JP2004269907A - 真空蒸着装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】坩堝と真空チャンバー間の真空シール性の低下を防止する。
【解決手段】真空チャンバー1の上部中央に基板4をセットした基板ホルダー5が、基板ホルダー5の下方に蒸発材料6を収容する凹部7を有する坩堝8が上下方向に移動可能にチャンバー底壁1Lに取り付けられている。第1円筒体16の一端をチャンバー底壁1Lに取り付け、第1円筒体より少し径の大きい第2円筒体17の他端部を坩堝8の上側面に取り付け、坩堝8を最大限上昇移動させた時に、第1円筒体16の他端部と第2円筒体17の一端部が重なる長さにこれらの円筒体を形成している。
【選択図】 図3
【解決手段】真空チャンバー1の上部中央に基板4をセットした基板ホルダー5が、基板ホルダー5の下方に蒸発材料6を収容する凹部7を有する坩堝8が上下方向に移動可能にチャンバー底壁1Lに取り付けられている。第1円筒体16の一端をチャンバー底壁1Lに取り付け、第1円筒体より少し径の大きい第2円筒体17の他端部を坩堝8の上側面に取り付け、坩堝8を最大限上昇移動させた時に、第1円筒体16の他端部と第2円筒体17の一端部が重なる長さにこれらの円筒体を形成している。
【選択図】 図3
Description
【0001】
【発明の属する分野】
本発明は、上下方向に移動可能な坩堝を備えた真空蒸着装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
真空蒸着装置は、光学レンズの反射防止膜等、幅広く成膜に使われている。
真空蒸着装置は、真空チャンバー内に置かれた蒸発材料を加熱蒸発させ、蒸発粒子を基板に付着させるもので、加熱方法には、抵抗加熱によって蒸発材料を加熱蒸発させる方法や、電子ビーム加熱により蒸発材料を加熱蒸発させる方法等があり、蒸着方法には、蒸発粒子をそのまま基板に付着させる方法や、蒸発粒子をイオン化して付着させる方法等がある。
図1は真空蒸着装置の1概略例を示したものである。
図中1は真空チャンバーで、排気通路2を通じて真空ポンプ3により排気されるように成っている。
真空チャンバー1の上壁中央には、基板4がセットされた基板ホルダー5が取り付けられている。
基板ホルダー5の下方のチャンバー底壁1Lには孔が開けられており、この孔に、蒸発材料6を収容するための凹部7が設けられた坩堝8が、真空チャンバー外に設けられた駆動機構9により、上下方向(基板に近づく方向及び基板から遠ざかる方向)に移動可能に取り付けられている。
10は電子銃で、該電子銃は、ここからの電子ビームが偏向器(図示せず)により270゜偏向され、凹部7に収容された蒸発材料6を衝撃加熱する位置に配設されている。尚、電子銃10と凹部7との間には、電子銃10から発生し、偏向器(図示せず)で270゜偏向された電子ビームEBで蒸発材料上を走査させるための走査用コイル(図示せず)が設けられている。
11は、凹部7からの蒸発粒子の基板ホルダー5方向への飛散を遮蔽することが出来るシャッターで、支持棒12及び回転軸13を介してモーター14により回転可能に取り付けられている。
尚、前記坩堝8の上下移動を司る駆動機構9、シャッター11の回転を司るモーター14、真空ポンプ3、電子銃10、偏向器(図示せず)及び走査コイル(図示せず)は制御装置(図示せず)の指令に従って作動する。
【0003】
この様な構成の真空蒸着装置で基板上に成膜を行う場合、先ず、真空チャンバー1内を真空ポンプ3により真空排気する。
【0004】
真空チャンバー1内が所定の真空度に達したら、電子銃10を作動させる。この時、既に、モーター14の作動によりシャッター11は坩堝8と基板4との間、即ち、遮蔽位置に来ている。
【0005】
電子銃10の作動により、該電子銃からの電子ビームEBは偏向器(図示せず)により270゜偏向され、凹部7に収容されている蒸発材料6に当たる。そして、走査コイル(図示せず)の働きにより、電子ビームEBは該蒸発材料8上を走査する。尚、電子銃10はフィラメント,グリッド及びアノードから成り、フィラメントから発生した電子ビームは、グリッドを介して一定の開き角でアノードを通過し、偏向器などの構造の工夫により、蒸発材料6の溶融面が所定の高さにある時に、その溶融表面上で一定の径のスポット状断面を成して当たるように成っている。この時のスポット径を基準スポット径と称す。
【0006】
この電子ビームの衝撃により、蒸発材料は加熱され、やがて蒸発を始める。
この蒸発が安定したら、モーター14の作動により、シャッター11は坩堝8と基板4を結ぶライン上から大きく外れた位置に回転移動する。
該移動により、凹部7からの蒸発粒子は基板4に到達し、これらの表面に薄膜状に付着する。
【特許文献1】
特開平9−143697号公報
【特許文献2】
特開平6− 73543号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
さて、坩堝8に収容された蒸発材料6の蒸発が進んでいくと、該蒸発時間に応じて蒸発材料の溶融表面の高さが低くなる。すると、高さの変化につれて、その溶融表面上の電子ビームスポット径が基準スポット径に対して徐々に大きくなり、溶融表面上の電子ビームスポットが徐々にぼけてくる。
この様に溶融表面上での電子ビームがぼけてくると、溶融表面上での電子ビームの単位面積当たりのビーム量、即ち、電子密度が低下し、蒸発材料に対する衝撃力が弱くなり、蒸発材料の蒸発量が低下してくる。この結果、基板上での成膜に斑が発生し、成膜製品の質が悪化する。
【0008】
そこで、蒸発時間に関係づけて、駆動機構9により坩堝8を基板方向に漸次上昇させ、蒸着時においては、常に、蒸発材料の溶融表面が所定の高さに維持されるように成している。
【0009】
所で、坩堝8と接するチャンバー底壁1Lの孔部内面には、チャンバー1内の真空を維持するために、図2に示す様に、例えば、オーリング15の如き真空シール手段が設けられており、このオーリング15により真空シールされながら坩堝8は基板方向に移動させられる。図2の(a)は蒸発材料がたっぷり入っている初期の蒸着時の状態を示し、図2の(b)は蒸発材料が可成り減ってきた終期の蒸着時の状態を示している。
【0010】
この様な坩堝8の移動により、坩堝8が初期の蒸着時に底壁1Lの孔部内面と接していたシール面が真空チャンバー1内に移動するので、蒸発材料の蒸発粒子で蒸着されてしまう。
【0011】
そして、坩堝8が元の所定位置に戻された時、シール面とオーリング15との間に蒸着膜が介在することになり、真空シール性が低下する。しかも、この膜は一様に付いていないので、真空シール性の低下は著しい。
【0012】
本発明は、この様な問題点を解決する為になされたもので、新規な真空蒸着装置を提供することを目的とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】
本発明に基づく真空蒸着装置は、蒸発材料を収容し、その一部が真空チャンバー壁にシールされた状態で支持された坩堝、蒸発材料を衝撃して蒸発材料を蒸発させるための電子ビームを発生する電子照射手段、及び蒸発粒子が膜状に付着させられる基板をセットした基板ホルダーを備え、坩堝を基板に近づく方向及び基板から離れる方向に移動可能に成した真空蒸着装置において、坩堝側面を筒状体で囲う様に成したことを特徴とする。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して本発明の実施の態様の形態を詳細に説明する。
【0015】
図3は本発明の真空蒸着装置の一部概略例を示しており、図3の(a)は蒸発材料6がたっぷり入っている初期の蒸着時の状態を示し、図3の(b)は蒸発材料6が可成り減ってきた終期の蒸着時の状態を示している。図中、前記図1及び2にて使用した記号と同一記号の付されたものは同一構成要素を示す。
【0016】
図中16は一端がチャンバー底壁1Lに取り付けられた第1円筒体、17は他端部が坩堝8の上側面に取り付けられ、前記第1円筒体より少し径の大きい第2円筒体で、これらの円筒体は、坩堝8を最大限移動させた時(図3の(b)に近い状態)に、前記第1円筒体16の他端部と第2円筒体17の一端部が重なる長さに形成されている。
【0017】
尚、第1円筒体16の他端部と第2円筒体の一端部に互いに向かい合う様な鍔を設けても良い。
【0018】
この様な構成の円筒体が側面周囲に設けられた坩堝8を図1に示す如き真空蒸着装置に取り付けた場合を想定し、基板4上に成膜を行う動作について説明する。
先ず、真空チャンバー1内を真空ポンプ3により真空排気する。
【0019】
真空チャンバー1内が所定の真空度に達したら、電子銃10を作動させる。この時、既に、モーター14の作動によりシャッター11は坩堝8と基板4との間、即ち、遮蔽位置に来ている。又、坩堝8の凹部7内に蒸発材料6が満たされており、その溶融表面が所定の高さ成るように駆動機構9は坩堝8を移動させている。
【0020】
電子銃10の作動により、該電子銃から発生した電子ビームEBは偏向器(図示せず)により270゜偏向され、凹部7に収容されている蒸発材料6の表面に当たる。そして、走査コイル(図示せず)の働きにより、電子ビームEBは該蒸発材料6上を走査する。この電子ビームの衝撃により、蒸発材料は加熱され、やがて蒸発を始め、この蒸発が安定したら、モーター14の作動により、シャッター11を坩堝8と基板4とを結ぶライン上から大きく外れた位置に回転移動させ、凹部7からの蒸発粒子を基板4の表面に薄膜状に付着させる。
この蒸着においては、蒸着時間と、蒸発材料の溶融表面の高さの変化との関係に基づいて、駆動機構9は坩堝8を上昇移動させ、常に、溶融表面の高さが所定の高さになるようにしている。
図3の(a)は蒸発材料6がたっぷり入っている初期の蒸着時の状態を示しており、坩堝8は移動しておらず、第2円筒体17は第1円筒体16に完全に覆っている。
図3の(b)は、蒸着時間が経つに従って徐々に坩堝8を上昇させ、蒸発材料6が可成り減ってきた時、即ち、坩堝8が最大限移動させた時に近い状態を示しており、前記第1円筒体16の他端部と第2円筒体17の一端部が重なる状態となっている。
この様に、坩堝8の凹部7に収容された蒸発材料6の蒸着を行っている間、坩堝8の真空シール面(坩堝8が初期の蒸着時に底壁1Lの孔部内面と接していた面)を含む坩堝8の側面が第1円筒体16と第2円筒体17によって、蒸発粒子の付着から守られている。この結果、坩堝8が元の所定位置に戻された時、シール面とオーリング15との間に蒸着膜が全く介在することが無く、真空シール性が悪化しない。
図4は本発明の真空蒸着装置の他の一部概略例を示しており、図4の(a)は蒸発材料6がたっぷり入っている初期の蒸着時の状態を示し、図4の(b)は蒸発材料6が可成り減ってきた終期の蒸着時の状態を示している。
この例においては、3個の円筒体18,19,20が使用されており、第1円筒体18の一端部が真空チャンバー底壁1Lに取り付けられ、第3円筒体20の他端部が坩堝8の側面上部に取り付けられ、第2円筒体19は何処にも固定されておらず、第1円筒体18の径より第2円筒体19の径が大きく、第2円筒体の径より第3円筒体20の径が大きく形成されている。又、第3円筒体20の一端部と第2円筒体19の他端部には互いに向き合う鍔が設けられ、第2円筒体19の一端部と第1円筒体の他端部には互いに向き合う鍔が設けらており、坩堝8を最大限移動させた時(図4の(b)に近い状態)に、第2円筒体19の他端部が第3円筒体20一端部と引っかかり合い、第2円筒体19の一端部が第1円筒体18の他端部と引っかかり合う様に構成されている。
尚、坩堝8を最大限移動させた時(図4の(b)に近い状態)に第2円筒体19の一端部が第1円筒体18の他端部に重なればよいので、必ずしも引っかかり合う必要はなく、離れて向かい合った状態でも良い。又、坩堝8を最大限移動させた時(図4の(b)に近い状態)に第2円筒体19の一端部が第1円筒体18の他端部に重なればよいので、第2円筒体19の一端部と第1円筒体18の他端部に鍔部を必ずしも設けなくても良い。
図4の(a)は蒸発材料6がたっぷり入っている初期の蒸着時の状態を示しており、坩堝8は移動しておらず、第1円筒体18は第2円筒体19で完全に覆われており、第2円筒体19は第3円筒体20で完全に覆われている。
図4の(b)は、蒸着時間が経つに従って徐々に坩堝8を上昇させ、蒸発材料6が可成り減ってきた時、即ち、坩堝8が最大限移動させた時に近い状態を示して示しており、前記第1円筒体18の他端部と第2円筒体19の一端部が引っかかり合い、第2円筒体19の他端部と第3円筒体20の一端部が引っかかり合った状態に成っている。
この様に、坩堝8の凹部7に収容された蒸発材料6の蒸着を行っている間、坩堝8の真空シール面(坩堝8が初期の蒸着時に底壁の孔部内面と接していた面)を含む坩堝8の側面が第1円筒体18,第2円筒体19及び第3円筒体20によって、蒸発粒子の付着から守られている。この結果、坩堝8が元の所定位置に戻された時、シール面とオーリング15との間に蒸着膜が全く介在することが無く、真空シール性が悪化しない。
尚、上記例は、3個の円筒体を使用する場合であるが、4個以上の円筒体を使用しても同様な効果が得られる。特に、坩堝が大型化等により蒸発材料を収容する凹部を深くし、坩堝の上下移動量を大きくした場合には、有効である。
この様に4個以上の円筒体を使用した場合には、N(N≧4)個の円筒体の内、1番目の円筒体の一端部が真空チャンバー底壁1Lに取り付けられ、N番目の円筒体の他端部が坩堝8の上部に取り付けられ、坩堝8が基板4に最も近づく様に移動した時(即ち、坩堝を最大上昇移動させた時)に1番目の円筒体の他端部と2番目の円筒体の一端部が重なり、I(3≦I<N)番目の円筒体の一端部が(I−1)番目の円筒体の他端部と引っかかり合い、I番目の円筒体の他端部が(I+1)番目の円筒体の一端部と引っかかり合う様に成す。尚、3個の円筒体を使用した場合と同様に、2番目の円筒体の一端部と1番目の円筒体の他端部に鍔部を必ずしも設けなくても良い。
図5は本発明の真空蒸着装置の他の一部概略例を示しており、図5の(a)は蒸発材料6がたっぷり入っている初期の蒸着時の状態を示し、図5の(b)は蒸発材料6が可成り減ってきた終期の蒸着時の状態を示している。
この例においては、一端部が真空チャンバ底壁1Lに取り付けられ、他端部が坩堝上部に取り付けられた筒状の伸縮体21が使用されている。この例では、伸縮体としてベローズが使用されている。
図5の(a)は蒸発材料6がたっぷり入っている初期の蒸着時の状態を示しており、坩堝8は移動しておらず、坩堝8の、伸縮体取り付け部以下の側面は筒状の伸縮体21で完全に覆われておいる。又、図5の(b)は、蒸着時間が経つに従って徐々に坩堝8を上昇させ、蒸発材料6が可成り減ってきた時、即ち、坩堝8が最大限移動させた時に近い状態を示して示しており、筒状の伸縮体21が伸びているが、依然として坩堝8の、伸縮体取り付け部以下の側面は筒状伸縮体21で完全に覆われている。
この様に、坩堝8の凹部7に収容された蒸発材料6の蒸着を行っている間、坩堝8の真空シール面(坩堝8が初期の蒸着時に底壁の孔部内面と接していた面)を含む坩堝8の側面が筒状伸縮体21によって、蒸発粒子の付着から守られている。この結果、坩堝8が元の所定位置に戻された時、シール面とオーリング15との間に蒸着膜が全く介在することが無く、真空シール性が悪化しない。
尚、前記例では、筒状伸縮体としてベローズを使用する例を示したが、ベローズの代わりに、薄い帯状の金属板を渦巻き状に巻き、全体として筒状になっているものを使用しても良い。
図6は本発明の真空蒸着装置の他の一部概略例を示しており、図6の(a)は蒸発材料6がたっぷり入っている初期の蒸着時の状態を示し、図6の(b)は蒸発材料6が可成り減ってきた終期の蒸着時の状態を示している。
この例においては、上端と下端に鍔22U,22Dを持ち、坩堝側面との間に隙間が出来る程度の内径の円筒体22の下端の鍔22Dを真空チャンバー底壁1Lに固定している。
図6の(a)は蒸発材料6がたっぷり入っている初期の蒸着時の状態を示しており、坩堝8は移動しておらず、坩堝の8の側面は円筒体22で完全に覆われておいる。又、図6の(b)は、蒸着時間が経つに従って徐々に坩堝8を上昇させ、蒸発材料6が可成り減ってきた時、即ち、坩堝8が最大限移動させた時に近い状態を示しており、坩堝側面は円筒体22で完全に覆われている。
この様に、坩堝8の凹部7に収容された蒸発材料6の蒸着を行っている間、坩堝8の真空シール面(坩堝8が初期の蒸着時に底壁の孔部内面と接していた面)を含む坩堝8の側面が円筒体22によって、蒸発粒子の付着から守られている。この結果、坩堝8が元の所定位置に戻された時、シール面とオーリング15との間に蒸着膜が全く介在することが無く、真空シール性が悪化しない。
尚、この例の場合には、円筒体22と坩堝側面間の隙間から、僅かではあるが、蒸発粒子が入り込む恐れがある。
前記例は、蒸発粒子をそのままの状態で基板に付ける装置について取り上げたが、本発明は、基板と坩堝の間に高周波電極等の電極を配置して、蒸発粒子をイオン化し、イオン化した粒子(中性粒子も含む)を基板に付けるイオンプレーティング装置や、真空チャンバー内若しくはチャンバー外に別に設けたプラズマ源からの電子を蒸発粒子に衝突させて蒸発粒子をイオン化し、イオン化した粒子(中性粒子も含む)を基板に付ける装置等にも応用可能である。
又、前記例では、蒸発材料を収容するための凹部が1個設けられた坩堝を使用した真空蒸着装置を示したが、複数の凹部を有し、坩堝を回転させることによって電子ビームで加熱される蒸発材料を収容する凹部を電子ビーム照射位置に移動させることが出来る坩堝を使用した真空蒸着装置にも本発明は応用できることはいうまでもない。この場合、坩堝が回転しても、図3及び図4においては坩堝に取り付けられた円筒体だけが同期して回転するので真空シール効果に何ら支障はない。又、図6においては坩堝が回転しても、円筒体は回転せず、この場合も真空シール効果に何ら支障はない。又、図5に示すの場合には、筒状伸縮体の他端部を坩堝の上部に取り付ける時に、坩堝の取り付け面の周辺に近い同一半径ラインに沿って環状の溝を掘り、その溝内に溝の径より小さいが、該溝の開口から抜けない大きさの径を有する球状体をはめ込み、この球状体に筒状伸縮体の他端部の先端と接続すれば、坩堝が回転しても、溝内で球状体が滑り、筒状伸縮体は回転せず、この場合も真空シール効果に何ら支障は起きない。
又、前記図3,4及び6に示す筒体は必ずしも円筒形状のものでなくとも良い。
【図面の簡単な説明】
【図1】真空蒸着装置の一概略例を示したものである。
【図2】従来の真空蒸着装置の一部概略例を示したものである。
【図3】本発明の真空蒸着装置の一部概略例を示したものである。
【図4】本発明の真空蒸着装置の他の一部概略例を示したものである。
【図5】本発明の真空蒸着装置の他の一部概略例を示したものである。
【図6】本発明の真空蒸着装置の他の一部概略例を示したものである。
【番号の説明】
1…真空チャンバー
2…排気通路
3…真空ポンプ
4…基板
5…基板ホルダー
6…蒸発材料
7…凹部
8…坩堝
9…駆動機構
10…電子銃
11…シャッター
12…支持棒
13…回転軸
14…モーター
1L…チャンバー底壁
15…オーリング
16…第1円筒体
17…第2円筒体
18…第1円筒体
19…第2円筒体
20…第3円筒体
21…筒状伸縮体
22…円筒体
22U,22D…鍔
【発明の属する分野】
本発明は、上下方向に移動可能な坩堝を備えた真空蒸着装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
真空蒸着装置は、光学レンズの反射防止膜等、幅広く成膜に使われている。
真空蒸着装置は、真空チャンバー内に置かれた蒸発材料を加熱蒸発させ、蒸発粒子を基板に付着させるもので、加熱方法には、抵抗加熱によって蒸発材料を加熱蒸発させる方法や、電子ビーム加熱により蒸発材料を加熱蒸発させる方法等があり、蒸着方法には、蒸発粒子をそのまま基板に付着させる方法や、蒸発粒子をイオン化して付着させる方法等がある。
図1は真空蒸着装置の1概略例を示したものである。
図中1は真空チャンバーで、排気通路2を通じて真空ポンプ3により排気されるように成っている。
真空チャンバー1の上壁中央には、基板4がセットされた基板ホルダー5が取り付けられている。
基板ホルダー5の下方のチャンバー底壁1Lには孔が開けられており、この孔に、蒸発材料6を収容するための凹部7が設けられた坩堝8が、真空チャンバー外に設けられた駆動機構9により、上下方向(基板に近づく方向及び基板から遠ざかる方向)に移動可能に取り付けられている。
10は電子銃で、該電子銃は、ここからの電子ビームが偏向器(図示せず)により270゜偏向され、凹部7に収容された蒸発材料6を衝撃加熱する位置に配設されている。尚、電子銃10と凹部7との間には、電子銃10から発生し、偏向器(図示せず)で270゜偏向された電子ビームEBで蒸発材料上を走査させるための走査用コイル(図示せず)が設けられている。
11は、凹部7からの蒸発粒子の基板ホルダー5方向への飛散を遮蔽することが出来るシャッターで、支持棒12及び回転軸13を介してモーター14により回転可能に取り付けられている。
尚、前記坩堝8の上下移動を司る駆動機構9、シャッター11の回転を司るモーター14、真空ポンプ3、電子銃10、偏向器(図示せず)及び走査コイル(図示せず)は制御装置(図示せず)の指令に従って作動する。
【0003】
この様な構成の真空蒸着装置で基板上に成膜を行う場合、先ず、真空チャンバー1内を真空ポンプ3により真空排気する。
【0004】
真空チャンバー1内が所定の真空度に達したら、電子銃10を作動させる。この時、既に、モーター14の作動によりシャッター11は坩堝8と基板4との間、即ち、遮蔽位置に来ている。
【0005】
電子銃10の作動により、該電子銃からの電子ビームEBは偏向器(図示せず)により270゜偏向され、凹部7に収容されている蒸発材料6に当たる。そして、走査コイル(図示せず)の働きにより、電子ビームEBは該蒸発材料8上を走査する。尚、電子銃10はフィラメント,グリッド及びアノードから成り、フィラメントから発生した電子ビームは、グリッドを介して一定の開き角でアノードを通過し、偏向器などの構造の工夫により、蒸発材料6の溶融面が所定の高さにある時に、その溶融表面上で一定の径のスポット状断面を成して当たるように成っている。この時のスポット径を基準スポット径と称す。
【0006】
この電子ビームの衝撃により、蒸発材料は加熱され、やがて蒸発を始める。
この蒸発が安定したら、モーター14の作動により、シャッター11は坩堝8と基板4を結ぶライン上から大きく外れた位置に回転移動する。
該移動により、凹部7からの蒸発粒子は基板4に到達し、これらの表面に薄膜状に付着する。
【特許文献1】
特開平9−143697号公報
【特許文献2】
特開平6− 73543号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
さて、坩堝8に収容された蒸発材料6の蒸発が進んでいくと、該蒸発時間に応じて蒸発材料の溶融表面の高さが低くなる。すると、高さの変化につれて、その溶融表面上の電子ビームスポット径が基準スポット径に対して徐々に大きくなり、溶融表面上の電子ビームスポットが徐々にぼけてくる。
この様に溶融表面上での電子ビームがぼけてくると、溶融表面上での電子ビームの単位面積当たりのビーム量、即ち、電子密度が低下し、蒸発材料に対する衝撃力が弱くなり、蒸発材料の蒸発量が低下してくる。この結果、基板上での成膜に斑が発生し、成膜製品の質が悪化する。
【0008】
そこで、蒸発時間に関係づけて、駆動機構9により坩堝8を基板方向に漸次上昇させ、蒸着時においては、常に、蒸発材料の溶融表面が所定の高さに維持されるように成している。
【0009】
所で、坩堝8と接するチャンバー底壁1Lの孔部内面には、チャンバー1内の真空を維持するために、図2に示す様に、例えば、オーリング15の如き真空シール手段が設けられており、このオーリング15により真空シールされながら坩堝8は基板方向に移動させられる。図2の(a)は蒸発材料がたっぷり入っている初期の蒸着時の状態を示し、図2の(b)は蒸発材料が可成り減ってきた終期の蒸着時の状態を示している。
【0010】
この様な坩堝8の移動により、坩堝8が初期の蒸着時に底壁1Lの孔部内面と接していたシール面が真空チャンバー1内に移動するので、蒸発材料の蒸発粒子で蒸着されてしまう。
【0011】
そして、坩堝8が元の所定位置に戻された時、シール面とオーリング15との間に蒸着膜が介在することになり、真空シール性が低下する。しかも、この膜は一様に付いていないので、真空シール性の低下は著しい。
【0012】
本発明は、この様な問題点を解決する為になされたもので、新規な真空蒸着装置を提供することを目的とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】
本発明に基づく真空蒸着装置は、蒸発材料を収容し、その一部が真空チャンバー壁にシールされた状態で支持された坩堝、蒸発材料を衝撃して蒸発材料を蒸発させるための電子ビームを発生する電子照射手段、及び蒸発粒子が膜状に付着させられる基板をセットした基板ホルダーを備え、坩堝を基板に近づく方向及び基板から離れる方向に移動可能に成した真空蒸着装置において、坩堝側面を筒状体で囲う様に成したことを特徴とする。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して本発明の実施の態様の形態を詳細に説明する。
【0015】
図3は本発明の真空蒸着装置の一部概略例を示しており、図3の(a)は蒸発材料6がたっぷり入っている初期の蒸着時の状態を示し、図3の(b)は蒸発材料6が可成り減ってきた終期の蒸着時の状態を示している。図中、前記図1及び2にて使用した記号と同一記号の付されたものは同一構成要素を示す。
【0016】
図中16は一端がチャンバー底壁1Lに取り付けられた第1円筒体、17は他端部が坩堝8の上側面に取り付けられ、前記第1円筒体より少し径の大きい第2円筒体で、これらの円筒体は、坩堝8を最大限移動させた時(図3の(b)に近い状態)に、前記第1円筒体16の他端部と第2円筒体17の一端部が重なる長さに形成されている。
【0017】
尚、第1円筒体16の他端部と第2円筒体の一端部に互いに向かい合う様な鍔を設けても良い。
【0018】
この様な構成の円筒体が側面周囲に設けられた坩堝8を図1に示す如き真空蒸着装置に取り付けた場合を想定し、基板4上に成膜を行う動作について説明する。
先ず、真空チャンバー1内を真空ポンプ3により真空排気する。
【0019】
真空チャンバー1内が所定の真空度に達したら、電子銃10を作動させる。この時、既に、モーター14の作動によりシャッター11は坩堝8と基板4との間、即ち、遮蔽位置に来ている。又、坩堝8の凹部7内に蒸発材料6が満たされており、その溶融表面が所定の高さ成るように駆動機構9は坩堝8を移動させている。
【0020】
電子銃10の作動により、該電子銃から発生した電子ビームEBは偏向器(図示せず)により270゜偏向され、凹部7に収容されている蒸発材料6の表面に当たる。そして、走査コイル(図示せず)の働きにより、電子ビームEBは該蒸発材料6上を走査する。この電子ビームの衝撃により、蒸発材料は加熱され、やがて蒸発を始め、この蒸発が安定したら、モーター14の作動により、シャッター11を坩堝8と基板4とを結ぶライン上から大きく外れた位置に回転移動させ、凹部7からの蒸発粒子を基板4の表面に薄膜状に付着させる。
この蒸着においては、蒸着時間と、蒸発材料の溶融表面の高さの変化との関係に基づいて、駆動機構9は坩堝8を上昇移動させ、常に、溶融表面の高さが所定の高さになるようにしている。
図3の(a)は蒸発材料6がたっぷり入っている初期の蒸着時の状態を示しており、坩堝8は移動しておらず、第2円筒体17は第1円筒体16に完全に覆っている。
図3の(b)は、蒸着時間が経つに従って徐々に坩堝8を上昇させ、蒸発材料6が可成り減ってきた時、即ち、坩堝8が最大限移動させた時に近い状態を示しており、前記第1円筒体16の他端部と第2円筒体17の一端部が重なる状態となっている。
この様に、坩堝8の凹部7に収容された蒸発材料6の蒸着を行っている間、坩堝8の真空シール面(坩堝8が初期の蒸着時に底壁1Lの孔部内面と接していた面)を含む坩堝8の側面が第1円筒体16と第2円筒体17によって、蒸発粒子の付着から守られている。この結果、坩堝8が元の所定位置に戻された時、シール面とオーリング15との間に蒸着膜が全く介在することが無く、真空シール性が悪化しない。
図4は本発明の真空蒸着装置の他の一部概略例を示しており、図4の(a)は蒸発材料6がたっぷり入っている初期の蒸着時の状態を示し、図4の(b)は蒸発材料6が可成り減ってきた終期の蒸着時の状態を示している。
この例においては、3個の円筒体18,19,20が使用されており、第1円筒体18の一端部が真空チャンバー底壁1Lに取り付けられ、第3円筒体20の他端部が坩堝8の側面上部に取り付けられ、第2円筒体19は何処にも固定されておらず、第1円筒体18の径より第2円筒体19の径が大きく、第2円筒体の径より第3円筒体20の径が大きく形成されている。又、第3円筒体20の一端部と第2円筒体19の他端部には互いに向き合う鍔が設けられ、第2円筒体19の一端部と第1円筒体の他端部には互いに向き合う鍔が設けらており、坩堝8を最大限移動させた時(図4の(b)に近い状態)に、第2円筒体19の他端部が第3円筒体20一端部と引っかかり合い、第2円筒体19の一端部が第1円筒体18の他端部と引っかかり合う様に構成されている。
尚、坩堝8を最大限移動させた時(図4の(b)に近い状態)に第2円筒体19の一端部が第1円筒体18の他端部に重なればよいので、必ずしも引っかかり合う必要はなく、離れて向かい合った状態でも良い。又、坩堝8を最大限移動させた時(図4の(b)に近い状態)に第2円筒体19の一端部が第1円筒体18の他端部に重なればよいので、第2円筒体19の一端部と第1円筒体18の他端部に鍔部を必ずしも設けなくても良い。
図4の(a)は蒸発材料6がたっぷり入っている初期の蒸着時の状態を示しており、坩堝8は移動しておらず、第1円筒体18は第2円筒体19で完全に覆われており、第2円筒体19は第3円筒体20で完全に覆われている。
図4の(b)は、蒸着時間が経つに従って徐々に坩堝8を上昇させ、蒸発材料6が可成り減ってきた時、即ち、坩堝8が最大限移動させた時に近い状態を示して示しており、前記第1円筒体18の他端部と第2円筒体19の一端部が引っかかり合い、第2円筒体19の他端部と第3円筒体20の一端部が引っかかり合った状態に成っている。
この様に、坩堝8の凹部7に収容された蒸発材料6の蒸着を行っている間、坩堝8の真空シール面(坩堝8が初期の蒸着時に底壁の孔部内面と接していた面)を含む坩堝8の側面が第1円筒体18,第2円筒体19及び第3円筒体20によって、蒸発粒子の付着から守られている。この結果、坩堝8が元の所定位置に戻された時、シール面とオーリング15との間に蒸着膜が全く介在することが無く、真空シール性が悪化しない。
尚、上記例は、3個の円筒体を使用する場合であるが、4個以上の円筒体を使用しても同様な効果が得られる。特に、坩堝が大型化等により蒸発材料を収容する凹部を深くし、坩堝の上下移動量を大きくした場合には、有効である。
この様に4個以上の円筒体を使用した場合には、N(N≧4)個の円筒体の内、1番目の円筒体の一端部が真空チャンバー底壁1Lに取り付けられ、N番目の円筒体の他端部が坩堝8の上部に取り付けられ、坩堝8が基板4に最も近づく様に移動した時(即ち、坩堝を最大上昇移動させた時)に1番目の円筒体の他端部と2番目の円筒体の一端部が重なり、I(3≦I<N)番目の円筒体の一端部が(I−1)番目の円筒体の他端部と引っかかり合い、I番目の円筒体の他端部が(I+1)番目の円筒体の一端部と引っかかり合う様に成す。尚、3個の円筒体を使用した場合と同様に、2番目の円筒体の一端部と1番目の円筒体の他端部に鍔部を必ずしも設けなくても良い。
図5は本発明の真空蒸着装置の他の一部概略例を示しており、図5の(a)は蒸発材料6がたっぷり入っている初期の蒸着時の状態を示し、図5の(b)は蒸発材料6が可成り減ってきた終期の蒸着時の状態を示している。
この例においては、一端部が真空チャンバ底壁1Lに取り付けられ、他端部が坩堝上部に取り付けられた筒状の伸縮体21が使用されている。この例では、伸縮体としてベローズが使用されている。
図5の(a)は蒸発材料6がたっぷり入っている初期の蒸着時の状態を示しており、坩堝8は移動しておらず、坩堝8の、伸縮体取り付け部以下の側面は筒状の伸縮体21で完全に覆われておいる。又、図5の(b)は、蒸着時間が経つに従って徐々に坩堝8を上昇させ、蒸発材料6が可成り減ってきた時、即ち、坩堝8が最大限移動させた時に近い状態を示して示しており、筒状の伸縮体21が伸びているが、依然として坩堝8の、伸縮体取り付け部以下の側面は筒状伸縮体21で完全に覆われている。
この様に、坩堝8の凹部7に収容された蒸発材料6の蒸着を行っている間、坩堝8の真空シール面(坩堝8が初期の蒸着時に底壁の孔部内面と接していた面)を含む坩堝8の側面が筒状伸縮体21によって、蒸発粒子の付着から守られている。この結果、坩堝8が元の所定位置に戻された時、シール面とオーリング15との間に蒸着膜が全く介在することが無く、真空シール性が悪化しない。
尚、前記例では、筒状伸縮体としてベローズを使用する例を示したが、ベローズの代わりに、薄い帯状の金属板を渦巻き状に巻き、全体として筒状になっているものを使用しても良い。
図6は本発明の真空蒸着装置の他の一部概略例を示しており、図6の(a)は蒸発材料6がたっぷり入っている初期の蒸着時の状態を示し、図6の(b)は蒸発材料6が可成り減ってきた終期の蒸着時の状態を示している。
この例においては、上端と下端に鍔22U,22Dを持ち、坩堝側面との間に隙間が出来る程度の内径の円筒体22の下端の鍔22Dを真空チャンバー底壁1Lに固定している。
図6の(a)は蒸発材料6がたっぷり入っている初期の蒸着時の状態を示しており、坩堝8は移動しておらず、坩堝の8の側面は円筒体22で完全に覆われておいる。又、図6の(b)は、蒸着時間が経つに従って徐々に坩堝8を上昇させ、蒸発材料6が可成り減ってきた時、即ち、坩堝8が最大限移動させた時に近い状態を示しており、坩堝側面は円筒体22で完全に覆われている。
この様に、坩堝8の凹部7に収容された蒸発材料6の蒸着を行っている間、坩堝8の真空シール面(坩堝8が初期の蒸着時に底壁の孔部内面と接していた面)を含む坩堝8の側面が円筒体22によって、蒸発粒子の付着から守られている。この結果、坩堝8が元の所定位置に戻された時、シール面とオーリング15との間に蒸着膜が全く介在することが無く、真空シール性が悪化しない。
尚、この例の場合には、円筒体22と坩堝側面間の隙間から、僅かではあるが、蒸発粒子が入り込む恐れがある。
前記例は、蒸発粒子をそのままの状態で基板に付ける装置について取り上げたが、本発明は、基板と坩堝の間に高周波電極等の電極を配置して、蒸発粒子をイオン化し、イオン化した粒子(中性粒子も含む)を基板に付けるイオンプレーティング装置や、真空チャンバー内若しくはチャンバー外に別に設けたプラズマ源からの電子を蒸発粒子に衝突させて蒸発粒子をイオン化し、イオン化した粒子(中性粒子も含む)を基板に付ける装置等にも応用可能である。
又、前記例では、蒸発材料を収容するための凹部が1個設けられた坩堝を使用した真空蒸着装置を示したが、複数の凹部を有し、坩堝を回転させることによって電子ビームで加熱される蒸発材料を収容する凹部を電子ビーム照射位置に移動させることが出来る坩堝を使用した真空蒸着装置にも本発明は応用できることはいうまでもない。この場合、坩堝が回転しても、図3及び図4においては坩堝に取り付けられた円筒体だけが同期して回転するので真空シール効果に何ら支障はない。又、図6においては坩堝が回転しても、円筒体は回転せず、この場合も真空シール効果に何ら支障はない。又、図5に示すの場合には、筒状伸縮体の他端部を坩堝の上部に取り付ける時に、坩堝の取り付け面の周辺に近い同一半径ラインに沿って環状の溝を掘り、その溝内に溝の径より小さいが、該溝の開口から抜けない大きさの径を有する球状体をはめ込み、この球状体に筒状伸縮体の他端部の先端と接続すれば、坩堝が回転しても、溝内で球状体が滑り、筒状伸縮体は回転せず、この場合も真空シール効果に何ら支障は起きない。
又、前記図3,4及び6に示す筒体は必ずしも円筒形状のものでなくとも良い。
【図面の簡単な説明】
【図1】真空蒸着装置の一概略例を示したものである。
【図2】従来の真空蒸着装置の一部概略例を示したものである。
【図3】本発明の真空蒸着装置の一部概略例を示したものである。
【図4】本発明の真空蒸着装置の他の一部概略例を示したものである。
【図5】本発明の真空蒸着装置の他の一部概略例を示したものである。
【図6】本発明の真空蒸着装置の他の一部概略例を示したものである。
【番号の説明】
1…真空チャンバー
2…排気通路
3…真空ポンプ
4…基板
5…基板ホルダー
6…蒸発材料
7…凹部
8…坩堝
9…駆動機構
10…電子銃
11…シャッター
12…支持棒
13…回転軸
14…モーター
1L…チャンバー底壁
15…オーリング
16…第1円筒体
17…第2円筒体
18…第1円筒体
19…第2円筒体
20…第3円筒体
21…筒状伸縮体
22…円筒体
22U,22D…鍔
Claims (8)
- 蒸発材料を収容し、その一部が真空チャンバー壁にシールされた状態で支持された坩堝、蒸発材料を衝撃して蒸発材料を蒸発させるための電子ビームを発生する電子照射手段、及び蒸発粒子が膜状に付着させられる基板をセットした基板ホルダーを備え、坩堝を基板に近づく方向及び基板から離れる方向に移動可能に成した真空蒸着装置において、坩堝側面を筒状体で囲う様に成したことを特徴とする真空蒸着装置。
- 筒状体は2つの筒状体から成り、一方の筒状体の一端部が真空チャンバー壁に取り付けられ、他方の筒状体の他端部が坩堝の上部に取り付けられており、坩堝が基板に最も近づく様に移動した時に、一方の筒状体の他端部と他方の筒状体の一端部が重なるように成した請求項1記載の真空蒸着装置。
- 筒状体は3個の筒状体から成り、1番目の筒状体の一端部が真空チャンバー壁に取り付けられ、3番目の他端部が坩堝の上部に取り付けられており、坩堝が基板に最も近づく様に移動した時に1番目の筒状体の他端部と2番目の筒状体の一端部が重なり、2番目の筒状体の他端部が3番目の一端部と引っかかり合う様に成した請求項1記載の真空蒸着装置。
- 筒状体はN(N≧4)個の筒状体から成り、1番目の筒状体の一端部が真空チャンバー壁に取り付けられ、N番目の筒状体の他端部が坩堝の上部に取り付けられており、坩堝が基板に最も近づく様に移動した時に1番目の筒状体の他端部と2番目の筒状体の一端部が重なり、I(3≦I<N)番目の筒状体の一端部が(I−1)番目の筒状体の他端部と引っかかり合い、I番目の筒状体の他端部が(I+1)番目の筒状体の一端部と引っかかり合う様に成した請求項1記載の真空蒸着装置。
- 筒状体は、一端部が真空チャンバー壁に取り付けられ、他端部が坩堝上部に取り付けられた伸縮部材から成る請求項1記載の真空蒸着装置。
- 筒状体はベローズから成る請求項5記載の真空蒸着装置。
- 筒状体は帯状の金属板を渦巻き状に巻いたものから成る請求項5記載の真空蒸着装置。
- 筒状体は、坩堝側面との間に隙間が出来るように、一端部が真空チャンバー壁に取り付けられている請求項1記載の真空蒸着装置。
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