JP2004281004A - 磁気抵抗効果型薄膜磁気ヘッド及びその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】磁気記録媒体との摺動面側から見て、磁気抵抗効果素子41,42の形成幅をトラック幅Twとし、磁性材料でなるシールド磁性膜22を介して磁気抵抗効果素子41,42をトラック幅方向に相互にずらして2層以上積層する。シールド磁性膜22は、第1磁気抵抗効果素子41側の上部磁性磁極と、第2磁気抵抗効果素子42側の下部磁性磁極とを兼用する。この構成により、マルチトラック対応の再生用薄膜磁気ヘッドを構成でき、各磁気抵抗効果素子41,42への不要磁束の侵入を第2シールド磁性膜22によって防止して、記録信号に忠実な再生信号を出力することができる。
【選択図】 図1
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、マルチトラック構造の磁気抵抗効果型薄膜磁気ヘッド装置及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、磁気記録の分野においては、高音質の音声データや高画質の映像データ等の信号を大量に記録再生する必要性が高まっており、記憶媒体の大容量化及び高転送レート化が望まれている。
【0003】
磁気テープを用いてデータの記録及び再生を行う磁気記録再生装置としては、従来より、周面に磁気ヘッドが設けられた回転ドラムに対して、磁気テープをヘリカル状に巻き付けて信号の記録及び再生を行うヘリカルスキャン方式が知られている。このヘリカルスキャン方式は、走行する磁気テープ上を磁気ヘッドが斜め方向に高速で摺動して信号の記録及び再生を行うので、磁気テープと磁気ヘッドとの相対摺動速度が速く、これにより記録密度及びデータ転送レートの向上が実現されている。
【0004】
そこで、更なる高転送レート化を実現する方法として、トラック幅方向に複数の磁気ヘッドを回転ドラムの周面に各々配設することにより、複数のトラックに対する記録及び再生を同時に行うことを可能とするマルチトラックヘッドが知られている(下記特許文献1参照)。
【0005】
一方、高記録密度化に対応した磁気ヘッドとして、薄膜形成工程によってヘッド素子を構成する各構成要素が積層形成されてなる、いわゆる薄膜磁気ヘッドが注目されている。薄膜磁気ヘッドは、磁性膜、非磁性絶縁膜等の薄膜層が真空薄膜形成技術により形成されるため、狭トラック化や狭ギャップ化等の微細寸法化が容易であるという特徴を有している。
【0006】
例えば、ハードディスク駆動装置等では、記録専用ヘッドとして電磁誘導を利用したインダクティブ型薄膜磁気ヘッドと、再生専用ヘッドとして磁気抵抗効果を利用した磁気抵抗効果型薄膜磁気ヘッドとを組み合わせた複合型の薄膜磁気ヘッドが実用化されている(下記特許文献2参照)。
【0007】
中でも、磁気抵抗効果型薄膜磁気ヘッドは、遷移金属に見られる磁化の向きとその内部を流れる電流の向きのなす角によって電気抵抗値が変化する磁気抵抗効果現象を利用しており、再生出力が媒体速度に依存せず、低媒体速度でも高再生出力が得られるという特徴を有している。
【0008】
磁気抵抗効果型薄膜磁気ヘッドにおいては、磁気記録媒体からの漏洩磁束を磁気抵抗効果素子が受けると、その磁束により磁気抵抗効果素子の磁化の向きが反転し、磁気抵抗効果素子の内部を流れる電流の向きに対して磁束量に応じた角度を持つようになる。そのため、磁気抵抗効果素子の電気抵抗値が変化し、この変化量に応じた電圧変化が、電流が流れている磁気抵抗効果素子の両端の電極に現れる。したがって、この電圧変化を電圧信号として磁気記録信号を読み出せることになる。
【0009】
磁気抵抗効果型薄膜磁気ヘッドは、基板上に薄膜技術により磁気抵抗効果素子や電極膜、絶縁層等を成膜し、フォトリソ技術によってこれらを所定形状にエッチングすることにより形成され、再生時のギャップ長を規定して不要な磁束の磁気抵抗効果素子への侵入を防止するために、シールド材となる下部磁性磁極及び上部磁性磁極を上下に配したシールド構造を採用している。
【0010】
なお、この出願の発明に関連する先行技術文献として、以下のものが挙げられる。
【特許文献1】
特開2002−298570号公報
【特許文献2】
特開2001−155308号公報
【特許文献3】
特開2001−250204号公報(第7−8頁、図9b)
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
デジタルテープレコーダでは、通常のアナログテープレコーダに比べて記録する信号量が飛躍的に増大することから、複数のトラックを同時に記録するマルチトラック記録方式が採用されている。かかる状況より、磁気ヘッドの分野においても、デジタルにおける高記録密度化に対処するべくマルチトラック構造とした磁気ヘッドへの要求が高まっている。
【0012】
しかしながら、特許文献1に記載されているように、複数の再生用のヘッドチップを回転ドラムの周面に配設することによってマルチトラック化に対応させた従来の磁気ヘッドにおいては、各ヘッドチップ間のギャップ間隔調整やトラック高さ位置合わせを高精度に行うのが極めて困難であり、ヘッドチップの回転ドラムへの取付け作業も難しく煩雑化し、歩留まりや製造コスト等の点で大きな問題を有している。
【0013】
また、特許文献2に記載されているような複合型の薄膜磁気ヘッドは、記録及び再生の各々専用の磁気ヘッドを具備するものの、複数のトラックに対して再生動作を同時に行うことは不可能な構成である。
【0014】
更に、特許文献3には、上下一組のシールド材の間に主磁極薄膜を二層、トラック幅方向にずらして積層した構成の薄膜磁気ヘッドが開示されているが、この構成を再生ヘッドとして採用するとなると、各主磁極薄膜に対する不要磁束の侵入は避けられないので、記録信号に忠実な再生出力を高精度に得ることはできないという問題がある。
【0015】
本発明は上述の問題に鑑みてなされ、記録信号を忠実に再生でき、生産性に優れたマルチトラック対応の磁気抵抗効果型薄膜磁気ヘッド及びその製造方法を提供することを課題とする。
【0016】
【課題を解決するための手段】
以上の課題を解決するに当たり、本発明の磁気抵抗効果型薄膜磁気ヘッドは、磁気記録媒体との摺動面側から見て磁気抵抗効果素子の形成幅をトラック幅とし、磁性材料でなるシールド材を介して上記磁気抵抗効果素子をトラック幅方向に相互にずらして2層以上積層したことを特徴とする。
【0017】
本発明の磁気抵抗効果型薄膜磁気ヘッドにおいては、磁性材料でなるシールド材を介して磁気抵抗効果素子をトラック幅方向に相互にずらして2層以上積層しているので、複数のトラックに対する再生動作を同時に行うことを可能としながら、各磁気抵抗効果素子への不要磁束の侵入を層間のシールド材によって防止することができ、これにより記録信号に忠実なデータの読み取りを高精度に行うことが可能となる。
【0018】
好ましくは、各層の磁気抵抗効果素子の間に設けられるシールド材を、一層でそれを挟む各磁気抵抗効果素子のシールドとして共用する。すなわち、当該シールド材を、一方の磁気抵抗効果素子の上部磁性磁極、及び、他方の磁気抵抗効果素子の下部磁性磁極として兼用する。これにより、シールド材の層数を少なくできるので、磁気ヘッドの薄型化は勿論、生産性及び歩留まりの向上を図ることが可能となる。
【0019】
また、本発明の磁気抵抗効果型薄膜磁気ヘッドの製造方法は、第1のシールド磁性体の上に第1の非磁性絶縁膜を介して第1の磁気抵抗効果素子を形成する工程と、第1の磁気抵抗効果素子の上に第2の非磁性絶縁膜を介して第2のシールド磁性体を形成する工程と、第2のシールド磁性体の上に第3の非磁性絶縁膜を介して第2の磁気抵抗効果素子を、第1の磁気抵抗効果素子に対してトラック幅方向にずらして形成する工程と、第2の磁気抵抗効果素子の上に第4の非磁性絶縁膜を介して第3のシールド磁性体を形成する工程とを有することを特徴とする。
【0020】
この方法によれば、第1の磁気抵抗効果素子の上部磁性磁極と、第2の磁気抵抗効果素子の下部磁性磁極とが、第2のシールド磁性体で共通に構成された磁気抵抗効果型薄膜磁気ヘッドが得られる。これにより、マルチトラック化に対応した高性能な再生用薄膜磁気ヘッドを工程数少なく、高歩留まりで製造することが可能となる。
【0021】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
【0022】
図1は、本発明の実施の形態による磁気抵抗効果型薄膜磁気ヘッド(以下「薄膜磁気ヘッドという。)1の構成を示しており、磁気記録媒体との摺動面から見た断面模式図である。
【0023】
薄膜磁気ヘッド1は、Al2O3−TiC(アルチック)等でなる非磁性基板11上に、絶縁層12を介してNi−Fe等でなる第1シールド磁性膜21が成膜され、この第1シールド磁性膜21の上にSiO2膜やAl2O3膜等でなる第1非磁性絶縁膜31が積層されている。
【0024】
そして、第1非磁性絶縁膜31の上には、感磁部である第1磁気抵抗効果素子41が形成され、更にこの第1磁気抵抗効果素子41に接続されるハードバイアス膜13が成膜されるとともに、このハードバイアス膜13の上に電極膜14が積層されている。
【0025】
第1磁気抵抗効果素子41は、図2にその立体的構造を示すが、本実施の形態ではスピンバルブGMR(巨大磁気抵抗効果素子)で構成されている。スピンバルブGMRは多層構造とされ、主として反強磁性層、ピン層、非磁性層及びフリー層を有する公知の構成とされている。
【0026】
ピン層磁化は隣接する反強磁性膜からの交換結合磁界により固定され、フリー層磁化は磁気記録媒体からの磁界に反応して回転する。フリー層磁化は自己の結晶磁気異方性とハードバイアス膜13からの磁界によりトラック幅方向に揃えられており、ピン層磁化と直交関係にある。そこで、磁気記録媒体からの磁界が入ると、フリー層磁化はピン層磁化に対し平行(同一方向)又は反平行(逆行)方向へと変化し、このとき生じるセンス電流の電気抵抗値の変動を読み取って再生信号が得られるようになっている。
【0027】
第1磁気抵抗効果素子41は、平面形状が略長方形パターンとして形成され、その一側縁部が上記摺動面に臨むようになされており、摺動面側から見て素子の形成幅がトラック幅Twとされている。
【0028】
ハードバイアス膜13は、上記フリー層のバルクハウゼンノイズを除去するための永久磁石膜であり、例えばCo−Cr−Pt膜で構成されている。電極膜14は、第1磁気抵抗効果素子41にセンス電流を印加するための非磁性導体膜であり、例えば、Ti,Mo,Ta膜等で構成されている。
【0029】
第1磁気抵抗効果素子41及び電極膜14の上には、SiO2膜やAl2O3膜等でなる第2非磁性絶縁膜32を介して、Ni−Fe等でなる第2シールド磁性膜22が成膜されている。
【0030】
次に、第2シールド磁性膜22の上には、SiO2膜やAl2O3膜等でなる第3非磁性絶縁膜33を介して、感磁部である第2磁気抵抗効果素子42が形成されている。更にこの第2磁気抵抗効果素子42に接続されるハードバイアス膜15が成膜されるとともに、このハードバイアス膜15の上に電極膜16が積層されている。
【0031】
第2磁気抵抗効果素子42は、第1磁気抵抗効果素子41と同様、GMRすなわち巨大磁気抵抗効果素子で構成されている。第2磁気抵抗効果素子42は、平面形状が略長方形パターンとして形成され、その一側縁部が上記摺動面に臨むようになされており、摺動面側から見て素子の形成幅がトラック幅Twとされている。
【0032】
第1磁気抵抗効果素子41の形成幅と第2磁気抵抗効果素子42の形成幅はそれぞれ同一に形成されている。第2磁気抵抗効果素子42は、第1磁気抵抗効果素子41に対してトラック幅Twの方向にずらして形成されている。本実施の形態では、第1磁気抵抗効果素子41に対して第2磁気抵抗効果素子42が1トラック分ずれた位置に形成されている。
【0033】
ハードバイアス膜15は永久磁石膜であり、例えばCo−Cr−Pt膜で構成されている。電極膜16は、第2磁気抵抗効果素子42にセンス電流を通電するための非磁性導体膜であり、例えば、Ti,Mo,Ta膜等で構成されている。
【0034】
第2磁気抵抗効果素子42及び電極膜16の上には、SiO2膜やAl2O3膜等でなる第4非磁性絶縁膜34を介して、Ni−Fe等でなる第3シールド磁性膜23が成膜されている。
【0035】
本実施の形態の薄膜磁気ヘッド1は、第1シールド磁性膜21と第1磁気抵抗効果素子41と第2シールド磁性膜22とで第1の再生用薄膜磁気ヘッド部が構成され、第1シールド磁性膜21及び第2シールド磁性膜22は当該第1の再生用薄膜磁気ヘッド部の下部磁性磁極及び上部磁性磁極としてそれぞれ機能する。このとき、第1非磁性絶縁膜31及び第2非磁性絶縁膜は当該第1の再生用薄膜磁気ヘッド部の下層ギャップ及び上層ギャップとしてそれぞれ機能することになる。
【0036】
また、本実施の形態の薄膜磁気ヘッド1は、第2シールド磁性膜22と第2磁気抵抗素子42と第3シールド磁性膜23とで第2の再生用薄膜磁気ヘッド部が構成され、第2シールド磁性膜22及び第3シールド磁性膜23は当該第2の再生用薄膜磁気ヘッド部の下部磁性磁極及び上部磁性磁極としてそれぞれ機能する。このとき、第3非磁性絶縁膜33及び第4非磁性絶縁膜34は当該第2の再生用薄膜磁気ヘッド部の下層ギャップ及び上層ギャップとしてそれぞれ機能することになる。
【0037】
以上のように構成された薄膜磁気ヘッド1では、磁気記録媒体に記録された信号を再生する際に、電極膜14,16を介して、第1,第2磁気抵抗効果素子41,42に対してセンス電流が供給される。また、図示しない検出機構によって、これら磁気抵抗効果素子41,42の電圧値が検出される。磁気抵抗効果素子41,42の抵抗値は、磁気記録媒体からの信号磁界に応じて変化する。このため、センス電流の電圧値は、磁気抵抗効果素子41,42の抵抗値の変化に基づいて変化し、この電圧値の変化を検出することによって、磁気記録媒体からの信号磁界を検出する。
【0038】
そこで、本実施の形態の薄膜磁気ヘッド1によれば、磁気抵抗効果素子41,42を相互にトラック幅Tw方向にずらして2層積層しているので、磁気記録媒体の2トラック分に記録されている信号磁界を同時に検出することができる。これにより、デジタル磁気テープ等の高記録密度テープ状磁気記録媒体のマルチトラックに対応した再生用磁気抵抗効果型薄膜磁気ヘッドを得ることができる。
【0039】
また、本実施の形態の薄膜磁気ヘッド1によれば、各磁気抵抗効果素子41,42の間に第2シールド磁性膜22が介装されているので、各磁気抵抗効果素子41,42への不要磁界(磁束)の侵入を効果的に防止することができる。これにより、各トラックの信号磁界を高精度に読み出すことができる。
【0040】
更に、第2シールド磁性膜22が、第1磁気抵抗効果素子41の上部磁性磁極と、第2磁気抵抗効果素子42の下部磁性磁極とを兼用した構成であるので、薄膜ヘッド1の薄型化を図ることができる。本発明者らの試作によれば、素子間の距離を2.7μm以下に形成することができることが確認されている。
【0041】
次に、以上のように構成される本実施の形態の薄膜磁気ヘッド1の製造方法について図3〜図6を参照して説明する。ここで、図3〜図6は、薄膜ヘッド1の製造方法を説明する工程断面図である。
【0042】
先ず、図3Aに示すように、例えばAl2O3−TiC材からなる非磁性基板11上に、当該基板11の絶縁と表面性の改善を目的として、Al2O3やSiO2膜等でなる絶縁層12を形成する。
【0043】
次に、絶縁層12の上に、第1シールド磁性膜21を成膜する。この第1シールド磁性膜21は、例えばパーマロイ等の軟磁性材料膜をスパッタリングやめっき等の手法により成膜した後、これを所定形状に加工して形成される。
【0044】
次に、図3Bに示すように、第1シールド磁性膜21の上に、Al2O3やSiO2膜等でなる第1非磁性絶縁膜31を成膜し、その上に第1磁気抵抗効果素子41を構成する多層構造のGMR膜41Aを例えばスパッタリング法によって形成する。
【0045】
続いて、GMR膜41A上にフォトレジストを塗布しマスクを施して、図3Cに示すような所定形状のレジストパターンFR1を形成する。そして、このレジストパターンFR1をマスクとしてGMR膜41Aを例えばイオンミリング法によってエッチングした後、図4Dに示すように、ハードバイアス膜13及び電極膜14を成膜し所定形状に加工する。
【0046】
電極膜14の形成後、有機溶剤を用いてレジストパターンFR1と、レジストパターンFR1の上部に堆積したハードバイアス膜13及び電極膜14をリフトオフすることで、図4Eに示すような形状の第1磁気抵抗効果素子41が形成される。
【0047】
続いて、図5Fに示すように、Al2O3やSiO2膜等でなる第2非磁性絶縁膜32を成膜し、この第2非磁性絶縁膜32の上に、第2シールド磁性膜22の下地膜として例えばNi−Fe膜を成膜する。そして、フォトレジストを用いてフォトリソ技術により所定の形状に第2シールド磁性膜22のフレームパターンを形成した後、図5Gに示すようにNi−Fe等で第2シールド磁性膜22を成膜する。
【0048】
その後、上記フレームパターンを有機溶剤を用いて除去し、イオンミリング法によって上記Ni−Fe下地膜を除去する。更に、第2シールド磁性膜22の不要部分をウェットエッチングにて除去するためのカバーレジストを形成する。そして、硝酸を主成分とするエッチャントにて上記不要部分を溶解除去した後、上記カバーレジストを有機溶剤を用いて除去する。
【0049】
そして、全体をAl2O3等の絶縁膜で埋め込んだ後研磨し、第2シールド磁性膜22の表面が露出して、所定のシールド厚となったところで研磨を終了する。以上のようにして、第1の再生用薄膜ヘッド部が完成する。
【0050】
第2の再生用薄膜ヘッド部は、上述した第1の再生用薄膜ヘッド部と同様な工程を経て製造される。この場合、第1の再生用薄膜ヘッド部の上部磁性磁極に対応する第2シールド磁性膜22が、第2の再生用薄膜ヘッド部の下部磁性磁極として共用される。
【0051】
図6Hに示すように、第2シールド磁性膜22の上に、Al2O3やSiO2膜等でなる第3非磁性絶縁膜33を形成した後、第2磁気抵抗効果素子42を構成するGMR膜、ハードバイアス膜15及び電極膜16を形成する。この場合、第2磁気抵抗効果素子42は、下層側の第1磁気抵抗効果素子41に対して1トラック分だけトラック幅方向にずらして形成する。
【0052】
そして、図6Iに示すように、同じくAl2O3やSiO2膜等でなる第4非磁性絶縁膜34を形成した後、第2シールド磁性膜22の形成工程と同一の工程を経て、Ni−Fe等でなる第3シールド磁性膜23を形成する。以上のようにして、第2の再生用薄膜磁気ヘッド部が完成する。
【0053】
以上のように、本実施の形態の薄膜磁気ヘッド1の製造方法においては、第1の再生用薄膜磁気ヘッド部の上部磁性磁極と、第2の再生用薄膜磁気ヘッド部の下部磁性磁極とを、中間シールド層として設けられた第2シールド磁性膜22で兼用させているので、上記した上部磁性磁極及び下部磁性磁極とを各々独立して形成する場合に比べて薄膜磁気ヘッド1の構成層数を少なくでき、これにより膜応力の低減が図られ、また研磨工程の精度が向上し、高歩留まりで生産性の高いマルチトラック対応の再生用薄膜磁気ヘッド1を製造することができる。
【0054】
また、本実施の形態の薄膜磁気ヘッド1の製造方法においては、第1の再生用薄膜磁気ヘッドの上に第2の再生用薄膜磁気ヘッドを積層する際、第2シールド磁性膜22の上面を平坦化する工程を有しているので、第1磁気抵抗効果素子41と第2磁気抵抗効果素子42との間の形成ピッチ(トラックピッチ)を精度良く製作できるので、マルチトラック対応の再生用薄膜磁気ヘッドを高精度に製造することができる。
【0055】
以上、本発明の実施の形態について説明したが、勿論、本発明はこれに限定されることなく、本発明の技術的思想に基づいて種々の変形が可能である。
【0056】
例えば以上の実施の形態では、磁気抵抗効果素子41,42を2層積層した構造の薄膜磁気ヘッド1について説明したが、磁気抵抗効果素子の積層数は2層に限らず、更にその数を増加してもよい。この場合、第2の再生用薄膜ヘッド部の上部磁性磁極に対応する第3シールド磁性膜23を、積層する第3の再生用薄膜磁気ヘッド部の下部磁性磁極として兼用すればよい。
【0057】
また、以上の実施の形態では、磁気抵抗効果素子414,42として巨大磁気抵抗効果(GMR)素子を適用した例について説明したが、これに代えて、従来より公知の異方性磁気抵抗効果(AMR)素子を適用してもよい。
【0058】
更に、以上の実施の形態では、磁気抵抗効果素子41,42を各層でトラック幅方向に1トラック分ずらして形成したが、ずらす量はこれに限定されず、一部が互いにオーバーラップしていてもよい。
【0059】
【発明の効果】
以上述べたように、本発明の磁気抵抗効果型薄膜磁気ヘッドによれば、磁性材料でなるシールド材を介して磁気抵抗効果素子をトラック幅方向に相互にずらして2層以上積層しているので、複数のトラックに対する再生動作を同時に行うことを可能としながら、各磁気抵抗効果素子への不要磁束の侵入を層間のシールド材によって防止することができ、これにより記録信号に忠実なデータの読み取りを高精度に行うことが可能となる。
【0060】
また、本発明の磁気抵抗効果型薄膜磁気ヘッドの製造方法によれば、1の磁気抵抗効果素子の上部磁性磁極と、第2の磁気抵抗効果素子の下部磁性磁極とが、第2のシールド磁性体で共通に構成された磁気抵抗効果型薄膜磁気ヘッドが得られるので、マルチトラック化に対応した高性能な再生用薄膜磁気ヘッドを工程数少なく、高歩留まりで製造することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態による磁気抵抗効果型薄膜磁気ヘッド1の構成を磁気記録媒体摺動面側から見た断面模式図である。
【図2】磁気抵抗効果型薄膜磁気ヘッド1を構成する磁気抵抗効果素子の立体構造を模式的に示す斜視図である。
【図3】磁気抵抗効果型薄膜磁気ヘッド1の製造方法を説明する工程断面図であり、Aは第1シールド磁性膜形成工程、Bは第1非磁性絶縁膜形成工程、CはGMR膜形成工程を示している。
【図4】磁気抵抗効果型薄膜磁気ヘッド1の製造方法を説明する工程断面図であり、第1磁気抵抗効果素子の形成工程を示している。
【図5】磁気抵抗効果型薄膜磁気ヘッド1の製造方法を説明する工程断面図であり、Fは第2非磁性絶縁膜形成工程、Gは第2シールド磁性膜形成工程を示している。
【図6】磁気抵抗効果型薄膜磁気ヘッド1の製造方法を説明する工程断面図であり、Hは第2磁気抵抗効果素子形成工程、Iは第4非磁性絶縁膜形成工程及び第3シールド磁性膜形成工程を示している。
【符号の説明】
1…磁気抵抗効果型薄膜磁気ヘッド、11…非磁性基板、13,15…ハードバイアス膜、14,16…電極膜、21…シールド磁性膜、22…第2シールド磁性膜、23…第3シールド磁性膜、31…第1非磁性絶縁膜、32…第2非磁性絶縁膜、33…第3非磁性絶縁膜、34…第4非磁性絶縁膜、41…第1磁気抵抗効果素子、42…第2磁気抵抗効果素子、Tw…トラック幅。
Claims (5)
- 磁気記録媒体との摺動面側から見て磁気抵抗効果素子の形成幅をトラック幅とし、磁性材料でなるシールド材を介して前記磁気抵抗効果素子を前記トラック幅方向に相互にずらして2層以上積層した
ことを特徴とする磁気抵抗効果型薄膜磁気ヘッド。 - 前記シールド材が、一層でそれを挟む前記各磁気抵抗効果素子のシールド材として共用されている
ことを特徴とする請求項1に記載の磁気抵抗効果型薄膜磁気ヘッド。 - 前記磁気抵抗効果素子が異方性磁気抵抗効果素子又は巨大磁気抵抗効果素子でなる
ことを特徴とする請求項1に記載の磁気抵抗効果型薄膜磁気ヘッド。 - 磁気記録媒体との摺動面側から見て磁気抵抗効果素子の形成幅をトラック幅とした磁気抵抗効果型薄膜磁気ヘッドの製造方法において、
第1のシールド磁性膜の上に第1の非磁性絶縁膜を介して第1の磁気抵抗効果素子を形成する工程と、
前記第1の磁気抵抗効果素子の上に第2の非磁性絶縁膜を介して第2のシールド磁性膜を形成する工程と、
前記第2のシールド磁性膜の上に第3の非磁性絶縁膜を介して第2の磁気抵抗効果素子を、前記第1の磁気抵抗効果素子に対して前記トラック幅方向にずらして形成する工程と、
前記第2の磁気抵抗効果素子の上に第4の非磁性絶縁膜を介して第3のシールド磁性膜を形成する工程とを有する
ことを特徴とする磁気抵抗効果型薄膜磁気ヘッドの製造方法。 - 前記第2のシールド磁性膜を形成する工程の後、前記第2のシールド磁性膜の上面を平坦化する工程を有する
ことを特徴とする請求項4に記載の磁気抵抗効果型薄膜磁気ヘッドの製造方法。
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JP (1) | JP2004281004A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2015005319A (ja) * | 2013-06-21 | 2015-01-08 | 株式会社東芝 | 磁気ヘッド、磁気記録再生装置、および磁気ヘッドの製造方法 |
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2003
- 2003-03-18 JP JP2003074264A patent/JP2004281004A/ja active Pending
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2015005319A (ja) * | 2013-06-21 | 2015-01-08 | 株式会社東芝 | 磁気ヘッド、磁気記録再生装置、および磁気ヘッドの製造方法 |
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