JP2004273089A - 光ピックアップ装置及び光ディスク装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】重畳手段により交流信号が重畳された電圧が光学素子53に印加され、光学素子に入射する光束は交流信号に対応する光学的位相差が付与されて、第1の光検出器59の受光光量は交流成分を含むこととなる。情報記録媒体15が複屈折性を有すると、偏光性分岐光学素子54に入射する戻り光束は、予定した偏光方向とは異なる方向の偏光成分を誤差として含むこととなる。第1の光検出器の受光光量に含まれる交流成分は基板を透過する際に付与された光学的位相差に応じて変化するため、位相差信号出力手段では、戻り光束における光学的位相差の誤差に関する情報を含む信号を精度良く出力することができる。
【選択図】 図2
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は光ピックアップ装置及び光ディスク装置に係り、さらに詳しくは、情報記録媒体の記録面に光を照射し、その記録面からの反射光を受光する光ピックアップ装置及び該光ピックアップ装置を備えた光ディスク装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
パーソナルコンピュータ(以下「パソコン」と略述する)は、その機能が向上するに伴い、音楽や映像といったAV(Audio−Visual)情報を取り扱うことが可能となってきた。これらAV情報の情報量は非常に大きいために、記録媒体としてCD(compact disc)やDVD(digital versatile disc)などの大容量の光ディスクが注目されるようになり、その低価格化とともに、光ディスクをアクセスするためのドライブ装置として光ディスク装置がパソコンの周辺機器の一つとして普及するようになった。
【0003】
光ディスク装置では、スパイラル状又は同心円状のトラックが形成された光ディスクなどの情報記録媒体の記録面に光スポットを形成して情報の記録又は消去を行い、記録面からの反射光に基づいて情報の再生などを行っている。そして、光ディスク装置は、レーザ光を照射するとともに、記録面からの反射光を受光するための装置として、光ピックアップ装置を備えている。
【0004】
一般的に光ピックアップ装置は、対物レンズを含み、光源から出射される光束を情報記録媒体の記録面に導くとともに、記録面で反射された戻り光束を所定の受光位置まで導く光学系、及び受光位置に配置された受光素子などを備えている。この受光素子からは、記録面に記録されているデータの再生情報だけでなく、光ピックアップ装置自体及び対物レンズの位置制御に必要な情報(サーボ情報)などを含む信号が出力される。そして、光ディスク装置は、受光素子からの出力信号に基づいて、記録面の所定位置に所定形状の光スポットが形成されるように各種サーボ制御を行っている。
【0005】
通常光ピックアップ装置の光学系には、戻り光束を受光素子の受光方向に分岐するための分岐光学素子が含まれている。この分岐光学素子としては、分岐作用が入射する光束の偏光方向に依存しない無偏光性分岐光学素子と、入射する光束の偏光方向に応じて分岐作用が異なる偏光性分岐光学素子とがある。分岐光学素子が往路と復路の共通光路上に配置される場合に、無偏光性分岐光学素子では、光源から出射された光束もその一部が分岐されるため、情報記録媒体の記録面に照射される光量が減少し、高速記録への対応が困難となる。そこで、高速記録に対応した光ピックアップ装置では、分岐光学素子として偏光性分岐光学素子が多く用いられている。この場合には、光源から出射される光束の偏光方向に対して、例えばλ/4板などを用いて戻り光束の偏光方向をほぼ90度変更することにより、光源から出射された光束の殆どが偏光性分岐光学素子を透過し、戻り光束の大部分が偏光性分岐光学素子で分岐されるようにすることができる。すなわち、光利用効率が向上し、高速記録への対応が可能となる。
【0006】
また、一般に情報記録媒体では、透明の基板(以下「基板」と略述する)上に記録面が形成されており、対物レンズからの光束は基板を透過して記録面に集光されるようになっている。そして、基板は通常樹脂成形品であり、その大部分は生産性の点から、成形品と類似した形状のキャビティを有する成形用型(通常は金型)に溶融状態の樹脂を加圧しながら注入する射出成形法及びそれに類似する方法により製造されている。成形品が情報記録媒体のような円盤形状の場合には、キャビティの中央部(基板の回転中心部分に対応する部分)にダイレクトゲート(注入口)を持つラジアルフロータイプの成形用型を用いた成形方式が通常採用され、溶融樹脂はダイレクトゲートを介してキャビティの中央部から外周部に向かって流れていく。キャビティ内に注入された樹脂は、その温度及び冷却速度が一様でないために、成形品に内部応力が残留したり、樹脂の密度が不均一となることがある。
【0007】
そこで、上記のようにして製造された情報記録媒体の基板は、光学的異方性を有する場合がある。例えば常光線に対する屈折率(常光線屈折率)と異常光線に対する屈折率(異常光線屈折率)とが異なる複屈折性を有する場合がある。情報記録媒体は複数のメーカーから供給されており、同一種類の情報記録媒体であっても、メーカーによって基板の複屈折の状況がそれぞれ異なっている。例えばDVDの規格では複屈折は60nm以下となっているが、複屈折が100nmを超える商品が一部市場に出回るようになってきた。このように大きな複屈折性を有する情報記録媒体を、偏光性分岐光学素子が用いられている光ピックアップ装置を搭載した光ディスク装置でアクセスすると、光源から出射された光束と偏光性分岐光学素子に入射する戻り光束との光学的位相差が90度からずれてしまうこととなる。このために、偏光性分岐光学素子で分岐される戻り光束の光量が減少し、その結果受光素子から出力される信号の信号レベル及びS/N比が低下するおそれがあった。また、偏光性分岐光学素子で分岐されずに光源に戻る光束の光量が増加するため、レーザ光の発振が不安定となり、記録品質の低下、受光素子から出力される信号に含まれるノイズの増加を引き起こすおそれがあった。そして、最悪の場合、光源から出射された光束と偏光性分岐光学素子に入射する戻り光束との光学的位相差が0となり、偏光性分岐光学素子に入射する戻り光束の殆どは分岐されず光源に戻るおそれがあった。この場合には、受光素子での受光量は殆ど0となり、ウォブル信号やサーボ信号の検出が不可能となる。すなわち、情報の記録及び再生ができなくなる。
【0008】
また、一例として図15(A)に示されるように、1枚の情報記録媒体においても情報記録媒体の回転中心からの距離によって基板の複屈折の状況は異なっている。この情報記録媒体を偏光性分岐光学素子が用いられている光ピックアップ装置を搭載した光ディスク装置でアクセスすると、一例として図15(B)に示されるように、情報記録媒体の回転中心からの距離によって受光素子での戻り光束の受光量が大きく変化することとなる。なお、図15(A)では、トラックの接線方向(タンジェンシャル方向)の屈折率がそれに直交する方向(ラジアル方向)の屈折率よりも小さい場合を正の複屈折としている。
【0009】
そこで、情報記録媒体の基板における光学的異方性(以下、便宜上「基板異方性」ともいう)を補償するための装置が種々考案されている(例えば、特許文献1及び特許文献2参照)。
【0010】
【特許文献1】
特開2000−268398号公報
【特許文献2】
特開2000−306262号公報
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
上記特許文献1及び特許文献2に開示されている装置では、基板異方性を補償するために、戻り光束を受光する受光素子から出力される信号の信号振幅及び信号レベルがほぼ最大となるように補償手段としての液晶への印加電圧を制御している。しかしながら、前記信号振幅及び信号レベルに影響を及ぼす要因には、光源の発光パワー、記録面での反射光量、情報記録媒体の反り、対物レンズのレンズシフトによるオフセットなど種々のものがあり、信号振幅及び信号レベルの最大値が必ずしも一定ではないため、最大値の判断が極めて難しく、十分に基板異方性を補償できないおそれがあった。
【0012】
本発明は、かかる事情の下になされたもので、その第1の目的は、大型化及び高コスト化を招くことなく、光ピックアップ装置自体及び対物レンズの位置制御に必要な情報などを含む信号を精度良く安定して出力することができる光ピックアップ装置を提供することにある。
【0013】
また、本発明の第2の目的は、情報記録媒体へのアクセスを精度良く安定して行うことができる光ディスク装置を提供することにある。
【0014】
【課題を解決するための手段】
請求項1に記載の発明は、情報記録媒体の記録面に光を照射し、前記記録面からの反射光を受光する光ピックアップ装置であって、光源と;前記光源から出射される光束を前記記録面に集光する対物レンズと、前記光源と前記対物レンズとの間の光路上に配置され、印加される電圧に応じた光学的位相差を入射される光束に付与する光学素子と、前記記録面で反射され前記対物レンズ及び前記光学素子を介した戻り光束の光路上に配置され、前記戻り光束をその光路上から分岐する偏光性分岐光学素子とを含む光学系と;前記光学素子に印加される電圧に所定の交流信号を重畳する重畳手段と;前記偏光性分岐光学素子で分岐された前記戻り光束を受光する第1の光検出器を含む少なくとも1つの光検出器を有し、前記戻り光束における光学的位相差の誤差に関する情報を含む信号を出力する位相差信号出力手段と;を備える光ピックアップ装置である。
【0015】
これによれば、光源から出射された光束は光学素子及び対物レンズを介して情報記録媒体の記録面に集光され、記録面で反射された戻り光束は対物レンズ、光学素子及び偏光性分岐光学素子を介して第1の光検出器で受光される。第1の光学素子には重畳手段により所定の交流信号が重畳された電圧が印加されるため、光学素子に入射する光束には、重畳された交流信号に対応する光学的位相差が付与される。すなわち、第1の光検出器の出力信号には重畳された交流信号による交流成分が含まれることとなる。そして、位相差信号出力手段により戻り光束における光学的位相差の誤差に関する情報を含む信号が出力される。例えば情報記録媒体の基板が複屈折性を有する場合には、基板内では方向によって屈折率が異なるために、情報記録媒体に照射された光束は基板を透過する際に光学的位相差が付与され、更に記録面で反射された光束は基板を透過する際に再度光学的位相差が付与される。そして、偏光性分岐光学素子に入射する戻り光束は、予定した偏光方向とは異なる方向の偏光成分、すなわち誤差を含むこととなる。この場合には、基板を透過する際に付与された光学的位相差に応じて第1の光検出器の受光光量に含まれる交流成分が変化する。従って、位相差信号出力手段では、戻り光束における光学的位相差の誤差に関する情報を含む信号を精度良く出力することが可能となる。また、情報記録媒体へのアクセスの際に、ほぼリアルタイムで光学的位相差の誤差に関する情報を含む信号を出力することができるため、情報記録媒体の回転中心からの距離によって基板の複屈折の状況が異なっていても、アクセス位置近傍における光学的位相差の誤差に関する情報を含む信号を精度良く出力することができる。従って、結果として大型化及び高コスト化を招くことなく、光ピックアップ装置自体及び対物レンズの位置制御に必要な情報などを含む信号を精度良く安定して出力することが可能となる。
【0016】
この場合において、前記位相差信号出力手段は、前記第1の光検出器の出力信号を光学的位相差の誤差に関する情報を含む信号として出力しても良いが、請求項2に記載の光ピックアップ装置の如く、前記位相差信号出力手段は、前記第1の光検出器の出力信号から前記交流信号の周波数の基本波成分を抽出する基本波抽出手段と;前記基本波抽出手段での抽出結果に基づいて、前記光学的位相差の誤差に関する情報を求める誤差情報取得手段と;を有することとすることができる。かかる場合には、基本波成分の抽出結果に基づいて得られた光学的位相差の誤差に関する情報を含む信号が位相差信号出力手段から出力される。
【0017】
この場合において、請求項3に記載の光ピックアップ装置の如く、前記基本波抽出手段は、前記交流信号における周期の2分の1の周期で前記第1の光検出器の出力信号を所定時間サンプリングすることとすることができる。
【0018】
この場合において、請求項4に記載の光ピックアップ装置の如く、前記誤差情報取得手段は、前記基本波抽出手段でサンプリングされた複数のサンプル値において、サンプリング時間順に互いに隣り合う2つのサンプル値を1組みとして組み毎に各サンプル値の差を算出するとともに、算出された各組みの差をそれぞれ加算し、加算結果を前記光学的位相差の誤差に関する情報とすることとすることができる。
【0019】
この場合において、請求項5に記載の光ピックアップ装置の如く、前記誤差情報取得手段での加算結果が最小値となるように前記光学素子に印加する電圧を調整する電圧調整手段を更に備えることとすることができる。
【0020】
上記請求項1に記載の光ピックアップ装置において、請求項6に記載の光ピックアップ装置の如く、前記位相差信号出力手段は、前記第1の光検出器の出力信号から前記交流信号の周波数の第2高調波成分を抽出する高調波抽出手段と;前記高調波抽出手段での抽出結果に基づいて、前記光学的位相差の誤差に関する情報を求める誤差情報取得手段と;を有することとすることができる。
【0021】
この場合において、請求項7に記載の光ピックアップ装置の如く、前記高調波抽出手段は、前記交流信号における周期の4分の1の周期で前記第1の光検出器の出力信号を所定時間サンプリングすることとすることができる。
【0022】
この場合において、請求項8に記載の光ピックアップ装置の如く、前記誤差情報取得手段は、前記高調波抽出手段にてサンプリングされた複数のサンプル値において、サンプリング時間順に互いに隣り合う2つのサンプル値を1組みとして組み毎に各サンプル値の差を算出するとともに、算出された各組みの差をそれぞれ加算し、加算結果を前記光学的位相差の誤差に関する情報とすることとすることができる。
【0023】
この場合において、請求項9に記載の光ピックアップ装置の如く、前記誤差情報取得手段での加算結果が最大値となるように前記光学素子に印加する電圧を調整する電圧調整手段を更に備えることとすることができる。
【0024】
上記請求項1に記載の光ピックアップ装置において、請求項10に記載の光ピックアップ装置の如く、前記光学系は、前記偏光性分岐光学素子を透過した戻り光束の光路上に配置され、前記戻り光束をその光路上から分岐する無偏光性分岐光学素子を更に含み、前記位相差信号出力手段は、前記無偏光性分岐光学素子で分岐された前記戻り光束を受光する第2の光検出器を更に含むこととすることができる。かかる場合には、更に精度良く戻り光束における光学的位相差の誤差に関する情報を含む信号を出力することができる。
【0025】
この場合において、請求項11に記載の光ピックアップ装置の如く、前記位相差信号出力手段は、前記第1の光検出器の出力信号と前記第2の光検出器の出力信号との差信号から前記交流信号の周波数の基本波成分を抽出する基本波抽出手段と;前記基本波抽出手段での抽出結果に基づいて、前記光学的位相差の誤差に関する情報を求める誤差情報取得手段と;を有することとすることができる。
【0026】
この場合において、請求項12に記載の光ピックアップ装置の如く、前記基本波抽出手段は、前記交流信号における周期の2分の1の周期で前記差信号を所定時間サンプリングすることとすることができる。
【0027】
この場合において、請求項13に記載の光ピックアップ装置の如く、前記誤差情報取得手段は、前記基本波抽出手段でサンプリングされた複数のサンプル値において、サンプリング時間順に互いに隣り合う2つのサンプル値を1組みとして組み毎に各サンプル値の差を算出するとともに、算出された各組みの差をそれぞれ加算し、加算結果を前記光学的位相差の誤差に関する情報とすることとすることができる。
【0028】
この場合において、請求項14に記載の光ピックアップ装置の如く、前記誤差情報取得手段での加算結果が最小値となるように前記光学素子に印加する電圧を調整する電圧調整手段を更に備えることとすることができる。
【0029】
上記請求項10に記載の光ピックアップ装置において、請求項15に記載の光ピックアップ装置の如く、前記位相差信号出力手段は、前記第1の光検出器の出力信号と前記第2の光検出器の出力信号との差信号から前記交流信号の周波数の第2高調波成分を抽出する高調波抽出手段と;前記高調波抽出手段での抽出結果に基づいて、前記光学的位相差の誤差に関する情報を求める誤差情報取得手段と;を有することとすることができる。
【0030】
この場合において、請求項16に記載の光ピックアップ装置の如く、前記高調波抽出手段は、前記交流信号における周期の4分の1の周期で前記差信号を所定時間サンプリングすることとすることができる。
【0031】
この場合において、請求項17に記載の光ピックアップ装置の如く、前記誤差情報取得手段は、前記高調波抽出手段にてサンプリングされた複数のサンプル値において、サンプリング時間順に互いに隣り合う2つのサンプル値を1組みとして組み毎に各サンプル値の差を算出するとともに、算出された各組みの差をそれぞれ加算し、加算結果を前記光学的位相差の誤差に関する情報とすることとすることができる。
【0032】
この場合において、請求項18に記載の光ピックアップ装置の如く、前記誤差情報取得手段での加算結果が最大値となるように前記光学素子に印加する電圧を調整する電圧調整手段を更に備えることとすることができる。
【0033】
上記請求項1〜18に記載の各光ピックアップ装置において、請求項19に記載の光ピックアップ装置の如く、前記光学素子は、電気光学効果を示す電気光学結晶を含むこととすることができる。
【0034】
この場合において、請求項20に記載の光ピックアップ装置の如く、前記電気光学結晶は、縦型の電気光学効果を示す結晶であることとすることができる。
【0035】
上記請求項19及び20に記載の各光ピックアップ装置において、請求項21に記載の光ピックアップ装置の如く、前記電気光学結晶は、奇数次の電気光学効果を示す結晶であることとすることができる。
【0036】
上記請求項19〜21に記載の各光ピックアップ装置において、請求項22に記載の光ピックアップ装置の如く、前記電気光学結晶は、ポッケルス効果を示す結晶であることとすることができる。
【0037】
上記請求項19〜22に記載の各光ピックアップ装置において、請求項23に記載の光ピックアップ装置の如く、前記電気光学結晶は、シレナイト構造を有する酸化物の結晶であることとすることができる。
【0038】
この場合において、請求項24に記載の光ピックアップ装置の如く、前記シレナイト構造を有する酸化物は、Bi12SiO20であることとすることができる。
【0039】
上記請求項19〜24に記載の各光ピックアップ装置において、請求項25に記載の光ピックアップ装置の如く、前記電気光学結晶は、単結晶体であることとすることができる。
【0040】
上記請求項1〜18に記載の各光ピックアップ装置において、請求項26に記載の光ピックアップ装置の如く、前記光学素子は、電気光学効果を示す液晶を含むこととすることができる。
【0041】
請求項27に記載の発明は、情報記録媒体に対して、情報の記録、再生、及び消去のうち少なくとも再生を行なう光ディスク装置であって、請求項1〜26のいずれか一項に記載の光ピックアップ装置と;前記光ピックアップ装置からの出力信号を用いて、前記情報の記録、再生、及び消去のうち少なくとも再生を行なう処理装置と;を備える光ディスク装置である。
【0042】
これによれば、請求項1〜26のいずれか一項に記載の光ピックアップ装置を備えているために、光ピックアップ装置からの出力信号に基づいてサーボ信号などを精度良く安定して検出することができる。従って、結果として情報記録媒体に対する情報の記録、再生、及び消去のうち少なくとも再生を含むアクセスを精度良く安定して行うことが可能となる。
【0043】
【発明の実施の形態】
《第1の実施形態》
以下、本発明の第1の実施形態を図1〜図8に基づいて説明する。図1には、本発明の第1の実施形態に係る光ディスク装置20の概略構成を示すブロック図が示されている。
【0044】
この図1に示される光ディスク装置20は、情報記録媒体としての光ディスク15を回転駆動するためのスピンドルモータ22、光ピックアップ装置23、レーザコントロール回路24、エンコーダ25、モータドライバ27、再生信号処理回路28、サーボコントローラ33、バッファRAM34、バッファマネージャ37、インターフェース38、フラッシュメモリ39、CPU40及びRAM41などを備えている。なお、図1における接続線は、代表的な信号や情報の流れを示すものであり、各ブロックの接続関係の全てを表すものではない。また、本第1の実施形態では、一例として光ディスク15はDVDの規格に準拠した情報記録媒体であるものとする。
【0045】
前記光ピックアップ装置23は、光ディスク15のスパイラル状又は同心円状のトラックが形成された記録面にレーザ光を照射するとともに、記録面からの反射光を受光するための装置である。なお、この光ピックアップ装置23の構成等については後に詳述する。
【0046】
光ディスク15の記録面は所定の厚さの透明な基板上に形成されており、その基板を介して記録面にレーザ光が照射される。
【0047】
前記再生信号処理回路28は、光ピックアップ装置23からの出力信号に基づいてウォブル信号、RF信号及びサーボ信号(フォーカスエラー信号、トラックエラー信号)などを検出する。そして、再生信号処理回路28はウォブル信号からADIP(Address In Pregroove)情報及び同期信号等を抽出する。ここで抽出されたADIP情報はCPU40に出力され、同期信号はエンコーダ25に出力される。さらに、再生信号処理回路28はRF信号に対して復号処理及び誤り訂正処理等を行なった後、再生データとしてバッファマネージャ37を介してバッファRAM34に格納する。また、ここで検出されたサーボ信号はサーボコントローラ33に出力される。
【0048】
前記サーボコントローラ33は、再生信号処理回路28からのフォーカスエラー信号に基づいてフォーカスずれを補正するためのフォーカス制御信号を生成し、トラックエラー信号に基づいてトラックずれを補正するためのトラッキング制御信号を生成する。ここで生成された各制御信号はそれぞれモータドライバ27に出力される。
【0049】
前記モータドライバ27は、サーボコントローラ33からの制御信号及びCPU40の指示に基づいて、光ピックアップ装置23の駆動系(図示省略)を駆動する。すなわち、再生信号処理回路28、サーボコントローラ33及びモータドライバ27によってトラッキング制御及びフォーカス制御が行われる。また、モータドライバ27は、CPU40の指示に基づいてスピンドルモータ22を駆動する。
【0050】
前記バッファマネージャ37は、バッファRAM34へのデータの入出力を管理し、蓄積されたデータ量が所定の値になるとCPU40に通知する。
【0051】
前記エンコーダ25は、CPU40の指示に基づいて、バッファRAM34に蓄積されているデータをバッファマネージャ37を介して取り出し、データ変調及びエラー訂正コードの付与などを行ない、光ディスク15への書き込み信号を生成するとともに、再生信号処理回路28からの同期信号に同期して、書き込み信号をレーザコントロール回路24に出力する。
【0052】
前記レーザコントロール回路24は、エンコーダ25からの書き込み信号及びCPU40の指示に基づいて、光ピックアップ装置23から出射されるレーザ光のパワーを制御する。
【0053】
前記インターフェース38は、ホスト(例えばパソコン)との双方向の通信インターフェースであり、ATAPI(AT Attachment Packet Interface)、SCSI(Small Computer System Interface)及びUSB(Universal Serial Bus)などの標準インターフェースに準拠している。
【0054】
前記フラッシュメモリ39には、CPU40にて解読可能なコードで記述されたプログラムが格納されている。そして、CPU40は、フラッシュメモリ39に格納されているプログラムに従って上記各部の動作を制御するとともに、制御に必要なデータ等を一時的にRAM41に保存する。
【0055】
次に、前記光ピックアップ装置23の構成等について図2に基づいて説明する。光ピックアップ装置23は、図2に示されるように、光源ユニット51、コリメートレンズ52、偏光ビームスプリッタ54、λ/4板55、光学素子としての電気光学素子53、対物レンズ60、検出レンズ58、光検出器としての受光器59、位相差調整回路61及び駆動系(フォーカシングアクチュエータ、トラッキングアクチュエータ及びシークモータ(いずれも図示省略))などを備えている。
【0056】
前記光源ユニット51は、波長が660nmの光束を発光する光源としての半導体レーザ(図示省略)を含んで構成されている。なお、本第1の実施形態では、光源ユニット51から出射される光束の最大強度出射方向を+Z方向とする。また、一例として光源ユニット51からは偏光ビームスプリッタ54の入射面に平行な偏光(P偏光)の光束が出射されるものとする。
【0057】
前記コリメートレンズ52は、光源ユニット51の+Z側に配置され、光源ユニット51から出射された光束を略平行光とする。
【0058】
前記偏光ビームスプリッタ54は、コリメートレンズ52の+Z側に配置されている。この偏光ビームスプリッタ54は、入射する光束の偏光方向に応じてその反射率が異なっている。ここでは、一例としてP偏光の光束に対する反射率は小さく、S偏光の光束に対する反射率は大きくなるように、偏光ビームスプリッタ54が設定されているものする。すなわち、光源ユニット51から出射された光束の大部分は、偏光ビームスプリッタ54を透過することができる。また、光ディスク15の記録面で反射した戻り光束に含まれるS偏光成分は偏光ビームスプリッタ54で−X側に反射され、P偏光成分は偏光ビームスプリッタ54を透過する。この偏光ビームスプリッタ54の+Z側には、前記λ/4板55が配置されている。
【0059】
前記電気光学素子53は、λ/4板55の+Z側に配置されている。この電気光学素子53の構成等については後述する。電気光学素子53の+Z側には、前記対物レンズ60が配置されている。
【0060】
前記検出レンズ58は、偏光ビームスプリッタ54の−X側に配置され、偏光ビームスプリッタ54で反射された戻り光束を前記受光器59の受光面に集光する。この受光器59は、再生信号処理回路28にてRF信号、ウォブル信号及びサーボ信号などを検出するのに最適な信号を出力するための複数の受光素子を含んで構成されている。
【0061】
前記電気光学素子53は、一例として図3(A)〜図3(C)に示されるように、縦型の電気光学効果を示す平板状の電気光学結晶ECと、該電気光学結晶ECの−Z側の面上に形成された電極53A及び+Z側の面上に形成された電極53Bとを備えている。各電極は酸化インジウム(In2O3)を主成分とし、二酸化スズ(SnO2)を10%程度混ぜた固溶体の透明薄膜(ITO膜)で形成されている。従って、入射する光束の殆どは各電極を透過することができる。そして、各電極を介して電気光学結晶ECに電圧が印加されると、電気光学結晶EC内部にはZ軸方向に電界が形成される。
【0062】
本第1の実施形態では、電気光学結晶ECには、一例としてポッケルス効果(縦型の一次の電気光学効果)を示すBi12SiO20(BSO)の単結晶が用いられる。このBSOはシレナイト構造を有する複合酸化物であり、結晶点群23に属している。なお、BSO単結晶のポッケルス係数γ41は、5×10−12[m/V]である。
【0063】
電気光学結晶ECに電圧が印加されていない場合には、電気光学結晶ECが等方性の媒質であるため、一例として図4(A)に示されるように、X軸方向の屈折率(ここでは常光線屈折率)noと、Y軸方向の屈折率(ここでは異常光線屈折率)neとは互いにほぼ等しくなる。このような場合には、電気光学結晶ECを透過した光束には、その偏光方向に関係なく光学的位相差が付与されることはない。
【0064】
一方、電気光学結晶ECに各電極を介して電圧が印加されると、電気光学結晶ECの内部でZ軸方向に一様な電界が発生し、その電界に比例した複屈折が電気光学結晶EC内部で一様に生じる。すなわち、一例として図4(B)に示されるように、常光線屈折率noと異常光線屈折率neとの間に違いが生じる。このような場合には、電気光学結晶ECを透過した光束には光学的位相差が付与されることとなる。例えばX軸方向に対して45゜傾いた偏光面を持つ直線偏光の光束が入射すると、その光束のX軸方向成分は常光線屈折率noによって電気光学結晶ECの内部での速度が支配され、Y軸方向成分は異常光線屈折率neによって電気光学結晶ECの内部での速度が支配される。そこで、電気光学結晶ECを透過した光束には、X軸方向とY軸方向に関して光学的位相差が生じることとなり、直線偏光から楕円偏光、円偏光と変化する。また、複屈折が生じた電気光学結晶ECに、直線偏光の光束をX軸方向又はY軸方向にその偏光面を合わせて入射すると、電気光学結晶ECを通過した光束は楕円偏光となる。
【0065】
電気光学結晶ECを透過した光束に付与される光学的位相差は電気光学結晶ECにおける複屈折量に対応するため、電気光学結晶ECに印加する電圧の大きさによって、電気光学結晶ECを透過した光束に付与される光学的位相差を制御することが可能となる。
【0066】
また、電気光学結晶ECがポッケルス効果を示す材料であるために、電気光学結晶ECを透過した光束に付与される光学的位相差Δθzは、次の(1)式で示されるように、電気光学結晶ECに印加される電圧Vzに比例する。ここで、λは入射する光束の波長、noは常光線屈折率である。
【0067】
Δθz=2π(no)3・γ41・Vz/λ ……(1)
【0068】
すなわち、一例として図5に示されるように、印加電圧と光学的位相差との相関関係は原点を通る直線で示される。BSO単結晶の常光線屈折率noは2.56であるので、入射する光束の波長λが660nmの場合には、位相差Δθzと印加電圧Vzとの相関関係を示す直線の傾き(比例定数)は、8×10−4[V−1]となる。この場合に、例えばΔθzを半波長、すなわち位相をπだけ変化させるためには、約3.9kVの印加電圧が必要となる。
【0069】
電気光学結晶は電圧が印加されると分極により光学的異方性を示す。そして、その分極は原子レベルの分極であるため、電圧が印加されてから、それに対応する複屈折を生じるまでの応答時間はナノ秒以下である。しかしながら、平行平板に加工された電気光学結晶に電極を形成した電気光学素子の場合には、電気光学素子の形状に関係するキャパシタンス成分、位相差調整回路61の出力インピーダンス及び配線のインピーダンスなどの影響により、応答時間が遅延する。そこで、本第1の実施形態では、電気光学結晶の厚みや電極面積を最適化することによってキャパシタンス成分を減少させ、応答時間の遅延を抑制した。
【0070】
前記位相差調整回路61は、一例として図6に示されるように、I−V変換回路61a、加算回路61b、交流信号生成回路61c、基本波成分抽出回路61d、及び印加電圧設定回路61eなどから構成されている。なお、電極53Bは0[V]となるように設定しても良い。
【0071】
前記I−V変換回路61aは、受光器59を構成する各受光素子からの出力信号(電流信号)を電圧信号に変換する。前記加算回路61bは、I−V変換回路61aからの各出力信号を加算する。
【0072】
前記交流信号生成回路61cは、CPU40の指示に基づいて、一例として図7に示されるように、次の(2)式で示される交流信号Vacを生成する。ここで、Vmは振幅、ωは周波数に起因する角速度、tは時間である。
【0073】
Vac=Vmcosωt ……(2)
【0074】
また交流信号生成回路61cは、一例として図7に示されるように、交流信号における周期の2分の1の周期(ここではπ/ω)を有するサンプリング信号Ssmpを生成し、基本波成分抽出回路61dに出力する。
【0075】
図6に戻り、前記基本波成分抽出回路61dは、交流信号生成回路61cからのサンプリング信号Ssmpに基づいて、加算回路61bの出力信号Sallをサンプリングする。そして、所定の時間内に取得された各サンプル値において、サンプリング時間順に互いに隣り合う2つのサンプル値を1組みとして組み毎に各サンプル値の差を算出するとともに、算出された各組みの差をそれぞれ加算する。そして、その加算結果を基本波信号Sbとして印加電圧設定回路61eに出力する。なお、基本波信号Sbは前記所定の時間毎に出力される。
【0076】
前記印加電圧設定回路61eは、基本波成分抽出回路61dからの基本波信号Sbが最小値となるように電気光学素子53に印加する電圧を補正信号として設定する。なお、印加電圧と基本波信号との関係は、予め実験等により求められ、フラッシュメモリ39に格納されているものとする。また、印加電圧設定回路61eは、補正信号に交流信号生成回路61cの出力信号Vacを重畳し、補正信号を変調する。なお、この変調の程度は微弱であり、再生信号処理回路28で検出される各種信号の検出精度にほとんど影響しない。すなわち、印加電圧設定回路61eから出力される印加電圧は、補正信号成分と交流信号成分とを含むこととなる。
【0077】
電気光学素子53で付与される光学的位相差Δθ(t)と、受光器59の出力信号を規格化した値である、いわゆる検出光量比Rf(t)との関係は、次の(3)式で表すことができる。
【0078】
Rf(t)=(1+cos2Δθ(t))/2 ……(3)
【0079】
また、光学的位相差Δθ(t)は、次の(4)式で表すことができる。ここで、2π・Δnd/λは補正信号成分による光学的位相差であり、θm・cosωtは交流信号成分による光学的位相差である。この(4)式における、λは光源ユニット51から出射される光束の波長(ここでは660nm)、Δndは光ディスク15の基板における複屈折、θmは振幅である。
【0080】
Δθ(t)=2π・Δnd/λ+θm・cosωt ……(4)
【0081】
例えば、サンプリング時間としてt=2Nπ/ωを上記(3)式に代入して計算すると、第1のサンプル値として次の(5)式が得られる。また、次のサンプリング時間としてt=(1+2N)π/ωを上記(3)式に代入し計算すると、第2のサンプル値として次の(6)式が得られる。ここで、Nは任意の自然数である。
【0082】
【0083】
そこで、第2のサンプル値と第1のサンプル値との差Rfaとして、次の(7)式が得られる。
【0084】
Rfa=sin2θm・sin(4πΔnd/λ) ……(7)
【0085】
なお、上記(3)式をフーリエ変換すると、交流信号の周波数の基本波成分Rf1として、次の(8)式が得られる。
【0086】
Rf1=sin2θm・exp(−j4πΔnd/λ) ……(8)
【0087】
すなわち、基本波信号Sbは上記交流信号の周波数の基本波成分Rf1と同等であることがわかる。
【0088】
上記のように構成される光ピックアップ装置23の作用を説明する。また、λ/4板55における遅相軸方向と光ディスク15における遅相軸方向とは45°ずれているものとする。
【0089】
《光ディスクの基板の複屈折量が極めて小さい場合》
先ず光ディスク15の基板の複屈折量(以下「基板複屈折量」ともいう)が極めて小さい場合について説明する。なお、印加電圧設定回路61eでは補正信号成分は0[V]であり、交流信号成分Vacのみが出力されているものとする。
【0090】
光源ユニット51から出射された直線偏光(ここではP偏光)の光束は、コリメートレンズ52で略平行光となり、偏光ビームスプリッタ54に入射する。この光束の大部分は偏光ビームスプリッタ54をそのまま透過し、λ/4板55を介して電気光学素子53に入射する。ここでは補正信号成分が0[V]であるため、電気光学素子53に入射した光束は交流信号成分Vacに対応する僅かな光学的位相差θm・cosωtのみが付与され、対物レンズ60を介して光ディスク15に照射される。ここでは基板複屈折量が極めて小さいため、光ディスク15に照射された光束は基板を透過する際に光学的位相差を付与されることなく、記録面に到達する。すなわち、所定形状の光スポットが記録面に形成される。
【0091】
光ディスク15の記録面にて反射した戻り光束は、基板を透過する際に光学的位相差を付与されることなく、対物レンズ60に入射する。対物レンズ60で再び略平行光とされた戻り光束は、電気光学素子53で光学的位相差θm・cosωtが付与され、λ/4板55を介して偏光ビームスプリッタ54に入射する。偏光ビームスプリッタ54に入射する戻り光束は、直線偏光(ここではS偏光)又はほぼ直線偏光であり、その大部分は−X方向に反射され、検出レンズ58を介して受光器59で受光される。受光器59を構成する各受光素子は、受光量に応じた信号をそれぞれ位相差調整回路61及び再生信号処理回路28に出力する。
【0092】
位相差調整回路61では、前述の如くして基本波信号Sbが検出される。ここでは基板複屈折量が極めて小さいため、一例として図8(A)に示されるように、受光器59の出力信号に含まれる交流成分は、Vacにおける周期の2分の1の周期を有するコサイン曲線となる。そこで、基本波信号Sbはほぼ0となる。従って、電気光学素子53に出力される印加電圧に含まれる補正信号成分は0[V]のままである。
【0093】
《光ディスクの基板の複屈折量が大きい場合(光学的位相差の誤差調整なし)》次に、基板複屈折量が大きい場合について説明する。なお、印加電圧設定回路61eでは補正信号成分は0[V]であり、交流信号成分Vacのみが出力されているものとする。
【0094】
光源ユニット51から出射された直線偏光(ここではP偏光)の光束は、コリメートレンズ52で略平行光となり、偏光ビームスプリッタ54に入射する。この光束の大部分は偏光ビームスプリッタ54をそのまま透過し、λ/4板55を介して電気光学素子53に入射する。ここでは補正信号成分が0[V]であるため、電気光学素子53に入射した光束は光学的位相差θm・cosωtのみが付与され、対物レンズ60を介して光ディスク15に照射される。ここでは基板複屈折量が大きいので、光ディスク15に照射された光束は基板を透過する際に光学的位相差(ここではδaとする)が付与される。すなわち、記録面に形成される光スポットの形状が劣化する。
【0095】
光ディスク15の記録面にて反射した戻り光束は、基板を透過する際に再度光学的位相差δaが付与され、対物レンズ60に入射する。対物レンズ60で再び略平行光とされた戻り光束は電気光学素子53で光学的位相差θm・cosωtが付与され、λ/4板55を介して偏光ビームスプリッタ54に入射する。偏光ビームスプリッタ54に入射する戻り光束は楕円偏光であり、戻り光束に含まれるS偏光成分は−X方向に反射され、検出レンズ58を介して受光器59で受光される。受光器59を構成する各受光素子は、受光量に応じた信号をそれぞれ位相差調整回路61及び再生信号処理回路28に出力する。一方、偏光ビームスプリッタ54に入射した戻り光束に含まれるP偏光成分は偏光ビームスプリッタ54を透過する。
【0096】
位相差調整回路61では、前述の如くして基本波信号Sbが検出される。ここでは基板複屈折量が大きいため、一例として図8(B)に示されるように、受光器59の出力信号に含まれる交流成分は、Vacにおける周期の2分の1の周期を有するコサイン曲線とVacにおける周期と同じ周期を有するコサイン曲線とが加算された曲線となる。そこで、基本波信号Sbは0とはならない。従って印加電圧設定回路61eでは、基本波信号Sbを0にするための補正信号が生成され、その補正信号に交流信号Vacが重畳された印加電圧が出力される。これにより、電気光学素子53では、光学的位相差θm・cosωtとともに、補正信号に対応して光ディスクの複屈折によって付与される光学的位相差(以下「ディスク位相差」ともいう)δaとは逆極性の光学的位相差−δaが付与される。
【0097】
《光ディスクの基板の複屈折量が大きい場合(光学的位相差の誤差調整あり)》上記のようにして設定された電圧(補正信号+交流信号)が電気光学素子53に印加されている場合について説明する。
【0098】
光源ユニット51から出射された直線偏光(ここではP偏光)の光束は、コリメートレンズ52で略平行光となった後、偏光ビームスプリッタ54に入射する。この光束の大部分は偏光ビームスプリッタ54をそのまま透過し、λ/4板55を介して電気光学素子53に入射する。ここでは、上記設定された電圧(補正信号+交流信号)が印加されているため、電気光学素子53に入射した光束は光学的位相差(−δa+θm・cosωt)が付与され、対物レンズ60を介して光ディスク15に照射される。ここでは基板複屈折量が大きいので、光ディスク15に照射された光束は基板を透過する際にディスク位相差δaが付与されるが、電気光学素子53で付与された光学的位相差−δaと相殺される。従って、所定形状の光スポットが記録面に形成される。
【0099】
光ディスク15の記録面にて反射した戻り光束は、基板を透過する際に再度ディスク位相差δaが付与され、対物レンズ60に入射する。対物レンズ60で再び略平行光とされた光束は電気光学素子53に入射する。電気光学素子53に入射した光束は光学的位相差(−δa+θm・cosωt)が付与されるため、基板を透過する際に付与されたディスク位相差δaは相殺され、λ/4板55を介して偏光ビームスプリッタ54に入射する。偏光ビームスプリッタ54に入射する戻り光束は、直線偏光(ここではS偏光)又はほぼ直線偏光であり、その大部分は−X方向に反射され、検出レンズ58を介して受光器59で受光される。受光器59を構成する各受光素子は、受光量に応じた信号をそれぞれ位相差調整回路61及び再生信号処理回路28に出力する。
【0100】
位相差調整回路61では、前述の如くして基本波信号Sbが検出される。ここでは基板複屈折量が大きいが、受光器59の出力信号に含まれる交流成分は、Vacにおける周期の2分の1の周期を有するコサイン曲線となる(図8(A)参照)。従って、基本波信号Sbはほぼ0となり、印加電圧設定回路61eでは、現在の補正信号に交流信号Vacが重畳された印加電圧が出力される。
【0101】
《記録処理》
次に、前述の光ディスク装置20を用いて、光ディスク15にユーザデータを記録する場合の処理動作について簡単に説明する。
【0102】
CPU40は、ホストから記録要求のコマンドを受信すると、指定された記録速度に基づいてスピンドルモータ22の回転を制御するための制御信号をモータドライバ27に出力するとともに、ホストから記録要求のコマンドを受信した旨を再生信号処理回路28に通知する。また、CPU40は、ホストから受信したユーザデータのバッファRAM34への蓄積をバッファマネージャ37に指示する。
【0103】
光ディスク15の回転が所定の線速度に達すると、前記トラッキング制御及びフォーカス制御が行われる。なお、トラッキング制御及びフォーカス制御は記録処理が終了するまで随時行われる。
【0104】
そして、CPU40は、所定のタイミング毎に再生信号処理回路28から出力されるADIP情報に基づいて、指定された書き込み開始地点に光ピックアップ装置23が位置するように光ピックアップ装置23のシークモータを制御する信号をモータドライバ27に出力する。また、CPU40は、バッファマネージャ37からバッファRAM34に蓄積されたデータ量が所定の値を超えたとの通知を受けると、エンコーダ25に書き込み信号の生成を指示する。
【0105】
光ピックアップ装置23が書き込み開始地点に到達すると、CPU40は位相差調整回路61に戻り光束における光学的位相差の誤差補正を指示する。これにより、前述の如くして電気光学素子53に印加する電圧が調整される。電気光学素子53への印加電圧の調整が終了すると、CPU40はエンコーダ25に書き込みを許可する。これにより、ユーザデータは、エンコーダ25、レーザコントロール回路24及び光ピックアップ装置23を介して光ディスク15に書き込まれる。ユーザデータがすべて書き込まれると、所定の終了処理を行った後、記録処理を終了する。
【0106】
《再生処理》
続いて前述した光ディスク装置20を用いて、光ディスク15に記録されているデータを再生する場合の処理動作について簡単に説明する。
【0107】
CPU40は、ホストから再生要求のコマンドを受信すると、再生速度に基づいてスピンドルモータ22の回転を制御するための制御信号をモータドライバ27に出力するとともに、ホストから再生要求のコマンドを受信した旨を再生信号処理回路28に通知する。
【0108】
光ディスク15の回転が所定の線速度に達すると、前記トラッキング制御及びフォーカス制御が行われる。なお、トラッキング制御及びフォーカス制御は再生処理が終了するまで随時行われる。
【0109】
CPU40は、所定のタイミング毎に再生信号処理回路28から出力されるADIP情報に基づいて、読み出し開始地点に光ピックアップ装置23が位置するようにシークモータを制御する信号をモータドライバ27に出力する。そして、光ピックアップ装置23が読み出し開始地点に到達すると、上記記録処理の場合と同様にして、電気光学素子53への印加電圧の調整が行われる。印加電圧の調整が終了すると、CPU40は、再生信号処理回路28に通知する。
【0110】
そして、再生信号処理回路28は、前述の如く、受光器59の出力信号からRF信号を検出し、復号処理及び誤り訂正処理などを行った後、再生データとしてバッファRAM34に蓄積する。バッファマネージャ37はバッファRAM34に蓄積された再生データがセクタデータとして揃ったときに、インターフェース38を介してホストに転送する。CPU40は、ホストから指定されたユーザデータの再生がすべて終了すると、所定の終了処理を行った後、再生処理を終了する。
【0111】
以上の説明から明らかなように、本第1の実施形態に係る光ディスク装置20では、位相差調整回路61によって重畳手段、位相差信号出力手段及び電圧調整手段が実現されている。また、CPU40及び該CPU40によって実行されるプログラムとによって処理装置が実現されている。
【0112】
以上説明したように、本第1の実施形態に係る光ピックアップ装置によると、位相差調整回路61は、電気光学素子53に印加する電圧に交流信号を重畳するとともに、受光器59の出力信号に含まれる交流信号の周波数の基本波成分がほぼ0となるように、電気光学素子53に印加する電圧を調整している。これにより、光ディスクの複屈折に起因する戻り光束における光学的位相差の誤差が精度良く補正され、受光器59から出力される信号の信号レベル及びS/N比を向上させることができる。
【0113】
また、本第1の実施形態によると、基本波抽出手段でサンプリングされた複数のサンプル値において、サンプリング時間順に互いに隣り合う2つのサンプル値を1組みとして組み毎に各サンプル値の差を算出するとともに、算出された各組みの差をそれぞれ加算することによって、交流信号の周波数の基本波成分を抽出しているため、位相差調整回路61の構成を単純化することができる。従って、部品コストの低下を促進することができる。
【0114】
また、本第1の実施形態によると、電気光学素子53では屈折率を変更する材料として電気光学結晶が用いられているために、例えば100MHz以上の帯域特性を有する位相差調整回路61からの補正信号に対しても追随することができ、ほぼリアルタイムで光学的位相差の誤差を補正することが可能となる。そこで、例えばDVDドライブ装置に用いられた場合には、10倍速程度の回転速度においても完全に追従して光学的位相差の誤差を補正することができる。また、記録面の場所(アドレス)によって複屈折量が異なる光ディスクに対しても精度良く光学的位相差の誤差を補正することが可能となる。
【0115】
また、本第1の実施形態に係る光ピックアップ装置によると、電気光学素子53では縦型の電気光学効果を示す電気光学結晶を用いているために、横型の電気光学効果を示す電気光学結晶(光軸と電界印加方向が垂直)を用いた場合に比べて、電気光学結晶を光軸方向に薄く、面方向に広くすることができる.これにより、光源から対物レンズまでの距離を短くすることが可能となり、各光学部品の配置の自由度が増すとともに、ピックアップ装置を小型化することができる。なお、横型の電気光学効果を示す電気光学結晶を用いた場合には、電界印加方向と光軸方向とが直交しているので、各電極は光路を挟む位置に設置する必要がある。この場合には、各電極間の距離は、当然ながら光路中の光のビーム径より大きくしなければならないため、ビーム径を大きくしようとすると電極間距離が長くなる。一方、縦型の電気光学効果を示す電気光学結晶を用いた場合には、ビーム径を大きくしようとすると電気光学結晶の面積を大きくするだけで良く、電極間距離(ギャップ長)には影響を及ぼさない。従って、縦型の電気光学効果を示す電気光学結晶を用いた場合には、通常のハーフハイトの高さのピックアップ装置であっても、ビーム径を大きくとることが可能となり、その結果ワーキングディスタンスを大きくすることができる。
【0116】
また、本第1の実施形態に係る光ピックアップ装置によると、電気光学素子53にポッケルス効果を示す電気光学結晶を用いているために、印加電圧と光学的位相差との関係は直線関係となる。また、電圧が印加されていないときには光学的位相差が0、すなわち等方性媒質となる。そこで、印加電圧の正負と光学的位相差の正負とを対応させることができる。従って、印加電圧と光学的位相差とは単純な比例関係を有することとなり、簡単な一次式で示すことができる。これにより、光学的位相差の誤差の補正が容易になり、例えば印加電圧設定回路に汎用の安価なリニアアンプなどを用いることができ、回路の単純化及び低コスト化を図ることができるとともに、補正の高速化を図ることが可能となる。
【0117】
また、本第1の実施形態に係る光ピックアップ装置によると、電気光学結晶としてシレナイト構造を有する酸化物を用いているために、低い印加電圧で大きな光学的位相差が発生する。従って、位相差調整回路61に大規模な昇圧回路を必要とせず、光ピックアップ装置の小型化及び軽量化を促進することができる。
【0118】
また、本第1の実施形態に係る光ディスク装置によると、再生信号、ウォブル信号及びサーボ信号などを精度良く安定して検出することができるため、高速度でのアクセスを安定して行うことが可能となる。さらに、光ピックアップ装置の小型化及び軽量化によって、光ディスク装置自体の小型化及び消費電力の低減も促進することができ、例えば携帯用として用いられる場合には、持ち運びが容易になるとともに、長時間の使用が可能となる。
【0119】
なお、上記第1の実施形態では、偏光ビームスプリッタ54を用いて戻り光束を受光器59側に分岐する場合について説明したが、これに限らず、偏光ビームスプリッタ54に代えて、例えば偏光ホログラム素子を用いても良い。これにより、光ピックアップ装置の小型化及び軽量化を促進することができる。さらに、この場合に、その偏光ホログラム素子と受光器59とを一体化しても良い。
【0120】
なお、上記第1の実施形態では、重畳される交流信号の周波数の基本波成分を用いて戻り光束における光学的位相差の誤差を検出する場合について説明したが、これに限らず、例えば重畳される交流信号の周波数の第2高調波成分を用いて検出しても良い。この場合には、位相差調整回路61に代えて、図9に示される位相差調整回路61’が用いられることとなる。
【0121】
位相差調整回路61’は、I−V変換回路61a、加算回路61b、交流信号生成回路61c’、第2高調波波成分抽出回路61d’、及び印加電圧設定回路61e’などから構成されている。位相差調整回路61との違いは、交流信号生成回路61c’、第2高調波波成分抽出回路61d’、及び印加電圧設定回路61e’にある。
【0122】
前記交流信号生成回路61c’は、CPU40の指示に基づいて、上記(2)式で示される交流信号Vacを生成する。また交流信号生成回路61c’は、一例として図10に示されるように、交流信号における周期の4分の1の周期(ここでは、π/2ω)を有するサンプリング信号Ssmp’を生成し、第2高調波成分抽出回路61d’に出力する。
【0123】
前記第2高調波成分抽出回路61d’は、交流信号生成回路61c’からのサンプリング信号Ssmp’に基づいて、加算回路61bの出力信号Sallをサンプリングする。そして、所定の時間内に取得された各サンプル値において、サンプリング時間順に互いに隣り合う2つのサンプル値を1組みとして組み毎に各サンプル値の差を算出するとともに、算出された各組みの差をそれぞれ加算する。そして、その加算結果を第2高調波信号Sb’として印加電圧設定回路61e’に出力する。なお、第2高調波信号Sb’は前記所定の時間毎に出力される。
【0124】
例えば、サンプリング時間としてt=2Nπ/ωを上記(3)式に代入し計算すると、第1のサンプル値として次の(9)式が得られる。t=(1/2+2N)π/ωを上記(3)式に代入し計算すると、第2のサンプル値として次の(10)式が得られる。t=(1+2N)π/ωを上記(3)式に代入し計算すると、第3のサンプル値として次の(11)式が得られる。t=(3/2+2N)π/ωを上記(3)式に代入し計算すると、第4のサンプル値として次の(12)式が得られる。
【0125】
Rf(2Nπ/ω)=(1+cos(4πΔnd/λ+2θm))/2 ……(9)
Rf((1/2+2N)π/ω)=(1+cos(4πΔnd/λ))/2 ……(10)
Rf((1+2N)π/ω)=(1+cos(4πΔnd/λ−2θm))/2 ……(11)
Rf((3/2+2N)π/ω)=(1+cos(4πΔnd/λ))/2 ……(12)
【0126】
そこで、第1のサンプル値と第2のサンプル値との差、及び第3のサンプル値と第4のサンプル値との差を加算すると、加算値Rfbとして次の(13)式が得られる。
【0127】
Rfb=(1−cos2θm)cos(4πΔnd/λ) ……(13)
【0128】
なお、上記(3)式をフーリエ変換すると、交流信号の周波数の第2高調波成分Rf2は、次の(14)式で示される。
【0129】
Rf2=(1−cos2θm)cos(4πΔnd/λ) ……(14)
【0130】
すなわち、第2高調波信号Sb’は上記交流信号の周波数の第2高調波成分Rf2と同等であることがわかる。
【0131】
印加電圧設定回路61e’は、第2高調波信号Sb’が最大となるように電気光学素子53に印加する電圧を補正信号として設定する。なお、印加電圧と第2高調波信号との関係は、予め実験等により求められ、フラッシュメモリ39に格納されている。また、印加電圧設定回路61e’は、印加電圧設定回路61eと同様に、補正信号に交流信号生成回路61c’の出力信号Vacを重畳し、補正信号を変調する。
【0132】
《第2の実施形態》
次に、本発明の第2の実施形態を図11及び図12に基づいて説明する。この第2の実施形態は、一例として図11に示される光ピックアップ装置23’のように、上記第1の実施形態におけるコリメートレンズ52と偏光ビームスプリッタ54との間に無偏光ビームスプリッタ70を配置した点に特徴を有する。また、光ピックアップ装置23’には、無偏光ビームスプリッタ70で反射された戻り光束を集光するための集光レンズ71と、該集光レンズ71で集光された戻り光束を受光するための受光器72とが付与されている。
【0133】
そこで、上記第1の実施形態における位相差調整回路61の代わりに、受光器59及び受光器72の各出力信号に基づいて電気光学素子53の印加電圧を調整する位相差調整回路62が用いられる。
【0134】
なお、その他の光ピックアップ装置及び光ディスク装置の構成などは、上記第1の実施形態と同様である。従って、以下においては、上記第1の実施形態との相違点を中心に説明するとともに、上記第1の実施形態と同一若しくは同等の構成部分については同一の符号を用い、その説明を簡略化し若しくは省略するものとする。
【0135】
位相差調整回路62は、図12に示されるように、I−V変換回路62a、加算回路61b、減算器62b、交流信号生成回路61c、基本波成分抽出回路61d、及び印加電圧設定回路61eなどから構成されている。
【0136】
I−V変換回路62aは、受光器59を構成する各受光素子の出力信号及び受光器72の出力信号をそれぞれ電圧信号に変換する。減算器62bは、加算回路61bの出力信号SallとI−V変換回路62aにて電圧信号に変換された受光器72の出力信号との差信号を求め、基本波成分抽出回路61dに出力する。なお、加算回路61b、交流信号生成回路61c、基本波成分抽出回路61d、及び印加電圧設定回路61eはそれぞれ上記第1の実施形態と同じである。
【0137】
上記のようにして構成される光ピックアップ装置23’の作用を説明する。
【0138】
《光ディスクの基板の複屈折量が大きい場合(光学的位相差の誤差調整なし)》先ず、基板複屈折量が大きく、印加電圧設定回路61eでは補正信号成分は0[V]であり、交流信号成分Vacのみが出力されている場合について説明する。
【0139】
光源ユニット51から出射された直線偏光(ここではP偏光)の光束は、コリメートレンズ52で略平行光となった後、無偏光ビームスプリッタ70に入射する。無偏光ビームスプリッタ70を透過した光束は、偏光ビームスプリッタ54に入射する。この光束の大部分は偏光ビームスプリッタ54をそのまま透過し、λ/4板55を介して電気光学素子53に入射する。ここでは、補正信号成分が0[V]であるため、電気光学素子53に入射した光束は光学的位相差θm・cosωtが付与され、対物レンズ60を介して光ディスク15に照射される。ここでは、基板複屈折量が大きいので、光ディスク15に照射された光束は基板を透過する際にディスク位相差δaを生じる。すなわち、記録面に形成される光スポットの形状が劣化する。
【0140】
光ディスク15の記録面にて反射した戻り光束は、基板を透過する際に再度ディスク位相差δaを生じ、対物レンズ60の入射する。対物レンズ60で再び略平行光とされた光束は電気光学素子53に入射する。この光束は電気光学素子53で光学的位相差θm・cosωtが付与され、λ/4板55を介して偏光ビームスプリッタ54に入射する。偏光ビームスプリッタ54に入射する戻り光束は楕円偏光であり、戻り光束に含まれるS偏光成分は−X方向に反射され、検出レンズ58を介して受光器59で受光される。受光器59を構成する各受光素子は、受光量に応じた信号をそれぞれ位相差調整回路62及び再生信号処理回路28に出力する。一方、偏光ビームスプリッタ54に入射した光束に含まれるP偏光成分は偏光ビームスプリッタ54を透過し、無偏光ビームスプリッタ70に入射する。無偏光ビームスプリッタ70で−X方向に反射された戻り光束は、検出レンズ71を介して受光器72で受光される。受光器72は受光量に応じた信号を位相差調整回路62に出力する。
【0141】
位相差調整回路62では、前述の如くして基本波信号Sbが検出される。ここでは基板複屈折量が大きいため、基本波信号Sbは0とはならない。そこで印加電圧設定回路61eでは、基本波信号Sbを0にするための補正信号が生成され、その補正信号に交流信号Vacが重畳された印加電圧が出力される。これにより、電気光学素子53では、光学的位相差θm・cosωtとともに、ディスク位相差δaとは逆極性の光学的位相差−δaが付与される。
【0142】
《光ディスクの基板の複屈折量が大きい場合(光学的位相差の誤差調整あり)》次に、上記のようにして設定された電圧(補正信号+交流信号)が電気光学素子53に印加されている場合について説明する。
【0143】
光源ユニット51から出射された直線偏光(ここではP偏光)の光束は、コリメートレンズ52で略平行光となった後、無偏光ビームスプリッタ70に入射する。無偏光ビームスプリッタ70を透過した光束は、偏光ビームスプリッタ54に入射する。この光束の大部分は偏光ビームスプリッタ54をそのまま透過し、λ/4板55を介して電気光学素子53に入射する。電気光学素子53には、上記設定された電圧(補正信号+交流信号)が印加されているため、電気光学素子53に入射した光束は光学的位相差(−δa+θm・cosωt)が付与され、対物レンズ60を介して光ディスク15に照射される。ここでは基板複屈折量が大きいので、光ディスク15に照射された光束は基板を透過する際にディスク位相差δaが付与されるが、電気光学素子53で付与された光学的位相差−δaと相殺される。従って、所定形状の光スポットが記録面に形成される。
【0144】
光ディスク15の記録面にて反射した戻り光束は、基板を透過する際に再度ディスク位相差δaが付与され、対物レンズ60に入射する。対物レンズ60で再び略平行光とされた光束は電気光学素子53に入射する。電気光学素子53に入射した光束は光学的位相差(−δa+θm・cosωt)が付与されるため、基板を透過する際に付与されたディスク位相差δaは相殺され、λ/4板55を介して偏光ビームスプリッタ54に入射する。偏光ビームスプリッタ54に入射する戻り光束は、直線偏光(ここではS偏光)又はほぼ直線偏光であり、その大部分は−X方向に反射され、検出レンズ58を介して受光器59で受光される。受光器59を構成する各受光素子は、受光量に応じた信号をそれぞれ位相差調整回路61及び再生信号処理回路28に出力する。なお、光学的位相差θm・cosωtに対応して、若干の戻り光束が偏光ビームスプリッタ54を透過し、無偏光ビームスプリッタ70に入射する。無偏光ビームスプリッタ70で−X方向に反射された戻り光束は、検出レンズ71を介して受光器72で受光される。受光器72は受光量に応じた信号を位相差調整回路62に出力する。
【0145】
位相差調整回路62では、前述の如くして基本波信号Sbが検出される。ここでは基板複屈折量が大きいが、基本波信号Sbがほぼ0であるため、印加電圧設定回路61eでは、現在の補正信号に交流信号Vacが重畳された印加電圧が出力される。
【0146】
以上の説明から明らかなように、本第2の実施形態に係る光ディスク装置20では、位相差調整回路62によって重畳手段、位相差信号出力手段及び電圧調整手段が実現されている。また、上記第1の実施形態と同様に、CPU40及び該CPU40によって実行されるプログラムとによって処理装置が実現されており、上記第1の実施形態と同様にして、記録処理及び再生処理が行われる。
【0147】
以上説明したように、本第2の実施形態に係る光ピックアップ装置によると、位相差調整回路62は、電気光学素子53に印加する電圧に交流信号を重畳するとともに、受光器59の出力信号と受光器72の出力信号との差信号に含まれる基本波成分がほぼ0となるように、電気光学素子53に印加する電圧を調整している。これにより、ディスク位相差による戻り光束における光学的位相差の誤差が補正され、受光器59から出力される信号の信号レベル及びS/N比を向上させることが可能となるため、上記第1の実施形態に係る光ピックアップ装置と同様な効果を得ることができる。なお、ディスク位相差の検出精度は上記第1の実施形態よりも高い。
【0148】
また、本第2の実施形態に係る光ディスク装置によると、再生信号、ウォブル信号及びサーボ信号などを精度良く安定して検出することができるため、前記第1の実施形態に係る光ディスク装置と同様な効果を得ることが可能となる。
【0149】
なお、上記第2の実施形態では、重畳される交流信号の基本波成分を用いて戻り光束における光学的位相差の誤差を検出する場合について説明したが、これに限らず、例えば前述したように、重畳される交流信号の周波数の第2高調波成分を用いて検出しても良い。
【0150】
なお、上記第2の実施形態では、戻り光束を分岐する分岐光学素子としてビームスプリッタ(偏光ビームスプリッタ54、無偏光ビームスプリッタ70)を用いる場合について説明したが、これに限らず、ホログラム素子を用いても良い。例えば、偏光ビームスプリッタ54に代えて偏光ホログラム素子を、無偏光ビームスプリッタ70に代えて無偏光ホログラム素子を用いても良い。そして、偏光ホログラム素子と無偏光ホログラム素子とを一体化しても良い。この場合には、偏光ホログラム素子及び無偏光ホログラム素子をそれぞれ個別の基板上に形成した後に、それらを貼り合わせて一体化しても良いが、偏光ホログラム素子及び無偏光ホログラム素子を同一基板の一側及び他側にそれぞれ形成しても良い。また、偏光ホログラム素子、無偏光ホログラム素子、受光器59、及び受光器72を一体化しても良い。さらに、それらと半導体レーザとを一体化し、受発光モジュールとしても良い。これにより、光ピックアップ装置の小型化及び軽量化を促進することができる。また、組み付け時の構成部品の数が減少し、組み付け作業及び調整作業を簡略化することができ、作業コストを削減することが可能となる。なお、偏光ビームスプリッタ54及び無偏光ビームスプリッタ70のいずれか一方に代えて、ホログラム素子を用いても良い。
【0151】
また、上記各実施形態では、電気光学結晶として、一次の電気光学効果を示す材料を用いる場合について説明したが、これに限らず、例えば一次を除く奇数次の電気光学効果を示す材料であっても良い。一次の電気光学効果を示す材料と同様な効果を得ることができるからである。また、偶数次の電気光学効果を示す材料を用いても良い。但し、電気光学結晶として、高次の電気光学効果を示す材料を用いる場合には、一例として図13に示されるように、印加電圧と光学的位相差との相関関係は簡単な一次式で示すことができなくなり、電気光学結晶の屈折率分布の制御が複雑化する。
【0152】
また、上記各実施形態では、電気光学結晶として、Bi12SiO20(BSO)の単結晶を用いる場合について説明したが、本発明がこれに限定されるものではない。例えば、縦型の奇数次の電気光学効果を示す材料として、結晶点群3mのLiNbO3(ニオブ酸リチウム)、LiTaO3(タンタル酸リチウム)、 結晶点群42mのNH4H2PO4(ADP:燐酸二水素アンモニウム)、KH2PO4(KDP:燐酸二水素カリウム)、結晶点群32のα水晶(SiO2)、結晶点群23のBi12GeO20(BGO)、結晶点群43mのZnS、ZnTe、Bi4Ge3O12などの中心対称性を持たない電気光学結晶を用いても良い。特に、BGOは、BSOと同様に電気光学係数(ポッケルス係数γ41)が10−12m/V以上と大きいため、低い印加電圧で大きな位相差を付与することができる。また、電気光学結晶は単結晶に限らず多結晶であっても良い。但し、単結晶のほうが光束の透過率が高くなる。
【0153】
なお、上記各実施形態において、電気光学素子53に代えて、例えば液晶、電歪素子、光弾性素子、ファラデー素子、及びカーセルなどを用いても良い。
【0154】
また、上記各実施形態では、各電極が矩形形状(図3(B)及び図3(C)参照)を有する場合について説明したが、これに限らず、例えば図14(A)〜図14(C)に示されるように、円形状の電極53A’及び53B’が設けられた電気光学素子53’を用いても良い。
【0155】
また、上記各実施形態では、位相差調整回路の加算回路61bにおいて、受光器59からの出力信号の全てが加算される場合について説明したが、本発明がこれに限定されるものではない。例えば受光器59を構成する特定の受光素子からの出力信号を加算信号に代えて用いても良い。
【0156】
また、上記各実施形態では、各電極にITO膜を用いる場合について説明したが、本発明がこれに限定されるものではない。また、電極の一部分が透明であっても良い。要するに入射光束の大部分が透過可能であれば良い。
【0157】
また、上記各実施形態において、電極53Bの代わりにアルミニウム蒸着膜からなる不透明電極を用いても良い。この場合には、電気光学素子は反射型となり、入射光束は電気光学結晶内を往復するため、付与すべき光学的位相差が同じであっても、透明な電極を用いる場合に比べて印加電圧を1/2とすることができる。なお、この場合には、一部の光学部品の配置を変更する必要がある。
【0158】
また、上記各実施形態では、情報の記録及び再生が可能な光ディスク装置について説明したが、これに限らず、情報の記録、再生及び消去のうち少なくとも再生が可能な光ディスク装置であれば良い。
【0159】
また、上記各実施形態に係る光ディスク装置は、ホストと同一の筐体内に配置される、いわゆる内蔵タイプであっても良いし、ホストとは別の筐体内に配置される、いわゆる外付けタイプであっても良い。
【0160】
また、上記各実施形態では、光源が1つの場合について説明したが、本発明がこれに限定されるものではない。例えば波長が405nmの光束を出射する光源、波長が660nmの光束を出射する光源及び波長が780nmの光束を出射する光源のうち少なくとも2つの光源を備えていても良い。
【0161】
また、上記各実施形態では、位相差調整回路が光ピックアップ装置に設けられた場合について説明したが、これに限らず、例えば位相差調整回路と同様な回路を再生信号処理回路28に付与しても良い。この場合には、再生信号処理回路28から電気光学素子に印加電圧が供給されることとなる。
【0162】
また、上記各実施形態では、アクセス中にフィードバック制御により戻り光束における光学的位相差の誤差を補正する場合について説明したが、これに限らず、例えばディスク位相差があまり変化しない場合などには、予め計測された光学的位相差に基づいて、設定された電圧を電気光学素子に印加し、アクセス中の印加電圧を固定値としても良い。この場合には、位相差調整回路の代わりに所定の電圧を電気光学素子に印加するためのドライバを用いることができる。
【0163】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明に係る光ピックアップ装置によれば、大型化及び高コスト化を招くことなく、光ピックアップ装置自体及び対物レンズの位置制御に必要な情報などを含む信号を精度良く安定して出力することができるという効果がある。
【0164】
また、本発明に係る光ディスク装置によれば、情報記録媒体へのアクセスを精度良く安定して行うことができるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る光ディスク装置の概略構成を示すブロック図である。
【図2】図1における光ピックアップ装置の構成を説明するための図である。
【図3】図3(A)〜図3(C)は、それぞれ図2における電気光学素子の構成を説明するための図である。
【図4】図4(A)は電圧が印加されていない場合の電気光学素子における屈折率(常光線屈折率no、異常光線屈折率ne)を説明するための図であり、図4(B)は電圧が印加されている場合の電気光学素子における屈折率を説明するための図である。
【図5】電気光学素子における印加電圧と光学的位相差との関係を説明するための図である。
【図6】図2における位相差調整回路の構成を説明するためのブロック図である。
【図7】図6における交流信号生成回路から出力される交流信号、及びサンプリング信号を説明するための波形図である。
【図8】図8(A)は光ディスクの基板の複屈折が極めて小さいときに、受光器の出力信号に含まれる交流信号成分を説明するための波形図であり、図8(B)は光ディスクの基板の複屈折が大きいときに、受光器の出力信号に含まれる交流信号成分を説明するための波形図である。
【図9】第2高調波成分を用いる場合の位相差調整回路の構成を説明するためのブロック図である。
【図10】図9における交流信号生成回路から出力される交流信号、及びサンプリング信号を説明するための波形図である。
【図11】第2の実施形態に係る光ピックアップ装置の構成を説明するための図である。
【図12】図11における位相差調整回路の構成を説明するためのブロック図である。
【図13】電気光学結晶が高次の電気光学効果を示す場合の印加電圧と光学的位相差との関係を説明するための図である。
【図14】図14(A)〜図14(C)は、それぞれ電極の変形例を説明するための図である。
【図15】図15(A)は、CD−ROMの基板における複屈折の発生状況の一例を説明するための図であり、図15(B)は、そのCD−ROMからの戻り光束のうち光検出器で受光される受光量の一例を説明するための図である。
【符号の説明】
15…光ディスク(情報記録媒体)、20…光ディスク装置、23…光ピックアップ装置、40…CPU(処理装置)、53,53’…電気光学素子(光学素子)、54…偏光ビームスプリッタ(偏光性分岐光学素子)、59…受光器(第1の光検出器)、60…対物レンズ、61,61’、62…位相差調整回路(重畳手段、位相差信号出力手段、電圧調整手段)、61d…基本波成分抽出回路(基本波抽出手段)、61d’…第2高調波成分抽出回路(高調波抽出手段)、61e,61e’…印加電圧設定回路(誤差情報取得手段、重畳手段、電圧調整手段)、70…無偏光ビームスプリッタ(無偏光性分岐光学素子)、72…受光器(第2の光検出器)、EC…電気光学結晶。
Claims (27)
- 情報記録媒体の記録面に光を照射し、前記記録面からの反射光を受光する光ピックアップ装置であって、
光源と;
前記光源から出射される光束を前記記録面に集光する対物レンズと、前記光源と前記対物レンズとの間の光路上に配置され、印加される電圧に応じた光学的位相差を入射される光束に付与する光学素子と、前記記録面で反射され前記対物レンズ及び前記光学素子を介した戻り光束の光路上に配置され、前記戻り光束をその光路上から分岐する偏光性分岐光学素子とを含む光学系と;
前記光学素子に印加される電圧に所定の交流信号を重畳する重畳手段と;
前記偏光性分岐光学素子で分岐された前記戻り光束を受光する第1の光検出器を含む少なくとも1つの光検出器を有し、前記戻り光束における光学的位相差の誤差に関する情報を含む信号を出力する位相差信号出力手段と;を備える光ピックアップ装置。 - 前記位相差信号出力手段は、
前記第1の光検出器の出力信号から前記交流信号の周波数の基本波成分を抽出する基本波抽出手段と;
前記基本波抽出手段での抽出結果に基づいて、前記光学的位相差の誤差に関する情報を求める誤差情報取得手段と;を有することを特徴とする請求項1に記載の光ピックアップ装置。 - 前記基本波抽出手段は、前記交流信号における周期の2分の1の周期で前記第1の光検出器の出力信号を所定時間サンプリングすることを特徴とする請求項2に記載の光ピックアップ装置。
- 前記誤差情報取得手段は、前記基本波抽出手段でサンプリングされた複数のサンプル値において、サンプリング時間順に互いに隣り合う2つのサンプル値を1組みとして組み毎に各サンプル値の差を算出するとともに、算出された各組みの差をそれぞれ加算し、加算結果を前記光学的位相差の誤差に関する情報とすることを特徴とする請求項3に記載の光ピックアップ装置。
- 前記誤差情報取得手段での加算結果が最小値となるように前記光学素子に印加する電圧を調整する電圧調整手段を更に備えることを特徴とする請求項4に記載の光ピックアップ装置。
- 前記位相差信号出力手段は、
前記第1の光検出器の出力信号から前記交流信号の周波数の第2高調波成分を抽出する高調波抽出手段と;
前記高調波抽出手段での抽出結果に基づいて、前記光学的位相差の誤差に関する情報を求める誤差情報取得手段と;を有することを特徴とする請求項1に記載の光ピックアップ装置。 - 前記高調波抽出手段は、前記交流信号における周期の4分の1の周期で前記第1の光検出器の出力信号を所定時間サンプリングすることを特徴とする請求項6に記載の光ピックアップ装置。
- 前記誤差情報取得手段は、前記高調波抽出手段にてサンプリングされた複数のサンプル値において、サンプリング時間順に互いに隣り合う2つのサンプル値を1組みとして組み毎に各サンプル値の差を算出するとともに、算出された各組みの差をそれぞれ加算し、加算結果を前記光学的位相差の誤差に関する情報とすることを特徴とする請求項7に記載の光ピックアップ装置。
- 前記誤差情報取得手段での加算結果が最大値となるように前記光学素子に印加する電圧を調整する電圧調整手段を更に備えることを特徴とする請求項8に記載の光ピックアップ装置。
- 前記光学系は、前記偏光性分岐光学素子を透過した戻り光束の光路上に配置され、前記戻り光束をその光路上から分岐する無偏光性分岐光学素子を更に含み、
前記位相差信号出力手段は、前記無偏光性分岐光学素子で分岐された前記戻り光束を受光する第2の光検出器を更に含むことを特徴とする請求項1に記載の光ピックアップ装置。 - 前記位相差信号出力手段は、
前記第1の光検出器の出力信号と前記第2の光検出器の出力信号との差信号から前記交流信号の周波数の基本波成分を抽出する基本波抽出手段と;
前記基本波抽出手段での抽出結果に基づいて、前記光学的位相差の誤差に関する情報を求める誤差情報取得手段と;を有することを特徴とする請求項10に記載の光ピックアップ装置。 - 前記基本波抽出手段は、前記交流信号における周期の2分の1の周期で前記差信号を所定時間サンプリングすることを特徴とする請求項11に記載の光ピックアップ装置。
- 前記誤差情報取得手段は、前記基本波抽出手段でサンプリングされた複数のサンプル値において、サンプリング時間順に互いに隣り合う2つのサンプル値を1組みとして組み毎に各サンプル値の差を算出するとともに、算出された各組みの差をそれぞれ加算し、加算結果を前記光学的位相差の誤差に関する情報とすることを特徴とする請求項12に記載の光ピックアップ装置。
- 前記誤差情報取得手段での加算結果が最小値となるように前記光学素子に印加する電圧を調整する電圧調整手段を更に備えることを特徴とする請求項13に記載の光ピックアップ装置。
- 前記位相差信号出力手段は、
前記第1の光検出器の出力信号と前記第2の光検出器の出力信号との差信号から前記交流信号の周波数の第2高調波成分を抽出する高調波抽出手段と;
前記高調波抽出手段での抽出結果に基づいて、前記光学的位相差の誤差に関する情報を求める誤差情報取得手段と;を有することを特徴とする請求項10に記載の光ピックアップ装置。 - 前記高調波抽出手段は、前記交流信号における周期の4分の1の周期で前記差信号を所定時間サンプリングすることを特徴とする請求項15に記載の光ピックアップ装置。
- 前記誤差情報取得手段は、前記高調波抽出手段にてサンプリングされた複数のサンプル値において、サンプリング時間順に互いに隣り合う2つのサンプル値を1組みとして組み毎に各サンプル値の差を算出するとともに、算出された各組みの差をそれぞれ加算し、加算結果を前記光学的位相差の誤差に関する情報とすることを特徴とする請求項16に記載の光ピックアップ装置。
- 前記誤差情報取得手段での加算結果が最大値となるように前記光学素子に印加する電圧を調整する電圧調整手段を更に備えることを特徴とする請求項17に記載の光ピックアップ装置。
- 前記光学素子は、電気光学効果を示す電気光学結晶を含むことを特徴とする請求項1〜18のいずれか一項に記載の光ピックアップ装置。
- 前記電気光学結晶は、縦型の電気光学効果を示す結晶であることを特徴とする請求項19に記載の光ピックアップ装置。
- 前記電気光学結晶は、奇数次の電気光学効果を示す結晶であることを特徴とする請求項19又は20に記載の光ピックアップ装置。
- 前記電気光学結晶は、ポッケルス効果を示す結晶であることを特徴とする請求項19〜21のいずれか一項に記載の光ピックアップ装置。
- 前記電気光学結晶は、シレナイト構造を有する酸化物の結晶であることを特徴とする請求項19〜22のいずれか一項に記載の光ピックアップ装置。
- 前記シレナイト構造を有する酸化物は、Bi12SiO20であることを特徴とする請求項23に記載の光ピックアップ装置。
- 前記電気光学結晶は、単結晶体であることを特徴とする請求項19〜24のいずれか一項に記載の光ピックアップ装置。
- 前記光学素子は、電気光学効果を示す液晶を含むことを特徴とする請求項1〜18のいずれか一項に記載の光ピックアップ装置。
- 情報記録媒体に対して、情報の記録、再生、及び消去のうち少なくとも再生を行なう光ディスク装置であって、
請求項1〜26のいずれか一項に記載の光ピックアップ装置と;
前記光ピックアップ装置からの出力信号を用いて、前記情報の記録、再生、及び消去のうち少なくとも再生を行なう処理装置と;を備える光ディスク装置。
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