミン酸セレン、2-(4’-モルホリノジチオ)ベンゾチアゾールなどの硫黄供与性化合物;ヘキサメチレンジアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン等のポリアミン類;などが挙げられる。これらの架橋剤は、1種単独用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
架橋剤の配合量は、重合体ラテックス中に含まれる重合体100重量部に対し、好ましくは0.5~10重量部、より好ましくは0.5~5重量部である。
架橋剤として硫黄を使用する場合には、架橋促進剤(加硫促進剤)や、酸化亜鉛を併用することが好ましい。
架橋促進剤(加硫促進剤)としては、特に限定されないが、たとえば、ジエチルジチオカルバミン酸、ジブチルジチオカルバミン酸、ジ-2-エチルヘキシルジチオカルバミン酸、ジシクロヘキシルジチオカルバミン酸、ジフェニルジチオカルバミン酸、ジベンジルジチオカルバミン酸などのジチオカルバミン酸類およびそれらの亜鉛塩;2-メルカプトベンゾチアゾール、2-メルカプトベンゾチアゾール亜鉛、2-メルカプトチアゾリン、ジベンゾチアジル・ジスルフィド、2-(2,4-ジニトロフェニルチオ)ベンゾチアゾール、2-(N,N-ジエチルチオ・カルバイルチオ)ベンゾチアゾール、2-(2,6-ジメチル-4-モルホリノチオ)ベンゾチアゾール、2-(4′-モルホリノ・ジチオ)ベンゾチアゾール、4-モルホリニル-2-ベンゾチアジル・ジスルフィド、1,3-ビス(2-ベンゾチアジル・メルカプトメチル)ユリアなどが挙げられ、これらの中でも、ジエチルジチオカルバミン酸亜鉛、ジブチルジチオカルバミン酸亜鉛、2-メルカプトベンゾチアゾール、2-メルカプトベンゾチアゾール亜鉛が好ましい。これらの架橋促進剤は、1種単独用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
また、本発明の製造方法で用いるディップ成形用組成物には、所望により、架橋助剤、充填剤、pH調整剤、増粘剤、老化防止剤、分散剤、顔料、充填剤、軟化剤等を配合してもよい。
本発明の製造方法で用いるディップ成形用組成物の固形分濃度は、好ましくは3.0~50重量%、より好ましくは5.0~40重量%である。更に好ましくは、7.0~40重量%である。また、本発明の製造方法で用いるディップ成形用組成物のpHは、好ましくは8.5~12、より好ましくは9~11である。
<ディップ成形体の製造方法>
次いで、本発明のディップ成形体の製造方法について説明する。
本発明のディップ成形体の製造方法は、上述した重合体ラテックスを含有するディップ成形用組成物を、凝固塩として硝酸塩を用いて、ディップ成形することで、ディップ成形体を製造する方法である。そして、この際に、ディップ成形用組成物中における亜硝酸イオンの量を10重量ppm以下に制御し、亜硝酸イオンの量を10重量ppm以下に制御した条件にて、ディップ成形を行うものである。
本発明の製造方法において、ディップ成形は、たとえば、次の方法により行うことができる。すなわち、ディップ成形用型を、凝固塩としての硝酸塩の水溶液に浸漬して、ディップ成形用型表面に硝酸塩を付着させた後、それをディップ成形用組成物に浸漬して、ディップ成形用型表面にディップ成形層を形成することにより行うことができる。
凝固塩としての硝酸塩としては、たとえば、硝酸バリウム、硝酸カルシウム、硝酸亜鉛などが挙げられる。本発明の製造方法においては、凝固塩として、硝酸塩を用いるものであるが、このような硝酸塩を用いることにより、ディップ成形時の凝固性、および得られるディップ成形体の機械的特性を良好なものとすることができるものである。なお、凝固塩としての硝酸塩は、通常、水溶液の形態にて使用するが、硝酸塩の水溶液中には、さらにメタノール、エタノールなどの水溶性有機溶媒やノニオン性界面活性剤を含有させてもよい。硝酸塩の水溶液中における、硝酸塩の濃度は、通常、5~70重量%、好ましくは10~50重量%である。
本発明の製造方法においては、ディップ成形時の凝固性、および得られるディップ成形体の機械的特性を良好にできるという観点より、凝固塩として硝酸塩を用いるものであるが、その一方で、凝固塩として硝酸塩を用いてディップ成形を行うと、得られるディップ成形体に黄変などの着色の発生、特に、架橋時などの加熱などにより着色が発生してしまうという不具合があり、特に、製品価値の向上という観点より、このような着色の発生を抑制することが望ましいといえる。
これに対し、本発明者等が、鋭意検討を行ったところ、ディップ成形に用いるディップ成形用組成物中における亜硝酸イオンの量を10重量ppm以下に制御することにより、このような黄変などの着色の発生を有効に防止できることを見出し、本発明を完成させるに至ったものである。
すなわち、本発明の製造方法においては、ディップ成形に用いる、ディップ成形用組成物中における亜硝酸イオン(NO )の量を10重量ppm以下に制御するものであり、好ましくは8重量ppm以下、より好ましくは6重量ppm以下に制御することが好ましい。亜硝酸イオンの量を10重量ppm以下に制御することで、得られるディップ成形体の黄変などの着色の発生を有効に抑制できる一方で、亜硝酸イオンの量が10重量ppmを超えると、得られるディップ成形体に黄変などの着色の発生が発生してしまう。
特に、本発明者等が検討を行ったところ、凝固塩として硝酸塩を用いてディップ成形を行った場合には、凝固塩としての硝酸塩が、ディップ成形用組成物中に硝酸イオン(NO )の形態で混入してしまい、混入した硝酸イオンが還元されることで、亜硝酸イオン(NO )となり、このような亜硝酸イオンが、得られるディップ成形体に黄変などの着色を発生させる原因となることがわかった。特に、このような硝酸塩のディップ成形用組成物中への混入による影響は、(1)ディップ成形用組成物を繰り返し使用して、ディップ成形体を繰り返し製造した場合、すなわち、ディップ成形用組成物に、ディップ成形用型の浸漬する操作を繰り返し行うことで、複数のディップ成形体を製造した場合や、(2)ディップ成形用組成物を用いて、ディップ成形体の製造を行った後、ディップ成形用組成物を一度保管し、保管したディップ成形用組成物を、再度使用してディップ成形体を製造した場合、などにおいて顕著となるものである。
これに対し、本発明によれば、ディップ成形用組成物中における、亜硝酸イオンの量を10重量ppm以下に制御することで、上記(1)、(2)のような場合でも、得られるディップ成形体における黄変などの着色の発生を有効に抑制できるものである。
すなわち、たとえば、上記(1)のように、ディップ成形用組成物を繰り返し使用して、ディップ成形体を繰り返し製造した場合、すなわち、ディップ成形用組成物に、ディップ成形用型の浸漬する操作を繰り返し行うことで、複数のディップ成形体を製造した場合において、繰り返し製造している際において、ディップ成形用組成物中における、亜硝酸イオンの量を10重量ppm以下に制御し続けることで、繰り返し製造されるディップ成形体における、黄変などの着色の発生を有効に抑制できるものである。
なお、この場合において、ディップ成形用組成物中における、亜硝酸イオンの量を10重量ppm以下に制御する方法としては、特に限定されないが、たとえば、ディップ成形用組成物中における、硝酸イオンの量を、好ましくは10重量ppm以下、より好ましくは8重量ppm以下、さらに好ましくは6重量ppm以下に制御する方法や、ディップ成形用組成物中における脱窒菌の量を、好ましくは1.0×10(CFU/ml)以下、より好ましくは1.0×10(CFU/ml)以下、さらに好ましくは1.0×10(CFU/ml)以下に制御する方法などが挙げられる。硝酸イオンの量、および脱窒菌の量のうち少なくとも一方を上記範囲とすることにより、ディップ成形用組成物中における、亜硝酸イオンの量を10重量ppm以下に制御することができるものである。
たとえば、ディップ成形用組成物を繰り返し使用して、ディップ成形体を繰り返し製造し、複数のディップ成形体を得た場合には、ディップ成形を繰り返し行うことに伴い、凝固塩としての硝酸塩に由来する硝酸イオンの量が増加したり、あるいは、ディップ成形用組成物の作製後、保管時やディップ成形時に、外気から不可避的に脱窒菌が取り込まれてしまうのに対し、これら硝酸イオンの量、および脱窒菌の量を上記範囲に制御することにより、ディップ成形用組成物中における、亜硝酸イオンの量を上述した所定の範囲に制御できるものである。特に、本発明者等が検討を行ったところ、ディップ成形用組成物中において、凝固塩としての硝酸塩に由来する硝酸イオンが、亜硝酸イオンに還元される原因としては、主として脱窒菌の関与が考えられるところ、硝酸イオンの量、および脱窒菌の量のうち少なくとも一方を上記範囲とすることにより、ディップ成形用組成物中における、亜硝酸イオンの量を10重量ppm以下に制御することができるものである。なお、たとえば、硝酸イオンの量が上記した範囲より多い場合であっても、脱窒菌の量が上記範囲であれば、亜硝酸イオンの生成を有効に抑制でき、これにより、亜硝酸イオンの量を10重量ppm以下に制御することが可能であり、同様に、脱窒菌の量が上記した範囲より多い場合であっても、硝酸イオンの量が上記範囲であれば、亜硝酸イオンの生成を有効に抑制でき、亜硝酸イオンの量を10重量ppm以下に制御することができるものである。
なお、脱窒菌は、硝酸イオンを還元する反応を行う多種多様な微生物の総称であり、細菌類の他、真菌類も挙げられる。脱窒菌としては、たとえば、シュードモナス・エアルギノーザ、シュードモナス・デニトリフィカンス、シュードモナス・スタツェリ等のシュードモナス属の細菌のほか、ミクロコッカス属、パラコッカス属等に属する細菌などが挙げられる。
また、ディップ成形用組成物中における、硝酸イオンの量を上記範囲に制御する方法としては、特に限定されないが、硝酸塩を付着させたディップ成形用型を、ディップ成形用組成物に浸漬した後、表面にディップ成形層を形成したディップ成形用型を引き上げる際に、ディップ成形用型から滴下する、硝酸塩を含む液体が、ディップ成形用組成物中に混入しないよう制御する方法や、ディップ成形における、ディップ成形用型の浸漬時間を2~5秒と短くする方法などが挙げられる。具体的には、ディップ成形用型を引き上げた際に、ディップ成形用組成物を含むディップ槽に蓋をする方法などが挙げられる。ただし、このような方法に特に限定されるものでなく、硝酸イオンの量を上記範囲に制御できる方法であれば何でもよい。
さらに、ディップ成形用組成物中における、脱窒菌の量を上記範囲とする方法としては、特に限定されないが、ディップ成形用組成物を作製した後、保管を行う際における環境を、外気と触れないような環境とする方法(たとえば、ディップ成形用組成物の単位容積当たりの液面の面積を小さくする方法)や、外気との接触面積をできるだけ少なくする方法、さらには、ディップ成形を繰り返し行う際における環境(外気環境)を、脱窒菌の量が管理された環境とする方法や、ディップ成形用組成物における外気との接触面積ができるだけ少なくなるような態様にてディップ成形を行う方法などが挙げられる。
また、上記(2)のように、ディップ成形用組成物を用いて、ディップ成形体の製造を行った後、ディップ成形用組成物を一度保管し、保管したディップ成形用組成物を、再度使用してディップ成形体を製造する際においては、保管中および保管後、さらには、再度使用する際におけるディップ成形用組成物中における、亜硝酸イオンの量を10重量ppm以下に制御することで、保管後のディップ成形用組成物を用いて製造されるディップ成形体における、黄変などの着色の発生を有効に抑制できるものである。
なお、この場合において、ディップ成形用組成物中における、亜硝酸イオンの量を10重量ppm以下に制御する方法としては、特に限定されないが、上記(1)の場合と同様に、たとえば、ディップ成形用組成物を用いてディップ成形を行った後の保管中、あるいは保管後、さらには、再度使用する際における、ディップ成形用組成物中における、硝酸イオンの量を、好ましくは10重量ppm以下、より好ましくは8重量ppm以下、さらに好ましくは6重量ppm以下に制御する方法や、ディップ成形用組成物中における脱窒菌の量を、好ましくは1.0×10(CFU/ml)以下、より好ましくは1.0×10(CFU/ml)以下、さらに好ましくは1.0×10(CFU/ml)以下に制御する方法などが挙げられる。
特に、ディップ成形用組成物の保管中には、凝固塩としての硝酸塩に由来する硝酸イオンが新たに増加することはないものの、保管前に行ったディップ成形によって、ディップ成形用組成物中に、凝固塩としての硝酸塩に由来する硝酸イオンが取り込まれており、これにより、硝酸イオンの量が上記範囲よりも多い量となっており、かつ、脱窒菌の量が1.0×10(CFU/ml)超であると、保管環境によっては、保管中に亜硝酸イオンが生成してしまうこととなる。そのため、上記(2)の場合においては、保管後のディップ成形用組成物を用いて、再度、ディップ成形を行う際に加え、このような保管中においても、硝酸イオンの量および脱窒菌の量のうち少なくとも一方を上記範囲に制御することが好ましく、これにより、保管中における、亜硝酸イオンの生成を抑制することが望ましい。なお、この場合における、硝酸イオンの量および脱窒菌の量を上記範囲とする方法としては、上記(1)の場合と同様とすればよい。また、保管後のディップ成形用組成物を用いて、再度、ディップ成形を行う際には、上記(1)の場合と同様に、硝酸イオンの量および脱窒菌の量のうち少なくとも一方を上記範囲に制御すること好ましい。
一方で、ディップ成形用組成物中における硝酸イオンの量、および脱窒菌の量の両方が上記範囲よりも多い場合であっても、保管中の温度を、好ましくは0~18℃の範囲、より好ましくは0~15℃の範囲とすることで、脱窒菌を不活性化することができるため、保管中の温度をこのような範囲とする方法を採用することも好ましい。特に、この場合には、保管前における、ディップ成形用組成物中における硝酸イオンの量、および脱窒菌の量の両方が上記範囲よりも多い場合でも、保管中の温度を上記範囲とすることにより、脱窒菌を不活性化させることで、脱窒菌を減少させることができ(たとえば、1.0×10(CFU/ml)以下とすることができ)、これにより、亜硝酸イオンの量を10重量ppm以下に制御することが可能となる。
また、本発明の製造方法においては、ディップ成形用組成物を用いてディップ成形を行う前に、ディップ成形用組成物の熟成(前加硫ともいう。)を行い、熟成させたものを用いてもよい。
熟成する時間は、特に限定されず、熟成する温度にもよるが、好ましくは1~14日間であり、より好ましくは1~7日間である。また、熟成温度は、好ましくは5~40℃、より好ましくは20~40℃である。熟成を行う際においても、脱窒菌の混入を抑制するという観点より、熟成を行う際における環境を、外気と触れないような環境とする方法や、外気との接触面積をできるだけ少なくする方法を採用することが好ましい。
ディップ成形時の温度、すなわち、ディップ成形時におけるディップ成形用組成物の温度は、好ましくは20~40℃の範囲、より好ましくは22~38℃の範囲である。ディップ成形時におけるディップ成形用組成物の温度が低すぎても、また、高すぎても、ディップ成形が困難となったり、ディップ成形用型の表面に形成されるディップ成形層の厚みが不均一となる場合がある。
ディップ成形により得られたディップ成形層は、通常、加熱処理を施し架橋する。加熱処理を施す前に、水、好ましくは30~70℃の温水に、1~60分程度浸漬し、水溶性不純物(たとえば、余剰の乳化剤や凝固剤等)を除去してもよい。水溶性不純物の除去操作は、ディップ成形層を加熱処理した後に行なってもよいが、より効率的に水溶性不純物を除去できる点から、加熱処理前に行なうことが好ましい。
ディップ成形層の架橋は、通常、100~150℃の温度で、好ましくは10~120分の加熱処理を施すことにより行われる。加熱の方法としては、赤外線や加熱空気による外部加熱または高周波による内部加熱による方法が採用できる。なかでも、加熱空気による外部加熱が好ましい。
そして、架橋したディップ成形層をディップ成形用型から取り外すことによって、ディップ成形体が得られる。取り外す際の方法としては、手で成形用型から剥したり、水圧や圧縮空気の圧力により剥したりする方法を採用することができる。なお、ディップ成形用型から取り外した後、さらに60~120℃の温度で、10~120分の加熱処理を行なってもよい。
本発明の製造方法により得られるディップ成形体は、黄変などの変色の発生が有効に抑制されたものであり、たとえば、手袋用途、とりわけ、薄手の手術用手袋に好適であり、あるいは、手袋の他にも、哺乳瓶用乳首、スポイト、チューブ、水枕、バルーンサック、カテーテル、コンドームなどの医療用品;風船、人形、ボールなどの玩具;加圧成形用バック、ガス貯蔵用バックなどの工業用品;指サックなどにも用いることができる。
以下に、実施例を挙げて、本発明についてより具体的に説明するが、本発明はこの実施例に限られるものではない。以下において、特記しない限り、「部」は重量基準である。物性および特性の試験または評価方法は以下のとおりである。
<硝酸イオン量、亜硝酸イオン量>
ディップ成形用組成物を、イオン交換水を用いて1000倍に希釈した。希釈した液体を、110,000rpmにて2時間遠心分離を行い、固層と液相に分離した。次いで、遠心分離後の試料から液相を採取し、これを0.2μmのフィルターを通すことで透明な液体を得て、得られた透明な液体について、アニオンクロマトグラフィーによる測定を行うことで、ディップ成形用組成物中における硝酸イオン量、亜硝酸イオン量を測定した。
<脱窒菌量>
カルボキシル基含有ニトリルゴムのラテックス、ディップ成形用組成物に、細菌検出用培地(製品名「Easicult(R)TTC」、オリオン社製)を浸し、29℃で48時間菌を培養した後、細菌検出用培地に生じたコロニーの数を観察することで、カルボキシル基含有ニトリルゴムのラテックス、またはディップ成形用組成物1mLあたりのコロニー数をカウントして、脱窒菌量(単位:CFU/ml)を求めた。
<黄色度測定>
ディップ成形により得られたフィルム状成形体を、オーブンに入れ120℃で20分間の条件で加硫させた。そして、加硫後のフィルム状成形体について、カラーメーターを用いて、黄色度(YI)の測定を行った。黄色度(YI)は、以下の基準で評価した。
A:黄色度(YI)が5未満
B:黄色度(YI)が5以上、10未満
C:黄色度(YI)が10以上
<製造例1>
窒素置換した耐圧重合反応器に、初期重合単量体として、アクリロニトリル13.5部、1,3-ブタジエン33.75部およびメタクリル酸2.75部、分子量調整剤としてt-ドデシルメルカプタン(tDM)0.5部、脱イオン水95部、乳化剤としてドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム(DBS)1.0部、重合開始剤として過硫酸カリウム0.2部、ならびに、還元剤としてエチレンジアミン四酢酸ナトリウム(EDTA)0.1部を仕込み、重合系内の温度を35℃に上昇させて重合反応を開始した。そして、重合転化率が50%になった時点で、追加の乳化剤として、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム1.0部を10%水溶液の形態で一括添加した。その後、残余の単量体として、アクリロニトリル13.5部、1,3-ブタジエン33.75部およびメタクリル酸2.75部からなる単量体混合物、ならびに、t-ドデシルメルカプタン0.4部を脱イオン水15.0部およびドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム0.5部にて乳化して得られたエマルジョンを、270分間に亘って、重合系に連続添加した。この連続添加終了時の重合転化率は60%であった。その後、全単量体の重合転化率が97%になるまで重合を継続した後、重合停止剤としてジエチルヒドロキシルアミン0.1部を添加することで重合反応を停止した。
そして、得られたラテックスから、未反応単量体を留去した後、固形分濃度およびpHを調整することで、固形分濃度45%、pH8.3のカルボキシル基含有ニトリルゴムのラテックスを得た。
<参考例1>
製造例1で得られたカルボキシル基含有ニトリルゴムのラテックスを、固形分濃度25重量%に調整し、次いで、固形分濃度を調整したラテックス中の固形分100部に対して、加硫剤分散液(硫黄1部、酸化亜鉛1.5部、ジエチルカルバミン酸亜鉛0.5部、水酸化カリウム0.03部および水5.63部からなる分散液)8.66部を混合した後、適量の5重量%水酸化カリウム水溶液、脱イオン水を加えて、固形分濃度25重量%、pH10.0のディップ成形用組成物を得た。また、上記とは別に、硝酸カルシウム13部、非イオン性乳化剤としてのポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル0.05部、および水87部を混合することで、凝固剤水溶液を調製した。
そして、上記にて得られたディップ成形用組成物および凝固剤水溶液を用いて、ディップ成形を行った。具体的には、セラミックモールドを、凝固剤水溶液中に1分間浸漬し、引き上げた後、70℃で30分間乾燥して、凝固剤をセラミックモールドに付着させた。次いで、凝固剤の付着したセラミックモールドを、温度30℃としたディップ成形用組成物中に2秒間浸漬し、引き上げた。なお、本例においては、ディップ成形用組成物から、セラミックモールドを引き上げた際に、ディップ成形用組成物が入っているディップ槽に蓋をすることで、セラミックモールド表面に形成されたディップ成形層から滴下する、硝酸イオンを含む液体(ショウ液)が、ディップ成形用組成物中に混入しないようにする対策(ショウ液カット)を行った。そして、本例においては、このようなディップ成形を50回行った。
50回のディップ成形を行った後のディップ成形用組成物中の硝酸イオン量を測定したところ、ディップ成形用組成物に含まれる硝酸イオン量は0重量ppmであった。
<参考例2>
製造例1で得られたカルボキシル基含有ニトリルゴムのラテックスを、固形分濃度17重量%に調整し、次いで、固形分濃度を調整したラテックス中の固形分100部に対して、加硫剤分散液(硫黄1部、酸化亜鉛1.5部、ジエチルカルバミン酸亜鉛0.5部、水酸化カリウム0.03部および水5.63部からなる分散液)8.66部を混合した後、適量の5重量%水酸化カリウム水溶液、脱イオン水を加えて、固形分濃度17重量%、pH10.0のディップ成形用組成物を得た。
そして、上記にて得られたディップ成形用組成物および参考例1と同様にして調製した凝固剤水溶液を用いて、ディップ成形を行った。具体的には、ディップ成形用組成物中における、セラミックモールドの浸漬時間を2秒から10秒に変更した以外は、参考例1と同様にして、50回のディップ成形を行った。
50回のディップ成形を行った後のディップ成形用組成物中の硝酸イオン量を測定したところ、ディップ成形用組成物に含まれる硝酸イオン量は15重量ppmであった。
<参考例3>
製造例1で得られたカルボキシル基含有ニトリルゴムのラテックスを、固形分濃度9重量%に調整し、次いで、固形分濃度を調整したラテックス中の固形分100部に対して、加硫剤分散液(硫黄1部、酸化亜鉛1.5部、ジエチルカルバミン酸亜鉛0.5部、水酸化カリウム0.03部および水5.63部からなる分散液)8.66部を混合した後、適量の5重量%水酸化カリウム水溶液、脱イオン水を加えて、固形分濃度9重量%、pH10.0のディップ成形用組成物を得た。
そして、上記にて得られたディップ成形用組成物および参考例1と同様にして調製した凝固剤水溶液を用いて、ディップ成形を行った。具体的には、ディップ成形用組成物中における、セラミックモールドの浸漬時間を2秒から30秒に変更するとともに、硝酸イオンを含む液体(ショウ液)が、ディップ成形用組成物中に混入しないようにする対策(ショウ液カット)を行わなかった以外は、参考例1と同様にして、50回のディップ成形を行った。
50回のディップ成形を行った後のディップ成形用組成物中の硝酸イオン量を測定したところ、ディップ成形用組成物に含まれる硝酸イオン量は780重量ppmであった。
<実施例1>
製造例1で得られたカルボキシル基含有ニトリルゴムのラテックスに、脱窒菌を培養した培地を浸漬させ、1日室温で保管することで、脱窒菌をラテックス中で繁殖させた。脱窒菌数を上記方法にて測定したところ、1.0×10(CFU/ml)以上であった。次いで、脱窒菌を繁殖させたラテックスを、固形分濃度25重量%に調整し、次いで、固形分濃度を調整したラテックス中の固形分100部に対して、加硫剤分散液(硫黄1部、酸化亜鉛1.5部、ジエチルカルバミン酸亜鉛0.5部、水酸化カリウム0.03部および水5.63部からなる分散液)8.66部を混合した後、適量の5重量%水酸化カリウム水溶液、脱イオン水を加えて、固形分濃度25重量%、pH10.0のディップ成形用組成物を得た。そして、得られたディップ成形用組成物を、容器体積に対して1/2以上の量となるように、容器中に入れ、蓋をすることで、外気との接触が無い環境にして、30℃で1日間熟成させた。
そして、このようにして得られたディップ成形用組成物を用いた以外は、参考例1と同様にして、50回のディップ成形を行った。なお、50回のディップ成形を行った後のディップ成形用組成物の硝酸イオン量は、参考例1と同程度であると考えられる。
次いで、50回のディップ成形を行った後のディップ成形用組成物を、同じ容器中において、容器体積に対して1/2以上の量にて、蓋をすることで、外気との接触が無い環境にして、1日間30℃で保管し、保管後のディップ成形用組成物を用いて、再度、同じ条件でディップ成形を行うことで、評価用ディップ成形体を得た。そして、上記方法にしたがって、評価用ディップ成形体を得た後のディップ成形用組成物中の亜硝酸イオン量、脱窒菌数、および、評価用ディップ成形体の黄色度の各測定を行った。結果を表2に示す。
<実施例2>
製造例1で得られたカルボキシル基含有ニトリルゴムのラテックスについて、脱窒菌数を上記方法にて測定することで、脱窒菌数が1.0×10(CFU/ml)以下であることを確認した後、該ラテックスを、固形分濃度9重量%に調整し、次いで、固形分濃度を調整したラテックス中の固形分100部に対して、加硫剤分散液(硫黄1部、酸化亜鉛1.5部、ジエチルカルバミン酸亜鉛0.5部、水酸化カリウム0.03部および水5.63部からなる分散液)8.66部を混合した後、適量の5重量%水酸化カリウム水溶液、脱イオン水を加えて、固形分濃度9重量%、pH10.0のディップ成形用組成物を得た。そして、得られたディップ成形用組成物を、容器体積に対して1/2以上の量となるように、容器中に入れ、蓋をすることで、外気との接触が無い環境にして、30℃で1日間熟成させた。
そして、このようにして得られたディップ成形用組成物を用いた以外は、参考例3と同様にして、50回のディップ成形を行った。なお、50回のディップ成形を行った後のディップ成形用組成物の硝酸イオン量は、参考例3と同程度であると考えられる。
次いで、50回のディップ成形を行った後のディップ成形用組成物を、同じ容器中において、容器体積に対して1/2以上の量にて、蓋をすることで、外気との接触が無い環境にして、1日間30℃で保管し、保管後のディップ成形用組成物を用いて、再度、同じ条件でディップ成形を行うことで、評価用ディップ成形体を得て、実施例1と同様にして各測定を行った。結果を表2に示す。
<実施例3>
製造例1で得られたカルボキシル基含有ニトリルゴムのラテックスについて、脱窒菌数を上記方法にて測定することで、脱窒菌数が1.0×10(CFU/ml)以下であることを確認した後、該ラテックスを、固形分濃度17重量%に調整し、次いで、固形分濃度を調整したラテックス中の固形分100部に対して、加硫剤分散液(硫黄1部、酸化亜鉛1.5部、ジエチルカルバミン酸亜鉛0.5部、水酸化カリウム0.03部および水5.63部からなる分散液)8.66部を混合した後、適量の5重量%水酸化カリウム水溶液、脱イオン水を加えて、固形分濃度17重量%、pH10.0のディップ成形用組成物を得た。そして、得られたディップ成形用組成物を、容器体積に対して1/2未満の量となるように、容器中に入れ、かつ、蓋をしないことで、外気との接触が有る環境にして、30℃で1日間熟成させた。
そして、このようにして得られたディップ成形用組成物を用いた以外は、参考例2と同様にして、50回のディップ成形を行った。なお、50回のディップ成形を行った後のディップ成形用組成物の硝酸イオン量は、参考例2と同程度であると考えられる。
次いで、50回のディップ成形を行った後のディップ成形用組成物を、同じ容器中において、容器体積に対して1/2未満の量にて、かつ、蓋をしないことで、外気との接触が有る環境にして、1日間30℃で保管し、保管後のディップ成形用組成物を用いて、再度、同じ条件でディップ成形を行うことで、評価用ディップ成形体を得て、実施例1と同様にして各測定を行った。結果を表2に示す。
<実施例4>
製造例1で得られたカルボキシル基含有ニトリルゴムのラテックスに、脱窒菌を培養した培地を浸漬させ、1日室温で保管することで、脱窒菌をラテックス中で繁殖させた。脱窒菌数を上記方法にて測定したところ、1.0×10(CFU/ml)以上であった。次いで、脱窒菌を繁殖させたラテックスを、固形分濃度9重量%に調整し、次いで、固形分濃度を調整したラテックス中の固形分100部に対して、加硫剤分散液(硫黄1部、酸化亜鉛1.5部、ジエチルカルバミン酸亜鉛0.5部、水酸化カリウム0.03部および水5.63部からなる分散液)8.66部を混合した後、適量の5重量%水酸化カリウム水溶液、脱イオン水を加えて、固形分濃度9重量%、pH10.0のディップ成形用組成物を得た。そして、得られたディップ成形用組成物を、容器体積に対して1/2未満の量となるように、容器中に入れ、かつ、蓋をしないことで、外気との接触が有る環境にして、5℃で1日間熟成させた。
そして、このようにして得られたディップ成形用組成物を用いた以外は、参考例3と同様にして、50回のディップ成形を行った。なお、50回のディップ成形を行った後のディップ成形用組成物の硝酸イオン量は、参考例3と同程度であると考えられる。
次いで、50回のディップ成形を行った後のディップ成形用組成物を、同じ容器中において、容器体積に対して1/2未満の量にて、かつ、蓋をしないことで、外気との接触が有る環境にして、1日間5℃で保管し、保管後のディップ成形用組成物を用いて、再度、同じ条件でディップ成形を行うことで、評価用ディップ成形体を得て、実施例1と同様にして各測定を行った。結果を表2に示す。
<実施例5>
製造例1で得られたカルボキシル基含有ニトリルゴムのラテックスに、脱窒菌を培養した培地を浸漬させ、1日室温で保管することで、脱窒菌をラテックス中で繁殖させた。脱窒菌数を上記方法にて測定したところ、1.0×10(CFU/ml)以上であった。次いで、脱窒菌を繁殖させたラテックスを、固形分濃度25重量%に調整し、次いで、固形分濃度を調整したラテックス中の固形分100部に対して、加硫剤分散液(硫黄1部、酸化亜鉛1.5部、ジエチルカルバミン酸亜鉛0.5部、水酸化カリウム0.03部および水5.63部からなる分散液)8.66部を混合した後、適量の5重量%水酸化カリウム水溶液、脱イオン水を加えて、固形分濃度25重量%、pH10.0のディップ成形用組成物を得た。そして、得られたディップ成形用組成物を、容器体積に対して1/2未満の量となるように、容器中に入れ、かつ、蓋をしないことで、外気との接触が有る環境にして、30℃で1日間熟成させた。
そして、このようにして得られたディップ成形用組成物を用いた以外は、参考例1と同様にして、50回のディップ成形を行った。なお、50回のディップ成形を行った後のディップ成形用組成物の硝酸イオン量は、参考例1と同程度であると考えられる。
次いで、50回のディップ成形を行った後のディップ成形用組成物を、同じ容器中において、容器体積に対して1/2未満の量にて、かつ、蓋をしないことで、外気との接触が有る環境にして、1日間30℃で保管し、保管後のディップ成形用組成物を用いて、再度、同じ条件でディップ成形を行うことで、評価用ディップ成形体を得て、実施例1と同様にして各測定を行った。結果を表2に示す。
<比較例1>
製造例1で得られたカルボキシル基含有ニトリルゴムのラテックスに、脱窒菌を培養した培地を浸漬させ、1日室温で保管することで、脱窒菌をラテックス中で繁殖させた。脱窒菌数を上記方法にて測定したところ、1.0×10(CFU/ml)以上であった。次いで、脱窒菌を繁殖させたラテックスを、固形分濃度9重量%に調整し、次いで、固形分濃度を調整したラテックス中の固形分100部に対して、加硫剤分散液(硫黄1部、酸化亜鉛1.5部、ジエチルカルバミン酸亜鉛0.5部、水酸化カリウム0.03部および水5.63部からなる分散液)8.66部を混合した後、適量の5重量%水酸化カリウム水溶液、脱イオン水を加えて、固形分濃度9重量%、pH10.0のディップ成形用組成物を得た。そして、得られたディップ成形用組成物を、容器体積に対して1/2未満の量となるように、容器中に入れ、かつ、蓋をしないことで、外気との接触が有る環境にして、30℃で1日間熟成させた。
そして、このようにして得られたディップ成形用組成物を用いた以外は、参考例3と同様にして、50回のディップ成形を行った。なお、50回のディップ成形を行った後のディップ成形用組成物の硝酸イオン量は、参考例3と同程度であると考えられる。
次いで、50回のディップ成形を行った後のディップ成形用組成物を、同じ容器中において、容器体積に対して1/2未満の量にて、かつ、蓋をしないことで、外気との接触が有る環境にして、1日間30℃で保管し、保管後のディップ成形用組成物を用いて、再度、同じ条件でディップ成形を行うことで、評価用ディップ成形体を得て、実施例1と同様にして各測定を行った。結果を表2に示す。
<比較例2>
製造例1で得られたカルボキシル基含有ニトリルゴムのラテックスに、脱窒菌を培養した培地を浸漬させ、1日室温で保管することで、脱窒菌をラテックス中で繁殖させた。脱窒菌数を上記方法にて測定したところ、1.0×10(CFU/ml)以上であった。次いで、脱窒菌を繁殖させたラテックスを、固形分濃度9重量%に調整し、次いで、固形分濃度を調整したラテックス中の固形分100部に対して、加硫剤分散液(硫黄1部、酸化亜鉛1.5部、ジエチルカルバミン酸亜鉛0.5部、水酸化カリウム0.03部および水5.63部からなる分散液)8.66部を混合した後、適量の5重量%水酸化カリウム水溶液、脱イオン水を加えて、固形分濃度9重量%、pH10.0のディップ成形用組成物を得た。そして、得られたディップ成形用組成物を、容器体積に対して1/2以上の量となるように、容器中に入れ、蓋をすることで、外気との接触が無い環境にして、30℃で1日間熟成させた。
そして、このようにして得られたディップ成形用組成物を用いた以外は、参考例3と同様にして、50回のディップ成形を行った。なお、50回のディップ成形を行った後のディップ成形用組成物の硝酸イオン量は、参考例3と同程度であると考えられる。
次いで、50回のディップ成形を行った後のディップ成形用組成物を、同じ容器中において、容器体積に対して1/2以上の量にて、蓋をすることで、外気との接触が無い環境にして、1日間30℃で保管し、保管後のディップ成形用組成物を用いて、再度、同じ条件でディップ成形を行うことで、評価用ディップ成形体を得て、実施例1と同様にして各測定を行った。結果を表2に示す。
Figure 0007020487000001
Figure 0007020487000002
表1に、参考例1~3のディップ成形条件、および測定結果を、表2に、実施例1~5、比較例1,2のディップ成形条件、保管条件、および測定結果をそれぞれ示す。
表2に示すように、硝酸イオンの量(50回のディップ成形を行った後における硝酸イオンの量)を10重量ppm以下、または、保管後の脱窒菌の量を1.0×10(CFU/ml)以下とした実施例1~5においては、亜硝酸イオンの量(保管後の亜硝酸イオンの量)を10重量ppm以下に制御することでき、得られるディップ成形体の黄色度(YI)は低く抑えられており、黄変が適切に防止されたものであった。
一方、硝酸イオンの量(50回のディップ成形を行った後における硝酸イオンの量)が10重量ppm超であり、かつ、保管後の脱窒菌が1.0×10(CFU/ml)超であった比較例1,2は、亜硝酸イオンの量が10重量ppm超となり、得られるディップ成形体の黄色度(YI)は高くなってしまい、黄変が発生する結果となった。
なお、本実施例、比較例においては、上記(2)のように、ディップ成形用組成物を用いて、ディップ成形体の製造を行った後、ディップ成形用組成物を一度保管し、保管したディップ成形用組成物を、再度使用してディップ成形体を製造した際における評価を行ったが、実施例1~3,5における保管環境において、ディップ成形を繰り返し行うことで、複数のディップ成形体を得た場合にも、実施例1~3,5と同等の結果が得られると考えることができることから、上記(1)のように、ディップ成形用組成物を繰り返し使用して、複数のディップ成形体を繰り返し製造した場合においても同様の結果が得られるということができる。

Claims (7)

  1. 重合体ラテックスを含有するディップ成形用組成物をディップ成形することで、ディップ成形体を製造する方法であって、
    凝固塩として硝酸塩を用いるとともに、
    前記ディップ成形用組成物中における亜硝酸イオンの量を10重量ppm以下に制御した条件にてディップ成形を行うことを特徴とするディップ成形体の製造方法。
  2. 前記ディップ成形用組成物中における硝酸イオンの量を10重量ppm以下に制御した条件にてディップ成形を行う請求項1に記載のディップ成形体の製造方法。
  3. 前記ディップ成形用組成物中における脱窒菌の量を1.0×10(CFU/ml)以下に制御した条件にてディップ成形を行う請求項1または2に記載のディップ成形体の製造方法。
  4. 前記ディップ成形用組成物を保管する際における保管温度を0~18℃の範囲とする請求項1~3のいずれかに記載のディップ成形体の製造方法。
  5. 凝固塩として硝酸塩を用いたディップ成形に使用した履歴を有するディップ成形用組成物を用いる請求項1~4のいずれかに記載のディップ成形体の製造方法。
  6. 前記ディップ成形用組成物の固形分濃度が、3.0~50重量%である請求項1~5のいずれかに記載のディップ成形体の製造方法。
  7. 前記重合体ラテックスを構成する重合体が、ニトリルゴムである請求項1~6のいずれかに記載のディップ成形体の製造方法。
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