JP2004283868A - パンチ金型及びその金型を使用するパンチ加工方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】小さいパンチ金型にも適用可能で、寿命が長く、加工が容易であって、パンチ刃先下方の空間内にエアを供給することにより、該空間内の真空状態を無くし、カス上がりを防止するカス上がり防止手段を提供する。
【解決手段】パンチガイド2の先端に溝3を設け、該溝3を、パンチボディ1先端の刃先4が通過する刃先挿通孔5と、該刃先挿通孔5の反対側の外部とに連通させた。この場合、上記溝3は、ストリッパプレート6の底面6Aに設けられている。このようなパンチ金型Pを使用するパンチ加工方法であって、(1)パンチガイド2先端でワークWを押さえた状態で、該ワークWを打ち抜いた後のパンチボディ1先端の刃先4を、刃先挿通孔5内で上昇させ、(2)該上昇した刃先4と、刃先挿通孔5と、ワークWと、カスW1とにより真空状態の空間Sを形成し、(3)該真空状態の空間S内に、パンチガイド2先端の溝3を介して外部のエアAを供給する。
【選択図】 図1
【解決手段】パンチガイド2の先端に溝3を設け、該溝3を、パンチボディ1先端の刃先4が通過する刃先挿通孔5と、該刃先挿通孔5の反対側の外部とに連通させた。この場合、上記溝3は、ストリッパプレート6の底面6Aに設けられている。このようなパンチ金型Pを使用するパンチ加工方法であって、(1)パンチガイド2先端でワークWを押さえた状態で、該ワークWを打ち抜いた後のパンチボディ1先端の刃先4を、刃先挿通孔5内で上昇させ、(2)該上昇した刃先4と、刃先挿通孔5と、ワークWと、カスW1とにより真空状態の空間Sを形成し、(3)該真空状態の空間S内に、パンチガイド2先端の溝3を介して外部のエアAを供給する。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明はカス上がり防止手段を備えたパンチ金型及びその金型を使用するパンチ加工方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、パンチ加工機では(図8)、よく知られているように、パンチ金型Pとダイ金型Dが使用され、両者の協働によりワークWに対して打抜き加工などのパンチ加工が施される。
【0003】
例えば、図8(A)において、パンチ金型Pを構成するパンチガイド102でワークWを押さえた状態で、パンチボディ101を下降させると、その先端の刃先106でワークWが打ち抜かれる。
【0004】
ワークWが打ち抜かれると、カスW1がダイ金型Dの穴104を介して外部に排出されるようになっている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、よく知られているように、パンチボディ101とパンチガイド102との間には潤滑油が供給されており、そのために、上記カスW1が、パンチボディ101の刃先106に油着することがある。
【0006】
その結果、カスW1は(図8(B))、打ち抜き後に上昇するパンチボディ101に伴って、ダイ金型Dの穴104の上部まで上昇するが、ワークWに引っ掛かってパンチボディ101から離脱すると同時に、該カスW1と、上昇するパンチボディ101の刃先106と、パンチガイド102と、ワークWとにより、空間103が形成され、該空間103内が真空状態となる。
【0007】
そのため、上記カスW1は、下方から押し上げられることにより、カス上がりが起こり、該カスW1は、例えば図示する位置に停止する。
【0008】
このようなカス上がりが発生した状態で何度も打ち抜き加工を行った場合には、図8(C)に示すように、最も新しいカスW3が、その上の空間103内の真空状態のために押し上げられると、その前に発生したカスW2との間にも、空間105が形成されてその中も真空状態となり、該カスW2と最も古いカスW1が共に押し上げられて穴104の中に停止してしまう。
【0009】
このようにカス上がりが起これば、カスW3、W2、W1などが、加工中に飛散することにより、ワークWに傷を付けるなどの弊害があるため、従来よりカス上がり防止手段が開発され、例えば実開平5−76622に開示されたものがある。
【0010】
このカス上がり防止手段は、パンチボディ(同公報の図1に示すポンチ本体1)の先端1Aに溝1Bを形成し、この溝1B内に空気を流入させることにより、本願の図8(B)に示すような空間103内の真空状態を無くし、カス上がりを防止しようとするものである。
【0011】
しかし、この手段は、本願の図8に示すパンチボディ101の刃先106に、上記溝を形成することに相当するものであり、このため、小径などの小さいパンチ金型Pには、加工するのが困難な場合が多く、実現が難しい。
【0012】
また、パンチボディ101(本願の図8)の刃先106が磨耗した場合には、それを研磨しなければならないが、このような溝は研磨により無くなるおそれがあり、その分寿命が短くなる。
【0013】
更に、パンチボディ101の刃先101は、よく知られているように、高硬度を有し、そのために上記のような溝の加工は困難を極める。
【0014】
本発明の目的は、小さいパンチ金型にも適用可能で、寿命が長く、加工が容易であって、パンチ刃先下方の空間内にエアを供給することにより、該空間内の真空状態を無くし、カス上がりを防止するカス上がり防止手段を提供する。
【0015】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するため、本発明は、図1〜図7に示すように、
パンチガイド2の先端に溝3を設け、該溝3を、パンチボディ1先端の刃先4が通過する刃先挿通孔5と、該刃先挿通孔5の反対側の外部とに連通させたことを特徴とするパンチ金型P(図1、図5)、
及び、上記パンチ金型Pを使用するパンチ加工方法であって、
(1)パンチガイド2先端でワークWを押さえた状態で、該ワークWを打ち抜いた後のパンチボディ1先端の刃先4を、刃先挿通孔5内で上昇させ、
(2)該上昇した刃先4と、刃先挿通孔5と、ワークWと、カスW1とにより、真空状態の空間Sを形成し、
(3)該真空状態の空間S内に、パンチガイド2先端の溝3を介して外部のエアAを供給することを特徴とするパンチ加工方法(図4(C)、図7(C))という技術的手段を講じている。
【0016】
上記本発明の構成によれば、パンチガイド2(例えば図1)先端に溝3を設けるので、パンチ金型Pが小さくなって刃先4が細くなっても、該溝3の加工は簡単になって、実現することができるので、小さいパンチ金型Pにも適用可能であり、また、パンチボディ1の刃先4が磨耗して研磨した場合でも、溝3はパンチガイド2に設けられているので、刃先4の研磨によって無くなることはなく、その分寿命が長くなり、更に、溝3が設けられるパンチガイド2は刃先4よりも硬度が要求されないので、加工が容易であり、このようなカス上がり防止手段を備えたパンチ金型Pを用いてワークWを打ち抜く際には(例えば図4)、該ワークWを打ち抜いた後に(図4(C))、刃先挿通孔5内で上昇したパンチボディ1先端の刃先4と、刃先挿通孔5と、ワークWと、カスW1とにより、真空状態の空間Sが形成されるが、該空間S内に前記溝3を介して外部からエアAを供給することにより、該空間S内の真空状態を無くすことができるので、カスW1は下から押し上げられることがなくなり、カス上がりは防止される。
【0017】
従って、本発明によれば、小さいパンチ金型にも適用可能で、寿命が長く、加工が容易であって、パンチ刃先下方の空間内にエアを供給することにより、該空間内の真空状態を無くし、カス上がりを防止するカス上がり防止手段を提供することができる。
【0018】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を、実施の形態により添付図面を参照して、説明する。
図1は本発明によるパンチ金型Pの第1実施形態を示す図である。
【0019】
図1のパンチ金型Pは、後述するパンチプレス(図3)に適用され、ダイ金型Dと協働してワークWに打ち抜き加工を施し、該パンチ金型Pは(図1)、パンチボディ1とパンチガイド2を有する。
【0020】
このうち、パンチボディ1は、刃先4を有し、該刃先4には、後述するロック機構17(図3)のチャック21によりロックされるプルスタッド8が、ボルト9を介して、ベースプレート7と共に一体的に取り付けられている。
【0021】
また、パンチガイド2は(図1)、前記パンチボディ1をガイドすると共に、ワークWを押さえる機能を有し(図4(B))、後述する爪24を(図1、図3)介して支持ブロック22に支持され、昇降用シリンダ23により、高さ位置が調整できるようになっている。
【0022】
上記パンチガイド2(図1)先端には、前記したように、ワークWを押さえる機能を有するストリッパプレート6が取り付けられ、該ストリッパプレート6の中央部には、前記パンチボディ1の刃先4が通過する刃先挿通孔5が設けられている。
【0023】
また、パンチガイド2には、同芯状の凹部10、11が形成され、後述するラムシリンダ15を(図3)作動してパンチボディ1を下降させると、ベースプレート7の底面が凹部10に、刃先4のフランジ12の底面が凹部11にそれぞれ当接することにより、該パンチボディ1は下死点に到達する(図4(B))。
【0024】
更に、パンチガイド2先端のストリッパプレート6には、その底面6Aに、溝3が設けられ、該溝3は、前記刃先挿通孔5と、その反対側の外部とに連通している。
【0025】
この場合、上記溝3は、図2に示すように、その外部側には、入口3Bを、刃先挿通孔5側には、出口3Aを有し、入口3Bから出口3Aに向かって徐々に絞られて小さくなっている。
【0026】
即ち、上記溝3は、外部から刃先挿通孔5に向かって徐々に絞られて小さくなっている。
【0027】
この構成により、外部からは、溝3を介して高速のエアAが刃先挿通孔5を通って、後述する刃先4下方の空間S内に供給され(図4(C))、これにより、空間S内の真空状態が迅速に無くなり、カスW1が下から押し上げられるといったカス上がりは、より完全に防止される。
【0028】
上記溝3は、図1に示すようにストリッパプレート6の底面6Aに設ける代わりに、該ストリッパプレート6を貫通させることにより設けてもよく、また、単数でも複数でもよく、更に、断面形状は、コ字状でも、V字状でもよい。
【0029】
図3は、図1のパンチ金型Pを、タレットを持たない一対の金型P、Dのみのパンチプレスに適用した例である。
【0030】
図3において、上部フレーム13には、支持フレーム14が固定され、該支持フレーム14には、ラムシリンダ15が設置されている。
【0031】
このラムシリンダ15の下方ピストンロッド16には、ロック機構17が設けられ、上方ピストンロッド(図示省略)には、よく知られているように、インデックス用ギア(図示省略)とインデックス用モータから成る金型回転装置が結合され、パンチ金型Pの回転割り出しが行われるようになっている。
【0032】
上記ロック機構17は、スリープ18を有し、該スリープ18には、ロック用シリンダ19が内蔵され、そのピストンロッド20の下端には、前記チャック21が取り付けられていてパンチボディ1のプルスタット8を挟持することにより、パンチボディ1をロックするようになっている。
【0033】
前記支持フレーム14の側方には、既述した昇降用シリンダ23が設けられ、該昇降用シリンダ23には、支持ブロック22が取り付けられ、該支持ブロック22には、爪24を介して、前記パンチガイド2が支持されている。
【0034】
上記パンチ金型Pの直下には、ダイ金型Dが設置され、該ダイ金型Dは、パンチ金型Pのパンチボディ1先端の刃先4に対応する刃先25を有し、打ち抜き時には(図4(B))、両刃先4、25により、ワークWが打ち抜かれるようになっている。
【0035】
また、ダイ金型D(図3)の前記刃先25の直下には、穴31が形成され、ワークWを打ち抜いたときに発生するカスW1を外部に排出するようになっている。
【0036】
このダイ金型Dは、爪27を介して支持ブロック26に支持され、該支持ブロック26は、インデックス用ギア32とインデックス用モータ28から成る金型回転装置により回転し、該ダイ金型Dの回転割り出しが行われるようになっている
【0037】
下部フレーム(図示省略)に固定された支持フレーム29には、上下移動体30がガイドされ、該上下移動体30の上面にロックされたダイ金型Dが、パスラインPLに位置決め自在となっている。
【0038】
以下、前記構成を有する本発明の第1実施形態の動作を図4に基づいて説明する。
【0039】
先ず、ダイ金型D(図4(A))の上面にワークWを位置決めした状態で、ラムシリンダ15と(図3)昇降用シリンダ23を作動し、パンチ金型Pを構成するパンチボディ1とパンチガイド2とを一体となって下降させる。
【0040】
この場合、図4(A)に示すように、パンチボディ1先端の刃先4は、パンチガイド2を構成するストリッパプレート6の先端より若干上方に位置しているものとする。
【0041】
パンチ金型Pを(図4(B))更に下降させると、パンチガイド2がワークWに当接するので、そのときに昇降用シリンダ23を(図3)停止させ、ラムシリンダ15だけを継続して作動させると、図4(B)に示すように、ストリッパプレート6がワークWを押さえた状態で、パンチボディ1先端の刃先4が、刃先挿通孔5を通過した後、その直下のダイ金型D側の刃先25と協働してワークWを打ち抜く。
【0042】
このとき、図示するように、発生したカスW1は、刃先4の先端に油着している。
【0043】
刃先4が下死点に到達した後、再度ラムシリンダ15を(図3)作動させると、図4(C)に示すように、パンチボディ1が上昇するので、刃先4もカスW1を伴って上昇する。
【0044】
しかし、刃先4と共に上昇するカスW1は、ワークWに引っ掛かり、このため刃先4から離脱すると同時に、該カスW1と、ワークWと、刃先挿通孔5と、該刃先挿通孔5内を上昇する刃先4とにより、空間Sが形成され、該空間S内が真空状態となる。
【0045】
ところが、本発明においては、前記したように、ストリッパプレート6に溝3が設けられ、この溝3が刃先挿通孔5と外部とに連通しているので、この溝3を通って外部から刃先挿通孔5にエアAが供給される。
【0046】
このため、刃先挿通孔5を含む空間S内の真空位状態は無くなり、発生したカスW1は下から押し上げられなくなるので、ダイ金型Dの穴31を介して外部に排出され、カス上がりは防止される。
【0047】
図5は、本発明によるパンチ金型Pの第2実施形態を示す図である。
図5のパンチ金型Pは、後述するタレットパンチプレス(図6)に適用され、ダイ金型Dと協働してワークWに打ち抜き加工を施し、該パンチ金型Pは(図5)、パンチボディ1とパンチガイド2を有する。
【0048】
このうち、パンチボディ1は、先端に刃先4を有し、基端には、後述する小径部35(図6)が設けられ、パンチガイド2にガイドされて上下動するようになっている。
【0049】
また、パンチガイド2は(図5)、前記したように、パンチボディ1をガイドすると共に、ワークWを押さえる機能を有し(図7(B))、後述する上部タレット41(図6)にリフトスプリング40を介して支持されている。
【0050】
上記パンチガイド2(図5)先端には、前記したように、ワークWを押さえる機能を有するストリッパプレート6が取り付けられ、該ストリッパプレート6の中央部には、前記パンチボディ1の刃先4が通過する刃先挿通孔5が設けられている。
【0051】
更に、パンチガイド2先端の上記ストリッパプレート6には、その底面6Aに、溝3が設けられ、該溝3は、前記刃先挿通孔5と、その反対側の外部とに連通している。
【0052】
この場合、上記溝3は、同様に、その外部側には、入口3Bを(図2に相当)、刃先挿通孔5側には、出口3Aを有し、入口3Bから出口3Aに向かって徐々に絞られて小さくなっている。
【0053】
即ち、上記溝3は、外部から刃先挿通孔5に向かって徐々に絞られて小さくなっている。
【0054】
この構成により、同様に、外部からは、溝3を介して高速のエアAが刃先挿通孔5を通って、後述する刃先4下方の空間S内に供給され(図7(C))、これにより、空間S内の真空状態が迅速に無くなり、カスW1が下から押し上げられるといったカス上がりは、より完全に防止される。
【0055】
上記溝3は、図5に示すようにストリッパプレート6の底面6Aに設ける代わりに、同様に、該ストリッパプレート6を貫通させることにより設けてもよく、また、単数でも複数でもよく、更に、断面形状は、コ字状でも、V字状でもよい。
【0056】
図6は、図5のパンチ金型Pを、タレットパンチプレスに適用した例である。
【0057】
上部タレット41と下部タレット42には、複数のパンチ金型Pとダイ金型Dがそれぞれ装着され、両タレット41、42を同期回転させることにより、所望のパンチ金型P、ダイ金型Dを、上部フレーム43に設けられたラムシリンダ44の直下に位置決めし、該ラムシリンダ44を作動して、両金型P(図7(B))、Dの協働によりワークWに例えば打ち抜き加工を施すようになっている。
【0058】
上部タレット41には(図6)、既述したように、リフトスプリング40を介して、パンチ金型Pを構成するパンチガイド2が支持されている。
【0059】
このパンチガイド2には、上下にリテーナカラー37、38を有するストリッパスプリング39と、パンチヘッド36と、パンチヘッド36にねじ込まれたパンチボディ小径部35を介して、既述したパンチボディ1が支持されている。
【0060】
また、下部タレット42上のダイ金型Dは、前記パンチ金型Pを構成するパンチボディ1先端の刃先4に対応する刃先25を有し、打ち抜き時には(図7(B))、同様に、両刃先4、25により、ワークWが打ち抜かれるようになっている。
【0061】
また、ダイ金型D(図6)の前記刃先25の直下には、穴31が形成され、ワークWを打ち抜いたときに発生するカスW1を外部に排出するようになっている。
【0062】
以下、前記構成を有する本発明の第2実施形態の動作を図7に基づいて説明する。
【0063】
先ず、ダイ金型D(図7(A))の上面にワークWを位置決めした状態で、ラムシリンダ44(図6)を作動し、パンチ金型P全体を下降させる。
【0064】
この場合、図7(A)に示すように、パンチボディ1先端の刃先4は、パンチガイド2を構成するストリッパプレート6の先端より若干上方に位置しているものとする。
【0065】
そして、ラムシリンダ44を(図6)作動してパンチヘッド36を打圧すると、先にリフトスプリング40が撓んで、図7(B)に示すように、パンチガイド2が下降してストリッパプレート6がワークWを押さえ、次にストリッパスプリング39(図6)が撓んで、パンチボディ1が(図7(B))下降し、刃先4が、刃先挿通孔5を通過した後、その直下のダイ金型D側の刃先25と協働してワークWを打ち抜く。
【0066】
このとき、図示するように、発生したカスW1は、刃先4の先端に油着している。
【0067】
刃先4が下死点に到達した後、再度ラムシリンダ44を(図6)作動させると、ストリッパスプリング39の復元力により、図7(C)に示すように、パンチボディ1が上昇するので、刃先4もカスW1を伴って上昇する。
【0068】
しかし、刃先4と共に上昇するカスW1は、ワークWに引っ掛かり、このため刃先4から離脱すると同時に、該カスW1と、ワークWと、刃先挿通孔5と、該刃先挿通孔5内を上昇する刃先4とにより、空間Sが形成され、該空間S内が真空状態となる。
【0069】
ところが、本発明においては、前記したように、ストリッパプレート6に溝3が設けられ、この溝3が刃先挿通孔5と外部とに連通しているので、この溝3を通って外部から刃先挿通孔5にエアAが供給される。
【0070】
このため、刃先挿通孔5を含む空間S内の真空位状態は無くなり、発生したカスW1は下から押し上げられなくなるので、ダイ金型Dの穴31を介して外部に排出され、カス上がりは防止される。
【0071】
【発明の効果】
上記のとおり、本発明の構成によれば、次の効果を奏することとなった。
(1)パンチガイド2(例えば図1)先端に溝3を設けたので、パンチ金型Pが小さくなって刃先4が細くなっても、該溝3の加工は簡単になって実現できるようになり、従って、本発明によるカス上がり防止手段は、小さいパンチ金型Pにも適用可能となった。
【0072】
(2)パンチボディ1先端の刃先4が磨耗して研磨した場合でも、溝3は、パンチガイド2側に設けたことにより、研磨とは無関係で影響を受けず、従って、本発明によるカス上がり防止手段は、寿命が長くなった。
【0073】
(3)溝3が設けられているパンチガイド2先端のストリッパプレート6は、パンチボディ1側の先端の刃先4よりも硬度が要求されず、従って、本発明によるカス上がり防止手段は、加工が容易になった。
【0074】
(4)このようなカス上がり防止手段を備えたパンチ金型Pを用いてワークWを打ち抜く際には(例えば図4)、該ワークWを打ち抜いた後に(図4(C))、刃先挿通孔5内で上昇したパンチボディ1先端の刃先4の下方に、真空状態の空間Sが形成されるが、本発明によるカス上がり防止手段によれば、前記溝3を介して外部から該空間S内にエアAを供給することにより、該空間S内の真空状態を無くすことができるので、カスW1は下から押し上げられることがなくなり、カス上がりは防止される。
【0075】
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明によるパンチ金型Pの第1実施形態を示す図である。
【図2】図1の詳細図である。
【図3】図1の適用例を示す図である。
【図4】図1の動作説明図である。
【図5】本発明によるパンチ金型Pの第2実施形態を示す図である。
【図6】図5の適用例を示す図である。
【図7】図5の動作説明図である。
【図8】従来技術の説明図である。
【符号の説明】
1 パンチボディ
2 パンチガイド
3 溝
4 パンチ金型Pの刃先
5 刃先挿通孔
6 ストリッパプレート
7 ベースプレート
8 プルスタット
9 ボルト
10、11 パンチガイド2の凹部
12 刃先4のフランジ
13 パンチプレスの上部フレーム
14 支持フレーム
15 ラムシリンダ
16 ラムシリンダ15の下方ピストンロッド
17 ロック機構
18 スリープ
19 ロックシリンダ
20 ピストンロッド
21 チャック
22 パンチ金型Pの支持ブロック
23 昇降用シリンダ
24 爪
25 ダイ金型Dの刃先
26 支持ブロック
27 爪
28 インデックス用モータ
29 支持フレーム
30 上下移動体
31 穴
32 インデックス用ギア
35 パンチボディ1の小径部
36 パンチヘッド
37、38 リテーナカラー
39 ストリッパスプリング
40 リフトスプリング
41 上部タレット
42 下部タレット
43 タレットパンチプレスの上部フレーム
44 ラムシリンダ
D ダイ金型
P パンチ
PL パスライン
W ワーク
W1 カス
【発明の属する技術分野】
本発明はカス上がり防止手段を備えたパンチ金型及びその金型を使用するパンチ加工方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、パンチ加工機では(図8)、よく知られているように、パンチ金型Pとダイ金型Dが使用され、両者の協働によりワークWに対して打抜き加工などのパンチ加工が施される。
【0003】
例えば、図8(A)において、パンチ金型Pを構成するパンチガイド102でワークWを押さえた状態で、パンチボディ101を下降させると、その先端の刃先106でワークWが打ち抜かれる。
【0004】
ワークWが打ち抜かれると、カスW1がダイ金型Dの穴104を介して外部に排出されるようになっている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、よく知られているように、パンチボディ101とパンチガイド102との間には潤滑油が供給されており、そのために、上記カスW1が、パンチボディ101の刃先106に油着することがある。
【0006】
その結果、カスW1は(図8(B))、打ち抜き後に上昇するパンチボディ101に伴って、ダイ金型Dの穴104の上部まで上昇するが、ワークWに引っ掛かってパンチボディ101から離脱すると同時に、該カスW1と、上昇するパンチボディ101の刃先106と、パンチガイド102と、ワークWとにより、空間103が形成され、該空間103内が真空状態となる。
【0007】
そのため、上記カスW1は、下方から押し上げられることにより、カス上がりが起こり、該カスW1は、例えば図示する位置に停止する。
【0008】
このようなカス上がりが発生した状態で何度も打ち抜き加工を行った場合には、図8(C)に示すように、最も新しいカスW3が、その上の空間103内の真空状態のために押し上げられると、その前に発生したカスW2との間にも、空間105が形成されてその中も真空状態となり、該カスW2と最も古いカスW1が共に押し上げられて穴104の中に停止してしまう。
【0009】
このようにカス上がりが起これば、カスW3、W2、W1などが、加工中に飛散することにより、ワークWに傷を付けるなどの弊害があるため、従来よりカス上がり防止手段が開発され、例えば実開平5−76622に開示されたものがある。
【0010】
このカス上がり防止手段は、パンチボディ(同公報の図1に示すポンチ本体1)の先端1Aに溝1Bを形成し、この溝1B内に空気を流入させることにより、本願の図8(B)に示すような空間103内の真空状態を無くし、カス上がりを防止しようとするものである。
【0011】
しかし、この手段は、本願の図8に示すパンチボディ101の刃先106に、上記溝を形成することに相当するものであり、このため、小径などの小さいパンチ金型Pには、加工するのが困難な場合が多く、実現が難しい。
【0012】
また、パンチボディ101(本願の図8)の刃先106が磨耗した場合には、それを研磨しなければならないが、このような溝は研磨により無くなるおそれがあり、その分寿命が短くなる。
【0013】
更に、パンチボディ101の刃先101は、よく知られているように、高硬度を有し、そのために上記のような溝の加工は困難を極める。
【0014】
本発明の目的は、小さいパンチ金型にも適用可能で、寿命が長く、加工が容易であって、パンチ刃先下方の空間内にエアを供給することにより、該空間内の真空状態を無くし、カス上がりを防止するカス上がり防止手段を提供する。
【0015】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するため、本発明は、図1〜図7に示すように、
パンチガイド2の先端に溝3を設け、該溝3を、パンチボディ1先端の刃先4が通過する刃先挿通孔5と、該刃先挿通孔5の反対側の外部とに連通させたことを特徴とするパンチ金型P(図1、図5)、
及び、上記パンチ金型Pを使用するパンチ加工方法であって、
(1)パンチガイド2先端でワークWを押さえた状態で、該ワークWを打ち抜いた後のパンチボディ1先端の刃先4を、刃先挿通孔5内で上昇させ、
(2)該上昇した刃先4と、刃先挿通孔5と、ワークWと、カスW1とにより、真空状態の空間Sを形成し、
(3)該真空状態の空間S内に、パンチガイド2先端の溝3を介して外部のエアAを供給することを特徴とするパンチ加工方法(図4(C)、図7(C))という技術的手段を講じている。
【0016】
上記本発明の構成によれば、パンチガイド2(例えば図1)先端に溝3を設けるので、パンチ金型Pが小さくなって刃先4が細くなっても、該溝3の加工は簡単になって、実現することができるので、小さいパンチ金型Pにも適用可能であり、また、パンチボディ1の刃先4が磨耗して研磨した場合でも、溝3はパンチガイド2に設けられているので、刃先4の研磨によって無くなることはなく、その分寿命が長くなり、更に、溝3が設けられるパンチガイド2は刃先4よりも硬度が要求されないので、加工が容易であり、このようなカス上がり防止手段を備えたパンチ金型Pを用いてワークWを打ち抜く際には(例えば図4)、該ワークWを打ち抜いた後に(図4(C))、刃先挿通孔5内で上昇したパンチボディ1先端の刃先4と、刃先挿通孔5と、ワークWと、カスW1とにより、真空状態の空間Sが形成されるが、該空間S内に前記溝3を介して外部からエアAを供給することにより、該空間S内の真空状態を無くすことができるので、カスW1は下から押し上げられることがなくなり、カス上がりは防止される。
【0017】
従って、本発明によれば、小さいパンチ金型にも適用可能で、寿命が長く、加工が容易であって、パンチ刃先下方の空間内にエアを供給することにより、該空間内の真空状態を無くし、カス上がりを防止するカス上がり防止手段を提供することができる。
【0018】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を、実施の形態により添付図面を参照して、説明する。
図1は本発明によるパンチ金型Pの第1実施形態を示す図である。
【0019】
図1のパンチ金型Pは、後述するパンチプレス(図3)に適用され、ダイ金型Dと協働してワークWに打ち抜き加工を施し、該パンチ金型Pは(図1)、パンチボディ1とパンチガイド2を有する。
【0020】
このうち、パンチボディ1は、刃先4を有し、該刃先4には、後述するロック機構17(図3)のチャック21によりロックされるプルスタッド8が、ボルト9を介して、ベースプレート7と共に一体的に取り付けられている。
【0021】
また、パンチガイド2は(図1)、前記パンチボディ1をガイドすると共に、ワークWを押さえる機能を有し(図4(B))、後述する爪24を(図1、図3)介して支持ブロック22に支持され、昇降用シリンダ23により、高さ位置が調整できるようになっている。
【0022】
上記パンチガイド2(図1)先端には、前記したように、ワークWを押さえる機能を有するストリッパプレート6が取り付けられ、該ストリッパプレート6の中央部には、前記パンチボディ1の刃先4が通過する刃先挿通孔5が設けられている。
【0023】
また、パンチガイド2には、同芯状の凹部10、11が形成され、後述するラムシリンダ15を(図3)作動してパンチボディ1を下降させると、ベースプレート7の底面が凹部10に、刃先4のフランジ12の底面が凹部11にそれぞれ当接することにより、該パンチボディ1は下死点に到達する(図4(B))。
【0024】
更に、パンチガイド2先端のストリッパプレート6には、その底面6Aに、溝3が設けられ、該溝3は、前記刃先挿通孔5と、その反対側の外部とに連通している。
【0025】
この場合、上記溝3は、図2に示すように、その外部側には、入口3Bを、刃先挿通孔5側には、出口3Aを有し、入口3Bから出口3Aに向かって徐々に絞られて小さくなっている。
【0026】
即ち、上記溝3は、外部から刃先挿通孔5に向かって徐々に絞られて小さくなっている。
【0027】
この構成により、外部からは、溝3を介して高速のエアAが刃先挿通孔5を通って、後述する刃先4下方の空間S内に供給され(図4(C))、これにより、空間S内の真空状態が迅速に無くなり、カスW1が下から押し上げられるといったカス上がりは、より完全に防止される。
【0028】
上記溝3は、図1に示すようにストリッパプレート6の底面6Aに設ける代わりに、該ストリッパプレート6を貫通させることにより設けてもよく、また、単数でも複数でもよく、更に、断面形状は、コ字状でも、V字状でもよい。
【0029】
図3は、図1のパンチ金型Pを、タレットを持たない一対の金型P、Dのみのパンチプレスに適用した例である。
【0030】
図3において、上部フレーム13には、支持フレーム14が固定され、該支持フレーム14には、ラムシリンダ15が設置されている。
【0031】
このラムシリンダ15の下方ピストンロッド16には、ロック機構17が設けられ、上方ピストンロッド(図示省略)には、よく知られているように、インデックス用ギア(図示省略)とインデックス用モータから成る金型回転装置が結合され、パンチ金型Pの回転割り出しが行われるようになっている。
【0032】
上記ロック機構17は、スリープ18を有し、該スリープ18には、ロック用シリンダ19が内蔵され、そのピストンロッド20の下端には、前記チャック21が取り付けられていてパンチボディ1のプルスタット8を挟持することにより、パンチボディ1をロックするようになっている。
【0033】
前記支持フレーム14の側方には、既述した昇降用シリンダ23が設けられ、該昇降用シリンダ23には、支持ブロック22が取り付けられ、該支持ブロック22には、爪24を介して、前記パンチガイド2が支持されている。
【0034】
上記パンチ金型Pの直下には、ダイ金型Dが設置され、該ダイ金型Dは、パンチ金型Pのパンチボディ1先端の刃先4に対応する刃先25を有し、打ち抜き時には(図4(B))、両刃先4、25により、ワークWが打ち抜かれるようになっている。
【0035】
また、ダイ金型D(図3)の前記刃先25の直下には、穴31が形成され、ワークWを打ち抜いたときに発生するカスW1を外部に排出するようになっている。
【0036】
このダイ金型Dは、爪27を介して支持ブロック26に支持され、該支持ブロック26は、インデックス用ギア32とインデックス用モータ28から成る金型回転装置により回転し、該ダイ金型Dの回転割り出しが行われるようになっている
【0037】
下部フレーム(図示省略)に固定された支持フレーム29には、上下移動体30がガイドされ、該上下移動体30の上面にロックされたダイ金型Dが、パスラインPLに位置決め自在となっている。
【0038】
以下、前記構成を有する本発明の第1実施形態の動作を図4に基づいて説明する。
【0039】
先ず、ダイ金型D(図4(A))の上面にワークWを位置決めした状態で、ラムシリンダ15と(図3)昇降用シリンダ23を作動し、パンチ金型Pを構成するパンチボディ1とパンチガイド2とを一体となって下降させる。
【0040】
この場合、図4(A)に示すように、パンチボディ1先端の刃先4は、パンチガイド2を構成するストリッパプレート6の先端より若干上方に位置しているものとする。
【0041】
パンチ金型Pを(図4(B))更に下降させると、パンチガイド2がワークWに当接するので、そのときに昇降用シリンダ23を(図3)停止させ、ラムシリンダ15だけを継続して作動させると、図4(B)に示すように、ストリッパプレート6がワークWを押さえた状態で、パンチボディ1先端の刃先4が、刃先挿通孔5を通過した後、その直下のダイ金型D側の刃先25と協働してワークWを打ち抜く。
【0042】
このとき、図示するように、発生したカスW1は、刃先4の先端に油着している。
【0043】
刃先4が下死点に到達した後、再度ラムシリンダ15を(図3)作動させると、図4(C)に示すように、パンチボディ1が上昇するので、刃先4もカスW1を伴って上昇する。
【0044】
しかし、刃先4と共に上昇するカスW1は、ワークWに引っ掛かり、このため刃先4から離脱すると同時に、該カスW1と、ワークWと、刃先挿通孔5と、該刃先挿通孔5内を上昇する刃先4とにより、空間Sが形成され、該空間S内が真空状態となる。
【0045】
ところが、本発明においては、前記したように、ストリッパプレート6に溝3が設けられ、この溝3が刃先挿通孔5と外部とに連通しているので、この溝3を通って外部から刃先挿通孔5にエアAが供給される。
【0046】
このため、刃先挿通孔5を含む空間S内の真空位状態は無くなり、発生したカスW1は下から押し上げられなくなるので、ダイ金型Dの穴31を介して外部に排出され、カス上がりは防止される。
【0047】
図5は、本発明によるパンチ金型Pの第2実施形態を示す図である。
図5のパンチ金型Pは、後述するタレットパンチプレス(図6)に適用され、ダイ金型Dと協働してワークWに打ち抜き加工を施し、該パンチ金型Pは(図5)、パンチボディ1とパンチガイド2を有する。
【0048】
このうち、パンチボディ1は、先端に刃先4を有し、基端には、後述する小径部35(図6)が設けられ、パンチガイド2にガイドされて上下動するようになっている。
【0049】
また、パンチガイド2は(図5)、前記したように、パンチボディ1をガイドすると共に、ワークWを押さえる機能を有し(図7(B))、後述する上部タレット41(図6)にリフトスプリング40を介して支持されている。
【0050】
上記パンチガイド2(図5)先端には、前記したように、ワークWを押さえる機能を有するストリッパプレート6が取り付けられ、該ストリッパプレート6の中央部には、前記パンチボディ1の刃先4が通過する刃先挿通孔5が設けられている。
【0051】
更に、パンチガイド2先端の上記ストリッパプレート6には、その底面6Aに、溝3が設けられ、該溝3は、前記刃先挿通孔5と、その反対側の外部とに連通している。
【0052】
この場合、上記溝3は、同様に、その外部側には、入口3Bを(図2に相当)、刃先挿通孔5側には、出口3Aを有し、入口3Bから出口3Aに向かって徐々に絞られて小さくなっている。
【0053】
即ち、上記溝3は、外部から刃先挿通孔5に向かって徐々に絞られて小さくなっている。
【0054】
この構成により、同様に、外部からは、溝3を介して高速のエアAが刃先挿通孔5を通って、後述する刃先4下方の空間S内に供給され(図7(C))、これにより、空間S内の真空状態が迅速に無くなり、カスW1が下から押し上げられるといったカス上がりは、より完全に防止される。
【0055】
上記溝3は、図5に示すようにストリッパプレート6の底面6Aに設ける代わりに、同様に、該ストリッパプレート6を貫通させることにより設けてもよく、また、単数でも複数でもよく、更に、断面形状は、コ字状でも、V字状でもよい。
【0056】
図6は、図5のパンチ金型Pを、タレットパンチプレスに適用した例である。
【0057】
上部タレット41と下部タレット42には、複数のパンチ金型Pとダイ金型Dがそれぞれ装着され、両タレット41、42を同期回転させることにより、所望のパンチ金型P、ダイ金型Dを、上部フレーム43に設けられたラムシリンダ44の直下に位置決めし、該ラムシリンダ44を作動して、両金型P(図7(B))、Dの協働によりワークWに例えば打ち抜き加工を施すようになっている。
【0058】
上部タレット41には(図6)、既述したように、リフトスプリング40を介して、パンチ金型Pを構成するパンチガイド2が支持されている。
【0059】
このパンチガイド2には、上下にリテーナカラー37、38を有するストリッパスプリング39と、パンチヘッド36と、パンチヘッド36にねじ込まれたパンチボディ小径部35を介して、既述したパンチボディ1が支持されている。
【0060】
また、下部タレット42上のダイ金型Dは、前記パンチ金型Pを構成するパンチボディ1先端の刃先4に対応する刃先25を有し、打ち抜き時には(図7(B))、同様に、両刃先4、25により、ワークWが打ち抜かれるようになっている。
【0061】
また、ダイ金型D(図6)の前記刃先25の直下には、穴31が形成され、ワークWを打ち抜いたときに発生するカスW1を外部に排出するようになっている。
【0062】
以下、前記構成を有する本発明の第2実施形態の動作を図7に基づいて説明する。
【0063】
先ず、ダイ金型D(図7(A))の上面にワークWを位置決めした状態で、ラムシリンダ44(図6)を作動し、パンチ金型P全体を下降させる。
【0064】
この場合、図7(A)に示すように、パンチボディ1先端の刃先4は、パンチガイド2を構成するストリッパプレート6の先端より若干上方に位置しているものとする。
【0065】
そして、ラムシリンダ44を(図6)作動してパンチヘッド36を打圧すると、先にリフトスプリング40が撓んで、図7(B)に示すように、パンチガイド2が下降してストリッパプレート6がワークWを押さえ、次にストリッパスプリング39(図6)が撓んで、パンチボディ1が(図7(B))下降し、刃先4が、刃先挿通孔5を通過した後、その直下のダイ金型D側の刃先25と協働してワークWを打ち抜く。
【0066】
このとき、図示するように、発生したカスW1は、刃先4の先端に油着している。
【0067】
刃先4が下死点に到達した後、再度ラムシリンダ44を(図6)作動させると、ストリッパスプリング39の復元力により、図7(C)に示すように、パンチボディ1が上昇するので、刃先4もカスW1を伴って上昇する。
【0068】
しかし、刃先4と共に上昇するカスW1は、ワークWに引っ掛かり、このため刃先4から離脱すると同時に、該カスW1と、ワークWと、刃先挿通孔5と、該刃先挿通孔5内を上昇する刃先4とにより、空間Sが形成され、該空間S内が真空状態となる。
【0069】
ところが、本発明においては、前記したように、ストリッパプレート6に溝3が設けられ、この溝3が刃先挿通孔5と外部とに連通しているので、この溝3を通って外部から刃先挿通孔5にエアAが供給される。
【0070】
このため、刃先挿通孔5を含む空間S内の真空位状態は無くなり、発生したカスW1は下から押し上げられなくなるので、ダイ金型Dの穴31を介して外部に排出され、カス上がりは防止される。
【0071】
【発明の効果】
上記のとおり、本発明の構成によれば、次の効果を奏することとなった。
(1)パンチガイド2(例えば図1)先端に溝3を設けたので、パンチ金型Pが小さくなって刃先4が細くなっても、該溝3の加工は簡単になって実現できるようになり、従って、本発明によるカス上がり防止手段は、小さいパンチ金型Pにも適用可能となった。
【0072】
(2)パンチボディ1先端の刃先4が磨耗して研磨した場合でも、溝3は、パンチガイド2側に設けたことにより、研磨とは無関係で影響を受けず、従って、本発明によるカス上がり防止手段は、寿命が長くなった。
【0073】
(3)溝3が設けられているパンチガイド2先端のストリッパプレート6は、パンチボディ1側の先端の刃先4よりも硬度が要求されず、従って、本発明によるカス上がり防止手段は、加工が容易になった。
【0074】
(4)このようなカス上がり防止手段を備えたパンチ金型Pを用いてワークWを打ち抜く際には(例えば図4)、該ワークWを打ち抜いた後に(図4(C))、刃先挿通孔5内で上昇したパンチボディ1先端の刃先4の下方に、真空状態の空間Sが形成されるが、本発明によるカス上がり防止手段によれば、前記溝3を介して外部から該空間S内にエアAを供給することにより、該空間S内の真空状態を無くすことができるので、カスW1は下から押し上げられることがなくなり、カス上がりは防止される。
【0075】
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明によるパンチ金型Pの第1実施形態を示す図である。
【図2】図1の詳細図である。
【図3】図1の適用例を示す図である。
【図4】図1の動作説明図である。
【図5】本発明によるパンチ金型Pの第2実施形態を示す図である。
【図6】図5の適用例を示す図である。
【図7】図5の動作説明図である。
【図8】従来技術の説明図である。
【符号の説明】
1 パンチボディ
2 パンチガイド
3 溝
4 パンチ金型Pの刃先
5 刃先挿通孔
6 ストリッパプレート
7 ベースプレート
8 プルスタット
9 ボルト
10、11 パンチガイド2の凹部
12 刃先4のフランジ
13 パンチプレスの上部フレーム
14 支持フレーム
15 ラムシリンダ
16 ラムシリンダ15の下方ピストンロッド
17 ロック機構
18 スリープ
19 ロックシリンダ
20 ピストンロッド
21 チャック
22 パンチ金型Pの支持ブロック
23 昇降用シリンダ
24 爪
25 ダイ金型Dの刃先
26 支持ブロック
27 爪
28 インデックス用モータ
29 支持フレーム
30 上下移動体
31 穴
32 インデックス用ギア
35 パンチボディ1の小径部
36 パンチヘッド
37、38 リテーナカラー
39 ストリッパスプリング
40 リフトスプリング
41 上部タレット
42 下部タレット
43 タレットパンチプレスの上部フレーム
44 ラムシリンダ
D ダイ金型
P パンチ
PL パスライン
W ワーク
W1 カス
Claims (5)
- パンチガイドの先端に溝を設け、該溝を、パンチボディ先端の刃先が通過する刃先挿通孔と、該刃先挿通孔の反対側の外部とに連通させたことを特徴とするパンチ金型。
- 上記溝は、パンチガイド先端のストリッパプレートの底面に設けられている請求項1記載のパンチ金型。
- 上記溝は、外部から刃先挿通孔に向かって徐々に絞られて小さくなっている請求項1、又は2記載のパンチ金型。
- 上記請求項1記載のパンチ金型を使用するパンチ加工方法であって、
(1)パンチガイド先端でワークを押さえた状態で、該ワークを打ち抜いた後のパンチボディ先端の刃先を、刃先挿通孔内で上昇させ、
(2)該上昇した刃先と、刃先挿通孔と、ワークと、カスとにより、真空状態の空間を形成し、
(3)該真空状態の空間内に、パンチガイド先端の溝を介して外部のエアを供給することを特徴とするパンチ加工方法。 - 上記(3)において、外部から刃先挿通孔に向かって徐々に絞られて小さくなっている溝を介して、高速のエアを真空状態の空間内に供給する請求項4記載のパンチ加工方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2003079418A JP2004283868A (ja) | 2003-03-24 | 2003-03-24 | パンチ金型及びその金型を使用するパンチ加工方法 |
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Publications (1)
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ID=33293534
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JP2003079418A Pending JP2004283868A (ja) | 2003-03-24 | 2003-03-24 | パンチ金型及びその金型を使用するパンチ加工方法 |
Country Status (1)
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JP (1) | JP2004283868A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
EP2184118A1 (de) | 2008-11-07 | 2010-05-12 | Trumpf Werkzeugmaschinen GmbH + Co. KG | Abgesetzter Niederhalter und Verfahren zum Entfernen von Blechteilen aus Stanzmaschinen |
-
2003
- 2003-03-24 JP JP2003079418A patent/JP2004283868A/ja active Pending
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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EP2184118A1 (de) | 2008-11-07 | 2010-05-12 | Trumpf Werkzeugmaschinen GmbH + Co. KG | Abgesetzter Niederhalter und Verfahren zum Entfernen von Blechteilen aus Stanzmaschinen |
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