JP2004275605A - 住居内環境改善剤 - Google Patents

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JP2004275605A JP2003074128A JP2003074128A JP2004275605A JP 2004275605 A JP2004275605 A JP 2004275605A JP 2003074128 A JP2003074128 A JP 2003074128A JP 2003074128 A JP2003074128 A JP 2003074128A JP 2004275605 A JP2004275605 A JP 2004275605A
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Satoshi Nagai
智 永井
Nobuyuki Ogura
信之 小倉
Michio Yokosuka
道夫 横須賀
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Abstract

【課題】ハウスダストを容易に除去あるいは無害化し、且つダニやカビの繁殖を抑制すして室内の衛生環境を改善しうる室内環境改善剤を提供する。
【解決手段】(a)特定の水溶性高分子化合物、(b)水及び特定の有機溶剤から選ばれる液体成分、並びに、(c)(b)に溶解し、(b)の蒸発により固体を生成させる固体源物質(但し(a)は除く)、を含有する住居内環境改善剤。
【選択図】 なし

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、住居内環境改善剤に関する。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】
室内空間の快適化の一環として断熱性の向上があるが、これらと引き替えにダニや黴びの繁殖が助長され、アレルギー症状を引き起こすなどの人体への影響が社会的な問題となっており、このような観点から考えると住居内環境は悪化する傾向にあるといえる。また、ヤケヒョウヒダニ、ケナガコナダニあるいはコナヒョウヒダニなどのダニ類は、畳、絨毯などの敷物類や毛布、布団などの寝具などに生息し増殖しており、これらの死骸もしくはこれらの糞が塵化したものは、これらを抗原としたアレルギー症状を引き起こすと考えられている。また、室内環境が密閉化されるに伴い、窓、床、壁あるいは絨毯や家具に結露が起こり、カビや雑菌が繁殖し、住居内環境の悪化を増長する。このため、住居内環境からダニあるいはこれらの死骸や糞を除去し、カビや雑菌の繁殖を抑制することは、アレルギー疾患を持つ人たちばかりでなく、一般の家庭においても高い関心が持たれている。
【0003】
住居内空間を改善する方法として、特許文献1には特定の植物精油とタンニン酸を含有する室内環境改善物質が開示されている。また、環境空間にスプレーすることで空間に浮遊するハウスダストを除去又は無害化する技術が知られている。特許文献2にはカチオン界面活性剤を含む組成物を空間に噴霧する住居内環境改善剤が開示されている。特許文献3にはアレルゲンを不活性化及び/又は除去する空間噴霧型のハウスダスト処理剤が開示されている。特許文献4にはポリビニルアルコールを含有する溶液を空間に噴霧するするハウスダスト処理剤が開示されている。特許文献5には家庭環境中における浮遊粒子状物質を除去する方法が開示されている。しかしながら、これら技術においても満足できるハウスダストの除去あるいは無害化を達成することができない。
【0004】
従って本発明の課題は、アレルギーの元となるハウスダストを容易に除去あるいは無害化し、且つダニやカビの繁殖を抑制することで室内の衛生環境を改善しうる室内環境改善剤を提供することにある。
【0005】
【特許文献1】
特開平6−237979号公報
【特許文献2】
特開2000−264837号公報
【特許文献3】
特開2002−128659号公報
【特許文献4】
特開2002−128680号公報
【特許文献5】
特表2000−504621号公報
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明は、(a)下記(I)〜(III)から選ばれる水溶性高分子化合物〔以下、(a)成分という〕、(b)水及び1013.25hPaにおける沸点が10〜100℃の有機溶剤から選ばれる液体成分〔以下、(b)成分という〕、並びに、(c)(b)に溶解し、(b)の蒸発により固体を生成させる固体源物質(但し(a)は除く)〔以下、(c)成分という〕、を含有する住居内環境改善剤に関する。
【0007】
(I)水溶性天然高分子又はその誘導体(但しセルロース誘導体、澱粉誘導体は除く)
(II)分子中に平均付加モル数20〜5000のポリオキシアルキレン基を1つ以上有する化合物(但し炭素数8〜18の炭化水素基を有する化合物は除く)
(III)ビニルアルコール、酢酸ビニル、ビニルピロリドン、アクリルアミド、及びスチレンスルホン酸又はその塩から選ばれるモノマーに由来する構成単位を分子中に50〜100モル%有するホモポリマー又はコポリマー
【0008】
【発明の実施の形態】
<(a)成分>
本発明の(a)成分は下記(I)〜(III)から選ばれる水溶性高分子化合物である。
(I)水溶性天然高分子又はその誘導体(但しセルロース誘導体、澱粉誘導体は除く)
(II)分子中に平均付加モル数20〜5000のポリオキシアルキレン基を1つ以上有する化合物(但し炭素数8〜18の炭化水素基を有する化合物は除く)
(III)ビニルアルコール、酢酸ビニル、ビニルピロリドン、アクリルアミド、及びスチレンスルホン酸又はその塩から選ばれるモノマーに由来する構成単位を分子中に50〜100モル%有するホモポリマー又はコポリマー
【0009】
(I)の化合物は、植物系多糖類、微生物系多糖類、動物系多糖類、動物系タンパク類を挙げることができる。植物系多糖類としてはグアガム、クインスシード、カラギーナン、ローカストビーンガム、アラビアガム、トラガカント、ペクチン、マンナン、アルギン酸(塩)、寒天、ファーセレランを挙げることができ、微生物系多糖類としてはヒアルロン酸(塩)、キサンタンガム、プルラン、デキストラン、カードランを挙げることができ、動物系多糖類としてはコンドロイチン硫酸(塩)、キチンを挙げることができ、動物系タンパク類としてはコラーゲン、ケラチン、カゼイン、アルブミン、ゼラチンを挙げることができる。また、水溶性天然高分子誘導体としては、カチオン化グアガム、アルギン酸プロピレングリコール、デキストラン硫酸(塩)、カルボキシメチルキチン、キトサンを挙げることができる。なお、これらの化合物の中で塩として存在しうるものは、ナトリウム塩、カリウム塩、マグネシウム塩として用いることができる。
【0010】
(II)の化合物としては、下記一般式(1)の化合物、一般式(2)の化合物を挙げることができる。
1a−(OR1b−OR1c (1)
X−[(R2aO)−R2b (2)
[式中、R1a、R1cは、同一でも異なっていてもよく、それぞれ水素原子又は炭素数1〜6の炭化水素基であり、R2bは水素原子又は炭素数1〜6の炭化水素基であり、R1b、R2aは、それぞれエチレン基、プロピレン基から選ばれるアルキレン基である。Xは総炭素数3〜6の2〜6価のアルコール残基であるが、エチレングリコール残基、ポリエチレングリコール残基、プロピレングリコール残基及びポリプロピレングリコール残基は除かれる。aは20〜5000の数であり、cは2〜6の数であり、bはc×bが20〜5000の数になるように選ばれる。]
【0011】
Xに対応するアルコールとしてはグリセリン、ペンタエリスルトール、ヘキシレングリコール、炭素数10〜18の脂肪酸モノグリセリド、ソルビトール、ソルビタン、グルコース、アピオース、アラビノース、ガラクトース、リキソース、マンノース、アルドース、イドース、タロース、キシロース、フラクトース、炭素数3〜8のアルキル基を有するアルキル(ポリ)グリセリルエーテル(グリセリル基の平均付加モル数は1〜3)を挙げることができる。
【0012】
(III)の化合物は、ビニルアルコール、酢酸ビニル、ビニルピロリドン、アクリルアミド、及びスチレンスルホン酸又はその塩から選ばれる1種以上のモノマーを、要すれば他の共重合体可能なモノマーと共に、乳化重合、塊重合などの通常のラジカル重合反応することで得られる。なお、スチレンスルホン酸又はその塩に由来する構成単位は、スチレンを用いて得られた重合体をさらに3酸化イオウ、クロルスルホン酸、硫酸などを用いてスルホン化し、所望によりアルカリで中和することで分子中に導入することができる。
【0013】
本発明では、(III)の化合物として、上記モノマーと共重合可能なモノマーとの共重合を行ったコポリマーを用いることができ、その場合ビニルアルコール、酢酸ビニル、ビニルピロリドン、アクリルアミド、及びスチレンスルホン酸又はその塩に由来する構成単位が50〜100モル%になるように重合時のモル比等を考慮しなければならない。共重合可能なモノマーとしては、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、無水マレイン酸、ヒドロキシエチルアクリル酸、ヒドロキシエチルメタクリル酸、エチレン、プロピレン、n−ブテン、イソブテン、ペンテン、イソプレン、2−メチル−1−ブテン、n−ヘキセン、2−メチル−1−ペンテン、3−メチル−1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテン、2−エチル−1−ブテン、スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン、ビニルナフタレン、インデン、ブタジエン、シクロペンタジエン、ジシクロペンタジエン、スチレンスルホン酸塩、スルホプロピルメタクリレート、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸またはその塩、リン酸モノ−ω−メタクリロイルオキシアルキル(炭素数1〜12)、アクリル酸(又はメタクリル酸)アルキル(炭素数1〜5)、アクリル酸(又はメタクリル酸)2−ヒドロキシエチル、アクリル酸(又はメタクリル酸)−N,N−ジメチルアミノアルキル(炭素数1〜5)を挙げることができる。
【0014】
(III)の化合物の重量平均分子量は、1000〜600万が好ましく、更に好ましくは5000〜100万、特に好ましくは1万〜50万である。重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーでポリエチレングリコールを標準物質として求めることができる。
【0015】
<(b)成分>
本発明の(b)成分は、水及び1013.25hPaにおける沸点が10〜100℃の有機溶剤から選ばれる液体成分である。有機溶剤としては化学便覧基礎編 改訂3版 日本化学会編 丸善(株) II−118頁 表8・16に記載の中で760mmHgの温度が10〜100℃のものを選択することができる。また、本発明では水、及び水と共沸混合物を形成する有機溶剤を併用することが好ましく、このような有機溶剤としては、化学便覧基礎編 改訂4版 日本化学会編 丸善(株) II−147頁 表8・43に記載の水と共沸混合物を形成する化合物から共沸温度が100℃未満、好ましくは60〜90℃の化合物を用いることができる。好ましい具体例としてはエタノール、シクロヘキサン、2−ブタノール、シクロヘキサノール、シクロヘキサノン、シクロヘキサン、トルエン、1−ブタノール、2−ブタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、1−ヘキサノール、ヘキサン、1−ヘプタノール、1−ペンタノール、2−ペンタノールを挙げることができ、炭素数2〜7のアルコール化合物が好ましい。特にエタノール、1−プロパノール、2−プロパノールがアレルゲン除去効果の点から最も好ましい。
【0016】
水は多少の金属イオンを含んだもの(そのイオンは(c)成分となってもよい)を使用してもよいが、保存安定性の上でイオン交換水、あるいは塩素滅菌水を用いることが好ましい。
【0017】
<(c)成分>
本発明の(c)成分は(b)成分に溶解し、その溶液の乾燥後に(c)成分自体又は(c)成分に起因する固体を生成する性質を示す。(c)成分は、本発明の環境改善剤中の(b)成分に溶解して存在し、該改善剤中の液体成分の蒸発により固体を生成させる固体源物質である。ここで、液体成分の蒸発とは、液状成分の全てが蒸発することではなく、固体の生成に十分な液状成分の蒸発量を意味する。すなわち、本発明の住居内環境改善剤中の液状成分は主に(b)成分であるが、後述の香料等、揮発性の低い液状成分を少量含む場合、それらは必ずしも蒸発する必要はない。このような性質を示す(c)成分を含有することで、本発明に係わる住居内環境改善剤は、アレルゲンなどのハウスダストが存在する対象物に噴霧ないし塗布等された後、当該処理部分の乾燥により固体を生成する。その際、該固体が、ハウスダストを担持して生成する、あるいは繊維の表面からハウスダストの剥離を容易にする、などの理由により、簡単な除去操作によるハウスダストの除去効率を向上させるものと考えられる。
【0018】
本発明の住居内環境改善剤において、(c)成分は、下記(c1)成分及び(c2)成分から選ばれる1種以上の化合物が好ましい。
(c1)成分:1013.25hPa、25℃で固体状態である有機化合物(但し高分子化合物を除く)
(c2)成分:無機性陽イオンと無機性陰イオンの組合せ
【0019】
このうち、(c1)成分は、下記の(c1−1)成分、(c1−2)成分及び(c1−3)成分から選ばれる一種以上が好ましい。
(c1−1)成分:融点が25℃以上の有機化合物〔但し、(a)成分を除く〕
(c1−2)成分:含水率が5質量%以下で固体状態である界面活性剤
(c1−3)成分:クエン酸、コハク酸、酒石酸、リンゴ酸、フマル酸、マロン酸、マレイン酸、アジピン酸、乳酸、フタル酸、テレフタル酸、アスパラギン酸、アゼライン酸、グルタミン酸、グルタル酸、蓚酸、グリシン及びこれらのアルカリ金属塩もしくはアルカリ土類金属塩
【0020】
(c1−1)成分は、夏場などの暑い季節を考慮するならば、好ましくは35℃以上の融点を有するものが好ましい。
【0021】
(c1−1)成分は、処理後のアレルゲンなどのハウスダストが対象物から除去されやすいように吸湿性の低いものが好ましい。吸湿性については、下記の吸湿性試験により測定される吸湿度が0〜2、好ましくは0〜1、特に0〜0.5の化合物が好適である。
【0022】
(吸湿性試験)
(c1−1)成分を粉砕し、篩により500〜1000μmに分級する。この分級したもの1g(Wa)を直径7cm、深さ1.5cmの円柱状のガラス製シャーレに入れ、全体の質量を測定する(Wb)。次に湿度80%、温度20℃の恒温室に24時間放置した後の全体の質量を測定し(Wc)、次式により吸湿度を求める。
吸湿度=(Wc−Wb)/Wa
【0023】
また、(c1−1)成分は水に対する溶解性に乏しいものが好ましい。具体的には、20℃における水への溶解度が好ましくは0.02g/100g以下、より好ましくは0.01g/100g以下であるが、(c1−1)成分は住居内環境改善剤中、溶解した状態にあることが好ましく、従って、(b)成分に記載の有機溶剤への溶解度が好ましくは0.05g/100g以上、より好ましくは0.1g/100g以上である。ここで溶解度は化学大辞典9(共立出版社)、399頁、溶解度試験に記載の方法で求めることができる。
【0024】
(c1−1)成分の具体的に好ましい化合物としては下記(c1−1−1)成分、(c1−1−2)成分及び(c1−1−3)成分から選ばれる化合物が好適である。
(c1−1−1)成分:融点が40〜250℃、好ましくは60〜210℃、炭素数10〜25、好ましくは10〜20の脂環式化合物
(c1−1−2)成分:融点が35℃以上、好ましくは35〜200℃、炭素数8〜36、好ましくは12〜20の脂肪族化合物
(c1−1−3)成分:融点が40〜200℃、炭素数7〜24、好ましくは7〜20の芳香族化合物
【0025】
(c1−1−1)成分の具体的に好ましい化合物としてはカンフェン、l−メントール、ボルネオール、セドロール、t−ブチルシクロヘキサノール、ショウノウ、p−t−ブチルシクロヘキサノン、マルトール、シクロペンタデカノン、ヒノキチオール、カリオフィレンオキサイド、ブッコキシム(Dragoca社製)、を挙げることができる。
【0026】
(c1−1−2)成分の具体的に好ましい化合物としては、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ミリスチルアルコール、パルミチルアルコール、ステアリルアルコール、n−テトラデシルアルデヒドを挙げることができる。
【0027】
(c1−1−3)成分の具体的に好ましい化合物としてはジメチルフェニルカルビノール、フェニルグリコール、バニリン、エチルバニリン、ベンゾフェノン、メチルナフチルケトン、クマリン、ムスクキシレン、ムスクケトン、ムスクアンブレット、ムスクチベテン、ムスクモスケン(ジボダン社製)、セレストリド(IFF社製)、ベルサリド(ジボダン社製)、トナリド(PFWアロマケミカル社製)、ジメチルハイドロキノン、チモール、トランス−ベンジルイソオイゲノール、β−ナフトールメチルエーテル、安息香酸、桂皮酸、フェニル酢酸、ヒドロ桂皮酸、酢酸イソオイゲノール、桂皮酸シンナミル、サリチル酸フェニルエチル、アニス酸メチル、インドール、スカトール、ローズフェノン、メチルアトラレート、ラズベリーケトン、ヘリオトロピルアセトン、3−メチル−4−イソプロピルフェノール、p−クロロ−m−キシレノールを挙げることができる。これら(c1−1−3)の化合物は20℃における水への溶解度が0.02g/100g以下であり、且つ20℃における(a)成分への溶解度が0.05g/100g以上のものである。
【0028】
本発明に係わる住居内環境改善剤では(c1−1)成分としては、特にセドロール、l−メントール、ミリスチルアルコール、パルミチルアルコール、ステアリルアルコール、カンフェン、チモールが好ましい。
【0029】
なお、(c1−1)成分からは、後述の(c1−2)成分のような界面活性剤と後述の(c1−3)成分の有機酸又はその塩とが除かれるが、本発明の界面活性剤とはc.m.c(臨界ミセル濃度)を有するか、又は界面活性剤便覧(産業図書株、昭和35年発行)319頁に記載の方法で求めたHLBが6以上であるか、もしくはその両方の性質を有する化合物であり、これら性質を持たず、且つ融点が25℃以上の化合物は(c1−1)成分として取り扱うものとする。
【0030】
(c1−2)成分は、含水率が5質量%以下において、25℃、好ましくは35℃で固体状態である界面活性剤である。(c1−2)成分としては、前記の吸湿性試験において吸湿度が0〜2、好ましくは0〜1、特に0〜0.5の化合物である。
【0031】
(c1−2)成分としては、炭素数8〜20のアルキル基を有する非イオン界面活性剤及び炭素数8〜20のアルキル基を有する陰イオン界面活性剤が好ましく、特に下記(c1−2−1)成分〜(c1−2−3)成分の界面活性剤を挙げることができる。
【0032】
(c1−2−1)成分:炭素数14〜20のアルキル基と、硫酸エステル基及び/又はスルホン酸基とを有する陰イオン界面活性剤
(c1−2−2)成分:炭素数8〜20の脂肪族アルコールにアルキレンオキシド、好ましくはエチレンオキシド(以下、EOと表記する)を20〜150モル付加させたポリオキシアルキレンアルキル(又はアルケニル)エーテル
(c1−2−3)成分:炭素数14〜18の飽和脂肪酸塩
【0033】
(c1−2−1)成分の具体的な好ましい例としては、炭素数14〜20のアルキル硫酸エステル塩、炭素数14〜20のアルキル基及び平均付加モル数1〜6のポリオキシアルキレン(好ましくはエチレン)アルキルエーテル硫酸エステル塩、炭素数14〜20のα−オレフィンスルホン酸塩、炭素数14〜20のα−スルホ脂肪酸低級アルキル(炭素数1〜3)エステル塩、アルキル基の炭素数が5〜19のアルキルベンゼンスルホン酸塩から選ばれる1種以上であり、特にアルキル硫酸エステル塩がアレルゲン除去効果の点から好ましい。塩としてはナトリウム塩又はカリウム塩が良好である。
【0034】
(c1−2−2)成分の化合物としては、下記一般式(3)の化合物が好ましい。
3a−O−(R3bO)−H (3)
〔式中、R3aは、炭素数8〜18、好ましくは10〜18、特に好ましくは14〜18のアルキル基又はアルケニル基であり、R3bは炭素数2又は3のアルキレン基であり、好ましくはエチレン基である。dは平均付加モル数として20〜150の数を示す。〕
【0035】
一般式(3)の化合物において特に好ましい化合物は下記一般式(3−1)の化合物又は一般式(3−2)の化合物を挙げることができる。
3c−O(EO)−H (3−1)
〔式中、R3cは炭素数14〜18の一級の直鎖アルキル基、分岐鎖アルキル基又は二級のアルキル基である。EOはエチレンオキサイドであり、eは平均付加モル数として20〜150である。〕
3d−O[(EO)/(PO)]−H (3−2)
〔式中、R3dは炭素数14〜18の一級のアルキル基である。EOはエチレンオキサイド、POはプロピレンオキサイドを示す。fは平均付加モル数15〜100、gは平均付加モル数50〜130であり、fとgの合計は20〜150である。EOとPOはランダム付加又はEOを付加した後、POを付加してもよく、またその逆のようなブロック付加体でもよい。〕
【0036】
(c1−2−3)成分の化合物としては、ミリスチン酸、パルミチン酸及びステアリン酸のナトリウム塩及び/又はカリウム塩が好ましい。
【0037】
(c1−2)成分の界面活性剤は、何れも含水率〔(c1−2)成分中の水分〕が、5質量%以下の状態において、25℃、好ましくは35℃で、固体状態であることを規定しているが、含水率が5質量%を超える場合には、エタノール又はイソプロパノールを加え、エバポレーターにより減圧下共沸脱水を行い、含水率を5質量%以下にした後、そのものを直径7cm、深さ1.5cmの円柱状のガラス製シャーレに1g入れ、25℃、好ましくは35℃の恒温室に24時間放置した後、目視で(c1−2)成分の状態を観察することで確認できる。又は、DSC(示差走査熱量)測定において、25℃以上、好ましくは35℃以上の温度で、融解による熱量の吸熱ピークが存在することでも確認できる。また、水分はカールフィッシャー法(JIS K 33625)で求めることができる。
【0038】
(c1−3)成分として特に好ましい化合物はクエン酸、コハク酸、酒石酸、リンゴ酸、フマル酸、マロン酸、マレイン酸、アジピン酸、フタル酸、テレフタル酸及びこれらの塩(好ましくはナトリウム塩及び/又はカリウム塩)であり、特にフタル酸及びその塩が住居内環境改善効果の点から最も好ましい。
【0039】
(c2)成分は、無機性陽イオンと無機性陰イオンの組合せであって、これらイオンを含有する水溶液を乾燥してできる無機化合物が潮解性を示さないものである無機陽イオンと無機陰イオンの組合せである。(c2)成分において、本発明の住居内環境改善剤を乾燥して析出する固体は、これら無機陽イオンと無機陰イオンを物質源として生成するものであり、水和物として析出する場合も考えられる。また多様な種類の無機イオンを混合する場合、その生成される固体は定かではないが、本発明では固体が析出するための無機イオンの組合せであればよい。
【0040】
(c2)成分をこのように規定をする理由は、本発明の特徴が、乾燥後に固体を生成するという点にあるためであり、例えば、配合した化合物が複数の場合、更にはpH調整としてのアルカリ剤・酸剤の添加や、イオン解離性の界面活性剤や有機酸塩を併用するような場合、固体として析出してくる物質が、当初配合した物質と異なってくる可能性があるからである。しかしながら、本発明は、潮解性のない電解質の無機固体[(c2’)成分とする]を直接配合することを否定するものではない。本発明において”潮解性のない”とは後述する低い吸湿性の化合物を指すものとする。
【0041】
(c2)成分は、無機性陽イオンがアルカリ金属イオン又はアルカリ土類金属イオンから選ばれる1種以上であり、無機性陰イオンが、硫酸イオン、炭酸イオン(炭酸水素イオンを含む)、リン酸イオン(リン酸1水素イオン、リン酸2水素イオンを含む)、フッ素イオン、塩素イオン、臭素イオンから選ばれる1種以上であることが好ましく、特には(c2)成分は、カリウムイオン、ナトリウムイオン及びマグネシウムイオンから選ばれる陽イオン(c2−c)と硫酸イオン、炭酸イオン(特に炭酸水素イオン)、フッ素イオン及び塩素イオンから選ばれる陰イオン(c2−a)の組合せが好ましい。ただし、得られる固体が潮解性になると考えられるイオンのみの組み合わせは好ましくない。
【0042】
このため、本発明では、潮解性のない電解質[本発明では水に溶解し、無機性陽イオンと無機性陰イオンを生成するものとする。]の無機固体[(c2’)成分]を含有するものであってもよい。具体的には、硫酸ナトリウム、硫酸カリウム、硫酸マグネシウム、炭酸水素ナトリウム、フッ化ナトリウム、塩化ナトリウム、及び塩化カリウム、炭酸水素カリウム、リン酸2水素カリウム、硫酸3カリウム1ナトリウムから選ばれる1種以上の無機塩を配合することが好ましい。さらに、本発明で好ましい無機塩は、下記の吸湿性試験により測定される吸湿度が0〜2、更に0〜1、特に0〜0.5の化合物である。
【0043】
(吸湿性試験)
(c)成分の供給源となる無機塩10gを100mlの水に溶解させ、縦20cm、横16cm、深さ3cmのステンレス製バットに入れ、減圧乾燥機で水を除去する(乾燥時の温度は30℃、減圧度は200mmHg、乾燥時間は1週間である)。析出した結晶を粉砕し、篩により500〜1000μmに分級する。この分級したもの1g(W1)を直径7cm、深さ1.5cmの円柱状のガラス製シャーレに入れ、全体の質量を測定する(W2)。次に湿度80%、温度20℃の恒温室に24時間放置した後の全体の質量を測定し(W3)、次式により吸湿度を求める。
吸湿度=(W3−W2)/W1
【0044】
より具体的に好ましい無機塩[(c2’)成分]としては、硫酸ナトリウム、硫酸マグネシウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、フッ化ナトリウム、塩化ナトリウム、塩化カリウムを挙げることができ、特に硫酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、フッ化ナトリウム、及び塩化ナトリウム、炭酸水素カリウム、リン酸2水素カリウム、硫酸3カリウム1ナトリウムから選ばれる1種以上が好適である。
【0045】
本発明の(c)成分は(c1)成分と(c2)成分[(c2’)成分]の混合物であってもよく、(c1−2)成分がイオン性の界面活性剤の場合や(c1−3)成分が有機酸塩の場合は、その対イオンについては、(c2)として考慮してもよい。基本的には(c)成分を含有する本発明の住居内環境改善剤から固体が析出するような組合せであればよい。
【0046】
なお、本発明の(c)成分のうち、より好ましいものは、(c1−1)成分及び/又は(c2)成分であり、最も好ましいものは、(c2−c)成分と(c2−a)成分の組合せ、又は(c2’)成分としての、硫酸ナトリウム、硫酸マグネシウム、炭酸水素ナトリウム、フッ化ナトリウム、塩化ナトリウム及び塩化カリウムを挙げることができ、特に硫酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、フッ化ナトリウム及び塩化ナトリウムから選ばれる1種以上が好適である。しかしながら、(c1)で示される有機化合物、特に(c1−2)などの界面活性剤は、対象表面へ残留することが懸念されるため、その配合量は控えめにすることが好ましい。
【0047】
<(d)成分>
本発明の住居内環境改善剤には、恒常的に住居内の環境を良好な状態に維持する目的から、アレルギーの原因となるダニなどの節足動物に対する忌避剤(以下(d)成分という、また、忌避剤の中には(c)成分に該当するものが存在するが、そのような化合物は(c)成分として取り扱う)を含有することが好ましい。ここで本発明の節足動物忌避剤とは、コナヒョウヒダニに忌避効果を有する化合物と定義し、下記の進入阻止法により試験した結果、コナヒョウヒダニの忌避率が50%以上の化合物又は混合物である。
【0048】
忌避率測定法(進入阻止法)
試験培地;粘着シート板に9cmのシャーレを固定し、その中にコナヒョウヒダニを培地とともに約10,000頭放つ。次いでシャーレ内に直径4cmのシャーレを中央部に置き、濾紙を同径に切り、底部に敷き、試験化合物10質量%エタノール溶液0.5mlを濾紙に染み込ませる。その濾紙の中央部にマウス用粉末飼料と乾燥酵母を混合した飼料500mgを置く。
比較培地;同じ粘着シート板に別の9cmのシャーレを固定し、試験培地において濾紙に染み込ませる溶液をエタノールのみにした以外は同様の方法で比較培地を調製する。
これらを25℃、75%RH条件下に移し、48時間後に中央部の飼料内に侵入したダニ数をカウントし、試験培地と比較培地との差から下式により忌避率を算出する。ダニ数のカウントは実体顕微鏡下で測定する。
忌避率=(1−試験培地のダニ侵入数/比較培地のダニ侵入数)×100
【0049】
本発明の(d)成分として好ましい化合物は、安全性の点から、天然素材から得られた抽出物、天然素材抽出物中に存在する化合物を天然素材から単離して得られた化合物、あるいは天然素材抽出物中に存在する化合物を合成して得られた化合物、及びこれらの混合物が好ましく、具体的には下記の化合物が好適である。
【0050】
(d−1);ジャスモン、ジヒドロジャスモン、ジャスモン酸メチル、ジヒドロジャスモン酸メチル、メチルオイゲノール、イソオイゲノール、サリチル酸アミル、サリチル酸イソアミル、サリチル酸ヘキシル、サリチル酸シス−3−ヘキセニル、サリチル酸ベンジル、L−メントン、L−カルボン、ベンズアルデヒド、ベンジルアルコール、2−フェニルエチルアルコール、2−フェノキシエタノール、α−アミルケイ皮アルデヒド、桂皮アルコール、桂皮アルデヒド、桂皮酸エチル、桂皮酸プロピル、桂皮酸イソプロピル、酢酸シンナミル、安息香酸アミル、安息香酸イソアミル、安息香酸ヘキシル、安息香酸シス−3−ヘキセニル、安息香酸ヘプチル、安息香酸オクチル、ファルネソール、ネロリドール、フェトール、テトラハイドロリナロール(Tetrahydrolinalool)、ボルニルアセテート(Bornyl Acetate)、ミルセニルアセテート(Myrcenyl Acetate)、セドリルアセテート(Cedryl Acetate)、ラベンダリーアセテート(Lavandulyl Acetate)、シトロネリルイソブチレート(Citronellyl Isobutyrate)、テルピニルプロピオネート(Terpinyl Propionate)、リナリルホルメート(Linalyl Formate)、シトロネリルチグレート(Citronellyl Tigrate)、ノピルアセテート(Nopyl Acetate)、ベチベリルアセテート(Vetiveryl Acetate)、リラール(Lyral)、シトロネリルオキシアセトアルデヒド(Citronellyloxyacetaldehyde)、2,6,10−トリメチル−9−ウンデカナール(2,6,10−Trimethyl−9−Undecanal)、α−ヨノン(α−Ionone)、β−ヨノン(β−Ionone)、ヨノン(Irone)、α−ダマスコン(α−Damascone)、β−ダマスコン(β−Damascone)、ヌートカトン(Nootkatone)、セドリルメチルエーテル(Cedryl Methyl Ether)、イソメントン(Isomenthone)、シトロネラール、リナロール、シトロネロール、シトラール、p−メンタン、α−ピネン、β−ピネン、d−リモネン、ゲラニオール、α−テルピネオール、β−テルピネオール、γ−テルピネオール、1,8−シネオール、p−メンタン−8−エン−1,2−ジオール、オイゲノール、ベンジルホーメイト、ベンジルアセテート、ベンジルプロピオネート、ベンジルブチレート、ベンジルバレレート、ベンジルカプロエート、リナロール、α−ヘキシルケイ皮アルデヒドから選ばれる合成又は単離香料の単独又は2種以上の混合物
(d−2):レモングラス油、ラベンダー油、オレンジ油、ベチバー油、パチョウリ油、カナンガ油、クローブ油、カジェプット油、シトロネラ油、ナツメグ油、ペッパー油、サンダルウッド油、バルク油、ガージン油、ジンジャー油、カンポー油、キュウベブュ油、コーンミント油、アニス油、ラング油、シナモン油、メース油、パロマローサ油、フェンネル油、カラムス油、タイムス油、ニーム油、シナモンリーフ油から選ばれる植物精油の単独又は2種以上の混合物
(d−3):ヒノキチオール及び/又はヒノキチオール誘導体
(d−4):柿の葉、ヤツデ、ヨモギ、セロリ、及びどくだみから選ばれる植物をアルコールにより抽出した植物抽出エキス
【0051】
本発明では(d−1)及び(d−2)の化合物が特に好ましく、(d−1)の化合物としてジャスモン、ジヒドロジャスモン、ジャスモン酸メチル、ジヒドロジャスモン酸メチルが特に好ましく、(d−2)の植物精油としてはラベンダー油、クローブ油、シナモン油、レモングラス油が特に好ましい。
【0052】
なお、(d−1)、(d−2)、(d−3)、(d−4)の化合物あるいは混合物には融点が25℃以上の化合物も含まれるが、本発明においては節足動物忌避剤中の融点が25℃以上の化合物は(c)成分として取り扱うものとする。
【0053】
<その他成分>
本発明の住居内環境改善剤には、(c)成分による固体生成を妨げない限り、その他成分を配合してもよい。その他の成分としては、(c)成分に該当しない界面活性剤、ハイドロトロープ剤、粘度調整剤、抗菌・抗カビ剤、pH調整剤、(c)成分及び(d)成分に該当しない香料成分等を挙げることができる。pHを調整する上で、アルカリ金属水酸化物や、硫酸、酢酸などを含有してもよいが、そのイオンは(c2)成分として算入される。
【0054】
本発明では(c)成分及び(d)成分に該当しない香料成分(以下(e)成分という)を(c)成分の結晶化を妨げない程度に含有することができる。用いることができる香料成分としては「香料の化学」(赤星亮一著、日本化学会編 産業化学シリーズ 昭和58年9月16日発行)や「合成香料 化学と商品知識」(印藤 元一著、化学工業日報社、1996年3月6日発行)や「香料と調香の実際知識」(中島 基貴著、産業図書(株)、1995年6月21日発行)に記載のものを用いることができる。
【0055】
(c)成分に該当しない界面活性剤(以下(f)成分という)としては、特に住居内環境改善剤に透明な外観を付与する目的、及び/又は貯蔵安定性の点から非イオン界面活性剤が好適である。
【0056】
非イオン界面活性剤としては下記一般式(4)及び/又は一般式(5)の化合物が好ましい。
4a−O−(R4bO)−H (5)
〔式中、R4aは、炭素数8〜18、好ましくは10〜16のアルキル基又はアルケニル基であり、R4bは炭素数2又は3のアルキレン基であり、好ましくはエチレン基である。hは平均付加モル数として3以上20未満、好ましくは4以上15以下、特に好ましくは5以上10以下の数を示す。〕
5a−(OR5b (5)
〔式中、R5aは直鎖の炭素数8〜16、好ましくは10〜16、特に好ましくは10〜14のアルキル基、R5bは炭素数2〜4のアルキレン基、好ましくはエチレン基又はプロピレン基、特にエチレン基であり、Gは還元糖に由来する残基、iは平均値0〜6の数、jは平均値1〜10、好ましくは1〜5、特に好ましくは1〜2の数を示す。〕
【0057】
一般式(4)の化合物において特に好ましい化合物は下記一般式(4−1)の化合物又は一般式(4−2)の化合物を挙げることができる。
4c−O(EO)−H (4−1)
〔式中、R4cは炭素数10〜18、好ましくは10〜16の一級の直鎖アルキル基、分岐鎖アルキル基又は二級のアルキル基である。EOはエチレンオキサイドであり、kは平均付加モル数として3以上20未満である。〕
4d−O[(EO)/(PO)]−H (4−2)
〔式中、R4dは炭素数10〜18、好ましくは10〜16の一級のアルキル基である。EOはエチレンオキサイド、POはプロピレンオキサイドを示す。lは平均付加モル数3〜15、mは平均付加モル数1〜5であり、lとmの合計は20未満である。EOとPOはランダム付加又はEOを付加した後、POを付加してもよく、またその逆のようなブロック付加体でもよい。〕
【0058】
一般式(5)の化合物において、Gは還元糖に由来する残基であり、原料の還元糖としては、アルドースとケトースの何れであっても良く、また、炭素数が3〜6個のトリオース、テトロース、ペントース、ヘキソースを挙げることができる。アルドースとして具体的にはアピオース、アラビノース、ガラクトース、グルコース、リキソース、マンノース、ガロース、アルドース、イドース、タロース、キシロースを挙げることができ、ケトースとしてはフラクトースを挙げることができる。本発明ではこれらの中でも特に炭素数5又は6のアルドペントースあるいはアルドヘキソースが好ましく中でもグルコースが最も好ましい。
【0059】
本発明では、(f)成分として非イオン界面活性剤が住居内環境改善剤の外観及び貯蔵安定性の点から配合されることが考えられる。しかしながらその配合量は、(c)成分の固体化を妨げる恐れがあり、また処理表面からのアレルゲンの除去を抑制することが考えられるので、最小限にすべきである。
【0060】
<住居内環境改善剤>
本発明の住居内環境改善剤において(a)成分は、ダニの死骸や糞などのアレルギーを引き起こすハウスダストやカビの胞子、花粉などに接着し無害化すると共に、(c)成分に由来する固体を接着又は凝集させ、掃除機などによる清掃作業で該固体の除去を容易にさせ、その結果アレルゲンなどのハウスダストの除去を容易にさせる作用を有するものである。但し、その含有量は(c)成分の結晶形成を阻害しない程度にすることが好ましく、好ましい含有量は0.001〜2質量%、より好ましくは0.005〜1質量%、最も好ましくは0.01〜0.5質量%である。(b)成分の含有量は(a)成分、(c)成分及びその他の成分を住居内環境改善剤中に均一に溶解させる目的及び噴霧や塗布などの対象物への接触後の乾燥を促進し、且つ(c)成分の対象物表面への析出を促進させる目的で、好ましくは住居内環境改善剤中に1〜70質量%、より好ましくは3〜60質量%、最も好ましくは5〜60質量%である。また(c)成分の含有量は、住居内環境改善剤中に、好ましくは0.001質量%以上、より好ましくは0.005質量%以上であり、且つ好ましくは5質量%以下、より好ましくは3質量%以下、最も好ましくは0.01〜2質量%であり、(c)成分を多量に用いると通常の清掃作業では(c)成分に由来する固体の除去が困難になり、逆に住居内環境を悪くするおそれが生じるため好ましくない。
【0061】
(c1−2)成分は特に制限される。これは処理表面に残留しやすいためであり、1重量%以下、好ましくは0.4質量%以下、最も好ましくは0.2質量%以下である。
【0062】
本発明の住居内環境改善剤において、特に(a)成分、(b)成分、及び(c)成分は、住居内環境改善剤中に、合計で、好ましくは95〜100質量%、より好ましくは97〜100質量%、最も好ましくは98〜100質量%となるように含有されることが望ましい。
【0063】
(d)成分はアレルギーの原因となるダニ等を引き寄せないため含有することが好ましく、住居内環境改善剤中に0.001質量%以上、好ましくは0.005質量%以上、より好ましくは0.01質量%以上である。ただ、(d)成分を多量に配合すると(c)成分の固体の析出を妨げるため、住居内環境改善剤中に2質量%以下、好ましくは1質量%以下、より好ましくは0.5質量%以下である。
【0064】
(e)成分は、好ましい香りを住居内環境改善剤に付与し、かび臭やペットなどの動物臭を低減化させる目的から含有することが好適であるが、多量に配合すると(c)成分の固体の析出を妨げるため、住居内環境改善剤中に0.001〜2質量%、好ましくは0.005〜1質量%、より好ましくは0.01〜0.5質量%である。また、(c)成分/(e)成分の質量比は好ましくは2〜1000、より好ましくは5〜200、特に好ましくは10〜100である。
【0065】
(f)成分は、住居内環境改善剤の外観及び貯蔵安定性の点から配合することが可能であるが、多量に用いると(c)成分の固体の析出を妨げるため、好ましくは住居内環境改善剤中に1質量%以下、好ましくは0.4質量%以下、より好ましくは0.2質量%以下、特に含有しないことが好適であり、更には(c1−2)成分及び(f)成分の合計が0.4質量%以下、好ましくは0.2質量%以下が好ましい。
【0066】
本発明では(a)成分、(b)成分(水は除く)、(c)成分以外の有機化合物の含有量は固体の析出を抑制しない量以下とされるべきであり、その合計量は住居内環境改善剤中に好ましくは5質量%以下、より好ましくは0.001〜3質量%、特に好ましくは0.005〜1質量%である。
【0067】
特に(c)成分に由来する固体の析出は、(a)成分、(b)成分(水は除く)、(c)成分以外の有機化合物により影響されやすいため、[(a)成分、(c)成分以外の有機化合物(但し、溶剤は除く)]/(c)を重量比で好ましくは0.15〜0.99、より好ましくは0.2〜0.99、特に好ましくは0.5〜0.98であることが好ましい。
【0068】
本発明の住居内環境改善剤は、(c)成分、(d)成分及びその他の成分を、(a)成分及び(b)成分に溶解させた水溶液の形態が好ましい。また、pHの設定は注意を要する。特に、塩類はpHにより平衡状態が変化するので、塩では固体であるが、酸やアルカリでは固化性の低い物質である場合、pHによっては固体が析出しにくくなる恐れがある。従って、本発明では住居内環境改善剤の20℃におけるpHを3〜12、好ましくは4〜9に調整することが好適である。pH調整剤は、(d)成分を構成するものであることが好ましい。具体的な酸剤としては塩酸や硫酸などの無機酸や、クエン酸、コハク酸、リンゴ酸、フマル酸、酒石酸、マロン酸、マレイン酸などの有機酸が挙げられる。またアルカリ剤としては水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウムなどが挙げられる。酸剤とアルカリ剤を、単独もしくは複合して用いることが好ましく、特に塩酸、硫酸、クエン酸から選ばれる酸と水酸化ナトリウム、水酸化カリウムから選ばれるアルカリ剤を用いることが好ましい。なお、アルカリ剤として、アンモニアやその誘導体、モノエタノールアミンやジエタノールアミン、トリエタノールアミンなどのアミン化合物を、固体の析出に影響しない程度に配合してもよいが、液性が強いので本発明では他のアルカリ剤を用いることが好ましい。
【0069】
本発明の住居内環境改善剤は対象物への処理のし易さ及びハウスダスト除去効果を向上させる目的から、住居内環境改善剤の20℃における粘度を15mPa・s以下、好ましくは10mPa・s以下に調整することが好適である。このような粘度に調整することで対象物を均一に処理することができ、さらに乾燥や(c)成分の析出を促進させることができる。
【0070】
本発明でいう粘度は、以下のようにして測定する。まず、TOKIMEC.INC製B型粘度計モデルBMに、ローター番号No.1のローターを備え付けたものを準備する。試料をトールビーカーに充填し、20℃の恒温槽内にて20℃に調製する。恒温に調製された試料を粘度計にセットする。ローターの回転数を60r/mに設定し、回転を始めてから60秒後の粘度を本発明の粘度とする。
本発明の住居内環境改善剤は、被処理物に噴霧又は処理により適用され、該処理物の乾燥により固体を析出させる。固体は(c)成分から生成されるが、(c)成分が多種類である場合やその他の成分の影響を受ける場合、析出する固体も多様なものとなる可能性がある。また結晶水を有する場合も考えられる。析出する固体は、清掃による除去が容易な形態として析出することが好ましく、固体1つの最大の大きさが1〜100μmの物質として析出するものが好ましく用いられるが、それ以下の大きさであっても繰り返し適用することで大きな固体に成長させてもよい。また、析出する固体は、被処理物から清掃により容易に除去できることが好ましいため、潮解性や粘着性のないものが好ましい。なお、析出する固体の形状は特に問わない。例えば球状体、多面体、板状体、針状体等を挙げることができる。
【0071】
<住居内環境改善方法>
本発明は、乾燥後に固体を生成する本発明の住居内環境改善剤を被処理物に接触させることにより、アレルギーの原因となるハウスダストを無害化すると共に、析出した固体を被処理物から除去することにより、今まで簡単な清掃作業では除去できなかったハウスダストを容易に除去することが可能になる。被処理物としては絨毯、畳などの床の他にソファー、蒲団、枕、衣料などの繊維製品や皮製品、カビが生えやすい窓際や壁を挙げることができる。また、乾燥後形成される固体物質は、掃除機などで吸引する方法、ブラシなどで払い落とす方法、フトンタタキなどで叩き落とす方法、繊維製品などで拭き取る方法、粘着性フィルムで吸着する方法、静電気により吸着させる方法及びホウキなどで掃き取る方法などで容易に除去することができる。また、本発明では花粉などの住居内の空間に浮遊しているハウスダストには空間に直接噴霧することで浮遊ダストを沈降させることが可能となる。この場合、沈降した浮遊ダストは上記清掃方法で容易に住居内環境から除去することが可能になる。
【0072】
被処理物への接触方法としては塗布又は噴霧する方法が好適であり、特に噴霧する方法が簡便性の点から好適である。住居内環境改善剤を噴霧する場合、噴霧器としては、トリガー式噴霧器を用いることが好ましい。
【0073】
トリガー式噴霧器を用いる場合、該噴霧器は1回のストロークで0.1g〜2.0g、好ましくは0.2〜1.5g、さらに好ましくは0.3g〜1.0g噴出するものが良好である。本発明で使用するトリガー式スプレー容器として特に好ましいものは、実開平4−37554号公報に開示されているような蓄圧式トリガーが、噴霧の均一性の点で特に良好である。
【0074】
噴霧特性としては、特に地面に垂直に置いた対象物に15cm離れた場所からスプレーしたときの液のかかる面積が100〜800cm、好ましくは150〜600cmになるトリガー式噴霧器が好ましい。また、本発明では(c)成分を対象物1000cm当たり1〜10mg、好ましくは2〜5mgになるように均一に対象物にスプレーし、乾燥させることで高いハウスダスト除去効果を得ることができる。
【0075】
住居内環境改善剤を塗布又は噴霧してから清掃するまでの時間は、十分に効果を発揮するために十分に乾燥させる事が好ましく、10秒以上、好ましくは1分以上、さらに好ましくは3分以上乾燥させることが好ましい。
【0076】
接触後は自然乾燥させた後、タオル等の布帛や掃除機、ブラシなどの清掃道具により対象物を除去することで、ハウスダストを除去することができ、また除菌も行なわれるだけでなく、カビ抑制にも効果的であるため、住居内環境を効率的に改善し、日常の清掃作業で恒常的に住居内環境をよい状態に維持することが可能となる。
【0077】
【実施例】
表1で示される組成の住居内環境改善剤を調製し、スプレーデバイス〔花王(株)製スムーザー(商品名)に用いられるトリガーデバイス。デバイスの1回のストロークの噴霧量は0.3gであり、垂直に置かれた対象面に15cm離れた場所からスプレーしたときの液のかかる面積が420cmであった。〕を具備する400mlの容器に充填した。
【0078】
このような容器入り住居内環境改善剤は、絨毯やビロード地のソファー、などに対して噴霧し乾燥させた後、生成した粉末を掃除機により吸引することでハウスダストを効率よく除去することができる。また、カーテン及びフトンなどに対しては同様に処理し乾燥後に析出した粉末を払い落とすことで除去することができる。ハウスダストの定量方法としてアレルゲン量を測定することで決定してもよい。その場合は、下に述べるサンドイッチELISA法により測定できる。なお、(d)成分としてジヒドロジャスモン酸メチルを配合する場合は、ダニに対する活動が抑制されることが顕微鏡などの観察で確認することができる。またゲラニオールを配合する系においては、カビの発育を抑制することができる。また、タイム油を配合する系は消臭効果も期待できる。
【0079】
<サンドイッチELISA法>
1.モノクローナル抗体15E11(生化学工業(株))をPBSで2μg/mlの濃度に希釈しマイクロプレート(住友ベークライトELISA PLATE H TYPE)の各ウェルに50μlずつ分注し、室温で2時間静置する。
2.プレートをPBSで3回洗浄する。
3.1%BSAを含むPBS(大日本製薬 ブロックエース)を各ウェルに200μlずつ分注し室温で1時間静置し、ブロッキングを行う。
4.プレートをTween20(SIGMA)を0.05質量%含有するPBS(以下、T−PBSとする)で3回洗浄する。
5.スタンダードとしてrDer f II(生化学工業(株))を0.3μg/mlから9管T−PBSで2倍希釈し、各々50μlを各ウェルに分注し、さらに陰性対照としてrDer f IIの替わりにT−PBSを50μl加えたウェルを用意する。測定する試料はT−PBSで適宜希釈してから各ウェルに50μlずつ分注する。室温で2時間静置する。
6.プレートをT−PBSで3回洗浄する。
7.至適濃度のHRP標識13A4(生化学工業(株))を各ウェルに50μl分注し室温で2時間静置する。
8.プレートをT−PBSで3回洗浄する。
9.ペルオキシダーゼ用発色キットT(住友ベークライト)を用いて発色を行う。まず発色剤10mLに基質液を0.1mL加えて混和して発色液とする。この発色液を各ウェルに100μlずつ分注し室温で発色させる。 その後停止液を各ウェルに100μlずつ分注して反応を止め、プレートリーダーで450nmにおける吸光度を測定する。
10.スタンダードの吸光度から得られる検量線を用いて測定する試料のDer f II濃度を算出する。
【0080】
<配合例>
本発明の効果を有する住居内環境改善剤を表1、2に示す。
【0081】
【表1】
Figure 2004275605
【0082】
【表2】
Figure 2004275605
【0083】
a)重量平均分子量50万のポリビニルアルコール
b)重量平均分子量10万のポリビニルピロリドン
c)重量平均分子量2万のポリアクリルアミド
d)重量平均分子量2万のポリエチレングリコール

Claims (1)

  1. (a)下記(I)〜(III)から選ばれる水溶性高分子化合物、(b)水及び1013.25hPaにおける沸点が10〜100℃の有機溶剤から選ばれる液体成分、並びに、(c)(b)に溶解し、(b)の蒸発により固体を生成させる固体源物質(但し(a)は除く)、を含有する住居内環境改善剤。
    (I)水溶性天然高分子又はその誘導体(但しセルロース誘導体、澱粉誘導体は除く)
    (II)分子中に平均付加モル数20〜5000のポリオキシアルキレン基を1つ以上有する化合物(但し炭素数8〜18の炭化水素基を有する化合物は除く)
    (III)ビニルアルコール、酢酸ビニル、ビニルピロリドン、アクリルアミド、及びスチレンスルホン酸又はその塩から選ばれるモノマーに由来する構成単位を分子中に50〜100モル%有するホモポリマー又はコポリマー
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