JP2004283105A - 海老フライ素材及び海老フライ - Google Patents
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Abstract
【課題】水産資源を有効に活用でき、しかも、従来のものより栄養分や海老の風味等が豊かな、海老フライ素材及び海老フライを提供する。
【解決手段】揚げることにより海老フライとなる海老フライ素材であって、海老の殻の粉末と、海老の頭のエキスの、少なくともいずれか一方が含まれている海老フライ素材である。海老の殻には、キチンキトサン質やカルシウム分等の有効成分が含まれ、海老の頭のエキスには、海老特有の旨み成分が含まれている。よって、旨みや風味が豊かな、濃厚な味わいの海老フライが出来上がり、栄養上及び健康上の有用性も大きい。海老の殻の前記粉末や海老の頭の前記エキスは、海老フライ素材の衣に含ませるのが望ましい。油で揚げた時に、旨みや香りが引き出され易いからである。
【選択図】 なし
【解決手段】揚げることにより海老フライとなる海老フライ素材であって、海老の殻の粉末と、海老の頭のエキスの、少なくともいずれか一方が含まれている海老フライ素材である。海老の殻には、キチンキトサン質やカルシウム分等の有効成分が含まれ、海老の頭のエキスには、海老特有の旨み成分が含まれている。よって、旨みや風味が豊かな、濃厚な味わいの海老フライが出来上がり、栄養上及び健康上の有用性も大きい。海老の殻の前記粉末や海老の頭の前記エキスは、海老フライ素材の衣に含ませるのが望ましい。油で揚げた時に、旨みや香りが引き出され易いからである。
【選択図】 なし
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、揚げることによって海老フライとなる海老フライ素材等に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
冷凍食品や冷蔵食品として、油で揚げるだけで海老フライとなる海老フライ素材が知られている。該海老フライ素材は、殻むきされた海老と、該殻むき海老に付けられた衣と、からなり、従来、頭取りや殻むきや背わた取り等の所定の下処理を施した海老に小麦粉をまぶし、これを、バッタ液にくぐらせた後に、パン粉を付けて作製されている。
【0003】
そして、海老の下処理工程で海老の身から取り外される海老の頭や殻は、その大部分がそのまま廃棄されているのが現状である。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、海老の頭は、濃厚な旨みを含む部分であり、また、海老の殻も、キチンキトサン質及びカルシウム等を豊富に含む有用な部分であるので、これらを廃棄してしまうのは、廃棄費用がかかるだけでなく、有用な水産資源の無駄となり、好ましくない。
【0005】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、水産資源を有効に活用でき、しかも、従来のものより栄養分や海老の風味等が豊かな、海老フライ素材及び海老フライを提供しようとするものである。
【0006】
本発明はまた、前記海老フライ素材及び海老フライを製造するのに用いて好適な、海老頭エキスの製造方法を提供しようとするものである。
【0007】
さらに、本発明は、新規かつ有用な、海老の頭や殻の使用方法を提供しようとするものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
前記課題を解決するため、本発明の一実施の形態に係る海老フライ素材は、殻むきした海老と、該殻むき海老に付けられた衣と、を備え、揚げることにより海老フライとなる海老フライ素材であって、海老の殻の粉末と、海老の頭のエキスの、少なくともいずれか一方が含まれていることを特徴としている(請求項1)。
【0009】
本発明において、前記海老フライ素材に海老の殻の粉末が含まれている場合には、前記海老フライ素材には、海老の殻が有するキチンキトサン質やカルシウム分等の有効成分が含まれることになる。よって、これを食する者にとって、栄養上及び健康上の有用性が大きい。加えて、海老の殻は、粉末として海老フライ素材に含まれているので、海老フライとしての食感を害することもない。
【0010】
また、前記海老フライ素材に海老の頭のエキスが含まれている場合には、前記海老フライ素材には、海老の頭から抽出された旨み成分が含まれることになる。よって、旨み豊かな、濃厚な味わいの海老フライが出来上がる。
【0011】
本発明において、海老の頭のエキスとは、海老の頭を煮出すことにより、その旨み成分を十分に引き出した出汁をいい、海老の頭をそのまま煮出す方法、海老の頭を焼いてから煮出す方法、海老の頭を焼いて粉砕してから煮出す方法等、その具体的な製造方法に限定はないものとする。但し、海老特有の香りを効率的に引き出す上では、海老の頭をこんがりと焼き、これを粉砕してから水を加えて煮出す方法が望ましい。
【0012】
好適な実施の一形態として、海老の殻の前記粉末と海老の頭の前記エキスとが、前記衣に含まれているものとすることもできる(請求項2)。
【0013】
このようにすれば、海老フライ素材を油で揚げることにより、前記衣から、海老の殻の甘く香ばしい風味や、海老の頭のエキスの濃厚な風味がより強く引き出され、一層香りや旨みの豊かな海老フライが出来上がる。
【0014】
本発明の一実施の形態に係る海老フライは、前記海老フライ素材を油で揚げたものである(請求項3)。
【0015】
本発明の一実施の形態に係る海老頭エキスの製造方法は、こんがりと焼いた海老の頭を粉砕することにより、その海老の頭に残っている水分のみを利用してペースト状にした後に、水を加えて煮ることを特徴としている(請求項4)。このようにすれば、海老頭エキスの旨みの濃度の管理が容易であり、常に一定品質の海老頭エキスを作ることができる。
【0016】
また、本発明の一実施の形態に係る海老頭等の使用方法は、海老の頭のエキスと海老の殻の少なくともいずれか一方を、海老フライの材料として使用することを特徴としている(請求項5)。
【0017】
【発明の実施の形態】
本発明の好適な一実施の形態に係る海老フライ素材は、殻むきした海老と、該殻むき海老に付けられた衣と、を備え、揚げることにより海老フライとなる海老フライ素材である。そして、該海老フライ素材は、海老の殻の粉末と、海老の頭のエキスの、少なくともいずれか一方、好ましくはその双方を含んだものである。
【0018】
本実施の形態に係る海老フライ素材は、次のようにして製造することができる。
【0019】
まず、原材料となる海老が冷凍海老である場合には、これを解凍する。そして、その海老を洗浄し、所定の下処理を行う。ここで、所定の下処理とは、海老の頭取り、殻むき、背わた取り、尻尾の先の切り取り作業等をいう。但し、頭付きの海老フライ素材を製造する場合には、頭取り作業は不要である。また、揚げた時に海老フライが湾曲してしまうことを防止するため、殻むき海老の胴体へ、腹側から三箇所程度切り目を入れることを、前記所定の下処理として行ってもよい。
【0020】
従来、前記下処理工程で取り外された海老の殻と、海老の頭は、その大部分がそのまま廃棄処理されていた。これに対し、本実施の形態では、海老の殻と、海老の頭に、所定の加工を加えて、海老の殻の粉末と、海老の頭のエキスと、を製造し、これらを、海老フライの材料として使用する。
【0021】
海老の殻の粉末は、次のようにして製造することができる。
【0022】
まず、海老から取り外した殻を洗浄して、ごみや余分な蛋白等を洗い流す(洗浄工程)。次いで、水切りを行う(水切り工程)。そして、オーブン等の加熱装置を用いて、炭化しないように注意しながら加熱する(焼成工程)。この加熱により、海老の殻の水分を完全に除去するとともに、海老の殻から香ばしい風味を十分に引き出す。加熱温度及び加熱時間は、例えば、180℃、約10分程度とすることができる。その後、フードプロセッサー等の粉砕機にかけ、微粉末状に粉砕し(粉砕工程)、1〜2mm程度のメッシュでふるいにかける(ふるい工程)。これにより、さらさらの微粒子の海老の殻の粉末(海老殻パウダー)が出来上がる。
【0023】
一方、海老の頭のエキスは、次のようにして製造することができる。
【0024】
まず、海老から取り外した頭を、遠赤外線の焼成機(加熱装置)等を用いて、炭化しないように注意しながら、且つ、水分を完全には飛ばさないように加熱する(焼成工程)。こうすることにより、海老の頭の表面をこんがりと焼き、海老特有の色、香り及び旨みを十分に引き出す。加熱温度及び加熱時間は、例えば、170℃で約20分程度とすることができる。
【0025】
次いで、フードプロセッサー等の粉砕機にかけ、海老の頭を粉砕する(粉砕工程)。焼成工程を経た海老の頭の中には、まだ水分が残っているから、これを粉砕機で粉砕すると、海老の頭はペースト状になる。この海老頭ペーストに、所定量の水を加えて混合し、これをゆっくりと煮込む(煮込み工程)。これにより、海老の頭のエキスを十分に抽出する。海老頭ペーストと水の混合比率は、例えば、海老頭ペースト1:水3(体積比)とすることができる。また、煮込み温度及び煮込み時間は、例えば、90℃、30分程度とすることができる。最後に、0.8〜1mm程度のメッシュで漉せば(ろ過工程)、海老の頭のエキス(海老頭煮出し液)が出来上がる。
【0026】
本実施の形態の手順のように、海老の頭に含まれている水分のみを利用して海老頭ペーストを作り、それに所定比率の水を加えて煮込むことによって、前記海老頭煮出し液を製造することとすれば、海老頭煮出し液の濃度の管理が容易であり、常に一定品質の海老頭煮出し液を作ることができて、好適である。また、海老の頭のエキスを煮出す前に、海老の頭をこんがりと焼くことにより、海老特有の色、香り及び旨みを十分に引き出すことができて、好適である。
【0027】
以上のようにして製造された海老殻パウダーと、海老頭煮出し液は、その後、海老フライ素材の製造工程に、材料として投入される。
【0028】
前記下処理工程を経た殻むき海老は、小麦粉等の打ち粉を付け、バッタ液に浸して、パン粉をまぶすことにより、海老フライ素材として完成する。ここで、前記海老殻パウダーと、前記海老頭煮出しは、前記海老フライ素材の製造工程のいずれかの段階で、前記殻むき海老の表面に塗布したり、前記殻むき海老の内部に仕込んだり、前記打ち粉や前記バッタ液や前記パン粉に混入させたりして、海老フライ素材の構成材料として用いれば良い。
【0029】
具体的には、例えば、前記海老頭煮出し液は、前記バッタ液を調製する際に、パッタ粉を溶くための液体成分として、従来の水に代えて使用することができる。
【0030】
すなわち、従来から、冷凍海老フライ素材を製造する場合には、主として殻むき海老へのパン粉の付着性を良好なものにするため、デンプンやトウモロコシ粉等の穀粉、粉状卵白、食塩等を調合した、バッタ粉といわれるそれ自体周知の粉に、水を加えて混合し、こうして出来たバッタ液に、打ち粉がついた殻むき海老を浸した後に、パン粉をまぶすことが行われている。そこで、前記バッタ粉に、水の代わりに、前記海老頭煮出し液を加えて攪拌することにより、海老フライ素材に対して、前記海老頭煮出し液の旨みを、簡単且つ確実に付与することができる。この場合、前記バッタ粉と前記海老頭煮出し液の混合比率は、例えば、体積比で、100:55程度とすることができる。
【0031】
一方、前記海老殻パウダーは、例えば、前記パン粉に混入させて使用することができる。この場合、生パン粉10:海老殻パウダー0.5:食用油脂1(体積比)を混合し、これを加熱攪拌して冷却したものを、パン粉として用いることができる。
【0032】
他の具体例として、前記海老殻パウダーは、前記打ち粉に混合して、又は、前記打ち粉自体として、殻むき海老の表面にまぶすこともできるし、前記バッタ粉に混入して用いることもできる。
【0033】
特に、前記海老頭煮出し液および前記海老殻パウダーは、殻むき海老の衣に混入させて用いると、海老フライ素材を油で揚げることにより、前記衣から、海老の殻や海老の頭のエキスの甘く香ばしい独特の濃厚な風味が引き出され、従来提供されているものにはなかった、深いコクや豊かな香りを有する海老フライが出来上がる利点がある。
【0034】
以上のようにして製造された海老フライ素材は、包装後、冷凍状態や冷蔵状態で販売することができる。したがって、需要者は、前記海老フライ素材を油で揚げるだけで、風味豊かなおいしい海老フライを食べることができる。
【0035】
また、飲食店でも、海老殻パウダーや海老頭煮出し液を自分で作製して、海老フライ素材の材料として利用することができる。料理屋等では、一般に、殻むき海老に小麦粉等の打ち粉をまぶし、溶き卵にくぐらせてから、パン粉を付けて、海老フライ素材を作製する。そこで、この工程のいずれかの段階で、前記殻むき海老の表面に塗布したり、前記殻むき海老の内部に仕込んだり、前記打ち粉や前記溶き卵や前記パン粉に混入させたりして、海老殻パウダーや海老頭煮出し液を、海老フライ素材の構成材料として用いれば良い。
【0036】
本実施の形態では、これまで廃棄処分されていた、自然物としての海老の殻や頭を、海老フライ素材の材料として用いている。これにより、水産資源が有効利用され、且つ、海老フライの味や風味や栄養分を向上させることができる。このように、本発明は、人の体にも自然環境にもやさしい技術思想である。
【発明の属する技術分野】
本発明は、揚げることによって海老フライとなる海老フライ素材等に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
冷凍食品や冷蔵食品として、油で揚げるだけで海老フライとなる海老フライ素材が知られている。該海老フライ素材は、殻むきされた海老と、該殻むき海老に付けられた衣と、からなり、従来、頭取りや殻むきや背わた取り等の所定の下処理を施した海老に小麦粉をまぶし、これを、バッタ液にくぐらせた後に、パン粉を付けて作製されている。
【0003】
そして、海老の下処理工程で海老の身から取り外される海老の頭や殻は、その大部分がそのまま廃棄されているのが現状である。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、海老の頭は、濃厚な旨みを含む部分であり、また、海老の殻も、キチンキトサン質及びカルシウム等を豊富に含む有用な部分であるので、これらを廃棄してしまうのは、廃棄費用がかかるだけでなく、有用な水産資源の無駄となり、好ましくない。
【0005】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、水産資源を有効に活用でき、しかも、従来のものより栄養分や海老の風味等が豊かな、海老フライ素材及び海老フライを提供しようとするものである。
【0006】
本発明はまた、前記海老フライ素材及び海老フライを製造するのに用いて好適な、海老頭エキスの製造方法を提供しようとするものである。
【0007】
さらに、本発明は、新規かつ有用な、海老の頭や殻の使用方法を提供しようとするものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
前記課題を解決するため、本発明の一実施の形態に係る海老フライ素材は、殻むきした海老と、該殻むき海老に付けられた衣と、を備え、揚げることにより海老フライとなる海老フライ素材であって、海老の殻の粉末と、海老の頭のエキスの、少なくともいずれか一方が含まれていることを特徴としている(請求項1)。
【0009】
本発明において、前記海老フライ素材に海老の殻の粉末が含まれている場合には、前記海老フライ素材には、海老の殻が有するキチンキトサン質やカルシウム分等の有効成分が含まれることになる。よって、これを食する者にとって、栄養上及び健康上の有用性が大きい。加えて、海老の殻は、粉末として海老フライ素材に含まれているので、海老フライとしての食感を害することもない。
【0010】
また、前記海老フライ素材に海老の頭のエキスが含まれている場合には、前記海老フライ素材には、海老の頭から抽出された旨み成分が含まれることになる。よって、旨み豊かな、濃厚な味わいの海老フライが出来上がる。
【0011】
本発明において、海老の頭のエキスとは、海老の頭を煮出すことにより、その旨み成分を十分に引き出した出汁をいい、海老の頭をそのまま煮出す方法、海老の頭を焼いてから煮出す方法、海老の頭を焼いて粉砕してから煮出す方法等、その具体的な製造方法に限定はないものとする。但し、海老特有の香りを効率的に引き出す上では、海老の頭をこんがりと焼き、これを粉砕してから水を加えて煮出す方法が望ましい。
【0012】
好適な実施の一形態として、海老の殻の前記粉末と海老の頭の前記エキスとが、前記衣に含まれているものとすることもできる(請求項2)。
【0013】
このようにすれば、海老フライ素材を油で揚げることにより、前記衣から、海老の殻の甘く香ばしい風味や、海老の頭のエキスの濃厚な風味がより強く引き出され、一層香りや旨みの豊かな海老フライが出来上がる。
【0014】
本発明の一実施の形態に係る海老フライは、前記海老フライ素材を油で揚げたものである(請求項3)。
【0015】
本発明の一実施の形態に係る海老頭エキスの製造方法は、こんがりと焼いた海老の頭を粉砕することにより、その海老の頭に残っている水分のみを利用してペースト状にした後に、水を加えて煮ることを特徴としている(請求項4)。このようにすれば、海老頭エキスの旨みの濃度の管理が容易であり、常に一定品質の海老頭エキスを作ることができる。
【0016】
また、本発明の一実施の形態に係る海老頭等の使用方法は、海老の頭のエキスと海老の殻の少なくともいずれか一方を、海老フライの材料として使用することを特徴としている(請求項5)。
【0017】
【発明の実施の形態】
本発明の好適な一実施の形態に係る海老フライ素材は、殻むきした海老と、該殻むき海老に付けられた衣と、を備え、揚げることにより海老フライとなる海老フライ素材である。そして、該海老フライ素材は、海老の殻の粉末と、海老の頭のエキスの、少なくともいずれか一方、好ましくはその双方を含んだものである。
【0018】
本実施の形態に係る海老フライ素材は、次のようにして製造することができる。
【0019】
まず、原材料となる海老が冷凍海老である場合には、これを解凍する。そして、その海老を洗浄し、所定の下処理を行う。ここで、所定の下処理とは、海老の頭取り、殻むき、背わた取り、尻尾の先の切り取り作業等をいう。但し、頭付きの海老フライ素材を製造する場合には、頭取り作業は不要である。また、揚げた時に海老フライが湾曲してしまうことを防止するため、殻むき海老の胴体へ、腹側から三箇所程度切り目を入れることを、前記所定の下処理として行ってもよい。
【0020】
従来、前記下処理工程で取り外された海老の殻と、海老の頭は、その大部分がそのまま廃棄処理されていた。これに対し、本実施の形態では、海老の殻と、海老の頭に、所定の加工を加えて、海老の殻の粉末と、海老の頭のエキスと、を製造し、これらを、海老フライの材料として使用する。
【0021】
海老の殻の粉末は、次のようにして製造することができる。
【0022】
まず、海老から取り外した殻を洗浄して、ごみや余分な蛋白等を洗い流す(洗浄工程)。次いで、水切りを行う(水切り工程)。そして、オーブン等の加熱装置を用いて、炭化しないように注意しながら加熱する(焼成工程)。この加熱により、海老の殻の水分を完全に除去するとともに、海老の殻から香ばしい風味を十分に引き出す。加熱温度及び加熱時間は、例えば、180℃、約10分程度とすることができる。その後、フードプロセッサー等の粉砕機にかけ、微粉末状に粉砕し(粉砕工程)、1〜2mm程度のメッシュでふるいにかける(ふるい工程)。これにより、さらさらの微粒子の海老の殻の粉末(海老殻パウダー)が出来上がる。
【0023】
一方、海老の頭のエキスは、次のようにして製造することができる。
【0024】
まず、海老から取り外した頭を、遠赤外線の焼成機(加熱装置)等を用いて、炭化しないように注意しながら、且つ、水分を完全には飛ばさないように加熱する(焼成工程)。こうすることにより、海老の頭の表面をこんがりと焼き、海老特有の色、香り及び旨みを十分に引き出す。加熱温度及び加熱時間は、例えば、170℃で約20分程度とすることができる。
【0025】
次いで、フードプロセッサー等の粉砕機にかけ、海老の頭を粉砕する(粉砕工程)。焼成工程を経た海老の頭の中には、まだ水分が残っているから、これを粉砕機で粉砕すると、海老の頭はペースト状になる。この海老頭ペーストに、所定量の水を加えて混合し、これをゆっくりと煮込む(煮込み工程)。これにより、海老の頭のエキスを十分に抽出する。海老頭ペーストと水の混合比率は、例えば、海老頭ペースト1:水3(体積比)とすることができる。また、煮込み温度及び煮込み時間は、例えば、90℃、30分程度とすることができる。最後に、0.8〜1mm程度のメッシュで漉せば(ろ過工程)、海老の頭のエキス(海老頭煮出し液)が出来上がる。
【0026】
本実施の形態の手順のように、海老の頭に含まれている水分のみを利用して海老頭ペーストを作り、それに所定比率の水を加えて煮込むことによって、前記海老頭煮出し液を製造することとすれば、海老頭煮出し液の濃度の管理が容易であり、常に一定品質の海老頭煮出し液を作ることができて、好適である。また、海老の頭のエキスを煮出す前に、海老の頭をこんがりと焼くことにより、海老特有の色、香り及び旨みを十分に引き出すことができて、好適である。
【0027】
以上のようにして製造された海老殻パウダーと、海老頭煮出し液は、その後、海老フライ素材の製造工程に、材料として投入される。
【0028】
前記下処理工程を経た殻むき海老は、小麦粉等の打ち粉を付け、バッタ液に浸して、パン粉をまぶすことにより、海老フライ素材として完成する。ここで、前記海老殻パウダーと、前記海老頭煮出しは、前記海老フライ素材の製造工程のいずれかの段階で、前記殻むき海老の表面に塗布したり、前記殻むき海老の内部に仕込んだり、前記打ち粉や前記バッタ液や前記パン粉に混入させたりして、海老フライ素材の構成材料として用いれば良い。
【0029】
具体的には、例えば、前記海老頭煮出し液は、前記バッタ液を調製する際に、パッタ粉を溶くための液体成分として、従来の水に代えて使用することができる。
【0030】
すなわち、従来から、冷凍海老フライ素材を製造する場合には、主として殻むき海老へのパン粉の付着性を良好なものにするため、デンプンやトウモロコシ粉等の穀粉、粉状卵白、食塩等を調合した、バッタ粉といわれるそれ自体周知の粉に、水を加えて混合し、こうして出来たバッタ液に、打ち粉がついた殻むき海老を浸した後に、パン粉をまぶすことが行われている。そこで、前記バッタ粉に、水の代わりに、前記海老頭煮出し液を加えて攪拌することにより、海老フライ素材に対して、前記海老頭煮出し液の旨みを、簡単且つ確実に付与することができる。この場合、前記バッタ粉と前記海老頭煮出し液の混合比率は、例えば、体積比で、100:55程度とすることができる。
【0031】
一方、前記海老殻パウダーは、例えば、前記パン粉に混入させて使用することができる。この場合、生パン粉10:海老殻パウダー0.5:食用油脂1(体積比)を混合し、これを加熱攪拌して冷却したものを、パン粉として用いることができる。
【0032】
他の具体例として、前記海老殻パウダーは、前記打ち粉に混合して、又は、前記打ち粉自体として、殻むき海老の表面にまぶすこともできるし、前記バッタ粉に混入して用いることもできる。
【0033】
特に、前記海老頭煮出し液および前記海老殻パウダーは、殻むき海老の衣に混入させて用いると、海老フライ素材を油で揚げることにより、前記衣から、海老の殻や海老の頭のエキスの甘く香ばしい独特の濃厚な風味が引き出され、従来提供されているものにはなかった、深いコクや豊かな香りを有する海老フライが出来上がる利点がある。
【0034】
以上のようにして製造された海老フライ素材は、包装後、冷凍状態や冷蔵状態で販売することができる。したがって、需要者は、前記海老フライ素材を油で揚げるだけで、風味豊かなおいしい海老フライを食べることができる。
【0035】
また、飲食店でも、海老殻パウダーや海老頭煮出し液を自分で作製して、海老フライ素材の材料として利用することができる。料理屋等では、一般に、殻むき海老に小麦粉等の打ち粉をまぶし、溶き卵にくぐらせてから、パン粉を付けて、海老フライ素材を作製する。そこで、この工程のいずれかの段階で、前記殻むき海老の表面に塗布したり、前記殻むき海老の内部に仕込んだり、前記打ち粉や前記溶き卵や前記パン粉に混入させたりして、海老殻パウダーや海老頭煮出し液を、海老フライ素材の構成材料として用いれば良い。
【0036】
本実施の形態では、これまで廃棄処分されていた、自然物としての海老の殻や頭を、海老フライ素材の材料として用いている。これにより、水産資源が有効利用され、且つ、海老フライの味や風味や栄養分を向上させることができる。このように、本発明は、人の体にも自然環境にもやさしい技術思想である。
Claims (5)
- 殻むきした海老と、該殻むき海老に付けられた衣と、を備え、揚げることにより海老フライとなる海老フライ素材であって、海老の殻の粉末と、海老の頭のエキスの、少なくともいずれか一方が含まれている、海老フライ素材。
- 海老の殻の前記粉末と海老の頭の前記エキスとが、前記衣に含まれている、請求項1に記載の海老フライ素材。
- 請求項1又は2に記載の海老フライ素材を油で揚げてある、海老フライ。
- こんがりと焼いた海老の頭を粉砕することにより、その海老の頭に残っている水分のみを利用してペースト状にした後に、水を加えて煮ることを特徴とするた、海老頭エキスの製造方法。
- 海老の頭のエキスと海老の殻の少なくともいずれか一方を、海老フライの材料として使用することを特徴とする、海老頭等の使用方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2003080323A JP2004283105A (ja) | 2003-03-24 | 2003-03-24 | 海老フライ素材及び海老フライ |
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JP2003080323A JP2004283105A (ja) | 2003-03-24 | 2003-03-24 | 海老フライ素材及び海老フライ |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
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Country Status (1)
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---|---|
JP (1) | JP2004283105A (ja) |
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN105265938A (zh) * | 2015-05-11 | 2016-01-27 | 浙江海洋学院 | 一种虾头佐餐食品及其加工方法 |
CN110663902A (zh) * | 2019-11-19 | 2020-01-10 | 黄梅康宏生态农业发展有限公司 | 一种改善肉质和风味的冷冻熟制小龙虾的加工方法 |
-
2003
- 2003-03-24 JP JP2003080323A patent/JP2004283105A/ja active Pending
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
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CN110663902A (zh) * | 2019-11-19 | 2020-01-10 | 黄梅康宏生态农业发展有限公司 | 一种改善肉质和风味的冷冻熟制小龙虾的加工方法 |
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