JP2004269839A - 支承用高減衰性ゴム組成物 - Google Patents
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Abstract
【目的】極端な厚肉製品である橋梁等支承ゴム用のゴム組成物としての加工性を改良するとともに、支承ゴムとしての機械的強度及び耐久性を改良する。
【構成】天然ゴム100重量部当たり、酢酸ビニルの含有率が80重量%のエチレン−酢酸ビニル共重合体を20重量部、重量平均アスペクト比が30,重量平均フレーク径が40μmのマイカを10重量部、カーボンブラックを30重量部、老化防止剤を5重量部、ステアリン酸を1重量部、硫黄を2.5重量部、加硫促進剤を0.4重量部配合し、150℃で約10分間加硫し、100%M(kgf/cm2)を24、引張強さ(kgf/cm2)を202、伸びを575%、デュロメーターA硬度を66にし、剪断貯蔵弾性率(kgf/cm2)を8.2、tan δを0.12、及び−10℃/20℃のG比を1.3にする。
【構成】天然ゴム100重量部当たり、酢酸ビニルの含有率が80重量%のエチレン−酢酸ビニル共重合体を20重量部、重量平均アスペクト比が30,重量平均フレーク径が40μmのマイカを10重量部、カーボンブラックを30重量部、老化防止剤を5重量部、ステアリン酸を1重量部、硫黄を2.5重量部、加硫促進剤を0.4重量部配合し、150℃で約10分間加硫し、100%M(kgf/cm2)を24、引張強さ(kgf/cm2)を202、伸びを575%、デュロメーターA硬度を66にし、剪断貯蔵弾性率(kgf/cm2)を8.2、tan δを0.12、及び−10℃/20℃のG比を1.3にする。
Description
【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は高減衰性ゴム組成物に関する。より詳細に述べれば、本発明は、天然ゴム及びポリオレフィン系共重合体を主成分とし、プラスチック及びゴム用各種添加剤を配合した高減衰性ゴム組成物に関する。
本発明の高減衰性ゴム組成物は、自動車用防振ゴム、橋梁・高架橋用支承ゴムとして使用される。
【0002】
【従来技術の説明】
本発明で使用する用語「減衰」とは、被支承体の伸縮、回転をゴムの弾性変形により吸収する機能、或いは被支承体からの振動エネルギーを熱エネルギーに変換する機能と広義に定義する。
【0003】
橋梁の上部構造と下部構造の接点に配置して、上部構造からの反力を確実に下部構造に伝達するとともに、荷重による応力、温度変化、クリープ等による下部構造の伸縮、回転を円滑に行う装置としてゴム支承が使用されている。
【0004】
ゴム支承を橋梁へ使用する歴史は古く、たとえば、100年ほど前から、天然ゴム(以下、NRと略記する場合がある)パッドがメルボルン鉄道橋に、或いは40年ほど前から、天然積層ゴムがペルハム橋に使用されている。
【0005】
従来から支承用ゴムとしては、NRが使用されている。然しながら、NRは、橋梁の支承用としての厳しい使用環境下で、酸素による架橋の進行、分子切断等に起因する劣化が発生する。従って、近年、NRと各種の合成ゴムや、添加剤を配合して、支承用ゴムとしてのNRの耐久性の改良や、加工性の改良が行われている。
【0006】
特許第2709644号公報は、主鎖にC−C結合を含有する基材ゴム100重量部に、シリカを40〜160重量部添加し、そのシリカに対して特定のシラン化合物を5〜50重量部配合し混練した免震用又は制振用シリカ配合高減衰ゴム組成物を開示している。
【0007】
特許第2709644号公報が開示する高減衰ゴム組成物は、シリカを配合することにより、混練り加工性を改良するとともに、高減衰特性、弾性率の温度依存性を小さくしたものである。
【0008】
特許第3124097号公報は、NR100重量部に、軟化点が333°K〜373°Kのクマロン樹脂を15〜45重量部配合して加硫した免震用高減衰ゴム組成物を開示している。
【0009】
特許第3124097号公報が開示する免震用高減衰ゴム組成物は、高減衰性を有し引張強さ、伸び、弾性率の温度依存性並びに耐クリープ性のバランスを改良したものである。
【0010】
特公平6−45726号公報は、イソプレン(IR)の1,2−又は3,4−結合の含有率の合計が20%以上60%未満のポリイソプレンゴム10〜60重量部、NR、ブタジエンゴム(BR)、スチレンブタジエンゴム(SBR)、上記以外のポリイソプレンゴムから選択されたゴム40〜90重量部を含む高減衰免震ゴム組成物を開示している。
【0011】
特公平6−45726号公報が開示する高減衰免震ゴム組成物は、低クリープ特性、低温度依存性、耐破壊性を改良すると同時に、ロス特性を大きくしたものである。
【0012】
特開昭63−22847号公報は、NRを主成分とするゴム100重量部に、シクロペンタジエン樹脂及び/又はジシクロペンタジエン樹脂を15〜100重量部配合した高ロスゴム組成物を開示している。
【0013】
特開平1−103637号公報は、NR100重量部に、軟化点又は融点が423°K以下のフェノール樹脂を3〜40重量部配合した高ロスゴム組成物を開示している。
【0014】
特開平2−32135号公報は、IRの1,2−又は3,4−結合の含有率の合計が20%以上60%未満のポリイソプレンゴムを含む高減衰免震ゴム組成物を開示している。
【0015】
特開平2−308835号公報は、特定のSBR5〜50重量部を含有したゴム成分100重量部に、特定のカーボンブラックを15〜50重量部を含有した高減衰免震ゴム組成物を開示している。
【0016】
特開平2−34643号公報は、特定のSBRを含有するゴム100重量部に、特定のカーボンブラックを20〜60重量部を含有した高減衰免震ゴム組成物を開示している。
【0017】
特開平3−177441号公報は、NRを主成分とするゴム100重量部に、特定の熱可塑性炭化水素樹脂15〜60重量部と特定のカーボンブラックを40〜80重量部を配合した高減衰免震ゴム組成物を開示している。
【0018】
特開平10−2190929号公報は、ジエン系ゴム100重量部に、スチレンブロックを有する熱可塑性エラストマー共重合体5超〜50重量部を含有する高減衰免震ゴム組成物を開示している。
【0019】
特開平10−2190929号公報が開示する高減衰免震ゴム組成物は、弾性率の温度依存性を低減し、減衰性を必要に応じて適宜自由に選択できるようにしたものである。
【0020】
特開平11−117993号公報は、NRから成るベースゴム約70〜95重量部と水素添加液状イソプレンゴム約5〜30重量部とを含有するゴム100重量部に対して、熱可塑性樹脂を約15〜50重量部含有する高減衰ゴム組成物を開示している。
【0021】
特開平11−117993号公報が開示する高減衰ゴム組成物は、減衰性能と破断伸びとを両立したものである。
【0022】
特開2000−336207号公報は、ジエン系ゴム100重量部に、樹脂5〜55重量部、軟化剤0〜50重量部および補強剤20〜150重量部を含有する高減衰組成物において、特定の関係を満たすマスターバッチを作成し、第2段階以降においてそのマスターバッチ、残りのジエン系ゴム、補強剤、その他の配合剤を混合した高減衰ゴム組成物を開示している。
【0023】
特開2000−336207号公報が開示する高減衰ゴム組成物は、履歴依存性を小さくしたものである。
【0024】
特開2001−187826号公報は、NRを主成分として含有するゴム100重量部に、窒素吸着比表面積とDBP吸油量を特定したカーボンブラックと、シリカの合計50〜150重量部と、石油樹脂10〜50重量部を含有し、カーボンブラックとシリカの重量比率が95/5〜25/75である高減衰ゴム組成物を開示している。
【0025】
特開2001−187826号公報が開示する高減衰ゴム組成物は、温度依存性、機械的特性を低下させることなく、減衰性能を高めたものである。
【0026】
前述した従来技術は、いずれも、ゴム組成物としての加工性を改良するとともに、支承ゴムとしての減衰性能を高め、諸物性の温度依存性を小さくし、耐クリープ特性、耐破壊性を改良すると同時に、ロス特性を大きくしたものである。
【0027】
ところで、支承ゴムには、色々な形状があるが、通常のゴム製品に比べて厚肉になる。厚肉のゴム製品の場合は、加工性の良否が、製品コストに影響を与える。従って、本発明者は、ゴム組成物としての加工性を改良するとともに、支承ゴムとしての機械的強度及び耐久性を改良することを検討した。
【0028】
【発明が解決しようとする課題】
発明が解決しようとする課題は、ゴム組成物としての加工性を改良するとともに、支承ゴムとしての機械的強度及び耐久性を改良することである。
【0029】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、前記課題を解決するために、NRに配合する配合剤の種類と量を検討した。
【0030】
ゴムの機械的強度を向上させるために、通常、カーボンブラック、微粉末シリカ、珪酸カルシウム、炭酸マグネシウム、亜鉛華、クレー等の補強性充填剤を配合する。然しながら、充填剤を多く配合すると、クリープが大きくなる。従って、これらの充填剤に代替する配合剤を発見し、充填剤の配合量をできるだけ抑えることを検討した。
【0031】
前述した従来技術の中には、NRにSBRやNBR等の合成ゴムを配合した例があるが、これらの合成ゴムは内部摩擦が大きいので、クリープが大きくなる。従って、本発明者は、NRにSBRやNBR等の合成ゴムを配合することは、クリープの観点からは、得策ではないと考えた。
【0032】
先ず、比重から考察した。比重そのものは機械的強度自体を表さないが、ゴム製品が複雑な形状をしていたり、複合体の場合は、一応の目安になる。ゴムの比重は約1〜1.3の範囲である。補強性充填剤の比重は、大体1.8〜5弱である。ゴムに充填剤を混合する場合、比重は加成性が成立するから、充填剤の量が増えるほど、比重が高くなる。適量の補強性充填剤を配合することは、強度改良のために必要であるが、補強性充填剤は一般に比重は低く、最高の強度を与える量もそう多くなく、ゴムの50質量%以下であるので、比重はそう大きくならない。従って、強度の高いゴム製品は比重が大体1.5以下になる。即ち、比重が2以上もあるゴムは、強度が低いと断言できる。
【0033】
具体的に述べれば、ゴム製品の価格は、容積、即ち製品1個当たりで決定されるが、充填剤の価格は、重量で決定される。従って、他の性質が同じならば、比重が低いものを使用した方が、コスト面からも有利であるが、補強性との兼ね合いがある。安価な充填剤は一般に比重が大きく補強性が弱い。一方、補強性が強い充填剤は一般に比重が小さく、高価である。因みに、非常に補強性が強いカーボンブラックの比重は1.8〜1.9であるが、補強性が弱い亜鉛華の比重は5.6,炭酸バリウムの比重は4.3〜4.7である。
【0034】
上述した比重に関する考察から、NRに配合する補強性充填剤の量を少なくし、その替わりに配合する材料として、比重がゴムの比重に近く、できれば、ゴムの比重より低い材料を策定した。
【0035】
次ぎに、抗張力の観点から考察した。抗張力はゴムの機械的強度の判定の目安とされている。抗張力が大きいゴムは、他の機械的強度も高いとされている。補強性充填剤を配合しない純NR加硫物は、抗張力1.0kg/mm2、で伸張率が約1000%である。参考までに、補強性充填剤の配合量と、抗張力と伸張率の関係に論及すると、15%硫酸バリウムを配合したゴムは、抗張力1.0kg/mm2、で伸張率が約800%、15%亜鉛華を配合したゴムは、抗張力1.0kg/mm2、で伸張率が約700%、15%ランプブラックを配合したゴムは、抗張力1.0kg/mm2、で伸張率が約500%、15%チャンネルブラックを配合したゴムは、抗張力1.0kg/mm2、で伸張率が約400%である。
【0036】
上述した抗張力に関する考察から、NRに配合する補強性充填剤の量を少なくし、その替わりに配合する材料として、抗張力がゴムのそれに近い材料から策定した。
【0037】
以上の考察から、NRに配合する補強性充填剤の量を少なくし、その替わりに配合する材料を、(イ)内部摩擦が大きい合成ゴムではないこと、(ロ)比重がNRの比重以下であること、(ハ)抗張力ができるだけNRに近いこと、(ニ)NRとの相溶性がよく、ゴム組成物としての加工性を改良すること、(ホ)支承ゴムとして高減衰性能を低下させないことを要件として策定した。
【0038】
本発明者は、上記の要件を勘案して、各種の熱可塑性合成樹脂、合成ゴムを検討した結果、NRに配合する材料としてポリオレフィン系共重合体が上記の要件を満たしていることを発見した。
【0039】
従って、本発明は、天然ゴム100重量部当たり、ポリオレフィン系共重合体を10〜70重量部配合した高減衰性ゴム組成物である。
【0040】
本発明で使用するポリオレフィン系共重合体は、プロピレン−エチレン共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−アクリル酸共重合体、エチレン−エチルアクリレート共重合体、アイオノマー、塩化ビニル−プロピレン共重合体等が例示される。
【0041】
プロピレン−エチレン共重合体の比重は0.90〜0.91、引張強さは2.0〜3.2(kg/mm2,24℃)、破断伸びは600(%、24℃)である。
【0042】
エチレン−酢酸ビニル共重合体の比重は0.94,引張強さは1.0〜2.7(kg/mm2,24℃)、破断伸びは650〜900(%、24℃)である。エチレン−酢酸ビニル共重合体は、酢酸ビニルの含有率が7〜40重量%の組成範囲にある溶融成形用エチレンコポリマーである。酢酸ビニルの含有率が7重量%以下のものは、ポリエチレンの改質樹脂としての扱いとなり、一方、酢酸ビニルの含有率が20重量%以上のものは、結晶性を失い、エラストマーとしての性能を発揮する。特に、酢酸ビニルの含有率が50〜70重量%の組成域のものは、ガラス転移点が20℃以下となり、引張強さが極小値を示し、伸度が、1200%を示す。このような点を勘案すると、本発明で使用する好ましいエチレン−酢酸ビニル共重合体は、酢酸ビニルの含有率が25〜80重量%の組成範囲にあるもので、最も好ましいものは、45〜80重量%の組成範囲にあるものである。
【0043】
エチレン−アクリル酸共重合体の比重は0.92,引張強さは1.6〜4.2(kg/mm2,24℃)、破断伸びは650〜500(%、24℃)である。
【0044】
エチレン−エチルアクリレート共重合体の比重は0.93,引張強さは0.6〜1.4(kg/mm2,24℃)、破断伸びは350〜700(%、24℃)である。
【0045】
アイオノマーの比重は0.94,引張強さは2.5〜3.9(kg/mm2,24℃)、破断伸びは300〜400(%、24℃)である。
【0046】
塩化ビニル−プロピレン共重合体の比重は1.37,引張強さは5.3(kg/mm2,24℃)、破断伸びは100(%、24℃)である。
【0047】
本発明者は実験の結果、これらのポリオレフィン系共重合体は、いずれも前述した要件(イ)〜(ホ)を満たすこと、及び若干強度が劣る共重合体であっても、補強用充填剤を配合することによって、改良できることを確認した。
【0048】
本発明において、天然ゴム100重量部に対するポリオレフィン系共重合体の配合量が10重量部以下の場合、前述した要件(イ)〜(ホ)を満たすことが出来ないので、好ましくない。ポリオレフィン系共重合体の配合量が10重量部以下の場合、特に、支承ゴムとして高減衰性能が低下するので、好ましくない。
【0049】
本発明において、天然ゴム100重量部に対するポリオレフィン系共重合体の配合量が70重量部以上の場合、やはり前述した要件(イ)〜(ホ)を満たすことが出来ないので、好ましくない。特に、ポリオレフィン系共重合体の配合量が70重量部以上の場合、ロールに粘着し加工性を悪くするので、好ましくない。
【0050】
本発明のゴム組成物には、通常使用するゴム及びプラスチック用添加剤を配合することを妨げない。
【0051】
本発明のゴム組成物に配合する添加剤の中でも、機械的強度を改良する補強用充填剤が重要である。本発明のゴム組成物に配合できる補強用充填剤としては、カーボンブラック、粉末シリカ、炭酸カルシウム、珪酸カルシウム、炭酸マグネシウム、亜鉛華、クレー、マイカ等である。ただし、補強用充填剤と希釈用充填剤の区別は厳密なものではなく、相対的なもので、化学組成によらず、同一物質でも、粒径、表面状態等により両方にまたがるものもある。
【0052】
炭酸カルシウムは、通常のものでもよいが、白艶華、カルサインTなど表面をカルシウム石鹸で被覆したものは、粒子も細かく、ゴムへの分散性もよいので、相当多量に配合しても抗張力を落とさず、伸張率を大きくするので特に好ましい。
【0053】
クレー、カオリンは、微粒子のものは、安価な割にかなりの補強性をもつので、好ましい。
【0054】
炭酸マグネシウムは、粒子が細かく、異方性なので、相当の補強性をもつ。
【0055】
カーボンブラックは、補強性が最も強く、強度、耐摩耗性を向上させるので、本発明で好ましく使用される充填剤である。配合量は、NRの40〜50%程度の範囲である。カーボンブラックとしては、チャンネルブラックよりオイルファーネスブラックの方が、ゴムへの分散性もよく加工性を改良し、補強効果も大きいので特に好ましい。
【0056】
シリカ及び珪酸塩は、粒子が非常に細かく、チャンネルブラックに近い平均粒度をもっているので、補強性も大きく、耐摩耗性や引裂強度も強いので、カーボンブラック同様に、本発明で好ましく使用される充填剤である。
【0057】
マイカは、高いアスペクト比と高い弾性率により、優れた振動吸収性能をもつので、本発明で好ましく使用される充填剤である。特に、重量平均フレーク径(μm)が20〜280,重量アスペクト比が30〜70、かさ比重が0.25〜0.35の範囲のものが、NRとポリオレフィン系共重合体の強度、弾性率等機械的強度を高めると共に振動吸収特性を高めるので本発明で好ましく使用される。本発明において、NR100重量部に対するマイカの配合量は5〜15重量部、好ましくは5〜10で重量部である。マイカの配合量が大きくなると、硬度に影響は与えないが、応力が大きくなるので好ましくない。
【0058】
本発明で使用する充填剤は、粒子の形も重要な要素である。充填剤には、球に近い粒子と、方向により長さが異なる異方性のものがある。炭酸マグネシウムやクレーのように異方性の充填剤をゴムに配合した場合、硬度やモジュラスを高めるが、ゴム自体の強度にも方向性を与え、引裂強度や耐摩耗性を低くする。一方、カーボンブラック、粉末シリカ、炭酸カルシウムのように球形の充填剤は、引裂強度や耐摩耗性を大にし、加工性を改良する。いずれを選択するかは、必要とする最終要件によって決定するべきである。
【0059】
本発明で使用する充填剤は、粒子の大きさも重要な要素である。粒子の大きさは、補強性にとって最も重要な要素である。同一の充填剤でも細かくなるほど、補強性が大になる。
【0060】
本発明のゴム組成物には、加硫剤、加硫促進剤、分散剤、軟化剤、老化防止剤等ゴム・プラスチック用添加剤を配合することを妨げない。
【0061】
以下、実施例及び比較例により本発明を具体的に説明する。
【実施例1】
ポリオレフィン系共重合体として、大日本インキ株式会社製のエチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)(酢酸ビニルの含有率80重量%、商品名エバスレンL−8を使用し、下記の配合物を、150℃で約10分間加硫した。
【0062】
成 分 配合率(重量部)
NR 100
EVA 10
カーボンブラックFT(*1) 20
カーボンブラックISAF(*2) 30
老化防止剤6C(*3) 1
老化防止剤RD(*4) 1
老化防止剤オゾノック33(*5) 3
ステアリン酸(*6) 1
硫黄 2.5
加硫促進剤CBS(*7) 0.3
加硫促進剤TMTD(*8) 0.1
*1:FTサーマルカーボン(旭カーボン株式会社製 商品名アサヒサーマル)
*2:ISAFカーボン(昭和キャボット株式会社製 商品名ショウブラックN220)
*3:N−(1,3−ジメチルブチル)−N’−フェニル−p−フェニレンジアミン(バイエル社製 商品名ブルカノックス4020/LG)
*4:2,2,4−トリメチル−1,2−ジヒドロキノリンの重合物(大内新興化学工業株式会社製 商品名ノクラック224)
*5:大内新興化学工業株式会社製 商品名オゾノック33
*6:花王株式会社製 商品名ルナックS−20
*7:N−シクロヘキシル−2−ベンゾチアジルスルフェンアミド(大内新興化学工業株式会社製 商品名ノクセラーCZ)
*8:テトラメチルチウラムジスルフィド(大内新興化学工業株式会社製 商品名ノクセラーTT)
【0063】
実施例1で製造した加硫ゴムのゴム物性を測定して得た結果を下記に示す。
100%M(kgf/cm2) 20
引張強さ(kgf/cm2) 215
伸び(%) 590
デュロメーターA硬度 65
【0064】
実施例1で製造した加硫ゴムの動的粘弾性特性(20℃)を測定して得た結果を下記に示す。
剪断貯蔵弾性率(kgf/cm2) 8.5
tan δ 0.13
−10℃/20℃のG比 1.3
【0065】
【実施例2】
三井・デュポンポリケミカル株式会社製のEVA(酢酸ビニルの含有率46重量%、商品名エバフレックスEV45X)を使用し、下記の配合物を、150℃で約10分間加硫した。尚、EVA以外は、実施例1と同じものを使用した。
【0066】
成 分 配合率(重量部)
NR 100
EVA 20
カーボンブラックFT 20
カーボンブラックISAF 30
老化防止剤6C 1
老化防止剤RD 1
老化防止剤オゾノック33 3
ステアリン酸 1
硫黄 2.5
加硫促進剤CBS 0.3
加硫促進剤TMTD 0.1
【0067】
実施例2で製造した加硫ゴムのゴム物性を測定して得た結果を下記に示す。
100%M(kgf/cm2) 20
引張強さ(kgf/cm2) 205
伸び(%) 620
デュロメーターA硬度 63
【0068】
実施例2で製造した加硫ゴムの動的粘弾性特性(20℃)を測定して得た結果を下記に示す。
剪断貯蔵弾性率(kgf/cm2) 8.3
tan δ 0.10
−10℃/20℃のG比 1.2
【0069】
【実施例3】
大日本インキ株式会社製のエチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)(酢酸ビニルの含有率80重量%、商品名エバスレンL−8を使用し、下記の配合物を、150℃で約10分間加硫した。尚、充填剤として、カーボンブラックのほかに、株式会社クラレ製のマイカ(商品名スゾライトマイカ325−K1)を使用した以外は、実施例1と同じものを使用した。
【0070】
成 分 配合率(重量部)
NR 100
EVA 20
マイカ 10
カーボンブラックFT 20
カーボンブラックISAF 30
老化防止剤6C 1
老化防止剤RD 1
老化防止剤オゾノック33 3
ステアリン酸 1
硫黄 2.5
加硫促進剤CBS 0.3
加硫促進剤TMTD 0.1
【0071】
実施例3で製造した加硫ゴムのゴム物性を測定して得た結果を下記に示す。
100%M(kgf/cm2) 24
引張強さ(kgf/cm2) 201
伸び(%) 580
デュロメーターA硬度 67
【0072】
実施例3で製造した加硫ゴムの動的粘弾性特性(20℃)を測定して得た結果を下記に示す。
剪断貯蔵弾性率(kgf/cm2) 8.3
tan δ 0.12
−10℃/20℃のG比 1.3
【0073】
【実施例4】
住友化学製のエチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)(酢酸ビニルの含有率25重量%、商品名エバテートK2010を使用し、下記の配合物を、150℃で約10分間加硫した。尚、充填剤として、カーボンブラックのほかに、株式会社クラレ製のマイカ(商品名スゾライトマイカ325−K1)を使用した以外は、実施例1と同じものを使用した。
【0074】
成 分 配合率(重量部)
NR 100
EVA 10
マイカ 10
カーボンブラックFT 20
カーボンブラックISAF 30
老化防止剤6C 1
老化防止剤RD 1
老化防止剤オゾノック33 3
ステアリン酸 1
硫黄 2.5
加硫促進剤CBS 0.3
加硫促進剤TMTD 0.1
【0075】
実施例4で製造した加硫ゴムのゴム物性を測定して得た結果を下記に示す。
100%M(kgf/cm2) 23
引張強さ(kgf/cm2) 200
伸び(%) 575
デュロメーターA硬度 65
【0076】
実施例4で製造した加硫ゴムの動的粘弾性特性(20℃)を測定して得た結果を下記に示す。
剪断貯蔵弾性率(kgf/cm2) 8.1
tan δ 0.11
−10℃/20℃のG比 1.2
【0077】
【実施例5】
住友化学製のエチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)(酢酸ビニルの含有率32重量%、商品名エバテートM5011を使用し、下記の配合物を、150℃で約10分間加硫した。尚、充填剤として、カーボンブラックのほかに、株式会社クラレ製のマイカ(商品名スゾライトマイカ325−K1)を使用した以外は、実施例1と同じものを使用した。
【0078】
成 分 配合率(重量部)
NR 100
EVA 70
マイカ 10
カーボンブラックFT 20
カーボンブラックISAF 30
老化防止剤6C 1
老化防止剤RD 1
老化防止剤オゾノック33 3
ステアリン酸 1
硫黄 2.5
加硫促進剤CBS 0.3
加硫促進剤TMTD 0.1
【0079】
実施例5で製造した加硫ゴムのゴム物性を測定して得た結果を下記に示す。
100%M(kgf/cm2) 24
引張強さ(kgf/cm2) 202
伸び(%) 575
デュロメーターA硬度 66
【0080】
実施例5で製造した加硫ゴムの動的粘弾性特性(20℃)を測定して得た結果を下記に示す。
剪断貯蔵弾性率(kgf/cm2) 8.2
tan δ 0.12
−10℃/20℃のG比 1.3
【0081】
【実施例6】
ポリオレフィン系共重合体として、プロピレン−エチレン共重合体(PP−Ety)を使用し、下記の配合物を、150℃で約10分間加硫した。なお、PP−Ety以外の成分は、実施例1と同じものを使用した。
【0082】
成 分 配合率(重量部)
NR 100
PP−Ety 50
カーボンブラックFT 20
カーボンブラックISAF 30
老化防止剤6C 1
老化防止剤RD 1
老化防止剤オゾノック33 3
ステアリン酸 1
硫黄 2.5
加硫促進剤CBS 0.3
加硫促進剤TMTD 0.1
【0083】
実施例6で製造した加硫ゴムのゴム物性を測定して得た結果を下記に示す。
100%M(kgf/cm2) 19
引張強さ(kgf/cm2) 205
伸び(%) 580
デュロメーターA硬度 68
【0084】
実施例6で製造した加硫ゴムの動的粘弾性特性(20℃)を測定して得た結果を下記に示す。
剪断貯蔵弾性率(kgf/cm2) 8.3
tan δ 0.12
−10℃/20℃のG比 1.19
【0085】
【比較例1】
ポリオレフィン系共重合体として、実施例1で使用した大日本インキ株式会社製のエチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)(酢酸ビニルの含有率80重量%、商品名エバスレンL−8を、NR100重量部当たり、5重量部使用したことを除いて、実施例1と同じ手順を繰り返して加硫ゴム組成物を製造した。製造した加硫ゴム組成物の動的粘弾性特性(20℃)を測定したところ、支承ゴムとして高減衰性能を満たさなかった。
【0086】
【比較例2】
ポリオレフィン系共重合体として、実施例1で使用した大日本インキ株式会社製のエチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)(酢酸ビニルの含有率80重量%、商品名エバスレンL−8を、NR100重量部当たり、95重量部使用したことを除いて、実施例1と同じ手順を繰り返して加硫ゴム組成物を製造した。製造した加硫ゴム組成物の加工性をテストしたところ、ロールに粘着し加工性を悪かった。従って、支承ゴムとして動的粘弾性特性(20℃)は測定しなかった。
【0087】
【発明の効果】
請求項1に記載した発明により、従来から支承用ゴムとして使用されていた天然ゴムにポリオレフィン系共重合体を配合することにより、ゴム組成物としての加工性を改良するとともに、支承ゴムとしての機械的強度及び耐久性を改良し、合わせてポリオレフィン系共重合体の用途の拡大に資する。
【0088】
請求項2に記載した発明により、補強用充填剤、たとえば、カーボンブラックを代替しても、カーボンブラックと等価の補強効果を上げ、且つゴム組成物としての加工性を改良するとともに、支承ゴムとしての機械的強度及び耐久性を改良する。
【0089】
請求項3に記載した発明により、酢酸ビニルの含有率が25〜80重量%のエチレン−酢酸ビニル共重合体を、従来から支承用ゴムとして使用されていた天然ゴムに配合することにより、ゴム組成物としての加工性を改良するとともに、支承ゴムとしての機械的強度及び耐久性を改良し、合わせてエチレン−酢酸ビニル共重合体の用途の拡大に資する。
【産業上の利用分野】
本発明は高減衰性ゴム組成物に関する。より詳細に述べれば、本発明は、天然ゴム及びポリオレフィン系共重合体を主成分とし、プラスチック及びゴム用各種添加剤を配合した高減衰性ゴム組成物に関する。
本発明の高減衰性ゴム組成物は、自動車用防振ゴム、橋梁・高架橋用支承ゴムとして使用される。
【0002】
【従来技術の説明】
本発明で使用する用語「減衰」とは、被支承体の伸縮、回転をゴムの弾性変形により吸収する機能、或いは被支承体からの振動エネルギーを熱エネルギーに変換する機能と広義に定義する。
【0003】
橋梁の上部構造と下部構造の接点に配置して、上部構造からの反力を確実に下部構造に伝達するとともに、荷重による応力、温度変化、クリープ等による下部構造の伸縮、回転を円滑に行う装置としてゴム支承が使用されている。
【0004】
ゴム支承を橋梁へ使用する歴史は古く、たとえば、100年ほど前から、天然ゴム(以下、NRと略記する場合がある)パッドがメルボルン鉄道橋に、或いは40年ほど前から、天然積層ゴムがペルハム橋に使用されている。
【0005】
従来から支承用ゴムとしては、NRが使用されている。然しながら、NRは、橋梁の支承用としての厳しい使用環境下で、酸素による架橋の進行、分子切断等に起因する劣化が発生する。従って、近年、NRと各種の合成ゴムや、添加剤を配合して、支承用ゴムとしてのNRの耐久性の改良や、加工性の改良が行われている。
【0006】
特許第2709644号公報は、主鎖にC−C結合を含有する基材ゴム100重量部に、シリカを40〜160重量部添加し、そのシリカに対して特定のシラン化合物を5〜50重量部配合し混練した免震用又は制振用シリカ配合高減衰ゴム組成物を開示している。
【0007】
特許第2709644号公報が開示する高減衰ゴム組成物は、シリカを配合することにより、混練り加工性を改良するとともに、高減衰特性、弾性率の温度依存性を小さくしたものである。
【0008】
特許第3124097号公報は、NR100重量部に、軟化点が333°K〜373°Kのクマロン樹脂を15〜45重量部配合して加硫した免震用高減衰ゴム組成物を開示している。
【0009】
特許第3124097号公報が開示する免震用高減衰ゴム組成物は、高減衰性を有し引張強さ、伸び、弾性率の温度依存性並びに耐クリープ性のバランスを改良したものである。
【0010】
特公平6−45726号公報は、イソプレン(IR)の1,2−又は3,4−結合の含有率の合計が20%以上60%未満のポリイソプレンゴム10〜60重量部、NR、ブタジエンゴム(BR)、スチレンブタジエンゴム(SBR)、上記以外のポリイソプレンゴムから選択されたゴム40〜90重量部を含む高減衰免震ゴム組成物を開示している。
【0011】
特公平6−45726号公報が開示する高減衰免震ゴム組成物は、低クリープ特性、低温度依存性、耐破壊性を改良すると同時に、ロス特性を大きくしたものである。
【0012】
特開昭63−22847号公報は、NRを主成分とするゴム100重量部に、シクロペンタジエン樹脂及び/又はジシクロペンタジエン樹脂を15〜100重量部配合した高ロスゴム組成物を開示している。
【0013】
特開平1−103637号公報は、NR100重量部に、軟化点又は融点が423°K以下のフェノール樹脂を3〜40重量部配合した高ロスゴム組成物を開示している。
【0014】
特開平2−32135号公報は、IRの1,2−又は3,4−結合の含有率の合計が20%以上60%未満のポリイソプレンゴムを含む高減衰免震ゴム組成物を開示している。
【0015】
特開平2−308835号公報は、特定のSBR5〜50重量部を含有したゴム成分100重量部に、特定のカーボンブラックを15〜50重量部を含有した高減衰免震ゴム組成物を開示している。
【0016】
特開平2−34643号公報は、特定のSBRを含有するゴム100重量部に、特定のカーボンブラックを20〜60重量部を含有した高減衰免震ゴム組成物を開示している。
【0017】
特開平3−177441号公報は、NRを主成分とするゴム100重量部に、特定の熱可塑性炭化水素樹脂15〜60重量部と特定のカーボンブラックを40〜80重量部を配合した高減衰免震ゴム組成物を開示している。
【0018】
特開平10−2190929号公報は、ジエン系ゴム100重量部に、スチレンブロックを有する熱可塑性エラストマー共重合体5超〜50重量部を含有する高減衰免震ゴム組成物を開示している。
【0019】
特開平10−2190929号公報が開示する高減衰免震ゴム組成物は、弾性率の温度依存性を低減し、減衰性を必要に応じて適宜自由に選択できるようにしたものである。
【0020】
特開平11−117993号公報は、NRから成るベースゴム約70〜95重量部と水素添加液状イソプレンゴム約5〜30重量部とを含有するゴム100重量部に対して、熱可塑性樹脂を約15〜50重量部含有する高減衰ゴム組成物を開示している。
【0021】
特開平11−117993号公報が開示する高減衰ゴム組成物は、減衰性能と破断伸びとを両立したものである。
【0022】
特開2000−336207号公報は、ジエン系ゴム100重量部に、樹脂5〜55重量部、軟化剤0〜50重量部および補強剤20〜150重量部を含有する高減衰組成物において、特定の関係を満たすマスターバッチを作成し、第2段階以降においてそのマスターバッチ、残りのジエン系ゴム、補強剤、その他の配合剤を混合した高減衰ゴム組成物を開示している。
【0023】
特開2000−336207号公報が開示する高減衰ゴム組成物は、履歴依存性を小さくしたものである。
【0024】
特開2001−187826号公報は、NRを主成分として含有するゴム100重量部に、窒素吸着比表面積とDBP吸油量を特定したカーボンブラックと、シリカの合計50〜150重量部と、石油樹脂10〜50重量部を含有し、カーボンブラックとシリカの重量比率が95/5〜25/75である高減衰ゴム組成物を開示している。
【0025】
特開2001−187826号公報が開示する高減衰ゴム組成物は、温度依存性、機械的特性を低下させることなく、減衰性能を高めたものである。
【0026】
前述した従来技術は、いずれも、ゴム組成物としての加工性を改良するとともに、支承ゴムとしての減衰性能を高め、諸物性の温度依存性を小さくし、耐クリープ特性、耐破壊性を改良すると同時に、ロス特性を大きくしたものである。
【0027】
ところで、支承ゴムには、色々な形状があるが、通常のゴム製品に比べて厚肉になる。厚肉のゴム製品の場合は、加工性の良否が、製品コストに影響を与える。従って、本発明者は、ゴム組成物としての加工性を改良するとともに、支承ゴムとしての機械的強度及び耐久性を改良することを検討した。
【0028】
【発明が解決しようとする課題】
発明が解決しようとする課題は、ゴム組成物としての加工性を改良するとともに、支承ゴムとしての機械的強度及び耐久性を改良することである。
【0029】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、前記課題を解決するために、NRに配合する配合剤の種類と量を検討した。
【0030】
ゴムの機械的強度を向上させるために、通常、カーボンブラック、微粉末シリカ、珪酸カルシウム、炭酸マグネシウム、亜鉛華、クレー等の補強性充填剤を配合する。然しながら、充填剤を多く配合すると、クリープが大きくなる。従って、これらの充填剤に代替する配合剤を発見し、充填剤の配合量をできるだけ抑えることを検討した。
【0031】
前述した従来技術の中には、NRにSBRやNBR等の合成ゴムを配合した例があるが、これらの合成ゴムは内部摩擦が大きいので、クリープが大きくなる。従って、本発明者は、NRにSBRやNBR等の合成ゴムを配合することは、クリープの観点からは、得策ではないと考えた。
【0032】
先ず、比重から考察した。比重そのものは機械的強度自体を表さないが、ゴム製品が複雑な形状をしていたり、複合体の場合は、一応の目安になる。ゴムの比重は約1〜1.3の範囲である。補強性充填剤の比重は、大体1.8〜5弱である。ゴムに充填剤を混合する場合、比重は加成性が成立するから、充填剤の量が増えるほど、比重が高くなる。適量の補強性充填剤を配合することは、強度改良のために必要であるが、補強性充填剤は一般に比重は低く、最高の強度を与える量もそう多くなく、ゴムの50質量%以下であるので、比重はそう大きくならない。従って、強度の高いゴム製品は比重が大体1.5以下になる。即ち、比重が2以上もあるゴムは、強度が低いと断言できる。
【0033】
具体的に述べれば、ゴム製品の価格は、容積、即ち製品1個当たりで決定されるが、充填剤の価格は、重量で決定される。従って、他の性質が同じならば、比重が低いものを使用した方が、コスト面からも有利であるが、補強性との兼ね合いがある。安価な充填剤は一般に比重が大きく補強性が弱い。一方、補強性が強い充填剤は一般に比重が小さく、高価である。因みに、非常に補強性が強いカーボンブラックの比重は1.8〜1.9であるが、補強性が弱い亜鉛華の比重は5.6,炭酸バリウムの比重は4.3〜4.7である。
【0034】
上述した比重に関する考察から、NRに配合する補強性充填剤の量を少なくし、その替わりに配合する材料として、比重がゴムの比重に近く、できれば、ゴムの比重より低い材料を策定した。
【0035】
次ぎに、抗張力の観点から考察した。抗張力はゴムの機械的強度の判定の目安とされている。抗張力が大きいゴムは、他の機械的強度も高いとされている。補強性充填剤を配合しない純NR加硫物は、抗張力1.0kg/mm2、で伸張率が約1000%である。参考までに、補強性充填剤の配合量と、抗張力と伸張率の関係に論及すると、15%硫酸バリウムを配合したゴムは、抗張力1.0kg/mm2、で伸張率が約800%、15%亜鉛華を配合したゴムは、抗張力1.0kg/mm2、で伸張率が約700%、15%ランプブラックを配合したゴムは、抗張力1.0kg/mm2、で伸張率が約500%、15%チャンネルブラックを配合したゴムは、抗張力1.0kg/mm2、で伸張率が約400%である。
【0036】
上述した抗張力に関する考察から、NRに配合する補強性充填剤の量を少なくし、その替わりに配合する材料として、抗張力がゴムのそれに近い材料から策定した。
【0037】
以上の考察から、NRに配合する補強性充填剤の量を少なくし、その替わりに配合する材料を、(イ)内部摩擦が大きい合成ゴムではないこと、(ロ)比重がNRの比重以下であること、(ハ)抗張力ができるだけNRに近いこと、(ニ)NRとの相溶性がよく、ゴム組成物としての加工性を改良すること、(ホ)支承ゴムとして高減衰性能を低下させないことを要件として策定した。
【0038】
本発明者は、上記の要件を勘案して、各種の熱可塑性合成樹脂、合成ゴムを検討した結果、NRに配合する材料としてポリオレフィン系共重合体が上記の要件を満たしていることを発見した。
【0039】
従って、本発明は、天然ゴム100重量部当たり、ポリオレフィン系共重合体を10〜70重量部配合した高減衰性ゴム組成物である。
【0040】
本発明で使用するポリオレフィン系共重合体は、プロピレン−エチレン共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−アクリル酸共重合体、エチレン−エチルアクリレート共重合体、アイオノマー、塩化ビニル−プロピレン共重合体等が例示される。
【0041】
プロピレン−エチレン共重合体の比重は0.90〜0.91、引張強さは2.0〜3.2(kg/mm2,24℃)、破断伸びは600(%、24℃)である。
【0042】
エチレン−酢酸ビニル共重合体の比重は0.94,引張強さは1.0〜2.7(kg/mm2,24℃)、破断伸びは650〜900(%、24℃)である。エチレン−酢酸ビニル共重合体は、酢酸ビニルの含有率が7〜40重量%の組成範囲にある溶融成形用エチレンコポリマーである。酢酸ビニルの含有率が7重量%以下のものは、ポリエチレンの改質樹脂としての扱いとなり、一方、酢酸ビニルの含有率が20重量%以上のものは、結晶性を失い、エラストマーとしての性能を発揮する。特に、酢酸ビニルの含有率が50〜70重量%の組成域のものは、ガラス転移点が20℃以下となり、引張強さが極小値を示し、伸度が、1200%を示す。このような点を勘案すると、本発明で使用する好ましいエチレン−酢酸ビニル共重合体は、酢酸ビニルの含有率が25〜80重量%の組成範囲にあるもので、最も好ましいものは、45〜80重量%の組成範囲にあるものである。
【0043】
エチレン−アクリル酸共重合体の比重は0.92,引張強さは1.6〜4.2(kg/mm2,24℃)、破断伸びは650〜500(%、24℃)である。
【0044】
エチレン−エチルアクリレート共重合体の比重は0.93,引張強さは0.6〜1.4(kg/mm2,24℃)、破断伸びは350〜700(%、24℃)である。
【0045】
アイオノマーの比重は0.94,引張強さは2.5〜3.9(kg/mm2,24℃)、破断伸びは300〜400(%、24℃)である。
【0046】
塩化ビニル−プロピレン共重合体の比重は1.37,引張強さは5.3(kg/mm2,24℃)、破断伸びは100(%、24℃)である。
【0047】
本発明者は実験の結果、これらのポリオレフィン系共重合体は、いずれも前述した要件(イ)〜(ホ)を満たすこと、及び若干強度が劣る共重合体であっても、補強用充填剤を配合することによって、改良できることを確認した。
【0048】
本発明において、天然ゴム100重量部に対するポリオレフィン系共重合体の配合量が10重量部以下の場合、前述した要件(イ)〜(ホ)を満たすことが出来ないので、好ましくない。ポリオレフィン系共重合体の配合量が10重量部以下の場合、特に、支承ゴムとして高減衰性能が低下するので、好ましくない。
【0049】
本発明において、天然ゴム100重量部に対するポリオレフィン系共重合体の配合量が70重量部以上の場合、やはり前述した要件(イ)〜(ホ)を満たすことが出来ないので、好ましくない。特に、ポリオレフィン系共重合体の配合量が70重量部以上の場合、ロールに粘着し加工性を悪くするので、好ましくない。
【0050】
本発明のゴム組成物には、通常使用するゴム及びプラスチック用添加剤を配合することを妨げない。
【0051】
本発明のゴム組成物に配合する添加剤の中でも、機械的強度を改良する補強用充填剤が重要である。本発明のゴム組成物に配合できる補強用充填剤としては、カーボンブラック、粉末シリカ、炭酸カルシウム、珪酸カルシウム、炭酸マグネシウム、亜鉛華、クレー、マイカ等である。ただし、補強用充填剤と希釈用充填剤の区別は厳密なものではなく、相対的なもので、化学組成によらず、同一物質でも、粒径、表面状態等により両方にまたがるものもある。
【0052】
炭酸カルシウムは、通常のものでもよいが、白艶華、カルサインTなど表面をカルシウム石鹸で被覆したものは、粒子も細かく、ゴムへの分散性もよいので、相当多量に配合しても抗張力を落とさず、伸張率を大きくするので特に好ましい。
【0053】
クレー、カオリンは、微粒子のものは、安価な割にかなりの補強性をもつので、好ましい。
【0054】
炭酸マグネシウムは、粒子が細かく、異方性なので、相当の補強性をもつ。
【0055】
カーボンブラックは、補強性が最も強く、強度、耐摩耗性を向上させるので、本発明で好ましく使用される充填剤である。配合量は、NRの40〜50%程度の範囲である。カーボンブラックとしては、チャンネルブラックよりオイルファーネスブラックの方が、ゴムへの分散性もよく加工性を改良し、補強効果も大きいので特に好ましい。
【0056】
シリカ及び珪酸塩は、粒子が非常に細かく、チャンネルブラックに近い平均粒度をもっているので、補強性も大きく、耐摩耗性や引裂強度も強いので、カーボンブラック同様に、本発明で好ましく使用される充填剤である。
【0057】
マイカは、高いアスペクト比と高い弾性率により、優れた振動吸収性能をもつので、本発明で好ましく使用される充填剤である。特に、重量平均フレーク径(μm)が20〜280,重量アスペクト比が30〜70、かさ比重が0.25〜0.35の範囲のものが、NRとポリオレフィン系共重合体の強度、弾性率等機械的強度を高めると共に振動吸収特性を高めるので本発明で好ましく使用される。本発明において、NR100重量部に対するマイカの配合量は5〜15重量部、好ましくは5〜10で重量部である。マイカの配合量が大きくなると、硬度に影響は与えないが、応力が大きくなるので好ましくない。
【0058】
本発明で使用する充填剤は、粒子の形も重要な要素である。充填剤には、球に近い粒子と、方向により長さが異なる異方性のものがある。炭酸マグネシウムやクレーのように異方性の充填剤をゴムに配合した場合、硬度やモジュラスを高めるが、ゴム自体の強度にも方向性を与え、引裂強度や耐摩耗性を低くする。一方、カーボンブラック、粉末シリカ、炭酸カルシウムのように球形の充填剤は、引裂強度や耐摩耗性を大にし、加工性を改良する。いずれを選択するかは、必要とする最終要件によって決定するべきである。
【0059】
本発明で使用する充填剤は、粒子の大きさも重要な要素である。粒子の大きさは、補強性にとって最も重要な要素である。同一の充填剤でも細かくなるほど、補強性が大になる。
【0060】
本発明のゴム組成物には、加硫剤、加硫促進剤、分散剤、軟化剤、老化防止剤等ゴム・プラスチック用添加剤を配合することを妨げない。
【0061】
以下、実施例及び比較例により本発明を具体的に説明する。
【実施例1】
ポリオレフィン系共重合体として、大日本インキ株式会社製のエチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)(酢酸ビニルの含有率80重量%、商品名エバスレンL−8を使用し、下記の配合物を、150℃で約10分間加硫した。
【0062】
成 分 配合率(重量部)
NR 100
EVA 10
カーボンブラックFT(*1) 20
カーボンブラックISAF(*2) 30
老化防止剤6C(*3) 1
老化防止剤RD(*4) 1
老化防止剤オゾノック33(*5) 3
ステアリン酸(*6) 1
硫黄 2.5
加硫促進剤CBS(*7) 0.3
加硫促進剤TMTD(*8) 0.1
*1:FTサーマルカーボン(旭カーボン株式会社製 商品名アサヒサーマル)
*2:ISAFカーボン(昭和キャボット株式会社製 商品名ショウブラックN220)
*3:N−(1,3−ジメチルブチル)−N’−フェニル−p−フェニレンジアミン(バイエル社製 商品名ブルカノックス4020/LG)
*4:2,2,4−トリメチル−1,2−ジヒドロキノリンの重合物(大内新興化学工業株式会社製 商品名ノクラック224)
*5:大内新興化学工業株式会社製 商品名オゾノック33
*6:花王株式会社製 商品名ルナックS−20
*7:N−シクロヘキシル−2−ベンゾチアジルスルフェンアミド(大内新興化学工業株式会社製 商品名ノクセラーCZ)
*8:テトラメチルチウラムジスルフィド(大内新興化学工業株式会社製 商品名ノクセラーTT)
【0063】
実施例1で製造した加硫ゴムのゴム物性を測定して得た結果を下記に示す。
100%M(kgf/cm2) 20
引張強さ(kgf/cm2) 215
伸び(%) 590
デュロメーターA硬度 65
【0064】
実施例1で製造した加硫ゴムの動的粘弾性特性(20℃)を測定して得た結果を下記に示す。
剪断貯蔵弾性率(kgf/cm2) 8.5
tan δ 0.13
−10℃/20℃のG比 1.3
【0065】
【実施例2】
三井・デュポンポリケミカル株式会社製のEVA(酢酸ビニルの含有率46重量%、商品名エバフレックスEV45X)を使用し、下記の配合物を、150℃で約10分間加硫した。尚、EVA以外は、実施例1と同じものを使用した。
【0066】
成 分 配合率(重量部)
NR 100
EVA 20
カーボンブラックFT 20
カーボンブラックISAF 30
老化防止剤6C 1
老化防止剤RD 1
老化防止剤オゾノック33 3
ステアリン酸 1
硫黄 2.5
加硫促進剤CBS 0.3
加硫促進剤TMTD 0.1
【0067】
実施例2で製造した加硫ゴムのゴム物性を測定して得た結果を下記に示す。
100%M(kgf/cm2) 20
引張強さ(kgf/cm2) 205
伸び(%) 620
デュロメーターA硬度 63
【0068】
実施例2で製造した加硫ゴムの動的粘弾性特性(20℃)を測定して得た結果を下記に示す。
剪断貯蔵弾性率(kgf/cm2) 8.3
tan δ 0.10
−10℃/20℃のG比 1.2
【0069】
【実施例3】
大日本インキ株式会社製のエチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)(酢酸ビニルの含有率80重量%、商品名エバスレンL−8を使用し、下記の配合物を、150℃で約10分間加硫した。尚、充填剤として、カーボンブラックのほかに、株式会社クラレ製のマイカ(商品名スゾライトマイカ325−K1)を使用した以外は、実施例1と同じものを使用した。
【0070】
成 分 配合率(重量部)
NR 100
EVA 20
マイカ 10
カーボンブラックFT 20
カーボンブラックISAF 30
老化防止剤6C 1
老化防止剤RD 1
老化防止剤オゾノック33 3
ステアリン酸 1
硫黄 2.5
加硫促進剤CBS 0.3
加硫促進剤TMTD 0.1
【0071】
実施例3で製造した加硫ゴムのゴム物性を測定して得た結果を下記に示す。
100%M(kgf/cm2) 24
引張強さ(kgf/cm2) 201
伸び(%) 580
デュロメーターA硬度 67
【0072】
実施例3で製造した加硫ゴムの動的粘弾性特性(20℃)を測定して得た結果を下記に示す。
剪断貯蔵弾性率(kgf/cm2) 8.3
tan δ 0.12
−10℃/20℃のG比 1.3
【0073】
【実施例4】
住友化学製のエチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)(酢酸ビニルの含有率25重量%、商品名エバテートK2010を使用し、下記の配合物を、150℃で約10分間加硫した。尚、充填剤として、カーボンブラックのほかに、株式会社クラレ製のマイカ(商品名スゾライトマイカ325−K1)を使用した以外は、実施例1と同じものを使用した。
【0074】
成 分 配合率(重量部)
NR 100
EVA 10
マイカ 10
カーボンブラックFT 20
カーボンブラックISAF 30
老化防止剤6C 1
老化防止剤RD 1
老化防止剤オゾノック33 3
ステアリン酸 1
硫黄 2.5
加硫促進剤CBS 0.3
加硫促進剤TMTD 0.1
【0075】
実施例4で製造した加硫ゴムのゴム物性を測定して得た結果を下記に示す。
100%M(kgf/cm2) 23
引張強さ(kgf/cm2) 200
伸び(%) 575
デュロメーターA硬度 65
【0076】
実施例4で製造した加硫ゴムの動的粘弾性特性(20℃)を測定して得た結果を下記に示す。
剪断貯蔵弾性率(kgf/cm2) 8.1
tan δ 0.11
−10℃/20℃のG比 1.2
【0077】
【実施例5】
住友化学製のエチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)(酢酸ビニルの含有率32重量%、商品名エバテートM5011を使用し、下記の配合物を、150℃で約10分間加硫した。尚、充填剤として、カーボンブラックのほかに、株式会社クラレ製のマイカ(商品名スゾライトマイカ325−K1)を使用した以外は、実施例1と同じものを使用した。
【0078】
成 分 配合率(重量部)
NR 100
EVA 70
マイカ 10
カーボンブラックFT 20
カーボンブラックISAF 30
老化防止剤6C 1
老化防止剤RD 1
老化防止剤オゾノック33 3
ステアリン酸 1
硫黄 2.5
加硫促進剤CBS 0.3
加硫促進剤TMTD 0.1
【0079】
実施例5で製造した加硫ゴムのゴム物性を測定して得た結果を下記に示す。
100%M(kgf/cm2) 24
引張強さ(kgf/cm2) 202
伸び(%) 575
デュロメーターA硬度 66
【0080】
実施例5で製造した加硫ゴムの動的粘弾性特性(20℃)を測定して得た結果を下記に示す。
剪断貯蔵弾性率(kgf/cm2) 8.2
tan δ 0.12
−10℃/20℃のG比 1.3
【0081】
【実施例6】
ポリオレフィン系共重合体として、プロピレン−エチレン共重合体(PP−Ety)を使用し、下記の配合物を、150℃で約10分間加硫した。なお、PP−Ety以外の成分は、実施例1と同じものを使用した。
【0082】
成 分 配合率(重量部)
NR 100
PP−Ety 50
カーボンブラックFT 20
カーボンブラックISAF 30
老化防止剤6C 1
老化防止剤RD 1
老化防止剤オゾノック33 3
ステアリン酸 1
硫黄 2.5
加硫促進剤CBS 0.3
加硫促進剤TMTD 0.1
【0083】
実施例6で製造した加硫ゴムのゴム物性を測定して得た結果を下記に示す。
100%M(kgf/cm2) 19
引張強さ(kgf/cm2) 205
伸び(%) 580
デュロメーターA硬度 68
【0084】
実施例6で製造した加硫ゴムの動的粘弾性特性(20℃)を測定して得た結果を下記に示す。
剪断貯蔵弾性率(kgf/cm2) 8.3
tan δ 0.12
−10℃/20℃のG比 1.19
【0085】
【比較例1】
ポリオレフィン系共重合体として、実施例1で使用した大日本インキ株式会社製のエチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)(酢酸ビニルの含有率80重量%、商品名エバスレンL−8を、NR100重量部当たり、5重量部使用したことを除いて、実施例1と同じ手順を繰り返して加硫ゴム組成物を製造した。製造した加硫ゴム組成物の動的粘弾性特性(20℃)を測定したところ、支承ゴムとして高減衰性能を満たさなかった。
【0086】
【比較例2】
ポリオレフィン系共重合体として、実施例1で使用した大日本インキ株式会社製のエチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)(酢酸ビニルの含有率80重量%、商品名エバスレンL−8を、NR100重量部当たり、95重量部使用したことを除いて、実施例1と同じ手順を繰り返して加硫ゴム組成物を製造した。製造した加硫ゴム組成物の加工性をテストしたところ、ロールに粘着し加工性を悪かった。従って、支承ゴムとして動的粘弾性特性(20℃)は測定しなかった。
【0087】
【発明の効果】
請求項1に記載した発明により、従来から支承用ゴムとして使用されていた天然ゴムにポリオレフィン系共重合体を配合することにより、ゴム組成物としての加工性を改良するとともに、支承ゴムとしての機械的強度及び耐久性を改良し、合わせてポリオレフィン系共重合体の用途の拡大に資する。
【0088】
請求項2に記載した発明により、補強用充填剤、たとえば、カーボンブラックを代替しても、カーボンブラックと等価の補強効果を上げ、且つゴム組成物としての加工性を改良するとともに、支承ゴムとしての機械的強度及び耐久性を改良する。
【0089】
請求項3に記載した発明により、酢酸ビニルの含有率が25〜80重量%のエチレン−酢酸ビニル共重合体を、従来から支承用ゴムとして使用されていた天然ゴムに配合することにより、ゴム組成物としての加工性を改良するとともに、支承ゴムとしての機械的強度及び耐久性を改良し、合わせてエチレン−酢酸ビニル共重合体の用途の拡大に資する。
Claims (3)
- 天然ゴム100重量部当たり、ポリオレフィン系共重合体を10〜70重量部配合した配合物を主成分として含む支承用高減衰性ゴム組成物。
- ポリオレフィン系共重合体が、プロピレン−エチレン共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−アクリル酸共重合体、エチレン−エチルアクリレート共重合体、アイオノマー、及び塩化ビニル−プロピレン共重合体から成る群から選択された請求項1に記載の支承用高減衰性ゴム組成物。
- エチレン−酢酸ビニル共重合体が、酢酸ビニルの含有率が25〜80重量%の範囲のものである請求項1または2項に記載の支承用高減高減衰性ゴム組成物。
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