JP2004284972A - 経腸創傷治療剤 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】小麦グルテン、小麦グルテン加水分解物及び/又は当該加水分解物に相当するポリペプチドを含有する経腸創傷治療剤。特に、小麦グルテンをペプシン及びラビダーゼで加水分解し、5kDa以下の分子量のものを、0.4g/Kg/日経口投与する。
【効果】その結果、10日間で創面積比で、対象区42%、0.4g区32%、0.7g区27%、2.1%区20%で経日的に用量依存的に有効であった。
【選択図】なし
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、褥瘡等の創傷患者の治癒過程で必要な、組織の再生を促進する経腸創傷治療剤に関する。
【0002】
【従来の技術】
要介護者における褥瘡(床ずれ)は、皮膚が圧迫されることにより局所の血流が阻害され、その結果皮膚組織が循環不全になり傷害される状態のものである。軽症のものでは皮膚表面のびらんに止まるが、重症のものでは皮膚組織から骨、靱帯に至る皮膚潰瘍を形成し、極めて難治であり、場合によっては細菌感染から死に至ることもある。例えば、高齢者の敗血症や肺炎による死亡率が高いが、その原発感染病巣となるのが褥瘡である。また、褥瘡は感染、保菌を問わず、その分泌物中に多量の細菌を保有するため、病院内感染対策上も問題となる。
【0003】
褥瘡の治療法は、一般的に、体位の変換と除圧、創傷部の消毒、壊死組織の除去、創傷治癒促進、創傷保護等に大別される。この内、創傷治癒促進以外の治療法は、何れも褥瘡の進行を抑える点では有効であるが、褥瘡の治癒過程に直接関与し治癒を促進する方法ではない。創傷治癒促進についても、近年、比較的有用な治療薬が開発されてはいるが、褥瘡患者が栄養摂取困難により極めて低栄養状態にあるため、十分な治療成績を得るには至っていない。すなわち、褥瘡の治療は、創傷部における肉芽の新生、皮膚潰瘍の閉鎖等の組織の再構築を必要とし、これには全身的療法としての経口栄養摂取の徹底が求められるが、従来の栄養剤や栄養食品では、組織の再構築に必要なアミノ酸や蛋白質を十分に摂取することができなかった。
【0004】
そこで、従来の低栄養摂取を改善するため、特定のアミノ酸を特定の割合で配合したアミノ酸栄養剤が報告されている(特許文献1参照)。しかし、当該栄養剤は、年齢や性別を問わず顕著な治療効果を示すとはいえず、更に有効な褥瘡治療剤が求められていた。
【0005】
【特許文献1】
特開平11−130669号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
従って、本発明の目的は、低栄養摂取状態を改善し、褥瘡に代表される創傷治療のための経腸創傷治療剤を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者等は、斯かる実情に鑑み、創傷治療のための経腸創傷治療剤について鋭意検討した結果、小麦グルテン及び/又は小麦グルテン加水分解物を配合させることにより、褥瘡の治療に有効な経腸創傷治療剤が得られることを見出し、本発明を完成した。
【0008】
すなわち、本発明は、小麦グルテン、小麦グルテン加水分解物及び/又は当該加水分解物に相当するポリペプチドを含有する経腸創傷治療剤を提供するものである。
【0009】
【発明の実施の形態】
小麦グルテンは、一般的な製法により種々の小麦から得られるが、市販品を使用してもよい。
【0010】
小麦グルテン加水分解物は、小麦グルテンに酸、アルカリ、酵素等を作用させることにより得られる小麦グルテンの部分分解物である。小麦グルテンの加水分解法としては、例えば、鉱酸を用いる方法(特開平10−295281号公報)、蛋白質分解酵素による方法(特開平11−35599号公報)、酸、アルカリ及び酵素を組み合わせる方法(特公平7−2095号公報)、更に加水分解時に還元剤や酸化剤を添加する方法などを挙げることができる。
鉱酸を用いる加水分解は、例えば、反応温度を80〜100℃に維持しながら、小麦グルテン分散液に硫酸、塩酸又は硝酸の希薄水溶液を添加して実施することができる。鉱酸の使用量は、小麦グルテン中の酸性アミノ酸残基のモル含量の1〜6倍程度の当量とすることが好ましい。加温時間は、30分〜6時間程度が好ましい。小麦グルテン加水分解物は、常法に従い精製できる。鉱酸を用いる方法は、未分解グルテンや小分子量の分解物を含まず、分子量分布の幅が小さい点で好ましい。
蛋白質分解酵素による加水分解は、例えば、小麦グルテン分散液のpHを酵素の至適値に調整し、ペプシン等の蛋白質分解酵素を加えてインキュベートした後、必要に応じて中和後、酵素を失活させることにより実施できる。蛋白質分解酵素としては、他にトリプシン、α−キモトリプシン、カルボキシペプチダーゼA、エラスターゼ、ラビダーゼ等の一般的なものを使用できる。蛋白質分解酵素による方法は、温和な条件下、目的とする分解物を効率よく確実に得ることができる点でより好ましい。
小麦グルテン加水分解物に相当するポリペプチドは、通常のペプチド合成法に従い化学的に合成することもできる。
上記の方法で得られる加水分解物又は当該加水分解物に相当するポリペプチドの分子量は、5kDa以下であることが好ましく、0.15〜1kDaであることがより好ましい。
【0011】
本発明の経腸創傷治療剤には、小麦グルテン、小麦グルテン加水分解物、当該加水分解物に相当するポリペプチド又はこれらの組み合わせを配合できるが、水溶性の点から、小麦グルテン加水分解物及び/又は当該加水分解物に相当するポリペプチドを配合することが好ましい。
【0012】
本発明の経腸創傷治療剤には、小麦グルテン、小麦グルテン加水分解物及び当該加水分解物に相当するポリペプチド以外の成分を必要に応じて添加できる。例えば、安定剤、湿潤剤、乳化剤、吸収促進剤、界面活性剤、抗酸化剤、分散剤、糖衣剤、崩壊剤、pH調節剤、滑沢剤、剤皮、可溶化剤、緩衝剤、甘味剤、基剤、粘稠剤、溶剤、矯味剤、結合剤、賦形剤、懸濁剤、美香剤・香料、流動化剤等が挙げられる。また、小麦グルテン、小麦グルテン加水分解物及び当該加水分解物に相当するポリペプチドは、他の蛋白質と比較して栄養価が低いため、カゼイン等の他の蛋白質、蛋白質加水分解物、アミノ酸等を添加することが好ましい。
【0013】
本発明の経腸創傷治療剤の剤形は、固形製剤、半固形製剤、液状製剤等、経腸投与に適したものであれば特に制限はない。例えば、錠剤、丸剤、カプセル剤、液剤、顆粒剤、散剤、懸濁剤、乳剤、シロップ剤等が挙げられる。また、本発明の経腸創傷治療剤は、医薬品に限られたものではなく、食品等であってもよい。
【0014】
本発明の経腸創傷治療剤の投与量は患者の年齢、性別、症状等により異なる。小麦グルテン、小麦グルテン加水分解物及び/又は当該加水分解物に相当するポリペプチドそのものの投与量としては、体重1kg当たり1日0.4g以上が好ましく、0.4〜5.4gがより好ましく、0.4〜2.1gが更に好ましい。この場合、1日量を数回に分けて投与することも可能であり、必要な場合には上記の1日量を超えて投与することも可能である。
【0015】
本発明の経腸創傷治療剤は、褥瘡、熱傷潰瘍、下腿潰瘍等の創傷の治療に好適であり、特に好ましくは褥瘡の治療である。
【0016】
【実施例】
以下に、実施例を用いて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0017】
実施例1
小麦グルテンをペプシン及びラビダーゼで加水分解し、酵素を不活性化後、加水分解物を分離精製し、ペプチド組成物を得た。当該ペプチド組成物の組成は、その大部分が1kDa以下の範囲に分布しており、0.15〜1kDaのペプチドが95%、1〜5kDaのペプチドが4%、5kDa以上のペプチドが1%であった。
【0018】
試験例1
ラット褥瘡モデル20匹を1群5匹で4群に群分けした。1群をコントロール群とし、固形食を自由摂取させた。他3群には、固形食の自由摂取に加え、1日当たり、0.5CMC−Naに懸濁した実施例1で得たペプチド組成物0.4g/kg、0.7g/kg、2.1g/kgをそれぞれ経口投与した。被験物質投与前に1日1回、10日間、創面の長径及び短径をノギスで測定し、創面積(創面の長径×創面の短径) 及び面積比を算出した。結果を図1に示す。
図1に示すように、面積比は小麦グルテン加水分解物投与群ではコントロール群に比べて経日的に有意に減少した。また、その減少は用量依存的であった。
【0019】
【発明の効果】
本発明により、褥瘡の優れた全身的療法剤としての経腸創傷治療剤を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の経腸創傷治療剤の投与量と創面積との関係を示す図である。
Claims (4)
- 小麦グルテン、小麦グルテン加水分解物及び/又は当該加水分解物に相当するポリペプチドを含有する経腸創傷治療剤。
- 小麦グルテン加水分解物の分子量が、5kDa以下である請求項1記載の経腸創傷治療剤。
- 小麦グルテン加水分解物を体重1kg当たり0.4g以上/日投与するためのものである請求項1又は2記載の経腸創傷治療剤。
- 創傷が褥瘡である請求項1〜3のいずれか1項記載の経腸創傷治療剤。
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- 2003-03-20 JP JP2003077478A patent/JP2004284972A/ja active Pending
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