JP2004276793A - アクチュエータシステム - Google Patents

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Abstract

【課題】車両用空調装置において、重要な機能のサーボモータを駆動可能にする可能性を高くする。
【解決手段】通信制御部200a〜200fは、モータ毎の機能の優先順位に対応して優先順位が設定されており、バスライン300に対して、優先順位の高いものほど、電子制御装置400の近くに接続されている。これにより、優先順位の高い通信制御部の方が、優先順位の低い通信制御部に比べて、電子制御装置400の近くに接続される。したがって、優先順位の高い通信制御部200dと電子制御装置400との間で断線が生じる確率を小さくできる。
【選択図】 図2

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、アクチュエータシステムに関するもので、車両用空調装置の各種の板ドア等の可動部材を駆動する電動アクチュエータシステムに適用して有効である。
【0002】
【従来の技術および発明が解決しようとする課題】
従来、車両用空調装置の空調ユニット内において、吹出空気温度を調節するためのエアミックスドア(A/Mドア)、吹出口を切り換えるための吹出口ドアなどの板ドアを回転させるために、電子制御装置との間で通信するための通信制御部を備えたサーボモータが提案されている。
【0003】
例えば、空調ユニット内において、複数のドアを駆動するために複数のサーボモータが備えられている場合には、例えば、図14に示すように、サーボモータ5〜8のそれぞれと電子制御装置(ECU)1との間をバスライン9でバス型に接続している。そして、電子制御装置1が、サーボモータ毎に目標位置をバスライン9の通信ライン3を通して出力し、サーボモータ5〜8が目標位置をそれぞれ受信すると、この受信された目標位置までドアを回転させる。
【0004】
しかしながら、例えば、バスライン9の電源ライン2のうち、ある箇所Aで断線が生じると、この箇所Aよりも電子制御装置側に接続されているサーボモータ5は、電子制御装置1と通信することができるものの、箇所Aに対して電子制御装置1と反対側に接続されているサーボモータ6〜8は、電子制御装置1から電力供給されないため、ドアの回転制御を行うことができなくなるといった問題が生じる。
【0005】
本発明は、上記点に鑑み、電線の断線時に、重要な機能の電動アクチュエータを駆動可能にする可能性を高くしたアクチュエータシステムを提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上記目的を達成するために、請求項1に記載の発明では、各電動アクチュエータ(100a〜100f)と、電動アクチュエータ毎に設けられ、この電動アクチュエータ毎に入力される制御信号に応じて各電動アクチュエータをそれぞれ制御する各通信制御部(200a〜200f)と、各通信制御部が共通接続される少なくとも一本の電線(300)が接続され、電動アクチュエータ毎の制御信号を各通信制御部のそれぞれに出力する電子制御装置(400)と、を備えるアクチュエータシステムであって、各通信制御部には、電動アクチュエータ毎の機能に対応して優先順位が設定されており、さらに、各通信制御部は、電線に対して、優先順位の高いものほど、電子制御装置の近くに接続されているものであることを特徴とする。
【0007】
これにより、優先順位の高い通信制御部の方が、優先順位の低い通信制御部に比べて、電子制御装置の近くに接続される。したがって、優先順位の高い通信制御部と電子制御装置との間で断線が生じる確率を小さくでき、重要な機能の電動アクチュエータを駆動可能にする可能性を高くできる。
【0008】
具体的には、請求項2に記載の発明のように、電子制御装置は、各電動アクチュエータのうち、ある電動アクチュエータが制御不能であると判定したとき、制御可能な電動アクチュエータに正常時とは異なるように制御させるための制御信号を出力するようにしてもよい。
【0009】
また、例えば、請求項3に記載の発明のように、請求項1又は2に記載の発明のアクチュエータシステムは、車両用空調装置に適用されたものであり、複数の電動アクチュエータのうち1つは、車室内空気と外気とを切り換えて導入するための内外気切換用の電動アクチュエータであり、内外気切換用の電動アクチュエータの優先順位は、他の電動アクチュエータに比べて、高くなっていることを特徴とする
特に、請求項4に記載の発明では、請求項1又は2に記載の発明のアクチュエータシステムは、車両用空調装置に適用されたものであり、複数の電動アクチュエータは、車室内の空気と外気とを切り換えて導入するための内外気切換用の電動アクチュエータ、車室内に空気を吹き出す吹出口を切り換えるための吹出口切換用の電動アクチュエータ、および、車室内に吹き出す空気温度を調整するための温度調整用の電動アクチュエータであり、内外気切換用の電動アクチュエータ、吹出口切換用の電動アクチュエータ、及び温度調整用の電動アクチュエータの順に、電動アクチュエータ毎の機能の優先順位が低くなるように設定されていることを特徴とする
請求項5に記載の発明では、請求項1に記載の発明のアクチュエータシステムは、車両用空調装置に適用されたものであり、複数の電動アクチュエータは、車室内の空気と外気とを切り換えて導入するための内外気切換用の電動アクチュエータ、および、空気を送風するための送風機用の電動アクチュエータであり、内外気切換用の電動アクチュエータの優先順位が、送風機用の電動アクチュエータの優先順位に比べて高く設定されており、電子制御装置は、送風機用の電動アクチュエータが制御不能であると判定したとき、内外気切換用の電動アクチュエータに外気導入させるための制御信号を出力することを特徴とする
ここで、送風機用の電動アクチュエータが制御不能であるとき、車室内の空調が行われず、車室内のウインドシールドが曇る可能性があるものの、内外気切換用の電動アクチュエータを制御して外気導入させることにより、ウインドシールドが曇るのを抑制することができる。
【0010】
因みに、上記各手段の括弧内の符号は、後述する実施形態に記載の具体的手段との対応関係を示す一例である。
【0011】
【発明の実施の形態】
(第1実施形態)
図1、図2は、本発明の実施形態に係る電動アクチュエータシステムを、車室内の空気調和を行う車両用空調装置に適用したものである。以下に、車両用空調装置の概略について図1、図2を用いて説明する。
【0012】
車両用空調装置は、計器盤内に収納された空調ケース5を備えており、空調ケース5内において、内外気切換ドア1bが、ケース5に回転可能に支持されて、内外気切替用のサーボモータ100eによる駆動のもとに、第1切換位置(図に実線で示す位置)に切り替えられて、空調ケース5内にその外気導入口5aから外気を流入させ、一方第2切換位置(図に破線で示す位置)に切り替えられて、空調ケース5内にその内気導入口5bから車室内の空気(内気)を流入させる。
【0013】
ブロワ9は、ブロアモータ100fの回転速度に応じて、外気導入口5aからの外気または内気導入口5bからの内気を空気流としてエバポレータ4に送風し、エバポレータ4は、そのブロワ9から吹き出される空気流を、公知の冷凍サイクルの作動によって循環する冷媒により冷却する。ブロワモータ100fは、通信制御部200fから駆動信号に基づき、ブロワ9を回転させる。
【0014】
エアミックスドア(A/Mドア)1aは、サーボモータ100dにより駆動されて、エバポレータ4から吹き出される冷却空気流をヒータコア3に流入される気流とヒータコア3をバイパスする気流(以下、バイパス冷却気流という)とに分ける。
【0015】
ヒータコア3に流入される気流は、ヒータコア3内のエンジン冷却水(温水)により加熱されるので、ヒータコア3から温風が吹き出されることになる。これに伴い、ヒータコア3から吹き出される温風とバイパス冷却気流とは混合されて吹出口ドア1c、1d、1eに向けて流動されることになる。温風とバイパス冷却気流との混合比SW(%)は、エアミックスドア1aの開度により決められることになる。
【0016】
吹出口ドア1cは、サーボモータ100cによる駆動のもとに、デフモード時にて第1切換位置(図に実線で示す位置)から第2切換位置(図に破線で示す位置)に切り換えられて、開口部5cを開けて開口部5cから主にフロントウインドシールドに向けて空気を吹き出さる。
【0017】
吹出口ドア1eは、サーボモータ100bによる駆動のもとに、フェイスモード時に第1切換位置(図に実線で示す位置)から第2切換位置(図に破線で示す位置)に切り換えられて、開口部5eを開けこの開口部5eから車室の乗員上半身に向けて空気を吹き出させる。
【0018】
吹出口ドア1dは、サーボモータ100aによる駆動のもとに、フットモード時にて第1切換位置(図に実線で示す位置)から第2切換位置(図に破線で示す位置)に切り換えられて、開口部5dを開け開口部5dから車室の乗員下半身に向けて空気を吹き出させる。
【0019】
なお、ドア1a〜1eは、それぞれ、樹脂等で板状にそれぞれ成形されたものである。また、以下、吹出口ドア1c、1d、1eを区別するために、それぞれ、デフ吹出口ドア1c、フット吹出口ドア1d、フェイス吹出口ドア1eともいう。
【0020】
電子制御装置400は、図2に示すように、メモリ420およびマイクロコンピュータ410等から構成されて、内気温センサS1により検出される車室内温度と、日射センサS2により検出される車室内の日射強度と、外気温センサS3により検出される車室外の温度と、乗員により設定された温度設定器Reから出力される設定温度等とに基づき、通信制御部200a〜200fを通してサーボモータ100a〜100eおよびブロアモータ100fを制御する。
【0021】
ここで、サーボモータ100a〜100e、ブロアモータ100fと電子制御装置400とは、バスライン300によりバス型に接続されており、バスライン300は、サーボモータ100a〜100e、ブロアモータ100fにより共通接続されるもので、電源ライン300a、通信ライン300b及びグランドライン300cから構成されている。
【0022】
本実施形態では、サーボモータ100a〜100e及びブロアモータ100fに対してモータ毎の機能に優先順位が設定されている。具体的には、サーボモータ100e(内外気切換用の電動アクチュエータ)、サーボモータ100c(吹出口切換用の電動アクチュエータ)、サーボモータ100a(吹出口切換用の電動アクチュエータ)、サーボモータ100b(吹出口切換用の電動アクチュエータ)、ブロアモータ100f(送風機用の電動アクチュエータ)、サーボモータ100d(温度調節用の電動アクチュエータ)の順で、優先順位が低くなっている。
【0023】
また、通信制御部200a〜200fには、モータ毎の優先順位に対応し、優先順位が設定されている。具体的には、通信制御部200e、通信制御部200c、通信制御部200a、通信制御部200b、通信制御部200f、通信制御部200dの順で優先順位が低くなっている。そして、通信制御部200a〜200fは、バスライン300に対して、自己の優先順位が高くなるほど、電子制御装置400の近くに接続されている。
【0024】
次に、サーボモータ100a〜100eの構成について図3〜図7を用いて説明する。以下、サーボモータ100dについて説明する。
【0025】
図3はサーボモータ100eの外観図であり、図4はサーボモータ100eの構成図である。そして、図4中、直流モータ110は、電力が供給されて、出力軸111を回転させるものであり、減速機構120は直流モータ110から入力された回転力を減速してドア1bに向けて出力する変速機構である。なお、以下、直流モータ110及び減速機構120等の回転駆動する機構部を駆動部130と呼ぶ。
【0026】
ここで、減速機構120は、直流モータ110の出力軸111に圧入されたウォーム121、このウォーム121と噛み合うウォームホィール122、及び複数枚の平歯車123、124、125からなる歯車列であり、出力側に位置する最終段歯車(出力側歯車)126には、出力軸127が設けられている。
【0027】
なお、ケーシング140は駆動部130を収納するととともに、後述するブラシ(電気接点)155〜157が固定されたケーシングである。
【0028】
また、減速機構120のうち、直流モータ110により直接駆動される入力歯車(ウォーム121)より出力側(出力軸127)には、図5〜7(特に、図7参照)に示すように、パルスパターンプレート(以下、パターンプレートと呼ぶ。)153が設けられており、このパターンプレート153は、円周方向に交互に並んだ導電部151a、152a及び非導電部151b、152bからなる第1、2パルスパターン151、152が設けられたもので、出力軸127と一体的に回転する。
【0029】
このとき、導電部151a、152aの円周角α1、α2及び非導電部151b、152bの円周角β1、β2を互いに等しくするとともに、第1パルスパターン151の位相を第2パルスパターン152の位相に対して円周角α1、α2(=円周角β1、β2)の略1/2ずらしている。
【0030】
なお、第1、2パルスパターン151、152は電気的に繋がっており、第1、2パルスパターン151、152は、両パルスパターン151、152より内周側に設けられたコモンパターン(共通導電部パターン)154と電気的に繋がって、後述するブラシ157を介してバッテリ(図示せず。)の負極側に電気的に繋がっている。
【0031】
一方、ケーシング140側には、バッテリの正極側に接続された銅系導電材料製の第1〜3ブラシ(電気接点)155〜157が樹脂一体成形により固定されており、第1ブラシ155は第1パルスパターン151に接触し、第2ブラシ156は第2パルスパターン152に接触し、第3ブラシ157はコモンパターン154に接触するように構成されている。
【0032】
なお、本実施形態では、第1〜3ブラシ155〜157とパターンプレート153との接点を2点以上(本実施形態では、4点)とすることにより、第1〜3ブラシ155〜157と導電部151a、152a(コモンパターン154を含む。)との電気接続を確実なものとしている。
【0033】
また、出力軸127には、図3に示すように、ドア1bが圧入固定されており、空調ケース5には、ドア1bを衝突させるストッパ5aが設けられている。なお、サーボモータ100a〜100dの機械的構造は、サーボモータ100eと実質的に同様ある。
【0034】
次に、サーボモータ100a〜100eの概略作動について図8、9を用いて説明する。
【0035】
図12はサーボモータ100eの通信制御部200eを示す模式図であり、この通信制御部200eは、直流モータ110を駆動するモータ通信制御部210、並びにパターンプレート153で発生するパルス信号に基づいて出力軸127の回転角及び回転の向きを検出する回転角度検出器(回転角度検出手段)220、各種制御情報を記憶するフラッシュメモリ等の入力された情報を電力の供給を受けることなく保持することができる記憶回路230、および通信ライン300cを通して電子制御装置400と通信する通信回路250などを有して構成されている。
【0036】
そして、直流モータ110が回転して出力軸127(パターンプレート153)が回転すると、第1、2ブラシ155、156と導電部151a、152aとが接触する通電(ON)状態、及び第1、2ブラシ155、156と非導電部151b、152bとが接触する非通電(OFF)状態が相互に周期的に発生することになる。
【0037】
したがって、第1、2ブラシ155、156には、図9に示すように、直流モータ110が所定角度回転する毎にパルス信号が発生するので、このパルス信号が回転角度検出器220にて数えられることにより出力軸127の回転角度を検出することができる。
【0038】
なお、上述の説明から明らかなように、本実施形態では、第1、2ブラシ155、156とパターンプレート153とにより出力軸127が所定角度回転する毎にパルス信号を発するパルス発生器(パルス発生手段)158(図8参照)を構成している。
【0039】
また、第1パルスパターン151の位相と第2パルスパターン152の位相とがずれているため、パルス発生器158では、第1パルスパターン151と第1ブラシ155とにより発生するパルス信号(以下、このパルス信号をA相パルスと呼ぶ。)と、第2パルスパターン152と第2ブラシ156とにより発生するA相パルス対して位相のずれたパルス信号(以下、このパルス信号をB相パルスと呼ぶ。)とが発生する。
【0040】
このため、本実施形態では、A相パルス及びB相パルスのうちいずれの信号が先に回転角度検出器220に入力されるかによって、直流モータ110(出力軸127)の回転方向を検出している。
【0041】
また、直流モータ110の回転量、つまり出力軸127の回転量を制御するに当たっては、ドア1bをストッパ5aに衝突させて直流モータ110の回転を機械的に停止させた位置を原点位置として記憶し、その後は、バッテリBが外れた場合およびパルス信号に異常が生じた場合を除いて、原点位置から2パルスずれた位置を作動基準として直流モータ110を制御する。
【0042】
以下、ドア1bをストッパ5aに衝突させて直流モータ110の回転を機械的に停止させた位置を原点位置として記憶し、その原点位置からずれた作業基準を設定する行為を(初期位置設定)と呼ぶ。因みに、本実施形態では、パルス信号の変化が停止したときに、ドア1bがストッパ5aに衝突したものと判定する。なお、通信制御部200a〜200dは、通信制御部200eとそれぞれ実質的に同様に、構成されている。
【0043】
次に、通信制御部200fについて図10を用いて説明する。通信制御部200fは、通信ライン300Cを介して電子制御装置400と通信する通信回路520、ブロアモータ100fの回転数を制御するモータ駆動回路530、及び電源ライン300aを介して電力供給されて一定電圧を通信回路520及びモータ駆動回路530に出力する定電圧回路510から構成されている。
【0044】
次に、本実施形態の作動について図11〜図12を用いて説明する。図11は、電子制御装置400のマイクロコンピュータ410による空調制御処理を示すフローチャート、図12は図11の故障判定処理の詳細を示すフローチャートである。
【0045】
マイクロコンピュータ410は、図11、図12のフローチャートに従って、メモリ420に記憶されるコンピュータプログラムを実行する。このコンピュータプログラムは、イグニッションスイッチIGがONされると一定期間毎に繰り返される。イグニッションスイッチIGは、乗員に操作されて、マイクロコンピュータ410にバッテリBからの給電を許可するためのスイッチである。
【0046】
先ず、初期制御において、メモリ420内の初期設定フラグに基づき、初期設定の条件を満たしているか否か、つまり、現時刻において「初期位置設定」が必要であるか否かについて判定する。
【0047】
例えば、バッテリBが車両に接続されたあとサーボモータ100a〜100eの「初期位置設定」(イニシャライズ)を一度も行っていない状態においてイグニッションスイッチIGがONされた場合には、「初期位置設定」が必要であると判定する。ここで、初期設定フラグは、バッテリBが車両に接続されるとマイクロコンピュータ410によりリセットされて、後述するように「初期位置設定」が施されるとセットされるものである。
【0048】
その後、ブロアモータ100fを停止させるための停止信号にモータ毎に予め設定されたIDコードを付加して通信ライン300bに出力する。これに伴い、通信制御部200fのモータ駆動回路530が、IDコード及び停止信号を通信回路520を通して受信し、予め記憶したIDコードとこの受信されたIDコードとの一致していることを判定すると、ブロアモータ100fを停止させることになる。
【0049】
次に、サーボモータ100a〜100eのそれぞれに対して「初期位置設定」を指令するための指令信号をモータ毎に予め設定されたIDコードを付加して通信ライン300bに出力する。これに伴い、例えば、通信制御部200aのモータ駆動回路210が、IDコード及び指令信号を通信回路250を通して受信し、予め記憶したIDコードとこの受信されたIDコードとの一致していることを判定すると、サーボモータ100aに対して初期位置設定を施す。同様に、通信制御部200b〜200dは、サーボモータ100b〜100dに対して初期位置設定を施す(S101)
次に、ブロアモータ用の通信制御部200eとの通信に異常が生じたか否かを判定する(S102)。具体的には、通信制御部200eを呼出すための呼出信号に予め設定されたモータ毎のIDコードを付加して通信ライン300bに出力する。
【0050】
ここで、通信制御部200e及び電子制御装置400の間でバスライン300が正常である場合、通信制御部200eの通信回路250が、IDコード及び呼出信号を受信し、この受信されたIDコードと予め記憶されたIDコードとが一致していることを判定すると、呼出信号に応じて、応答信号に予め記憶された自身のIDコードを付加して通信ライン300bに出力する。
【0051】
これに伴い、電子制御装置400のマイクロコンピュータ400410は、応答信号及びIDコードに応じて、通信制御部200eと通信可能、ひいてはブロアモータ100fを制御可能であると判定する。この場合には、後述するように正常時における空調制御処理を実行する。
【0052】
また、通信制御部200e及び電子制御装置400の間のA箇所でバスライン300の電源ライン300aが断線している場合、通信制御部200eの通信回路250が、電子制御装置400から出力されるIDコード及び呼出信号を受信できず、呼出信号に対する応答信号を出力することもできない。ここで、電子制御装置400は、呼出信号を送信後一定期間以上、応答信号を受信しないときには、通信制御部200e及び電子制御装置400の間でバスライン300が断線しており、通信制御部200e、ひいては、ブロアモータ100fを制御不能であると判定する(S102)。
【0053】
ここで、通信制御部200e及び電子制御装置400の間でバスライン300が断線している場合、ブロア9による送風を発生できない。すなわち、空調空気を車室内に吹き出すことができない。このため、車室内の空調状態を制御できず、車両フロンウインドシールド等に曇りが生じる可能性がある。
【0054】
そこで、電子制御装置400は、制御可能なサーボモータ100eに対して正常時とは異なる制御を行う。すなわち、外気導入させるための指令信号(制御信号)にサーボモータ100eのIDコードを付加して通信ライン300cに出力する。これに伴い、例えば、通信制御部200eのモータ駆動回路210が、IDコード及び指令信号を通信回路250を通して受信し、予め記憶したIDコードとこの受信されたIDコードとの一致していることを判定すると、指令信号に応じて、サーボモータ100eに対してドアを第1切換位置(図に実線で示す位置)まで回転させる(S109)。
【0055】
ここで、車両走行中では、空調ケース5内にその外気導入口5aから外気を流入させて、その外気を吹出口1c〜1dのいずれかから吹き出させるので、車両フロンウインドシールドの防曇を図ることができる。
【0056】
次に、正常時における空調制御処理について説明すると、内気温センサS1、日射センサS2、外気温センサS3から出力されるセンサ出力および、温度設定器Reから出力される温度設定値をそれぞれ読み込み(図11のS103)、それぞれのセンサ出力および温度設定値に基づき、予めメモリ420に記憶された下記の数1の式に基づいて、車室内に吹き出す空気の目標吹出温度TAOを算出する(S104)。
【0057】
【数1】
TAO=Kset×Tset−KR×TR−KAM×TAM−KS×TS+Cここで、Tsetは温度設定レバーReにて設定した設定温度、TRは内気温センサS1にて検出した内気温度、TAMは外気温センサS2にて検出した外気温度、TSは日射センサS2にて検出した日射量である。また、Kset、KR、KAM及びKSはゲインで、Cは補正用の定数である。
【0058】
続いて、予めメモリに記憶された特性図から、目標吹出温度TAOに対応するモータ回転数(ブロアの送風量)を決定する(S105)。具体的には、目標吹出温度TAOが低い程又は高い程、モータ回転数を高くし、目標吹出温度TAOが設定温度に近くなる程、モータ回転数を小さくする。そして、この決定されたモータ回転数を示す制御信号にブロアモータ100fのIDコードを付加して通信ライン300bに出力する。
これに伴い、通信制御部200fのモータ駆動回路530が、通信回路520を介して制御信号及びIDコードを受信し、この受信されたIDコードが記憶回路230に予め記憶されたIDコードに一致すると判定すると、制御信号に基づいて、上述のように決定されたモータ回転数にてブロアモータ100fを回転させる。
【0059】
続いて、目標吹出温度TAO、蒸発器吹出空気温度センサS4で検出した蒸発器吹出空気温度、および水温センサS5で検出したエンジン冷却水の水温などに応じて、エアミックスドア1aの開度SWを以下の数式2により決定する(S106)。
【0060】
【数2】
SW=(TAO−TE)/(TW−TE)×100
ここで、TEは蒸発温度センサS4の検出温度、TWは水温センサS5の検出温度である。
【0061】
その後、この決定される開度SWを示す制御信号に、サーボモータ100dのIDコードを付加して通信ライン300bに出力する。そして、サーボモータ100dの通信制御部200dのモータ通信制御部210は、IDコード及び制御信号を通信部250を介して受け、この受信されたIDコードが、記憶回路230に記憶されたIDコードに一致すると判定すると、直流モータ110によってエアミックスドア1aを、上述のように決定される開度SWに対応するように回転させる。
【0062】
続いて、予めメモリ420に記憶された特性図から、目標吹出温度TAOに対応する吹出口モードを決定する(S106)。具体的には、目標吹出温度TAOが低いときにはフットモードが選択され、目標吹出温度TAOが高くなるに伴って、バイレベルモード、さらにはフェイスモードの順に選択される。
【0063】
以上のような吹出口モードが決定されると、サーボモータ100a、100bについて、それぞれの目標位置として、第1、第2の切換位置(図1中実線、破線で示される位置)のうち一方を決める。そして、フェイス吹出口ドア用に決められた目標位置を示す制御信号に、サーボモータ100aのIDコードを付加して通信ライン300bに出力する。また、フット吹出口ドア用に決められた目標位置を示す制御信号に、サーボモータ100bのIDコードを付加して通信ライン300bに出力する。
【0064】
これに伴い、通信制御部200aのモータ通信制御部210は、IDコード及び制御信号を通信部250を介して受け、この受信されたIDコードが、記憶回路230に記憶されたIDコードに一致すると判定すると、直流モータ110によりフェイス吹出口ドア1eを目標位置まで回転させる。同様に、通信制御部200bのモータ通信制御部210は、通信部250を介して受信された制御信号に応じて、直流モータ110によりフット吹出口ドア1を目標位置まで回転させる。
【0065】
例えば、フットモードが選択された場合、吹出口ドア1d、1eを回転させて開口部5eを開け、開口部5dを閉じる。フェイスモードが選択されると吹出口ドア1d、1eを回転させて開口部5dを開け、開口部5eを閉じる。バイレベルモードが選択されると吹出口ドア1d、1eを回転させて開口部5e、5dを開ける。
【0066】
続いて、予めメモリ420に記憶された特性図から、目標吹出温度TAOに対応する内外気モードを決定する(S107)。具体的には、目標吹出温度TAOが高いときには内気循環モードが選択され、目標吹出温度TAOが低いときには外気導入モードが選択される。これに伴い、この選択された内外気モードを示す制御信号にサーボモータ100eのIDコードを付加して通信ライン300bに出力する。
【0067】
これに伴い、サーボモータ100eの通信制御部200eのモータ通信制御部210は、IDコード及び制御信号を通信部250を介して受け、この受信されたIDコードが、記憶回路230に記憶されたIDコードに一致すると判定すると、直流モータ110により内外気切換ドア1bを、上述のように選択された内外気モードに対応する目標位置まで回転させる。
【0068】
例えば、内気循環モードが選択されたとき、直流モータ110により内外気切換ドア1bを目標位置としての第2切換位置まで回転させることにより、内気導入口5bを開けるとともに外気導入口5aを閉じる。また、外気導入モードが選択されたとき、直流モータ110により内外気切換ドア1bを目標位置としての第1切換位置まで回転させることにより、内気導入口5aを閉じるとともに外気導入口5bを開ける。
【0069】
次に、本実施形態の作用効果について説明する。通信制御部200a〜200fは、モータ毎の機能の優先順位に対応し、この優先順位の高いものほど、電子制御装置400の近くに接続されているものである。これにより、優先順位の高い通信制御部の方が、優先順位の低い通信制御部に比べて、電子制御装置400の近くに接続される。したがって、優先順位の高いモータを制御する通信制御部(例えば、通信制御部200d)と電子制御装置400との間で断線が生じる確率を小さくでき、重要な機能のサーボモータ(例えば、サーボモータ100e)を駆動可能にする可能性を高くできる。
【0070】
(第2の実施形態)
上述の実施形態では、バスライン300の片側端部しか電子制御装置400に接続していないが、図13に示すように、バスライン300の両端部を電子制御装置400に接続しても良い。
【0071】
この場合、B箇所で断線しても、通信制御部200cは電子制御装置400に繋がっており、また通信制御部200a、200b、200d〜200fも電子制御装置400に繋がっているので、一箇所だけが断線した場合には、全てのサーボモータ100a〜100e及びブロアモータ100fを制御することができる。
【0072】
しかし、B箇所だけでなく、C箇所でも断線してしまった場合には、サーボモータ100c、100eを駆動できるものの、その他のモータ100a、100b、100d、100fを制御できなくなる。そこで、図13に示すように、モータ毎の優先順位に対応して、バスライン300に対して、通信制御部200a〜200fを接続する順番が設定されている。
【0073】
図13に示すように、優先順位が1番であるサーボモータ100cを制御する通信制御部200cは、バスライン300の一端側にて電子制御装置400の近くに接続されている。また、優先順位が2番であるサーボモータ100eを制御する通信制御部200eは、バスライン300の他端側にて電子制御装置400の近くに接続されている。このようにすると、B、Cの2箇所で断線が生じても、優先順位の高い方から2つのサーボモータ100c、100eを駆動することができる。
【0074】
(その他の実施形態)
上述の実施形態においては、ドア1a〜1eをストッパ5aに衝突させてサーボモータ100a〜100eの回転を機械的に停止させた位置を原点位置として記憶し、その後は、原点位置を作動基準としてサーボモータ100a〜100eを制御したが、原点位置からずれた位置を作動基準としてサーボモータ100a〜100eを制御してもよい。
【0075】
上述の実施形態では、バッテリBが車両に接続されたあとサーボモータ100a〜100eの「初期設定」を一度も行っていない状態にてイグニッションスイッチIGがONされた場合には、「初期設定」が必要であると判定した例について示したが、これに代えて、次のようにしてもよい。
【0076】
(1)バッテリBが車両に接続されたあとサーボモータ100a〜100eの「初期設定」を一度も行っていない状態にてイグニッションスイッチIGがOFFされた場合には、「初期設定」が必要であると判定してもよい。
【0077】
(2)サーボモータ100a〜100eの異常を検出した直後にてイグニッションスイッチIGがOFFされた場合には、「初期設定」が必要であると判定してもよい。
【0078】
(3)サーボモータ100a〜100eの異常を検出した直後にてイグニッションスイッチIGがONされた場合には、「初期設定」が必要であると判定してもよい。
【0079】
ここで、サーボモータの異常を検出としては、パルス発生器158および回転角度検出器220を用いて、パルス発生器158から回転角度検出器220に出力されるA相パルス及びB相パルスの信号が周期的に発生しているか否かを判定し、A相パルス及びB相パルスのうちいずれか一方の信号が周期的に発生していない、つまり、いずれか一方の信号の周期が乱れてたときには、サーボモータの異常が発生したとする。
【0080】
上述の実施形態では、摺動接点方式の位置検出装置を例に本発明を説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、光学式のエンコーダ等のその他の位置検出装置にも適用することができる。
【0081】
上述の実施形態では、出力軸127にパルス発生器158を設けたが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えばパルス発生器158(パルスプレート153)用にさらに減速した回転部を設けパルス信号を発生させてもよい。
【0082】
上述の実施形態では、両パルスパターン151、152より内周側に設けられたコモンパターン(共通導電部パターン)154を設けたが、本発明はこれに限定されるものではなく、両パルスパターン151、152より外周側にコモンパターン154を設ける、又は両パルスパターン151、152間にコモンパターン154を設ける等してもよい。
【0083】
上述の実施形態では、車両用空調装置に本発明を適用したが、本発明の適用はこれに限定されるものではない。
【0084】
上述の実施形態においては、サーボモータ100a〜100eの回転を機械的に原点位置にて停止させたものを示したが、本発明はこれに限らず、サーボモータへの給電を停止させてサーボモータ100a〜100eの回転を原点位置にて停止させるようにしてもよい。
【0085】
上述の実施形態においては、サーボモータ100a〜100eについて誤った位置に組み付けられているか否かを判定したとき、その判定結果をメモリ420に記憶させておくようにしてもよい。
【0086】
上述の実施形態においては、サーボモータ100a〜100eについて誤った位置に組み付けられているか否かを判定したとき、その判定結果をメモリ420に記憶させておくようにしてもよい。
【0087】
上述の実施形態においては、電動モータとして、サーボモータを用いた例について説明したが、これに限らず、直流モータ110や交流モータを用いてもよい。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態に係る車両用空調装置の模式図である。
【図2】図1の電子制御装置およびサーボモータの接続構成を示す図である。
【図3】図1のサーボモータの外形を示す図である。
【図4】図1のサーボモータの概略構成を示す図である。
【図5】(a)は図4のパルスプレートの正面図であり、(b)は(a)の側面図である。
【図6】図5のA−A断面図である。
【図7】図5のパルスプレートの拡大図である。
【図8】図1のサーボモータの概略電気回路構成を示すブロック図である。
【図9】図1のサーボモータのパルス信号チャートである。
【図10】図1の通信制御部の電気回路構成を示す図である。
【図11】図1の電子制御装置の処理を示すフローチャートである。
【図12】図14の処理の一部を示すフローチャートである。
【図13】本発明の第2実施形態に係る電子制御装置およびサーボモータの接続構成を示す図である。
【図14】従来の電子制御装置およびサーボモータの接続構成を示す図である。
【符号の説明】
100a〜100e…サーボモータ、
220…回転角度検出器、
200a〜200e…通信制御部、
400…電子制御装置
410…マイクロコンピュータ
420…メモリ。

Claims (5)

  1. 各電動アクチュエータ(100a〜100f)と、
    前記電動アクチュエータ毎に設けられ、この電動アクチュエータ毎に入力される制御信号に応じて前記各電動アクチュエータをそれぞれ制御する各通信制御部(200a〜200f)と、
    前記各通信制御部が共通接続される少なくとも一本の電線(300)が接続され、前記電動アクチュエータ毎の制御信号を前記各通信制御部のそれぞれに出力する電子制御装置(400)と、を備えるアクチュエータシステムであって、
    前記各通信制御部には、前記電動アクチュエータ毎の機能に対応して優先順位が設定されており、
    さらに、前記各通信制御部は、前記電線に対して、前記優先順位の高いものほど、前記電子制御装置の近くに接続されているものであることを特徴とするアクチュエータシステム。
  2. 前記電子制御装置は、前記各電動アクチュエータのうち、ある電動アクチュエータが制御不能であると判定したとき、制御可能な電動アクチュエータに正常時とは異なるように制御させるための制御信号を出力することを特徴とする請求項1に記載のアクチュエータシステム。
  3. 請求項1又は2に記載の発明のアクチュエータシステムは、車両用空調装置に適用されたものであり、
    前記複数の電動アクチュエータのうち1つは、車室内空気と外気とを切り換えて導入するための内外気切換用の電動アクチュエータであり、
    前記内外気切換用の電動アクチュエータの優先順位は、他の電動アクチュエータに比べて、高くなっていることを特徴とする。
  4. 請求項1又は2に記載の発明のアクチュエータシステムは、車両用空調装置に適用されたものであり、
    前記複数の電動アクチュエータは、車室内の空気と外気とを切り換えて導入するための内外気切換用の電動アクチュエータ、車室内に空気を吹き出す吹出口を切り換えるための吹出口切換用の電動アクチュエータ、および、車室内に吹き出す空気温度を調整するための温度調整用の電動アクチュエータであり、
    前記内外気切換用の電動アクチュエータ、前記吹出口切換用の電動アクチュエータ、及び前記温度調整用の電動アクチュエータの順に、前記電動アクチュエータ毎の機能の優先順位が低くなるように設定されていることを特徴とする。
  5. 請求項1に記載の発明のアクチュエータシステムは、車両用空調装置に適用されたものであり、
    前記複数の電動アクチュエータは、車室内の空気と外気とを切り換えて導入するための内外気切換用の電動アクチュエータ、および、空気を送風するための送風機用の電動アクチュエータであり、
    前記内外気切換用の電動アクチュエータの優先順位が、前記送風機用の電動アクチュエータの優先順位に比べて高く設定されており、
    前記電子制御装置は、前記送風機用の電動アクチュエータが制御不能であると判定したとき、前記内外気切換用の電動アクチュエータに外気導入させるための制御信号を出力することを特徴とする。
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