JP2004276837A - エアバッグシステム - Google Patents
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Abstract
【課題】低コスト化や小型化を達成しつつ高精度なバックアップコンデンサの診断を行えるエアバッグシステムを提供する。
【解決手段】本発明のエアバッグシステムは、点火回路と、バッテリと、昇圧回路と、制御回路と、バッテリのバックアップ電源となるバックアップコンデンサとを備えてなるエアバッグシステムにおいて、前記制御回路は、バックアップコンデンサを放電可能な状態とするステップと、このときの診断開始電圧を検出するステップと、自然放電させるステップと、このときの第1電圧を検出するステップと、所定時間、一定電流を放電させるステップと、このときの第2電圧を検出するステップと、上記検出された電圧等に基づいてバックアップコンデンサの静電容量を算出するステップと、この算出された静電容量に基づきバックアップコンデンサの良否を診断するステップと、を行うコンピュータを備えることを特徴とする。
【選択図】図3
【解決手段】本発明のエアバッグシステムは、点火回路と、バッテリと、昇圧回路と、制御回路と、バッテリのバックアップ電源となるバックアップコンデンサとを備えてなるエアバッグシステムにおいて、前記制御回路は、バックアップコンデンサを放電可能な状態とするステップと、このときの診断開始電圧を検出するステップと、自然放電させるステップと、このときの第1電圧を検出するステップと、所定時間、一定電流を放電させるステップと、このときの第2電圧を検出するステップと、上記検出された電圧等に基づいてバックアップコンデンサの静電容量を算出するステップと、この算出された静電容量に基づきバックアップコンデンサの良否を診断するステップと、を行うコンピュータを備えることを特徴とする。
【選択図】図3
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、バックアップコンデンサの診断を行うエアバッグシステムに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
エアバッグシステムは、緊急時に乗員を保護するものであるため、その作動に対して非常に高い信頼性が要求される。その一例として、車両が衝突、破損等してバッテリの端子が外れた場合であっても、エアバッグの展開がなされるようにバックアップ電源を備えている。さらに、このバックアップ電源等に異常や故障等が無いか否かを、一定間隔で常に自己診断等している。
【0003】
すなわち、バックアップ電源として、バックアップコンデンサに電荷を蓄積しておき、バッテリの代替としている。ところが、コンデンサの静電容量(C)は、その使用環境や経年劣化等によって低下し得る。すると、端子電圧(V)と蓄積される電荷(Q)との間にある周知な関係(Q=C・V)によって、当然に、端子電圧が十分であっても、蓄積される充電電荷が不足することが起り得る。これでは、緊急時のバックアップ電源とはなり得ないので、エアバッグシステムはこのバックアップコンデンサの静電容量を定期的に自己診断している。そして、そのバックアップコンデンサが不良な場合は、警告灯等によって運転者に告知するシステムとなっている。
【0004】
ここで、バックアップコンデンサの静電容量のチェックの方法はいくつか考えられる。これまで多用されてきたものとして、図6に示すような回路構成により、バックアップコンデンサBCへの充電時間をモニタリングする方法がある。すなわち、バックアップコンデンサBCの静電容量が低減すると、その充電時間または単位時間当りの端子電圧の変化率も小さくなることを利用して、その充電時間や端子電圧の変化率が所定値以上か否かを判断する。但し、ここで、昇圧回路から直接的にバックアップコンデンサBCを充電すると、急速充電されて端子電圧の変化率が急激なため、正確は判定をし難い。そこで、バックアップコンデンサBCの前に充電用抵抗Rcを設けて時定数を大きくし、判定精度を確保している。もっとも、この充電用抵抗Rcは、バックアップコンデンサBCがバックアップ電源となるとき、電圧低下要因となるため、その充電用抵抗Rcに並行して放電用ダイオードDdが設けてある。
【0005】
この方法の場合、上記のように、充電用抵抗Rcおよび放電用ダイオードDdが必須となるため、その分、低コスト化や小型化を図り難い。そこで、これらを無くしたエアバッグシステムが下記特許文献1で提案されている。但しこの場合、バックアップコンデンサBCの静電容量チェックを上記のような方法によって行えないため、特許文献1では逆に、放電時に静電容量チェックを行う方法を提案している。これは図7に示すように、先ず、バックアップコンデンサBCの端子電圧をバッテリ電圧(12〜13V)から15Vに昇圧する。この後、さらに、静電容量チェックのためにその端子電圧を一時的に17.2Vまで昇圧する。そして、この段階から自然放電、続いて定電流放電を行い、それらの放電時の端子電圧の変動分ΔV1、ΔV2、定電流放電時間ΔTcおよび定電流(I)とから静電容量Cを算出している(C=I・ΔTc/(ΔV2−ΔV1))。
【0006】
【特許文献1】
特開平10−129402号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、上記特許文献1の方法では、バックアップコンデンサBCを診断するときだけ、通常時よりも高めの昇圧を行い、その昇圧した電圧でバックアップコンデンサBCを充電している。これは昇圧回路による2通りの昇圧モードを必要とし、制御が煩雑となる。また、バックアップコンデンサBCの耐圧を通常時を基準に設定している場合、その診断時の昇圧によって、一時的とはいえバックアップコンデンサの耐圧を超えることとなる。これは、バックアップコンデンサBCの寿命低下を招来し好ましくない。勿論、診断時のためだけに、耐圧の高いバックアップコンデンサBCを使用するのはコスト等の観点から好ましくない。
【0008】
本発明は、このような事情に鑑みて為されたものであり、バックアップコンデンサの静電容量チェックを放電時でも効率的に行えるようにしたエアバッグシステムを提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段および発明の効果】
本発明者はこの課題を解決すべく鋭意研究し、試行錯誤を重ねた結果、平常時の規定電圧内で充電したバックアップコンデンサを放電させて、その静電容量を診断することを思いつき、これを発展させて本発明を完成させるに至ったものである。
すなわち、本発明のエアバッグシステムは、ガスが充填されることにより展開するバッグと、該ガスを発生させるインフレータと、該インフレータを点火させるスクイブを有し該スクイブに点火電流を供給する点火回路と、電源となるバッテリと、該バッテリのバッテリ電圧を平常時の規定電圧まで昇圧する昇圧回路と、該点火回路および該昇圧回路を制御する制御回路と、該昇圧回路の出力側から充電されて該点火回路および該制御回路へ該バッテリのバックアップ電源を供給し得るバックアップコンデンサとを備えてなり、車両の衝突時に得られる衝突信号に基づいて該制御回路が該点火回路を介して該インフレータを点火させ該バッグを展開させるエアバッグシステムにおいて、
前記制御回路は、前記バックアップコンデンサの端子電圧を前記規定電圧内としつつ該バックアップコンデンサを放電可能な状態とする診断準備ステップと、該診断準備ステップ後の該バックアップコンデンサの出力電圧である診断開始電圧(V0)を検出する診断開始電圧検出ステップと、該バックアップコンデンサを該診断開始電圧から自然放電させる自然放電ステップと、該自然放電ステップ後の該バックアップコンデンサの出力電圧である第1電圧(V1)を検出する第1電圧検出ステップと、該バックアップコンデンサから所定時間(ΔTc)一定電流(Ic)を放電させる定電流放電ステップと、該定電流放電ステップ後の該バックアップコンデンサの出力電圧である第2電圧(V2)を検出する第2電圧検出ステップと、該診断開始電圧、該第1電圧、該第2電圧、該所定時間および該一定電流に基づいて該バックアップコンデンサの静電容量(C)を算出する算出ステップと、該静電容量に基づき該バックアップコンデンサの良否を診断する診断ステップと、を行うコンピュータを備えることを特徴とする(請求項1)。
【0010】
本発明によれば、バックアップコンデンサを自然放電および定電流放電させてその静電容量を診断する際に、先ず、バックアップコンデンサへ印加する電圧を平常時の規定電圧内としている。このため、バックアップコンデンサに余分な耐圧余裕を持たせる必要もなく、その寿命低下や大型化も招来せずに、バックアップコンデンサの診断を行える。
勿論、バックアップコンデンサの静電容量診断を、その放電によって行うため、従来必要としていた、充電用抵抗やそれと並設される放電用ダイオードを省略でき、エアバッグシステムの低コスト化や小型化も図れる。なお、上記「平常時」とは、バックアップコンデンサの診断を行う時以外である。また、その平常時の「規定電圧」とは、平常時にバックアップコンデンサをバックアップ状態に維持しているときの印加電圧である。言換えるなら、その平常時に昇圧回路によって出力される昇圧目標電圧である。
【0011】
ところで、本発明の場合、上記算出ステップでその時々の静電容量を求め、診断ステップがその静電容量に基づきバックアップコンデンサの良否を判断している。この算出ステップの具体的な計算方法はいくつか考えられるが、例えば、C=I・ΔTc/(2・V1−V2−V0)により算出できる。また、診断開始電圧(V0)と第1電圧(V1)との電圧差(ΔV1)と、第1電圧(V1)と第2電圧(V2)との電圧差(ΔV2)を先に求め、これらを用いて、C=I・ΔTc/(ΔV2−ΔV1)として求めても良い。
【0012】
診断ステップは、例えば、算出ステップで求めた静電容量(C)と、予めメモリ等に記憶させておいた基準値(C0、C1)とを比較して、C0<C、C1<Cの場合にバックアップコンデンサが不良であると判断する。ここでバックアップコンデンサの不良が判定されると、例えば、計器パネル内の警告灯を点灯させ、車両の運転者等に異常が告知される。
【0013】
本発明の場合、自然放電ステップと定電流放電ステップとの前後関係は問わないが、通常は自然放電ステップ後に定電流放電ステップを行えば良い。また、本明細書でいう自然放電とは、バックアップコンデンサからエアバッグシステムを構成する各種回路で消費される状態を意味する。この自然放電量は、エアバッグシステムの回路毎に個体差があって正確に特定できない。しかし、この自然放電に加えて一定電流が放電される定電流放電を行うことで、自然放電量の程度に関わらず、上記のように、バックアップコンデンサの静電容量を精度良く求めることができる。
【0014】
なお、本発明の制御回路は、上記した各ステップを処理できるコンピュータを備えるが、このコンピュータの形態は問わない。マイコンのように一体的なものであっても、個別的なCPU、ROM、RAM等が組合わさったものでも良い。また、各処理を行うプログラムや電圧や静電容量等のデータを記憶する記憶手段はROMやRAMの他、EEPROM等の不揮発メモリでも良い。また、このコンピュータは、上記各ステップを行うものとして定義したが、そのステップに対応する「手段」を備えるものとして定義しても良い。例えば、診断準備手段、診断開始電圧検出手段、自然放電手段、第1電圧検出手段、定電流放電手段、第2電圧検出手段、算出手段、診断手段等である。また、本発明のエアバッグシステムは、装置発明としてのみならず、上記各ステップからなるエアバッグシステム用バックアップコンデンサの診断方法として把握しても良い。
【0015】
ところで、前記診断準備ステップは、それ以降の自然放電ステップや定電流放電ステップを行える状態とするものである。従って、それらの放電が可能である限り、バックアップコンデンサの充電量やバックアップコンデンサの端子電圧は問わない。例えば、平常時の規定電圧を超えない範囲の電圧を印加して、バックアップコンデンサを充電状態としておけば足る。さらに言えば、自然放電および定電流放電が正常になされる限りにおいて、バックアップコンデンサの端子電圧はバッテリ電圧よりも低い状態であっても良い。
【0016】
もっとも、自然放電および定電流放電を確実に安定して行うために、前記診断準備ステップは、前記昇圧回路を駆動させて前記バックアップコンデンサの出力電圧を前記バッテリ電圧から前記規定電圧内に昇圧するステップであると好ましい。そしてこのときは、前記自然放電ステップを、該昇圧回路の駆動を停止して該バックアップコンデンサから自然放電をさせるステップとすれば良い(請求項2)。
【0017】
次に、前記自然放電ステップは、バックアップコンデンサの電荷が各回路へ自然とながれて放電されるものである。具体的には、制御回路は勿論、点火回路へも僅かながら電流が流れて、バックアップコンデンサの電荷が放電される。この自然放電量はエアバッグシステム毎の個体差が大きく、その特定は困難である。
【0018】
これに対し、前記定電流放電ステップは、一定電流を流すものであるため、そのような回路を予め特定しておくか、流れる電流量を一定に制御する必要がある。そこで、定電流放電ステップは、例えば、前記バックアップコンデンサから前記一定電流を放電させる定電流放電回路を介してなされるものであると好適である(請求項3)。
【0019】
このような定電流放電回路には、例えば、前記スクイブの抵抗値をチェックするスクイブチェック回路がある。スクイブチェック回路は高精度が求められるため、定電流値も高精度なものとなっている。従って、定電流放電回路としてスクイブチェック回路を兼用すると好適である(請求項4)。
【0020】
また、前記定電流放電回路は、前記点火回路および/または前記制御回路へ供給する電源を前記バッテリから前記バックアップコンデンサに切替える電源切替回路を兼用してなり、該電源切替回路は、放電量を前記一定電流に制限する電流制限回路を備えても良い(請求項5)。
【0021】
上記電源切替回路を備えるエアバッグシステムは、この電源切替回路をONすると非常に大きな電流が流れる。このため、この電流量をバックアップコンデンサ容量チェックに適する値に制御して一定電流を流す電流制限回路を設けることで、上記定電流放電ステップを行うことが可能である。
【0022】
本発明の場合、上記バックアップコンデンサの静電容量を診断する際に、診断開始電圧、第1電圧および第2電圧を精度良く検出することが必要となる。ここで、この検出を行うコンピュータは、通常、0〜5V程度の低電圧で作動している。従って、診断開始電圧等をこの範囲内に降圧させることが必要となる。ここで、単に抵抗を介在させて降圧すると、診断開始電圧〜第2電圧の変動幅が縮小されてしまい、高精度な検出が困難となる。そこで、診断開始電圧等をオフセットして検出し、それらの変動幅を可能な限り縮小せずに、その変動分のみをコンピュータで検出するようにするのが好ましい。従って、前記制御回路は、前記バックアップコンデンサの出力電圧をオフセットすることにより前記診断開始電圧から前記第1電圧を経て前記第2電圧に至る電圧変動分を前記コンピュータの作動電圧内で検出可能とする差動検出回路を備えると好適である(請求項6)。
【0023】
【発明の実施の形態】
本発明の一実施形態であるエアバッグシステムについて以下説明する。
(第1実施形態)
エアバッグシステムは、車両衝突時等にガスが充填して展開するバッグと、このバッグを展開させるためのガスを発生させるインフレータと、このインフレータに着火するスクイブSと、このスクイブSへ点火電流を流すか否かの制御やシステムの故障や異常等の診断をする電子制御装置(ECU)とからなる。このECU中の、本発明に係る主要な回路構成を図1に示した。
【0024】
すなわち、このバッテリ1を電源としてそのバッテリ電圧を昇圧すると同時にバックアップ電源も含む昇圧バックアップ電源回路3と、この昇圧バックアップ電源回路3から電力供給されてスクイブSに点火電流を供給する点火回路4と、スクイブSに診断用電流を流してそのときの抵抗値から点火回路4を診断するスクイブチェック回路5と、昇圧バックアップ電源回路3、点火回路4およびスクイブチェック回路5を制御する制御回路6とからなる。
【0025】
昇圧バックアップ電源回路3は、昇圧コイル23と、昇圧コイル23を流れる電流を高速で切替えるFETよりなるスイッチ24とダイオード31とバックアップコンデンサBCとからなる。このスイッチ24は、制御回路6によって切替制御されている。この昇圧バックアップ電源回路3は、イグニッションスイッチIGを介してバッテリ1と入力側で接続されている。昇圧バックアップ電源回路3を経ることで、バッテリ電圧(12〜14V)が平常時の規定電圧である23Vまで昇圧され、バックアップコンデンサBCが充電される。従って、平常時、バックアップコンデンサBCの端子電圧Vcはほぼ規定電圧となっている。
【0026】
点火回路4は、昇圧バックアップ電源回路3の出力側に接続されたダイオード41と、スクイブSの両端に設けられたFETよりなるスイッチ42およびスイッチ43とからなる。スイッチ42、43の2つが設けられてるのは、誤作動によるエアバッグの展開を防止するためである。これらのスイッチ42、43も制御回路6によって切替制御されている。
【0027】
スクイブチェック回路5は、スイッチ51と、公知の定電流放電回路52とからなる。スイッチ51はFETを組合わせて構成され、制御回路6によって切替制御される。具体的には、昇圧バックアップ電源回路3側t1と、点火回路4側t2とに切替えられ、また、スイッチ51が開いた状態(OFF状態)では、いずれにも接続されていない状態となる。ここでスイッチ51がt2側に接続されると、従来通り、スクイブSに至る抵抗値が測定されてスクイブSを含む点火回路4の良否が診断される。一方、スイッチ51がt1側に接続されると、バックアップコンデンサBCから一定電流(Ic)が放電される。
【0028】
次に、本実施形態で行うバックアップコンデンサBCの静電容量の診断について、図2および図3を用いて説明する。図2は、静電容量の診断の手順を示すフローチャートであり、図3はバックアップコンデンサBCの端子電圧Vcの変化を含むタイムチャートである。
【0029】
先ず、イグニッションスイッチIGがONされると、ECUが起動してプライマリチェックを開始する。そして、ステップS1で、静電容量の診断を行うために、昇圧バックアップ電源回路3を駆動させる。これにより、バックアップコンデンサBCへ電荷が充電される。この状態を1〜2秒程度継続すると、通常、その端子電圧Vcはバッテリ電圧Vbから規定電圧Vr内の診断開始電圧V0に至る(診断準備ステップ)。
【0030】
ステップS2で、制御回路6は昇圧バックアップ電源回路3の駆動を停止させ、ステップS3でそのときの診断開始電圧V0を検出する(診断開始電圧検出ステップ)。
ステップS4で自然放電を開始する(自然放電ステップ)。このとき、スクイブチェック回路5はスイッチ51が開いた状態であるので、バックアップコンデンサBCの電荷は制御回路6および点火回路4へ流れて自然放電される。
ステップS5で、自然放電を所定時間ΔTc(0.5秒程度)行った後の端子電圧Vcを検出する。この端子電圧Vcが第1電圧V1である(第1電圧検出ステップ)。
【0031】
ステップS6で、スクイブチェック回路5のスイッチ51をt1側に閉じる。これにより、上記自然放電に加えて、一定電流Ic(例えば、20mA)が定電流放電回路52から追加放電される。この定電流放電を所定時間ΔTc(例えば、0.5秒)行う(定電流放電ステップ)。
ステップS7で、その後の端子電圧Vcを検出する。この端子電圧Vcが第2電圧V2である(第2電圧検出ステップ)。
ステップS8で、制御回路6のコンピュータは、上記V0、V1、V2、Ic、ΔTcに基づいて、所定の算出式からバックアップコンデンサBCの静電容量Cを算出する。
【0032】
ステップS9で、この算出したCと予めメモリに記憶させておいた基準値C0、C1と比較して、算出された静電容量Cが基準値C0〜C1の間にあるか判定する。なお、この基準値C0はバックアップコンデンサBCの正常静電容量下限ではなく、エアバッグシステムの作動確保のために必要な下限値、C1は正常範囲上限値である。そして、ステップS9で静電容量Cが基準値内ならバックアップコンデンサBCは正常であるとして、この診断を終了する。一方、その静電容量が基準値外なら、バックアップコンデンサBCは不良であるとして、エアバッグシステムの異常を警告灯を点灯させて運転者等へ警告する。
【0033】
(第2実施形態)
一定電流Icを放電させる際に使用する定電流放電回路を、上記第1実施形態のスクイブチェック回路5から電源切替回路7に変更した第2実施形態を図4に示す。第1実施形態と同様の回路構成については、同じ符号を付して図中に示し、その詳細な説明は省略した。
【0034】
電源切替回路7は、バックアップコンデンサBCに接続されたFETよりなるスイッチ71と、このスイッチ71に接続されたスイッチ72と、オペアンプ73と、抵抗74と、詳細は図示していないがオペアンプ73の周囲の回路とからなる。スイッチ71の切替制御はオペアンプ73の出力によりなされる。
【0035】
スイッチ72は、FETを組合わせて構成され、制御回路6によって2系統の切替が可能となっている。この一方はバックアップコンデンサBCから制御回路6へ点火電力を供給する側p1であり、他方はバックアップコンデンサBCの静電容量を診断する際に定電流放電回路として使用する側p2である。具体的な回路構成は省略してあるが、スイッチ72をp1側へ切替えると、制御回路6の作動に必要な大きな電流(数百mA程度)が流れ、スイッチ72をp2側へ切替えると、例えば、20mA程度の一定電流が流れるようになっている。このようにして、電源切替回路7が定電流放電回路として兼用される。
【0036】
なお、電源切替回路7を設ける理由は、昇圧回路の規模を縮小するためである。動作は、平常時は、バッテリ1から制御回路6へ電力供給がなされており、バッテリ1の端子外れ等が生じた場合に、電源切替回路7が作動して、バックアップコンデンサBCから制御回路6へ電力供給がなされるようになっている。
【0037】
(第3実施形態)
バックアップコンデンサBCの端子電圧Vcを精度良く検出するための差動検出回路8を、上記第1実施形態に追加した第3実施形態を図5に示す。第1実施形態と同様の回路構成については、同じ符号を付して図中に示し、その詳細な説明は省略した。
この差動検出回路8は、オペアンプ85と、その周囲に接続された抵抗81〜84と、オフセット電源86と、オペアンプ85への入力電圧を所定範囲に納めるための抵抗87、88とからなる。なお、オペアンプ85の出力(検出電圧)は制御回路6のコンピュータへ入力される。
【0038】
この差動検出回路8に依ると、例えば、検出されたバックアップコンデンサBCの端子電圧Vc、診断開始電圧V0、第1電圧V1および第2電圧V2の16〜20Vは、抵抗87、88によって4分の1に抑えられる。よって、4〜5Vの変動幅として得られる。次に、オフセット電源86の基準電圧を4Vに設定し、抵抗81〜84で4倍の設定にすると、オペアンプ85から出力される電圧は、上記変動幅からその基準電圧分が差引かれた0〜4Vとなる。通常、制御回路6のコンピュータは0〜5V内で作動しているため、端子電圧Vcの変動分のみがほぼフルスケールに近い状態で検出され、非常に高精度の検出が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施形態に係るエアバッグシステムの回路図である。
【図2】そのバックアップコンデンサの静電容量の診断手順を示すフローチャートである。
【図3】その静電容量診断のタイムチャートである。
【図4】本発明の第2実施形態に係るエアバッグシステムの回路図である。
【図5】本発明の第3実施形態に係るエアバッグシステムの回路図である。
【図6】従来のエアバッグシステムの回路概略図である。
【図7】従来の放電型静電容量診断のタイムチャートである。
【符号の説明】
1 バッテリ
3 昇圧バックアップ電源回路
4 点火回路
5 スクイブチェック回路(定電流放電回路)
6 制御回路
7 電源切替回路
8 差動検出回路
BC バックアップコンデンサ
S スクイブ
【発明の属する技術分野】
本発明は、バックアップコンデンサの診断を行うエアバッグシステムに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
エアバッグシステムは、緊急時に乗員を保護するものであるため、その作動に対して非常に高い信頼性が要求される。その一例として、車両が衝突、破損等してバッテリの端子が外れた場合であっても、エアバッグの展開がなされるようにバックアップ電源を備えている。さらに、このバックアップ電源等に異常や故障等が無いか否かを、一定間隔で常に自己診断等している。
【0003】
すなわち、バックアップ電源として、バックアップコンデンサに電荷を蓄積しておき、バッテリの代替としている。ところが、コンデンサの静電容量(C)は、その使用環境や経年劣化等によって低下し得る。すると、端子電圧(V)と蓄積される電荷(Q)との間にある周知な関係(Q=C・V)によって、当然に、端子電圧が十分であっても、蓄積される充電電荷が不足することが起り得る。これでは、緊急時のバックアップ電源とはなり得ないので、エアバッグシステムはこのバックアップコンデンサの静電容量を定期的に自己診断している。そして、そのバックアップコンデンサが不良な場合は、警告灯等によって運転者に告知するシステムとなっている。
【0004】
ここで、バックアップコンデンサの静電容量のチェックの方法はいくつか考えられる。これまで多用されてきたものとして、図6に示すような回路構成により、バックアップコンデンサBCへの充電時間をモニタリングする方法がある。すなわち、バックアップコンデンサBCの静電容量が低減すると、その充電時間または単位時間当りの端子電圧の変化率も小さくなることを利用して、その充電時間や端子電圧の変化率が所定値以上か否かを判断する。但し、ここで、昇圧回路から直接的にバックアップコンデンサBCを充電すると、急速充電されて端子電圧の変化率が急激なため、正確は判定をし難い。そこで、バックアップコンデンサBCの前に充電用抵抗Rcを設けて時定数を大きくし、判定精度を確保している。もっとも、この充電用抵抗Rcは、バックアップコンデンサBCがバックアップ電源となるとき、電圧低下要因となるため、その充電用抵抗Rcに並行して放電用ダイオードDdが設けてある。
【0005】
この方法の場合、上記のように、充電用抵抗Rcおよび放電用ダイオードDdが必須となるため、その分、低コスト化や小型化を図り難い。そこで、これらを無くしたエアバッグシステムが下記特許文献1で提案されている。但しこの場合、バックアップコンデンサBCの静電容量チェックを上記のような方法によって行えないため、特許文献1では逆に、放電時に静電容量チェックを行う方法を提案している。これは図7に示すように、先ず、バックアップコンデンサBCの端子電圧をバッテリ電圧(12〜13V)から15Vに昇圧する。この後、さらに、静電容量チェックのためにその端子電圧を一時的に17.2Vまで昇圧する。そして、この段階から自然放電、続いて定電流放電を行い、それらの放電時の端子電圧の変動分ΔV1、ΔV2、定電流放電時間ΔTcおよび定電流(I)とから静電容量Cを算出している(C=I・ΔTc/(ΔV2−ΔV1))。
【0006】
【特許文献1】
特開平10−129402号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、上記特許文献1の方法では、バックアップコンデンサBCを診断するときだけ、通常時よりも高めの昇圧を行い、その昇圧した電圧でバックアップコンデンサBCを充電している。これは昇圧回路による2通りの昇圧モードを必要とし、制御が煩雑となる。また、バックアップコンデンサBCの耐圧を通常時を基準に設定している場合、その診断時の昇圧によって、一時的とはいえバックアップコンデンサの耐圧を超えることとなる。これは、バックアップコンデンサBCの寿命低下を招来し好ましくない。勿論、診断時のためだけに、耐圧の高いバックアップコンデンサBCを使用するのはコスト等の観点から好ましくない。
【0008】
本発明は、このような事情に鑑みて為されたものであり、バックアップコンデンサの静電容量チェックを放電時でも効率的に行えるようにしたエアバッグシステムを提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段および発明の効果】
本発明者はこの課題を解決すべく鋭意研究し、試行錯誤を重ねた結果、平常時の規定電圧内で充電したバックアップコンデンサを放電させて、その静電容量を診断することを思いつき、これを発展させて本発明を完成させるに至ったものである。
すなわち、本発明のエアバッグシステムは、ガスが充填されることにより展開するバッグと、該ガスを発生させるインフレータと、該インフレータを点火させるスクイブを有し該スクイブに点火電流を供給する点火回路と、電源となるバッテリと、該バッテリのバッテリ電圧を平常時の規定電圧まで昇圧する昇圧回路と、該点火回路および該昇圧回路を制御する制御回路と、該昇圧回路の出力側から充電されて該点火回路および該制御回路へ該バッテリのバックアップ電源を供給し得るバックアップコンデンサとを備えてなり、車両の衝突時に得られる衝突信号に基づいて該制御回路が該点火回路を介して該インフレータを点火させ該バッグを展開させるエアバッグシステムにおいて、
前記制御回路は、前記バックアップコンデンサの端子電圧を前記規定電圧内としつつ該バックアップコンデンサを放電可能な状態とする診断準備ステップと、該診断準備ステップ後の該バックアップコンデンサの出力電圧である診断開始電圧(V0)を検出する診断開始電圧検出ステップと、該バックアップコンデンサを該診断開始電圧から自然放電させる自然放電ステップと、該自然放電ステップ後の該バックアップコンデンサの出力電圧である第1電圧(V1)を検出する第1電圧検出ステップと、該バックアップコンデンサから所定時間(ΔTc)一定電流(Ic)を放電させる定電流放電ステップと、該定電流放電ステップ後の該バックアップコンデンサの出力電圧である第2電圧(V2)を検出する第2電圧検出ステップと、該診断開始電圧、該第1電圧、該第2電圧、該所定時間および該一定電流に基づいて該バックアップコンデンサの静電容量(C)を算出する算出ステップと、該静電容量に基づき該バックアップコンデンサの良否を診断する診断ステップと、を行うコンピュータを備えることを特徴とする(請求項1)。
【0010】
本発明によれば、バックアップコンデンサを自然放電および定電流放電させてその静電容量を診断する際に、先ず、バックアップコンデンサへ印加する電圧を平常時の規定電圧内としている。このため、バックアップコンデンサに余分な耐圧余裕を持たせる必要もなく、その寿命低下や大型化も招来せずに、バックアップコンデンサの診断を行える。
勿論、バックアップコンデンサの静電容量診断を、その放電によって行うため、従来必要としていた、充電用抵抗やそれと並設される放電用ダイオードを省略でき、エアバッグシステムの低コスト化や小型化も図れる。なお、上記「平常時」とは、バックアップコンデンサの診断を行う時以外である。また、その平常時の「規定電圧」とは、平常時にバックアップコンデンサをバックアップ状態に維持しているときの印加電圧である。言換えるなら、その平常時に昇圧回路によって出力される昇圧目標電圧である。
【0011】
ところで、本発明の場合、上記算出ステップでその時々の静電容量を求め、診断ステップがその静電容量に基づきバックアップコンデンサの良否を判断している。この算出ステップの具体的な計算方法はいくつか考えられるが、例えば、C=I・ΔTc/(2・V1−V2−V0)により算出できる。また、診断開始電圧(V0)と第1電圧(V1)との電圧差(ΔV1)と、第1電圧(V1)と第2電圧(V2)との電圧差(ΔV2)を先に求め、これらを用いて、C=I・ΔTc/(ΔV2−ΔV1)として求めても良い。
【0012】
診断ステップは、例えば、算出ステップで求めた静電容量(C)と、予めメモリ等に記憶させておいた基準値(C0、C1)とを比較して、C0<C、C1<Cの場合にバックアップコンデンサが不良であると判断する。ここでバックアップコンデンサの不良が判定されると、例えば、計器パネル内の警告灯を点灯させ、車両の運転者等に異常が告知される。
【0013】
本発明の場合、自然放電ステップと定電流放電ステップとの前後関係は問わないが、通常は自然放電ステップ後に定電流放電ステップを行えば良い。また、本明細書でいう自然放電とは、バックアップコンデンサからエアバッグシステムを構成する各種回路で消費される状態を意味する。この自然放電量は、エアバッグシステムの回路毎に個体差があって正確に特定できない。しかし、この自然放電に加えて一定電流が放電される定電流放電を行うことで、自然放電量の程度に関わらず、上記のように、バックアップコンデンサの静電容量を精度良く求めることができる。
【0014】
なお、本発明の制御回路は、上記した各ステップを処理できるコンピュータを備えるが、このコンピュータの形態は問わない。マイコンのように一体的なものであっても、個別的なCPU、ROM、RAM等が組合わさったものでも良い。また、各処理を行うプログラムや電圧や静電容量等のデータを記憶する記憶手段はROMやRAMの他、EEPROM等の不揮発メモリでも良い。また、このコンピュータは、上記各ステップを行うものとして定義したが、そのステップに対応する「手段」を備えるものとして定義しても良い。例えば、診断準備手段、診断開始電圧検出手段、自然放電手段、第1電圧検出手段、定電流放電手段、第2電圧検出手段、算出手段、診断手段等である。また、本発明のエアバッグシステムは、装置発明としてのみならず、上記各ステップからなるエアバッグシステム用バックアップコンデンサの診断方法として把握しても良い。
【0015】
ところで、前記診断準備ステップは、それ以降の自然放電ステップや定電流放電ステップを行える状態とするものである。従って、それらの放電が可能である限り、バックアップコンデンサの充電量やバックアップコンデンサの端子電圧は問わない。例えば、平常時の規定電圧を超えない範囲の電圧を印加して、バックアップコンデンサを充電状態としておけば足る。さらに言えば、自然放電および定電流放電が正常になされる限りにおいて、バックアップコンデンサの端子電圧はバッテリ電圧よりも低い状態であっても良い。
【0016】
もっとも、自然放電および定電流放電を確実に安定して行うために、前記診断準備ステップは、前記昇圧回路を駆動させて前記バックアップコンデンサの出力電圧を前記バッテリ電圧から前記規定電圧内に昇圧するステップであると好ましい。そしてこのときは、前記自然放電ステップを、該昇圧回路の駆動を停止して該バックアップコンデンサから自然放電をさせるステップとすれば良い(請求項2)。
【0017】
次に、前記自然放電ステップは、バックアップコンデンサの電荷が各回路へ自然とながれて放電されるものである。具体的には、制御回路は勿論、点火回路へも僅かながら電流が流れて、バックアップコンデンサの電荷が放電される。この自然放電量はエアバッグシステム毎の個体差が大きく、その特定は困難である。
【0018】
これに対し、前記定電流放電ステップは、一定電流を流すものであるため、そのような回路を予め特定しておくか、流れる電流量を一定に制御する必要がある。そこで、定電流放電ステップは、例えば、前記バックアップコンデンサから前記一定電流を放電させる定電流放電回路を介してなされるものであると好適である(請求項3)。
【0019】
このような定電流放電回路には、例えば、前記スクイブの抵抗値をチェックするスクイブチェック回路がある。スクイブチェック回路は高精度が求められるため、定電流値も高精度なものとなっている。従って、定電流放電回路としてスクイブチェック回路を兼用すると好適である(請求項4)。
【0020】
また、前記定電流放電回路は、前記点火回路および/または前記制御回路へ供給する電源を前記バッテリから前記バックアップコンデンサに切替える電源切替回路を兼用してなり、該電源切替回路は、放電量を前記一定電流に制限する電流制限回路を備えても良い(請求項5)。
【0021】
上記電源切替回路を備えるエアバッグシステムは、この電源切替回路をONすると非常に大きな電流が流れる。このため、この電流量をバックアップコンデンサ容量チェックに適する値に制御して一定電流を流す電流制限回路を設けることで、上記定電流放電ステップを行うことが可能である。
【0022】
本発明の場合、上記バックアップコンデンサの静電容量を診断する際に、診断開始電圧、第1電圧および第2電圧を精度良く検出することが必要となる。ここで、この検出を行うコンピュータは、通常、0〜5V程度の低電圧で作動している。従って、診断開始電圧等をこの範囲内に降圧させることが必要となる。ここで、単に抵抗を介在させて降圧すると、診断開始電圧〜第2電圧の変動幅が縮小されてしまい、高精度な検出が困難となる。そこで、診断開始電圧等をオフセットして検出し、それらの変動幅を可能な限り縮小せずに、その変動分のみをコンピュータで検出するようにするのが好ましい。従って、前記制御回路は、前記バックアップコンデンサの出力電圧をオフセットすることにより前記診断開始電圧から前記第1電圧を経て前記第2電圧に至る電圧変動分を前記コンピュータの作動電圧内で検出可能とする差動検出回路を備えると好適である(請求項6)。
【0023】
【発明の実施の形態】
本発明の一実施形態であるエアバッグシステムについて以下説明する。
(第1実施形態)
エアバッグシステムは、車両衝突時等にガスが充填して展開するバッグと、このバッグを展開させるためのガスを発生させるインフレータと、このインフレータに着火するスクイブSと、このスクイブSへ点火電流を流すか否かの制御やシステムの故障や異常等の診断をする電子制御装置(ECU)とからなる。このECU中の、本発明に係る主要な回路構成を図1に示した。
【0024】
すなわち、このバッテリ1を電源としてそのバッテリ電圧を昇圧すると同時にバックアップ電源も含む昇圧バックアップ電源回路3と、この昇圧バックアップ電源回路3から電力供給されてスクイブSに点火電流を供給する点火回路4と、スクイブSに診断用電流を流してそのときの抵抗値から点火回路4を診断するスクイブチェック回路5と、昇圧バックアップ電源回路3、点火回路4およびスクイブチェック回路5を制御する制御回路6とからなる。
【0025】
昇圧バックアップ電源回路3は、昇圧コイル23と、昇圧コイル23を流れる電流を高速で切替えるFETよりなるスイッチ24とダイオード31とバックアップコンデンサBCとからなる。このスイッチ24は、制御回路6によって切替制御されている。この昇圧バックアップ電源回路3は、イグニッションスイッチIGを介してバッテリ1と入力側で接続されている。昇圧バックアップ電源回路3を経ることで、バッテリ電圧(12〜14V)が平常時の規定電圧である23Vまで昇圧され、バックアップコンデンサBCが充電される。従って、平常時、バックアップコンデンサBCの端子電圧Vcはほぼ規定電圧となっている。
【0026】
点火回路4は、昇圧バックアップ電源回路3の出力側に接続されたダイオード41と、スクイブSの両端に設けられたFETよりなるスイッチ42およびスイッチ43とからなる。スイッチ42、43の2つが設けられてるのは、誤作動によるエアバッグの展開を防止するためである。これらのスイッチ42、43も制御回路6によって切替制御されている。
【0027】
スクイブチェック回路5は、スイッチ51と、公知の定電流放電回路52とからなる。スイッチ51はFETを組合わせて構成され、制御回路6によって切替制御される。具体的には、昇圧バックアップ電源回路3側t1と、点火回路4側t2とに切替えられ、また、スイッチ51が開いた状態(OFF状態)では、いずれにも接続されていない状態となる。ここでスイッチ51がt2側に接続されると、従来通り、スクイブSに至る抵抗値が測定されてスクイブSを含む点火回路4の良否が診断される。一方、スイッチ51がt1側に接続されると、バックアップコンデンサBCから一定電流(Ic)が放電される。
【0028】
次に、本実施形態で行うバックアップコンデンサBCの静電容量の診断について、図2および図3を用いて説明する。図2は、静電容量の診断の手順を示すフローチャートであり、図3はバックアップコンデンサBCの端子電圧Vcの変化を含むタイムチャートである。
【0029】
先ず、イグニッションスイッチIGがONされると、ECUが起動してプライマリチェックを開始する。そして、ステップS1で、静電容量の診断を行うために、昇圧バックアップ電源回路3を駆動させる。これにより、バックアップコンデンサBCへ電荷が充電される。この状態を1〜2秒程度継続すると、通常、その端子電圧Vcはバッテリ電圧Vbから規定電圧Vr内の診断開始電圧V0に至る(診断準備ステップ)。
【0030】
ステップS2で、制御回路6は昇圧バックアップ電源回路3の駆動を停止させ、ステップS3でそのときの診断開始電圧V0を検出する(診断開始電圧検出ステップ)。
ステップS4で自然放電を開始する(自然放電ステップ)。このとき、スクイブチェック回路5はスイッチ51が開いた状態であるので、バックアップコンデンサBCの電荷は制御回路6および点火回路4へ流れて自然放電される。
ステップS5で、自然放電を所定時間ΔTc(0.5秒程度)行った後の端子電圧Vcを検出する。この端子電圧Vcが第1電圧V1である(第1電圧検出ステップ)。
【0031】
ステップS6で、スクイブチェック回路5のスイッチ51をt1側に閉じる。これにより、上記自然放電に加えて、一定電流Ic(例えば、20mA)が定電流放電回路52から追加放電される。この定電流放電を所定時間ΔTc(例えば、0.5秒)行う(定電流放電ステップ)。
ステップS7で、その後の端子電圧Vcを検出する。この端子電圧Vcが第2電圧V2である(第2電圧検出ステップ)。
ステップS8で、制御回路6のコンピュータは、上記V0、V1、V2、Ic、ΔTcに基づいて、所定の算出式からバックアップコンデンサBCの静電容量Cを算出する。
【0032】
ステップS9で、この算出したCと予めメモリに記憶させておいた基準値C0、C1と比較して、算出された静電容量Cが基準値C0〜C1の間にあるか判定する。なお、この基準値C0はバックアップコンデンサBCの正常静電容量下限ではなく、エアバッグシステムの作動確保のために必要な下限値、C1は正常範囲上限値である。そして、ステップS9で静電容量Cが基準値内ならバックアップコンデンサBCは正常であるとして、この診断を終了する。一方、その静電容量が基準値外なら、バックアップコンデンサBCは不良であるとして、エアバッグシステムの異常を警告灯を点灯させて運転者等へ警告する。
【0033】
(第2実施形態)
一定電流Icを放電させる際に使用する定電流放電回路を、上記第1実施形態のスクイブチェック回路5から電源切替回路7に変更した第2実施形態を図4に示す。第1実施形態と同様の回路構成については、同じ符号を付して図中に示し、その詳細な説明は省略した。
【0034】
電源切替回路7は、バックアップコンデンサBCに接続されたFETよりなるスイッチ71と、このスイッチ71に接続されたスイッチ72と、オペアンプ73と、抵抗74と、詳細は図示していないがオペアンプ73の周囲の回路とからなる。スイッチ71の切替制御はオペアンプ73の出力によりなされる。
【0035】
スイッチ72は、FETを組合わせて構成され、制御回路6によって2系統の切替が可能となっている。この一方はバックアップコンデンサBCから制御回路6へ点火電力を供給する側p1であり、他方はバックアップコンデンサBCの静電容量を診断する際に定電流放電回路として使用する側p2である。具体的な回路構成は省略してあるが、スイッチ72をp1側へ切替えると、制御回路6の作動に必要な大きな電流(数百mA程度)が流れ、スイッチ72をp2側へ切替えると、例えば、20mA程度の一定電流が流れるようになっている。このようにして、電源切替回路7が定電流放電回路として兼用される。
【0036】
なお、電源切替回路7を設ける理由は、昇圧回路の規模を縮小するためである。動作は、平常時は、バッテリ1から制御回路6へ電力供給がなされており、バッテリ1の端子外れ等が生じた場合に、電源切替回路7が作動して、バックアップコンデンサBCから制御回路6へ電力供給がなされるようになっている。
【0037】
(第3実施形態)
バックアップコンデンサBCの端子電圧Vcを精度良く検出するための差動検出回路8を、上記第1実施形態に追加した第3実施形態を図5に示す。第1実施形態と同様の回路構成については、同じ符号を付して図中に示し、その詳細な説明は省略した。
この差動検出回路8は、オペアンプ85と、その周囲に接続された抵抗81〜84と、オフセット電源86と、オペアンプ85への入力電圧を所定範囲に納めるための抵抗87、88とからなる。なお、オペアンプ85の出力(検出電圧)は制御回路6のコンピュータへ入力される。
【0038】
この差動検出回路8に依ると、例えば、検出されたバックアップコンデンサBCの端子電圧Vc、診断開始電圧V0、第1電圧V1および第2電圧V2の16〜20Vは、抵抗87、88によって4分の1に抑えられる。よって、4〜5Vの変動幅として得られる。次に、オフセット電源86の基準電圧を4Vに設定し、抵抗81〜84で4倍の設定にすると、オペアンプ85から出力される電圧は、上記変動幅からその基準電圧分が差引かれた0〜4Vとなる。通常、制御回路6のコンピュータは0〜5V内で作動しているため、端子電圧Vcの変動分のみがほぼフルスケールに近い状態で検出され、非常に高精度の検出が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施形態に係るエアバッグシステムの回路図である。
【図2】そのバックアップコンデンサの静電容量の診断手順を示すフローチャートである。
【図3】その静電容量診断のタイムチャートである。
【図4】本発明の第2実施形態に係るエアバッグシステムの回路図である。
【図5】本発明の第3実施形態に係るエアバッグシステムの回路図である。
【図6】従来のエアバッグシステムの回路概略図である。
【図7】従来の放電型静電容量診断のタイムチャートである。
【符号の説明】
1 バッテリ
3 昇圧バックアップ電源回路
4 点火回路
5 スクイブチェック回路(定電流放電回路)
6 制御回路
7 電源切替回路
8 差動検出回路
BC バックアップコンデンサ
S スクイブ
Claims (6)
- ガスが充填されることにより展開するバッグと、
該ガスを発生させるインフレータと、
該インフレータを点火させるスクイブを有し該スクイブに点火電流を供給する点火回路と、
電源となるバッテリと、
該バッテリのバッテリ電圧を平常時の規定電圧まで昇圧する昇圧回路と、
該点火回路および該昇圧回路を制御する制御回路と、
該昇圧回路の出力側から充電されて該点火回路および該制御回路へ該バッテリのバックアップ電源を供給し得るバックアップコンデンサとを備えてなり、
車両の衝突時に得られる衝突信号に基づいて該制御回路が該点火回路を介して該インフレータを点火させ該バッグを展開させるエアバッグシステムにおいて、
前記制御回路は、
前記バックアップコンデンサの端子電圧を前記規定電圧内としつつ該バックアップコンデンサを放電可能な状態とする診断準備ステップと、
該診断準備ステップ後の該バックアップコンデンサの出力電圧である診断開始電圧(V0)を検出する診断開始電圧検出ステップと、
該バックアップコンデンサを該診断開始電圧から自然放電させる自然放電ステップと、
該自然放電ステップ後の該バックアップコンデンサの出力電圧である第1電圧(V1)を検出する第1電圧検出ステップと、
該バックアップコンデンサから所定時間(ΔTc)一定電流(Ic)を放電させる定電流放電ステップと、
該定電流放電ステップ後の該バックアップコンデンサの出力電圧である第2電圧(V2)を検出する第2電圧検出ステップと、
該診断開始電圧、該第1電圧、該第2電圧、該所定時間および該一定電流に基づいて該バックアップコンデンサの静電容量(C)を算出する算出ステップと、
該静電容量に基づき該バックアップコンデンサの良否を診断する診断ステップと、
を行うコンピュータを備えることを特徴とするエアバッグシステム。 - 前記診断準備ステップは、前記昇圧回路を駆動させて前記バックアップコンデンサの出力電圧を前記バッテリ電圧から前記規定電圧内に昇圧するステップであり、
前記自然放電ステップは、該昇圧回路の駆動を停止して該バックアップコンデンサから自然放電をさせるステップである請求項1に記載のエアバッグシステム。 - 前記定電流放電ステップは、前記バックアップコンデンサから前記一定電流を放電させる定電流放電回路を介してなされる請求項1に記載のエアバッグシステム。
- 前記定電流放電回路は、前記スクイブの抵抗値をチェックするスクイブチェック回路を兼用してなる請求項3に記載のエアバッグシステム。
- 前記定電流放電回路は、前記点火回路および/または前記制御回路へ供給する電源を前記バッテリから前記バックアップコンデンサに切替える電源切替回路を兼用してなり、
該電源切替回路は、放電量を前記一定電流に制限する電流制限回路を備える請求項3に記載のエアバッグシステム。 - 前記制御回路は、前記バックアップコンデンサの出力電圧をオフセットすることにより前記診断開始電圧から前記第1電圧を経て前記第2電圧に至る電圧変動分を前記コンピュータの作動電圧内で検出可能とする差動検出回路を備える請求項1に記載のエアバッグシステム。
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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JP2008043061A (ja) * | 2006-08-07 | 2008-02-21 | Omron Corp | パワーコンディショナ装置 |
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JP2010518967A (ja) * | 2007-02-20 | 2010-06-03 | ニューロネティクス、インク. | コンデンサーの故障検出 |
JP2012253837A (ja) * | 2011-05-31 | 2012-12-20 | Toyota Motor Corp | 車両および車両の制御方法 |
-
2003
- 2003-03-18 JP JP2003073636A patent/JP2004276837A/ja active Pending
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