JP2004275843A - 乾燥処理装置および乾燥処理方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】短時間で確実に処理対象面上の水を乾燥させて除去させることができ、装置の構造が簡単である乾燥処理装置および乾燥処理方法を提供すること。
【解決手段】被処理体20の処理対象面21に対して薬液が処理された後に、水により処理対象面21を洗浄して残った水を乾燥させるための乾燥処理装置10であり、被処理体20の処理対象面21側に、短パルスで光強度の高い光を照射することにより処理対象面21に残っている水を蒸発させる光照射部11と、光照射部11と被処理体20の処理対象面21の間にドライエアー40を送るための乾燥空気供給部13と、蒸発した水を光照射部11と処理対象面21の間から外部へ排気する排気動作部15とを備える。
【選択図】 図1
【解決手段】被処理体20の処理対象面21に対して薬液が処理された後に、水により処理対象面21を洗浄して残った水を乾燥させるための乾燥処理装置10であり、被処理体20の処理対象面21側に、短パルスで光強度の高い光を照射することにより処理対象面21に残っている水を蒸発させる光照射部11と、光照射部11と被処理体20の処理対象面21の間にドライエアー40を送るための乾燥空気供給部13と、蒸発した水を光照射部11と処理対象面21の間から外部へ排気する排気動作部15とを備える。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、基板のような被処理体の処理対象面に対して薬液が処理された後に、水により処理対象面を洗浄して残った水を乾燥させるための乾燥処理装置および乾燥処理方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
被処理体の例として、たとえば液晶表示体に用いられるガラス基板を例に挙げる。このガラス基板の処理対象面には、各種の必要な処理が行われる。
ガラス基板の処理対象面に対して薬液が処理された後に、この薬液はいわゆる純水リンス工程においてその残った薬液を除去することがある。その後、純水リンス工程において用いた純水は、乾燥工程において、処理対象面から乾燥して除去する必要がある。
従来、このような処理対象面に残った水は、いわゆるスピン方式により乾燥することがある。このスピン方式により乾燥する方式は、水を遠心力により振り切ることによって見かけ上、水を除去するようになっている(たとえば特許文献1。)。
またこのような水の除去には真空乾燥方式がある。この真空乾燥方式は、処理対象面に残った水を真空に引いて乾燥させる方式である(たとえば特許文献2。)。
【0003】
【特許文献1】
特開平5−2742号公報(第1頁、図1)
【特許文献2】
特開平7−193037号公報(第1頁、図1)
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、上述したスピン方式による水の乾燥および真空乾燥方式では次のような問題がある。
スピン方式による乾燥を用いると、被処理体の処理対象面に吸着している水分を完全に除去することが不可能である。このようにして処理対象面に残ってしまった水分は、次の工程で放出ガスとして悪影響を及ぼし、品質の問題や歩留まり低下を招くことがある。
【0005】
また真空乾燥方式による水の乾燥では、大掛かりな真空装置およびヒーターの両方を用いる必要があるので、消費エネルギーの増大を招く。しかも、乾燥に必要な処理時間が長く、スループットの低下を招いてしまう。
そこで本発明は上記課題を解消し、短時間で確実に処理対象面上の水を乾燥させて除去させることができ、装置の構造が簡単である乾燥処理装置および乾燥処理方法を提供することを目的としている。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明の乾燥処理装置は、被処理体の処理対象面に対して薬液が処理された後に、水により前記処理対象面を洗浄して残った前記水を乾燥させるための乾燥処理装置であり、前記被処理体の前記処理対象面側に、短パルスで光強度の高い光を照射することにより前記処理対象面に残っている前記水を蒸発させる光照射部と、前記光照射部と前記被処理体の前記処理対象面の間にドライエアーを送るための乾燥空気供給部と、前記蒸発した前記水を前記光照射部と前記処理対象面の間から外部へ排気する排気動作部と、を備えることを特徴とする。
【0007】
この発明によれば、光照射部は、被処理体の処理対象面側に、短パルスで光強度の高い光を照射することにより、処理対象面に残っている水を瞬時に蒸発させることができる。
乾燥空気供給部は、光照射部と被処理体の処理対象面の間にドライエアーを送りながら、上述した光照射部から光を処理対象面側に照射する。これによって、処理対象面から蒸発した水分が結露しないようにして、水分が処理対象面に再付着するのを防止する。排気動作部は、蒸発した水を外部に排出するようになっている。
【0008】
これにより、本発明の乾燥処理装置は、処理対象面に残っている水を短時間で確実に処理対象面から蒸発させて光照射部と処理対象面の間から外部に排出することができる。しかも、乾燥空気供給部からドライエアーを光照射部から処理対象面の間に送っているので、処理対象面から蒸発した水分が結露せずに、処理対象面に水分が再付着するのを確実に防止することができる。
本発明の乾燥処理装置は、真空装置内に配置する必要がないので、構造が簡単であり、処理対象面上の水を確実に乾燥して除去させることができる。
【0009】
上記構成において、前記被処理体の前記処理対象面には、前記光を反射する光反射膜が形成されており、前記水は前記光反射膜の上に膜を形成していることを特徴とすることが望ましい。
このような構成によれば、被処理体の処理対象面には、光を反射する光反射膜が形成されている。水は光反射膜の上に膜を形成している。
これによって、光照射部からの光は、水を通って光反射膜により反射されて再び水に到達する。これによって、水は、光照射部からの光を直接受けるとともに、光反射膜で反射する光を再び受ける。これによって水は、光照射部からの光をより効率よく利用しながら確実に処理対象面から蒸発させることができる。
【0010】
上記構成において、光を通す前記被処理体の第1面は、前記光照射部に対面しており、前記第1面である前記処理対象面には、前記水が膜を形成しており、前記被処理体の前記第1面とは反対側の第2面側には、前記光を反射する光反射膜が形成されていることを特徴とすることが望ましい。
このような構成によれば、被処理体の第1面は光照射部に対面している。第1面である処理対象面には、水の膜が形成されている。被処理体の第1面とは反対側の第2面には、光を反射する光反射膜が形成されている。
これにより、光照射部の光は、水の膜を通り光を通す被処理体の第1面から第2面側に到達する。この光は、第2面側の光反射膜で反射された後に、再び第1面側の水の膜に達する。
したがって、水の膜は、光照射部からの光と光反射膜で反射された光を有効に利用して確実に蒸発させることができる。
【0011】
上記構成において、前記被処理体の前記処理対象面には、前記光を吸収する光吸収膜が形成されており、前記水は前記光吸収膜の上に膜を形成していることを特徴とすることが望ましい。
このような構成によれば、被処理体の処理対象面には、光を吸収する光吸収膜が形成されている。水は光吸収膜の上に膜を形成している。
これにより光照射部の光は、水の膜を通って光吸収膜側に吸収される。したがって水は、光照射部の光により効率よく処理対象面から蒸発させることができる。
【0012】
上記構成において、前記光照射部は、フラッシュランプと、前記フラッシュランプが発生する前記光を前記処理対象面側に反射する反射材と、を有することを特徴とすることが望ましい。
このような構成によれば、光照射部のフラッシュランプは、短パルスで光強度の高い光を照射するが、この際にはこの光を反射材が処理対象面側に反射する。これによって、光照射部の光は効率よく処理対象面側に供給することができる。
【0013】
本発明の乾燥処理方法は、被処理体の処理対象面に対して薬液が処理された後に、水により前記処理対象面を洗浄して残った前記水を乾燥させるための乾燥処理方法であり、乾燥空気供給部から、光照射部と前記被処理体の前記処理対象面の間にドライエアーを送りながら、前記光照射部が、前記被処理体の前記処理対象面側に短パルスで光強度の高い光を照射することにより、前記処理対象面に残っている前記水を蒸発させる乾燥処理ステップと、排気動作部が前記蒸発した前記水を前記光照射部と前記被処理体の間から外部に排気する排気動作ステップと、を含むことを特徴とする。
【0014】
この発明によれば、乾燥処理ステップでは、ドライエアーが、乾燥空気供給部から光照射部と被処理体の処理対象面の間に送られる。しかも、光照射部が被処理体の処理対象面側に短パルスで光強度の高い光を照射することにより、処理対象面に残っている水を確実に蒸発させる。
排気動作ステップは、乾燥処理ステップと同時もしくは乾燥処理ステップよりやや後で行うことができる。排気動作ステップでは、排気動作部が蒸発した水を光照射部と被処理体の間から外部に排気する。
【0015】
これにより、本発明の乾燥処理装置は、処理対象面に残っている水を短時間で確実に処理対象面から蒸発させて光照射部と処理対象面の間から外部に排出することができる。しかも、乾燥空気供給部からドライエアーを光照射部から処理対象面の間に送っているので、処理対象面から蒸発した水分が結露せずに、処理対象面に水分が再付着するのを確実に防止することができる。
本発明の乾燥処理方法は、真空装置内で行う必要がないので、乾燥処理装置の構造が簡単になり、処理対象面上の水を確実に乾燥して除去させることができる。
【0016】
上記構成において、前記被処理体の前記処理対象面には、前記光を反射する光反射膜が形成されており、前記水は前記光反射膜の上に膜を形成していることを特徴とすることが望ましい。
このような構成によれば、被処理体の処理対象面には、光を反射する光反射膜が形成されている。水は光反射膜の上に膜を形成している。
これによって、光照射部からの光は、水を通って光反射膜により反射されて再び水に到達する。これによって、水は、光照射部からの光を直接受けるとともに、光反射膜で反射する光を再び受ける。これによって水は、光照射部からの光をより効率よく利用しながら確実に処理対象面から蒸発させることができる。
【0017】
上記構成において、光を通す前記被処理体の第1面は、前記光照射部に対面しており、前記第1面である前記処理対象面には、前記水が膜を形成しており、前記被処理体の前記第1面とは反対側の第2面側には、前記光を反射する光反射膜が形成されていることを特徴とすることが望ましい。
このような構成によれば、被処理体の第1面は光照射部に対面している。第1面である処理対象面には、水の膜が形成されている。被処理体の第1面とは反対側の第2面には、光を反射する光反射膜が形成されている。
これにより、光照射部の光は、水の膜を通り光を通す被処理体の第1面から第2面側に到達する。この光は、第2面側の光反射膜で反射された後に、再び第1面側の水の膜に達する。
したがって、水の膜は、光照射部からの光と光反射膜で反射された光を有効に利用して確実に蒸発させることができる。
【0018】
上記構成において、前記被処理体の前記処理対象面には、前記光を吸収する光吸収膜が形成されており、前記水は前記光吸収膜の上に膜を形成していることを特徴とすることが望ましい。
このような構成によれば、被処理体の処理対象面には、光を吸収する光吸収膜が形成されている。水は光吸収膜の上に膜を形成している。
これにより光照射部の光は、水の膜を通って光吸収膜側に吸収される。したがって水は、光照射部の光により効率よく処理対象面から蒸発させることができる。
【0019】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の好適な実施形態を図面に基づいて説明する。
第1の実施形態
図1は、本発明の乾燥処理装置の第1の実施形態を示している。図2は、図1の乾燥処理装置を利用した乾燥処理方法の一例を示すフロー図である。
図1の乾燥処理装置10は、光照射部11と、乾燥空気供給部13および排気動作部15を有している。
この乾燥処理装置10は、被処理体20の処理対象面21側に残っている水の膜(水の被膜ともいう)23を乾燥して除去するための装置である。
【0020】
まず被処理体20の一例について説明する。
被処理体20は、図1においては図示の簡略化のために一部分を示している。
被処理体20は、たとえば液晶表示体の一部分を構成する基板25を有している。この基板25は、たとえば光を通すガラス基板である。
基板25の処理対象面21には、すでに光反射膜27が形成されている。この光反射膜27は、たとえばアルミニウムの膜である。しかしこの光反射膜27は、光を反射する金属膜であればアルミニウム膜に限らず他の種類の膜であっても勿論構わない。
光反射膜27は、反射面あるいは金属膜とも呼んでいる。
【0021】
光反射膜27の上には水の膜23が形成されている。この水の膜23は、光反射膜27を成膜した後に、薬液処理を行っているが、この薬液を純水を用いてリンスを行った際に残っている水の膜である。
図1に示す乾燥処理装置10は、この水の膜23を光反射膜27から乾燥して完全に除去するために用いられる。
【0022】
次に、光照射部11の構造について説明する。
光照射部11は、複数本のランプ31を有している。これらのランプ31は、図1においてX方向に沿って等しい間隔をおいて配列されている。ランプ31は、図1の紙面垂直方向に関して長く形成されているランプである。ランプ31の本数は、図1の例ではたとえば6本図示されているが、これに限らず5本以下であってもあるいは7本以上であっても構わない。
【0023】
ランプ31は、短パルスでかつ光強度の高い照射光(光)33を、被処理体20の水の膜23側に照射するためのランプである。
ランプ31は、短パルスでかつ光強度の高い光を発生するランプである。ランプ31の種類としては、たとえばフラッシュランプである。フラッシュランプの種類としては、たとえばキセノンランプであり、その波長域は近紫外線乃至可視光、そして近赤外線領域までを有している。
【0024】
ランプ31は、電源37から高圧パルスを印加すると、ランプ内部に封入されたキセノン気体が一瞬にして絶縁破壊を起こす。この破壊が、コンデンサに蓄積された電気エネルギーを極めて短い時間の間にランプ内に一挙に放出し、この時、照射光33が生じる。
このランプ31が発生する光のパルス幅は、たとえばmsec(ミリ秒)オーダのパルス幅の光を発生する。
【0025】
フラッシュランプの種類としては、キセノンランプ、メタルハライドランプ、クリプトンランプ、キセノン―水銀ランプ等である。
このランプ31が、たとえばキセノンフラッシュランプである場合には、その光の照射時間は、たとえば上述したようにmsec(ミリ秒)オーダであり、このランプ31の照射光33は、好ましくはたとえば図示しないフロスト板により散乱されて均一化された後に、図1に示す被処理体20の水の膜23側へ照射される。
【0026】
ランプ31は、電源37に対して電気的に接続されている。この電源37は、各ランプ31に対して電力を供給する。この電源37は、制御部100により動作が制御される。
光照射部11は、これらのランプ31の他に反射材39を有している。この反射材39は、各ランプ31の発生する光を水の膜23側に効率よく反射させるためのものである。これによってランプ31が発生する光は、照射光33として水の膜23と光反射膜27側に供給できるようになっている。
【0027】
次に、図1に示す乾燥空気供給部13について説明する。
乾燥空気供給部13は、ドライエアー40を、光照射部11のランプ31と被処理体20の水の膜23の間に供給するようになっている。このようにドライエアー40が光照射部11と水の膜23の間に供給されることにより、次のようなメリットがある。すなわち、水の膜23が照射光33により蒸発されて、ランプ31と光反射膜27の間に蒸気となった状態で、ドライエアー40が供給されることにより、ドライエアー40は、蒸発した水分が結露しないようにする。この結果、蒸発した水分が、光反射膜27側に再付着しないようにすることができる。
【0028】
次に、図1の排気動作部15について説明する。
排気動作部15は、反射材39の排気接続部50に接続されている。この排気動作部は、たとえば真空吸引ポンプのようなものである。排気動作部15が作動することにより、水の膜23が照射光33により蒸発すると、この反射材39の排気接続部50を通して、この蒸発した水分は、光反射膜27と光照射部11の間から外部に強制的に排出することができるものである。
この時、反射材39は蒸発した水分を排気動作部50へ導くためのガイド部材の役割をする。
【0029】
これによって、蒸発した水が光照射部11と被処理体20の間に残ることがなく、処理対象面21の光反射膜27の上には水が残らずに、水分を確実に乾燥して外部に除去することができる。
排気動作部15、電源37および乾燥空気供給部13は、制御部100によりその動作が制御される。
【0030】
次に、図2を参照しながら本発明の乾燥処理方法の一例について説明する。
図2は、乾燥処理方法のフロー図であるが、薬液処理ステップST1から被処理体の除去ステップST6まで含んでいる。
図2の薬液処理ステップST1では、被処理体20の基板25の処理対象面21の光反射膜27に対して薬液を処理する。この薬液としては、たとえば有機溶剤、硫酸、アンモニア過水などの他に、フッ酸系、アミン系、ショウ酸系、オゾン系の薬液でもよい。また、薬液として純水を用いることで、純水洗浄もあり得る。
【0031】
この薬液処理を行った後に、被処理体20の光反射膜27に対して、薬液処理後の純水リンス洗浄処理ステップST2を行う。この純水リンス洗浄処理ステップST2では、薬液処理を行った後の光反射膜27に残っている薬液を純水により洗浄する。
この際に、水が水の膜23として光反射膜27の上に残ってしまう。この水の膜23が光反射膜27に残ってしまうと、後工程において、たとえば放出ガスとして品質に対して悪影響を及ぼしたり、歩留まりの低下を招くことがある。
そこで、この残った水の膜23は、図1に示す乾燥処理装置10により乾燥させる。
【0032】
まず図2の被処理体の配置ステップST3では、被処理体20が図1に示すような状態で、光照射部11に対して対面して配置される。この場合に水の膜23は、光照射部11側に配置される。つまり光照射部11は水の膜23と光反射膜27に対面した状態になる。基板25の処理対象面21は第1面に相当し、その第1面の反対側の第2面57は、ステージ55の上に置かれている。
【0033】
図2に示す乾燥処理ステップST4では、乾燥空気供給部13が、光照射部11と被処理体20の処理対象面21側の水の膜23の間にドライエアー40を供給する。光照射部11の電源37から電力が供給されることにより、ランプ31は、短パルスで光強度の高い照射光33を水の膜23側に照射する。
照射光33は水の膜23を通り光反射膜27によりたとえばほぼ99%近く反射されて反射光60になる。このために光反射膜27は、照射光33による熱の影響はほとんど受けない。
【0034】
水の膜23は、照射光33とその反射光60とにより加熱される。つまり、光反射膜27で反射した反射光60は、再度水の膜23を通過するために、水の膜23は、照射光33と反射光60の両方を吸収する。このことから、照射光33と反射光60は、効率的に水の温度上昇に使うことができる。水の膜23は、短波長の吸収が大きいために、より短波長にピークのある光の照射が効果的である。
【0035】
水の膜23は、照射光33と反射光60により、一瞬にして水温が上昇して100℃以上に達して、水蒸気となって蒸発する。蒸気となった水分は、ドライエアー40の供給により再結露することなく、光反射膜27に再付着することもない。
蒸発した水分は、図2に示す排気動作ステップST5により反射材39の排気接続部50を通じて、光照射部11と被処理体20の間から外部に排出されることになる。この排気動作ステップST5は、乾燥処理ステップST4と同時に行ってもよいし、乾燥処理ステップST4が始まった後にややずれて行っても勿論構わない。
【0036】
このようにして水の膜23は、照射光33と反射光60を用いて、瞬時に蒸発させることにより、処理対象面21の光反射膜27を乾燥させることができる。
このために、光反射膜27においていわゆるウォーターマークの形成がなく、高品位の乾燥が可能である。このウォーターマークとは、塵埃を含んでいる水の膜23が、水の蒸発とともに塵埃が集中してしまい、この塵埃を含む小さな水の固まりが自然酸化することにより酸化膜ができてしまうことである。
【0037】
このようなウォーターマーク現象は、本発明の乾燥処理装置10を用いることにより、水の膜23を瞬時に蒸発させることができることからその発生をなくすことができる。そして照射光33と反射光60は、いわゆる水の突沸現象および塵埃などの異物の光吸収効果により、水の膜23を蒸発させながら異物の除去も同時に可能である。
【0038】
上述したようにして、水の膜23の乾燥処理ステップST4および排気動作ステップST5が終了すると、図2に示す被処理体の除去ステップST6に移る。この除去ステップST6では、乾燥処理後の被処理体20が、光照射部11の対面する位置から除去される。
上述したような手順を繰り返すことにより、被処理体20の水の膜23は効率よく乾燥して除去することができる。
【0039】
第2の実施形態
次に、図3を参照しながら本発明の乾燥処理装置の第2の実施形態について説明する。
図3に示す乾燥処理装置10の構造は、図1に示す乾燥処理装置10の構造と同じである。
図3の第2の実施形態が、図1の第1の実施形態と異なるのは、被処理体120の構造である。
【0040】
図3に示す被処理体120は、基板125を有している。この基板125は、第1面である処理対象面121と、第2面157を有している。処理対象面121は、第2面157とは反対の面である。
第2面157は、ステージ155の搭載面156上に着脱可能に置かれている。ステージ155の搭載面156は、鏡面であり、照射光33を効率よく反射できるものである。
【0041】
基板125は、光を通すたとえば透明のガラス基板である。基板125の処理対象面121には、水の膜23が存在している。図3に示す第2の実施形態において、図1の第1の実施形態の場合の乾燥処理方法と異なるのは、照射光33が被処理体120を通る経路である。
光照射部11のランプ31が照射光33を水の膜23側に照射すると、照射光33は水の膜23を通りかつ透明の基板125を通って、ステージ155の搭載面156まで到達する。この搭載面156は光反射膜としての機能を果たすので、照射光33は、搭載面156において反射光160として反射する。この反射光160は、基板125と水の膜23を再び通る。
これによって、水の膜23は、照射光33と反射光160により効率よく加熱されるので、照射光33を有効に利用して確実に蒸発できる。
【0042】
図3におけるその他の構成部分は、図1の対応する構成部分と同じであるのでその構造の説明および作用の説明を用いることにする。
なお、基板125の第2面157に対してアルミニウムのような光反射膜を形成するようにすれば、ステージ155の搭載面156に光反射膜の性能(鏡面)を形成する必要はなくなる。
【0043】
第3の実施形態
次に、図4を参照しながら、乾燥処理装置10の第3の実施形態について説明する。
図4に示す乾燥処理装置の第3の実施形態は、図1に示す乾燥処理装置10とは同じものである。図4の第3の実施形態が図1の第1の実施形態と異なるのは、被処理体220の構造である。
被処理体220の基板225は、たとえばガラス基板である。基板225の処理対象面221(第1面に相当)には、光吸収膜300が形成されている。この光吸収膜300の上には水の膜23が存在している。基板225の第2面257は、ステージ55の上に着脱可能に載せてある。
【0044】
このような被処理体220の構造を採用することにより、光照射部11のランプ31が発生する照射光33は、水の膜23を通過しそして光吸収膜300により吸収される。
この光吸収膜300は、たとえば光をよりよく吸収する材質で作られた層でたとえばSi3N4,Ta3N5などである。照射光33が水の膜23を通過した後に、水の膜23により吸収できなかった照射光33は、光吸収膜300により吸収される。光吸収膜300は、照射光33を吸収すると過熱して、一時的に100℃以上にでき、この光吸収膜300は水の膜23を100℃以上に加熱する。
このように、光吸収膜300を利用することにより、照射光33が水の膜23に吸収されないもしくは吸収されにくい波長であっても、照射光33は光吸収膜300により吸収できる波長であれば、水の膜23を確実に乾燥して蒸発させることができる。
【0045】
本発明の乾燥処理装置は、照射光33が短パルスでかつ光強度の高い光であり、この光を利用して水の膜23を短時間で蒸発させて乾燥することができる。水の膜23は瞬時に乾燥できるので、上述したようなウォーターマークの形成がない。照射光33は短パルスで光強度の高い光なので、水の膜23は極めて急に温度変化が与えられて過熱される。基板25の熱容量は大きいので、実質的に基板25全体の温度上昇には至らずに、基板25および光反射膜27への温度ダメージが少ない。
【0046】
図1に示す電源37からランプ31側へ与える電力のパルス幅をコントロールすることにより、基板25の処理対象面21側の水の膜23のみの乾燥・蒸発処理が可能になる。したがって被処理体20の基板25が、ガラス基板のような基板ではなく、ガラスよりも低融点の材料、たとえばプラスチックのような材料を用いても、プラスチック基板上の水の膜23の乾燥・蒸発が可能である。
【0047】
基板25の上に、図4に示すように光を吸収する膜300がある場合には、短パルスでかつ高い光強度を有する光を照射して、基板の表面を瞬時に100℃以上の状態にすることができる。したがって光吸収膜(光吸収層ともいう)300は、間接的に光吸収膜300の上の表面に残っている水の膜23を瞬時に蒸発させることができる。
【0048】
このように、本発明の乾燥処理装置は、薬液処理を行った後の純水リンス工程の乾燥工程において、短パルスでかつ光強度の高い光を照射することにより、瞬時に純水の沸点以上にすることができる。したがって、洗浄後に形成された水の膜23は、完全に蒸発して乾燥させることができる。
環境負荷の低減が叫ばれるようになってきているので、本発明の乾燥処理装置は、低エネルギー、低コストおよび高いスループットで、しかも品質の高い乾燥処理を実施することができる。
【0049】
第4の実施形態
図5は、本発明の乾燥処理装置10の第4の実施形態を示している。
図5に示す乾燥処理装置10の構成要素が、図1に示す乾燥処理装置10の構成要素と同じ個所には同じ符号を記してその説明を用いる。
図5の第4の実施形態で特徴的なのは、基板125の第1面21と第2面157のいずれにおいても水の膜23が形成されていることである。したがって、第1面21と第2面157は、ともに処理対象面である。
【0050】
この基板125の両面にある水の膜23,23に対応して、それぞれ光照射部11,11が対面して配置されている。乾燥空気供給部13は、ドライエアー40を、光照射部11と第1面21の水の膜23の間および、もう1つの光照射部11と第2面157の水の膜23側の間にそれぞれ供給するようになっている。
このようにすることで、基板125の第1面21の水の膜23と、第2面157の水の膜23は、対面する光照射部11,11の照射光33により完全に蒸発して乾燥させることができる。なお、第4の実施形態の基板125の材質としては、たとえばガラスやシリコンなどを採用することができる。
【0051】
第5の実施形態
図6は、本発明の乾燥処理装置10の第5の実施形態を示している。
図6に示す乾燥処理装置10の構成要素が、図1に示す乾燥処理装置10の構成要素と同じ個所には同じ符号を記してその説明を用いる。
図6に示す第5の実施形態では、基板125の第1面121と第2面157のそれぞれに水の膜23が形成されている。光照射部11は、処理対象面の第1面121の水の膜23側に対面している。
【0052】
これに対して、光反射板27が、たとえばステージ155の上に搭載されている。この光反射板27は、たとえばアルミニウム反射板であり、第2面157の水の膜23に対面して、しかもクリアランスCLを空けるようにして平行に配置されている。光照射部11が発生する照射光33は、基板125の第1面121側に到達することにより、水の膜23を完全に蒸発させることができる。
【0053】
しかも、照射光33は、水の膜23、基板125を通過して、さらに第2面157の水の膜23をも通過して、光反射板27により反射されて反射光359になる。この反射光359が、第2面157の水の膜23に照射されることにより、第2面157の水の膜23は完全に蒸発させることができる。
この実施形態においては、やはり乾燥空気供給部13はドライエアー40を、光照射部11と第1面121の水の膜23の間および第2面157の水の膜23と光反射板27の間に供給するようになっている。
第5の実施形態では、基板125は透明の材質、たとえばガラスで作られている。
【0054】
第6の実施形態
図7は、本発明の乾燥処理装置10の第6の実施形態を示している。
図7の乾燥処理装置10の構成要素が、図1の乾燥処理装置10の構成要素と同じ個所には同じ符号を記してその説明を用いる。
図7に示す第6の実施形態では、図5の第4の実施形態と同様にして、基板125の第1面21側と、第2面157側とに対してそれぞれ光照射部11が対面して配置されている。図7に示す第6の実施形態が図5に示す第4の実施形態と異なるのは、基板125の第1面21と水の膜23の間に光反射膜27が追加して形成されていることである。この光反射膜27は、金属膜であり、たとえばアルミニウム膜である。
【0055】
このような構造にすることで、第1面21側の光照射部11の照射光33は、水の膜23を通過し、光反射膜27により反射されて反射光160となって水の膜23を加熱して完全に蒸発させることができる。
一方、第2面157の光照射部11は、照射光33を第2面157の水の膜23に照射することにより、第2面157の水の膜23は完全に蒸発させることができる。この照射光33は、たとえば透明な基板125を通過して光反射膜27まで達する。
図5と図7に用いられている一方の光照射部11と他方の光照射部11の構造は、同様な構造を採用することができる。
【0056】
ところで、被処理体20の基板の種類は、ガラス、プラスチックに限らず、たとえばセラミックスなどであっても構わない。
また、被処理体20に照射する短パルスは、1パルスだけでなく、複数回連続で照射してもかまわず、その照射波形が、尖頭波形や、矩形波形であっても同様な効果を有することは言うまでもない。
被処理体20が適用されるものは、たとえば液晶表示体の他に、有機EL(エレクトロルミネッセンス)表示装置、PDP(プラズマディスプレイパネル)表示装置、その他の表示装置あるいはその他の種類の電子機器を含んでいる。
本発明は、上記実施形態に限定されず、特許請求の範囲を逸脱しない範囲で種々の変更を行うことができる。
上記実施形態の各構成は、その一部を省略したり、上記とは異なるように任意に組み合わせることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の乾燥処理装置の第1の実施形態を示す図。
【図2】図1の乾燥処理装置を用いて行う乾燥処理方法の一例を示すフロー図。
【図3】本発明の乾燥処理装置の第2の実施形態を示す図。
【図4】本発明の乾燥処理装置の第3の実施形態を示す図。
【図5】本発明の乾燥処理装置の第4の実施形態を示す図。
【図6】本発明の乾燥処理装置の第5の実施形態を示す図。
【図7】本発明の乾燥処理装置の第6の実施形態を示す図。
【符号の説明】
10・・・乾燥処理装置、11・・・光照射部、13・・・乾燥空気供給部、15・・・排気動作部、20・・・被処理体、21・・・処理対象面、23・・・水の膜、25・・・基板、27・・・光反射膜、31・・・ランプ、39・・・反射材、40・・・ドライエアー
【発明の属する技術分野】
本発明は、基板のような被処理体の処理対象面に対して薬液が処理された後に、水により処理対象面を洗浄して残った水を乾燥させるための乾燥処理装置および乾燥処理方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
被処理体の例として、たとえば液晶表示体に用いられるガラス基板を例に挙げる。このガラス基板の処理対象面には、各種の必要な処理が行われる。
ガラス基板の処理対象面に対して薬液が処理された後に、この薬液はいわゆる純水リンス工程においてその残った薬液を除去することがある。その後、純水リンス工程において用いた純水は、乾燥工程において、処理対象面から乾燥して除去する必要がある。
従来、このような処理対象面に残った水は、いわゆるスピン方式により乾燥することがある。このスピン方式により乾燥する方式は、水を遠心力により振り切ることによって見かけ上、水を除去するようになっている(たとえば特許文献1。)。
またこのような水の除去には真空乾燥方式がある。この真空乾燥方式は、処理対象面に残った水を真空に引いて乾燥させる方式である(たとえば特許文献2。)。
【0003】
【特許文献1】
特開平5−2742号公報(第1頁、図1)
【特許文献2】
特開平7−193037号公報(第1頁、図1)
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、上述したスピン方式による水の乾燥および真空乾燥方式では次のような問題がある。
スピン方式による乾燥を用いると、被処理体の処理対象面に吸着している水分を完全に除去することが不可能である。このようにして処理対象面に残ってしまった水分は、次の工程で放出ガスとして悪影響を及ぼし、品質の問題や歩留まり低下を招くことがある。
【0005】
また真空乾燥方式による水の乾燥では、大掛かりな真空装置およびヒーターの両方を用いる必要があるので、消費エネルギーの増大を招く。しかも、乾燥に必要な処理時間が長く、スループットの低下を招いてしまう。
そこで本発明は上記課題を解消し、短時間で確実に処理対象面上の水を乾燥させて除去させることができ、装置の構造が簡単である乾燥処理装置および乾燥処理方法を提供することを目的としている。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明の乾燥処理装置は、被処理体の処理対象面に対して薬液が処理された後に、水により前記処理対象面を洗浄して残った前記水を乾燥させるための乾燥処理装置であり、前記被処理体の前記処理対象面側に、短パルスで光強度の高い光を照射することにより前記処理対象面に残っている前記水を蒸発させる光照射部と、前記光照射部と前記被処理体の前記処理対象面の間にドライエアーを送るための乾燥空気供給部と、前記蒸発した前記水を前記光照射部と前記処理対象面の間から外部へ排気する排気動作部と、を備えることを特徴とする。
【0007】
この発明によれば、光照射部は、被処理体の処理対象面側に、短パルスで光強度の高い光を照射することにより、処理対象面に残っている水を瞬時に蒸発させることができる。
乾燥空気供給部は、光照射部と被処理体の処理対象面の間にドライエアーを送りながら、上述した光照射部から光を処理対象面側に照射する。これによって、処理対象面から蒸発した水分が結露しないようにして、水分が処理対象面に再付着するのを防止する。排気動作部は、蒸発した水を外部に排出するようになっている。
【0008】
これにより、本発明の乾燥処理装置は、処理対象面に残っている水を短時間で確実に処理対象面から蒸発させて光照射部と処理対象面の間から外部に排出することができる。しかも、乾燥空気供給部からドライエアーを光照射部から処理対象面の間に送っているので、処理対象面から蒸発した水分が結露せずに、処理対象面に水分が再付着するのを確実に防止することができる。
本発明の乾燥処理装置は、真空装置内に配置する必要がないので、構造が簡単であり、処理対象面上の水を確実に乾燥して除去させることができる。
【0009】
上記構成において、前記被処理体の前記処理対象面には、前記光を反射する光反射膜が形成されており、前記水は前記光反射膜の上に膜を形成していることを特徴とすることが望ましい。
このような構成によれば、被処理体の処理対象面には、光を反射する光反射膜が形成されている。水は光反射膜の上に膜を形成している。
これによって、光照射部からの光は、水を通って光反射膜により反射されて再び水に到達する。これによって、水は、光照射部からの光を直接受けるとともに、光反射膜で反射する光を再び受ける。これによって水は、光照射部からの光をより効率よく利用しながら確実に処理対象面から蒸発させることができる。
【0010】
上記構成において、光を通す前記被処理体の第1面は、前記光照射部に対面しており、前記第1面である前記処理対象面には、前記水が膜を形成しており、前記被処理体の前記第1面とは反対側の第2面側には、前記光を反射する光反射膜が形成されていることを特徴とすることが望ましい。
このような構成によれば、被処理体の第1面は光照射部に対面している。第1面である処理対象面には、水の膜が形成されている。被処理体の第1面とは反対側の第2面には、光を反射する光反射膜が形成されている。
これにより、光照射部の光は、水の膜を通り光を通す被処理体の第1面から第2面側に到達する。この光は、第2面側の光反射膜で反射された後に、再び第1面側の水の膜に達する。
したがって、水の膜は、光照射部からの光と光反射膜で反射された光を有効に利用して確実に蒸発させることができる。
【0011】
上記構成において、前記被処理体の前記処理対象面には、前記光を吸収する光吸収膜が形成されており、前記水は前記光吸収膜の上に膜を形成していることを特徴とすることが望ましい。
このような構成によれば、被処理体の処理対象面には、光を吸収する光吸収膜が形成されている。水は光吸収膜の上に膜を形成している。
これにより光照射部の光は、水の膜を通って光吸収膜側に吸収される。したがって水は、光照射部の光により効率よく処理対象面から蒸発させることができる。
【0012】
上記構成において、前記光照射部は、フラッシュランプと、前記フラッシュランプが発生する前記光を前記処理対象面側に反射する反射材と、を有することを特徴とすることが望ましい。
このような構成によれば、光照射部のフラッシュランプは、短パルスで光強度の高い光を照射するが、この際にはこの光を反射材が処理対象面側に反射する。これによって、光照射部の光は効率よく処理対象面側に供給することができる。
【0013】
本発明の乾燥処理方法は、被処理体の処理対象面に対して薬液が処理された後に、水により前記処理対象面を洗浄して残った前記水を乾燥させるための乾燥処理方法であり、乾燥空気供給部から、光照射部と前記被処理体の前記処理対象面の間にドライエアーを送りながら、前記光照射部が、前記被処理体の前記処理対象面側に短パルスで光強度の高い光を照射することにより、前記処理対象面に残っている前記水を蒸発させる乾燥処理ステップと、排気動作部が前記蒸発した前記水を前記光照射部と前記被処理体の間から外部に排気する排気動作ステップと、を含むことを特徴とする。
【0014】
この発明によれば、乾燥処理ステップでは、ドライエアーが、乾燥空気供給部から光照射部と被処理体の処理対象面の間に送られる。しかも、光照射部が被処理体の処理対象面側に短パルスで光強度の高い光を照射することにより、処理対象面に残っている水を確実に蒸発させる。
排気動作ステップは、乾燥処理ステップと同時もしくは乾燥処理ステップよりやや後で行うことができる。排気動作ステップでは、排気動作部が蒸発した水を光照射部と被処理体の間から外部に排気する。
【0015】
これにより、本発明の乾燥処理装置は、処理対象面に残っている水を短時間で確実に処理対象面から蒸発させて光照射部と処理対象面の間から外部に排出することができる。しかも、乾燥空気供給部からドライエアーを光照射部から処理対象面の間に送っているので、処理対象面から蒸発した水分が結露せずに、処理対象面に水分が再付着するのを確実に防止することができる。
本発明の乾燥処理方法は、真空装置内で行う必要がないので、乾燥処理装置の構造が簡単になり、処理対象面上の水を確実に乾燥して除去させることができる。
【0016】
上記構成において、前記被処理体の前記処理対象面には、前記光を反射する光反射膜が形成されており、前記水は前記光反射膜の上に膜を形成していることを特徴とすることが望ましい。
このような構成によれば、被処理体の処理対象面には、光を反射する光反射膜が形成されている。水は光反射膜の上に膜を形成している。
これによって、光照射部からの光は、水を通って光反射膜により反射されて再び水に到達する。これによって、水は、光照射部からの光を直接受けるとともに、光反射膜で反射する光を再び受ける。これによって水は、光照射部からの光をより効率よく利用しながら確実に処理対象面から蒸発させることができる。
【0017】
上記構成において、光を通す前記被処理体の第1面は、前記光照射部に対面しており、前記第1面である前記処理対象面には、前記水が膜を形成しており、前記被処理体の前記第1面とは反対側の第2面側には、前記光を反射する光反射膜が形成されていることを特徴とすることが望ましい。
このような構成によれば、被処理体の第1面は光照射部に対面している。第1面である処理対象面には、水の膜が形成されている。被処理体の第1面とは反対側の第2面には、光を反射する光反射膜が形成されている。
これにより、光照射部の光は、水の膜を通り光を通す被処理体の第1面から第2面側に到達する。この光は、第2面側の光反射膜で反射された後に、再び第1面側の水の膜に達する。
したがって、水の膜は、光照射部からの光と光反射膜で反射された光を有効に利用して確実に蒸発させることができる。
【0018】
上記構成において、前記被処理体の前記処理対象面には、前記光を吸収する光吸収膜が形成されており、前記水は前記光吸収膜の上に膜を形成していることを特徴とすることが望ましい。
このような構成によれば、被処理体の処理対象面には、光を吸収する光吸収膜が形成されている。水は光吸収膜の上に膜を形成している。
これにより光照射部の光は、水の膜を通って光吸収膜側に吸収される。したがって水は、光照射部の光により効率よく処理対象面から蒸発させることができる。
【0019】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の好適な実施形態を図面に基づいて説明する。
第1の実施形態
図1は、本発明の乾燥処理装置の第1の実施形態を示している。図2は、図1の乾燥処理装置を利用した乾燥処理方法の一例を示すフロー図である。
図1の乾燥処理装置10は、光照射部11と、乾燥空気供給部13および排気動作部15を有している。
この乾燥処理装置10は、被処理体20の処理対象面21側に残っている水の膜(水の被膜ともいう)23を乾燥して除去するための装置である。
【0020】
まず被処理体20の一例について説明する。
被処理体20は、図1においては図示の簡略化のために一部分を示している。
被処理体20は、たとえば液晶表示体の一部分を構成する基板25を有している。この基板25は、たとえば光を通すガラス基板である。
基板25の処理対象面21には、すでに光反射膜27が形成されている。この光反射膜27は、たとえばアルミニウムの膜である。しかしこの光反射膜27は、光を反射する金属膜であればアルミニウム膜に限らず他の種類の膜であっても勿論構わない。
光反射膜27は、反射面あるいは金属膜とも呼んでいる。
【0021】
光反射膜27の上には水の膜23が形成されている。この水の膜23は、光反射膜27を成膜した後に、薬液処理を行っているが、この薬液を純水を用いてリンスを行った際に残っている水の膜である。
図1に示す乾燥処理装置10は、この水の膜23を光反射膜27から乾燥して完全に除去するために用いられる。
【0022】
次に、光照射部11の構造について説明する。
光照射部11は、複数本のランプ31を有している。これらのランプ31は、図1においてX方向に沿って等しい間隔をおいて配列されている。ランプ31は、図1の紙面垂直方向に関して長く形成されているランプである。ランプ31の本数は、図1の例ではたとえば6本図示されているが、これに限らず5本以下であってもあるいは7本以上であっても構わない。
【0023】
ランプ31は、短パルスでかつ光強度の高い照射光(光)33を、被処理体20の水の膜23側に照射するためのランプである。
ランプ31は、短パルスでかつ光強度の高い光を発生するランプである。ランプ31の種類としては、たとえばフラッシュランプである。フラッシュランプの種類としては、たとえばキセノンランプであり、その波長域は近紫外線乃至可視光、そして近赤外線領域までを有している。
【0024】
ランプ31は、電源37から高圧パルスを印加すると、ランプ内部に封入されたキセノン気体が一瞬にして絶縁破壊を起こす。この破壊が、コンデンサに蓄積された電気エネルギーを極めて短い時間の間にランプ内に一挙に放出し、この時、照射光33が生じる。
このランプ31が発生する光のパルス幅は、たとえばmsec(ミリ秒)オーダのパルス幅の光を発生する。
【0025】
フラッシュランプの種類としては、キセノンランプ、メタルハライドランプ、クリプトンランプ、キセノン―水銀ランプ等である。
このランプ31が、たとえばキセノンフラッシュランプである場合には、その光の照射時間は、たとえば上述したようにmsec(ミリ秒)オーダであり、このランプ31の照射光33は、好ましくはたとえば図示しないフロスト板により散乱されて均一化された後に、図1に示す被処理体20の水の膜23側へ照射される。
【0026】
ランプ31は、電源37に対して電気的に接続されている。この電源37は、各ランプ31に対して電力を供給する。この電源37は、制御部100により動作が制御される。
光照射部11は、これらのランプ31の他に反射材39を有している。この反射材39は、各ランプ31の発生する光を水の膜23側に効率よく反射させるためのものである。これによってランプ31が発生する光は、照射光33として水の膜23と光反射膜27側に供給できるようになっている。
【0027】
次に、図1に示す乾燥空気供給部13について説明する。
乾燥空気供給部13は、ドライエアー40を、光照射部11のランプ31と被処理体20の水の膜23の間に供給するようになっている。このようにドライエアー40が光照射部11と水の膜23の間に供給されることにより、次のようなメリットがある。すなわち、水の膜23が照射光33により蒸発されて、ランプ31と光反射膜27の間に蒸気となった状態で、ドライエアー40が供給されることにより、ドライエアー40は、蒸発した水分が結露しないようにする。この結果、蒸発した水分が、光反射膜27側に再付着しないようにすることができる。
【0028】
次に、図1の排気動作部15について説明する。
排気動作部15は、反射材39の排気接続部50に接続されている。この排気動作部は、たとえば真空吸引ポンプのようなものである。排気動作部15が作動することにより、水の膜23が照射光33により蒸発すると、この反射材39の排気接続部50を通して、この蒸発した水分は、光反射膜27と光照射部11の間から外部に強制的に排出することができるものである。
この時、反射材39は蒸発した水分を排気動作部50へ導くためのガイド部材の役割をする。
【0029】
これによって、蒸発した水が光照射部11と被処理体20の間に残ることがなく、処理対象面21の光反射膜27の上には水が残らずに、水分を確実に乾燥して外部に除去することができる。
排気動作部15、電源37および乾燥空気供給部13は、制御部100によりその動作が制御される。
【0030】
次に、図2を参照しながら本発明の乾燥処理方法の一例について説明する。
図2は、乾燥処理方法のフロー図であるが、薬液処理ステップST1から被処理体の除去ステップST6まで含んでいる。
図2の薬液処理ステップST1では、被処理体20の基板25の処理対象面21の光反射膜27に対して薬液を処理する。この薬液としては、たとえば有機溶剤、硫酸、アンモニア過水などの他に、フッ酸系、アミン系、ショウ酸系、オゾン系の薬液でもよい。また、薬液として純水を用いることで、純水洗浄もあり得る。
【0031】
この薬液処理を行った後に、被処理体20の光反射膜27に対して、薬液処理後の純水リンス洗浄処理ステップST2を行う。この純水リンス洗浄処理ステップST2では、薬液処理を行った後の光反射膜27に残っている薬液を純水により洗浄する。
この際に、水が水の膜23として光反射膜27の上に残ってしまう。この水の膜23が光反射膜27に残ってしまうと、後工程において、たとえば放出ガスとして品質に対して悪影響を及ぼしたり、歩留まりの低下を招くことがある。
そこで、この残った水の膜23は、図1に示す乾燥処理装置10により乾燥させる。
【0032】
まず図2の被処理体の配置ステップST3では、被処理体20が図1に示すような状態で、光照射部11に対して対面して配置される。この場合に水の膜23は、光照射部11側に配置される。つまり光照射部11は水の膜23と光反射膜27に対面した状態になる。基板25の処理対象面21は第1面に相当し、その第1面の反対側の第2面57は、ステージ55の上に置かれている。
【0033】
図2に示す乾燥処理ステップST4では、乾燥空気供給部13が、光照射部11と被処理体20の処理対象面21側の水の膜23の間にドライエアー40を供給する。光照射部11の電源37から電力が供給されることにより、ランプ31は、短パルスで光強度の高い照射光33を水の膜23側に照射する。
照射光33は水の膜23を通り光反射膜27によりたとえばほぼ99%近く反射されて反射光60になる。このために光反射膜27は、照射光33による熱の影響はほとんど受けない。
【0034】
水の膜23は、照射光33とその反射光60とにより加熱される。つまり、光反射膜27で反射した反射光60は、再度水の膜23を通過するために、水の膜23は、照射光33と反射光60の両方を吸収する。このことから、照射光33と反射光60は、効率的に水の温度上昇に使うことができる。水の膜23は、短波長の吸収が大きいために、より短波長にピークのある光の照射が効果的である。
【0035】
水の膜23は、照射光33と反射光60により、一瞬にして水温が上昇して100℃以上に達して、水蒸気となって蒸発する。蒸気となった水分は、ドライエアー40の供給により再結露することなく、光反射膜27に再付着することもない。
蒸発した水分は、図2に示す排気動作ステップST5により反射材39の排気接続部50を通じて、光照射部11と被処理体20の間から外部に排出されることになる。この排気動作ステップST5は、乾燥処理ステップST4と同時に行ってもよいし、乾燥処理ステップST4が始まった後にややずれて行っても勿論構わない。
【0036】
このようにして水の膜23は、照射光33と反射光60を用いて、瞬時に蒸発させることにより、処理対象面21の光反射膜27を乾燥させることができる。
このために、光反射膜27においていわゆるウォーターマークの形成がなく、高品位の乾燥が可能である。このウォーターマークとは、塵埃を含んでいる水の膜23が、水の蒸発とともに塵埃が集中してしまい、この塵埃を含む小さな水の固まりが自然酸化することにより酸化膜ができてしまうことである。
【0037】
このようなウォーターマーク現象は、本発明の乾燥処理装置10を用いることにより、水の膜23を瞬時に蒸発させることができることからその発生をなくすことができる。そして照射光33と反射光60は、いわゆる水の突沸現象および塵埃などの異物の光吸収効果により、水の膜23を蒸発させながら異物の除去も同時に可能である。
【0038】
上述したようにして、水の膜23の乾燥処理ステップST4および排気動作ステップST5が終了すると、図2に示す被処理体の除去ステップST6に移る。この除去ステップST6では、乾燥処理後の被処理体20が、光照射部11の対面する位置から除去される。
上述したような手順を繰り返すことにより、被処理体20の水の膜23は効率よく乾燥して除去することができる。
【0039】
第2の実施形態
次に、図3を参照しながら本発明の乾燥処理装置の第2の実施形態について説明する。
図3に示す乾燥処理装置10の構造は、図1に示す乾燥処理装置10の構造と同じである。
図3の第2の実施形態が、図1の第1の実施形態と異なるのは、被処理体120の構造である。
【0040】
図3に示す被処理体120は、基板125を有している。この基板125は、第1面である処理対象面121と、第2面157を有している。処理対象面121は、第2面157とは反対の面である。
第2面157は、ステージ155の搭載面156上に着脱可能に置かれている。ステージ155の搭載面156は、鏡面であり、照射光33を効率よく反射できるものである。
【0041】
基板125は、光を通すたとえば透明のガラス基板である。基板125の処理対象面121には、水の膜23が存在している。図3に示す第2の実施形態において、図1の第1の実施形態の場合の乾燥処理方法と異なるのは、照射光33が被処理体120を通る経路である。
光照射部11のランプ31が照射光33を水の膜23側に照射すると、照射光33は水の膜23を通りかつ透明の基板125を通って、ステージ155の搭載面156まで到達する。この搭載面156は光反射膜としての機能を果たすので、照射光33は、搭載面156において反射光160として反射する。この反射光160は、基板125と水の膜23を再び通る。
これによって、水の膜23は、照射光33と反射光160により効率よく加熱されるので、照射光33を有効に利用して確実に蒸発できる。
【0042】
図3におけるその他の構成部分は、図1の対応する構成部分と同じであるのでその構造の説明および作用の説明を用いることにする。
なお、基板125の第2面157に対してアルミニウムのような光反射膜を形成するようにすれば、ステージ155の搭載面156に光反射膜の性能(鏡面)を形成する必要はなくなる。
【0043】
第3の実施形態
次に、図4を参照しながら、乾燥処理装置10の第3の実施形態について説明する。
図4に示す乾燥処理装置の第3の実施形態は、図1に示す乾燥処理装置10とは同じものである。図4の第3の実施形態が図1の第1の実施形態と異なるのは、被処理体220の構造である。
被処理体220の基板225は、たとえばガラス基板である。基板225の処理対象面221(第1面に相当)には、光吸収膜300が形成されている。この光吸収膜300の上には水の膜23が存在している。基板225の第2面257は、ステージ55の上に着脱可能に載せてある。
【0044】
このような被処理体220の構造を採用することにより、光照射部11のランプ31が発生する照射光33は、水の膜23を通過しそして光吸収膜300により吸収される。
この光吸収膜300は、たとえば光をよりよく吸収する材質で作られた層でたとえばSi3N4,Ta3N5などである。照射光33が水の膜23を通過した後に、水の膜23により吸収できなかった照射光33は、光吸収膜300により吸収される。光吸収膜300は、照射光33を吸収すると過熱して、一時的に100℃以上にでき、この光吸収膜300は水の膜23を100℃以上に加熱する。
このように、光吸収膜300を利用することにより、照射光33が水の膜23に吸収されないもしくは吸収されにくい波長であっても、照射光33は光吸収膜300により吸収できる波長であれば、水の膜23を確実に乾燥して蒸発させることができる。
【0045】
本発明の乾燥処理装置は、照射光33が短パルスでかつ光強度の高い光であり、この光を利用して水の膜23を短時間で蒸発させて乾燥することができる。水の膜23は瞬時に乾燥できるので、上述したようなウォーターマークの形成がない。照射光33は短パルスで光強度の高い光なので、水の膜23は極めて急に温度変化が与えられて過熱される。基板25の熱容量は大きいので、実質的に基板25全体の温度上昇には至らずに、基板25および光反射膜27への温度ダメージが少ない。
【0046】
図1に示す電源37からランプ31側へ与える電力のパルス幅をコントロールすることにより、基板25の処理対象面21側の水の膜23のみの乾燥・蒸発処理が可能になる。したがって被処理体20の基板25が、ガラス基板のような基板ではなく、ガラスよりも低融点の材料、たとえばプラスチックのような材料を用いても、プラスチック基板上の水の膜23の乾燥・蒸発が可能である。
【0047】
基板25の上に、図4に示すように光を吸収する膜300がある場合には、短パルスでかつ高い光強度を有する光を照射して、基板の表面を瞬時に100℃以上の状態にすることができる。したがって光吸収膜(光吸収層ともいう)300は、間接的に光吸収膜300の上の表面に残っている水の膜23を瞬時に蒸発させることができる。
【0048】
このように、本発明の乾燥処理装置は、薬液処理を行った後の純水リンス工程の乾燥工程において、短パルスでかつ光強度の高い光を照射することにより、瞬時に純水の沸点以上にすることができる。したがって、洗浄後に形成された水の膜23は、完全に蒸発して乾燥させることができる。
環境負荷の低減が叫ばれるようになってきているので、本発明の乾燥処理装置は、低エネルギー、低コストおよび高いスループットで、しかも品質の高い乾燥処理を実施することができる。
【0049】
第4の実施形態
図5は、本発明の乾燥処理装置10の第4の実施形態を示している。
図5に示す乾燥処理装置10の構成要素が、図1に示す乾燥処理装置10の構成要素と同じ個所には同じ符号を記してその説明を用いる。
図5の第4の実施形態で特徴的なのは、基板125の第1面21と第2面157のいずれにおいても水の膜23が形成されていることである。したがって、第1面21と第2面157は、ともに処理対象面である。
【0050】
この基板125の両面にある水の膜23,23に対応して、それぞれ光照射部11,11が対面して配置されている。乾燥空気供給部13は、ドライエアー40を、光照射部11と第1面21の水の膜23の間および、もう1つの光照射部11と第2面157の水の膜23側の間にそれぞれ供給するようになっている。
このようにすることで、基板125の第1面21の水の膜23と、第2面157の水の膜23は、対面する光照射部11,11の照射光33により完全に蒸発して乾燥させることができる。なお、第4の実施形態の基板125の材質としては、たとえばガラスやシリコンなどを採用することができる。
【0051】
第5の実施形態
図6は、本発明の乾燥処理装置10の第5の実施形態を示している。
図6に示す乾燥処理装置10の構成要素が、図1に示す乾燥処理装置10の構成要素と同じ個所には同じ符号を記してその説明を用いる。
図6に示す第5の実施形態では、基板125の第1面121と第2面157のそれぞれに水の膜23が形成されている。光照射部11は、処理対象面の第1面121の水の膜23側に対面している。
【0052】
これに対して、光反射板27が、たとえばステージ155の上に搭載されている。この光反射板27は、たとえばアルミニウム反射板であり、第2面157の水の膜23に対面して、しかもクリアランスCLを空けるようにして平行に配置されている。光照射部11が発生する照射光33は、基板125の第1面121側に到達することにより、水の膜23を完全に蒸発させることができる。
【0053】
しかも、照射光33は、水の膜23、基板125を通過して、さらに第2面157の水の膜23をも通過して、光反射板27により反射されて反射光359になる。この反射光359が、第2面157の水の膜23に照射されることにより、第2面157の水の膜23は完全に蒸発させることができる。
この実施形態においては、やはり乾燥空気供給部13はドライエアー40を、光照射部11と第1面121の水の膜23の間および第2面157の水の膜23と光反射板27の間に供給するようになっている。
第5の実施形態では、基板125は透明の材質、たとえばガラスで作られている。
【0054】
第6の実施形態
図7は、本発明の乾燥処理装置10の第6の実施形態を示している。
図7の乾燥処理装置10の構成要素が、図1の乾燥処理装置10の構成要素と同じ個所には同じ符号を記してその説明を用いる。
図7に示す第6の実施形態では、図5の第4の実施形態と同様にして、基板125の第1面21側と、第2面157側とに対してそれぞれ光照射部11が対面して配置されている。図7に示す第6の実施形態が図5に示す第4の実施形態と異なるのは、基板125の第1面21と水の膜23の間に光反射膜27が追加して形成されていることである。この光反射膜27は、金属膜であり、たとえばアルミニウム膜である。
【0055】
このような構造にすることで、第1面21側の光照射部11の照射光33は、水の膜23を通過し、光反射膜27により反射されて反射光160となって水の膜23を加熱して完全に蒸発させることができる。
一方、第2面157の光照射部11は、照射光33を第2面157の水の膜23に照射することにより、第2面157の水の膜23は完全に蒸発させることができる。この照射光33は、たとえば透明な基板125を通過して光反射膜27まで達する。
図5と図7に用いられている一方の光照射部11と他方の光照射部11の構造は、同様な構造を採用することができる。
【0056】
ところで、被処理体20の基板の種類は、ガラス、プラスチックに限らず、たとえばセラミックスなどであっても構わない。
また、被処理体20に照射する短パルスは、1パルスだけでなく、複数回連続で照射してもかまわず、その照射波形が、尖頭波形や、矩形波形であっても同様な効果を有することは言うまでもない。
被処理体20が適用されるものは、たとえば液晶表示体の他に、有機EL(エレクトロルミネッセンス)表示装置、PDP(プラズマディスプレイパネル)表示装置、その他の表示装置あるいはその他の種類の電子機器を含んでいる。
本発明は、上記実施形態に限定されず、特許請求の範囲を逸脱しない範囲で種々の変更を行うことができる。
上記実施形態の各構成は、その一部を省略したり、上記とは異なるように任意に組み合わせることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の乾燥処理装置の第1の実施形態を示す図。
【図2】図1の乾燥処理装置を用いて行う乾燥処理方法の一例を示すフロー図。
【図3】本発明の乾燥処理装置の第2の実施形態を示す図。
【図4】本発明の乾燥処理装置の第3の実施形態を示す図。
【図5】本発明の乾燥処理装置の第4の実施形態を示す図。
【図6】本発明の乾燥処理装置の第5の実施形態を示す図。
【図7】本発明の乾燥処理装置の第6の実施形態を示す図。
【符号の説明】
10・・・乾燥処理装置、11・・・光照射部、13・・・乾燥空気供給部、15・・・排気動作部、20・・・被処理体、21・・・処理対象面、23・・・水の膜、25・・・基板、27・・・光反射膜、31・・・ランプ、39・・・反射材、40・・・ドライエアー
Claims (9)
- 被処理体の処理対象面に対して薬液が処理された後に、水により前記処理対象面を洗浄して残った前記水を乾燥させるための乾燥処理装置であり、
前記被処理体の前記処理対象面側に、短パルスで光強度の高い光を照射することにより前記処理対象面に残っている前記水を蒸発させる光照射部と、
前記光照射部と前記被処理体の前記処理対象面の間にドライエアーを送るための乾燥空気供給部と、
前記蒸発した前記水を前記光照射部と前記処理対象面の間から外部へ排気する排気動作部と、を備えることを特徴とする乾燥処理装置。 - 前記被処理体の前記処理対象面には、前記光を反射する光反射膜が形成されており、前記水は前記光反射膜の上に膜を形成していることを特徴とする請求項1に記載の乾燥処理装置。
- 光を通す前記被処理体の第1面は、前記光照射部に対面しており、前記第1面である前記処理対象面には、前記水が膜を形成しており、前記被処理体の前記第1面とは反対側の第2面側には、前記光を反射する光反射膜が形成されていることを特徴とする請求項1に記載の乾燥処理装置。
- 前記被処理体の前記処理対象面には、前記光を吸収する光吸収膜が形成されており、前記水は前記光吸収膜の上に膜を形成していることを特徴とする請求項1に記載の乾燥処理装置。
- 前記光照射部は、フラッシュランプと、前記フラッシュランプが発生する前記光を前記処理対象面側に反射する反射材と、を有することを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の乾燥処理装置。
- 被処理体の処理対象面に対して薬液が処理された後に、水により前記処理対象面を洗浄して残った前記水を乾燥させるための乾燥処理方法であり、
乾燥空気供給部から、光照射部と前記被処理体の前記処理対象面の間にドライエアーを送りながら、前記光照射部が、前記被処理体の前記処理対象面側に短パルスで光強度の高い光を照射することにより、前記処理対象面に残っている前記水を蒸発させる乾燥処理ステップと、排気動作部が前記蒸発した前記水を前記光照射部と前記被処理体の間から外部に排気する排気動作ステップと、を含むことを特徴とする乾燥処理方法。 - 前記被処理体の前記処理対象面には、前記光を反射する光反射膜が形成されており、前記水は前記光反射膜の上に膜を形成していることを特徴とする請求項6に記載の乾燥処理方法。
- 光を通す前記被処理体の第1面は、前記光照射部に対面しており、前記第1面である前記処理対象面には、前記水が膜を形成しており、前記被処理体の前記第1面とは反対側の第2面側には、前記光を反射する光反射膜が形成されていることを特徴とする請求項6に記載の乾燥処理方法。
- 前記被処理体の前記処理対象面には、前記光を吸収する光吸収膜が形成されており、前記水は前記光吸収膜の上に膜を形成していることを特徴とする請求項6に記載の乾燥処理方法。
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