JP2004284533A - 車両用車輪 - Google Patents
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Abstract
【課題】ホイールの意匠の制約を受けることなく、サイドブランチ消音器をホイールに容易に内蔵できるようにする。
【解決手段】車輪1のホイール4には、ディスク2の連結部2Eの内部をその長さ方向に沿って延びると共に、一端側がリム3の外周側に開口してタイヤ空気室Aと連通する第1の空気通路12と、同じくディスク2の連結部2Eの内部をその長さ方向に沿って延びると共に、一端側がリム3の外周側に開口してタイヤ空気室Aと連通する第2の空気通路13を設ける。また、ディスク2の中央部2Bには、第1の空気通路12の他端側と第2の空気通路13の他端側との間を互いに連通する絞り空気通路14を設ける。そして、これら第1,第2の空気通路12,13と絞り空気通路14によってバイパス型のサイドブランチ消音器11を構成する。
【選択図】 図1
【解決手段】車輪1のホイール4には、ディスク2の連結部2Eの内部をその長さ方向に沿って延びると共に、一端側がリム3の外周側に開口してタイヤ空気室Aと連通する第1の空気通路12と、同じくディスク2の連結部2Eの内部をその長さ方向に沿って延びると共に、一端側がリム3の外周側に開口してタイヤ空気室Aと連通する第2の空気通路13を設ける。また、ディスク2の中央部2Bには、第1の空気通路12の他端側と第2の空気通路13の他端側との間を互いに連通する絞り空気通路14を設ける。そして、これら第1,第2の空気通路12,13と絞り空気通路14によってバイパス型のサイドブランチ消音器11を構成する。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、自動車等の車両に装備される車両用車輪に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に、自動車等に装備される車両用車輪(以下、車輪という)は、ディスクの外周側にリムが設けられたホイールと、リムの外周側に設けられたタイヤとによって構成されている。そして、これらホイールのリムとタイヤとの間には環状の密閉空間からなるタイヤ空気室が形成される。
【0003】
ところで、車両の走行時には、ホイールのリムとタイヤとの間で形成されるタイヤ空気室内で気柱共鳴が生じ、この気柱共鳴が車両から発生する騒音を悪化させる原因となっていることが知られている。なお、気柱共鳴とは、路面からタイヤに伝わるランダムな振動がタイヤ空気室内の空気を振動させ、その結果、タイヤ空気室の気柱共鳴周波数付近(通常の乗用車タイヤでは250Hz付近)で共鳴現象が起こり、共鳴音が発生する現象である。
【0004】
そこで、従来、このような気柱共鳴を低減するために、所謂、T型のサイドブランチ消音器と呼ばれる吸音構造を用いた技術が、例えば特許文献1に記載されている。
【0005】
図7に示すように、この従来技術において、車両用車輪101(以下、車輪101という)は、車軸102側に固定されたホイール103と、このホイール103の外周側に設けられたタイヤ104とを備え、これらタイヤ104とホイール103との間には、周方向の長さ寸法がLである環状のタイヤ空気室aが形成される。
【0006】
また、ホイール103には、ホイール103の内部を円弧状に延びる一対の空気通路105,106が形成され、これらの空気通路105,106は、一端側がタイヤ空気室a内に開口する開口端となり、他端側が閉塞端となっている。そして、空気通路105,106は、タイヤ空気室aに対するT型のサイドブランチ消音器としての機能を発揮する。
【0007】
つまり、T型のサイドブランチ消音器は、図8に模式図で示すように、長さ寸法がLであるタイヤ空気室a′内にL/4の長さ寸法を有した空気通路105′の一端側を開口させる構成となっており、全体としてT型の構造をなしている。なお、図8に示すタイヤ空気室a′は、図7に示すタイヤ空気室aに相当し、図8に示す空気通路105′は、図7に示す空気通路105または空気通路106に相当するものである。
【0008】
そして、このT型のサイドブランチ消音器は、車輪101の回転時にタイヤ空気室a(a′)内に外部から伝わる振動を空気通路105,106(105′)内に導くことにより、特定の周波数、例えば250Hz付近の周波数をもった振動を空気通路105,106(105′)内で共鳴吸収し、タイヤ空気室a(a′)内で生じる共鳴音を低減するものである。
【0009】
【特許文献1】
米国特許第6309026号明細書(第6頁、図8)
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、特許文献1に記載の従来技術は、サイドブランチ消音器としての機能を発揮させるために、前記のように空気通路105,106を、タイヤ空気室aの長さ寸法Lに対して4分の1程度の長さ寸法をもって長尺に形成する必要がある。従って、この従来技術にあっては、空気通路105,106の長さを確保するために、空気通路105,106を、図7に示すように車軸102側を避けるように円弧状に湾曲させて形成している。
【0011】
しかし、アルミホイール等のデザインホイールのようにディスクに複数の貫通穴を設けているタイプの場合には、ホイールに対して空気通路105,106を前記のように湾曲させて設けることがレイアウトの点で難しくなるという問題がある。言い換えれば、空気通路105,106をホイールに設けようとすると、ホイールに前記のような複数の貫通穴を設けることができず、ホイールの意匠が制約を受けるという問題がある。
【0012】
そこで、本発明は、サイドブランチ消音器を内蔵できると共に、ホイールをデザインするうえでの制限を少なくすることができるようにした車両用車輪を提供することを目的としている。
【0013】
【課題を解決するための手段】
本発明は、前記した課題を解決するために以下のように構成した。
請求項1に記載の発明は、ディスクの外周側にリムが設けられたホイールと、前記リムの外周側に設けられて前記リムとの間に環状のタイヤ空気室を形成するタイヤとによって構成される車両用車輪において、前記ホイールの内部には、一端側が前記リムの外周側に開口して前記タイヤ空気室に連通した第1の空気通路と、同じく一端側が前記リムの外周側に開口して前記タイヤ空気室に連通した第2の空気通路と、前記第1の空気通路及び前記第2の空気通路よりも小さな通路面積を有して前記第1の空気通路の他端側と前記第2の空気通路の他端側との間を連通した絞り空気通路とを形成し、前記第1,第2の空気通路及び絞り空気通路によりバイパス型のサイドブランチ消音器を構成したことを特徴とする車両用車輪である。
【0014】
請求項1に記載の発明によれば、タイヤの回転時には、タイヤ空気室内に伝わる振動が第1の空気通路と第2の空気通路の両方の通路を経由して絞り空気通路内へと導かれる。これにより、特定の周波数をもった振動を絞り空気通路内で共鳴吸収し、タイヤ空気室内で生じる共鳴音を低減することができる。
【0015】
【発明の実施の形態】
本発明の実施の形態に係る車両用車輪を図1ないし図4を参照して詳細に説明する。
【0016】
図1は、本実施の形態に係る車両用車輪を一部破断した状態で示す正面図であり、図2は、図1中のホイール及びバイパス型のサイドブランチ消音器等を示す部分拡大図である。図3は、車両用車輪を図1中の矢示III−III方向から拡大してみた拡大断面図であり、図4は、バイパス型のサイドブランチ消音器を示す模式図である。
【0017】
図1ないし図3に示すように、本実施の形態に係る車両用車輪1(以下、車輪1という)は、円板状のディスク2の外周側にリム3が設けられたホイール4と、このホイール4のリム3の外周側に設けられたタイヤ5と、後記のサイドブランチ消音器11とによって構成される。
【0018】
また、ホイール4のディスク2には、周方向に等しい間隔をおいて例えば扇形状をなした4個の貫通穴2A,2A,…が形成されている。さらに、ディスク2の中央部2Bには、車軸(図示せず)が取り付けられる取付穴2Cと、ホイール4を車軸に固定するためのボルト挿入穴2D,2D,…とが穿設されている。そして、ディスク2の中央部2Bはホイール4から径方向に放射状に延びる4個の連結板2E,2E,…によってリム3と連結されている。また、リム3は、その幅方向の中央部分が環状の凹溝からなるウェル部3A(図3参照)となっている。
【0019】
そして、タイヤ5は、リム3の幅方向両側に弾性的に密着して取り付けられている。このため、リム3とタイヤ5との間は気密にシールされ、これらリム3とタイヤ5との間には環状の密閉空間からなるタイヤ空気室Aが形成される。
【0020】
ここで、車輪1のホイール4には、バイパス型のサイドブランチ消音器11が内蔵されている。このサイドブランチ消音器11は、ディスク2の連結部2Eの内部を径方向に延びると共に、一端側がリム3のウェル部3Aに開口してタイヤ空気室Aと連通する台形状をなした第1の空気通路12と、同じくディスク2の連結部2Eの内部を径方向に延びると共に、一端側がリム3のウェル部3Aに開口してタイヤ空気室Aと連通する台形状をなした第2の空気通路13と、ディスク2の中央部2Bの内部に形成されて第1の空気通路12の他端側と第2の空気通路13の他端側との間を連通した絞り空気通路14とによって構成される。
【0021】
また、第1の空気通路12及び第2の空気通路13は、ディスク2の中央部2Bを挟んで径方向で互いに対向した位置に配置されている。また、絞り空気通路14は、図2に示すように、第1,第2の空気通路12,13にそれぞれ接続されたストレート通路部14A,14Bと、各ストレート通路部14A,14B間を接続した円弧状通路部14Cとを有し、これらストレート通路部14,14B及び円弧状通路部14Cは、第1,第2の空気通路12,13よりも小さなほぼ一定の通路面積をもって形成されている。また、絞り空気通路14の途中には空気バルブ15が装着され、空気バルブ15から絞り空気通路14及び第1,第2の空気通路12,13を通じてタイヤ空気室A内に外部から圧縮空気が注入される。
【0022】
そして、バイパス型のサイドブランチ消音器11は、図4に模式図で示すように、タイヤ空気室A′を第1の空気通路12′、第2の空気通路13′及び絞り空気通路14′によってバイパスする構成を採用しており、前記特許文献1に記載されたT型のサイドブランチ消音器(7参照)とは構造が全く異なるものである。なお、図4中に示すタイヤ空気室A′、第1の空気通路12′、第2の空気通路13′、絞り空気通路14′は、それぞれ図1ないし図3に示すタイヤ空気室A,第1の空気通路12、第2の空気通路13、絞り空気通路14に相当するものである。
【0023】
このように構成される本実施の形態によれば、車輪1の回転時には、タイヤ空気室A内に外部から伝わる振動が、サイドブランチ消音器11を構成する第1の空気通路12と第2の空気通路13を経由して絞り空気通路14内へと導かれる。このため、タイヤ空気室A内に伝わる特定の周波数、例えば250Hz付近の周波数をもった振動を、絞り空気通路14の径寸法等を調整することによって絞り空気通路14内で共鳴吸収することができ、タイヤ空気室A内で生じる共鳴音を低減することができる。
【0024】
また、バイパス型のサイドブランチ消音器11は、絞り空気通路14を第1,第2の空気通路12,13よりも十分に小径に形成できるため、図1に示すように、絞り空気通路14を、ディスク2の中央部2Bに位置する取付穴2C,2Cの間及び取付穴2Cとボルト挿入穴2Dとの間等の狭い部分にも容易に配置でき、絞り空気通路14を含めたサイドブランチ消音器11全体のレイアウト設計を簡単に行うことができる。つまり、複数の貫通穴2Aを有するホイール4のようなデザインホイールに対しても、ホイール4の意匠の制約を受けることなくサイドブランチ消音器11を簡単に内蔵させることができる。
【0025】
また、第1の空気通路12と第2の空気通路13をホイール4の径方向で対向して配置する構成としたので、空気通路12の通路容積と空気通路13の通路容積を均等に設定することにより、車輪1の重量バランスを静バランス的にも動バランス的にもとることが可能となる。
【0026】
なお、前記実施の形態では、サイドブランチ消音器11を構成する第1の空気通路12と第2の空気通路13を、ディスク2の中央部2Bを挟んで径方向で互いに対向して配置する場合を例に挙げて説明した。しかし、本発明はこれに限ることなく、例えば図5に示す本発明の第1の変形例のように、車輪1′には、バイパス型のサイドブランチ消音器21を構成する第1の空気通路22と第2の空気通路23を、1個の貫通穴2Aを挟んでホイール4の周方向で対向して配置し、これら各空気通路22,23を絞り空気通路24によって連通する構成としてもよい。
【0027】
また、前記実施の形態では、車輪1に1個のサイドブランチ消音器11を内蔵する構成とした場合を例に挙げて説明した。しかし、本発明はこれに限ることなく、例えば図6に示す本発明の第2の変形例のように、車輪1′′には、バイパス型のサイドブランチ消音器31に加えてさらに別個のバイパス型のサイドブランチ消音器41を追加して設ける構成としてもよい。ここで、サイドブランチ消音器31は、第1の空気通路32、第2の空気通路33及び絞り空気通路34によって構成される。また、サイドブランチ消音器41についても、第1の空気通路42、第2の空気通路43及び絞り空気通路44によって構成される。この場合、各空気通路32,33,42,43をホイール4の周方向で等しい間隔をおいて配置できるため、各空気通路32,33,42,43の通路容積を互いに均等に設定することにより、車輪1の重量バランスの向上をより一層図ることができる。また、車輪には3個以上のサイドブランチ消音器を設ける構成としてもよい。
【0028】
さらに、前記実施の形態では、絞り空気通路14の途中に空気バルブ15を装着する場合を例に挙げて説明したが、例えば空気バルブ15を、空気圧センサ付きのバルブとして構成し、空気圧センサからの空気圧信号に基づいてタイヤ空気室A内の空気圧を管理するようにしてもよい。
【0029】
さらに、前記実施の形態では、ホイール4のディスク2に4個の貫通穴2Aを設ける場合を例に挙げて説明したが、本発明はこれに限ることなく、貫通穴を5個以上設けてもよいし、3個以下でもよい。この場合でも、バイパス型のサイドブランチをホイール内に容易に内蔵することが可能となる。
【0030】
【発明の効果】
以上、詳述した通り、請求項1に記載の発明によれば、ホイールの内部には、タイヤ空気室と連通する第1,第2の空気通路と、第1,第2の空気通路の間を連通する絞り空気通路とを設け、これら各空気通路及び絞り空気通路によりバイパス型のサイドブランチ消音器を構成したので、タイヤの回転時には、タイヤ空気室内に伝わる特定の周波数をもった振動を絞り空気通路内で共鳴吸収でき、タイヤ空気室内で生じる共鳴音を低減することができる。
【0031】
また、サイドブランチ消音器を構成する絞り空気通路を、第1,第2の空気通路よりも十分に小さな通路面積をもって形成できるため、この絞り空気通路を、ディスクの中央部の狭い部分に容易に配置でき、サイドブランチ消音器全体のレイアウト設計を簡単に行うことができる。従って、複数の貫通穴を有するデザインホイール等のホイールに対しても、ホイールの意匠の制約を受けることなくサイドブランチ消音器を簡単に内蔵させることができる。あるいはホイールをデザインするうえでの制限を少なくすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態に係る車両用車輪を一部破断した状態で示す正面図である。
【図2】図1中のホイール及びバイパス型のサイドブランチ消音器等を示す部分拡大図である。
【図3】本発明の実施の形態に係る車両用車輪を図1中の矢示III−III方向から拡大してみた拡大断面図である。
【図4】バイパス型のサイドブランチ消音器を示す模式図である。
【図5】本発明の第1の変形例に係る車両用車輪を示す正面図である。
【図6】本発明の第2の変形例に係る車両用車輪を示す正面図である。
【図7】従来技術による車両用車輪を示す縦断面図である。
【図8】T型のサイドブランチ消音器を示す模式図である。
【符号の説明】
1,1′,1′′ 車輪(車両用車輪)
2 ディスク
2A 貫通穴
2B 中央部
2E 連結部
3 リム
4 ホイール
5 タイヤ
11,21,31,41 バイパス型のサイドブランチ消音器
12,22,32,42 第1の空気通路
13,23,33,43 第2の空気通路
14,24,34,44 絞り空気通路
A タイヤ空気室
【発明の属する技術分野】
本発明は、自動車等の車両に装備される車両用車輪に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に、自動車等に装備される車両用車輪(以下、車輪という)は、ディスクの外周側にリムが設けられたホイールと、リムの外周側に設けられたタイヤとによって構成されている。そして、これらホイールのリムとタイヤとの間には環状の密閉空間からなるタイヤ空気室が形成される。
【0003】
ところで、車両の走行時には、ホイールのリムとタイヤとの間で形成されるタイヤ空気室内で気柱共鳴が生じ、この気柱共鳴が車両から発生する騒音を悪化させる原因となっていることが知られている。なお、気柱共鳴とは、路面からタイヤに伝わるランダムな振動がタイヤ空気室内の空気を振動させ、その結果、タイヤ空気室の気柱共鳴周波数付近(通常の乗用車タイヤでは250Hz付近)で共鳴現象が起こり、共鳴音が発生する現象である。
【0004】
そこで、従来、このような気柱共鳴を低減するために、所謂、T型のサイドブランチ消音器と呼ばれる吸音構造を用いた技術が、例えば特許文献1に記載されている。
【0005】
図7に示すように、この従来技術において、車両用車輪101(以下、車輪101という)は、車軸102側に固定されたホイール103と、このホイール103の外周側に設けられたタイヤ104とを備え、これらタイヤ104とホイール103との間には、周方向の長さ寸法がLである環状のタイヤ空気室aが形成される。
【0006】
また、ホイール103には、ホイール103の内部を円弧状に延びる一対の空気通路105,106が形成され、これらの空気通路105,106は、一端側がタイヤ空気室a内に開口する開口端となり、他端側が閉塞端となっている。そして、空気通路105,106は、タイヤ空気室aに対するT型のサイドブランチ消音器としての機能を発揮する。
【0007】
つまり、T型のサイドブランチ消音器は、図8に模式図で示すように、長さ寸法がLであるタイヤ空気室a′内にL/4の長さ寸法を有した空気通路105′の一端側を開口させる構成となっており、全体としてT型の構造をなしている。なお、図8に示すタイヤ空気室a′は、図7に示すタイヤ空気室aに相当し、図8に示す空気通路105′は、図7に示す空気通路105または空気通路106に相当するものである。
【0008】
そして、このT型のサイドブランチ消音器は、車輪101の回転時にタイヤ空気室a(a′)内に外部から伝わる振動を空気通路105,106(105′)内に導くことにより、特定の周波数、例えば250Hz付近の周波数をもった振動を空気通路105,106(105′)内で共鳴吸収し、タイヤ空気室a(a′)内で生じる共鳴音を低減するものである。
【0009】
【特許文献1】
米国特許第6309026号明細書(第6頁、図8)
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、特許文献1に記載の従来技術は、サイドブランチ消音器としての機能を発揮させるために、前記のように空気通路105,106を、タイヤ空気室aの長さ寸法Lに対して4分の1程度の長さ寸法をもって長尺に形成する必要がある。従って、この従来技術にあっては、空気通路105,106の長さを確保するために、空気通路105,106を、図7に示すように車軸102側を避けるように円弧状に湾曲させて形成している。
【0011】
しかし、アルミホイール等のデザインホイールのようにディスクに複数の貫通穴を設けているタイプの場合には、ホイールに対して空気通路105,106を前記のように湾曲させて設けることがレイアウトの点で難しくなるという問題がある。言い換えれば、空気通路105,106をホイールに設けようとすると、ホイールに前記のような複数の貫通穴を設けることができず、ホイールの意匠が制約を受けるという問題がある。
【0012】
そこで、本発明は、サイドブランチ消音器を内蔵できると共に、ホイールをデザインするうえでの制限を少なくすることができるようにした車両用車輪を提供することを目的としている。
【0013】
【課題を解決するための手段】
本発明は、前記した課題を解決するために以下のように構成した。
請求項1に記載の発明は、ディスクの外周側にリムが設けられたホイールと、前記リムの外周側に設けられて前記リムとの間に環状のタイヤ空気室を形成するタイヤとによって構成される車両用車輪において、前記ホイールの内部には、一端側が前記リムの外周側に開口して前記タイヤ空気室に連通した第1の空気通路と、同じく一端側が前記リムの外周側に開口して前記タイヤ空気室に連通した第2の空気通路と、前記第1の空気通路及び前記第2の空気通路よりも小さな通路面積を有して前記第1の空気通路の他端側と前記第2の空気通路の他端側との間を連通した絞り空気通路とを形成し、前記第1,第2の空気通路及び絞り空気通路によりバイパス型のサイドブランチ消音器を構成したことを特徴とする車両用車輪である。
【0014】
請求項1に記載の発明によれば、タイヤの回転時には、タイヤ空気室内に伝わる振動が第1の空気通路と第2の空気通路の両方の通路を経由して絞り空気通路内へと導かれる。これにより、特定の周波数をもった振動を絞り空気通路内で共鳴吸収し、タイヤ空気室内で生じる共鳴音を低減することができる。
【0015】
【発明の実施の形態】
本発明の実施の形態に係る車両用車輪を図1ないし図4を参照して詳細に説明する。
【0016】
図1は、本実施の形態に係る車両用車輪を一部破断した状態で示す正面図であり、図2は、図1中のホイール及びバイパス型のサイドブランチ消音器等を示す部分拡大図である。図3は、車両用車輪を図1中の矢示III−III方向から拡大してみた拡大断面図であり、図4は、バイパス型のサイドブランチ消音器を示す模式図である。
【0017】
図1ないし図3に示すように、本実施の形態に係る車両用車輪1(以下、車輪1という)は、円板状のディスク2の外周側にリム3が設けられたホイール4と、このホイール4のリム3の外周側に設けられたタイヤ5と、後記のサイドブランチ消音器11とによって構成される。
【0018】
また、ホイール4のディスク2には、周方向に等しい間隔をおいて例えば扇形状をなした4個の貫通穴2A,2A,…が形成されている。さらに、ディスク2の中央部2Bには、車軸(図示せず)が取り付けられる取付穴2Cと、ホイール4を車軸に固定するためのボルト挿入穴2D,2D,…とが穿設されている。そして、ディスク2の中央部2Bはホイール4から径方向に放射状に延びる4個の連結板2E,2E,…によってリム3と連結されている。また、リム3は、その幅方向の中央部分が環状の凹溝からなるウェル部3A(図3参照)となっている。
【0019】
そして、タイヤ5は、リム3の幅方向両側に弾性的に密着して取り付けられている。このため、リム3とタイヤ5との間は気密にシールされ、これらリム3とタイヤ5との間には環状の密閉空間からなるタイヤ空気室Aが形成される。
【0020】
ここで、車輪1のホイール4には、バイパス型のサイドブランチ消音器11が内蔵されている。このサイドブランチ消音器11は、ディスク2の連結部2Eの内部を径方向に延びると共に、一端側がリム3のウェル部3Aに開口してタイヤ空気室Aと連通する台形状をなした第1の空気通路12と、同じくディスク2の連結部2Eの内部を径方向に延びると共に、一端側がリム3のウェル部3Aに開口してタイヤ空気室Aと連通する台形状をなした第2の空気通路13と、ディスク2の中央部2Bの内部に形成されて第1の空気通路12の他端側と第2の空気通路13の他端側との間を連通した絞り空気通路14とによって構成される。
【0021】
また、第1の空気通路12及び第2の空気通路13は、ディスク2の中央部2Bを挟んで径方向で互いに対向した位置に配置されている。また、絞り空気通路14は、図2に示すように、第1,第2の空気通路12,13にそれぞれ接続されたストレート通路部14A,14Bと、各ストレート通路部14A,14B間を接続した円弧状通路部14Cとを有し、これらストレート通路部14,14B及び円弧状通路部14Cは、第1,第2の空気通路12,13よりも小さなほぼ一定の通路面積をもって形成されている。また、絞り空気通路14の途中には空気バルブ15が装着され、空気バルブ15から絞り空気通路14及び第1,第2の空気通路12,13を通じてタイヤ空気室A内に外部から圧縮空気が注入される。
【0022】
そして、バイパス型のサイドブランチ消音器11は、図4に模式図で示すように、タイヤ空気室A′を第1の空気通路12′、第2の空気通路13′及び絞り空気通路14′によってバイパスする構成を採用しており、前記特許文献1に記載されたT型のサイドブランチ消音器(7参照)とは構造が全く異なるものである。なお、図4中に示すタイヤ空気室A′、第1の空気通路12′、第2の空気通路13′、絞り空気通路14′は、それぞれ図1ないし図3に示すタイヤ空気室A,第1の空気通路12、第2の空気通路13、絞り空気通路14に相当するものである。
【0023】
このように構成される本実施の形態によれば、車輪1の回転時には、タイヤ空気室A内に外部から伝わる振動が、サイドブランチ消音器11を構成する第1の空気通路12と第2の空気通路13を経由して絞り空気通路14内へと導かれる。このため、タイヤ空気室A内に伝わる特定の周波数、例えば250Hz付近の周波数をもった振動を、絞り空気通路14の径寸法等を調整することによって絞り空気通路14内で共鳴吸収することができ、タイヤ空気室A内で生じる共鳴音を低減することができる。
【0024】
また、バイパス型のサイドブランチ消音器11は、絞り空気通路14を第1,第2の空気通路12,13よりも十分に小径に形成できるため、図1に示すように、絞り空気通路14を、ディスク2の中央部2Bに位置する取付穴2C,2Cの間及び取付穴2Cとボルト挿入穴2Dとの間等の狭い部分にも容易に配置でき、絞り空気通路14を含めたサイドブランチ消音器11全体のレイアウト設計を簡単に行うことができる。つまり、複数の貫通穴2Aを有するホイール4のようなデザインホイールに対しても、ホイール4の意匠の制約を受けることなくサイドブランチ消音器11を簡単に内蔵させることができる。
【0025】
また、第1の空気通路12と第2の空気通路13をホイール4の径方向で対向して配置する構成としたので、空気通路12の通路容積と空気通路13の通路容積を均等に設定することにより、車輪1の重量バランスを静バランス的にも動バランス的にもとることが可能となる。
【0026】
なお、前記実施の形態では、サイドブランチ消音器11を構成する第1の空気通路12と第2の空気通路13を、ディスク2の中央部2Bを挟んで径方向で互いに対向して配置する場合を例に挙げて説明した。しかし、本発明はこれに限ることなく、例えば図5に示す本発明の第1の変形例のように、車輪1′には、バイパス型のサイドブランチ消音器21を構成する第1の空気通路22と第2の空気通路23を、1個の貫通穴2Aを挟んでホイール4の周方向で対向して配置し、これら各空気通路22,23を絞り空気通路24によって連通する構成としてもよい。
【0027】
また、前記実施の形態では、車輪1に1個のサイドブランチ消音器11を内蔵する構成とした場合を例に挙げて説明した。しかし、本発明はこれに限ることなく、例えば図6に示す本発明の第2の変形例のように、車輪1′′には、バイパス型のサイドブランチ消音器31に加えてさらに別個のバイパス型のサイドブランチ消音器41を追加して設ける構成としてもよい。ここで、サイドブランチ消音器31は、第1の空気通路32、第2の空気通路33及び絞り空気通路34によって構成される。また、サイドブランチ消音器41についても、第1の空気通路42、第2の空気通路43及び絞り空気通路44によって構成される。この場合、各空気通路32,33,42,43をホイール4の周方向で等しい間隔をおいて配置できるため、各空気通路32,33,42,43の通路容積を互いに均等に設定することにより、車輪1の重量バランスの向上をより一層図ることができる。また、車輪には3個以上のサイドブランチ消音器を設ける構成としてもよい。
【0028】
さらに、前記実施の形態では、絞り空気通路14の途中に空気バルブ15を装着する場合を例に挙げて説明したが、例えば空気バルブ15を、空気圧センサ付きのバルブとして構成し、空気圧センサからの空気圧信号に基づいてタイヤ空気室A内の空気圧を管理するようにしてもよい。
【0029】
さらに、前記実施の形態では、ホイール4のディスク2に4個の貫通穴2Aを設ける場合を例に挙げて説明したが、本発明はこれに限ることなく、貫通穴を5個以上設けてもよいし、3個以下でもよい。この場合でも、バイパス型のサイドブランチをホイール内に容易に内蔵することが可能となる。
【0030】
【発明の効果】
以上、詳述した通り、請求項1に記載の発明によれば、ホイールの内部には、タイヤ空気室と連通する第1,第2の空気通路と、第1,第2の空気通路の間を連通する絞り空気通路とを設け、これら各空気通路及び絞り空気通路によりバイパス型のサイドブランチ消音器を構成したので、タイヤの回転時には、タイヤ空気室内に伝わる特定の周波数をもった振動を絞り空気通路内で共鳴吸収でき、タイヤ空気室内で生じる共鳴音を低減することができる。
【0031】
また、サイドブランチ消音器を構成する絞り空気通路を、第1,第2の空気通路よりも十分に小さな通路面積をもって形成できるため、この絞り空気通路を、ディスクの中央部の狭い部分に容易に配置でき、サイドブランチ消音器全体のレイアウト設計を簡単に行うことができる。従って、複数の貫通穴を有するデザインホイール等のホイールに対しても、ホイールの意匠の制約を受けることなくサイドブランチ消音器を簡単に内蔵させることができる。あるいはホイールをデザインするうえでの制限を少なくすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態に係る車両用車輪を一部破断した状態で示す正面図である。
【図2】図1中のホイール及びバイパス型のサイドブランチ消音器等を示す部分拡大図である。
【図3】本発明の実施の形態に係る車両用車輪を図1中の矢示III−III方向から拡大してみた拡大断面図である。
【図4】バイパス型のサイドブランチ消音器を示す模式図である。
【図5】本発明の第1の変形例に係る車両用車輪を示す正面図である。
【図6】本発明の第2の変形例に係る車両用車輪を示す正面図である。
【図7】従来技術による車両用車輪を示す縦断面図である。
【図8】T型のサイドブランチ消音器を示す模式図である。
【符号の説明】
1,1′,1′′ 車輪(車両用車輪)
2 ディスク
2A 貫通穴
2B 中央部
2E 連結部
3 リム
4 ホイール
5 タイヤ
11,21,31,41 バイパス型のサイドブランチ消音器
12,22,32,42 第1の空気通路
13,23,33,43 第2の空気通路
14,24,34,44 絞り空気通路
A タイヤ空気室
Claims (1)
- ディスクの外周側にリムが設けられたホイールと、前記リムの外周側に設けられて前記リムとの間に環状のタイヤ空気室を形成するタイヤとによって構成される車両用車輪において、
前記ホイールの内部には、一端側が前記リムの外周側に開口して前記タイヤ空気室に連通した第1の空気通路と、同じく一端側が前記リムの外周側に開口して前記タイヤ空気室に連通した第2の空気通路と、前記第1の空気通路及び前記第2の空気通路よりも小さな通路面積を有して前記第1の空気通路の他端側と前記第2の空気通路の他端側との間を連通した絞り空気通路とを形成し、前記第1,第2の空気通路及び絞り空気通路によりバイパス型のサイドブランチ消音器を構成したことを特徴とする車両用車輪。
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JP2003081177A Pending JP2004284533A (ja) | 2003-03-24 | 2003-03-24 | 車両用車輪 |
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JP (1) | JP2004284533A (ja) |
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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2003
- 2003-03-24 JP JP2003081177A patent/JP2004284533A/ja active Pending
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