JP2004278797A - 柱状体と係合状態確認方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 一方の柱状体端部に筒部1を設けると共に、他方の柱状体端部に軸部3を設けて、柱状体軸芯方向で隣り合う柱状体の筒部と軸部とを、筒部に軸部が入り込むように互いに嵌合自在に構成し、筒部と軸部との嵌合状態で、筒部と軸部とを抜け止め状態に係合する係合手段13を設けてある柱状体であって、係合手段による筒部と軸部との係合状態を判断するための連通孔15を、筒部外周面に開口するように形成してある。
【選択図】 図2
Description
そこで、近年、上述したように、一方の柱状体の端部に筒部を、他方の柱状体の端部に軸部を設け、その筒部に対して軸部を内嵌し、かつ、筒部の内周面に周方向に沿って形成した内向き溝部と軸部の外周面に周方向に沿って形成した外向き溝部とに跨ってキー部材を嵌め込むことによって、筒部と軸部とを抜け止め状態に係合して、両柱状体を接続するように構成した技術が提案されるに至った( 例えば、特許文献1参照) 。
したがって、仮にキー部材が両溝部に確実に跨っていなくても、両柱状体の接続が完了したものとして処理される虞があり、その場合には、両柱状体での抜け止め状態における接続力が低下し、柱状体全体に対して要求される強度そのものが低下するという問題点がある。
本発明は、このような従来の問題点に着目したもので、その目的は、筒部と軸部との係合状態を容易に判断できる柱状体とその係合状態確認方法の提供にある。
係合手段による筒部と軸部との係合状態を判断するための連通孔を、筒部外周面に開口するように形成してあるので、筒部と軸部との嵌合状態で、係合手段による筒部と軸部との係合状態を、筒部外周面に開口するように形成してある連通孔を通して容易に判断できる。
筒部と軸部との径方向における所定位置に納まることで互いに係合させる係合手段の径方向における納まり状態を、連通孔を通して検出できる。
係合手段の筒部と軸部との径方向における所定位置への納まり度を計測できるように、計測用ゲージを差込み可能な連通孔を、筒部外周面に開口するように形成し、連通孔に差込んだ計測用ゲージによる計測結果に基づいて、係合手段による筒部と軸部との係合状態を確認するので、筒部と軸部との係合状態を容易に判断できる。
この柱状体は、図1〜図4に示すように、上柱状体の一例である鋼管製の上支持杭A1と下柱状体の一例である鋼管製の下支持杭A2とを備え、上支持杭A1の下端には、鋳鋼製の筒部1が、その軸心L1を上支持杭A1の軸心X1と同軸状にして溶接2により接続されて、上支持杭A1と筒部1とにより一方の柱状体が構成されている。
他方、下支持杭A2の上端には、鋳鋼製の中空の軸部3が、その軸心L2を下支持杭A2の軸心X2と同軸状にして溶接4により接続されて、下支持杭A2と軸部3とにより他方の柱状体が構成されている。
筒部1には、上下2条の内向き溝部6に沿って、筒部1の外周面に開口し、かつ、各内向き溝部6に連通するボルト孔7がそれぞれ複数個設けられ、各ボルト孔7に対して、セットボルト8の大径ねじ部8aが螺合可能に構成されるとともに、筒部1の下端面1aの外周部には、環状の係合段部9が設けられている。
軸部3の外周面には、外側に向かって開口する環状の外向き溝部11が周方向に沿って上下に2条設けられ、軸部段部面3aの外周部には、環状の係合突起12が設けられていて、この軸部3を上支持杭A1の筒部1に内嵌して、係合凸部10を係合凹部5に、係合突起12を係合段部9に係合させた状態で、筒部1側の内向き溝部6と軸部3側の外向き溝部11とが互いに対向して位置し、両溝部6,11間に跨ってキー部材(係合手段)13が嵌め込み可能に設けられている。
前記セットボルト8の大径ねじ部8aと小径ねじ部8bとは、互いに逆方向のねじで構成され、したがって、筒部1に設けられたボルト孔7と各分割キー部材13aに設けられたボルト孔14も、互いに逆方向のねじで構成されている。
そして、各覗き孔15の内周面には、雌ねじ15aが設けられ、各覗き孔15に対して、補助セットボルト16が螺合可能に構成されている。
その状態で、筒部1の外側から各セットボルト8を操作し、大径ねじ部8aが筒部1のボルト孔7に螺合する方向に回転させる。すると、大径ねじ部8aが筒部1のボルト孔7に螺合すると同時に、分割キー部材13aが小径ねじ部8bから離脱する方向に移動して、各分割キー部材13aが、図4の(ロ)に示すように、筒部1の内向き溝部6と軸部3の外向き溝部11とに跨って嵌め込まれ、両支持杭A1,A2が抜け止め状態で接続される。
その場合、各覗き孔15から各分割キー部材13aの両端近くの状況を目視することができるので、そのような分割キー部材13aがあれば、図3の(ロ)に示すように、その覗き孔15に補助セットボルト16を螺合して、分割キー部材13aの端部近くを押圧することにより、分割キー部材13aを両溝部6,11に跨って完全に嵌め込むことができる。
(1)つぎに、図5および図6に示す別の実施形態について説明するが、重複説明を避けるため、先の実施形態と同じ部品や同じ作用を有する部品については、同じ符号を付すことにより説明を省略し、主として先の実施形態と異なる構成についてのみ説明する。
そのため、筒部1の下端部には、矩形の筒部側切欠き17が周方向に複数設けられ、軸部3の段部にも、矩形の軸部側切欠き18が、筒部側切欠き17に対応して複数設けられ、両切欠き17,18間に嵌入可能な回転阻止用キー部材19が、ボルト20によって軸部3に対して固定可能に構成されている。
したがって、先の実施形態では、両支持杭A1,A2を地中に埋設する際、支持杭A1,A2に打撃を加えて埋設する、いわゆる打ち込み工法や、地中に形成した縦穴に落とし込む地すべり抑止杭、あるいは、建て込みに使用する構造体の柱などに制限されるが、この別の実施形態では、打ち込み工法などは勿論のこと、両支持杭A1,A2を回転させながら埋設する、いわゆる中掘工法やソイルセメント合成工法、あるいは、回転埋設杭工法などにも適用することができる。
その場合には、補助セットボルト16を使用することはできないが、覗き孔15から工具を挿入して分割キー部材13aの端部近くを押圧したり、覗き孔15に棒状体などを打ち込んで分割キー部材13aの端部近くを押圧して分割キー部材13aの嵌め込み姿勢を修正することになる。
また、キー部材13を複数のキー部材13aに分割した例を示したが、複数に分割せずに、全体をCの字状にしたひとつのキー部材13を使用して実施することもできる。
(5)これまでの実施形態では、覗き孔15を介した目視により筒部1の外側からキー部材13による両柱状体の接続状態を確認する例を示したが、図7に示すように、ボルト孔7内のセットボルト8に接当するまで孔深さ計測用ゲージ21をボルト孔7内へ挿入して、孔深さ計測用ゲージ21を介したボルト孔7へのセットボルト8の螺入度合いの計測によりキー部材13の嵌入状態を判断するように構成されたものであっても良い。
これだと、孔深さ計測用ゲージ21による計測深さが設定値であればキー部材13が両溝部6,11に跨って確実に嵌め込まれていると判断すると共に、設定値よりも浅ければキー部材13の嵌入状態が不完全であると判断することができるから、上記実施形態のように覗き孔15を別途設けることなくキー部材13の嵌入状態を判断することが可能となる。
尚、上記構成に覗き孔を並設した構成であっても良い。これだと、キー部材の嵌入状態をより確実に確認することができる。
(6)また、前記覗き孔15の代わりに、図8に示すように、筒部1の外周面に開口すると共に、内向き溝部6に連通する連通孔22を、ボルト孔7以外のキー部材13が存在する箇所に形成し、連通孔22に差込み可能な深さ計測用ゲージ23を設けて、キー部材13に接当する位置まで連通孔22に深さ計測用ゲージ23を差込んだときの差込量の計測によりキー部材13の嵌入状態を判断するように構成されたものであっても良い。
これだと、深さ計測用ゲージ23を差込んだときの差込量が設定値であればキー部材13が両溝部6,11に跨って確実に嵌め込まれていると判断すると共に、設定値よりも浅ければキー部材13の嵌入状態が不完全であると判断することができる。
また、覗き孔の場合は、筒部の外周面からキー部材の嵌入状態を目視可能に形成するために、連通孔を通して光りが内向き溝部内に入る大きさに孔を形成する必要があるが、本発明の連通孔は、光りが入らなくても深さ計測ゲージを差込み可能な大きさであれば良いため、連通孔の開口を小さくすることができる。そうすることにより、両柱状体の接続が完了した後に連通孔を封止する際の止水シール材の使用量を少なくすることができる。
尚、前記覗き孔を連通孔として使用する構成であっても良い。これだと、目視だけでなく、数値的にもキー部材の嵌入状態を確認することが可能となる。
(7)上記実施形態では、ボルト孔7へのセットボルト8の螺入度合いをゲージのメモリで計測することによって、キー部材13の嵌入状態を判断可能な計測用ゲージについて説明したが、図9に示すような確認用ゲージ26を差し込んだときの状態によってキー部材13の嵌入状態を判断するものであっても良い。
前記確認用ゲージ26は、平板状の操作部本体27にボルト孔7に挿入自在なゲージ軸部28により形成されており、前記ゲージ軸部28の長さを、キー部材13が両溝部6,11に跨って確実に嵌め込まれたときの前記セットボルト8により形成されたボルト孔7の深さに設定形成してある。
そして、操作部本体27を挟持してボルト孔7にゲージ軸部28を差し込んだときに、図9(イ)に示すように操作部本体27の筒部側端面27Aが筒部外周面1Aに接当していたら、キー部材13が両溝部6,11に跨って確実に嵌め込まれていると判断すると共に、図9(ロ)に示すように操作部本体27の筒部側端面27Aと筒部外周面1Aとの間に隙間が形成されていたら、キー部材13の嵌入状態が不完全であると判断することが可能となる。
これだと、差し込むだけの操作で判断することが可能となるため、メモリを計測する手間が省け、作業性を向上させることができる。
(8)柱状体を土中に埋設したときに、セットボルト8を螺入したボルト孔7から水が浸入しないように、図10に示すように、ボルト孔7に、MCナイロン、ポリエチレン等から形成された止水ピン24を嵌合させたものであっても良い。
前記止水ピン24は、ボルト孔7に形成してある座繰り7aに嵌合する拡径頭部24aを有すると共に、ボルト孔7に嵌合するピン軸部24bから形成されており、ボルト孔7へ嵌合させる際のシール性を向上させるために止水ピン24の周囲に接着材を塗布したり、ボルト孔7よりも若干大きく形成した止水ピン24を無理に嵌合させる等して取付けられる。図中25は、何らかの理由でボルト孔7に嵌合させた止水ピンを取り外す必要が生じた場合の取り外し工具を係止するための係止孔である。
尚、前記拡径頭部が無い構成の止水ピンであっても良い。この場合は、ボルト孔に座繰りを形成しなくて良い。
(9)これまでの実施形態では、回転抑止用キー部材19を筒部側切欠き17と軸部側切欠き18にわたる状態に嵌め込んで、2本の取付けボルト20によって固定し、上支持杭A1の筒部1と下支持杭A2の軸部3との相対回転を防止する例について説明したが、取付けボルト20の数は2本のものに限らず、図11に示すように、1本の取付けボルト20で回転抑止用キー部材19を取付ける構成のものであっても良い。
つまり、1本の取付けボルト20で回転抑止用キー部材19を取付けたとしても、筒部側切欠き17と軸部側切欠き18にわたる状態に回転抑止用キー部材19を嵌め込んだときの隙間を少なくすることにより、回転抑止用キー部材19自体が取付けボルト20を軸芯として揺動するのを防止でき、筒部側切欠き17との係合を外れ無いようにできるため、上支持杭A1と下支持杭A2との相対回転を防止することが可能となる。そして、取付けボルト20の本数を減らせる分、回転抑止用キー部材19を取付ける際の取付け作業の作業性を向上させることができる。
3 軸部
13 キー部材(係合手段)
15 覗き孔(連通孔)
22 連通孔
23 計測用ゲージ
A1 一方の柱状体
A2 他方の柱状体
Claims (3)
- 一方の柱状体端部に筒部を設けると共に、他方の柱状体端部に軸部を設けて、柱状体軸芯方向で隣り合う柱状体の前記筒部と前記軸部とを、筒部に軸部が入り込むように互いに嵌合自在に構成し、
前記筒部と前記軸部との嵌合状態で、前記筒部と前記軸部とを抜け止め状態に係合する係合手段を設けてある柱状体であって、
前記係合手段による前記筒部と前記軸部との係合状態を判断するための連通孔を、前記筒部外周面に開口するように形成してある柱状体。 - 前記係合手段は、前記筒部と前記軸部との径方向における所定位置に納まることで、互いに係合させるもので、
その係合手段の径方向における納まり状態を、前記連通孔を通して検出可能に設けてある請求項1記載の柱状体。 - 一方の柱状体端部に筒部を設けると共に、他方の柱状体端部に軸部を設けて、柱状体軸芯方向で隣り合う柱状体の前記筒部と前記軸部とを、筒部に軸部が入り込むように互いに嵌合自在に構成するとともに、前記筒部と前記軸部との嵌合状態で、前記筒部と前記軸部との径方向における所定位置に納まることで、前記筒部と前記軸部とを抜け止め状態に係合する係合手段を設けてある柱状体において、前記係合手段による前記筒部と前記軸部との係合状態を確認する係合状態確認方法であって、
前記係合手段の前記筒部と前記軸部との径方向における所定位置への納まり度を計測できるように、計測用ゲージを差込み可能な連通孔を、前記筒部外周面に開口するように形成し、
前記連通孔に差込んだ計測用ゲージによる計測結果に基づいて、前記係合手段による前記筒部と前記軸部との係合状態を確認する係合状態確認方法。
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