JP2004275903A - セレンを含む溶液の処理方法及び処理装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】本発明の処理方法は、(A)前処理槽2にて、セレンを含む廃水に酸を添加して、pHを4以下に調整した状態で、塩化第一鉄の如き第一鉄化合物を添加し、2価の鉄イオンを含む溶液を得る工程と、(B)工程(A)で得られた溶液を流路3内に流通させながら、アルカリ剤供給口15にて水酸化カルシウムの如きアルカリ剤16を添加し、その後流側の溶液のpHを8〜12に調整して、セレンと水酸化第一鉄とからなる固体分を含む溶液を得る工程と、(C)工程(B)で得られた溶液を濾過装置5で固液分離する工程とを含む。
【選択図】 図1
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、セレンを含む溶液の処理方法及び処理装置に関し、例えば、煤塵(例えば、セメントキルンから排出された排ガスを集塵して得られるダストや、焼却飛灰等)等を水洗して得られる溶液に含まれるセレンを効率的に除去するための処理方法及び処理装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、ゴミ焼却設備等から排出される煤塵等の廃棄物をセメント原料として用いる技術が実用化されている。その際、廃棄物に含まれている重金属や塩素分を除去するために、廃棄物を水洗することが行なわれている。
しかし、廃棄物を水洗して得られる廃水中には、廃棄物から溶出したセレンが含まれている。セレンは、排水基準値が0.1mg/リットル以下に定められている元素であり、廃水を外部の環境中に排出する前に、排水基準値以下の含有率になるように除去しておく必要がある。そのため、セレンを含む廃水を処理する方法が、従来より種々、開発されている。
【0003】
例えば、セレンを含む廃水に、第一鉄化合物と第二鉄化合物を添加して液性をアルカリ性に調整し、生成した水酸化第一鉄および水酸化第二鉄と共に4価のセレンと6価のセレンを沈澱させる廃水処理方法が知られている(特許文献1参照)。
この廃水処理方法においては、第一鉄化合物及び第二鉄化合物を廃水に添加した後、廃水のpHを一旦、3以下に調整し、次いで、アルカリ源を添加してpHを8〜12に調整している。
【0004】
【特許文献1】
特開2002−126758号公報 (第2頁第1欄の特許請求の範囲の請求項1、請求項3、第4頁第5欄の段落0017)
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
上記公報に記載された技術では、セレンを含む沈澱を生成させるために、比較的多量の第一鉄化合物を添加している。具体的には、上記公報中の実施例において、第一鉄化合物の添加量は、重量比でセレン1に対して2価の鉄イオンが5,000以上となるように、定められている。
そこで、本発明は、処理対象の溶液中のセレンの除去に必要な第一鉄化合物(2価の鉄イオンを供給するための化合物)の添加量を削減するとともに、該添加量の削減にもかかわらず、処理後の溶液中のセレンの濃度を排水基準値以下(具体的には、残存セレン濃度で0.1mg/リットル以下)に低減させることのできるセレンを含む溶液の処理方法及び処理装置を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、上記課題を解決するために鋭意検討した結果、煤塵の水洗後の濾液の如きセレンを含む溶液に、必要に応じて塩酸等の酸を添加して、pHを酸性領域に調整し、かつ、第一鉄化合物を添加した後、この溶液を流路内にて一方向に流通させるとともに、該流路の所定の地点にて水酸化カルシウムの如きアルカリ剤を添加して、後流側のpHをアルカリ性領域に調整すれば、セレンと水酸化第一鉄とからなる固体分の生成が促進されて、その結果、同一量のセレンの除去に必要な第一鉄化合物の添加量を削減することができることを見出し、本発明を完成した。
【0007】
すなわち、本発明(請求項1)のセレンを含む溶液の処理方法は、(A)セレンを含む溶液に、必要に応じて塩酸等の酸を添加して、pHを酸性領域(例えば、pH4以下)に調整した状態で、塩化第一鉄の如き第一鉄化合物を添加し、セレン及び2価の鉄イオンを含む溶液を得る第一鉄化合物添加工程と、(B)上記セレン及び2価の鉄イオンを含む溶液を、管路の如き流体流通手段を用いて、一方向に流通させながら、所定の地点にて水酸化カルシウムの如きアルカリ剤を添加し、該地点の後流側(下流側)のpHをアルカリ性領域(例えば、pH8〜12)に調整して、セレン及び水酸化第一鉄を含む溶液を得るアルカリ剤添加工程と、(C)上記セレン及び水酸化第一鉄を含む溶液を、濾過等によって固液分離して、セレン及び水酸化第一鉄を含む固体分と、セレンが除去された液体分とを得る固液分離工程とを含むことを特徴としている。
【0008】
本発明の方法においては、第一鉄化合物の添加後の酸性溶液を、一方向に流通させながら、流通途中の所定の地点にて水酸化カルシウムの如きアルカリ剤を添加しているので、アルカリ剤を添加する地点及びその後流側で生成した水酸化第一鉄が、溶液中のセレンと共に一方向に移動しつつ、セレンとの共沈物を生成することになる。この際、共沈物の生成は、既存の沈澱物が存在せず、かつセレンと水酸化第一鉄とが共に流動する状態下で、効率的に進行する。そのため、第一鉄化合物の添加量を従来よりも削減しても、処理後の溶液中のセレンの濃度を排水基準値以下(残存セレン濃度で0.1mg/リットル以下)に低減させることができる。
【0009】
本発明のセレンを含む溶液の処理方法は、上記工程(B)と上記工程(C)の間に、上記セレン及び水酸化第一鉄を含む溶液を貯留して、該溶液中のセレン及び水酸化第一鉄を固体分として沈澱させる沈澱成長工程を含むことができる(請求項2)。
このように構成すれば、セレンと水酸化第一鉄とからなる固体分(共沈物)を、より確実に生成させることができる。
【0010】
本発明(請求項3)のセレンを含む溶液の処理装置は、(a)セレンを含む溶液を貯留するための前処理槽であって、該前処理槽内に塩化第一鉄の如き第一鉄化合物を供給するための第一鉄化合物供給口と、該前処理槽内に塩酸の如き酸を供給して上記溶液のpHを酸性領域に調整するための酸供給口とを有する前処理槽と、(b)上記前処理槽から排出される上記セレンを含む溶液を、一方向に流通させるための流路であって、該流路における所定の地点に、水酸化カルシウムの如きアルカリ剤を供給して、上記セレンを含む溶液のpHをアルカリ性領域に調整して、セレンと水酸化第一鉄とからなる固体分を生成させるためのアルカリ剤供給口を設けた流路(例えば、管路)と、(c)上記流路から排出される上記セレンと水酸化第一鉄とからなる固体分を含む溶液を固液分離するための濾過装置等の固液分離手段とを含むことを特徴としている。
本発明のセレンを含む溶液の処理装置は、上記流路(b)と上記固液分離手段(c)の間に、上記セレンを含む溶液を貯留して、該溶液中の固体分を沈澱させるための沈澱槽を有することができる(請求項4)。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を詳細に説明する。
まず、本発明のセレンを含む溶液の処理方法について説明する。
[第一鉄化合物添加工程]
本工程は、セレンを含む溶液に必要に応じて酸を添加して、この溶液のpHを酸性領域に調整した状態で、該溶液に第一鉄化合物を添加し、セレン及び2価の鉄イオンを含む溶液を得る工程である。
セレンを含む溶液としては、例えば、煤塵、焼却灰等のセレン含有物質を水洗して得られるアルカリ性の濾液が挙げられる。
ここで、煤塵としては、例えば、セメントキルン及びその関連設備等から排出される煤塵(例えば、セメントキルンから排出された排ガスを集塵して得られるダスト等)や、ゴミや焼却灰の溶融設備から排出される溶融飛灰や、ゴミや下水汚泥の焼却設備等から排出される焼却飛灰等が挙げられる。
焼却灰としては、例えば、焼却施設の炉底から排出される焼却灰等が挙げられる。
【0012】
水洗は、煤塵等のセレン含有物質と、水とを混合槽中に投入して、所定時間撹拌するなどの処理方法によって行うことができる。
アルカリ性の濾液は、例えば、煤塵等のセレン含有物質と水とからなるスラリーを、濾過等によって固液分離することによって得ることができる。なお、本明細書中において、「濾液」の語は、濾過によって分離された液体分のみならず、任意の固液分離方法(例えば、遠心分離等)によって得られた液体分を含む意で用いられる。
アルカリ性の濾液のpHは、例えば、セメントキルンから排出された排ガスを集塵して得られるダスト等の煤塵を水洗して得られた濾液の場合、12〜13程度の高い値になることがある。
【0013】
本発明において、セレンを含む溶液には、必要に応じて酸が添加される。例えば、セレンを含む溶液として、上述の煤塵等を水洗して得られるアルカリ性の濾液を用いた場合には、該濾液のpHが高いため、酸を添加して、溶液のpHを酸性領域に調整することが必要である。
酸としては、例えば、塩酸、硫酸、硝酸等が挙げられる。
セレンを含む溶液のpHは、酸を添加することによって、好ましくは4.5以下、より好ましくは4.0以下、特に好ましくは3.5以下に調整される。該pHを4.5以下に調整することによって、2価の鉄が液中でイオンとして溶存し易くなり、セレンを実質的に全て除去するのに必要な第一鉄化合物の添加量をより一層、削減することができる。
【0014】
第一鉄化合物としては、例えば、塩化第一鉄、硫酸第一鉄、硝酸第一鉄等の第一鉄塩が挙げられる。第一鉄化合物を添加することによって、アルカリ剤添加工程(B)においてセレンを吸着し共沈することのできる水酸化第一鉄を生成するための2価の鉄イオンを、セレンを含む溶液中に供給することができる。
第一鉄化合物の添加量は、処理対象となる溶液の種類によっても異なるが、煤塵の水洗後に得られる1mg/リットル程度のセレン濃度を有する濾液の場合には、2価の鉄イオン/セレンの重量比で、好ましくは2,000〜4,000である。
該添加量が上記数値範囲の下限値に達しない場合には、セレンを十分に除去することができないことがある。該添加量が上記数値範囲の上限値を超える場合には、第一鉄化合物の添加量を削減しようとする本発明の目的を十分に達成することができなくなる。
【0015】
ここで、2価の鉄イオンの供給とセレンの除去との関係を説明すると、次のとおりである。
セレンは、主に、4価のセレン(具体的には、SeO3 2−で表わされる亜セレン酸イオン)、及び6価のセレン(具体的には、SeO4 2−で表わされるセレン酸イオン)として、処理対象物である溶液中に存在する。
セレンを含む溶液に第一鉄化合物を添加すると、pHを酸性領域に調整した条件下において、2価の鉄イオンが液中に十分溶存した状態となる。2価の鉄イオンは、還元作用を有するため、液中の6価のセレンを4価のセレンに還元する。
そのため、溶液中のセレンは、除去の困難な6価のセレンではなく、4価のセレンとして存在することになり、水酸化第一鉄の固体分(沈澱物)に容易に吸着され共沈し、除去することができる。
【0016】
本発明においては、第一鉄化合物の供給媒体として、例えば、第一鉄化合物を含む酸廃液を用いることができる。ここで、酸廃液とは、工場内の各種処理工程で発生する酸を含む廃液をいう。
第一鉄化合物を含む酸廃液の具体例としては、例えば、ピックリング廃液等が挙げられる。ここで、ピックリング廃液とは、鉄鋼関係の工場(例えば、製鉄工場、製線工場、特殊鋼工場等)内における酸洗工程から排出される汚染された酸洗浄液(例えば、塩酸廃液等)をいう。ピックリング廃液中の2価の鉄イオンの濃度は、例えば、50〜100g/リットル程度である。
【0017】
なお、ピックリングとは、化学的または電気化学的作用によって素地金属から酸化物またはその他の化合物を除去することをいい、具体的には、素地金属の表面に生成したスケールまたはさびの層を除去するために、比較的長時間、塩酸等の酸溶液中に浸漬して清浄にする操作をいう。
第一鉄化合物の供給媒体として、第一鉄化合物を含有する酸廃液(例えば、ピックリング廃液)を用いることによって、塩酸、硫酸等の工業用薬剤の添加量を削減し、本発明の処理コスト(薬剤費)を低減することができる。
【0018】
本発明の方法においては、2価の鉄イオンと共に、3価の鉄イオンを添加することもできる。3価の鉄イオンは、2価の鉄イオンと比べて低いpH領域でも容易に沈澱するため、2価の鉄イオンが沈澱する際の核となって、2価の鉄イオンを速やかに沈澱させることができる。ただし、2価の鉄イオンを存在させずに、3価の鉄イオンのみを存在させた場合には、4価のセレンのみが沈澱し、6価のセレンは溶液中に残存することになる。したがって、本発明においては、2価の鉄イオンの存在が必須である。
【0019】
本発明においては、セレンを含む溶液中に添加された第一鉄化合物の安定性を保持するために、溶液中の溶存酸素量を少なくすることが望ましい。つまり、本発明を実施するに際し、セレンを含む溶液が空気に曝された状態で、セレンの除去処理を行なってもよいが、非酸化性の雰囲気下(例えば、窒素ガス中)で、セレンの除去処理を行なえば、さらに、第一鉄化合物の添加量を削減することができる。
【0020】
[アルカリ剤添加工程]
本工程は、上述の第一鉄化合物添加工程で得られたセレン及び2価の鉄イオンを含む溶液を、管路の如き流体流通手段の内部において一方向に連続的に流通させながら、流通の途中の所定の地点にてアルカリ剤を添加し、該地点の後流側のpHをアルカリ性領域に調整して、セレン及び水酸化第一鉄を含む溶液を得る工程である。
本工程で用いられる溶液の流通のための流体流通手段としては、例えば、所定の内径及び長さを有する管路が挙げられる。
管路の内径及び長さは、特に限定されることがなく、処理すべき溶液の量やセレンの濃度等の条件によって種々に定めることができる。
なお、管路内にスクリューを設置すれば、管路内を流通する溶液の撹拌効率を向上させることができる。
また、アルカリ剤の添加場所において、滞留時間が極めて短い撹拌翼付きの小型のタンクを設けることができる。ただし、この小型のタンクは、滞留時間が長い貯留用タンク(通常の薬剤添加槽)とは区別されるものであり、実質的に流路の一部を構成するものである。
【0021】
アルカリ剤としては、例えば、水酸化カルシウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等が用いられる。中でも、水酸化カルシウムは、後で固体分として回収した際に、セメント原料等として用いることができるので、好ましい。
本工程において、セレン及び2価の鉄イオンを含む溶液のpHは、アルカリ剤の添加によって、好ましくは8.0〜12.0、より好ましくは8.5〜10.5、特に好ましくは8.5〜9.5に調整される。該pHをこの数値範囲内に調整することによって、水酸化第一鉄に吸着して共沈するセレンの量が増大し、セレンの除去率の更なる向上を図ることができる。
【0022】
[沈澱成長工程]
本工程は、上述のアルカリ剤添加工程で得られたセレン及び水酸化第一鉄を含む溶液を貯留して、この溶液中のセレン及び水酸化第一鉄を共沈物として成長させる工程である。
本工程を設けることによって、上述のアルカリ剤添加工程において、セレンと水酸化第一鉄との共沈物が十分に生成していない場合であっても、該共沈物を確実に生成させることができる。
なお、上述のアルカリ剤添加工程において、セレンと水酸化第一鉄との共沈物を十分に生成させることができる場合には、本工程を省略することができる。
【0023】
[固液分離工程]
本工程は、上述の沈澱成長工程(またはアルカリ剤添加工程)で得られたセレン及び水酸化第一鉄を含む溶液を固液分離して、セレン及び水酸化第一鉄を含む固体分(共沈物)と、セレンが除去された液体分とを得る工程である。
固液分離の方法としては、例えば、減圧濾過装置、フィルタープレス、スクリュープレス等を用いて濾過する方法や、遠心分離機を用いて遠心分離する方法等が挙げられる。
【0024】
固液分離して得られる固体分は、通常、水酸化第一鉄及びセレンの他に、煤塵等に由来する水酸化カルシウムや重金属等を含む。この固体分は、重金属等を除去した後、セメント原料等として用いることができる。
固液分離して得られる液体分は、必要に応じて、重金属を除去する工程(例えば、凝集沈澱や、キレート樹脂への通液等)や、塩素分を回収する工程(例えば、晶析法による塩化ナトリウムや塩化カリウムの分別回収等)を経た後、セレンを実質的に含まない廃液(すなわち、残存セレン濃度が、排水基準値の0.1mg/リットル以下である廃液)として、外部に排出することができる。
【0025】
次に、本発明のセレンを含む溶液の処理装置を、図面に基づいて説明する。図1は、本発明のセレンを含む溶液の処理装置を模式的に示す図である。
セレンを含む溶液の処理装置1は、前処理槽2と、前処理槽2からの溶液を一方向に流通させるための管路の如き流路3と、流路3からの溶液を貯留するための沈澱槽4と、沈澱槽4からの溶液を固液分離するための固液分離手段5とを含む。
このうち、前処理槽2は、セレンを含む溶液6の流入口と、第一鉄化合物の貯留槽7から前処理槽2内に、塩化第一鉄の如き第一鉄化合物を供給するための第一鉄化合物供給口8と、酸の貯留槽9から前処理槽2内に、塩酸の如き酸を供給するための酸供給口10と、前処理槽2内の溶液を撹拌混合するための撹拌手段(例えば、撹拌翼)11とを備えている。
前処理槽2内において、セレンを含む溶液6は、セレン及び2価の鉄イオンを含む酸性溶液となる。
【0026】
流路3は、前流側の端部が、前処理槽2の排水口12として形成されており、後流側の端部が、沈澱槽4の溶液流入口14として形成されている。
前処理槽2内の溶液は、排水口12からポンプ13によって流路3内に流入した後、流路3の途中に設けられたアルカリ剤供給口15から供給されるアルカリ剤16と混合され、さらに流路3内を流通して溶液流入口14から沈澱槽4内へと流入する。なお、アルカリ剤16は、ポンプ17によってアルカリ剤の貯留槽18から流路3内に所定の流量で供給される。
流路3のアルカリ剤供給口15の後流側において、セレン及び2価の鉄イオンを含む酸性溶液は、アルカリ剤16と混合されて、セレンと水酸化第一鉄とからなる固体分(共沈物)を含むアルカリ性溶液へと変化する。
【0027】
流路3から沈澱槽4内に流入した溶液は、撹拌翼の如き撹拌手段19によって撹拌混合される。そして、沈澱槽4の溶液中において、前工程で生成した共沈物に加えて、さらなる共沈物の生成がなされ、最終的に、セレンと水酸化第一鉄とからなる固体分(共沈物)と、セレンが実質的に除去された液体分との混合物が生じる。
沈澱槽4内の共沈物を含む溶液は、流路20の排水口21からポンプ22によって排出され、固液分離手段(濾過装置)5に導かれる。
固液分離手段5において、共沈物を含む溶液は、固体分(セレンと水酸化第一鉄とからなる共沈物)と、セレンが除去された液体分とに分離される。
このうち、固体分は、重金属の除去処理等を施した後、セメント原料等として用いられる。液体分は、塩素分の除去処理等を施した後、外部の環境中に排出される。
【0028】
【実施例】
実験用の小型の処理装置を用いて、次のように実験を行なった。
[実施例1]
セメントキルンから排出された排ガスを集塵して得られるダスト20kgを混合槽中で水洗した後、濾過して、1mg/リットルのセレンを含有する濾液50リットルを得た。この溶液のpHは、12であった。
この溶液を、0.1リットル/分の流量で撹拌翼の付いた前処理槽(容量:3.4リットル)に供給するとともに、前処理槽内に、塩酸、及び2価の鉄イオン/セレンの重量比で3,000の量の塩化第一鉄を加えて、pHを3.5に調整した。前処理槽内の溶液の滞留時間は、約30分間であった。
【0029】
この溶液をポンプによってT字型配管(配管の内径:8mm、アルカリ剤供給口の内径:4mm、アルカリ剤供給口から後流側の端部までの長さ:27cm)に導き、該配管内を流通させながらアルカリ剤供給口から水酸化カルシウムのスラリーを加えた。なお、水酸化カルシウムのスラリーは、後流側の溶液のpHが8.5〜9.0になるように調整しながら供給した。アルカリ剤供給口から後流側の端部に達するまでの溶液の移動所要時間は、8秒間であった。
T字型配管を通過した溶液は、一旦、撹拌翼の付いた沈澱槽(容量:3.4リットル、溶液の滞留時間:30分間)内で沈澱を成長させた後、フィルタープレスで濾過して、セレンと水酸化第一鉄とからなる固体分と、液体分(濾液)とを分別した状態で得た。濾液中のセレンの濃度は、0.1mg/リットル以下であった。
【0030】
[比較例1]
実施例1で用いた処理対象液と同じ溶液を、0.1リットル/分の流量で撹拌翼の付いた前処理槽(容量:3.4リットル)に供給するとともに、前処理槽内に、実施例1と同一の量の塩酸及び塩化第一鉄を加えて、実施例1と同一のpHに調整した。前処理槽内の溶液の滞留時間は、実施例1と同一とした。
この溶液をポンプによって撹拌翼の付いた反応槽(容量:3.4リットル、溶液の滞留時間:30分間)に連続的に送り、この反応槽に水酸化カルシウムスラリーを槽内の溶液のpHが8.5〜9.0になるように調整しながら常時、供給した。
この溶液をフィルタープレスで濾過して、セレンと水酸化第一鉄とからなる固体分と、液体分(濾液)とを分別した状態で得た。濾液中のセレンの濃度は、0.5mg/リットルであった。
【0031】
【発明の効果】
本発明のセレンの処理方法及び処理装置によれば、煤塵を水洗して得られる廃水の如きセレンを含む溶液を効率的に処理して、ほぼ完全にセレンを固体分として回収し除去することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のセレンを含む溶液の処理装置の一例を模式的に示す図である。
【符号の説明】
1 セレンを含む溶液の処理装置
2 前処理槽
3 流路
4 沈澱槽
5 濾過装置(固液分離手段)
6 セレンを含む溶液
7 第一鉄化合物の貯留槽
8 第一鉄化合物供給口
9 酸の貯留槽
10 酸供給口
11 撹拌翼(撹拌手段)
12 排水口
13 ポンプ
14 溶液流入口
15 アルカリ剤供給口
16 アルカリ剤
17 ポンプ
18 アルカリ剤の貯留槽
19 撹拌翼(撹拌手段)
20 流路
21 排水口
22 ポンプ
Claims (4)
- (A)セレンを含む溶液に必要に応じて酸を添加して、pHを酸性領域に調整した状態で、第一鉄化合物を添加し、セレン及び2価の鉄イオンを含む溶液を得る第一鉄化合物添加工程と、
(B)上記セレン及び2価の鉄イオンを含む溶液を一方向に流通させながら、所定の地点にてアルカリ剤を添加し、該地点の後流側のpHをアルカリ性領域に調整して、セレン及び水酸化第一鉄を含む溶液を得るアルカリ剤添加工程と、
(C)上記セレン及び水酸化第一鉄を含む溶液を固液分離して、セレン及び水酸化第一鉄を含む固体分と、セレンが除去された液体分とを得る固液分離工程と
を含むことを特徴とするセレンを含む溶液の処理方法。 - 上記工程(B)と上記工程(C)の間に、上記セレン及び水酸化第一鉄を含む溶液を貯留して、該溶液中のセレン及び水酸化第一鉄を固体分として沈澱させる沈澱成長工程を含む請求項1に記載のセレンを含む溶液の処理方法。
- (a)セレンを含む溶液を貯留するための前処理槽であって、該前処理槽内に第一鉄化合物を供給するための第一鉄化合物供給口と、該前処理槽内に酸を供給するための酸供給口とを有する前処理槽と、
(b)上記前処理槽から排出される上記セレンを含む溶液を、一方向に流通させるための流路であって、該流路における所定の地点に、アルカリ剤を供給するためのアルカリ剤供給口を設けた流路と、
(c)上記流路から排出される上記セレンを含む溶液を固液分離するための固液分離手段と
を含むことを特徴とするセレンを含む溶液の処理装置。 - 上記流路(b)と上記固液分離手段(c)の間に、上記セレンを含む溶液を貯留して、該溶液中の固体分を沈澱させるための沈澱槽を有する請求項3に記載のセレンを含む溶液の処理装置。
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