JP2823834B2 - 蒸着装置におけるるつぼ部機構 - Google Patents

蒸着装置におけるるつぼ部機構

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JP2823834B2
JP2823834B2 JP7375796A JP7375796A JP2823834B2 JP 2823834 B2 JP2823834 B2 JP 2823834B2 JP 7375796 A JP7375796 A JP 7375796A JP 7375796 A JP7375796 A JP 7375796A JP 2823834 B2 JP2823834 B2 JP 2823834B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、蒸着装置における
るつぼ部機構に関する。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】従来、
薄膜形成装置として図2に示すように、圧力勾配型プラ
ズマガン等のプラズマガン3から発生したプラズマビー
ムPをるつぼ6に収束させ、るつぼ6内の蒸発材料Jを
蒸発させて基板Sに薄膜を形成する蒸着装置20が使用
されている。上記蒸着装置20では、基板Sに蒸発材料
Jを蒸着させる際、るつぼ6の縁部6aにも蒸発材料J
が蒸着する。したがって、上記蒸発材料Jが絶縁物材料
である場合、るつぼ6上面に絶縁物が堆積してるつぼ6
はプラズマビームPの引込用電極としての機能を失な
う。すなわち、プラズマガン3を一度停止すると再度立
ち上げることが出来ず、断続的なプロセス運転ができな
くなることがあった。そのため、蒸着装置20では、真
空室2内を復圧して基板Sを交換する際、るつぼ6の縁
部6aから堆積絶縁物を除去しなければならず、生産効
率がきわめて悪いという問題点があった。
【0003】るつぼ6の縁部6aに絶縁膜が形成するこ
とを防止する蒸着装置として、図3に示す蒸着装置30
がある。この蒸着装置30は、るつぼ6の上方に該るつ
ぼ6の縁部6a上面を覆う切り欠き部を有する一対の防
着板31、31を切り欠き部を対向させた状態で水平方
向に移動可能に設け、プラズマガン3の立ち上げ時には
上記防着板31、31を外方に移動させてるつぼ6の縁
部6aを露出させ、るつぼ6を電極として機能させてい
る。そして、プラズマビームPが蒸発材料Jに収束して
蒸発材料Jが加熱され、蒸発材料Jの表面にプラズマビ
ームの通電が確保されて蒸発材料Jの蒸発が開始する
と、上記防着板31、31を元の状態に移動させてるつ
ぼ6の縁部6a上面を覆い、蒸発材料Jがるつぼ6の縁
部6aに蒸着するのを防止するようになっている。ま
た、図4に示すように、るつぼ6の近傍に電極8を配置
し、この電極8を覆う可動式防着板41を備えた蒸着装
置40も考えられている。
【0004】しかしながら、上記蒸着装置30では、防
着板31、31がるつぼ6の縁部6a上面を十分に覆う
ことができず、るつぼ6の縁部6aへの蒸発材料Jの蒸
着を完全に防止することができないため、プラズマガン
3を立ち上げる際の放電が不安定になるという問題点を
有していた。また、可動式防着板41を備えた蒸着装置
40では、防着板の防熱対策が必要となるとともに、る
つぼ6の縁部6aへの蒸発材料Jの蒸着を完全に防止す
ることができないため、同様の問題点を有している。
【0005】したがって本発明は、蒸着物質が絶縁性で
あってもメンテナンスの必要が極めて少なく、長期にわ
たってプラズマガンを起動させることができる蒸着装置
におけるるつぼ部機構を提供することを目的としてい
る。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に本発明に係る蒸着装置におけるるつぼ部機構は、プラ
ズマビームによりるつぼ内の絶縁材料からなる蒸発材料
を蒸発させて基板に成膜する蒸着装置において、上記る
つぼの上方に上記るつぼの縁部上方とその外方とを往復
可能とした電極を設けるとともに、上記電極より上方に
るつぼ縁部外側形状の開口部を備えた防着板を近接して
設けてある。
【0007】
【発明の実施の形態】以下、添付図面を参照して本発明
に係る実施の形態について説明する。図1は、本発明に
係る蒸着装置1を示し、蒸着装置1は、真空室2の側壁
に取り付けられた圧力勾配型大電流低電圧プラズマガン
3及びプラズマビーム収束用コイル4と、真空室2の内
部底面に配置されたプラズマビーム偏向・収束用永久磁
石5、該永久磁石5の上部に配置されたるつぼ6及びる
つぼ部機構7とで構成されている。
【0008】上記るつぼ部機構7は、るつぼ6の上方に
該るつぼ6の縁部6a内縁と同形状の内縁を有する2分
割した一対の移動電極8、8と、該移動電極8、8の上
方に近接して配置された、るつぼ6の縁部6a外縁形状
の開口部9aを有する防着板9とで構成されている。上
記移動電極8、8は、図示しないレールに沿ってるつぼ
6の縁部6a上方を覆う位置と縁部6a上方を露出する
ように水平方向に往復可能に設けられている。なお、上
記移動電極8、8は水冷構造となっている。
【0009】また、上記プラズマガン3にはプラズマガ
ン用電源10のマイナス側10aが接続され、上記るつ
ぼ6及び移動電極8、8には上記電源のプラス側10b
及びアース11が接続されている。
【0010】上記構成からなる蒸着装置1で蒸着処理を
行うには、絶縁物質からなる蒸発材料Jを収容したるつ
ぼ6を真空室2内に位置させ、真空室2の内部上方のホ
ルダ(図示せず)に基板Sを取り付け、真空室2を真空
排気した後、放電ガスと、必要に応じて反応ガスを真空
室2に供給する。次に、移動電極8、8をるつぼ6の縁
部6aの上部に位置させて該縁部6aを被覆した状態で
プラズマガン3を起動してプラズマビームPを発生させ
、このプラズマビームPをプラズマビーム収束用コイ
ル4の磁場によって真空室2内に引き出し、移動電極
8、8の電場、るつぼ6の電場及び永久磁石5の磁場に
よってるつぼ6に収束させて蒸発材料Jを加熱して蒸発
させる。
【0011】加熱された蒸発材料Jは電気抵抗値が低下
するが、蒸発材料Jから放出された熱電子により蒸発材
料Jの表面がるつぼ6と通電する状態となるためプラズ
マビームPの照射は継続される。また、蒸発材料Jが加
熱され蒸発を開始すると移動電極8、8を外方に移動し
て防着板9の下方に退避させて移動電極8、8の上面へ
の蒸発材料Jの付着を防止する。なお、このとき、移動
電極8、8への電圧印加を停止し、プラズマビームPの
るつぼ6への収束を安定させてもよい。蒸発した蒸発材
料Jは反応ガスと反応して基板Sに蒸着される。
【0012】上記蒸発材料Jは絶縁性物質であるため、
蒸発材料JのチャージアップによりプラズマビームPの
蒸発材料Jへの照射が停止することが予想されるが、る
つぼ6にプラズマビームPが収束しているため、真空室
2内に形成された通電経路によってプラズマビームPの
蒸発材料Jへの照射は継続され、蒸発材料Jは蒸発して
基板Sに蒸着される。
【0013】そして、蒸着が終了すると、プラズマガン
3を停止し、基板Sを交換して再度蒸着工程を行うが、
この場合、移動電極8、8は蒸着工程中防着板9の下方
に退避してその上面は遮蔽されているため蒸着物質の蒸
着は極めて少ない。したがって、プラズマガン3の立ち
上げも容易に、かつ長期にわたって行われる。
【0014】次に、上記蒸着装置1において、移動電極
8、8を使用した場合と使用しなかった場合について行
った実験について説明する。放電電流:120A、放電
電圧:120V、放電圧力:2×10-4Torr、酸素
流量:10sccm(反応ガス)、Ar流量:20sc
cm(放電ガス)、SiO2(蒸発材料)の条件下にお
いて、移動電極8、8を防着板9の下部、プラズマビー
ムPから遮蔽される領域に移動し、プラズマガン3を立
ち上げる際に移動電極8、8を使用せず、るつぼ6のみ
を電極として使用してプラズマガン3を立ち上げた後、
基板に1μmの膜を蒸着した。プラズマガン3を停止
し、再度プラズマガン3を立ち上げたところ、るつぼの
縁部6a上面及びるつぼ6の周囲に蒸着されたSiO2
からなる絶縁膜によってるつぼ6が電極としての機能を
喪失したため、プラズマガン3の立ち上げが出来ず、異
常放電が発生した。
【0015】るつぼの縁部6a上面等に蒸着された絶縁
膜はそのままにして、上記したように、移動電極8、8
をプラズマガン3立ち上げの電極として使用したとこ
ろ、プラズマガン3をスムーズに立ち上げることができ
た。また、蒸発材料が蒸発を開始したところで移動電極
8、8を防着板9の下部、プラズマビームPから遮蔽さ
れた領域に移動し、基板に1μm厚の膜を蒸着した後、
再度プラズマガン3を停止し、移動電極8、8を移動し
て電極として使用してプラズマガン3を再々度立ち上げ
たところプラズマガン3の立ち上げに支障は見られなか
った。同様にして基板に1μmずつ膜を蒸着し、プラズ
マガン3の停止・立ち上げ操作を連続して8回繰り返し
て行ったところ(プロセス断続運転)プラズマガン3の
立ち上げはスムーズ行うことが出来た。
【0016】なお、蒸着処理は上記蒸着装置1のような
バッチ式処理に限らず、基板を連続的に真空室内を通過
させて蒸着処理を行う連続式処理であってもよい。
【0017】
【発明の効果】以上の説明から明らかなように、本発明
に係る蒸着装置におけるるつぼ部機構では、プラズマガ
ンの立ち上げ時には移動電極によってプラズマビームを
るつぼに収束させ、蒸発材料が蒸発を開始したところ
で、移動電極を防着板により形成された遮蔽領域に移動
させて移動電極に蒸発材料が蒸着することを防止してい
る。したがって、蒸発材料が絶縁性物質であってるつぼ
の縁部上面に蒸着し、るつぼが電極としての機能を喪失
する場合においても、プラズマガンの立ち上げは移動電
極により確実に行われ、断続的にプラズマガンを起動さ
せることができる。また、移動電極は蒸着工程中その上
面を防着板で被覆されているため、絶縁性物質の蒸着は
極めて少なく、蒸着物の除去等のメンテナンスの必要が
殆ど不要なのでそれだけ作業効率を向上させることがで
きる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明に係る蒸着装置におけるるつぼ部機構
を有する蒸着装置の縦断面図である。
【図2】 従来の蒸着装置の縦断面図である。
【図3】 防着板を有する従来の蒸着装置の縦断面図で
ある。
【図4】 可動式防着板を有する従来の蒸着装置の縦断
面図である。
【符号の説明】
1…蒸着装置、2…真空室、3…圧力勾配型大電流低電
圧プラズマガン、5…プラズマビーム偏向・収束用永久
磁石、6…るつぼ、6a…るつぼの縁部、7…るつぼ部
機構、8…移動電極、9…防着板、9a…開口部、P…
プラズマビーム、S…基板、J…蒸発材料。

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 プラズマビームによりるつぼ内の絶縁材
    料からなる蒸発材料を蒸発させて基板に成膜する蒸着装
    置において、上記るつぼの上方に上記るつぼの縁部上方
    とその外方とを往復可能とした電極を設けるとともに、
    上記電極より上方にるつぼ縁部外側形状の開口部を備え
    た防着板を近接して設けたことを特徴とする蒸着装置に
    おけるるつぼ部機構。
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KR102573358B1 (ko) * 2015-07-21 2023-08-30 스미도모쥬기가이고교 가부시키가이샤 음이온생성장치
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