JP2019071260A - 電子源及び電子線照射装置並びに電子源の製造方法 - Google Patents

電子源及び電子線照射装置並びに電子源の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】多方向に電子を放出可能で電子放出効率の優れた電子源、及びこれを用いた電子線照射装置、並びに電子源の製造方法を提供する。【解決手段】第1の電極と、絶縁膜からなる電子加速層と、第2の電極とが積層された構造を備える電子源であって、表面が電子放出面を構成する前記第2の電極は、グラフェン膜又はグラファイト膜であり、前記第1の電極及び前記第2の電極の一部又は全部が、曲面を有し、前記電子放出面が曲面である電子源とすることにより、多方向に電子を放出可能とする。【選択図】図1

Description

本発明は、真空中、ガス中、液体中などに電子を放出するための電子源と、これを用いた電子線照射装置に関する。また、本発明は、前記電子源の製造方法に関する。
従来、電子を原子から外部に放出させる電子源として、冷陰極型電子源と熱陰極型電子源が知られている。冷陰極型電子源は、陰極と陽極間に高電圧を印加することにより、電子に陰極から飛び出すエネルギーを与えるものである。冷陰極型電子源に関する技術は、例えば、平面型ディスプレイ装置、照明、水素発生装置等の分野で開発が進められている。
液体又は液相物質中で動作しうる電子源、及びこれを用いた水素発生方法が提案されている(特許文献1参照)。特許文献1には、液体中で動作可能な電子源により、高エネルギーの電子を直接液体中に注入することにより、水素などの発生が可能であることが開示されている。特許文献1の電子源は、表面電極と、裏面電極と、これらの間に、電子ドリフト層、電子トンネル層又はこれらを組み合わせた層と、を備える積層構造を備えている。
また、電子源は、平面型マトリクス電子源ディスプレイ装置を構成する電子放出素子として知られている(特許文献2参照)。薄膜で構成される薄膜電子源は、上部電極、電子加速層、下部電極を積層した構造を有するものであり、MIM(Metal-Insulator-Metal、金属−絶縁体−金属)型電子源、MOS(Metal-Oxide-Semiconductor)型電子源、弾道型面電子源等が含まれる。薄膜電子源は、電子加速層中で加速した電子を真空中に放出させるものである。上部電極は表面電極とも呼ばれ、電子放出面を構成する。
薄膜電子源の動作原理は、エネルギーバンド図を用いて説明できることが知られている(特許文献2参照)。図9は、下部電極113、電子加速層112,上部電極111が積層された構造において、上部電極111に電圧を印加した状態の、エネルギーバンド図である。MIM型電子源の場合、電子加速層112として絶縁体を用いる。上部電極−下部電極間に印加された電圧によって電子加速層112内に電界が生じる。この電界によって下部電極113中から電子がトンネル現象によって電子加速層112中に流れ込む。この電子は電子加速層112中の電界によって加速されホットエレクトロンとなる。このホットエレクトロンが上部電極111中を通過する際、一部の電子は非弾性散乱などによりエネルギーを失う。上部電極111−真空界面、すなわち上部電極の表面に達した時点で、表面の仕事関数よりも大きなエネルギーを有する電子は真空中110に放出される。
下部電極113−上部電極111間に流れる電流をダイオード電流Id、真空中に放出される電流を放出電流Ieと呼ぶことにする。薄膜電子源では、ダイオード電流Idのうち一部の電流のみが真空中に放出される放出電流Ieとなる。放出電流Ieとダイオード電流Idの比α(放出効率α=Ie/Id)は一般的には0.1%〜数10%程度である。
放出効率αを決めるのは、主に次の2つの効果(a)(b)によると考えられる。(a)絶縁膜中での電子の散乱によりホットエレクトロンのエネルギーが失われ、上部電極の仕事関数を上回るエネルギーを持つ電子の数が減ってしまうこと。(b)上部電極での電子の散乱。
絶縁膜中で、電子がエネルギーを失うのを抑えるためには、電子が絶縁膜の伝導帯中を走行する距離をできるだけ短くすることが望ましい。そのためには、絶縁膜の膜厚は薄いことが望ましい。
上部電極での電子の散乱を抑えるためには、上部電極はできるだけ薄いことが望ましい。また、上部電極の材料は、散乱を抑えるために原子番号の小さな物質が望ましい。また、ホットエレクトロンを有効に真空中に放出させるためには、仕事関数の小さな材料が望ましい。しかし、一般的には、上部電極の材料は、酸化などの影響により仕事関数が増加するのを防ぐために、金や白金、イリジウムなどの貴金属が用いられるのが一般的である。
上部電極での電子の散乱を抑えるために、上部電極として原子番号の小さなグラフェンを電極として用いる電子源が提案された(非特許文献1参照)。しかし、通常グラフェンは触媒金属上にしか合成できないため、絶縁膜の上に金属触媒無く成膜することはできなかった。したがって、薄膜状の触媒金属、例えば銅のフォイルの上に、グラフェンを成膜しておき、それを酸溶液中に浸し、銅のフォイルを除去した後、グラフェンのシートを絶縁膜の上に転写するという方法が用いられていた。しかし、この方法では、グラフェンシートを転写する際にしわが発生するし、そもそも、ステップ状の形状の上にはひずみ無くシートを貼り付けることが不可能であった。ひずみやしわが発生すると、その部分での電子の散乱が大きくなり、電子放出効率が悪くなるという問題があった。
本発明者らは、絶縁物の上に、触媒金属を成膜することなくグラフェンを成膜する方法を、開発した(非特許文献2参照)。非特許文献2では、平坦な基板上への成膜方法として、金属蒸気触媒を用いたグラフェンの成膜方法が開示されている。さらに、本発明者らは、非特許文献2で開示した方法を用いて、高効率な平面型電子源を提案した(特許文献3、非特許文献3参照)。図10は、表面電極のグラファイトの膜厚を2nmから7nm程度まで変化させたときの電子源の電子放出効率αを測定したものである。
特開2008−98119号公報 特開2009−43440号公報 特開2017−45639号公報
C. Wenger et. al., J. Vac. Sci. Technology, B, Vol. 33 (1) 2015, p. 01A109-1〜4. K. Murakami, et al., Applied Physics Letter, Vol. 106, 093112 (2015). K. Murakami, et al., Applied Physics Letters, Vol. 108, 083506 (2016).
従来の電子源では、効率よく水素を発生することが困難であった。例えば、特許文献1に開示されている構造では、電子源の、液体に触れる電子放出面の面積が、装置のサイズで限定され、装置全体の大きさに対して非常に効率が悪いという問題がある。特許文献1では平面状の基板が開示されている。特に液体中に設ける電子源では、電子放出面以外の部分は液体に触れないように樹脂で被覆するなどの対処をしなければならない。そのため、平坦な基板上に形成した電子源においては、電子放出に寄与しない面積が広く、電子放出面が狭く、効率が悪いという問題がある。よって、効率よく水素を発生させるためには、液体に触れる電子放出面の面積ができうる限り広いことが望ましい。
本発明者らが開発した、グラフェンを用いた電子源は、その製造が、シリコン基板などの半導体微細加工プロセスによるため、平坦な基板上の電子源に限定される。そのため、電子放出面の面積が狭く、効率が悪いという問題があった。
本発明は、これらの問題を解決しようとするものであり、本発明は、効率的に、真空中、ガス中、液体中等に電子を放出することが可能な電子源を提供することを目的とする。また、本発明は、効率的に電子を放出することができる電子源を用いた電子線照射装置を提供することを目的とする。また、本発明は、効率的な電子放出を実現する電子源の製造方法を提供することを目的とする。
本発明は、前記目的を達成するために、以下の特徴を有するものである。
(1) 第1の電極と、絶縁膜からなる電子加速層と、第2の電極とが積層された構造を備える電子源であって、表面が電子放出面を構成する前記第2の電極は、グラフェン膜又はグラファイト膜であり、前記第1の電極及び前記第2の電極の一部又は全部が、曲面を有し、前記電子放出面が曲面であることを特徴とする電子源。
(2) 前記曲面が、円柱、楕円柱状、球状、楕円体状、ワイヤー状、円筒状、円錐の一部又は全部であることを特徴とする前記(1)記載の電子源。
(3) 前記第1の電極及び前記第2の電極の一部又は全部が、円筒状であり、前記第2の電極が、前記円筒状の内壁の電子放出面を構成することを特徴とする前記(1)又は(2)記載の電子源。
(4) 前記グラフェン膜が、多結晶であることを特徴とする前記(1)乃至(3)のいずれか1項に記載された電子源。
(5) 前記グラファイト膜が、20層以下のグラフェン膜からなることを特徴とする前記(1)乃至(3)のいずれか1項に記載された電子源。
(6) 前記グラファイト膜が、インターカレーションの膜であることを特徴とする前記(5)記載の電子源。
(7) 前記電子放出面の曲面が多孔質状であることを特徴とする前記(1)乃至(6)のいずれか1項記載の電子源。
(8) 前記(1)乃至(7)のいずれか1項に記載された電子源を備えることを特徴とする電子線照射装置。
(9) 前記(1)乃至(7)のいずれか1項に記載された電子源を備え、該電子源から、液体又は気体中に電子を放出することにより、液体又は気体の改質又は分解をすることを特徴とする電子線照射装置。
(10) 前記(1)乃至(7)のいずれか1項に記載された電子源を備え、該電子源から真空中又は気体中に電子を放出し、蛍光体面に当てて発光させることを特徴とする電子線照射装置。
(11) 第1の電極を形成する工程と、前記第1の電極の上に、絶縁膜を形成する工程と、前記絶縁膜の上に、第2の電極となるグラフェン膜又はグラファイト膜を、金属蒸気触媒を用いた熱CVD法により成膜する工程と、を備えることを特徴とする、前記(1)記載の電子源の製造方法。
本発明によれば、前記第1の電極及び前記第2の電極の一部又は全部が、曲面を有し、前記電子放出面が曲面であることにより、平坦面では不可能であった多数の複数方向への一様な電子放出を実現できた。本発明では、電子放出面の面積が広くできるので、電子源のサイズに対して電子放出効率がよくなる。また、電子源の電子放出面の面積を広くできる一方、それ以外のモールド等の面積を最小限にできる。
本発明の電子源は、従来の電界放出型の電子源ではなく、MIM型、MOS型のような、積層構造の絶縁された電極間に電圧を印加する薄膜電子源であるので、真空中、液体中、気体中に、電子源を配置して、電子を放出することが可能である。よって、非常にコンパクトで、電子放出効率の良い電子源を実現できる。
本発明の電子源において、第2の電極がグラフェン膜又はグラファイト膜であるので、他の電極材料である場合と比較して、電子の散乱を抑えることができ高効率な電子放出が可能なだけではなく、反応性が低く安定な材料であるために、液体中や気体中で反応を伴うような場合においても、電極そのものが腐食することがなく長寿命であるという効果もある。
本発明の電子源の電子放出面の曲面が、円柱、楕円柱状、球状、楕円体状、ワイヤー状、円筒状、円錐等の一部又は全部であるので、全円周又はその一部から、周囲に向かって電子を放出可能である。
本発明の電子源が円筒状で、円筒内壁が電子放出面である場合、円筒パイプの中に、溶液やガスを流しながら電子放出をさせることが可能となる。その結果、液体やガスを効率よく改質・分解することができる。液体・ガスの改質・分解装置に、円筒状の電子源を用いた場合、液体やガスを流しながら改質ができる。絶縁性の液体の場合においては、通常の静止した液体においては、電子線が照射された部分は負に帯電する。負に帯電すると電子は反発してそれ以上の電子線照射は不可能となる。しかしながら、溶液を流しながら照射する場合には、帯電した液体やガスは流れていき、電流が流れるのと同様の効果が得られるので、より効率よく改質・分解を行うことができる。
本発明の電子源において、曲面に形成できるグラフェン膜として、多結晶が有効である。多結晶のグラフェン膜を用いることにより、一様に曲面を覆う膜を成膜できる。また、グラファイト膜の層数が少なくとも20層以下のグラフェンからなる場合は、電子の散乱が抑制できる。
本発明の電子源において、グラファイト膜がインターカレーションの膜である場合は、仕事関数を下げるができ、電子放出効率を劇的に向上させることができる。
本発明の電子源において、電子放出面の曲面が多孔質状である場合は、曲面である表面電極にさらに凹凸ができるので、電子放出面の表面積を大幅に増加させることができ、電子放出効率が増大する。
本発明の電子線照射装置は、その電子源の電子放出面積が平坦なものに比較して広く設計できるので、非常に電子放出効率がよい。液体や気体中に電子を放出することができるので、水素発生装置に代表される、液体やガスの改質・分解装置において、水素発生その他の効率が格段に向上する。
本発明の電子線照射装置は、その電子源が電子を曲面から放出するものであるので、蛍光体面の曲面形状に合わせて、電子放出面を任意に設計でき、電子を効率よく蛍光体に照射することが可能である。よって、照明装置の場合は、効率良く発光する。
本発明の製造方法によれば、曲面を有するグラフェン膜及びグラファイト膜の作製として、金属蒸気触媒を用いた熱CVD法により成膜する工程を採用することにより、曲面の絶縁膜上に高性能の電子透過性のグラフェン膜を成膜することが可能となった。
第1の実施の形態における、円柱状の電子源を示す模式図である。(a)は基本構成の図、(b)は陰極と陽極の配線を合わせて示す図である。 第1の実施の形態の円柱状の電子源の製造方法における、グラフェンの成膜方法の例を示す図である。 第2の実施の形態における、水素発生装置の1例を示す模式図である。 第2の実施の形態における、水素発生装置の他例を示す模式図である。 第3の実施の形態における、表面電極の表面がポーラス状の凹凸である電子源の断面模式図である。 第5の実施の形態における、円筒状の内面が電子放出面である電子源の一部を切り欠いた、断面模式図である。 第6の実施の形態における、円柱状又は球状の電子源を用いた照明装置の断面模式図である。 第6の実施の形態における、曲面を有する任意形状の電子源を用いた照明装置の断面模式図である。 従来技術における、薄膜電子源の動作を説明するエネルギーバンド図である。 上部電極をグラファイトとしたMOS型薄膜電子源のグラファイト膜厚と電子放出効率の関係を示す図である。
本発明の実施の形態について以下説明する。
本発明者は、電子源及びこれを用いた電子線照射装置において、その形状、構造、材料に着目して研究開発を進め、その電子放出効率をより向上させる装置を得るに到ったものである。
本発明の実施の形態の電子源は、第1の電極(「下部電極」とも呼ぶ。)と、絶縁膜からなる電子加速層と、第2の電極(「表面電極、上部電極」とも呼ぶ。)とが順に積層された構造を備える。表面電極は、電子放出面を構成する。本発明の電子源における電子放出面は、その少なくとも一部が曲面をなす。電子放出面が平坦面であると、電子の放出方向は一方向のみであるが、曲面であると、電子の放出方向が、複数の方向に、しかもその方向の変化がほぼ連続的に変化する。よって、電子が空間に一様に放出されることになる。
本発明の電子源における電子放出面は、例えば、円柱、楕円柱状、球状、楕円体状、ワイヤー状、円筒状、円錐状等の形状の、全体形状、又はこれらの一部の曲面の形状を備える。例えば、円柱状の場合は、電子が円柱の周囲360度に亘って一様に全周囲方向に放出されることになる。
また、下部電極と、薄い絶縁膜と、表面電極の電子放出面とは、この順で積層された積層構造を有し、下部電極表面、絶縁膜、表面電極表面は、いずれも、ほぼ同形状の曲面、即ちコンフォーマルな曲面をなす。下部電極の一部又は全部が、例えば、円柱、楕円柱状、球状、楕円体状、ワイヤー状、円筒状、円錐状等である。
本発明の電子源は、真空中、ガス中、液体中等に電子を放出することができる。
本発明の電子源は、下部電極と表面電極との間に電圧を印加することにより、表面電極からその外部に向かって、エネルギーをもった電子がトンネリングで放出される。ガス中や液体中であっても、真空中と同様の原理で電子は放出されるが、ガスや液体を構成する原子や分子と衝突しエネルギーを失う。このとき、ガス分子や液体分子にエネルギーを渡すことになるので、それらの分子を分解、改質することができる。
表面電極は、グラフェン膜又はグラファイト膜である。いずれのも膜も多結晶であることが好ましい。多結晶グラフェン膜は、主にsp2結合によって構成されたカーボン1層の膜をいい、多結晶グラファイト膜は、多結晶グラフェンが2層以上積層されたものをいう。本実施の形態の表面電極は、炭素1層の表面電極は炭素1層の多結晶グラフェン膜か、炭素20層程度までの多結晶グラファイト膜であることが好ましい。単結晶のグラフェンシートは、平面状か円筒状以外の形状をなしえない。一方、多結晶グラフェン膜は、粒界をもっている。それ故に、様々な形状の表面を覆うことが可能となる。グラフェン膜は、グラフェンシートとは異なり、後述する熱CVDで作製されるような膜であることが好ましい。
下部電極は、電極として用いることが可能な導電材料又は半導体材料で、かつ本発明の構造を実現可能な材料であれば、特に制限されない。例えば、シリコン電極が挙げられる。シリコンは導電性が高いものが望ましく、伝導帯中に電子が存在するN型がより好ましい。シリコンは、単結晶、多結晶、アモルファス状のいずれでもよい。絶縁膜をシリコンの熱酸化膜で作製する場合は、単結晶であることがより好ましい。
絶縁膜は、リーク電流の発生のない良質な絶縁膜が望ましい。絶縁膜は、本発明の電子源の形状を実現可能な材料であれば、特に制限はない。シリコン酸化膜、アルミナ(Al)、窒化ホウ素、酸化マグネシウム、窒化シリコン等、あるいは、これらからなる積層膜を挙げることができる。
(第1の実施の形態)
本実施の形態は、円柱状の電子放出面を有する電子源に係る。図1を参照して以下説明する。図1は、本実施の形態の円柱状の電子源1を示す模式図であり、(a)は基本構成の図、(b)は陰極と陽極の配線を合わせて示した図である。円柱状の電子源1は、円柱状の下部電極13と、絶縁膜12と、表面電極11とを備える。円柱状の電子源1は、電子放出面以外がモールド14により絶縁されて、下部電極は陰極16に、表面電極11は陽極15に接続されている。本実施の形態の円柱状電子源では、図1(b)のように陰極及び陽極に接続して、円柱状の下部電極と表面電極の間に電圧を印加することにより、円柱側面の全周囲から電子放出を行う。
[円柱状シリコン電極を用いる例]
具体例として、円柱状シリコンの表面にGOS(グラフェン膜又はグラファイト膜−酸化物絶縁膜−半導体)エミッタを形成する場合を、説明する。円柱状の電子源1は、シリコンロッドからなる円柱状の下部電極13(「シリコン電極」とも呼ぶ。)と、シリコン電極の表面のうち円柱の一端を除いて被覆する絶縁膜12と、絶縁膜12の表面を更に被覆する表面電極11とから構成される。表面電極11は、グラフェンもしくはグラファイトからなる。
円柱状シリコン電極を覆う絶縁膜は、リーク電流の発生のない良質な絶縁膜が望ましく、例えば、円柱状シリコン電極そのものを熱酸化して形成した熱酸化膜などが望ましい。シリコン熱酸化膜の他、円柱状表面に均一に成膜できる方法であるならば、チャージインジェクション耐性の高いアルミナ(Al23)なども好ましい。
また、ヘキサゴナル構造の窒化ホウ素(h−BN)も良好な絶縁膜として利用可能である。h−BNは、グラフェンと同様に2次元構造を有しているので、層数を制御することで、膜厚の制御が可能である。また、原子番号が小さいので、電子の散乱が小さくなるため、シリコン酸化膜と比べると電子放出効率の大幅な向上が期待できる。
絶縁膜の膜厚は、材料に応じて、電子加速層として最適な厚さを適宜選択することが望ましい。例えば、シリコン熱酸化膜の場合には、4nm以上10nm以下程度の膜厚が、電子放出効率が高くなるので、望ましい。4nmより薄くなってしまうと、上部電極の仕事関数以下のバイアスで、絶縁膜を電子がダイレクトトンネルしてしまう。ダイレクトトンネルした電子は上部電極の仕事関数を乗り越えるだけのエネルギーを持たないため、上部電極で回収されるので、電子放出効率が著しく低下する。また、上部電極の仕事関数以上のバイアスを印加した場合、絶縁膜にかかる電界が非常に高くなるため、絶縁破壊が生じやすく素子寿命が短くなるため好ましくない。10nmよりも厚い場合には、絶縁膜での電子散乱の寄与が大きく、大部分のトンネル電子のエネルギーが上部電極の仕事関数以下にまで低下し、上部電極で回収されてしまうため、電子放出効率が著しく低下する。
表面電極は、炭素1層のグラフェン膜か、20層程度までのグラファイト膜である。表面電極での電子の散乱を極力抑えるためには、単層のグラフェン膜がより好ましい。しかしながら、本願発明者が実験した結果では、20層程度までのグラファイト膜であれば、電子放出効率の大幅な劣化は見られなかった。図10に開示されたように、表面電極のグラファイトの膜厚を2nmから7nm程度まで変化させたときの電子源の電子放出効率αは、膜厚には殆ど影響せず、電子放出効率がほぼ一定である。グラファイト膜7nmは、約20層に対応する。よって、2nm以上7nm以下の膜厚であることがより好ましい。
グラフェン膜もしくはグラファイト膜は、単結晶でも、多結晶でもよい。実際に、本発明者らが用いたグラフェン膜は、一つの結晶粒の大きさが50nm〜300nm程度の多結晶膜であり、良好な電子放出が得られた。1層のグラフェンの場合、全面から電子放出させるために連続膜である必要がある。
[製造方法]
本実施の形態の円柱状の電子源の製造方法を、説明する。具体例として、円柱状シリコンを用いたGOS(グラフェン膜又はグラファイト膜−酸化物絶縁膜−半導体)電子源の製造について説明する。
(工程1) 円柱状のシリコン電極を用意する。単結晶、多結晶、アモルファス状のいずれであってもよい。
(工程2)不純物を除去するために、シリコン電極を洗浄する。半導体の分野で用いられる洗浄方法を用いることができる。
(工程3) 円柱状シリコン電極を熱酸化する。850℃から900℃程度の比較的低い温度にて熱酸化して、4から8nmの膜厚の熱酸化膜を形成する。熱酸化の温度は、膜厚の再現性や制御性の観点から選択される。実験では、1L/minの流量で酸素を流した石英管の中で、900℃において2分間熱酸化することで約4nmの熱酸化膜が得られた。
(工程4) 続いて、熱酸化膜の表面にグラフェンもしくはグラファイトの表面電極を成膜する。グラフェンもしくはグラファイトの成膜方法は、特に限定されないが、表面電極の成膜に好適な方法の例として、金属蒸気触媒を用いた熱CVD(thermal chemical vapor deposition)がある。この方法は、円柱形状の表面に均一に成膜できる方法である。以下説明する。
図2は、金属蒸気触媒を用いて、円柱状電極へグラファイト膜を成膜する方法を説明する図である。横型電気炉31に石英管32を挿入した加熱装置を用意する。電気炉の温度は1050℃程度に設定し、石英管32の一方からメタンガスとアルゴンガスの混合ガスを導入する(図中の矢印参照)。石英管32の内部において、金属ガリウム33を石英のボート上に設置する。金属ガリウム33の風下には、成膜したい表面に絶縁膜を成膜した円柱状電極30を設置する。円柱状電極30はホルダー34で支持する。ホルダー34は、円柱状電極のグラファイトを成膜したくない部分を覆うような形状の石英のホルダーである。例えば、その形状は、成膜したい部分は中空に、つまり、成膜したい部分の回りにはガスが回り込むような十分な空間を空けて固定できる形状とする。円柱状電極30の表面の、ホルダーで被覆した部分以外に、均一に必要な膜厚のグラフェンを成膜する。実験では、1インチの石英管の中で、アルゴンガスの流量100sccm,メタンガスの流量を1sccmとして、30分間成膜した場合、円柱状電極の酸化膜上に均一に、膜厚7nmの多結晶グラファイト膜が形成された。成膜時間を短くすることで単層の多結晶グラフェン膜も成膜可能である。なお、電気炉の設定温度や成膜時間、ガスの流量比などはここで開示した値に限定されるものではなく、必要な膜厚や結晶性に応じて変化させることが可能である。また、導入するガスは、アルゴンとメタンに限らず、キャリアーとなる不活性ガスと、炭素の供給源となるガスの組み合わせは、任意に選ぶことができる。図の説明においては、金属蒸気触媒の材料として、ガリウムを例としてあげたが、ガリウムに限定されない。ガリウムの他に、インジウム等の金属が利用可能である。
工程3では、絶縁膜を熱酸化処理方法により形成したが、半導体製造技術等で使用される絶縁膜成膜方法により形成してもよい。工程3のように熱酸化処理によって、円柱状シリコン電極の全面が酸化膜に覆われている場合は、シリコンの導通をとるために、電極端の処理をする。円柱状の一方の端面の表面電極と絶縁膜を削ってシリコン電極を露出させ、配線を接続する。配線を接続する部分には、予めオーミックコンタクトがとれるように電極を形成しておくのが望ましい。表面電極にも配線を接続する。グラフェンに直接配線が困難な場合には、クロムやチタンなどの電極を形成しておくのが望ましい。配線を接続した部分は、液相で用いる場合は溶液との反応を防ぐために、樹脂などでモールドすると良い。
(第2の実施の形態)
本実施の形態では、本発明の電子源を組み込んだ電子線照射装置の例として、ガスや液体等を分解又は改質するための電子を放出する装置について、図3を参照して説明する。
図3は、円柱状の電子源を容器に入れた水素発生装置40を示す模式図である。水素発生装置40は、1又は複数個の所定数の円柱状の電子源1を、溶液41に挿入して設置された装置である。必要に応じ、対向電極42を備える。第1の電極と表面電極に、それぞれ陰極と陽極の配線が施される。第1の電極と表面電極間に所定の電圧が印加されると、電圧によって生じた電界によりトンネル現象により流れ込んだ電子が、表面電極を透過して、溶液中に電子が放出される。対向電極42が設けられる目的は、溶液41中に電子放出すると、チャージバランスが崩れて溶液が負にチャージアップし、やがて電子放出できなくなるので、対向電極を挿入して、溶液中に放出された負の電荷を回収するためである。
溶液は、例えば、水、電解液、アルコール類やその他の有機系液体等の炭化水素の結合を持つ液体があげられる。円柱状の電子源から放出された電子は、グラフェンとシリコンの間に印加された電圧に相当するエネルギーを持って溶液中に放出されるので、そのエネルギーにより、溶液材料の分子間の結合を切り、溶液を分解することができる。溶液が水素の結合を有するものであれば、この効果により水素を効率よく発生することが可能となる。
ガスを分解又は改質する場合は、例えば、メタンと水(水蒸気)の混合ガスに電子線を照射することにより、メタノールを生成することもできる。また、メタン、アンモニア、水、二酸化炭素の混合気体に電子線を照射することにより、アデニンなどの核酸塩基を合成することも可能である。
図4は、水素発生装置の他の例の模式図である。図4の水素発生装置50は、液体やガスなどを流すパイプ51に、円柱状の電子源1を配置した装置である。図4では、パイプ51を導電性として、円柱状の電子源1を絶縁物などでパイプに固定している。パイプ51に、改質や分解したい液体やガスなどを流しておき、円柱状電子源の第1の電極と表面電極間に電圧を印加して電子を放出させる。円柱状電子源から放出された電子により、液体やガスの分子の結合が切られることにより、改質や分解を起こすことができる。円柱状電極の長さを適切な長さに設定しておけば、完全に分解することが可能となる。
(第3の実施の形態)
本実施の形態は、電子放出面の曲面の表面積を更に向上させた電子源に係る。図5を参照して以下説明する。電子源の表面の微細構造以外については、第1又は第2の実施の形態と同様である。
図5は、電子源の表面電極の表面の状態を説明する電子源の断面模式図である。図5のように、表面電極に凹凸を設けることにより、電子放出面の表面積を実質上大幅に増加させる。図5は、多数の穴を有する下部電極13と、絶縁膜12と、表面電極11とを備える。例えば、第1の実施の形態で説明した円柱状電極の円柱の表面を、多孔質状にすることで、表面積を大幅に向上させて、溶液中又はガス中に放出される電子の量を格段に増やす。図5では、基体となる円柱状の下部電極13として、表面に無数の穴があるポーラスシリコンを用いている。下部電極13の表面を熱酸化により熱酸化膜からなる絶縁膜12を形成し、さらに熱CVDによりグラフェン電極を形成することにより、ポーラスシリコン表面の全面にわたって電子源を形成することができる。
基体となる多孔質の形状は、電子線照射装置において使用する溶液もしくはガス(以下、媒質とも呼ぶ。)の状態により決定する。多孔質の空隙は、媒質中での電子の平均自由行程λより大きくなるように設計する。即ち、多孔質の平均穴径をdとおくとき、d>λとなるように設計する。図5のような電子源の場合、電子は表面全体から放出されるので、ポーラス状の穴の側壁から放出された電子は、直進すると対向する電子源表面に入射してしまうことになる。平均穴径dが小さい場合には、穴の中に入り込んだ媒質と相互作用をすることなく、電子が電極に戻ってしまうので、無効な電流となってしまう。したがって、平均穴径dは、電子がその媒質中で走行する平均自由行程λよりも大きい必要があり、更には3λ以上であることがより望ましい。
円柱状の下部電極の表面を多孔質状にする方法としては、多結晶のシリコンを用い、その表面を陽極酸化し、酸化膜を除去することで作製できる。この方法によれば、多孔質表面の形状を制御することが可能である。
また、下部電極として、シリコン表面に微細な突起を無数に形成したシリコンを用いてもよい。例えば、単体ケイ素の単結晶に直径1μm未満、長さ10μm以上の針状の構造を表面に施した、ブラックシリコンを用いることもできる。この場合、突起の空隙の大きさが、λより大きくなるように設計することが好ましい。
(第4の実施の形態)
本実施の形態は、電子源の表面電極として、2層以上のグラファイトの間にセシウム等のアルカリ金属等をインターカレーションした電極を用いた電子源に係る。表面電極以外については、第1乃至第3の実施の形態と同様である。インターカレーション(Intercalation)とは、分子または分子集団が他の2つの分子または分子集団の間に入り込む可逆反応のことをいう。例えば、グラファイトインターカレーションとは、グラファイトの正六角形平面を重ねた構造の特定の一面に他の物質層が入り込む現象である。
電子放出効率を上げるためには、表面電極の仕事関数も重要な要素である。表面電極として、2層以上のグラフェンを重ねたグラファイト膜を用いた場合、その層間にセシウムなどのアルカリ金属を内包させることによって仕事関数を下げることができる。仕事関数を下げることにより、電子放出効率は劇的に向上する。
例えば、セシウムをインターカレーションしたグラファイト膜は、次の方法で作製することができる。第1の実施の形態の工程4でグラファイト層を成膜した後、さらに必要に応じて電極端の端末の処理を行った後、円柱状電子源をギ酸セシウム等の溶液に浸し、その後、引き上げ、表面にセシウムを付着させて、窒素雰囲気にて300℃に加熱することにより、セシウムがグラファイトの層間に挿入される。
(第5の実施の形態)
本実施の形態は、電子源の形状が円柱状であった第1の実施の形態とは異なり、円筒状の内面に電子放出面を位置させた電子源に係る。電子源の形状が円筒状の構造であること以外については、第1乃至第4の実施の形態と同様である。図6を参照して以下説明する。図6は、円筒状の電子源を示す模式図である。円筒状の電子源は、円筒状の第1の電極13と、その円筒状の内面に位置する絶縁膜12と、絶縁膜の内面に位置する表面電極11とを備える。
本実施の形態の電子源は、第1の実施の形態と、円柱状と円筒状の相違を除いて、ほぼ同様の方法で製造できる。まず、第1の電極として、円筒(パイプ)状のシリコンを用いる。円筒状のシリコンを熱酸化し絶縁膜を形成した後、グラフェンを成膜する。この方法では、円筒の外側の面にもグラフェンが付着して電子放出面が形成されるが、必要なければ、外面は削り取るなどして電子放出面を円筒状内部のみにする。
本実施の形態のように、円筒(パイプ)の内面に電子源を形成すれば、パイプの中に、溶液やガスを流しながら電子放出をさせることが可能となる。その結果、液体やガスを効率よく改質することができる。第1の実施の形態で示した構造では、液体が導電性のないものの場合には、液体が負に帯電してしまうので、改質が進まない。しかしながら、本実施の形態では、液体を流しながら改質ができるので、帯電した液体は流れていき、電流が流れるのと同様の効果が得られる。よって、帯電により電子線照射が阻害されることなく、より効率よく改質・分解を行うことができる。
また、さらにパイプの内面を、第3の実施の形態(図5参照)のように、多孔質状にすることにより、液体と電子放出面が触れる表面積を更に増やすことができ、より効率が向上する。また、グラファイト層を、第4の実施の形態のようにインターカレーション構造にすることにより、より効率が向上する。
(第6の実施の形態)
各実施の形態で説明した電子源は、ガスや液体を分解又は改質するためのみでなく、従来の電子源が用いられていた真空中でも利用できることは勿論である。本実施の形態では、真空中で電子源を組み込んだ電子線照射装置の例として、照明装置について、図7及び図8を参照して説明する。
図7は、円柱状電子源又は球状電子源を用いた照明の断面図である。照明60は、蛍光灯のような円筒状又は球状のガラス61の内面に、蛍光体と導電膜を塗布し、その中に円柱状又は球状の電子源を配置したものである。電子源は、第1の実施の形態で示したように、円柱状又は球状の、下部電極13と、絶縁膜12と、表面電極11の積層構造を備える。ガラス61の内面は真空状態にするが、電界放出型の電子源のように高真空にする必要はなく、電子の平均自由行程が電子源と蛍光面の距離よりも長くなるような圧力で良い。蛍光体面には、電子が当たった時に効率よく発光するような高電圧を印加しておく。例えば、1〜10kVの電圧を印加すると、効率よく発光する。
図8は、任意の形状の発光面とその発光面と相似形の電子放出面を持つ照明の断面図である。図8の照明70は、楕円体状や楕円柱状に類似するような任意の曲面を有するガラス61の内面に、蛍光体と導電膜を塗布した発光面と、これと相似形をなす曲面の表面形状になるように、電子源の電子放出面(下部電極13と絶縁膜12と表面電極11の積層構造)とを配置したものである。
本発明の電子源は、曲面を含むので、連続する異なる方向に電子を放出可能とするものである。かつ、本発明の電子源は、その電子放出面の形状を、照明装置の発光面の曲面形状に対応させて任意に設計できるので、電子を効率よく蛍光体に照射することを可能とするものである。
なお、上記実施の形態等で示した例は、発明を理解しやすくするために記載したものであり、この形態に限定されるものではない。
本発明の電子源は、電子放出効率が高いので、従来の電子線照射装置一般に応用でき、産業上有用である。特に、本発明の電子源は、真空中、ガス中、液体中等に電子を複数の方向に放出可能であるので、液体やガス等の分解・改質をする装置、及び曲面を有する照明装置に有用である。
1 電子源
11 表面電極(第2の電極)
12 絶縁膜
13 下部電極(第1の電極)
14 モールド
15 陽極
16 陰極
30 円柱状電極
31 横型電気炉
32 石英管
33 金属ガリウム
34 ホルダー
40、50 水素発生装置
41 溶液
42 対向電極
51 パイプ
60、70 照明
61 ガラス

Claims (11)

  1. 第1の電極と、絶縁膜からなる電子加速層と、第2の電極とが積層された構造を備える電子源であって、
    表面が電子放出面を構成する前記第2の電極は、グラフェン膜又はグラファイト膜であり、
    前記第1の電極及び前記第2の電極の一部又は全部が、曲面を有し、前記電子放出面が曲面であることを特徴とする電子源。
  2. 前記曲面が、円柱、楕円柱状、球状、楕円体状、ワイヤー状、円筒状、円錐の一部又は全部であることを特徴とする請求項1記載の電子源。
  3. 前記第1の電極及び前記第2の電極の一部又は全部が、円筒状であり、前記第2の電極が、前記円筒状の内壁の電子放出面を構成することを特徴とする請求項1又は2記載の電子源。
  4. 前記グラフェン膜が、多結晶であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載された電子源。
  5. 前記グラファイト膜が、20層以下のグラフェン膜からなることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載された電子源。
  6. 前記グラファイト膜が、インターカレーションの膜であることを特徴とする請求項5記載の電子源。
  7. 前記電子放出面の曲面が多孔質状であることを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項記載の電子源。
  8. 請求項1乃至7のいずれか1項に記載された電子源を備えることを特徴とする電子線照射装置。
  9. 請求項1乃至7のいずれか1項に記載された電子源を備え、該電子源から、液体又は気体中に電子を放出することにより、液体又は気体の改質又は分解をすることを特徴とする電子線照射装置。
  10. 請求項1乃至7のいずれか1項に記載された電子源を備え、該電子源から真空中又は気体中に電子を放出し、蛍光体面に当てて発光させることを特徴とする電子線照射装置。
  11. 第1の電極を形成する工程と、
    前記第1の電極の上に、絶縁膜を形成する工程と、
    前記絶縁膜の上に、第2の電極となるグラフェン膜又はグラファイト膜を、金属蒸気触媒を用いた熱CVD法により成膜する工程と、
    を備えることを特徴とする、請求項1記載の電子源の製造方法。

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