JP2004274802A - 同期電動機 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】三相同期モータ1の固定子2を構成するステータ10は、12個のティース部5が内周部に設けられる第1バックヨーク部6と、この第1バックヨーク部6の外周面に径方向に巻き重ねて設けられる第2バックヨーク部7とから構成されている。また、第1バックヨーク部6は、無方向性電磁鋼板により形成されている。一方、第2バックヨーク部7は、周方向に磁化容易方向を有する方向性電磁鋼板により形成されている。また、第1バックヨーク部6のティース部5を含まない部分の径方向の幅寸法と、第2バックヨーク部7の径方向の幅寸法とはほぼ等しくなるように形成されている。
【選択図】 図1
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、固定子コイルが巻回される複数のティース部が内周部に形成されるステータが設けられた同期電動機に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来より、ステータの鉄損やトルクリップル等を小さくし、効率を高めた同期電動機が種々提案されている。
例えば、ステータ鉄心を、外周面に開口させたコイルスロットを有するティース部と、このティース部の外周に上記コイルスロットにコイルを挿入した後、磁性薄板を巻き重ねて形成したヨーク部によって構成される第1の同期電動機がある。また、このヨーク部の薄板材として、例えばアモルファスや、方向性電磁鋼板を用いることによってコイルに供給する励磁電流、および鉄心の鉄損を低下させることができる(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
また、巻線を電気的絶縁部材(プラスチック樹脂)に固定してなる固定子と、この固定子の内側で永久磁石(界磁磁石)を構造体を介してシャフトに固定してなる回転子とを備え、固定子を装着し、当該永久磁石電動機を保護するための外殻(ブラケット)を鋼板(軟鋼板)とし、ヨーク兼用として磁束分布を良好なものとする第2の同期電動機がある(例えば、特許文献2参照。)。
【0004】
また、シャフトに保持され、磁極をラジアル方向にN極,S極交互に着磁した円筒状のロータマグネットと、このロータマグネットを回転自在に支持するメタル軸受と、複数個の巻線を円筒状に配置したステータコイルと、このステータコイルの外側に配置したバックヨークと、フレームとを備え、該バックヨークを帯状の磁性材料を螺旋状に巻いて円筒を形成してインナーロータ型とした円筒状ブラシレスモータがある(例えば、特許文献3参照。)。
【0005】
【特許文献1】
特開昭60−2038号公報(第1頁〜第2頁、図2)
【特許文献2】
特開2001−211576号公報(段落(0019)、図1)
【特許文献3】
特開平5−219665号公報(段落(0012)〜(0013)、図1及び図2)
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記した従来の第1の同期電動機では、ティース部とヨーク部との接合部分の磁束方向は、主に径方向の磁束であるため、このヨーク部を周方向に磁化容易方向を有する方向性電磁鋼板で形成した場合には、この接合部分の近傍における鉄損を低下させることが難しいという問題がある。また、第2の同期電動機では、ティース部が内周部に設けられる固定子は、電気的絶縁部材(プラスチック樹脂)で形成されるため、固定子内の透磁率が電磁鋼板と比較して低下し、コイルに供給する励磁電流が大きくなるという問題がある。
また、従来の第1の同期電動機のバックヨーク部に上記円筒状ブラシレスモータの螺旋状のバックヨークを適用した場合にも、ティース部とヨーク部との接合部分の近傍における鉄損を低下させることが難しいという問題がある。
また、第2の同期電動機のヨークに第1の同期電動機のバックヨーク部を適用した場合にも、ティース部が内周部に設けられる固定子は、電気的絶縁部材(プラスチック樹脂)で形成されるため、固定子内の透磁率が電磁鋼板と比較して低下し、コイルに供給する励磁電流が大きくなるという問題がある。また、同様に第2の同期電動機のヨークに上記円筒状ブラシレスモータの螺旋状のバックヨークを適用した場合にも、ティース部が内周部に設けられる固定子は、電気的絶縁部材(プラスチック樹脂)で形成されるため、固定子内の透磁率が電磁鋼板と比較して低下し、コイルに供給する励磁電流が大きくなるという問題がある。
【0007】
そこで、本発明は上記した問題点を解決するためになされたものであり、ティース部と第1バックヨーク部とを無方向性電磁鋼板で形成すると共に、この第1ヨーク部の外周部に周方向に磁化容易方向を有する方向性電磁鋼板で形成される第2バックヨーク部を設けることによって、ステータの低鉄損化を図り、高効率化することができる同期電動機を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
前記目的を達成するため請求項1に係る同期電動機は、固定子コイルが巻回される複数のティース部が内周部に設けられたステータを備えた同期電動機において、前記ステータは、複数のティースが内周部に設けられた第1電磁鋼板を複数枚厚さ方向に積層・固着して形成される第1バックヨーク部と、前記第1バックヨーク部の外周部に配置されて、周方向に磁化容易方向を有する方向性電磁鋼板で形成される第2バックヨーク部と、を有することを特徴とする。
【0009】
このような特徴を有する請求項1に係る同期電動機では、第1バックヨーク部の内周部に固定子コイルが巻回される複数のティース部が設けられていることから、各固定子コイルの励磁によって形成される磁束の方向は、ティース部から第1バックヨーク部の外周部に向かって径方向から周方向に変化するが、該第1バックヨーク部は第1電磁鋼板が複数枚厚さ方向に積層・固着されて形成されるため、この磁束の方向の変化による鉄損を低減することができる。また、ステータの外周部分における磁束の方向は、ほぼ周方向となるため、この第1バックヨーク部の外周部に周方向に磁化容易方向を有する方向性電磁鋼板で形成される第2バックヨーク部を配置することによって、ステータの外周部分における周方向の磁束に対する高透磁率化及び低鉄損化を図ることができ、同期電動機の高効率化、トルク向上、及び漏れ磁束の低減化を図ることできる。
【0010】
また、請求項2に係る同期電動機は、請求項1に記載の同期電動機において、前記第1バックヨーク部の径方向の外周面は、前記固定子コイルの励磁によって形成される前記ステータ内の全磁束の方向がほぼ周方向になる位置に設けられていることを特徴とする。
【0011】
このような特徴を有する請求項2に係る同期電動機では、各固定子コイルの励磁によって形成される磁束の方向は、第1バックヨーク部の外周部ではほぼ周方向であるため、この第1バックヨーク部の外周部に周方向に磁化容易方向を有する方向性電磁鋼板で形成される第2バックヨーク部を配置することによって、ステータの外周部分における鉄損を無方向性電磁鋼板よりも大幅に低減することができ、同期電動機の高効率化、小型化を確実に図ることができる。
【0012】
また、請求項3に係る同期電動機は、請求項1に記載の同期電動機において、前記第1バックヨーク部の径方向の外周面は、前記固定子コイルの励磁によって形成される前記ステータ内の全磁束に対する周方向の磁束の割合が約80%以上になる位置に設けられていることを特徴とする。
【0013】
このような特徴を有する請求項3に係る同期電動機では、第1バックヨーク部の径方向の外周面は、固定子コイルの励磁によって形成されるステータ内の全磁束に対する周方向の磁束の割合が約80%以上になる位置に設けられていることから、第1バックヨーク部の外径寸法をより小さくして、第2バックヨーク部の径方向の厚さ寸法を大きくすることができ、ステータの外周部分における周方向の磁束の高透磁率化、低鉄損化図ることができ、同期電動機の効率の更なる向上を図ることができる。
【0014】
また、請求項4に係る同期電動機は、請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の同期電動機において、前記第1電磁鋼板は、無方向性電磁鋼板で形成されていることを特徴とする。
【0015】
このような特徴を有する請求項4に係る同期電動機では、固定子コイルの励磁によって第1バックヨーク部内を流れる磁束の方向が半径方向から周方向に複雑に変化するため、該第1バックヨーク部を形成する第1電磁鋼板を無方向性電磁鋼板で形成することにより、周方向に磁化容易方向を有する方向性電磁鋼板等で該第1バックヨーク部を形成した場合に比較して、鉄損をより低減化することができると共に、材料コストの削減化を図ることでき、同期電動機の更なる高効率化、トルク向上、及び小型化を図ることできると共に、製造コストの削減化を図ることができる。
【0016】
また、請求項5に係る同期電動機は、請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の同期電動機において、前記第2バックヨーク部は、長手方向に磁化容易方向が配置される長尺状の方向性電磁鋼板で形成されて、前記第1バックヨーク部の径方向に巻き重ねて設けられていることを特徴とする。
【0017】
このような特徴を有する請求項5に係る同期電動機では、第2バックヨーク部は、長手方向に磁化容易方向が配置される長尺状の方向性電磁鋼板を第1バックヨーク部の径方向に巻き重ねて設けられているため、簡易な構成によりこの第2バックヨーク部を形成することができ組立作業の効率化を図ることができる。また、この方向性電磁鋼板は、所定長さ巻回毎に幅方向に切断するだけでよいため、材料取りの向上を図ることができ、製造コストの削減化を図ることができる。また、この第2バックヨーク部の幅寸法を第1バックヨーク部の軸方向の高さ寸法に等しくすることによって、1回の巻き付け作業で第2バックヨーク部を形成することが可能となり、組立作業の更なる効率化を図ることができる。また、方向性電磁鋼板の機械強度は、無方向性電磁鋼板より強いため、ステータの径方向の機械強度の向上を図ることができる。
【0018】
更に、請求項6に係る同期電動機は、請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の同期電動機において、前記第2バックヨーク部は、長手方向に磁化容易方向が配置される長尺状の方向性電磁鋼板で形成され、前記第1バックヨーク部の外周面の軸方向に沿って該方向性電磁鋼板が厚さ方向に積層されるように螺旋状に巻回されて設けられていることを特徴とする。
【0019】
このような特徴を有する請求項6に係る同期電動機では、第2バックヨーク部は、長手方向に磁化容易方向が配置される長尺状の方向性電磁鋼板を第1バックヨーク部の外周面の軸方向に沿って該方向性電磁鋼板が厚さ方向に積層されるように螺旋状に巻回されて設けられているため、1回の巻き付け作業で第2バックヨーク部を形成することが可能となり、組立作業の効率化を図ることができる。また、この方向性電磁鋼板は、所定長さ巻回毎に幅方向に切断するだけでよいため、材料取りの向上を図ることができ、製造コストの削減化を図ることができる。また、第2バックヨーク部は、厚さ方向に積層されるように螺旋状に巻回されて、該第2バックヨーク部と第1バックヨーク部の各電磁鋼板がほぼ平行になるように配置されるため、第2バックヨーク部と第1バックヨーク部との当接面における低鉄損化を図ることができ、同期電動機の更なる効率向上を図ることができる。また、方向性電磁鋼板の機械強度は、無方向性電磁鋼板より強いため、ステータの径方向の機械強度の向上を図ることができる。
【0020】
また、請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の同期電動機において、前記第2バックヨーク部は、周方向に磁化容易方向が配置される略円環状の方向性電磁鋼板で形成され、前記第1バックヨーク部の外周面の軸方向に沿って該方向性電磁鋼板が複数枚厚さ方向に積層・固着されて設けられる構成も好ましい。また、この各略円環状の方向性電磁鋼板を周方向に所定中心角度で分割される複数の略円弧状の方向性電磁鋼板で形成する構成も好ましい。
これにより、周方向に磁化容易方向が配置される略円環状の方向性電磁鋼板を予め多数枚作製しておき、この円環状の方向性電磁鋼板を第1バックヨーク部の外周部に複数枚厚さ方向に積層・固着することにより第2バックヨーク部を形成することができるため、ステータを容易に作製することができ、組立作業の効率化および製造コストの削減化を図ることができる。また、この略円環状の方向性電磁鋼板を周方向に所定中心角度で分割される複数の略円弧状の方向性電磁鋼板で形成する場合には、更に材料取りの歩留まりの向上や型コストの低減化を図ることができる。
【0021】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係る同期電動機を三相同期モータに具体化した第1実施形態乃至第4実施形態を図面に基づき説明する。先ず、第1実施形態に係る三相同期モータの概略構成について図1及び図2に基づき説明する。
図1及び図2に示すように、第1実施形態に係る三相同期モータ1は、固定子2と回転子3とこれらを収納する不図示のケースとから構成されている。
固定子2は、12個のティース部5が内周部に設けられる第1バックヨーク部6と、この第1バックヨーク部6の外周面に後述のように径方向に巻き重ねて設けられる第2バックヨーク部7と(図4参照)、各ティース部5の周方向両側面及び上下端面部に順番に巻装される樹脂製ボビン9に巻回された各固定子コイル8A、8B、8Cと、から構成されている。また、第1バックヨーク部6は、無方向性電磁鋼板により形成されている。一方、第2バックヨーク部7は、後述のように周方向に磁化容易方向を有する方向性電磁鋼板により形成されている。また、第1バックヨーク部6のティース部5を含まない部分の径方向の幅寸法と、第2バックヨーク部7の径方向の幅寸法とはほぼ等しくなるように形成されている。ここで、第1バックヨーク部6と第2バックヨーク部7とによりステータ10が構成されている。
また、回転子3は、8個のロータティース部11が外周部に設けられたロータ12と、その回転中心に設けられて回転自在に軸支される回転軸13とから構成されている。
【0022】
次に、このように構成される三相同期モータ1の各固定子コイル8A〜8Cに順次通電して励磁した場合に形成される磁気回路について図1乃至図3に基づいて説明する。
尚、図1及び図2には各固定子コイル8Aに通電して励磁した場合に、固定子2と回転子3に形成される磁気回路が示されているが、各固定子コイル8B、8Cにそれぞれ通電した場合にも固定子2と回転子3に同様な磁気回路が形成される。
【0023】
図1及び図2に示すように、各固定子コイル8Aに通電することにより、この固定子コイル8Aが巻回される各ティース部5内に半径方向に流れる磁束が発生する。そして、無方向性電磁鋼板を複数枚積層して形成される各ティース部5内に発生した半径方向外側に流れる磁束は、各ティース部5の基端部から徐々に半径方向から周方向に約90度曲げられつつ第1バックヨーク部6内を流れて、この第1バックヨーク部6の外周部に達する。
続いて、この磁束は第1バックヨーク部6の外周部に達した場合には、第2バックヨーク部7内を周方向に流れ、直交する位置の各固定子コイル8Aにより、該固定子コイル8Aが巻回されるティース部5の基端部に対向する位置で再度、約90度曲げられてこのティース部5内を半径方向内側に流れ、対向配置されるロータティース部11内を半径方向内側に流れる。そして、このロータティース部11内に発生した半径方向内側に流れる磁束は、各ロータティース部11の基端部で周方向に約90度曲げられて無方向性電磁鋼板を複数枚積層して形成されるロータ12内を流れる。そしてまた、ロータ12内を周方向に流れる磁束は、直交する位置の各固定子コイル8Aにより、各ロータティース部11の基端部で再度、約90度曲げられてこのロータティース部11内を半径方向外側に流れ、対向配置されるティース部5内を半径方向外側に流れる。
これにより、図1に示すように、無方向性電磁鋼板を複数枚、積層・固着して形成される第1バックヨーク部6、周方向に磁化容易方向を有する方向性電磁鋼板で形成される第2バックヨーク部7、及びロータ12内を流れる4つの閉磁気回路(図1(A)中、太実線で示す閉磁気回路)15が形成される。
【0024】
ここで、第1バックヨーク部6及び第2バックヨーク部7内を流れる磁束の径方向から周方向に変化する状態の一例を図3に基づいて説明する。
図3(A)に示すように、第1バックヨーク部6及び第2バックヨーク部7における半径方向の各位置A〜Gは、先ず、位置Aは第1バックヨーク部6の内周面の位置で、位置Gは第2バックヨーク部7の外周面の位置である。また、各位置B〜Fは、この位置Aと位置Gとの間を約6等分する点であり、中点である位置Dは第1バックヨーク部6の外周面に位置している。
また、図3(B)に示すように、径方向の磁界H(A/m)は、位置Aから位置Eに至るまで急激に減少し、位置Fではほぼ0(A/m)になっている。一方、周方向の磁界H(A/m)は、位置Aから位置Bに至るまで急激に増加し、位置Bから半径方向外側の位置では緩やかに増加している。そして、周方向の磁界H(A/m)は、位置Dから半径方向外側では、ほぼ安定している。また、全磁束に対する周方向の磁界Hの割合は、位置Aで約37.1%、位置Bで約59.7%、位置Cで約72.6%、位置Dで約82.3%、位置Eで約90.3%、位置Fではほぼ100%になっている。
【0025】
これより、第1バックヨーク部6内を流れる全磁束の周方向の磁界Hの割合は、位置Aから位置Dに渡って約37.1%から約82.3%まで急激に変化している。即ち、各ティース部5の基端部付近では磁束の方向が複雑になっている。これに対して、第2バックヨーク部7内を流れる位置Dから位置Gに渡って全磁束の周方向の磁界Hの割合は、約82.3%から約100%で、磁束の方向がほぼ周方向に向かうため、第2バックヨーク部7の磁化容易方向にほぼ一致している。
【0026】
また、ステータ10のティース部5を含まない部分の径方向の幅寸法に対する無方向性電磁鋼板で形成される第1バックヨーク部6の径方向の幅寸法の最適比率について図4に基づいて説明する。
図4(A)に示すように、無方向性電磁鋼板で形成される第1バックヨーク部6のティース部5を含まない部分の径方向の幅寸法をW1とする。また、方向性電磁鋼板で形成される第2バックヨーク部7を含むステータ10のティース部5を含まない部分の径方向の幅寸法をWとする。また、各ティース部5には各固定子コイル8A〜8Cが順次巻装されている。
尚、第1バックヨーク部6と第2バックヨーク部7とから形成されるステータ10のティース部5を含まない部分の径方向の幅寸法Wは、上記の通り無方向性電磁鋼板で形成される第1バックヨーク部6の外周面における周方向の磁界Hの割合が全磁束に対して約80%〜100%になる位置に形成された際の該第1バックヨーク部6のティース部5を含まない部分の径方向の幅寸法の約2倍になるように形成されているものとする。
【0027】
また、図4(B)に示すように、無方向性電磁鋼板の鉄損に対する方向性電磁鋼板の鉄損の比率である鉄損比は、方向性電磁鋼板の磁化容易方向が磁束の方向と一致する場合(即ち、磁束の方向と磁化容易方向とのなす角度が0degの場合)には、無方向性電磁鋼板における鉄損を1とすると該方向性電磁鋼板の鉄損は約0.5になる。また、方向性電磁鋼板の磁化困難方向が磁束の方向と一致する場合(即ち、磁束の方向と磁化容易方向とのなす角度が90degの場合)には、無方向性電磁鋼板における鉄損を1とすると該方向性電磁鋼板の鉄損は約2になる。
【0028】
このような図4(B)に示す鉄損比を有する無方向性電磁鋼板及び方向性電磁鋼板でステータを形成した場合には、図4(C)に示すように、ステータ10の径方向の幅寸法Wに対する第1バックヨーク部6の径方向の幅寸法W1の比率である分割比W1/Wが「約0%」の場合、即ち第1バックヨーク部6の幅寸法W1がほぼ「0」の場合には、ステータ10のティース部5を含まない部分は、ほぼ第2バックヨーク部7、即ち方向性電磁鋼板で形成されるため、鉄損は最大値となる。そして、この第1バックヨーク部6の径方向の幅寸法W1を徐々に増加して分割比W1/Wを徐々に増加させた場合には、ステータ10の鉄損は減少して、分割比W1/Wが「約50%」の場合、即ち、第1バックヨーク部6の幅寸法W1がステータ10の径方向の幅寸法Wの約半分になった場合に、鉄損が最小値になっている。更に、この第1バックヨーク部6の径方向の幅寸法W1を徐々に増加して分割比W1/Wを徐々に増加させた場合には、ステータ10の鉄損は増加して、分割比W1/Wが「約100%」の場合、即ち、ステータ10のティース部5を含まない部分が、ほぼ第1バックヨーク部6、即ち無方向方向性電磁鋼板で形成された場合に、再度、鉄損は最大値となる。また、この分割比W1/Wが「約50±20%」の場合には、ステータ10の鉄損は、分割比W1/Wが「約0%」及び「約100%」における最大鉄損と、この分割比W1/Wが「約50%」における最小鉄損との差の約半分の鉄損になっている。
【0029】
従って、図3及び図4に示すように、無方向性電磁鋼板で形成される第1バックヨーク部6の外周面を全磁束の周方向の磁界Hの割合が約80%からほぼ100%になる位置に形成することにより、第2バックヨーク部7内を流れる磁束の方向がほぼ周方向に向かうため、ステータ10の外周部分における鉄損を無方向性電磁鋼板よりも大幅に低減することができ、三相同期モータ1の高効率化、小型化を確実に図ることができる。また、無方向性電磁鋼板で形成される第1バックヨーク部6の外周面を全磁束の周方向の磁界Hの割合がほぼ100%になる位置に形成することにより、第2バックヨーク部7内を流れる磁束の方向が確実に周方向に向かうため、ステータ10の外周部分における更なる低鉄損化を図ることができる。
また、第1バックヨーク部6内を流れる全磁束の周方向の磁界Hの割合は、位置Aから位置Dに渡って約37.1%から約82.3%まで急激に変化するため、第1バックヨーク部6を無方向性電磁鋼板で形成することにより、該第1バックヨーク部6を方向性電磁鋼板で形成する場合よりも低鉄損化を図ることができる。また、第1バックヨーク部6の径方向の外周面を、各固定子コイル8A〜8Cの励磁によって形成されるステータ10内の全磁束に対する周方向の磁束の割合が約80%からほぼ100%になる位置になるように設けると共に、ステータ10の径方向の幅寸法Wに対する該第1バックヨーク部6の径方向の幅寸法W1の比率である分割比W1/Wが「約50±20%」の範囲内にすることによって、該ステータ10の鉄損と最小鉄損との差を、該分割比W1/Wが「約0%」〜「約100%」における最大鉄損と最小鉄損との差の約半分以下にすることができる。また、該分割比W1/Wを「約50%」とすることにより、三相同期モータ1のステータ10の鉄損の最小化、即ち分割比W1/Wの最適化を図ることができる。
【0030】
次に、三相同期モータ1の固定子2及び回転子3の製造方法について図5に基づいて説明する。
図5(A)に示すように、第1バックヨーク部6は、内周部に等間隔に12個のティースを有するように打ち抜いて成形した略円環状の無方向性電磁鋼板(第1電磁鋼板として機能する。)を複数枚積層し、溶接やカシメ等により固定したものである(第1工程)。
また、ロータ12は、外周部に等間隔に8個のロータティースを有するように打ち抜いて成形した略円環状の無方向性電磁鋼板を複数枚積層し、溶接やカシメ等により固定したものである(第2工程)。そして、このロータ12に回転軸13を圧入して固定して回転子3を形成する(第3工程)。
尚、第1バックヨーク部6を構成する無方向性電磁鋼板の各ティースの周方向幅寸法と、ロータ12を構成する無方向性電磁鋼板の各ロータティースの周方向幅寸法とは同一の幅寸法に成形されている。また、第1バックヨーク部6の軸方向厚さ寸法とロータ12の軸方向厚さ寸法とは同一の厚さ寸法になるように積層・固定されている。
【0031】
そして、図5(B)に示すように、第2バックヨーク部7の作製は、長手方向(図5(B)中、矢印18A方向)に磁化容易方向を有する長尺状の方向性電磁鋼板18を第1バックヨーク部6を所定方向に回転させつつ(図5(B)中、第1バックヨーク部6を時計回り方向に回転させる。)、該第1バックヨーク部6の外周部に所定回数巻きつける。また、この方向性電磁鋼板18の幅寸法は、第1バックヨーク部6の軸方向厚さ寸法にほぼ等しくなるように形成されている。続いて、図5(C)に示すように、方向性電磁鋼板18を第1バックヨーク部6の外周部に所定回数巻きつけ後、溶接やワニス等で端縁部を固着して第2バックヨーク部7を形成すると共に、該第2バックヨーク部7を第1バックヨーク部6に溶接やワニス等で固着して、ステータ10を形成する(第4工程)。
【0032】
その後、図5(D)に示すように、第1バックヨーク部6の各ティース部5にプリプレグ(ガラス繊維状接着シート)20を巻回後所定温度に加熱してこのプリプレグ20を溶融して接着する(第5工程)。そして、各固定子コイル8A〜8Cの巻回されるボビン9を第1バックヨーク部6の各ティース部5に半径方向内側から挿入して装着する(第6工程)。これにより、固定子2が形成される。
【0033】
従って、第2バックヨーク部7は、長手方向に磁化容易方向が配置される長尺状の方向性電磁鋼板18を第1バックヨーク部6の径方向に巻き重ねて設けられているため、簡易な構成によりこの第2バックヨーク部7を形成することができ組立作業の効率化を図ることができる。また、この方向性電磁鋼板18は、第1バックヨーク部6の外周部に所定長さ巻回毎に幅方向に切断するだけでよいため、材料取りの向上を図ることができ、製造コストの削減化を図ることができる。また、この第2バックヨーク部7の幅寸法を第1バックヨーク部6の軸方向の高さ寸法に等しくすることによって、1回の巻き付け作業で第2バックヨーク部7を形成することが可能となり、組立作業の更なる効率化を図ることができる。また、方向性電磁鋼板18の機械強度は、無方向性電磁鋼板より強いため、ステータ10の径方向の機械強度の向上を図ることができる。
【0034】
次に、第2実施形態に係る三相同期モータについて図6及び図7に基づいて説明する。尚、上記第1実施形態に係る三相同期モータ1と同一符号は、上記第1実施形態に係る三相同期モータ1と同一あるいは相当部分を示すものである。
この第2実施形態に係る三相同期モータの全体構成は、第1実施形態に係る三相同期モータ1の全体構成とほぼ同じ構成である。但し、第2バックヨーク部の構成が上記第1実施形態に係る三相同期モータ1と異なっている。
【0035】
ここで、第2実施形態に係る三相同期モータの概略構成について図6に基づいて説明する。
図6に示すように、第2実施形態に係る三相同期モータ25は、固定子26と回転子3とこれらを収納する不図示のケースとから構成されている。
固定子26は、12個のティース部5が内周部に設けられる第1バックヨーク部6と、この第1バックヨーク部6の外周面に後述のように該外周面の軸方向に沿って厚さ方向に積層されるように螺旋状に巻回されて設けられる第2バックヨーク部27と(図7参照)、各ティース部5の周方向両側面及び上下端面部に順番に巻装される樹脂製ボビン9に巻回された各固定子コイル8A、8B、8Cと、から構成されている。また、第1バックヨーク部6は、無方向性電磁鋼板により形成されている。一方、第2バックヨーク部27は、後述のように周方向に磁化容易方向を有する方向性電磁鋼板により形成されている。また、第1バックヨーク部6のティース部5を含まない部分の径方向の幅寸法と、第2バックヨーク部27の径方向の幅寸法とはほぼ等しくなるように形成されている。ここで、第1バックヨーク部6と第2バックヨーク部27とによりステータ30が構成されている。
また、回転子3は、8個のロータティース部11が外周部に設けられたロータ12と、その回転中心に設けられて回転自在に軸支される回転軸13とから構成されている。
【0036】
また、図6に示すように、各固定子コイル8Aに通電することにより、この固定子コイル8Aが巻回される各ティース部5内に半径方向に流れる磁束が発生する。そして、無方向性電磁鋼板を複数枚積層して形成される各ティース部5内に発生した半径方向外側に流れる磁束は、各ティース部5の基端部から徐々に半径方向から周方向に約90度曲げられつつ第1バックヨーク部6内を流れて、この第1バックヨーク部6の外周部に達する。
続いて、この磁束は第1バックヨーク部6の外周部に達した場合には、第2バックヨーク部27内を周方向に流れ、直交する位置の各固定子コイル8Aにより、該固定子コイル8Aが巻回されるティース部5の基端部に対向する位置で再度、約90度曲げられてこのティース部5内を半径方向内側に流れ、対向配置されるロータティース部11内を半径方向内側に流れる。そして、このロータティース部11内に発生した半径方向内側に流れる磁束は、各ロータティース部11の基端部で周方向に約90度曲げられて無方向性電磁鋼板を複数枚積層して形成されるロータ12内を流れる。そしてまた、ロータ12内を周方向に流れる磁束は、直交する位置の各固定子コイル8Aにより、各ロータティース部11の基端部で再度、約90度曲げられてこのロータティース部11内を半径方向外側に流れ、対向配置されるティース部5内を半径方向外側に流れる。
【0037】
これにより、図6に示すように、無方向性電磁鋼板を複数枚、積層・固着して形成される第1バックヨーク部6、周方向に磁化容易方向を有する方向性電磁鋼板を該第1バックヨーク部6の外周面に軸方向に沿って巻回して形成される第2バックヨーク部27、及びロータ12内を流れる4つの閉磁気回路(図6(A)中、太実線で示す閉磁気回路)15が形成される。
尚、図6には各固定子コイル8Aに通電して励磁した場合に、固定子26と回転子3に形成される閉磁気回路15が示されているが、各固定子コイル8B、8Cにそれぞれ通電した場合にも固定子26と回転子3に同様な閉磁気回路15が形成される。
【0038】
従って、第2実施形態に係る三相同期モータ25は、上記第1実施形態に係る三相同期モータ1と同様に、無方向性電磁鋼板で形成される第1バックヨーク部6の外周面を全磁束の周方向の磁界Hの割合が約80%からほぼ100%になる位置に形成することにより、第2バックヨーク部27内を流れる磁束の方向がほぼ周方向に向かうため、ステータ30の外周部分における鉄損を無方向性電磁鋼板よりも大幅に低減することができ、三相同期モータ25の高効率化、小型化を確実に図ることができる(図3、図4参照)。また、無方向性電磁鋼板で形成される第1バックヨーク部6の外周面を全磁束の周方向の磁界Hの割合がほぼ100%になる位置に形成することにより、第2バックヨーク部27内を流れる磁束の方向が確実に周方向に向かうため、ステータ30の外周部分における更なる低鉄損化を図ることができる。
【0039】
また、第1バックヨーク部6の外周面を全磁束の周方向の磁界Hの割合が約80%からほぼ100%になる位置に形成しても、第2バックヨーク部27は、第1バックヨーク部6の外周面の軸方向に沿って方向性電磁鋼板が厚さ方向に積層されるように螺旋状に巻回されて、第1バックヨーク部6の各無方向性電磁鋼板とほぼ平行になるように配置されるため、この第2バックヨーク部27と第1バックヨーク部6との当接面における鉄損を上記第1実施形態に係る第2バックヨーク部7と比較して、更に低減化することができ、同期電動機25の更なる効率向上を図ることができる。
【0040】
また、ステータ30の径方向の幅寸法Wに対する第1バックヨーク部6の径方向の幅寸法W1の比率である分割比W1/Wは、上記第1実施形態に係る三相同期モータ1におけるステータ10の分割比W1/Wと同様に、第1バックヨーク部6の径方向の外周面を、各固定子コイル8A〜8Cの励磁によって形成されるステータ30内の全磁束に対する周方向の磁束の割合が約80%からほぼ100%になる位置になるように設けると共に、ステータ30の径方向の幅寸法Wに対する該第1バックヨーク部6の径方向の幅寸法W1の比率である分割比W1/Wが「約50±20%」の範囲内にすることによって、該ステータ30の鉄損と最小鉄損との差を、該分割比W1/Wが「約0%」〜「約100%」における最大鉄損と最小鉄損との差の約半分以下にすることができる。また、該分割比W1/Wを「約50%」とすることにより、三相同期モータ25のステータ30の鉄損の最小化、即ち分割比W1/Wの最適化を図ることができる。
【0041】
次に、三相同期モータ25の固定子26及び回転子3の製造方法について図7に基づいて説明する。
図7(A)に示すように、第1バックヨーク部6は、内周部に等間隔に12個のティースを有するように打ち抜いて成形した略円環状の無方向性電磁鋼板(第1電磁鋼板として機能する。)を複数枚積層し、溶接やカシメ等により固定したものである(第1工程)。
また、ロータ12は、外周部に等間隔に8個のロータティースを有するように打ち抜いて成形した略円環状の無方向性電磁鋼板を複数枚積層し、溶接やカシメ等により固定したものである(第2工程)。そして、このロータ12に回転軸13を圧入して固定して回転子3を形成する(第3工程)。
尚、第1バックヨーク部6を構成する無方向性電磁鋼板の各ティースの周方向幅寸法と、ロータ12を構成する無方向性電磁鋼板の各ロータティースの周方向幅寸法とは同一の幅寸法に成形されている。また、第1バックヨーク部6の軸方向厚さ寸法とロータ12の軸方向厚さ寸法とは同一の厚さ寸法になるように積層・固定されている。
【0042】
そして、図7(B)に示すように、第2バックヨーク部27の作製は、長手方向(図7(B)中、矢印35A方向)に磁化容易方向を有する長尺状の方向性電磁鋼板35を第1バックヨーク部6を所定方向に回転させつつ(図7(B)中、第1バックヨーク部6を時計回り方向に回転させる。)該第1バックヨーク部6の外周面の軸方向に沿って該方向性電磁鋼板35が厚さ方向に積層されるように螺旋状に巻回する。また、この方向性電磁鋼板35の幅寸法は、第1バックヨーク部6のティース部5を含まない部分の径方向の幅寸法にほぼ等しくなるように形成されている。
続いて、図7(C)に示すように、方向性電磁鋼板35を第1バックヨーク部6の軸方向厚さ寸法にほぼ等しくなるように所定回数巻回後、溶接やワニス等で端縁部を固着して第2バックヨーク部27を形成すると共に、該第2バックヨーク部27を第1バックヨーク部6に溶接やワニス等で固着して、ステータ30を形成する(第4工程)。
【0043】
その後、図7(D)に示すように、第1バックヨーク部6の各ティース部5にプリプレグ(ガラス繊維状接着シート)20を巻回後所定温度に加熱してこのプリプレグ20を溶融して接着する(第5工程)。そして、各固定子コイル8A〜8Cの巻回されるボビン9を第1バックヨーク部6の各ティース部5に半径方向内側から挿入して装着する(第6工程)。これにより、固定子26が形成される。
【0044】
従って、第2バックヨーク部27は、長手方向に磁化容易方向が配置される長尺状の方向性電磁鋼板35を第1バックヨーク部6の外周面の軸方向に沿って該方向性電磁鋼板35が厚さ方向に積層されるように螺旋状に巻回されて設けられているため、1回の巻き付け作業で第2バックヨーク部27を形成することが可能となり、組立作業の効率化を図ることができる。また、この方向性電磁鋼板35は、所定回数巻回毎に幅方向に切断するだけでよいため、材料取りの向上を図ることができ、製造コストの削減化を図ることができる。また、方向性電磁鋼板35の機械強度は、無方向性電磁鋼板より強いため、ステータ30の径方向の機械強度の向上を図ることができる。
【0045】
次に、第3実施形態に係る三相同期モータについて図8に基づいて説明する。尚、上記第2実施形態に係る三相同期モータ25と同一符号は、上記第2実施形態に係る三相同期モータ25と同一あるいは相当部分を示すものである。
この第3実施形態に係る三相同期モータの全体構成は、第2実施形態に係る三相同期モータ25の全体構成とほぼ同じ構成である。但し、第3実施形態に係る三相同期モータの第2バックヨーク部の構成が上記第2実施形態に係る三相同期モータ25の第2バックヨーク部27と異なっている。
【0046】
図8(B)に示すように、第3実施形態に係る三相同期モータのステータ40は、12個のティース部5が内周部に設けられる第1バックヨーク部6と、この第1バックヨーク部6の外周部に設けられる第2バックヨーク部41とから構成されている。
この第2バックヨーク部41は、図8(A)に示すように、長尺状の方向性電磁鋼板35を所定長さで幅方向に切断後、これを略円環状に曲げ形成される薄板状の方向性電磁鋼板42が第1バックヨーク部6の外周面の軸方向に沿って厚さ方向に複数枚積層・固着されて形成されている。従って、各方向性電磁鋼板42は、周方向に磁化容易方向42A(第2実施形態における磁化容易方向35Aと同一方向)を有している。また、各方向性電磁鋼板42の内径は、第1バックヨーク部6の外径にほぼ等しくなるように形成され、該各方向性電磁鋼板42の径方向の幅寸法は、第1バックヨーク部6のティース部5を含まない部分の径方向の幅寸法にほぼ等しくなるように形成されている。
【0047】
従って、第2バックヨーク部41は、長手方向に磁化容易方向を有する長尺状の薄板方向性電磁鋼板35を予め略円環状で薄板状の方向性電磁鋼板42(図8(A)参照)に複数枚曲げ形成しておき、該略円環状の方向性電磁鋼板42を第1バックヨーク部6の外周面の軸方向に沿ってに積層・固着することによって形成できるため(図8(B)参照)、ステータ40を容易に作製することができ、三相同期モータの組立作業の効率化を図ることができる。また、方向性電磁鋼板42の機械強度は、無方向性電磁鋼板より強いため、ステータ40の径方向の機械強度の向上を図ることができる。
また、上記第2実施形態に係る三相同期モータ25と同様に、無方向性電磁鋼板で形成される第1バックヨーク部6の外周面を全磁束の周方向の磁界Hの割合が約80%からほぼ100%になる位置に形成することにより、第2バックヨーク部41内を流れる磁束の方向がほぼ周方向に向かうため、ステータ40の外周部分における鉄損を無方向性電磁鋼板よりも大幅に低減することができ、三相同期モータの高効率化、小型化を確実に図ることができる(図3、図4参照)。また、無方向性電磁鋼板で形成される第1バックヨーク部6の外周面を全磁束の周方向の磁界Hの割合がほぼ100%になる位置に形成することにより、第2バックヨーク部41内を流れる磁束の方向が確実に周方向に向かうため、ステータ40の外周部分における更なる低鉄損化を図ることができる。
【0048】
また、第1バックヨーク部6の外周面を全磁束の周方向の磁界Hの割合が約80%からほぼ100%になる位置に形成しても、第2バックヨーク部41は、第1バックヨーク部6の外周面の軸方向に沿って薄板状の方向性電磁鋼板42が厚さ方向に複数枚積層・固着されて、第1バックヨーク部6の各無方向性電磁鋼板とほぼ平行になるように配置されるため、この第2バックヨーク部41と第1バックヨーク部6との当接面における鉄損を上記第2実施形態に係る第2バックヨーク部27と同様に低減することができ、同期電動機の更なる効率向上を図ることができる。
【0049】
また、ステータ40の径方向の幅寸法Wに対する第1バックヨーク部6の径方向の幅寸法W1の比率である分割比W1/Wは、上記第2実施形態に係る三相同期モータ25と同様に、第1バックヨーク部6の径方向の外周面を、各固定子コイル8A〜8Cの励磁によって形成されるステータ40内の全磁束に対する周方向の磁束の割合が約80%からほぼ100%になる位置になるように設けると共に、ステータ40の径方向の幅寸法Wに対する該第1バックヨーク部6の径方向の幅寸法W1の比率である分割比W1/Wが「約50±20%」の範囲内にすることによって、該ステータ40の鉄損と最小鉄損との差を、該分割比W1/Wが「約0%」〜「約100%」における最大鉄損と最小鉄損との差の約半分以下にすることができる。また、該分割比W1/Wを「約50%」とすることにより、三相同期モータのステータ40の鉄損の最小化、即ち分割比W1/Wの最適化を図ることができる。
【0050】
次に、第4実施形態に係る三相同期モータについて図9に基づいて説明する。尚、上記第3実施形態に係る三相同期モータと同一符号は、上記第3実施形態に係る三相同期モータと同一あるいは相当部分を示すものである。
この第4実施形態に係る三相同期モータの全体構成は、第3実施形態に係る三相同期モータの全体構成とほぼ同じ構成である。但し、第4実施形態に係る三相同期モータの第2バックヨーク部の構成が上記第3実施形態に係る三相同期モータの第2バックヨーク部41と異なっている。
図9(C)に示すように、第4実施形態に係る三相同期モータのステータ50は、12個のティース部5が内周部に設けられる第1バックヨーク部6と、この第1バックヨーク部6の外周部に設けられる第2バックヨーク部51とから構成されている。
また、図9(A)、(B)に示すように、この第2バックヨーク部51は、上記第3実施形態に係る方向性電磁鋼板42を周方向に所定の中心角度(例えば、中心角度が約36度等)で分割面が半径方向に沿うように分割した10個の第2バックヨーク片52を、該第2バックヨーク片52の一側の分割面を、隣接する第2バックヨーク片52の他側の分割面に当接させて、第1バックヨーク部6の外周面の周方向に連結接続して略円環状の方向性電磁鋼板の一枚分(上記第3実施形態に係る方向性電磁鋼板42の一枚分に相当する。)を形成すると共に、これを該第2バックヨーク片52の厚さ方向に複数枚積層し、溶接やカシメ等により固定したものである。また、各第2バックヨーク片52は、その円弧方向に磁化容易方向52Aを有するため、該各第2バックヨーク片52を第1バックヨーク部6の外周面の周方向に連結接続して形成される各一枚分略円環状の方向性電磁鋼板は、その周方向に磁化容易方向を有している。また、各第2バックヨーク片52の内側の円弧径は、第1バックヨーク部6の外径にほぼ等しくなるように形成され、この各第2バックヨーク片52の半径方向の幅寸法は、第1バックヨーク部6のティース部5を含まない部分の径方向の幅寸法にほぼ等しくなるように形成されている。
【0051】
従って、第4実施形態に係るステータ50は、磁化容易方向を有する薄板方向性電磁鋼板からその磁化容易方向が円弧方向に沿うように各第2バックヨーク片52を形成することによって、上記第3実施形態に係るステータ40の技術的効果に加えて、更に第2バックヨーク部50を形成する方向性電磁鋼板の材料取りの歩留まりの向上や型コストの低減化を図ることができる。
【0052】
尚、本発明は前記第1実施形態乃至第4実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内で種々の改良、変形が可能であることは勿論である。例えば、以下のようにしてもよい。
(A)前記第1実施形態では、長尺状の方向性電磁鋼板18を第1バックヨーク部6の外周面に直接巻回したが、この長尺状の方向性電磁鋼板18を第1バックヨーク部6と同一外径寸法を有する円筒状又は円柱状の芯部材に所定回数巻回して第2バックヨーク部7を別体に形成した後、該第2バックヨーク部7を第1バックヨーク部6の外周部に焼き嵌めや溶接等によって嵌着する構成にしてもよい。これにより、第2バックヨーク部7を予め作製しておくことができ、ステータ10の組立作業の更なる効率化を図ることができる。
また、第2バックヨーク部7の軸方向幅寸法を、第1バックヨーク部6の軸方向厚さ寸法を2以上等分割した寸法にほぼ等しく形成し、該第2バックヨーク部7を第1バックヨーク部6の外周部に所定個数積層後、焼き嵌めや溶接等によって嵌着する構成にしてもよい。これにより、第1バックヨーク部6の軸方向厚さ寸法が大きい場合にも、該第2バックヨーク部7を複数個積層・固着することによってステータ10を容易に作成でき、組立作業の更なる効率化を図ることができる。
(B)前記第1実施形態乃至第4実施形態では、第1バックヨーク部6は無方向性電磁鋼板を内周部に等間隔に12個のティースを有するように打ち抜いて略円環状に成形しているが、該第1バックヨーク部6を周方向に所定中心角度で分割面が半径方向に沿うように複数個の第1バックヨーク片に形成し、該第1バックヨーク片を周方向に連結接続して略円環状の無方向性電磁鋼板の一枚分を形成すると共に、これを第1バックヨーク部6の厚さ方向に複数枚積層し、溶接やカシメ等により固定して形成してもよい。これにより、第1バックヨーク部6を形成する無方向性電磁鋼板の材料取りの歩留まりの向上や型コストの低減化を図ることができる。
(C)前記第1実施形態乃至第4実施形態では、第1バックヨーク部6は無方向性電磁鋼板で形成したが、この第1バックヨーク部6を周方向と径方向とに磁化容易方向を有する二方向性電磁鋼板で形成してもよい。これにより、第1バックヨーク部6の各ティース部5における径方向の鉄損の低減化を図ることができる。また、該第1バックヨーク部6を周方向に所定中心角度で分割面が半径方向に沿うように複数個の第1バックヨーク片で形成すると共に、この第1バックヨーク片を周方向と径方向とに磁化容易方向を有する二方向性電磁鋼板で形成してもよい。これにより、第1バックヨーク部6を形成する二方向性電磁鋼板の材料取りの歩留まりの向上や型コストの低減化を図ることができる。
(D)前記第4実施形態では、第2バックヨーク部51は周方向に分割面が半径方向に沿うように10個に分割したが、各層毎に異なる個数に分割するようにしてもよい。また、各第2バックヨーク片52の中心角度が複数種類になるように分割してもよい。これにより、各第2バックヨーク片52切断面が重なるのを防止して、第2バックヨーク部51の強度の向上を図ることができる。
【0053】
【発明の効果】
以上説明した通り本発明に係る同期電動機によれば、第1バックヨーク部の内周部に固定子コイルが巻回される複数のティース部が設けられていることから、各固定子コイルの励磁によって形成される磁束の方向は、ティース部から第1バックヨーク部の外周部に向かって径方向から周方向に変化するが、該第1バックヨーク部は無方向性電磁鋼板が複数枚厚さ方向に積層・固着されて形成されるため、この磁束の方向の変化による鉄損を低減することができる。また、ステータの外周部分における磁束の方向は、ほぼ周方向となるため、この第1バックヨーク部の外周部に周方向に磁化容易方向を有する方向性電磁鋼板で形成される第2バックヨーク部を配置することによって、ステータの外周部分における周方向の磁束に対する高透磁率化及び低鉄損化を図ることができ、同期電動機の更なる高効率化、トルク向上、及び漏れ磁束の低減化を図ることできる。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1実施形態に係る三相同期モータの概略構成及び1相励磁の場合に形成される磁気回路の一例を示す図で、(A)は平面図、(B)は断面図である。
【図2】図1の固定子側の磁気回路を示す要部拡大斜視図である。
【図3】第1実施形態に係る三相同期モータの第1バックヨーク部及び第2バックヨーク部内を流れる磁束の径方向から周方向に変化する状態の一例を示す図で、(A)は第1バックヨーク部及び第2バックヨーク部における半径方向の各位置A〜Gを模式的に示す図、(B)は各位置A〜Gにおける径方向の磁界、周方向の磁界、及び全磁束に対する周方向の磁界の割合の一例を示す図である。
【図4】第1実施形態に係る三相同期モータのステータの第1バックヨーク部の径方向の幅寸法の比率を変化させた場合の該ステータの鉄損の変化の一例を説明する図で、(A)は固定子コイルにより形成される磁束の方向、ステータの幅寸法W、及び第1バックヨーク部の幅寸法W1を示す図、(B)は無方向性電磁鋼板を基準とした場合の方向性電磁鋼板の磁化容易方向と磁化困難方向における各鉄損比の一例を示す図、(C)は(B)に示す鉄損比を有する無方向性電磁鋼板及び方向性電磁鋼板でステータを形成した場合における、第1バックヨーク部の径方向の幅寸法の比率に対するステータの鉄損の変化の一例を示す図である。
【図5】第1実施形態に係る三相同期モータの製造方法を模式的に示す図で、(A)は第1バックヨーク部とロータの作製工程を示す図、(B)〜(C)は第2バックヨーク部の作製工程を示す図、(D)は固定子コイルの装着工程を示す図である。
【図6】第2実施形態に係る三相同期モータの概略構成及び1相励磁の場合に形成される磁気回路の一例を示す図で、(A)は平面図、(B)は断面図である。
【図7】第2実施形態に係る三相同期モータの製造方法を模式的に示す図で、(A)は第1バックヨーク部とロータの作製工程を示す図、(B)〜(C)は第2バックヨーク部の作製工程を示す図、(D)は固定子コイルの装着工程を示す図である。
【図8】第3実施形態に係る三相同期モータのステータの概略構成及び製造方法を模式的に示す図で、(A)は第2バックヨーク部を構成する略円環状の各方向性電磁鋼板を示す図、(B)はステータの斜視図である。
【図9】第4実施形態に係る三相同期モータのステータの概略構成及び製造方法を模式的に示す図で、(A)は第2バックヨーク部を構成する略円弧状の各方向性電磁鋼板を示す図、(B)はステータの斜視図である。
【符号の説明】
1、25 三相同期モータ
2、26 固定子
3 回転子
5 ティース部
6 第1バックヨーク部
7、27、41、51 第2バックヨーク部
8A、8B、8C 固定子コイル
9 ボビン
10、30、40、50 ステータ
18、35、42、52 方向性電磁鋼板
18A、35A、42A、52A 磁化容易方向
15 閉磁気回路
Claims (6)
- 固定子コイルが巻回される複数のティース部が内周部に設けられたステータを備えた同期電動機において、
前記ステータは、複数のティースが内周部に設けられた第1電磁鋼板を複数枚厚さ方向に積層・固着して形成される第1バックヨーク部と、
前記第1バックヨーク部の外周部に配置されて、周方向に磁化容易方向を有する方向性電磁鋼板で形成される第2バックヨーク部と、を有することを特徴とする同期電動機。 - 前記第1バックヨーク部の径方向の外周面は、前記固定子コイルの励磁によって形成される前記ステータ内の全磁束の方向がほぼ周方向になる位置に設けられていることを特徴とする請求項1に記載の同期電動機。
- 前記第1バックヨーク部の径方向の外周面は、前記固定子コイルの励磁によって形成される前記ステータ内の全磁束に対する周方向の磁束の割合が約80%以上になる位置に設けられていることを特徴とする請求項1に記載の同期電動機。
- 前記第1電磁鋼板は、無方向性電磁鋼板で形成されていることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の同期電動機。
- 前記第2バックヨーク部は、長手方向に磁化容易方向が配置される長尺状の方向性電磁鋼板で形成されて、前記第1バックヨーク部の径方向に巻き重ねて設けられていることを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の同期電動機。
- 前記第2バックヨーク部は、長手方向に磁化容易方向が配置される長尺状の方向性電磁鋼板で形成され、前記第1バックヨーク部の外周面の軸方向に沿って該方向性電磁鋼板が厚さ方向に積層されるように螺旋状に巻回されて設けられていることを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の同期電動機。
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