JP2004284051A - マイクロレンズ金属駒形成方法、マイクロレンズスタンパ形成方法、プラスチックレンズ・シート形成方法、並びにプロジェクター - Google Patents
マイクロレンズ金属駒形成方法、マイクロレンズスタンパ形成方法、プラスチックレンズ・シート形成方法、並びにプロジェクター Download PDFInfo
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Abstract
【課題】導電層をもつ基板上に絶縁層をパターン化し、これより電析により金属を析出させマイクロレンズ形状の金型である金属駒を形成するマイクロレンズ金属駒形成方法において、レンズの曲率分布を変化させることが可能で、均一性、表面精度に優れた金属駒を形成するマイクロレンズ金属駒形成方法を提供する。
【解決手段】導電層をもつ基板11上に絶縁層12をパターン化し、これより電析により金属を析出させマイクロレンズ形状の金型を形成するに当たって、形成させた金属駒13を電解して金属元型(金型)1を形成する。
【選択図】 図1
【解決手段】導電層をもつ基板11上に絶縁層12をパターン化し、これより電析により金属を析出させマイクロレンズ形状の金型を形成するに当たって、形成させた金属駒13を電解して金属元型(金型)1を形成する。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、アレイ化されたマイクロレンズを形成する金型であるスタンパを形成するための金属駒を形成するマイクロレンズ金属駒形成方法、該方法で形成した金属駒を使用してマイクロレンズスタンパを形成するマイクロレンズスタンパ形成方法、該方法で形成したマイクロレンズスタンパを使用してプラスチックレンズ、レンズシートを形成するプラスチックレンズ・シート形成方法方法、並びに、該方法で形成したプラスチックレンズ、レンズシートを用いたプロジェクターに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
マイクロレンズは一般にアレイ化されてレンズシートとして形成され、光通信用カップリングレンズアレイ、デジタルカメラ、プロジェクターなどにおいて三次元ディスプレーを行うために使用される。
【0003】
従来、この種のマイクロレンズを形成する金型であるスタンパ、或いは、このスタンパ形成のための元金型である金属駒を形成する方法として、
a、シリコン基板上に円形レジストパターンを開口し、この開口を通じて基板を電解させることにより、シリコン基板をエッチングして球状の凹部を形成する方法(例えば特許文献1参照。)、
b、導電層をもつ基板上に絶縁層をパターン化し、これより電析により金属を析出させスタンパ形成のためのマイクロレンズ形状の元金型である金属駒を形成する方法
などがあった。
【0004】
【特許文献1】
特開2000−263556号明細書
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
上述した前者aの方法では、マイクロレンズ用金属駒を形成させるためには小さな開口部を通してエッチングを行なう必要があり、電解液の入れ替え、電解物の排出が難しく、結果としてばらつきが大きく、マイクロレンズ金属駒の歩留まりが悪くなる他、エッチングの縦横方向への進行を制御することが難しいため、個々の形状精度が出ない。このため、マイクロレンズ駒への異物の発生が起こったり、マイクロレンズ形状寸法が悪化するという問題があった。
【0006】
後者bの方法では、文献はないが、単に導電層をもつ基板上に絶縁層をパターン化し、これより電析により金属を析出させマイクロレンズ形状の金型を形成させるが、この場合、基本的には電析開口部より等方的に電析膜は成長するため、レンズの曲率半径は電析膜の成長度と開口パターンによって一義的に決められ、半球状のレンズ形状が形成される。しかし、レンズの曲率分布を変化させることができず、レンズ内の曲率分布を設計することができなく、レンズに求められる機能も限定的なものにしか答えることができないという問題があった。
【0007】
よって、本発明は、上述した点に鑑み、導電層をもつ基板上に絶縁層をパターン化し、これより電析により金属を析出させマイクロレンズ形状の金型である金属駒を形成するマイクロレンズ金属駒形成方法において、レンズの曲率分布を変化させることが可能で、均一性、表面精度に優れた金属駒を形成するマイクロレンズ金属駒形成方法を提供することを課題としている。
【0008】
本発明はまた、ばらつきが少なくかつ曲率分布を制御したレンズ形状を得ることができる金属駒を形成するマイクロレンズ金属駒形成方法を提供することを課題としている。
【0009】
本発明はまた、マイクロレンズ金属駒形成方法で形成した金属駒を使用してマイクロレンズスタンパを形成するマイクロレンズスタンパ形成方法を提供することを課題としている。
【0010】
本発明はまた、マイクロレンズスタンパ形成方法で形成したマイクロレンズスタンパを使用してプラスチックレンズ又はレンズシートを形成するプラスチックレンズ・シート形成方法を提供することを課題としている。
【0011】
本発明はまた、プラスチックレンズ・形成方法で形成したプラスチックレンズ、レンズシートを用いたプロジェクターを提供することを課題としている。
【0012】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するためなされた本願請求項1記載の発明は、導電層をもつ基板上に絶縁層をパターン化し、これより電析により金属を析出させマイクロレンズ形状の金型である金属駒を形成するマイクロレンズ金属駒形成方法において、形成させた金属駒を電解して金属元型を形成することを特徴とするマイクロレンズ金属駒形成方法に存する。
【0013】
請求項2記載の発明は、導電層をもつ基板上に絶縁層をパターン化し、これより電析により金属を析出させマイクロレンズ形状の金型である金属駒を形成するマイクロレンズ金属駒形成方法において、電析時に与える電流をパルス化するとともに極性の反転した電流パルスを混在させ、電析と電解を交互に行なうことを特徴とするマイクロレンズ金属駒形成方法に存する。
【0014】
請求項3記載の発明は、請求項2記載のマイクロレンズ金属駒形成方法において、反転させた通電電流値の割合の設定を変化させることで電析金属の曲率分布を制御することを特徴とするマイクロレンズ金属駒形成方法に存する。
【0015】
請求項4記載の発明は、請求項1〜3の何れかに記載のマイクロレンズ金属駒形成方法において、析出金属を銅又は銅合金とすることを特徴とするマイクロレンズ金属駒形成方法に存する。
【0016】
請求項5記載の発明は、請求項1〜4の何れかに記載のマイクロレンズ金属駒形成方法において、電析をパルス電析にて行ない、パルスの周波数を電析初期から徐々に増加させていくことを特徴とするマイクロレンズ金属駒形成方法に存する。
【0017】
請求項6記載の発明は、請求項1〜3の何れかに記載のマイクロレンズ金属駒形成方法において、前記電析金属が2以上の金属層よりなることを特徴とするマイクロレンズ金属駒形成方法に存する。
【0018】
請求項7記載の発明は、請求項6記載のマイクロレンズ金属駒形成方法において、一層目の金属層が抵抗体皮膜より形成されていることを特徴とするマイクロレンズ金属駒形成方法に存する。
【0019】
請求項8記載の発明は、請求項7記載のマイクロレンズ金属駒形成方法において、一層目の第一の金属層がNi―P、Ni−Cr、Ni−W、ステンレス、鉄などの電解メッキ皮膜により形成されていることを特徴とするマイクロレンズ金属駒形成方法に存する。
【0020】
請求項9記載の発明は、請求項7記載のマイクロレンズ金属駒形成方法において、一層目の第一の金属層が抵抗体皮膜より形成され、二層目の第二の金属層が無光沢電析膜であることを特徴とするマイクロレンズ金属駒形成方法に存する。
【0021】
請求項10記載の発明は、請求項9記載のマイクロレンズ金属駒形成方法において、第一の金属層の膜厚が、第一の金属層と第二の金属層の膜抵抗値及び最終電析厚により最適化させることを特徴とするマイクロレンズ金属駒形成方法に存する。
【0022】
請求項11記載の発明は、請求項6記載のマイクロレンズ金属駒形成方法において、第一の金属層が抵抗体皮膜より形成され、第二の金属層が無光沢電析膜で形成され、最表面が光沢電析層であることを特徴とするマイクロレンズ金属駒形成方法に存する。
【0023】
請求項12記載の発明は、請求項1〜11の何れかに記載のマイクロレンズ金属駒形成方法において、電析開口パターンが円形、楕円形、ライン状あるいはこれらの組合せであることを特徴とするマイクロレンズ金属駒形成方法に存する。
【0024】
請求項13記載の発明は、請求項1〜12の何れかに記載のマイクロレンズ金属駒形成方法にて形成させたマイクロレンズ金属駒に導電層を付与し、これより電析を行いスタンパを形成することを特徴とするマイクロレンズスタンパ形成方法に存する。
【0025】
請求項14記載の発明は、請求項13記載のマイクロレンズスタンパ形成方法において、形成されたスタンパのレンズ形成面から電解することにより、スタンパの曲率半径分布を制御させたことを特徴とするマイクロレンズスタンパ形成方法に存する。
【0026】
請求項15記載の発明は、請求項13又は14記載のマイクロレンズスタンパ形成方法にて形成されたスタンパを用い、射出成形、熱プレスなどによりプラスチックレンズ又はレンズシートを形成することを特徴とするプラスチックレンズ・シート形成方法に存する。
【0027】
請求項16記載の発明は、請求項15又は16記載の方法にて形成したプラスチックレンズ又はレンズシートを用いて構成したことを特徴とするプロジェクターに存する。
【0028】
【発明の実施の形態】
以下、図面に基づいて本発明を説明する。
図1は本発明によるマイクロレンズ金属駒形成方法の一実施の形態を示す断面図である。同図中(a)には、導電層をもつ基板11上に絶縁層12をパターン化し、絶縁層12によって覆われていないパターン化された導電層の露出部に電析により金属を析出させて形成したマイクロレンズ形状の金属駒13からなる金属元型としての金型1が示されている。
【0029】
同図には、結果物のみを示しているが、金属の析出は、例えば、基板11を一方の電極とし、これと対向するように設けた図示しない他方の電極との間に析出を行うための電析液を満たし、基板側に負の電圧を印加することによって、絶縁層12によって覆われていない露出部に金属の析出が行われ、その後は析出した金属自体に負の電圧が印加されて析出が進行し、最終的に、マイクロレンズ形状の金属駒13が形成される。
【0030】
同図中(b)は、(a)について説明したようにして得られた金属駒13を電解して狙いの金属元型を形成する様子を示す断面図であり、矢印は電解によって金属駒13から金属が電解して行く様子を表している。(a)同様に(b)においても、具体的な電解の仕方を図示していないが、例えば、析出のときに基板側に印加していた電圧の極性を負から正に切り換えることによって、電解が行われる。
【0031】
図1(b)に示しような電解を行うと、金属駒13の頂部が周辺部に比べて高くなっているため、電流密度が周辺部よりも大きくなり、電解の進行速度が頂部で早く、周辺部で遅くなるので、曲率半径の大きな駒を作ることができる。
【0032】
図1(a)及び(b)についてそれぞれ説明した析出と電解を行う具体的な方法の一例を図2を参照して説明する。陰極には、同図に示すように、例えば、持続時間200mmsecの−3Vの負電圧のパルスが300mmsecの間隔で印加している最中に、例えば、持続時間80mmsecの+3Vの正電圧のパルスが1500mmsecの間隔で印加される。このように、極性の反転したパルスを混在させて電流を流し、電析と電解を交互に行なうことによって、レンズの曲率分布を変化させることができる。
【0033】
上述したように、電析によって形成された金属駒を電解しているので、積算電解電流値によってレンズ形成のための金属駒の曲率分布の設計を行なうことができ、レンズのバリエーションを大幅に広げることができると同時に金属駒表面の面粗さを低減することができる。また、極性の反転したパルス電流を流しているので、単一プロセスで曲率分布の異なるレンズ金属駒を形成することができる。
【0034】
なお、電析電流値に対する電解電流値の割合(電解電流値/電析電流値)と析出した金属の真上から見た金属駒13の半径に対する析出金属の高さの比(高さ/半径)との関係をプロットすると、図3に示すようなグラフが得られた。このグラフからは、横軸の(電解電流値/電析電流値)を制御することによって、レンズの形状設計が行えることが分かる。このように、通電電流値の割合を制御することによって、所望の曲率分布を持つ金属駒を、電析電流の設定により得ることができる。析出する金属として、銅又は銅合金の電析を用いていると、電析応力が少なく、電解後の表面精度を高品位に保つことができる。
【0035】
上述したように、基板11上に金属駒13を形成するため基板上に設けた絶縁層12のパターンは、形成する金属駒の形状に応じて選択され、電析の元パターンが点開口の場合には、図4(a)に示すようなレンズアレイ形成のための金属駒が得られ、ラインパターンの場合には、同図(b)に示すようなレンチキュラータイプのレンズ形成のための金属駒が形成される。
【0036】
なお、図2に示す印加パルスでは、通電初期のオン、オフのサイクルを300mmsecとしているが、終点時のサイクルが例えば100mmsecとなるように、図5に示すように徐々に短くすることができる。このように、最終電析をパルス電析にて行ない、電析のためのパルスの周波数を電析初期から徐々に増加させていくと、表面の凹凸が少なく、低応力の電析駒を形成することができる。
【0037】
上述のようにして得られたマイクロレンズ金属駒を用いてマイクロレンズを形成するためのマイクロレンズスタンパを形成するには、図6(a)に示すように、上述のようにして形成させたマイクロレンズ金属駒13のレンズ形成面に導電層14を付与し、これにより電析を行い剥離すればよく、図6(b)には、剥離後して得られたスタンパ15が示されている。具体的には、導電層14としては、スパッタリングによって1000オングストロームのニッケル層が付与され、これにより300マイクロメータ(μm)の厚さにニッケル層を電析させてスタンパ15が形成される。従って、量産性に優れたマイクロレンズへの対応を図ることができる。
【0038】
図6(b)に示すようなスタンパは、図7(a)及び(b)に示すように、電解によって凹部を形成している凸部を選択的にエッチングしていくことで、個々のレンズの中央部と周辺部で曲率半径の違いを持たせたマイクロレンズスタンパを形成することができる。このように、スタンパのレンズ形成面から電解することにより、スタンパの曲率半径分布を制御し、レンズ中央部の曲率は変えず周辺部の曲率半径を大きくすることができるため、レンズバリエーションを広げることができる。
【0039】
上述のようにして形成されたスタンパは、これを用いて射出成形、熱プレス等によりプラスチックレンズ、シートを形成することができるので、量産性に優れ、安価に高精度なマイクロレンズ、シートを得ることができる。図8は、(a)が球状マイクロレンズを配列し、(b)がレンチキュラーレンズを配列して得られたレンズシートをそれぞれ示す。
【0040】
得られたプラスチックレンズ及びそのレンズシートを用いたプロジェクターは、スタンパを用いて射出成形、熱プレス等によりプラスチックレンズをステップアンドリピートで形成でき、大面積に対応したものとすることができる。
【0041】
上述した説明では、金属駒13は析出した単一の金属層によって形成されているが、図9に示すように、一層目の第一の金属層13aと二層目の第二の金属層13bの2つの金属層によって形成することができる。このように析出させた金属駒を2以上の金属層で形成することによって、各々の金属層ごとに機能を持たせることができる他、第一の金属層には形状の点対称性を高める機能をもたせ、最外層には表面粗さを追求させる機能を持たせることができる。
【0042】
また、第一の金属層13aとして抵抗体皮膜を形成することによって、周辺部高電流密度部で抵抗体膜厚が増すことになり、周辺部で抵抗値が大きく中央部で低い第一の金属層が形成される。このため周辺部での成長スピードが抑制されて、中央部での成長速度が相対的に早くなり、その結果、図10(a)に示すように、全体の分布として、均一な電析膜の成長が行われる。なお、第一の金属層13aがない場合には、図10(b)に示すように、周辺部に電流密度の集中が生じ、電析膜の成長に差が生じ、周辺部の方が中央部よりも成長が進んでいることが分かる。なお、第一の金属層13aの抵抗体皮膜を、Ni―P、Ni−Cr、Ni−W、ステンレス、鉄等の電解メッキ皮膜により形成しているので、容易に抵抗体を形成させることが可能となる。
【0043】
なお、第一の金属層13aを抵抗体皮膜より形成し、第二の金属層13bを無光沢電析膜とすることにより、第二の金属層13bの成長が等方的に進行するため、対称性に優れたレンズ形状を形成できる。第一の金属層13aの膜厚が第一の金属層と第二の金属層13bの膜抵抗値及び狙いの最終電析厚により最適化される。このことにより、面内均一性に優れたレンズ金属駒を形成することができる。
【0044】
また、図11に示すように、第一の金属層13a上の第二の金属層13bとして無光沢電析膜を、最表面に光沢電析膜13cをそれぞれ形成させることによって、面内均一性に優れ、個々のレンズ形状の対称性が良好で、鏡面精度の表面粗さを持つレンズアレイ形状を得ることができる。
【0045】
なお、スタンパを用い、射出成形、熱プレス等によりステップアンドリピートで形成すれば、大面積に対応したレンズシートを形成させることができ、これを用いたプロジェクターの大面積化に対応したものとなる。
【0046】
【発明の効果】
以上説明したように、請求項1記載の発明によれば、電析によって形成された金属駒を電解しているので、積算した電解電流値によってレンズ駒形の曲率分布の設計を行なうことができ、レンズのバリエーションを大幅に広げることができると同時に、金属駒表面の面粗さを低減することができるマイクロレンズ金属駒形成方法を提供できる。
【0047】
請求項2記載の発明によれば、極性の反転したパルス電流を印加しているので、単一プロセスで曲率分布の異なるレンズ金属駒を形成することができるマイクロレンズ金属駒形成方法を提供できる。
【0048】
請求項3記載の発明によれば、反転させた通電電流値の割合を制御しているので、所望の曲率分布を持つ金属駒を電析電流の設定により得ることができるマイクロレンズ金属駒形成方法を提供できる。
【0049】
請求項4記載の発明によれば、銅又は銅合金の電析を用いているので電析応力が少なく、電解後の表面精度を高品位に保つことができるマイクロレンズ金属駒形成方法を提供できる。
【0050】
請求項5記載の発明によれば、最終電析をパルス電析にて行ない、パルス電析の周波数を電析初期から徐々に増加させているので、表面の凹凸が少なく、低応力の電析駒を形成することができるマイクロレンズ金属駒形成方法を提供できる。
【0051】
請求項6記載の発明によれば、析出金属が2層以上になっているので、各々の層毎に機能を持たせることができ、第一の金属層には形状の点対称性をもたせ、最外層には表面粗さを追求することができるマイクロレンズ金属駒形成方法を提供できる。
【0052】
請求項7記載の発明によれば、第一の金属層に抵抗体を形成させているので、周辺部の高電流密度部で抵抗体膜厚が増すことになり、周辺部で抵抗値が大きく中央部で小さい第一の金属層が形成されるため、周辺部での成長スピードが抑制され、中央部での成長速度が相対的に早くなり、その結果、全体の分布として、均一な電析膜を成長できるマイクロレンズ金属駒形成方法を提供できる。
【0053】
請求項8記載の発明によれば、第一の金属層を汎用性のあるNi―P、Ni−Cr、Ni−W、ステンレス、鉄等の電解メッキ皮膜により形成しているので、容易に抵抗体を形成することが可能となるマイクロレンズ金属駒形成方法を提供できる。
【0054】
請求項9記載の発明によれば、第一の金属層が抵抗体皮膜より形成され、第二の金属層が無光沢電析膜で形成されているため、第二の金属層の成長が等方的に進行して対称性に優れたレンズ形状の金属駒を形成することができるマイクロレンズ金属駒形成方法を提供できる。
【0055】
請求項10記載の発明によれば、第一の金属層の膜厚が第一の金属層と第二の金属層の膜抵抗値及び最終電析厚より最適化されているため、面内均一性に優れたレンズ金属駒を形成できるマイクロレンズ金属駒形成方法を提供できる。
【0056】
請求項11記載の発明によれば、第一の金属層が抵抗体皮膜より形成され、第二の金属層が無光沢電析膜で形成され、最表面が光沢電析層で形成されているため、面内均一性に優れ、個々のレンズ形状の対称性が良好で、鏡面精度の表面粗さを持つレンズアレイ形状を得ることができるマイクロレンズ金属駒形成方法を提供できる。
【0057】
請求項12記載の発明によれば、電析皮膜を形成させる通電開口部が円形、楕円形、あるいはライン状またはこれらの組合せより形成させているので、用途に適したレンズ形状を作り込むことができるマイクロレンズ金属駒形成方法を提供できる。
【0058】
請求項13記載の発明によれば、形成させたマイクロレンズ金属駒形に導電層を付与し、これより電析を行いスタンパを形成しているので、量産性に優れた方法としての展開が可能となるマイクロレンズスタンパ形成方法を提供できる。
【0059】
請求項14記載の発明によれば、形成させたスタンパを電解しているので、レンズ中央部の曲率は変えず周辺部の曲率半径を大きくすることができるため、レンズバリエーションを広げることができるマイクロレンズスタンパ形成方法を提供できる。
【0060】
請求項15記載の発明によれば、形成させたスタンパを用い、射出成形、熱プレス等によりプラスチックレンズ又はレンズシートを形成しているので安価に高精度なマイクロレンズ又はレンズシートを得ることができるプラスチックレンズ・シート形成方法を提供できる。
【0061】
請求項16記載の発明によれば、スタンパを用い、射出成形、熱プレス等により形成したプラスチックレンズ、レンズシートを使用しているので、これをステップアンドリピートで形成すれば、大面積に対応したプロジェクターが得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明によるマイクロレンズ金属駒形成方法の一実施の形態を説明するための金属駒を示す断面図である。
【図2】析出と電解を行うために使用するパルスの具体的な例を説明するためのパルス波形図である。
【図3】(電解電流値/電析電流値)と(高さ/半径)との関係をプロットしたグラフである。
【図4】レンズアレイ用の金属駒とレンチキュラータイプレンズ用の金属駒をそれぞれ示す斜視図である。
【図5】析出を行うために使用するパルスの変形例を説明するためのパルス波形図である。
【図6】本発明によるマイクロレンズスタンパ形成方法の一実施の形態を説明するための金属駒及びスタンパを示す断面図である。
【図7】本発明によるマイクロレンズスタンパ形成方法の変形例を説明するためのスタンパを示す断面図である。
【図8】本発明によるプラスチックレンズ・シート形成方法によって形成されたプラスチックレンズ、レンズシートの一例をそれぞれ示す斜視図である。
【図9】本発明によるマイクロレンズ金属駒形成方法の他の実施の形態を説明するための金属駒を示す断面図である。
【図10】図9の実施の形態によって改良される点を説明するための金属駒を示す断面図である。
【図11】本発明によるマイクロレンズ金属駒形成方法のさらに他の実施の形態を説明するための金属駒を示す断面図である。
【符号の説明】
1 金属元型(金型)
11 基板
12 絶縁層
13 金属駒
【発明の属する技術分野】
本発明は、アレイ化されたマイクロレンズを形成する金型であるスタンパを形成するための金属駒を形成するマイクロレンズ金属駒形成方法、該方法で形成した金属駒を使用してマイクロレンズスタンパを形成するマイクロレンズスタンパ形成方法、該方法で形成したマイクロレンズスタンパを使用してプラスチックレンズ、レンズシートを形成するプラスチックレンズ・シート形成方法方法、並びに、該方法で形成したプラスチックレンズ、レンズシートを用いたプロジェクターに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
マイクロレンズは一般にアレイ化されてレンズシートとして形成され、光通信用カップリングレンズアレイ、デジタルカメラ、プロジェクターなどにおいて三次元ディスプレーを行うために使用される。
【0003】
従来、この種のマイクロレンズを形成する金型であるスタンパ、或いは、このスタンパ形成のための元金型である金属駒を形成する方法として、
a、シリコン基板上に円形レジストパターンを開口し、この開口を通じて基板を電解させることにより、シリコン基板をエッチングして球状の凹部を形成する方法(例えば特許文献1参照。)、
b、導電層をもつ基板上に絶縁層をパターン化し、これより電析により金属を析出させスタンパ形成のためのマイクロレンズ形状の元金型である金属駒を形成する方法
などがあった。
【0004】
【特許文献1】
特開2000−263556号明細書
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
上述した前者aの方法では、マイクロレンズ用金属駒を形成させるためには小さな開口部を通してエッチングを行なう必要があり、電解液の入れ替え、電解物の排出が難しく、結果としてばらつきが大きく、マイクロレンズ金属駒の歩留まりが悪くなる他、エッチングの縦横方向への進行を制御することが難しいため、個々の形状精度が出ない。このため、マイクロレンズ駒への異物の発生が起こったり、マイクロレンズ形状寸法が悪化するという問題があった。
【0006】
後者bの方法では、文献はないが、単に導電層をもつ基板上に絶縁層をパターン化し、これより電析により金属を析出させマイクロレンズ形状の金型を形成させるが、この場合、基本的には電析開口部より等方的に電析膜は成長するため、レンズの曲率半径は電析膜の成長度と開口パターンによって一義的に決められ、半球状のレンズ形状が形成される。しかし、レンズの曲率分布を変化させることができず、レンズ内の曲率分布を設計することができなく、レンズに求められる機能も限定的なものにしか答えることができないという問題があった。
【0007】
よって、本発明は、上述した点に鑑み、導電層をもつ基板上に絶縁層をパターン化し、これより電析により金属を析出させマイクロレンズ形状の金型である金属駒を形成するマイクロレンズ金属駒形成方法において、レンズの曲率分布を変化させることが可能で、均一性、表面精度に優れた金属駒を形成するマイクロレンズ金属駒形成方法を提供することを課題としている。
【0008】
本発明はまた、ばらつきが少なくかつ曲率分布を制御したレンズ形状を得ることができる金属駒を形成するマイクロレンズ金属駒形成方法を提供することを課題としている。
【0009】
本発明はまた、マイクロレンズ金属駒形成方法で形成した金属駒を使用してマイクロレンズスタンパを形成するマイクロレンズスタンパ形成方法を提供することを課題としている。
【0010】
本発明はまた、マイクロレンズスタンパ形成方法で形成したマイクロレンズスタンパを使用してプラスチックレンズ又はレンズシートを形成するプラスチックレンズ・シート形成方法を提供することを課題としている。
【0011】
本発明はまた、プラスチックレンズ・形成方法で形成したプラスチックレンズ、レンズシートを用いたプロジェクターを提供することを課題としている。
【0012】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するためなされた本願請求項1記載の発明は、導電層をもつ基板上に絶縁層をパターン化し、これより電析により金属を析出させマイクロレンズ形状の金型である金属駒を形成するマイクロレンズ金属駒形成方法において、形成させた金属駒を電解して金属元型を形成することを特徴とするマイクロレンズ金属駒形成方法に存する。
【0013】
請求項2記載の発明は、導電層をもつ基板上に絶縁層をパターン化し、これより電析により金属を析出させマイクロレンズ形状の金型である金属駒を形成するマイクロレンズ金属駒形成方法において、電析時に与える電流をパルス化するとともに極性の反転した電流パルスを混在させ、電析と電解を交互に行なうことを特徴とするマイクロレンズ金属駒形成方法に存する。
【0014】
請求項3記載の発明は、請求項2記載のマイクロレンズ金属駒形成方法において、反転させた通電電流値の割合の設定を変化させることで電析金属の曲率分布を制御することを特徴とするマイクロレンズ金属駒形成方法に存する。
【0015】
請求項4記載の発明は、請求項1〜3の何れかに記載のマイクロレンズ金属駒形成方法において、析出金属を銅又は銅合金とすることを特徴とするマイクロレンズ金属駒形成方法に存する。
【0016】
請求項5記載の発明は、請求項1〜4の何れかに記載のマイクロレンズ金属駒形成方法において、電析をパルス電析にて行ない、パルスの周波数を電析初期から徐々に増加させていくことを特徴とするマイクロレンズ金属駒形成方法に存する。
【0017】
請求項6記載の発明は、請求項1〜3の何れかに記載のマイクロレンズ金属駒形成方法において、前記電析金属が2以上の金属層よりなることを特徴とするマイクロレンズ金属駒形成方法に存する。
【0018】
請求項7記載の発明は、請求項6記載のマイクロレンズ金属駒形成方法において、一層目の金属層が抵抗体皮膜より形成されていることを特徴とするマイクロレンズ金属駒形成方法に存する。
【0019】
請求項8記載の発明は、請求項7記載のマイクロレンズ金属駒形成方法において、一層目の第一の金属層がNi―P、Ni−Cr、Ni−W、ステンレス、鉄などの電解メッキ皮膜により形成されていることを特徴とするマイクロレンズ金属駒形成方法に存する。
【0020】
請求項9記載の発明は、請求項7記載のマイクロレンズ金属駒形成方法において、一層目の第一の金属層が抵抗体皮膜より形成され、二層目の第二の金属層が無光沢電析膜であることを特徴とするマイクロレンズ金属駒形成方法に存する。
【0021】
請求項10記載の発明は、請求項9記載のマイクロレンズ金属駒形成方法において、第一の金属層の膜厚が、第一の金属層と第二の金属層の膜抵抗値及び最終電析厚により最適化させることを特徴とするマイクロレンズ金属駒形成方法に存する。
【0022】
請求項11記載の発明は、請求項6記載のマイクロレンズ金属駒形成方法において、第一の金属層が抵抗体皮膜より形成され、第二の金属層が無光沢電析膜で形成され、最表面が光沢電析層であることを特徴とするマイクロレンズ金属駒形成方法に存する。
【0023】
請求項12記載の発明は、請求項1〜11の何れかに記載のマイクロレンズ金属駒形成方法において、電析開口パターンが円形、楕円形、ライン状あるいはこれらの組合せであることを特徴とするマイクロレンズ金属駒形成方法に存する。
【0024】
請求項13記載の発明は、請求項1〜12の何れかに記載のマイクロレンズ金属駒形成方法にて形成させたマイクロレンズ金属駒に導電層を付与し、これより電析を行いスタンパを形成することを特徴とするマイクロレンズスタンパ形成方法に存する。
【0025】
請求項14記載の発明は、請求項13記載のマイクロレンズスタンパ形成方法において、形成されたスタンパのレンズ形成面から電解することにより、スタンパの曲率半径分布を制御させたことを特徴とするマイクロレンズスタンパ形成方法に存する。
【0026】
請求項15記載の発明は、請求項13又は14記載のマイクロレンズスタンパ形成方法にて形成されたスタンパを用い、射出成形、熱プレスなどによりプラスチックレンズ又はレンズシートを形成することを特徴とするプラスチックレンズ・シート形成方法に存する。
【0027】
請求項16記載の発明は、請求項15又は16記載の方法にて形成したプラスチックレンズ又はレンズシートを用いて構成したことを特徴とするプロジェクターに存する。
【0028】
【発明の実施の形態】
以下、図面に基づいて本発明を説明する。
図1は本発明によるマイクロレンズ金属駒形成方法の一実施の形態を示す断面図である。同図中(a)には、導電層をもつ基板11上に絶縁層12をパターン化し、絶縁層12によって覆われていないパターン化された導電層の露出部に電析により金属を析出させて形成したマイクロレンズ形状の金属駒13からなる金属元型としての金型1が示されている。
【0029】
同図には、結果物のみを示しているが、金属の析出は、例えば、基板11を一方の電極とし、これと対向するように設けた図示しない他方の電極との間に析出を行うための電析液を満たし、基板側に負の電圧を印加することによって、絶縁層12によって覆われていない露出部に金属の析出が行われ、その後は析出した金属自体に負の電圧が印加されて析出が進行し、最終的に、マイクロレンズ形状の金属駒13が形成される。
【0030】
同図中(b)は、(a)について説明したようにして得られた金属駒13を電解して狙いの金属元型を形成する様子を示す断面図であり、矢印は電解によって金属駒13から金属が電解して行く様子を表している。(a)同様に(b)においても、具体的な電解の仕方を図示していないが、例えば、析出のときに基板側に印加していた電圧の極性を負から正に切り換えることによって、電解が行われる。
【0031】
図1(b)に示しような電解を行うと、金属駒13の頂部が周辺部に比べて高くなっているため、電流密度が周辺部よりも大きくなり、電解の進行速度が頂部で早く、周辺部で遅くなるので、曲率半径の大きな駒を作ることができる。
【0032】
図1(a)及び(b)についてそれぞれ説明した析出と電解を行う具体的な方法の一例を図2を参照して説明する。陰極には、同図に示すように、例えば、持続時間200mmsecの−3Vの負電圧のパルスが300mmsecの間隔で印加している最中に、例えば、持続時間80mmsecの+3Vの正電圧のパルスが1500mmsecの間隔で印加される。このように、極性の反転したパルスを混在させて電流を流し、電析と電解を交互に行なうことによって、レンズの曲率分布を変化させることができる。
【0033】
上述したように、電析によって形成された金属駒を電解しているので、積算電解電流値によってレンズ形成のための金属駒の曲率分布の設計を行なうことができ、レンズのバリエーションを大幅に広げることができると同時に金属駒表面の面粗さを低減することができる。また、極性の反転したパルス電流を流しているので、単一プロセスで曲率分布の異なるレンズ金属駒を形成することができる。
【0034】
なお、電析電流値に対する電解電流値の割合(電解電流値/電析電流値)と析出した金属の真上から見た金属駒13の半径に対する析出金属の高さの比(高さ/半径)との関係をプロットすると、図3に示すようなグラフが得られた。このグラフからは、横軸の(電解電流値/電析電流値)を制御することによって、レンズの形状設計が行えることが分かる。このように、通電電流値の割合を制御することによって、所望の曲率分布を持つ金属駒を、電析電流の設定により得ることができる。析出する金属として、銅又は銅合金の電析を用いていると、電析応力が少なく、電解後の表面精度を高品位に保つことができる。
【0035】
上述したように、基板11上に金属駒13を形成するため基板上に設けた絶縁層12のパターンは、形成する金属駒の形状に応じて選択され、電析の元パターンが点開口の場合には、図4(a)に示すようなレンズアレイ形成のための金属駒が得られ、ラインパターンの場合には、同図(b)に示すようなレンチキュラータイプのレンズ形成のための金属駒が形成される。
【0036】
なお、図2に示す印加パルスでは、通電初期のオン、オフのサイクルを300mmsecとしているが、終点時のサイクルが例えば100mmsecとなるように、図5に示すように徐々に短くすることができる。このように、最終電析をパルス電析にて行ない、電析のためのパルスの周波数を電析初期から徐々に増加させていくと、表面の凹凸が少なく、低応力の電析駒を形成することができる。
【0037】
上述のようにして得られたマイクロレンズ金属駒を用いてマイクロレンズを形成するためのマイクロレンズスタンパを形成するには、図6(a)に示すように、上述のようにして形成させたマイクロレンズ金属駒13のレンズ形成面に導電層14を付与し、これにより電析を行い剥離すればよく、図6(b)には、剥離後して得られたスタンパ15が示されている。具体的には、導電層14としては、スパッタリングによって1000オングストロームのニッケル層が付与され、これにより300マイクロメータ(μm)の厚さにニッケル層を電析させてスタンパ15が形成される。従って、量産性に優れたマイクロレンズへの対応を図ることができる。
【0038】
図6(b)に示すようなスタンパは、図7(a)及び(b)に示すように、電解によって凹部を形成している凸部を選択的にエッチングしていくことで、個々のレンズの中央部と周辺部で曲率半径の違いを持たせたマイクロレンズスタンパを形成することができる。このように、スタンパのレンズ形成面から電解することにより、スタンパの曲率半径分布を制御し、レンズ中央部の曲率は変えず周辺部の曲率半径を大きくすることができるため、レンズバリエーションを広げることができる。
【0039】
上述のようにして形成されたスタンパは、これを用いて射出成形、熱プレス等によりプラスチックレンズ、シートを形成することができるので、量産性に優れ、安価に高精度なマイクロレンズ、シートを得ることができる。図8は、(a)が球状マイクロレンズを配列し、(b)がレンチキュラーレンズを配列して得られたレンズシートをそれぞれ示す。
【0040】
得られたプラスチックレンズ及びそのレンズシートを用いたプロジェクターは、スタンパを用いて射出成形、熱プレス等によりプラスチックレンズをステップアンドリピートで形成でき、大面積に対応したものとすることができる。
【0041】
上述した説明では、金属駒13は析出した単一の金属層によって形成されているが、図9に示すように、一層目の第一の金属層13aと二層目の第二の金属層13bの2つの金属層によって形成することができる。このように析出させた金属駒を2以上の金属層で形成することによって、各々の金属層ごとに機能を持たせることができる他、第一の金属層には形状の点対称性を高める機能をもたせ、最外層には表面粗さを追求させる機能を持たせることができる。
【0042】
また、第一の金属層13aとして抵抗体皮膜を形成することによって、周辺部高電流密度部で抵抗体膜厚が増すことになり、周辺部で抵抗値が大きく中央部で低い第一の金属層が形成される。このため周辺部での成長スピードが抑制されて、中央部での成長速度が相対的に早くなり、その結果、図10(a)に示すように、全体の分布として、均一な電析膜の成長が行われる。なお、第一の金属層13aがない場合には、図10(b)に示すように、周辺部に電流密度の集中が生じ、電析膜の成長に差が生じ、周辺部の方が中央部よりも成長が進んでいることが分かる。なお、第一の金属層13aの抵抗体皮膜を、Ni―P、Ni−Cr、Ni−W、ステンレス、鉄等の電解メッキ皮膜により形成しているので、容易に抵抗体を形成させることが可能となる。
【0043】
なお、第一の金属層13aを抵抗体皮膜より形成し、第二の金属層13bを無光沢電析膜とすることにより、第二の金属層13bの成長が等方的に進行するため、対称性に優れたレンズ形状を形成できる。第一の金属層13aの膜厚が第一の金属層と第二の金属層13bの膜抵抗値及び狙いの最終電析厚により最適化される。このことにより、面内均一性に優れたレンズ金属駒を形成することができる。
【0044】
また、図11に示すように、第一の金属層13a上の第二の金属層13bとして無光沢電析膜を、最表面に光沢電析膜13cをそれぞれ形成させることによって、面内均一性に優れ、個々のレンズ形状の対称性が良好で、鏡面精度の表面粗さを持つレンズアレイ形状を得ることができる。
【0045】
なお、スタンパを用い、射出成形、熱プレス等によりステップアンドリピートで形成すれば、大面積に対応したレンズシートを形成させることができ、これを用いたプロジェクターの大面積化に対応したものとなる。
【0046】
【発明の効果】
以上説明したように、請求項1記載の発明によれば、電析によって形成された金属駒を電解しているので、積算した電解電流値によってレンズ駒形の曲率分布の設計を行なうことができ、レンズのバリエーションを大幅に広げることができると同時に、金属駒表面の面粗さを低減することができるマイクロレンズ金属駒形成方法を提供できる。
【0047】
請求項2記載の発明によれば、極性の反転したパルス電流を印加しているので、単一プロセスで曲率分布の異なるレンズ金属駒を形成することができるマイクロレンズ金属駒形成方法を提供できる。
【0048】
請求項3記載の発明によれば、反転させた通電電流値の割合を制御しているので、所望の曲率分布を持つ金属駒を電析電流の設定により得ることができるマイクロレンズ金属駒形成方法を提供できる。
【0049】
請求項4記載の発明によれば、銅又は銅合金の電析を用いているので電析応力が少なく、電解後の表面精度を高品位に保つことができるマイクロレンズ金属駒形成方法を提供できる。
【0050】
請求項5記載の発明によれば、最終電析をパルス電析にて行ない、パルス電析の周波数を電析初期から徐々に増加させているので、表面の凹凸が少なく、低応力の電析駒を形成することができるマイクロレンズ金属駒形成方法を提供できる。
【0051】
請求項6記載の発明によれば、析出金属が2層以上になっているので、各々の層毎に機能を持たせることができ、第一の金属層には形状の点対称性をもたせ、最外層には表面粗さを追求することができるマイクロレンズ金属駒形成方法を提供できる。
【0052】
請求項7記載の発明によれば、第一の金属層に抵抗体を形成させているので、周辺部の高電流密度部で抵抗体膜厚が増すことになり、周辺部で抵抗値が大きく中央部で小さい第一の金属層が形成されるため、周辺部での成長スピードが抑制され、中央部での成長速度が相対的に早くなり、その結果、全体の分布として、均一な電析膜を成長できるマイクロレンズ金属駒形成方法を提供できる。
【0053】
請求項8記載の発明によれば、第一の金属層を汎用性のあるNi―P、Ni−Cr、Ni−W、ステンレス、鉄等の電解メッキ皮膜により形成しているので、容易に抵抗体を形成することが可能となるマイクロレンズ金属駒形成方法を提供できる。
【0054】
請求項9記載の発明によれば、第一の金属層が抵抗体皮膜より形成され、第二の金属層が無光沢電析膜で形成されているため、第二の金属層の成長が等方的に進行して対称性に優れたレンズ形状の金属駒を形成することができるマイクロレンズ金属駒形成方法を提供できる。
【0055】
請求項10記載の発明によれば、第一の金属層の膜厚が第一の金属層と第二の金属層の膜抵抗値及び最終電析厚より最適化されているため、面内均一性に優れたレンズ金属駒を形成できるマイクロレンズ金属駒形成方法を提供できる。
【0056】
請求項11記載の発明によれば、第一の金属層が抵抗体皮膜より形成され、第二の金属層が無光沢電析膜で形成され、最表面が光沢電析層で形成されているため、面内均一性に優れ、個々のレンズ形状の対称性が良好で、鏡面精度の表面粗さを持つレンズアレイ形状を得ることができるマイクロレンズ金属駒形成方法を提供できる。
【0057】
請求項12記載の発明によれば、電析皮膜を形成させる通電開口部が円形、楕円形、あるいはライン状またはこれらの組合せより形成させているので、用途に適したレンズ形状を作り込むことができるマイクロレンズ金属駒形成方法を提供できる。
【0058】
請求項13記載の発明によれば、形成させたマイクロレンズ金属駒形に導電層を付与し、これより電析を行いスタンパを形成しているので、量産性に優れた方法としての展開が可能となるマイクロレンズスタンパ形成方法を提供できる。
【0059】
請求項14記載の発明によれば、形成させたスタンパを電解しているので、レンズ中央部の曲率は変えず周辺部の曲率半径を大きくすることができるため、レンズバリエーションを広げることができるマイクロレンズスタンパ形成方法を提供できる。
【0060】
請求項15記載の発明によれば、形成させたスタンパを用い、射出成形、熱プレス等によりプラスチックレンズ又はレンズシートを形成しているので安価に高精度なマイクロレンズ又はレンズシートを得ることができるプラスチックレンズ・シート形成方法を提供できる。
【0061】
請求項16記載の発明によれば、スタンパを用い、射出成形、熱プレス等により形成したプラスチックレンズ、レンズシートを使用しているので、これをステップアンドリピートで形成すれば、大面積に対応したプロジェクターが得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明によるマイクロレンズ金属駒形成方法の一実施の形態を説明するための金属駒を示す断面図である。
【図2】析出と電解を行うために使用するパルスの具体的な例を説明するためのパルス波形図である。
【図3】(電解電流値/電析電流値)と(高さ/半径)との関係をプロットしたグラフである。
【図4】レンズアレイ用の金属駒とレンチキュラータイプレンズ用の金属駒をそれぞれ示す斜視図である。
【図5】析出を行うために使用するパルスの変形例を説明するためのパルス波形図である。
【図6】本発明によるマイクロレンズスタンパ形成方法の一実施の形態を説明するための金属駒及びスタンパを示す断面図である。
【図7】本発明によるマイクロレンズスタンパ形成方法の変形例を説明するためのスタンパを示す断面図である。
【図8】本発明によるプラスチックレンズ・シート形成方法によって形成されたプラスチックレンズ、レンズシートの一例をそれぞれ示す斜視図である。
【図9】本発明によるマイクロレンズ金属駒形成方法の他の実施の形態を説明するための金属駒を示す断面図である。
【図10】図9の実施の形態によって改良される点を説明するための金属駒を示す断面図である。
【図11】本発明によるマイクロレンズ金属駒形成方法のさらに他の実施の形態を説明するための金属駒を示す断面図である。
【符号の説明】
1 金属元型(金型)
11 基板
12 絶縁層
13 金属駒
Claims (16)
- 導電層をもつ基板上に絶縁層をパターン化し、これより電析により金属を析出させマイクロレンズ形状の金型である金属駒を形成するマイクロレンズ金属駒形成方法において、
形成させた金属駒を電解して金属元型を形成することを特徴とするマイクロレンズ金属駒形成方法。 - 導電層をもつ基板上に絶縁層をパターン化し、これより電析により金属を析出させマイクロレンズ形状の金型である金属駒を形成するマイクロレンズ金属駒形成方法において、
電析時に与える電流をパルス化するとともに極性の反転した電流パルスを混在させ、電析と電解を交互に行なうことを特徴とするマイクロレンズ金属駒形成方法。 - 請求項2記載のマイクロレンズ金属駒形成方法において、反転させた通電電流値の割合の設定を変化させることで電析金属の曲率分布を制御することを特徴とするマイクロレンズ金属駒形成方法。
- 請求項1〜3の何れかに記載のマイクロレンズ金属駒形成方法において、析出金属を銅又は銅合金とすることを特徴とするマイクロレンズ金属駒形成方法。
- 請求項1〜4の何れかに記載のマイクロレンズ金属駒形成方法において、
電析をパルス電析にて行ない、パルスの周波数を電析初期から徐々に増加させていくことを特徴とするマイクロレンズ金属駒形成方法。 - 請求項1〜3の何れかに記載のマイクロレンズ金属駒形成方法において、
前記電析金属が2以上の金属層よりなることを特徴とするマイクロレンズ金属駒形成方法。 - 請求項6記載のマイクロレンズ金属駒形成方法において、
一層目の金属層が抵抗体皮膜より形成されていることを特徴とするマイクロレンズ金属駒形成方法。 - 請求項7記載のマイクロレンズ金属駒形成方法において、
一層目の第一の金属層がNi―P、Ni−Cr、Ni−W、ステンレス、鉄などの電解メッキ皮膜により形成されていることを特徴とするマイクロレンズ金属駒形成方法。 - 請求項7記載のマイクロレンズ金属駒形成方法において、
一層目の第一の金属層が抵抗体皮膜により形成され、二層目の第二の金属層が無光沢電析膜であることを特徴とするマイクロレンズ金属駒形成方法。 - 請求項9記載のマイクロレンズ金属駒形成方法において、
第一の金属層の膜厚が、第一の金属層と第二の金属層の膜抵抗値及び最終電析厚により最適化させることを特徴とするマイクロレンズ金属駒形成方法。 - 請求項6記載のマイクロレンズ金属駒形成方法において、
第一の金属層が抵抗体皮膜より形成され、第二の金属層が無光沢電析膜で形成され、最表面層が光沢電析層であることを特徴とするマイクロレンズ金属駒形成方法。 - 請求項1〜11の何れかに記載のマイクロレンズ金属駒形成方法において、
電析開口パターンが円形、楕円形、ライン状あるいはこれらの組合せであることを特徴とするマイクロレンズ金属駒形成方法。 - 請求項1〜12の何れかに記載のマイクロレンズ金属駒形成方法にて形成させたマイクロレンズ金属駒に導電層を付与し、これより電析を行いスタンパを形成することを特徴とするマイクロレンズスタンパ形成方法。
- 請求項13記載のマイクロレンズスタンパ形成方法において、
形成されたスタンパのレンズ形成面から電解することにより、スタンパの曲率半径分布を制御することを特徴とするマイクロレンズスタンパ形成方法。 - 請求項13又は14記載のマイクロレンズスタンパ形成方法にて形成されたスタンパを用い、射出成形、熱プレスなどによりプラスチックレンズ又はレンズシートを形成することを特徴とするプラスチックレンズ・シート形成方法。
- 請求項15又は16記載の方法にて形成させたプラスチックレンズ又はレンズシートを用いて構成したことを特徴とするプロジェクター。
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JP2003075765A JP2004284051A (ja) | 2003-03-19 | 2003-03-19 | マイクロレンズ金属駒形成方法、マイクロレンズスタンパ形成方法、プラスチックレンズ・シート形成方法、並びにプロジェクター |
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JP2003075765A JP2004284051A (ja) | 2003-03-19 | 2003-03-19 | マイクロレンズ金属駒形成方法、マイクロレンズスタンパ形成方法、プラスチックレンズ・シート形成方法、並びにプロジェクター |
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Cited By (2)
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JP2011506916A (ja) * | 2007-11-14 | 2011-03-03 | スリーエム イノベイティブ プロパティズ カンパニー | マイクロアレイ作製方法 |
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2003
- 2003-03-19 JP JP2003075765A patent/JP2004284051A/ja not_active Withdrawn
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JP2015172593A (ja) * | 2007-11-14 | 2015-10-01 | スリーエム イノベイティブ プロパティズ カンパニー | アレイ作製方法及び型 |
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