JP2004284063A - インクジェット記録ヘッド - Google Patents
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Abstract
【課題】従来のインクジェット記録ヘッドはワイピング回復動作後のオリフィスプレート表面にインク残りが発生することが多かった。
【解決手段】液体吐出エネルギー発生素子が配置された基板の一面に被覆樹脂層が形成され、その被覆樹脂層内に液体流路が形成され、被覆樹脂層表面に前記液体流路に連通する液体吐出口が開口され、前記基板の他面に前記液体流路に連通する液体供給口が開口されたインクジェット記録ヘッドにおいて、前記被覆樹脂層に少なくとも一つ以上の溝を形成し、その溝の長手方向一端または両端を被覆樹脂層の側面に連通させ、該溝をインク排出路として機能させる。
【選択図】 図1
【解決手段】液体吐出エネルギー発生素子が配置された基板の一面に被覆樹脂層が形成され、その被覆樹脂層内に液体流路が形成され、被覆樹脂層表面に前記液体流路に連通する液体吐出口が開口され、前記基板の他面に前記液体流路に連通する液体供給口が開口されたインクジェット記録ヘッドにおいて、前記被覆樹脂層に少なくとも一つ以上の溝を形成し、その溝の長手方向一端または両端を被覆樹脂層の側面に連通させ、該溝をインク排出路として機能させる。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明はインクジェット記録方式に用いる記録液滴(インク液滴)を発生するためのインクジェット記録ヘッドに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
インクジェット記録方式は、記録時における騒音の発生が無視し得る程度に極めて小さいという点、また高速記録が可能である点、いわゆる普通紙に特別な処理を施すことなく記録が行えるという点などが評価され、ここ数年急速に普及しつつある。このようなインクジェット記録方式を実現するためのインクジェット記録ヘッドの中で、液体(インク)吐出エネルギー発生素子が形成された基体に対して垂直方向にインク液滴が吐出されるものは「サイドシュータ型記録ヘッド」と称されている。
【0003】
また、特開平04−10940号公報、特開平04−10941号公報、特開平04−10942号公報には、インク吐出エネルギー発生素子(例えば、発熱抵抗体)を加熱することでインク中に気泡を発生させ、この気泡を外気と接触させることでインク液滴を吐出させることを特徴とするインクジェット記録ヘッドが開示されている。これらの公報に開示されているインクジェット記録ヘッドでは、従来のサイドシュータ型ヘッドの製造方法(例えば、特開昭62−234941号公報参照)では困難であったインク吐出エネルギー発生素子とオリフィスプレートの表面との間の距離を短縮することができるため、小液滴記録を容易に達成し、近年の高精細記録への要求に答えることが可能である。ここで、オリフィスプレートとは、インク吐出エネルギー発生素子が配置される面に、インク流路と当該流路中のインクを大気に接触させるインク吐出口とが形成される樹脂層を意味する。
【0004】
また、オリフィスプレートの膜厚の薄い部分での信頼性が悪くなり記録ヘッドの寿命を低下させてしまうという問題を解決し、かつ小液滴記録を安定的に行うために、インク吐出エネルギー発生素子とオリフィスプレートの表面との間の距離を一定とすることを可能したインクジェット記録ヘッドの製造方法が特開平10−157150号公報に開示されている。この製造方法は、インク吐出エネルギー発生素子が配置された基板の上に溶解可能な樹脂によりインク流路となるパターンと、土台となるパターンとを形成し、この土台によって、オリフィスプレートとなる被覆樹脂層を平坦に形成することを特徴とする。
【0005】
【特許文献1】
特開平04−10940号公報
【特許文献2】
特開平04−10941号公報
【特許文献3】
特開平04−10942号公報
【特許文献4】
特開昭62−234941号公報
【特許文献5】
特開平10−157150号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
上記特開平10−157150号公報に開示されているインクジェット記録ヘッドの製造方法は上記の通りの利点を有する。しかしながら、この製造方法によって製造された記録ヘッドには次のような課題があった。すなわち、前記土台を形成している溶解可能な樹脂を溶解除去した跡および前記溶解可能な樹脂を溶解除去するための貫通穴によって形成される溝に印字やワイピング回復動作などによってインクが溜まり、溜まったインクが次回のワイピング回復動作の際にオリフィスプレートの表面に引き出される。この原因は、ワイピング回復動作によってワイピング方向に寄せられた溝内のインクが逃げ場を失ってオリフィスプレートの表面に溢れ出すためと考えられる。そして、オリフィスプレートの表面に引き出されたインクはインク吐出口の近傍に残存したり、インク吐出口を覆ったりして、適正なインク液滴の形成を阻害し、引いては印字品位の悪化を招く。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上記課題を解決することを目的とし、この目的達成のために次のような構成を具備したことを特徴とする。すなわち、本発明のインクジェット記録ヘッドは、液体吐出エネルギー発生素子が配置された基板の一面に被覆樹脂層が形成され、その被覆樹脂層内に液体流路が形成され、被覆樹脂層表面に前記液体流路に連通する液体吐出口が開口され、前記基板の他面に前記液体流路に連通する液体供給口が開口されたインクジェット記録ヘッドにおいて、前記被覆樹脂層に少なくとも一つ以上の溝が形成され、その溝の長手方向一端または両端は被覆樹脂層の側面に連通していることを特徴とする。かかる構成により、ワイピング回復動作の際に前記溝が液体排出路として機能し、溝内の液体がオリフィスプレート外に排出される。従って、オリフィスプレート表面に液体残りが発生し難く、ワイピング特性が向上する。尚、液体吐出エネルギー発生素子とオリフィスプレートの表面との間の距離が均一となり、安定した小液滴記録が可能であるといった従来の利点は何ら損なわれることはない。
【0008】
【発明の実施の形態】
(実施形態1)
以下、本発明の実施形態の一つを図1および図2に基づいて詳細に説明する。図1は、本実施形態に係るインクジェット記録ヘッドの基本的態様を示す一部省略の斜視図であり、図2は同平面図である。図1に示すように、本実施形態に係るインクジェット記録ヘッドは、液体(インク)を吐出させるインク吐出エネルギー発生素子としての発熱抵抗体1が配置された基板2の上面3にオリフィスプレートとして被覆樹脂層4が形成され、そのオリフィスプレート4内に液体流路としてのインク流路5が形成され、オリフィスプレート4の表面6にインク流路5に連通する液体吐出口としてのインク吐出口(φ25μm)7が開口され、基板2の下面8にインク流路5に連通する液体供給口としてのインク供給口9が開口された全長1inch(約2.54cm)のインクジェット記録ヘッドである。より具体的には、図2に示すように、複数のインク吐出口7からなる吐出口列7aが基板2の短手方向中心を通るX−X線を挟んで二列平行に形成されている。また、インク供給口9の内面10は、供給口9が基板2の下面8側から上面3側に向けて先細りとなるテーパ面としてある(図1参照)。
【0009】
さらに、それぞれの吐出口列7aの側方(基板2の短手方向側方)に幅25μmの溝11が吐出口列7aと平行に形成され、それら溝11の長手方向両端がオリフィスプレート4の長手方向両側面12において開口している。より具体的には、それぞれの溝11は吐出口列7aを形成するインク吐出口7の配列方向に沿って直線的に形成されており、また、その断面形状は、オリフィスプレート4の膜厚方向途中より上部がそれより下部に比べて細い凸形状としてある。この溝11は、オリフィスプレート4の表面6をワイピングする(拭き取る)際にインクを外部に排出する液体排出路(インク排出路)として機能し、オリフィスプレート4の表面6におけるインク残りを可及的に抑止する効果を奏する。
【0010】
次に、本発明のインクジェット記録ヘッドの製造工程の一例を図3(a)〜(d)に基づいて概説する。まず図3(a)に示すように、基板(Si基板)2の上面3にインク吐出エネルギー発生素子としての発熱抵抗体(電気熱変換素子)1を所望個数配置する。次いで発熱抵抗体1が配置された基板2の上面3に、溶解可能な樹脂を用いてインク流路5(図1)を形成するためのパターン13および土台としてパターン(幅30μm)14を設けた。これらパターン13、14は、例えばドライフィルムのラミネート、レジストのスピンコート等により溶解可能な樹脂を基板2の上面3に塗布した後、紫外線、Deep−UV光などによる露光などを行うことによって形成可能である。今回は、ポリメチルイソプロペニルケトン(東京応化工業株式会社製ODUR−1010)をスピンコート法により塗布後、120℃で乾燥し、Deep−UV光を3J/m2パターン照射し、メチルイソブチルケトン/キシレン=2/1によって現像した後にキシレンで洗浄した。なお、形成されたパターン13、14の厚み(図3bのX)は12μmであった。
【0011】
その後、図3(b)に示すように、パターン13および14の上にオリフィスプレートとなる被覆樹脂層4をスピンコート方等により形成する。今回は、被覆樹脂をスピンコート方によって基板2の表面3に塗布した後、乾燥、紫外線露光を行い、さらにベーク、現像、洗浄してオリフィスプレート(被覆樹脂層)4を形成した。なお、形成されたオリフィスプレート4の厚み(図3(b)にYで示す)は8μmであり、標準偏差は0.2μmであった。このように標準偏差が小さくなったのは、基板2の上面3にパターン(土台)14が形成されていることにより、被覆樹脂が平坦に塗布された結果である。
【0012】
次に、図3(c)に示すように、オリフィスプレート4にインク吐出口7を複数形成し、図2に示すような吐出口列7aを二列平行に形成する。この際、後に土台14を形成している樹脂を除去するための細長貫通穴15を土台14の上方に同手法により同時形成する。これらインク吐出口7および細長貫通穴15は従来から用いられている手法で形成可能あり、一例としてO2プラズマによるエッチング、エキシマレーザー穴明け、あるいは紫外線、Deep−UV光などによる露光などの手法が考えられる。もっとも、これら以外の従来手法または新規手法によって形成することも可能である。
【0013】
その後、図3(d)に示すように、基板2を化学的にエッチングして基板2にインク供給口9を形成する。より具体的には、KOH、NaOH、TMAHなどの強アルカリ溶液による異方性エッチングによりインク供給口9を形成する。もっとも、インク流路5となるパターン13、土台としてのパターン14及びインク吐出口7の全部または一部の形成に先立ってインク供給口9を形成しても良い。
【0014】
次いで、図3(c)に示すパターン13、14を形成している溶解可能な樹脂をインク吐出口7及びインク供給口9から溶出させることによって、オリフィスプレート4内にインク流路5および発泡室を形成する。また、パターン(土台)14を形成している溶解可能な樹脂を細長貫通穴15(図3c)から溶出させることによってオリフィスプレート4に溝11を形成する。すなわち、平坦なオリフィスプレート2を得るために基板2の表面3に形成されていた土台4を除去した跡、およびその土台4を除去するために形成されていた細長貫通穴15の跡が溝11となる。なお、前記溶解可能な樹脂の除去に際しては、Deep−UV光による全面露光を行った後、現象、乾燥を行えばよく、必要があれば現象の際、超音波浸漬すれば十分である。今回は、Deep−UV光を5J/m2照射した後、メチルイソブチルケトン/キシレン=2/1によって100kHzの超音波槽に侵漬し、キシレンで洗浄した。
【0015】
さらに、基板2をダイシングソーなどにより分離切断してチップ化する。そして発熱抵抗体1を駆動するための電気的接合(図示せず)を行った後、インク供給のためのチップタンク部材(図示しない)を接続して、長さ1inch(約2.54cm)のインクジェット記録ヘッドを完成させた。
【0016】
本発明はインクジェット記録ヘッドの中でもバブルジェット方式の記録ヘッドとして優れた効果を奏し、特に特開平4−10940号公報、特開平4−10941号公報、特開平4−10942号公報に記載された方式の記録ヘッドとして最適である。これらの公報に記載された方式は、インク吐出エネルギー発生素子(例えば、発熱抵抗体等の電気熱変換素子)に記録情報に対応した駆動信号を印加して該素子にインクの核沸騰を越える急激な温度上昇を与える熱エネルギーを発生させ、これによってインク内に形成された気泡を外気と接触させてインク液滴を吐出させる方式である。前記方式では、小インク液滴(50pl(ピコリットル)以下)の吐出が可能であり、且つヒータ前方のインク液を吐出させるため、インク液滴の体積や速度が温度の影響を受けず安定化し、高品位な画像を得ることができる。また本発明は、記録紙の全幅に渡り同時に記録ができる所謂フルラインタイプの記録ヘッドとして、更には記録ヘッドを一体的に、あるいは複数個組み合わせたカラー記録ヘッドにも好適である。
【0017】
(実施形態2)
以下、本発明のインクジェット記録ヘッドの他の実施形態を図4に基づいて説明する。本実施形態に係るインクジェット記録ヘッドの基本構成は前記実施形態1に示す記録ヘッドのそれと同様である。異なるのは、図4に示すように、溝11の長手方向両外側にこれら溝11と直交する短溝20がそれぞれ形成されている点である。それぞれの短溝20の両端は、オリフィスプレート4の短手方向両側面21において開口され外部に連通している。本実施形態に係るインクジェット記録ヘッドでは、オリフィスプレート4の長手方向および短手方向の両方向に溝が形成されている。従って、オリフィスプレート4の長手方向に沿ってワイピング回復動作を実施した場合は、溝11が主なインク排出路として機能し、短手方向に沿ってワイピング回復動作を実施した場合は、短溝20が主なインク排出路として機能する。この結果、ワイピング回復動作を何れの方向に沿って実施した場合もインクを効率的に外部に排出することが可能である。尚、本実施形態に示すインクジェット記録ヘッドは、前記実施形態1に示す記録ヘッドの製造方法と実質的に同一の方法によって製造することができる。
【0018】
(実施形態3)
以下、本発明のインクジェット記録ヘッドの他の実施形態を図5に基づいて説明する。本実施形態に係るインクジェット記録ヘッドの基本構成は前記実施形態1に示す記録ヘッドのそれと同様である。異なるのは、図5に示すように、二列一組の吐出口列7aがオリフィスプレート4の長手方向に沿って複数組千鳥配列されている点である。尚、図5に示す記録ヘッドの全長は12inch(約30.48cm)である。また、本実施形態に示すインクジェット記録ヘッドも前記実施形態1に示す記録ヘッドの製造方法と実質的に同一の方法によって製造することができる。
【0019】
(実験例)
上記実施形態1〜実施形態3に示した本発明のインクジェット記録ヘッドの効果を確認するために行った実験について以下に説明する。本実験では、実施形態1〜3に示す本発明のインクジェット記録ヘッド(以下、試料1〜3)を用意すると共に、これらの比較対象として図6および図7に示すインクジェット記録ヘッド(以下、試料4及び5)を用意した。ここで、図6に示す試料4の基本構成は、試料1及び試料2のそれと同様であり、図7に示す試料5の基本構成は試料3のそれと同様である。試料4及び5が試料1〜3と異なるのは、オリフィスプレート4に形成された溝11がオリフィスプレート4の側面に連通しておらず、インク吐出口7(吐出口列7a)を取り囲むように環状に形成されている点である。
【0020】
本実験では、試料1〜5を用いて、同一条件下で印字記録およびワイピング回復動作を実施した。具体的には、顔料分散液/グリセリン/ジエチレングリコール/アセチレノールEH(川研ファインケミカル製)/水=50/6/5/0.2/38.8からなるインク液を用い、吐出周波数f=15kHzで印字記録を行った。さらに、オリフィスプレート4の表面6に付着したインク液を拭き取るためにブレード30によるワイピング回復動作を繰り返し行った。ここで、ワイピング回復動作に際しては、オリフィスプレート4の表面6に密着させたブレード30をインク吐出口7の配列方向に移動させてインク液を拭き取った。図8(a)に試料1に対するワイピング回復動作の様子を示し、同図(b)にワイピング後のオリフィスプレート4の表面6の様子を示す。以下同様に、図9(a)に試料2に対するワイピング回復動作の様子を、同図(b)にワイピング後のオリフィスプレート4の表面6の様子を示す。また、図10(a)に試料3に対するワイピング回復動作の様子を、同図(b)にワイピング後のオリフィスプレート4の表面6の様子を示す。さらに、図11(a)に試料4に対するワイピング回復動作の様子を、同図(b)にワイピング後のオリフィスプレート4の表面6の様子を示し、図12(a)に試料5に対するワイピング回復動作の様子を、同図(b)にワイピング後のオリフィスプレート4の表面6の様子を示す。
【0021】
各図(b)に示すように、試料1〜3に関してはワイピング回復動作後のオリフィスプレート4の表面6にインク残りは存在しないか、存在しても微々たるものであった。一方、試料4及び5に関しては明らかにインク残りが見られた。以上の実験結果をまとめた表1を次に示す。この表1では、インク残りは存在するが印字に与える影響がほとんど見られない状態を「可」、インク残りがほとんど存在せず印字に与える影響が全くない状態を「優」、両者の中間を「良」と表示した。また、インク残りがひどく印字への悪影響が出たものを「不可」と表示した。
【0022】
【表1】
【0023】
なお、上記実験に使用した顔料分散液は次の製法によって作った。表面積が230m2/gでDBP吸油量が70ml/100gのカーボンブラック10gとp−アミノ安息香酸3.41gとを水72gによく混合した後、これに硝酸1.62gを滴下して70℃で攪拌した。数分後5gの水に1.07gの亜硝酸ナトリウムを溶かした溶液を加え、更に1時間攪拌した。得られたスラリーを東洋濾紙No.2(アドバンティス社製)でろ過し、顔料粒子を十分に水洗し、90℃のオーブンで乾燥させた後、この顔料に水を足して顔料濃度10重量%の顔料水溶液を作成した。以上の方法により、表面にフェニル基を介して親水基が結合したアニオン性に帯電した自己分散型カーボンブラックが分散した顔料分散液を得た。
【0024】
【発明の効果】
本発明のインクジェット記録ヘッドでは、オリフィスプレートとなる被覆樹脂層を平坦に形成するために必要である土台を除去するための穴の跡と、その穴から土台を除去した跡とによって被覆樹脂層に形成される溝を該樹脂層の側面に連通させてある。これによって、ワイピング回復動作の際にオリフィスプレートの表面におけるインク残りが可及的に低減され、高品位な記録を長期間に亙って維持することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のインクジェット記録ヘッドの実施形態の一例を示す一部省略の斜視図。
【図2】図1に示すインクジェット記録ヘッドの平面図。
【図3】(a)〜(d)は、図1に示すインクジェット記録ヘッドの製造工程を示す断面図。
【図4】本発明のインクジェット記録ヘッドの実施形態の他例を示す平面図。
【図5】本発明のインクジェット記録ヘッドの実施形態のさらに他例を示す平面図。
【図6】従来のインクジェット記録ヘッドの一例を示す平面図。
【図7】従来のインクジェット記録ヘッドの他例を示す平面図。
【図8】(a)は図1の記録ヘッドに対するワイピングの基本動作を示す説明図、(b)はワイピング後のオリフィスプレート表面を示す説明図。
【図9】(a)は図4の記録ヘッドに対するワイピングの基本動作を示す説明図、(b)はワイピング後のオリフィスプレート表面を示す説明図。
【図10】(a)は図5の記録ヘッドに対するワイピングの基本動作を示す説明図、(b)はワイピング後のオリフィスプレート表面を示す説明図。
【図11】(a)は図6の記録ヘッドに対するワイピングの基本動作を示す説明図、(b)はワイピング後のオリフィスプレート表面を示す説明図。
【図12】(a)は図7の記録ヘッドに対するワイピングの基本動作を示す説明図、(b)はワイピング後のオリフィスプレート表面を示す説明図。
【符号の説明】
1 インク吐出エネルギー発生素子
2 基板
3 基板上面
4 樹脂被覆層(オリフィスプレート)
5 インク流露
6 オリフィスプレート表面
7 インク吐出口
8 基板下面
9 インク供給口
10 インク供給口の内面
11 溝
12 オリフィスプレートの長手方向側面
13 パターン
14 パターン(土台)
15 細長貫通穴
20 短溝
21 オリフィスプレートの短手方向側面
30 ブレード
【発明の属する技術分野】
本発明はインクジェット記録方式に用いる記録液滴(インク液滴)を発生するためのインクジェット記録ヘッドに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
インクジェット記録方式は、記録時における騒音の発生が無視し得る程度に極めて小さいという点、また高速記録が可能である点、いわゆる普通紙に特別な処理を施すことなく記録が行えるという点などが評価され、ここ数年急速に普及しつつある。このようなインクジェット記録方式を実現するためのインクジェット記録ヘッドの中で、液体(インク)吐出エネルギー発生素子が形成された基体に対して垂直方向にインク液滴が吐出されるものは「サイドシュータ型記録ヘッド」と称されている。
【0003】
また、特開平04−10940号公報、特開平04−10941号公報、特開平04−10942号公報には、インク吐出エネルギー発生素子(例えば、発熱抵抗体)を加熱することでインク中に気泡を発生させ、この気泡を外気と接触させることでインク液滴を吐出させることを特徴とするインクジェット記録ヘッドが開示されている。これらの公報に開示されているインクジェット記録ヘッドでは、従来のサイドシュータ型ヘッドの製造方法(例えば、特開昭62−234941号公報参照)では困難であったインク吐出エネルギー発生素子とオリフィスプレートの表面との間の距離を短縮することができるため、小液滴記録を容易に達成し、近年の高精細記録への要求に答えることが可能である。ここで、オリフィスプレートとは、インク吐出エネルギー発生素子が配置される面に、インク流路と当該流路中のインクを大気に接触させるインク吐出口とが形成される樹脂層を意味する。
【0004】
また、オリフィスプレートの膜厚の薄い部分での信頼性が悪くなり記録ヘッドの寿命を低下させてしまうという問題を解決し、かつ小液滴記録を安定的に行うために、インク吐出エネルギー発生素子とオリフィスプレートの表面との間の距離を一定とすることを可能したインクジェット記録ヘッドの製造方法が特開平10−157150号公報に開示されている。この製造方法は、インク吐出エネルギー発生素子が配置された基板の上に溶解可能な樹脂によりインク流路となるパターンと、土台となるパターンとを形成し、この土台によって、オリフィスプレートとなる被覆樹脂層を平坦に形成することを特徴とする。
【0005】
【特許文献1】
特開平04−10940号公報
【特許文献2】
特開平04−10941号公報
【特許文献3】
特開平04−10942号公報
【特許文献4】
特開昭62−234941号公報
【特許文献5】
特開平10−157150号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
上記特開平10−157150号公報に開示されているインクジェット記録ヘッドの製造方法は上記の通りの利点を有する。しかしながら、この製造方法によって製造された記録ヘッドには次のような課題があった。すなわち、前記土台を形成している溶解可能な樹脂を溶解除去した跡および前記溶解可能な樹脂を溶解除去するための貫通穴によって形成される溝に印字やワイピング回復動作などによってインクが溜まり、溜まったインクが次回のワイピング回復動作の際にオリフィスプレートの表面に引き出される。この原因は、ワイピング回復動作によってワイピング方向に寄せられた溝内のインクが逃げ場を失ってオリフィスプレートの表面に溢れ出すためと考えられる。そして、オリフィスプレートの表面に引き出されたインクはインク吐出口の近傍に残存したり、インク吐出口を覆ったりして、適正なインク液滴の形成を阻害し、引いては印字品位の悪化を招く。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上記課題を解決することを目的とし、この目的達成のために次のような構成を具備したことを特徴とする。すなわち、本発明のインクジェット記録ヘッドは、液体吐出エネルギー発生素子が配置された基板の一面に被覆樹脂層が形成され、その被覆樹脂層内に液体流路が形成され、被覆樹脂層表面に前記液体流路に連通する液体吐出口が開口され、前記基板の他面に前記液体流路に連通する液体供給口が開口されたインクジェット記録ヘッドにおいて、前記被覆樹脂層に少なくとも一つ以上の溝が形成され、その溝の長手方向一端または両端は被覆樹脂層の側面に連通していることを特徴とする。かかる構成により、ワイピング回復動作の際に前記溝が液体排出路として機能し、溝内の液体がオリフィスプレート外に排出される。従って、オリフィスプレート表面に液体残りが発生し難く、ワイピング特性が向上する。尚、液体吐出エネルギー発生素子とオリフィスプレートの表面との間の距離が均一となり、安定した小液滴記録が可能であるといった従来の利点は何ら損なわれることはない。
【0008】
【発明の実施の形態】
(実施形態1)
以下、本発明の実施形態の一つを図1および図2に基づいて詳細に説明する。図1は、本実施形態に係るインクジェット記録ヘッドの基本的態様を示す一部省略の斜視図であり、図2は同平面図である。図1に示すように、本実施形態に係るインクジェット記録ヘッドは、液体(インク)を吐出させるインク吐出エネルギー発生素子としての発熱抵抗体1が配置された基板2の上面3にオリフィスプレートとして被覆樹脂層4が形成され、そのオリフィスプレート4内に液体流路としてのインク流路5が形成され、オリフィスプレート4の表面6にインク流路5に連通する液体吐出口としてのインク吐出口(φ25μm)7が開口され、基板2の下面8にインク流路5に連通する液体供給口としてのインク供給口9が開口された全長1inch(約2.54cm)のインクジェット記録ヘッドである。より具体的には、図2に示すように、複数のインク吐出口7からなる吐出口列7aが基板2の短手方向中心を通るX−X線を挟んで二列平行に形成されている。また、インク供給口9の内面10は、供給口9が基板2の下面8側から上面3側に向けて先細りとなるテーパ面としてある(図1参照)。
【0009】
さらに、それぞれの吐出口列7aの側方(基板2の短手方向側方)に幅25μmの溝11が吐出口列7aと平行に形成され、それら溝11の長手方向両端がオリフィスプレート4の長手方向両側面12において開口している。より具体的には、それぞれの溝11は吐出口列7aを形成するインク吐出口7の配列方向に沿って直線的に形成されており、また、その断面形状は、オリフィスプレート4の膜厚方向途中より上部がそれより下部に比べて細い凸形状としてある。この溝11は、オリフィスプレート4の表面6をワイピングする(拭き取る)際にインクを外部に排出する液体排出路(インク排出路)として機能し、オリフィスプレート4の表面6におけるインク残りを可及的に抑止する効果を奏する。
【0010】
次に、本発明のインクジェット記録ヘッドの製造工程の一例を図3(a)〜(d)に基づいて概説する。まず図3(a)に示すように、基板(Si基板)2の上面3にインク吐出エネルギー発生素子としての発熱抵抗体(電気熱変換素子)1を所望個数配置する。次いで発熱抵抗体1が配置された基板2の上面3に、溶解可能な樹脂を用いてインク流路5(図1)を形成するためのパターン13および土台としてパターン(幅30μm)14を設けた。これらパターン13、14は、例えばドライフィルムのラミネート、レジストのスピンコート等により溶解可能な樹脂を基板2の上面3に塗布した後、紫外線、Deep−UV光などによる露光などを行うことによって形成可能である。今回は、ポリメチルイソプロペニルケトン(東京応化工業株式会社製ODUR−1010)をスピンコート法により塗布後、120℃で乾燥し、Deep−UV光を3J/m2パターン照射し、メチルイソブチルケトン/キシレン=2/1によって現像した後にキシレンで洗浄した。なお、形成されたパターン13、14の厚み(図3bのX)は12μmであった。
【0011】
その後、図3(b)に示すように、パターン13および14の上にオリフィスプレートとなる被覆樹脂層4をスピンコート方等により形成する。今回は、被覆樹脂をスピンコート方によって基板2の表面3に塗布した後、乾燥、紫外線露光を行い、さらにベーク、現像、洗浄してオリフィスプレート(被覆樹脂層)4を形成した。なお、形成されたオリフィスプレート4の厚み(図3(b)にYで示す)は8μmであり、標準偏差は0.2μmであった。このように標準偏差が小さくなったのは、基板2の上面3にパターン(土台)14が形成されていることにより、被覆樹脂が平坦に塗布された結果である。
【0012】
次に、図3(c)に示すように、オリフィスプレート4にインク吐出口7を複数形成し、図2に示すような吐出口列7aを二列平行に形成する。この際、後に土台14を形成している樹脂を除去するための細長貫通穴15を土台14の上方に同手法により同時形成する。これらインク吐出口7および細長貫通穴15は従来から用いられている手法で形成可能あり、一例としてO2プラズマによるエッチング、エキシマレーザー穴明け、あるいは紫外線、Deep−UV光などによる露光などの手法が考えられる。もっとも、これら以外の従来手法または新規手法によって形成することも可能である。
【0013】
その後、図3(d)に示すように、基板2を化学的にエッチングして基板2にインク供給口9を形成する。より具体的には、KOH、NaOH、TMAHなどの強アルカリ溶液による異方性エッチングによりインク供給口9を形成する。もっとも、インク流路5となるパターン13、土台としてのパターン14及びインク吐出口7の全部または一部の形成に先立ってインク供給口9を形成しても良い。
【0014】
次いで、図3(c)に示すパターン13、14を形成している溶解可能な樹脂をインク吐出口7及びインク供給口9から溶出させることによって、オリフィスプレート4内にインク流路5および発泡室を形成する。また、パターン(土台)14を形成している溶解可能な樹脂を細長貫通穴15(図3c)から溶出させることによってオリフィスプレート4に溝11を形成する。すなわち、平坦なオリフィスプレート2を得るために基板2の表面3に形成されていた土台4を除去した跡、およびその土台4を除去するために形成されていた細長貫通穴15の跡が溝11となる。なお、前記溶解可能な樹脂の除去に際しては、Deep−UV光による全面露光を行った後、現象、乾燥を行えばよく、必要があれば現象の際、超音波浸漬すれば十分である。今回は、Deep−UV光を5J/m2照射した後、メチルイソブチルケトン/キシレン=2/1によって100kHzの超音波槽に侵漬し、キシレンで洗浄した。
【0015】
さらに、基板2をダイシングソーなどにより分離切断してチップ化する。そして発熱抵抗体1を駆動するための電気的接合(図示せず)を行った後、インク供給のためのチップタンク部材(図示しない)を接続して、長さ1inch(約2.54cm)のインクジェット記録ヘッドを完成させた。
【0016】
本発明はインクジェット記録ヘッドの中でもバブルジェット方式の記録ヘッドとして優れた効果を奏し、特に特開平4−10940号公報、特開平4−10941号公報、特開平4−10942号公報に記載された方式の記録ヘッドとして最適である。これらの公報に記載された方式は、インク吐出エネルギー発生素子(例えば、発熱抵抗体等の電気熱変換素子)に記録情報に対応した駆動信号を印加して該素子にインクの核沸騰を越える急激な温度上昇を与える熱エネルギーを発生させ、これによってインク内に形成された気泡を外気と接触させてインク液滴を吐出させる方式である。前記方式では、小インク液滴(50pl(ピコリットル)以下)の吐出が可能であり、且つヒータ前方のインク液を吐出させるため、インク液滴の体積や速度が温度の影響を受けず安定化し、高品位な画像を得ることができる。また本発明は、記録紙の全幅に渡り同時に記録ができる所謂フルラインタイプの記録ヘッドとして、更には記録ヘッドを一体的に、あるいは複数個組み合わせたカラー記録ヘッドにも好適である。
【0017】
(実施形態2)
以下、本発明のインクジェット記録ヘッドの他の実施形態を図4に基づいて説明する。本実施形態に係るインクジェット記録ヘッドの基本構成は前記実施形態1に示す記録ヘッドのそれと同様である。異なるのは、図4に示すように、溝11の長手方向両外側にこれら溝11と直交する短溝20がそれぞれ形成されている点である。それぞれの短溝20の両端は、オリフィスプレート4の短手方向両側面21において開口され外部に連通している。本実施形態に係るインクジェット記録ヘッドでは、オリフィスプレート4の長手方向および短手方向の両方向に溝が形成されている。従って、オリフィスプレート4の長手方向に沿ってワイピング回復動作を実施した場合は、溝11が主なインク排出路として機能し、短手方向に沿ってワイピング回復動作を実施した場合は、短溝20が主なインク排出路として機能する。この結果、ワイピング回復動作を何れの方向に沿って実施した場合もインクを効率的に外部に排出することが可能である。尚、本実施形態に示すインクジェット記録ヘッドは、前記実施形態1に示す記録ヘッドの製造方法と実質的に同一の方法によって製造することができる。
【0018】
(実施形態3)
以下、本発明のインクジェット記録ヘッドの他の実施形態を図5に基づいて説明する。本実施形態に係るインクジェット記録ヘッドの基本構成は前記実施形態1に示す記録ヘッドのそれと同様である。異なるのは、図5に示すように、二列一組の吐出口列7aがオリフィスプレート4の長手方向に沿って複数組千鳥配列されている点である。尚、図5に示す記録ヘッドの全長は12inch(約30.48cm)である。また、本実施形態に示すインクジェット記録ヘッドも前記実施形態1に示す記録ヘッドの製造方法と実質的に同一の方法によって製造することができる。
【0019】
(実験例)
上記実施形態1〜実施形態3に示した本発明のインクジェット記録ヘッドの効果を確認するために行った実験について以下に説明する。本実験では、実施形態1〜3に示す本発明のインクジェット記録ヘッド(以下、試料1〜3)を用意すると共に、これらの比較対象として図6および図7に示すインクジェット記録ヘッド(以下、試料4及び5)を用意した。ここで、図6に示す試料4の基本構成は、試料1及び試料2のそれと同様であり、図7に示す試料5の基本構成は試料3のそれと同様である。試料4及び5が試料1〜3と異なるのは、オリフィスプレート4に形成された溝11がオリフィスプレート4の側面に連通しておらず、インク吐出口7(吐出口列7a)を取り囲むように環状に形成されている点である。
【0020】
本実験では、試料1〜5を用いて、同一条件下で印字記録およびワイピング回復動作を実施した。具体的には、顔料分散液/グリセリン/ジエチレングリコール/アセチレノールEH(川研ファインケミカル製)/水=50/6/5/0.2/38.8からなるインク液を用い、吐出周波数f=15kHzで印字記録を行った。さらに、オリフィスプレート4の表面6に付着したインク液を拭き取るためにブレード30によるワイピング回復動作を繰り返し行った。ここで、ワイピング回復動作に際しては、オリフィスプレート4の表面6に密着させたブレード30をインク吐出口7の配列方向に移動させてインク液を拭き取った。図8(a)に試料1に対するワイピング回復動作の様子を示し、同図(b)にワイピング後のオリフィスプレート4の表面6の様子を示す。以下同様に、図9(a)に試料2に対するワイピング回復動作の様子を、同図(b)にワイピング後のオリフィスプレート4の表面6の様子を示す。また、図10(a)に試料3に対するワイピング回復動作の様子を、同図(b)にワイピング後のオリフィスプレート4の表面6の様子を示す。さらに、図11(a)に試料4に対するワイピング回復動作の様子を、同図(b)にワイピング後のオリフィスプレート4の表面6の様子を示し、図12(a)に試料5に対するワイピング回復動作の様子を、同図(b)にワイピング後のオリフィスプレート4の表面6の様子を示す。
【0021】
各図(b)に示すように、試料1〜3に関してはワイピング回復動作後のオリフィスプレート4の表面6にインク残りは存在しないか、存在しても微々たるものであった。一方、試料4及び5に関しては明らかにインク残りが見られた。以上の実験結果をまとめた表1を次に示す。この表1では、インク残りは存在するが印字に与える影響がほとんど見られない状態を「可」、インク残りがほとんど存在せず印字に与える影響が全くない状態を「優」、両者の中間を「良」と表示した。また、インク残りがひどく印字への悪影響が出たものを「不可」と表示した。
【0022】
【表1】
【0023】
なお、上記実験に使用した顔料分散液は次の製法によって作った。表面積が230m2/gでDBP吸油量が70ml/100gのカーボンブラック10gとp−アミノ安息香酸3.41gとを水72gによく混合した後、これに硝酸1.62gを滴下して70℃で攪拌した。数分後5gの水に1.07gの亜硝酸ナトリウムを溶かした溶液を加え、更に1時間攪拌した。得られたスラリーを東洋濾紙No.2(アドバンティス社製)でろ過し、顔料粒子を十分に水洗し、90℃のオーブンで乾燥させた後、この顔料に水を足して顔料濃度10重量%の顔料水溶液を作成した。以上の方法により、表面にフェニル基を介して親水基が結合したアニオン性に帯電した自己分散型カーボンブラックが分散した顔料分散液を得た。
【0024】
【発明の効果】
本発明のインクジェット記録ヘッドでは、オリフィスプレートとなる被覆樹脂層を平坦に形成するために必要である土台を除去するための穴の跡と、その穴から土台を除去した跡とによって被覆樹脂層に形成される溝を該樹脂層の側面に連通させてある。これによって、ワイピング回復動作の際にオリフィスプレートの表面におけるインク残りが可及的に低減され、高品位な記録を長期間に亙って維持することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のインクジェット記録ヘッドの実施形態の一例を示す一部省略の斜視図。
【図2】図1に示すインクジェット記録ヘッドの平面図。
【図3】(a)〜(d)は、図1に示すインクジェット記録ヘッドの製造工程を示す断面図。
【図4】本発明のインクジェット記録ヘッドの実施形態の他例を示す平面図。
【図5】本発明のインクジェット記録ヘッドの実施形態のさらに他例を示す平面図。
【図6】従来のインクジェット記録ヘッドの一例を示す平面図。
【図7】従来のインクジェット記録ヘッドの他例を示す平面図。
【図8】(a)は図1の記録ヘッドに対するワイピングの基本動作を示す説明図、(b)はワイピング後のオリフィスプレート表面を示す説明図。
【図9】(a)は図4の記録ヘッドに対するワイピングの基本動作を示す説明図、(b)はワイピング後のオリフィスプレート表面を示す説明図。
【図10】(a)は図5の記録ヘッドに対するワイピングの基本動作を示す説明図、(b)はワイピング後のオリフィスプレート表面を示す説明図。
【図11】(a)は図6の記録ヘッドに対するワイピングの基本動作を示す説明図、(b)はワイピング後のオリフィスプレート表面を示す説明図。
【図12】(a)は図7の記録ヘッドに対するワイピングの基本動作を示す説明図、(b)はワイピング後のオリフィスプレート表面を示す説明図。
【符号の説明】
1 インク吐出エネルギー発生素子
2 基板
3 基板上面
4 樹脂被覆層(オリフィスプレート)
5 インク流露
6 オリフィスプレート表面
7 インク吐出口
8 基板下面
9 インク供給口
10 インク供給口の内面
11 溝
12 オリフィスプレートの長手方向側面
13 パターン
14 パターン(土台)
15 細長貫通穴
20 短溝
21 オリフィスプレートの短手方向側面
30 ブレード
Claims (1)
- 液体吐出エネルギー発生素子が配置された基板の一面に被覆樹脂層が形成され、その被覆樹脂層内に液体流路が形成され、被覆樹脂層表面に前記液体流路に連通する液体吐出口が開口され、前記基板の他面に前記液体流路に連通する液体供給口が開口されたインクジェット記録ヘッドにおいて、前記被覆樹脂層に少なくとも一つ以上の溝が形成され、その溝の長手方向一端または両端は被覆樹脂層の側面に連通していることを特徴とするインクジェット記録ヘッド。
Priority Applications (1)
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JP2003076016A JP2004284063A (ja) | 2003-03-19 | 2003-03-19 | インクジェット記録ヘッド |
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Country | Link |
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2009034830A (ja) * | 2007-07-31 | 2009-02-19 | Seiko Epson Corp | 液体噴射ヘッドユニット及び液体噴射装置 |
JP2009143139A (ja) * | 2007-12-14 | 2009-07-02 | Canon Inc | 液体吐出ヘッド |
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JP7434865B2 (ja) | 2019-12-09 | 2024-02-21 | 株式会社リコー | 液体吐出ヘッド、ノズル板、液体吐出ユニット、液体を吐出する装置 |
-
2003
- 2003-03-19 JP JP2003076016A patent/JP2004284063A/ja active Pending
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