JP2004276633A - 乗員保護装置のバックアップ容量検出装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】簡単且つ安価な構成でバックアップコンデンサの容量を高精度で検出できる乗員保護装置のバックアップ容量検出装置を提供する。
【解決手段】バッテリ1の電圧を昇圧する昇圧回路31の出力で充電されるバックアップコンデンサ32と、スクイブ4に流す故障診断用の定電流を発生する第1電流制御回路53と、昇圧回路31の停止によりコンデンサ32が放電する時の端子電圧の変化と、昇圧回路31を停止させ且つ前記第1電流制御回路53で定電流を発生させることによりコンデンサ32が放電する時の端子電圧の変化とを測定して、コンデンサ32の容量を検出するマイクロコンピュータ34を備えたものである。
【選択図】 図1
【解決手段】バッテリ1の電圧を昇圧する昇圧回路31の出力で充電されるバックアップコンデンサ32と、スクイブ4に流す故障診断用の定電流を発生する第1電流制御回路53と、昇圧回路31の停止によりコンデンサ32が放電する時の端子電圧の変化と、昇圧回路31を停止させ且つ前記第1電流制御回路53で定電流を発生させることによりコンデンサ32が放電する時の端子電圧の変化とを測定して、コンデンサ32の容量を検出するマイクロコンピュータ34を備えたものである。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、例えばエアバッグ装置といった乗員保護装置のバックアップ容量検出装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、乗員保護装置の1つとして、車両の衝突時の衝撃を検知してエアバッグを展開させるエアバック装置が知られている。このエアバッグ装置は、車両の加速度を検知するための加速度センサ及びエアバッグ装置の全体を制御するエアバッグ制御ユニットを備えている。エアバッグ制御ユニットは、この加速度センサによって衝突時の衝撃に対応する加速度が検出された時に、該エアバッグ制御ユニットに含まれる点火回路に大きな電流を流してスクイブを加熱し、インフレータを作動させる。これにより、エアバッグが展開され、乗員の保護が図られる。
【0003】
ところで、車両が衝突した場合、エアバッグ制御ユニットに電源を供給しているバッテリが損傷し、エアバッグ制御ユニットへの電源供給が停止されることが考えられる。このような事態が発生すると、点火回路に電流を流すことができないのでエアバッグの展開は不可能になり、乗員保護というエアバッグ装置の目的を達成できない。
【0004】
そこで、従来のエアバッグ装置では、エアバッグ制御ユニット内に昇圧回路と並列になるように接続されたバックアップコンデンサが設けられている。このバックアップコンデンサは、通常はバッテリから昇圧回路を通して充電されている。車両の衝突によりバッテリが損傷してバッテリからエアバッグ制御ユニットへの電源供給が停止されても、バックアップコンデンサからエアバッグ制御ユニットに電源が供給される。この構成により、バッテリが損傷しても点火回路に電流を流すことができ、エアバッグの展開が可能になっている。
【0005】
以上のように構成される従来のエアバッグ装置では、バックアップコンデンサが十分に充電されていないとエアバッグ制御ユニットを駆動することができない場合がある。そこで、バックアップコンデンサから負荷に電流を間欠的に流してバックアップコンデンサを放電させた時の端子電圧を測定し、この測定結果に基づいてバックアップコンデンサ容量の適否を診断することが行われている(例えば特許文献1参照)。
【0006】
【特許文献1】
特開平10−129402号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、この特許文献1に開示されたエアバッグ装置では、ダイオード及び抵抗から成る放電用の回路を設ける必要があるので、部品点数が増加し、エアバッグ装置の構成が複雑になると共に高価になる。また、抵抗を介して放電が行われるので、抵抗の特性のバラツキにより放電電流の測定が不正確になり、バックアップコンデンサ容量を高精度で検出できないという問題がある。
【0008】
この発明は、上述した問題を解消するためになされたものであり、簡単且つ安価な構成でバックアップコンデンサの容量を高精度で検出できる乗員保護装置のバックアップ容量検出装置を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
この発明に係る乗員保護装置のバックアップ容量検出装置は、上記目的を達成するために、バッテリから供給される電圧を昇圧する昇圧回路と、この昇圧回路の出力によって充電されるバックアップコンデンサと、エアバッグを展開させるためのスクイブに流す故障診断用の定電流を発生する電流制御回路と、衝撃が検知された時は昇圧回路又はバックアップコンデンサからスクイブに電流を流してエアバッグを展開させ、衝撃が検知されない時は電流制御回路からスクイブに定期的に定電流を流して故障診断を行う制御装置とを備えた乗員保護装置のバックアップ容量検出装置において、制御装置は、昇圧回路の昇圧動作を停止させることによりバックアップコンデンサが放電する時の該バックアップコンデンサの端子電圧の変化と昇圧回路の昇圧動作を停止させ且つ電流制御回路で定電流を発生させることによりバックアップコンデンサが放電する時の該バックアップコンデンサの端子電圧の変化とを測定し、該測定結果に基づいてバックアップコンデンサの容量を検出する。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、この発明の実施の形態を図面を参照しながら詳細に説明する。以下では、乗員保護装置の一例としてのエアバッグ装置にバックアップ容量検出装置が提供された場合を例に挙げて説明する。
実施の形態1.
図1は、この発明の実施の形態1に係るバックアップ容量検出装置が適用されたエアバック装置の要部の構成を概略的に示すブロック図である。このエアバッグ装置は、バッテリ1、イグニッションスイッチ2、エアバッグ制御ユニット3及びスクイブ4から構成されている。
【0011】
バッテリ1は、例えば蓄電池から構成され、車両に搭載された各種電気機器に電力を供給する。イグニッションスイッチ2は、車両を始動させるためのスイッチであり。このイグニッションスイッチ2がオンにされることにより、エアバッグ制御ユニット3及び図示しない他の各種電気機器に電力が供給される。
【0012】
スクイブ4は、図示しないエアバックを展開させるための発熱抵抗体である。このスクイブ4は、エアバッグ制御ユニット3の中の点火回路5(詳細は後述する)に接続されている。このスクイブ4には、衝突が発生した時に点火回路5から大電流が流されて発熱し、エアバッグを展開させる。一方、衝突が発生しない時は点火回路5からエアバッグの展開に至らない程度の小電流が定期的に流されて故障診断が行われる。
【0013】
エアバッグ制御ユニット3は、エアバッグ装置の全体を制御する。このエアバッグ制御ユニット3は、昇圧回路31、バックアップコンデンサ(C)32、定電圧回路33、マイクロコンピュータ34、不揮発性メモリ35、加速度センサ36、昇圧回路制御回路37、A/D(アナログ/デジタル変換)入力インタフェース回路38、セーフィング加速度センサ39及び点火回路5から構成されている。
【0014】
昇圧回路31は、バッテリ1からイグニッションスイッチ2を介して供給される電圧を昇圧する。この昇圧回路31は、バッテリ1からの電源供給不能時に使用するエネルギーをバックアップコンデンサ32へ効率良く蓄えるために設けられている。この昇圧回路31の出力は、バックアップコンデンサ32、定電圧回路33、A/D入力インタフェース回路38及びセーフィング加速度センサ39に供給される。
【0015】
バックアップコンデンサ32は、昇圧回路31の出力によって充電される。このバックアップコンデンサ32は、バッテリ1からの電源供給が停止した場合に、一定時間の間、エアバッグ制御ユニット3の動作を継続させるために設けられている。
【0016】
定電圧回路33は、昇圧回路31又はバックアップコンデンサ32の出力を電源として動作する。この定電圧回路33は、所定の定電圧を生成し、エアバッグ制御ユニット3内の電子回路、即ちマイクロコンピュータ34、不揮発性メモリ35、加速度センサ36、昇圧回路制御回路37及び点火回路5に供給する。上述した電子回路は、この定電圧回路33の出力を電源として動作する。
【0017】
マイクロコンピュータ34は、この発明の制御装置に対応し、エアバッグ制御ユニット3の全体を制御する。例えば、加速度センサ36からの加速度信号に基づいて点火回路5を制御することによりエアバッグ(図示は省略する)を展開させる。また、A/D入力インタフェース回路38からA/Dポートに送られてくる信号に基づいて昇圧回路制御回路37及び点火回路5を制御することによりバックアップコンデンサ32の容量を検出する。このマイクロコンピュータ34で行われる処理の詳細は後に説明する。
【0018】
不揮発性メモリ35は、マイクロコンピュータ34に接続されている。この不揮発性メモリ35は、マイクロコンピュータ34によってアクセスされ、例えば故障診断に使用するためのデータや故障診断の結果等を記憶する。
【0019】
加速度センサ36は電子式のセンサであり、車両に生ずる低加速度から高加速度までを連続的に検知する。加速度センサ36で検知された加速度は、加速度信号としてマイクロコンピュータ34に送られる。
【0020】
昇圧回路制御回路37は、マイクロコンピュータ34からの指示に応答して昇圧回路31に制御信号を送ることにより、昇圧回路31の昇圧動作を停止(OFF)又は再開(ON)させる。
【0021】
A/D入力インタフェース回路38は、電圧レベルシフト機能を有し、昇圧回路31又はバックアップコンデンサ32の出力端子に現れる電圧レベルをシフトした信号を生成する。このA/D入力インタフェース回路39で生成された信号は、マイクロコンピュータ34のA/Dポートに送られる。
【0022】
更に詳しく説明すると、A/D入力インタフェース回路38は、直列に接続されたツェナーダイオードZD、抵抗R1 及び抵抗R2 から構成されている。ツェナーダイオードZDのカソードは、昇圧回路31及びバックアップコンデンサ32の出力端子に接続され、アノードは抵抗R1 の一端に接続されている。抵抗R1 の他端は抵抗R2 の一端に接続され、抵抗R2 の他端は接地されている。そして、抵抗R1 と抵抗R2 との接続点がマイクロコンピュータ34のA/Dポートに接続されている。
【0023】
このように構成されるA/D入力インタフェース回路38は、昇圧回路31又はバックアップコンデンサ32の出力端子に現れる例えば20Vの電圧をツェナーダイオードZDによって例えば15V程度減圧し、残りの5V程度を抵抗R1 及び抵抗R2 で分圧してマイクロコンピュータ34のA/Dポートに供給する。従って、マイクロコンピュータ34は、昇圧回路31又はバックアップコンデンサ32の出力端子に現れる例えば20Vの電圧の変化を分圧して直接測定するのではなく、5V程度にレベルシフトされた電圧の変化を分圧して測定するので、マイクロコンピュータ34による電圧測定に最適なダイナミックレンジを確保することができ、高精度の電圧測定が可能になっている。
【0024】
セーフィング加速度センサ39は、例えばリードスイッチから構成された機械式のセンサである。このセーフィング加速度センサ39は、例えば3G程度といった比較的小さい加速度が加えられた時にその接点が接触されてオン状態になり、この加速度がなくなると接点が離間してオフ状態になる。このセーフィング加速度センサ39の一方の端子は昇圧回路31及びバックアップコンデンサ32の出力端子に接続され、他方の端子は点火回路5に接続されている。
【0025】
点火回路5は、第1トランジスタ51、第2トランジスタ52、第1電流制御回路53及び第2電流制御回路54から構成されている。第1電流制御回路53及び第2電流制御回路54は、この発明の電流制御回路に対応する。
【0026】
第1トランジスタ51は、例えば電界効果トランジスタから構成されている。この第1トランジスタ51は、セーフィング加速度センサ39の他端とスクイブ4の一端との間に接続されており、マイクロコンピュータ34からゲートに供給される制御信号に応じてオン/オフするスイッチとして機能する。
【0027】
第2トランジスタ52は、例えば電界効果トランジスタから構成されている。この第2トランジスタ52は、スクイブ4の他端とグランドとの間に接続されており、マイクロコンピュータ34からゲートに供給される制御信号に応じてオン/オフするスイッチとして機能する。
【0028】
第1電流制御回路53は、マイクロコンピュータ34からの制御信号に応答して、定電圧回路33から供給される電力から故障診断用の定電流を発生する電流源である。この故障診断用の定電流は、それをスクイブ4に流してもエアバッグの展開に至らない程度の小電流である。この第1電流制御回路53で発生された電流はスクイブ4の一端に供給される。
【0029】
なお、この第1電流制御回路53で発生される定電流は、バックアップコンデンサ32の容量に応じて設定することができる。例えば、バックアップコンデンサ32の容量が比較的小さい場合は定電流を少なくすることができる。このように、第1電流制御回路53で発生される定電流をバックアップコンデンサ32の容量に応じた好適な値に設定することにより、精度の高いバックアップコンデンサ容量の検出が可能になる。
【0030】
第2電流制御回路54は、マイクロコンピュータ34からの制御信号に応答してオン/オフするスイッチである。この第2電流制御回路54の入力端子はスクイブ4の他方の端子に接続されており、出力端子は接地されている。第2電流制御回路54は、マイクロコンピュータ34からの制御信号に応答してオンになり、第1電流制御回路53からスクイブ4を介して流れてきた故障診断用の定電流をグランドに流す。
【0031】
なお、この実施の形態では、第1電流制御回路53で電流を発生し第2電流制御回路54で電流の通過を制御するように構成しているが、第1電流制御回路53で電流の通過を制御し、第2電流制御回路54で電流をシンクするように構成することもできる。
【0032】
次に、上記のように構成された、この発明の実施の形態に係るバックアップ容量検出装置が適用されたエアバッグ装置の動作を説明する。
【0033】
先ず、エアバッグ装置の一般的な動作を説明する。イグニッションスイッチ2がオンにされてエアバッグ制御ユニット3に電源が供給されるとエアバッグ装置の動作が開始される。この動作が開始された直後に、後述するバックアップコンデンサ容量の検出が行われ、その後、マイクロコンピュータ34は、加速度センサ36からの加速度信号を常時監視する待機状態に入る。
【0034】
このマイクロコンピュータ34の待機状態において、車両の衝突が起こると、例えば20G以上の大きな加速度が加えられ、セーフィング加速度センサ39はオン状態になる。また、加速度センサ36は20G以上の加速度を表す加速度信号を出力するので、マイクロコンピュータ34は、点火回路5を駆動する。即ち、マイクロコンピュータ34は制御信号を第1トランジスタ51及び第2トランジスタ52のゲートに送ることにより、これらをオン状態にする。その結果、昇圧回路31及びバックアップコンデンサ32からセーフィング加速度センサ39、第1トランジスタ51、スクイブ4及び第2トランジスタ52を経由してグランドに大電流が流れる。これにより、スクイブ4が加熱されてインフレータが作動し、エアバッグが展開される。
【0035】
この場合、車両の衝突の衝撃によりバッテリ1からの配線が切断されてバッテリ1から昇圧回路31に電源が供給されなくなった場合は、一定時間の間は、バックアップコンデンサ32からセーフィング加速度センサ39、第1トランジスタ51、スクイブ4及び第2トランジスタ52を経由してグランドに大電流が流れる。これにより、スクイブ4が加熱されてインフレータが作動し、エアバッグが展開されるので、より確実に乗員の保護が図ることができる。
【0036】
なお、マイクロコンピュータ34の待機状態において、マイクロコンピュータ34が何らかの原因で誤動作することにより点火回路5が駆動されることがある。即ち、マイクロコンピュータ34は、誤動作により制御信号を第1トランジスタ51及び第2トランジスタ52のゲートに送り、これらをオン状態にすることがある。しかしながら、通常の加速度(3G以下の加速度)が加えられている状態ではセーフィング加速度センサ39はオフ状態のままであるのでスクイブ4に電流は流れず、エアバッグが展開されることはない。これにより、セーフィング加速度センサ39によるフェイルセーフ機能が実現されている。
【0037】
通常の運転操作で車両が動いている通常の状態では、マイクロコンピュータ34の待機状態を維持する。この通常の状態において、エアバッグ装置の故障診断が行われる。この故障診断では、マイクロコンピュータ34は、点火回路5を定期的に駆動してスクイブ4に故障診断用の小さい定電流を流すことにより、スクイブ4の周辺の断線の有無を検査する。
【0038】
具体的には、マイクロコンピュータ34は、第1電流制御回路53及び第2電流制御回路54に制御信号を送り、これらを起動する。これにより、第1電流制御回路53は、故障診断用の定電流を発生する。また、第2電流制御回路54は、スクイブ4からの電流をグランドに流すように設定される。これにより、スクイブ4の周辺の断線がなければ、第1電流制御回路53からスクイブ4及び第2電流制御回路54を介してグランドに定電流が流れる。マイクロコンピュータ34は、この定電流の流れの有無を検出して、点火回路5が故障であるかどうかを判断する。
【0039】
この故障診断により得られた結果は、不揮発性メモリ35に格納される。また、マイクロコンピュータ34は、図示しないアラームランプを点灯し、点火回路5が故障していることを乗員に知らせる。
【0040】
次に、車両が起動された直後に実施されるバックアップコンデンサ容量の検出の動作を、図2に示したタイミングチャートを参照しながら説明する。
【0041】
先ず、マイクロコンピュータ34は、昇圧回路31によってバックアップコンデンサ32が充電された後の時刻t1 において、バックアップコンデンサ32の端子電圧Vc(t1 )を測定する。この測定は、バックアップコンデンサ32の端子電圧Vc(t1 )がA/D入力インタフェース回路38でレベルシフトされてA/Dポートに入力される信号の電圧を測定することにより行われる。以下で行われる電圧の測定も、上記と同様の方法で行われる。
【0042】
このバックアップコンデンサ32の端子電圧Vc(t1 )の測定が終了すると、マイクロコンピュータ34は、昇圧回路制御回路37を駆動して昇圧回路31の昇圧動作の停止を指示する。これにより、昇圧回路31は、図2(A)に示すように、時刻t1 において昇圧動作を停止(OFF)すると、この動作のために、バックアップコンデンサ32は、エアバッグ制御ユニット3を動作させるために要する消費電流I0 で放電を開始する。
【0043】
マイクロコンピュータ34は、時刻t1 から一定時間Δtが経過した時刻t2において、バックアップコンデンサ32の端子電圧Vc(t2 )を測定する。ここで、一定時間Δtは、バックアップコンデンサ32の放電による端子電圧がバッテリ1の電圧まで下降しない範囲の時間に設定される。この測定が終了すると、マイクロコンピュータ34は、昇圧回路制御回路37を駆動して昇圧回路31の昇圧動作の再開を指示する。これにより、昇圧回路31は、図2(A)に示すように、時刻t2 において昇圧動作を再開(ON)する。以後は、エアバッグ制御ユニット3は昇圧回路31の出力によって動作すると共に、図2(C)に示すように、バックアップコンデンサ32の充電が再開される。
【0044】
昇圧回路31によってバックアップコンデンサ32が再充電された後の時刻t3 において、マイクロコンピュータ34は、バックアップコンデンサ32の端子電圧Vc(t3 )を測定する。この測定が終了すると、マイクロコンピュータ34は、図2(B)に示すように、時刻t3 において第1電流制御回路53及び第2電流制御回路54を駆動し、定電圧回路33→第1電流制御回路53→スクイブ4→第2電流制御回路54→グランドという経路に定電流I1 を流す。同時に、マイクロコンピュータ34は、昇圧回路制御回路37を駆動して昇圧回路31の昇圧動作の停止を指示する。
【0045】
これにより、昇圧回路31は、図2(A)に示すように、時刻t3 において昇圧動作を停止(OFF)すると、この動作のために、バックアップコンデンサ32は、エアバッグ制御ユニット3を動作させるために要する消費電流I0 と定電圧回路33からグランドに至る経路を流れる電流I1 とを加算した電流I0 +I1 で放電を開始する。
【0046】
マイクロコンピュータ34は、時刻t3 から一定時間Δtが経過した時刻t4 において、バックアップコンデンサ32の端子電圧Vc(t4 )を測定する。この測定が終了すると、マイクロコンピュータ34は、昇圧回路制御回路37を駆動して昇圧回路31の昇圧動作を再開させると共に、図2(B)に示すように、第1電流制御回路53及び第2電流制御回路54の駆動を停止する。これにより、昇圧回路31は、図2(A)に示すように、時刻t4 において昇圧動作を再開(ON)する。以後はバックアップコンデンサ32の充電が再開される。
【0047】
以上の測定が完了すると、マイクロコンピュータ34は、測定したバックアップコンデンサ32の端子電圧Vc(t1 )〜Vc(t4 )を用いて、次式(1)に従ってバックアップコンデンサ32の容量Cを計算する。
【数2】
【0048】
マイクロコンピュータ34は、上記バックアップコンデンサ32の容量Cの計算が完了すると、計算結果を、不揮発性メモリ35に予め格納されている基準値と比較する。そして、バックアップコンデンサ32の容量Cが基準値以下であれば、バックアップコンデンサ32の異常であることを検出し、その旨を不揮発性メモリ35に記録する。同時に、図示しないアラームランプを点灯して乗員に異常である旨を放置する。
【0049】
以上説明したように、この実施の形態に係るバックアップ容量検出装置によれば、エアバッグ装置の故障診断用に設けられている第1電流制御回路53及び第2電流制御回路54を利用してバックアップコンデンサ32の放電を行わせ、その端子電圧の変化を測定してバックアップコンデンサ32の容量を検出するように構成したので、従来のように特別な放電用の回路を必要としない。従って、部品点数を少なくできるのでエアバッグ装置の構成が簡単になり、しかも価格を低く抑えることができる。
【0050】
また、上述した式(1)を用いてバックアップコンデンサ32の容量を検出するように構成したので、マイクロコンピュータ34の動きに依存して増減する消費電流I0 による放電分がキャンセルされて、定電流I1 による放電分のみによる計算が可能になる。従って、高い精度でバックアップコンデンサ32の容量Cを検出することができる。
【0051】
また、第1電流制御回路53及び第2電流制御回路54を用いた定電流による放電の経路には特性のバラツキの大きい抵抗素子は存在しないので、バックアップコンデンサ容量を高精度で検出できる。
【0052】
更に、第1電流制御回路53で発生される定電流をバックアップコンデンサ32の容量に応じた好適な値に設定することにより、精度の高いバックアップコンデンサ容量の検出が可能になる。
【0053】
なお、上述した実施の形態では、バックアップコンデンサ32を消費電流I0 で放電させた場合のバックアップコンデンサ32の端子電圧の測定を行った後に、消費電流I0 と定電流I1 で放電させた場合のバックアップコンデンサ32の端子電圧の測定を行うように構成したが、これらの順序は逆であってもよく、この場合も上記と同様の作用及び効果を奏する。
【0054】
また、上述した実施の形態では、乗員保護装置としてエアバッグ装置を例に挙げ、このエアバッグ装置に適用されるバックアップ容量検出装置について説明したが、この発明はエアバッグ装置に限らず、バッテリで駆動され、バッテリが損傷した場合にバックアップコンデンサで動作を一定時間だけ継続させるように構成されたあらゆる装置に適用できる。
【0055】
【発明の効果】
以上のように、この発明によれば、バッテリから供給される電圧を昇圧する昇圧回路の昇圧動作を停止させることにより昇圧回路から充電されたりバックアップコンデンサが放電する時の該バックアップコンデンサの端子電圧の変化と昇圧回路の昇圧動作を停止させ且つスクイブに流す故障診断用の定電流を発生する電流制御回路を利用して定電流を発生させることによりバックアップコンデンサが放電する時の該バックアップコンデンサの端子電圧の変化とを測定し、該測定結果に基づいてバックアップコンデンサの容量を検出するようにしたので、簡単且つ安価な構成であるにも拘わらずバックアップコンデンサの容量を高精度で検出できる乗員保護装置のバックアップ容量検出装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の実施の形態1に係るバックアップ容量検出装置が適用されたエアバック装置の要部の構成を概略的に示すブロック図である。
【図2】この発明の実施の形態1に係るバックアップ容量検出装置の動作を説明するためのタイミングチャートである。
【符号の説明】
1 バッテリ、2 イグニッションスイッチ、3 エアバッグ制御ユニット、4 スクイブ、5 点火回路、31 昇圧回路、32 バックアップコンデンサ、33 定電圧回路、34 マイクロコンピュータ(制御装置)、35 不揮発性メモリ、36 加速度センサ、37 昇圧回路制御回路、38 A/D入力インタフェース回路、39 セーフィング加速度センサ、51 第1トランジスタ、52 第2トランジスタ、53 第1電流制御回路(電流制御回路)、54 第2電流制御回路(電流制御回路)。
【発明の属する技術分野】
この発明は、例えばエアバッグ装置といった乗員保護装置のバックアップ容量検出装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、乗員保護装置の1つとして、車両の衝突時の衝撃を検知してエアバッグを展開させるエアバック装置が知られている。このエアバッグ装置は、車両の加速度を検知するための加速度センサ及びエアバッグ装置の全体を制御するエアバッグ制御ユニットを備えている。エアバッグ制御ユニットは、この加速度センサによって衝突時の衝撃に対応する加速度が検出された時に、該エアバッグ制御ユニットに含まれる点火回路に大きな電流を流してスクイブを加熱し、インフレータを作動させる。これにより、エアバッグが展開され、乗員の保護が図られる。
【0003】
ところで、車両が衝突した場合、エアバッグ制御ユニットに電源を供給しているバッテリが損傷し、エアバッグ制御ユニットへの電源供給が停止されることが考えられる。このような事態が発生すると、点火回路に電流を流すことができないのでエアバッグの展開は不可能になり、乗員保護というエアバッグ装置の目的を達成できない。
【0004】
そこで、従来のエアバッグ装置では、エアバッグ制御ユニット内に昇圧回路と並列になるように接続されたバックアップコンデンサが設けられている。このバックアップコンデンサは、通常はバッテリから昇圧回路を通して充電されている。車両の衝突によりバッテリが損傷してバッテリからエアバッグ制御ユニットへの電源供給が停止されても、バックアップコンデンサからエアバッグ制御ユニットに電源が供給される。この構成により、バッテリが損傷しても点火回路に電流を流すことができ、エアバッグの展開が可能になっている。
【0005】
以上のように構成される従来のエアバッグ装置では、バックアップコンデンサが十分に充電されていないとエアバッグ制御ユニットを駆動することができない場合がある。そこで、バックアップコンデンサから負荷に電流を間欠的に流してバックアップコンデンサを放電させた時の端子電圧を測定し、この測定結果に基づいてバックアップコンデンサ容量の適否を診断することが行われている(例えば特許文献1参照)。
【0006】
【特許文献1】
特開平10−129402号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、この特許文献1に開示されたエアバッグ装置では、ダイオード及び抵抗から成る放電用の回路を設ける必要があるので、部品点数が増加し、エアバッグ装置の構成が複雑になると共に高価になる。また、抵抗を介して放電が行われるので、抵抗の特性のバラツキにより放電電流の測定が不正確になり、バックアップコンデンサ容量を高精度で検出できないという問題がある。
【0008】
この発明は、上述した問題を解消するためになされたものであり、簡単且つ安価な構成でバックアップコンデンサの容量を高精度で検出できる乗員保護装置のバックアップ容量検出装置を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
この発明に係る乗員保護装置のバックアップ容量検出装置は、上記目的を達成するために、バッテリから供給される電圧を昇圧する昇圧回路と、この昇圧回路の出力によって充電されるバックアップコンデンサと、エアバッグを展開させるためのスクイブに流す故障診断用の定電流を発生する電流制御回路と、衝撃が検知された時は昇圧回路又はバックアップコンデンサからスクイブに電流を流してエアバッグを展開させ、衝撃が検知されない時は電流制御回路からスクイブに定期的に定電流を流して故障診断を行う制御装置とを備えた乗員保護装置のバックアップ容量検出装置において、制御装置は、昇圧回路の昇圧動作を停止させることによりバックアップコンデンサが放電する時の該バックアップコンデンサの端子電圧の変化と昇圧回路の昇圧動作を停止させ且つ電流制御回路で定電流を発生させることによりバックアップコンデンサが放電する時の該バックアップコンデンサの端子電圧の変化とを測定し、該測定結果に基づいてバックアップコンデンサの容量を検出する。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、この発明の実施の形態を図面を参照しながら詳細に説明する。以下では、乗員保護装置の一例としてのエアバッグ装置にバックアップ容量検出装置が提供された場合を例に挙げて説明する。
実施の形態1.
図1は、この発明の実施の形態1に係るバックアップ容量検出装置が適用されたエアバック装置の要部の構成を概略的に示すブロック図である。このエアバッグ装置は、バッテリ1、イグニッションスイッチ2、エアバッグ制御ユニット3及びスクイブ4から構成されている。
【0011】
バッテリ1は、例えば蓄電池から構成され、車両に搭載された各種電気機器に電力を供給する。イグニッションスイッチ2は、車両を始動させるためのスイッチであり。このイグニッションスイッチ2がオンにされることにより、エアバッグ制御ユニット3及び図示しない他の各種電気機器に電力が供給される。
【0012】
スクイブ4は、図示しないエアバックを展開させるための発熱抵抗体である。このスクイブ4は、エアバッグ制御ユニット3の中の点火回路5(詳細は後述する)に接続されている。このスクイブ4には、衝突が発生した時に点火回路5から大電流が流されて発熱し、エアバッグを展開させる。一方、衝突が発生しない時は点火回路5からエアバッグの展開に至らない程度の小電流が定期的に流されて故障診断が行われる。
【0013】
エアバッグ制御ユニット3は、エアバッグ装置の全体を制御する。このエアバッグ制御ユニット3は、昇圧回路31、バックアップコンデンサ(C)32、定電圧回路33、マイクロコンピュータ34、不揮発性メモリ35、加速度センサ36、昇圧回路制御回路37、A/D(アナログ/デジタル変換)入力インタフェース回路38、セーフィング加速度センサ39及び点火回路5から構成されている。
【0014】
昇圧回路31は、バッテリ1からイグニッションスイッチ2を介して供給される電圧を昇圧する。この昇圧回路31は、バッテリ1からの電源供給不能時に使用するエネルギーをバックアップコンデンサ32へ効率良く蓄えるために設けられている。この昇圧回路31の出力は、バックアップコンデンサ32、定電圧回路33、A/D入力インタフェース回路38及びセーフィング加速度センサ39に供給される。
【0015】
バックアップコンデンサ32は、昇圧回路31の出力によって充電される。このバックアップコンデンサ32は、バッテリ1からの電源供給が停止した場合に、一定時間の間、エアバッグ制御ユニット3の動作を継続させるために設けられている。
【0016】
定電圧回路33は、昇圧回路31又はバックアップコンデンサ32の出力を電源として動作する。この定電圧回路33は、所定の定電圧を生成し、エアバッグ制御ユニット3内の電子回路、即ちマイクロコンピュータ34、不揮発性メモリ35、加速度センサ36、昇圧回路制御回路37及び点火回路5に供給する。上述した電子回路は、この定電圧回路33の出力を電源として動作する。
【0017】
マイクロコンピュータ34は、この発明の制御装置に対応し、エアバッグ制御ユニット3の全体を制御する。例えば、加速度センサ36からの加速度信号に基づいて点火回路5を制御することによりエアバッグ(図示は省略する)を展開させる。また、A/D入力インタフェース回路38からA/Dポートに送られてくる信号に基づいて昇圧回路制御回路37及び点火回路5を制御することによりバックアップコンデンサ32の容量を検出する。このマイクロコンピュータ34で行われる処理の詳細は後に説明する。
【0018】
不揮発性メモリ35は、マイクロコンピュータ34に接続されている。この不揮発性メモリ35は、マイクロコンピュータ34によってアクセスされ、例えば故障診断に使用するためのデータや故障診断の結果等を記憶する。
【0019】
加速度センサ36は電子式のセンサであり、車両に生ずる低加速度から高加速度までを連続的に検知する。加速度センサ36で検知された加速度は、加速度信号としてマイクロコンピュータ34に送られる。
【0020】
昇圧回路制御回路37は、マイクロコンピュータ34からの指示に応答して昇圧回路31に制御信号を送ることにより、昇圧回路31の昇圧動作を停止(OFF)又は再開(ON)させる。
【0021】
A/D入力インタフェース回路38は、電圧レベルシフト機能を有し、昇圧回路31又はバックアップコンデンサ32の出力端子に現れる電圧レベルをシフトした信号を生成する。このA/D入力インタフェース回路39で生成された信号は、マイクロコンピュータ34のA/Dポートに送られる。
【0022】
更に詳しく説明すると、A/D入力インタフェース回路38は、直列に接続されたツェナーダイオードZD、抵抗R1 及び抵抗R2 から構成されている。ツェナーダイオードZDのカソードは、昇圧回路31及びバックアップコンデンサ32の出力端子に接続され、アノードは抵抗R1 の一端に接続されている。抵抗R1 の他端は抵抗R2 の一端に接続され、抵抗R2 の他端は接地されている。そして、抵抗R1 と抵抗R2 との接続点がマイクロコンピュータ34のA/Dポートに接続されている。
【0023】
このように構成されるA/D入力インタフェース回路38は、昇圧回路31又はバックアップコンデンサ32の出力端子に現れる例えば20Vの電圧をツェナーダイオードZDによって例えば15V程度減圧し、残りの5V程度を抵抗R1 及び抵抗R2 で分圧してマイクロコンピュータ34のA/Dポートに供給する。従って、マイクロコンピュータ34は、昇圧回路31又はバックアップコンデンサ32の出力端子に現れる例えば20Vの電圧の変化を分圧して直接測定するのではなく、5V程度にレベルシフトされた電圧の変化を分圧して測定するので、マイクロコンピュータ34による電圧測定に最適なダイナミックレンジを確保することができ、高精度の電圧測定が可能になっている。
【0024】
セーフィング加速度センサ39は、例えばリードスイッチから構成された機械式のセンサである。このセーフィング加速度センサ39は、例えば3G程度といった比較的小さい加速度が加えられた時にその接点が接触されてオン状態になり、この加速度がなくなると接点が離間してオフ状態になる。このセーフィング加速度センサ39の一方の端子は昇圧回路31及びバックアップコンデンサ32の出力端子に接続され、他方の端子は点火回路5に接続されている。
【0025】
点火回路5は、第1トランジスタ51、第2トランジスタ52、第1電流制御回路53及び第2電流制御回路54から構成されている。第1電流制御回路53及び第2電流制御回路54は、この発明の電流制御回路に対応する。
【0026】
第1トランジスタ51は、例えば電界効果トランジスタから構成されている。この第1トランジスタ51は、セーフィング加速度センサ39の他端とスクイブ4の一端との間に接続されており、マイクロコンピュータ34からゲートに供給される制御信号に応じてオン/オフするスイッチとして機能する。
【0027】
第2トランジスタ52は、例えば電界効果トランジスタから構成されている。この第2トランジスタ52は、スクイブ4の他端とグランドとの間に接続されており、マイクロコンピュータ34からゲートに供給される制御信号に応じてオン/オフするスイッチとして機能する。
【0028】
第1電流制御回路53は、マイクロコンピュータ34からの制御信号に応答して、定電圧回路33から供給される電力から故障診断用の定電流を発生する電流源である。この故障診断用の定電流は、それをスクイブ4に流してもエアバッグの展開に至らない程度の小電流である。この第1電流制御回路53で発生された電流はスクイブ4の一端に供給される。
【0029】
なお、この第1電流制御回路53で発生される定電流は、バックアップコンデンサ32の容量に応じて設定することができる。例えば、バックアップコンデンサ32の容量が比較的小さい場合は定電流を少なくすることができる。このように、第1電流制御回路53で発生される定電流をバックアップコンデンサ32の容量に応じた好適な値に設定することにより、精度の高いバックアップコンデンサ容量の検出が可能になる。
【0030】
第2電流制御回路54は、マイクロコンピュータ34からの制御信号に応答してオン/オフするスイッチである。この第2電流制御回路54の入力端子はスクイブ4の他方の端子に接続されており、出力端子は接地されている。第2電流制御回路54は、マイクロコンピュータ34からの制御信号に応答してオンになり、第1電流制御回路53からスクイブ4を介して流れてきた故障診断用の定電流をグランドに流す。
【0031】
なお、この実施の形態では、第1電流制御回路53で電流を発生し第2電流制御回路54で電流の通過を制御するように構成しているが、第1電流制御回路53で電流の通過を制御し、第2電流制御回路54で電流をシンクするように構成することもできる。
【0032】
次に、上記のように構成された、この発明の実施の形態に係るバックアップ容量検出装置が適用されたエアバッグ装置の動作を説明する。
【0033】
先ず、エアバッグ装置の一般的な動作を説明する。イグニッションスイッチ2がオンにされてエアバッグ制御ユニット3に電源が供給されるとエアバッグ装置の動作が開始される。この動作が開始された直後に、後述するバックアップコンデンサ容量の検出が行われ、その後、マイクロコンピュータ34は、加速度センサ36からの加速度信号を常時監視する待機状態に入る。
【0034】
このマイクロコンピュータ34の待機状態において、車両の衝突が起こると、例えば20G以上の大きな加速度が加えられ、セーフィング加速度センサ39はオン状態になる。また、加速度センサ36は20G以上の加速度を表す加速度信号を出力するので、マイクロコンピュータ34は、点火回路5を駆動する。即ち、マイクロコンピュータ34は制御信号を第1トランジスタ51及び第2トランジスタ52のゲートに送ることにより、これらをオン状態にする。その結果、昇圧回路31及びバックアップコンデンサ32からセーフィング加速度センサ39、第1トランジスタ51、スクイブ4及び第2トランジスタ52を経由してグランドに大電流が流れる。これにより、スクイブ4が加熱されてインフレータが作動し、エアバッグが展開される。
【0035】
この場合、車両の衝突の衝撃によりバッテリ1からの配線が切断されてバッテリ1から昇圧回路31に電源が供給されなくなった場合は、一定時間の間は、バックアップコンデンサ32からセーフィング加速度センサ39、第1トランジスタ51、スクイブ4及び第2トランジスタ52を経由してグランドに大電流が流れる。これにより、スクイブ4が加熱されてインフレータが作動し、エアバッグが展開されるので、より確実に乗員の保護が図ることができる。
【0036】
なお、マイクロコンピュータ34の待機状態において、マイクロコンピュータ34が何らかの原因で誤動作することにより点火回路5が駆動されることがある。即ち、マイクロコンピュータ34は、誤動作により制御信号を第1トランジスタ51及び第2トランジスタ52のゲートに送り、これらをオン状態にすることがある。しかしながら、通常の加速度(3G以下の加速度)が加えられている状態ではセーフィング加速度センサ39はオフ状態のままであるのでスクイブ4に電流は流れず、エアバッグが展開されることはない。これにより、セーフィング加速度センサ39によるフェイルセーフ機能が実現されている。
【0037】
通常の運転操作で車両が動いている通常の状態では、マイクロコンピュータ34の待機状態を維持する。この通常の状態において、エアバッグ装置の故障診断が行われる。この故障診断では、マイクロコンピュータ34は、点火回路5を定期的に駆動してスクイブ4に故障診断用の小さい定電流を流すことにより、スクイブ4の周辺の断線の有無を検査する。
【0038】
具体的には、マイクロコンピュータ34は、第1電流制御回路53及び第2電流制御回路54に制御信号を送り、これらを起動する。これにより、第1電流制御回路53は、故障診断用の定電流を発生する。また、第2電流制御回路54は、スクイブ4からの電流をグランドに流すように設定される。これにより、スクイブ4の周辺の断線がなければ、第1電流制御回路53からスクイブ4及び第2電流制御回路54を介してグランドに定電流が流れる。マイクロコンピュータ34は、この定電流の流れの有無を検出して、点火回路5が故障であるかどうかを判断する。
【0039】
この故障診断により得られた結果は、不揮発性メモリ35に格納される。また、マイクロコンピュータ34は、図示しないアラームランプを点灯し、点火回路5が故障していることを乗員に知らせる。
【0040】
次に、車両が起動された直後に実施されるバックアップコンデンサ容量の検出の動作を、図2に示したタイミングチャートを参照しながら説明する。
【0041】
先ず、マイクロコンピュータ34は、昇圧回路31によってバックアップコンデンサ32が充電された後の時刻t1 において、バックアップコンデンサ32の端子電圧Vc(t1 )を測定する。この測定は、バックアップコンデンサ32の端子電圧Vc(t1 )がA/D入力インタフェース回路38でレベルシフトされてA/Dポートに入力される信号の電圧を測定することにより行われる。以下で行われる電圧の測定も、上記と同様の方法で行われる。
【0042】
このバックアップコンデンサ32の端子電圧Vc(t1 )の測定が終了すると、マイクロコンピュータ34は、昇圧回路制御回路37を駆動して昇圧回路31の昇圧動作の停止を指示する。これにより、昇圧回路31は、図2(A)に示すように、時刻t1 において昇圧動作を停止(OFF)すると、この動作のために、バックアップコンデンサ32は、エアバッグ制御ユニット3を動作させるために要する消費電流I0 で放電を開始する。
【0043】
マイクロコンピュータ34は、時刻t1 から一定時間Δtが経過した時刻t2において、バックアップコンデンサ32の端子電圧Vc(t2 )を測定する。ここで、一定時間Δtは、バックアップコンデンサ32の放電による端子電圧がバッテリ1の電圧まで下降しない範囲の時間に設定される。この測定が終了すると、マイクロコンピュータ34は、昇圧回路制御回路37を駆動して昇圧回路31の昇圧動作の再開を指示する。これにより、昇圧回路31は、図2(A)に示すように、時刻t2 において昇圧動作を再開(ON)する。以後は、エアバッグ制御ユニット3は昇圧回路31の出力によって動作すると共に、図2(C)に示すように、バックアップコンデンサ32の充電が再開される。
【0044】
昇圧回路31によってバックアップコンデンサ32が再充電された後の時刻t3 において、マイクロコンピュータ34は、バックアップコンデンサ32の端子電圧Vc(t3 )を測定する。この測定が終了すると、マイクロコンピュータ34は、図2(B)に示すように、時刻t3 において第1電流制御回路53及び第2電流制御回路54を駆動し、定電圧回路33→第1電流制御回路53→スクイブ4→第2電流制御回路54→グランドという経路に定電流I1 を流す。同時に、マイクロコンピュータ34は、昇圧回路制御回路37を駆動して昇圧回路31の昇圧動作の停止を指示する。
【0045】
これにより、昇圧回路31は、図2(A)に示すように、時刻t3 において昇圧動作を停止(OFF)すると、この動作のために、バックアップコンデンサ32は、エアバッグ制御ユニット3を動作させるために要する消費電流I0 と定電圧回路33からグランドに至る経路を流れる電流I1 とを加算した電流I0 +I1 で放電を開始する。
【0046】
マイクロコンピュータ34は、時刻t3 から一定時間Δtが経過した時刻t4 において、バックアップコンデンサ32の端子電圧Vc(t4 )を測定する。この測定が終了すると、マイクロコンピュータ34は、昇圧回路制御回路37を駆動して昇圧回路31の昇圧動作を再開させると共に、図2(B)に示すように、第1電流制御回路53及び第2電流制御回路54の駆動を停止する。これにより、昇圧回路31は、図2(A)に示すように、時刻t4 において昇圧動作を再開(ON)する。以後はバックアップコンデンサ32の充電が再開される。
【0047】
以上の測定が完了すると、マイクロコンピュータ34は、測定したバックアップコンデンサ32の端子電圧Vc(t1 )〜Vc(t4 )を用いて、次式(1)に従ってバックアップコンデンサ32の容量Cを計算する。
【数2】
【0048】
マイクロコンピュータ34は、上記バックアップコンデンサ32の容量Cの計算が完了すると、計算結果を、不揮発性メモリ35に予め格納されている基準値と比較する。そして、バックアップコンデンサ32の容量Cが基準値以下であれば、バックアップコンデンサ32の異常であることを検出し、その旨を不揮発性メモリ35に記録する。同時に、図示しないアラームランプを点灯して乗員に異常である旨を放置する。
【0049】
以上説明したように、この実施の形態に係るバックアップ容量検出装置によれば、エアバッグ装置の故障診断用に設けられている第1電流制御回路53及び第2電流制御回路54を利用してバックアップコンデンサ32の放電を行わせ、その端子電圧の変化を測定してバックアップコンデンサ32の容量を検出するように構成したので、従来のように特別な放電用の回路を必要としない。従って、部品点数を少なくできるのでエアバッグ装置の構成が簡単になり、しかも価格を低く抑えることができる。
【0050】
また、上述した式(1)を用いてバックアップコンデンサ32の容量を検出するように構成したので、マイクロコンピュータ34の動きに依存して増減する消費電流I0 による放電分がキャンセルされて、定電流I1 による放電分のみによる計算が可能になる。従って、高い精度でバックアップコンデンサ32の容量Cを検出することができる。
【0051】
また、第1電流制御回路53及び第2電流制御回路54を用いた定電流による放電の経路には特性のバラツキの大きい抵抗素子は存在しないので、バックアップコンデンサ容量を高精度で検出できる。
【0052】
更に、第1電流制御回路53で発生される定電流をバックアップコンデンサ32の容量に応じた好適な値に設定することにより、精度の高いバックアップコンデンサ容量の検出が可能になる。
【0053】
なお、上述した実施の形態では、バックアップコンデンサ32を消費電流I0 で放電させた場合のバックアップコンデンサ32の端子電圧の測定を行った後に、消費電流I0 と定電流I1 で放電させた場合のバックアップコンデンサ32の端子電圧の測定を行うように構成したが、これらの順序は逆であってもよく、この場合も上記と同様の作用及び効果を奏する。
【0054】
また、上述した実施の形態では、乗員保護装置としてエアバッグ装置を例に挙げ、このエアバッグ装置に適用されるバックアップ容量検出装置について説明したが、この発明はエアバッグ装置に限らず、バッテリで駆動され、バッテリが損傷した場合にバックアップコンデンサで動作を一定時間だけ継続させるように構成されたあらゆる装置に適用できる。
【0055】
【発明の効果】
以上のように、この発明によれば、バッテリから供給される電圧を昇圧する昇圧回路の昇圧動作を停止させることにより昇圧回路から充電されたりバックアップコンデンサが放電する時の該バックアップコンデンサの端子電圧の変化と昇圧回路の昇圧動作を停止させ且つスクイブに流す故障診断用の定電流を発生する電流制御回路を利用して定電流を発生させることによりバックアップコンデンサが放電する時の該バックアップコンデンサの端子電圧の変化とを測定し、該測定結果に基づいてバックアップコンデンサの容量を検出するようにしたので、簡単且つ安価な構成であるにも拘わらずバックアップコンデンサの容量を高精度で検出できる乗員保護装置のバックアップ容量検出装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の実施の形態1に係るバックアップ容量検出装置が適用されたエアバック装置の要部の構成を概略的に示すブロック図である。
【図2】この発明の実施の形態1に係るバックアップ容量検出装置の動作を説明するためのタイミングチャートである。
【符号の説明】
1 バッテリ、2 イグニッションスイッチ、3 エアバッグ制御ユニット、4 スクイブ、5 点火回路、31 昇圧回路、32 バックアップコンデンサ、33 定電圧回路、34 マイクロコンピュータ(制御装置)、35 不揮発性メモリ、36 加速度センサ、37 昇圧回路制御回路、38 A/D入力インタフェース回路、39 セーフィング加速度センサ、51 第1トランジスタ、52 第2トランジスタ、53 第1電流制御回路(電流制御回路)、54 第2電流制御回路(電流制御回路)。
Claims (4)
- バッテリから供給される電圧を昇圧する昇圧回路と、
前記昇圧回路の出力によって充電されるバックアップコンデンサと、
エアバッグを展開させるためのスクイブに流す故障診断用の定電流を発生する電流制御回路と、
衝撃が検知された時は前記昇圧回路又は前記バックアップコンデンサから前記スクイブに電流を流して前記エアバッグを展開させ、衝撃が検知されない時は前記電流制御回路から前記スクイブに定期的に定電流を流して故障診断を行う制御装置、とを備えた乗員保護装置のバックアップ容量検出装置において、
前記制御装置は、前記昇圧回路の昇圧動作を停止させることにより前記バックアップコンデンサが放電する時の該バックアップコンデンサの端子電圧の変化と前記昇圧回路の昇圧動作を停止させ且つ前記電流制御回路で定電流を発生させることにより前記バックアップコンデンサが放電する時の該バックアップコンデンサの端子電圧の変化とを測定し、該測定結果に基づいて前記バックアップコンデンサの容量を検出することを特徴とする乗員保護装置のバックアップ容量検出装置。 - 制御装置は、
前記昇圧回路の出力により充電されたバックアップコンデンサの時刻t1 における端子電圧Vc(t1 )を測定し、
該端子電圧Vc(t1 )の測定の後に、前記昇圧回路の出力を一定時間Δtが経過する時刻t2 まで停止させて消費電流I0 で前記バックアップコンデンサを放電させた時の前記バックアップコンデンサの端子電圧Vc(t2 )を測定し、
前記昇圧回路の出力により充電された前記バックアップコンデンサの時刻t3 における端子電圧Vc(t3 )を測定し、
該端子電圧Vc(t3 )の測定の後に、前記昇圧回路の出力を前記一定時間Δtが経過する時刻t4 まで停止させ且つ前記電流制御回路で定電流I1 を発生させて前記消費電流I0 と前記定電流I1 とを加算した電流I0 +I1 で前記バックアップコンデンサを放電させた時の前記バックアップコンデンサの端子電圧Vc(t4 )を測定し、
下記式(1)に従って計算することにより前記バックアップコンデンサの容量Cを検出することを特徴とする請求項1記載の乗員保護装置のバックアップ容量検出装置。
- 電流制御回路で発生する定電流の大きさは、バックアップコンデンサの容量に応じて制御されることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の乗員保護装置のバックアップ容量検出装置。
- バックアップコンデンサの端子電圧のレベルをシフトして出力するA/D入力インタフェース回路を更に備え、
制御装置は、前記A/D入力インタフェース回路が出力する電圧を測定することを特徴とする請求項1から請求項3のうちのいずれか1項記載の乗員保護装置のバックアップ容量検出装置。
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