JP2004269356A - 創傷部癒着防止剤 - Google Patents

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Abstract

【課題】創傷部の治癒に伴う癒着防止に有効な薬剤の提供。
【解決手段】下記一般式(I)で示されるシクロプロパンカルボン酸アミド化合物またはその製薬学的に許容される塩を有効成分とする創傷部癒着防止剤。
Figure 2004269356

〔式中、R、Rはそれぞれ同じでも異なってもよく、アルキル基またはハロゲン原子を示し、Rは水素原子またはアルキル基を示し、Aは置換基を有してもよい芳香環または置換基を有してもよい芳香族複素環を示す。〕
【選択図】なし

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は外科手術後などの創傷部治癒に伴う腸管や臓器などの癒着を防止するのに有効な創傷部癒着防止剤に関する。
【0002】
【従来の技術】
外科手術後の創傷部治癒に伴う腸管や臓器の癒着は、癒着性イレウスとなり再手術が必要になったり、また術後患者の予後を悪化させる可能性があることから、外科医を悩ませる大きな問題となっている(馬越正通ら、外科治療, 68, 1005(1993))。手術手技及び機器の向上に伴い、癒着による問題は減る傾向にあるものの、完全に防止できないのが現状である。このような癒着を防止するような薬剤があれば、外科手術などによる創傷部の治癒に伴う癒着防止に対する有効な治療薬となり、患者の予後の改善に寄与することが予想されるが、今までに有効な薬剤は見出されていない。
なお本発明で用いるシクロプロパンカルボン酸アミド化合物は、公開特許(WO00/15603)および出願特許(特願平11−187959,特願平11−247483,特願2000−334271)に記載されているが、本発明で対象とする創傷部癒着防止効果については開示されていない。
なお、本発明と類似の骨格を有するシクロプロパンカルボン酸アミド化合物としては、たとえば公開特許(WO99/61013)に下記化合物の記載があるが、本発明で対象とする創傷部癒着防止効果については開示されていない。
【0003】
【化5】
Figure 2004269356
【0004】
また、例えば論文(ジャーナル・オブ・アグリカルチュラル・アンド・フード・ケミストリ、15巻、501頁、1967年)に除草活性を有する化合物が記載されているが、本発明で対象とする創傷部癒着防止効果については開示されていない。
また、例えば公開特許(US5622989)に、下記化合物が抗炎症作用を有することが記載されているが、本発明で対象とする創傷部癒着防止効果については開示されていない。
【0005】
【化6】
Figure 2004269356
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、薬効が高く、副作用の少ない創傷部癒着防止剤を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
発明者らは、手術後の組織修復の過程に於いて、手術損傷を引き金とした炎症性反応により組織が異常修復され、その結果として癒着が生じると仮定した。さらに、これらの炎症性反応には、AP−1またはNF−kappaBとして知られる転写因子が関与していることが知られていることから、すなわち、AP−1またはNF−kappaBの活性化を阻害する化合物は、外科手術などによる創傷部の治癒に伴う癒着防止に対する有効な治療薬となると考えた。
そこで本発明者らは強力なNF−kappaB活性化阻害活性を持つ化合物を鋭意検討した結果、一般式(I)で示されるシクロプロパンカルボン酸アミド化合物が創傷部癒着防止に有効であることを見いだし、本発明を完成した。
すなわち、本発明は、下記一般式(I)または下記一般式(II)で示されるシクロプロパンカルボン酸アミド化合物またはその製薬学的に許容される塩を有効成分とする創傷部癒着防止剤を提供する。
【化7】
Figure 2004269356
〔式中、R1、R2はそれぞれ同じでも異なってもよく、アルキル基またはハロゲン原子を示し、R3は水素原子またはアルキル基を示し、Aは置換基を有してもよい芳香環または置換基を有してもよい芳香族複素環を示す。〕
【化8】
Figure 2004269356
〔式中、R4、R5はそれぞれ同じでも異なってもよく、アルキル基またはハロゲン原子を示し、R6、R7はそれぞれ同じでも異なってもよく、水素原子またはアルキル基を示し、R8は置換基を有してもよいシクロアルキル基、置換基を有してもよいアリール基、置換基を有してもよいヘテロアリール基を示し、B1,B2はそれぞれ同じでも異なってもよく置換基を有してもよい芳香環または置換基を有してもよい芳香族複素環を示し、−X−は原子間結合、−O−、−O−CO−、−CO−O−、−S−、−SO−、−SO2−、−NR9−、−CO−、−CO−NR10−、−NR11−CO−、−CR12R13−、−O−CHR14−、−CHR15−O−、−S−CHR16−、−CHR17−S−(ここで、R9、R10、R11は水素原子、アルキル基、またはアシル基のいずれかを示し、R12、R13、R14、R15、R16、R17はそれぞれ同じでも異なってもよく、水素原子、ハロゲン原子、水酸基、置換基を有してもよいアルキル基、メルカプト基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アシルオキシ基、アミノ基、アルキルアミノ基、アミノ保護基で置換されたアミノ基、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基、アミノカルボニル基、またはシアノ基を示す)を示し、−Y−は−CO−または−CH2−を示し、nは0〜6から選ばれる整数を示す。〕
【0007】
【発明の実施の形態】
一般式(I)または(II)中、ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子があげられる。
アルキル基とは、炭素数1〜6、好ましくは炭素数1〜3の直鎖もしくは分岐鎖状のアルキル基を示し、具体的には例えばメチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、イソペンチル基、tert−ペンチル基、ネオペンチル基、2−ペンチル基、3−ペンチル基、n−ヘキシル基、2−ヘキシル基などがあげられ、好ましくはメチル基、エチル基などがあげられる。
【0008】
シクロアルキル基とは、炭素数3〜6の環状のアルキル基を示し、具体的には例えばシクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基などがあげられ、より好ましくはシクロプロピル基があげられる。
アリール基とは、炭素原子で構成される単環または2環の芳香環からなる置換基を示し、具体的には、例えばフェニル基、インデニル基、ナフチル基などがあげられ、好ましくはフェニル基があげられる。
アラルキル基とは、アリール基で置換されたアルキル基を示し、そのアリール基の例は前記「アリール基」で示したものがあげられ、そのアリール基上には置換基を有していてもよい。具体的にはベンジル基、フェネチル基、フェニルプロピル基などがあげられ、好ましくはベンジル基があげられる。
【0009】
ヘテロアリール基とは、炭素、窒素、酸素、およびイオウなどで構成される5〜7員の1〜3環の芳香族複素環からなる置換基をあらわし、具体的には、例えば、ピラニル基、ピリジル基、ピリダジル基、ピリミジル基、ピラジル基、フリル基、チエニル基、ピロリル基、オキサゾリル基、イソキサゾリル基、チアゾリル基、イソチアゾリル基、イミダゾリル基、トリアゾリル基、テトラゾリル基、ピラゾリル基、フラザニル基、チアジアゾリル基、インドリル基などがあげられ、好ましくはピリジル基、ピリミジル基、ピラジル基、イミダゾリル基、トリアゾリル基であり、より好ましくはピリジル基である。
芳香環とは、炭素原子で構成される単環または2つの環からなる芳香環をあらわし、具体的には、例えばベンゼン環、ナフタレン環、インデン環などがあげられ、好ましくはベンゼン環があげられる。
芳香族複素環とは、炭素および窒素、酸素、イオウなどで構成される5〜7員の1〜3つの環からなる芳香族複素環をあらわし、具体的には、例えば、ピリジン環、ピリダジン環、ピリミジン環、ピラジン環、ピロール環、フラン環、チオフェン環、オキサゾール環、イソオキサゾール環、ピラゾール環、イミダゾール環、チアゾール環、イソチアゾール環、チアジアゾール環、フラザン環、インドール環、イソインドール環、ベンゾフラン環、イソベンゾフラン環、ベンゾチオフェン環、ベンゾピラゾール環、ベンゾイミダゾール環、ベンゾオキサゾール環、ベンゾチアゾール環、プリン環、ピラゾロピリジン環、キノリン環、イソキノリン環、ナフチリジン環、キナゾリン環、ベンゾジアゼピン環、カルバゾール環、ジベンゾフラン環などがあげられる。
【0010】
アシル基とは、ホルミル基、または炭素数1〜6の直鎖もしくは分岐鎖もしくは環状のアルキル基を有するアシル基、または置換基を有してもよいアリール基を有するアシル基であり、具体的には例えばホルミル基、アセチル基、プロピオニル基、ブチリル基、イソブチリル基、バレリル基、イソバレリル基、ピバロイル基、ヘキサノイル基、アクリロイル基、メタクリロイル基、クロトノイル基、イソクロトノイル基、ベンゾイル基、ナフトイル基などがあげられる。
アルコキシ基とは、炭素数1〜6、好ましくは炭素数1〜3の直鎖または分岐鎖または環状のアルキル基を有するアルコキシ基を示し、具体的には例えばメトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、イソプロポキシ基、n−ブトキシ基、イソブトキシ基、sec−ブトキシ基、tert−ブトキシ基、シクロプロピルオキシ基、シクロブトキシ基、シクロペンチルオキシ基、シクロヘキシルオキシ基、トリフルオロメトキシ基などがあげられ、好ましくはメトキシ基、エトキシ基などがあげられる。
【0011】
アリールオキシ基とは、酸素原子上に置換基を有してもよいアリール基が置換したアリールオキシ基を示し、そのアリール基の例は前記「アリール基」で示したものがあげられる。具体的には例えばフェノキシ基、インデニルオキシ基、1−ナフチルオキシ基、2−ナフチルオキシ基などがあげられ、好ましくはフェノキシ基があげられる。
アルキルチオ基とは、炭素数1〜6の直鎖または分岐鎖状または環状のアルキル基を有するアルキルチオ基を示し、具体的には例えばメチルチオ基、エチルチオ基、n−プロピルチオ基、イソプロピルチオ基、n−ブチルチオ基、イソブチルチオ基、sec−ブチルチオ基、tert−ブチルチオ基、シクロプロピルチオ基、シクロブチルチオ基、シクロペンチルチオ基、シクロブチルチオ基などがあげられる。
【0012】
アリールチオ基とは、硫黄原子上に置換基を有してもよいアリール基が置換したアリールチオ基を示し、そのアリール基の例は前記「アリール基」で示したものがあげられる。具体的には例えばフェニルチオ基、インデニルチオ基、1−ナフチルチオ基、2−ナフチルチオ基などがあげられ、好ましくはフェニルチオ基があげられる。
アシルオキシ基とは、ホルミルオキシ基、または炭素数1〜6の直鎖もしくは分岐鎖もしくは環状のアルキル基を有するアシルオキシ基、または置換されていてもよいアリール基を有するアシルオキシ基を示し、具体的には例えばホルミルオキシ基、アセチルオキシ基、プロピオニルオキシ基、ブチリルオキシ基、イソブチリルオキシ基、バレリルオキシ基、イソバレリルオキシ基、ピバロイルオキシ基、ヘキサノイルオキシ基、アクリロイルオキシ基、メタクリロイルオキシ基、クロトノイルオキシ基、イソクロトノイルオキシ基、ベンゾイルオキシ基、ナフトイルオキシ基などがあげられる。
【0013】
アルキルアミノ基とは、アルキル基で一置換もしくは二置換されたアミノ基であり、そのアルキル基の例は前記「アルキル基」で示したものがあげられる。具体的には例えば、アミノ基、メチルアミノ基、エチルアミノ基、プロピルアミノ基、イソプロピルアミノ基、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、ジプロピルアミノ基、ジイソプロピルアミノ基、メチルエチルアミノ基などがあげられる。「アミノ保護基で置換されたアミノ基」におけるアミノ保護基とは、通常用いられる保護基であり、アミノ基を諸反応から保護するものであれば特に限定されない。具体的には、ホルミル基、アセチル基、ピバロイル基などのアシル基、またはメトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、tert−ブトキシカルボニル基、(フルオレン−9−イル)メトキシカルボニル基などのアルコキシカルボニル基などがあげられる。
アルコキシカルボニル基とは、炭素数1〜6の直鎖または分岐鎖または環状のアルキル基を有するアルコキシカルボニル基を示し、具体的には例えばメトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、プロポキシカルボニル基、イソプロポキシカルボニル基、n−ブトキシカルボニル基、イソブトキシカルボニル基、sec−ブトキシカルボニル基、tert−ブトキシカルボニル基などがあげられる。
【0014】
置換基を有してもよいとは、置換基を有しない場合、および置換基を有する場合には少なくとも1個以上の置換基により置換されていることを示し、該置換基は同一または異なっていてもよく、また置換基の位置は任意であって、特に限定されるものではない。置換基として具体的には、例えば、ハロゲン原子、水酸基、アルキル基、アリール基、アラルキル基、メルカプト基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、アシル基、アシルオキシ基、アミノ基、アルキルアミノ基、アミノ保護基で置換されたアミノ基、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基、アミノカルボニル基、ニトロ基、トリフルオロメチル基、またはシアノ基などがあげられる。
本発明では、一般式(I)で表されるシクロプロパンカルボン酸アミド化合物またはその製薬学的に許容される塩としては、式中、次のものが好ましい。
、Rしてはメチル基、塩素原子、臭素原子が好ましく、メチル基、塩素原子がより好ましく、メチル基がさらに好ましい。
としては水素原子またはメチル基が好ましく、水素原子がより好ましい。
Aとしては置換基を有する芳香環または置換基を有する複素環が好ましく、置換基を有するベンゼン環または置換基を有するピリジン環がより好ましく、置換基を有するベンゼン環がさらに好ましく、4−ベンジルベンゼン環または4−(クロロフェニルオキシ)ベンゼン環が特に好ましい。
【0015】
また本発明では、一般式(II)で表されるシクロプロパンカルボン酸アミド化合物またはその製薬学的に許容される塩としては、式中、次のものが好ましい。
、Rしてはメチル基、塩素原子、臭素原子が好ましく、メチル基、塩素原子がより好ましく、メチル基がさらに好ましい。
、Rとしては水素原子またはメチル基が好ましく、水素原子がより好ましい。
としては2,2−ジメチルシクロプロピル基、2,2−ジクロロシクロプロピル基、置換基を有してもよいアリール基または置換基を有してもよいヘテロアリール基が好ましく、2,2−ジメチルシクロプロピル基及び2,2−ジクロロシクロプロピル基がより好ましい。
、Bとしては置換基を有してもよい芳香環または置換基を有してもよい芳香族複素環が好ましく、置換基を有してもよいベンゼン環、置換基を有してもよいピリジン環、置換基を有してもよいピリミジン環がより好ましく、置換基を有してもよいベンゼン環、置換基を有してもよいピリジン環がさらに好ましい。特に、BおよびBが、共にベンゼン環であるのが好ましく、又は、BまたはBの少なくとも一方が、置換基を有してもよいベンゼン環ではないのが好ましく、又は、BまたはBの少なくとも一方が、置換基を有してもよい芳香族複素環であるのが好ましく、又、Bが、置換基を有してもよいピジリン、置換基を有してもよいピリミジンのいずれかを示し、Bが、置換基を有してもよいベンゼン環であるのが好ましい。
−X−としては−O−、−S−、−NH−、−CH−、−CH(OH)−、−S−CH−が好ましい。
−Y−としては−CO−、−CH−が好ましく、−CO−がより好ましい。
nとしては0〜6から選ばれる整数であるのが好ましく、0〜3から選ばれる整数であるのがより好ましい。
【0016】
製薬学的に許容される塩とは、具体的には、例えば十分に酸性である本発明化合物についてはそのアンモニウム塩、アルカリ金属塩(ナトリウム塩、カリウム塩などが例示され、これらが好ましい)、アルカリ土類金属塩(カルシウム塩、マグネシウム塩などが例示され、これらが好ましい)、有機塩基の塩としてはたとえばジシクロヘキシルアミン塩、ベンザチン塩、N−メチル−D−グルカン塩、ヒドラバミン塩、アルギニンまたはリジンのようなアミノ酸の塩などが挙げられる。さらに十分に塩基性である本発明化合物ついてはその酸付加塩、例えば塩酸、硫酸、硝酸、りん酸などの無機酸塩、または酢酸、乳酸、クエン酸、酒石酸、マレイン酸、フマル酸、モノメチル硫酸等の有機酸塩などが挙げられる。また、場合によっては含水物あるいは水和物であってもよい。
また本発明は、全ての光学異性体及び幾何異性体などの異性体、水和物、溶媒和物もしくは結晶形を包含するものである。
【0017】
本発明の化合物は以下の方法により合成することができる。
例えば本発明の化合物(I)において、Aが置換基を有するベンゼン環であるものは、下記に示すように対応するアニリン類と、対応する酸クロライド等の酸ハライドを塩基存在下反応させるか、またはカルボン酸を縮合剤存在下反応させることにより目的とする化合物を得ることができる。
【0018】
【化9】
Figure 2004269356
【0019】
(Rはベンゼン環上の置換基を示し、Xは水酸基またはハロゲン原子を示す。)
例えば本発明の化合物(II)において、Xが酸素原子で、Yがカルボニル基で、n=0で、Bがピリジンで、Bがベンゼンで、R、Rがメチル基で、Rが2,2−ジメチルシクロプロピル基のものは、下記に示すように対応するジアミン化合物を先に合成し、これを原料としてそれぞれ対応する2当量以上の2,2−ジメチルシクロプロパンカルボン酸クロライド等の酸ハライドを塩基存在下反応させるか、または2当量以上の2,2−ジメチルシクロプロパンカルボン酸を縮合剤存在下反応させることにより目的とする化合物を得ることができる。
【0020】
【化10】
Figure 2004269356
【0021】
(Rは2,2−ジメチルシクロプロピル基を、Zはハロゲン原子を示す。)
また、上記の反応を応用することにより、本発明の実施例化合物を合成することができる。
一般式(I)及び(II)の化合物は後述するように、NF−kappaB活性化阻害活性を有し、創傷部治癒に伴う癒着防止に有用である。すなわち、外科手術後の創傷部治癒に伴う腹膜および臓器の癒着防止剤、またはケロイドなどの創傷部治癒に伴う皮膚の癒着防止剤として有用である。また、一般式(I)及び(II)の化合物は創傷部治療剤としても有効である。また、実施例に示すように、一般式(I)及び(II)の化合物はNF−kappaB活性化阻害活性にもとづく移植拒絶抑制作用を有し、臓器移植などの移植拒絶抑制剤としても有用である。
【0022】
一般式(I)及び(II)の化合物を創傷部癒着防止剤として使用する場合、経口投与、静脈内投与、経皮投与、点眼投与することができる。投与量は投与する患者の症状、年齢、投与方法によって異なるが、通常1〜3000mg/kg/日である。
一般式(I)及び(II)の化合物は常法により製剤化することができる。製剤の形としては注射剤、錠剤、顆粒剤、細粒剤、散剤、カプセル剤、クリーム剤、座薬などが挙げられる。製剤用担体としては、例えば、乳糖、ブドウ糖、D−マンニトール、澱粉、結晶セルロース、炭酸カルシウム、カオリン、デンプン、ゼラチン、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ポリビニルピロリドン、エタノール、カルボキシメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースカルシウム塩、ステアリン酸マグネシウム、タルク、アセチルセルロース、白糖、酸化チタン、安息香酸、パラオキシ安息香酸エステル、デヒドロ酢酸ナトリウム、アラビアゴム、トラガント、メチルセルロース、卵黄、界面活性剤、白糖、単シロップ、クエン酸、蒸留水、エタノール、グリセリン、プロピレングリコール、マクロゴール、リン酸一水素ナトリウム、リン酸二水素ナトリウム、リン酸ナトリウム、ブドウ糖、塩化ナトリウム、フェノール、チメロサール、パラオキシ安息香酸エステル、亜硫酸水素ナトリウム等があり、製剤の形に応じて、一般式(I)及び(II)の化合物と混合して使用される。
さらに、本発明の製剤中における一般式(I)及び(II)の含有量は、製剤の形によって大きく変動し、特に限定されるものではないが、通常は、組成物全量に対して0.01〜100重量%、好ましくは1〜100重量%である。
【0023】
【実施例】
次に、実施例により本発明をさらに詳細に述べる。なお、以下の実施例は、本発明を説明するためのものであって、本発明をこれに限定するものではない。
なお、シクロプロパンカルボン酸アミド化合物の合成方法、ならびにNF−kappaB阻害活性は、公開特許(WO00/15603)および出願特許(特願平11−187959,特願平11−247483,特願2000−334271)に記載されており、本発明ではその中より代表的な化合物の合成方法およびNF−kappaB阻害活性を記載する。
【0024】
(実施例1)
2−クロロ−5−ニトロピリジン(31.7g, 0.2mmol)、4−ニトロフェノール(33.4g, 0.2mol)のジメチルホルムアミド(300ml)溶液に炭酸カリウム(55.2g, 0.4mol)を加え室温で18時間攪拌した。反応終了後、反応液を1.5リットルの水に注ぎ、析出した固体をろ過、乾燥し2−(4−ニトロフェニルオキシ)−5−ニトロピリジン(48.2g, 92%)を得た。
得られた2−(4−ニトロフェニルオキシ)−5−ニトロピリジン(26.1g, 0.1mol)をメタノール(1.75リットル)に溶解し、10%パラジウム炭素(50%含水)(2.61g)を加え水素ガスを吹き込み、常圧にて還元を行った。反応終了後、セライト濾過によりパラジウム炭素を除去し、溶媒留去後にシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ジクロロメタン、メタノール)で精製し2−(4−アミノフェニルオキシ)−5−アミノピリジン(15.8g、79%)を得た。
H−NMR(300MHz, CDCl) δ=6.67(2H, d, J=8.7Hz), 6.68(1H, d, J=8.7Hz), 6.89(2H, d, J=8.7Hz), 7.04(1H, dd, J=8.7, 3.0Hz), 7.69(1H, d, J=3.0Hz). MS(ESI) m/z 202(M+H)
【0025】
得られた2−(4−アミノフェニルオキシ)−5−アミノピリジン(2.035g, 10mmol)をジクロロメタン(100ml)に溶解し、トリエチルアミン(4ml, 29mmol)、2,2−ジメチルシクロプロパンカルボン酸から常法に従い合成した2,2−ジメチルシクロプロパンカルボニルクロライド(3.37g, 25mmol)を加え、室温にて14時間攪拌した。反応終了後溶媒を留去し、酢酸エチルで抽出、常法に従い洗浄・乾燥・濃縮後シリカゲルカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル、ヘキサン)で精製し目的とする実施例1化合物(2.77g、70%)を得た。
H−NMR(300MHz, DMSO−d) δ=0.75−0.82(2H,m), 0.96−1.01(2H, m), 1.13−1.18(12H, m), 1.61−1.68(2H, m), 6.93(1H, d, J=8.7Hz), 7.00(2H, d, J=8.7Hz), 7.60(2H, d, J=8.7Hz), 8.05(1H, dd, J=8.7, 2.7Hz), 8.31(1H, d, J=2.7Hz), 10.07(1H, s), 10.22(1H, s). MS(ESI) m/z 394(M+H)
【0026】
上記と同様の方法を用いて、実施例2から実施例20化合物を合成した。
(実施例2)
H−NMR(300MHz, CDCl) δ=0.82−0.86(2H, m), 1.17−1.26(14H, m), 1.41−1.45(2H, m), 6.87(1H, d, J=8.7Hz), 7.44(2H, d, J=8.7Hz), 7.52−7.55(2H, m), 7.78−7.81(2H, m), 7.86−7.88(1H, m), 8.37(1H, d, J=2.4Hz) . MS(ESI) m/z 410(M+H)
(実施例3)
H−NMR(300MHz, DMSO−d) δ=0.70−0.80(2H,m), 0.93−0.99(2H, m), 1.15(12H, s), 1.58−1.66(2H, m), 6.74(1H, d, J=9.0Hz), 7.44(2H, d, J=9.0Hz), 7.50(2H, d, J=9.0Hz), 7.77(1H, dd, J=9.0, 2.7Hz), 8.28(1H, d, J=2.7Hz), 8.77(1H, s), 9.86(1H, s), 9.92(1H, s) . MS(ESI) m/z 393(M+H)
【0027】
(実施例4)
1H−NMR(300MHz, CDCl3) δ=0.78−0.92(2H,m), 1.16−1.28(14H, m), 1.35−1.46(2H, m), 4.06(2H, s), 7.05(1H, d, J=8.7Hz), 7.16(2H, d, J=7.8Hz), 7.27−7.36(1H, m), 7.37−7.50(3H, m), 8.02−8.09(1H, m), 8.44(1H, d, J=2.7Hz). MS(ESI) m/z 392(M+H)
(実施例5)
H−NMR(300MHz, DMSO−d) δ=0.75(1H, dd, J=8.1Hz, J=3.9Hz), 0.81(1H, dd, J=7.7Hz, J=3.8Hz), 0.93−1.01(2H, m), 1.14−1.19(12H, s), 1.63(2H, dd, J=8.0Hz, J=5.3Hz), 7.47(2H, d, J=9.0Hz), 7.60(2H, d, J=9.0Hz), 8.61(2H, s), 9.40(1H, s) , 9.91(1H, s) , 10.07(1H, s). MS(ESI) m/z 394(M+H)
【0028】
(実施例6)
H−NMR(300MHz, DMSO−d) δ=0.73−0.84(2H, m), 0.93−1.02(2H, m), 1.12−1.18(12H, s), 1.59−1.68(2H, m), 4.30(2H, s), 7.23(1H, d, J=8.7Hz), 7.27(2H, d, J=9.0Hz), 7.49(2H, d, J=8.1Hz), 7.89(1H, dd, J=8.7Hz, J=2.7Hz), 8.66(1H, d, J=2.7Hz), 10.03(1H, s), 10.23(1H, s). MS(ESI) m/z 424(M+H)
(実施例7)
H−NMR(300MHz, DMSO−d) δ=2.02(2H, d, J=9.0Hz), 2.50(2H, s), 2.87(2H, t, J=9.0Hz), 7.01(1H, d, J=8.7Hz), 7.09(2H, d, J=8.7Hz), 7.62(2H, d, J=8.7Hz), 8.09(1H, dd, J=3.0, 8.7Hz), 8.35(1H, d, J=3.0Hz), 10.6(1H, s), 10.8(1H, s). MS(ESI) m/z 476(M+H)
【0029】
(実施例8)
H−NMR(300MHz, DMSO−d) δ=0.79−0.83(1H, m), 0.99(1H, t, J=4.5Hz), 1.16(6H, d, J=6.5Hz), 1.66(1H, t, 6.5Hz), 6.97(1H, d, J=9.2 Hz), 7.08(2H, dd, J=2.1, 6.5Hz), 7.51−7.60(3H, m), 7.77(2H, dd, J=2.1, 6.5Hz), 8.07(1H, dd, J=2.7, 9.2Hz), 8.32(1H, d, J=2.7 Hz), 10.2(1H, s), 10.4(1H, s). MS(ESI) m/z 402(M+H)
(実施例9)
H−NMR(300MHz, DMSO−d) δ= 0.79−0.83(1H, m), 0.99(1H, t, J=4.5Hz), 1.16(6H, d, J =6.5Hz), 1.66(1H, t, J=6.5Hz), 3.62(1H, s), 6.91(1H, d, J=9.2Hz), 7.02(2H, d, J=6.5Hz), 7.21−7.37(5H, m), 7.59(2H, d, 6.5Hz), 8.04(1H, dd, J =2.7, 9.2Hz), 8.30(1H, d, J =2.7Hz), 10.2(2H, d, 6.0Hz). MS(ESI) m/z 416(M+H)
【0030】
(実施例10)
H−NMR(300MHz, DMSO−d) δ= 0.79−0.83(1H, m), 0.989(1H, t, J=4.5Hz), 1.16(6H, d, J =6.5Hz), 1.66(1H, t, J=6.5Hz), 1.86−1.95(2H, m), 2.32(2H, t, J=7.5Hz), 2.63(2H, t, J=7.5Hz), 6.94(1H, d, J=9.0Hz), 7.01(2H, dd, J=1.4Hz), 7.17−7.24(5H, m), 8.05(1H, d, J=9.0Hz), 8.30(1H, s), 9.89(1H, s), 10.2(1H, s). MS(ESI) m/z 444(M+H)
(実施例11)
H−NMR(300MHz, DMSO−d) δ=0.78−0.84(1H, m), 0.94−1.00(1H, m), 1.15(3H, s), 1.18(3H, s), 1.63−1.68(1H, m), 2.90−3.00(4H, m), 7.02(1H, d, J=9.2Hz), 7.15(2H, d, J=8.0Hz), 7.29−7.32(7H, m), 8.09(1H, d, J=9.2Hz), 8.36(1H, d, J=2.8Hz), 10.7(1H, s). MS(ESI) m/z 402(M+H), 400(M−H)
【0031】
(実施例12)
H−NMR(300MHz, DMSO−d) δ=0.78−0.84(1H, m), 0.94−1.00(1H, m), 1.14(3H, s), 1.16(3H, s), 1.63−1.68(1H, m), 1.92−2.00(2H, m), 2.68−2.71(2H, m), 3.21−3.28(2H, m), 7.04(1H, d, J=8.7Hz), 7.13−7.23(5H, m), 7.29(2H, d, J=7.0Hz), 7.46(2H, d, J=7.0Hz), 8.10(1H, dd, J=2.8, 8.7Hz), 8.35(1H, d, J=2.8Hz), 10.3(1H, s). MS(ESI) m/z 416(M+H), 414(M−H)
(実施例13)
H−NMR(300MHz, DMSO−d) δ=0.75−0.83(2H,m), 0.96−1.01(2H, m), 1.13−1.18(12H, m), 1.60−1.68(2H, m), 6.93(1H, d, J=8.7Hz), 7.00(2H, d, J=8.7Hz), 7.60(2H, d, J=8.7Hz), 8.05(1H, dd, J=8.7, 2.7Hz), 8.31(1H, d, J=2.7Hz), 10.07(1H, s), 10.20(1H, s). [α]D = +123.7°(c=0.3, MeOH).
【0032】
(実施例14)
H−NMR(300MHz, DMSO−d) δ=0.79(2H, dd, J=7.8, 3.9Hz), 0.97(2H, dd, J=5.1, 3.9Hz), 1.13(6H, s), 1.17(6H, s), 1.65(2H, dd, J=7.8, 5.1Hz), 7.22(4H, d, J=8.7Hz), 7.59(4H, d, J=8.7Hz). MS(ESI) m/z 409 (M+H)
(実施例15)
H−NMR(300MHz, DMSO−d) δ=0.78(2H, dd, J=7.8, 3.9Hz), 0.96(2H, dd, J=5.7, 3.9Hz), 1.15(6H, s), 1.17(6H, s), 1.62(2H, dd, J=7.8, 5.7Hz), 6.90(4H, d, J=8.7Hz), 7.57(4H, d, J=8.7Hz), 10.04(2H, s). MS(ESI) m/z 393 (M+H)
【0033】
(実施例16)
H−NMR(300MHz, CDCl) δ=0.77−0.84(2H, m), 1.13−1.23(14H, m), 1.40(2H, d, J=7.8, 5.4Hz), 5.71(1H, s), 7.17−7.27(4H, m), 7.36−7.46(4H, m), 7.46−7.60(2H, brs). MS(ESI) m/z 407 (M+H)
(実施例17)
H−NMR(300MHz, DMSO−d) δ=0.74(1H, dd, J=7.5, 3.9Hz), 0.94(2H, dd, J=5.1, 3.9Hz), 1.11(3H, s), 1.13(3H, s), 1.61(2H, dd, J=7.5, 5.1Hz), 2.83(6H, s), 3.43(2H, s), 3.80(2H, s), 6.66(2H, d, J=8.4Hz), 7.05−7.16(6H, m), 7.47(4H, d, J=8.4Hz), 9.95(1H, s), 9.97(1H, s). MS(ESI) m/z 443 (M+H)
【0034】
(実施例18)
H−NMR(300MHz, CDCl) δ= 0.79−0.82(1H, m), 1.18−1.22(7H, m), 1.38−1.42(1H, m), 4.76(2H, s), 7.10−7.20(4H, m), 7.23−7.25(2H, m), 7.42−7.44(3H, m). MS(ESI) m/z 280 (M+H)
(実施例19)
H−NMR(300MHz, CDCl) δ= 0.75−0.84(1H, m), 1.14−1.21(7H, m), 1.39−1.41(1H, m), 7.07(2H, d, J=8.4Hz), 7.37(2H, d, J=8.4Hz). MS(ESI) m/z 204 (M+H)
(実施例20)
H−NMR(300MHz, CDCl) δ0.85(1H, dd, J=3.7Hz, 7.5Hz), 1.20−1.25(7H, m), 1.39(1H, dd, J=5.4Hz, 8.1Hz), 6.90(2H, d, J=9.0Hz), 6.96(2H, d, J=9.0Hz), 7.23−7.28(2H, m), 7.48(2H, d, J=8.7Hz). MS(ESI) m/z 316 (M+H)
以下に実施例1から実施例20で合成した化合物の構造を示す。
【0035】
【化11】
Figure 2004269356
【0036】
【化12】
Figure 2004269356
【0037】
(実施例21)
NF−kappaB阻害評価
SV40大型T抗原にて不死化させたヒト正常さい帯静脈内皮細胞(HUVEC)に、免疫グロブリンカッパ軽鎖エンハンサー由来のNF−kappaB結合配列を6回タンデムに並べたものを融合したSV40最小プロモーターによりドライブされる大腸菌β−galactosidase(β−gal)遺伝子を安定的に導入した細胞を用いた。細胞は10%FBSを添加したRPMI培地にて継代培養し、実験開始日の前日に、1x10/wellの濃度で96wellプレートにまいた。本発明で用いる化合物はDMSOに適当な濃度で溶解し、96wellプレートに、DMSOの最終濃度が1%以下となるように添加した。化合物添加後の30分に最終濃度50ng/mlとなるようにそれぞれのwellに1ng/mlのIL−1βでNF−kappaB活性を誘導し、16時間後にβ−gal活性を測定した。β−galの測定は化学発光基質(Galacton−Light−Plus:ベーリンガーマンハイム社)を用い、本試薬に付属のプロトコールに従って行い、測定はルミネッセンサー(アトー社)を用いた。本評価系においては、既存のNF−kappaB阻害剤であるグルココルチコイドにより、IL−1βにより誘導されるβ−gal活性はほぼ完全に抑制された。
上記評価にて本発明の化合物は抑制効果を示した。
表1に本発明化合物の評価結果を示す。
【0038】
【表1】
Figure 2004269356
【0039】
(実施例22)
移植腎癒着防止試験および移植腎生着延長試験
アカゲザル(雌、4歳から6歳)に対して吸入麻酔下開腹手術を行い、左腎を摘出し、右腎の尿管を結紮した。別のアカゲザルより摘出した左腎を腹部大動脈、大静脈、尿管と吻合し、二層縫合によって閉腹した。薬物は懸濁状態のものを腎移植手術前日から手術後30日目まで1日2回経口投与し、それ以後休薬して手術後60日目まで観察をおこなった。腎移植手術後6日目に再度開腹し、移植腎と消化管の癒着状態を肉眼下で確認し、スコア化を行った後、右腎を摘出し閉腹した。その結果を表2に示した.移植腎の生着日数は、動物の生存期間または瀕死状態に至るまでの日数をもって評価とした。その結果を表3に示した。
表2より、実施例13の化合物投与は、優れた移植腎癒着防止効果を示した。
表3より、実施例13の化合物投与は、優れた移植腎生着延長効果を示した。なお、アカゲザル腎移植試験において、薬物投与を行わない場合に14日以上の生着延長がみられないことは、公知である。
【0040】
【表2】
Figure 2004269356
【0041】
【表3】
Figure 2004269356
【0042】
【発明の効果】
上記の結果からも明らかなように、本発明の化合物は、創傷部癒着防止または臓器移植後拒絶反応の抑制に用いるのに有用である。

Claims (12)

  1. 下記一般式(I)で示されるシクロプロパンカルボン酸アミド化合物またはその製薬学的に許容される塩を有効成分とする創傷部癒着防止剤。
    Figure 2004269356
    〔式中、R、Rはそれぞれ同じでも異なってもよく、アルキル基またはハロゲン原子を示し、Rは水素原子またはアルキル基を示し、Aは置換基を有してもよい芳香環または置換基を有してもよい芳香族複素環を示す。〕
  2. 下記一般式(II)で示されるシクロプロパンカルボン酸アミド化合物またはその製薬学的に許容される塩を有効成分とする創傷部癒着防止剤。
    Figure 2004269356
    〔式中、R、Rはそれぞれ同じでも異なってもよく、アルキル基またはハロゲン原子を示し、R、Rはそれぞれ同じでも異なってもよく、水素原子またはアルキル基を示し、Rは置換基を有してもよいシクロアルキル基、置換基を有してもよいアリール基、置換基を有してもよいヘテロアリール基を示し、B、Bは、それぞれ同じでも異なってもよく、置換基を有してもよい芳香環または置換基を有してもよい芳香族複素環を示し、−X−は、原子間結合、−O−、−O−CO−、−CO−O−、−S−、−SO−、−SO−、−NR−、−CO−、−CO−NR10−、−NR11−CO−、−CR1213−、−O−CHR14−、−CHR15−O−、−S−CHR16−、−CHR17−S−(ここで、R、R10、R11は水素原子、アルキル基、またはアシル基のいずれかを示し、R12、R13、R14、R15、R16、R17はそれぞれ同じでも異なってもよく、水素原子、ハロゲン原子、水酸基、置換基を有してもよいアルキル基、メルカプト基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アシルオキシ基、アミノ基、アルキルアミノ基、アミノ保護基で置換されたアミノ基、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基、アミノカルボニル基、またはシアノ基を示す)を示し、−Y−は−CO−または−CH−を示し、nは0〜6から選ばれる整数を示す。〕
  3. 一般式(II)の−X−が、−O−、−S−、−NH−、−CH−、−CH(OH)−、または−S−CH−のいずれかである請求項2記載の創傷部癒着防止剤。
  4. 一般式(II)のBおよびBが、共にベンゼン環である請求項3記載の創傷部癒着防止剤。
  5. 一般式(II)のBまたはBの少なくとも一方が、置換基を有してもよいベンゼン環ではない請求項3記載の創傷部癒着防止剤。
  6. 一般式(II)のBまたはBの少なくとも一方が、置換基を有してもよい芳香族複素環である請求項5記載の創傷部癒着防止剤。
  7. 一般式(II)のBが、置換基を有してもよいピジリン、置換基を有してもよいピリミジンのいずれかを示し、Bが、置換基を有してもよいベンゼン環である請求項6記載の創傷部癒着防止剤。
  8. 一般式(II)の 、R がそれぞれ同じでも異なってもよく、メチル基または塩素原子であり、Rが2,2−ジメチルシクロプロピル基または2,2−ジクロロシクロプロピル基のいずれかであり、−Y−が−CO−であり、n=0である請求項7記載の創傷部癒着防止剤。
  9. 一般式(II)のR、Rがそれぞれ同じでも異なってもよく、メチル基または塩素原子であり、Rが置換基を有してもよいアリール基または置換基を有してもよいヘテロアリール基であり、−Y−が−CO−であり、nが0〜3から選ばれる整数である請求項7記載の創傷部癒着防止剤。
  10. 一般式(II)のR、Rがそれぞれ同じでも異なってもよく、メチル基または塩素原子であり、Rが置換基を有してもよいアリール基または置換基を有してもよいヘテロアリール基であり、−Y−が−CH−であり、nが0〜3から選ばれる整数である請求項7記載の創傷部癒着防止剤。
  11. 一般式(II)のR、Rのいずれもが水素原子である請求項2〜10のいずれか1項記載の創傷部癒着防止剤。
  12. 下記(III)
    Figure 2004269356
    Figure 2004269356
    で示されるシクロプロパンカルボン酸アミド化合物及びその製薬学的に許容される塩の少なくとも1種を有効成分とする創傷部癒着防止剤。
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