JP2004273616A - 処理装置クリーニング方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】処理室のクリーニング工程中に生じる7B族原子もしくはこれを含む化合物が処理室内壁面、構成部材等に吸着したまま処理室内に残留し、後工程であるプラズマCVD工程時において堆積されつつある半導体膜中に取り込まれてしまう問題を解決する。
【解決手段】プラズマCVD装置の処理室内において生成される副生成物、主にポリシラン等を除去するといった処理装置のクリーニング方法において、前記処理装置の電力を印加する第1の電極に負の電圧を印加し電極を負の電位にして、プラズマを生起することなく、7B族元素を含むガスを導入してクリーニングを行う。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、高周波プラズマCVD法等で薄膜形成工程にて排出される不要な副生成物をクリーニング工程において除去する際に、クリーニングガスに起因する残留物が処理室内の放電空間構成部材に付着してしまうことを防止する処理装置クリーニング方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
シランガスを含む混合ガスを使ったプラズマCVD装置の放電炉内において生成される副生成物、主にポリシラン等を除去する手段として、ドライエッチングによるクリーニング方法では、7B族元素を含んだガス、例えばCFやNF等のガスを処理装置内へ導入しプラズマを生起させることで前記ガスを励起、分解しクリーニングを行っていた。しかしながらこの方法ではプラズマ放電領域、すなわち電力印加電極から離れた個所にある部材のクリーニングは困難であった。
【0003】
この問題を解決するためのプラズマ放電に依存しないクリーニング方法として、7B族元素を含む反応性が高いガスとしてClF等のガスを使いプラズマレスなクリーニング方法が行われている(例えば、特許文献1、2を参照)。この方法は、電極から離れた場所であってもエッチャントガスに触れる場所であればクリーニングが進行し、前記ポリシランを除去できるという優れたクリーニング方法であった。さらに、プラズマレスなクリーニング方法においては、部材の温度上昇による問題は発生しにくい為これに起因した部材のダメージは少ないし、部材冷却手段等を設ける為に構成が複雑になるといった問題も少なく運用面でも利点が大きいことからも、プラズマを使ったクリーニング方法に比べて優れているといえる。
【0004】
一方、従来処理装置のクリーニング後に処理室内に残留する汚染物質を除去する技術がいくつか知られている。クリーニング後に処理操作系に分子状態にある水素含有化合物ガスを流して前記汚染物質を除去する技術がある(例えば、特許文献3を参照。)。また、ハロゲン元素を含む成膜用ガス又はエッチング用ガスが導入された反応室の構成部材のうち金属部材を200℃以上の温度で、セラミック体を500℃以上の温度で加熱処理し残ハロゲン元素を除去する技術がある(例えば、特許文献4を参照。)。さらに、反応室内をプラズマドライエッチングによるクリーニング後、フッ素原子を取り込む被膜を反応室内に被膜形成する技術がある(例えば、特許文献5を参照。)。これらのクリーニング後の後処理によってある程度クリーニング後の残留物(7B族原子もしくはこれを含む化合物)の影響を抑制することが可能であった。
【0005】
【特許文献1】
特開平1−231936号公報
【特許文献2】
特開平2−77579号公報
【特許文献3】
特公平6−63097号公報
【特許文献4】
特許第2654652号公報
【特許文献5】
特許第3150408号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
上記プラズマレスなクリーニング方法であっても反応の過程の中で生じる汚染物すなわち7B族原子もしくはこれを含む化合物が処理室内壁面、構成部材等に吸着したまま処理室内に残留してしまい、後工程であるプラズマCVD工程時のプラズマにより壁面等からたたき出されたり、プラズマ放電の熱により壁面等から雰囲気中へ離脱し、堆積されつつある半導体膜中に7B族原子もしくはこれを含む化合物が取り込まれてしまい膜質悪化等の問題を引き起こす原因となっていた。
【0007】
また、上記従来のクリーニング後に処理室内に残留する汚染物質を除去する技術では、処理室内壁面、構成部材に吸着した7B族原子もしくはこれを含む化合物の除去に対して必ずしも充分な効果が得られないか、又は工程が複雑となりコストの上昇を招く場合があった。例えば水素含有化合物ガスを単に流すのみでは汚染物質の除去が必ずしも充分に行われず、多量のガスを望ましくは高圧下において長時間流す必要があった。また、加熱で除去する場合では汚染の可能性のある個所や部材全てを高温に昇温させねばならず耐熱対策も含め部材構成が複雑になりがちで部材冷却手段等他の補助手段も必要となりコスト上昇を招くし、部材の昇温降温時間を含め加熱時間が数時間単位で必要となる場合も多く装置稼動タクトも悪化する。さらに残留物を取り込む被膜を形成する場合では工程が増加し装置稼動タクトが悪化することや被膜がはがれてしまった場合には効果が低下してしまう問題があった。さらにこれらの従来技術はクリーニング中の処理室内の構成部材が腐食してしまう問題に対しては何ら効果を有さない。
【0008】
したがって、処理装置構成部材へのダメージが少ないプラズマレスクリーニング方法において、クリーニング残留物である7B族原子もしくはこれを含む化合物の除去方法を提供することが望まれていた。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記に示す従来の問題点を解決するために、下記の通り手段を見出した。
【0010】
本発明の処理装置のクリーニング方法においては、前記処理装置内に少なくとも電力を印加する第1の電極と、該電極と対向する第2の電極とを配置し、前記第1の電力印加電極に負のバイアスを印加し該第1の電極を負の電位にして、プラズマを生起することなく、7B族元素を含むガスを導入してクリーニングを行うことを特徴とする。
【0011】
さらに本発明のプラズマ処理装置のクリーニング方法においては、前記第2の電極の電位を負の電位とすることを特徴とする。
【0012】
【発明の実施の形態】
上記第1の電極を負の電位にするとは、例えば、直流電源(DC電源)等を電極に接続し負の電圧を印加することを意味する。CVD工程において生成される副生成物をプラズマレスにて除去する際に、クリーニングガスと副生成物との間にて起こる化学反応の過程中には、プラズマレスとは言え雰囲気中にはイオンが発生する。特に7B族元素は負イオンに成りやすいことから、本発明の方法であるところの電力印加電極を負電位に維持することでこの7B族元素負イオンには電極に対して反発する方向に電気的な作用が働く結果、電極には塩素イオンが到達しにくく付着が抑制される。このことは、対向する第2の電極についても同様で、7B族元素負イオンの付着を抑制するために負電位に維持することがさらに望ましい。すなわち本発明は、従来技術の「クリーニングの最中において一旦部材へ吸着した汚染物を後工程で除去する」といったアプローチとは異なり、「クリーニング中において吸着を防止する」という観点に基づくものである。
【0013】
上記プラズマを生起することなくとは、放電空間を介して対抗する電極間電流値がいわゆる暗電流レベル(1nA)同等またはそれ以下であることを意味する。一般的に気体に印加する直流電圧値を大きくしていくと、そのときの気体圧力と電極間距離との積に依存して決まる値を超えるとプラズマ(放電)を生じる。したがって、クリーニング工程を行う処理装置のディメンジョンやクリーニング条件によって印加すべき電圧値は変化し一意的に絶対値は決まらないが、そのクリーニング工程に応じてプラズマ(放電)を生起しない電圧値を選択すれば良い。
【0014】
上記7B族元素を含むガスとは、Cl、BCl、ClF、CCl等があるが、7B族元素が含まれていてエッチング性を有するガスであれば良く特にこれらに限定されたものではない。
【0015】
【実施例】
本発明のクリーニング方法に関し、以下に具体的に例を挙げて記述をするが、本発明の主旨はなんらこれらの記述に限定されるものではない。
【0016】
図1に、本発明の処理方法を説明する為の処理室を示す。プラズマCVD工程時においては、電力印加電極105には不図示の高周波電源が接続されており、ガス導入管104から導入された材料ガスを高周波プラズマ電力により分解し、被処理体107上へ薄膜を堆積させる。このプラズマCVD工程時には、処理室101の内壁や排気管103の内壁へ副生成物が付着するため、工程後において内壁をクリーニングする工程が必要となる。
【0017】
(実施例1)
上記処理室内をクリーニングするために、ガス導入管104からClF混合ガス(Nガスにて10%に希釈したもの)を導入し、プラズマレスにてCVD副生成物と反応させ不図示の真空ポンプにより排気管103を介して排出しながらクリーニング工程を1時間行った。クリーニング工程時には被処理体107を設置していない。電力印加電極105に直流電源106を接続し、表1に示すように電圧を変化させて印加した。本実施例の場合、電力印加電極印加電圧を±60V以上にするとプラズマが生起した。各々の条件におけるクリーニング工程において電極に付着した塩素濃度を見積もる手段として、不図示の被処理体搬送機構を使い処理室を大気にさらすことなく容器内に被処理体107を設置し、SiHガスを100cc/分、Hガス200cc/分、圧力266Pa、13.56MHzのRF電力200Wにて5分間放電を生起しアモルファスシリコン薄膜を100nm堆積し、薄膜に取り込まれた塩素量をSIMS分析から算出することで得られる塩素濃度を電極に付着した塩素量代替値とした結果を合わせて表1に示す。いずれの条件下においても対向電極102の電位は切替器108をb側に切り替えて接地電位(0V)とした。
【0018】
【表1】
Figure 2004273616
【0019】
表1の結果から、サンプルNo.#308〜#312において塩素濃度が減少していることがわかる。この結果から本発明の効果が実証された。
【0020】
(実施例2)
切替器108をb側からa側に切り替え対向電極102に直流電源109を接続し、印加する電圧を変化させたこと以外は実施例1と同様の手順により電極に残留する塩素濃度の算出を行った。この場合対向電極上に残留する塩素濃度の見積もりについても実施例1に示した電力印加電極上における見積もりと同様の手段により算出した。その結果を表2に示す。本実施例の場合、対向電極印加電圧を±60V以上にするとプラズマが生起した。また、いずれの条件下においても電力印加電極の印加電圧は−50V一定とした。
【0021】
【表2】
Figure 2004273616
【0022】
表2の結果から、サンプルNo.#407〜#412において、電力印加電極、対向電極ともに塩素濃度が減少していることがわかる。この結果から本発明の効果が実証された。
【0023】
【発明の効果】
本発明の手段を用いることで、クリーニング工程時において処理室内構成部材に付着し残留が問題となる7B族原子もしくはこれを含む化合物を効果的にクリーニングと同時に除去することが可能となり、装置ダウンタイムを削減できることに加え、処理室内構成部材への腐食等のダメージを低減しすることも可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明を説明する為の処理室断面図
【符号の説明】
101 処理室
102 対向電極
103 排気管
104 ガス導入管
105 電力印加電極
106 直流電源
107 被処理体
108 切替器
109 直流電源

Claims (2)

  1. 処理空間内に電力を印加する第1の電極と、該電極に対向する第2の電極を少なくとも有する処理装置のクリーニング方法において、前記第1の電力印加電極に負の電圧を印加し該第1の電極を負の電位にして、プラズマを生起することなく、7B族元素を含むガスを前記処理空間内に導入してクリーニングを行うことを特徴とする処理装置クリーニング方法。
  2. 前記第2の電極に負の電圧を印加し該第2の電極の電位を負の電位にしてクリーニングを行うことを特徴とする請求項1に記載のクリーニング方法。
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