JP2004277918A - ポリエステル混繊糸 - Google Patents

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Abstract

【課題】色調が良好で、高級梳毛感があり、しかもストレッチ性やノングリッター効果にも優れた布帛が得られる、毛羽が少なく高品質のポリエステル混繊糸を提供するポリエステル混繊糸を提供する。
【解決手段】互いに熱収縮率の異なる2種類の繊維を混繊交絡してなる混繊糸において、該2種類の繊維を、いずれも2種類のポリエステルがサイドバイサイド型または偏心芯鞘型に複合化された潜在捲縮性複合繊維とし、該2種類のポリエステルを、特定のチタン化合物成分とリン化合物とを含む触媒の存在下に芳香族ジカルボキシレートエステルを重縮合して得られるポリエステルポリマーとし、低収縮繊維の沸水収縮率を0.5〜8.0%、高収縮繊維の沸水収縮率を10%以上かつ沸水処理後の捲縮率を1.5%以上とする。
【選択図】 なし

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、熱収縮率の異なる潜在捲縮性複合繊維からなるポリエステル混繊糸に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、高級梳毛調布帛のような繊細で上品な手触り感、ふくらみ感が得られるポリエステル繊維として、例えば、特許文献1〜3などには、混繊仮撚加工法を用いた仮撚2層構造糸が提案されている。しかしながら、これらの仮撚2層構造糸からなる布帛には、仮撚加工糸独特のテカリ、いわゆるグリッターが発現するため、染色後の深色感に欠けるといった問題がある。また、上記布帛では高いストレッチが得られないため、用途展開で限界がある。
【0003】
これに対して、我々は特願2002−363494号により、特定の収縮率や捲縮率を有する、異なる2種類の潜在捲縮性繊維を用い、これらを巧みに組合せた混繊糸とすることによって、上記問題が解決できることを提案した。さらに、上記潜在捲縮性繊維として、2種類のポリエステルからなる複合繊維を用いることも提案した。
【0004】
しかしながら、通常のポリエステル、特にポリエチレンテレフタレートの溶融紡糸においては、紡糸時間の経過と共に、紡糸口金吐出孔周辺に異物(以下、単に口金異物と称する場合もある)が発現し、付着・堆積し、溶融ポリマーの正常な流れを阻害し、吐出糸条の屈曲、ピクツキ、旋回等(以下、単に異常吐出現象と称する場合もある)が進行し、ついには吐出ポリマー糸条が紡糸口金面に付着して断糸するという現象が起こる。特に、上記のような2種類のポリエステルからなる複合繊維の紡糸においては、かかる現象が早く発現し、短時間で紡糸が不安定となる。また、このような異常吐出現象が起こると、紡糸運転に支障をきたすのみならず、正常な複合が妨げられ繊維軸方向に貼り合わせ斑が発生したり、ピクツキ、旋回等の異常吐出を経た吐出ポリマー糸条が冷却・固化の過程で繊維構造斑を生じたりするため、得られたポリエステル複合繊維は品質斑(毛羽など)が多くなるといった問題がある。さらに、前述のように、2種類のポリエステル複合繊維を組合せ混繊糸とした場合は、毛羽がより多いものとなり、品質が著しく低下する。
【0005】
このような口金異物の付着・堆積原因は、ポリエステル中に存在するアンチモンに起因することが知られているが、そのアンチモンは、ポリエステル、特にポリエチレンテレフタレートの触媒として、優れた重縮合触媒性能を有する、また色調の良好なポリエステルが得られるなどの理由から、最も広く使用されているアンチモン系触媒に由来するものであり、通常のポリエステル中には必然的に存在している。
【0006】
一方、該アンチモン化合物以外の重縮合触媒として、チタンテトラブトキシドのようなチタン化合物を用いることも考えられるが、このようなチタン化合物を使用した場合、上記のような口金異物の付着・堆積は減少するものの、ポリエステル自身の黄色味が強くなり、ポリエステル繊維として衣料用途に使用できない色調となるという問題がある。
【0007】
【特許文献1】
特公昭61−19733号公報
【0008】
【特許文献2】
特公昭61−20662号公報
【0009】
【特許文献3】
特開平2−139440号公報
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記従来技術を背景になされたもので、その目的は、色調が良好で、高級梳毛感があり、しかもストレッチ性やノングリッター効果にも優れた布帛が得られる、毛羽が少なく高品質のポリエステル混繊糸を提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、上記課題を解決するため鋭意研究したところ、適正な重縮合触媒から得られたポリエステルを複合化することにより、毛羽が少なく、色調が良好である極めて品質の高いポリエステル複合繊維が得られることがわかった。さらに、かかる複合繊維を巧みに組合せることによって、高級梳毛感があり、高いストレッチ性を有し、しかもノングリッター効果に優れた布帛を得られることを見出した。
【0012】
すなわち、本発明は、互いに熱収縮率の異なる2種類の繊維を混繊交絡してなる混繊糸において、該2種類の繊維が、いずれも2種類のポリエステルがサイドバイサイド型または偏心芯鞘型に複合化された潜在捲縮性複合繊維であり、該2種類のポリエステルが、チタン化合物成分とリン化合物とを含む触媒の存在下に芳香族ジカルボキシレートエステルを重縮合して得られるポリエステルであり、該チタン化合物成分が下記一般式(I)で表されるチタンアルコキシド及び下記一般式(I)で表されるチタンアルコキシドと下記一般式(II)で表される芳香族多価カルボン酸又はその無水物とを反応させた生成物からなる群から選ばれた少なくとも一種を含む成分であり、該リン化合物が下記一般式(III)で表される化合物であり、チタンとリンの含有濃度が下記数式(1)及び(2)を同時に満足し、低収縮繊維の沸水収縮率が0.5〜8.0%、高収縮繊維の沸水収縮率が10%以上かつ沸水処理後の捲縮率が1.5%以上であることを特徴とするポリエステル混繊糸である。
【0013】
【化6】
Figure 2004277918
【0014】
【化7】
Figure 2004277918
【0015】
【化8】
Figure 2004277918
【0016】
【数2】
Figure 2004277918
【0017】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を詳細に説明する。本発明のポリエステル混繊糸は、いずれも互いに熱収縮率の異なる2種類の繊維からなる混繊糸である。
また、上記2種類の繊維、つまり、低収縮繊維および高収縮繊維は、いずれも2種類のポリエステルがサイドバイサイド型または偏心芯鞘型に複合化された潜在捲縮性複合繊維である。
【0018】
本発明においては、それぞれの複合繊維を構成する2種類のポリエステルが、いずれも、チタン化合物成分とリン化合物とを含む触媒の存在下に芳香族ジカルボキシレートエステルを重縮合して得られるポリエステルであり、該チタン化合物成分が下記一般式(I)で表されるチタンアルコキシド及び下記一般式(I)で表されるチタンアルコキシドと下記一般式(II)で表される芳香族多価カルボン酸又はその無水物とを反応させた生成物からなる群から選ばれた少なくとも一種を含む成分であり、該リン化合物が後述する一般式(III)で表される化合物であることが肝要である。これにより、毛羽などが少なく、好ましい色調を有する混繊糸とすることができる。
【0019】
この本発明で用いられる、重縮合反応に触媒として用いられるチタン化合物成分は、最終製品の触媒に起因する異物を低減する観点から、ポリマー中に可溶なチタン化合物であることが必要であり、該チタン化合物成分としては、下記一般式(I)で表される化合物、若しくは一般式(II)で表される化合物と下記一般式(II)で表される芳香族多価カルボン酸又はその無水物とを反応させた生成物である必要がある。
【0020】
【化9】
Figure 2004277918
【0021】
【化10】
Figure 2004277918
【0022】
ここで、一般式(I)で表されるチタンアルコキシドとしては、具体的にはテトライソプロポキシチタン、テトラプロポキシチタン、テトラ−n−ブトキシチタン、テトラエトキシチタン、テトラフェノキシチタン、オクタアルキルトリチタネート、及びヘキサアルキルジチタネートなどが好ましく用いられる。
【0023】
また、本発明の該チタンアルコキシドと反応させる一般式(II)で表される芳香族多価カルボン酸又はその無水物としては、フタル酸、トリメリット酸、ヘミメリット酸、ピロメリット酸及びこれらの無水物が好ましく用いられる。
【0024】
上記チタンアルコキシドと芳香族多価カルボン酸又はその無水物とを反応させる場合には、溶媒に芳香族多価カルボン酸又はその無水物の一部または全部を溶解し、この混合液にチタンアルコキシドを滴下し、0〜200℃の温度で少なくとも30分間、好ましくは30〜150℃の温度で40〜90分間加熱することによって行われる。この際の反応圧力については特に制限はなく、常圧で十分である。なお、芳香族多価カルボン酸またはその無水物を溶解させる溶媒としては、エタノール、エチレングリコール、トリメチレングリコール、テトラメチレングリコール、ベンゼン及びキシレン等から所望に応じていずれを用いることもできる。
【0025】
ここで、チタンアルコキシドと芳香族多価カルボン酸またはその無水物との反応モル比には特に限定はないが、チタンアルコキシドの割合が高すぎると、得られるポリエステルの色調が悪化したり、軟化点が低下したりすることがあり、逆にチタンアルコキシドの割合が低すぎると重縮合反応が進みにくくなることがある。このため、チタンアルコキシドと芳香族多価カルボン酸又はその無水物との反応モル比は、2/1〜2/5の範囲内とすることが好ましい。
【0026】
本発明で用いられる重縮合用の触媒系は、上記のチタン化合物成分と、下記一般式(III)により表されるリン化合物とを含むものであり、両者の未反応混合物から実質的になるものである。
【0027】
【化11】
Figure 2004277918
【0028】
上記一般式(III)のリン化合物(ホスホネート化合物)としては、カルボメトキシメタンホスホン酸、カルボエトキシメタンホスホン酸、カルボプロポキシメタンホスホン酸、カルボブトキシメタンホスホン酸、カルボメトキシフェニルメタンホスホン酸、カルボエトキシフェニルメタンホスホン酸、カルボプロトキシフェニルメタンホスホン酸、カルボブトキシフェニルメタンホスホン酸等のホスホン酸誘導体のジメチルエステル類、ジエチルエステル類、ジプロピルエステル類、ジブチルエステル類等から選ばれることが好ましい。
【0029】
上記のホスホネート化合物は、通常安定剤として使用されるリン化合物に比較して、チタン化合物との反応が比較的緩やかに進行するので、反応中における、チタン化合物の触媒活性持続時間が長く、結果として該チタン化合物のポリエステルへの添加量を少なくすることができる。また、一般式(III)のリン化合物を含む触媒系に多量に安定剤を添加しても、得られるポリエステルの熱安定性を低下させることがなく、その色調を不良化することが無い。
【0030】
本発明では、上記のチタン化合物成分とリン化合物とを含む触媒が、下記数式(1)及び(2)を同時に満足するものである必要がある。
【0031】
【数3】
Figure 2004277918
【0032】
ここで、(P/Ti)は1以上15以下であるが、2以上15以下であることが好ましく、さらには10以下であることが好ましい。この(P/Ti)が1未満の場合、ポリエステルの色相が黄味を帯びたものであり、好ましくない。また、(P/Ti)が15を越えるとポリエステルの重縮合反応性が大幅に低下し、目的とするポリエステルを得ることが困難となる。この(P/Ti)の適正範囲は通常の金属触媒系よりも狭いことが特徴的であるが、適正範囲にある場合、本発明のような従来にない効果を得ることができる。
【0033】
一方、(Ti+P)は10以上100以下であるが、20以上70以下であることがより好ましい。(Ti+P)が10に満たない場合は、製糸プロセスにおける生産性が大きく低下し、満足な性能が得られなくなる。また、(Ti+P)が100を越える場合には、触媒に起因する異物が少量ではあるが発生し好ましくない。
【0034】
上記式中、Tiの量としては2〜15ミリモル%程度が適当である。本発明で用いられているポリエステルポリマーは、上記のチタン化合物成分とリン化合物とを含む触媒の存在下に芳香族ジカルボキシレートエステルを重縮合して得られるポリマーであるが、本発明においては、芳香族ジカルボキシレートエステルが、芳香族ジカルボン酸と脂肪族グリコールからなるジエステルであることが好ましい。
【0035】
ここで芳香族ジカルボン酸としては、テレフタル酸を主とすることが好ましい。より具体的には、テレフタル酸が全芳香族ジカルボン酸を基準として70モル%以上を占めていることが好ましく、さらには該テレフタル酸は、全芳香族ジカルボン酸を基準として80モル%以上を占めていることが好ましい。ここでテレフタル酸以外の好ましい芳香族ジカルボン酸としては、例えば、フタル酸、イソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸、ジフェニルジカルボン酸、ジフェノキシエタンジカルボン酸等を挙げることができる。
【0036】
もう一方の脂肪族グリコールとしては、アルキレングリコールであることが好ましく、例えば、エチレングリコール、トリメチレングリコール、プロピレングリコール、テトラメチレングリコール、ネオペンチルグリコール、ヘキサンメチレングリコール、ドデカメチレングリコールを用いることができるが、特にエチレングリコールであることが好ましい。
【0037】
本発明ではポリエステルが、ポリエチレンテレフタレートであることが特に好ましい。ここでポリエステルが、テレフタル酸とエチレングリコールからなるエチレンテレフタレートを主たる繰り返し単位とするポリエステルであることも好ましい。ここで「主たる」とは該エチレンテレフタレート繰り返し単位がポリエステル中の全繰り返し単位を基準として70モル%以上を占めていることをいう。
【0038】
また本発明で用いるポリエステルは、芳香族ジカルボン酸と脂肪族グリコールからなる主たる繰り返し単位以外に、酸成分またはジオール成分としてポリエステルを構成する成分を共重合した、共重合ポリエステルとしてもよい。
【0039】
共重合する成分としては、酸成分として、上記の芳香族ジカルボン酸はもちろん、アジピン酸、セバシン酸、アゼライン酸、デカンジカルボン酸などの脂肪族ジカルボン酸、シクロヘキサンジカルボン酸などの脂環式ジカルボン酸などの二官能性カルボン酸成分又はそのエステル形成性誘導体を原料として使用することができる。また、共重合するジオール成分としては上記の脂肪族ジオールはもちろん、シクロヘキサンジメタノールなどの脂環式グリコール、ビスフェノール、ハイドロキノン、2,2−ビス(4−β−ヒドロキシエトキシフェニル)プロパン類などの芳香族ジオールなどを原料として使用することができる。
【0040】
さらに、トリメシン酸、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、トリメチロールメタン、ペンタエリスリトールなどの多官能性化合物を原料として共重合させ使用することができる。
これらは一種を単独で用いてもよいし、二種以上を併用してもよい。
【0041】
本発明においては、上記のような芳香族ジカルボン酸と脂肪族グリコールからなる芳香族ジカルボキシレートエステルが用いられるが、この芳香族ジカルボキシレートエステルは、芳香族ジカルボン酸と脂肪族グリコールとのジエステル化反応により得ることもできるし、あるいは芳香族ジカルボン酸のジアルキルエステルと脂肪族グリコールとのエステル交換反応により得ることもできる。ただし、芳香族ジカルボン酸のジアルキルエステルを原料とし、エステル交換反応を経由する方法とした方が、芳香族ジカルボン酸を原料としジエステル化反応させる方法に比較し、重縮合反応中に安定剤として添加したリン化合物の飛散が少ないという利点がある。
【0042】
さらに、チタン化合物の一部及び/又は全量をエステル交換反応開始前に添加し、エステル交換反応触媒と重縮合反応触媒との二つの触媒として兼用させることが好ましい。このようにすることにより、最終的にポリエステル中のチタン化合物の含有量を低減することができる。ポリエチレンテレフタレートの例で、さらに具体的に述べると、テレフタル酸を主とする芳香族ジカルボン酸のジアルキルエステルとエチレングリコールとのエステル交換反応を、下記一般式(I)で表されるチタンアルコキシド、及び下記一般式(I)で表されるチタンアルコキシドと下記一般式(II)で表される芳香族多価カルボン酸又はその無水物とを反応させた生成物からなる群から選ばれた少なくとも1種を含むチタン化合物成分の存在下に行い、このエステル交換反応により得られた、芳香族ジカルボン酸とエチレングリコールとのジエステルを含有する反応混合物に、更に下記一般式(III)により表されるリン化合物を添加し、これらの存在下に重縮合することが好ましい。
【0043】
【化12】
Figure 2004277918
【0044】
【化13】
Figure 2004277918
【0045】
【化14】
Figure 2004277918
【0046】
なお、該エステル交換反応を行う場合には通常は常圧下で実施されるが、0.05〜0.20MPaの加圧下に実施すると、チタン化合物成分の触媒作用による反応が更に促進され、かつ副生物のジエチレングリコールが大量に発生することもないので、熱安定性などの特性が更に良好なものとなる。温度としては160〜260℃が好ましい。
【0047】
また、本発明において、芳香族ジカルボン酸がテレフタル酸である場合には、ポリエステルの出発原料としてテレフタル酸及びテレフタル酸ジメチルが用いられるが、その場合にはポリアルキレンテレフタレートを解重合することによって得られた回収テレフタル酸ジメチル又はこれを加水分解して得られる回収テレフタル酸を、ポリエステルを構成する全酸成分を基準として70重量%以上使用することもできる。この場合、前記ポリアルキレンテレフタレートは、ポリエチレンテレフタレートであることが好ましく、特に回収されたPETボトル、回収された繊維製品、回収されたポリエステルフィルム製品、さらには、これら製品の製造工程において発生するポリマー屑などをポリエステル製造用原料源とする再生ポリエステルを用いることは、資源の有効活用の観点から好ましいことである。
【0048】
ここで、回収ポリアルキレンテレフタレートを解重合してテレフタル酸ジメチルを得る方法には特に制限はなく、従来公知の方法をいずれも採用することができる。また、上記、回収された、テレフタル酸ジメチルからテレフタル酸を回収する方法にも特に制限はなく、従来方法のいずれを用いてもよい。テレフタル酸に含まれる不純物については、4−カルボキシベンズアルデヒド、パラトルイル酸、安息香酸及びヒドロキシテレフタル酸ジメチルの含有量が、合計で1ppm以下であることが好ましい。また、テレフタル酸モノメチルの含有量が、1〜5000ppmの範囲にあることが好ましい。回収されたテレフタル酸と、アルキレングリコールとを直接エステル化反応させ、得られたエステルを重縮合することによりポリエステルを製造することができる。
本発明では、ポリエステルが上記のような再生ポリエステルであることがより好ましい。
【0049】
本発明で用いるポリエステルは、必要に応じて少量の添加剤、例えば滑剤、顔料、染料、酸化防止剤、固相重合促進剤、蛍光増白剤、帯電防止剤、抗菌剤、紫外線吸収剤、光安定剤、熱安定剤、遮光剤、艶消剤等を含んでいてもよく、特に艶消剤として酸化チタン、安定剤としての酸化防止剤は好ましく添加され、酸化チタンとしては、平均粒径が0.01〜2μmの酸化チタンを、最終的に得られるポリエステル組成物中に0.01〜10重量%含有させるように添加することが好ましい。
【0050】
また、酸化防止剤としては、ヒンダードフェノール系の酸化防止剤が好ましいが、ヒンダードフェノール系酸化防止剤の添加量は1重量%以下であることが好ましい。1重量%を越えると製糸時のスカムの原因となり得る他、1重量%を越えて添加しても溶融安定性向上の効果が飽和してしまう為好ましくない。ヒンダードフェノール系酸化防止剤の添加量は0.005〜0.5重量%の範囲が更に好ましい。またこれらヒンダードフェノール系酸化防止とチオエーテル系二次酸化防止剤を併用して用いることも好ましく実施される。
【0051】
該酸化防止剤のポリエステルへの添加方法は特に制限はないが、好ましくはエステル交換反応、またはエステル化反応終了後、重合反応が完了するまでの間の任意の段階で添加する方法が挙げられる。
【0052】
本発明の低収縮繊維および低収縮繊維は、いずれも、以上に説明したポリエステルのうち、2種類のポリエステルがサイドバイサイド型または偏心芯鞘型に複合化された潜在捲縮性複合繊維である。この際、該複合繊維を構成するポリエステルの組合せとしては、後述するポリエステルのうち異なるポリエステルの組合せであってもよいし、同じポリエステルであっても固有粘度が互いに異なるポリエステルの組合せであってもよい。
【0053】
なかでも、低収縮繊維としては、固有粘度の異なるポリエチレンテレフタレートを複合化した複合繊維が好ましい。かかる複合繊維からは、より柔らかく繊細な感触の布帛が得られる。複合繊維を構成するポリエステルの固有粘度(オルソクロロフェノール溶媒を使用し、温度30℃で測定)としては、製糸安定性や潜在捲縮の発現のしやすさなどから、低収縮成分が0.50〜1.0の範囲、高収縮成分が0.35〜0.55の範囲、その差が0.15以上であることが好ましい。
【0054】
一方、高収縮繊維としては、イソフタル酸を全酸成分を基準として8〜15モル%共重合したポリエチレンテレフタレートと、実質的に共重合成分を含まないポリエステルとを複合化した複合繊維であることが好ましい。
【0055】
本発明においては、低収縮繊維の沸水収縮率が0.5〜8.0%、好ましくは2.0〜6.0%である必要がある。沸水収縮率が0.5%未満の場合は、本発明の目的とする高級梳毛感が得られない。一方、沸水収縮率が8.0%を越える場合は、後述する高収縮繊維との収縮差が小さくなり、優れた高級梳毛感やストレッチ性が得られない。
【0056】
また、後で低収縮繊維の製造方法については詳述するが、低収縮繊維が、溶融紡糸において引取速度2000〜4000m/minで引取り、これに弛緩熱処理を施した複合繊維であることが好ましい。かかる複合繊維を用いたとき、より柔らかく繊細な感触を有する高級梳毛感に優れた布帛が得られる。
【0057】
一方、高収縮繊維は、沸水収縮率が10%以上、好ましくは10〜50%、より好ましくは10〜40%である必要がある。上記沸水収縮率が10%未満では、高いストレッチ性が得られない。また、低収縮繊維の収縮率との差が十分なものとならず、優れた高級梳毛感も得られない。
【0058】
また、本発明においては、高収縮繊維の沸水処理後の捲縮率を1.5%以上とする必要がある。捲縮率が1.5%未満では、十分なストレッチ性や高級梳毛感が得られない。
【0059】
本発明においては、上記の低収縮繊維と高収縮繊維とを混繊交絡して混繊糸とし、これを熱処理して、高収縮繊維が主に芯部に、低伸度繊維が主に鞘部に配された構造とすることができる。しかも、芯部と鞘部では、低収縮繊維と高収縮繊維の収縮率の違いからそれぞれクリンプの向きや周期の異なった捲縮となって現れ、しかもそれらの異なった捲縮が混繊糸の芯部と鞘部でそれぞれ発現するため、2段の捲縮構造が形成される。この2段捲縮構造が、高級梳毛感を布帛にもたらし、同時に十分なストレッチ性が発現する。また、前述した低収縮繊維が鞘部に配されることによって、従来にない極めて優れた高級梳毛感が得られることがわかった。
【0060】
本発明においては、低収縮繊維の単繊維繊度が0.05〜3.5dtex、高収縮繊維の単糸繊度が0.55〜15.0dtexであることが好ましい。また、低収縮繊維の単糸繊度が、高収縮繊維の単繊維繊度より低いことが好ましく、その差が、0.5dtex以上であることが好ましく、より好ましくは1.0dtex以上である。かかる繊度の差とすることにより、芯部と鞘部とでクリンプの大きさの異なる捲縮が発現して明瞭な2段捲縮構造が形成され、また、より繊細な感触となり高級梳毛感に優れた布帛が得られる。
【0061】
本発明の混繊糸は、高収縮繊維と低収縮繊維とが混繊交絡してなる混繊糸であるが、交絡数があまり低いと高収縮繊維と低収縮繊維との絡みが不十分となって布帛表面が粗野な外観となりやすく、逆に高くなり過ぎると繊維間空隙が減少し、布帛のふくらみが不十分なり、高級梳毛感が得られにくくなる。このため、交絡数は10〜90個/mの範囲が好ましく、より好ましくは15〜50個/mの範囲である。
【0062】
本発明の混繊糸は、上述した高収縮繊維及び低収縮繊維を混繊交絡してなるものであり、従来のような仮撚加工の工程を経ずに製造できるものである。このため、本発明の混繊糸からは、仮撚加工時に繊維断面が変形することにより生じるグリッターやテカリのない、いわゆる、ノングリッター効果に優れた布帛を得ることができる。
【0063】
本発明において、低収縮繊維および高収縮繊維の単繊維断面形状は特に制限されないが、ノングリッター効果を得るためには、仮撚加工糸のように潰れて変形した断面は好ましくない。
【0064】
以上に説明した本発明のポリエステル混繊糸は、例えば以下の方法でより製造することができる。
低収縮繊維は、ペレット状となした2種類のポリエステルを常法で乾燥し、スクリュウ押出機を備えた通常の溶融紡糸設備で溶融し、サイドバイサイド型あるいは偏心芯鞘型に複合紡糸し、冷却し、適切な油剤を付与し、延伸することなく引取速度2000〜4000m/minで引取って潜在捲縮性複合繊維とする。引取速度を4000m/minを越える場合は、後述する弛緩熱処理を施して複合繊維の沸水収縮率を0.5〜8.0%に調節するのが難しくなり、高級梳毛感を有する布帛が得られ難くなる傾向にある。一方、引取速度が2000m/min未満の場合には、得られる複合繊維が脆弱となり易く、混繊糸とする際の取扱い性が悪くなる。
【0065】
このような収縮率差を内在する潜在捲縮性複合繊維においては、上記範囲の紡糸速度で引取った複合繊維を、熱処理条件を調整して弛緩熱処理することにより、沸水収縮率を0.5〜8.0%の低収縮糸を得ることができる。例えば、引取られた複合繊維を一旦巻き取った後、少なくとも2個の回転ローラー間にヒーターを設置した熱処理装置に通し、弛緩熱処理を施し、沸水収縮率0.5〜8.0%の低収縮繊維とする。上記ヒーターは非接触タイプが工程通過性の面で好ましい。この際、弛緩率は、前述の紡糸速度などによっても異なるが、1〜45%の範囲が好ましく、より好ましくは1〜10%の範囲である。弛緩率が1%未満の場合は、収縮率が8%よりも高くなりやすい。一方、弛緩率が45%を超える場合には、弛緩熱処理中に走行糸条がローラーに巻きつくことが多くなる。
【0066】
この際、ヒーター温度は180〜280℃が好ましく、より好ましくは200〜260℃の範囲である。ヒーター温度が180℃未満の場合には、沸水収縮率が10%を越えやすくなる。一方、ヒーター温度が280℃を超える場合には、ヒーター付近で断糸が発生しやすくなる。
【0067】
一方、高収繊維は、次の方法により得ることができる。2種類の異なるポリエステルペレットを公知の複合紡糸口金から溶融紡出し、1000〜4000m/minで巻き取った後、得られた未延伸糸を延伸する。この際、未延伸糸をこのように一旦巻き取らず、紡糸後直接延伸を行ってもよい。
【0068】
延伸は、予熱温度を30〜100℃の範囲、熱セット温度を140〜280℃の範囲で行うのが好ましい。予熱温度が30℃未満の場合は、不均一な延伸となり、品質斑の多い繊維となりやすい。一方、予熱温度が100℃を超える場合は、ローラー上での糸揺れが大きくなり糸斑が大きいなど、紡糸性が不安定となる傾向にある。また、熱セット温度が140℃未満の場合は、延伸が安定して行えず、延伸斑が発生し、毛羽や染色斑が発生しやすくなる。一方、熱セット温度が280℃を超える場合は、熱セット中に断糸が発生しやすくなる。
【0069】
延伸倍率は紡糸速度によって異なるが、延伸後の高収縮繊維の伸度が25〜65%となるように設定するのが好ましい。伸度が25%未満となるような延伸倍率に設定すると、延伸での断糸、毛羽が多くなる。逆に伸度が65%を超えるような延伸倍率に設定すると、得られる高収縮繊維にマルチフィラメントに未延伸が見られることが多く好ましくない。
【0070】
このようにして得られた、低収縮繊維と高収縮繊維とを引き揃え、1〜5%のオーバーフィードを掛けつつ、公知のインターレースノズルを用いて、交絡度が15〜90個/mとなるようにノズル圧空圧を調整し、混繊交絡して、本発明のポリエステル混繊糸を得ることができる。
【0071】
得られたポリエステル混繊糸は、製織または製編され、一般的に行われる、精練、染色、仕上げ加工処理を経て、潜在捲縮が発現し、高級梳毛感、ストレッチ性、ノングリッター効果に優れた織編物とすることができる。
【0072】
【実施例】
以下、実施例により、本発明をさらに具体的に説明する。なお、実施例における各項目は次の方法で測定した。
【0073】
(1)固有粘度
オルソクロロフェノールを溶媒として使用し35℃で測定した。
【0074】
(2)ポリエステル中のチタン、リン含有量
サンプルをアルミ板上で加熱溶融した後、圧縮プレス機で平面を有する成型体に形成し、蛍光X線測定装置(理学電機工業株式会社製3270型)に供して、定量分析した。
【0075】
(3)沸水収縮率(%)
JIS L1013 8.18.1 B法に準じて測定した。
【0076】
(4)捲縮率
1225/2500mN×9×表示テックス(50mg×表示デニール)の張力をかけてカセ枠に巻取り、約3300dtex(3000de)のカセを作る。カセ作製後、カセの一端に49/2500mN×9×表示テックス+49/25mN×9×表示テックス(2mg×表示デニール+200mg×表示デニール)の荷重を付加し1分間経過後の長さL0(cm)を測定する。次いで、49/25mN×9×表示テックス(200mg×表示デニール)の荷重を除去した状態で、100℃の沸騰水中にて20分間処理する。沸水処理後49/2500mN×9×表示テックス(2mg×表示デニール)の荷重を除去し、24時間自由な状態で自然乾燥する。自然乾燥した試料に再び49/2500mN×9×表示テックス+49/25mN×9×表示テックス(2mg×表示デニール+200mg×表示デニール)の荷重を付加し、1分間経過後の長さL1(cm)を測定する。次いで、49/25mN×9×表示テックス(200mg×表示デニール)の荷重を除去し、1分間経過後の長さL2を測定し、次の全捲縮率を算出した。なお、測定は10回行い、その平均値を求めた。
捲縮率(%)=[(L1−L2)/L0]×100
【0077】
(5)交絡度(ケ/m)
JIS L1013 8.15 に準じて測定した。
【0078】
(6)ストレッチ率
5cm×20cmの試験片を、自動記録装置付き引張試験機を用いて初荷重20gをかけてつかみ間隔が10cmになるように試験片をつかみ、引張速度30cm/minで1.5kg定荷重まで伸ばした後、直ちに同速度でもとの位置に戻し、荷重―伸長曲線を描く。ストレッチ率は、上記の1.5kg定荷重まで伸ばした後、直ちに同速度でもとの位置に戻す寸前の、伸長距離をLcm(0.01cmまで)とするとき、次式で表わされる。
ST(%)=[L/10]×100
【0079】
(7)高級梳毛感、ノングリッター効果
混繊糸を経192本/3.79cm、緯144本/3.79cmの綾織物に製織し、青色に染色し、熟練者5名により、高級梳毛感(柔らかく繊細な感触、膨らみ感)、ノングリッター効果を評価した。その結果を、良好、不良で示した。
【0080】
(8)ポリマー吐出状態
紡糸中に、紡糸口金より吐出されているポリマーの吐出状態を観察し、次の基準で吐出状態を格付けした。複合紡糸開始2日後に観察を行った。
レベル1:吐出糸条がほぼ一定の流下線を描いて、安定に走行している
レベル2:吐出糸条に小さな屈曲、ピクツキ、旋回等が見られる。
レベル3:吐出糸条が大きく屈曲、ピクツキあるいは旋回している。一部ポリマーが紡糸口金面に接触し、断糸が頻発している。
【0081】
(9)毛羽数(個/10m)
パッケージ巻き(あるいはパーン巻き)としたポリエステル混繊糸250個を、毛羽検出装置付きの整経機に掛けて、400m/minの速度で、42時間整経引き取りした。整経機が停止するごとに、目視で毛羽の有無を確認し、確認された毛羽の全個数を繊維糸条長10m当たりに換算し、毛羽数とした。
【0082】
[実施例1]
テレフタル酸ジメチル100部とエチレングリコール70部との混合物に、テトラ−n−ブチルチタネート0.009部を加圧反応が可能なステンレス製容器に仕込み、0.07MPaの加圧を行い140℃から240℃に昇温しながらエステル交換反応させた後、トリエチルホスホノアセテート0.035部を添加し、エステル交換反応を終了させた。その後、反応生成物を重合容器に移し、290℃まで昇温し、26.67Pa以下の高真空にて重縮合反応を行い、それぞれ所望の重合度に達した時点で反応を終了して、固有粘度0.63、0.55、0.43のポリエチレンテレフタレートを得、これを常法によりペレット化した。
【0083】
また、テレフタル酸ジメチル90部、イソフタル酸ジメチル10部、及び、エチレングリコール70部の混合物にテトラ−n−ブチルチタネート0.009部を仕込み、上記と同様の方法によりエステル交換、重合反応を行い、イソフタル酸が全酸成分を基準として10モル%共重合された、固有粘度0.63のポリエチレンテレフタレート系ポリエステルを得、これを常法によりペレット化した。
【0084】
上記イソフタル酸共重合ポリエチレンテレフタレート系ポリエステルのペレットと、前述した固有粘度が0.43のポリエチレンテレフタレートのペレットとを、複合重量比50/50でサイドバイサイド型に複合溶融紡糸(溶融紡糸温度:280℃、溶融粘度差:70Pa・sec)し、捲取速度1450m/分で巻き取った後、延伸倍率2.4倍、延伸速度600m/分、延伸温度90℃、熱セット温度230℃として延伸、熱セットし、110デシテックス24フィラメントの高収縮繊維を得た。
【0085】
一方、前述した、固有粘度0.63のポリエチレンテレフタレートのペレットと、固有粘度0.43のポリエチレンテレフタレートのペレットとを、複合重量比50/50でサイドバイサイド型に複合溶融紡糸(溶融紡糸温度:285℃、溶融粘度差:70Pa・sec)し、捲取速度3000m/分で巻き取った後、70デシテックス24フィラメントの複合繊維を得た。得られた複合繊維を、230℃(弛緩熱処理温度)に設定した非接触型スリットヒーターに通し、弛緩率3.5%、通過速度400m/分にて弛緩熱処理を施し低収縮繊維とし、前記の高収縮繊維と合わせてインターレースノズルの圧空圧0.2MPaにて混繊交絡処理を施し捲き取った。得られた混繊糸は183デシテックス48フィラメント、交絡度は35ヶ/mであった。
【0086】
いずれの複合繊維の紡糸においても、紡糸口金吐出孔周辺に異物の蓄積が認められず、ポリマー吐出状態は長期間にわたり安定であり、得られたポリエステル混繊糸は、毛羽が少なく品質の優れたものであった。また、低収縮繊維の沸水収縮率、高収縮繊維の沸水収縮率と捲縮率は表1のとおりであった。
【0087】
上記混繊糸を製織し、織物の風合いを評価した結果、色調が良好であり、ストレッチ性、ノングリッター効果に優れ、繊細な感触および適度なふくらみがあり高級梳毛感に優れていた。
【0088】
[実施例2]
高収縮繊維を製造する際の熱セット温度を230℃から250℃に、低収縮繊維を製造する際の弛緩率を3.5%から6%に変更した以外は、実施例1と同様にして混繊糸を得た。評価結果を表1に示す。得られた布帛の色調は良好であった。
【0089】
[実施例3]
高収縮繊維を製造する際の熱セット温度を230℃から150℃に、低収縮繊維を製造する際の弛緩率を3.5%から8%に変更した以外は、実施例1と同様にして混繊糸を得た。評価結果を表1に示す。得られた布帛の色調は良好であった。
【0090】
[実施例4]
高収縮繊維を、110デシテックス24フィラメントから56デシテックス12フィラメントに変更した以外は実施例1と同様にして混繊糸を得た。評価結果を表1に示す。得られた布帛の色調は良好であった。
【0091】
[比較例1]
低収縮繊維を製造する際の弛緩率を3.5%から12%に変更した以外は、実施例1と同様にして混繊糸を得た。評価結果を表1に示す。得られた布帛の色調は良好であった。
【0092】
[比較例2]
低収縮繊維を製造する際の弛緩率を3.5%から0%に変更した以外は、実施例1と同様にして混繊糸を得た。評価結果を表1に示す。得られた布帛の色調は良好であった。
【0093】
[比較例3]
低収縮繊維として、複合繊維ではなく、固有粘度0.63のポリエチレンテレフタレートのペレットを溶融紡糸温度280℃、紡糸速度3200m/分で溶融紡糸し捲き取った繊維を用いた以外は実施例1と同様にして混繊糸を得た。評価の結果、混繊糸の鞘の部に捲縮の発現が見られず、高級梳毛感に欠ける結果となった。色調は良好であった。
【0094】
[比較例4]
高収縮繊維を構成するポリエステルのうち、固有粘度0.63のポリエチレンテレフタレートを、前述した固有粘度を0.55のポリエチレンテレフタレートに変更した以外は実施例1と同様にして混繊糸を得た。評価の結果、芯糸である高収縮繊維の捲縮率が不十分であるのため混繊糸が2段捲縮構造を構成せず、高級梳毛感、ストレッチ性ともに低いものであった。布帛の色調は良好であった。
【0095】
[比較例5]
低収縮繊維を製造する際、該繊維に仮撚加工を施すこと以外は実施例1と同様にして混繊糸を得た。評価の結果、仮撚加工糸独特のテカリが布帛に見られ、ノングリッター効果に欠ける結果となった。このため、色調は悪かった。
【0096】
[比較例6]
テレフタル酸ジメチル100部とエチレングリコール70部との混合物に、酢酸カルシウム一水和物0.064重量部を加圧反応が可能なステンレス製容器に仕込み、0.07MPaの加圧を行い140℃から240℃に昇温しながらエステル交換反応させた後、56重量%濃度のリン酸水溶液0.044重量部を添加し、エステル交換反応を終了させた。その後、反応生成物を重合容器に移し、三酸化二アンチモンを表に示す量を添加して290℃まで昇温し、26.67Pa以下の高真空にて重縮合反応を行い、それぞれ所望の重合度に達した時点で反応を終了して、固有粘度0.63、0.43のポリエチレンテレフタレートを得、これを常法によりペレット化した。
【0097】
また、テレフタル酸ジメチル90部、イソフタル酸ジメチル10部、および、エチレングリコール70部との混合物に、酢酸カルシウム一水和物0.064重量部を仕込み、上記と同様の方法により、エステル交換し、三酸化二アンチモンを添加して重合反応を行い、イソフタル酸が全酸成分を基準として10モル%共重合された、固有粘度0.63のポリエチレンテレフタレート系ポリエステルを得、これを常法によりペレット化した。
【0098】
上記の固有粘度0.63のポリエチレンテレフタレートのペレットと、イソフタル酸共重合ポリエチレンテレフタレート系ポリエステルのペレットとを用いた以外は、実施例1にと同様にして高収縮繊維を得た。また、上記の固有粘度0.63のポリエチレンテレフタレートのペレットと、固有粘度0.43のポリエチレンテレフタレートのペレットとを用いた以外は、実施例1と同様にして低収縮繊維を得た。さらに、これらの繊維を合わせて、実施例1と同様にして混繊糸とした。
【0099】
いずれの繊維の紡糸においても、紡糸口金吐出孔周辺に異物が多く蓄積し、ポリマー吐出状態はピクツキ、旋回、口金面への付着が多く、得られたポリエステル混繊糸は、毛羽が極めて多いものであった。布帛の色調は実施例1よりも悪かった。
【0100】
【表1】
Figure 2004277918

Claims (4)

  1. 互いに熱収縮率の異なる2種類の繊維を混繊交絡してなる混繊糸において、該2種類の繊維が、いずれも2種類のポリエステルがサイドバイサイド型または偏心芯鞘型に複合化された潜在捲縮性複合繊維であり、該2種類のポリエステルが、チタン化合物成分とリン化合物とを含む触媒の存在下に芳香族ジカルボキシレートエステルを重縮合して得られるポリエステルであり、該チタン化合物成分が下記一般式(I)で表されるチタンアルコキシド及び下記一般式(I)で表されるチタンアルコキシドと下記一般式(II)で表される芳香族多価カルボン酸又はその無水物とを反応させた生成物からなる群から選ばれた少なくとも一種を含む成分であり、該リン化合物が下記一般式(III)で表される化合物であり、チタンとリンの含有濃度が下記数式(1)及び(2)を同時に満足し、低収縮繊維の沸水収縮率が0.5〜8.0%、高収縮繊維の沸水収縮率が10%以上かつ沸水処理後の捲縮率が1.5%以上であることを特徴とするポリエステル混繊糸。
    Figure 2004277918
    Figure 2004277918
    Figure 2004277918
    Figure 2004277918
  2. 芳香族ジカルボキシレートエステルが、チタン化合物成分を含む触媒の存在下で、芳香族ジカルボン酸のジアルキルエステルと脂肪族グリコールとのエステル交換反応により得られたジエステルであり、該チタン化合物成分が下記一般式(I)で表されるチタンアルコキシド及び下記一般式(I)で表されるチタンアルコキシドと下記一般式(II)で表される芳香族多価カルボン酸又はその無水物とを反応させた生成物からなる群から選ばれた少なくとも一種を含む成分である請求項1記載のポリエステル混繊糸。
    Figure 2004277918
    Figure 2004277918
  3. 低収縮繊維が、溶融紡糸において引取速度2000〜4000m/minで引取り、これに弛緩熱処理を施した繊維である請求項1または2に記載のポリエステル混繊糸。
  4. 低収縮繊維よりも高収縮繊維の繊度が大きく、低収縮繊維、高収縮繊維の単繊維繊度がそれぞれ0.05〜3.5dtex、0.55〜15.0dtexであり、その繊度差が0.5dtex以上である請求項1〜3のいずれかに記載のポリエステル混繊糸。
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