JP2004276043A - 多段式鍛造装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】円柱形状のワークの一端部に多段階の据え込み鍛造により同じフランジ部分を成形し且つ軸方向の長さのみが異なる例えば複数種のリヤアクスルシャフトを成形する際に、少ない工数および時間で容易に対応し得る多段式鍛造装置を提供する。
【解決手段】ワークW0〜W3の一端部を軸方向に沿って据え込むスライド可能なパンチ2,36,51,61と、係るパンチ2などと共に上記ワークW0〜W3を据え込み且つ当該ワークW0〜W3を貫通させる挿通孔16,46,59,69を形成する金型12,40,54,64と、係る金型12などの他端側で上記パンチ2などの反対側に位置し上記ワークW0などを貫通させる貫通孔24を形成するガイド部20と、係る貫通孔24内またはその直前の位置に進退可能で且つ先端の位置が調整可能なストッパピン25と、からなる組を複数列有する、多段式鍛造装置。
【選択図】 図3
【解決手段】ワークW0〜W3の一端部を軸方向に沿って据え込むスライド可能なパンチ2,36,51,61と、係るパンチ2などと共に上記ワークW0〜W3を据え込み且つ当該ワークW0〜W3を貫通させる挿通孔16,46,59,69を形成する金型12,40,54,64と、係る金型12などの他端側で上記パンチ2などの反対側に位置し上記ワークW0などを貫通させる貫通孔24を形成するガイド部20と、係る貫通孔24内またはその直前の位置に進退可能で且つ先端の位置が調整可能なストッパピン25と、からなる組を複数列有する、多段式鍛造装置。
【選択図】 図3
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、複数の工程(多段階)を通じて据え込み鍛造することにより、棒鋼などの一端部に径方向に拡径したフランジ部分を一体に有する例えば車両用リヤアクスルシャフトなどを成形するための多段式鍛造装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
車両用リヤアスクルシャフトは、所要長さを有する棒鋼の一端寄り部分を加熱した状態(熱間)で、多段階の据え込み鍛造を施すことにより成形されている。
例えば、図8(A)に示すように、構造用鋼からなる棒鋼W0の一端(左端)寄り部分を図示しない高周波コイル内に挿入し、予め約1200℃に加熱Hした後、第1工程用の据え込み鍛造装置に搬入している。係る鍛造装置は、パンチ110、金型114、ストッパ120、およびグリップG1,G2を備えている。パンチ110は、図8(A)に示すように、ほぼ円筒形の本体112に軸方向に沿ったテーパ孔111を有し、その細径側の端部を調整ピン113で塞いでいる。
【0003】
また、金型114は、断面半円形で接離可能な一対の受型115,116からなり、図8(C)に示すように、両者の型合わせ面には断面半円形の凹溝118,119により形成される断面円形の貫通孔が軸方向沿って貫通し、パンチ110側には係る貫通孔と同心の凹部117が形成されている。
更に、ストッパ120は、図8(A)乃至(C)に示すように、断面半円形の凹溝123,124を有する接離可能な一対の半円筒体121,122と、これらの内側に配置された円柱形のストッパピン125と、半円筒体121と一体の端部抑え板126とからなる。金型114とストッパ120との間には、棒鋼W0の非加熱部分を両側から挟持し且つ開閉可能なグリップG1,G2が配置される。
【0004】
図8(A)に示すように、一端寄り部分を加熱Hされた棒鋼W0は、グリップG1,G2に挟持され、他端面をストッパ120のストッパピン125に当接し且つ金型114の貫通孔を貫通した状態で、その一端部側にパンチ110が接近する。図8(B)に示すように、パンチ110は前進し、そのテーパ孔11を棒鋼W0の一端寄り部分に強制嵌合して据え込み鍛造するため、棒鋼W0は、一端側に緩い傾斜の太径部w1を成形したワークW1となる。次に、図8(C)中の矢印で示すように、パンチ110は当初の位置に後退し、且つ金型114が受型115,116に、ストッパ120が筒体121,122にそれぞれ分離する。係る状態で、ワークW1は、グリップG1,G2に挟持されつつ、図8(C)の奥行き方向に隣接して位置する第2〜第4工程用の鍛造装置に順次送られ、上記太径部w1を拡径させたフランジ形状に成形された後、その周縁をバリ抜きされる。
【0005】
【発明が解決すべき課題】
ところで、前記フランジ部分が同一形状および同一寸法で且つ軸方向の全長が異なるリヤアクスルシャフトを鍛造する場合がある。この場合、図8(C)で例示するように、第1工程用の鍛造装置における金型114の受型115,116を分離し、且つストッパ120を半円筒体121,122を開放した状態で、軸方向の長さが異なる新たなストッパピン125に取り替えると共に、図示しない第2〜第4工程用の鍛造装置でも同様な操作が必要となる。この結果、軸方向の長さのみが異なるリヤアクスルシャフトを鍛造成形する際に、多大な工数および時間を要するため、生産性を低下させてしまう、という問題があった。
本発明は、以上に説明した従来の技術の問題点を解決し、円柱形状のワークの一端部に多段階の据え込み鍛造にて同じフランジ部分を成形し且つ軸方向の長さのみが異なる例えば複数種のリヤアクスルシャフトを成形する際に、少ない工数および時間で容易に対応し得る多段式鍛造装置を提供する、ことを課題とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上記課題を解決するため、円柱形状のワークにおける鍛造成形されない側の端面に当接してこれを位置決めするストッパピンの位置を予め調整可能とする、ことに着想して成されたものである。
即ち、本発明の多段式鍛造装置(請求項1)は、円柱形状を呈するワークの一端部をその軸方向に沿って据え込むスライド可能なパンチと、係るパンチと共に上記ワークの一端部を据え込み且つ当該ワークを貫通させる挿通孔を形成する金型と、係る金型の他端側で上記パンチと反対側に位置し上記ワークの他端部を貫通させる貫通孔を形成するガイド部と、係るガイド部の上記貫通孔内またはその直前の位置に進退可能で且つ先端の位置が調整可能なストッパピンと、からなる組を複数列有する、ことを特徴とする。
【0007】
これによれば、金型を挟んで上記パンチと反対側に位置し且つ円柱形状のワークの他端部を貫通させるガイド部の貫通孔内またはその直前の位置に、先端の位置を調整可能に進退させたストッパピンが配置される。この結果、一端部に同じフランジ部分を成形し且つ軸方向の長さのみが異なる例えば複数種類の車両用リヤアクスルシャフト(鍛造製品)を鍛造成形する際などに、少ない工数および時間で容易に対応することができる。従って、フレキシブルな熱間(温間)高速鍛造成形が可能となるため、生産性を容易に高めることができる。
【0008】
また、本発明には、前記ガイド部は、前記貫通孔の径方向に開放可能な一対の半円筒体からなり、これらは固定部および可動部に個別に支持され、係る一対の半円筒体を閉じた際にこれらの間に形成される上記貫通孔内またはその一端付近に、前記ストッパピンの先端が進入または位置する、多段式鍛造装置(請求項2)も含まれる。これによれば、複数組の鍛造装置におけるパンチおよび金型により一端部を順次据え込み鍛造されるワークを、上記ストッパピンによりその軸方向の長さを規制しつつ精度良く鍛造成形することができる。
【0009】
更に、本発明には、前記複数のストッパピンは、その基端を単一のホルダに固定されると共に、係るホルダは、前記ガイド部の貫通孔に対して送りネジ機構または油圧シリンダにより進退可能とされている、多段式鍛造装置(請求項3)も含まれる。これによれば、複数組の鍛造装置におけるガイド部の貫通孔内またはその付近に、先端の位置を揃えた複数のストッパピンを個別に精度良く配置できるため、成形される鍛造製品の軸方向の長さを正確に揃えることが可能となる。
【0010】
加えて、本発明には、前記送りネジ機構は、前記複数のストッパピンの基端を固定するホルダに一端を固定した雄ネジ棒と、係る雄ネジ棒とネジ結合するナット体とからなり、係るナット体はスタンドに回転自在で抜け出し不能に支持され且つモータにより回転可能とされている、多段式鍛造装置(請求項4)も含まれる。これによれば、前記パンチおよび金型により一端部を同時に据え込み鍛造される複数のワークを、複数組の鍛造装置において個別に軸方向の長さを所定の長さにして一層精度良く鍛造成形することができる。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下において、本発明の実施に好適な形態を図面と共に説明する。
図1は、棒鋼を多段階の据え込み鍛造により車両用リヤアクスルシャフトに成型する工程を示す。図1(A),(a)に示すように、断面円形で且つ円柱形を呈する棒鋼(例えば、構造用鋼)であるワークW0は、その左端(一端)寄り部分を図示しない誘導コイルの内側に挿入され、図1(B)に示すように、約1200℃に予め加熱Hされる。係るワークW0は、後述する本発明の多段式鍛造装置を用いる第1工程〜第4工程により、左端部を軸方向に沿って据え込み鍛造される。
【0012】
即ち、図1(C)乃至(E)に示すように、緩くて長い傾斜の太径部w1とアールrとを有するワークW1、やや短かい傾斜の太径部w2とアールRとを有するワークW2、および急峻で短い傾斜の太径部w3とアールRと大径部Pとを有するワークW3に順次据え込み鍛造される。そして、本発明の多段式鍛造装置を用いる第4工程により、図1(F)に示すように、円盤状で且つ左端面の半球形状の凹部gを含む太径部w4と薄肉で径方向にリング状に突出するフランジfと大径部Pと有するほぼ最終製品の形状に近いワークW4が得られる。尚、上記フランジfの周縁に図示しないバリがある場合には、更にバリ抜き工程が行われる。
【0013】
図2(A),(B)は、前記ワークW0を据え込み鍛造する第1工程に用いる鍛造装置1の異なる角度における断面を示す。尚、便宜上図2(A)を垂直断面図、図2(B)を水平断面図とするが、これらは相対的に90度ずれた位置にある。また、係る鍛造装置1および後述する第2工程以降に用いる鍛造装置34などを複数組並列に配置したものが、本発明の多段式鍛造装置である。
鍛造装置1は、図2(A),(B)に示すように、ワークW0の左端(一端)部を据え込むように、その軸方向に沿ってスライド可能なパンチ2と、係るパンチ2と共に据え込み且つワークW0を貫通させる断面が円形の挿通孔16を形成する金型12と、係る金型12の他端部でパンチ2と反対側に位置するガイド部20との組からなる。上記パンチ2は、ほぼ円筒形の本体3に軸方向に沿ったテーパ孔4を有し、その細径側(左端側)の端部を調整ピン5で塞がれている。
【0014】
また、金型12は、図2(B)に示すように、断面半円形で且つほぼ半円柱形の一対の受型13,14からなるからなる割型であり、これらは、断面半円形の凹溝15を対称に有し、且つパンチ2側にはその先端面が接近可能な半円形の凹部17を対称に有する。一対の凹溝15は、受型13,14を型合わせした際、図2(A)に示すように、断面円形の挿通孔16を形成し、一対の凹部17は、円形の凹部18を形成する。上記受型13,14は、鍛造装置1の固定部6と、挿通孔16の径方向に開放可能である鍛造装置1の可動部7とに個別に支持される。
固定部6と可動部7は、その内側にほぼ半円形のリブ6a,7aを有し、それらの内側に受型13,14を個別に支持している。更に、図2(B)に示すように、固定部6および可動部7の対向面の中間には、図示で前後方向に沿った断面ほぼ四角形の凹み部8,9が対称に位置し、可動部7を移動して上記受型13,14を型合わせした際、後述するように断面矩形のスペースspが形成される。
【0015】
加えて、図2(B)に示すように、金型12の他端側でパンチ2の反対側に位置する固定部6および可動部7の対向面の右側には、ガイド部20が位置し、これは断面半円形で且つ半円柱形の半円筒体21,22からなる。
半円筒体21,22には、径方向に開口する断面半円形の一対の凹溝23がそれぞれ対称に形成され、係る凹溝23は、可動部7を移動して、受型13と受型14とを型合わせした際、図2(A)に示すように、断面円形の貫通孔24を形成する。係る貫通孔24には、パンチ2と反対側から円柱形のストッパピン25が進退可能に進入し、その先端が貫通孔24中における所定の位置またはその直前の開口部付近の位置になるようホルダ27により位置調整される。
図2(A),(B)に示すように、ストッパピン25の基端26は、縦長のホルダ27に固定され、係るホルダ27は、後述する送りネジ機構などにより、図示で左右方向に沿って移動可能とされている。
【0016】
図2(B)に示すように、金型12の固定部6と可動部7とが面接触した際に形成されるスペースspには、一対のグリップ10からなるワークW0などの搬送手段が挿入される。係るグリップ10は、互いの対向面に断面半円形の凹溝11を図示の前後方向に沿って複数個ずつ有する金属製の長尺材である。
第1工程は、先ず、図2(B)中の垂直の矢印で示すように、可動部7が固定部6側に接近して金型12を型合わせする。これにより、一対のグリップ10に中間を挟まれたワークW0は、図2(A)に示すように、受型13,14により形成された挿通孔16を貫通し、且つその左端(一端)部をパンチ2側に向けて突出している。同時に、ワークW0の右端(他端)部はガイド部20の貫通孔24内に挿入され、その右端(他端)面はストッパピン25の先端面と接触している。
【0017】
係る状態で、図2(A)中の実線の矢印で示すように、パンチ2をワークW0の左端部寄りに接近するように前進させ、そのテーパ孔4を強制的に嵌合する。この際、パンチ2の先端(右端)面は、金型12の凹部18に嵌合して接近する。
その結果、図3(A),(B)に示すように、左端(一端)部寄りに緩く長い傾斜の太径部w1と小径のアールrとを有するワークW1が熱間据え込み鍛造で成形される。この際、ワークW1の他端面は、ガイド部20の貫通孔24内においてストッパピン25と当接するため、その軸方向の長さが所定の寸法に規制される。
次いで、図3(A),(B)中の一点鎖線の矢印で示すように、パンチ2は、ワークW1から離脱するように後退する。
第1工程の最後に、図3(B)中の二点差線の矢印で示すように、可動部7を固定部6から離脱させ、金型12を前記図2(B)に示したように受型13,14に型開きした後、一対のグリップ10により中間の軸部Sを掴まれたワークW1を、図示で前後方向に隣接する第2工程用の次述する鍛造装置34に搬送する。
【0018】
この間において、鍛造装置1に隣接する第2工程用の鍛造装置34では、先に成形されたワークW1が据え込み鍛造される。係る鍛造装置34は、図3(A)の下方に示すように、前記ワークW1の左端(一端)部の太径部w1を更に据え込むように、軸方向に沿ってスライド可能なパンチ36と、係るパンチ36と共に据え込み且つワークW1の軸部Sを貫通させる断面円形の挿通孔46を有する金型40とを含む。パンチ36は、ほぼ円柱形の本体37に軸方向に沿ったテーパ孔38を有し、その細径側の端部を調整ピン39で塞がれている。また、金型40は、前記固定部6に支持された受型42と前記可動部7に支持された受型44とからなる割型であって、これらを型合わせした際に上記挿通孔46とそのパンチ36側に位置するほぼラッパ形のアール部43とが形成される。
【0019】
更に、上記金型40の他端側には、図3(A)の下方に示すように、前記と同じ半円筒体21,22からなるガイド部20が配置され、その貫通孔24内にストッパピン25が進入している。係るガイド部20と上記受型42,44との間には、前記同様のスペースspが形成され、ワークW1,W2の軸部Sを掴む前記グリップ10が移動可能に進入する。尚、ストッパピン25は、その基端26をホルダ27に固定され、且つその先端は前記鍛造装置1のストッパピン25の先端と同じ位置に揃えられている。
第2工程は、図3(A)中の矢印で示すように、パンチ36を前進させ、そのテーパ孔38をワークW1の太径部w1に強制的に嵌合し、やや短かい傾斜の太径部w2と大径のアールRとを有するワークW2を熱間据え込み鍛造で成形する。
この際、ワークW2の他端面は、ガイド部20の貫通孔24内においてストッパピン25の先端に当接するため、その軸方向の長さが規制される。係るワークW2は、グリップ10により次述する第3工程用の鍛造装置50に搬送される。
【0020】
図4の上方は、本発明の多段式鍛造装置の第3工程に用いる鍛造装置50を示す。係る鍛造装置50は、前記ワークW2の左端(一端)部の太径部w2を更に据え込むように軸方向に沿ってスライド可能なパンチ51と、係るパンチ51と共に据え込み且つワークW2の軸部Sを貫通させる断面円形の挿通孔59を有する金型54とを含む。パンチ51は、図4の上方に示すように、円柱形の本体52と、その先端面に設けたほぼ円錐形の凹部53とを有する。
また、金型54は、前記固定部6に支持された受型56と前記可動部7に支持された受型57とからなる割型であって、これらを型合わせした際に上記挿通孔59と、上記パンチ51側に開口する断面円形で全体が円柱形の凹部58と、上記パンチ51側に位置するリング形の段部55とが形成されている。
【0021】
更に、図4の上方に示すように、金型54の他端側には、前記同様の半円筒体21,22からなるガイド部20が配置され、係るガイド部20と上記受型56,57との間には、前記同様のスペースspが形成され、ワークW2,W3の軸部Sを掴む前記グリップ10が移動可能に進入する。尚、ストッパピン25は、基端26をホルダ27に固定され、且つその先端は、前記鍛造装置1,34のストッパピン25と同じくガイド部20の貫通孔24内の所定位置に揃えられる。
第3工程は、図4の上方中の矢印で示すように、パンチ51を前進させ、その凹部53を前記ワークW2の太径部w2に強制的に嵌合し、且つ当該パンチ51の先端部を金型54の段部55に嵌合して、例えば急峻で短い傾斜の太径部w3とアールRと大径部Pとを有するワークW3を熱間据え込み鍛造で成形する。この際、ワークW3の他端面は、ガイド部20の貫通孔24内においてストッパピン25の先端に当接するため、その軸方向の長さが規制される。係るワークW3は、グリップ10により次述する第4工程用の鍛造装置60に搬送される。
【0022】
図4の下方は、本発明の多段式鍛造装置にて第4工程に用いる鍛造装置60を示す。係る鍛造装置60は、前記ワークW3の左端(一端)部の太径部w3を更に据え込むように軸方向に沿ってスライド可能なパンチ61と、係るパンチ61と共に据え込み且つ前記ワークW3の軸部Sを貫通させる断面円形の挿通孔69を形成する金型64とを含む。
上記パンチ61は、図4の下方に示すように、円柱形の本体61aと、その先端面に設けた円盤状の凹部62と、その中心部から半球形状に突出する凸部63とを有する。また、金型64は、前記固定部6に支持された受型65と前記可動部7に支持された受型66とからなる割型で、これらを型合わせした際に上記挿通孔69と、上記パンチ61側に開口する断面円形の凹部68と、パンチ61側に位置する丸いリング形で且つ同心の段部67,67aが形成されている。
【0023】
更に、図4の下方に示すように、金型64の他端側には、前記と同様の半円筒体21,22からなるガイド部20が配置され、その貫通孔24内にストッパピン25が進入している。係るガイド部20と上記受型66,67との間には、前記同様のスペースspが形成され、ワークW3,W4の軸部Sを掴む前記グリップ10が移動可能に進入する。尚、ストッパピン25も、その基端26をホルダ27に固定され、且つその先端は、前記鍛造装置1,34,50のストッパピン25と同じく貫通孔24内における所定の位置に揃えられている。
第4工程は、図4の下方中の矢印で示すように、パンチ61を前進させ、その凹部62および凸部63を前記ワークW3の太径部w3に強制的に押圧し、且つ当該パンチ61の先端部の周辺を段部67aに嵌合する。その結果、円盤状で且つ左端面の半球状の凹部gを含む太径部w4、薄肉で径方向にリング状に突出するフランジf、アールR、および大径部Pを有するワークW4を熱間据え込み鍛造で成形できる。この際、ワークW4の他端面は、ガイド部20の貫通孔24内でストッパピン25の先端に当接するため、その軸方向の長さが規制される。
【0024】
尚、上記フランジfの周囲に図示しないバリがある場合には、更に後述するバリ抜き工程(バリ抜き装置95)を施した後、上記ワークW4は、車両用リヤアスクルシャフトの最終形状に近似した鍛造製品となる。また、以上のような第1工程〜第4工程は、前記鍛造装置1,34,50,60において平行して行われる。更に、第2工程〜第4工程で、ワークW2〜W4は、前記素材の再結晶温度以上の熱間、または少なくとも再結晶温度付近の温間域で据え込み鍛造される。
【0025】
図5は、第1工程〜第4工程用の鍛造装置1,34,50,60において、それぞれのストッパピン25を各ガイド部20の貫通孔24内で進退可能に位置調整する調整装置70を示す。尚、図5中における符合95は、前記ワークW4のフランジfの周縁のバリを除去するバリ抜き装置を示す。
調整装置70は、図5に示すように、複数のストッパピン25を固定した前記ホルダ27、係るホルダ27に一端を固定したガイドロッド74、ホルダ27に一端を固定した雄ネジ棒76,82、および上記ガイドロッド74を貫通させ且つ上記雄ネジ棒76,82にネジ結合するナット体78,83を回転自在に支持するスタンド73を備えている。
【0026】
図5に示すように、ホルダ27は、その基部28をベース71のガイド溝72にスライド可能に挿入されている。また、係るホルダ27に一端を固定したガイドロッド74は、スタンド73の通し孔75をスライド自在に貫通している。更に、スタンド73に穿孔した支持孔77,81には、ナット体78,83が回転自在で且つ当該スタンド73から抜け出し不能に支持されている。
係るナット体78,83は、その内側に雄ネジ棒76,82の周面に刻設された図示しない雄ネジにネジ結合する雌ネジ79,84を刻設していると共に、図5における右側の端部にギア80,85を有する。尚、雄ネジ棒76,82およびナット体78,83は、本発明の送りネジ機構を構成する。
図5に示すように、スタンド73の右側に延びるベース87上には、ジョイント92を介して連結されたモータ90および減速機88が位置する。係る減速機88の回転軸に固定されたギア86は、下方のナット体83のギア85と噛み合い、係るギア85は、スタンド73に回転軸94が支持された中継ギア93を介して上方のナット体78のギア80と噛み合っている。
【0027】
図5に示すように、モータ90を駆動し且つ減速機88によって所定の回転数で回転するギア86により、これと噛み合うギア85を有するナット体83がスタンド73の支持孔81内で回転する。同時に、上記ギア85に噛み合う中継ギア93を介して、これと噛み合うギア80を有するナット体78がスタンド73の支持孔77内で回転する。ナット体78,83が回転すると、それらの雌ネジ79,94にネジ結合する雄ネジ棒76,82は、図5で左右方向に移動する。
これに応じて、ホルダ27もガイド溝72に沿って左右方向に移動する。この結果、例えば図6に示すように、雄ネジ棒76,82が左側に移動すると、ホルダ27と共に複数のストッパピン25も左側に移動し、鍛造装置1,34,50,60の各ガイド部20の各貫通孔24内に個別に進入して位置調整される。
【0028】
逆に、図6の状態で雄ネジ棒76,82が右側に移動すると、ホルダ27と共に複数のストッパピン25も右側に移動し、図5に示したように、各ストッパピン25の先端は、鍛造装置1,34,50,60の各ガイド部20の貫通孔24における開口部付近の位置、またはその直前の位置に退行して調整される。
因みに、構造用鋼からなりバリ抜き工程後の前記ワークW4の軸方向の全長さが600〜630mmで且つ軸部Sの直径が30〜50mmである場合、図5および図6に示す各ストッパピン25の進退距離(ストローク)は、最大で約100mm程度にすることが可能である。即ち、前記フランジfなどの形状および寸法が同じで且つ軸部Sの長さのみが異なる複数種のリヤアクスルシャフトを、前記調整装置70によるホルダ27と複数のストッパピン25の位置調整により、少ない工数および時間によってほぼ連続的且つ容易に成形することが可能となる。
【0029】
図7は、異なる形態の調整装置100を示す。調整装置100は、図7に示すように、複数のストッパピン25を固定したホルダ27、係るホルダ27に一端を固定し且つスタンド73を貫通するガイドロッド101,102、および上記ホルダ27にピントンロッド106,108の先端を固定し且つスタンド73に支持された油圧シリンダ104,105を備えている。ホルダ27の基部28は、前記同様にベース71のガイド溝72に沿ってスライド可能とされている。尚、ベース71の端部にスタンド73が垂直に固定されている。
図7に示すように、ガイドロッド101,102は、スタンド73に設けた通し孔73aを挿通自在に貫通する。また、油圧シリンダ104,105は、スタンド73の通し孔73bにシリンダケースを固定され、且つ図7においてピストンロッド106,108は最も縮んだ位置にあり、それぞれのピストン107,109も各シリンダケースの右端寄りに位置している。
【0030】
ここで、油圧シリンダ104,105の各シリンダケース内におけるピストン107,109の右側に図示しない油圧源から圧力油を供給すると、係るピストン107,109およびピストンロッド106,108は、図7で左側に移動・伸長する。これに応じて、ホルダ27および複数のストッパピン25は、図7中の矢印で示すように、左側に移動し、鍛造装置1,34,50,60の各ガイド部20の各貫通孔24内に個別に進入して位置調整される。
一方、油圧シリンダ104,105を逆向きに操作することにより、各ガイド部20の各貫通孔24内に進入していた各ストッパピン25を、図7に示すように、ホルダ27と共に各貫通孔24の直前の位置に調整することができる。
従って、油圧シリンダ104,105を含む調整装置100によっても、前記フランジfなどの形状および寸法が同じで且つ軸部Sの長さのみが異なる複数種類のリヤアクスルシャフトを、少ない工数および時間によってほぼ連続的且つ容易に製造することが可能となる。
【0031】
本発明は、以上において説明した各形態に限定されるものではない。
例えば、前記第1工程〜第4工程の鍛造装置1,34,50,60における各ストッパピン25を単一のホルダ27により同じ位置に調整する形態に限らず、例えば第1,第2工程の鍛造装置1,34のストッパピン25と、第3,第4工程の鍛造装置50,60のストッパピン25との2組で、異なる位置に調整することも可能である。あるいは、第1工程〜第4工程の鍛造装置1,34,50,60における各ストッパピン25を、それぞれ個別の位置に調整しても良い。
また、複数あるいは単数のストッパピン25の位置を調整する手段には、前記調整装置70などに限らず、リンク機構やクランク機構などを適用することも可能である。
更に、第1工程〜第4工程に用いる前記鍛造装置1〜60は、垂直方向または水平方向に互いに隣接して配置した多段式鍛造装置とした形態が含まれる。
尚、本発明の多段式鍛造装置は、棒状のワークW0の一端部を複数工程で据え込み鍛造するもので且つグリップ(ワーク搬送手段)10で掴むことが可能であれば、前記リヤアスクルシャフト以外の製品にも適用可能である。
【0032】
【発明の効果】
本発明の多段式鍛造装置(請求項1)によれば、ワークを貫通させるガイド部の貫通孔内またはその直前の位置に、先端の位置を調整可能に進退させたストッパピンが配置されるため、一端部に同じフランジ部分を成形し且つ軸方向の長さのみが異なる例えば複数種類のリヤアクスルシャフトのような鍛造製品を成形する際、少ない工数および時間により容易に対応可能となる。
また、請求項2の多段式鍛造装置によれば、複数組の鍛造装置におけるパンチおよび金型により一端部を順次据え込み鍛造されるワークを、前記ストッパピンによりその軸方向の長さを規制しつつ精度良く鍛造成形できる。
【0033】
更に、請求項3の多段式鍛造装置によれば、複数組の鍛造装置におけるガイド部の貫通孔内またはその直前の位置に、先端の位置を揃えた複数のストッパピンを個別に精度良く配置できるため、成形される鍛造製品の軸方向の長さを正確に揃えることができる。
加えて、請求項4の多段式鍛造装置によれば、前記パンチおよび金型により一端部を同時に据え込み鍛造される複数のワークを、複数組の鍛造装置において軸方向の長さを所定の長さにして一層精度良く鍛造成形できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】(A)〜(F)は本発明の多段式鍛造装置により成形されるワークの形状を示す概略側面図、(a)は(A)中のa−a線に沿った矢視における断面図。
【図2】(A),(B)は本発明の多段式鍛造装置における第1工程で用いる鍛造装置を示す異なる角度の断面図。
【図3】(A),(B)は上記鍛造装置などを用いた第1,2工程を示す異なる角度の断面図。
【図4】本発明の多段式鍛造装置を用いる第3,4工程を示す概略断面図。
【図5】本発明の多段式鍛造装置における第1〜第4工程で用いる各鍛造装置におけるストッパピンの位置調整の態様を示す概略図。
【図6】前記ストッパピンの位置を調整した状態を示す図5と同様な概略図。
【図7】ストッパピンの位置調整用の異なる調整形態を示す上記と同様な概略図。
【図8】(A)〜(C)は従来の多段式鍛造装置における第1工程を示す概略断面図。
【符号の説明】
1,34,50,60……鍛造装置
2,36,51,61……パンチ
12,40,54,64…金型
16,46,59,69…挿通孔
20…………………………ガイド部
21,22…………………半円筒体
24…………………………貫通孔
25…………………………ストッパピン
26…………………………基端
27…………………………ホルダ
73…………………………スタンド
76,82…………………雄ネジ棒(送りネジ機構)
78,83…………………ナット体(送りネジ機構)
90…………………………モータ
101,102……………油圧シリンダ
W0〜W4…………………ワーク
【発明の属する技術分野】
本発明は、複数の工程(多段階)を通じて据え込み鍛造することにより、棒鋼などの一端部に径方向に拡径したフランジ部分を一体に有する例えば車両用リヤアクスルシャフトなどを成形するための多段式鍛造装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
車両用リヤアスクルシャフトは、所要長さを有する棒鋼の一端寄り部分を加熱した状態(熱間)で、多段階の据え込み鍛造を施すことにより成形されている。
例えば、図8(A)に示すように、構造用鋼からなる棒鋼W0の一端(左端)寄り部分を図示しない高周波コイル内に挿入し、予め約1200℃に加熱Hした後、第1工程用の据え込み鍛造装置に搬入している。係る鍛造装置は、パンチ110、金型114、ストッパ120、およびグリップG1,G2を備えている。パンチ110は、図8(A)に示すように、ほぼ円筒形の本体112に軸方向に沿ったテーパ孔111を有し、その細径側の端部を調整ピン113で塞いでいる。
【0003】
また、金型114は、断面半円形で接離可能な一対の受型115,116からなり、図8(C)に示すように、両者の型合わせ面には断面半円形の凹溝118,119により形成される断面円形の貫通孔が軸方向沿って貫通し、パンチ110側には係る貫通孔と同心の凹部117が形成されている。
更に、ストッパ120は、図8(A)乃至(C)に示すように、断面半円形の凹溝123,124を有する接離可能な一対の半円筒体121,122と、これらの内側に配置された円柱形のストッパピン125と、半円筒体121と一体の端部抑え板126とからなる。金型114とストッパ120との間には、棒鋼W0の非加熱部分を両側から挟持し且つ開閉可能なグリップG1,G2が配置される。
【0004】
図8(A)に示すように、一端寄り部分を加熱Hされた棒鋼W0は、グリップG1,G2に挟持され、他端面をストッパ120のストッパピン125に当接し且つ金型114の貫通孔を貫通した状態で、その一端部側にパンチ110が接近する。図8(B)に示すように、パンチ110は前進し、そのテーパ孔11を棒鋼W0の一端寄り部分に強制嵌合して据え込み鍛造するため、棒鋼W0は、一端側に緩い傾斜の太径部w1を成形したワークW1となる。次に、図8(C)中の矢印で示すように、パンチ110は当初の位置に後退し、且つ金型114が受型115,116に、ストッパ120が筒体121,122にそれぞれ分離する。係る状態で、ワークW1は、グリップG1,G2に挟持されつつ、図8(C)の奥行き方向に隣接して位置する第2〜第4工程用の鍛造装置に順次送られ、上記太径部w1を拡径させたフランジ形状に成形された後、その周縁をバリ抜きされる。
【0005】
【発明が解決すべき課題】
ところで、前記フランジ部分が同一形状および同一寸法で且つ軸方向の全長が異なるリヤアクスルシャフトを鍛造する場合がある。この場合、図8(C)で例示するように、第1工程用の鍛造装置における金型114の受型115,116を分離し、且つストッパ120を半円筒体121,122を開放した状態で、軸方向の長さが異なる新たなストッパピン125に取り替えると共に、図示しない第2〜第4工程用の鍛造装置でも同様な操作が必要となる。この結果、軸方向の長さのみが異なるリヤアクスルシャフトを鍛造成形する際に、多大な工数および時間を要するため、生産性を低下させてしまう、という問題があった。
本発明は、以上に説明した従来の技術の問題点を解決し、円柱形状のワークの一端部に多段階の据え込み鍛造にて同じフランジ部分を成形し且つ軸方向の長さのみが異なる例えば複数種のリヤアクスルシャフトを成形する際に、少ない工数および時間で容易に対応し得る多段式鍛造装置を提供する、ことを課題とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上記課題を解決するため、円柱形状のワークにおける鍛造成形されない側の端面に当接してこれを位置決めするストッパピンの位置を予め調整可能とする、ことに着想して成されたものである。
即ち、本発明の多段式鍛造装置(請求項1)は、円柱形状を呈するワークの一端部をその軸方向に沿って据え込むスライド可能なパンチと、係るパンチと共に上記ワークの一端部を据え込み且つ当該ワークを貫通させる挿通孔を形成する金型と、係る金型の他端側で上記パンチと反対側に位置し上記ワークの他端部を貫通させる貫通孔を形成するガイド部と、係るガイド部の上記貫通孔内またはその直前の位置に進退可能で且つ先端の位置が調整可能なストッパピンと、からなる組を複数列有する、ことを特徴とする。
【0007】
これによれば、金型を挟んで上記パンチと反対側に位置し且つ円柱形状のワークの他端部を貫通させるガイド部の貫通孔内またはその直前の位置に、先端の位置を調整可能に進退させたストッパピンが配置される。この結果、一端部に同じフランジ部分を成形し且つ軸方向の長さのみが異なる例えば複数種類の車両用リヤアクスルシャフト(鍛造製品)を鍛造成形する際などに、少ない工数および時間で容易に対応することができる。従って、フレキシブルな熱間(温間)高速鍛造成形が可能となるため、生産性を容易に高めることができる。
【0008】
また、本発明には、前記ガイド部は、前記貫通孔の径方向に開放可能な一対の半円筒体からなり、これらは固定部および可動部に個別に支持され、係る一対の半円筒体を閉じた際にこれらの間に形成される上記貫通孔内またはその一端付近に、前記ストッパピンの先端が進入または位置する、多段式鍛造装置(請求項2)も含まれる。これによれば、複数組の鍛造装置におけるパンチおよび金型により一端部を順次据え込み鍛造されるワークを、上記ストッパピンによりその軸方向の長さを規制しつつ精度良く鍛造成形することができる。
【0009】
更に、本発明には、前記複数のストッパピンは、その基端を単一のホルダに固定されると共に、係るホルダは、前記ガイド部の貫通孔に対して送りネジ機構または油圧シリンダにより進退可能とされている、多段式鍛造装置(請求項3)も含まれる。これによれば、複数組の鍛造装置におけるガイド部の貫通孔内またはその付近に、先端の位置を揃えた複数のストッパピンを個別に精度良く配置できるため、成形される鍛造製品の軸方向の長さを正確に揃えることが可能となる。
【0010】
加えて、本発明には、前記送りネジ機構は、前記複数のストッパピンの基端を固定するホルダに一端を固定した雄ネジ棒と、係る雄ネジ棒とネジ結合するナット体とからなり、係るナット体はスタンドに回転自在で抜け出し不能に支持され且つモータにより回転可能とされている、多段式鍛造装置(請求項4)も含まれる。これによれば、前記パンチおよび金型により一端部を同時に据え込み鍛造される複数のワークを、複数組の鍛造装置において個別に軸方向の長さを所定の長さにして一層精度良く鍛造成形することができる。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下において、本発明の実施に好適な形態を図面と共に説明する。
図1は、棒鋼を多段階の据え込み鍛造により車両用リヤアクスルシャフトに成型する工程を示す。図1(A),(a)に示すように、断面円形で且つ円柱形を呈する棒鋼(例えば、構造用鋼)であるワークW0は、その左端(一端)寄り部分を図示しない誘導コイルの内側に挿入され、図1(B)に示すように、約1200℃に予め加熱Hされる。係るワークW0は、後述する本発明の多段式鍛造装置を用いる第1工程〜第4工程により、左端部を軸方向に沿って据え込み鍛造される。
【0012】
即ち、図1(C)乃至(E)に示すように、緩くて長い傾斜の太径部w1とアールrとを有するワークW1、やや短かい傾斜の太径部w2とアールRとを有するワークW2、および急峻で短い傾斜の太径部w3とアールRと大径部Pとを有するワークW3に順次据え込み鍛造される。そして、本発明の多段式鍛造装置を用いる第4工程により、図1(F)に示すように、円盤状で且つ左端面の半球形状の凹部gを含む太径部w4と薄肉で径方向にリング状に突出するフランジfと大径部Pと有するほぼ最終製品の形状に近いワークW4が得られる。尚、上記フランジfの周縁に図示しないバリがある場合には、更にバリ抜き工程が行われる。
【0013】
図2(A),(B)は、前記ワークW0を据え込み鍛造する第1工程に用いる鍛造装置1の異なる角度における断面を示す。尚、便宜上図2(A)を垂直断面図、図2(B)を水平断面図とするが、これらは相対的に90度ずれた位置にある。また、係る鍛造装置1および後述する第2工程以降に用いる鍛造装置34などを複数組並列に配置したものが、本発明の多段式鍛造装置である。
鍛造装置1は、図2(A),(B)に示すように、ワークW0の左端(一端)部を据え込むように、その軸方向に沿ってスライド可能なパンチ2と、係るパンチ2と共に据え込み且つワークW0を貫通させる断面が円形の挿通孔16を形成する金型12と、係る金型12の他端部でパンチ2と反対側に位置するガイド部20との組からなる。上記パンチ2は、ほぼ円筒形の本体3に軸方向に沿ったテーパ孔4を有し、その細径側(左端側)の端部を調整ピン5で塞がれている。
【0014】
また、金型12は、図2(B)に示すように、断面半円形で且つほぼ半円柱形の一対の受型13,14からなるからなる割型であり、これらは、断面半円形の凹溝15を対称に有し、且つパンチ2側にはその先端面が接近可能な半円形の凹部17を対称に有する。一対の凹溝15は、受型13,14を型合わせした際、図2(A)に示すように、断面円形の挿通孔16を形成し、一対の凹部17は、円形の凹部18を形成する。上記受型13,14は、鍛造装置1の固定部6と、挿通孔16の径方向に開放可能である鍛造装置1の可動部7とに個別に支持される。
固定部6と可動部7は、その内側にほぼ半円形のリブ6a,7aを有し、それらの内側に受型13,14を個別に支持している。更に、図2(B)に示すように、固定部6および可動部7の対向面の中間には、図示で前後方向に沿った断面ほぼ四角形の凹み部8,9が対称に位置し、可動部7を移動して上記受型13,14を型合わせした際、後述するように断面矩形のスペースspが形成される。
【0015】
加えて、図2(B)に示すように、金型12の他端側でパンチ2の反対側に位置する固定部6および可動部7の対向面の右側には、ガイド部20が位置し、これは断面半円形で且つ半円柱形の半円筒体21,22からなる。
半円筒体21,22には、径方向に開口する断面半円形の一対の凹溝23がそれぞれ対称に形成され、係る凹溝23は、可動部7を移動して、受型13と受型14とを型合わせした際、図2(A)に示すように、断面円形の貫通孔24を形成する。係る貫通孔24には、パンチ2と反対側から円柱形のストッパピン25が進退可能に進入し、その先端が貫通孔24中における所定の位置またはその直前の開口部付近の位置になるようホルダ27により位置調整される。
図2(A),(B)に示すように、ストッパピン25の基端26は、縦長のホルダ27に固定され、係るホルダ27は、後述する送りネジ機構などにより、図示で左右方向に沿って移動可能とされている。
【0016】
図2(B)に示すように、金型12の固定部6と可動部7とが面接触した際に形成されるスペースspには、一対のグリップ10からなるワークW0などの搬送手段が挿入される。係るグリップ10は、互いの対向面に断面半円形の凹溝11を図示の前後方向に沿って複数個ずつ有する金属製の長尺材である。
第1工程は、先ず、図2(B)中の垂直の矢印で示すように、可動部7が固定部6側に接近して金型12を型合わせする。これにより、一対のグリップ10に中間を挟まれたワークW0は、図2(A)に示すように、受型13,14により形成された挿通孔16を貫通し、且つその左端(一端)部をパンチ2側に向けて突出している。同時に、ワークW0の右端(他端)部はガイド部20の貫通孔24内に挿入され、その右端(他端)面はストッパピン25の先端面と接触している。
【0017】
係る状態で、図2(A)中の実線の矢印で示すように、パンチ2をワークW0の左端部寄りに接近するように前進させ、そのテーパ孔4を強制的に嵌合する。この際、パンチ2の先端(右端)面は、金型12の凹部18に嵌合して接近する。
その結果、図3(A),(B)に示すように、左端(一端)部寄りに緩く長い傾斜の太径部w1と小径のアールrとを有するワークW1が熱間据え込み鍛造で成形される。この際、ワークW1の他端面は、ガイド部20の貫通孔24内においてストッパピン25と当接するため、その軸方向の長さが所定の寸法に規制される。
次いで、図3(A),(B)中の一点鎖線の矢印で示すように、パンチ2は、ワークW1から離脱するように後退する。
第1工程の最後に、図3(B)中の二点差線の矢印で示すように、可動部7を固定部6から離脱させ、金型12を前記図2(B)に示したように受型13,14に型開きした後、一対のグリップ10により中間の軸部Sを掴まれたワークW1を、図示で前後方向に隣接する第2工程用の次述する鍛造装置34に搬送する。
【0018】
この間において、鍛造装置1に隣接する第2工程用の鍛造装置34では、先に成形されたワークW1が据え込み鍛造される。係る鍛造装置34は、図3(A)の下方に示すように、前記ワークW1の左端(一端)部の太径部w1を更に据え込むように、軸方向に沿ってスライド可能なパンチ36と、係るパンチ36と共に据え込み且つワークW1の軸部Sを貫通させる断面円形の挿通孔46を有する金型40とを含む。パンチ36は、ほぼ円柱形の本体37に軸方向に沿ったテーパ孔38を有し、その細径側の端部を調整ピン39で塞がれている。また、金型40は、前記固定部6に支持された受型42と前記可動部7に支持された受型44とからなる割型であって、これらを型合わせした際に上記挿通孔46とそのパンチ36側に位置するほぼラッパ形のアール部43とが形成される。
【0019】
更に、上記金型40の他端側には、図3(A)の下方に示すように、前記と同じ半円筒体21,22からなるガイド部20が配置され、その貫通孔24内にストッパピン25が進入している。係るガイド部20と上記受型42,44との間には、前記同様のスペースspが形成され、ワークW1,W2の軸部Sを掴む前記グリップ10が移動可能に進入する。尚、ストッパピン25は、その基端26をホルダ27に固定され、且つその先端は前記鍛造装置1のストッパピン25の先端と同じ位置に揃えられている。
第2工程は、図3(A)中の矢印で示すように、パンチ36を前進させ、そのテーパ孔38をワークW1の太径部w1に強制的に嵌合し、やや短かい傾斜の太径部w2と大径のアールRとを有するワークW2を熱間据え込み鍛造で成形する。
この際、ワークW2の他端面は、ガイド部20の貫通孔24内においてストッパピン25の先端に当接するため、その軸方向の長さが規制される。係るワークW2は、グリップ10により次述する第3工程用の鍛造装置50に搬送される。
【0020】
図4の上方は、本発明の多段式鍛造装置の第3工程に用いる鍛造装置50を示す。係る鍛造装置50は、前記ワークW2の左端(一端)部の太径部w2を更に据え込むように軸方向に沿ってスライド可能なパンチ51と、係るパンチ51と共に据え込み且つワークW2の軸部Sを貫通させる断面円形の挿通孔59を有する金型54とを含む。パンチ51は、図4の上方に示すように、円柱形の本体52と、その先端面に設けたほぼ円錐形の凹部53とを有する。
また、金型54は、前記固定部6に支持された受型56と前記可動部7に支持された受型57とからなる割型であって、これらを型合わせした際に上記挿通孔59と、上記パンチ51側に開口する断面円形で全体が円柱形の凹部58と、上記パンチ51側に位置するリング形の段部55とが形成されている。
【0021】
更に、図4の上方に示すように、金型54の他端側には、前記同様の半円筒体21,22からなるガイド部20が配置され、係るガイド部20と上記受型56,57との間には、前記同様のスペースspが形成され、ワークW2,W3の軸部Sを掴む前記グリップ10が移動可能に進入する。尚、ストッパピン25は、基端26をホルダ27に固定され、且つその先端は、前記鍛造装置1,34のストッパピン25と同じくガイド部20の貫通孔24内の所定位置に揃えられる。
第3工程は、図4の上方中の矢印で示すように、パンチ51を前進させ、その凹部53を前記ワークW2の太径部w2に強制的に嵌合し、且つ当該パンチ51の先端部を金型54の段部55に嵌合して、例えば急峻で短い傾斜の太径部w3とアールRと大径部Pとを有するワークW3を熱間据え込み鍛造で成形する。この際、ワークW3の他端面は、ガイド部20の貫通孔24内においてストッパピン25の先端に当接するため、その軸方向の長さが規制される。係るワークW3は、グリップ10により次述する第4工程用の鍛造装置60に搬送される。
【0022】
図4の下方は、本発明の多段式鍛造装置にて第4工程に用いる鍛造装置60を示す。係る鍛造装置60は、前記ワークW3の左端(一端)部の太径部w3を更に据え込むように軸方向に沿ってスライド可能なパンチ61と、係るパンチ61と共に据え込み且つ前記ワークW3の軸部Sを貫通させる断面円形の挿通孔69を形成する金型64とを含む。
上記パンチ61は、図4の下方に示すように、円柱形の本体61aと、その先端面に設けた円盤状の凹部62と、その中心部から半球形状に突出する凸部63とを有する。また、金型64は、前記固定部6に支持された受型65と前記可動部7に支持された受型66とからなる割型で、これらを型合わせした際に上記挿通孔69と、上記パンチ61側に開口する断面円形の凹部68と、パンチ61側に位置する丸いリング形で且つ同心の段部67,67aが形成されている。
【0023】
更に、図4の下方に示すように、金型64の他端側には、前記と同様の半円筒体21,22からなるガイド部20が配置され、その貫通孔24内にストッパピン25が進入している。係るガイド部20と上記受型66,67との間には、前記同様のスペースspが形成され、ワークW3,W4の軸部Sを掴む前記グリップ10が移動可能に進入する。尚、ストッパピン25も、その基端26をホルダ27に固定され、且つその先端は、前記鍛造装置1,34,50のストッパピン25と同じく貫通孔24内における所定の位置に揃えられている。
第4工程は、図4の下方中の矢印で示すように、パンチ61を前進させ、その凹部62および凸部63を前記ワークW3の太径部w3に強制的に押圧し、且つ当該パンチ61の先端部の周辺を段部67aに嵌合する。その結果、円盤状で且つ左端面の半球状の凹部gを含む太径部w4、薄肉で径方向にリング状に突出するフランジf、アールR、および大径部Pを有するワークW4を熱間据え込み鍛造で成形できる。この際、ワークW4の他端面は、ガイド部20の貫通孔24内でストッパピン25の先端に当接するため、その軸方向の長さが規制される。
【0024】
尚、上記フランジfの周囲に図示しないバリがある場合には、更に後述するバリ抜き工程(バリ抜き装置95)を施した後、上記ワークW4は、車両用リヤアスクルシャフトの最終形状に近似した鍛造製品となる。また、以上のような第1工程〜第4工程は、前記鍛造装置1,34,50,60において平行して行われる。更に、第2工程〜第4工程で、ワークW2〜W4は、前記素材の再結晶温度以上の熱間、または少なくとも再結晶温度付近の温間域で据え込み鍛造される。
【0025】
図5は、第1工程〜第4工程用の鍛造装置1,34,50,60において、それぞれのストッパピン25を各ガイド部20の貫通孔24内で進退可能に位置調整する調整装置70を示す。尚、図5中における符合95は、前記ワークW4のフランジfの周縁のバリを除去するバリ抜き装置を示す。
調整装置70は、図5に示すように、複数のストッパピン25を固定した前記ホルダ27、係るホルダ27に一端を固定したガイドロッド74、ホルダ27に一端を固定した雄ネジ棒76,82、および上記ガイドロッド74を貫通させ且つ上記雄ネジ棒76,82にネジ結合するナット体78,83を回転自在に支持するスタンド73を備えている。
【0026】
図5に示すように、ホルダ27は、その基部28をベース71のガイド溝72にスライド可能に挿入されている。また、係るホルダ27に一端を固定したガイドロッド74は、スタンド73の通し孔75をスライド自在に貫通している。更に、スタンド73に穿孔した支持孔77,81には、ナット体78,83が回転自在で且つ当該スタンド73から抜け出し不能に支持されている。
係るナット体78,83は、その内側に雄ネジ棒76,82の周面に刻設された図示しない雄ネジにネジ結合する雌ネジ79,84を刻設していると共に、図5における右側の端部にギア80,85を有する。尚、雄ネジ棒76,82およびナット体78,83は、本発明の送りネジ機構を構成する。
図5に示すように、スタンド73の右側に延びるベース87上には、ジョイント92を介して連結されたモータ90および減速機88が位置する。係る減速機88の回転軸に固定されたギア86は、下方のナット体83のギア85と噛み合い、係るギア85は、スタンド73に回転軸94が支持された中継ギア93を介して上方のナット体78のギア80と噛み合っている。
【0027】
図5に示すように、モータ90を駆動し且つ減速機88によって所定の回転数で回転するギア86により、これと噛み合うギア85を有するナット体83がスタンド73の支持孔81内で回転する。同時に、上記ギア85に噛み合う中継ギア93を介して、これと噛み合うギア80を有するナット体78がスタンド73の支持孔77内で回転する。ナット体78,83が回転すると、それらの雌ネジ79,94にネジ結合する雄ネジ棒76,82は、図5で左右方向に移動する。
これに応じて、ホルダ27もガイド溝72に沿って左右方向に移動する。この結果、例えば図6に示すように、雄ネジ棒76,82が左側に移動すると、ホルダ27と共に複数のストッパピン25も左側に移動し、鍛造装置1,34,50,60の各ガイド部20の各貫通孔24内に個別に進入して位置調整される。
【0028】
逆に、図6の状態で雄ネジ棒76,82が右側に移動すると、ホルダ27と共に複数のストッパピン25も右側に移動し、図5に示したように、各ストッパピン25の先端は、鍛造装置1,34,50,60の各ガイド部20の貫通孔24における開口部付近の位置、またはその直前の位置に退行して調整される。
因みに、構造用鋼からなりバリ抜き工程後の前記ワークW4の軸方向の全長さが600〜630mmで且つ軸部Sの直径が30〜50mmである場合、図5および図6に示す各ストッパピン25の進退距離(ストローク)は、最大で約100mm程度にすることが可能である。即ち、前記フランジfなどの形状および寸法が同じで且つ軸部Sの長さのみが異なる複数種のリヤアクスルシャフトを、前記調整装置70によるホルダ27と複数のストッパピン25の位置調整により、少ない工数および時間によってほぼ連続的且つ容易に成形することが可能となる。
【0029】
図7は、異なる形態の調整装置100を示す。調整装置100は、図7に示すように、複数のストッパピン25を固定したホルダ27、係るホルダ27に一端を固定し且つスタンド73を貫通するガイドロッド101,102、および上記ホルダ27にピントンロッド106,108の先端を固定し且つスタンド73に支持された油圧シリンダ104,105を備えている。ホルダ27の基部28は、前記同様にベース71のガイド溝72に沿ってスライド可能とされている。尚、ベース71の端部にスタンド73が垂直に固定されている。
図7に示すように、ガイドロッド101,102は、スタンド73に設けた通し孔73aを挿通自在に貫通する。また、油圧シリンダ104,105は、スタンド73の通し孔73bにシリンダケースを固定され、且つ図7においてピストンロッド106,108は最も縮んだ位置にあり、それぞれのピストン107,109も各シリンダケースの右端寄りに位置している。
【0030】
ここで、油圧シリンダ104,105の各シリンダケース内におけるピストン107,109の右側に図示しない油圧源から圧力油を供給すると、係るピストン107,109およびピストンロッド106,108は、図7で左側に移動・伸長する。これに応じて、ホルダ27および複数のストッパピン25は、図7中の矢印で示すように、左側に移動し、鍛造装置1,34,50,60の各ガイド部20の各貫通孔24内に個別に進入して位置調整される。
一方、油圧シリンダ104,105を逆向きに操作することにより、各ガイド部20の各貫通孔24内に進入していた各ストッパピン25を、図7に示すように、ホルダ27と共に各貫通孔24の直前の位置に調整することができる。
従って、油圧シリンダ104,105を含む調整装置100によっても、前記フランジfなどの形状および寸法が同じで且つ軸部Sの長さのみが異なる複数種類のリヤアクスルシャフトを、少ない工数および時間によってほぼ連続的且つ容易に製造することが可能となる。
【0031】
本発明は、以上において説明した各形態に限定されるものではない。
例えば、前記第1工程〜第4工程の鍛造装置1,34,50,60における各ストッパピン25を単一のホルダ27により同じ位置に調整する形態に限らず、例えば第1,第2工程の鍛造装置1,34のストッパピン25と、第3,第4工程の鍛造装置50,60のストッパピン25との2組で、異なる位置に調整することも可能である。あるいは、第1工程〜第4工程の鍛造装置1,34,50,60における各ストッパピン25を、それぞれ個別の位置に調整しても良い。
また、複数あるいは単数のストッパピン25の位置を調整する手段には、前記調整装置70などに限らず、リンク機構やクランク機構などを適用することも可能である。
更に、第1工程〜第4工程に用いる前記鍛造装置1〜60は、垂直方向または水平方向に互いに隣接して配置した多段式鍛造装置とした形態が含まれる。
尚、本発明の多段式鍛造装置は、棒状のワークW0の一端部を複数工程で据え込み鍛造するもので且つグリップ(ワーク搬送手段)10で掴むことが可能であれば、前記リヤアスクルシャフト以外の製品にも適用可能である。
【0032】
【発明の効果】
本発明の多段式鍛造装置(請求項1)によれば、ワークを貫通させるガイド部の貫通孔内またはその直前の位置に、先端の位置を調整可能に進退させたストッパピンが配置されるため、一端部に同じフランジ部分を成形し且つ軸方向の長さのみが異なる例えば複数種類のリヤアクスルシャフトのような鍛造製品を成形する際、少ない工数および時間により容易に対応可能となる。
また、請求項2の多段式鍛造装置によれば、複数組の鍛造装置におけるパンチおよび金型により一端部を順次据え込み鍛造されるワークを、前記ストッパピンによりその軸方向の長さを規制しつつ精度良く鍛造成形できる。
【0033】
更に、請求項3の多段式鍛造装置によれば、複数組の鍛造装置におけるガイド部の貫通孔内またはその直前の位置に、先端の位置を揃えた複数のストッパピンを個別に精度良く配置できるため、成形される鍛造製品の軸方向の長さを正確に揃えることができる。
加えて、請求項4の多段式鍛造装置によれば、前記パンチおよび金型により一端部を同時に据え込み鍛造される複数のワークを、複数組の鍛造装置において軸方向の長さを所定の長さにして一層精度良く鍛造成形できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】(A)〜(F)は本発明の多段式鍛造装置により成形されるワークの形状を示す概略側面図、(a)は(A)中のa−a線に沿った矢視における断面図。
【図2】(A),(B)は本発明の多段式鍛造装置における第1工程で用いる鍛造装置を示す異なる角度の断面図。
【図3】(A),(B)は上記鍛造装置などを用いた第1,2工程を示す異なる角度の断面図。
【図4】本発明の多段式鍛造装置を用いる第3,4工程を示す概略断面図。
【図5】本発明の多段式鍛造装置における第1〜第4工程で用いる各鍛造装置におけるストッパピンの位置調整の態様を示す概略図。
【図6】前記ストッパピンの位置を調整した状態を示す図5と同様な概略図。
【図7】ストッパピンの位置調整用の異なる調整形態を示す上記と同様な概略図。
【図8】(A)〜(C)は従来の多段式鍛造装置における第1工程を示す概略断面図。
【符号の説明】
1,34,50,60……鍛造装置
2,36,51,61……パンチ
12,40,54,64…金型
16,46,59,69…挿通孔
20…………………………ガイド部
21,22…………………半円筒体
24…………………………貫通孔
25…………………………ストッパピン
26…………………………基端
27…………………………ホルダ
73…………………………スタンド
76,82…………………雄ネジ棒(送りネジ機構)
78,83…………………ナット体(送りネジ機構)
90…………………………モータ
101,102……………油圧シリンダ
W0〜W4…………………ワーク
Claims (4)
- 円柱形状を呈するワークの一端部をその軸方向に沿って据え込むスライド可能なパンチと、
上記パンチと共に上記ワークの一端部を据え込み且つ当該ワークを貫通させる挿通孔を形成する金型と、
上記金型の他端側で上記パンチと反対側に位置し上記ワークの他端部を貫通させる貫通孔を形成するガイド部と、
上記ガイド部の上記貫通孔内またはその直前の位置に進退可能で且つ先端の位置が調整可能なストッパピンと、からなる組を複数列有する、ことを特徴とする多段式鍛造装置。 - 前記ガイド部は、前記貫通孔の径方向に開放可能な一対の半円筒体からなり、これらは固定部および可動部に個別に支持され、係る一対の半円筒体を閉じた際にこれらの間に形成される上記貫通孔内またはその一端付近に、前記ストッパピンの先端が進入または位置する、ことを特徴とする請求項1に記載の多段式鍛造装置。
- 前記複数のストッパピンは、その基端を単一のホルダに固定されると共に、係るホルダは、前記ガイド部の貫通孔に対して送りネジ機構または油圧シリンダにより進退可能とされている、ことを特徴とする請求項1または2に記載の多段式鍛造装置。
- 前記送りネジ機構は、前記複数のストッパピンの基端を固定するホルダに一端を固定した雄ネジ棒と、係る雄ネジ棒とネジ結合するナット体とからなり、係るナット体はスタンドに回転自在で抜け出し不能に支持され且つモータにより回転可能とされている、ことを特徴とする請求項3に記載の多段式鍛造装置。
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