JP2004272728A - 建物価格の見積もりシステム - Google Patents
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Abstract
【解決手段】建物を構成する各ユニットの床面積と前記各ユニットの単位床面積あたりの単価とを乗算したものに、一定の割増分を加えて、床面積を基準にした価格見積もり演算処理を実行し、ユニットを構成する壁の壁長と壁の単位長あたりの単価とを乗算したものに、一定の割増分を加えて、壁長を基準にした価格見積もり演算処理を実行し、建物の間取り図中に含まれていて、それぞれ単価と工事費がユニットとは別個に記憶装置に記憶された特定の部材を抽出して、当該部材の数量と単価とを乗算したものに前記工事費を加算して、部材ごとの価格見積もり演算処理を実行し、これらを集計する。
【効果】ユニットを構成する各部品の詳細な価格データは不要であり、具体的な設計作業をしなくても比較的確度の高い概略見積もり計算ができる。
【選択図】 図1
【効果】ユニットを構成する各部品の詳細な価格データは不要であり、具体的な設計作業をしなくても比較的確度の高い概略見積もり計算ができる。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、規格化されたユニットを組み合わせてなる、いわゆるユニット型の建物の価格を、コンピュータにより効率よく見積もり演算処理することができる建物価格の見積もりシステムと建物価格の見積もり用プログラムに関する。
【0002】
【従来の技術】
建築設計者は、設計した建物が予定価格に収まるものかどうかを確認するために、随時概略的な建物価格の見積もり計算を行う。また、顧客が住宅の建設を希望している場合には、顧客の要望にそった間取りを提示して、その建物価格の概略見積もりをする必要が生じる。こうした要請に応えるために、例えば、ネットワークを利用して、建物の建設に従事する関連業者の端末装置を相互に接続し、各業者から提出された見積もりを積算するといった技術が紹介されている。(特許文献1)また、見積もりに必要な建物の建築に使用する部材の数量を正確に積算計算する技術も開発されている。(特許文献2)。また、簡単なユニットを単純に組み合わせたユニットハウスの設計・見積り作業をコンピュータの画面上で実行する技術も開発されている(特許文献3)。また、住宅の製造販売者がインターネットの画面上でレイアウトパターンを顧客に提示し、顧客が自らの操作によって提示されたレイアウトパターンをチェックして画面上で訂正しウェブページ上で見積書を作成する技術も紹介されている(特許文献4)。さらに、詳細な見積もり計算のために、CADシステムを利用した技術も紹介されている(特許文献5)。また、住宅リフォームに対応し、CAD装置を利用して、増改築部分の間取り入力と仕上げ設定や積算を実行して、見積書を作成するシステムも紹介されている(特許文献7)。
【特許文献1】特開2003−6272号公報
【特許文献2】特開2002−117081号公報
【特許文献3】特開2002−342408号公報
【特許文献4】特開2002−245297号公報
【特許文献5】特開平7−239883号公報
【特許文献6】特開平15−6272号公報
【特許文献7】特許第3124894号
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上記のような従来の技術には、次のような解決すべき課題があった。
簡便で迅速な見積もり計算は、顧客への提示のためだけでなく、設計者や営業担当者も、設計された建物と建物価格の関係を把握するために有効に利用できる。詳細な設計をしてCADデータを作成した後でないと、具体的な見積もり計算ができないのでは、発注先を検討中の顧客に対応できない。これに対して、概略見積もりの結果が、例えば、実際の価格に対して高額すぎると、新規顧客の開拓の弊害となる。即ち、他社との競争に勝てない。一方、概略見積もりの結果が実際の価格に対して低額過ぎると結果として必要な利益が確保できなくなる。
本発明は以上の点に着目してなされたもので、規格化されたユニットを組み合わせてなる住宅において、予めそれぞれのユニットの設計基準を画一化して、比較的精度の高い、しかも簡略で迅速な概略見積もり計算を、コンピュータにより効率よく実行することができる、建物価格の見積もりシステムと建物価格の見積もり用プログラムを提供することを目的とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明は以上の点を解決するため次の構成を採用する。
〈構成1〉
規格化されたユニットを組み合わせてなる建物の価格を、見積もり演算処理するものであって、上記建物を構成するユニットの種類とユニットの形状とを明示した間取り図データを取得する手段と、上記間取り図データから、上記建物を構成する各ユニットの床面積を取得し、この床面積と上記各ユニットの単位床面積あたりの単価とを乗算したものに、一定の割増分を加えて、床面積を基準にした価格見積もり演算処理を実行する手段と、上記建物の間取り図を示すデータから、上記ユニットを構成する壁の壁長を取得し、この壁長と壁の単位長あたりの単価とを乗算したものに、一定の割増分を加えて、壁長を基準にした価格見積もり演算処理を実行する手段と、上記建物の間取り図中に含まれていて、それぞれ単価と工事費が上記ユニットとは別個に記憶装置に記憶された特定の部材を抽出して、当該部材の数量と単価とを乗算したものに上記工事費を加算して、部材ごとの価格見積もり演算処理を実行する手段と、上記床面積を基準にした価格見積もり結果と、上記壁長を基準にした価格見積もり結果と、上記部材ごとの価格見積もり結果とを、全てのユニットについて集計して、建物価格の見積もりを作成して、表示出力する手段を備えたことを特徴とする建物価格の見積もりシステム。
【0005】
建物価格の見積もりを、建物を構成する各ユニットの、床面積を基準にした価格見積もり結果と、壁長を基準にした価格見積もり結果と、部材ごとの価格見積もり結果とを集計して算出する。これにより、具体的な詳細な設計図面等が無くても、誤差の少ない価格見積もりを迅速に出力できる。故に、設計技術者による概略設計や、建物の建築を希望する顧客との商談時に活用できる。規格化されたユニットというのは、建物の組み立てを行うために区分けされた1単位のブロック状部分のことである。各ユニットは例えば、1部屋あるいは2部屋分の壁や床や天井をいい、一定の規格に基づいて寸法や材質がほぼ定められているものである。建物の間取り図が決まると、建物を構成するユニットの数や種類が決まる。価格見積もり計算の基礎となる間取り図は、ユニットの種類とユニットの形状とを明示したものになる。個々のユニットについて、それぞれ見積もり計算のために、単位床面積当たりの単価を予め計算してある。各ユニットの単位床面積当たりの単価はそれぞれ異なっていて構わない。さらに、個々のユニットについて、それぞれ見積もり計算のために、壁の単位長当たりの単価を予め計算してある。各ユニット壁の単位長当たりの単価はそれぞれ異なっていて構わない。建物にはこの他に、キッチンユニット、洗面ユニット、バルコニー等の部材が取り付けられる。これらの部材は、予め単価と工事費が明らかになっているから、ユニットとは別に部材ごとの価格見積もり演算処理を実行する。
【0006】
〈構成2〉
構成1に記載の建物価格の見積もりシステムにおいて、各ユニットの単位床面積あたりの単価もしくは、各ユニットを構成する壁の単位長あたりの単価には、各ユニットに標準的に組み込まれる設備の価格相当分が含まれることを特徴とする建物価格の見積もりシステム。
【0007】
各ユニットに標準的に組み込まれる設備の価格は、そのユニットの価格に含まれる。そのユニットの価格をそのユニットの床面積で除算すると、そのユニットの単位床面積あたりの単価が得られる。従って、そのユニットの単位床面積あたりの単価には、そのユニットに標準的に組み込まれる設備の価格相当分が含まれることになる。なお、単位床面積あたりの単価ではなく、壁の単位長あたりの単価に含めても構わない。
【0008】
〈構成3〉
構成1に記載の建物価格の見積もりシステムにおいて、上記各手段に加えて、建物の間取り図から、当該建物を構成する標準的なユニットの種類と、標準的な部材の種類を選定する手段と、上記床面積を基準にした価格見積もり演算処理を実行する手段と、上記壁長を基準にした価格見積もり演算処理を実行する手段に対して、上記標準的なユニットを用いた場合の価格見積もり演算処理を要求し、上記部材ごとの価格見積もり演算処理を実行する手段に対して、上記標準的な部材を用いた場合の価格見積もり演算処理を要求する手段と、上記見積もり結果を集計する手段に対して、標準工事価格見積もり結果の出力を要求する手段と、上記標準的なユニットの全部または一部の構造をオプション構造に変更するときには、上記標準的なユニットの全部または一部の構造の価格見積もり結果を負数とし、上記オプション構造の価格見積もり結果を正数とするオプションユニット見積もり修正値を求め、上記標準的な部材をオプション部材に変更するときには、上記標準的な部材の価格見積もり結果を負数とし、上記オプション部材の価格見積もり結果を正数とするオプション部材修正値を求め、上記オプションユニット見積もり修正値と上記オプション部材修正値に基づいて、標準外工事価格見積もり結果の出力を要求する手段を備えたことを特徴とする建物価格の見積もりシステム。
【0009】
建物の間取り図から当初算出する費用見積もりで、標準工事価格見積もり結果を出力する。その一方で、ユニットの全部または一部をオプション構成に変更したり、各部材をオプション部材に変更するときは、標準工事価格見積もりとは別に、標準外工事価格見積もり結果を出力する。標準工事価格見積もりは画一的に演算できるから、計算処理も容易で迅速にできる。また、設計変更のつど見積もり計算全体をやり直すのは無駄が多いので、標準工事価格見積もり金額と標準外工事価格見積もり金額を加算すると、自動的に最終的な見積もりが算出できるようにした。
【0010】
〈構成4〉
構成3に記載の建物価格の見積もりシステムにおいて、上記各手段に加えて、上記標準工事価格見積もり結果の出力に基づいて標準工事価格見積もり書を作成し、上記標準外工事価格見積もり結果の出力に基づいて標準外工事価格見積もり書を作成し、さらに、上記標準工事価格見積もり結果と上記標準外工事価格見積もり結果とを加算した総合工事価格見積もり書を作成する手段を備えたことを特徴とする建物価格の見積もりシステム。
【0011】
標準工事価格の見積もりとオプション工事価格の見積もりを別々に行うだけでなく、見積書も別々に発行する。標準工事価格の見積書を発行したあとで、臨機応変にオプション工事の追加変更を認めて、時期的に遅れてオプション工事見積もり書を提供できる。また、標準工事価格見積もり書と標準外工事価格見積もり書とを区別して発行することで、顧客にとって工事費の内訳や価格のしくみが非常にわかりやすいという効果がある。オプション工事について追加変更をしても、標準工事価格の見積もり結果に影響がないので建設請負契約等を早期に締結して維持できる効果もある。
【0012】
〈構成5〉
構成1に記載の建物価格の見積もりシステムにおいて、価格の見積もり処理の対象となる任意の部材群と、その部材群を構成する各部材とがあるとき、標準工事価格の見積もり演算には上記部材群を一括した価格を使用し、上記部材群に含まれるいずれかの部材をオプション部材に変更するときは、上記いずれかの部材の価格見積もり結果を負数とし、上記オプション部材の価格見積もり結果を正数とするオプション部材修正値を求め、上記標準工事価格の見積もり結果に加算する手段を備えたことを特徴とする建物価格の見積もりシステム。
【0013】
標準工事価格の見積もりを迅速に行うために、価格計算を部材群単位で行う。故に予め部材群ごとに価格データを用意しておく。一方、オプション部材への変更があるときは、部材群に含まれる該当する部材の価格見積もり結果を負数とし、オプション部材の価格見積もり結果を正数とするオプション部材修正値を求める。これにより、オプション工事価格の見積もりを正確に迅速にできる。なお、部材群は、ユニットに含まれるものでもよいし、特定の部材でもよい。
【0014】
〈構成6〉
規格化されたユニットを組み合わせてなる建物の価格を、見積もり演算処理する際に、上記建物を構成するユニットの種類とユニットの形状とを明示した間取り図データを取得する処理と、上記間取り図データから、上記建物を構成する各ユニットの床面積を取得し、この床面積と上記各ユニットの単位床面積あたりの単価とを乗算したものに、一定の割増分を加えて、床面積を基準にした価格見積もり演算する処理と、上記建物の間取り図を示すデータから、上記ユニットを構成する壁の壁長を取得し、この壁長と壁の単位長あたりの単価とを乗算したものに、一定の割増分を加えて、壁長を基準にした価格見積もり演算する処理と、上記建物の間取り図中に含まれていて、それぞれ単価と工事費が上記ユニットとは別個に記憶装置に記憶された特定の部材を抽出して、当該部材の数量と単価とを乗算したものに上記工事費を加算して、部材ごとの価格見積もり演算する処理と、上記床面積を基準にした価格見積もり結果と、上記壁長を基準にした価格見積もり結果と、上記部材ごとの価格見積もり結果とを、全てのユニットについて集計して、建物価格の見積もりを作成して、表示出力する処理とを、コンピュータに実行させる建物価格の見積もり用プログラム。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を具体例を用いて説明する。
図1は、建物価格の見積もりシステムの概略機能を説明する説明図である。
このシステムでは、規格化されたユニットを組み合わせた建物、いわゆるユニット住宅の建物価格を見積もり演算処理する。始めに顧客の要望に従って、建物の間取りを決定し、間取り図1を作成する。これは、後で説明するような要領で、コンピュータのディスプレイ上で作成したり、あるいは、手書き図面を用いて作成するとよい。この例では、この建物は、5つのユニット11から15によって構成されている。例えば、11は洋室、12は洗面所(浴室等を含むもの)、13は洋室、14は居間、15は玄関といったユニットである。各ユニットは、工場であらかじめ定められた規格に従って、生産される。
【0016】
ユニットの種類に応じて、使用される床材や天井材、壁材などの材質が決められている。ユニットの形状は適当な範囲で変更できる。従って、例えば、1階居間のユニット14を、顧客の要望に従って図のような床面積にした場合には、標準仕様の1階居間ユニットの単価、即ち、単位床面積当たりの単価と、床面積とを乗算することによって、要求された1階居間ユニットの価格を算出することができる。なお、この場合に、要求された形状のユニットを組み立てて現場に設置するまでの諸経費を考慮して、割増し分を加え、合計価格を算出する。この割増し分は、誤って見積もり金額が原価を割ってしまうのを防止するためにも、ユニットごとに最適化された金額を予め決定しておくことが好ましい。以上の計算により、床面積を基準にした価格見積もり演算が行われて、データ17を得る。
【0017】
なお、ユニットの床面積とユニットの壁長とは、必ずしも比例対応しない。従って、ユニット壁長については、別計算を行って見積もり演算中に含める。すなわち、ユニットを構成する壁の壁長を床面積とは別に計算し、この壁長と壁の単位長当たりの単価を乗算したものに一定の割増し分を加えて、壁長を基準にした価格見積もり演算処理を実行する。その結果、データ18を得る。壁長についても、割増し分については、ユニットごとに異なっていてよい。床面積を基準にした場合と壁長を基準にした場合とで、割増し分の数値が異なっていても構わない。以上のような計算をユニットごとに行えば、ユニットごとに比較的正確に販売価格を見積もることができる。このとき、ユニットを構成する各部品の詳細な価格データは不要であり、具体的な設計作業をしなくても見積もり計算ができる。
【0018】
ユニット住宅では、ユニットを生産する際に、顧客の要望に従って、ユニットの各部に様々な部材を取り付ける。取り付け部材は、例えば、サッシなどの外部建具、襖、ドア等の内部建具等がある。また、システムキッチンやバス、洗面システムといった大型設備もある。これらの部材については、ユニットとは別個に単価と品番とを対応させたデータを用意する。建物の間取り図中に書き込んだり、別にリストを作成して、全体として、この建物にどれだけの部材が必要かをリストアップする。各部材の数量と単価とを乗算し、さらにその取り付け工事に要する工事費を加算して、部材ごとの価格見積もり演算処理を実行する。その結果、データ19を得る。
【0019】
なお、例えば、電気配線や配水管、コンセントといった設備は、各ユニットにそれぞれ標準装備されており、それらの部品価格はユニット価格に盛り込まれている。すなわち、例えば、六畳和室というユニットでは、既にその部屋に必要な配線やスイッチやコンセントが、標準仕様に組み込まれており、その価格を含めて単位面積当たりの価格が求められている。従って、標準仕様を選択する限りは、これらの部材の価格見積もり計算は不要である。すなわち、規格化されたユニットを組み合わせてなる建物の見積もり計算を行う場合には、図1に示したように、床面積を基準にした価格見積もり演算処理の結果得られたデータ17と、壁長を基準にした価格見積もり演算処理の結果得られたデータ18と、部材ごとの価格見積もり演算処理の結果得られたデータ19に基づいて、比較的精度の高い概略見積もり計算が可能になる。
【0020】
以下に説明する例では、まず、各ユニットや各部材に全て標準品を使用するものとして集計を行い、標準工事価格見積もり書を作成する。この処理を標準工事価格演算手段21が実行する。そして、これとは別に、顧客の要望に応じて、標準工事とは別に、オプション部材を使用した場合の見積もり演算を実行する。この処理を標準外工事価格演算手段22が行う。標準工事価格演算手段21と標準外工事価格演算手段22の演算処理結果を総合して、表示出力手段23により、見積もり書等の出力をする。表示出力手段23は、ディスプレイやプリンタなどの装置である。なお、以下の説明で登場する各したは、いずれも、コンピュータ40上で動作し、コンピュータに所定の処理を実行させるコンピュータプログラムである。
【0021】
図2は、上記のような建物価格の見積もりシステムを具体的に実現する装置構成の説明図である。
上記の演算処理を行うためには、各ユニットの単位床面積当たりの単価や一定の割増し分など、ユニットごとの様々な商品情報や単価情報が必要になる。さらに、ユニットとは別個に価格を設定する、建具やシステムキッチン等の特定の部材については、その単価情報と工事費に関する情報も必要になる。これらは、設計部門の端末装置31に設けられた設計支援データベース33を利用して取得する。また、見積もり書を作成する場合には、見積もりを要求する顧客に関する情報を使用する。これには、管理部門の端末装置32に設けられた顧客管理データベース34を利用する。これらの情報は、図示しないネットワークを通じて、見積もり演算処理用のコンピュータ40に取り込み、例えば、図に示す見積もり演算用根拠データ35となる。なお、こうした情報は、直接ネットワークを通じて設計部門の端末装置31や管理部門の端末装置32からリアルタイムで取得するようにしても差し支えない。
【0022】
見積もり演算処理用のコンピュータ40には、ディスプレイ41、本体制御部42、キーボード43、及びマウス44などが備えられている。コンピュータ40は、一般的なパーソナルコンピュータやワークステーションにより実現する。本体制御部42には、プリンタ46が接続されている。このプリンタ46によって標準工事価格見積もり書51や標準外工事価格見積もり書52などを印刷出力する。なお、後で図10を用いて説明する例では、1枚の用紙に標準工事価格と標準外工事価格を示した見積もり書を発行している。このコンピュータ40を用いて、顧客の要求する建物の間取り図を、簡便な図形処理用アプリケーションプログラムを用いて入力し、さらに、各ユニット内に配置する特定の部材を選択することができる。また、任意のユニットに組み込まれた任意の部材を標準仕様から特定の仕様に変更したり、あるいは追加するための、オプション部材選択処理が設けられている。新たな部材の追加の場合には、オプション部材選択処理で、単に新たな部材の単価と工事費などを追加する計算をすればよいが、標準工事価格に組み込まれている部材部材の代わりに新たなオプション部材を取り付けるときは、該当する部材の価格を差し引き、新たなオプション部材の価格を追加する、といった処理を行う。その場合の見積もり計算処理の内容は、後で具体的に説明する。
【0023】
図3は、建物の価格の見積もり演算処理を行うために必要な具体的なデータ例を示す説明図である。
既に説明をしたように、建物の間取り図は手書きで作成しても構わない。この例では、コンピュータ40により間取り図データ25を作成し、そのデータから、ユニットの種類26、床面積27、壁長28、及び、部材と個数29などのデータを自動的に、見積もり演算用のデータにするようにした。このデータを標準工事価格演算手段21に送り込み、演算処理を実行する。設計支援データベース33からは、図の右側に示すように、各ユニットの単位面積当たりの単価61、ユニット単価の割増し分62、壁の単位長当たりの単価63、壁単価の割増し分64、部材の単価65とその工事費66などのデータを取得し、これらを標準工事価格演算手段21に送り込む。さらに、顧客管理データベース34からは、顧客情報67を取得し、これを標準工事価格演算手段21に送り込む。
【0024】
なお、各ユニットの単位面積当たりの単価61、ユニット単価の割増し分62、壁の単位長当たりの単価63、壁単価の割増し分64、部材の単価65とその工事費66などのデータは、見積もり演算用根拠データ35である。このデータは、見積もり演算を実行する直前に、設計支援データベース33や顧客管理データベース34から取得し、最新のものを利用して、見積もり演算を行えるようにするとよい。また、標準工事価格は、設計側や営業側で決める必要はない。例えば、各ユニットに、品質やデザインなどに応じて適当なランク付けをしておく。顧客が希望するランクが決まったら、それを標準値として指定する。標準値指定手段60は、この指定処理を実行する。標準工事価格演算手段21は、その標準値を使用して標準工事価格見積もり書51を作成する。その後、その顧客が一部の部材をオプション部材に変更する要求をした時は、変更情報入力手段48を用いて変更データ53を生成する。変更情報入力手段48は、図2に示したコンピュータ40上で動作する。変更データ53は、例えば、標準外工事部材のリストである。このデータを利用して標準外工事価格演算手段22が標準外工事価格見積もり書52を作成する。以下、具体的に見積もりシステムのコンピュータ上の操作画面などを例示しながら、その動作を説明する。
【0025】
図4の(a)は見積もりシステムのメニュー画面で、(b)は建物の間取り図入力画面の説明図である。
建物価格の見積もりを実行する場合には、図のようなメニュー画面70を表示する。ボタン71は、見積もり演算用のデータ、即ち、ユニットの床面積や壁長等のデータをコンピュータ内部から、あるいはコンピュータ外部からネットワークを通じて取り込む場合に操作するボタンである。具体的な操作方法は、後で説明する。ボタン72と85と86は、ユニットの床面積や壁長等を表示したり、直接手で入力する場合に操作するボタンである。ユニットの種類、床面積、壁長などのデータは、全て手入力を行ってもよいし、あるいは、間取り図データなどから自動的に入力するようにしても構わない。
【0026】
ボタン73は、演算処理の結果得られた見積もり書などを印刷出力する場合にクリックされる。ボタン74は、作成された見積もりデータや見積もり書のイメージを保存するためにクリックされる。ボタン75をクリックすると、このメニュー画面の表示を終了する。ボタン87、88、89は、各種部材の数量や種類を入力したり、選択したりするためのものである。ボタン90は、見積もり書に含められる各種申請料や登録料を入力する操作に利用される。ボタン78は、付帯工事に関する情報を入力するために使用される。ボタン79は、設計者や営業担当者が、見積もり演算処理の結果と原価構成その他の情報を確認できるような、総括集計表を出力するためのものである。
【0027】
マスタ情報81のテキストボックス95、96、97には、見積もり演算用根拠データを取得するデータファイルの名称が表示される。テキストボックス95、96、97には、設計支援データベースや顧客管理データベースのデータベース名が表示される。これらは、ボタン82によって適宜切り替えて利用できる。これにより、最新の最適な情報を利用して、見積もり演算処理ができる。
【0028】
コンピュータ40を用いて建物の間取り図1を作成するには、図4(b)に示したような手順になる。図に示す間取り図1は、コンピュータ40のディスプレイ41(図2)上に表示されている。画面100は、間取り図に組み込まれる様々なユニットの図形をリスト表示したものである。これらの図形のうちのいずれかを、間取り図上にマウス44(図2)を用いてドラッグアンドドロップすれば、間取り図を簡単に描画できる。こうした技術は、既存の図形処理アプリケーションソフトウェアにより容易に実現する。画面100の中の任意のユニットを選択して、希望するように配列することによって、間取り図1が完成する。これで、自動的に標準的なユニットを組み合わせた間取り図が完成する。
【0029】
例えば、画面100の中から、リビングダイニングとして利用する居間のユニットを選択して、図のような位置に配置すると、自動的に標準仕様のシステムキッチン101が据え付けられるようにするとよい。また、窓やドアなども自動的に配置されるとよい。もちろん、顧客の要求に応じて適宜移動したり、変更することができるとよい。洗面所のユニットでは、自動的に洗面台や浴室などの部材が配置されるようにするとよい。このような方法で、顧客の希望に応じた間取り図を作成すると、その後は、データ読み込み用のボタン71をクリックして、ユニットの種類、床面積、壁長、部材の種類、個数などを、自動的に見積もり計算用のデータとして取得することが可能になる。もちろん、そのデータは取得後見積もり計算の前に自由に変更したり追加できる。
【0030】
図5は、データ読み込みのためのボタン71とボタン72の操作方法を説明する説明図である。
ボタン71をクリックすると、データ読み込みのための画面111が表示される。ここには、ファイル名を指定して下さい、という表示と、ファイルを具体的に選択するドロップダウンリスト112が設けられている。ここで、例えば、あらかじめ作成した間取り図データを指定すると、間取り図データに含まれる情報に基づいて、ユニットの床面積等のデータ入力が自動的に行われる。ボタン72を操作すると、以下のような様々な画面が順に表示される。画面120は、顧客情報入力画面で、テキストボックス121には顧客コード、テキストボックス122には顧客名、テキストボックス123には工事名称が入力される。これは、手入力でもよいし、ファイルを指定してデータ読み込みをし、自動入力するようにしても構わない。ドロップダウンリスト124は、顧客の希望する標準仕様を選択するためのものである。ここで、例えば、「洋風XXタイプ」といった仕様名が選択指定されることになる。
【0031】
画面130は、見積もり書作成の際に入力するデータ表示する。テキストボックス131から133には、それぞれ見積もり日、見積もり有効期限、着工有効期限などが入力される。画面140は、例えば、屋根ユニットの数量を入力したり表示したりするためのものである。二階建の建物では、最上階の屋根と下屋とに分けて、それぞれその数量が表示される。屋根ユニットの場合にも、外形や軒長等を利用して、床面積に相当する面積が求められる。この面積と単位面積当たりの単価を乗算し、割増し分を加えると、合計価格を算出できる。画面150は、仮設工事についてのデータを入力するためのものである。ドロップダウンリスト151を用いて仮設工事の種類などを選択する。見積もり書には、付帯工事の見積もり金額等に含めて表示される。
【0032】
図6は、ユニットの種類や壁長やユニットの面積などを指定するための処理説明図である。
メニュー画面(図4)のボタン85をクリックすると、ユニット数量の表示が行われる。画面160は、建築面積や床面積の合計を含む建物全体の構成を一覧表にしたものである。また、画面161は、間取り図から算出された壁の種類ごとの壁長を示したものである。これらの壁の壁長にそれぞれ単価を掛けて割増し分を加えると、壁の見積もり価格が算出できる。また、画面162は、各ユニットの短辺と長辺の長さをそれぞれ示したもので、これらの積によって各ユニットの床面積が求められる。図に示したNO1、NO2、…は、各ユニットに付けられた番号である。これらのデータは、建物の間取り図をコンピュータの画面上で作成すれば、ほぼ自動的に算出されて表示される。また、この画面を利用して、床面積や壁長等を修正入力できる。
【0033】
図7は、各ユニットの設備の内容を示す表の説明図である。
メニュー(図4)のボタン86をクリックすると、図に示すような画面170が表示される。これは、各ユニットに自動的に含められる設備の一覧を示したもので、例えば、顧客が玄関ユニット中のコンセントを増設したいとかスイッチを増設したい、という場合には、このデータを確認する。そして、オプションとして新たに任意の数のスイッチやコンセントを加えればよい。なお、この一覧表には、選択可能な様々なユニットの設備一覧が表示されている。図4の(b)に示した例では、居間ユニットは、居間とキッチンを含み、洗面ユニットは、洗面室とトイレと浴室を含む。このように、ユニットは多機能のものでもよいし、細分化したものでもよい。いずれのユニットについても、あらかじめ標準的に取り付けられる設備が定められており、これらの設備一覧を見ながら顧客が任意にその設備を取捨選択し、調整することもできる。ユニットの仕様その物に変更を加えるときはこの設備一覧を修正する。システムキッチンとか洗面台とかいう特定の部材を選択したり変更したりするときは、ボタン87、88、あるいは89をクリックして行う。
【0034】
ユニットの仕様が決まっていて、単位面積あたりの単価が決まっていれば、その面積から簡単に価格計算ができる。また、それで必要な設備は全て付属している。これにより、詳細な寸法図や付属している各部品の価格票一切をデータとして用意しなくても、ユニットの見積もり計算が可能になる。標準工事の場合にはこのように、ユニットに付属する部品の個々の価格データを使用することなくユニット価格の見積もり計算ができる。しかしながら、ユニットの仕様その物に変更を加える場合については、差額計算のために、少なくとも交換する部品の価格だけは、取得する必要がある。
【0035】
図8は、外部建具数量を選択するためのボタン87をクリックした動作説明図である。
部材選択には、様々な方法があり、図4に示したボタン87、88、89をクリックしたとき、いずれの場合も、この図に示すような画面が表示される。この画面は、外部建具を選択するためのものである。その他のものについても全く同様の要領で作業が行われる。図のボタン87をクリックすると、画面180が表示される。画面180には、ボタン181、表182、ドロップダウンリスト183、184、ボタン185、186、表187などが含まれる。この画面180の表187には、外部建具として選択可能な部材のリストが表示される。例えば、建具の種類をドロップダウンリスト183で「引き違いサッシ」というように選択する。また、サイズをドロップダウンリスト184で選択する。その後、ボタン185をクリックすると、該当する部材に関する情報が設計支援データベースから抽出され、リスト表示される。
【0036】
表187中のいずれかの部材を選択し、ボタン186をクリックすると、選択された部材が表182側に転記される。表182は、間取り図中の各ユニットに取り付けられる全ての外部建具を一覧表示したものである。この表182を外部建具拾い表と呼んでいる。あらかじめ間取り図を作成し、標準仕様を指定しておくと、標準仕様で各ユニットに取り付けられる外部建具がこの拾い表に自動的に含められ、自動的にその個数が計算される。従って、これに単価を掛け合わせ、工事費を追加すれば、全ての部材に関する価格を計算することができる。しかしながら、顧客が例えば、玄関のドアを標準仕様のものと異なるものにしたいと希望する場合には、表187から、玄関のドアを選択し、拾い表に転記をする。この時は、あらかじめ拾い表に含まれていた標準仕様の玄関ドアを、ボタン181をクリックすることによって削除しておく。この結果が標準外工事価格演算手段22に伝えられて、標準外工事に関する明細が作成される。その明細に基づいて標準外工事の見積もり書が完成する。
【0037】
図9は、標準外工事内訳明細書の具体例を示す説明図である。
この表190には、標準仕様から、いずれかの部材を変更した場合に、変更前の部材と変更後の部材とを並べて表記した。変更前の部材については、数量と金額とを負の数で入力する。変更後の部材については、数量と金額とを正の数で入力する。例えば、図のように、システムキッチン、キッチンセットについては、横窓のものを対面形式のものに変更した。このため、横窓のものを数量−1として、金額を−295020円とし、対面形式のものを数量1として、(+)355090円としている。標準価格見積もりでは、横窓のシステムキッチン、キッチンセットが集計結果に含まれているから、この明細書のデータをそのまま集計して加算することで、差額の60070円が加算できる。この他には、ユニットバスと玄関ドアとを標準のものからオプション部材に変更している。新たに追加した部材については、数量や価格が負のものは存在しない。こうして、標準外工事費用の見積もりができる。こうした明細書も印刷出力して顧客に提示することによって、最終的な見積もり金額に対するオプション部材の価格の影響などを示すことができる。
【0038】
図10は、顧客に提出される見積書の具体例を示す説明図である。
図の見積書200に示すように、標準本体工事とある部分に、先に説明した床面積を基準にした価格見積もり演算結果と壁長を基準にした価格見積もり演算結果と特定の部材ごとの価格見積もり演算処理結果を集計した金額を表示している。ユニット工事とある部分は、床面積を基準にした価格見積もり演算結果と壁長を基準にした価格見積もり演算結果を含む。屋根葺工事はユニットの見積もり方法と同様の見積もり方法で価格演算をする。内装工事や内部工事は、特定の部材ごとの価格見積もり演算処理結果を含む。仮説工事や基礎工事、その他の工事は、ほぼ定型的な見積もり計算ができる。標準外工事については、標準本体工事とは別に計算して、小計により、標準本体工事と標準外工事の見積もり額を加算している。設計料、申請料、付帯工事や消費税等は、ほぼ定型的に見積もり計算ができる。こうして、全体として、簡単な入力データにより、比較的精度の高い概略見積もり計算が可能になる。この見積もり結果を提示して顧客と仮契約を結んでも、問題は生じない。他者と競合しているような場合でも、非常に迅速に見積もりが出せるので、顧客をひきつけることができる。また、見積もり結果が異常に高額になって競争に負けるということがない。また、異常に安く見積もりをして利益を圧迫するようなこともない。
【0039】
図11は、設計者や営業担当者用の出力帳票例を示す。
図の総括集計表210には、標準本体工事の見積もり価格、標準外工事の見積もり価格の他、設計料、申請料、登録料、付帯工事、消費税、といった見積もり書記載事項の他に、その見積もり金額に基づく売値や販売原価、一時利益、代理店の利益率といった営業的な数値計算結果が表示されている。また、標準本体工事の内訳も表示されている。こうした出力により、設計者は、設計時に作成した間取り図に基づいて、自動的に比較的確度の高い見積もり演算を行って、設計する建物を目標とする金額に近づける作業をすすめることができる。また、営業担当者についても、価格帯に応じて最適な間取りを顧客に薦めるために、頻繁に見積もり計算をすることができ、同時に、販売利益等の確認が可能になる。
【0040】
図12は、標準工事価格演算手段の具体的な動作を示すフローチャートである。
まず、ステップS1で、各種データベースから見積もり演算に必要な根拠データを取得し、記憶装置に記憶しておく。次にステップS2で、間取り図中から見積もり対象となるユニットを一つ選択する。ステップS3では、ユニットの短辺の長さHを取得する。次に、ステップS4で、ユニットの長辺の長さWを取得する。そして、HとWとを乗算して床面積Sを求める。ステップS6では、根拠データからそのユニットの単位長さ当たりの単価Aを取得する。さらに、ステップS7で、そのユニットの割増分aを取得する。ステップS8では、床面積Sと単価Aとを乗算する。割増分は、ここでは、0.2等の小数で表す。割増分が0.2であれば、床面積Sと単価Aのと乗算結果に1.2を乗算し、床面積を基準とした価格K1を得る。
【0041】
次に、ステップS9で間取り図から、壁長Lを取得する。ステップS10では、根拠データから単位長さ当たりの単価Bを取得する。ステップS11では、割増分のbを取得する。そして、再びステップS8の計算と同様の要領で、壁長Lと単価Bとを乗算し、さらに、割増分相当値を乗算することによって、壁長を基準とした見積もり価格K2を得る。割増分が0.1であれば、壁長Lと単価Bの乗算結果に1.1を乗算する。ステップS13では、全てのユニットについて床面積を基準とした見積もり演算と、壁長を基準とした見積もり演算を終了したかどうかを判断する。終了していなければ、ステップS2に戻り、再び別のユニットを選択し、演算処理を実行する。これで、標準工事価格演算手段による床面積、壁長を基準とした見積もりの全ての演算処理が終了する。
【0042】
図13は、部材を基準とした見積もり価格の演算と、標準外工事価格演算動作を説明するフローチャートである。
まず、ステップS20において、標準工事価格演算手段は、多数の部材の内から一つの部材を選択する。これは、標準の部材である。ステップS21で、その部材の単価Vを取得する。ステップS22では、部材の個数Nを取得する。ステップS3では、部材の工事費Dを取得する。ステップS4では、部材の単価Vと個数Nとを乗算し、さらに、工事費Dを加算して、部材の見積もり価格K3を求める。ステップS25では、全ての部材について処理が終了したかどうかを判断する。終了していなければ、ステップS20に戻り、同様の処理を繰り返す。全ての部材についての見積もり演算が終了すると、ステップS6に進み、部材の合計見積もり価格K4の集計を行う。K4は、全ての部材の見積もり価格を集計したものである。ステップS7では、K1とK2とK4とを加算することにより、標準工事見積もり価格Kを得る。
【0043】
一方、標準外工事価格演算手段は、ステップS30からステップS33までの処理を実行する。まず、ステップS30では、オプション部材が選択されると、ステップS31において、そのオプション部材の価格K5を取得する。次に、ステップS32において、変更前の対応する部材の価格K6を取得する。すなわち、変更の対象となるオプション部材が選択されると、標準見積もり価格算出の際に採用した対応する部材の価格K6を取得する。そして、ステップS33において、K5はプラス、K6はマイナスの値を設定し、両者を加算したK7により標準外見積もり価格を求める。このK7を上記Kに加算すれば、合計の見積もり価格が得られる。その後の見積もり書作成処理は、図10を用いて説明したような要領となる。
【0044】
なお、上記のコンピュータプログラムは、それぞれ独立したプログラムモジュールを組み合わせて構成してもよいし、全体を一体化したプログラムにより構成してもよい。コンピュータプログラムにより制御される処理の全部または一部を同等の機能を備えるハードウエアで構成しても構わない。また、上記のコンピュータプログラムは、既存のアプリケーションプログラムに組み込んで使用してもよい。上記のような本発明を実現するためのコンピュータプログラムは、例えばCD−ROMのようなコンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録して、任意の情報処理装置にインストールして利用することができる。また、ネットワークを通じて任意のコンピュータのメモリ中にダウンロードして利用することもできる。
【図面の簡単な説明】
【図1】建物価格の見積もりシステムの概略機能を説明する説明図である。
【図2】建物価格の見積もりシステムを具体的に実現する装置構成の説明図である。
【図3】建物価格の見積もり演算処理を行うために必要な具体的なデータ例を示す説明図である。
【図4】(a)は見積もりシステムのメニュー画面で、(b)は建物の間取り図入力画面の説明図である。
【図5】データ読み込みのためのボタン71とボタン72の操作方法を説明する説明図である。
【図6】ユニットの種類や壁長やユニットの面積などを指定するための処理説明図である。
【図7】各ユニットの設備の内容を示す表の説明図である。
【図8】外部建具数量を選択するためのボタン87をクリックした動作説明図である。
【図9】標準外工事内訳明細書の具体例を示す説明図である。
【図10】顧客に提出される見積書の具体例を示す説明図である。
【図11】設計者や営業担当者用の出力帳票例を示す。
【図12】標準工事価格演算手段の具体的な動作を示すフローチャートである。
【図13】部材を基準とした見積もり価格の演算と、標準外工事価格演算動作を説明するフローチャートである。
【符号の説明】
1 建物の間取り図
17 床面積を基準にした価格見積もりデータ
18 壁長を基準にした価格見積もりデータ
19 部材ごとの価格見積もりデータ
21 標準工事価格演算手段
22 標準外工事価格演算手段
23 表示出力手段
【発明の属する技術分野】
本発明は、規格化されたユニットを組み合わせてなる、いわゆるユニット型の建物の価格を、コンピュータにより効率よく見積もり演算処理することができる建物価格の見積もりシステムと建物価格の見積もり用プログラムに関する。
【0002】
【従来の技術】
建築設計者は、設計した建物が予定価格に収まるものかどうかを確認するために、随時概略的な建物価格の見積もり計算を行う。また、顧客が住宅の建設を希望している場合には、顧客の要望にそった間取りを提示して、その建物価格の概略見積もりをする必要が生じる。こうした要請に応えるために、例えば、ネットワークを利用して、建物の建設に従事する関連業者の端末装置を相互に接続し、各業者から提出された見積もりを積算するといった技術が紹介されている。(特許文献1)また、見積もりに必要な建物の建築に使用する部材の数量を正確に積算計算する技術も開発されている。(特許文献2)。また、簡単なユニットを単純に組み合わせたユニットハウスの設計・見積り作業をコンピュータの画面上で実行する技術も開発されている(特許文献3)。また、住宅の製造販売者がインターネットの画面上でレイアウトパターンを顧客に提示し、顧客が自らの操作によって提示されたレイアウトパターンをチェックして画面上で訂正しウェブページ上で見積書を作成する技術も紹介されている(特許文献4)。さらに、詳細な見積もり計算のために、CADシステムを利用した技術も紹介されている(特許文献5)。また、住宅リフォームに対応し、CAD装置を利用して、増改築部分の間取り入力と仕上げ設定や積算を実行して、見積書を作成するシステムも紹介されている(特許文献7)。
【特許文献1】特開2003−6272号公報
【特許文献2】特開2002−117081号公報
【特許文献3】特開2002−342408号公報
【特許文献4】特開2002−245297号公報
【特許文献5】特開平7−239883号公報
【特許文献6】特開平15−6272号公報
【特許文献7】特許第3124894号
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上記のような従来の技術には、次のような解決すべき課題があった。
簡便で迅速な見積もり計算は、顧客への提示のためだけでなく、設計者や営業担当者も、設計された建物と建物価格の関係を把握するために有効に利用できる。詳細な設計をしてCADデータを作成した後でないと、具体的な見積もり計算ができないのでは、発注先を検討中の顧客に対応できない。これに対して、概略見積もりの結果が、例えば、実際の価格に対して高額すぎると、新規顧客の開拓の弊害となる。即ち、他社との競争に勝てない。一方、概略見積もりの結果が実際の価格に対して低額過ぎると結果として必要な利益が確保できなくなる。
本発明は以上の点に着目してなされたもので、規格化されたユニットを組み合わせてなる住宅において、予めそれぞれのユニットの設計基準を画一化して、比較的精度の高い、しかも簡略で迅速な概略見積もり計算を、コンピュータにより効率よく実行することができる、建物価格の見積もりシステムと建物価格の見積もり用プログラムを提供することを目的とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明は以上の点を解決するため次の構成を採用する。
〈構成1〉
規格化されたユニットを組み合わせてなる建物の価格を、見積もり演算処理するものであって、上記建物を構成するユニットの種類とユニットの形状とを明示した間取り図データを取得する手段と、上記間取り図データから、上記建物を構成する各ユニットの床面積を取得し、この床面積と上記各ユニットの単位床面積あたりの単価とを乗算したものに、一定の割増分を加えて、床面積を基準にした価格見積もり演算処理を実行する手段と、上記建物の間取り図を示すデータから、上記ユニットを構成する壁の壁長を取得し、この壁長と壁の単位長あたりの単価とを乗算したものに、一定の割増分を加えて、壁長を基準にした価格見積もり演算処理を実行する手段と、上記建物の間取り図中に含まれていて、それぞれ単価と工事費が上記ユニットとは別個に記憶装置に記憶された特定の部材を抽出して、当該部材の数量と単価とを乗算したものに上記工事費を加算して、部材ごとの価格見積もり演算処理を実行する手段と、上記床面積を基準にした価格見積もり結果と、上記壁長を基準にした価格見積もり結果と、上記部材ごとの価格見積もり結果とを、全てのユニットについて集計して、建物価格の見積もりを作成して、表示出力する手段を備えたことを特徴とする建物価格の見積もりシステム。
【0005】
建物価格の見積もりを、建物を構成する各ユニットの、床面積を基準にした価格見積もり結果と、壁長を基準にした価格見積もり結果と、部材ごとの価格見積もり結果とを集計して算出する。これにより、具体的な詳細な設計図面等が無くても、誤差の少ない価格見積もりを迅速に出力できる。故に、設計技術者による概略設計や、建物の建築を希望する顧客との商談時に活用できる。規格化されたユニットというのは、建物の組み立てを行うために区分けされた1単位のブロック状部分のことである。各ユニットは例えば、1部屋あるいは2部屋分の壁や床や天井をいい、一定の規格に基づいて寸法や材質がほぼ定められているものである。建物の間取り図が決まると、建物を構成するユニットの数や種類が決まる。価格見積もり計算の基礎となる間取り図は、ユニットの種類とユニットの形状とを明示したものになる。個々のユニットについて、それぞれ見積もり計算のために、単位床面積当たりの単価を予め計算してある。各ユニットの単位床面積当たりの単価はそれぞれ異なっていて構わない。さらに、個々のユニットについて、それぞれ見積もり計算のために、壁の単位長当たりの単価を予め計算してある。各ユニット壁の単位長当たりの単価はそれぞれ異なっていて構わない。建物にはこの他に、キッチンユニット、洗面ユニット、バルコニー等の部材が取り付けられる。これらの部材は、予め単価と工事費が明らかになっているから、ユニットとは別に部材ごとの価格見積もり演算処理を実行する。
【0006】
〈構成2〉
構成1に記載の建物価格の見積もりシステムにおいて、各ユニットの単位床面積あたりの単価もしくは、各ユニットを構成する壁の単位長あたりの単価には、各ユニットに標準的に組み込まれる設備の価格相当分が含まれることを特徴とする建物価格の見積もりシステム。
【0007】
各ユニットに標準的に組み込まれる設備の価格は、そのユニットの価格に含まれる。そのユニットの価格をそのユニットの床面積で除算すると、そのユニットの単位床面積あたりの単価が得られる。従って、そのユニットの単位床面積あたりの単価には、そのユニットに標準的に組み込まれる設備の価格相当分が含まれることになる。なお、単位床面積あたりの単価ではなく、壁の単位長あたりの単価に含めても構わない。
【0008】
〈構成3〉
構成1に記載の建物価格の見積もりシステムにおいて、上記各手段に加えて、建物の間取り図から、当該建物を構成する標準的なユニットの種類と、標準的な部材の種類を選定する手段と、上記床面積を基準にした価格見積もり演算処理を実行する手段と、上記壁長を基準にした価格見積もり演算処理を実行する手段に対して、上記標準的なユニットを用いた場合の価格見積もり演算処理を要求し、上記部材ごとの価格見積もり演算処理を実行する手段に対して、上記標準的な部材を用いた場合の価格見積もり演算処理を要求する手段と、上記見積もり結果を集計する手段に対して、標準工事価格見積もり結果の出力を要求する手段と、上記標準的なユニットの全部または一部の構造をオプション構造に変更するときには、上記標準的なユニットの全部または一部の構造の価格見積もり結果を負数とし、上記オプション構造の価格見積もり結果を正数とするオプションユニット見積もり修正値を求め、上記標準的な部材をオプション部材に変更するときには、上記標準的な部材の価格見積もり結果を負数とし、上記オプション部材の価格見積もり結果を正数とするオプション部材修正値を求め、上記オプションユニット見積もり修正値と上記オプション部材修正値に基づいて、標準外工事価格見積もり結果の出力を要求する手段を備えたことを特徴とする建物価格の見積もりシステム。
【0009】
建物の間取り図から当初算出する費用見積もりで、標準工事価格見積もり結果を出力する。その一方で、ユニットの全部または一部をオプション構成に変更したり、各部材をオプション部材に変更するときは、標準工事価格見積もりとは別に、標準外工事価格見積もり結果を出力する。標準工事価格見積もりは画一的に演算できるから、計算処理も容易で迅速にできる。また、設計変更のつど見積もり計算全体をやり直すのは無駄が多いので、標準工事価格見積もり金額と標準外工事価格見積もり金額を加算すると、自動的に最終的な見積もりが算出できるようにした。
【0010】
〈構成4〉
構成3に記載の建物価格の見積もりシステムにおいて、上記各手段に加えて、上記標準工事価格見積もり結果の出力に基づいて標準工事価格見積もり書を作成し、上記標準外工事価格見積もり結果の出力に基づいて標準外工事価格見積もり書を作成し、さらに、上記標準工事価格見積もり結果と上記標準外工事価格見積もり結果とを加算した総合工事価格見積もり書を作成する手段を備えたことを特徴とする建物価格の見積もりシステム。
【0011】
標準工事価格の見積もりとオプション工事価格の見積もりを別々に行うだけでなく、見積書も別々に発行する。標準工事価格の見積書を発行したあとで、臨機応変にオプション工事の追加変更を認めて、時期的に遅れてオプション工事見積もり書を提供できる。また、標準工事価格見積もり書と標準外工事価格見積もり書とを区別して発行することで、顧客にとって工事費の内訳や価格のしくみが非常にわかりやすいという効果がある。オプション工事について追加変更をしても、標準工事価格の見積もり結果に影響がないので建設請負契約等を早期に締結して維持できる効果もある。
【0012】
〈構成5〉
構成1に記載の建物価格の見積もりシステムにおいて、価格の見積もり処理の対象となる任意の部材群と、その部材群を構成する各部材とがあるとき、標準工事価格の見積もり演算には上記部材群を一括した価格を使用し、上記部材群に含まれるいずれかの部材をオプション部材に変更するときは、上記いずれかの部材の価格見積もり結果を負数とし、上記オプション部材の価格見積もり結果を正数とするオプション部材修正値を求め、上記標準工事価格の見積もり結果に加算する手段を備えたことを特徴とする建物価格の見積もりシステム。
【0013】
標準工事価格の見積もりを迅速に行うために、価格計算を部材群単位で行う。故に予め部材群ごとに価格データを用意しておく。一方、オプション部材への変更があるときは、部材群に含まれる該当する部材の価格見積もり結果を負数とし、オプション部材の価格見積もり結果を正数とするオプション部材修正値を求める。これにより、オプション工事価格の見積もりを正確に迅速にできる。なお、部材群は、ユニットに含まれるものでもよいし、特定の部材でもよい。
【0014】
〈構成6〉
規格化されたユニットを組み合わせてなる建物の価格を、見積もり演算処理する際に、上記建物を構成するユニットの種類とユニットの形状とを明示した間取り図データを取得する処理と、上記間取り図データから、上記建物を構成する各ユニットの床面積を取得し、この床面積と上記各ユニットの単位床面積あたりの単価とを乗算したものに、一定の割増分を加えて、床面積を基準にした価格見積もり演算する処理と、上記建物の間取り図を示すデータから、上記ユニットを構成する壁の壁長を取得し、この壁長と壁の単位長あたりの単価とを乗算したものに、一定の割増分を加えて、壁長を基準にした価格見積もり演算する処理と、上記建物の間取り図中に含まれていて、それぞれ単価と工事費が上記ユニットとは別個に記憶装置に記憶された特定の部材を抽出して、当該部材の数量と単価とを乗算したものに上記工事費を加算して、部材ごとの価格見積もり演算する処理と、上記床面積を基準にした価格見積もり結果と、上記壁長を基準にした価格見積もり結果と、上記部材ごとの価格見積もり結果とを、全てのユニットについて集計して、建物価格の見積もりを作成して、表示出力する処理とを、コンピュータに実行させる建物価格の見積もり用プログラム。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を具体例を用いて説明する。
図1は、建物価格の見積もりシステムの概略機能を説明する説明図である。
このシステムでは、規格化されたユニットを組み合わせた建物、いわゆるユニット住宅の建物価格を見積もり演算処理する。始めに顧客の要望に従って、建物の間取りを決定し、間取り図1を作成する。これは、後で説明するような要領で、コンピュータのディスプレイ上で作成したり、あるいは、手書き図面を用いて作成するとよい。この例では、この建物は、5つのユニット11から15によって構成されている。例えば、11は洋室、12は洗面所(浴室等を含むもの)、13は洋室、14は居間、15は玄関といったユニットである。各ユニットは、工場であらかじめ定められた規格に従って、生産される。
【0016】
ユニットの種類に応じて、使用される床材や天井材、壁材などの材質が決められている。ユニットの形状は適当な範囲で変更できる。従って、例えば、1階居間のユニット14を、顧客の要望に従って図のような床面積にした場合には、標準仕様の1階居間ユニットの単価、即ち、単位床面積当たりの単価と、床面積とを乗算することによって、要求された1階居間ユニットの価格を算出することができる。なお、この場合に、要求された形状のユニットを組み立てて現場に設置するまでの諸経費を考慮して、割増し分を加え、合計価格を算出する。この割増し分は、誤って見積もり金額が原価を割ってしまうのを防止するためにも、ユニットごとに最適化された金額を予め決定しておくことが好ましい。以上の計算により、床面積を基準にした価格見積もり演算が行われて、データ17を得る。
【0017】
なお、ユニットの床面積とユニットの壁長とは、必ずしも比例対応しない。従って、ユニット壁長については、別計算を行って見積もり演算中に含める。すなわち、ユニットを構成する壁の壁長を床面積とは別に計算し、この壁長と壁の単位長当たりの単価を乗算したものに一定の割増し分を加えて、壁長を基準にした価格見積もり演算処理を実行する。その結果、データ18を得る。壁長についても、割増し分については、ユニットごとに異なっていてよい。床面積を基準にした場合と壁長を基準にした場合とで、割増し分の数値が異なっていても構わない。以上のような計算をユニットごとに行えば、ユニットごとに比較的正確に販売価格を見積もることができる。このとき、ユニットを構成する各部品の詳細な価格データは不要であり、具体的な設計作業をしなくても見積もり計算ができる。
【0018】
ユニット住宅では、ユニットを生産する際に、顧客の要望に従って、ユニットの各部に様々な部材を取り付ける。取り付け部材は、例えば、サッシなどの外部建具、襖、ドア等の内部建具等がある。また、システムキッチンやバス、洗面システムといった大型設備もある。これらの部材については、ユニットとは別個に単価と品番とを対応させたデータを用意する。建物の間取り図中に書き込んだり、別にリストを作成して、全体として、この建物にどれだけの部材が必要かをリストアップする。各部材の数量と単価とを乗算し、さらにその取り付け工事に要する工事費を加算して、部材ごとの価格見積もり演算処理を実行する。その結果、データ19を得る。
【0019】
なお、例えば、電気配線や配水管、コンセントといった設備は、各ユニットにそれぞれ標準装備されており、それらの部品価格はユニット価格に盛り込まれている。すなわち、例えば、六畳和室というユニットでは、既にその部屋に必要な配線やスイッチやコンセントが、標準仕様に組み込まれており、その価格を含めて単位面積当たりの価格が求められている。従って、標準仕様を選択する限りは、これらの部材の価格見積もり計算は不要である。すなわち、規格化されたユニットを組み合わせてなる建物の見積もり計算を行う場合には、図1に示したように、床面積を基準にした価格見積もり演算処理の結果得られたデータ17と、壁長を基準にした価格見積もり演算処理の結果得られたデータ18と、部材ごとの価格見積もり演算処理の結果得られたデータ19に基づいて、比較的精度の高い概略見積もり計算が可能になる。
【0020】
以下に説明する例では、まず、各ユニットや各部材に全て標準品を使用するものとして集計を行い、標準工事価格見積もり書を作成する。この処理を標準工事価格演算手段21が実行する。そして、これとは別に、顧客の要望に応じて、標準工事とは別に、オプション部材を使用した場合の見積もり演算を実行する。この処理を標準外工事価格演算手段22が行う。標準工事価格演算手段21と標準外工事価格演算手段22の演算処理結果を総合して、表示出力手段23により、見積もり書等の出力をする。表示出力手段23は、ディスプレイやプリンタなどの装置である。なお、以下の説明で登場する各したは、いずれも、コンピュータ40上で動作し、コンピュータに所定の処理を実行させるコンピュータプログラムである。
【0021】
図2は、上記のような建物価格の見積もりシステムを具体的に実現する装置構成の説明図である。
上記の演算処理を行うためには、各ユニットの単位床面積当たりの単価や一定の割増し分など、ユニットごとの様々な商品情報や単価情報が必要になる。さらに、ユニットとは別個に価格を設定する、建具やシステムキッチン等の特定の部材については、その単価情報と工事費に関する情報も必要になる。これらは、設計部門の端末装置31に設けられた設計支援データベース33を利用して取得する。また、見積もり書を作成する場合には、見積もりを要求する顧客に関する情報を使用する。これには、管理部門の端末装置32に設けられた顧客管理データベース34を利用する。これらの情報は、図示しないネットワークを通じて、見積もり演算処理用のコンピュータ40に取り込み、例えば、図に示す見積もり演算用根拠データ35となる。なお、こうした情報は、直接ネットワークを通じて設計部門の端末装置31や管理部門の端末装置32からリアルタイムで取得するようにしても差し支えない。
【0022】
見積もり演算処理用のコンピュータ40には、ディスプレイ41、本体制御部42、キーボード43、及びマウス44などが備えられている。コンピュータ40は、一般的なパーソナルコンピュータやワークステーションにより実現する。本体制御部42には、プリンタ46が接続されている。このプリンタ46によって標準工事価格見積もり書51や標準外工事価格見積もり書52などを印刷出力する。なお、後で図10を用いて説明する例では、1枚の用紙に標準工事価格と標準外工事価格を示した見積もり書を発行している。このコンピュータ40を用いて、顧客の要求する建物の間取り図を、簡便な図形処理用アプリケーションプログラムを用いて入力し、さらに、各ユニット内に配置する特定の部材を選択することができる。また、任意のユニットに組み込まれた任意の部材を標準仕様から特定の仕様に変更したり、あるいは追加するための、オプション部材選択処理が設けられている。新たな部材の追加の場合には、オプション部材選択処理で、単に新たな部材の単価と工事費などを追加する計算をすればよいが、標準工事価格に組み込まれている部材部材の代わりに新たなオプション部材を取り付けるときは、該当する部材の価格を差し引き、新たなオプション部材の価格を追加する、といった処理を行う。その場合の見積もり計算処理の内容は、後で具体的に説明する。
【0023】
図3は、建物の価格の見積もり演算処理を行うために必要な具体的なデータ例を示す説明図である。
既に説明をしたように、建物の間取り図は手書きで作成しても構わない。この例では、コンピュータ40により間取り図データ25を作成し、そのデータから、ユニットの種類26、床面積27、壁長28、及び、部材と個数29などのデータを自動的に、見積もり演算用のデータにするようにした。このデータを標準工事価格演算手段21に送り込み、演算処理を実行する。設計支援データベース33からは、図の右側に示すように、各ユニットの単位面積当たりの単価61、ユニット単価の割増し分62、壁の単位長当たりの単価63、壁単価の割増し分64、部材の単価65とその工事費66などのデータを取得し、これらを標準工事価格演算手段21に送り込む。さらに、顧客管理データベース34からは、顧客情報67を取得し、これを標準工事価格演算手段21に送り込む。
【0024】
なお、各ユニットの単位面積当たりの単価61、ユニット単価の割増し分62、壁の単位長当たりの単価63、壁単価の割増し分64、部材の単価65とその工事費66などのデータは、見積もり演算用根拠データ35である。このデータは、見積もり演算を実行する直前に、設計支援データベース33や顧客管理データベース34から取得し、最新のものを利用して、見積もり演算を行えるようにするとよい。また、標準工事価格は、設計側や営業側で決める必要はない。例えば、各ユニットに、品質やデザインなどに応じて適当なランク付けをしておく。顧客が希望するランクが決まったら、それを標準値として指定する。標準値指定手段60は、この指定処理を実行する。標準工事価格演算手段21は、その標準値を使用して標準工事価格見積もり書51を作成する。その後、その顧客が一部の部材をオプション部材に変更する要求をした時は、変更情報入力手段48を用いて変更データ53を生成する。変更情報入力手段48は、図2に示したコンピュータ40上で動作する。変更データ53は、例えば、標準外工事部材のリストである。このデータを利用して標準外工事価格演算手段22が標準外工事価格見積もり書52を作成する。以下、具体的に見積もりシステムのコンピュータ上の操作画面などを例示しながら、その動作を説明する。
【0025】
図4の(a)は見積もりシステムのメニュー画面で、(b)は建物の間取り図入力画面の説明図である。
建物価格の見積もりを実行する場合には、図のようなメニュー画面70を表示する。ボタン71は、見積もり演算用のデータ、即ち、ユニットの床面積や壁長等のデータをコンピュータ内部から、あるいはコンピュータ外部からネットワークを通じて取り込む場合に操作するボタンである。具体的な操作方法は、後で説明する。ボタン72と85と86は、ユニットの床面積や壁長等を表示したり、直接手で入力する場合に操作するボタンである。ユニットの種類、床面積、壁長などのデータは、全て手入力を行ってもよいし、あるいは、間取り図データなどから自動的に入力するようにしても構わない。
【0026】
ボタン73は、演算処理の結果得られた見積もり書などを印刷出力する場合にクリックされる。ボタン74は、作成された見積もりデータや見積もり書のイメージを保存するためにクリックされる。ボタン75をクリックすると、このメニュー画面の表示を終了する。ボタン87、88、89は、各種部材の数量や種類を入力したり、選択したりするためのものである。ボタン90は、見積もり書に含められる各種申請料や登録料を入力する操作に利用される。ボタン78は、付帯工事に関する情報を入力するために使用される。ボタン79は、設計者や営業担当者が、見積もり演算処理の結果と原価構成その他の情報を確認できるような、総括集計表を出力するためのものである。
【0027】
マスタ情報81のテキストボックス95、96、97には、見積もり演算用根拠データを取得するデータファイルの名称が表示される。テキストボックス95、96、97には、設計支援データベースや顧客管理データベースのデータベース名が表示される。これらは、ボタン82によって適宜切り替えて利用できる。これにより、最新の最適な情報を利用して、見積もり演算処理ができる。
【0028】
コンピュータ40を用いて建物の間取り図1を作成するには、図4(b)に示したような手順になる。図に示す間取り図1は、コンピュータ40のディスプレイ41(図2)上に表示されている。画面100は、間取り図に組み込まれる様々なユニットの図形をリスト表示したものである。これらの図形のうちのいずれかを、間取り図上にマウス44(図2)を用いてドラッグアンドドロップすれば、間取り図を簡単に描画できる。こうした技術は、既存の図形処理アプリケーションソフトウェアにより容易に実現する。画面100の中の任意のユニットを選択して、希望するように配列することによって、間取り図1が完成する。これで、自動的に標準的なユニットを組み合わせた間取り図が完成する。
【0029】
例えば、画面100の中から、リビングダイニングとして利用する居間のユニットを選択して、図のような位置に配置すると、自動的に標準仕様のシステムキッチン101が据え付けられるようにするとよい。また、窓やドアなども自動的に配置されるとよい。もちろん、顧客の要求に応じて適宜移動したり、変更することができるとよい。洗面所のユニットでは、自動的に洗面台や浴室などの部材が配置されるようにするとよい。このような方法で、顧客の希望に応じた間取り図を作成すると、その後は、データ読み込み用のボタン71をクリックして、ユニットの種類、床面積、壁長、部材の種類、個数などを、自動的に見積もり計算用のデータとして取得することが可能になる。もちろん、そのデータは取得後見積もり計算の前に自由に変更したり追加できる。
【0030】
図5は、データ読み込みのためのボタン71とボタン72の操作方法を説明する説明図である。
ボタン71をクリックすると、データ読み込みのための画面111が表示される。ここには、ファイル名を指定して下さい、という表示と、ファイルを具体的に選択するドロップダウンリスト112が設けられている。ここで、例えば、あらかじめ作成した間取り図データを指定すると、間取り図データに含まれる情報に基づいて、ユニットの床面積等のデータ入力が自動的に行われる。ボタン72を操作すると、以下のような様々な画面が順に表示される。画面120は、顧客情報入力画面で、テキストボックス121には顧客コード、テキストボックス122には顧客名、テキストボックス123には工事名称が入力される。これは、手入力でもよいし、ファイルを指定してデータ読み込みをし、自動入力するようにしても構わない。ドロップダウンリスト124は、顧客の希望する標準仕様を選択するためのものである。ここで、例えば、「洋風XXタイプ」といった仕様名が選択指定されることになる。
【0031】
画面130は、見積もり書作成の際に入力するデータ表示する。テキストボックス131から133には、それぞれ見積もり日、見積もり有効期限、着工有効期限などが入力される。画面140は、例えば、屋根ユニットの数量を入力したり表示したりするためのものである。二階建の建物では、最上階の屋根と下屋とに分けて、それぞれその数量が表示される。屋根ユニットの場合にも、外形や軒長等を利用して、床面積に相当する面積が求められる。この面積と単位面積当たりの単価を乗算し、割増し分を加えると、合計価格を算出できる。画面150は、仮設工事についてのデータを入力するためのものである。ドロップダウンリスト151を用いて仮設工事の種類などを選択する。見積もり書には、付帯工事の見積もり金額等に含めて表示される。
【0032】
図6は、ユニットの種類や壁長やユニットの面積などを指定するための処理説明図である。
メニュー画面(図4)のボタン85をクリックすると、ユニット数量の表示が行われる。画面160は、建築面積や床面積の合計を含む建物全体の構成を一覧表にしたものである。また、画面161は、間取り図から算出された壁の種類ごとの壁長を示したものである。これらの壁の壁長にそれぞれ単価を掛けて割増し分を加えると、壁の見積もり価格が算出できる。また、画面162は、各ユニットの短辺と長辺の長さをそれぞれ示したもので、これらの積によって各ユニットの床面積が求められる。図に示したNO1、NO2、…は、各ユニットに付けられた番号である。これらのデータは、建物の間取り図をコンピュータの画面上で作成すれば、ほぼ自動的に算出されて表示される。また、この画面を利用して、床面積や壁長等を修正入力できる。
【0033】
図7は、各ユニットの設備の内容を示す表の説明図である。
メニュー(図4)のボタン86をクリックすると、図に示すような画面170が表示される。これは、各ユニットに自動的に含められる設備の一覧を示したもので、例えば、顧客が玄関ユニット中のコンセントを増設したいとかスイッチを増設したい、という場合には、このデータを確認する。そして、オプションとして新たに任意の数のスイッチやコンセントを加えればよい。なお、この一覧表には、選択可能な様々なユニットの設備一覧が表示されている。図4の(b)に示した例では、居間ユニットは、居間とキッチンを含み、洗面ユニットは、洗面室とトイレと浴室を含む。このように、ユニットは多機能のものでもよいし、細分化したものでもよい。いずれのユニットについても、あらかじめ標準的に取り付けられる設備が定められており、これらの設備一覧を見ながら顧客が任意にその設備を取捨選択し、調整することもできる。ユニットの仕様その物に変更を加えるときはこの設備一覧を修正する。システムキッチンとか洗面台とかいう特定の部材を選択したり変更したりするときは、ボタン87、88、あるいは89をクリックして行う。
【0034】
ユニットの仕様が決まっていて、単位面積あたりの単価が決まっていれば、その面積から簡単に価格計算ができる。また、それで必要な設備は全て付属している。これにより、詳細な寸法図や付属している各部品の価格票一切をデータとして用意しなくても、ユニットの見積もり計算が可能になる。標準工事の場合にはこのように、ユニットに付属する部品の個々の価格データを使用することなくユニット価格の見積もり計算ができる。しかしながら、ユニットの仕様その物に変更を加える場合については、差額計算のために、少なくとも交換する部品の価格だけは、取得する必要がある。
【0035】
図8は、外部建具数量を選択するためのボタン87をクリックした動作説明図である。
部材選択には、様々な方法があり、図4に示したボタン87、88、89をクリックしたとき、いずれの場合も、この図に示すような画面が表示される。この画面は、外部建具を選択するためのものである。その他のものについても全く同様の要領で作業が行われる。図のボタン87をクリックすると、画面180が表示される。画面180には、ボタン181、表182、ドロップダウンリスト183、184、ボタン185、186、表187などが含まれる。この画面180の表187には、外部建具として選択可能な部材のリストが表示される。例えば、建具の種類をドロップダウンリスト183で「引き違いサッシ」というように選択する。また、サイズをドロップダウンリスト184で選択する。その後、ボタン185をクリックすると、該当する部材に関する情報が設計支援データベースから抽出され、リスト表示される。
【0036】
表187中のいずれかの部材を選択し、ボタン186をクリックすると、選択された部材が表182側に転記される。表182は、間取り図中の各ユニットに取り付けられる全ての外部建具を一覧表示したものである。この表182を外部建具拾い表と呼んでいる。あらかじめ間取り図を作成し、標準仕様を指定しておくと、標準仕様で各ユニットに取り付けられる外部建具がこの拾い表に自動的に含められ、自動的にその個数が計算される。従って、これに単価を掛け合わせ、工事費を追加すれば、全ての部材に関する価格を計算することができる。しかしながら、顧客が例えば、玄関のドアを標準仕様のものと異なるものにしたいと希望する場合には、表187から、玄関のドアを選択し、拾い表に転記をする。この時は、あらかじめ拾い表に含まれていた標準仕様の玄関ドアを、ボタン181をクリックすることによって削除しておく。この結果が標準外工事価格演算手段22に伝えられて、標準外工事に関する明細が作成される。その明細に基づいて標準外工事の見積もり書が完成する。
【0037】
図9は、標準外工事内訳明細書の具体例を示す説明図である。
この表190には、標準仕様から、いずれかの部材を変更した場合に、変更前の部材と変更後の部材とを並べて表記した。変更前の部材については、数量と金額とを負の数で入力する。変更後の部材については、数量と金額とを正の数で入力する。例えば、図のように、システムキッチン、キッチンセットについては、横窓のものを対面形式のものに変更した。このため、横窓のものを数量−1として、金額を−295020円とし、対面形式のものを数量1として、(+)355090円としている。標準価格見積もりでは、横窓のシステムキッチン、キッチンセットが集計結果に含まれているから、この明細書のデータをそのまま集計して加算することで、差額の60070円が加算できる。この他には、ユニットバスと玄関ドアとを標準のものからオプション部材に変更している。新たに追加した部材については、数量や価格が負のものは存在しない。こうして、標準外工事費用の見積もりができる。こうした明細書も印刷出力して顧客に提示することによって、最終的な見積もり金額に対するオプション部材の価格の影響などを示すことができる。
【0038】
図10は、顧客に提出される見積書の具体例を示す説明図である。
図の見積書200に示すように、標準本体工事とある部分に、先に説明した床面積を基準にした価格見積もり演算結果と壁長を基準にした価格見積もり演算結果と特定の部材ごとの価格見積もり演算処理結果を集計した金額を表示している。ユニット工事とある部分は、床面積を基準にした価格見積もり演算結果と壁長を基準にした価格見積もり演算結果を含む。屋根葺工事はユニットの見積もり方法と同様の見積もり方法で価格演算をする。内装工事や内部工事は、特定の部材ごとの価格見積もり演算処理結果を含む。仮説工事や基礎工事、その他の工事は、ほぼ定型的な見積もり計算ができる。標準外工事については、標準本体工事とは別に計算して、小計により、標準本体工事と標準外工事の見積もり額を加算している。設計料、申請料、付帯工事や消費税等は、ほぼ定型的に見積もり計算ができる。こうして、全体として、簡単な入力データにより、比較的精度の高い概略見積もり計算が可能になる。この見積もり結果を提示して顧客と仮契約を結んでも、問題は生じない。他者と競合しているような場合でも、非常に迅速に見積もりが出せるので、顧客をひきつけることができる。また、見積もり結果が異常に高額になって競争に負けるということがない。また、異常に安く見積もりをして利益を圧迫するようなこともない。
【0039】
図11は、設計者や営業担当者用の出力帳票例を示す。
図の総括集計表210には、標準本体工事の見積もり価格、標準外工事の見積もり価格の他、設計料、申請料、登録料、付帯工事、消費税、といった見積もり書記載事項の他に、その見積もり金額に基づく売値や販売原価、一時利益、代理店の利益率といった営業的な数値計算結果が表示されている。また、標準本体工事の内訳も表示されている。こうした出力により、設計者は、設計時に作成した間取り図に基づいて、自動的に比較的確度の高い見積もり演算を行って、設計する建物を目標とする金額に近づける作業をすすめることができる。また、営業担当者についても、価格帯に応じて最適な間取りを顧客に薦めるために、頻繁に見積もり計算をすることができ、同時に、販売利益等の確認が可能になる。
【0040】
図12は、標準工事価格演算手段の具体的な動作を示すフローチャートである。
まず、ステップS1で、各種データベースから見積もり演算に必要な根拠データを取得し、記憶装置に記憶しておく。次にステップS2で、間取り図中から見積もり対象となるユニットを一つ選択する。ステップS3では、ユニットの短辺の長さHを取得する。次に、ステップS4で、ユニットの長辺の長さWを取得する。そして、HとWとを乗算して床面積Sを求める。ステップS6では、根拠データからそのユニットの単位長さ当たりの単価Aを取得する。さらに、ステップS7で、そのユニットの割増分aを取得する。ステップS8では、床面積Sと単価Aとを乗算する。割増分は、ここでは、0.2等の小数で表す。割増分が0.2であれば、床面積Sと単価Aのと乗算結果に1.2を乗算し、床面積を基準とした価格K1を得る。
【0041】
次に、ステップS9で間取り図から、壁長Lを取得する。ステップS10では、根拠データから単位長さ当たりの単価Bを取得する。ステップS11では、割増分のbを取得する。そして、再びステップS8の計算と同様の要領で、壁長Lと単価Bとを乗算し、さらに、割増分相当値を乗算することによって、壁長を基準とした見積もり価格K2を得る。割増分が0.1であれば、壁長Lと単価Bの乗算結果に1.1を乗算する。ステップS13では、全てのユニットについて床面積を基準とした見積もり演算と、壁長を基準とした見積もり演算を終了したかどうかを判断する。終了していなければ、ステップS2に戻り、再び別のユニットを選択し、演算処理を実行する。これで、標準工事価格演算手段による床面積、壁長を基準とした見積もりの全ての演算処理が終了する。
【0042】
図13は、部材を基準とした見積もり価格の演算と、標準外工事価格演算動作を説明するフローチャートである。
まず、ステップS20において、標準工事価格演算手段は、多数の部材の内から一つの部材を選択する。これは、標準の部材である。ステップS21で、その部材の単価Vを取得する。ステップS22では、部材の個数Nを取得する。ステップS3では、部材の工事費Dを取得する。ステップS4では、部材の単価Vと個数Nとを乗算し、さらに、工事費Dを加算して、部材の見積もり価格K3を求める。ステップS25では、全ての部材について処理が終了したかどうかを判断する。終了していなければ、ステップS20に戻り、同様の処理を繰り返す。全ての部材についての見積もり演算が終了すると、ステップS6に進み、部材の合計見積もり価格K4の集計を行う。K4は、全ての部材の見積もり価格を集計したものである。ステップS7では、K1とK2とK4とを加算することにより、標準工事見積もり価格Kを得る。
【0043】
一方、標準外工事価格演算手段は、ステップS30からステップS33までの処理を実行する。まず、ステップS30では、オプション部材が選択されると、ステップS31において、そのオプション部材の価格K5を取得する。次に、ステップS32において、変更前の対応する部材の価格K6を取得する。すなわち、変更の対象となるオプション部材が選択されると、標準見積もり価格算出の際に採用した対応する部材の価格K6を取得する。そして、ステップS33において、K5はプラス、K6はマイナスの値を設定し、両者を加算したK7により標準外見積もり価格を求める。このK7を上記Kに加算すれば、合計の見積もり価格が得られる。その後の見積もり書作成処理は、図10を用いて説明したような要領となる。
【0044】
なお、上記のコンピュータプログラムは、それぞれ独立したプログラムモジュールを組み合わせて構成してもよいし、全体を一体化したプログラムにより構成してもよい。コンピュータプログラムにより制御される処理の全部または一部を同等の機能を備えるハードウエアで構成しても構わない。また、上記のコンピュータプログラムは、既存のアプリケーションプログラムに組み込んで使用してもよい。上記のような本発明を実現するためのコンピュータプログラムは、例えばCD−ROMのようなコンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録して、任意の情報処理装置にインストールして利用することができる。また、ネットワークを通じて任意のコンピュータのメモリ中にダウンロードして利用することもできる。
【図面の簡単な説明】
【図1】建物価格の見積もりシステムの概略機能を説明する説明図である。
【図2】建物価格の見積もりシステムを具体的に実現する装置構成の説明図である。
【図3】建物価格の見積もり演算処理を行うために必要な具体的なデータ例を示す説明図である。
【図4】(a)は見積もりシステムのメニュー画面で、(b)は建物の間取り図入力画面の説明図である。
【図5】データ読み込みのためのボタン71とボタン72の操作方法を説明する説明図である。
【図6】ユニットの種類や壁長やユニットの面積などを指定するための処理説明図である。
【図7】各ユニットの設備の内容を示す表の説明図である。
【図8】外部建具数量を選択するためのボタン87をクリックした動作説明図である。
【図9】標準外工事内訳明細書の具体例を示す説明図である。
【図10】顧客に提出される見積書の具体例を示す説明図である。
【図11】設計者や営業担当者用の出力帳票例を示す。
【図12】標準工事価格演算手段の具体的な動作を示すフローチャートである。
【図13】部材を基準とした見積もり価格の演算と、標準外工事価格演算動作を説明するフローチャートである。
【符号の説明】
1 建物の間取り図
17 床面積を基準にした価格見積もりデータ
18 壁長を基準にした価格見積もりデータ
19 部材ごとの価格見積もりデータ
21 標準工事価格演算手段
22 標準外工事価格演算手段
23 表示出力手段
Claims (6)
- 規格化されたユニットを組み合わせてなる建物の価格を、見積もり演算処理するものであって、
前記建物を構成するユニットの種類とユニットの形状とを明示した間取り図データを取得する手段と、
前記間取り図データから、前記建物を構成する各ユニットの床面積を取得し、この床面積と前記各ユニットの単位床面積あたりの単価とを乗算したものに、一定の割増分を加えて、床面積を基準にした価格見積もり演算処理を実行する手段と、
前記建物の間取り図を示すデータから、前記ユニットを構成する壁の壁長を取得し、この壁長と壁の単位長あたりの単価とを乗算したものに、一定の割増分を加えて、壁長を基準にした価格見積もり演算処理を実行する手段と、
前記建物の間取り図中に含まれていて、それぞれ単価と工事費が前記ユニットとは別個に記憶装置に記憶された特定の部材を抽出して、当該部材の数量と単価とを乗算したものに前記工事費を加算して、部材ごとの価格見積もり演算処理を実行する手段と、
前記床面積を基準にした価格見積もり結果と、前記壁長を基準にした価格見積もり結果と、前記部材ごとの価格見積もり結果とを、全てのユニットについて集計して、建物価格の見積もりを作成して、表示出力する手段を備えたことを特徴とする建物価格の見積もりシステム。 - 請求項1に記載の建物価格の見積もりシステムにおいて、
各ユニットの単位床面積あたりの単価もしくは、各ユニットを構成する壁の単位長あたりの単価には、各ユニットに標準的に組み込まれる設備の価格相当分が含まれることを特徴とする建物価格の見積もりシステム。 - 請求項1に記載の建物価格の見積もりシステムにおいて、
前記各手段に加えて、建物の間取り図から、当該建物を構成する標準的なユニットの種類と、標準的な部材の種類を選定する手段と、
前記床面積を基準にした価格見積もり演算処理を実行する手段と、前記壁長を基準にした価格見積もり演算処理を実行する手段に対して、前記標準的なユニットを用いた場合の価格見積もり演算処理を要求し、前記部材ごとの価格見積もり演算処理を実行する手段に対して、前記標準的な部材を用いた場合の価格見積もり演算処理を要求する手段と、
前記見積もり結果を集計する手段に対して、標準工事価格見積もり結果の出力を要求する手段と、
前記標準的なユニットの全部または一部の構造をオプション構造に変更するときには、前記標準的なユニットの全部または一部の構造の価格見積もり結果を負数とし、前記オプション構造の価格見積もり結果を正数とするオプションユニット見積もり修正値を求め、前記標準的な部材をオプション部材に変更するときには、前記標準的な部材の価格見積もり結果を負数とし、前記オプション部材の価格見積もり結果を正数とするオプション部材修正値を求め、前記オプションユニット見積もり修正値と前記オプション部材修正値に基づいて、標準外工事価格見積もり結果の出力を要求する手段を備えたことを特徴とする建物価格の見積もりシステム。 - 請求項3に記載の建物価格の見積もりシステムにおいて、
前記各手段に加えて、前記標準工事価格見積もり結果の出力に基づいて標準工事価格見積もり書を作成し、前記標準外工事価格見積もり結果の出力に基づいて標準外工事価格見積もり書を作成し、さらに、前記標準工事価格見積もり結果と前記標準外工事価格見積もり結果とを加算した総合工事価格見積もり書を作成する手段を備えたことを特徴とする建物価格の見積もりシステム。 - 請求項1に記載の建物価格の見積もりシステムにおいて、
価格の見積もり処理の対象となる任意の部材群と、その部材群を構成する各部材とがあるとき、標準工事価格の見積もり演算には前記部材群を一括した価格を使用し、
前記部材群に含まれるいずれかの部材をオプション部材に変更するときは、前記いずれかの部材の価格見積もり結果を負数とし、前記オプション部材の価格見積もり結果を正数とするオプション部材修正値を求め、前記標準工事価格の見積もり結果に加算する手段を備えたことを特徴とする建物価格の見積もりシステム。 - 規格化されたユニットを組み合わせてなる建物の価格を、見積もり演算処理する際に、
前記建物を構成するユニットの種類とユニットの形状とを明示した間取り図データを取得する処理と、
前記間取り図データから、前記建物を構成する各ユニットの床面積を取得し、この床面積と前記各ユニットの単位床面積あたりの単価とを乗算したものに、一定の割増分を加えて、床面積を基準にした価格見積もり演算する処理と、
前記建物の間取り図を示すデータから、前記ユニットを構成する壁の壁長を取得し、この壁長と壁の単位長あたりの単価とを乗算したものに、一定の割増分を加えて、壁長を基準にした価格見積もり演算する処理と、
前記建物の間取り図中に含まれていて、それぞれ単価と工事費が前記ユニットとは別個に記憶装置に記憶された特定の部材を抽出して、当該部材の数量と単価とを乗算したものに前記工事費を加算して、部材ごとの価格見積もり演算する処理と、
前記床面積を基準にした価格見積もり結果と、前記壁長を基準にした価格見積もり結果と、前記部材ごとの価格見積もり結果とを、全てのユニットについて集計して、建物価格の見積もりを作成して、表示出力する処理とを、コンピュータに実行させる建物価格の見積もり用プログラム。
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