JP2004276305A - スクリーン印刷用治具の製造方法及びスクリーン印刷用治具 - Google Patents
スクリーン印刷用治具の製造方法及びスクリーン印刷用治具 Download PDFInfo
- Publication number
- JP2004276305A JP2004276305A JP2003067952A JP2003067952A JP2004276305A JP 2004276305 A JP2004276305 A JP 2004276305A JP 2003067952 A JP2003067952 A JP 2003067952A JP 2003067952 A JP2003067952 A JP 2003067952A JP 2004276305 A JP2004276305 A JP 2004276305A
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- adhesive
- screen
- holding sheet
- screen printing
- jig
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Pending
Links
Images
Landscapes
- Printing Plates And Materials Therefor (AREA)
- Screen Printers (AREA)
- Manufacture Or Reproduction Of Printing Formes (AREA)
Abstract
【課題】耐水性,耐溶剤性に優れたスクリーン印刷用治具を容易且つ確実に形成することができるスクリーン印刷用治具の製造方法及びスクリーン印刷用治具を提供することにある。
【解決手段】版枠11と、版枠11の内側に緊張した状態で接合された保持シート12と、保持シート12に接合されるとともに,画像形成部を有するスクリーン13とを備えたスクリーン印刷用治具10であって、版枠11と保持シート12、及び保持シート12とスクリーン13とのうち少なくとも一方は、第1の接着剤14により接着接合され、第1の接着剤14の外表面のうち少なくとも一部には、第1の接着剤14より小さい分子間距離の第2の接着剤15が設けられ、第2の接着剤15の一部は、第1の接着剤14に含有されている。
【選択図】 図2
【解決手段】版枠11と、版枠11の内側に緊張した状態で接合された保持シート12と、保持シート12に接合されるとともに,画像形成部を有するスクリーン13とを備えたスクリーン印刷用治具10であって、版枠11と保持シート12、及び保持シート12とスクリーン13とのうち少なくとも一方は、第1の接着剤14により接着接合され、第1の接着剤14の外表面のうち少なくとも一部には、第1の接着剤14より小さい分子間距離の第2の接着剤15が設けられ、第2の接着剤15の一部は、第1の接着剤14に含有されている。
【選択図】 図2
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、スクリーン印刷に用いられるスクリーン印刷用治具の製造方法及びスクリーン印刷用治具に係り、特に、耐水性,耐溶剤性に優れるスクリーン印刷用治具の製造方法及びスクリーン印刷用治具に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
一般に、スクリーン印刷に供されるスクリーン印刷用治具には、主として、いわゆる直張マスクと、コンビネーションマスクとがある。
前者は、四角形状の版枠と、例えばポリエステル系合成繊維,又はステンレス等の金属繊維からなるとともに,中央部に画像形成部を有するスクリーンとを備え、このスクリーンは版枠の内側に緊張した状態で接合された構成となっている。後者は、四角形状の版枠と、中央部に開口部が形成されるとともに,例えばポリエステル系合成繊維,又はステンレス等の金属繊維からなる保持シートと、中央部に画像形成部を有するスクリーンとを備え、保持シートは版枠の内側に緊張した状態で接合され、スクリーンは版枠の下面側から保持シートの前記開口部を閉じるようにして保持シートに接合された構成となっている。
【0003】
このように構成された前記各マスクにおいては、版枠と保持シート又はスクリーン,及び保持シートとスクリーンとの各接合をゴム系接着剤,エポキシ系接着剤,又はウレタン系接着剤等により行っている。ここで、スクリーン印刷用治具は、印刷に際し、各種溶剤を含有したペースト等をスキージにより擦られながら用いられ、更に印刷後、前記各マスクに付着したペースト等を、各種有機溶剤等を用いた超音波等により洗浄除去され再使用されている。このため、前記接着剤の劣化は著しく前記各接合に対する耐久性が低いという問題があり、メンテナンス性の低下,生産効率の低下を招いていた。
【0004】
この問題を解決する手段として、前記接着剤を2層の重層構造とする構成,及びその製造方法が提案されている(例えば特許文献1参照)。すなわち、スクリーンの周縁部に第1の接着剤(ゴム系接着剤,エポキシ系接着剤,又はウレタン系接着剤)を塗布して、マスク部材を軟接着し、次いで第1の接着剤が乾燥固化する前にその上から第1の接着剤と化学反応する第2の接着剤(シアノアクリレート系,エポキシ系接着剤,又はUV硬化型接着剤)を重層塗布する方法である。これにより、第1の接着剤と第2の接着剤との化学反応により、耐水性,耐溶剤性に優れた接着剤層を形成することができるというものである。
【0005】
【特許文献1】
特開平09−99538号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、前記従来のスクリーン印刷用治具の製造方法によれば、軟硬化状態にある第1の接着剤の外表面に、第1の接着剤と化学反応する第2の接着剤を塗布し、化学反応を生じさせるため、この化学反応により得られた接着剤層の材質等の仕様,例えば耐水性,耐溶剤性等を安定させて量産する,すなわち量産品質を確保することが困難であるという問題があった。すなわち、前述したように化学反応により接着剤層を形成するため、第1の接着剤の硬化状態により、形成される接着剤層の前記仕様が略決定されることになるが、一般に、接着剤の硬化状態は硬化反応開始からの時間が一定でも、形成時の温度,湿度等により大きく変化する。従って、前述した量産品質を確保するためには、形成時の温度,湿度等を管理し、これに基づいて第2の接着剤を塗布する時間(タイミング)を変化させる必要があるが、実際の生産においては、前記管理を行いつつ量産することは困難である。
【0007】
本発明はこのような事情を考慮してなされたものであり、耐水性,耐溶剤性に優れたスクリーン印刷用治具を容易且つ確実に形成することができるスクリーン印刷用治具の製造方法及びスクリーン印刷用治具を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決して、このような目的を達成するために、本発明は以下の手段を提案している。
請求項1に係る発明は、版枠の内側に緊張させた状態で保持シートを接合する保持シート接合工程と、前記保持シートに、画像形成部を有するスクリーンを接合するスクリーン接合工程とを有するスクリーン印刷用治具の製造方法であって、前記スクリーン接合工程は、前記スクリーンと前記保持シートとの接合部に第1の接着剤を塗布,硬化して、前記スクリーンと前記保持シートとを接合した後、前記第1の接着剤より小さい分子間距離の第2の接着剤を、前記硬化した第1の接着剤の外表面のうち少なくとも一部に塗布,硬化することを特徴とする。
【0009】
この発明に係るスクリーン印刷用治具の製造方法によれば、保持シートとスクリーンとを第1の接着剤を硬化することにより接合した後、この第1の接着剤外表面のうち少なくとも一部に、第1の接着剤より小さい分子間距離の第2の接着剤を塗布するので、この際、第2の接着剤の一部は、硬化した第1の接着剤の外表面から所定の深さまで浸透することになる。すなわち、硬化した第1の接着剤を組成する分子同士の間に、未硬化であるとともに第1の接着剤より小さい分子間距離の第2の接着剤を組成する分子が浸透することになる。ここで、例えば第1の接着剤をゴム系接着剤,エポキシ系接着剤,又はウレタン系接着剤等とし、第2の接着剤を第1の接着剤より分子間距離が小さいとともに、耐水性,耐溶剤性に優れたシアノアクリレート系接着剤等とした場合、第1の接着剤外表面,及びこの外表面から所定の深さにまで、耐水性,耐溶剤性に優れた第2の接着剤を配設する構成を実現できるようになる。従って、第1の接着剤と第2の接着剤との接合を高強度にすることができるようになり、治具使用時や洗浄時の擦れに対しても、第2の接着剤の剥離発生を抑制することができるようになり、耐水性,耐溶剤性に優れたスクリーン印刷用治具を長期に渡って維持することができるようになる。
また、第1の接着剤,及び第2の接着剤を各々、前述した材料とした場合、第1の接着剤は、第2の接着剤より延展性に優れることになる。すなわち、スクリーンと保持シートとに直接接する材料を延展性に優れる第1の接着剤とすることになり、治具を超音波洗浄する際に治具自体に作用する振動に起因して、第1の接着剤がスクリーン及び保持シートから剥離することを抑制することになる。従って、この第1の接着剤の剥離発生抑制効果と、前述した第2の接着剤の剥離発生抑制効果とにより、耐水性,耐溶剤性に優れたスクリーン印刷用治具を更に長期に渡って維持することができるようになる。
さらに、第2の接着剤を第1の接着剤に塗布する際、第1の接着剤を硬化した状態で行うため、形成するスクリーン印刷用治具間で、第1の接着剤の硬化状態を容易に略一定に再現することができるようになる。これにより、形成する前記治具間で耐水性,耐溶剤性等の仕様を安定させることができるようになり、前記治具の量産品質を確保できる生産を実現できるようになる。
【0010】
請求項2に係る発明は、請求項1記載のスクリーン印刷用治具の製造方法において、前記保持シート接合工程は、前記版枠と前記保持シートとの接合部に第1の接着剤を塗布,硬化して、前記版枠と前記保持シートとを接合した後、前記第1の接着剤より小さい分子間距離の第2の接着剤を、前記硬化した第1の接着剤の外表面のうち少なくとも一部に塗布,硬化することを特徴とする。
【0011】
この発明に係るスクリーン印刷用治具の製造方法によれば、版枠と保持シートとを第1の接着剤を硬化することにより接合した後、この第1の接着剤外表面のうち少なくとも一部に、第1の接着剤より小さい分子間距離の第2の接着剤を塗布するので、前述した請求項1記載の発明と同様の作用を奏することになる。
【0012】
請求項3に係る発明は、版枠の内側に、画像形成部を有するスクリーンを、緊張させた状態で接合するスクリーン接合工程を有するスクリーン印刷用治具の製造方法であって、前記スクリーン接合工程は、前記版枠と前記スクリーンとの接合部に第1の接着剤を塗布,硬化して、前記版枠と前記スクリーンとを接合した後、前記第1の接着剤より小さい分子間距離の第2の接着剤を、前記硬化した第1の接着剤の外表面のうち少なくとも一部に塗布,硬化することを特徴とする。
【0013】
この発明に係るスクリーン印刷用治具の製造方法によれば、版枠とスクリーンとを第1の接着剤を硬化することにより接合した後、この第1の接着剤外表面のうち少なくとも一部に、第1の接着剤より小さい分子間距離の第2の接着剤を塗布するので、前述した請求項1記載の発明と同様の作用を奏することになる。
【0014】
請求項4に係る発明は、版枠と、該版枠の内側に緊張した状態で接合された保持シートと、該保持シートに接合されるとともに,画像形成部を有するスクリーンとを備えたスクリーン印刷用治具であって、前記版枠と前記保持シート,及び前記保持シートと前記スクリーンとのうち少なくとも一方は、第1の接着剤により接着接合され、該第1の接着剤の外表面のうち少なくとも一部には、前記第1の接着剤より小さい分子間距離の第2の接着剤が設けられ、該第2の接着剤の一部は、前記第1の接着剤に含有されていることを特徴とする。
【0015】
請求項5に係る発明は、版枠と、該版枠の内側に緊張した状態で接合されるとともに,画像形成部を有するスクリーンとを備えたスクリーン印刷用治具であって、前記版枠と前記スクリーンとは、第1の接着剤により接着接合され、該第1の接着剤の外表面のうち少なくとも一部には、前記第1の接着剤より小さい分子間距離の第2の接着剤が設けられ、該第2の接着剤の一部は、前記第1の接着剤に含有されていることを特徴とする。
【0016】
これらの発明に係るスクリーン印刷用治具によれば、第1の接着剤外表面のうち少なくとも一部に設けられた第2の接着剤の一部が、第1の接着剤に含有して設けられているので、第1の接着剤と第2の接着剤との接合を高強度にすることができるようになる。また、第2の接着剤は、第1の接着剤より分子間距離が小さいため、前記含有した構成を確実に実現できるようになる。ここで、例えば第1の接着剤をゴム系接着剤,エポキシ系接着剤,又はウレタン系接着剤等とし、第2の接着剤を第1の接着剤より分子間距離が小さいとともに、耐水性,耐溶剤性に優れたシアノアクリレート系接着剤等とした場合、第1の接着剤外表面,及びこの外表面から所定の深さにまで、耐水性,耐溶剤性に優れた第2の接着剤が配設されることになる。従って、第2の接着剤は治具使用時や洗浄時の擦れに対しても第1の接着剤から剥離し難くなり、耐水性,耐溶剤性に優れたスクリーン印刷用治具を長期に渡って維持することができるようになる。
また、第1の接着剤,及び第2の接着剤を各々、前述した材料とした場合、第1の接着剤は、第2の接着剤より延展性に優れることになる。すなわち、前記治具に直接接する材料を延展性に優れる第1の接着剤とすることになり、治具を超音波洗浄する際に治具自体に作用する振動に起因して、第1の接着剤が前記治具から剥離することを抑制することになる。従って、この第1の接着剤の剥離発生抑制効果と、前述した第2の接着剤の剥離発生抑制効果とにより、耐水性,耐溶剤性に優れたスクリーン印刷用治具を更に長期に渡って維持することができるようになる。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係るスクリーン印刷用治具の製造方法及びスクリーン印刷用治具の第一実施形態を、図1から図3を参照しながら説明する。まず、スクリーン印刷用治具としてのコンビネーションマスクの概略構成を説明する。
図1において、コンビネーションマスク10は、4組の枠材11a〜11dにより四角形状に形成された版枠11と、版枠11の内側に緊張した状態で接着接合された保持シート12と、保持シート12に接着接合されるとともに,中央部に画像形成部13aを有するスクリーン13とを備えている。
保持シート12及びスクリーン13は、例えばポリエステル系合成繊維,又はステンレス等の金属繊維からなり、保持シート12の中央部には矩形状の開口部12aが設けられている。
【0018】
以上の構成において、図1,図2に示すように、保持シート12は、枠材11a〜11dにより形成される空間の開口面の一つを閉じるようにして版枠11に接着接合され、スクリーン13は、保持シート12の版枠11との接合面と反対側の面から保持シート12の開口部12aを閉じるようにして保持シート12に接着接合されている。すなわち、図2に示すように、コンビネーションマスク10の図示しないワークとの当接面側を下側とすると、下側から順に、スクリーン13,保持シート12,及び版枠11が設けられた構成となっている。
【0019】
ここで、図2に示すように、版枠11と保持シート12、及び保持シート12とスクリーン13とは各々、例えばゴム系接着剤,エポキシ系接着剤,又はウレタン系接着剤等からなる第1の接着剤14により接着接合されている。また、第1の接着剤14の外表面には、その略全域に渡って、第1の接着剤14より小さい分子間距離の第2の接着剤15(例えばシアノアクリレート系接着剤等)が設けられ、この第2の接着剤15の一部は、第1の接着剤14の外表面から所定の深さまで位置するように、第1の接着剤14に含有されて設けられている。すなわち、図3に示すように、第1の接着剤14の外表面から所定の深さまでは、第1の接着剤14を組成する第1の分子14a同士の間に、第2の接着剤15を組成する第2の分子15aが配設された構成となっている。
【0020】
以上のように構成されたコンビネーションマスク10の製造方法について説明する。まず、所定の間隔で開口部12aが複数形成された大形の保持シート表面に、この保持シートを緊張させた状態で、開口部12aが版枠11の開口面中央部に位置するように版枠11の下面を押付ける。この状態で保持シートの版枠11との当接面と反対側の面から第1の接着剤14を塗布,硬化して、版枠11と保持シートとを接着接合し、その後、版枠11の外方に位置する大形の保持シートを切落とす。
【0021】
次に、保持シート12より小形かつ開口部12aより大形であるとともに、中央部に画像形成部13aを有するスクリーン13を、保持シート12の開口部12aを覆うようにして、保持シート12の下面,すなわち保持シート12の版枠11との当接面と反対側の面に押圧する。この状態で、保持シート12とスクリーン13との重複部に第1の接着剤14を塗布,硬化して、保持シート12とスクリーン13とを接着接合する。
そして、版枠11と保持シート12、及び保持シート12とスクリーン13とを各々接着接合した,硬化した第1の接着剤14外表面に、第2の接着剤15を塗布,硬化することで、コンビネーションマスク10が形成される。
【0022】
以上説明したように、本第一実施形態によるスクリーン印刷用治具の製造方法によれば、版枠11と保持シート12,及び保持シート12とスクリーン13とを各々第1の接着剤14を硬化することにより接合した後、この第1の接着剤14外表面に第1の接着剤14より小さい分子間距離の第2の接着剤15を塗布するので、この際、第2の接着剤15は、硬化した第1の接着剤14の外表面から所定の深さまで浸透することになる。すなわち、図3に示すように、硬化した第1の接着剤14を組成する第1の分子14a同士の間に、未硬化であるとともに第1の接着剤14より小さい分子間距離の第2の接着剤15を組成する第2の分子15aの一部が浸透することになる。これにより、第1の接着剤14外表面及びこの外表面から所定の深さにまで、耐水性,耐溶剤性に優れた第2の接着剤15を配設する構成を実現することができる。従って、第1の接着剤14と第2の接着剤15との接合を高強度にすることができ、コンビネーションマスク10の使用時及び洗浄時の擦れに対しても、第2の接着剤15の剥離発生を抑制することができ、耐水性,耐溶剤性に優れたコンビネーションマスク10を長期に渡って維持することができる。
【0023】
また、第1の接着剤14,及び第2の接着剤15を各々、前述した材料とした場合、第1の接着剤14は、第2の接着剤15より延展性に優れることになる。すなわち、版枠11と保持シート12とスクリーン13とに直接接する材料を延展性に優れる第1の接着剤14とすることができ、コンビネーションマスク10を超音波洗浄する際に前記マスク10自体に作用する振動に起因して、第1の接着剤14が前記各部11〜13から剥離することを抑制することができる。従って、この第1の接着剤14の剥離発生抑制効果と、前述した第2の接着剤15の剥離発生抑制効果とにより、耐水性,耐溶剤性に優れたコンビネーションマスク10を更に長期に渡って維持することができる。
【0024】
さらに、第2の接着剤15の第1の接着剤14外表面への塗布を、第1の接着剤14が硬化した後に行うため、形成するコンビネーションマスク10間で、第1の接着剤14の硬化状態を容易に略一定に再現することができる。これにより、形成するコンビネーションマスク10間で耐水性,耐溶剤性等の品質を安定させることができ、コンビネーションマスク10の量産品質を確保できる生産を実現することができる。
【0025】
なお、本発明は前記第一実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。例えば、版枠11と保持シート12、及び保持シート12とスクリーン13との各接続部双方に第1の接着剤14,第2の接着剤15を配設した構成を示したが、どちらか一方のみであってもよい。また、前記第一実施形態においては、コンビネーションマスクの構成を示したが、図4に示すように、版枠11の下面にスクリーン13を直接接着接合した,いわゆる直張りマスクにも適用可能である。
【0026】
【発明の効果】
以上の説明から明らかなように、本発明に係るスクリーン印刷用治具の製造方法及びスクリーン印刷用治具によれば、第1の接着剤外表面,及びこの外表面から所定の深さにまで、耐水性,耐溶剤性に優れた第2の接着剤を配設する構成を実現することができる。従って、第1の接着剤と第2の接着剤との接合を高強度にすることができ、治具使用時や洗浄時の擦れに対しても、第2の接着剤の剥離発生を抑制することができるため、耐水性,耐溶剤性に優れたスクリーン印刷用治具を長期に渡って維持することができる。
また、前記治具に直接接する材料を延展性に優れる第1の接着剤とすることができ、治具を超音波洗浄する際に治具自体に作用する振動に起因した第1の接着剤の前記治具からの剥離発生を抑制することができる。従って、この第1の接着剤の剥離発生抑制効果と、前述した第2の接着剤の剥離発生抑制効果とにより、耐水性,耐溶剤性に優れたスクリーン印刷用治具を更に長期に渡って維持することができる。
さらに、形成するスクリーン印刷用治具間で、第1の接着剤の硬化状態を容易に略一定に再現することができるようになり、前記治具の量産品質を確保できる生産を実現することができる
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第一実施形態として示したスクリーン印刷用治具の概略平面図である。
【図2】図1に示すスクリーン印刷用治具のA―A線矢視断面図である。
【図3】図2に示す第1の接着剤と第2の接着剤との界面近傍の拡大断面図である。
【図4】本発明の第二実施形態として示したスクリーン印刷用治具の断面図ある。
【符号の説明】
10 コンビネーションマスク(スクリーン印刷用治具)
11 版枠
12 保持シート
13 スクリーン
13a 画像形成部
14 第1の接着剤
14a 第1の分子
15 第2の接着剤
15a 第2の分子
【発明の属する技術分野】
本発明は、スクリーン印刷に用いられるスクリーン印刷用治具の製造方法及びスクリーン印刷用治具に係り、特に、耐水性,耐溶剤性に優れるスクリーン印刷用治具の製造方法及びスクリーン印刷用治具に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
一般に、スクリーン印刷に供されるスクリーン印刷用治具には、主として、いわゆる直張マスクと、コンビネーションマスクとがある。
前者は、四角形状の版枠と、例えばポリエステル系合成繊維,又はステンレス等の金属繊維からなるとともに,中央部に画像形成部を有するスクリーンとを備え、このスクリーンは版枠の内側に緊張した状態で接合された構成となっている。後者は、四角形状の版枠と、中央部に開口部が形成されるとともに,例えばポリエステル系合成繊維,又はステンレス等の金属繊維からなる保持シートと、中央部に画像形成部を有するスクリーンとを備え、保持シートは版枠の内側に緊張した状態で接合され、スクリーンは版枠の下面側から保持シートの前記開口部を閉じるようにして保持シートに接合された構成となっている。
【0003】
このように構成された前記各マスクにおいては、版枠と保持シート又はスクリーン,及び保持シートとスクリーンとの各接合をゴム系接着剤,エポキシ系接着剤,又はウレタン系接着剤等により行っている。ここで、スクリーン印刷用治具は、印刷に際し、各種溶剤を含有したペースト等をスキージにより擦られながら用いられ、更に印刷後、前記各マスクに付着したペースト等を、各種有機溶剤等を用いた超音波等により洗浄除去され再使用されている。このため、前記接着剤の劣化は著しく前記各接合に対する耐久性が低いという問題があり、メンテナンス性の低下,生産効率の低下を招いていた。
【0004】
この問題を解決する手段として、前記接着剤を2層の重層構造とする構成,及びその製造方法が提案されている(例えば特許文献1参照)。すなわち、スクリーンの周縁部に第1の接着剤(ゴム系接着剤,エポキシ系接着剤,又はウレタン系接着剤)を塗布して、マスク部材を軟接着し、次いで第1の接着剤が乾燥固化する前にその上から第1の接着剤と化学反応する第2の接着剤(シアノアクリレート系,エポキシ系接着剤,又はUV硬化型接着剤)を重層塗布する方法である。これにより、第1の接着剤と第2の接着剤との化学反応により、耐水性,耐溶剤性に優れた接着剤層を形成することができるというものである。
【0005】
【特許文献1】
特開平09−99538号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、前記従来のスクリーン印刷用治具の製造方法によれば、軟硬化状態にある第1の接着剤の外表面に、第1の接着剤と化学反応する第2の接着剤を塗布し、化学反応を生じさせるため、この化学反応により得られた接着剤層の材質等の仕様,例えば耐水性,耐溶剤性等を安定させて量産する,すなわち量産品質を確保することが困難であるという問題があった。すなわち、前述したように化学反応により接着剤層を形成するため、第1の接着剤の硬化状態により、形成される接着剤層の前記仕様が略決定されることになるが、一般に、接着剤の硬化状態は硬化反応開始からの時間が一定でも、形成時の温度,湿度等により大きく変化する。従って、前述した量産品質を確保するためには、形成時の温度,湿度等を管理し、これに基づいて第2の接着剤を塗布する時間(タイミング)を変化させる必要があるが、実際の生産においては、前記管理を行いつつ量産することは困難である。
【0007】
本発明はこのような事情を考慮してなされたものであり、耐水性,耐溶剤性に優れたスクリーン印刷用治具を容易且つ確実に形成することができるスクリーン印刷用治具の製造方法及びスクリーン印刷用治具を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決して、このような目的を達成するために、本発明は以下の手段を提案している。
請求項1に係る発明は、版枠の内側に緊張させた状態で保持シートを接合する保持シート接合工程と、前記保持シートに、画像形成部を有するスクリーンを接合するスクリーン接合工程とを有するスクリーン印刷用治具の製造方法であって、前記スクリーン接合工程は、前記スクリーンと前記保持シートとの接合部に第1の接着剤を塗布,硬化して、前記スクリーンと前記保持シートとを接合した後、前記第1の接着剤より小さい分子間距離の第2の接着剤を、前記硬化した第1の接着剤の外表面のうち少なくとも一部に塗布,硬化することを特徴とする。
【0009】
この発明に係るスクリーン印刷用治具の製造方法によれば、保持シートとスクリーンとを第1の接着剤を硬化することにより接合した後、この第1の接着剤外表面のうち少なくとも一部に、第1の接着剤より小さい分子間距離の第2の接着剤を塗布するので、この際、第2の接着剤の一部は、硬化した第1の接着剤の外表面から所定の深さまで浸透することになる。すなわち、硬化した第1の接着剤を組成する分子同士の間に、未硬化であるとともに第1の接着剤より小さい分子間距離の第2の接着剤を組成する分子が浸透することになる。ここで、例えば第1の接着剤をゴム系接着剤,エポキシ系接着剤,又はウレタン系接着剤等とし、第2の接着剤を第1の接着剤より分子間距離が小さいとともに、耐水性,耐溶剤性に優れたシアノアクリレート系接着剤等とした場合、第1の接着剤外表面,及びこの外表面から所定の深さにまで、耐水性,耐溶剤性に優れた第2の接着剤を配設する構成を実現できるようになる。従って、第1の接着剤と第2の接着剤との接合を高強度にすることができるようになり、治具使用時や洗浄時の擦れに対しても、第2の接着剤の剥離発生を抑制することができるようになり、耐水性,耐溶剤性に優れたスクリーン印刷用治具を長期に渡って維持することができるようになる。
また、第1の接着剤,及び第2の接着剤を各々、前述した材料とした場合、第1の接着剤は、第2の接着剤より延展性に優れることになる。すなわち、スクリーンと保持シートとに直接接する材料を延展性に優れる第1の接着剤とすることになり、治具を超音波洗浄する際に治具自体に作用する振動に起因して、第1の接着剤がスクリーン及び保持シートから剥離することを抑制することになる。従って、この第1の接着剤の剥離発生抑制効果と、前述した第2の接着剤の剥離発生抑制効果とにより、耐水性,耐溶剤性に優れたスクリーン印刷用治具を更に長期に渡って維持することができるようになる。
さらに、第2の接着剤を第1の接着剤に塗布する際、第1の接着剤を硬化した状態で行うため、形成するスクリーン印刷用治具間で、第1の接着剤の硬化状態を容易に略一定に再現することができるようになる。これにより、形成する前記治具間で耐水性,耐溶剤性等の仕様を安定させることができるようになり、前記治具の量産品質を確保できる生産を実現できるようになる。
【0010】
請求項2に係る発明は、請求項1記載のスクリーン印刷用治具の製造方法において、前記保持シート接合工程は、前記版枠と前記保持シートとの接合部に第1の接着剤を塗布,硬化して、前記版枠と前記保持シートとを接合した後、前記第1の接着剤より小さい分子間距離の第2の接着剤を、前記硬化した第1の接着剤の外表面のうち少なくとも一部に塗布,硬化することを特徴とする。
【0011】
この発明に係るスクリーン印刷用治具の製造方法によれば、版枠と保持シートとを第1の接着剤を硬化することにより接合した後、この第1の接着剤外表面のうち少なくとも一部に、第1の接着剤より小さい分子間距離の第2の接着剤を塗布するので、前述した請求項1記載の発明と同様の作用を奏することになる。
【0012】
請求項3に係る発明は、版枠の内側に、画像形成部を有するスクリーンを、緊張させた状態で接合するスクリーン接合工程を有するスクリーン印刷用治具の製造方法であって、前記スクリーン接合工程は、前記版枠と前記スクリーンとの接合部に第1の接着剤を塗布,硬化して、前記版枠と前記スクリーンとを接合した後、前記第1の接着剤より小さい分子間距離の第2の接着剤を、前記硬化した第1の接着剤の外表面のうち少なくとも一部に塗布,硬化することを特徴とする。
【0013】
この発明に係るスクリーン印刷用治具の製造方法によれば、版枠とスクリーンとを第1の接着剤を硬化することにより接合した後、この第1の接着剤外表面のうち少なくとも一部に、第1の接着剤より小さい分子間距離の第2の接着剤を塗布するので、前述した請求項1記載の発明と同様の作用を奏することになる。
【0014】
請求項4に係る発明は、版枠と、該版枠の内側に緊張した状態で接合された保持シートと、該保持シートに接合されるとともに,画像形成部を有するスクリーンとを備えたスクリーン印刷用治具であって、前記版枠と前記保持シート,及び前記保持シートと前記スクリーンとのうち少なくとも一方は、第1の接着剤により接着接合され、該第1の接着剤の外表面のうち少なくとも一部には、前記第1の接着剤より小さい分子間距離の第2の接着剤が設けられ、該第2の接着剤の一部は、前記第1の接着剤に含有されていることを特徴とする。
【0015】
請求項5に係る発明は、版枠と、該版枠の内側に緊張した状態で接合されるとともに,画像形成部を有するスクリーンとを備えたスクリーン印刷用治具であって、前記版枠と前記スクリーンとは、第1の接着剤により接着接合され、該第1の接着剤の外表面のうち少なくとも一部には、前記第1の接着剤より小さい分子間距離の第2の接着剤が設けられ、該第2の接着剤の一部は、前記第1の接着剤に含有されていることを特徴とする。
【0016】
これらの発明に係るスクリーン印刷用治具によれば、第1の接着剤外表面のうち少なくとも一部に設けられた第2の接着剤の一部が、第1の接着剤に含有して設けられているので、第1の接着剤と第2の接着剤との接合を高強度にすることができるようになる。また、第2の接着剤は、第1の接着剤より分子間距離が小さいため、前記含有した構成を確実に実現できるようになる。ここで、例えば第1の接着剤をゴム系接着剤,エポキシ系接着剤,又はウレタン系接着剤等とし、第2の接着剤を第1の接着剤より分子間距離が小さいとともに、耐水性,耐溶剤性に優れたシアノアクリレート系接着剤等とした場合、第1の接着剤外表面,及びこの外表面から所定の深さにまで、耐水性,耐溶剤性に優れた第2の接着剤が配設されることになる。従って、第2の接着剤は治具使用時や洗浄時の擦れに対しても第1の接着剤から剥離し難くなり、耐水性,耐溶剤性に優れたスクリーン印刷用治具を長期に渡って維持することができるようになる。
また、第1の接着剤,及び第2の接着剤を各々、前述した材料とした場合、第1の接着剤は、第2の接着剤より延展性に優れることになる。すなわち、前記治具に直接接する材料を延展性に優れる第1の接着剤とすることになり、治具を超音波洗浄する際に治具自体に作用する振動に起因して、第1の接着剤が前記治具から剥離することを抑制することになる。従って、この第1の接着剤の剥離発生抑制効果と、前述した第2の接着剤の剥離発生抑制効果とにより、耐水性,耐溶剤性に優れたスクリーン印刷用治具を更に長期に渡って維持することができるようになる。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係るスクリーン印刷用治具の製造方法及びスクリーン印刷用治具の第一実施形態を、図1から図3を参照しながら説明する。まず、スクリーン印刷用治具としてのコンビネーションマスクの概略構成を説明する。
図1において、コンビネーションマスク10は、4組の枠材11a〜11dにより四角形状に形成された版枠11と、版枠11の内側に緊張した状態で接着接合された保持シート12と、保持シート12に接着接合されるとともに,中央部に画像形成部13aを有するスクリーン13とを備えている。
保持シート12及びスクリーン13は、例えばポリエステル系合成繊維,又はステンレス等の金属繊維からなり、保持シート12の中央部には矩形状の開口部12aが設けられている。
【0018】
以上の構成において、図1,図2に示すように、保持シート12は、枠材11a〜11dにより形成される空間の開口面の一つを閉じるようにして版枠11に接着接合され、スクリーン13は、保持シート12の版枠11との接合面と反対側の面から保持シート12の開口部12aを閉じるようにして保持シート12に接着接合されている。すなわち、図2に示すように、コンビネーションマスク10の図示しないワークとの当接面側を下側とすると、下側から順に、スクリーン13,保持シート12,及び版枠11が設けられた構成となっている。
【0019】
ここで、図2に示すように、版枠11と保持シート12、及び保持シート12とスクリーン13とは各々、例えばゴム系接着剤,エポキシ系接着剤,又はウレタン系接着剤等からなる第1の接着剤14により接着接合されている。また、第1の接着剤14の外表面には、その略全域に渡って、第1の接着剤14より小さい分子間距離の第2の接着剤15(例えばシアノアクリレート系接着剤等)が設けられ、この第2の接着剤15の一部は、第1の接着剤14の外表面から所定の深さまで位置するように、第1の接着剤14に含有されて設けられている。すなわち、図3に示すように、第1の接着剤14の外表面から所定の深さまでは、第1の接着剤14を組成する第1の分子14a同士の間に、第2の接着剤15を組成する第2の分子15aが配設された構成となっている。
【0020】
以上のように構成されたコンビネーションマスク10の製造方法について説明する。まず、所定の間隔で開口部12aが複数形成された大形の保持シート表面に、この保持シートを緊張させた状態で、開口部12aが版枠11の開口面中央部に位置するように版枠11の下面を押付ける。この状態で保持シートの版枠11との当接面と反対側の面から第1の接着剤14を塗布,硬化して、版枠11と保持シートとを接着接合し、その後、版枠11の外方に位置する大形の保持シートを切落とす。
【0021】
次に、保持シート12より小形かつ開口部12aより大形であるとともに、中央部に画像形成部13aを有するスクリーン13を、保持シート12の開口部12aを覆うようにして、保持シート12の下面,すなわち保持シート12の版枠11との当接面と反対側の面に押圧する。この状態で、保持シート12とスクリーン13との重複部に第1の接着剤14を塗布,硬化して、保持シート12とスクリーン13とを接着接合する。
そして、版枠11と保持シート12、及び保持シート12とスクリーン13とを各々接着接合した,硬化した第1の接着剤14外表面に、第2の接着剤15を塗布,硬化することで、コンビネーションマスク10が形成される。
【0022】
以上説明したように、本第一実施形態によるスクリーン印刷用治具の製造方法によれば、版枠11と保持シート12,及び保持シート12とスクリーン13とを各々第1の接着剤14を硬化することにより接合した後、この第1の接着剤14外表面に第1の接着剤14より小さい分子間距離の第2の接着剤15を塗布するので、この際、第2の接着剤15は、硬化した第1の接着剤14の外表面から所定の深さまで浸透することになる。すなわち、図3に示すように、硬化した第1の接着剤14を組成する第1の分子14a同士の間に、未硬化であるとともに第1の接着剤14より小さい分子間距離の第2の接着剤15を組成する第2の分子15aの一部が浸透することになる。これにより、第1の接着剤14外表面及びこの外表面から所定の深さにまで、耐水性,耐溶剤性に優れた第2の接着剤15を配設する構成を実現することができる。従って、第1の接着剤14と第2の接着剤15との接合を高強度にすることができ、コンビネーションマスク10の使用時及び洗浄時の擦れに対しても、第2の接着剤15の剥離発生を抑制することができ、耐水性,耐溶剤性に優れたコンビネーションマスク10を長期に渡って維持することができる。
【0023】
また、第1の接着剤14,及び第2の接着剤15を各々、前述した材料とした場合、第1の接着剤14は、第2の接着剤15より延展性に優れることになる。すなわち、版枠11と保持シート12とスクリーン13とに直接接する材料を延展性に優れる第1の接着剤14とすることができ、コンビネーションマスク10を超音波洗浄する際に前記マスク10自体に作用する振動に起因して、第1の接着剤14が前記各部11〜13から剥離することを抑制することができる。従って、この第1の接着剤14の剥離発生抑制効果と、前述した第2の接着剤15の剥離発生抑制効果とにより、耐水性,耐溶剤性に優れたコンビネーションマスク10を更に長期に渡って維持することができる。
【0024】
さらに、第2の接着剤15の第1の接着剤14外表面への塗布を、第1の接着剤14が硬化した後に行うため、形成するコンビネーションマスク10間で、第1の接着剤14の硬化状態を容易に略一定に再現することができる。これにより、形成するコンビネーションマスク10間で耐水性,耐溶剤性等の品質を安定させることができ、コンビネーションマスク10の量産品質を確保できる生産を実現することができる。
【0025】
なお、本発明は前記第一実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。例えば、版枠11と保持シート12、及び保持シート12とスクリーン13との各接続部双方に第1の接着剤14,第2の接着剤15を配設した構成を示したが、どちらか一方のみであってもよい。また、前記第一実施形態においては、コンビネーションマスクの構成を示したが、図4に示すように、版枠11の下面にスクリーン13を直接接着接合した,いわゆる直張りマスクにも適用可能である。
【0026】
【発明の効果】
以上の説明から明らかなように、本発明に係るスクリーン印刷用治具の製造方法及びスクリーン印刷用治具によれば、第1の接着剤外表面,及びこの外表面から所定の深さにまで、耐水性,耐溶剤性に優れた第2の接着剤を配設する構成を実現することができる。従って、第1の接着剤と第2の接着剤との接合を高強度にすることができ、治具使用時や洗浄時の擦れに対しても、第2の接着剤の剥離発生を抑制することができるため、耐水性,耐溶剤性に優れたスクリーン印刷用治具を長期に渡って維持することができる。
また、前記治具に直接接する材料を延展性に優れる第1の接着剤とすることができ、治具を超音波洗浄する際に治具自体に作用する振動に起因した第1の接着剤の前記治具からの剥離発生を抑制することができる。従って、この第1の接着剤の剥離発生抑制効果と、前述した第2の接着剤の剥離発生抑制効果とにより、耐水性,耐溶剤性に優れたスクリーン印刷用治具を更に長期に渡って維持することができる。
さらに、形成するスクリーン印刷用治具間で、第1の接着剤の硬化状態を容易に略一定に再現することができるようになり、前記治具の量産品質を確保できる生産を実現することができる
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第一実施形態として示したスクリーン印刷用治具の概略平面図である。
【図2】図1に示すスクリーン印刷用治具のA―A線矢視断面図である。
【図3】図2に示す第1の接着剤と第2の接着剤との界面近傍の拡大断面図である。
【図4】本発明の第二実施形態として示したスクリーン印刷用治具の断面図ある。
【符号の説明】
10 コンビネーションマスク(スクリーン印刷用治具)
11 版枠
12 保持シート
13 スクリーン
13a 画像形成部
14 第1の接着剤
14a 第1の分子
15 第2の接着剤
15a 第2の分子
Claims (5)
- 版枠の内側に緊張させた状態で保持シートを接合する保持シート接合工程と、
前記保持シートに、画像形成部を有するスクリーンを接合するスクリーン接合工程とを有するスクリーン印刷用治具の製造方法であって、
前記スクリーン接合工程は、前記スクリーンと前記保持シートとの接合部に第1の接着剤を塗布,硬化して、前記スクリーンと前記保持シートとを接合した後、
該第1の接着剤より小さい分子間距離の第2の接着剤を、前記硬化した第1の接着剤の外表面のうち少なくとも一部に塗布,硬化することを特徴とするスクリーン印刷用治具の製造方法。 - 請求項1記載のスクリーン印刷用治具の製造方法において、
前記保持シート接合工程は、前記版枠と前記保持シートとの接合部に第1の接着剤を塗布,硬化して、前記版枠と前記保持シートとを接合した後、
前記第1の接着剤より小さい分子間距離の第2の接着剤を、前記硬化した第1の接着剤の外表面のうち少なくとも一部に塗布,硬化することを特徴とするスクリーン印刷用治具の製造方法。 - 版枠の内側に、画像形成部を有するスクリーンを、緊張させた状態で接合するスクリーン接合工程を有するスクリーン印刷用治具の製造方法であって、
前記スクリーン接合工程は、前記版枠と前記スクリーンとの接合部に第1の接着剤を塗布,硬化して、前記版枠と前記スクリーンとを接合した後、
前記第1の接着剤より小さい分子間距離の第2の接着剤を、前記硬化した第1の接着剤の外表面のうち少なくとも一部に塗布,硬化することを特徴とするスクリーン印刷用治具の製造方法。 - 版枠と、該版枠の内側に緊張した状態で接合された保持シートと、該保持シートに接合されるとともに,画像形成部を有するスクリーンとを備えたスクリーン印刷用治具であって、
前記版枠と前記保持シート,及び前記保持シートと前記スクリーンとのうち少なくとも一方は、第1の接着剤により接着接合され、
該第1の接着剤の外表面のうち少なくとも一部には、前記第1の接着剤より小さい分子間距離の第2の接着剤が設けられ、
該第2の接着剤の一部は、前記第1の接着剤に含有されていることを特徴とするスクリーン印刷用治具。 - 版枠と、該版枠の内側に緊張した状態で接合されるとともに,画像形成部を有するスクリーンとを備えたスクリーン印刷用治具であって、
前記版枠と前記スクリーンとは、第1の接着剤により接着接合され、
該第1の接着剤の外表面のうち少なくとも一部には、前記第1の接着剤より小さい分子間距離の第2の接着剤が設けられ、
該第2の接着剤の一部は、前記第1の接着剤に含有されていることを特徴とするスクリーン印刷用治具。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2003067952A JP2004276305A (ja) | 2003-03-13 | 2003-03-13 | スクリーン印刷用治具の製造方法及びスクリーン印刷用治具 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2003067952A JP2004276305A (ja) | 2003-03-13 | 2003-03-13 | スクリーン印刷用治具の製造方法及びスクリーン印刷用治具 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2004276305A true JP2004276305A (ja) | 2004-10-07 |
Family
ID=33285414
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2003067952A Pending JP2004276305A (ja) | 2003-03-13 | 2003-03-13 | スクリーン印刷用治具の製造方法及びスクリーン印刷用治具 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2004276305A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN102398410A (zh) * | 2011-11-23 | 2012-04-04 | 昆山明创电子科技有限公司 | 耐清洗封胶网板 |
-
2003
- 2003-03-13 JP JP2003067952A patent/JP2004276305A/ja active Pending
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN102398410A (zh) * | 2011-11-23 | 2012-04-04 | 昆山明创电子科技有限公司 | 耐清洗封胶网板 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
TW200806427A (en) | Retainer ring of double-layer structure | |
JP2004276305A (ja) | スクリーン印刷用治具の製造方法及びスクリーン印刷用治具 | |
JPH11210336A (ja) | 表装材の貼付方法 | |
JP2009073943A5 (ja) | ||
JP6853098B2 (ja) | スクリーン印刷版及びスクリーン印刷版の製造方法 | |
JP3155950U (ja) | アルミニウムテープ付着方法を改善した溶接支持具 | |
JP2008216780A (ja) | 表示素子の製造方法 | |
JP2007121683A (ja) | 液晶表示パネル複合基板と液晶表示パネルの製造方法 | |
JP2010105207A (ja) | スクリーン印刷版およびその製造方法 | |
JP6300495B2 (ja) | 円筒状メッシュシリンダ、及び円筒状メッシュシリンダの製造方法 | |
KR100227917B1 (ko) | 플라스틱판을 구비한 인쇄마스크와 그 제조방법 | |
JP4303824B2 (ja) | マットの製造方法 | |
JP2008295633A (ja) | 加工用ブラシ | |
JP2006103049A (ja) | コンビネーションスクリーン製版の製造方法およびコンビネーションスクリーンメッシュ | |
JPH09207064A (ja) | 両面研磨機用キャリアおよびこれを用いて被加工物の両面を研磨する方法 | |
JP3187379B2 (ja) | 坑口シール装置 | |
JPH0713965Y2 (ja) | 研磨パッド用エア抜き治具 | |
JP2822173B2 (ja) | シルク製版用紗張り枠体及びこれに使用される紗張り切断具 | |
JPH0469246A (ja) | スクリーン印刷用版枠に於ける版枠と紗との固定方法 | |
JP2009072813A5 (ja) | ||
JP2003292348A (ja) | 平板表示素子の基板合着方法 | |
US7897006B2 (en) | Method of adhering a material to another material and product produced by the method | |
JPH05232689A (ja) | ペリクル接着方法、ペリクル及びマスク | |
JPH07175206A (ja) | ペリクル | |
JPH09232720A (ja) | 印刷用マスク及びその製造方法 |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Effective date: 20041102 Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 |
|
A02 | Decision of refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02 Effective date: 20050405 |