JP2004278548A - 歯車、これを用いた減速機、およびこれを備えた電動パワーステアリング装置 - Google Patents

歯車、これを用いた減速機、およびこれを備えた電動パワーステアリング装置 Download PDF

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Abstract

【課題】従来の、ポリアミド樹脂製の歯車に比べて耐久性能に優れる上、寸法安定性にも優れた新規な歯車と、それを用いた減速機と、かかる減速機を用いた電動式動力舵取装置とを提供する。
【解決手段】歯車は、芯金の外周に外嵌された環状の歯車本体を、ポリアリーレンスルフィドと、エポキシ基含有α−オレフィン系共重合体と、無機系ウィスカーとを含む樹脂組成物によって形成した。減速機50は、ウォームホイール12として上記歯車を用いた。電動式動力舵取装置は、補助操舵用の電動モータMの回転を、上記減速機50を介して減速する。
【選択図】 図2

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ウォームとウォームホイールなどの、小歯車と大歯車とを有する減速機に特に好適に使用される歯車と、この歯車を用いた減速機と、かかる減速機を備えた電動パワーステアリング装置とに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
自動車用の電動パワーステアリング装置には減速機が用いられる。例えばコラム型EPSでは、電動モータの回転を、減速機において、ウォーム等の小歯車からウォームホイール等の大歯車に伝えることで減速するとともに出力を増幅したのち、コラムに付与することで、ステアリング操作をトルクアシストしている。
近年、例えば軽四輪自動車や、あるいは普通自動車の中でも比較的小型のものなどに用いる電動パワーステアリング装置においては、歯打ち音の低減による低騒音化や軽量化、摺動抵抗の低減等を考慮して、減速機の、小歯車と大歯車のうち少なくとも一方、より好ましくは大歯車を樹脂化することが一般化しつつある。詳しくは、上記大歯車を、金属製の芯金と、この芯金に外嵌された、樹脂製の環状の歯車本体とで構成することが行われる。
【0003】
上記の構成において歯車本体を形成する樹脂としては、例えばモノマーキャスティングナイロン、PA6、PA66、PA46などのポリアミド樹脂が広く用いられる。また、主に吸水や熱などによる寸法変化を抑制して歯車の寸法安定性を向上するため、ポリアミド樹脂に、ガラス繊維などの強化繊維を配合することも行われている(例えば特許文献1参照)。
さらにポリアミド樹脂には、歯車の潤滑性を向上して回転時に作用する負荷を低減し、それによって疲労強度や耐磨耗性を向上して歯車を長寿命化するために、例えば四フッ化エチレン樹脂等のフッ素系樹脂の粉末や、あるいはステアリン酸アルミニウム等を添加することも検討されている(例えば特許文献2参照)。
【0004】
【特許文献1】
特開2002−156025号公報(請求項1〜3、第0005欄〜第0007欄、第0020欄、第0027欄、第0028欄、第0033欄、図2)
【特許文献2】
特開2002−327829号公報(請求項1〜3、第0002欄、第0005欄〜第0006欄、図2)
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
近年、これまでに比べてより大型の自動車の電動パワーステアリング装置においても、減速機の歯車の樹脂化が検討されている。
またこれも近年、環境問題に対処するための低燃費化に対応したり、あるいは車内の居住性を向上したりするために、自動車の大きさを問わず、電動パワーステアリング装置の搭載スペースの削減、すなわち電動パワーステアリング装置のより一層の小型化が進行しつつある。
【0006】
しかし従来のポリアミド樹脂製の歯車は、こうした新たな電動パワーステアリング装置の減速機に適用した場合に、当該減速機に要求される耐久性能を十分に満足することができず、比較的早期に破損してしまうという新たな問題を有することが、発明者の検討によって明らかとなった。
これは、大型の自動車ほど、電動パワーステアリング装置における電動モータの出力を大きくしなければならず、減速機に伝わる伝達トルクが大きくなるためである。
【0007】
また電動パワーステアリング装置を小型化するほど、とくに減速機の大歯車は、モジュールを増加させて面圧を低下させる等の対策をとるのが難しくなり、小歯車から伝わる面圧が高くなる傾向にあるためである。
またポリアミド樹脂製の歯車は、前述したようにガラス繊維などの強化繊維を加えて寸法安定性を向上する対策がとられているものの、それでもなお吸水による寸法変化が大きい。このためポリアミド樹脂製の歯車は、とくに自動車を海外輸出するための航送時や、あるいは経年変化などによって大きく膨張する結果、電動パワーステアリング装置のトルクを大きく変動させてしまうという、別の問題を有することも明らかとなった。
【0008】
なお同様の問題は、電動パワーステアリング装置の減速機に限らず、小歯車と大歯車とを有する一般の減速機においても存在する。
本発明の目的は、従来の、ポリアミド樹脂製の歯車に比べて耐久性能に優れる上、寸法安定性にも優れた新規な歯車と、それを用いた減速機と、かかる減速機を用いた電動パワーステアリング装置とを提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段および発明の効果】
本発明の歯車は、芯金と、この芯金の外周に外嵌された環状の歯車本体とを備えるとともに、上記歯車本体を、ポリアリーレンスルフィドと、エポキシ基含有α−オレフィン系共重合体と、無機系ウィスカーとを含む樹脂組成物によって形成したことを特徴とするものである。
かかる本発明の歯車は、上記の樹脂組成物によって歯車本体を形成したものゆえ、従来の、ポリアミド樹脂製のものに比べて耐久性能を著しく向上することができる。また本発明の歯車は、ポリアミド樹脂製のものに比べて吸水による寸法変化が小さいことから、寸法安定性にも優れている。
【0010】
なお、本発明において歯車本体を形成する樹脂組成物に含まれるポリアリーレンスルフィドとしては、式(1):
【0011】
【化2】
Figure 2004278548
【0012】
で表される繰り返し単位を有する直鎖状のポリ−p−フェニレンスルフィドが好ましい。
またエポキシ基含有α−オレフィン系共重合体としては、
(i) α−オレフインと不飽和グリシジル基含有単量体との共重合体、
(ii) 上記(i)の共重合体の存在下に、ビニル単量体を(共)重合して得られるグラフト化前駆体、および
(iii) 上記(ii)のグラフト化前駆体を単独で加熱するか、あるいはグラフト化前駆体を、エチレン系(共)重合体やビニル(共)重合体とともに溶融下で混練することによって得られるグラフト共重合体、
からなる群より選ばれた少なくとも1種が好ましい。
【0013】
さらに無機系ウィスカーとしては、正四面体の中心に位置する微小な核部と、この核部から正四面体の各頂点の方向に伸びる4つの針状部とを備えた立体形状を有する酸化亜鉛系ウィスカーが好ましい。
また本発明の減速機は、小歯車および大歯車を備え、かつ両歯車のうち少なくとも一方を、上記本発明の歯車によって構成したものゆえ、高トルク下での使用や小型化に適している点で好ましい。
【0014】
さらに本発明の電動パワーステアリング装置は、上記の減速機を備え、操舵補助用の電動モータの回転を、この減速機を介して減速して舵取機構に伝えるものゆえ、より大型の自動車に使用したり、より小型化したりできる点で好ましい。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明を説明する。
〈歯車〉
本発明の歯車は、前記のように芯金と、この芯金の外周に外嵌された環状の歯車本体とを備えるとともに、上記歯車本体を、ポリアリーレンスルフィドと、エポキシ基含有α−オレフィン系共重合体と、無機系ウィスカーとを含む樹脂組成物によって形成したことを特徴とするものである。
【0016】
(ポリアリーレンスルフィド)
上記樹脂組成物を構成する各成分のうちポリアリーレンスルフィドは、ポリアミド樹脂に比べて機械的強度、耐熱性等に優れる上、吸水による寸法変化が小さいため寸法安定性に優れている。
かかるポリアリーレンスルフィドとしては、式(10):
【0017】
【化3】
Figure 2004278548
【0018】
(式中、Arはアリーレン基を示す)
で表される繰り返し単位(アリーレンスルフィド)を主たる構成要素とする種々の芳香族ポリマー、すなわち
(a) 上記式(10)で表されるアリーレンスルフィドのうち1種のみからなるホモポリマーや、
(b) 式(10)のアリーレンスルフィドの2種以上からなるランダムまたはブロックコポリマー、あるいは
(c) 式(10)のアリーレンスルフィドの1種または2種以上と、他の繰り返し単位とからなるランダムまたはブロックコポリマー
などを挙げることができる。
【0019】
このうち(a)のホモポリマーが、工業的な入手のしやすさ等を考慮すると最も好ましいが、加工性や耐熱性の点で、すなわち加工性や耐熱性を微調整することなどを考慮すると、(b)(c)のコポリマーのうちいずれかを用いることもできる。
なお(c)のコポリマーにおけるアリーレンスルフィド単位の含有割合は、コポリマーを構成する個々の繰り返し単位の総モル数に対する、アリーレンスルフィド単位のモル%で表して50モル%以上であるのが好ましく、70モル%以上であるのがさらに好ましく、90モル%以上であるのがとくに好ましい。アリーレンスルフィド単位の含有割合がこの範囲未満では、コポリマーが、ポリアリーレンスルフィドとしての、歯車本体の耐久性能と寸法安定性とを向上する効果を十分に発揮できないものとなってしまうおそれがある。
【0020】
式(10)の繰り返し単位を有するポリアリーレンスルフィドは、例えば極性溶媒中で、アルカリ金属の硫化物と、式(2):
X−Ar−X (2)
(式中、Xはハロゲン原子、Arは式(10)中のものと同じアリーレン基を示す)で表されるジハロ芳香族化合物とを重合反応させる公知の方法(例えば特公昭63−33775号公報参照)によって合成することができる。
【0021】
上記の重合反応に使用するアルカリ金属の硫化物としては、例えば硫化リチウム(LiS)、硫化ナトリウム(NaS)、硫化カリウム(KS)、硫化ルビジウム(RbS)、硫化セシウム(CsS)などを挙げることができる。また上記の反応系中で、NaSHとNaOHとを反応させることによって生成させた硫化ナトリウムを用いることもできる。
またジハロ芳香族化合物としては、例えばp−ジクロロべンゼン、m−ジクロロベンゼン、p−ジブロモべンゼン、2,6−ジクロロナフタレン、4,4′−ジクロロビフエニル、p,p′−ジクロロジフェニルエーテル、4,4′−ジクロロジフェニルスルホン、4,4′−ジクロロジフエニルスルホキシド、4,4′−ジクロロジフェニルケトンなどを挙げることができる。またジハロ芳香族化合物は、例えば炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜6のアルコキシ基、カルボキシル基、フェニル基などの置換基を有していても良い。置換基を有するジハロ芳香族化合物としては、例えば2,5−ジクロロトルエン、1−メトキシ−2,5−ジクロロベンゼン、3,5−ジクロロ安息香酸などを挙げることができる。これらのジハロ芳香族化合物はそれぞれ単独で、あるいは2種以上を組み合わせて使用することができる。
【0022】
また、ポリアリーレンスルフィドに多少の分岐構造または架橋構造を導入するために、1分子当たり3個以上のハロゲン原子を有するポリハロ芳香族化合物を、少量併用してもよい。
ポリハロ芳香族化合物としては、例えば1,2,3−トリクロロべンゼン、1,2,3−トリブロモベンゼン、1,2,4−トリクロロべンゼン、1,2,4−トリブロモべンゼン、1,3,5−トリクロロベンゼン、1,3,5−トリブロモベンゼン、1,3−ジクロロ−5−ブロモベンゼンなどのトリハロ芳香族化合物、およびこれらのアルキル置換体などを挙げることができる。これらはそれぞれ単独で、あるいは2種以上を組み合わせて使用することができる。中でもとくに経済性、反応性、物性などの観点から、1,2,4−トリクロロベンゼン、1,3,5−トリクロロベンゼン、1,2,3−トリクロロベンゼンがより好ましい。
【0023】
ただしポリアリーレンスルフィドは、その成形性を向上することなどを考慮すると、できるだけ分岐の少ない直鎖状であるのが好ましい。
極性溶媒としては、例えばN−アルキルピロリドン類(N−メチル−2−ピロリドンなど)、1,3−ジアルキル−2−イミダゾリジノン類、テトラアルキル尿素類、へキサアルキル燐酸トリアミド類などに代表されるアプロチック有機アミド溶媒が、反応系の安定性が高く、高分子量のポリマーを得やすいので好適に使用できる。
【0024】
式(10)で表されるポリアリーレンスルフィドの具体例としては、式(1):
【0025】
【化4】
Figure 2004278548
【0026】
で表されるp−フェニレンスルフィドのホモポリマーとしての、直鎖状のポリ−p−フェニレンスルフィドが、加工性に優れる上、工業的にも入手しやすいことから最も好適に使用できる。また、かかる直鎖状のポリ−p−フェニレンスルフィドは、歯車本体の靭性や機械的強度を向上する効果にも優れている。
ポリアリーレンスルフィドのその他の例としては、例えばポリアリーレンケトンスルフィド、ポリアリーレンケトンケトンスルフィドなどのホモポリマーや、あるいはp−フェニレンスルフィドとm−フェニレンスルフィドとのランダムまたはブロックコポリマー、p−またはm−フェニレンスルフィドとアリーレンケトンスルフィドとのランダムまたはブロックコポリマー、p−またはm−フェニレンスルフィドとアリーレンケトンケトンスルフィドとのランダムまたはブロックコポリマー、p−またはm−フェニレンスルフィドとアリーレンスルホンスルフィドとのランダムまたはブロックコポリマーなどを挙げることができる。
【0027】
ポリアリーレンスルフィドは基本的に結晶性であり、その結晶化度は任意に制御することができるが、本発明においては、とくに高温域での歯車本体の機械的強度などを向上することを考慮して、できるだけ結晶化度を高めに制御したポリアリーレンスルフィドを用いるのが好ましい。
また本発明においては、できるだけ高分子量の、したがって高溶融粘度のポリアリーレンスルフィドを用いるのが好ましい。具体的には、その溶融粘度(温度310℃、せん断速度1200/秒)が70Pa・S以上であるポリアリーレンスルフィドを用いるのが好ましい。溶融粘度がこの範囲よりも小さい場合には、引張破断伸びを高くすることが困難で、その他の機械的物性も不十分になるおそれがある。
【0028】
なおポリアリーレンスルフィドの溶融粘度は、上記の範囲内でも70〜600Pa・Sであるのが好ましく、80〜400Pa・Sであるのがさらに好ましく、100〜300Pa・Sであるのがとくに好ましい。
ポリアリーレンスルフィドの配合割合は、以下に述べるエポキシ基含有α−オレフィン系共重合体や無機系ウィスカーなどの、他の成分の、樹脂組成物の総量に対する配合割合の合計を除いた残量であればよいが、とくに樹脂組成物の総量に対して55〜93重量%であるのが好ましく、60〜88重量%であるのがさらに好ましい。ポリアリーレンスルフィドの配合割合がこの範囲未満では、歯車本体の機械的強度や耐熱性が低下するおそれがある。また、この範囲を超える場合には、歯車本体の靭性が低下して十分な耐久性能が得られないおそれがある。
【0029】
(エポキシ基含有α−オレフィン系共重合体)
エポキシ基含有α−オレフィン系共重合体は、ポリアリーレンスルフィドに柔軟性、靭性を付与して、歯車本体の耐久性能を向上する効果を有する。
かかるエポキシ基含有α−オレフイン系共重合体としては、
(i) α−オレフインと不飽和グリシジル基含有単量体との共重合体、
(ii) 上記(i)の共重合体の存在下に、ビニル単量体を(共)重合して得られるグラフト化前駆体、および
(iii) 上記(ii)のグラフト化前駆体を単独で加熱するか、あるいはグラフト化前駆体を、エチレン系(共)重合体やビニル(共)重合体とともに溶融下で混練することによって得られるグラフト共重合体、
からなる群より選ばれた少なくとも1種を挙げることができる。
【0030】
このうち(i)の、α−オレフインと不飽和グリシジル基含有単量体との共重合体としては、α−オレフインと不飽和グリシジル基含有単量体との二元共重合体の他、α−オレフインと不飽和グリシジル基含有単量体と他の不飽和単量体との三元以上の共重合体も使用可能である。
共重合体中の、α−オレフィン起源の繰り返し単位の含有割合は50〜99.5重量%であるのが好ましく、60〜99重量%であるのがさらに好ましく、70〜98重量%であるのがとくに好ましい。
【0031】
また不飽和グリシジル基含有単量体起源の繰り返し単位の含有割合は0.5〜50重量%であるのが好ましく、1〜40重量%であるのがさらに好ましく、2〜30重量%であるのがとくに好ましい。
さらに三元以上の共重合体に含まれる他の不飽和単量体起源の繰り返し単位の含有割合は40重量%以下であるのが好ましく、30重量%以下であるのがさらに好ましく、20重量%以下であるのがとくに好ましい。
【0032】
エボキシ基含有α−オレフイン系共重合体は、α−オレフインと不飽和グリシジル基含有単量体との、あるいはα−オレフインと不飽和グリシジル基含有単量体と他の不飽和単量体とのランダム共重合体、ブロック共重合体、グラフト共重合体のいずれであってもよい。
α−オレフイン系単量体としては、例えばエチレン、プロピレン、ブテン−1、へキセン−1、オクテン−1、4−メチルペンテン−1等を挙げることができ、とくにエチレンが好ましい。
【0033】
また不飽和グリシジル基含有単量体としては、例えばアクリル酸グリシジル、メタクリル酸グリシジル、イタコン酸モノグリシジルエステル、ブテントリカルボン酸モノグリシジルエステル、ブテントリカルボン酸トリグリシジルエステル、マレイン酸モノグリシジルエステル、クロトン酸グリシジルエステル、フマル酸モノグリシジルエステルなどのグリシジルエステル類;ビニルグリシジルエーテル、アリルグリシジルエーテル、グリシジルオキシエチルビニルエーテル、スチレン−p−グリシジルエーテルなどのグリシジルエーテル類;p−グリシジルスチレン等を挙げることができ、とくにα,β−不飽和酸のグリシジルエステルが好ましい。
【0034】
他の不飽和単量体としては、例えば酢酸ビニル、プロピオン酸ビニルなどのビニルエステル単量体;ビニルエーテル単量体;(メタ)アクリロニトリル、スチレンなどのビニル芳香族単量体;一酸化炭素などを挙げることができる。
α−オレフインと不飽和グリシジル基含有単量体との二元または三元以上の共重合体の具体例としては、例えばエチレン/メタクリル酸グリシジル共重合体、エチレン/酢酸ビニル/メタクリル酸グリシジル共重合体、エチレン/アクリル酸エチル/メタクリル酸グリシジル共重合体、エチレン/アクリル酸グリシジル共重合体、エチレン/酢酸ビニル/アクリル酸グリシジル共重合体等を挙げることができる。
【0035】
中でもエチレン/メタクリル酸グリシジル共重合体、エチレン/アクリル酸エチル/メタクリル酸グリシジル共重合体、エチレン/酢酸ビニル/アクリル酸グリシジル共重合体などの、エポキシ基含有エチレン系共重合体が好ましく、とくに次に述べる(ii)のグラフト化前駆体や(iii)のグラフト共重合体の原料としては、エチレン/メタクリル酸グリシジル共重合体が好ましい。
これらの共重合体は、それぞれ単独で、あるいは2種以上を組み合わせて使用することができる。
【0036】
前記(ii)のグラフト化前駆体は、上記(i)の共重合体の存在下、t−ブチルペルオキシメタクリロイロキシエチルカーボネートなどの特定のラジカル(共)重合性有機過酸化物を用いて、ビニル単量体を(共)重合させることによって製造される。その具体的な製造方法は、例えば特開平1−131220号公報に記載のとおりである。
かかるグラフト化前駆体は、(i)の共重合体と、分子中に、ラジカル(共)重合性有機過酸化物に起因する活性酸素を含有するビニル共重合体との混合物であって、単独で加熱するか、あるいは特開平1−38214号公報に記載されているようにエチレン系(共)重合体やビニル(共)重合体とともに溶融下で混練するとグラフト化して、前記(iii)のグラフト共重合体を生成する。
【0037】
ここで言うグラフト化とは、(i)の共重合体と、(ii)の前駆体中で生成したビニル共重合体や、後から加えたエチレン系(共)重合体、ビニル(共)重合体などがグラフト化反応、架橋反応などの混在した反応によって化学的に結合することを意味する。
また(ii)のグラフト化前駆体を、ポリアリーレンスルフィドおよび無機系ウィスカーと混合し、溶融、混練して樹脂組成物を調製する系では、この混練時に上記のグラフト化が進行進行して、生成したグラフト共重合体と、ポリアリーレンスルフィドおよび無機系ウィスカーとが渾然一体となって、耐久性能に優れた歯車本体を形成しうる良好な樹脂組成物を得ることができる。
【0038】
一方、あらかじめ別に生成した(iii)のグラフト共重合体を、改めてポリアリーレンスルフィドおよび無機系ウィスカーと混合し、溶融、混練して樹脂組成物を調製する系では、グラフト共重合体中の、(i)の共重合体の部分がポリアリーレンスルフィドとの良好な相溶性を有するため、同様に耐久性能に優れた歯車本体を形成しうる良好な樹脂組成物を得ることができる。
(ii)のグラフト化前駆体における、(i)の共重合体の含有割合は5〜95重量%であるのが好ましく、20〜90重量%であるのがさらに好ましい。共重合体の含有割合がこの範囲未満では、ポリアリーレンスルフィドとの相溶性か不十分となるおそれがあり、逆にこの範囲を超えると、樹脂組成物の耐熱性や寸法安定性が低下するおそれがある。
【0039】
ビニル単量体としては、例えばスチレン、メチルスチレン、クロルスチレン等のビニル芳香族単量体;(メタ)アクリル酸の、炭素数1〜7のアルキルエステルなどの(メタ)アクリル酸エステル単量体;α、β−不飽和酸のグリシジルエステル単量体;(メタ)アクリロニトリルなどの不飽和ニトリル単量体;酢酸ビニル等のビニルエステル単量体等を挙げることができる。
上記(i)〜(iii)のいずれかのエポキシ基含有α−オレフイン系共重合体の、樹脂組成物の総量に対する配合割合は5〜30重量%であるのが好ましくは、9〜25重量%であるのがさらに好ましい。エポキシ基含有α−オレフイン系共重合体の配合割合がこの範囲未満では、歯車本体の靭性が低下して、引張破断伸びが不十分となり、脆性破壊しやすくなる。逆にこの範囲を超えた場合には、各成分を溶融、混練し、押し出して成形用のペレットを製造する際などの加工性が低下するおそれがある他、樹脂組成物中で、エポキシ基含有α−オレフイン系共重合が連続相を形成して、ポリアリーレンスルフィドが本来有している特性を損なうおそれもある。
【0040】
(無機系ウィスカー)
無機系ウィスカーは、ポリアリーレンスルフィドを補強して、歯車本体の耐久性能をさらに向上する効果を有する。
かかる無機系ウィスカーとしては、天然、半合成あるいは合成の、従来公知の種々のウィスカーを使用することができる。
かかる無機系ウィスカーとしては、例えばホウ酸アルミニウム系ウィスカー、酸化亜鉛系ウィスカー、酸化チタン系ウィスカー、酸化マグネシウム系ウィスカー、ケイ酸アルミニウム(鉱物名ムライト)系ウィスカー、ケイ酸カルシウム(鉱物名ウォラストナイト)系ウィスカー、炭化ケイ素系ウィスカー、炭化チタン系ウィスカー、窒化ケイ素系ウィスカー、および窒化チタン系ウィスカーなどを挙げることができる。
【0041】
中でも酸化亜鉛系ウィスカーが好ましい。酸化亜鉛系ウィスカーとしては、例えば金属亜鉛を酸素などの酸化性の雰囲気中で加熱酸化するいわゆるフランス法によって製造される、単純な針状結晶を有するものから、複雑な立体形状を有するものまで種々の形状、構造を有するものが何れも使用可能である。
とくに正四面体の中心に位置する微小な核部と、そこから正四面体の各頂点の方向に伸びる4つの針状部とを備えた、いわゆるテトラポッドのような立体形状を有する酸化亜鉛系ウィスカーが好適に使用される。かかる立体形状を有する酸化亜鉛系ウィスカーは、単純な針状のものなどに比べて形状の異方性が小さいため、歯車本体を、異方性を生じることなく均一に補強することができる。
【0042】
立体形状を有する酸化亜鉛系ウィスカーは、嵩比重が0.02〜0.1g/cmであるのが好ましい。
かかる立体形状を有するものなどの、各種の酸化亜鉛系ウィスカーは、その全体を酸化亜鉛によって形成した単一の構造を有していてもよいし、結晶成長の核となる芯の部分を他の物質によって形成し、その表面を、結晶成長させた酸化亜鉛によって覆った複合構造を有していてもよい。また、酸化亜鉛系ウィスカーの表面をカップリング剤などで表面処理しても良い。
【0043】
立体形状を有する酸化亜鉛系ウィスカーは、例えば特許第2600761号公報等の記載に基づいて製造することができる。また、その他の形状を有する酸化亜鉛系ウィスカーは、前記フランス法によって製造できる他、例えば特公昭60−5529号公報等の記載に基づいて製造することもできる。
またホウ酸アルミニウム系ウィスカーは、例えば特公平4−76956号公報、特公平7−96480号公報等の記載に基づいて製造することができ、酸化チタン系ウィスカーは、例えば特開昭61−210000号公報等の記載に基づいて製造することができる。
【0044】
酸化マグネシウム系ウィスカーは、例えば特開昭60−11223号公報等の記載に基づいて製造することができ、ケイ酸カルシウム系ウィスカーは、例えば特開平8−319199号公報等の記載に基づいて製造することができる。
炭化ケイ素系ウィスカーは、例えば特開昭56−109811号公報、特開平2−221198号公報、特公昭64−4999号公報等の記載に基づいて製造することができ、炭化チタン系ウィスカーは、例えば特公昭59−45638号公報等の記載に基づいて製造することができる。
【0045】
窒化ケイ素系ウィスカーは、例えば特開昭57−17499号公報、特開昭57−17500号公報等の記載に基づいて製造できる他、上記特公昭64−4999号公報の記載に基づいて製造することもできる。
さらに窒化チタン系ウィスカーは、例えば特開平7−17300号公報等の記載に基づいて製造することができる。
これらの無機系ウィスカーは、それぞれ1種単独で使用できる他、2種以上を併用することもできる。
【0046】
無機系ウィスカーの、樹脂組成物の総量に対する配合割合は、2〜15重量%であるのが好ましく、3〜15重量%であるのがさらに好ましい。
無機系ウィスカーの配合割合がこの範囲未満では、前述した、ポリアリーレンスルフィドを補強して歯車本体の耐久性能を向上する効果が得られないおそれがある。またこの範囲を超える場合には脆くなりすぎて、各成分を溶融、混練し、押し出して成形用のペレットを製造することができなくなるおそれがある。
【0047】
(充填剤)
樹脂組成物にはさらに、歯車本体の機械的強度や耐熱性を向上することを目的として、種々の充填剤を配合することもできる。
かかる充填剤としては、例えばガラス繊維、炭素繊維、アスベスト繊維、シリカ繊維、アルミナ繊維、ジルコニア繊維、窒化ホウ素繊維、窒化ケイ素繊維、ホウ素繊維、チタン酸カリ繊維などの無機繊維状物質;ステンレス、アルミニウム、チタン、鋼、真鍮等の金属繊維状物質;ポリアミド、フッ素樹脂、ポリエステル樹脂、アクリル樹脂などの高融点有機質繊維状物質等の、繊維状充填剤を挙げることができる。またその他の充填剤として、例えばマイカ、シリカ、タルク、アルミナ、カオリン、硫酸カルシウム、炭酸カルシウム、酸化チタン、フェライト、クレー、ガラス粉、酸化亜鉛、炭酸ニッケル、酸化鉄、石英粉末、炭酸マグネシウム、硫酸バリウム等の粒状または粉末状充填剤を挙げることもできる。
【0048】
これらの充填剤は、それぞれ単独で、あるいは2種以上を組み合わせて使用することかできる。
また充填剤は、必要に応じて集束剤または表面処理剤によって処理してもよい。集束剤または表面処理剤としては、例えばエポキシ系化合物、イソシアネート系化合物、シラン系化合物、チタネート系化合物の等の官能性化合物を挙げることができる。これらの化合物は、充填剤に対してあらかじめ表面処理または集束処理を施すために用いてもよいし、樹脂組成物の調製の際に同時に添加してもよい。
【0049】
(その他の添加剤)
樹脂組成物には、その他の添加剤として、例えばエチレングリシジルメタクリレートのような樹脂改良剤、ペンタエリスリトールテトラステアレートのような滑剤、難燃剤、染料や顔料等の着色剤等を、適宜添加することもできる。
(樹脂組成物)
樹脂組成物は、一般に樹脂の組成物を調製するために用いる設備と方法を用いて調製することができる。例えば上記各原料成分のうち充填材以外の各成分をヘンシェルミキサー、タンブラー等によって予備混合し、必要があればガラス繊維等の充填材を加えてさらに混合した後、1軸または2軸の押出機を使用して溶融、混練し、押し出して成形用のペレットを製造することができる。
【0050】
また、必要成分の一部をマスターバッチとしてから残りの成分と混合した後、溶融、混練し、押し出して成形用のペレットを製造する方法や、各成分の分散性を高めるために、使用する原料の一部を粉砕し、粒径を揃えて混合した後、溶融、混練し、押し出して成形用のペレットを製造する方法などを採用することも可能である。
(歯車)
本発明の歯車は、上記の樹脂組成物を用いて、従来同様に射出成形などによって製造することができる。
【0051】
詳しくは、歯車本体の外形に対応した型窩を有するとともに、その中心部に芯金をセットする部分を有する金型を使用し、芯金をセットした状態で、射出成形機のノズルから加熱、溶融した樹脂組成物を射出し、型窩内に注入して冷却、固化させるいわゆるインサート成形をすることによって、芯金と、この芯金の外周に外嵌された環状の歯車本体とを備えた本発明の歯車を製造することができる。
また、あらかじめ射出成形しておいた環状の歯車本体の中心の孔に、芯金を、高周波誘導加熱などによって加熱しながら圧入、一体化して本発明の歯車を製造することもできる。
【0052】
歯車本体の外周の歯は成形時に同時に形成してもよいし、成形後、切削加工などによって形成してもよい。
なお前述した特許文献1、2にはそれぞれ、ポリアミド樹脂以外の樹脂としてポリフェニレンスルフィドを使用して歯車本体を形成してもよい旨の記載があるが、ポリフェニレンスルフィドに、エポキシ基含有α−オレフィン系共重合体と、無機系ウィスカーとを配合することや、それによって歯車の耐久性能を著しく向上できることについては一切、記載されていない。よって特許文献1、2の上記の記載は、本発明を開示も示唆もするものではない。
【0053】
〈減速機および電動パワーステアリング装置〉
図1は、本発明の一実施形態にかかる電動パワーステアリング装置の概略断面図である。
図1を参照して、この例の電動パワーステアリング装置では、ステアリングホイール1を取り付けている入力軸としての第1の操舵軸2と、ラックアンドピニオン機構等の舵取機構(図示せず)に連結される出力軸としての第2の操舵軸3とがトーションバー4を介して同軸的に連結されている。
【0054】
第1および第2の操舵軸2、3を支持するハウジング5は、例えばアルミニウム合金からなり、車体(図示せず)に取り付けられている。ハウジング5は、互いに嵌め合わされるセンサハウジング6とギヤハウジング7により構成されている。具体的には、ギヤハウジング7は筒状をなし、その上端の環状縁部7aがセンサハウジング6の下端外周の環状段部6aに嵌め合わされている。ギヤハウジング7は減速機構としてのウォームギヤ機構8を収容し、センサハウジング6はトルクセンサ9および制御基板10等を収容している。ギヤハウジング7にウォームギヤ機構8を収容することで減速機50が構成されている。
【0055】
上記ウォームギヤ機構8は、図2に示すように、電動モータMの回転軸32に例えばスプライン継手33等の継手機構を介して連結されるウォーム軸11と、このウォーム軸11と噛み合い、且つ図1に示すように、第2の操舵軸3の軸方向中間部に一体回転可能で且つ軸方向移動を規制されたウォームホイール12とを備える。ウォーム軸11は、ギヤハウジング7内に一対の軸受34、35を介して回転自在に支持されている。
【0056】
ウォームホイール12は、前記本発明の歯車の構成を有するもので、第2の操舵軸3に一体回転可能に結合される環状の芯金12aと、芯金12aの周囲を取り囲んで外周面部に歯を有する、前述した樹脂組成物からなる歯車本体12bとを備えている。
ギヤハウジング7内において、ウォーム軸11とウォームホイール12の噛み合い部分Aを少なくとも含む領域には潤滑剤が充填される。すなわち潤滑剤は、噛み合い部分Aのみに充填しても良いし、噛み合い部分Aとウォーム軸11の周縁全体に充填しても良いし、ギヤハウジング7内全体に充填しても良い。
【0057】
第2の操舵軸3は、ウォームホイール12を軸方向の上下に挟んで配置される第1および第2の転がり軸受13、14により回転自在に支持されている。
第1の転がり軸受13の外輪15は、センサハウジング6の下端の筒状突起6b内に設けられた軸受保持孔16に嵌め入れられて保持されている。第1の転がり軸受13の外輪15の上端面は環状の段部17に当接しており、センサハウジング6に対する軸方向上方への移動が規制されている。一方、第1の転がり軸受13の内輪18は第2の操舵軸3に締まりばめにより嵌め合わされている。内輪18の下端面はウォームホイール12の芯金12aの上端面に当接している。
【0058】
また、第2の転がり軸受14の外輪19は、ギヤハウジング7の軸受保持孔20に嵌め入れられて保持されている。第2の転がり軸受14の外輪19の下端面は、環状の段部21に当接し、ギヤハウジング7に対する軸方向下方への移動が規制されている。第2の転がり軸受14の内輪22は、第2の操舵軸3に一体回転可能で且つ軸方向相対移動を規制されて取り付けられている。内輪22は第2の操舵軸3の段部23と、第2の操舵軸3のねじ部に締め込まれるナット24との間に挟持されている。
【0059】
トーションバー4は第1および第2の操舵軸2、3を貫通している。トーションバー4の上端4aは、連結ピン25により第1の操舵軸2と一体回転可能に連結され、トーションバー4の下端4bは、連結ピン26により第2の操舵軸3と一体回転可能に連結されている。第2の操舵軸3の下端は、図示しない中間軸を介してラックアンドピニオン機構等の舵取機構に連結されている。
上記の連結ピン25は、第1の操舵軸2と同軸に配置される第3の操舵軸27を、第1の操舵軸2と一体回転可能に連結している。第3の操舵軸27はステアリングコラムを構成するチューブ28内を貫通している。
【0060】
第1の操舵軸2の上部は、例えば針状ころ軸受からなる第3の転がり軸受29を介してセンサハウジング6に回転自在に支持されている。第1の操舵軸2の下部の縮径部30と第2の操舵軸3の上部の孔31とは、第1および第2の操舵軸2、3の相対回転を所定の範囲に規制するように、回転方向に所定の遊びを設けて嵌め合わされている。
次いで、図2を参照して、ウォーム軸11はギヤハウジング7により保持される第4および第5の転がり軸受34、35によりそれぞれ回転自在に支持されている。第4および第5の転がり軸受34、35は例えば玉軸受からなる。
【0061】
第4および第5の転がり軸受34、35の内輪36、37がウォーム軸11の対応するくびれ部に嵌合されている。また、第4および第5の転がり軸受34、35の外輪38、39は、ギヤハウジング7の軸受保持孔40、41にそれぞれ保持されている。
ギヤハウジング7は、ウォーム軸11の周面の一部に対して径方向に対向する部分7bを含んでいる。また、ウォーム軸11の一端部11aを支持する第4の転がり軸受34の外輪38は、ギヤハウジング7の段部42に当接して位置決めされている。一方、第4の転がり軸受34の内輪36は、ウォーム軸11の位置決め段部43に当接することにより、ウォーム軸11の他端部11b側への移動が規制されている。
【0062】
ウォーム軸11の他端部11b(継手側端部)の近傍を支持する第5の転がり軸受35の内輪37はウォーム軸11の位置決め段部44に当接することにより、ウォーム軸11の一端部11a側への移動が規制されている。
また、第5の転がり軸受35の外輪39は予圧調整用のねじ部材45により、第4の転がり軸受34側へ付勢されている。ねじ部材45は、ギヤハウジング7に形成されるねじ孔46にねじ込まれることにより、一対の転がり軸受34、35に予圧を付与すると共に、ウォーム軸11を軸方向に位置決めしている。47は予圧調整後のねじ部材45を止定するためにねじ部材45に係合されるロックナットである。
【0063】
なお、本発明は上記実施の形態に限定されるものではない。例えば本発明の減速機の構成を、電動パワーステアリング装置以外の装置用の、一般の減速機に適用することができる等、本発明の特許請求の範囲内で種々の変更を施すことができる。
【0064】
【実施例】
以下に本発明を、実施例、比較例に基づいて説明する。
実施例1
前記式(1)で表される繰り返し単位を有する直鎖状のポリ−p−フェニレンスルフィド(数平均分子量11000)と、エチレン/メタクリル酸グリシジル共重合体を主鎖とし、この主鎖に、アクリロニトリル−スチレン共重合体からなる側鎖を結合した構造を有するグラフト共重合体のもとになるグラフト化前駆体〔日本油脂(株)製の商品名モディパーA4400〕と、テトラポッド状の酸化亜鉛系ウィスカー〔嵩比重0.1g/cm、表面未処理、松下アムテック(株)製の商品名パナテトラ〕とをドライブレンドし、溶融、混練したのち押し出してペレット化した。
【0065】
なお各成分の配合割合は、ポリ−p−フェニレンスルフィド80重量%、グラフト化前駆体15重量%、ウィスカー5重量%とした。
次に上記のペレットを用いて、インサート成形により、図1、2に示すように環状の芯金12aと、芯金12aの周囲を取り囲んで外周面部に歯を有する歯車本体12bとを備えたウォームホイール12を製造した。
そしてこのウォームホイール12を、上記図1、2に示す電動パワーステアリング装置の実機の減速機50に組み込んで、入力負荷50N・mの条件で10年、20万km相当の操舵を繰り返す耐久試験を行ったところ、全く破損等を生じることなく、この耐久試験をパスする良好な耐久性能を示した。
【0066】
比較例1
歯車本体12bを、PA66にて形成したこと以外は実施例1と同様にしてウォームホイール12を製造した。
そしてこのウォームホイール12を、同様に図1、2に示す電動パワーステアリング装置の実機の減速機50に組み込んで、同条件で耐久試験を行ったところ途中で破損してしまい、耐久性能が不十分であることが確認された。
【0067】
また上記実施例1と比較例1で製造したウォームホイール12の、吸水による寸法変化を測定したところ、実施例1は比較例1の1/10の寸法変化しか示さず、寸法安定性に優れていることも確認された。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の、一実施形態にかかる電動パワーステアリング装置の概略断面図である。
【図2】図1のII−II線に沿う断面図である。
【符号の説明】
8 ウォームギヤ機構
11 ウォーム軸(小歯車)
12 ウォームホイール(大歯車)
50 減速機
M 電動モータ

Claims (6)

  1. 芯金と、この芯金の外周に外嵌された環状の歯車本体とを備えるとともに、上記歯車本体を、ポリアリーレンスルフィドと、エポキシ基含有α−オレフィン系共重合体と、無機系ウィスカーとを含む樹脂組成物によって形成したことを特徴とする歯車。
  2. ポリアリーレンスルフィドが、式(1):
    Figure 2004278548
    で表される繰り返し単位を有する直鎖状のポリ−p−フェニレンスルフィドであることを特徴とする請求項1記載の歯車。
  3. エポキシ基含有α−オレフィン系共重合体が、
    (i) α−オレフインと不飽和グリシジル基含有単量体との共重合体、
    (ii) 上記(i)の共重合体の存在下に、ビニル単量体を(共)重合して得られるグラフト化前駆体、および
    (iii) 上記(ii)のグラフト化前駆体を単独で加熱するか、あるいはグラフト化前駆体を、エチレン系(共)重合体やビニル(共)重合体とともに溶融下で混練することによって得られるグラフト共重合体、
    からなる群より選ばれた少なくとも1種であることを特徴とする請求項1記載の歯車。
  4. 無機系ウィスカーが、正四面体の中心に位置する微小な核部と、この核部から正四面体の各頂点の方向に伸びる4つの針状部とを備えた立体形状を有する酸化亜鉛系ウィスカーであることを特徴とする請求項1記載の歯車。
  5. 小歯車および大歯車を備え、かつ両歯車のうち少なくとも一方を、請求項1〜4のいずれかに記載の歯車によって構成したことを特徴とする減速機。
  6. 請求項5記載の減速機を備え、操舵補助用の電動モータの回転を、この減速機を介して減速して舵取機構に伝えることを特徴とする電動パワーステアリング装置。
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