JP2004269468A - ピリミジン誘導体又はその塩 - Google Patents
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Abstract
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、医薬、殊にインスリン分泌促進剤又は糖尿病治療剤として有用な新規なピリミジン誘導体又はその製薬学的に許容される塩、及びこれらの化合物を有効成分とする医薬に関する。
【0002】
【従来の技術】
糖尿病は、慢性的な高血糖を主徴とする疾患であり、インスリン作用の絶対的又は相対的な不足により発症する。臨床においては、その特徴からインスリン依存性糖尿病(以下、「1型糖尿病」という。)とインスリン非依存性糖尿病(以下、「2型糖尿病」という。)に大別される。糖尿病患者の約9割を占める2型糖尿病において、膵β細胞からのインスリン分泌低下は主要な発症原因の一つであり、特に初期のインスリン分泌障害による食後高血糖が認められる。現在、インスリン分泌促進剤としてはスルホニルウレア剤(SU剤)が主流であるが、低血糖を起こしやすく、長期投与においては膵臓の疲弊により二次無効を引き起こすことが知られている。また、SU剤は食間の血糖コントロールには有効であるが、食後の過血糖を抑制することは困難である。最近、大規模臨床試験により、糖尿病性合併症の発症及び進展抑制には食後高血糖の是正が重要であることが確認された(非特許文献1)。また、食後高血糖のみの時期に動脈硬化が発症すること、食後軽度高血糖の持続が心血管疾患等の原因による死亡率を高めることが報告されている(非特許文献2)。このことは、食後高血糖はたとえ軽度であっても、心血管死の独立した危険因子であることを示している。以上のような背景により、食後高血糖に対する薬物治療の重要かつ必要性が認識されるようになっている。従って、インスリン分泌促進作用を有する医薬は、食後高血糖及び/若しくは空腹時血糖の是正に適したプロフィールを有し、1型糖尿病、2型糖尿病の治療及び予防に有用であると考えられる。
【0003】
一方、ピリミジン誘導体としては、2,6−ジメチル−4−(2,3−ジヒドロキシプロピル)アミノピリミジンが、殺菌効果を有する化合物の製造中間体として知られている(特許文献1)。
また、下記一般式で示される化合物が高血圧等の循環器疾患治療剤として用いられることが知られている(特許文献2)。
【化2】
(式中の記号は公報参照。)
なお、特許文献2には多彩な疾患の一例として、高血圧等の循環器疾患以外に糖尿病が挙げられているが、データによる裏付けはない。さらに、該公報における一般式のR4については、請求の範囲には「(C2−C5)−アルキル、トリフルオロメチル又はアリール」が記載されているが、実施例において具体的に開示されているのは、イソプロピル、トリフルオロメチル、ターシャリーブチル及びフェニルの化合物に限られている。また、該公報における一般式のR1若しくはR2として、実施例において2−ヒドロキシエチル、3−ヒドロキシプロピル、4−ヒドロキシブチルが具体的に開示されているが、2つの水酸基を有する化合物又は2級水酸基を有する化合物の具体的開示はない。
【0004】
【非特許文献1】N. Engl. J. Med., 329: 977−986, 1993
【非特許文献2】Lancet, 354: 617, 1999, Brit. Med. J., 321: 405−413, 2000
【特許文献1】国際公開第WO 95/11899号パンフレット
【特許文献2】欧州特許出願公開第EP 1112266号明細書
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
上述の通り、インスリン分泌促進剤は、1型糖尿病、2型糖尿病、インスリン抵抗性疾患、及び肥満の治療及び予防に有用であるため、さらに優れた効果を有するインスリン分泌促進剤の創製が切望されている。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者等は、インスリン分泌促進作用を有する化合物について鋭意研究し、ピリミジン誘導体が優れたインスリン分泌促進作用を有することを見出し、本発明を完成させた。
【0007】
即ち、本発明によれば、式(I)で示されるピリミジン誘導体若しくはその製薬学的に許容される塩、並びに、これらの化合物を有効成分とする医薬組成物が提供される。
【化3】
[式中の記号は以下の意味を示す。
R1:1つ以上の同一若しくは異なるハロゲンでそれぞれ置換されていてもよいメチル、エチル若しくはシクロプロピル。
R2:−H、−F若しくはメチル。
R3:それぞれ置換されていてもよいアリール若しくは芳香族ヘテロ環。]
好ましくは、以下の化合物を除く、式(I)で示されるピリミジン誘導体若しくはその製薬学的に許容される塩が提供される。
3−{[2−(4−ブロモフェニル)−6−エチルピリミジン−4−イル]アミノ}プロパン−1,2−ジオール、
3−{[2−(3−クロロ−4−フルオロフェニル)−6−エチルピリミジン−4−イル]アミノ}プロパン−1,2−ジオール、
3−{[2−(2,5−ジフルオロフェニル)−6−メチルピリミジン−4−イル]アミノ}プロパン−1,2−ジオール、
3−{[2−(3,4−ジフルオロフェニル)−6−メチルピリミジン−4−イル]アミノ}プロパン−1,2−ジオール、
3−{[2−(3,5−ジフルオロフェニル)−6−メチルピリミジン−4−イル]アミノ}プロパン−1,2−ジオール、
3−{[2−(3,4,5−トリフルオロフェニル)−6−メチルピリミジン−4−イル]アミノ}プロパン−1,2−ジオール、
3−{[2−(4−クロロ−2−フルオロフェニル)−6−メチルピリミジン−4−イル]アミノ}プロパン−1,2−ジオール、
3−{[2−(4−クロロ−3−フルオロフェニル)−6−メチルピリミジン−4−イル]アミノ}プロパン−1,2−ジオール、
3−{[2−(4−ブロモフェニル)−5−フルオロ−6−メチルピリミジン−4−イル]アミノ}プロパン−1,2−ジオール、
3−{[2−(5−ブロモ−2−フルオロフェニル)−6−メチルピリミジン−4−イル]アミノ}プロパン−1,2−ジオール、
3−{[2−(2,1,3−ベンゾオキサジアゾール−5−イル)−6−メチルピリミジン−4−イル]アミノ}プロパン−1,2−ジオール、
3−{[2−(2,3,5−トリフルオロフェニル)−6−メチルピリミジン−4−イル]アミノ}プロパン−1,2−ジオール、
3−{[2−(2,5−ジフルオロフェニル)−6−エチルピリミジン−4−イル]アミノ}プロパン−1,2−ジオール、
3−{[2−(3,4−ジフルオロフェニル)−6−エチルピリミジン−4−イル]アミノ}プロパン−1,2−ジオール、
3−{[2−(3,4,5−トリフルオロフェニル)−6−エチルピリミジン−4−イル]アミノ}プロパン−1,2−ジオール、
3−{[2−(4−クロロフェニル)−6−エチルピリミジン−4−イル]アミノ}プロパン−1,2−ジオール、
3−{[2−(3,4−ジクロロフェニル)−6−エチルピリミジン−4−イル]アミノ}プロパン−1,2−ジオール、
3−{[2−(4−クロロ−2−フルオロフェニル)−6−エチルピリミジン−4−イル]アミノ}プロパン−1,2−ジオール、
3−{[2−(4−クロロ−3−フルオロフェニル)−6−エチルピリミジン−4−イル]アミノ}プロパン−1,2−ジオール、
3−{[2−(5−ブロモ−2−フルオロフェニル)−6−エチルピリミジン−4−イル]アミノ}プロパン−1,2−ジオール、
3−{[2−(2,1,3−ベンゾオキサジアゾール−5−イル)−6−エチルピリミジン−4−イル]アミノ}プロパン−1,2−ジオール、及び、
3−{[2−(2,3,5−トリフルオロフェニル)−6−エチルピリミジン−4−イル]アミノ}プロパン−1,2−ジオール。
【0008】
なお、式(I)のR1として、好ましくは、1つ以上の同一若しくは異なるハロゲンで置換されていてもよいメチル、又は、1つ以上の同一若しくは異なるハロゲンで置換されているエチル(但し、トリフルオロメチルを除く。)であり;さらに好ましくは、メチルである。
また、式(I)のR2として、好ましくは、−Hである。
また、式(I)のR3として、好ましくは、1つ以上の同一若しくは異なるハロゲンでそれぞれ置換されているフェニル若しくはピリジルであり;さらに好ましくは、2つ乃至4つの同一若しくは異なるハロゲンで置換されているフェニルであり;特に好ましくは、少なくとも1つのフッ素を含む2つ乃至4つの同一若しくは異なるハロゲンで置換されているフェニルである。
【0009】
式(I)で示される本発明化合物は、ピリミジン4位のアミノ基に2,3−ジヒドロキシプロピル基が置換している点に化学構造上の特徴を有し、インスリン分泌促進作用を有する点に薬理学上の特徴を有する。
【0010】
【発明の実施の形態】
式(I)で示される化合物についてさらに説明すると、以下の通りである。
「アリール」とは、C6−14の単環乃至3環の芳香族炭化水素環の1価基を意味し、好ましくはフェニル、ナフチルであり、さらに好ましくはフェニルである。「芳香族ヘテロ環」とは、窒素、酸素及び硫黄からなる群より選択される同一又は異なるヘテロ原子を1乃至4個含有するベンゼン環と縮合していてもよい芳香族ヘテロ環の1価基を意味し、具体的には例えば、ピロリル、フリル、チエニル、イミダゾリル、ピラゾリル、オキサゾリル、チアゾリル、フラザニル、ピリジル、ピラニル、チオピラニル、ピリダジル、ピリミジル、ピラジル、インドリル、イソインドリル、インドリジニル、ベンゾフリル、ベンゾチエニル、ベンゾイミダゾリル、インダゾリル、ベンゾオキサゾリル、ベンゾチアゾリル、ベンゾオキサジアゾリル、キノリル、イソキノリル、クロメニル、ベンゾチオピラニル、フタラジニル、ナフチリジニル、キノキサリニル、キナゾリニル、シンノリニル、ベンゾジオキソリル、ベンゾジオキシニル、ベンゾジオキセピニル、カルバゾリルであり、これらの環を構成する窒素原子及び硫黄原子は酸化されていてもよく、また、これらの環は部分的に飽和されていてもよい。好ましくはピリジル、フリル、チエニル、イミダゾリル、チアゾリル、オキシドピリジル、ピラジル、インドリル、ベンゾフリル、ベンゾチエニル、ベンゾイミダゾリル、ベンゾオキサゾリル、ベンゾチアゾリル、ベンゾオキサジアゾリル、キノリル、オキシドキノリル、イソキノリル、クロメニル、ベンゾジオキソリル、ベンゾジオキシニル、ベンゾジオキセピニルである。
「ハロゲン」としては、フルオロ、クロロ、ブロモ、ヨードが挙げられる。好ましくはフルオロ、クロロ、ブロモである。
【0011】
本明細書において、「置換されていてもよい」若しくは「置換されている」の語の許容される置換基としては、それぞれの基の置換基として通常用いられる置換基であればいずれでもよく、各々の基に1つ以上置換基を有していてもよい。 R3における「それぞれ置換されていてもよいアリール若しくは芳香族ヘテロ環」において許容される置換基としては、以下の(1)乃至(8)に挙げる基が挙げられる。なお、「RA」は、−OH、−O−低級アルキル、1つ又は2つの低級アルキルで置換されていてもよいアミノ、1つ又は2つの低級アルキルで置換されていてもよいカルバモイル、アリール、芳香族ヘテロ環及びハロゲンからなる群より選択される1つ以上の基で置換されていてもよい低級アルキルを示す。
(1)ハロゲン;
(2)−OH、−O−RA、−O−アリール、−OCO−RA、オキソ(=O);
(3)−SH、−S−RA、−S−アリール、−SO−RA、−SO−アリール、−SO2−RA、−SO2−アリール、1つ又は2つのRAで置換されていてもよいスルファモイル;
(4)1つ又は2つのRAで置換されていてもよいアミノ、−NHCO−RA、−NHCO−アリール、−NHCO2−RA、−NHCONH2、−NHCONH−RA、−NHSO2−RA、−NHSO2−アリール、ニトロ;
(5)−CHO、−CO−RA、−CO2H、−CO2−RA、1つ又は2つのRAで置換されていてもよいカルバモイル、シアノ;
(6)−OH、−O−低級アルキル、1つ又は2つのRAで置換されていてもよいアミノ、ハロゲン及びRAからなる群より選択される1つ以上の基でそれぞれ置換されていてもよいアリール若しくはシクロアルキル;
(7)−OH、−O−低級アルキル、1つ又は2つのRAで置換されていてもよいアミノ、ハロゲン及びRAからなる群より選択される1つ以上の基でそれぞれ置換されていてもよい芳香族ヘテロ環若しくは非芳香族ヘテロ環;
(8)上記(1)乃至(7)に示される置換基より選択される1つ以上の基で置換されていてもよい低級アルキル。
ここで、「低級アルキル」とは、C1−6のアルキルを意味し、具体的には例えば、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル若しくはヘキシル又はイソプロピル若しくはイソブチル等のこれらの構造異性体であり、好ましくはC1−4アルキルであり、さらに好ましくはメチル、エチルである。
また、「シクロアルキル」とは、C3−10の炭素環の1価基を意味し、これらの環は架橋されていてもよい。具体的には例えば、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロオクチル、ノルボルニル、アダマンチルである。
また、「非芳香族ヘテロ環」とは、窒素、酸素及び硫黄からなる群より選択される同一又は異なるヘテロ原子を1乃至4個含有する非芳香族ヘテロ環の1価基を意味し、具体的には例えば、オキセタニル、ピロリジニル、テトラヒドロフリル、テトラヒドロチオフリル、テトラヒドロチオピラニル、イミダゾリジニル、ピラゾリジニル、ピペリジニル、ピペラジニル、モルホリニル、チオモルホリニル、キヌクリジニルであり、これらの環を構成する窒素原子及び硫黄原子は酸化されていてもよい。好ましくはピロリジニル、ピペリジニル、ピペラジニル、モルホリニルである。
【0012】
式(I)で示される化合物には、置換基の種類によっては、不斉炭素原子を含む場合があり、これに基づく光学活性体が存在しうる。本発明はこれらの光学異性体の混合物や単離されたものをすべて包含する。
また、式(I)で示される化合物は塩を形成する場合もあり、かかる塩が製薬学的に許容されうる塩である限りにおいて、本発明に包含される。具体的には、塩酸、臭化水素酸、ヨウ化水素酸、硫酸、硝酸、リン酸等の無機酸や、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、フマル酸、マレイン酸、乳酸、リンゴ酸、酒石酸、クエン酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、アスパラギン酸、グルタミン酸等の有機酸との酸付加塩、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウム、アルミニウム等の金属を含む無機塩基、メチルアミン、エチルアミン、エタノールアミン、リジン、オルニチン等の有機塩基との塩やアンモニウム塩等が挙げられる。
さらに、本発明は、本発明の医薬の有効成分である化合物若しくは本発明化合物又はその製薬学上許容される塩の各種の水和物や溶媒和物及び結晶多形を有する物質も包含する。なお、本発明の医薬の有効成分である化合物又は本発明化合物には、生体内において代謝されて式(I)で示される化合物又はその塩に変換される化合物、いわゆるプロドラッグもすべて包含される。本発明の医薬の有効成分である化合物又は本発明化合物のプロドラッグを形成する基としては、Prog. Med. 5: 2157−2161 (1985)に記載されている基や、廣川書店1990年刊「医薬品の開発」第7巻 分子設計163−198ページに記載されている基が挙げられる。
【0013】
(製造法)
式(I)で示される化合物又はその塩は、その基本骨格あるいは置換基の種類に基づく特徴を利用し、種々の公知の合成法を適用して製造することができる。以下に代表的な製法を例示する。なお、官能基の種類によっては、当該官能基を原料乃至中間体の段階で適当な保護基、即ち容易に当該官能基に転化可能な基に置き換えておくことが製造技術上効果的な場合がある。しかる後、必要に応じて保護基を除去し、所望の化合物を得ることができる。このような官能基としては例えば水酸基やカルボキシル基、アミノ基等を挙げることができ、それらの保護基としては例えばグリーン(Greene)及びウッツ(Wuts)著、「Protective Groups in Organic Synthesis (third edition)」に記載の保護基を挙げることができ、これらを反応条件に応じて適宜用いればよい。
【0014】
<第一製法>
【化4】
(式中、R1、R2及びR3は前述の意味を、YはO又はSを、Zは脱離基を示す。以下同様。)
本製法は、式(1a)で示されるピリミジノン又はピリミジンチオン誘導体を常法に従って、ハロゲン化又はスルホニル化することにより製造することができる、式(1b)で示される脱離基を有するピリミジン誘導体に対し、式(1c)で示されるジヒドロキシプロピルアミンを作用させ、式(I)で示される本発明化合物を製造する方法である。
化合物(1b)におけるZで示される脱離基としては、反応条件下において化合物(1c)のアミノ基の水素原子と共にHZの形で脱離しうる基を意味し、例えばフルオロ、クロロ、ブロモ、ヨード等のハロゲン、メタンスルホニルオキシのような低級アルキルスルホニルオキシ基、トリフルオロメタンスルホニルオキシのようなパーハロゲノメタンスルホニルオキシ基、ベンゼンスルホニルオキシ、p−トルエンスルホニルオキシのようなアリールスルホニルオキシ基が挙げられる。
(第一工程)
本工程におけるハロゲン化は、例えば化合物(1a)とオキシ塩化リン、三臭化リン等のハロゲン化剤とを反応させることにより行われる。スルホニル化は、例えばYが酸素原子である場合の化合物(1a)とメタンスルホニルクロリド、p−トルエンスルホニルクロリド、トリフルオロメタンスルホニルクロリド、トリフルオロメタンスルホン酸無水物等のスルホニル化剤とを反応させることにより行われる。
化合物(1a)は公知の方法、例えばJ. Am. Chem. Soc., 74, 842, (1952)、Chem. Ber., 95, 937, (1962)、若しくはJ. Org. Chem., 29, 2887, (1964)に記載の方法又はこれらに準じた方法により製造することができる。また、化合物(1a)は市販されているか、あるいは上記以外の公知の方法により製造することができる。
(第二工程)
本工程における化合物(1b)と化合物(1c)との反応は、常圧または加圧下に、溶媒の不存在下又は適当な溶媒の存在下で行われる。
溶媒の具体例としては、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類;メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン類;エーテル、テトラヒドロフラン(THF)、ジオキサン、ジグライム等のエーテル類;メタノール(MeOH)、エタノール(EtOH)、2−プロパノール等のアルコール類;アセトニトリル、ジメチルホルムアミド(DMF)、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン(DMI)、ジメチルスルホキシド(DMSO)、水あるいはこれらの混合溶媒が挙げられる。本反応は塩基の存在下に行うのが好ましい。塩基の具体例としては、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム等の炭酸アルカリ、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム等の炭酸水素アルカリ、トリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン等の三級アミン等が挙げられるが、化合物(1c)の過剰量で兼ねることもできる。反応温度は、原料化合物の種類、反応条件等により異なるが、通常約20 ℃〜約180 ℃、好ましくは約60 ℃〜約130 ℃である。
【0015】
<第二製法>
【化5】
(式中、Z’は脱離基を示す。)
本製法は、式(2a)で示される2つの脱離基を有するピリミジン誘導体に式(1c)で示されるジヒドロキシプロピルアミンを作用させることにより製造することができる、式(2b)で示される脱離基を有するピリミジン誘導体に対し、式(2c)で示されるボロン酸誘導体を作用させ、式(I)で示される本発明化合物を製造する方法である。
化合物(2a)及び(2b)におけるZ’で示される脱離基としては、第一製法で示した化合物(1b)におけるZで示される脱離基と同様であり、Z’とZは同一であっても異なっていてもよい。
(第一工程)
本工程は、第一製法第二工程に準じて行うことができる。
なお、第二工程の反応条件によっては、式(1c)の化合物を適当な保護基で保護した化合物を用い、第二工程の後に保護基を除去することもできる。
(第二工程)
本工程における縮合反応は、常圧又は加圧下に、溶媒の不存在下又は適当な溶媒の存在下で行われる。
溶媒の具体例としては、芳香族炭化水素類、ケトン類、エーテル類、アルコール類、アセトニトリル、DMF、DMSO、水あるいはこれらの混合溶媒が挙げられる。本反応は塩基の存在下に行うのが好ましく、塩基の具体例としては、炭酸アルカリ、炭酸水素アルカリ、三級アミン等が挙げられる。反応温度は、原料化合物の種類、反応条件により異なるが、通常約20 ℃〜約180 ℃、好ましくは約60 ℃〜約130 ℃である。
また、本反応は遷移金属類あるいは遷移金属−ホスフィン錯体を添加することにより円滑に進行する場合がある。これらの具体例としては、パラジウム担持炭素、ジクロロ[1,4−ビス(ジフェニルホスフィン)ブタン]パラジウム、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム等が挙げられるが、米国特許公報5550236号に記載された具体例のものを用いることもできる。
【0016】
さらに、式(I)で示されるいくつかの化合物は、以上のようにして得られた化合物から当業者が通常採用し得る、アルキル化、アシル化、酸化、還元反応等の公知の工程を任意に組み合わせることにより製造することもできる。
【0017】
このようにして製造された本発明化合物は、遊離のまま、又は常法による造塩処理を施しその塩として単離・精製される。単離・精製は抽出、濃縮、留去、結晶化、濾過、再結晶、沈澱、各種クロマトグラフィー等の通常の化学操作を適用して行われる。
各種の異性体は異性体間の物理化学的性質の差を利用して、常法により単離できる。例えばラセミ混合物は、例えば酒石酸等の一般的な光学活性酸とのジアステレオマー塩に導き光学分割する方法等の一般的ラセミ体分割法により、光学的に純粋な異性体に導くことができる。また、ジアステレオ混合物は、例えば分別結晶化又は各種クロマトグラフィー等により分離できる。また、光学活性な化合物は適当な光学活性な原料を用いることにより製造することもできる。
【0018】
【発明の効果】
式(I)で示される本発明化合物は、優れたインスリン分泌促進作用及び血糖上昇抑制作用を有する。従って、式(I)で示される本発明化合物は該作用に基づき、1型糖尿病、2型糖尿病、インスリン抵抗性疾患及び/又は肥満の治療及び/又は予防に有用である。
【0019】
本発明化合物の薬理作用は、以下の試験方法により確認された。
(1)インスリン分泌促進作用測定試験
本試験において、マウス膵β細胞株であるMIN6細胞又はMIN6B1細胞を用いた被検化合物のインスリン分泌促進作用を検討した。以下に試験方法を示す。
24穴プレートに2×105 個 / 穴(0.4 ml)になるようにMIN6細胞又はMIN6B1細胞を蒔いた(培地は25 mM グルコース入りのDMEMにFCSを10%になるように加えたものを用いた)。2日後に培地をアスピレーターで除き、37℃に温めた2.8 mMグルコースを含むKRB−HEPES(140 mM NaCl、3.6 mM KCl、0.5 mM NaH2PO4、0.5 mM MgSO4、1.5 mM CaCl2、2 mM NaHCO3、0.1% BSA、10 mM HEPES(pH 7.4))1 mlで一度洗い、再度、同緩衝液1 mlを入れて30分乃至60分間、37 ℃でインキュベートした。上記緩衝液をアスピレーターで除き、16.8 mM グルコースを含むKRB−HEPESに被検化合物を各々10 μM添加したものを、各穴に0.5 mlずつ加え、22分間37 ℃でインキュベートした。上記サンプルを分取し、2.0 μl−2.5 μlをPBS 50 μlに希釈して、インスリン濃度をファデセフインスリンRIAキット(ファルマシア・アップジョン社製)又はラットインスリン[125I]アッセイシステム RPA 547(Amersham Biosciences )を用いて定量した。被検化合物は100% DMSOに溶解し、終濃度0.1%で添加した。活性はDMSOを100%としたときの相対比で表した。その結果を表1に示す。
なお、表中の化合物表記において、Exは後述の実施例化合物の実施例番号を示す(以下同様)。
【0020】
【表1】
上記のように、本発明化合物は、強いインスリン分泌促進作用を示した。
【0021】
(2)正常マウス経口糖負荷試験
本試験において、正常マウスを用いた被検化合物の糖負荷後の血糖上昇抑制作用について検討した。以下に試験方法を示す。
1週間予備飼育したICRマウス(雄、6週齢)を18〜20時間絶食し、被検動物として用いた。被検化合物は水に溶解させ、グルコース負荷5分前(Nateglinideは30分前)に3 mg/kg経口投与(Nateglinideについては10 mg/kg)した。グルコース負荷後30分時の対照群に対する血糖低下率(%)を測定した。その結果を表2に示す。
【0022】
【表2】
上記のように、本発明化合物は、正常マウス経口糖負荷試験において強い血糖低下作用を示した。
【0023】
本発明の医薬は、式(I)で示される化合物の1種以上と、通常製剤化に用いられる、薬剤用担体、賦形剤、その他の添加剤を用いて、通常使用されている方法によって調整することができる。投与は、錠剤、丸剤、カプセル剤、顆粒剤、散剤、細粒剤、液剤等による経口投与、静注、筋注等の注射剤、又は坐剤、経鼻、経粘膜、経皮等による非経口投与のいずれの形態であってもよい。
本発明による経口投与のための固体組成物としては、錠剤、散剤、顆粒剤等が用いられる。このような固体組成物においては、1種以上の活性物質が、少なくとも1つの不活性な希釈剤、例えば乳糖、マンニトール、ブドウ糖、ヒドロキシプロピルセルロース、微結晶セルロース、デンプン、ポリビニルピロリドン、メタケイ酸アルミン酸マグネシウム等と混合される。組成物は、常法に従って、不活性な希釈剤以外の添加剤、例えばステアリン酸マグネシウム等の潤滑剤、繊維素グリコール酸カルシウム等の崩壊剤、ラクトース等の安定化剤、グルタミン酸又はアスパラギン酸等の可溶化剤又は溶解補助剤を含有していてもよい。錠剤又は丸剤は必要によりショ糖、ゼラチン、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート等の糖衣又は胃溶性若しくは腸溶性のフィルムで被膜してもよい。
【0024】
経口投与のための液体組成物は、薬剤的に許容される乳濁剤、溶液剤、懸濁剤、シロップ剤、エリキシル剤等を含み、一般的に用いられる不活性な希釈剤、例えば精製水、EtOHを含む。この組成物は不活性な希釈剤以外に可溶化剤、溶解補助剤、湿潤剤、懸濁剤のような補助剤、甘味剤、風味剤、芳香剤、防腐剤を含有していてもよい。
非経口投与のための注射剤としては、無菌の水性又は非水性の溶液剤、懸濁剤、乳濁剤を包含する。水性の溶液剤、懸濁剤の希釈剤としては、例えば注射剤用蒸留水及び生理食塩水が含まれる。非水溶性の溶液剤、懸濁剤の希釈剤としては、例えばプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、オリーブ油等の植物油、EtOH等のアルコール類、ポリソルベート80(商品名)等がある。このような組成物は、さらに等張化剤、防腐剤、湿潤剤、乳化剤、分散剤、例えばラクトース等の安定化剤、可溶化剤又は溶解補助剤等の添加剤を含んでもよい。これらは例えばバクテリア保留フィルターを通す濾過、殺菌剤の配合又は照射によって無菌化される。これらはまた無菌の固体組成物を製造し、使用前に無菌水又は無菌の注射用溶媒に溶解して使用することもできる。
通常経口投与の場合、1日の投与量は、成人1人あたり0.1〜500 mgが適当で、これを1回であるいは2乃至4回に分けて投与する。静脈投与される場合、1日の投与量は、成人1人あたり0.01〜100 mgが適当で、これを1回あるいは2乃至4回に分けて投与する。投与量は症状、年齢、体重、性別等を考慮して、個々の場合に応じて適宜決定される。投与量は種々の条件で変動するので、上記投与量範囲より少ない量で十分な場合もある。
【0025】
【実施例】
以下、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例により何ら制限されるものではない。なお、実施例において使用される原料化合物には新規な物質も含まれており、そのような原料化合物の公知物からの製造法を参考例として説明する。
【0026】
参考例1
4−ブロモ−2,5−ジフルオロ安息香酸31.32 g、塩化チオニル100 ml及びDMF 0.5 mlの混合物を80 ℃で2時間攪拌した後、トルエン200 mlを加え溶媒を減圧留去した。残渣にクロロホルム200 mlを加え、氷冷下で28%アンモニア水200 mlを滴下し同温で1時間攪拌した。反応液をクロロホルムで抽出し有機層を飽和食塩水(brine)で洗浄した後、無水硫酸マグネシウム(MgSO4)で乾燥した。溶媒を減圧留去して、4−ブロモ−2,5−ジフルオロベンズアミド28.42 gを微黄色固体として得た。
参考例1と同様に、参考例2の化合物を得た。
【0027】
参考例3
4−ブロモ−2,5−ジフルオロベンズアミド28.37 g及びオキシ塩化リン115 mlの混合物を80 ℃で1.5時間攪拌した後、トルエン250 mlを加え溶媒を減圧留去した。残渣に氷水300 mlを加えエーテルで抽出後、有機層を飽和重曹水及びbrineで洗浄した後MgSO4で乾燥した。溶媒を減圧留去して、4−ブロモ−2,5−ジフルオロベンゾニトリル26.82 gを黄色固体として得た。
参考例3と同様に、参考例4の化合物を得た。
【0028】
参考例5
4−ブロモベンゾニトリル18.20 g、クロロホルム300 ml及びEtOH 100 mlの混合物に、攪拌しながら−65 ℃で塩化水素ガスを30分間吹き込んだ後、室温で終夜攪拌した。溶媒を減圧留去した後、残渣に炭酸アンモニウム48 g及びEtOH 400 mlを加え、室温で3日間攪拌した。反応液に水300 mlを加えた後EtOHを減圧留去し、析出した固体を濾取、水洗して、4−ブロモベンズアミジン塩酸塩22.91 gを無色固体として得た。
参考例5と同様に、参考例6〜10の化合物を得た。
【0029】
参考例11
3,4,5−トリフルオロベンズアミジン塩酸塩を脱塩して得られる3,4,5−トリフルオロベンズアミジン 6.03 gのMeOH 120 ml溶液にナトリウムメトキシド3.74 g及び3−オキソペンタン酸メチル4.72 mlを加え60 ℃で14時間攪拌した。反応液に1M HCl水溶液160 mlを加え、析出した固体を濾取、水洗して、6−エチル−2−(3,4,5−トリフルオロフェニル)−3H−ピリミジン−4−オン8.86 gを無色固体として得た。
参考例11と同様に、参考例12〜20の化合物を得た。
【0030】
参考例21
6−エチル−2−(3,4,5−トリフルオロフェニル)−3H−ピリミジン−4−オン5.83 g及びオキシ塩化リン35 mlの混合物を100 ℃で2.5時間攪拌した。溶媒を減圧留去した後、残渣に水50 mlを加えEtOAcで抽出した。有機層をMgSO4で乾燥後、溶媒を減圧留去して、4−クロロ−6−エチル−2−(3,4,5−トリフルオロフェニル)ピリミジン5.84 gを微褐色非晶性固体として得た。
参考例21と同様に、参考例22〜30の化合物を得た。
【0031】
参考例化合物の構造と物理学的データを表3〜表6に示す。なお、表中の記号は以下の意味を示す(以下同様)。
Rf:参考例番号、
Data:物理学的データ、FMS:質量分析データ(特に記載がない場合は、FAB−MS(M+H)+データ)、NMR:NMRデータ((CH3)4Siを内部標準とし、特に記載がない場合はDMSO−d6を測定溶媒とする1H−NMRにおけるピークのδ(ppm))、
Salt:塩(HCl:塩酸塩、Ox:シュウ酸塩、無記載:フリー体)、
Structure:化学構造式、Me:メチル、Et:エチル。
【0032】
【表3】
【0033】
【表4】
【0034】
【表5】
【0035】
【表6】
【0036】
実施例1
4−クロロ−6−エチル−2−(3,4,5−トリフルオロフェニル)ピリミジン230 mg、3−アミノ−1,2−プロパンジオール650 mg及びアセトニトリル5 mlの混合物を80 ℃で15時間攪拌した後、水10 mlを加え、酢酸エチル(EtOAc)で抽出した。有機層をbrineで洗浄した後MgSO4で乾燥した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製して、3−{[6−エチル−2−(3,4,5−トリフルオロフェニル)ピリミジン−4−イル]アミノ}プロパン−1,2−ジオール0.29 gを得た。
【0037】
上記実施例化合物の構造と物理学的データを表7に示す。また、実施例1と同様の製造法により得た実施例化合物、及び光学活性な3−アミノ−1,2−プロパンジオールを用いて実施例1と同様の製造法により得た実施例化合物の構造と物理学的データを表7〜表17に示す。なお、表中の記号は以下の意味を示す(以下同様)。
Ex:実施例番号、
R11、R21、R31:一般式中の置換基(cPr:シクロプロピル、Ph:フェニル、Py:ピリジル、di:ジ、tri:トリ。置換基の前の数字は置換位置を示し、従って、例えば3−Cl−4−F−Phは3−クロロ4−フルオロフェニルを、6−Cl−3−Pyは6−クロロピリジン−3−イルを示す。)。
【0038】
【表7】
【0039】
【表8】
【0040】
【表9】
【0041】
【表10】
【0042】
【表11】
【0043】
【表12】
【0044】
【表13】
【0045】
【表14】
【0046】
【表15】
【0047】
【表16】
【0048】
【表17】
【0049】
以下、表18に本発明の別の化合物の構造を示す。これらは、上記の製造法や実施例記載の方法及び当業者にとって自明である方法、又はこれらの変法を用いることにより容易に製造することができる。なお、表中の記号は以下の意味を示す。
No:化合物番号。
R32:一般式中の置換基(tBu:ターシャリーブチル)。
【0050】
【表18】
【発明の属する技術分野】
本発明は、医薬、殊にインスリン分泌促進剤又は糖尿病治療剤として有用な新規なピリミジン誘導体又はその製薬学的に許容される塩、及びこれらの化合物を有効成分とする医薬に関する。
【0002】
【従来の技術】
糖尿病は、慢性的な高血糖を主徴とする疾患であり、インスリン作用の絶対的又は相対的な不足により発症する。臨床においては、その特徴からインスリン依存性糖尿病(以下、「1型糖尿病」という。)とインスリン非依存性糖尿病(以下、「2型糖尿病」という。)に大別される。糖尿病患者の約9割を占める2型糖尿病において、膵β細胞からのインスリン分泌低下は主要な発症原因の一つであり、特に初期のインスリン分泌障害による食後高血糖が認められる。現在、インスリン分泌促進剤としてはスルホニルウレア剤(SU剤)が主流であるが、低血糖を起こしやすく、長期投与においては膵臓の疲弊により二次無効を引き起こすことが知られている。また、SU剤は食間の血糖コントロールには有効であるが、食後の過血糖を抑制することは困難である。最近、大規模臨床試験により、糖尿病性合併症の発症及び進展抑制には食後高血糖の是正が重要であることが確認された(非特許文献1)。また、食後高血糖のみの時期に動脈硬化が発症すること、食後軽度高血糖の持続が心血管疾患等の原因による死亡率を高めることが報告されている(非特許文献2)。このことは、食後高血糖はたとえ軽度であっても、心血管死の独立した危険因子であることを示している。以上のような背景により、食後高血糖に対する薬物治療の重要かつ必要性が認識されるようになっている。従って、インスリン分泌促進作用を有する医薬は、食後高血糖及び/若しくは空腹時血糖の是正に適したプロフィールを有し、1型糖尿病、2型糖尿病の治療及び予防に有用であると考えられる。
【0003】
一方、ピリミジン誘導体としては、2,6−ジメチル−4−(2,3−ジヒドロキシプロピル)アミノピリミジンが、殺菌効果を有する化合物の製造中間体として知られている(特許文献1)。
また、下記一般式で示される化合物が高血圧等の循環器疾患治療剤として用いられることが知られている(特許文献2)。
【化2】
(式中の記号は公報参照。)
なお、特許文献2には多彩な疾患の一例として、高血圧等の循環器疾患以外に糖尿病が挙げられているが、データによる裏付けはない。さらに、該公報における一般式のR4については、請求の範囲には「(C2−C5)−アルキル、トリフルオロメチル又はアリール」が記載されているが、実施例において具体的に開示されているのは、イソプロピル、トリフルオロメチル、ターシャリーブチル及びフェニルの化合物に限られている。また、該公報における一般式のR1若しくはR2として、実施例において2−ヒドロキシエチル、3−ヒドロキシプロピル、4−ヒドロキシブチルが具体的に開示されているが、2つの水酸基を有する化合物又は2級水酸基を有する化合物の具体的開示はない。
【0004】
【非特許文献1】N. Engl. J. Med., 329: 977−986, 1993
【非特許文献2】Lancet, 354: 617, 1999, Brit. Med. J., 321: 405−413, 2000
【特許文献1】国際公開第WO 95/11899号パンフレット
【特許文献2】欧州特許出願公開第EP 1112266号明細書
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
上述の通り、インスリン分泌促進剤は、1型糖尿病、2型糖尿病、インスリン抵抗性疾患、及び肥満の治療及び予防に有用であるため、さらに優れた効果を有するインスリン分泌促進剤の創製が切望されている。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者等は、インスリン分泌促進作用を有する化合物について鋭意研究し、ピリミジン誘導体が優れたインスリン分泌促進作用を有することを見出し、本発明を完成させた。
【0007】
即ち、本発明によれば、式(I)で示されるピリミジン誘導体若しくはその製薬学的に許容される塩、並びに、これらの化合物を有効成分とする医薬組成物が提供される。
【化3】
[式中の記号は以下の意味を示す。
R1:1つ以上の同一若しくは異なるハロゲンでそれぞれ置換されていてもよいメチル、エチル若しくはシクロプロピル。
R2:−H、−F若しくはメチル。
R3:それぞれ置換されていてもよいアリール若しくは芳香族ヘテロ環。]
好ましくは、以下の化合物を除く、式(I)で示されるピリミジン誘導体若しくはその製薬学的に許容される塩が提供される。
3−{[2−(4−ブロモフェニル)−6−エチルピリミジン−4−イル]アミノ}プロパン−1,2−ジオール、
3−{[2−(3−クロロ−4−フルオロフェニル)−6−エチルピリミジン−4−イル]アミノ}プロパン−1,2−ジオール、
3−{[2−(2,5−ジフルオロフェニル)−6−メチルピリミジン−4−イル]アミノ}プロパン−1,2−ジオール、
3−{[2−(3,4−ジフルオロフェニル)−6−メチルピリミジン−4−イル]アミノ}プロパン−1,2−ジオール、
3−{[2−(3,5−ジフルオロフェニル)−6−メチルピリミジン−4−イル]アミノ}プロパン−1,2−ジオール、
3−{[2−(3,4,5−トリフルオロフェニル)−6−メチルピリミジン−4−イル]アミノ}プロパン−1,2−ジオール、
3−{[2−(4−クロロ−2−フルオロフェニル)−6−メチルピリミジン−4−イル]アミノ}プロパン−1,2−ジオール、
3−{[2−(4−クロロ−3−フルオロフェニル)−6−メチルピリミジン−4−イル]アミノ}プロパン−1,2−ジオール、
3−{[2−(4−ブロモフェニル)−5−フルオロ−6−メチルピリミジン−4−イル]アミノ}プロパン−1,2−ジオール、
3−{[2−(5−ブロモ−2−フルオロフェニル)−6−メチルピリミジン−4−イル]アミノ}プロパン−1,2−ジオール、
3−{[2−(2,1,3−ベンゾオキサジアゾール−5−イル)−6−メチルピリミジン−4−イル]アミノ}プロパン−1,2−ジオール、
3−{[2−(2,3,5−トリフルオロフェニル)−6−メチルピリミジン−4−イル]アミノ}プロパン−1,2−ジオール、
3−{[2−(2,5−ジフルオロフェニル)−6−エチルピリミジン−4−イル]アミノ}プロパン−1,2−ジオール、
3−{[2−(3,4−ジフルオロフェニル)−6−エチルピリミジン−4−イル]アミノ}プロパン−1,2−ジオール、
3−{[2−(3,4,5−トリフルオロフェニル)−6−エチルピリミジン−4−イル]アミノ}プロパン−1,2−ジオール、
3−{[2−(4−クロロフェニル)−6−エチルピリミジン−4−イル]アミノ}プロパン−1,2−ジオール、
3−{[2−(3,4−ジクロロフェニル)−6−エチルピリミジン−4−イル]アミノ}プロパン−1,2−ジオール、
3−{[2−(4−クロロ−2−フルオロフェニル)−6−エチルピリミジン−4−イル]アミノ}プロパン−1,2−ジオール、
3−{[2−(4−クロロ−3−フルオロフェニル)−6−エチルピリミジン−4−イル]アミノ}プロパン−1,2−ジオール、
3−{[2−(5−ブロモ−2−フルオロフェニル)−6−エチルピリミジン−4−イル]アミノ}プロパン−1,2−ジオール、
3−{[2−(2,1,3−ベンゾオキサジアゾール−5−イル)−6−エチルピリミジン−4−イル]アミノ}プロパン−1,2−ジオール、及び、
3−{[2−(2,3,5−トリフルオロフェニル)−6−エチルピリミジン−4−イル]アミノ}プロパン−1,2−ジオール。
【0008】
なお、式(I)のR1として、好ましくは、1つ以上の同一若しくは異なるハロゲンで置換されていてもよいメチル、又は、1つ以上の同一若しくは異なるハロゲンで置換されているエチル(但し、トリフルオロメチルを除く。)であり;さらに好ましくは、メチルである。
また、式(I)のR2として、好ましくは、−Hである。
また、式(I)のR3として、好ましくは、1つ以上の同一若しくは異なるハロゲンでそれぞれ置換されているフェニル若しくはピリジルであり;さらに好ましくは、2つ乃至4つの同一若しくは異なるハロゲンで置換されているフェニルであり;特に好ましくは、少なくとも1つのフッ素を含む2つ乃至4つの同一若しくは異なるハロゲンで置換されているフェニルである。
【0009】
式(I)で示される本発明化合物は、ピリミジン4位のアミノ基に2,3−ジヒドロキシプロピル基が置換している点に化学構造上の特徴を有し、インスリン分泌促進作用を有する点に薬理学上の特徴を有する。
【0010】
【発明の実施の形態】
式(I)で示される化合物についてさらに説明すると、以下の通りである。
「アリール」とは、C6−14の単環乃至3環の芳香族炭化水素環の1価基を意味し、好ましくはフェニル、ナフチルであり、さらに好ましくはフェニルである。「芳香族ヘテロ環」とは、窒素、酸素及び硫黄からなる群より選択される同一又は異なるヘテロ原子を1乃至4個含有するベンゼン環と縮合していてもよい芳香族ヘテロ環の1価基を意味し、具体的には例えば、ピロリル、フリル、チエニル、イミダゾリル、ピラゾリル、オキサゾリル、チアゾリル、フラザニル、ピリジル、ピラニル、チオピラニル、ピリダジル、ピリミジル、ピラジル、インドリル、イソインドリル、インドリジニル、ベンゾフリル、ベンゾチエニル、ベンゾイミダゾリル、インダゾリル、ベンゾオキサゾリル、ベンゾチアゾリル、ベンゾオキサジアゾリル、キノリル、イソキノリル、クロメニル、ベンゾチオピラニル、フタラジニル、ナフチリジニル、キノキサリニル、キナゾリニル、シンノリニル、ベンゾジオキソリル、ベンゾジオキシニル、ベンゾジオキセピニル、カルバゾリルであり、これらの環を構成する窒素原子及び硫黄原子は酸化されていてもよく、また、これらの環は部分的に飽和されていてもよい。好ましくはピリジル、フリル、チエニル、イミダゾリル、チアゾリル、オキシドピリジル、ピラジル、インドリル、ベンゾフリル、ベンゾチエニル、ベンゾイミダゾリル、ベンゾオキサゾリル、ベンゾチアゾリル、ベンゾオキサジアゾリル、キノリル、オキシドキノリル、イソキノリル、クロメニル、ベンゾジオキソリル、ベンゾジオキシニル、ベンゾジオキセピニルである。
「ハロゲン」としては、フルオロ、クロロ、ブロモ、ヨードが挙げられる。好ましくはフルオロ、クロロ、ブロモである。
【0011】
本明細書において、「置換されていてもよい」若しくは「置換されている」の語の許容される置換基としては、それぞれの基の置換基として通常用いられる置換基であればいずれでもよく、各々の基に1つ以上置換基を有していてもよい。 R3における「それぞれ置換されていてもよいアリール若しくは芳香族ヘテロ環」において許容される置換基としては、以下の(1)乃至(8)に挙げる基が挙げられる。なお、「RA」は、−OH、−O−低級アルキル、1つ又は2つの低級アルキルで置換されていてもよいアミノ、1つ又は2つの低級アルキルで置換されていてもよいカルバモイル、アリール、芳香族ヘテロ環及びハロゲンからなる群より選択される1つ以上の基で置換されていてもよい低級アルキルを示す。
(1)ハロゲン;
(2)−OH、−O−RA、−O−アリール、−OCO−RA、オキソ(=O);
(3)−SH、−S−RA、−S−アリール、−SO−RA、−SO−アリール、−SO2−RA、−SO2−アリール、1つ又は2つのRAで置換されていてもよいスルファモイル;
(4)1つ又は2つのRAで置換されていてもよいアミノ、−NHCO−RA、−NHCO−アリール、−NHCO2−RA、−NHCONH2、−NHCONH−RA、−NHSO2−RA、−NHSO2−アリール、ニトロ;
(5)−CHO、−CO−RA、−CO2H、−CO2−RA、1つ又は2つのRAで置換されていてもよいカルバモイル、シアノ;
(6)−OH、−O−低級アルキル、1つ又は2つのRAで置換されていてもよいアミノ、ハロゲン及びRAからなる群より選択される1つ以上の基でそれぞれ置換されていてもよいアリール若しくはシクロアルキル;
(7)−OH、−O−低級アルキル、1つ又は2つのRAで置換されていてもよいアミノ、ハロゲン及びRAからなる群より選択される1つ以上の基でそれぞれ置換されていてもよい芳香族ヘテロ環若しくは非芳香族ヘテロ環;
(8)上記(1)乃至(7)に示される置換基より選択される1つ以上の基で置換されていてもよい低級アルキル。
ここで、「低級アルキル」とは、C1−6のアルキルを意味し、具体的には例えば、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル若しくはヘキシル又はイソプロピル若しくはイソブチル等のこれらの構造異性体であり、好ましくはC1−4アルキルであり、さらに好ましくはメチル、エチルである。
また、「シクロアルキル」とは、C3−10の炭素環の1価基を意味し、これらの環は架橋されていてもよい。具体的には例えば、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロオクチル、ノルボルニル、アダマンチルである。
また、「非芳香族ヘテロ環」とは、窒素、酸素及び硫黄からなる群より選択される同一又は異なるヘテロ原子を1乃至4個含有する非芳香族ヘテロ環の1価基を意味し、具体的には例えば、オキセタニル、ピロリジニル、テトラヒドロフリル、テトラヒドロチオフリル、テトラヒドロチオピラニル、イミダゾリジニル、ピラゾリジニル、ピペリジニル、ピペラジニル、モルホリニル、チオモルホリニル、キヌクリジニルであり、これらの環を構成する窒素原子及び硫黄原子は酸化されていてもよい。好ましくはピロリジニル、ピペリジニル、ピペラジニル、モルホリニルである。
【0012】
式(I)で示される化合物には、置換基の種類によっては、不斉炭素原子を含む場合があり、これに基づく光学活性体が存在しうる。本発明はこれらの光学異性体の混合物や単離されたものをすべて包含する。
また、式(I)で示される化合物は塩を形成する場合もあり、かかる塩が製薬学的に許容されうる塩である限りにおいて、本発明に包含される。具体的には、塩酸、臭化水素酸、ヨウ化水素酸、硫酸、硝酸、リン酸等の無機酸や、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、フマル酸、マレイン酸、乳酸、リンゴ酸、酒石酸、クエン酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、アスパラギン酸、グルタミン酸等の有機酸との酸付加塩、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウム、アルミニウム等の金属を含む無機塩基、メチルアミン、エチルアミン、エタノールアミン、リジン、オルニチン等の有機塩基との塩やアンモニウム塩等が挙げられる。
さらに、本発明は、本発明の医薬の有効成分である化合物若しくは本発明化合物又はその製薬学上許容される塩の各種の水和物や溶媒和物及び結晶多形を有する物質も包含する。なお、本発明の医薬の有効成分である化合物又は本発明化合物には、生体内において代謝されて式(I)で示される化合物又はその塩に変換される化合物、いわゆるプロドラッグもすべて包含される。本発明の医薬の有効成分である化合物又は本発明化合物のプロドラッグを形成する基としては、Prog. Med. 5: 2157−2161 (1985)に記載されている基や、廣川書店1990年刊「医薬品の開発」第7巻 分子設計163−198ページに記載されている基が挙げられる。
【0013】
(製造法)
式(I)で示される化合物又はその塩は、その基本骨格あるいは置換基の種類に基づく特徴を利用し、種々の公知の合成法を適用して製造することができる。以下に代表的な製法を例示する。なお、官能基の種類によっては、当該官能基を原料乃至中間体の段階で適当な保護基、即ち容易に当該官能基に転化可能な基に置き換えておくことが製造技術上効果的な場合がある。しかる後、必要に応じて保護基を除去し、所望の化合物を得ることができる。このような官能基としては例えば水酸基やカルボキシル基、アミノ基等を挙げることができ、それらの保護基としては例えばグリーン(Greene)及びウッツ(Wuts)著、「Protective Groups in Organic Synthesis (third edition)」に記載の保護基を挙げることができ、これらを反応条件に応じて適宜用いればよい。
【0014】
<第一製法>
【化4】
(式中、R1、R2及びR3は前述の意味を、YはO又はSを、Zは脱離基を示す。以下同様。)
本製法は、式(1a)で示されるピリミジノン又はピリミジンチオン誘導体を常法に従って、ハロゲン化又はスルホニル化することにより製造することができる、式(1b)で示される脱離基を有するピリミジン誘導体に対し、式(1c)で示されるジヒドロキシプロピルアミンを作用させ、式(I)で示される本発明化合物を製造する方法である。
化合物(1b)におけるZで示される脱離基としては、反応条件下において化合物(1c)のアミノ基の水素原子と共にHZの形で脱離しうる基を意味し、例えばフルオロ、クロロ、ブロモ、ヨード等のハロゲン、メタンスルホニルオキシのような低級アルキルスルホニルオキシ基、トリフルオロメタンスルホニルオキシのようなパーハロゲノメタンスルホニルオキシ基、ベンゼンスルホニルオキシ、p−トルエンスルホニルオキシのようなアリールスルホニルオキシ基が挙げられる。
(第一工程)
本工程におけるハロゲン化は、例えば化合物(1a)とオキシ塩化リン、三臭化リン等のハロゲン化剤とを反応させることにより行われる。スルホニル化は、例えばYが酸素原子である場合の化合物(1a)とメタンスルホニルクロリド、p−トルエンスルホニルクロリド、トリフルオロメタンスルホニルクロリド、トリフルオロメタンスルホン酸無水物等のスルホニル化剤とを反応させることにより行われる。
化合物(1a)は公知の方法、例えばJ. Am. Chem. Soc., 74, 842, (1952)、Chem. Ber., 95, 937, (1962)、若しくはJ. Org. Chem., 29, 2887, (1964)に記載の方法又はこれらに準じた方法により製造することができる。また、化合物(1a)は市販されているか、あるいは上記以外の公知の方法により製造することができる。
(第二工程)
本工程における化合物(1b)と化合物(1c)との反応は、常圧または加圧下に、溶媒の不存在下又は適当な溶媒の存在下で行われる。
溶媒の具体例としては、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類;メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン類;エーテル、テトラヒドロフラン(THF)、ジオキサン、ジグライム等のエーテル類;メタノール(MeOH)、エタノール(EtOH)、2−プロパノール等のアルコール類;アセトニトリル、ジメチルホルムアミド(DMF)、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン(DMI)、ジメチルスルホキシド(DMSO)、水あるいはこれらの混合溶媒が挙げられる。本反応は塩基の存在下に行うのが好ましい。塩基の具体例としては、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム等の炭酸アルカリ、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム等の炭酸水素アルカリ、トリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン等の三級アミン等が挙げられるが、化合物(1c)の過剰量で兼ねることもできる。反応温度は、原料化合物の種類、反応条件等により異なるが、通常約20 ℃〜約180 ℃、好ましくは約60 ℃〜約130 ℃である。
【0015】
<第二製法>
【化5】
(式中、Z’は脱離基を示す。)
本製法は、式(2a)で示される2つの脱離基を有するピリミジン誘導体に式(1c)で示されるジヒドロキシプロピルアミンを作用させることにより製造することができる、式(2b)で示される脱離基を有するピリミジン誘導体に対し、式(2c)で示されるボロン酸誘導体を作用させ、式(I)で示される本発明化合物を製造する方法である。
化合物(2a)及び(2b)におけるZ’で示される脱離基としては、第一製法で示した化合物(1b)におけるZで示される脱離基と同様であり、Z’とZは同一であっても異なっていてもよい。
(第一工程)
本工程は、第一製法第二工程に準じて行うことができる。
なお、第二工程の反応条件によっては、式(1c)の化合物を適当な保護基で保護した化合物を用い、第二工程の後に保護基を除去することもできる。
(第二工程)
本工程における縮合反応は、常圧又は加圧下に、溶媒の不存在下又は適当な溶媒の存在下で行われる。
溶媒の具体例としては、芳香族炭化水素類、ケトン類、エーテル類、アルコール類、アセトニトリル、DMF、DMSO、水あるいはこれらの混合溶媒が挙げられる。本反応は塩基の存在下に行うのが好ましく、塩基の具体例としては、炭酸アルカリ、炭酸水素アルカリ、三級アミン等が挙げられる。反応温度は、原料化合物の種類、反応条件により異なるが、通常約20 ℃〜約180 ℃、好ましくは約60 ℃〜約130 ℃である。
また、本反応は遷移金属類あるいは遷移金属−ホスフィン錯体を添加することにより円滑に進行する場合がある。これらの具体例としては、パラジウム担持炭素、ジクロロ[1,4−ビス(ジフェニルホスフィン)ブタン]パラジウム、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム等が挙げられるが、米国特許公報5550236号に記載された具体例のものを用いることもできる。
【0016】
さらに、式(I)で示されるいくつかの化合物は、以上のようにして得られた化合物から当業者が通常採用し得る、アルキル化、アシル化、酸化、還元反応等の公知の工程を任意に組み合わせることにより製造することもできる。
【0017】
このようにして製造された本発明化合物は、遊離のまま、又は常法による造塩処理を施しその塩として単離・精製される。単離・精製は抽出、濃縮、留去、結晶化、濾過、再結晶、沈澱、各種クロマトグラフィー等の通常の化学操作を適用して行われる。
各種の異性体は異性体間の物理化学的性質の差を利用して、常法により単離できる。例えばラセミ混合物は、例えば酒石酸等の一般的な光学活性酸とのジアステレオマー塩に導き光学分割する方法等の一般的ラセミ体分割法により、光学的に純粋な異性体に導くことができる。また、ジアステレオ混合物は、例えば分別結晶化又は各種クロマトグラフィー等により分離できる。また、光学活性な化合物は適当な光学活性な原料を用いることにより製造することもできる。
【0018】
【発明の効果】
式(I)で示される本発明化合物は、優れたインスリン分泌促進作用及び血糖上昇抑制作用を有する。従って、式(I)で示される本発明化合物は該作用に基づき、1型糖尿病、2型糖尿病、インスリン抵抗性疾患及び/又は肥満の治療及び/又は予防に有用である。
【0019】
本発明化合物の薬理作用は、以下の試験方法により確認された。
(1)インスリン分泌促進作用測定試験
本試験において、マウス膵β細胞株であるMIN6細胞又はMIN6B1細胞を用いた被検化合物のインスリン分泌促進作用を検討した。以下に試験方法を示す。
24穴プレートに2×105 個 / 穴(0.4 ml)になるようにMIN6細胞又はMIN6B1細胞を蒔いた(培地は25 mM グルコース入りのDMEMにFCSを10%になるように加えたものを用いた)。2日後に培地をアスピレーターで除き、37℃に温めた2.8 mMグルコースを含むKRB−HEPES(140 mM NaCl、3.6 mM KCl、0.5 mM NaH2PO4、0.5 mM MgSO4、1.5 mM CaCl2、2 mM NaHCO3、0.1% BSA、10 mM HEPES(pH 7.4))1 mlで一度洗い、再度、同緩衝液1 mlを入れて30分乃至60分間、37 ℃でインキュベートした。上記緩衝液をアスピレーターで除き、16.8 mM グルコースを含むKRB−HEPESに被検化合物を各々10 μM添加したものを、各穴に0.5 mlずつ加え、22分間37 ℃でインキュベートした。上記サンプルを分取し、2.0 μl−2.5 μlをPBS 50 μlに希釈して、インスリン濃度をファデセフインスリンRIAキット(ファルマシア・アップジョン社製)又はラットインスリン[125I]アッセイシステム RPA 547(Amersham Biosciences )を用いて定量した。被検化合物は100% DMSOに溶解し、終濃度0.1%で添加した。活性はDMSOを100%としたときの相対比で表した。その結果を表1に示す。
なお、表中の化合物表記において、Exは後述の実施例化合物の実施例番号を示す(以下同様)。
【0020】
【表1】
上記のように、本発明化合物は、強いインスリン分泌促進作用を示した。
【0021】
(2)正常マウス経口糖負荷試験
本試験において、正常マウスを用いた被検化合物の糖負荷後の血糖上昇抑制作用について検討した。以下に試験方法を示す。
1週間予備飼育したICRマウス(雄、6週齢)を18〜20時間絶食し、被検動物として用いた。被検化合物は水に溶解させ、グルコース負荷5分前(Nateglinideは30分前)に3 mg/kg経口投与(Nateglinideについては10 mg/kg)した。グルコース負荷後30分時の対照群に対する血糖低下率(%)を測定した。その結果を表2に示す。
【0022】
【表2】
上記のように、本発明化合物は、正常マウス経口糖負荷試験において強い血糖低下作用を示した。
【0023】
本発明の医薬は、式(I)で示される化合物の1種以上と、通常製剤化に用いられる、薬剤用担体、賦形剤、その他の添加剤を用いて、通常使用されている方法によって調整することができる。投与は、錠剤、丸剤、カプセル剤、顆粒剤、散剤、細粒剤、液剤等による経口投与、静注、筋注等の注射剤、又は坐剤、経鼻、経粘膜、経皮等による非経口投与のいずれの形態であってもよい。
本発明による経口投与のための固体組成物としては、錠剤、散剤、顆粒剤等が用いられる。このような固体組成物においては、1種以上の活性物質が、少なくとも1つの不活性な希釈剤、例えば乳糖、マンニトール、ブドウ糖、ヒドロキシプロピルセルロース、微結晶セルロース、デンプン、ポリビニルピロリドン、メタケイ酸アルミン酸マグネシウム等と混合される。組成物は、常法に従って、不活性な希釈剤以外の添加剤、例えばステアリン酸マグネシウム等の潤滑剤、繊維素グリコール酸カルシウム等の崩壊剤、ラクトース等の安定化剤、グルタミン酸又はアスパラギン酸等の可溶化剤又は溶解補助剤を含有していてもよい。錠剤又は丸剤は必要によりショ糖、ゼラチン、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート等の糖衣又は胃溶性若しくは腸溶性のフィルムで被膜してもよい。
【0024】
経口投与のための液体組成物は、薬剤的に許容される乳濁剤、溶液剤、懸濁剤、シロップ剤、エリキシル剤等を含み、一般的に用いられる不活性な希釈剤、例えば精製水、EtOHを含む。この組成物は不活性な希釈剤以外に可溶化剤、溶解補助剤、湿潤剤、懸濁剤のような補助剤、甘味剤、風味剤、芳香剤、防腐剤を含有していてもよい。
非経口投与のための注射剤としては、無菌の水性又は非水性の溶液剤、懸濁剤、乳濁剤を包含する。水性の溶液剤、懸濁剤の希釈剤としては、例えば注射剤用蒸留水及び生理食塩水が含まれる。非水溶性の溶液剤、懸濁剤の希釈剤としては、例えばプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、オリーブ油等の植物油、EtOH等のアルコール類、ポリソルベート80(商品名)等がある。このような組成物は、さらに等張化剤、防腐剤、湿潤剤、乳化剤、分散剤、例えばラクトース等の安定化剤、可溶化剤又は溶解補助剤等の添加剤を含んでもよい。これらは例えばバクテリア保留フィルターを通す濾過、殺菌剤の配合又は照射によって無菌化される。これらはまた無菌の固体組成物を製造し、使用前に無菌水又は無菌の注射用溶媒に溶解して使用することもできる。
通常経口投与の場合、1日の投与量は、成人1人あたり0.1〜500 mgが適当で、これを1回であるいは2乃至4回に分けて投与する。静脈投与される場合、1日の投与量は、成人1人あたり0.01〜100 mgが適当で、これを1回あるいは2乃至4回に分けて投与する。投与量は症状、年齢、体重、性別等を考慮して、個々の場合に応じて適宜決定される。投与量は種々の条件で変動するので、上記投与量範囲より少ない量で十分な場合もある。
【0025】
【実施例】
以下、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例により何ら制限されるものではない。なお、実施例において使用される原料化合物には新規な物質も含まれており、そのような原料化合物の公知物からの製造法を参考例として説明する。
【0026】
参考例1
4−ブロモ−2,5−ジフルオロ安息香酸31.32 g、塩化チオニル100 ml及びDMF 0.5 mlの混合物を80 ℃で2時間攪拌した後、トルエン200 mlを加え溶媒を減圧留去した。残渣にクロロホルム200 mlを加え、氷冷下で28%アンモニア水200 mlを滴下し同温で1時間攪拌した。反応液をクロロホルムで抽出し有機層を飽和食塩水(brine)で洗浄した後、無水硫酸マグネシウム(MgSO4)で乾燥した。溶媒を減圧留去して、4−ブロモ−2,5−ジフルオロベンズアミド28.42 gを微黄色固体として得た。
参考例1と同様に、参考例2の化合物を得た。
【0027】
参考例3
4−ブロモ−2,5−ジフルオロベンズアミド28.37 g及びオキシ塩化リン115 mlの混合物を80 ℃で1.5時間攪拌した後、トルエン250 mlを加え溶媒を減圧留去した。残渣に氷水300 mlを加えエーテルで抽出後、有機層を飽和重曹水及びbrineで洗浄した後MgSO4で乾燥した。溶媒を減圧留去して、4−ブロモ−2,5−ジフルオロベンゾニトリル26.82 gを黄色固体として得た。
参考例3と同様に、参考例4の化合物を得た。
【0028】
参考例5
4−ブロモベンゾニトリル18.20 g、クロロホルム300 ml及びEtOH 100 mlの混合物に、攪拌しながら−65 ℃で塩化水素ガスを30分間吹き込んだ後、室温で終夜攪拌した。溶媒を減圧留去した後、残渣に炭酸アンモニウム48 g及びEtOH 400 mlを加え、室温で3日間攪拌した。反応液に水300 mlを加えた後EtOHを減圧留去し、析出した固体を濾取、水洗して、4−ブロモベンズアミジン塩酸塩22.91 gを無色固体として得た。
参考例5と同様に、参考例6〜10の化合物を得た。
【0029】
参考例11
3,4,5−トリフルオロベンズアミジン塩酸塩を脱塩して得られる3,4,5−トリフルオロベンズアミジン 6.03 gのMeOH 120 ml溶液にナトリウムメトキシド3.74 g及び3−オキソペンタン酸メチル4.72 mlを加え60 ℃で14時間攪拌した。反応液に1M HCl水溶液160 mlを加え、析出した固体を濾取、水洗して、6−エチル−2−(3,4,5−トリフルオロフェニル)−3H−ピリミジン−4−オン8.86 gを無色固体として得た。
参考例11と同様に、参考例12〜20の化合物を得た。
【0030】
参考例21
6−エチル−2−(3,4,5−トリフルオロフェニル)−3H−ピリミジン−4−オン5.83 g及びオキシ塩化リン35 mlの混合物を100 ℃で2.5時間攪拌した。溶媒を減圧留去した後、残渣に水50 mlを加えEtOAcで抽出した。有機層をMgSO4で乾燥後、溶媒を減圧留去して、4−クロロ−6−エチル−2−(3,4,5−トリフルオロフェニル)ピリミジン5.84 gを微褐色非晶性固体として得た。
参考例21と同様に、参考例22〜30の化合物を得た。
【0031】
参考例化合物の構造と物理学的データを表3〜表6に示す。なお、表中の記号は以下の意味を示す(以下同様)。
Rf:参考例番号、
Data:物理学的データ、FMS:質量分析データ(特に記載がない場合は、FAB−MS(M+H)+データ)、NMR:NMRデータ((CH3)4Siを内部標準とし、特に記載がない場合はDMSO−d6を測定溶媒とする1H−NMRにおけるピークのδ(ppm))、
Salt:塩(HCl:塩酸塩、Ox:シュウ酸塩、無記載:フリー体)、
Structure:化学構造式、Me:メチル、Et:エチル。
【0032】
【表3】
【0033】
【表4】
【0034】
【表5】
【0035】
【表6】
【0036】
実施例1
4−クロロ−6−エチル−2−(3,4,5−トリフルオロフェニル)ピリミジン230 mg、3−アミノ−1,2−プロパンジオール650 mg及びアセトニトリル5 mlの混合物を80 ℃で15時間攪拌した後、水10 mlを加え、酢酸エチル(EtOAc)で抽出した。有機層をbrineで洗浄した後MgSO4で乾燥した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製して、3−{[6−エチル−2−(3,4,5−トリフルオロフェニル)ピリミジン−4−イル]アミノ}プロパン−1,2−ジオール0.29 gを得た。
【0037】
上記実施例化合物の構造と物理学的データを表7に示す。また、実施例1と同様の製造法により得た実施例化合物、及び光学活性な3−アミノ−1,2−プロパンジオールを用いて実施例1と同様の製造法により得た実施例化合物の構造と物理学的データを表7〜表17に示す。なお、表中の記号は以下の意味を示す(以下同様)。
Ex:実施例番号、
R11、R21、R31:一般式中の置換基(cPr:シクロプロピル、Ph:フェニル、Py:ピリジル、di:ジ、tri:トリ。置換基の前の数字は置換位置を示し、従って、例えば3−Cl−4−F−Phは3−クロロ4−フルオロフェニルを、6−Cl−3−Pyは6−クロロピリジン−3−イルを示す。)。
【0038】
【表7】
【0039】
【表8】
【0040】
【表9】
【0041】
【表10】
【0042】
【表11】
【0043】
【表12】
【0044】
【表13】
【0045】
【表14】
【0046】
【表15】
【0047】
【表16】
【0048】
【表17】
【0049】
以下、表18に本発明の別の化合物の構造を示す。これらは、上記の製造法や実施例記載の方法及び当業者にとって自明である方法、又はこれらの変法を用いることにより容易に製造することができる。なお、表中の記号は以下の意味を示す。
No:化合物番号。
R32:一般式中の置換基(tBu:ターシャリーブチル)。
【0050】
【表18】
Claims (3)
- 請求項1記載の式(I)で示されるピリミジン誘導体又はその製薬学的に許容される塩。但し、以下の化合物を除く。
3−{[2−(4−ブロモフェニル)−6−エチルピリミジン−4−イル]アミノ}プロパン−1,2−ジオール、
3−{[2−(3−クロロ−4−フルオロフェニル)−6−エチルピリミジン−4−イル]アミノ}プロパン−1,2−ジオール、
3−{[2−(2,5−ジフルオロフェニル)−6−メチルピリミジン−4−イル]アミノ}プロパン−1,2−ジオール、
3−{[2−(3,4−ジフルオロフェニル)−6−メチルピリミジン−4−イル]アミノ}プロパン−1,2−ジオール、
3−{[2−(3,5−ジフルオロフェニル)−6−メチルピリミジン−4−イル]アミノ}プロパン−1,2−ジオール、
3−{[2−(3,4,5−トリフルオロフェニル)−6−メチルピリミジン−4−イル]アミノ}プロパン−1,2−ジオール、
3−{[2−(4−クロロ−2−フルオロフェニル)−6−メチルピリミジン−4−イル]アミノ}プロパン−1,2−ジオール、
3−{[2−(4−クロロ−3−フルオロフェニル)−6−メチルピリミジン−4−イル]アミノ}プロパン−1,2−ジオール、
3−{[2−(4−ブロモフェニル)−5−フルオロ−6−メチルピリミジン−4−イル]アミノ}プロパン−1,2−ジオール、
3−{[2−(5−ブロモ−2−フルオロフェニル)−6−メチルピリミジン−4−イル]アミノ}プロパン−1,2−ジオール、
3−{[2−(2,1,3−ベンゾオキサジアゾール−5−イル)−6−メチルピリミジン−4−イル]アミノ}プロパン−1,2−ジオール、
3−{[2−(2,3,5−トリフルオロフェニル)−6−メチルピリミジン−4−イル]アミノ}プロパン−1,2−ジオール、
3−{[2−(2,5−ジフルオロフェニル)−6−エチルピリミジン−4−イル]アミノ}プロパン−1,2−ジオール、
3−{[2−(3,4−ジフルオロフェニル)−6−エチルピリミジン−4−イル]アミノ}プロパン−1,2−ジオール、
3−{[2−(3,4,5−トリフルオロフェニル)−6−エチルピリミジン−4−イル]アミノ}プロパン−1,2−ジオール、
3−{[2−(4−クロロフェニル)−6−エチルピリミジン−4−イル]アミノ}プロパン−1,2−ジオール、
3−{[2−(3,4−ジクロロフェニル)−6−エチルピリミジン−4−イル]アミノ}プロパン−1,2−ジオール、
3−{[2−(4−クロロ−2−フルオロフェニル)−6−エチルピリミジン−4−イル]アミノ}プロパン−1,2−ジオール、
3−{[2−(4−クロロ−3−フルオロフェニル)−6−エチルピリミジン−4−イル]アミノ}プロパン−1,2−ジオール、
3−{[2−(5−ブロモ−2−フルオロフェニル)−6−エチルピリミジン−4−イル]アミノ}プロパン−1,2−ジオール、
3−{[2−(2,1,3−ベンゾオキサジアゾール−5−イル)−6−エチルピリミジン−4−イル]アミノ}プロパン−1,2−ジオール、及び、
3−{[2−(2,3,5−トリフルオロフェニル)−6−エチルピリミジン−4−イル]アミノ}プロパン−1,2−ジオール。 - 請求項1記載の式(I)で示される化合物を有効成分とする医薬組成物。
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