JP2004284852A - カーボンナノチューブの製造方法、カーボンナノチューブを用いた半導体装置の製造方法、及びカーボンナノチューブの製造装置 - Google Patents

カーボンナノチューブの製造方法、カーボンナノチューブを用いた半導体装置の製造方法、及びカーボンナノチューブの製造装置 Download PDF

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Abstract

【課題】所定のバンドギャップを持つカーボンナノチューブを製造する。
【解決手段】合成したカーボンナノチューブを酸化ガス含有雰囲気中で、カーボンナノチューブに波長λを有する第1のレーザ光を照射し、第1のレーザ光の照射により励起したカーボンナノチューブを選択的に酸化し、ガス化により消滅させる。あるいは、合成したカーボンナノチューブをフッ化ガス含有雰囲気中で、カーボンナノチューブに波長λ1を有する第1のレーザ光を照射し、第1のレーザ光の照射により励起したカーボンナノチューブを選択的にフッ化ガスと反応させ、該カーボンナノチューブの少なくとも表面にフッ化層を形成する選択的フッ化処理工程と、酸化ガス含有雰囲気中で、フッ化物が形成されなかったカーボンナノチューブを酸化し、ガス化する酸化処理工程と、ガス化されずに残ったフッ化層を有するカーボンナノチューブからフッ素成分を除去する。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、カーボンナノチューブの製造方法に関し、特に所望の電子的特性を有するカーボンナノチューブの製造方法、カーボンナノチューブを用いた半導体装置の製造方法、及びカーボンナノチューブの製造装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
カーボンナノチューブは、一枚のグラファイトシートを丸めた円筒状の物質であり、直径が1nm程度から数十nmの極めて微細で安定な構造を有し、その構造により金属的な性質や半導体的な性質を示すものである(非特許文献1)。したがって、フォトリソグラフィによる微細加工の限界を超えた、より微細なナノ電子デバイス材料として注目されている。また、最近ではカーボンナノチューブがバリスティック伝導を示す可能性があることも示唆されており、高速動作が可能なトランジスタ材料としての期待ももたれている。
【0003】
【非特許文献1】
田中一義編、「カーボンナノチューブ」化学同人、2001年1月30日、第1版
【0004】
【非特許文献2】
フィリップ・ジー・コリン(Philip G. Collins)他2名、サイエンス(Science),No.292, p.706−709,(2001)
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
カーボンナノチューブを用いてトランジスタ等の電子デバイスを作製するためには、カーボンナノチューブの電子的性質、特にそのバンドギャップを所定の値に揃えることが求められる。
【0006】
しかしながら、同じカーボンナノチューブであっても、カイラリティ(螺旋度)、直径、及び長さなどの幾何学的な構造によって、その電子的特性を決定づけるバンドギャップは変動し、金属的性質を示したり半導体性質を示したりする。
【0007】
カーボンナノチューブの合成方法としては、現在、炭化水素触媒分解法を始め種々の方法が知られているが、合成段階で幾何学的な構造を揃えることは極めて困難であり、合成されたカーボンナノチューブのバンドギャップは通常ばらばらで不揃いなものとなる。
【0008】
最近、発表されたカーボンナノチューブを用いたトランジスタの作製方法においては、「建設的破壊」と呼ばれる手法によりトランジスタに使用する半導体的性質を持つカーボンナノチューブの選択がなされている。この方法では、カーボンナノチューブをシリコン基板上に並べ、各カーボンナノチューブに電圧をかけ、金属的性質のカーボンナノチューブのみを選択的に焼き切ることで、半導体的性質のカーボンナノチューブを特定している(非特許文献2)。
【0009】
しかしながら、実用化のためには、より簡易で効率的な方法で、カーボンナノチューブのバンドギャップを用途に応じて所定の値に制御できる製造方法が求められる。
【0010】
本発明の目的は、上述する従来の課題に鑑み、より簡易で効率的な方法で所定のバンドギャップを有するカーボンナノチューブの製造方法を提供することである。
【0011】
本発明の別の目的は、所定のバンドギャップを有するカーボンナノチューブを用いた半導体装置を提供することである。
【0012】
さらに、本発明の別の目的は、上記所定のバンドギャップを有するカーボンナノチューブの製造方法に適した製造装置を提供することである。
【0013】
【課題を解決するための手段】
本発明の第1のカーボンナノチューブの製造方法の特徴は、カーボンナノチューブを合成する工程と、酸化ガス含有雰囲気中で、カーボンナノチューブに波長λを有する第1のレーザ光を照射し、第1のレーザ光の照射により励起したカーボンナノチューブを選択的に酸化し、ガス化する選択的酸化処理工程とを有することである。
【0014】
上記第1のカーボンナノチューブの製造方法の特徴によれば、第1のレーザ光の波長λ1に対応するバンドギャップ以下のカーボンナノチューブが選択的に励起され、酸化消滅する。したがって、第1のレーザ光の波長λ1に対応する一定バンドギャップ以上のカーボンナノチューブのみを得ることが可能になる。
【0015】
本発明の第2のカーボンナノチューブの製造方法の特徴は、カーボンナノチューブを合成する工程と、フッ化ガス含有雰囲気中で、カーボンナノチューブに波長λ1を有する第1のレーザ光を照射し、第1のレーザ光の照射により励起したカーボンナノチューブを選択的にフッ化ガスと反応させ、該カーボンナノチューブの少なくとも表面にフッ化層を形成する選択的フッ化処理工程と、酸化ガス含有雰囲気中で、フッ化層が形成されなかったカーボンナノチューブを酸化し、ガス化する酸化処理工程と、ガス化されずに残ったフッ化層を有するカーボンナノチューブからフッ素成分を除去する脱フッ化処理工程とを有することである。
【0016】
上記本発明の第2のカーボンナノチューブの製造方法の特徴によれば、第1のレーザ光の波長λ1に対応するバンドギャップ以下のカーボンナノチューブが選択的に励起され、フッ化処理される。フッ化処理されたカーボンナノチューブの表面は、耐エッチング性の高いフッ化カーボン(FC)に変質する。この後に続く酸化処理では、フッ化物に変質しなかった部分のみが酸化消滅する。さらに、脱フッ化処理によりフッ化カーボンは、再びカーボンに戻る。この結果、第1のレーザ光の波長λ1に対応する一定バンドギャップ以下のカーボンナノチューブを得ることができる。
【0017】
なお、上記第1のカーボンナノチューブの製造方法の後に、さらに、フッ化ガス含有雰囲気中で、残ったカーボンナノチューブに、波長λ1より短い波長λ2を有する第2のレーザ光を照射し、第2のレーザ光の照射により励起したカーボンナノチューブを選択的にフッ化ガスと反応させ、該カーボンナノチューブの少なくとも表面にフッ化層を形成する選択的フッ化処理工程と、酸化ガス含有雰囲気中で、フッ化物が形成されなかったカーボンナノチューブを酸化し、ガス化する酸化処理工程と、ガス化されずに残ったフッ化層を有するカーボンナノチューブからフッ素成分を除去する脱フッ化処理工程とを有してもよい。
【0018】
あるいは、上記第2のカーボンナノチューブの製造方法の後に、酸化ガス含有雰囲気中で、カーボンナノチューブに第1の波長λ1より長い第2の波長λ2を有する第2のレーザ光を照射し、該第2のレーザ光の照射により励起したカーボンナノチューブを選択的に酸化し、ガス化する選択的酸化処理工程とを有してもよい。
【0019】
上述するように、上記第1と第2のカーボンナノチューブの製造方法を組み合わせれば、2回のレーザ光照射により、第1の波長λ1に応じたバンドギャップと第2の波長λ2に応じたバンドギャップの間のさらに限定された範囲のバンドギャップを有するカーボンナノチューブを得ることができる。
【0020】
上記第1と第2のカーボンナノチューブの製造方法において、カーボンナノチューブを合成する工程は、規則的に配列し、かつ底部に基板面が露出する細孔を有する多孔質層を形成する工程と、細孔底部に露出する基板面にカーボンナノチューブ成長反応に対し触媒機能を有する金属もしくは金属化合物からなる膜を形成する工程と、炭化水素触媒分解反応により、カーボンナノチューブを少なくとも前記細孔内に成長させる工程とを有してもよい。なお、ここで基板には、基板そのもののみならず素子分離層や薄膜形成等の加工がなされた基板をも含む。
【0021】
この場合は、最終的に多孔質層をエッチング排除することで、所定のバンドギャップを有し、基板面に垂直方向に延在するカーボンナノチューブを、多孔質層の細孔の配置に応じて、等間隔に基板上に形成することができる。
【0022】
本発明の第1のカーボンナノチューブを用いた半導体装置の製造方法の特徴は、上記本発明のカーボンナノチューブの製造方法により、カーボンナノチューブを製造する工程と、カーボンナノチューブの底部周囲を第1導電性膜で埋める工程と、カーボンナノチューブの第1導電性膜で埋められていない側壁面に第1絶縁膜でサイドウォールを形成する工程と、サイドウォール部の周囲に、下方より第2絶縁膜、第2導電性膜、第3絶縁膜を順次形成する工程と、第3絶縁膜、及びカーボンナノチューブの上部表面上に第3導電性膜を形成する工程とを有することである。
【0023】
上述する第1のカーボンナノチューブを用いた半導体装置の製造方法の特徴によれば、カーボンナノチューブをチャネル部とし、第1導電性膜及び第3導電性膜をソース/ドレイン電極、第2導電性膜をゲート電極とするFET(Field Effect Transistor)を形成できる。
【0024】
本発明の第2のカーボンナノチューブを用いた半導体装置の製造方法の特徴は、上記本発明のカーボンナノチューブの製造方法により、カーボンナノチューブを製造する工程と、カーボンナノチューブ側壁面全面を第1絶縁膜で被覆する工程と、第1絶縁膜で被覆されたカーボンナノチューブの底部周囲を第1導電性膜で埋める工程と、カーボンナノチューブの第1導電性膜で埋められていない側壁面に第2絶縁膜でサイドウォールを形成する工程と、サイドウォール部の周囲に、下方より第3絶縁膜、第2導電性膜、第4絶縁膜を順次形成する工程と、第4絶縁膜および、カーボンナノチューブの上部表面上に、第5絶縁膜、および第3導電性膜を順次形成する工程とを有することである。
【0025】
上述する第2のカーボンナノチューブを用いた半導体装置の製造方法の特徴によれば、カーボンナノチューブをチャネル部とし、第1導電性膜及び第3導電性膜をソース/ドレイン電極、第2導電性膜をゲート電極とし、ソース/ドレイン電極とカーボンナノチューブ間に第1絶縁膜および第5絶縁膜からなるバリア層を有するBARITT構造のFETを得ることができる。
【0026】
本発明のカーボンナノチューブの製造装置の特徴は、反応容器と、反応容器の壁に設けられた、レーザ光透過窓と、カーボンナノチューブ生成原料ガスと不活性ガスと少なくとも酸化ガスもしくはフッ化ガスのいずれかのガスとを反応容器内に導入する導入手段と、反応容器内のガスを排気する排気手段とを有することである。
【0027】
上記カーボンナノチューブの製造装置の特徴によれば、カーボンナノチューブの合成が可能であるとともに、レーザ光透過窓を介してレーザ光を反応容器中に導入できるので、上記本発明の第1の製造方法における選択的酸化処理や第2の製造方法における選択的フッ化処理が実施できる。また、カーボンナノチューブの合成と、カーボンナノチューブのレーザ光照射による選択的酸化処理とを交互に連続して行うこともできる。
【0028】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。
【0029】
(第1の実施の形態)
第1の実施の形態に係るカーボンナノチューブの製造方法は、レーザ光照射と酸化反応を組み合わせることで、一定エネルギー以下のバンドギャップを有するカーボンナノチューブを選択的酸化によりガス化消滅させ、一定エネルギー以上のバンドギャップを有するカーボンナノチューブのみを製造することを主な特徴とする。
【0030】
図1(a)および図1(b)は、第1の実施の形態に係るカーボンナノチューブの製造方法の特徴を示す概念図である。なお、ここでは、説明の便宜のため、代表的にバンドギャップEgがE1のカーボンナノチューブ10a、及びバンドギャップがE2のカーボンナノチューブ10bを示しているが、実際には複数のカーボンナノチューブが存在するものとする。
【0031】
まず、複数のカーボンナノチューブ(以下、単に「カーボンナノチューブ」という。)を種々の方法を用いて合成する。合成方法に特に限定はなく、例えば、炭化水素触媒分解法、アーク放電法、レーザアブレーション法、及びプラズマ合成法等を使用できる。合成直後のカーボンナノチューブのバンドギャップEgは、通常0≦Eg≦約2.5[eV]の間でばらばらな値を有し不揃いの状態である。
【0032】
第1の実施の形態では、図1(a)に示すように、不揃いのバンドギャップを有するカーボンナノチューブを、酸素雰囲気、すなわち酸素(O)含有雰囲気に置き、所定の波長λ1を有するレーザ光の照射を行う。
【0033】
波長λ1のレーザ光は、E=hc/λ1(h:プランク定数、c:光速、λ1:波長)で示されるフォトンエネルギーを有する。よって、カーボンナノチューブのうち、hc/λ1以下のバンドギャップE1を有するカーボンナノチューブ10aでは、図2(a)に示すように、波長λ1のレーザ光を吸収し、キャリアのバンド間直接遷移が生じ、励起状態となる。励起状態となったカーボンナノチューブは、活性な状態となり周囲の酸素と反応し、よりエネルギー状態が安定な一酸化炭素(CO)や二酸化炭素(CO)等のCOガスとなる。すなわち、図1(b)に示すように、hc/λ1以下のバンドギャップE1を有するカーボンナノチューブ10aは、選択的に酸化され消滅する。
【0034】
一方、hc/λ1より高いバンドギャップE2を有するカーボンナノチューブ10bは、図2(b)に示すように、レーザ光を吸収することなく、励起状態にもならないため、周囲の酸素とも反応しない。よって、そのまま残存する。
【0035】
このように、カーボンナノチューブの合成後、あるいは合成中に、酸素雰囲気中で特定波長λ1のレーザ光を照射することで、その波長に応じたエネルギー以上のバンドギャップをもつカーボンナノチューブだけを得ることが可能になる。
【0036】
上述する説明では、カーボンナノチューブが直接遷移型の場合を例にとり説明したが、カーボンナノチューブが間接遷移型である場合においても、バンドギャップに応じた一定以上のエネルギーのみを吸収し、励起された電子が緩和される時にフォノンとの相互作用によって熱せられてカーボンナノチューブの活性化が生じる。したがって、特定波長のレーザ光の照射により、一定バンドギャップ以下のカーボンナノチューブのみを酸化消滅させることができる。
【0037】
なお、レーザ光を照射する際の酸素雰囲気としては、酸素(O)含有雰囲気のみならず、励起したカーボンナノチューブを酸化できる、いわゆる酸化を含有する雰囲気であればよい。また、その際の基板等の温度条件は、レーザ光の吸収により励起状態となったカーボンナノチューブのみが選択的に酸化されるように、420℃以下、より好ましくは350℃〜420℃に調整する。なお、温度条件は所望の酸化速度に応じて調整する。レーザ光が照射されたカーボンナノチューブは加速的に酸化されるので、熱酸化が進行条件においても選択的な酸化は可能である。
【0038】
なお、レーザ光照射は、必ずしも密閉中や減圧中で行う必要はなく、簡易なレーザ光透過窓のついた反応容器、或いは大気中で行うことも可能である。
【0039】
さらに、照射するレーザ光の波長λ1は、カーボンナノチューブが取りうるバンドギャップ0≦Eg≦約2.5[eV]の範囲の中で、必要とするカーボンナノチューブのバンドギャップの値に応じて選択すればよく、特に限定はない。例えば、直接遷移型のバンドギャップEgより大きいカーボンナノチューブを必要とする場合は、Eg=h・c/λ1を充たす波長λ1を有するレーザ光を用いるとよい。例えば、1.06μmの波長を持つYAGレーザ及びガラスレーザ、0.69μmの波長を持つルビーレーザ、さらに0.4〜0.7μmの波長を持つ色素レーザ等を使用できる。また、GaAs基板上にGaInNAs層を形成した構造、あるいはInP基板上にGaInAsP層を形成した構造等により作製した種々の半導体レーザを使用することもできる。このような半導体レーザであれば、Eg=0〜2.5eVの範囲で照射エネルギーを可変できる。
【0040】
上述するように、第1の実施の形態によれば、従来のカーボンナノチューブの合成方法に、レーザ照射を伴う簡易な選択的酸化処理を加えるだけで、カーボンナノチューブのバンドギャップをレーザ光の波長λ1に応じた一定バンドギャップ以上に揃えることが可能になる。こうしてバンドギャップの揃ったカーボンナノチューブでは、仕事関数についてもほぼ揃ったものが得られる可能性が高い。この方法によれば、比較的大量のカーボンナノチューブを一括して処理し、所望のバンドギャップのカーボンナノチューブを選択的に取り出すことができる。また、カーボンナノチューブの合成途中で、上述するレーザ照射を用いた選択的酸化処理を繰り返し行うこともできるので、所望のバンドギャップのカーボンナノチューブを比較的大量に製造することも可能になる。
【0041】
(第2の実施の形態)
第2の実施の形態に係るカーボンナノチューブの製造方法は、レーザ光照射とフッ化反応、さらにその後に行う酸化反応を組み合わせることで、一定エネルギー以下のバンドギャップを有するカーボンナノチューブのみを製造することを主な特徴とする。
【0042】
図3(a)〜図3(d)は、第2の実施の形態に係るカーボンナノチューブの製造方法の特徴を示す概念図である。
【0043】
まず、第1の実施の形態に係る方法と同様に、カーボンナノチューブを種々の方法を用いて合成する。合成方法に特に限定はなく、例えば、炭化水素触媒分解法、アーク放電法、レーザアブレーション法、及びプラズマ合成法等を使用できる。こうして合成した直後のカーボンナノチューブのバンドギャップEgは、通常0≦Eg≦約2.5[eV]の間でばらばらな値を有し不揃いの状態である。
【0044】
第2の実施の形態では、図3(a)に示すように、合成によって得られた不揃いのバンドギャップを有するカーボンナノチューブを、フッ素雰囲気、即ちフッ素(F)含有雰囲気に置き、カーボンナノチューブに所定の波長λ1を有するレーザ光を照射する。
【0045】
波長λ1のレーザ光は、E=hc/λ1で示されるフォトンエネルギーを有するため、カーボンナノチューブのうち、hc/λ1以下のバンドギャップE1を有するカーボンナノチューブ10aでは、波長λ1のレーザ光を吸収し、キャリアのバンド間遷移が生じるため、励起状態となる。励起状態となったカーボンナノチューブは、活性な状態となり周囲のフッ素と反応する。こうして、図3(b)に示すように、カーボンナノチューブ表面に安定なフッ化炭素が形成される。すなわち、hc/λ1以下のバンドギャップE1を有するカーボンナノチューブ10aが選択的にフッ化処理される。なお、このとき温度は250℃〜350℃が好ましい。
【0046】
一方、hc/λ1より高いバンドギャップE2を有するカーボンナノチューブ10bは、レーザ光を吸収することなく、励起状態にもならないため、周囲のフッ素とも反応せず、そのままの状態で残存する。
【0047】
次に、図3(c)に示すように、カーボンナノチューブ10a、及び10bを酸素雰囲気中に置き、例えば350℃〜420℃もしくはこれより高い温度で酸化を行う。なお、温度条件は所望の酸化速度に合わせて適宜設定できる。フッ化処理されたカーボンナノチューブ10bは、この高温酸化条件に対し耐性を有するが、フッ化処理されなかったカーボンナノチューブ12は図3(d)に示すように、酸化され、CO、あるいはCO等のCOガスとなって消滅する。この結果、フッ化処理されたカーボンナノチューブ10aのみが残存する。
【0048】
この後、図3(d)に示すように、残存するフッ化処理されたカーボンナノチューブ10aを例えばヒドラジン等の還元性の高い溶液中に浸漬し、脱フッ化処理を行う。こうして、フッ素を除去することにより、カーボンナノチューブ10aは元に戻り、hc/λ1のバンドギャップ以下のバンドギャップE1を有するカーボンナノチューブ10aのみを得ることができる。
【0049】
なお、上述する説明では、カーボンナノチューブが直接遷移型の場合を例にとり説明したが、カーボンナノチューブが間接遷移型である場合においても、バンドギャップに応じた一定以上のエネルギーのみを吸収し、カーボンナノチューブの活性化が生じるので、特定波長のレーザ光の照射により、一定バンドギャップ以下のカーボンナノチューブのみを選択的にフッ化処理し、それ以外のカーボンナノチューブを酸化処理により消滅させ、残ったフッ化処理されたカーボンナノチューブを脱フッ化することにより、特定バンドギャップ以下のカーボンナノチューブのみを得ることができる。
【0050】
さらに、レーザ光照射を行う際のフッ素雰囲気としては、励起したカーボンナノチューブと反応し安定なフッ化炭素を形成できるフッ化ガス含有雰囲気であればよく、フッ素のみならず、フッ化アンモニウム、フッ素水素酸等の種々のフッ化ガス含有雰囲気を使用できる。また、レーザ光の吸収により励起状態となったカーボンナノチューブのみがフッ化反応を生じるように、周囲の温度は、例えば、350℃以下、好ましくは250℃〜350℃に調整する。なお、この場合のフッ化処理は、レーザ光透過窓付の密閉可能な反応容器で行うことが好ましい。
【0051】
また、照射するレーザ光の波長λ1は、カーボンナノチューブが取りうるバンドギャップ0≦Eg≦約2.5[eV]の範囲の中で、必要とするカーボンナノチューブのバンドギャップの値に応じて選択すればよく、特に限定はない。
【0052】
一般的にバンドギャップがEg[eV]の半導体では、λ1≦1.239/Egを満たす波長λ[μm]のレーザ光を吸収し、電子が励起される。したがって、Eg[eV]以下のバンドギャップのカーボンナノチューブを得ようとする場合は、λ1(=1.239/Eg)の波長を有するレーザ光を照射することが望ましい。例えば、1.06μmの波長を持つYAGレーザ及びガラスレーザ、0.69μmの波長を持つルビーレーザ、さらに0.4〜0.7μmの波長を持つ色素レーザ等を使用できる。また、半導体レーザを使用することも可能である。
【0053】
上述するように、第2の実施の形態によれば、従来のカーボンナノチューブの合成方法に、簡易な選択的フッ化処理と酸化処理を加えるだけで、使用したレーザ光の波長λ1に応じた一定バンドギャップ以下のカーボンナノチューブを得ることが可能になる。こうしてバンドギャップの揃ったカーボンナノチューブでは、仕事関数についてもほぼ揃ったものが得られる可能性が高い。この方法によれば、比較的大量のカーボンナノチューブを一括して処理し、所望のバンドギャップのカーボンナノチューブを選択的に取り出すことができる。また、カーボンナノチューブの合成途中で、上述するレーザ照射を用いた選択的フッ化処理を繰り返し行うこともできるので、所望のバンドギャップのカーボンナノチューブを比較的大量に製造することも可能になる。
【0054】
(第3の実施の形態)
第3の実施の形態に係るカーボンナノチューブの製造方法は、第1の実施の形態に係る製造方法と第2の実施の形態に係る製造方法を組み合わせた製造方法を特徴とし、特定のエネルギー範囲にバンドギャップを有するカーボンナノチューブのみを製造することを主な特徴とする。
【0055】
まず、第1の実施の形態に係る方法に沿って、一定エネルギー以上のバンドギャップを有するカーボンナノチューブを作製する。すなわち、予め炭化水素触媒分解法等の種々の合成方法を用いて、不揃いのバンドギャップを有するカーボンナノチューブを作製する。次に、図4(a)に示すように、酸素雰囲気中で波長λ1のレーザ光を照射し、レーザ光のエネルギーEL1(=hc/λ1)以下のバンドギャップE11を有するカーボンナノチューブ10Aのみを励起し、選択的に酸化を行い、消滅させる。そして、EL1(=hc/λ1)より大きいバンドギャップE21、及びE31を有するカーボンナノチューブ10Bと10Cとを残存させる。
【0056】
続いて、図4(b)に示すように、残存したカーボンナノチューブ10B、及び10Cをフッ素雰囲気中に置き、λ1より短い波長λ2を持つレーザ光を照射する。ここで、エネルギーEL1(=hc/λ1)以下のバンドギャップE11を有するカーボンナノチューブ10Aはすでに消滅しているので、EL1(=hc/λ1)より大きくEL2(=hc/λ2)以下のバンドギャップであるE21を有するカーボンナノチューブ10Bが励起し、選択的にフッ化処理される。EL2より大きいバンドギャップE31を有するカーボンナノチューブ10Cは、そのままの状態で残存する。
【0057】
続いて、図4(c)に示すように、残存しているカーボンナノチューブ10Bと10Cを酸素雰囲気中に置き加熱を行う。この高温酸化処理により、フッ化処理されなかったバンドギャップE31を有するカーボンナノチューブ10Cは酸化消滅する。
【0058】
最後に、フッ化処理されたカーボンナノチューブ10Bをヒドラジン等の還元性溶液中に浸漬して脱フッ化処理を行えば、元のカーボンナノチューブ10Bに戻すことができる。こうして、二回のレーザ光照射と酸化、フッ化処理、及び脱フッ化処理を行うことで、1回目のレーザ照射光のエネルギーEL1(=hc/λ1)より高く、2回目のレーザ照射光のエネルギーEL2(=hc/λ2)以下のエネルギーギャップを有するカーボンナノチューブ10Bを得ることができる。
【0059】
なお、上述する例では、先に第1の実施の形態に係る方法を行っているが、先に第2の実施の形態に係る方法を行い、後に第1の実施の形態に係る方法を行ってもよい。すなわち、まず、カーボンナノチューブをフッ素雰囲気におき、波長λ1を有するレーザを照射し、選択的なフッ化処理を行った後、高温酸化を行い、フッ化処理されなかったhc/λ1より高いバンドギャップを有するカーボンナノチューブを酸化消滅させる。この後、フッ化処理されたhc/λ1以下のバンドギャップを有するカーボンナノチューブを脱フッ化処理する。さらに、脱フッ化後のカーボンナノチューブを酸素雰囲気に置き、波長λ1より長い波長λ2を有するレーザ光を照射し、hc/λ2以下のバンドギャップを有するカーボンナノチューブを選択的に酸化し、消滅させる。こうして、1回目のレーザ照射光のエネルギーEL1(=hc/λ1)以下で、2回目のレーザ照射光のエネルギーEL2(=hc/λ2)より高いエネルギーギャップを有するカーボンナノチューブを得ることができる。
【0060】
上述する不揃いのカーボンナノチューブから所定のバンドギャップを有するカーボンナノチューブのみを残存させる処理は、カーボンナノチューブの合成工程の途中で行ってもよく、複数回繰り返して行ってもよい。
【0061】
こうして、第3の実施の形態に係るカーボンナノチューブの製造方法によれば、より限定した範囲のバンドギャップを有するカーボンナノチューブを製造することが可能になる。したがって、カーボンナノチューブのバンドギャップのより正確な制御が可能となる。よって、電子デバイスの中でも、正確なバンドギャップ制御が必要とされる発光ダイオードや半導体レーザ等のデバイス用途への応用も可能になる。
【0062】
(第4の実施の形態)
第4の実施の形態に係るカーボンナノチューブの製造方法は、上述する第1〜第3の実施の形態のいずれかの方法を用いて、バンドギャップの揃ったカーボンナノチューブを提供するとともに、規則的に配列した細孔を持つ多孔質層を利用して、基板面に対し垂直方向に延在するカーボンナノチューブを基板上に等間隔に配置することを特徴とする。
【0063】
以下に、図5(a)〜図8(b)を参照して、第4の実施の形態に係る製造方法について説明する。
【0064】
まず、図5(a)に示すように、任意の基板20表面に、アルマイト、ゼオライト、メソポーラスシリカ等の等間隔に配置された細孔32を有する多孔質層30を形成する。なお、細孔32が基板20表面まで到達していない場合は、Ar等でスパッタを全面に行い、細孔32の底部の残存層を除去し、基板20の表面を細孔32の底部に露出させることが好ましい。細孔32の大きさに特に限定はないが、作製しようとするカーボンナノチューブの大きさが各細孔32の径よりやや小さく、各細孔32に単一のカーボンナノチューブを形成できる大きさであることが好ましい。
【0065】
次に、カーボンナノチューブの合成を行う。なお、合成方法に限定はなく、炭化水素触媒分解法、アーク放電法、或いはレーザアブレーション法など種々の方法が使用できるが、ここでは、例えば熱CVD法を用いた炭化水素触媒分解法を用いる場合について説明する。図5(b)に示すように、多孔質層30が形成された基板表面全面に、カーボンナノチューブ生成反応に対し触媒機能を有する、Co薄膜40をスパッタあるいはCVD法を用いて、膜厚数nm〜数十nm程度形成する。図6(a)は、多孔質層30の細孔32底部および多孔質層30の表面にCo薄膜40が形成された状態を示す断面図である。なお、Co薄膜40に代えて、Fe、Ni、Co、Rh、Pd、Pt、Rh、Pd、Y、La等、グラファイト化触媒の機能を有する薄膜を形成することもできる。また、これらの触媒は、単体金属薄膜に限らず、Coシリサイドのような、金属化合物薄膜であってもよい。
【0066】
なお、好ましくはCo薄膜40を成膜した後、加熱処理を行い、図6(b)に示すような、Co薄膜40の凝集化を行う。Co薄膜40の凝集化は、後のカーボンナノチューブ成長反応の際に、触媒底部への原料ガスの供給を促進し、カーボンナノチューブの成長に必要な炭化水素触媒分解をより効率的に進行させる。
【0067】
次に、多孔質層30が形成された基板20表面上に、カーボンナノチューブ10を成長させる。このカーボンナノチューブ10の成長は、例えば、図7に示すような熱CVD装置を使用し、以下の手順で行う。反応チャンバ100内に、多孔質層30およびCo薄膜40が形成された基板20を入れ、反応チャンバ100の周囲に設けられたヒータ110により、基板20を300〜500℃に加熱する。反応チャンバ100内を、ロータリーポンプ等の排気ポンプ120を用いて減圧にし、例えばNで希釈したHS+Hガスを導入し、この状態で約30分〜5時間維持し、前処理を行う。
【0068】
次に、さらに反応チャンバ100内を減圧化し、キャリアガスであるArガスとともにアセチレン(C)等の炭化水素ガスを反応チャンバ100内に導入する。基板を500℃〜1000℃に加熱し、Co薄膜40の上記触媒反応により炭化水素ガスを熱分解させる。図6(c)に示すように、Co薄膜40が形成された、細孔32の底部および多孔質層30表面に、基板面に対し垂直方向に、Co薄膜40を押し上げる形でカーボンナノチューブ10が成長する。
【0069】
カーボンナノチューブ10の高さが、細孔32の孔の高さに達する手前で、一旦カーボンナノチューブの成長を停止させ、第1〜第3の実施の形態のいずれかの方法を使用し、カーボンナノチューブのバンドギャップを揃える処理を行う。例えば、第1の実施の形態に係る方法を使用する場合は、図6(d)に示すように、カーボンナノチューブを形成した基板を酸素雰囲気中に置き、所定の波長λ1を有するレーザ光を照射し、hc/λ1以下のバンドギャップを有するカーボンナノチューブを選択的酸化処理により消滅させる。こうして、図6(e)に示すように、hc/λ1より高いバンドギャップE2を有するカーボンナノチューブ10のみを残存させる。なお、この選択的酸化処理は、CVD装置の外部で行ってもよいが、後述する図9に示すCVD装置を用いれば、カーボンナノチューブの成長反応に使用した反応チャンバ内で行うこともできる。
【0070】
再び炭化水素触媒分解法でカーボンナノチューブを成長させる。カーボンナノチューブの合成工程と、レーザ光照射により一定のバンドギャップ以下のカーボンナノチューブを選択的に酸化消滅させる工程とを交互に繰り返すことにより、図8(a)に示すような、バンドギャップがhc/λ1より大きいカーボンナノチューブのみを基板表面及び、細孔底部に成長させることができる。なお、カーボンナノチューブの合成工程の前に、再度Co膜を成膜してもよい。また、Co膜による細孔32の閉塞を防止するため、加熱による凝集化を行ってもよい。
【0071】
この後、多孔質層30をエッチング除去することにより、多孔質層30表面に成長したカーボンナノチューブ10を多孔質層30とともにリフトオフし、細孔32の底部の露出した基板20表面から成長したカーボンナノチューブのみを残存させる。こうして、基板面に対し垂直方向に延在する、バンドギャップの揃ったカーボンナノチューブ10を多孔質層の細孔32の配置に対応した等間隔に配置することができる。
【0072】
なお、細孔の大きさ、隣接する細孔との間隔を調整することで、カーボンナノチューブ10の配置を調整できる。多孔質層30の細孔32の底部に成膜されたCo薄膜40は、凝集により、より少数の、さらには単一の微粒子に凝集する傾向がある。単一の微粒子に対しては、単一のカーボンナノチューブが成長しやすいので、細孔32の底部では、そこに存在するCo微粒子の核数に応じたカーボンナノチューブが成長する。したがって、この性質を利用して、各細孔内に成長するカーボンナノチューブの数を調整することが可能になる。
【0073】
なお、図9に示すカーボンナノチューブ製造装置を利用すれば、上述する製造方法を反応チャンバから基板を取り出すことなく、カーボンナノチューブの成長と、レーザ光照射による所定のカーボンナノチューブの選択的酸化処理、あるいは選択的フッ化処理とを連続に行うことができる。
【0074】
この製造装置では、CVD装置の反応チャンバ102に、レーザ光透過窓140を有しており、外部に備えたレーザ発振器130から発振されるレーザ光をレンズ系132およびミラー系134を用いて、レーザ光透過窓140を介して反応チャンバ102内に導いている。また、CVD装置のガス供給源には、カーボンナノチューブの合成に使用する原料ガス源や不活性ガス源に加え、第1〜第3の実施の形態で説明した選択的酸化処理、あるいは選択的フッ化処理に使用する酸素(O)ガス、およびフッ素(F)ガス等のガス供給源が追加されている。このカーボンナノチューブの製造装置を用いれば、カーボンナノチューブの成長時には、反応チャンバ内を所定温度に上げ不活性ガスとカーボンナノチューブ原料ガスを反応チャンバ102に導入する。そして、カーボンナノチューブのバンドギャップを揃える処理を行う際には、反応チャンバ内を一旦排気し、不活性ガスで置換した後、反応チャンバ内を所定温度に調整し、酸素ガスもしくはフッ素ガスと不活性ガスを導入する。そして、レーザ光透過窓を介して所定波長のレーザ光を反応チャンバ内の基板に照射する。
【0075】
上述する第4の実施の形態によれば、基板に対し垂直方向に延在する、しかも所定のバンドギャップを有するカーボンナノチューブを基板上に等間隔に配置できるため、アレイ状に配置されたトランジスタ等の電子部品の作製に極めて有効な製造方法となる。
【0076】
(第5の実施の形態)
第5の実施の形態では、上述する第1〜第3の実施の形態のいずれかの方法を用いて、バンドギャップの揃った単層のカーボンナノチューブを製造する具体的な方法を説明する。
【0077】
以下に、図10、及び図11を参照して、第5の実施の形態に係る製造方法について説明する。
【0078】
まず、図10に示すCVD装置等を用いて、単層のカーボンナノチューブの合成を行う。反応チャンバ102、及びその周囲の加熱炉112、反応チャンバ102内を排気するロータリーポンプ等の排気ポンプ122、および各原料ガス供給ラインを備える点は、図7及び図9に示すCVD装置と同様であるが、さらに、反応チャンバ102の上流域に、カーボンナノチューブ成長反応の触媒142を収納した石英管132を備える。
【0079】
触媒142としては、例えばアルミナに担持させたFe微粒子を使用する。このFe微粒子は、0.245gのFe(NO・9水和物をメタノール中に溶かしたのち、80℃に加熱しロータリーエバポレーターを用いてメタノールを除去し、さらに、150℃に加熱することで得られる。
【0080】
キャリアガスであるArガス、およびカーボンナノチューブ原料であるメタン(CH)ガスは、反応チャンバ102内に導入される際、触媒142が入った石英管132を通過するため、原料ガスおよびキャリアガスとともに反応チャンバ102内に触媒142成分も混入する。
【0081】
例えば、反応チャンバ102内を約1000℃程度に加熱し、原料ガス圧を1.25atm、原料ガス流量を6.15l/hの条件で反応チャンバ102内に原料ガスを供給し、約10分間反応させる。その結果、気相中での炭化水素触媒反応により直径1nm〜10nm、長さ10μm以下の単層カーボンナノチューブを得ることができる。こうして得られたカーボンナノチューブは、直径やカイラリティの状態に依存し種々のバンドギャップを持つ。
【0082】
次に、第1〜第3の実施の形態のいずれかの方法を用いて、バンドギャップが不揃いのカーボンナノチューブ12のバンドギャップを揃える処理を行う。
【0083】
例えば、第1の実施の形態に係る選択的酸化処理を使用する場合は、図11に示すように、合成されたバンドギャップが不揃いのカーボンナノチューブ12を反応チャンバ102から取り出し、SiC等の基板22上に載置する。この基板は、バンドギャップが大きく、照射するレーザ光の波長を吸収しないものであれば特に限定されない。
【0084】
次に、例えば図9に示すような、レーザ光透過窓を有する反応容器内に、カーボンナノチューブ12が載った基板22を移す。反応チャンバ内を、例えばO2:He=1:1の酸素含有雰囲気下に調整し、基板22上に載置されたカーボンナノチューブ12に対し、波長λのレーザ光を照射する。レーザ光の波長λは、作製しようとするカーボンナノチューブのバンドギャップに合わせて選択する。カーボンナノチューブのバンドギャップをEg[eV]より大きくしたい場合は、照射するレーザ光の波長λ[μm]は、λ≦1.239/Egをみたすよう選択するとよい。例えば、カーボンナノチューブのバンドギャップEgを1.5[eV]より大きくしたい場合は、λ=826[nm]のレーザ光を照射すれば良い。また、例えばレーザとして、波長1.064μmのYAGレーザを使用する場合は、カーボンナノチューブのバンドギャップを1.16[eV]より大きいものに揃えることができる。この際には、例えば繰り返し1kHz、ピークパワー密度300kW/cm、パルス幅300nsecの条件でレーザ光照射を行う。
【0085】
なお、レーザ光照射と励起したカーボンナノチューブの選択的酸化処理は、カーボンナノチューブの成長過程で、繰り返し行ってもよい。
【0086】
以上に説明するように、第5の実施の形態によれば、バンドギャップの揃った単層カーボンナノチューブを簡易な方法で作製することができる。
【0087】
(第6の実施の形態)
第6の実施の形態では、上述する第1〜第3の実施の形態に係る方法および第4の実施の形態に係る方法を用いて、基板上に等間隔に、基板面に垂直な方向に延在する、バンドギャップの揃ったカーボンナノチューブを形成する具体的な方法について説明する。なお、ここでは多孔質層として、アルマイト層を用いる例について説明する。
【0088】
まず、基板上に以下の手順で細孔を備えたアルマイトを形成する。基板としては、SiC基板のように、陽極酸化に適した導体または半導体が好ましく、さらに、後に行うレーザ照射処理の際のレーザ光を吸収せず、かつカーボンナノチューブの成長時の温度に耐えるものが望ましい。
【0089】
例えばSiC基板上に真空蒸着法を用いてアルミニウム層を形成する。具体的には、洗浄したSiC基板を電子ビーム蒸着装置の真空チャンバ内に搬入し、真空チャンバ内を1E−4〜6Paまで減圧し、蒸着を行う。アルミニウム層の厚みt(nm)は、例えば2nm≦t≦50nmとする。
【0090】
次に、アルミニウム層を酸性水溶液中で陽極酸化し、アルマイト処理を行う。具体的には、硫酸濃度1〜50wt%、より好ましくは5〜30wt%、温度0〜50℃、より好ましくは5〜30℃の硫酸水溶液中にアルミニウム層が形成されたSiC基板を浸漬する。この硫酸水溶液に、電流密度J[A/dm]を0<J≦10[[A/dm]より好ましくは1≦J≦2[A/dm]、電圧V[V]を0<V≦50V、より好ましくは5≦V≦20の条件で電界をかける。アルミニウム層は陽極酸化され、多孔質層であるアルマイト層が形成される。上記条件において、アルマイト層には、等間隔に孔径3〜100nm、孔密度5000〜500000/cmの細孔が形成される。このように、孔径および孔密度は、電流時間、硫酸水溶液温度、浸漬時間等により調整できる。なお、硫酸水溶液に代えて、シュウ酸、リン酸、クロム酸、有機酸+硫酸、ホウ酸+ホルムアミド等の種々の酸性水溶液を使用することもできる。
【0091】
この後、Arスパッタなどの方法により孔底部に残ったアルミナを除去し、確実に各孔の底部にSiC基板表面を露出させる。
【0092】
次に、炭化水素触媒分解法を用いてカーボンナノチューブを成長させる。まず、アルマイト層を形成したSiC基板表面に、スパッタ法あるいはCVD法を用いて反応触媒、例えばCoを成膜する。Co膜厚はアルマイト層の厚みより薄ければよい。この後、好ましくはSiC基板を加熱し、Coを凝集させる。
【0093】
この基板を例えば図9に示すカーボンナノチューブ製造装置の反応チャンバ102内に搬入する。ヒータ112により基板温度を約400℃に設定し、反応チャンバ102内をNで希釈したHS+Hガスを流し、約2時間前処理を行う。
【0094】
次に、反応チャンバ102内を減圧にし、キャリアガスであるArガスとともに、アセチレン(C)などのカーボンナノチューブ原料ガスを反応チャンバ102内に導入する。基板温度を600〜1400℃、より好ましくは800〜1000℃に加熱し、原料ガスをCo触媒の下で熱分解し、アルマイト層表面及び、細孔底部にカーボンナノチューブを成長させる。
【0095】
カーボンナノチューブは、凝集したCo微粒子の下に、基板面に対し垂直方向に成長する。アルマイト層の細孔の底部から成長したカーボンナノチューブの高さがアルマイト層の厚みに達しない時点で、チャンバ内の原料ガスを排気し、一旦カーボンナノチューブの成長を停止する。
【0096】
次に、第1〜第3の実施の形態に係るいずれかの方法を用いて、バンドギャップが不揃いのカーボンナノチューブバンドギャップを揃える。例えば第1の実施の形態に係る選択的酸化処理を行う場合は、チャンバ内の原料ガスを排気し、反応チャンバ102内を減圧にした後、酸素(O)ガスとヘリウム(He)ガスとを流量比約1:1で導入し、反応チャンバ102内を酸素含有雰囲気とする。
【0097】
レーザ光透過窓140を介してカーボンナノチューブに波長λのレーザ光を照射する。バンドギャップEg[eV]より大きい直接遷移型のカーボンナノチューブを得たい場合は、照射するレーザ光の波長λ[μm]は、λ≦1.239/Egを満たすよう選択する。例えば、カーボンナノチューブのバンドギャップをE=1.5[eV]より大きいものに揃える場合は、λ=826[nm]のレーザ光を照射すれば良い。また、例えばレーザとして、波長1.064μmのYAGレーザを使用する場合は、カーボンナノチューブのバンドギャップを1.16[eV]より大きいものに揃えることができる。この際には、繰り返し1kHz、ピークパワー密度300kW/cm、パルス幅300nsec等の条件でレーザ光照射を行う。このレーザ光照射により励起した所定バンドギャップ以下のカーボンナノチューブは酸化消滅する。
【0098】
この後、再び、上述する方法を用いて炭化水素触媒分解法で基板上にカーボンナノチューブを成長させる。カーボンナノチューブの成長と、酸化雰囲気でのレーザ光照射による所定バンドギャップ以下のカーボンナノチューブの消滅処理を繰り返すことにより、所定長さ以上のバンドギャップの揃ったカーボンナノチューブをアルマイト層およびアルマイト層の細孔底部に露出するSiC基板上に成長させることができる。なお、再度のカーボンナノチューブ成長前にCo膜を再度形成してもよい。
【0099】
最後に、基板をリン酸溶液中に浸しアルマイト層をエッチング除去する。この工程によりアルマイト層表面上に成長したカーボンナノチューブもアルマイト層と一緒に剥離除去される。SiC基板上には、アルマイト層の各細孔の底部から成長した一定以上のバンドギャップを有するカーボンナノチューブのみが残存する。また、これらの残存したカーボンナノチューブは、細孔の位置に応じ等間隔に配列したものとなる。
【0100】
上述するように、第6の実施の形態によれば、アルマイト層の多孔質構造を利用し、基板上に等間隔に、基板面に対し垂直方向に延在する、バンドギャップの揃ったカーボンナノチューブを製造できる。
【0101】
(第7の実施の形態)
第7の実施の形態では、上述する第1〜第3の実施の形態に係る方法を用いて、基板上に基板面に垂直な方向に延在する、バンドギャップの揃ったカーボンナノチューブを形成する別の方法について説明する。ここでは基板上に触媒微粒子を浸漬法を用いて分散配置する方法を用いる。
【0102】
まず、基板上に分散させる触媒微粒子を用意する。この触媒微粒子としては、カーボンナノチューブの成長反応に対し触媒機能を有するものであれば、限定されず、Co、Ni、NiCo、Rh、Pd、Pt、RhPd、Y、La、あるいはこれらの金属を含むシリサイド等の金属化合物の微粒子を用いることができる。なお、ここではCo微粒子を用いる例について説明する。
【0103】
で十分置換されたグローブボックス内でトルエン中にジドデシルアンモニウムブロマイドを10wt%溶解し、この溶液中にCoCl・6HOを0.005M(mol/l)溶解させて攪拌する。さらに、この溶液に5M(mol/l)のNaBHを加え、混ぜ合わせ、再び攪拌する。こうして、径5nm程度のCoの微粒子が分散した溶液を作製する。この溶液からCo微粒子を分離し、さらに分離したCo微粒子をアセトン、トルエンを用いて洗浄し、最終的にアセトン中にCo微粒子を分散させる。
【0104】
Co微粒子を分散させたアセトン溶液中に、基板を浸漬し、引き上げ、室温で乾燥する。こうして、図12(a)に示すように、基板24上に約5nm程度のCo微粒子44を例えば50個/μm程度の密度で分散させる。Co微粒子の分散密度は、浸漬する溶液中のCo含有濃度や引き上げ速度等で調整できる。
【0105】
なお、基板としては、後に行うレーザ照射の際に、照射レーザを吸収しないもので、カーボンナノチューブ成長時の温度に耐え得るものであればよい。したがって、ガラス基板、SiC基板、α−Al基板、あるいはゼオライト基板等を使用できる。
【0106】
次に、この基板24を図9に示すような熱CVD装置の反応チャンバ内に搬入し、第6の実施の形態と同様な条件でカーボンナノチューブを製造する。すなわち、Nで希釈したHS+Hガス中で、前処理を行った後、基板温度を約600〜1000℃に加熱し、炭化水素触媒分解を行い、カーボンナノチューブを成長させる。カーボンナノチューブは、基板24上のCo微粒子が存在する場所に、基板面に対し垂直方向に成長する。
【0107】
ある程度カーボンナノチューブが成長したところで、反応チャンバ内を減圧にし、反応ガスを排気し、カーボンナノチューブの成長を停止する。
【0108】
続いて、第6の実施の形態と同様な条件で、反応チャンバ内の原料ガスを排気し、OガスとHeガスを導入し、反応チャンバ内を酸素含有雰囲気とした上で、カーボンナノチューブに波長λ[μm]のレーザ光を照射する。所望のバンドギャップをEg[eV]の場合は、λ≦1.239/Egを満たすようなレーザ光を選択する。また、必要に応じYAG等のパルスレーザを使用することもできる。このレーザ光照射により励起した所定バンドギャップ以下のカーボンナノチューブは、酸化消滅する。
【0109】
この後、再び、上述する炭化水素触媒分解法を用いて基板上にカーボンナノチューブを成長させる。カーボンナノチューブの成長と、酸素雰囲気でのレーザ光照射による所定バンドギャップ以下のカーボンナノチューブの選択的酸化による消滅処理を繰り返すことにより、所定長さ以上のバンドギャップの揃ったカーボンナノチューブを基板上に成長させることができる。こうして、図12(b)に示すような、基板24上に分散したCo微粒子を核として、例えば長さ500nm以上のカーボンナノチューブ14を基板に対して垂直に成長させることができる。この製造方法によれば、カーボンナノチューブの隣接間距離が300nmで、密度10本/μm程度のカーボンナノチューブを作製することができる。
【0110】
以上に説明するように、第7の実施の形態に係る製造方法によれば、基板に対し垂直方向に延在し、しかも所定のバンドギャップを有するカーボンナノチューブを基板上に分散配置できる。カーボンナノチューブの密度や分散状態は、基板上でのCo微粒子の分散条件で容易に調整できる。
【0111】
(第8の実施の形態)
第8の実施の形態では、第6の実施の形態に係る方法で作製したカーボンナノチューブを用いたFETを製造する方法について説明する。
【0112】
以下、図13(a)〜図14(n)を参照しながら、説明する。
【0113】
図13(a)〜図13(f)に示すように、第6の実施の形態に係る方法を利用して、SiC基板26上に一定バンドギャップに揃ったカーボンナノチューブを形成する。なお、第6の実施の形態と同様な条件を使用できるため、具体的条件についての説明は省略する。
【0114】
まず、電子ビーム蒸着法により、厚み2nm〜50nmのAl層36aを形成する(図13(a))。次に、Al層36aを硫酸水溶液中に浸漬させ、陽極酸化を行い、等間隔に配置された細孔を有するアルマイト層36を形成する(図13(b))。この後、必要に応じて、表面をAr等でスパッタを行い、アルマイト層36の細孔底部にSiC基板表面を露出させる。
【0115】
なお、上述の例において、基板上にアルマイト層を形成しているが、先に基板に必要な素子分離領域や半導体素子を形成した後に、これらの素子が形成された基板表面上にアルミニウム層を形成し、陽極酸化を行ってアルマイト層としてもよい。
【0116】
次に、表面に触媒機能を有するCo膜46を形成する(図13(c))。この後、好ましくはSiC基板を加熱し、Co膜を凝集させる。
【0117】
さらに、炭化水素触媒分解法を用いて、アルマイト層表面及び、細孔底部にカーボンナノチューブ16を成長させる。カーボンナノチューブ16は、凝集したCo微粒子の下に、基板面に対し垂直方向に成長する。
【0118】
なお、カーボンナノチューブの成長時に、原料ガスとともに、n型のドーピングガスである、例えばカリウム(K)蒸気を反応チャンバ内に導入し、FET(Field Effect Transistor)を作製した際に、チャネル部となる領域をn型の導電型にしておく。なお、ドーピングをしない領域のカーボンナノチューブはp型の導電型を示す。
【0119】
アルマイト層36の細孔の底部から成長したカーボンナノチューブの高さがアルマイト層36の厚みに達しない時点で、チャンバ内の原料ガスを排気し、一旦カーボンナノチューブの成長を停止する。
【0120】
次に、反応チャンバ内を酸素含有雰囲気とし、カーボンナノチューブに波長λのレーザ光を照射する。このレーザ光照射により励起した所定バンドギャップ以下のカーボンナノチューブは、選択的に酸化消滅する(図13(d))。
【0121】
この後、さらにカーボンナノチューブの成長と酸素ガス含有雰囲気でのレーザ光照射による所定バンドギャップ以下のカーボンナノチューブの酸化消滅処理を必要に応じて繰り返すことにより、所定エネルギー以上のバンドギャップを持つカーボンナノチューブをアルマイト層およびアルマイト層の細孔底部に露出するSiC基板上に成長させる(図13(e))。
【0122】
さらに、基板をリン酸溶液中に浸しアルマイト層36をエッチング除去し、アルマイト層36上に形成されたカーボンナノチューブも一緒にリフトオフする。こうして、SiC基板26上には、アルマイト層36の各細孔の底部から成長した一定以上のバンドギャップを持つn型の導電型を有するカーボンナノチューブ16のみが残存する(図13(f))。また、これらの残存したカーボンナノチューブは、細孔の位置に応じ等間隔に配列したものとなる。
【0123】
続いて、以下に説明する図14(g)〜図14(n)に示す工程を加えることで、カーボンナノチューブ16にp型チャネル部を有するFET構造を作製する。なお、必要に応じ、カーボンナノチューブの上層をエッチングし、カーボンナノチューブの高さ(長さ)を揃えたり、FET構造を形成する領域を限定し、それ以外の部分のカーボンナノチューブをエッチング除去したりしてもよい。また、触媒として用いたCo膜もこのとき一緒にエッチングしてもよい。
【0124】
カーボンナノチューブが形成されたSiC基板26表面に、スパッタ法等を用いてドレイン電極用の金属薄膜、例えばCo膜50(第1導電性膜)を形成する。Co膜50は、カーボンナノチューブの周囲に露出したSiC基板表面およびカーボンナノチューブ16上部表面に堆積する(図14(g))。
【0125】
続いて、プラズマCVD法等を用いてSiO膜60(第1絶縁膜)を形成し、カーボンナノチューブの周囲を絶縁膜であるSiO膜60で埋める(図14(h))。
【0126】
さらに、CF等のエッチングガスを用いて、RIE(Reactive Ion Etching)法によりSiO膜60をエッチバックし(図14(i))、さらに、エッチバックにより露出したカーボンナノチューブ上部のCo膜50をウエットエッチング等により除去する。また、ここで、ドレイン電極となるカーボンナノチューブ底部周囲に残るCo膜50とカーボンナノチューブ16との接触抵抗を下げるために基板を300〜600℃で加熱処理をすることが好ましい。
【0127】
再び、SiO膜60をRIE法を用いてエッチバックし、カーボンナノチューブ16の側壁部のSiO膜60のみを残し、あとのSiO膜はエッチング除去する(図14(j))。こうして形成されるSiO膜60によるサイドウォールの厚みは、約15nm〜1μmとする。
【0128】
次に、プラズマCVD法等を用いてSiO膜62を成膜する。このSiO膜62は、ドレイン電極となるCo膜50上およびカーボンナノチューブ上部表面上に堆積する。続いて、スパッタもしくはLPCVD(Low Pressure CVD)法を用いてポリシリコン層70(第2導電膜)を形成し、基板表面を被覆する(図14(k))。
【0129】
続いて、ポリシリコン層70をエッチングガスとしてCFガスを用いてRIE法によりエッチバックする。このエッチング条件において、ポリシリコン層70とSiO膜62との間には2桁程度のエッチングレートの差があり、また、ポリシリコン層70とカーボンナノチューブ16との間には3桁以上のエッチングレートの差があるため、ポリシリコン層70が選択的にエッチングされ、カーボンナノチューブの上部に堆積したSiO膜62(第2絶縁膜)が露出する(図14(l))。
【0130】
次に、プラズマCVD法等を用いて再びSiO膜64(第2絶縁膜)を成膜する(図14(m))。このSiO膜64は、ポリシリコン層70で形成されるゲート電極と次の工程で形成されるソース電極とを電気的に絶縁する、層間絶縁膜として機能する。
【0131】
再び、CFガスを用いてSiO膜64をエッチングし、カーボンナノチューブ16の上部を露出させる。このエッチング条件において、カーボンナノチューブ16とSiO膜64との間にはエッチングレートで約50倍以上の差があるため、SiO膜64及びSiO膜62の一部を選択的にエッチングすることができる。露出したカーボンナノチューブ上部表面に、ソース電極用の金属薄膜、例えばCo膜80(第3導電膜)を形成する。この後、Co膜80とカーボンナノチューブ16との接触抵抗を下げる為に300〜600℃で加熱処理を行う(図14(n))。
【0132】
こうして、第8の実施の形態によれば、一定バンドギャップのカーボンナノチューブを用いて図14(n)に示すFET構造を得ることが可能になる。すなわち、このFET構造では、Co膜80からなるソース電極、Co膜50からなるドレイン電極、ポリシリコン層70からなるゲート電極を有し、チャネルは半導体層であるカーボンナノチューブ16に形成される。このように、基板面に垂直に延在するカーボンナノチューブにチャネル層が形成され、上下にソース/ドレインが形成されるので、立体的なFET構造を得ることが可能になる。また、基板面内方向にソース/ドレイン、及びチャネルが形成される通常のFET構造に較べ、基板面上の占有面積を小さくできるため、デバイスのパターン密度を上げ、緻密化を図ることができる。また、カーボンナノチューブの形成位置は、規則正しい配置を持つアルマイト層の細孔の位置に対応するので、等間隔に基板上に形成することができる。
【0133】
さらに、カーボンナノチューブは、バリスティック伝導性を有するため、動作速度の極めて早いトランジスタを提供できる可能性も高い。
【0134】
なお、上述する説明では、ソース電極、ドレイン電極としてCo膜を使用しているが、これに限られるものではない。例えばTi膜を用いることもできる。この場合は、カーボンナノチューブとの接触抵抗を下げるために行う熱処理温度は、約600〜900℃が好ましい。
【0135】
また、上述の例では、ノンドーピングのカーボンナノチューブがp型を示すため、チャネル部となる高さのカーボンチューブにのみn型ドーパントに相当するKをドーピングしているが、導電型は必要に応じて変更することが可能である。p型のカーボンナノチューブを形成する場合は、Br、I等のp型ドーパント源をカーボンナノチューブ成長時に原料ガスとともに反応チャンバ内に導入させればよい。n型のカーボンナノチューブを形成させる場合は、例えば、K、Cs、Rb等のn型ドーパントを導入させればよい。なお、基板面に垂直方向に延在するカーボンナノチューブでは、カーボンナノチューブの成長に合わせて、経時的にドーピング材の種類を変更すれば高さ方向で異なる導電型のカーボンナノチューブを作製することができる。
【0136】
なお、第8の実施の形態では、基板上に等間隔にカーボンナノチューブを形成するため、第6の実施の形態に係る多孔質層を用いた方法でカーボンナノチューブを形成しているが、必ずしも等間隔にカーボンナノチューブを形成する必要がない場合には、第7の実施の形態に係る製造方法でカーボンナノチューブを作製することもできる。すなわち、Co等の触媒微粒子が分散された溶液に基板を浸漬することで、基板表面に触媒微粒子を分散配置した上で、カーボンナノチューブを成長させる方法を用いてもよい。一旦、バンドギャップの揃ったカーボンナノチューブが形成できれば、その後のFET構造を形成する工程は上述する図14(g)〜図14(n)に示す製造工程と同様な条件を使用できる。
【0137】
(第9の実施の形態)
第9の実施の形態では、第6の実施の形態に係る方法を応用して、カーボンナノチューブを用いたBARITT(Barrier Injection Transit Transistor)構造のFETを作製する方法について説明する。
【0138】
以下、図15(a)〜図16(j)を参照しながら、説明する。
【0139】
第6の実施の形態に係る方法を利用して、SiC基板28上に、一定バンドギャップに揃ったカーボンナノチューブを作製する。なお、カーボンナノチューブの作製方法については第6の実施の形態、および第8の実施の形態と同様な条件を使用できるため、具体的条件についての説明は省略する。
【0140】
まず、SiC基板上にアルマイト層を形成する。すなわち、SiC等の基板上にAl層を形成し、さらにこのAl層を陽極酸化することで、等間隔に配置された細孔を有するアルマイト層を形成する。この後、必要に応じて表面をAr等でスパッタし、アルマイト層の細孔底部に基板表面を露出させる。
【0141】
次に、表面に触媒機能を有するCo膜を形成する。この後、好ましくは基板を加熱しCo膜を凝集させる。さらに、炭化水素触媒分解法を用いて、アルマイト層表面及び、細孔底部にカーボンナノチューブを成長させる。カーボンナノチューブは、凝集したCo微粒子の下に、基板面に対し垂直方向に成長する。アルマイト層の細孔の底部から成長したカーボンナノチューブの高さがアルマイト層の厚みに達しない時点で、チャンバ内の原料ガスを排気し、一旦カーボンナノチューブの成長を停止する。
【0142】
続いて、反応チャンバ内を酸素含有雰囲気とし、カーボンナノチューブに波長λのレーザ光を照射する。このレーザ光照射により励起した所定バンドギャップ以下のカーボンナノチューブは選択的に酸化され、消滅する。
【0143】
この後、さらにカーボンナノチューブの成長と酸化雰囲気でのレーザ光照射による所定バンドギャップ以下のカーボンナノチューブの選択的酸化による消滅処理とを繰り返すことにより、所定長さ以上のバンドギャップの揃ったカーボンナノチューブをアルマイト層およびアルマイト層の細孔底部に露出するSiC基板上に成長させる。
【0144】
さらに、基板をリン酸溶液中に浸しアルマイト層をエッチング除去し、アルマイト層上に形成されたカーボンナノチューブも一緒にリフトオフする。こうして、SiC基板上には、アルマイト層の各細孔の底部から成長した一定以上のバンドギャップを持つn型の導電型を有するカーボンナノチューブのみが残存する。また、これらの残存したカーボンナノチューブは、細孔の位置に応じ等間隔に配列したものとなる。
【0145】
続いて、以下に説明する図15(a)〜図16(j)に示す工程を加えることで、カーボンナノチューブをチャネル部として使用したBARITT構造のFETを作製する。
【0146】
なお、必要に応じ、カーボンナノチューブにエッチングを行い、カーボンナノチューブの高さを揃えたり、FET構造を形成する領域を限定し、それ以外の部分のカーボンナノチューブをエッチング除去したりしてもよい。
【0147】
カーボンナノチューブ18表面および、基板28表面にプラズマCVDによりSiO膜66(第1絶縁膜)を形成する。このときカーボンナノチューブ側面に堆積したSiO膜の厚さは1〜50nmである。次に、ドレイン電極用の金属、例えばAu及び/又はPt(以下、Au/Ptと記す)膜52(第1導電性膜)をスパッタ法等を用いて成膜する。Au/Pt膜は、カーボンナノチューブ18の上部表面上、及びカーボンナノチューブ18の底部周囲に堆積する(図15(a))。
【0148】
続いて、プラズマCVD法等を用いてSiO膜67(第2絶縁膜)を形成し、カーボンナノチューブの周囲を絶縁膜であるSiO膜67で埋める(図15(b))。
【0149】
さらに、CF4等のエッチングガスを用いて、RIE法によりSiO膜67をエッチングする。このプロセスにより、カーボンナノチューブ18の側面に、15nm〜1μmのSiO膜67によるサイドウォールが残る。なお、カーボンナノチューブ18底部周囲のAu/Pt膜52とカーボンナノチューブ18との間のSiO2膜の膜厚は1〜15nmである(図15(c))。
【0150】
次に、ドレイン電極とゲート電極を電気的に絶縁するためのSiO膜68(第3絶縁膜)をスパッタにより成膜する(図15(d))。
【0151】
続いて、LPCVDを用いて、ポリシリコン膜72(第2導電性膜)を形成し、隣接し合うカーボンナノチューブ間をポリシリコン層72で埋める(図15(e))。
【0152】
ポリシリコン層72をCFガスを用いてRIE法によりエッチバックする。このエッチング条件において、ポリシリコン層72とSiO膜67との間には2桁程度のエッチングレートの差があり、また、ポリシリコン層72とカーボンナノチューブ18との間には3桁以上のエッチングレートの差があるため、ポリシリコン層72が選択的にエッチングされる(図15(f))。
【0153】
次に、ポリシリコン層72の表面を酸化し、SiO膜69(第4絶縁膜)を形成する(図16(g))。再びCFを用いてRIE法によりSiO層69を一部エッチング除去する。このエッチング条件において、カーボンナノチューブ16とSiO膜69(SiO膜66,67を含む)との間にはエッチングレートで約50倍以上の差があるため、SiO膜69のみが選択的にエッチングされ、カーボンナノチューブ18の上部が露出する(図16(h))。
【0154】
露出したカーボンナノチューブ表面に、1〜15nmの薄いSiO膜80(第5絶縁膜)を成膜する(図16(i))。さらに、その上にソース電極用のAu/Pt90膜(第3導電性膜)をスパッタ法等を用いて形成する。こうして、図16(j)に示すBARITT構造を得ることができる。
【0155】
このBARITT構造では、カーボンナノチューブ18がチャネル部分を構成し、電子がトンネルできる程度の薄い絶縁層がカーボンナノチューブとソース電極、及びドレイン電極間に形成されている。また、図16(j)に示す構造では、カーボンナノチューブ18の側壁に形成されたサイドウォールであるSiO67がゲート絶縁膜であり、ゲートには電極と同じエネルギー準位が禁制帯となっているポリシリコン層72が用いられている。
【0156】
ゲートにバイアスがかかっていないときは電流は流れないが、ゲートに正バイアスがかかると、カーボンナノチューブ18の伝導帯が価電子帯側に押し下げられて、チャネルの準位がソース電極/ドレイン電極と同じ準位になり、トンネル電流により素子がON状態になる。
【0157】
以上に説明するように、第9の実施の形態によれば、基板面に垂直に延在するカーボンナノチューブにチャネル層が形成され、その上方、下方に絶縁膜を介してソース電極/ドレイン電極が形成されるので、立体的なBARITT構造のFETを得ることが可能になる。また、基板面内方向にソース/ドレイン、及びチャネルが形成される通常のFET構造より、基板面上の占有面積を小さくできるため、デバイスのパターン密度を上げ、緻密化を図ることができる。さらに、カーボンナノチューブの形成位置は、規則正しい配置を持つアルマイト層の細孔の位置に対応するので、等間隔に基板上に形成することができる。
【0158】
なお、第9の実施の形態では、基板上に等間隔にカーボンナノチューブを形成するため、第6の実施の形態に係る多孔質層を用いた方法でカーボンナノチューブを形成しているが、必ずしも等間隔にカーボンナノチューブを形成する必要がない場合には、第7の実施の形態に係る製造方法でカーボンナノチューブを作製することもできる。すなわち、Co等の反応触媒微粒子が分散された溶液に基板を浸漬することで、基板表面に触媒微粒子を分散配置した上で、カーボンナノチューブを成長させる方法を用いてもよい。一旦、バンドギャップの揃ったカーボンナノチューブが形成できれば、その後のBARITT構造を形成する図15(a)〜図16(j)に示す製造工程は同様な条件を使用できる。
【0159】
以上、実施の形態に沿って、本発明のカーボンナノチューブの製造方法について説明したが、本発明のカーボンナノチューブの製造方法は、上述する実施の形態の記載に限定されるものではなく、種々の変形および改良が可能であることは、当業者には自明である。
【0160】
例えば、第8及び第9の実施の形態では、カーボンナノチューブをFETに応用した例を説明しているが、FET以外にも発光ダイオードや半導体レーザ等への応用も可能である。また、第8及び第9の実施の形態では、カーボンナノチューブのバンドギャップを揃える方法として、第1の実施の形態に係る選択的酸化を用いたが、必要とされるバンドギャップの値に応じて第2、または第3の実施の形態に係る方法を使用してもよい。
【0161】
【発明の効果】
以上に説明するように、本発明の第1および第2のカーボンナノチューブの製造方法によれば、照射するレーザ光の波長に応じた、一定バンドギャップ以上、もしくは一定バンドギャップ以下のカーボンナノチューブのみを得ることが可能になる。この製造方法を用いれば、カーボンナノチューブの合成方法の種類によらず、バンドギャップの揃ったカーボンナノチューブを提供できる。したがって、カーボンナノチューブを用いた電子デバイスへの応用が可能となる。
【0162】
また、上述する第1または第2のカーボンナノチューブを用いた半導体装置の製造方法の特徴によれば、基板面に対し垂直方向に延在するカーボンナノチューブにチャネル部を持つ、ナノスケールのFETが提供できる。さらに、基板面方向に形成されるのではなく、基板面に対し垂直方向に延在するFETを形成できるので、極めて微細で緻密なナノスケールデバイスを提供できる。
【0163】
さらに、本発明のカーボンナノチューブの製造装置の特徴によれば、上記第1もしくは第2の本発明のカーボンナノチューブの製造方法をより効率的に実施できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係るカーボンナノチューブのバンドギャップを揃える処理方法を示す概略図である。
【図2】直接遷移型カーボンナノチューブにおけるレーザ光照射と励起との関係を示す図である。
【図3】本発明の第2の実施の形態に係るカーボンナノチューブのバンドギャップを揃える処理方法を示す概略図である。
【図4】本発明の第3の実施の形態に係るカーボンナノチューブのバンドギャップを揃える処理方法を示す概略図である。
【図5】本発明の第4の実施の形態に係るカーボンナノチューブの製造方法で使用する多孔質層の斜視図、および多孔質層上に形成されたCo薄膜の状態を示す断面図である。
【図6】本発明の第4の実施の形態に係るカーボンナノチューブの製造方法を示す工程図である。
【図7】本発明の第4の実施の形態に係るカーボンナノチューブの製造方法に使用できる熱CVD装置の概略構成図である。
【図8】本発明の第4の実施の形態に係るカーボンナノチューブの製造方法を示す工程図である。
【図9】本発明の第4の実施の形態に係るカーボンナノチューブの製造方法に使用できるカーボンナノチューブの合成と、レーザ光照射による所定のバンドギャップを持つカーボンナノチューブの消滅処理が可能な装置の概略構成図である。
【図10】本発明の第5の実施の形態に係るカーボンナノチューブの製造方法に使用できる熱CVD装置の概略構成図である。
【図11】本発明の第5の実施の形態に係る製造方法で合成された単層カーボンナノチューブの状態を示す斜視図である。
【図12】本発明の第7の実施の形態に係るカーボンナノチューブの製造方法における、基板上へのCo微粒子を分散した状態を示す斜視図、及び当該方法で得られる、基板面に対し垂直に延在するカーボンナノチューブの状態を示す斜視図である。
【図13】本発明の第8の実施の形態に係るカーボンナノチューブの製造方法を示す工程図である。
【図14】本発明の第8の実施の形態に係るカーボンナノチューブを用いたFETの製造方法を示す工程図である。
【図15】本発明の第9の実施の形態に係るカーボンナノチューブを用いたBARITT構造のFETの製造方法を示す工程図である。
【図16】本発明の第9の実施の形態に係るカーボンナノチューブを用いたBARITT構造のFETの製造方法を示す工程図である。
【符号の説明】
10a、10b、10c・・・カーボンナノチューブ
10、12、14、16、18・・・カーボンナノチューブ
20、22、24、26、28・・・基板
30、36・・・多孔質層(アルマイト層)
32・・・細孔
40、46・・・Co膜
44・・・Co微粒子
50・・・Co膜
52、90・・・Au/Pt膜
60、62、64、66、67、68、69、80・・・SiO2膜
70、72・・・ポリシリコン層

Claims (9)

  1. カーボンナノチューブを合成する工程と、
    酸化ガス含有雰囲気中で、前記カーボンナノチューブに波長λ1を有する第1のレーザ光を照射し、前記第1のレーザ光の照射により励起したカーボンナノチューブを選択的に酸化し、ガス化する選択的酸化処理工程と
    を有することを特徴とするカーボンナノチューブの製造方法。
  2. さらに、前記選択的酸化処理工程後に、
    フッ化ガス含有雰囲気中で、残ったカーボンナノチューブに、前記波長λ1より短い波長λ2を有する第2のレーザ光を照射し、前記第2のレーザ光の照射により励起したカーボンナノチューブを選択的に前記フッ化ガスと反応させ、該カーボンナノチューブの少なくとも表面にフッ化層を形成する選択的フッ化処理工程と、
    酸化ガス含有雰囲気中で、前記フッ化層が形成されなかったカーボンナノチューブを酸化し、ガス化する酸化処理工程と、
    ガス化されずに残ったフッ化層を有するカーボンナノチューブからフッ素成分を除去する脱フッ化処理工程と
    を有することを特徴とする請求項1に記載のカーボンナノチューブの製造方法。
  3. カーボンナノチューブを合成する工程と、
    フッ化ガス含有雰囲気中で、前記カーボンナノチューブに波長λ1を有する第1のレーザ光を照射し、前記第1のレーザ光の照射により励起したカーボンナノチューブを選択的に前記フッ化ガスと反応させ、該カーボンナノチューブの少なくとも表面にフッ化層を形成する選択的フッ化処理工程と、
    酸化ガス含有雰囲気中で、前記フッ化層が形成されなかったカーボンナノチューブを酸化し、ガス化する酸化処理工程と、
    ガス化されずに残ったフッ化層を有するカーボンナノチューブからフッ素成分を除去する脱フッ化処理工程と
    を有することを特徴とするカーボンナノチューブの製造方法。
  4. さらに、前記脱フッ化処理工程後、
    酸化ガス含有雰囲気中で、前記カーボンナノチューブに前記第1の波長λ1より長い第2の波長λ2を有する第2のレーザ光を照射し、前記第2のレーザ光の照射により励起したカーボンナノチューブを選択的に酸化し、ガス化する選択的酸化処理工程と
    を有することを特徴とする請求項3に記載のカーボンナノチューブの製造方法。
  5. 前記カーボンナノチューブを合成する工程は、
    規則的に配列し、かつ底部に基板面が露出する細孔を有する多孔質層を形成する工程と、
    前記細孔底部に露出する基板上にカーボンナノチューブ成長反応に対し触媒機能を有する金属もしくは金属化合物からなる膜を形成する工程と、
    炭化水素触媒分解反応により、カーボンナノチューブを少なくとも前記細孔内に成長させる工程と
    を有することを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載のカーボンナノチューブの製造方法。
  6. 請求項1〜請求項5のいずれか1項に記載のカーボンナノチューブの製造方法を用いて、基板面に対し垂直な方向に延在するカーボンナノチューブを製造する工程と、
    前記カーボンナノチューブの底部周囲を第1導電性膜で埋める工程と、
    前記カーボンナノチューブの前記第1導電性膜で埋められていない側壁面に第1絶縁膜でサイドウォールを形成する工程と、
    前記サイドウォールの周囲に、下方より第2絶縁膜、第2導電性膜、第3絶縁膜を順次形成する工程と、
    前記第3絶縁膜および、前記カーボンナノチューブの上部表面上に、第3導電性膜を形成する工程と
    を有することを特徴とするカーボンナノチューブを用いた半導体装置の製造方法。
  7. 請求項1〜請求項5のいずれか1項に記載のカーボンナノチューブの製造方法を用いて、基板面に対し垂直な方向に延在するカーボンナノチューブを製造する工程と、
    前記カーボンナノチューブ側壁面全面を第1絶縁膜で被覆する工程と、
    前記第1絶縁膜で被覆された前記カーボンナノチューブの底部周囲を第1導電性膜で埋める工程と、
    前記カーボンナノチューブの前記第1導電性膜で埋められていない側壁面に第2絶縁膜でサイドウォールを形成する工程と、
    前記サイドウォールの周囲に、下方より第3絶縁膜、第2導電性膜、及び第4絶縁膜を順次形成する工程と、
    前記第4絶縁膜および、前記カーボンナノチューブの上部表面上に、第5絶縁膜、及び第3導電性膜を順次形成する工程と
    を有することを特徴とするカーボンナノチューブを用いた半導体装置の製造方法。
  8. 反応容器と、
    前記反応容器の壁に設けられた、レーザ光透過窓と、
    カーボンナノチューブ生成原料ガスと不活性ガスと少なくとも酸化ガスもしくはフッ化ガスのいずれかのガスとを前記反応容器内に導入する導入手段と、
    前記反応容器内のガスを排気する排気手段と
    を有することを特徴とするカーボンナノチューブの製造装置。
  9. さらに、前記レーザ光透過窓を介して前記反応容器内にレーザ光が導入されるよう前記反応容器外部に備えられたレーザ発振装置を有することを特徴とする請求項8に記載のカーボンナノチューブの製造装置。
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