JP2004274903A - モータ駆動装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】内蔵された冷却ファンの故障を検出したとき直ちに停止することなく、駆動機器の安全とパワー半導体素子などの寿命を確保しながらモータを駆動させるモータ駆動装置を提供する。
【解決手段】冷却ファン3が正常であるとき、マイコン4はパワー半導体素子1の検出温度が保護レベル数値1以下であれば、モータの駆動を許可し、保護レベル数値1を超えたときは、異常と判断してモータの駆動を停止する。冷却ファンの故障を検出したとき、上位制御装置に対し冷却ファン3の停止を警告する警告信号6を発すると同時に、マイコン4は保護レベル数値2に切り替える。
【選択図】 図2

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、産業分野などに使用されるインバータ、サーボアンプに内蔵した冷却ファンの故障によるモータ駆動装置の停止回避に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、モータ駆動装置の小型化の進展に伴いパワー半導体素子などの加熱防止のために冷却ファンを内蔵することが一般的に実施されている。
【0003】
しかしながら一般的に冷却ファンは短寿命部品であり、冷却ファンの寿命がモータ駆動装置の寿命を支配する。
【0004】
そのため、モータ駆動装置の周囲温度が低い場合などパワー半導体素子の温度が低い時は、冷却ファンを停止または回転数を低下させるなどの手段で冷却ファンの長寿命化することが実施されてきた(例えば、特許文献1参照)。
【0005】
【特許文献1】
特開平9−117158号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら冷却ファンが故障などで停止した場合、モータ駆動装置が直ちにモータ駆動を禁止する保護措置を取ると、そのモータ駆動装置を組み込んだ生産機械や産業機械などの稼動を停止することとなり、大きな経済的損失が発生するなどの課題があった。
【0007】
また、冷却ファンが故障で停止した時にモータ駆動を継続すると、パワー半導体素子の温度が保護温度設定値に容易に達するため、モータの駆動を停止することとなる。一方、最初から保護温度設定値を高く設定すると、パワー半導体素子などの寿命が短縮され、さらに被害が拡大する可能性があった。
【0008】
本発明はこのような従来の課題を解決するものであり、モータ駆動装置に内蔵された冷却ファンの故障を検出したとき直ちに停止することなく、駆動機器の安全とパワー半導体素子などの寿命を確保しながらモータを駆動させるモータ駆動装置を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記の課題を解決するために本発明は、モータを駆動するパワー半導体素子と、前記パワー半導体素子の温度を検出する温度検出手段と、前記パワー半導体素子を冷却する故障検出手段を有した冷却ファンと、前記パワー半導体素子の寿命を確保する保護温度設定値をあらかじめ複数記憶した記憶手段と、前記冷却ファンの状態に応じて保護温度設定値を切り替える切替手段と、前記保護温度設定値を超えたときにモータの駆動を停止する保護手段とを備え、前記冷却ファンが正常回転しているときは、保護温度設定値の中から最小値(初期値)を選択し、初期値を超えたときにモータの駆動を停止し、冷却ファンの故障を検出したときは、上位制御装置に対し警告信号を発しながら、保護温度設定値を初期値より高い値に切り替えてモータ駆動を許可するので、パワー半導体素子の寿命を確保しながらモータを駆動させることができ、生産機械などの稼動を一定期間継続することが可能となる。
【0010】
【発明の実施の形態】
上記の課題を解決するために請求項1に記載のモータ駆動装置は、冷却ファンが正常回転しているときは、保護温度設定値の中から最小値(初期値)を選択し、初期値を超えたときにモータの駆動を停止し、冷却ファンの故障を検出したときは、上位制御装置に対し警告信号を発しながら、保護温度設定値を初期値より高い値に切り替えてモータ駆動を許可するため、冷却ファンが故障で停止しても、パワー半導体素子の短期寿命を確保しながらモータを駆動することができる。
【0011】
また、請求項2に記載のモータ駆動装置は、冷却ファンn個に対して保護温度設定値をあらかじめn+1個設定しておき、故障した冷却ファンの数に応じて保護温度設定値を切り替えるものであり、より駆動機器の安全とパワー半導体素子の短期寿命を確保しながらモータ駆動装置を運転することができる。
【0012】
【実施例】
以下、本発明の一実施例について図面を参照して説明する。
【0013】
(実施例1)
実施例1は、冷却ファンが1つ搭載されたモータ駆動装置である。
【0014】
図1において、ダイオードおよびIGBTなどからなるパワー半導体素子1は、入力された交流電源を直流に変換したのち、電圧や電流および周波数を制御しモータを駆動する。
【0015】
パワー半導体素子1はヒートシンク2に取り付けられ、冷却ファン3にて冷却される。この冷却ファン3は故障検出手段を有しており、モータ制御用のマイコン4に入力される。また、サーミスタなどからなる温度検出手段5にてパワー半導体素子1の温度を検出しマイコン4に入力される。
【0016】
マイコン4には、パワー半導体素子1の安全を確保する保護温度設定値をあらかじめ冷却ファン3の台数nに応じてn+1段階で記憶させており、冷却ファン3の故障状況に応じて保護温度設定値を切り替える。以下、図2のフローチャートを併用して説明する。
【0017】
まず、冷却ファン3が正常回転しているとき、マイコン4は保護温度設定値として保護レベル数値1(初期値)を選択する。パワー半導体素子1の温度が保護レベル数値1以下であれば、モータの駆動を許可し、保護レベル数値1を超えれば、異常と判断してモータの駆動を停止する。
【0018】
この保護レベル数値1は、半導体素子のジャンクション温度上限150℃や電解コンデンサなど有寿命部品の温度上限を長期寿命が期待できるように冷却ファン3により低減させた値に決定され、一般に90℃程度に設定する。
【0019】
次に、冷却ファン3の故障を検出したとき、上位制御装置に対し冷却ファンの停止を警告する警告信号6を発すると同時に、マイコン4は保護レベル数値1よりも高い値の保護レベル数値2に切り替える。
【0020】
この保護レベル数値2は、長期の寿命を期待せずに、パワー半導体素子1の破壊などモータ駆動装置の動作上課題が生じない設定値とする。本実施例では120℃程度に設定する。
【0021】
さらに、保護レベル数値2を超えた場合はモータの駆動を停止するが、保護レベル数値1でモータ駆動した場合に比べて、モータの駆動を一定期間継続できる可能性が高くなり、冷却ファンの故障と同時に生産機械を緊急停止することなく、安全に稼動できる。また、機械の稼動に支障がない時に冷却ファンの交換などの保守を行うことが可能となる。
【0022】
また、上位制御装置がモータ駆動装置の稼動率を低く抑える措置を講じれば、冷却ファンモータ3が故障した場合であっても、モータ駆動装置の温度上昇を抑制でき生産機械の稼動を長期化できる。
【0023】
なお、モータ駆動装置以外にも同じようにパワー半導体素子と冷却ファンを搭載する溶接機や無停電電源などの機器にも本発明を適用することができる。
【0024】
(実施例2)
実施例2は、冷却ファンが2つ搭載されたモータ駆動装置で、あらかじめ3つの保護温度設定値を記憶している。
【0025】
図示はしないが、2つの冷却ファンがともに正常である場合、マイコンは保護温度設定値として保護レベル数値1(初期値)を採用し、1つの冷却ファンの故障を検出した場合には、保護レベル数値2に切り替える。さらに2つの冷却ファンの故障を検出した場合、保護レベル数値3に切り替える。
【0026】
例えば、保護レベル数値1を90℃とし、保護レベル数値2を105℃、保護レベル数値3を120℃とする。これにより1つの冷却ファンが故障した場合は、2つの冷却ファンが故障した場合より長期の寿命が期待でき、冷却ファンの故障が発生した後のモータ制御装置の交換など保守作業までの期間を長期化することができる。
【0027】
なお、冷却ファンをn個備えたモータ制御装置では、保護温度設定値を90℃から120℃の範囲をn+1段階に設定すればよく、何台でもあっても同様に実施できる。
【0028】
【発明の効果】
上記の実施例から明らかなように本発明によれば、冷却ファンの故障を検出したときモータ駆動装置は、パワー半導体素子の寿命を確保した上でモータを駆動する。
【0029】
これにより生産機械の緊急停止を防止し、稼動損を減らすことができる。また、冷却ファンがn台のとき、保護温度設定値をn+1段階に設定することで、さらに安全に生産機械などの稼動を継続することができ、稼動に支障がない時にモータ駆動装置の保守を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例1におけるモータ制御装置のブロック図
【図2】本発明の実施例1におけるフローチャート
【符号の説明】
1 パワー半導体素子
2 ヒートシンク
3 冷却ファン
4 マイコン(記憶手段、切替手段)
5 温度検出手段
6 警告信号
7 電源
8 モータ

Claims (2)

  1. モータを駆動するパワー半導体素子と、前記パワー半導体素子の温度を検出する温度検出手段と、前記パワー半導体素子を冷却する故障検出手段を有した冷却ファンと、前記パワー半導体素子の寿命を確保する保護温度設定値をあらかじめ複数記憶した記憶手段と、前記冷却ファンの状態に応じて保護温度設定値を切り替える切替手段と、前記保護温度設定値を超えたときにモータの駆動を停止する保護手段とを備え、前記冷却ファンが正常回転しているときは、保護温度設定値の中から最小値(初期値)を選択し、初期値を超えたときにモータの駆動を停止し、冷却ファンの故障を検出したときは、上位制御装置に対し警告信号を発しながら、保護温度設定値を初期値より高い値に切り替えてモータ駆動を許可するモータ駆動装置。
  2. 冷却ファンn個に対して保護温度設定値をあらかじめn+1個設定しておき、故障した冷却ファンの数に応じて保護温度設定値を切り替える請求項1に記載のモータ駆動装置。
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