JP2004270838A - 遊星歯車用ニードル軸受 - Google Patents

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Abstract

【課題】自動車用自動変速機を無負荷空転状態(太陽歯車及びリング歯車から遊星歯車3に負荷されるギヤ反力が、この遊星歯車3の公転運動によって発生する遠心力に比べて非常に小さくなる状態)で運転する場合でも、保持器9aの耐久性を十分に確保できる構造を実現する。
【解決手段】上記保持器9aの案内形式として、内輪案内を採用する。これにより、無負荷空転状態で、各ニードル8、8が負荷圏から非負荷圏に移行する際に、これら各ニードル8、8から上記保持器9aに大きな衝撃力が加わらない様にする。更には、この保持器9aに作用する遠心力を支持軸4の外周面で支承させて、この外周面から上記保持器9aに過大な面圧が加わらない様にする。この結果、上記課題を解決できる。
【選択図】 図4

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、例えば自動車用自動変速機を構成する遊星歯車装置に組み込む、遊星歯車用ニードル軸受の改良に関する。
【0002】
【従来の技術】
自動車用自動変速機を構成する遊星歯車装置として従来から、図5〜6に示す様な構造が広く知られている。この従来から知られた遊星歯車装置は、外周面に歯1aを形成した太陽歯車1と、この太陽歯車1と同心に配置され、内周面に歯2aを形成したリング歯車2との間に、複数個(一般的には3〜4個)の遊星歯車3、3を、円周方向に関して等間隔に配置している。そして、これら複数個の遊星歯車3、3の外周面に形成した歯3aを、上記両歯1a、2aに噛合させている。
【0003】
上記複数個の遊星歯車3、3は、それぞれ支持軸4の周囲に、ニードル軸受5を介して回転自在に支持している。このニードル軸受5は、上記各遊星歯車3、3の内周面である円筒面状の外輪軌道6と、上記支持軸4の中間部外周面である円筒面状の内輪軌道7と、これら外輪軌道6と内輪軌道7との間に転動自在に設けられた複数のニードル8、8と、これら各ニードル8、8を転動自在に保持する円筒状の保持器9とから成る。
【0004】
このうちの保持器9は、全体を金属若しくは合成樹脂により造っており、それぞれが円環状で互いに同心に配置した1対のリム部10、10と、これら両リム部10、10同士を互いに連結する複数本の柱部11、11(図7〜8参照)とを備える。これら各柱部11、11は、円周方向に関して等間隔に配置しており、それぞれの軸方向両端部を、上記各リム部10、10の内側縁に結合している。そして、これら各柱部11、11の円周方向両側縁と上記各リム部10、10の内側縁とにより四方を囲まれた部分を、それぞれ上記各ニードル8、8を転動自在に保持する為のポケット12、12としている。
【0005】
又、上記各支持軸4の基端部(図6の右端部)は、上記太陽歯車1を中心として回転自在なキャリア13に支持固定している。図示の例では、上記各支持軸4の基端部を上記キャリア13に形成した支持孔14に締り嵌めで内嵌すると共に、これら各支持軸4と上記キャリア13との間に係止ピン15を掛け渡す事により、これら各支持軸4が上記支持孔14から脱落するのを防止している。
【0006】
又、図示の例では、上記太陽歯車1を円筒状に形成し、上記キャリア13を断面L字形で全体を円輪状に形成している。そして、このキャリア13の内周縁部に形成した円筒部16を回転軸17の外周面に、スプライン係合させている。上記太陽歯車1はこの回転軸17の周囲に、この回転軸17に対する相対回転自在に支持している。又、上記リング歯車2はこれら各部材1、13、17の周囲に、これら各部材1、13、17との相対回転を自在とした状態で支持している。又、上記各支持軸4の先端部(図6の左端部)は、円輪状の連結板18に形成した支持孔19に締り嵌めで内嵌固定する事により、これら各支持軸4の先端部同士を連結している。又、上記遊星歯車3及びニードル軸受5と、上記キャリア13及び連結板18との互いに対向する面同士の間に、それぞれ円輪状の滑りワッシャ20、20を設けて、上記遊星歯車3及びニードル軸受5の軸方向に関する変位を規制している。
【0007】
上述の様に構成する遊星歯車装置は、上記回転軸17を駆動軸又は従動軸とし、上記太陽歯車1又は上記リング歯車2の中心を従動軸又は駆動軸に結合する。そして、何れの歯車1、2、3を回転自在とし、何れの歯車1、2、3を回転不能とするかを切り換える事により、上記駆動軸と従動軸との間での変速並びに回転方向の変換を行なう。
【0008】
ところで、保持器を備えた転がり軸受の場合、運転中にこの保持器のラジアル方向の変位量が大きくなると、この保持器が周囲の部材に強く衝突して破損したり、或は振動が大きくなって騒音が発生する等の不都合を生じる。そこで、この様な不都合が生じない様にする為に従来から、上記保持器を周囲の部材により案内して、この保持器のラジアル方向の変位を抑える事が行なわれている。例えば、上述した遊星歯車装置を構成する従来のニードル軸受5の場合には、このニードル軸受5を構成する保持器9の案内形式として、図7又は図8に示す様な形式を採用している。
【0009】
このうちの図7に示した案内形式は、「外輪案内」と呼ばれるもので、上記保持器9の外周面を上記遊星歯車3の内周面に近接対向させる事により、この保持器9をこの遊星歯車3の内周面によって案内(径方向の変位を阻止)できる様にしたものである(例えば、特許文献1参照)。又、図8に示した案内形式は、「ニードル案内」と呼ばれるもので、図示の様に保持器9を構成する各ポケット12、12の内径側の開口部の幅W (又は外径側の開口部の幅W )を、前記各ニードル8、8の直径d よりも小さく{W (又はW )<d }したり、或は、上記保持器9を構成するリム部10の内面と上記各ニードル8、8の軸方向両端面とを凹凸係合させる事により、この保持器9をこれら各ニードル8、8によって案内できる様にしたものである(例えば、特許文献2、3参照)。
【0010】
【特許文献1】
特開2000−240661号公報
【特許文献2】
特開2000−220645号公報
【特許文献3】
特開2001−323935号公報
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
上述した様に、自動車用自動変速機に組み込む遊星歯車装置を構成する、従来の遊星歯車用のニードル軸受5の場合には、上記保持器9の案内形式として「外輪案内」(図7)又は「ニードル案内」(図8)を採用している。ところが、本発明者が上記保持器9の耐久性とこの保持器9の案内形式との関係に就いて分析したところ、この保持器9の案内形式として上記「外輪案内」又は「ニードル案内」を採用すると、この保持器9の耐久性を十分に確保する面から不利になる事が判明した。この点に就いて、図5〜8を参照しつつ、以下に説明する。
【0012】
自動車用自動変速機では、その設計上、前記太陽歯車1及びリング歯車2から上記遊星歯車3に負荷されるギヤ反力が、この遊星歯車3の公転運動によって発生する遠心力に比べて非常に小さくなる場合がある(この様な場合の運転状態を、以下「無負荷空転状態」と呼ぶ)。今、上述した図7〜8に於いて、上記遊星歯車3が時計回り(矢印αの向き)に公転し、且つ、反時計回り(矢印βの向き)に自転しているとすると、上記無負荷空転状態では、これら各図に示す様に、上記遊星歯車3が前記支持軸4に対して上記遠心力の向き(矢印γの向き)に変位する。
【0013】
この結果、上記遊星歯車3の内周面である、上記ニードル軸受5の外輪軌道6と、上記支持軸4の中間部外周面である、このニードル軸受5の内輪軌道7との径方向の間隔が、上記遊星歯車3が変位した側(図7〜8の上側)で広くなり、その直径方向反対側(図7〜8の下側)で狭くなる。そして、この様に幅の狭くなった部分(図7〜8の下側部分)が上記ニードル軸受5の負荷圏となり、残りの部分がこのニードル軸受5の非負荷圏となる。ここまでの挙動は、図7に示した「外輪案内」の場合と、図8に示した「ニードル案内」の場合とで同じである。
【0014】
更に、図7に示した「外輪案内」の場合には、同図に示す様に、上記ニードル軸受5を構成する保持器9が上記遠心力の向き(矢印γの向き)に変位して、この保持器9の外周面が上記遊星歯車3の内周面である外輪軌道6に(同図の上部で)当接する。そして、この当接部に作用する摩擦力に基づき、上記遊星歯車3から上記保持器9に、反時計回りの力が加わる。又、上記ニードル軸受5を構成する複数のニードル8、8のうち、上記非負荷圏に存在する各ニードル8、8が、それぞれ上記遠心力の向き(矢印γの向き)に変位し、上記保持器9に接触する。この結果、上記各ニードル8、8からこの保持器9に円周方向の力が加わる。具体的には、同図に太線矢印で示す様に、上記非負荷圏に存在する各ニードル8、8のうち、上記遊星歯車3の公転方向前半側(同図の右半側)のニードル8、8から上記保持器9に反時計回りの力が加わり、同じく公転方向後半側(同図の左半側)のニードル8、8から上記保持器9に時計回りの力が加わる。更に、上記保持器9には、上記負荷圏に存在する各ニードル8、8からも、円周方向の力が加わるが、この力は同図に太線矢印で示す様に、時計回りの力である。この理由は、次の通りである。
【0015】
即ち、上述の様にして各部材から上記保持器9に加わる円周方向の力のうち、上記非負荷圏の公転方向前半側と公転方向後半側とに存在する各ニードル8、8から加わる円周方向の力は、互いの向きが逆で且つ互いの大きさが等しい為、互いに相殺されてゼロになる。一方、上述した無負荷空転状態では、上記保持器9が等速回転運動をする為、この保持器9に加わる円周方向の力の総和は、ゼロになっている。この事から、上記負荷圏に存在する各ニードル8、8から上記保持器9に加わる円周方向の力は、上記遊星歯車3からこの保持器9に加わる反時計回りの力を打ち消す力、即ち、時計回りの力である事が分かる。
【0016】
以上の考察により、図7に示した「外輪案内」の場合、上記ニードル軸受5を構成する各ニードル8、8は、上記保持器9に対し、非負荷圏の公転方向後半側(同図の左半側)と負荷圏とで、それぞれ時計回りの力を加え、非負荷圏の公転方向前半側(同図の右半側)で、反時計回りの力を加える。従って、上記各ニードル8、8から上記保持器9に加わる円周方向の力の向きは、これら各ニードル8、8が上記負荷圏から上記非負荷圏の公転方向前半側に移行する際と、この非負荷圏の公転方向前半側から公転方向後半側に移行する際とで、それぞれ反転する事になる。ところが、このうち特に、上記各ニードル8、8が上記負荷圏から上記非負荷圏の公転方向前半側に移行する際には、これら各ニードル8、8が外輪軌道6と内輪軌道7との間での拘束を解かれた瞬間に、これら各ニードル8、8が遠心力により勢い良く移動して、上記力の向きの反転が勢い良く行なわれる。この為、この反転時に上記各ニードル8、8から上記保持器9に大きな衝撃力が加わって、上記保持器9が破損する可能性がある。尚、これに対し、上記非負荷圏の前半側と後半側とでの力の向きの反転は、緩やかに行なわれる。即ち、非負荷圏の前半側と後半側とで反転する際には上記各ニードル8、8が、中立点を挟んで前記各ポケット12、12内を、円周方向一端側から他端側に、遠心力により外輪軌道6に押し付けられつつ、緩やかに移動する。この為、この反転時に、上記各ニードル8、8から上記保持器9aに大きな衝撃力が加わる事はない。
【0017】
次に、前述の図8に示した「ニードル案内」の場合には、同図に示す様に、保持器9が遠心力の向き(矢印γの向き)に変位し、この様に変位した側(図8の上側)の中央部に存在する1個のニードル8の転動面に、上記保持器9を構成するポケット12の内径側開口部内周面が当接する。この結果、上記1個のニードル8の転動面から当該ポケット12の内側面に、上記遠心力に対する反力が加わる。この様に図8に示した「ニードル案内」の場合には、上記保持器9に加わった遠心力を上記1個のニードル8のみで受ける事となる為、このニードル8の転動面から当該ポケット12の内側面に加わる反力が大きくなる。この結果、この様に大きな反力を受けた部分で上記保持器9が破損したり、或はこの様な大きな反力を受ける接触部で摩耗や焼き付きが生じ易くなる可能性がある。
【0018】
尚、上記「ニードル案内」の方法として、上記保持器9を構成するポケット12、12の外径側の開口部の幅W を、上記各ニードル8、8の直径d よりも小さく(W <d )する方法を採用した場合には、この保持器9が遠心力の向き(矢印γの向き)に変位した場合に、この様に変位した方向と反対側(図8の下側)の中央部に存在する1個のニードル8の転動面に、上記保持器9を構成するポケット12の外径側開口部内周面が当接する。従って、この場合も、上記保持器9に加わった遠心力を上記1個のニードル8により受ける事となり、上述した場合と同様の不都合が生じる。
【0019】
又、上記「ニードル案内」の方法として、上記保持器9を構成するリム部10の内面と上記各ニードル8、8の軸方向両端面とを凹凸係合させる方法を採用した場合には、この保持器9が遠心力の向き(矢印γの向き)に変位した場合に、この様に変位した方向と反対側(図8の下側)の中央部に存在する1個のニードル8の軸方向両端面と上記保持器9のリム部10の内面との凹凸係合部のみが、他の凹凸係合部に比べて強く係合する。従って、この場合も、上記保持器9に加わった遠心力を上記1個のニードル8により受ける事となり、上述した場合と同様の不都合が生じる。更に、この様に保持器9の一部とニードル8、8の軸方向両端面とを凹凸係合させる場合には、この凹凸係合部を設ける分、上記保持器9と上記各ニードル8、8との構造が複雑となる為、製造コストが高くなると言った不都合も生じる。
本発明の遊星歯車用ニードル軸受は、上述した様な不都合を解消すべく発明したものである。
【0020】
【課題を解決するための手段】
本発明の遊星歯車用ニードル軸受は、遊星歯車の内周面に設けられた円筒面状の外輪軌道と、支持軸の外周面に設けられた円筒面状の内輪軌道と、これら外輪軌道と内輪軌道との間に転動自在に設けられた複数のニードルと、これら各ニードルを転動自在に保持する円筒状の保持器とを備える。
特に、本発明の遊星歯車用ニードル軸受に於いては、上記保持器の内周面を上記支持軸の外周面の一部で案内する事により(この保持器の案内形式として「内輪案内」を採用する事により)、この保持器のラジアル方向の変位を抑えている。
又、本発明を実施する場合に、好ましくは、請求項2に記載した発明の様に、上記保持器の一部と上記各ニードルの軸方向両端面とを、互いに凹凸係合させない構造とする。
【0021】
【作用】
上述の様に構成する本発明の場合には、遊星歯車装置が無負荷空転状態で運転される場合でも、保持器に過大な衝撃力や面圧が作用する事を防止できる。この為、この保持器の耐久性を十分に確保する事ができる。
【0022】
【発明の実施の形態】
図1〜4は、請求項1〜2に対応する、本発明の実施の形態の1例を示している。尚、本例の特徴は、保持器9aの案内形式を工夫した点にある。本例のニードル軸受5aを組み込む遊星歯車装置の全体構造に就いては、前述の図5〜6に示した従来構造と同様であるから、重複する図示並びに説明を省略若しくは簡略にし、以下、本発明の特徴部分を中心に説明する。
【0023】
本例のニードル軸受5aは、前述した従来構造の場合と同様、遊星歯車3の内周面である円筒面状の外輪軌道6と、支持軸4の外周面である円筒面状の内輪軌道7と、これら外輪軌道6と内輪軌道7との間に転動自在に設けられた複数のニードル8、8と、これら各ニードル8、8を転動自在に保持する円筒状の保持器9aとから成る。
【0024】
このうちの保持器9aは、全体を金属若しくは合成樹脂により造っており、それぞれが円環状で互いに同心に配置した1対のリム部10、10と、これら両リム部10、10同士を互いに連結する複数本の柱部11、11とを備える。これら各柱部11、11は、円周方向に関して等間隔に配置しており、それぞれの軸方向両端部を、上記各リム部10、10の内側縁に結合している。そして、これら各柱部10、10の円周方向両側縁と上記各リム部10、10の内側縁とにより四方を囲まれた部分を、それぞれ上記各ニードル8、8を転動自在に保持する為のポケット12、12としている。又、本例の場合、互いに対向する上記各リム部10、10の内面と上記各ニードル8、8の軸方向両端面とを、それぞれ単なる平坦面として、これら両面同士を凹凸係合させない構造としている。これにより、本例の場合には、これら両面に凹凸係合部を形成する必要をなくして(これら両面の構造を簡単にして)、製造コストが嵩まない様にしている。
【0025】
又、本例のニードル軸受5aの場合、上記保持器9aの案内形式として「内輪案内」を採用している。即ち、この保持器9aの内周面を上記支持軸4の外周面である内輪軌道7の一部で案内する事により、この保持器9aのラジアル方向の変位を抑えている。この様な「内輪案内」の形式を採用する為に、本例の場合には、上記ニードル軸受5aを組み立てた状態(各ニードル8、8の転動面を前記外輪軌道6に当接させた状態)での、上記各ニードル8、8の内接円と上記保持器9aの内周面との半径差Cを、これら各ニードル8、8の直径d の1〜5%程度{C≒(0.01〜0.05)d }と小さくしている。これと共に、これら各ニードル8、8の外接円(上記外輪軌道6)と上記保持器9aの外周面との半径差Dを、これら各ニードル8、8の直径d の15〜20%程度{D≒(0.15〜0.20)d }と大きくしている。
【0026】
尚、上述の様な本例の保持器9aは、従来から知られた機械加工や射出成形等の各種の方法により造る事ができる。例えば、上記保持器9aを金属製とする場合には、短冊状の金属薄板の長さ方向等間隔複数個所を打ち抜いて梯子状の保持器素材を得た後、この保持器素材を円筒状に丸めて、この保持器素材の両端縁同士を溶接により接合する等により、上記保持器9aを造る事ができる。
【0027】
上述の様に構成する本例のニードル軸受5aの場合、図4に示す様に、遊星歯車3が時計回り(矢印αの向き)に公転し、且つ、反時計回り(矢印βの向き)に自転しているとすると、前述した無負荷空転状態では、同図に示す様に、遊星歯車3が支持軸4に対し、上記公転に基づいて発生する遠心力の向き(矢印γの向き)に変位する。この結果、上記遊星歯車3の内周面である外輪軌道6と、上記支持軸4の中間部外周面である内輪軌道7との径方向の間隔が、上記遊星歯車3が変位した側(同図の上側)で広くなり、その直径方向反対側(同図の下側)で狭くなる。そして、この様に幅の狭くなった部分(同図の下側部分)が上記ニードル軸受5aの負荷圏となり、残りの部分(同図の上側部分)がこのニードル軸受5aの非負荷圏となる。
【0028】
又、同図に示す様に、保持器9aが上記遠心力の向き(矢印γの向き)に変位し、この保持器9aの内周面が上記支持軸4の外周面である内輪軌道7に(同図の下側部分で)当接する。そして、この当接部に作用する摩擦力に基づき、支持軸4から上記保持器9aに、時計回りの力が加わる。更に、上記ニードル軸受5aを構成する複数のニードル8、8のうち、上記非負荷圏に存在する各ニードル8、8が、それぞれ上記遠心力の向き(矢印γの向き)に変位し、上記保持器9aに接触する。この結果、これら各ニードル8、8からこの保持器9aに円周方向の力が加わる。具体的には、同図に太線矢印で示す様に、上記非負荷圏に存在する各ニードル8、8のうち、上記遊星歯車3の公転方向前半側(同図の右半側)のニードル8、8から上記保持器9aに反時計回りの力が加わり、同じく公転方向後半側(同図の左半側)のニードル8、8から上記保持器9aに時計回りの力が加わる。更に、上記保持器9aには、上記負荷圏に存在する各ニードル8、8からも、円周方向の力が加わるが、この力は同図に太線矢印で示す様に、反時計回りの力である。この理由は、次の通りである。
【0029】
即ち、上述の様にして各部材から上記保持器9aに加わる円周方向の力のうち、上記非負荷圏の公転方向前半側と公転方向後半側とに存在する各ニードル8、8から加わる円周方向の力は、互いの向きが逆で且つ互いの大きさが等しい為、互いに相殺されてゼロになる。一方、上述した無負荷空転状態では、上記保持器9aが等速回転運動をする為、この保持器9aに加わる円周方向の力の総和は、ゼロになっている。この事から、上記負荷圏に存在する各ニードル8、8から上記保持器9aに加わる円周方向の力は、上記支持軸4からこの保持器9aに加わる時計回りの力を打ち消す力、即ち、反時計回りの力である事が分かる。
【0030】
以上の考察により、本例の「内輪案内」のニードル軸受5aの場合、このニードル軸受5aを構成する各ニードル8、8は、上記保持器9aに対し、負荷圏と非負荷圏の公転方向前半側(同図の右半側)とで、それぞれ反時計回りの力を加え、非負荷圏の公転方向後半側(同図の左半側)で、時計回りの力を加える。従って、上記各ニードル8、8から上記保持器9aに加わる円周方向の力の向きは、これら各ニードル8、8が上記非負荷圏の公転方向前半側から公転方向後半側に移行する際と、この非負荷圏の公転方向後半側から上記負荷圏に移行する際とで、それぞれ反転する事になる。但し、これら各移行の際の力の向きの反転は、それぞれ緩やかに行なわれる。即ち、非負荷圏の前半側と後半側とで反転する際には上記各ニードル8、8が、中立点を挟んで前記各ポケット12、12内を、遠心力により前記外輪軌道6に押し付けられたまま、円周方向一端側から他端側に、緩やかに移動する。又、非負荷圏の後半側と負荷圏とで反転する際には、上記各ニードル8、8が、上記外輪軌道6と前記内輪軌道7との間で拘束されつつ、上記各ポケット12、12内を、円周方向他端側から一端側に、緩やかに移動する。この為、何れの反転時にも上記各ニードル8、8から上記保持器9aに大きな衝撃力が加わる事はない。従って、前述の図7に示した「外輪案内」の場合の様に、当該衝撃力によって上記保持器9aが破損し易くなると言った不都合が生じる事はない。この結果、本例の「内輪案内」のニードル軸受5aの場合には、上記図7に示した「外輪案内」のニードル軸受5よりも、十分な耐久性が得られる。
【0031】
又、本例の「内輪案内」のニードル軸受5aの場合、上記保持器9aに加わる遠心力は上記支持軸4により支承されるが、この際の支承個所である、これら保持器9aの内周面と支持軸4の外周面(内輪軌道7)との接触部には、十分な接触面積が確保されている。この為、上記遠心力を支承する際にも、上記支持軸4の外周面(内輪軌道7)から上記保持器9aの内周面に加わる反力(上記接触部の面圧)が大きくなる事はない。従って、前述の図8に示した「ニードル案内」の場合の様に、当該反力によって上記保持器9aが破損し易くなったり、或は、上記接触部で摩耗や焼き付きが生じ易くなると言った不都合が生じる事ない。この結果、本例の「内輪案内」のニードル軸受5aの場合には、上記図8に示した「ニードル案内」のニードル軸受5よりも、十分な耐久性が得られる。
【0032】
又、本例の場合には、前述した様に、上記各ニードル8、8の外接円(外輪軌道6)と上記保持器9aの外周面との半径差Dを、これら各ニードル8、8の直径d の15%以上(15〜20%)と大きくしている。この為、上記保持器9aの外周面と上記遊星歯車3の内周面である外輪軌道6との間に生じる隙間が大きくなり、この隙間部分に外部から潤滑油を取り入れ易くなる。従って、この様に外部から取り入れた潤滑油により、上記各ニードル8、8の転動面と相手面との接触部に於ける潤滑状態を良好に保持する事ができる。この結果、当該接触部で摩耗や焼き付きを生じにくくする事ができ、本例のニードル軸受5aの耐久性を十分に確保する事ができる。又、上記隙間部分を潤滑油が流通し易くなる為、この様に流通した潤滑油が、上記ニードル軸受5aの周辺部にも供給され易くなり、この周辺部に於ける潤滑状態も良好に保持する事ができる。一方、上記半径差Dを、上記各ニードル8、8の直径d の20%以下(15〜20%)に抑えている為、上記保持器9aの径方向の肉厚が薄くなり過ぎる事はない。従って、この保持器9aの強度を十分に確保する事ができる。
【0033】
尚、上述した実施の形態では、保持器の内外両周面を、それぞれ段差のない円筒面とした。これに対し、本発明を実施する場合、例えば、この保持器の両端部内周面に内向フランジ状の鍔部を設け、これら各鍔部の内周面を支持軸の外周面に近接対向させる事により、「内輪案内」の形式を実現する事もできる。この様な構成を採用すれば、上記両鍔部同士の間で、上記保持器の内周面と上記支持軸の外周面との間に広い隙間を設ける事ができ、この隙間部分を潤滑油溜りとして機能させる事ができる為、ニードル軸受の潤滑性をより一層向上させる事ができる。又、上述した実施の形態では、ニードル軸受を構成するニードルを単列としたが、本発明を実施する場合には、このニードルを複列とする事もできる。
【0034】
【発明の効果】
本発明の遊星歯車用ニードル軸受は、以上に述べた様に構成され作用する為、遊星歯車装置が無負荷空転状態で運転される場合でも、保持器に過大な衝撃力や面圧が作用する事がない。従って、この保持器の耐久性を十分に確保する事ができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態の1例を示す、部分断面図。
【図2】保持器及びニードルのみを取り出し、一部を省略して示す、半部断面図。
【図3】図2の径方向から見た図。
【図4】本発明の実施の形態の1例を無負荷空転状態で示す、図7と同様の図。
【図5】遊星歯車装置の1例を示す略側面図。
【図6】図5のA−A断面図。
【図7】「外輪案内」の構造を無負荷空転状態で示す、図6の拡大B−B断面図に相当する図。
【図8】「ニードル案内」の構造を無負荷空転状態で示す、図7と同様の図。
【符号の説明】
1 太陽歯車
1a 歯
2 リング歯車
2a 歯
3 遊星歯車
3a 歯
4 支持軸
5、5a ニードル軸受
6 外輪軌道
7 内輪軌道
8 ニードル
9、9a 保持器
10 リム部
11 柱部
12 ポケット
13 キャリア
14 支持孔
15 係合ピン
16 円筒部
17 回転軸
18 連結板
19 支持孔
20 滑りワッシャ

Claims (2)

  1. 遊星歯車の内周面に設けられた円筒面状の外輪軌道と、支持軸の外周面に設けられた円筒面状の内輪軌道と、これら外輪軌道と内輪軌道との間に転動自在に設けられた複数のニードルと、これら各ニードルを転動自在に保持する円筒状の保持器とを備えた遊星歯車用ニードル軸受に於いて、この保持器の内周面を上記支持軸の外周面の一部で案内する事により、この保持器のラジアル方向の変位を抑えている事を特徴とする遊星歯車用ニードル軸受。
  2. 保持器の一部と複数のニードルの軸方向両端面とを、互いに凹凸係合させていない、請求項1に記載した遊星歯車用ニードル軸受。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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