JP2004285021A - 親油性化合物を含有する粒子の製造方法および製造装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】水、光、酸素などに不安定な親油性化合物の液滴表面を被覆剤によって被覆し、粒度分布の狭い親油性化合物を含有する粒子を提供する。
【解決手段】スプレイタワー1内の側面に備えられた噴出口3から、デンプンを分散した気体を導入して、スプレイタワー1内に螺旋状の気流を発生させる。この気流中に、ノズル2から脂溶性ビタミン類を分散させた乳化分散液を噴霧して、脂溶性ビタミン類の表面が被覆剤によって被覆された被覆粒子を形成する。螺旋状の気流を発生させると、該乳化分散液と被覆剤とのスプレイタワー1内での滞留時間が長くなるので、ほぼ均一な被覆粒子を形成することができる。つまり、不安定な脂溶性ビタミン類を、粒度分布の狭い被覆粒子として提供することができる。
【選択図】 図2
【解決手段】スプレイタワー1内の側面に備えられた噴出口3から、デンプンを分散した気体を導入して、スプレイタワー1内に螺旋状の気流を発生させる。この気流中に、ノズル2から脂溶性ビタミン類を分散させた乳化分散液を噴霧して、脂溶性ビタミン類の表面が被覆剤によって被覆された被覆粒子を形成する。螺旋状の気流を発生させると、該乳化分散液と被覆剤とのスプレイタワー1内での滞留時間が長くなるので、ほぼ均一な被覆粒子を形成することができる。つまり、不安定な脂溶性ビタミン類を、粒度分布の狭い被覆粒子として提供することができる。
【選択図】 図2
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、親油性化合物を含有する粒子の製造方法および製造装置に関し、より詳細には、例えば、医薬品や食品の添加物として利用されている光、熱、または酸素などに不安定な脂溶性ビタミンおよびカロチノイドなどの親油性化合物を含有する被覆粒子の製造方法および製造装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
ビタミンA誘導体であるビタミンAアセテートをはじめとする脂溶性ビタミンやβ−カロチンなどのカロチノイドは、医薬品、動物飼料、および食品の添加剤をして幅広く利用されている。しかし、脂溶性ビタミンやカロチノイドは、光、熱、または酸素などの影響で容易に劣化し、活性が低下しやすい化合物である。
【0003】
このため、医薬品、動物飼料、および食品として製造・加工される条件でも、脂溶性ビタミンやカロチノイドの活性を維持させるために、一般的には、脂溶性ビタミンやカロチノイドが、糖、ゼラチンなどのマトリックスに被覆された形の被覆粒子(ビーズ)として製造される。
【0004】
従来、このような被覆粒子の製造方法として、噴霧法による製造方法が数多く開発されている(例えば、特許文献1)。
【0005】
具体的には、特許文献1に記載の製造方法では、噴霧槽内の上方から下方へ被覆剤を含む気体を対流させると共に、脂溶性ビタミンやカロチノイドを分散させた乳化分散液を噴霧槽内に噴霧している。これによって、前記乳化分散液の液滴表面が架橋反応によってゲル化するとともに、被覆剤によって被覆される。続いて、この被覆粒子を乾燥することによって完全にゲル化して、脂溶性ビタミンやカロチノイドを含有する被覆粒子を製造している。
【0006】
このように、光、熱、または酸素などに不安定な脂溶性ビタミンやカロチノイドは、表面が被覆剤で被覆することにより、安定な被覆粒子として製造されている。
【0007】
【特許文献1】
特開平11−158063号公報(公開日1997年11月26日)
【0008】
【特許文献2】
特開昭49−7415号公報(公開日1974年1月23日)
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
かかる被覆粒子がビタミン剤として用いられる場合、その効能を均一に発揮させるために、ほぼ均一な粒子径で粒度分布の狭い被覆粒子であることが好ましく、具体的には、粒子径が、例えば400〜600μmの範囲内に属する粒子が多いというように、粒度分布の狭い被覆粒子が求められている。特許文献1の方法においても、上記範囲に属する重量比率が多いが、一層、均一な粒子径で粒度分布の狭い被覆粒子の製造方法が求められている。
【0010】
本発明の目的は、従来の方法よりも一層、均一な粒子径で粒度分布の狭い被覆粒子の製造方法および製造装置を提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明の被覆粒子の製造方法は、上記の課題を解決するために、親油性化合物を分散させた乳化分散液と、親水性の被覆剤とを、接触させることにより、前記乳化分散液の液滴表面を前記被覆剤によって被覆した被覆粒子を製造する方法であって、螺旋状に対流させた気流中で、上記乳化分散液と親水性の被覆剤とを接触させることを特徴としている。
【0012】
上記の構成によれば、親油性化合物を分散した乳化分散液と親水性の被覆剤とが螺旋状に対流しながら接触し、乳化分散液の表面が被覆剤で被覆されて被覆粒子が形成される。例えば、螺旋状の下降気流中で、上記乳化分散液と被覆剤とを接触させると、この下降気流に乗って下降しながら上記乳化分散液の表面が被覆剤によって被覆された被覆粒子が形成される。
【0013】
これによれば、螺旋状の気流中で被覆粒子が形成されるので、例えば、従来のように、単に鉛直方向下向きの気流中で上記乳化分散液と被覆剤とを接触させた場合よりも、上記乳化分散液と被覆剤との接触時間が長くなる。このため、被覆剤による乳化分散液の被覆のバラツキは、低減される。したがって、得られる被覆粒子は、粒子径がほぼ均一であり、粒度分布も狭くなる。
【0014】
なお、被覆剤は親水性であるので、被覆粒子では、乳化分散液層の水分が被覆剤層へ移動して吸収される。そして、被覆剤層に移動した水分を乾燥することによって、均一な粒子径の親油性化合物を含有する被覆粒子を製造することができる。また、気流中の気体によっても被覆粒子中の水分の乾燥が促進される。
【0015】
本発明の被覆粒子の製造方法は、上記被覆剤を分散させた螺旋状の下降気流中に、上記乳化分散液を噴霧または滴下することもできる。これによれば、螺旋状の下降気流中で被覆粒子が形成される。その結果、形成された被覆粒子と過剰の被覆剤とを重量差によって容易に分離することができる。
【0016】
本発明の被覆粒子の製造方法は、上記親油性化合物は、脂溶性ビタミンおよび/またはカロチノイドであることが好ましい。これにより、光、熱、または酸素などに不安定な脂溶性ビタミンおよび/またはカロチノイドを含有する粒子を、安定な粒子として提供できる。この粒子は、医薬品、食品、動物飼料などに利用できる。
【0017】
本発明の被覆粒子の製造装置は、上記の課題を解決するために、親油性化合物を分散させた乳化分散液と、親水性の被覆剤とを、噴霧槽内に対流させた気流中で接触させることにより、前記乳化分散液の液滴表面を前記被覆剤によって被覆した被覆粒子の製造装置であって、上記噴霧槽に、親油性化合物を供給する第1供給手段と、被覆剤を供給する第2供給手段と、気体を供給する第3供給手段とを備えていると共に、上記第3供給手段は、上記噴霧槽の側面から気体を供給することを特徴としている。
【0018】
上記の構成によれば、第3供給手段は噴霧槽の側面から気体を供給するので、供給された気体は噴霧槽内を螺旋状に対流する。すなわち、第3供給手段から噴霧槽に気体が供給されると、噴霧槽内には螺旋状の気流が発生する。そして、この気流中に、第1供給手段から親油性化合物を分散した乳化分散液と、第2供給手段から親水性の被覆剤とを供給する。これにより、この気流に乗って、すなわち螺旋状に対流しながら、噴霧槽内で上記乳化分散液と被覆剤とが接触して、親油性化合物の表面が親水性の被覆剤によって被覆された、親油性化合物を含有する被覆粒子が形成される。
【0019】
このように、上記の構成によれば、噴霧槽内に発生させた螺旋状の気流中で、被覆粒子を形成するので、噴霧槽内のスペースを効率よく利用して被覆粒子を製造できる。また、螺旋状の気流中で被覆粒子を製造すると、乳化分散液と被覆剤との噴霧槽内での滞留時間が長くなる。つまり、乳化分散液と被覆剤との接触時間が長くなる。このため、被覆剤が乳化分散液を被覆するバラツキは、低減される。したがって、得られる被覆粒子は、粒子径がほぼ均一であり、粒度分布も狭くなる。
【0020】
本発明の被覆粒子の製造装置は、上記第3供給手段が、噴霧槽の内壁の周囲に沿って気体を供給する構成であってもよい。これにより、確実に噴霧槽内に、螺旋状の気流を発生させることができる。その結果、小型の装置であっても、一層粒子径がほぼ均一であり、粒度分布も狭い被覆粒子を製造できる。
【0021】
上記第2供給手段と第3供給手段とを一体化した手段が、上記噴霧槽に、上記被覆剤を分散させた気体を供給する構成であってもよい。
【0022】
上記の構成によれば、被覆剤を分散させた気体が、1つの供給手段によって供給される。これにより、製造装置を小型化することができる。
【0023】
本発明の被覆粒子の製造装置は、上記噴霧槽の高さに対する幅の割合(幅/高さ)が、1/2〜1/20であってもよい。これにより、製造装置を小型化しつつ、粒度分布の狭い被覆粒子を製造することができる。
【0024】
【発明の実施の形態】
本発明の実施の一形態について、以下に説明する。なお、本発明はこれに限定されるものではない。
【0025】
本発明は、親油性化合物を分散させた乳化分散液と、親水性の被覆剤とを、噴霧槽内に対流させた気流中で接触させることにより、前記乳化分散液の液滴表面を前記被覆剤によって被覆した被覆粒子を製造する方法である。
【0026】
親油性化合物は、例えば、熱、酸素、光などに対して不安定な化合物が挙げられ、具体的には、脂溶性ビタミンやカロチノイドなどが例示される。
【0027】
脂溶性ビタミンとしては、例えば、ビタミンAアセテート、ビタミンAパルミテート、ビタミンA(レチノール)、ビタミンAアルデヒド(レチナール)、ビタミンA酸(レチノイン酸)またはこれらの誘導体などのビタミンA類;コレカルシフェロール(ビタミンD3)、エルゴカルシフェロール(ビタミンD2)、1α、25−ジヒドロキシコレカルシフェロール(活性型ビタミンD3)、またはこれらの誘導体などのビタミンD類;α−トコフェロール、5,7,8−トリメチルトコトリエノールなどのビタミンE類;2−ファルネシル−3−メチル1,4−ナフトキノン(ビタミンK3)などのビタミンK類などを挙げることができる。
【0028】
また、カロチノイドとしては、β−カロチン、カンタキサンチン、アスタキサンチン、ルテインなどを挙げることができる。
【0029】
なお、以下の説明では、特に断らない限り、上記脂溶性ビタミンおよびカロチノイドを併せて、「脂溶性ビタミン類」と称する。
【0030】
脂溶性ビタミン類は、医薬品をはじめ、食品や動物飼料など、幅広い分野で利用されているが、分子内にポリエン構造やキノン構造を有しているため不安定であり劣化しやすい。このため、脂溶性ビタミン類の粒子の表面が、被覆剤によって被覆されている。すなわち、脂溶性ビタミン類が被覆剤により被覆され、粒子状の脂溶性ビタミン類とすることにより安定化されている。
【0031】
脂溶性ビタミン類をビタミン剤に適用する場合、脂溶性ビタミン類は、通常、400〜600μmに属する範囲の粒子径が最も多い。このため、脂溶性ビタミン類を製造する上では、この範囲の重量比率が多い被覆粒子を製造することが好ましい。ところが、従来の方法では、製造された被覆粒子の粒度分布が広いため、目的とする範囲が占める重量比率が十分ではなかった。
【0032】
本発明は、このような目的とする重量比率を製造することが困難な脂溶性ビタミン類の被覆粒子を製造するのに特に好適である。
【0033】
まず、本発明の被覆粒子の製造装置について説明する。
【0034】
本発明にかかる被覆粒子の製造装置は、図1に示すような、親油性化合物を分散させた乳化分散液と親水性の被覆剤とを接触させるスプレイタワー1(噴霧槽)を具備する。
【0035】
スプレイタワー1は、ノズル2および噴出口3とを備えている。そして、スプレイタワー1の内部で、親油性化合物を親水性の被覆剤で被覆してなる被覆粒子を製造する。
【0036】
スプレイタワー1の頂部(上方部)には、スプレイタワー1内に、親油性化合物を分散した乳化分散液を供給するノズル2(第1供給手段)が備えられている。
【0037】
一方、スプレイタワー1の側面には、スプレイタワー1内に、親水性の被覆剤と気体とを供給する噴出口3(第2供給手段・第3供給手段)が備えられている。この気体としては、例えば、空気、窒素、炭酸ガスなどを挙げることができるが、中でも酸素劣化しやすい脂溶性ビタミン類の被覆粒子を製造する場合、窒素、炭酸ガスが気体として好適である。
【0038】
供給ブロア5は、噴出口3に、被覆剤槽4から供給される親水性の被覆剤を分散した気体を供給する。すなわち、供給ブロア5は、被覆剤を気体に分散する分散装置である。
【0039】
回収サイクロン6は、ノズル3からスプレイタワー1の底部の被覆粒子取り出し口まで対流し終えた、上記乳化分散液中の水分を吸収した気体と、上記乳化分散液を被覆するのに用いられなかった過剰の被覆剤とを、循環ライン9を経由して、回収するものである。回収された被覆剤は、乾燥機10にて乾燥したのち、リサイクルして用いることができ、被覆剤槽4、供給ブロア5を経由して、再び噴出口3から噴出される。
【0040】
供給ブロア7は、混合槽8にて混合して形成される親油性化合物を分散した乳化分散液を、ノズル2に供給するものである。
【0041】
次に、スプレイタワー1内での被覆粒子の形成について、図2を用いて説明する。
【0042】
前述のように、噴出口3は、スプレイタワー1の側面に備えられている。すなわち、スプレイタワー1に供給される気体は、噴出口3から、スプレイタワー1の内壁に沿って供給されることになる。その結果、図2に示すように、噴出口3から供給される気体は、スプレイタワー1の内壁を、螺旋状に流れていく。より詳細には、噴出口3からは被覆剤を分散した気体が供給されるので、スプレイタワー1内には、被覆剤を含む螺旋状の気流が発生する。
【0043】
次に、このような螺旋状の気流中に、ノズル2から乳化分散液を噴霧する。その結果、噴霧された乳化分散液は、螺旋状の気流に乗って、スプレイタワー1内を螺旋状に下降する。これにより、螺旋状に下降しながら、乳化分散液の表面が被覆剤によって被覆されたゲル化された被覆粒子が形成される。つまり、乳化分散液からなる層が被覆剤からなる層に覆われた2層構造である被覆粒子が形成される。被覆粒子が形成されると、乳化分散液層中の水分は、親水性である被覆剤層に移動して吸収される。
【0044】
このように、螺旋状に下降しながら被覆粒子を形成すると、乳化分散液と被覆剤とがスプレイタワー1内に滞留する時間が長くなる。すなわち、乳化分散液と被覆剤との接触時間が長くなる。すなわち、その結果、得られる被覆粒子は、確実に被覆剤によって被覆され、ほぼ均一な粒子径となる。つまり、粒度分布が狭い被覆粒子が得られることになる。
【0045】
また、被覆粒子は確実に被覆剤によって被覆されているので、乳化分散液中の水分は効率的に被覆剤によって吸収して、乳化分散液中から除去できる。なお、乳化分散液中の水分は、噴出口3から供給される気体によっても除去される。このように、被覆粒子が形成されると、乳化分散液中の水分は、10〜20重量%除去できる。その結果、後続の被覆粒子を乾燥する工程の時間を短縮できる。
【0046】
このように、スプレイタワー1内に供給された親油性化合物を分散した乳化分散液は、表面が被覆剤で被覆された被覆粒子を形成しながら、スプレイタワー1の頂部(上方)から、被覆粒子を回収するスプレイタワー1の底部(下方)へと、螺旋状に進行する。つまり、スプレイタワー1内のスペースを有効に活用しながら、被覆粒子を製造することができる。
【0047】
得られた被覆粒子と、過剰の被覆剤とは重力差によって分離できる。すなわち、被覆粒子はスプレイタワー1の底部(図1中、被覆粒子取り出しの矢印部)から取り出すことができる。取り出した被覆粒子は、水分を含んでいるため、風乾や乾燥機によって乾燥する。乾燥後の水分含量は、任意に設定すればよい。例えば、被覆粒子をビタミン剤として用いる場合、乾燥後の水分含量を3%以下とすればよい。これにより、最終的な乾燥した被覆粒子が得られる。一方、過剰の被覆剤と、乳化分散液の水分を吸収した気体は、循環ライン9を経由して、回収サイクロン6に回収される。
【0048】
以上のように、スプレイタワー1の側面から気体を供給することによって、スプレイタワー1内に螺旋状の気流を発生させることができる。そして、この気流中に親油性化合物を分散した乳化分散液を供給することによって、乳化分散液がスプレイタワー1内を滞留する時間が長くなる。その結果、均一に乳化分散液の表面を被覆することができるので、被覆粒子の粒子径がほぼ均一となる。したがって、製造された被覆粒子の粒度分布が狭くなる。
【0049】
このようにして製造された親油性化合物を含有する被覆粒子は、製造工程中、水や熱などによってもほとんど失活することはなく、熱水中でも崩壊しない。ここで、上記「熱水中でも崩壊」しないとは、製造された親油性化合物を含有する粒子を熱水(60℃)に添加して1分経過後も、熱水中に上記親油性化合物が溶出しないことを示す。
【0050】
なお、噴出口3から供給する気体の温度は、5〜60℃であることが好ましく、とりわけ10〜40℃であることが好ましい。気体の温度が5℃以上であると、水分の増大するとともに、後述する架橋反応が促進され、結果として粒度分布が狭くなる傾向にあることから好ましい。一方、60℃以下であると、水分の蒸発速度が抑制され、均一な微粒子を形成する傾向があることから好ましい。
【0051】
なお、噴出口3から被覆剤を分散した気体を供給する場合、気体の塔内速度としては、0.1〜0.5m/s程度、好ましくは0.2〜0.4m/s程度である。0.1m/s以上であると所定量の被覆剤を噴霧させることができ、しかも、水分の蒸発量が向上する傾向にあることから好ましく、0.5m/s以下であると噴霧された乳化分散液が塔壁に付着が減少したり、噴霧された液滴同士の付着が減少する傾向にあることから好ましい。
【0052】
スプレイタワー1の高さに対する幅の比(幅/高さ)、すなわち、図1ではノズル2から被覆粒子取り出し口である底面までの高さに対する、ノズル2が設置されたスプレイタワー1の頂面の直径は、1/2〜1/20であることが好ましく、1/5〜1/10であることがより好ましい。これにより、形の整った被覆粒子得られ、また、スプレイタワー1を小型化することもできる。
【0053】
スプレイタワー1の形状は、図1のような円筒状に限定されるものではなく、任意の形状とすることができる。
【0054】
ノズル2は、スプレイタワー1の任意の位置に設置することができる。図1のように、スプレイタワー1の上端部から乳化分散液を供給すると、乳化分散液のスプレイタワー1内での滞留時間が長くなり、効率的に被覆粒子が形成できるため好ましい。
【0055】
また、図1では、ノズル2から乳化分散液を噴霧しているが、例えば、ディスペンサーなどを用いて、乳化分散液を滴下してもよい。
【0056】
さらに、ノズル2の位置としては、図1の如く、スプレイタワー1の上端の中央部に設置する場合、噴出口3と同様にスプレイタワー1の側面に設置する場合などが例示されるが、スプレイタワー1の上端の中央部に設置されると塔壁に乳化分散液の液滴が付着しない傾向にあることから好ましい。
【0057】
噴出口3は、スプレイタワー1の側面の任意の位置に設置することができる。図1のように、スプレイタワー1の側面の上端部に近いほど、スプレイタワー1内全体に、螺旋状に気体を対流させることができるため好ましい。
【0058】
また、図1では、噴出口3は、被覆剤を分散させた分散気体を供給しているが、被覆剤と気体とを別々に供給する構成としてもよい。図1のように、噴出口3から、被覆剤と気体とを1つのノズルから同時に供給すれば、装置の小型化が可能である。
【0059】
製造した被覆粒子を取り出す位置としては、通常、図1のように、スプレイタワー1の下端部、すなわち底部から被覆粒子を取り出す。そして、スプレイタワー1内を螺旋状に対流した被覆粒子をほぼ均一な粒子径として取り出すことができる。
【0060】
このようにして、ノズル2と被覆粒子の取り出し位置との距離を長くすることにより、スプレイタワー1内での乳化分散液の滞留時間が長くなり、均一な被覆粒子を得ることができるのである。
【0061】
次に、本発明における、親水性の被覆剤と、親油性化合物を分散した乳化分散液について説明する。
【0062】
被覆剤は、液滴中の乳化分散液の水分を効率よく吸収できる親水性の被覆剤である。これにより、乳化分散液から被覆剤に水分が移動するので、乾燥が容易になる。
【0063】
被覆剤としては、例えば、乳糖、ブドウ糖、ショ糖、マルトース、ラクトース、デンプンなどの室温で粉末状の糖類、ケイ酸、ステアリン酸、およびそれらの誘導体などを挙げることができる。ここで、デンプンとしては、例えば、馬鈴薯やトウモロコシなどから取得された生デンプンであってもよいし、例えば、酸化デンプン、アセチル化デンプン、メチル化デンプン、カルボキシメチル化デンプンなどの変性デンプンであってもよい。被覆剤は、1種類を用いてもよいし、複数の被覆剤を任意の割合で混合した混合物を用いてもよい。
【0064】
被覆剤の粒子径は、通常、200メッシュ(開口:74μm)の篩を通過する範囲である(JIS Z8801−1982の篩分析による)。
【0065】
被覆剤の使用量は、通常、乳化分散液の液量に対して、0.7〜15重量倍、好ましくは、2〜6重量倍の範囲である。
【0066】
上記乳化分散液をスプレイタワー1に供給する方法としては、例えば、ノズル2から上記乳化分散液を噴霧する方法や、先端に有口針を備えたディスペンサーを用いて滴下する方法などによって行うことができる。ノズル2を用いて噴霧する方法では、一度に多くの上記乳化分散液を供給できる。一方、ディスペンサーを用いて上記乳化分散液を滴下すると、上記有口針の直径と同じ粒子径の上記乳化分散液の液滴を、ディスペンサーの先端から滴下できる。なお、上記乳化分散液を滴下して供給しても、スプレイタワー1内には螺旋状の気流が発生しているので、スプレイタワー1のどの位置から滴下しても、その気流中に上記乳化分散液を供給できる。
【0067】
次に、乳化分散液の一例として、脂溶性ビタミン類を含有する上記乳化分散液の作製方法について説明する。
【0068】
乳化分散液は、脂溶性ビタミン類を水などの親水性溶媒中に分散させることにより作製する。乳化分散液には、少なくとも脂溶性ビタミン類が分散されてればよいが、さらに、乳化剤、乳糖、ブドウ糖などの単糖類、マルトース、ラクトースなどの還元性少糖類、水飴、糖蜜などの還元性多糖類、油脂、酸化防止剤、などの添加剤が、さらに添加されていてもよい。
【0069】
上記乳化剤は、親油性化合物の乳化を促進するためのものである。乳化剤としては、例えば、ゼラチンなどを挙げることができる。
【0070】
上記ゼラチンとしては、酸処理ゼラチンであるタイプAおよびアルカリ処理ゼラチンであるタイプBが容易に入手することができるが、本製造方法では、どちらのタイプを使用してもよい。
【0071】
乳化剤の添加量は、通常、乳化分散液の合計量に対して5〜20重量%であり、脂溶性ビタミン類に対して、0.5〜1.5重量倍の範囲であることが好ましく、0.75〜1.5重量倍の範囲であることがより好ましい。
【0072】
乳化剤が上記範囲内であると、脂溶性ビタミン類が乳化分散液に分散しやすい傾向にあり、しかも経済的である。
【0073】
乳化分散剤に添加してもよい単糖類、還元性少糖類および還元性多糖類(以下、総称して還元性糖類という)は、ゼラチンなどのアミノ基とメイラード反応と呼ばれる架橋反応を起こし、マトリックスを形成して脂溶性ビタミン類を埋め込むことができることから好適に用いられる。還元性糖類は、還元性があればよく、被覆剤として用いられる糖類と同じ種類であってもよい。
【0074】
還元性糖類の添加量は、通常、脂溶性ビタミン類の重量に対して、0.7〜3重量倍の範囲が好ましい。
【0075】
乳化分散液における水の量は、通常、脂溶性ビタミン類の重量に対して、1〜10重量倍の範囲である。
【0076】
乳化分散液中の水分の大部分は、後述する乾燥によって除去される。このため、水が10重量倍以下であると、後続の乾燥時間を短縮することができる。例えば、従来の噴霧法における乳化分散液の濃度よりも、本製造方法における上記乳化分散液の濃度を高くすれば、乾燥時間が従来よりも短縮できる。
【0077】
また、上記油脂は、脂溶性ビタミンを溶解したり、乳化分散液の粘度を調整するための希釈剤として用いられる。油脂としては、例えば、ピーナッツ油、大豆油、菜種油、コーン油等の植物油、グリセリンなどが挙げられる。油脂の添加量は、脂溶性ビタミン類の種類によって異なるが、通常、上記乳化分散液の合計量に対して、0.2〜15重量%であり、例えば、脂溶性ビタミンがビタミンAアセテートである場合、上記脂溶性ビタミン類の重量に対して、0.01〜0.75重量倍であることが好ましい。
【0078】
上記酸化防止剤は、親油性化合物が酸素に不安定な場合に、酸化による劣化を防止するために用いることができる。酸化防止剤としては、例えば、2,6−ジt−ブチルヒドロキシトルエン(BHT)、2−t−ブチル−4−ヒドロキシアニソール(BHA)、6−エトキシ−1,2−ジヒドロ2,2,4−トリメチルキノリン(エトキシキン)等が挙げられる。酸化防止剤の添加量は、通常、上記乳化分散液の合計量に対して、6〜30重量%であり、上記脂溶性ビタミン類の重量に対して、0.3〜1重量倍であることが好ましい。
【0079】
酸化防止剤が上記範囲内であると親油性化合物の酸化が低減される傾向にあることから好ましく、しかも経済的である。
【0080】
乳化分散液を調製する方法としては、例えば、乳化剤であるゼラチン水溶液に、脂溶性ビタミン類、必要に応じて、油脂、酸化防止剤などの添加剤を添加・混合して混合液を得た後、当該混合液をホモジナイザー等で乳化分散させて(すなわち乳濁化させて)上記乳化分散液を得る方法などが挙げられる。
【0081】
乳化分散液の調製を行う温度としては、通常、室温〜80℃程度、好ましくは、50℃〜70℃で実施される。上記温度が室温以上であると脂溶性ビタミン類の分散性が向上する傾向があり、50℃以上であると、乳化剤としてゼラチンを用いた場合にゼラチンが溶解されやすい傾向にあることから、一層好ましい。上記温度が80℃以下であると、熱による脂溶性ビタミン類の劣化が低減される傾向にあることから好ましい。
【0082】
続いて、乳化分散液に塩基を添加して、pHを6〜10に調整する。乳化剤としてゼラチンと還元性糖類を用い、上記乳化分散液のpHを調整することにより、メイラード反応と呼ばれる架橋反応が進行しやすい傾向があることから好ましい。塩基の添加は、上記乳化分散液の調製前(すなわち、上記混合液の段階)、上記乳化分散液の調製中、または乳化分散液の調製後、のいずれの段階で行ってもよい。乳化分散液の調製前(すなわち、上記混合液)の段階、または乳化分散液の調製後の段階でpHを調整する場合には、乳化分散液調製の条件を維持してpHの調整を行うことが好ましい。すなわち、乳化分散液のpHを調整する時の温度は、60℃を基準として、室温〜80℃で実施すればよく、50℃〜70℃であることが好ましい。この温度は、前記した混合液の調整、乳化液の調整の温度である室温〜80℃の範囲であることから、混合液の調製温度または乳化分散液の調製温度を著しく変化させることなく簡便にpHを調整することができる。
【0083】
上記塩基としては、乳化分散液中に含まれる脂溶性ビタミン類と反応して活性を低下させないものが好ましく、例えば、アンモニア、アンモニウム塩のなどが挙げられる。
【0084】
上記アンモニアとしては、気体のアンモニア、液体アンモニア、アンモニア水、アンモニウム塩等を挙げることができる。これらのうち、容易に取り扱うことできるアンモニア水が好ましい。
【0085】
なお、アンモニウム塩としては、ギ酸アンモニウム、などのカルボン酸アンモニウム塩、重炭酸アンモニウム、炭酸アンモニウム等の水溶性アンモニウム塩などを挙げることができる。
【0086】
上記塩基の添加量は、上記乳化液のpHを6〜10に調整できればよい。塩基として、アンモニア水を使用した場合の添加量は、通常、上記脂溶性ビタミン類に対して、アンモニア換算で0.01〜1重量倍である。
【0087】
調整したpHの確認は、例えば、pHを調整した上記乳化液または混合液中に、pHメータ等のpH計測器を挿入することにより行うことができる。例えば、pH計測器で示されるpHを確認しながら、目的のpHまで、塩基を添加すればよい。
【0088】
このようにしてpHの調整を行った上記乳化分散液が、ノズル2から噴霧される。
【0089】
なお、乳化分散液の粘度は、特に限定されるものではないが、親油性化合物が水に不安定な場合、水分の量を少なくして水による劣化防ぐために、高粘度のものを使用すればよい。
【0090】
また、後述する実施例のように、親油性化合物がビタミンAアセテートである場合の、好ましい製造条件は以下の通りである。
【0091】
ノズル2としては、一流体ノズルと二流体ノズルなどが挙げられる。工業用スケールなどの場合には乳化分散液を大量に噴霧させる必要があることから、一流体ノズルが用いられる。その際、ノズルのオリフィス径が1〜2mm、噴霧圧が980〜2940kPaG(ゲージ圧、10〜30kgf/cm2G)程度である。本発明の実施例の如く二流体ノズルを使用する際には、オリフィス径が0.7〜1.5mm程度である。また、噴霧圧としては、乳化分散液の噴霧圧が49〜100kPaG(ゲージ圧、0.5〜1.0kgf/cm2G)程度、混合用の気体の噴霧圧が9.8〜49kPaG(ゲージ圧、0.1〜0.5kgf/cm2G)程度である。尚、混合用の気体としては、被覆剤の噴霧に用いられる気体と同様のものが用いられる。
【0092】
噴出口3の風量の噴霧槽内速度としては、0.1〜0.5m/s程度、好ましくは0.2〜0.4m/s程度である。噴出口3の気体の温度としては、5〜40℃程度である。
【0093】
かくしてスプレイタワー1において被覆されたのち、通常、乾燥工程にて乾燥される。乾燥工程において被覆剤中の水分が乾燥されるとともに、前述の架橋反応が進行する(図1及び図2には乾燥工程の記載が省略されている)。
【0094】
被覆粒子の乾燥方法としては、静置乾燥法、通風乾燥法、減圧乾燥法などが例示され、乾燥温度としては、通常、40〜140℃程度であり、乾燥時間としては、5分〜1時間程度である。脂溶性ビタミン類の安定性を考慮すれば、通常、乾燥温度が高いほど短い時間で乾燥を実施し、乾燥温度が低いと長い時間で乾燥を実施する。
【0095】
以上、本実施形態では、400〜600μmの範囲に属する粒子が多い被覆粒子について例示した。
【0096】
なお、上記親油性化合物として脂溶性ビタミン類の製造方法を例にあげて説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。また、脂溶性ビタミン類以外の親油性化合物を製造する場合、例えば、乳化分散液の粘度・温度、ノズル2・噴出口3の種類・オリフィス径、乳化分散液・被覆剤・気体の供給温度・供給速度(風量)・供給方向、などについては、使用する親油性化合物、親水性の被覆剤、および気体の種類に応じて、適宜設定すればよく、特に限定されるものではない。
【0097】
ところで、特許文献1の方法では、ビタミンAを含有する乳化分散液と、被覆剤であるデンプンと、気体とを装置の上方から下方に向かって供給している。このため、本発明とは異なり、噴霧槽内に螺旋状の対流ができない。その結果、本発明よりも、噴霧槽内での滞留時間が短くなるので、均一な粒子径の被覆粒子を製造することが困難である。すなわち、特許文献1の方法では、製造された被覆粒子の粒度分布が広くなる。
【0098】
本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
【0099】
【実施例】
以下、実施例により本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。以下の実施例中の「部」および「%」は、それぞれ、「重量部」および「重量%」を示す。
【0100】
〔実施例1〕
ゼラチン(タイプB、100ブルーム)4.4部と、水40部との混合物に、水あめ(固形分85%)10部を添加し、60℃で混合した。得られた混合液に、加熱溶解したビタミンAアセテート4部(290万IU/g)、植物油0.8部およびBHT2部を添加・混合し、混合物を得た。この混合物に、60℃で28%アンモニア水(0.5mL)を添加して、混合物の溶液のpHを8.4に調整した後、ホモジナイザーを用いて60℃で2分間乳濁化し、ビタミンAアセテートを含有する乳化分散液を得た。得られた乳化分散液を二流体ノズル(オリフィス径1.0mm)を用いて、乳化分散液を78.4kPa(ゲージ圧、0.8kgf/cm2G)で加圧し、さらに混合用の炭酸ガス(二酸化炭素)を24.5kPaG(0.25kgf/cm2G)で加圧して、被覆剤であるとうもろこしでんぷんの霧状内に噴霧し、乳化分散液の液滴の表面がとうもろこしでんぷんで被覆されてなる微粒子(被覆粒子)を得た。なお、螺旋状に導入された炭酸ガスの塔内速度は、0.17m/sであった。この被覆粒子を130℃の乾燥機を用いて10分間加熱処理を行い、ビタミンAアセテート含有粒子(ビタミンAアセテートの含有量52万IU/g)15部を得た。なお、かかる加熟処理において、過剰に用いたとうもろこしでんぷんの粉末は乾燥空気流によって除去された。また、得られた粒状体を水に入れ、1分間熱水に浸析したが、ビーズはわずかに膨潤しただけで、形状は保たれ、ビタミンAアセテートの熱水への溶出は認められなかった。
【0101】
〔実施例2〕
ゼラチン(タイプB、100ブルーム)4.4部と水40部との混合物に、廃糖蜜(固形分80%)11部を添加し、60℃で混合した。得られた混合液に、加熱溶解したビタミンAアセテート4部(290万IU/g)、植物油0.8部およびBHT2部を添加・混合し、混合物を得た。次に実施例1と同様にして乳化分散液の調製、噴霧、乾燥して、ビタミンAアセテート含有粒状体(ビタミンAアセテートの含有量52万IU/g)15部を得た。なお、乾燥後の被覆粒子を1分間熱水に浸析したが、ビーズはわずかに膨潤しただけで、形状は保たれ、被覆粒子からビタミンAアセテートの熱水への溶出は認められなかった。
【0102】
実施例1および2で得られた粒子の粒度分布と、比較例として特許文献1で得られた粒子の粒度分布とを比較した結果を表1〜4、および図3に示す。このように、本実施例によれば、目的とする400〜600μmの範囲に属する粒子が多い被覆粒子、すなわち、粒度分布が狭い被覆粒子を得ることができる。
【0103】
【表1】
【0104】
【表2】
【0105】
【表3】
【0106】
【表4】
【0107】
【発明の効果】
以上のように、本発明の親油性化合物を含有する被覆粒子の製造方法は、螺旋状に対流させた気流中で、上記乳化分散液と親水性の被覆剤とを接触させることにより、乳化分散液の液滴表面を前記被覆剤によって被覆した被覆粒子を製造する方法である。
【0108】
また、本発明の親油性化合物を含有する被覆粒子の製造装置は、第3供給手段が噴霧槽の側面から気体を供給することによって、噴霧槽内に気体を螺旋状に対流させ、噴霧槽内で上記被覆粒子を製造する構成である。
【0109】
それゆえ、目的とする粒子径の範囲の重量比率が多く、すなわち粒度分布が狭い被覆粒子を製造することができる。したがって、例えば、光、熱、または酸素などに不安定な脂溶性ビタミンやカロチノイドを含有する被覆粒子が、均一な粒子径で製造できるので、医薬品や食品などで幅広く利用することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明にかかる親油性化合物を含有する粒子の製造装置の概略構成を示す図である。
【図2】図1における、スプレイタワーの気流を示す図である。
【図3】実施例1および2の被覆粒子と、比較例の被覆粒子の粒度分布を示すグラフである。
【符号の説明】
1 スプレイタワー(噴霧槽)
2 ノズル(第1供給手段)
3 噴出口(第2供給手段・第3供給手段)
4 被覆剤槽
5 供給ブロア
6 回収サイクロン
7 供給ブロア
8 混合槽
9 循環ライン
10 乾燥機
【発明の属する技術分野】
本発明は、親油性化合物を含有する粒子の製造方法および製造装置に関し、より詳細には、例えば、医薬品や食品の添加物として利用されている光、熱、または酸素などに不安定な脂溶性ビタミンおよびカロチノイドなどの親油性化合物を含有する被覆粒子の製造方法および製造装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
ビタミンA誘導体であるビタミンAアセテートをはじめとする脂溶性ビタミンやβ−カロチンなどのカロチノイドは、医薬品、動物飼料、および食品の添加剤をして幅広く利用されている。しかし、脂溶性ビタミンやカロチノイドは、光、熱、または酸素などの影響で容易に劣化し、活性が低下しやすい化合物である。
【0003】
このため、医薬品、動物飼料、および食品として製造・加工される条件でも、脂溶性ビタミンやカロチノイドの活性を維持させるために、一般的には、脂溶性ビタミンやカロチノイドが、糖、ゼラチンなどのマトリックスに被覆された形の被覆粒子(ビーズ)として製造される。
【0004】
従来、このような被覆粒子の製造方法として、噴霧法による製造方法が数多く開発されている(例えば、特許文献1)。
【0005】
具体的には、特許文献1に記載の製造方法では、噴霧槽内の上方から下方へ被覆剤を含む気体を対流させると共に、脂溶性ビタミンやカロチノイドを分散させた乳化分散液を噴霧槽内に噴霧している。これによって、前記乳化分散液の液滴表面が架橋反応によってゲル化するとともに、被覆剤によって被覆される。続いて、この被覆粒子を乾燥することによって完全にゲル化して、脂溶性ビタミンやカロチノイドを含有する被覆粒子を製造している。
【0006】
このように、光、熱、または酸素などに不安定な脂溶性ビタミンやカロチノイドは、表面が被覆剤で被覆することにより、安定な被覆粒子として製造されている。
【0007】
【特許文献1】
特開平11−158063号公報(公開日1997年11月26日)
【0008】
【特許文献2】
特開昭49−7415号公報(公開日1974年1月23日)
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
かかる被覆粒子がビタミン剤として用いられる場合、その効能を均一に発揮させるために、ほぼ均一な粒子径で粒度分布の狭い被覆粒子であることが好ましく、具体的には、粒子径が、例えば400〜600μmの範囲内に属する粒子が多いというように、粒度分布の狭い被覆粒子が求められている。特許文献1の方法においても、上記範囲に属する重量比率が多いが、一層、均一な粒子径で粒度分布の狭い被覆粒子の製造方法が求められている。
【0010】
本発明の目的は、従来の方法よりも一層、均一な粒子径で粒度分布の狭い被覆粒子の製造方法および製造装置を提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明の被覆粒子の製造方法は、上記の課題を解決するために、親油性化合物を分散させた乳化分散液と、親水性の被覆剤とを、接触させることにより、前記乳化分散液の液滴表面を前記被覆剤によって被覆した被覆粒子を製造する方法であって、螺旋状に対流させた気流中で、上記乳化分散液と親水性の被覆剤とを接触させることを特徴としている。
【0012】
上記の構成によれば、親油性化合物を分散した乳化分散液と親水性の被覆剤とが螺旋状に対流しながら接触し、乳化分散液の表面が被覆剤で被覆されて被覆粒子が形成される。例えば、螺旋状の下降気流中で、上記乳化分散液と被覆剤とを接触させると、この下降気流に乗って下降しながら上記乳化分散液の表面が被覆剤によって被覆された被覆粒子が形成される。
【0013】
これによれば、螺旋状の気流中で被覆粒子が形成されるので、例えば、従来のように、単に鉛直方向下向きの気流中で上記乳化分散液と被覆剤とを接触させた場合よりも、上記乳化分散液と被覆剤との接触時間が長くなる。このため、被覆剤による乳化分散液の被覆のバラツキは、低減される。したがって、得られる被覆粒子は、粒子径がほぼ均一であり、粒度分布も狭くなる。
【0014】
なお、被覆剤は親水性であるので、被覆粒子では、乳化分散液層の水分が被覆剤層へ移動して吸収される。そして、被覆剤層に移動した水分を乾燥することによって、均一な粒子径の親油性化合物を含有する被覆粒子を製造することができる。また、気流中の気体によっても被覆粒子中の水分の乾燥が促進される。
【0015】
本発明の被覆粒子の製造方法は、上記被覆剤を分散させた螺旋状の下降気流中に、上記乳化分散液を噴霧または滴下することもできる。これによれば、螺旋状の下降気流中で被覆粒子が形成される。その結果、形成された被覆粒子と過剰の被覆剤とを重量差によって容易に分離することができる。
【0016】
本発明の被覆粒子の製造方法は、上記親油性化合物は、脂溶性ビタミンおよび/またはカロチノイドであることが好ましい。これにより、光、熱、または酸素などに不安定な脂溶性ビタミンおよび/またはカロチノイドを含有する粒子を、安定な粒子として提供できる。この粒子は、医薬品、食品、動物飼料などに利用できる。
【0017】
本発明の被覆粒子の製造装置は、上記の課題を解決するために、親油性化合物を分散させた乳化分散液と、親水性の被覆剤とを、噴霧槽内に対流させた気流中で接触させることにより、前記乳化分散液の液滴表面を前記被覆剤によって被覆した被覆粒子の製造装置であって、上記噴霧槽に、親油性化合物を供給する第1供給手段と、被覆剤を供給する第2供給手段と、気体を供給する第3供給手段とを備えていると共に、上記第3供給手段は、上記噴霧槽の側面から気体を供給することを特徴としている。
【0018】
上記の構成によれば、第3供給手段は噴霧槽の側面から気体を供給するので、供給された気体は噴霧槽内を螺旋状に対流する。すなわち、第3供給手段から噴霧槽に気体が供給されると、噴霧槽内には螺旋状の気流が発生する。そして、この気流中に、第1供給手段から親油性化合物を分散した乳化分散液と、第2供給手段から親水性の被覆剤とを供給する。これにより、この気流に乗って、すなわち螺旋状に対流しながら、噴霧槽内で上記乳化分散液と被覆剤とが接触して、親油性化合物の表面が親水性の被覆剤によって被覆された、親油性化合物を含有する被覆粒子が形成される。
【0019】
このように、上記の構成によれば、噴霧槽内に発生させた螺旋状の気流中で、被覆粒子を形成するので、噴霧槽内のスペースを効率よく利用して被覆粒子を製造できる。また、螺旋状の気流中で被覆粒子を製造すると、乳化分散液と被覆剤との噴霧槽内での滞留時間が長くなる。つまり、乳化分散液と被覆剤との接触時間が長くなる。このため、被覆剤が乳化分散液を被覆するバラツキは、低減される。したがって、得られる被覆粒子は、粒子径がほぼ均一であり、粒度分布も狭くなる。
【0020】
本発明の被覆粒子の製造装置は、上記第3供給手段が、噴霧槽の内壁の周囲に沿って気体を供給する構成であってもよい。これにより、確実に噴霧槽内に、螺旋状の気流を発生させることができる。その結果、小型の装置であっても、一層粒子径がほぼ均一であり、粒度分布も狭い被覆粒子を製造できる。
【0021】
上記第2供給手段と第3供給手段とを一体化した手段が、上記噴霧槽に、上記被覆剤を分散させた気体を供給する構成であってもよい。
【0022】
上記の構成によれば、被覆剤を分散させた気体が、1つの供給手段によって供給される。これにより、製造装置を小型化することができる。
【0023】
本発明の被覆粒子の製造装置は、上記噴霧槽の高さに対する幅の割合(幅/高さ)が、1/2〜1/20であってもよい。これにより、製造装置を小型化しつつ、粒度分布の狭い被覆粒子を製造することができる。
【0024】
【発明の実施の形態】
本発明の実施の一形態について、以下に説明する。なお、本発明はこれに限定されるものではない。
【0025】
本発明は、親油性化合物を分散させた乳化分散液と、親水性の被覆剤とを、噴霧槽内に対流させた気流中で接触させることにより、前記乳化分散液の液滴表面を前記被覆剤によって被覆した被覆粒子を製造する方法である。
【0026】
親油性化合物は、例えば、熱、酸素、光などに対して不安定な化合物が挙げられ、具体的には、脂溶性ビタミンやカロチノイドなどが例示される。
【0027】
脂溶性ビタミンとしては、例えば、ビタミンAアセテート、ビタミンAパルミテート、ビタミンA(レチノール)、ビタミンAアルデヒド(レチナール)、ビタミンA酸(レチノイン酸)またはこれらの誘導体などのビタミンA類;コレカルシフェロール(ビタミンD3)、エルゴカルシフェロール(ビタミンD2)、1α、25−ジヒドロキシコレカルシフェロール(活性型ビタミンD3)、またはこれらの誘導体などのビタミンD類;α−トコフェロール、5,7,8−トリメチルトコトリエノールなどのビタミンE類;2−ファルネシル−3−メチル1,4−ナフトキノン(ビタミンK3)などのビタミンK類などを挙げることができる。
【0028】
また、カロチノイドとしては、β−カロチン、カンタキサンチン、アスタキサンチン、ルテインなどを挙げることができる。
【0029】
なお、以下の説明では、特に断らない限り、上記脂溶性ビタミンおよびカロチノイドを併せて、「脂溶性ビタミン類」と称する。
【0030】
脂溶性ビタミン類は、医薬品をはじめ、食品や動物飼料など、幅広い分野で利用されているが、分子内にポリエン構造やキノン構造を有しているため不安定であり劣化しやすい。このため、脂溶性ビタミン類の粒子の表面が、被覆剤によって被覆されている。すなわち、脂溶性ビタミン類が被覆剤により被覆され、粒子状の脂溶性ビタミン類とすることにより安定化されている。
【0031】
脂溶性ビタミン類をビタミン剤に適用する場合、脂溶性ビタミン類は、通常、400〜600μmに属する範囲の粒子径が最も多い。このため、脂溶性ビタミン類を製造する上では、この範囲の重量比率が多い被覆粒子を製造することが好ましい。ところが、従来の方法では、製造された被覆粒子の粒度分布が広いため、目的とする範囲が占める重量比率が十分ではなかった。
【0032】
本発明は、このような目的とする重量比率を製造することが困難な脂溶性ビタミン類の被覆粒子を製造するのに特に好適である。
【0033】
まず、本発明の被覆粒子の製造装置について説明する。
【0034】
本発明にかかる被覆粒子の製造装置は、図1に示すような、親油性化合物を分散させた乳化分散液と親水性の被覆剤とを接触させるスプレイタワー1(噴霧槽)を具備する。
【0035】
スプレイタワー1は、ノズル2および噴出口3とを備えている。そして、スプレイタワー1の内部で、親油性化合物を親水性の被覆剤で被覆してなる被覆粒子を製造する。
【0036】
スプレイタワー1の頂部(上方部)には、スプレイタワー1内に、親油性化合物を分散した乳化分散液を供給するノズル2(第1供給手段)が備えられている。
【0037】
一方、スプレイタワー1の側面には、スプレイタワー1内に、親水性の被覆剤と気体とを供給する噴出口3(第2供給手段・第3供給手段)が備えられている。この気体としては、例えば、空気、窒素、炭酸ガスなどを挙げることができるが、中でも酸素劣化しやすい脂溶性ビタミン類の被覆粒子を製造する場合、窒素、炭酸ガスが気体として好適である。
【0038】
供給ブロア5は、噴出口3に、被覆剤槽4から供給される親水性の被覆剤を分散した気体を供給する。すなわち、供給ブロア5は、被覆剤を気体に分散する分散装置である。
【0039】
回収サイクロン6は、ノズル3からスプレイタワー1の底部の被覆粒子取り出し口まで対流し終えた、上記乳化分散液中の水分を吸収した気体と、上記乳化分散液を被覆するのに用いられなかった過剰の被覆剤とを、循環ライン9を経由して、回収するものである。回収された被覆剤は、乾燥機10にて乾燥したのち、リサイクルして用いることができ、被覆剤槽4、供給ブロア5を経由して、再び噴出口3から噴出される。
【0040】
供給ブロア7は、混合槽8にて混合して形成される親油性化合物を分散した乳化分散液を、ノズル2に供給するものである。
【0041】
次に、スプレイタワー1内での被覆粒子の形成について、図2を用いて説明する。
【0042】
前述のように、噴出口3は、スプレイタワー1の側面に備えられている。すなわち、スプレイタワー1に供給される気体は、噴出口3から、スプレイタワー1の内壁に沿って供給されることになる。その結果、図2に示すように、噴出口3から供給される気体は、スプレイタワー1の内壁を、螺旋状に流れていく。より詳細には、噴出口3からは被覆剤を分散した気体が供給されるので、スプレイタワー1内には、被覆剤を含む螺旋状の気流が発生する。
【0043】
次に、このような螺旋状の気流中に、ノズル2から乳化分散液を噴霧する。その結果、噴霧された乳化分散液は、螺旋状の気流に乗って、スプレイタワー1内を螺旋状に下降する。これにより、螺旋状に下降しながら、乳化分散液の表面が被覆剤によって被覆されたゲル化された被覆粒子が形成される。つまり、乳化分散液からなる層が被覆剤からなる層に覆われた2層構造である被覆粒子が形成される。被覆粒子が形成されると、乳化分散液層中の水分は、親水性である被覆剤層に移動して吸収される。
【0044】
このように、螺旋状に下降しながら被覆粒子を形成すると、乳化分散液と被覆剤とがスプレイタワー1内に滞留する時間が長くなる。すなわち、乳化分散液と被覆剤との接触時間が長くなる。すなわち、その結果、得られる被覆粒子は、確実に被覆剤によって被覆され、ほぼ均一な粒子径となる。つまり、粒度分布が狭い被覆粒子が得られることになる。
【0045】
また、被覆粒子は確実に被覆剤によって被覆されているので、乳化分散液中の水分は効率的に被覆剤によって吸収して、乳化分散液中から除去できる。なお、乳化分散液中の水分は、噴出口3から供給される気体によっても除去される。このように、被覆粒子が形成されると、乳化分散液中の水分は、10〜20重量%除去できる。その結果、後続の被覆粒子を乾燥する工程の時間を短縮できる。
【0046】
このように、スプレイタワー1内に供給された親油性化合物を分散した乳化分散液は、表面が被覆剤で被覆された被覆粒子を形成しながら、スプレイタワー1の頂部(上方)から、被覆粒子を回収するスプレイタワー1の底部(下方)へと、螺旋状に進行する。つまり、スプレイタワー1内のスペースを有効に活用しながら、被覆粒子を製造することができる。
【0047】
得られた被覆粒子と、過剰の被覆剤とは重力差によって分離できる。すなわち、被覆粒子はスプレイタワー1の底部(図1中、被覆粒子取り出しの矢印部)から取り出すことができる。取り出した被覆粒子は、水分を含んでいるため、風乾や乾燥機によって乾燥する。乾燥後の水分含量は、任意に設定すればよい。例えば、被覆粒子をビタミン剤として用いる場合、乾燥後の水分含量を3%以下とすればよい。これにより、最終的な乾燥した被覆粒子が得られる。一方、過剰の被覆剤と、乳化分散液の水分を吸収した気体は、循環ライン9を経由して、回収サイクロン6に回収される。
【0048】
以上のように、スプレイタワー1の側面から気体を供給することによって、スプレイタワー1内に螺旋状の気流を発生させることができる。そして、この気流中に親油性化合物を分散した乳化分散液を供給することによって、乳化分散液がスプレイタワー1内を滞留する時間が長くなる。その結果、均一に乳化分散液の表面を被覆することができるので、被覆粒子の粒子径がほぼ均一となる。したがって、製造された被覆粒子の粒度分布が狭くなる。
【0049】
このようにして製造された親油性化合物を含有する被覆粒子は、製造工程中、水や熱などによってもほとんど失活することはなく、熱水中でも崩壊しない。ここで、上記「熱水中でも崩壊」しないとは、製造された親油性化合物を含有する粒子を熱水(60℃)に添加して1分経過後も、熱水中に上記親油性化合物が溶出しないことを示す。
【0050】
なお、噴出口3から供給する気体の温度は、5〜60℃であることが好ましく、とりわけ10〜40℃であることが好ましい。気体の温度が5℃以上であると、水分の増大するとともに、後述する架橋反応が促進され、結果として粒度分布が狭くなる傾向にあることから好ましい。一方、60℃以下であると、水分の蒸発速度が抑制され、均一な微粒子を形成する傾向があることから好ましい。
【0051】
なお、噴出口3から被覆剤を分散した気体を供給する場合、気体の塔内速度としては、0.1〜0.5m/s程度、好ましくは0.2〜0.4m/s程度である。0.1m/s以上であると所定量の被覆剤を噴霧させることができ、しかも、水分の蒸発量が向上する傾向にあることから好ましく、0.5m/s以下であると噴霧された乳化分散液が塔壁に付着が減少したり、噴霧された液滴同士の付着が減少する傾向にあることから好ましい。
【0052】
スプレイタワー1の高さに対する幅の比(幅/高さ)、すなわち、図1ではノズル2から被覆粒子取り出し口である底面までの高さに対する、ノズル2が設置されたスプレイタワー1の頂面の直径は、1/2〜1/20であることが好ましく、1/5〜1/10であることがより好ましい。これにより、形の整った被覆粒子得られ、また、スプレイタワー1を小型化することもできる。
【0053】
スプレイタワー1の形状は、図1のような円筒状に限定されるものではなく、任意の形状とすることができる。
【0054】
ノズル2は、スプレイタワー1の任意の位置に設置することができる。図1のように、スプレイタワー1の上端部から乳化分散液を供給すると、乳化分散液のスプレイタワー1内での滞留時間が長くなり、効率的に被覆粒子が形成できるため好ましい。
【0055】
また、図1では、ノズル2から乳化分散液を噴霧しているが、例えば、ディスペンサーなどを用いて、乳化分散液を滴下してもよい。
【0056】
さらに、ノズル2の位置としては、図1の如く、スプレイタワー1の上端の中央部に設置する場合、噴出口3と同様にスプレイタワー1の側面に設置する場合などが例示されるが、スプレイタワー1の上端の中央部に設置されると塔壁に乳化分散液の液滴が付着しない傾向にあることから好ましい。
【0057】
噴出口3は、スプレイタワー1の側面の任意の位置に設置することができる。図1のように、スプレイタワー1の側面の上端部に近いほど、スプレイタワー1内全体に、螺旋状に気体を対流させることができるため好ましい。
【0058】
また、図1では、噴出口3は、被覆剤を分散させた分散気体を供給しているが、被覆剤と気体とを別々に供給する構成としてもよい。図1のように、噴出口3から、被覆剤と気体とを1つのノズルから同時に供給すれば、装置の小型化が可能である。
【0059】
製造した被覆粒子を取り出す位置としては、通常、図1のように、スプレイタワー1の下端部、すなわち底部から被覆粒子を取り出す。そして、スプレイタワー1内を螺旋状に対流した被覆粒子をほぼ均一な粒子径として取り出すことができる。
【0060】
このようにして、ノズル2と被覆粒子の取り出し位置との距離を長くすることにより、スプレイタワー1内での乳化分散液の滞留時間が長くなり、均一な被覆粒子を得ることができるのである。
【0061】
次に、本発明における、親水性の被覆剤と、親油性化合物を分散した乳化分散液について説明する。
【0062】
被覆剤は、液滴中の乳化分散液の水分を効率よく吸収できる親水性の被覆剤である。これにより、乳化分散液から被覆剤に水分が移動するので、乾燥が容易になる。
【0063】
被覆剤としては、例えば、乳糖、ブドウ糖、ショ糖、マルトース、ラクトース、デンプンなどの室温で粉末状の糖類、ケイ酸、ステアリン酸、およびそれらの誘導体などを挙げることができる。ここで、デンプンとしては、例えば、馬鈴薯やトウモロコシなどから取得された生デンプンであってもよいし、例えば、酸化デンプン、アセチル化デンプン、メチル化デンプン、カルボキシメチル化デンプンなどの変性デンプンであってもよい。被覆剤は、1種類を用いてもよいし、複数の被覆剤を任意の割合で混合した混合物を用いてもよい。
【0064】
被覆剤の粒子径は、通常、200メッシュ(開口:74μm)の篩を通過する範囲である(JIS Z8801−1982の篩分析による)。
【0065】
被覆剤の使用量は、通常、乳化分散液の液量に対して、0.7〜15重量倍、好ましくは、2〜6重量倍の範囲である。
【0066】
上記乳化分散液をスプレイタワー1に供給する方法としては、例えば、ノズル2から上記乳化分散液を噴霧する方法や、先端に有口針を備えたディスペンサーを用いて滴下する方法などによって行うことができる。ノズル2を用いて噴霧する方法では、一度に多くの上記乳化分散液を供給できる。一方、ディスペンサーを用いて上記乳化分散液を滴下すると、上記有口針の直径と同じ粒子径の上記乳化分散液の液滴を、ディスペンサーの先端から滴下できる。なお、上記乳化分散液を滴下して供給しても、スプレイタワー1内には螺旋状の気流が発生しているので、スプレイタワー1のどの位置から滴下しても、その気流中に上記乳化分散液を供給できる。
【0067】
次に、乳化分散液の一例として、脂溶性ビタミン類を含有する上記乳化分散液の作製方法について説明する。
【0068】
乳化分散液は、脂溶性ビタミン類を水などの親水性溶媒中に分散させることにより作製する。乳化分散液には、少なくとも脂溶性ビタミン類が分散されてればよいが、さらに、乳化剤、乳糖、ブドウ糖などの単糖類、マルトース、ラクトースなどの還元性少糖類、水飴、糖蜜などの還元性多糖類、油脂、酸化防止剤、などの添加剤が、さらに添加されていてもよい。
【0069】
上記乳化剤は、親油性化合物の乳化を促進するためのものである。乳化剤としては、例えば、ゼラチンなどを挙げることができる。
【0070】
上記ゼラチンとしては、酸処理ゼラチンであるタイプAおよびアルカリ処理ゼラチンであるタイプBが容易に入手することができるが、本製造方法では、どちらのタイプを使用してもよい。
【0071】
乳化剤の添加量は、通常、乳化分散液の合計量に対して5〜20重量%であり、脂溶性ビタミン類に対して、0.5〜1.5重量倍の範囲であることが好ましく、0.75〜1.5重量倍の範囲であることがより好ましい。
【0072】
乳化剤が上記範囲内であると、脂溶性ビタミン類が乳化分散液に分散しやすい傾向にあり、しかも経済的である。
【0073】
乳化分散剤に添加してもよい単糖類、還元性少糖類および還元性多糖類(以下、総称して還元性糖類という)は、ゼラチンなどのアミノ基とメイラード反応と呼ばれる架橋反応を起こし、マトリックスを形成して脂溶性ビタミン類を埋め込むことができることから好適に用いられる。還元性糖類は、還元性があればよく、被覆剤として用いられる糖類と同じ種類であってもよい。
【0074】
還元性糖類の添加量は、通常、脂溶性ビタミン類の重量に対して、0.7〜3重量倍の範囲が好ましい。
【0075】
乳化分散液における水の量は、通常、脂溶性ビタミン類の重量に対して、1〜10重量倍の範囲である。
【0076】
乳化分散液中の水分の大部分は、後述する乾燥によって除去される。このため、水が10重量倍以下であると、後続の乾燥時間を短縮することができる。例えば、従来の噴霧法における乳化分散液の濃度よりも、本製造方法における上記乳化分散液の濃度を高くすれば、乾燥時間が従来よりも短縮できる。
【0077】
また、上記油脂は、脂溶性ビタミンを溶解したり、乳化分散液の粘度を調整するための希釈剤として用いられる。油脂としては、例えば、ピーナッツ油、大豆油、菜種油、コーン油等の植物油、グリセリンなどが挙げられる。油脂の添加量は、脂溶性ビタミン類の種類によって異なるが、通常、上記乳化分散液の合計量に対して、0.2〜15重量%であり、例えば、脂溶性ビタミンがビタミンAアセテートである場合、上記脂溶性ビタミン類の重量に対して、0.01〜0.75重量倍であることが好ましい。
【0078】
上記酸化防止剤は、親油性化合物が酸素に不安定な場合に、酸化による劣化を防止するために用いることができる。酸化防止剤としては、例えば、2,6−ジt−ブチルヒドロキシトルエン(BHT)、2−t−ブチル−4−ヒドロキシアニソール(BHA)、6−エトキシ−1,2−ジヒドロ2,2,4−トリメチルキノリン(エトキシキン)等が挙げられる。酸化防止剤の添加量は、通常、上記乳化分散液の合計量に対して、6〜30重量%であり、上記脂溶性ビタミン類の重量に対して、0.3〜1重量倍であることが好ましい。
【0079】
酸化防止剤が上記範囲内であると親油性化合物の酸化が低減される傾向にあることから好ましく、しかも経済的である。
【0080】
乳化分散液を調製する方法としては、例えば、乳化剤であるゼラチン水溶液に、脂溶性ビタミン類、必要に応じて、油脂、酸化防止剤などの添加剤を添加・混合して混合液を得た後、当該混合液をホモジナイザー等で乳化分散させて(すなわち乳濁化させて)上記乳化分散液を得る方法などが挙げられる。
【0081】
乳化分散液の調製を行う温度としては、通常、室温〜80℃程度、好ましくは、50℃〜70℃で実施される。上記温度が室温以上であると脂溶性ビタミン類の分散性が向上する傾向があり、50℃以上であると、乳化剤としてゼラチンを用いた場合にゼラチンが溶解されやすい傾向にあることから、一層好ましい。上記温度が80℃以下であると、熱による脂溶性ビタミン類の劣化が低減される傾向にあることから好ましい。
【0082】
続いて、乳化分散液に塩基を添加して、pHを6〜10に調整する。乳化剤としてゼラチンと還元性糖類を用い、上記乳化分散液のpHを調整することにより、メイラード反応と呼ばれる架橋反応が進行しやすい傾向があることから好ましい。塩基の添加は、上記乳化分散液の調製前(すなわち、上記混合液の段階)、上記乳化分散液の調製中、または乳化分散液の調製後、のいずれの段階で行ってもよい。乳化分散液の調製前(すなわち、上記混合液)の段階、または乳化分散液の調製後の段階でpHを調整する場合には、乳化分散液調製の条件を維持してpHの調整を行うことが好ましい。すなわち、乳化分散液のpHを調整する時の温度は、60℃を基準として、室温〜80℃で実施すればよく、50℃〜70℃であることが好ましい。この温度は、前記した混合液の調整、乳化液の調整の温度である室温〜80℃の範囲であることから、混合液の調製温度または乳化分散液の調製温度を著しく変化させることなく簡便にpHを調整することができる。
【0083】
上記塩基としては、乳化分散液中に含まれる脂溶性ビタミン類と反応して活性を低下させないものが好ましく、例えば、アンモニア、アンモニウム塩のなどが挙げられる。
【0084】
上記アンモニアとしては、気体のアンモニア、液体アンモニア、アンモニア水、アンモニウム塩等を挙げることができる。これらのうち、容易に取り扱うことできるアンモニア水が好ましい。
【0085】
なお、アンモニウム塩としては、ギ酸アンモニウム、などのカルボン酸アンモニウム塩、重炭酸アンモニウム、炭酸アンモニウム等の水溶性アンモニウム塩などを挙げることができる。
【0086】
上記塩基の添加量は、上記乳化液のpHを6〜10に調整できればよい。塩基として、アンモニア水を使用した場合の添加量は、通常、上記脂溶性ビタミン類に対して、アンモニア換算で0.01〜1重量倍である。
【0087】
調整したpHの確認は、例えば、pHを調整した上記乳化液または混合液中に、pHメータ等のpH計測器を挿入することにより行うことができる。例えば、pH計測器で示されるpHを確認しながら、目的のpHまで、塩基を添加すればよい。
【0088】
このようにしてpHの調整を行った上記乳化分散液が、ノズル2から噴霧される。
【0089】
なお、乳化分散液の粘度は、特に限定されるものではないが、親油性化合物が水に不安定な場合、水分の量を少なくして水による劣化防ぐために、高粘度のものを使用すればよい。
【0090】
また、後述する実施例のように、親油性化合物がビタミンAアセテートである場合の、好ましい製造条件は以下の通りである。
【0091】
ノズル2としては、一流体ノズルと二流体ノズルなどが挙げられる。工業用スケールなどの場合には乳化分散液を大量に噴霧させる必要があることから、一流体ノズルが用いられる。その際、ノズルのオリフィス径が1〜2mm、噴霧圧が980〜2940kPaG(ゲージ圧、10〜30kgf/cm2G)程度である。本発明の実施例の如く二流体ノズルを使用する際には、オリフィス径が0.7〜1.5mm程度である。また、噴霧圧としては、乳化分散液の噴霧圧が49〜100kPaG(ゲージ圧、0.5〜1.0kgf/cm2G)程度、混合用の気体の噴霧圧が9.8〜49kPaG(ゲージ圧、0.1〜0.5kgf/cm2G)程度である。尚、混合用の気体としては、被覆剤の噴霧に用いられる気体と同様のものが用いられる。
【0092】
噴出口3の風量の噴霧槽内速度としては、0.1〜0.5m/s程度、好ましくは0.2〜0.4m/s程度である。噴出口3の気体の温度としては、5〜40℃程度である。
【0093】
かくしてスプレイタワー1において被覆されたのち、通常、乾燥工程にて乾燥される。乾燥工程において被覆剤中の水分が乾燥されるとともに、前述の架橋反応が進行する(図1及び図2には乾燥工程の記載が省略されている)。
【0094】
被覆粒子の乾燥方法としては、静置乾燥法、通風乾燥法、減圧乾燥法などが例示され、乾燥温度としては、通常、40〜140℃程度であり、乾燥時間としては、5分〜1時間程度である。脂溶性ビタミン類の安定性を考慮すれば、通常、乾燥温度が高いほど短い時間で乾燥を実施し、乾燥温度が低いと長い時間で乾燥を実施する。
【0095】
以上、本実施形態では、400〜600μmの範囲に属する粒子が多い被覆粒子について例示した。
【0096】
なお、上記親油性化合物として脂溶性ビタミン類の製造方法を例にあげて説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。また、脂溶性ビタミン類以外の親油性化合物を製造する場合、例えば、乳化分散液の粘度・温度、ノズル2・噴出口3の種類・オリフィス径、乳化分散液・被覆剤・気体の供給温度・供給速度(風量)・供給方向、などについては、使用する親油性化合物、親水性の被覆剤、および気体の種類に応じて、適宜設定すればよく、特に限定されるものではない。
【0097】
ところで、特許文献1の方法では、ビタミンAを含有する乳化分散液と、被覆剤であるデンプンと、気体とを装置の上方から下方に向かって供給している。このため、本発明とは異なり、噴霧槽内に螺旋状の対流ができない。その結果、本発明よりも、噴霧槽内での滞留時間が短くなるので、均一な粒子径の被覆粒子を製造することが困難である。すなわち、特許文献1の方法では、製造された被覆粒子の粒度分布が広くなる。
【0098】
本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
【0099】
【実施例】
以下、実施例により本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。以下の実施例中の「部」および「%」は、それぞれ、「重量部」および「重量%」を示す。
【0100】
〔実施例1〕
ゼラチン(タイプB、100ブルーム)4.4部と、水40部との混合物に、水あめ(固形分85%)10部を添加し、60℃で混合した。得られた混合液に、加熱溶解したビタミンAアセテート4部(290万IU/g)、植物油0.8部およびBHT2部を添加・混合し、混合物を得た。この混合物に、60℃で28%アンモニア水(0.5mL)を添加して、混合物の溶液のpHを8.4に調整した後、ホモジナイザーを用いて60℃で2分間乳濁化し、ビタミンAアセテートを含有する乳化分散液を得た。得られた乳化分散液を二流体ノズル(オリフィス径1.0mm)を用いて、乳化分散液を78.4kPa(ゲージ圧、0.8kgf/cm2G)で加圧し、さらに混合用の炭酸ガス(二酸化炭素)を24.5kPaG(0.25kgf/cm2G)で加圧して、被覆剤であるとうもろこしでんぷんの霧状内に噴霧し、乳化分散液の液滴の表面がとうもろこしでんぷんで被覆されてなる微粒子(被覆粒子)を得た。なお、螺旋状に導入された炭酸ガスの塔内速度は、0.17m/sであった。この被覆粒子を130℃の乾燥機を用いて10分間加熱処理を行い、ビタミンAアセテート含有粒子(ビタミンAアセテートの含有量52万IU/g)15部を得た。なお、かかる加熟処理において、過剰に用いたとうもろこしでんぷんの粉末は乾燥空気流によって除去された。また、得られた粒状体を水に入れ、1分間熱水に浸析したが、ビーズはわずかに膨潤しただけで、形状は保たれ、ビタミンAアセテートの熱水への溶出は認められなかった。
【0101】
〔実施例2〕
ゼラチン(タイプB、100ブルーム)4.4部と水40部との混合物に、廃糖蜜(固形分80%)11部を添加し、60℃で混合した。得られた混合液に、加熱溶解したビタミンAアセテート4部(290万IU/g)、植物油0.8部およびBHT2部を添加・混合し、混合物を得た。次に実施例1と同様にして乳化分散液の調製、噴霧、乾燥して、ビタミンAアセテート含有粒状体(ビタミンAアセテートの含有量52万IU/g)15部を得た。なお、乾燥後の被覆粒子を1分間熱水に浸析したが、ビーズはわずかに膨潤しただけで、形状は保たれ、被覆粒子からビタミンAアセテートの熱水への溶出は認められなかった。
【0102】
実施例1および2で得られた粒子の粒度分布と、比較例として特許文献1で得られた粒子の粒度分布とを比較した結果を表1〜4、および図3に示す。このように、本実施例によれば、目的とする400〜600μmの範囲に属する粒子が多い被覆粒子、すなわち、粒度分布が狭い被覆粒子を得ることができる。
【0103】
【表1】
【0104】
【表2】
【0105】
【表3】
【0106】
【表4】
【0107】
【発明の効果】
以上のように、本発明の親油性化合物を含有する被覆粒子の製造方法は、螺旋状に対流させた気流中で、上記乳化分散液と親水性の被覆剤とを接触させることにより、乳化分散液の液滴表面を前記被覆剤によって被覆した被覆粒子を製造する方法である。
【0108】
また、本発明の親油性化合物を含有する被覆粒子の製造装置は、第3供給手段が噴霧槽の側面から気体を供給することによって、噴霧槽内に気体を螺旋状に対流させ、噴霧槽内で上記被覆粒子を製造する構成である。
【0109】
それゆえ、目的とする粒子径の範囲の重量比率が多く、すなわち粒度分布が狭い被覆粒子を製造することができる。したがって、例えば、光、熱、または酸素などに不安定な脂溶性ビタミンやカロチノイドを含有する被覆粒子が、均一な粒子径で製造できるので、医薬品や食品などで幅広く利用することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明にかかる親油性化合物を含有する粒子の製造装置の概略構成を示す図である。
【図2】図1における、スプレイタワーの気流を示す図である。
【図3】実施例1および2の被覆粒子と、比較例の被覆粒子の粒度分布を示すグラフである。
【符号の説明】
1 スプレイタワー(噴霧槽)
2 ノズル(第1供給手段)
3 噴出口(第2供給手段・第3供給手段)
4 被覆剤槽
5 供給ブロア
6 回収サイクロン
7 供給ブロア
8 混合槽
9 循環ライン
10 乾燥機
Claims (7)
- 親油性化合物を分散させた乳化分散液と、親水性の被覆剤とを、接触させることにより、前記乳化分散液の液滴表面を前記被覆剤によって被覆した被覆粒子を製造する方法であって、
螺旋状に対流させた気流中で、上記乳化分散液と親水性の被覆剤とを接触させることを特徴とする被覆粒子の製造方法。 - 上記被覆剤を分散させた螺旋状の下降気流中に、上記乳化分散液を噴霧または滴下することを特徴とする請求項1に記載の被覆粒子の製造方法。
- 上記親油性化合物は、脂溶性ビタミンおよび/またはカロチノイドであることを特徴とする請求項1または2に記載の被覆粒子の製造方法。
- 親油性化合物を分散させた乳化分散液と、親水性の被覆剤とを、噴霧槽内に対流させた気流中で接触させることにより、前記乳化分散液の液滴表面を前記被覆剤によって被覆した被覆粒子の製造装置であって、
上記噴霧槽に、親油性化合物を供給する第1供給手段と、被覆剤を供給する第2供給手段と、気体を供給する第3供給手段とを備えていると共に、
上記第3供給手段は、上記噴霧槽の側面から気体を供給することを特徴とする被覆粒子の製造装置。 - 上記第3供給手段が、噴霧槽の内壁の周囲に沿って気体を供給することを特徴とする請求項4に記載の被覆粒子の製造装置。
- 上記第2供給手段と第3供給手段とを一体化した手段が、上記噴霧槽に、上記被覆剤を分散させた気体を供給することを特徴とする請求項4または5に記載の被覆粒子の製造装置。
- 上記噴霧槽の高さに対する幅の割合(幅/高さ)が、1/2〜1/20であることを特徴とする請求項4〜6のいずれか1項に記載の被覆粒子の製造装置。
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Cited By (1)
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CN115670967A (zh) * | 2021-07-29 | 2023-02-03 | 台钜生技股份有限公司 | 亲油性淀粉、其制造方法及含有其的化妆品组成物 |
-
2003
- 2003-03-25 JP JP2003082102A patent/JP2004285021A/ja active Pending
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