JP2004277906A - ウォータージェットルーム用筬および製織方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】本発明は、織機回転数800rpm以上で製織するに際し、開口量を大きくしたり、水量を増やしたりすることなくウォータージェットルームで製織することが可能なウォータージェットルーム用筬を提供するものである。
【解決手段】空隙率が60%以上であることを特徴とするウォータージェットルーム用筬および空隙率が60%以上の筬を用いることを特徴とするウォータージェットルーム製織方法。
【選択図】図1
【解決手段】空隙率が60%以上であることを特徴とするウォータージェットルーム用筬および空隙率が60%以上の筬を用いることを特徴とするウォータージェットルーム製織方法。
【選択図】図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、織機回転数800rpm以上で好適に用いることができるウォータージェットルーム用筬および製織方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
通常、ウォータージェットルームでヨコ入れされたヨコ糸は噴射されてから水平に飛走するかもしくは重力により下方にカーブする。
【0003】
しかしながら、織機回転数が800rpm以上になってくると筬打ち運動による風圧でヨコ糸が上方に向いて飛走する現象が発生するため、ヨコ糸がタテ糸上側開口糸に当たり、ヨコ糸が端まで到達しないことによる織機停台の問題があった。
【0004】
これを防止するために、開口量を大きくしてヨコ糸がタテ糸に当たらないようにしたり、ヨコ糸噴射水の水量を多くしてヨコ糸が上方に向いて飛走する現象を軽減したりして対応してきたが、開口量を大きくするとタテ糸毛羽が発生し、織機停台が増加したり、ヘルドメール摩耗が増加し、ヘルドの耐久性が低下する問題があった。また、ヨコ糸噴射水量を多くするとヨコ糸が噴射水によって延伸され、通常ヨコヒケといわれる欠点が発生し、品質に問題があった。
【0005】
そこで高速回転ウォータージェットルーム用筬として、筬羽が「くの字」状に織前側に屈曲した形状を有する筬が提案されている(例えば、特許文献1参照)。この筬は筬羽が「くの字」状に織前側に屈曲した形状を有するものである。この筬は安定したヨコ入れも謳っているが、主にタテ糸と筬の擦過距離を小さくし、タテ糸毛羽などの低減を目的としたものであり、織機回転数800rpm以上での筬打ち運動による風圧でヨコ糸が上方に向いて飛走する現象を解決するには不十分である。また筬羽が特殊なため筬価格が高くなる等の問題があった。
【0006】
【特許文献1】
特開平9−302557号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の課題は、上記従来の問題点を解消することにあり、織機回転数800rpm以上の高速で製織するに際し、開口量を大きくしたり、ヨコ糸噴射水量を増やしたりすることなく製織することが可能なウォータージェットルーム用筬および製織方法を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明のウォータージェットルーム用筬および製織方法は、上記課題を解決するために、空隙率が60%以上であるウォータージェットルーム用筬をを特徴とするものである。
【0009】
本発明においては筬の内天地が40mm以下であるものが好ましい。
【0010】
【発明の実施の形態】
本発明は、空隙率が60%以上であるウォータージェットルーム用筬を用いることで筬打ち運動による風圧でヨコ糸が上方に向いて飛走する現象を防止でき、織機停台を減少させることができる。
【0011】
ここで、空隙率(%)=[1−筬密度(羽/cm)×羽厚(cm)}×100
で定義されるものである。
【0012】
本発明は、織機回転数800rpm以上のウォータージェットルームでヨコ糸がタテ糸上側開口糸に当たり、ヨコ糸が端まで到達しないことによる織機停台することなく安定して製織することができたものである。
【0013】
筬の空隙率が60%より小さいと、筬打ち運動による風圧でヨコ糸が上方に向いて飛走する現象を防止できないため、織機停台を減少させることができない。
【0014】
空隙率は80%以下が好ましい。80%を越えると筬羽のたわみが大きくなり、筬スジ発生による品位の低下、また筬の強度低下の問題が発生する。
【0015】
また、筬内天地が40mmより大きいと筬羽のたわみが大きくなり、筬スジ発生による品位の低下、また筬の強度低下の問題が発生する。
【0016】
織機回転数が800rpmより低い回転数では打ち運動による風圧が小さいので、本発明の筬を用いると逆に噴射されたヨコ糸が下方にカーブする問題が発生する。織機回転数は1800rpm以下が好ましい。1800rpmより大きくなると、ヨコ糸に噴射水によって過大な張力がかかり、ヨコ欠点が発生し品質に問題が生じるようになる。
【0017】
筬の内天地とは図1で示すAの寸法である。図1は筬断面の概略図であり、筬の内天地とは筬羽1を支持する上部チャンネル3と下部チャンネル4の巻き針2間の距離Aの寸法である。
【0018】
【実施例】
次に実施例を挙げて、本発明を更に具体的に説明する。
【0019】
実施例1
表1に示すように、タテ糸に56dtex−18F(フィラメント)−ポリエステルマルチフィラメントフラットヤーン(無糊、無撚)、ヨコ糸に84dtex−36F(フィラメント)−ポリエステルマルチフィラメントフラットヤーンを用い平組織で筬入れ幅が168.2cm、生機密度が103×79本/2.54cm、筬密度75羽/3.7878cmの織物を、表2に示すようにクランク式開口装置でリードストロークが50mmのウォータージェットルームで製織した。また筬の内天地は35mm、織機回転数1200rpmに設定した。
【0020】
表3に示すように空隙率66%の筬を用い、1枠開口量を40mm、噴射水量を1.2cc/picに設定して製織した結果、筬打ち運動による風圧でヨコ糸が上方に向いて飛走する現象がほとんど無いため、ヨコ因停台、タテ因停台ともに少なく総停台回数が3.8回/台・日であった。また2万m製織時点ではヘルドメール摩耗は見られず、ヨコヒケも見られなかった。
【0021】
なお空隙率66%の筬は羽厚0.0170cmの筬羽を用いている。
【0022】
空隙率(%)={1−75(羽)/3.7878(cm)×0.0170(cm)}×100=66.3
実施例2
表1に示すように、タテ糸に56dtex−18F(フィラメント)−ポリエステルマルチフィラメントフラットヤーン(無糊、無撚)、ヨコ糸に84dtex−36F(フィラメント)−ポリエステルマルチフィラメントフラットヤーンを用い平組織で筬入れ幅が168.2cm、生機密度が103×79本/2.54cm、筬密度75羽/3.7878cmの織物を、表2に示すようにクランク式開口装置でリードストロークが50mmのウォータージェットルームで製織した。また筬の内天地は35mm、織機回転数1200rpmに設定した。
【0023】
表3に示すように空隙率60%の筬を用い、1枠開口量を40mm、噴射水量を1.2cc/picに設定して製織した結果、筬打ち運動による風圧でヨコ糸が上方に向いて飛走する現象が少し見られ、ヨコ因停台、タテ因停台ともに少なく総停台回数が7.8回/台・日であった。また2万m製織時点ではヘルドメール摩耗は見られず、ヨコヒケも見られなかった。
【0024】
なお空隙率60%の筬は羽厚0.0200cmの筬羽を用いている。
【0025】
空隙率(%)={1−75(羽)/3.7878(cm)×0.0200(cm)}×100=60.4
比較例1
表1に示すように、タテ糸に56dtex−18F(フィラメント)−ポリエステルマルチフィラメントフラットヤーン(無糊、無撚)、ヨコ糸に84dtex−36F(フィラメント)−ポリエステルマルチフィラメントフラットヤーンを用い平組織で筬入れ幅が168.2cm、生機密度が103×79本/2.54cm、筬密度75羽/3.7878cmの織物を、表2に示すようにクランク式開口装置でリードストロークが50mmのウォータージェットルームで製織した。また筬の内天地は35mm、織機回転数1200rpmに設定した。
【0026】
表3に示すように空隙率44%の筬を用い、1枠開口量を40mm、噴射水量を1.2cc/picに設定して製織した結果、筬打ち運動による風圧でヨコ糸が上方に向いて飛走する現象が発生するため、折り返し、タテ掛かり停台が多発し総停台回数が52.5回/台・日であった。
【0027】
なお空隙率44%の筬は羽厚0.0283cmの筬羽を用いている。
【0028】
空隙率(%)={1−75(羽)/3.7878(cm)×0.0283(cm)}×100=44.0
比較例2
表1に示すように、タテ糸に56dtex−18F(フィラメント)−ポリエステルマルチフィラメントフラットヤーン(無糊、無撚)、ヨコ糸に84dtex−36F(フィラメント)−ポリエステルマルチフィラメントフラットヤーンを用い平組織で筬入れ幅が168.2cm、生機密度が103×79本/2.54cm、筬密度75羽/3.7878cmの織物を、表2に示すようにクランク式開口装置でリードストロークが50mmのウォータージェットルームで製織した。また筬の内天地は35mm、織機回転数1200rpmに設定した。
【0029】
表3に示すように空隙率44%の筬を用い、1枠開口量を50mm、噴射水量を1.2cc/picに設定して製織した結果、筬打ち運動による風圧でヨコ糸が上方に向いて飛走する現象が発生するため、折り返し、タテ掛かり停台が多発し総停台回数が31.9回/台・日であった。ただ開口量を大きくしたため、比較例1よりは停台回数は減少している。しかし開口量を大きくしたため2万m製織時点ではタテ糸にダメージを与えるヘルドメールキズが発生した。
【0030】
なお空隙率44%の筬は羽厚0.0283cmの筬羽を用いている。
【0031】
空隙率(%)={1−75(羽)/3.7878(cm)×0.0283(cm)}×100=44.0
比較例3
表1に示すように、タテ糸に56dtex−18F(フィラメント)−ポリエステルマルチフィラメントフラットヤーン(無糊、無撚)、ヨコ糸に84dtex−36F(フィラメント)−ポリエステルマルチフィラメントフラットヤーンを用い平組織で筬入れ幅が168.2cm、生機密度が103×79本/2.54cm、筬密度75羽/3.7878cmの織物を、表2に示すようにクランク式開口装置でリードストロークが50mmのウォータージェットルームで製織した。また筬の内天地は35mm、織機回転数1200rpmに設定した。
【0032】
表4に示すように空隙率44%の筬を用い、1枠開口量を40mm、噴射水量を1.8cc/picに設定して製織した結果、筬打ち運動による風圧でヨコ糸が上方に向いて飛走する現象が発生するため、折り返し、タテ掛かり停台が多発し総停台回数が35.0回/台・日であった。ただ噴射水量を大きくしたため、比較例1よりは停台回数は減少している。しかし噴射水量を大きくしたためヨコヒケ欠点が発生した。
【0033】
なお空隙率44%の筬は羽厚0.0283cmの筬羽を用いている。
【0034】
空隙率(%)={1−75(羽)/3.7878(cm)×0.0283(cm)}×100=44.0
比較例4
表1に示すように、タテ糸に56dtex−18F(フィラメント)−ポリエステルマルチフィラメントフラットヤーン(無糊、無撚)、ヨコ糸に84dtex−36F(フィラメント)−ポリエステルマルチフィラメントフラットヤーンを用い平組織で筬入れ幅が168.2cm、生機密度が103×79本/2.54cm、筬密度75羽/3.7878cmの織物を、表2に示すようにクランク式開口装置でリードストロークが50mmのウォータージェットルームで製織した。また筬の内天地は35mm、織機回転数1200rpmに設定した。
【0035】
表4に示すように空隙率52%の筬を用い、1枠開口量を40mm、噴射水量を1.2cc/picに設定して製織した結果、筬打ち運動による風圧でヨコ糸が上方に向いて飛走する現象が発生するため、折り返し、タテ掛かり停台が多発し総停台回数が32.3回/台・日であった。
【0036】
なお空隙率52%の筬は羽厚0.0242cmの筬羽を用いている。
【0037】
空隙率(%)={1−75(羽)/3.7878(cm)×0.0242(cm)}×100=52.1
実施例1、実施例2、比較例1、比較例2、比較例3、比較例4の織物規格を表1に示す。
【0038】
【表1】
【0039】
実施例1、実施例2、比較例1、比較例2、比較例3、比較例4の織機仕様および織機回転数、筬内天地を表2に示す。
【0040】
【表2】
【0041】
実施例1、実施例2、比較例1、比較例2の筬空隙率、1枠開口量、噴射水量と織機停台、ヘルドメール摩耗、ヨコ品位結果を表3に示す。
【0042】
【表3】
【0043】
比較例3、比較例4の筬空隙率、1枠開口量、噴射水量と織機停台、ヘルドメール摩耗、ヨコ品位結果を表4に示す。
【0044】
【表4】
【0045】
【発明の効果】
本発明によれば、織機回転数800rpm以上で製織するに際し、筬打ち運動による風圧でヨコ糸が上方に向いて飛走する現象を防止できるため、ヨコ糸がタテ糸上側開口糸に当たり、ヨコ糸が端まで到達しないことによる織機停台の問題が発生することなくウォータージェットルームで製織することが可能になる。
【0046】
また開口量を大きくしてヨコ糸がタテ糸に当たらないようにする必要がないため、タテ糸毛羽が発生し織機停台が増加したり、ヘルドメール摩耗が増加し、ヘルドの耐久性が低下することなくウォータージェットルームで製織することが可能になる。
【0047】
またヨコ糸噴射水の水量を多くしてヨコ糸がタテ糸に当たらないようにする必要がないため、通常ヨコヒケといわれる欠点が発生することなくウォータージェットルームで製織することが可能になる。
【0048】
更にはヨコ糸が真っ直ぐ飛走するため、噴射水の方向調整を容易にすることが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】筬を説明する概略図である。
【符号の説明】
1:筬羽
2:巻き針
3:上部チャンネル
4:下部チャンネル
A:内天地
【発明の属する技術分野】
本発明は、織機回転数800rpm以上で好適に用いることができるウォータージェットルーム用筬および製織方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
通常、ウォータージェットルームでヨコ入れされたヨコ糸は噴射されてから水平に飛走するかもしくは重力により下方にカーブする。
【0003】
しかしながら、織機回転数が800rpm以上になってくると筬打ち運動による風圧でヨコ糸が上方に向いて飛走する現象が発生するため、ヨコ糸がタテ糸上側開口糸に当たり、ヨコ糸が端まで到達しないことによる織機停台の問題があった。
【0004】
これを防止するために、開口量を大きくしてヨコ糸がタテ糸に当たらないようにしたり、ヨコ糸噴射水の水量を多くしてヨコ糸が上方に向いて飛走する現象を軽減したりして対応してきたが、開口量を大きくするとタテ糸毛羽が発生し、織機停台が増加したり、ヘルドメール摩耗が増加し、ヘルドの耐久性が低下する問題があった。また、ヨコ糸噴射水量を多くするとヨコ糸が噴射水によって延伸され、通常ヨコヒケといわれる欠点が発生し、品質に問題があった。
【0005】
そこで高速回転ウォータージェットルーム用筬として、筬羽が「くの字」状に織前側に屈曲した形状を有する筬が提案されている(例えば、特許文献1参照)。この筬は筬羽が「くの字」状に織前側に屈曲した形状を有するものである。この筬は安定したヨコ入れも謳っているが、主にタテ糸と筬の擦過距離を小さくし、タテ糸毛羽などの低減を目的としたものであり、織機回転数800rpm以上での筬打ち運動による風圧でヨコ糸が上方に向いて飛走する現象を解決するには不十分である。また筬羽が特殊なため筬価格が高くなる等の問題があった。
【0006】
【特許文献1】
特開平9−302557号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の課題は、上記従来の問題点を解消することにあり、織機回転数800rpm以上の高速で製織するに際し、開口量を大きくしたり、ヨコ糸噴射水量を増やしたりすることなく製織することが可能なウォータージェットルーム用筬および製織方法を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明のウォータージェットルーム用筬および製織方法は、上記課題を解決するために、空隙率が60%以上であるウォータージェットルーム用筬をを特徴とするものである。
【0009】
本発明においては筬の内天地が40mm以下であるものが好ましい。
【0010】
【発明の実施の形態】
本発明は、空隙率が60%以上であるウォータージェットルーム用筬を用いることで筬打ち運動による風圧でヨコ糸が上方に向いて飛走する現象を防止でき、織機停台を減少させることができる。
【0011】
ここで、空隙率(%)=[1−筬密度(羽/cm)×羽厚(cm)}×100
で定義されるものである。
【0012】
本発明は、織機回転数800rpm以上のウォータージェットルームでヨコ糸がタテ糸上側開口糸に当たり、ヨコ糸が端まで到達しないことによる織機停台することなく安定して製織することができたものである。
【0013】
筬の空隙率が60%より小さいと、筬打ち運動による風圧でヨコ糸が上方に向いて飛走する現象を防止できないため、織機停台を減少させることができない。
【0014】
空隙率は80%以下が好ましい。80%を越えると筬羽のたわみが大きくなり、筬スジ発生による品位の低下、また筬の強度低下の問題が発生する。
【0015】
また、筬内天地が40mmより大きいと筬羽のたわみが大きくなり、筬スジ発生による品位の低下、また筬の強度低下の問題が発生する。
【0016】
織機回転数が800rpmより低い回転数では打ち運動による風圧が小さいので、本発明の筬を用いると逆に噴射されたヨコ糸が下方にカーブする問題が発生する。織機回転数は1800rpm以下が好ましい。1800rpmより大きくなると、ヨコ糸に噴射水によって過大な張力がかかり、ヨコ欠点が発生し品質に問題が生じるようになる。
【0017】
筬の内天地とは図1で示すAの寸法である。図1は筬断面の概略図であり、筬の内天地とは筬羽1を支持する上部チャンネル3と下部チャンネル4の巻き針2間の距離Aの寸法である。
【0018】
【実施例】
次に実施例を挙げて、本発明を更に具体的に説明する。
【0019】
実施例1
表1に示すように、タテ糸に56dtex−18F(フィラメント)−ポリエステルマルチフィラメントフラットヤーン(無糊、無撚)、ヨコ糸に84dtex−36F(フィラメント)−ポリエステルマルチフィラメントフラットヤーンを用い平組織で筬入れ幅が168.2cm、生機密度が103×79本/2.54cm、筬密度75羽/3.7878cmの織物を、表2に示すようにクランク式開口装置でリードストロークが50mmのウォータージェットルームで製織した。また筬の内天地は35mm、織機回転数1200rpmに設定した。
【0020】
表3に示すように空隙率66%の筬を用い、1枠開口量を40mm、噴射水量を1.2cc/picに設定して製織した結果、筬打ち運動による風圧でヨコ糸が上方に向いて飛走する現象がほとんど無いため、ヨコ因停台、タテ因停台ともに少なく総停台回数が3.8回/台・日であった。また2万m製織時点ではヘルドメール摩耗は見られず、ヨコヒケも見られなかった。
【0021】
なお空隙率66%の筬は羽厚0.0170cmの筬羽を用いている。
【0022】
空隙率(%)={1−75(羽)/3.7878(cm)×0.0170(cm)}×100=66.3
実施例2
表1に示すように、タテ糸に56dtex−18F(フィラメント)−ポリエステルマルチフィラメントフラットヤーン(無糊、無撚)、ヨコ糸に84dtex−36F(フィラメント)−ポリエステルマルチフィラメントフラットヤーンを用い平組織で筬入れ幅が168.2cm、生機密度が103×79本/2.54cm、筬密度75羽/3.7878cmの織物を、表2に示すようにクランク式開口装置でリードストロークが50mmのウォータージェットルームで製織した。また筬の内天地は35mm、織機回転数1200rpmに設定した。
【0023】
表3に示すように空隙率60%の筬を用い、1枠開口量を40mm、噴射水量を1.2cc/picに設定して製織した結果、筬打ち運動による風圧でヨコ糸が上方に向いて飛走する現象が少し見られ、ヨコ因停台、タテ因停台ともに少なく総停台回数が7.8回/台・日であった。また2万m製織時点ではヘルドメール摩耗は見られず、ヨコヒケも見られなかった。
【0024】
なお空隙率60%の筬は羽厚0.0200cmの筬羽を用いている。
【0025】
空隙率(%)={1−75(羽)/3.7878(cm)×0.0200(cm)}×100=60.4
比較例1
表1に示すように、タテ糸に56dtex−18F(フィラメント)−ポリエステルマルチフィラメントフラットヤーン(無糊、無撚)、ヨコ糸に84dtex−36F(フィラメント)−ポリエステルマルチフィラメントフラットヤーンを用い平組織で筬入れ幅が168.2cm、生機密度が103×79本/2.54cm、筬密度75羽/3.7878cmの織物を、表2に示すようにクランク式開口装置でリードストロークが50mmのウォータージェットルームで製織した。また筬の内天地は35mm、織機回転数1200rpmに設定した。
【0026】
表3に示すように空隙率44%の筬を用い、1枠開口量を40mm、噴射水量を1.2cc/picに設定して製織した結果、筬打ち運動による風圧でヨコ糸が上方に向いて飛走する現象が発生するため、折り返し、タテ掛かり停台が多発し総停台回数が52.5回/台・日であった。
【0027】
なお空隙率44%の筬は羽厚0.0283cmの筬羽を用いている。
【0028】
空隙率(%)={1−75(羽)/3.7878(cm)×0.0283(cm)}×100=44.0
比較例2
表1に示すように、タテ糸に56dtex−18F(フィラメント)−ポリエステルマルチフィラメントフラットヤーン(無糊、無撚)、ヨコ糸に84dtex−36F(フィラメント)−ポリエステルマルチフィラメントフラットヤーンを用い平組織で筬入れ幅が168.2cm、生機密度が103×79本/2.54cm、筬密度75羽/3.7878cmの織物を、表2に示すようにクランク式開口装置でリードストロークが50mmのウォータージェットルームで製織した。また筬の内天地は35mm、織機回転数1200rpmに設定した。
【0029】
表3に示すように空隙率44%の筬を用い、1枠開口量を50mm、噴射水量を1.2cc/picに設定して製織した結果、筬打ち運動による風圧でヨコ糸が上方に向いて飛走する現象が発生するため、折り返し、タテ掛かり停台が多発し総停台回数が31.9回/台・日であった。ただ開口量を大きくしたため、比較例1よりは停台回数は減少している。しかし開口量を大きくしたため2万m製織時点ではタテ糸にダメージを与えるヘルドメールキズが発生した。
【0030】
なお空隙率44%の筬は羽厚0.0283cmの筬羽を用いている。
【0031】
空隙率(%)={1−75(羽)/3.7878(cm)×0.0283(cm)}×100=44.0
比較例3
表1に示すように、タテ糸に56dtex−18F(フィラメント)−ポリエステルマルチフィラメントフラットヤーン(無糊、無撚)、ヨコ糸に84dtex−36F(フィラメント)−ポリエステルマルチフィラメントフラットヤーンを用い平組織で筬入れ幅が168.2cm、生機密度が103×79本/2.54cm、筬密度75羽/3.7878cmの織物を、表2に示すようにクランク式開口装置でリードストロークが50mmのウォータージェットルームで製織した。また筬の内天地は35mm、織機回転数1200rpmに設定した。
【0032】
表4に示すように空隙率44%の筬を用い、1枠開口量を40mm、噴射水量を1.8cc/picに設定して製織した結果、筬打ち運動による風圧でヨコ糸が上方に向いて飛走する現象が発生するため、折り返し、タテ掛かり停台が多発し総停台回数が35.0回/台・日であった。ただ噴射水量を大きくしたため、比較例1よりは停台回数は減少している。しかし噴射水量を大きくしたためヨコヒケ欠点が発生した。
【0033】
なお空隙率44%の筬は羽厚0.0283cmの筬羽を用いている。
【0034】
空隙率(%)={1−75(羽)/3.7878(cm)×0.0283(cm)}×100=44.0
比較例4
表1に示すように、タテ糸に56dtex−18F(フィラメント)−ポリエステルマルチフィラメントフラットヤーン(無糊、無撚)、ヨコ糸に84dtex−36F(フィラメント)−ポリエステルマルチフィラメントフラットヤーンを用い平組織で筬入れ幅が168.2cm、生機密度が103×79本/2.54cm、筬密度75羽/3.7878cmの織物を、表2に示すようにクランク式開口装置でリードストロークが50mmのウォータージェットルームで製織した。また筬の内天地は35mm、織機回転数1200rpmに設定した。
【0035】
表4に示すように空隙率52%の筬を用い、1枠開口量を40mm、噴射水量を1.2cc/picに設定して製織した結果、筬打ち運動による風圧でヨコ糸が上方に向いて飛走する現象が発生するため、折り返し、タテ掛かり停台が多発し総停台回数が32.3回/台・日であった。
【0036】
なお空隙率52%の筬は羽厚0.0242cmの筬羽を用いている。
【0037】
空隙率(%)={1−75(羽)/3.7878(cm)×0.0242(cm)}×100=52.1
実施例1、実施例2、比較例1、比較例2、比較例3、比較例4の織物規格を表1に示す。
【0038】
【表1】
【0039】
実施例1、実施例2、比較例1、比較例2、比較例3、比較例4の織機仕様および織機回転数、筬内天地を表2に示す。
【0040】
【表2】
【0041】
実施例1、実施例2、比較例1、比較例2の筬空隙率、1枠開口量、噴射水量と織機停台、ヘルドメール摩耗、ヨコ品位結果を表3に示す。
【0042】
【表3】
【0043】
比較例3、比較例4の筬空隙率、1枠開口量、噴射水量と織機停台、ヘルドメール摩耗、ヨコ品位結果を表4に示す。
【0044】
【表4】
【0045】
【発明の効果】
本発明によれば、織機回転数800rpm以上で製織するに際し、筬打ち運動による風圧でヨコ糸が上方に向いて飛走する現象を防止できるため、ヨコ糸がタテ糸上側開口糸に当たり、ヨコ糸が端まで到達しないことによる織機停台の問題が発生することなくウォータージェットルームで製織することが可能になる。
【0046】
また開口量を大きくしてヨコ糸がタテ糸に当たらないようにする必要がないため、タテ糸毛羽が発生し織機停台が増加したり、ヘルドメール摩耗が増加し、ヘルドの耐久性が低下することなくウォータージェットルームで製織することが可能になる。
【0047】
またヨコ糸噴射水の水量を多くしてヨコ糸がタテ糸に当たらないようにする必要がないため、通常ヨコヒケといわれる欠点が発生することなくウォータージェットルームで製織することが可能になる。
【0048】
更にはヨコ糸が真っ直ぐ飛走するため、噴射水の方向調整を容易にすることが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】筬を説明する概略図である。
【符号の説明】
1:筬羽
2:巻き針
3:上部チャンネル
4:下部チャンネル
A:内天地
Claims (5)
- 空隙率が60%以上であることを特徴とするウォータージェットルーム用筬。
ただし、空隙率(%)=[1−筬密度(羽/cm)×羽厚(cm)}×100
で示される。 - 筬の内天地が40mm以下であることを特徴とする請求項1記載のウォータージェットルーム用筬。
- 請求項1または2項記載の筬を用いることを特徴とするウォータージェットルーム製織方法。
- 織機回転数が800rpm以上であることを特徴とする請求項3記載のウォータージェットルーム製織方法。
- 請求項1または2に記載の筬を用いてなることを特徴とするウォータージェットルーム。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2003069446A JP2004277906A (ja) | 2003-03-14 | 2003-03-14 | ウォータージェットルーム用筬および製織方法 |
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JP2003069446A JP2004277906A (ja) | 2003-03-14 | 2003-03-14 | ウォータージェットルーム用筬および製織方法 |
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ID=33286473
Family Applications (1)
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JP (1) | JP2004277906A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN106319737A (zh) * | 2016-11-21 | 2017-01-11 | 浙江海洋大学东海科学技术学院 | 一种适用于纤维复合丝束的三维织机筘座 |
-
2003
- 2003-03-14 JP JP2003069446A patent/JP2004277906A/ja active Pending
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CN106319737A (zh) * | 2016-11-21 | 2017-01-11 | 浙江海洋大学东海科学技术学院 | 一种适用于纤维复合丝束的三维织机筘座 |
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