JP2004268524A - インクジェット記録・電子写真記録のできる再生記録用紙 - Google Patents
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Abstract
【課題】インクジェット記録方式により水溶性インクを用いた記録ではインク滲みやインク裏写りがなく、また電子写真記録方式による記録ではトナー転写性に優れ、搬送性の良好なインクジェット記録・電子写真記録のできる再生記録用紙を提供するものである。
【解決手段】長さ加重平均繊維長1.0mm以下に叩解された新聞古紙パルプを単独使用して抄造された原紙に、表面サイズ剤を固型分当たり0.05〜0.15g/m2付着させてなることを特徴とするインクジェット記録・電子写真記録のできる再生記録用紙。また、カチオン性樹脂を固型分当たり0.5〜1.0g/m2付着させてなり、かつ表面抵抗値が1.0×109 〜9.9×1013Ωであることを特徴とするインクジェット記録・電子写真記録のできる再生記録用紙。
【選択図】 なし
【解決手段】長さ加重平均繊維長1.0mm以下に叩解された新聞古紙パルプを単独使用して抄造された原紙に、表面サイズ剤を固型分当たり0.05〜0.15g/m2付着させてなることを特徴とするインクジェット記録・電子写真記録のできる再生記録用紙。また、カチオン性樹脂を固型分当たり0.5〜1.0g/m2付着させてなり、かつ表面抵抗値が1.0×109 〜9.9×1013Ωであることを特徴とするインクジェット記録・電子写真記録のできる再生記録用紙。
【選択図】 なし
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、インクジェット記録・電子写真記録のできる再生記録用紙に関するものであり、さらに詳しくは、記録面に特殊なコーティングを施していない、いわゆる普通紙タイプの記録用紙であり、インクジェット記録方式により水溶性インクを用いた記録ではインク滲みやインク裏写りがなく、また、電子写真記録方式による記録ではトナー転写性に優れ、搬送性の良好なインクジェット記録・電子写真記録のできる再生記録用紙に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
紙パルプ産業では、自然環境や森林資源の保護から古紙資源の活用を求められ、各種古紙を配合した再生記録用紙を上市してきたが、近年更なる森林資源の保護が叫ばれ、古紙配合率も高まってきている。
【0003】
ところが、古紙パルプの配合率の高い再生記録用紙は、インクジェット記録方式により印字した場合、しばしば長繊維状のインキの滲みが発生する現象が見られる。新聞古紙パルプを単独配合して抄紙した再生記録用紙では特に多い。これは、一般的に、新聞に利用される機械パルプ(GP)の繊維長が0.2〜4.5mmと長繊維を含むためである。
【0004】
この長繊維状のインクの滲みを観察すると、GPやCGPの結束繊維の繊維間や繊維表面に沿ってインクが滲む場合と、比較的傷みの少ない長繊維表面に沿ってインクが滲んでいる場合とが観察される。このことから長繊維状のインクの滲みは、繊維表面に沿ってインクが滲むことが原因であると推測され、結束繊維が多く傷みの少ない長繊維を含むほど、この現象は顕著である。
【0005】
このような繊維に沿ったインクの滲みの対策としては、新聞古紙パルプを分級し長繊維を除く方法、脱墨パルプ製造工程でサイズ剤を添加する方法(例えば、特許文献1参照。)。サイズプレス加工でデンプン、ポリビニルアルコール、ポリアクリルアミドなどを多量に塗工して繊維表面を被覆する方法、あるいはカチオン性定着剤などの高分子材料を表面サイズ剤として塗工する方法、などがあるが、これらは何れもコスト高となるほか、多量に塗工した場合には、電子写真記録方式の用途にとって、カール不良や搬送性不良など、不適当な問題もあった。
【0006】
【特許文献1】
特開2001−279589号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、新聞古紙パルプを単独使用した場合でも、インクジェット記録時に長繊維に沿ってインクが滲む現象を抑制することができ、インク裏抜けがなく、また、トナー定着性に優れ、搬送性の良好なインクジェット記録・電子写真記録のできる再生記録用紙を提供するものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明者は上記に鑑み鋭意検討した結果、叩解により新聞古紙パルプの長さ加重平均繊維長を短くして抄紙した原紙に、表面サイズ剤またはカチオン性樹脂を適正な付着量範囲で塗工することにより良好な結果を得、本発明に至った。
【0009】
すなわち、本発明のインクジェット記録・電子写真記録のできる再生記録用紙は、長さ加重平均繊維長1.0mm以下に叩解された新聞古紙パルプを単独使用して抄造された原紙に、表面サイズ剤を固型分当たり0.05〜0.15g/m2付着させてなることを特徴とするものである。
【0010】
また、本発明のインクジェット記録・電子写真記録のできる再生記録用紙は、平均繊維長1.0mm以下に叩解された新聞古紙パルプを単独使用して抄造された原紙に、カチオン性樹脂を固型分当たり0.5〜1.0g/m2付着させてなり、かつ表面抵抗値が1.0×109〜9.9×1013Ωであることを特徴とするものである。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、本発明のインクジェット記録・電子写真記録のできる再生記録用紙(以下、単に再生記録用紙と略すこともある。)について、詳細に説明する。
【0012】
第1の発明におけるインクジェット記録・電子写真記録のできる再生記録用紙は、新聞古紙パルプのみを使用して抄紙した原紙に表面サイズ剤を特定量付着させたものであり、該新聞古紙パルプは長さ加重平均繊維長を1.0mm以下に叩解させて使用することに特徴がある。これによって、インクジェット記録時におけるインクの滲みを抑えることができ、インク裏写りがなく、かつ電子写真記録にも充分に利用可能な再生記録用紙とすることができる。
【0013】
本発明において、新聞古紙パルプの長さ加重平均繊維長については、カヤーニ繊維長測定器「FS−200」を用いて測定される繊維長であり、本発明では該長さ加重平均繊維長を1mm以下に叩解した新聞古紙パルプを用いることにある。
【0014】
新聞古紙パルプは、叩解することによって長さ加重平均繊維長を1mm以下とし、これを単独使用して抄紙し、原紙とすることで、繊維の分布が均一となることから、繊維に付着する表面サイズ剤を均一に付着させる効果が得られ、インクジェット記録の際には長繊維状に現れるインクの滲みやインク裏写りが抑えられる。
【0015】
本発明において、表面サイズ剤の固形分付着量は、0.05〜0.15g/m2であり、インクジェット記録の際にインクの滲みやインク裏写りを抑えることができる。ここで、固形分付着量が0.05g/m2未満であると、インクの滲みを抑えることができない。また、0.15g/m2を越えて多いと、インクジェット記録後のインク乾燥性が悪くなり、インク裏写りなどの障害が発生する。
【0016】
用いられる表面サイズ剤としては、例えば、スチレン/アクリル酸系共重合体、スチレン/メタアクリル酸系共重合体、アクリロニトリル/ビニルホルマール/アクリル酸エステル共重合体、スチレン/マレイン酸系共重合体、オレフィン/マレイン酸系共重合体、アルキルケテンダイマー系、ロジン系などの表面サイズ剤などが挙げられる。
【0017】
本発明において、用いられる新聞古紙パルプ原料は、チラシを含んだ選別新聞や新聞残紙、および抄造時のブロークも含まれる。新聞古紙パルプは、パルパー工程(離解)、粗選工程、脱墨処理工程、精選工程、漂白工程を経て製造されるが、本発明ではいかなる公知の方法も用いられる。
【0018】
本発明において、使用される叩解機としては、例えば、ディスク型リファイナー、コニカル型リファイナー、円筒型リファイナーなどを使用できる。
【0019】
本発明において、使用される使用される内添填料は、白色顔料として従来公知の顔料が用いられ、単独或いは併用できるが、例えば、軽質炭酸カルシウム、重質炭酸カルシウム、カオリン、クレー、タルク、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、二酸化チタン、酸化亜鉛、硫化亜鉛、炭酸亜鉛、サチンホワイト、珪酸アルミニウム、ケイソウ土、珪酸カルシウム、珪酸マグネシウム、合成シリカ、水酸化アルミニウム、アルミナ、リトポン、ゼオライト、炭酸マグネシウム、水酸化マグネシウムのような白色無機顔料、スチレン系プラスチックピグメント、アクリル系プラスチックピグメント、ポリエチレン、マイクロカプセル、尿素樹脂、メラミン樹脂のような有機顔料などが挙げられる。
【0020】
本発明において、抄造する際に使用される内添サイズ剤としては、中性抄紙に用いられる中性ロジン系サイズ剤、アルケニル無水コハク酸(ASA)、アルキルケテンダイマー(AKD)、石油樹脂系サイズ剤などが使用できるが、好ましくは、中性ロジンサイズ剤またはアルケニル無水コハク酸を用いる。アルキルケテンダイマーは、そのサイズ効果が高いことから添加量は少なくて済むが、記録用紙表面の摩擦係数が下がり滑りやすくなるため、電子写真記録時の搬送性の点からは好ましくない。
【0021】
本発明においては、サイズプレスのベースとして、例えば、各種変性澱粉、自家変性澱粉、酸化澱粉、燐酸エステル化澱粉、カチオン澱粉、両性澱粉、各種ポリビニルアルコール、各種ポリアクリルアマイド化合物などを用いることができる。また、表面サイズ剤としては、例えば、スチレン−アクリル酸、スチレン−マレイン酸、オレフィン−マレイン酸、スチレン−アクリル酸の共重合体、アクリル酸エステルなどを使用することができる。
【0022】
本発明において、紙料中には、その他の添加剤として、顔料分散剤、増粘剤、流動性改良剤、消泡剤、抑泡剤、離型剤、発泡剤、浸透剤、着色染料、着色顔料、蛍光増白剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、防腐剤、防バイ剤、耐水化剤、湿潤紙力増強剤、乾燥紙力増強剤、などを本発明の所望の効果を損なわない範囲で、適宜配合することもできる。
【0023】
第2の発明におけるインクジェット記録・電子写真記録のできる再生記録用紙は、新聞古紙パルプのみを使用して抄紙した原紙にカチオン性樹脂を特定量付着させたものであり、該新聞古紙パルプは長さ加重平均繊維長を1.0mm以下に叩解させものであり、かつ該再生記録用紙の表面抵抗値が1.0×109 〜9.9×1013Ωであることを特徴とする。これによって、インクジェット記録時におけるインクの滲みやインク裏写りを抑えることができ、かつ画像耐水性を改善することができ、また、電子写真記録に際してトナー定着性を改善し、極めて良好な搬送性が得られる該再生記録用紙とすることができる。
【0024】
本発明に用いられるカチオン性樹脂は、インクジェット記録方式のインクに含有される直接染料や酸性染料のアニオン性部分との反応により、画像の耐水化にとって有効であるとともに、電子写真記録における搬送性に大いに寄与する。これは、カチオン性樹脂が再生記録用紙の表面抵抗値を下げることにより、連続的な電子写真記録に対する搬送性を悪くするのを防止できることにある。
【0025】
本発明において、カチオン性樹脂の固形分付着量は、0.5〜1.0g/m2であり、インクジェット記録の際に画像の耐水化を図ることができるとともに、電子写真用記録に際して、良好な搬送性を得ることができる。ここで、固形分付着量が0.5g/m2未満であると、電子写真記録での搬送性に劣り、また、1.0g/m2を越えて多いと、帯電し易くトナー定着性が悪化する。
【0026】
本発明において、再生記録用紙の表面抵抗値は、1.0×109〜9.9×1013Ωであるが、好ましくは1.0×1010〜9.9×1013Ωである。表面抵抗値が1.0×109より低いと帯電性が下がり、上記理由によりトナー定着性が劣り、また9.9×1013より高いと帯電性が高くなり、静電気の影響によりトナーの飛散や搬送性不良が発生する。
【0027】
本発明における表面抵抗値(単位:Ω)は、JIS K6911に準拠する計算式で算出されるものであり、具体的には横河ヒューレットパッカード社製の4329A型絶縁抵抗計(HIGH RESISTANCE METER)と16008A型電極(RESITIVITY CELL)を用いて、20℃65%RHの環境条件でチャージ時間30秒で取り扱い説明書に準じて測定、算出して求めることができる。
【0028】
本発明に用いられるカチオン性樹脂は、水溶性インク中の直接染料や酸性染料中のスルホン酸基、カルボキシル基、アミノ基等と反応して不溶な塩を形成する1級〜3級アミン、または4級アンモニウム塩のモノマー、オリゴマー、またはポリマーであり、好ましくは、オリゴマーまたはポリマーである。具体的には、ジメチルアミン・エピクロルヒドリン重縮合物、アクリルアミド・ジアリルアミン共重合物、ポリビニルアミン共重合物、ジシアンジアミド、ジメチル・ジアリル・アンモニウムクロライドなどを例示することができるが、これらの例に限定されるものではない。
【0029】
上記発明における表面サイズ剤またはカチオン性樹脂を付着させる方法としては、コンベンショナルサイズプレス、ゲートロールサイズプレス、フィルムトランスファーサイズプレスの他、ブレードコーター、ロッドコーター、エアーナイフコーター、カーテンコーターなど各種塗工機で塗工することも可能であるが、コストの点からは抄紙機に設置されているコンベンショナルサイズプレス、ゲートロールサイズプレス、フィルムトランスファーサイズプレスなどで付着させ、オンマシンで仕上げるのが望ましい。
【0030】
また、使用される抄紙機としては、長網方式、円網方式、ツインワイヤー方式、ハイブリッド方式、ギャップフォーマー型、ロールフォーマー型など、各種形式の抄紙機が挙げられる。また、必要とする原紙の密度、平滑度を得るために各種カレンダー処理を施す場合もある。
【0031】
【実施例】
以下に、本発明の実施例を挙げて説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。また、実施例において示す「部」および「%」は、特に明示しない限り、質量部および質量%を示す。
【0032】
実施例1
ダブルディスクリファイナーにて叩解した長さ加重平均繊維長0.7mmである新聞古紙パルプ100部に、軽質炭酸カルシウム6部、中性ロジンサイズ剤(商品名:CC167、日本PMC社製)0.35部、硫酸バンド1.4部、両性澱粉(商品名:Cato3210、ナショナルスターチアンドケミカル社製)を添加して長網抄紙機で抄造し、サイズプレス装置を用いて酸化澱粉(商品名:MS3800、日本食品化工社製)をべースに両面でスチレンアクリル系の表面サイズ剤(商品名:ハーサイズKN500、ハリマ化成社製)の固形分付着量が0.05g/m2となるように付着させ、坪量64g/m2である実施例1の再生記録用紙を作製した。
【0033】
実施例2〜3
実施例1の表面サイズ剤の固形分付着量を0.10g/m2、0.15g/m2となるようにした以外は実施例1と同様にして、それぞれ実施例2、3の再生記録用紙を作製した。
【0034】
実施例4
実施例1の新聞古紙パルプの長さ加重平均繊維長を1.0mmとした以外は実施例1と同様にして、実施例4の再生記録用紙を作製した。
【0035】
実施例5
実施例1の新聞古紙パルプの長さ加重平均繊維長を1.0mmとし、表面サイズ剤の固形分付着量を0.15g/m2とした以外は実施例1と同様にして、実施例5の再生記録用紙を作製した。
【0036】
比較例1
実施例1の新聞古紙パルプの長さ加重平均繊維長を1.5mmとした以外は実施例1と同様にして、比較例1の再生記録用紙を作製した。
【0037】
比較例2
実施例1の新聞古紙パルプの長さ加重平均繊維長を1.5mmとし、表面サイズ剤の固形分付着量を0.10g/m2とした以外は実施例1と同様にして、比較例2の再生記録用紙を作製した。
【0038】
比較例3〜4
実施例1の新聞古紙パルプの長さ加重平均繊維長を1.0mmとし、表面サイズ剤の固形分付着量を0.03g/m2、0.20g/m2とした以外は実施例1と同様にして、それぞれ比較例3、4の再生記録用紙を作製した。
【0039】
上記により作製したインクジェット記録・電子写真記録のできる再生記録用紙を用いて下記の評価方法により評価し、その結果を表1に示した。
【0040】
<インクの滲み>
繊維に沿ったインクの滲みの評価は、キヤノン社製インクジェットカラープリンターBJC−420Jを用いて印字し、インクの滲みを目視判定して、Aを良、Dを悪としてBレベルを限度とした。
【0041】
<インク裏写り>
インク裏写りの評価は、キヤノン社製インクジェットカラープリンターBJC−420Jを用いて印字し、印字直後のシート表面を白紙と重ね合わせて指で圧接し、インクの裏写りの程度を目視判定して、Aを良、Cを悪としてBレベルを限度とした。
【0042】
<トナー転写性>
ゼロックス社製カラーコピー機Acolor935を用いて、画像評価パターンの複写を行い、トナーの転写性を目視で判定した。なお、評価基準として、Aは特性が良好、Bは実用上問題ない範囲で良好、Cは実用上問題あり、Dは特性が不良を示す。
【0043】
<搬送性>
ゼロックス社製カラーコピー機Acolor935を用いて、A4サイズの大きさで連続複写を行い、1000枚複写したときの重走や紙詰まりの発生回数で判定した。なお、評価基準として、Aは0回で特性が良好、Bは1〜5回で実用上問題ない範囲で良好、Cは6〜10回で実用上問題あり、Dは11回以上で特性が不良を示す。なお、トナー転写性および搬送性の判定は、表面抵抗値の測定同様、20℃65%RHの環境条件下で行った。
【0044】
【表1】
【0045】
評価:
表1より、実施例1〜5の再生記録用紙は、長さ加重平均繊維長が本発明の範囲内にあり、インクジェット記録によるインク滲みやインク裏写り、および電子写真記録によるトナー定着性や搬送性ともに良好な結果であった。一方、比較例1、2の再生記録用紙は、長さ加重平均繊維長が本発明の範囲外にあり、インク滲み、トナー定着性、搬送性が劣る。また比較例3の再生記録用紙は、表面サイズ剤の付着量が規定外にあり、インク滲み、電子写真記録適性に劣った。また、比較例4の再生記録用紙は、表面サイズ剤の付着量が多く、インク裏写りが劣った。
【0046】
実施例6
ダブルディスクリファイナーにて叩解した長さ加重平均繊維長0.7mmである新聞古紙パルプ100部に、軽質炭酸カルシウム10部、中性ロジンサイズ剤(商品名:NeuSize M−10、ハリマ化成社製)0.3部、硫酸バンド1.0部、両性澱粉(商品名:Cato3210、日本NSC社製)1.0部を添加して長網抄紙機で抄造し、酸化澱粉(商品名:MS3800、日本食品化工社製)を乾燥付着量0.5g/m2、カチオン性樹脂(商品名:ハイマックスSC−700、ハイモ社製)を乾燥付着量で0.5g/m2となるようにサイズプレス装置を用いて付着させ、マシンカレンダー処理を行い、坪量64g/m2である実施例6の再生記録用紙を作製した。なお、得られた該再生記録用紙の表面抵抗値は、3.3×1011Ωであった。
【0047】
実施例7〜8
実施例6のカチオン性樹脂(商品名:ハイマックスSC−700、ハイモ社製)を乾燥付着量で1.0g/m2、2.0g/m2とした以外は実施例1と同様にして、それぞれ実施例7、8の再生記録用紙を作製した。なお、得られた該再生記録用紙の表面抵抗値は、それぞれ2.6×1010Ω、3.6×109Ωであった。
【0048】
実施例9〜10
実施例6の新聞古紙パルプの長さ加重平均繊維長を1.0mmとし、カチオン性樹脂を変更(商品名:スミレーズレジン1001、住友化学社製)し、固形分付着量を0.75g/m2、1.5g/m2とした以外は実施例6と同様にして、それぞれ実施例9、実施例10の再生記録用紙を作製した。なお、得られた該再生記録用紙の表面抵抗値は、それぞれ1.3×1011Ω、7.2×109Ωであった。
【0049】
比較例5〜6
実施例6の新聞古紙パルプの長さ加重平均繊維長を1.5mmとし、カチオン性樹脂の固形分付着量を0.5g/m2、1.5g/m2とした以外は実施例6と同様にして、それぞれ比較例5、比較例6の再生記録用紙を作製した。なお、得られた該再生記録用紙の表面抵抗値は、それぞれ7.4×1011Ω、8.5×109Ωであった。
【0050】
比較例7〜8
実施例6の新聞古紙パルプの長さ加重平均繊維長を1.0mmとし、カチオン性樹脂を変更(商品名:スミレーズレジン1001、住友化学社製)し、固形分付着量を0.3g/m2、2.2g/m2とした以外は実施例6と同様にして、それぞれ比較例7、比較例8の再生記録用紙を作製した。なお、得られた該再生記録用紙の表面抵抗値は、それぞれ1.3×1014Ω、8.4×108Ωであった。
【0051】
上記により作製したインクジェット記録・電子写真記録のできる再生記録用紙を用いて下記の評価方法により評価し、その結果を表2に示した。
【0052】
<表面抵抗値>
表面抵抗値(単位:Ω)は、横河ヒューレットパッカード社製の4329A型絶縁抵抗計(HIGH RESISTANCE METER)と16008A型電極(RESITIVITY CELL)を用いて、20℃65%RHの環境条件でチャージ時間30秒で測定した。
【0053】
<画像耐水性>
キヤノン社製インクジェットカラープリンターBJC−420Jを用いて、画像評価パターンを印字して、24時間後に文字画像上に水を1滴たらし、放置乾燥後、滲みの程度を目視で判定した。なお、評価基準として、Aは特性が良好、Bは実用上問題ない範囲で良好、Cは実用上問題あり、Dは特性が不良を示す。
【0054】
【表2】
【0055】
評価:
表2より、実施例6〜10の再生記録用紙は、長さ加重平均繊維長が本発明の範囲内にあり、インクジェット記録によるインク滲みやインク裏写り、画像耐水性、および電子写真記録によるトナー定着性や搬送性ともに極めて良好な結果であった。一方、比較例5、6の再生記録用紙は、長さ加重平均繊維長が本発明の範囲外にあり、インク滲み、トナー定着性が極めて悪い結果であった。また比較例7の再生記録用紙は、カチオン性樹脂の付着量が規定外にあるために表面抵抗値が高く、いずれの特性も劣った。また、比較例8の再生記録用紙は、カチオン性樹脂の付着量が多いために表面抵抗値が下がり、トナー定着性が劣った。
【0056】
【発明の効果】
上記のとおり、本発明によれば、新聞古紙パルプを単独使用した場合でも、特定の長さ加重平均繊維長を有する該パルプを使用し、特定量の表面サイズ剤、特にカチオン性樹脂を原紙に付着させることで、インクジェット記録時に長繊維に沿ってインクが滲む現象を抑制することができ、画像耐水性に優れ、また、トナー定着性に優れ、搬送性の良好なインクジェット記録・電子写真記録のできる再生記録用紙を得ることができる。
【発明の属する技術分野】
本発明は、インクジェット記録・電子写真記録のできる再生記録用紙に関するものであり、さらに詳しくは、記録面に特殊なコーティングを施していない、いわゆる普通紙タイプの記録用紙であり、インクジェット記録方式により水溶性インクを用いた記録ではインク滲みやインク裏写りがなく、また、電子写真記録方式による記録ではトナー転写性に優れ、搬送性の良好なインクジェット記録・電子写真記録のできる再生記録用紙に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
紙パルプ産業では、自然環境や森林資源の保護から古紙資源の活用を求められ、各種古紙を配合した再生記録用紙を上市してきたが、近年更なる森林資源の保護が叫ばれ、古紙配合率も高まってきている。
【0003】
ところが、古紙パルプの配合率の高い再生記録用紙は、インクジェット記録方式により印字した場合、しばしば長繊維状のインキの滲みが発生する現象が見られる。新聞古紙パルプを単独配合して抄紙した再生記録用紙では特に多い。これは、一般的に、新聞に利用される機械パルプ(GP)の繊維長が0.2〜4.5mmと長繊維を含むためである。
【0004】
この長繊維状のインクの滲みを観察すると、GPやCGPの結束繊維の繊維間や繊維表面に沿ってインクが滲む場合と、比較的傷みの少ない長繊維表面に沿ってインクが滲んでいる場合とが観察される。このことから長繊維状のインクの滲みは、繊維表面に沿ってインクが滲むことが原因であると推測され、結束繊維が多く傷みの少ない長繊維を含むほど、この現象は顕著である。
【0005】
このような繊維に沿ったインクの滲みの対策としては、新聞古紙パルプを分級し長繊維を除く方法、脱墨パルプ製造工程でサイズ剤を添加する方法(例えば、特許文献1参照。)。サイズプレス加工でデンプン、ポリビニルアルコール、ポリアクリルアミドなどを多量に塗工して繊維表面を被覆する方法、あるいはカチオン性定着剤などの高分子材料を表面サイズ剤として塗工する方法、などがあるが、これらは何れもコスト高となるほか、多量に塗工した場合には、電子写真記録方式の用途にとって、カール不良や搬送性不良など、不適当な問題もあった。
【0006】
【特許文献1】
特開2001−279589号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、新聞古紙パルプを単独使用した場合でも、インクジェット記録時に長繊維に沿ってインクが滲む現象を抑制することができ、インク裏抜けがなく、また、トナー定着性に優れ、搬送性の良好なインクジェット記録・電子写真記録のできる再生記録用紙を提供するものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明者は上記に鑑み鋭意検討した結果、叩解により新聞古紙パルプの長さ加重平均繊維長を短くして抄紙した原紙に、表面サイズ剤またはカチオン性樹脂を適正な付着量範囲で塗工することにより良好な結果を得、本発明に至った。
【0009】
すなわち、本発明のインクジェット記録・電子写真記録のできる再生記録用紙は、長さ加重平均繊維長1.0mm以下に叩解された新聞古紙パルプを単独使用して抄造された原紙に、表面サイズ剤を固型分当たり0.05〜0.15g/m2付着させてなることを特徴とするものである。
【0010】
また、本発明のインクジェット記録・電子写真記録のできる再生記録用紙は、平均繊維長1.0mm以下に叩解された新聞古紙パルプを単独使用して抄造された原紙に、カチオン性樹脂を固型分当たり0.5〜1.0g/m2付着させてなり、かつ表面抵抗値が1.0×109〜9.9×1013Ωであることを特徴とするものである。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、本発明のインクジェット記録・電子写真記録のできる再生記録用紙(以下、単に再生記録用紙と略すこともある。)について、詳細に説明する。
【0012】
第1の発明におけるインクジェット記録・電子写真記録のできる再生記録用紙は、新聞古紙パルプのみを使用して抄紙した原紙に表面サイズ剤を特定量付着させたものであり、該新聞古紙パルプは長さ加重平均繊維長を1.0mm以下に叩解させて使用することに特徴がある。これによって、インクジェット記録時におけるインクの滲みを抑えることができ、インク裏写りがなく、かつ電子写真記録にも充分に利用可能な再生記録用紙とすることができる。
【0013】
本発明において、新聞古紙パルプの長さ加重平均繊維長については、カヤーニ繊維長測定器「FS−200」を用いて測定される繊維長であり、本発明では該長さ加重平均繊維長を1mm以下に叩解した新聞古紙パルプを用いることにある。
【0014】
新聞古紙パルプは、叩解することによって長さ加重平均繊維長を1mm以下とし、これを単独使用して抄紙し、原紙とすることで、繊維の分布が均一となることから、繊維に付着する表面サイズ剤を均一に付着させる効果が得られ、インクジェット記録の際には長繊維状に現れるインクの滲みやインク裏写りが抑えられる。
【0015】
本発明において、表面サイズ剤の固形分付着量は、0.05〜0.15g/m2であり、インクジェット記録の際にインクの滲みやインク裏写りを抑えることができる。ここで、固形分付着量が0.05g/m2未満であると、インクの滲みを抑えることができない。また、0.15g/m2を越えて多いと、インクジェット記録後のインク乾燥性が悪くなり、インク裏写りなどの障害が発生する。
【0016】
用いられる表面サイズ剤としては、例えば、スチレン/アクリル酸系共重合体、スチレン/メタアクリル酸系共重合体、アクリロニトリル/ビニルホルマール/アクリル酸エステル共重合体、スチレン/マレイン酸系共重合体、オレフィン/マレイン酸系共重合体、アルキルケテンダイマー系、ロジン系などの表面サイズ剤などが挙げられる。
【0017】
本発明において、用いられる新聞古紙パルプ原料は、チラシを含んだ選別新聞や新聞残紙、および抄造時のブロークも含まれる。新聞古紙パルプは、パルパー工程(離解)、粗選工程、脱墨処理工程、精選工程、漂白工程を経て製造されるが、本発明ではいかなる公知の方法も用いられる。
【0018】
本発明において、使用される叩解機としては、例えば、ディスク型リファイナー、コニカル型リファイナー、円筒型リファイナーなどを使用できる。
【0019】
本発明において、使用される使用される内添填料は、白色顔料として従来公知の顔料が用いられ、単独或いは併用できるが、例えば、軽質炭酸カルシウム、重質炭酸カルシウム、カオリン、クレー、タルク、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、二酸化チタン、酸化亜鉛、硫化亜鉛、炭酸亜鉛、サチンホワイト、珪酸アルミニウム、ケイソウ土、珪酸カルシウム、珪酸マグネシウム、合成シリカ、水酸化アルミニウム、アルミナ、リトポン、ゼオライト、炭酸マグネシウム、水酸化マグネシウムのような白色無機顔料、スチレン系プラスチックピグメント、アクリル系プラスチックピグメント、ポリエチレン、マイクロカプセル、尿素樹脂、メラミン樹脂のような有機顔料などが挙げられる。
【0020】
本発明において、抄造する際に使用される内添サイズ剤としては、中性抄紙に用いられる中性ロジン系サイズ剤、アルケニル無水コハク酸(ASA)、アルキルケテンダイマー(AKD)、石油樹脂系サイズ剤などが使用できるが、好ましくは、中性ロジンサイズ剤またはアルケニル無水コハク酸を用いる。アルキルケテンダイマーは、そのサイズ効果が高いことから添加量は少なくて済むが、記録用紙表面の摩擦係数が下がり滑りやすくなるため、電子写真記録時の搬送性の点からは好ましくない。
【0021】
本発明においては、サイズプレスのベースとして、例えば、各種変性澱粉、自家変性澱粉、酸化澱粉、燐酸エステル化澱粉、カチオン澱粉、両性澱粉、各種ポリビニルアルコール、各種ポリアクリルアマイド化合物などを用いることができる。また、表面サイズ剤としては、例えば、スチレン−アクリル酸、スチレン−マレイン酸、オレフィン−マレイン酸、スチレン−アクリル酸の共重合体、アクリル酸エステルなどを使用することができる。
【0022】
本発明において、紙料中には、その他の添加剤として、顔料分散剤、増粘剤、流動性改良剤、消泡剤、抑泡剤、離型剤、発泡剤、浸透剤、着色染料、着色顔料、蛍光増白剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、防腐剤、防バイ剤、耐水化剤、湿潤紙力増強剤、乾燥紙力増強剤、などを本発明の所望の効果を損なわない範囲で、適宜配合することもできる。
【0023】
第2の発明におけるインクジェット記録・電子写真記録のできる再生記録用紙は、新聞古紙パルプのみを使用して抄紙した原紙にカチオン性樹脂を特定量付着させたものであり、該新聞古紙パルプは長さ加重平均繊維長を1.0mm以下に叩解させものであり、かつ該再生記録用紙の表面抵抗値が1.0×109 〜9.9×1013Ωであることを特徴とする。これによって、インクジェット記録時におけるインクの滲みやインク裏写りを抑えることができ、かつ画像耐水性を改善することができ、また、電子写真記録に際してトナー定着性を改善し、極めて良好な搬送性が得られる該再生記録用紙とすることができる。
【0024】
本発明に用いられるカチオン性樹脂は、インクジェット記録方式のインクに含有される直接染料や酸性染料のアニオン性部分との反応により、画像の耐水化にとって有効であるとともに、電子写真記録における搬送性に大いに寄与する。これは、カチオン性樹脂が再生記録用紙の表面抵抗値を下げることにより、連続的な電子写真記録に対する搬送性を悪くするのを防止できることにある。
【0025】
本発明において、カチオン性樹脂の固形分付着量は、0.5〜1.0g/m2であり、インクジェット記録の際に画像の耐水化を図ることができるとともに、電子写真用記録に際して、良好な搬送性を得ることができる。ここで、固形分付着量が0.5g/m2未満であると、電子写真記録での搬送性に劣り、また、1.0g/m2を越えて多いと、帯電し易くトナー定着性が悪化する。
【0026】
本発明において、再生記録用紙の表面抵抗値は、1.0×109〜9.9×1013Ωであるが、好ましくは1.0×1010〜9.9×1013Ωである。表面抵抗値が1.0×109より低いと帯電性が下がり、上記理由によりトナー定着性が劣り、また9.9×1013より高いと帯電性が高くなり、静電気の影響によりトナーの飛散や搬送性不良が発生する。
【0027】
本発明における表面抵抗値(単位:Ω)は、JIS K6911に準拠する計算式で算出されるものであり、具体的には横河ヒューレットパッカード社製の4329A型絶縁抵抗計(HIGH RESISTANCE METER)と16008A型電極(RESITIVITY CELL)を用いて、20℃65%RHの環境条件でチャージ時間30秒で取り扱い説明書に準じて測定、算出して求めることができる。
【0028】
本発明に用いられるカチオン性樹脂は、水溶性インク中の直接染料や酸性染料中のスルホン酸基、カルボキシル基、アミノ基等と反応して不溶な塩を形成する1級〜3級アミン、または4級アンモニウム塩のモノマー、オリゴマー、またはポリマーであり、好ましくは、オリゴマーまたはポリマーである。具体的には、ジメチルアミン・エピクロルヒドリン重縮合物、アクリルアミド・ジアリルアミン共重合物、ポリビニルアミン共重合物、ジシアンジアミド、ジメチル・ジアリル・アンモニウムクロライドなどを例示することができるが、これらの例に限定されるものではない。
【0029】
上記発明における表面サイズ剤またはカチオン性樹脂を付着させる方法としては、コンベンショナルサイズプレス、ゲートロールサイズプレス、フィルムトランスファーサイズプレスの他、ブレードコーター、ロッドコーター、エアーナイフコーター、カーテンコーターなど各種塗工機で塗工することも可能であるが、コストの点からは抄紙機に設置されているコンベンショナルサイズプレス、ゲートロールサイズプレス、フィルムトランスファーサイズプレスなどで付着させ、オンマシンで仕上げるのが望ましい。
【0030】
また、使用される抄紙機としては、長網方式、円網方式、ツインワイヤー方式、ハイブリッド方式、ギャップフォーマー型、ロールフォーマー型など、各種形式の抄紙機が挙げられる。また、必要とする原紙の密度、平滑度を得るために各種カレンダー処理を施す場合もある。
【0031】
【実施例】
以下に、本発明の実施例を挙げて説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。また、実施例において示す「部」および「%」は、特に明示しない限り、質量部および質量%を示す。
【0032】
実施例1
ダブルディスクリファイナーにて叩解した長さ加重平均繊維長0.7mmである新聞古紙パルプ100部に、軽質炭酸カルシウム6部、中性ロジンサイズ剤(商品名:CC167、日本PMC社製)0.35部、硫酸バンド1.4部、両性澱粉(商品名:Cato3210、ナショナルスターチアンドケミカル社製)を添加して長網抄紙機で抄造し、サイズプレス装置を用いて酸化澱粉(商品名:MS3800、日本食品化工社製)をべースに両面でスチレンアクリル系の表面サイズ剤(商品名:ハーサイズKN500、ハリマ化成社製)の固形分付着量が0.05g/m2となるように付着させ、坪量64g/m2である実施例1の再生記録用紙を作製した。
【0033】
実施例2〜3
実施例1の表面サイズ剤の固形分付着量を0.10g/m2、0.15g/m2となるようにした以外は実施例1と同様にして、それぞれ実施例2、3の再生記録用紙を作製した。
【0034】
実施例4
実施例1の新聞古紙パルプの長さ加重平均繊維長を1.0mmとした以外は実施例1と同様にして、実施例4の再生記録用紙を作製した。
【0035】
実施例5
実施例1の新聞古紙パルプの長さ加重平均繊維長を1.0mmとし、表面サイズ剤の固形分付着量を0.15g/m2とした以外は実施例1と同様にして、実施例5の再生記録用紙を作製した。
【0036】
比較例1
実施例1の新聞古紙パルプの長さ加重平均繊維長を1.5mmとした以外は実施例1と同様にして、比較例1の再生記録用紙を作製した。
【0037】
比較例2
実施例1の新聞古紙パルプの長さ加重平均繊維長を1.5mmとし、表面サイズ剤の固形分付着量を0.10g/m2とした以外は実施例1と同様にして、比較例2の再生記録用紙を作製した。
【0038】
比較例3〜4
実施例1の新聞古紙パルプの長さ加重平均繊維長を1.0mmとし、表面サイズ剤の固形分付着量を0.03g/m2、0.20g/m2とした以外は実施例1と同様にして、それぞれ比較例3、4の再生記録用紙を作製した。
【0039】
上記により作製したインクジェット記録・電子写真記録のできる再生記録用紙を用いて下記の評価方法により評価し、その結果を表1に示した。
【0040】
<インクの滲み>
繊維に沿ったインクの滲みの評価は、キヤノン社製インクジェットカラープリンターBJC−420Jを用いて印字し、インクの滲みを目視判定して、Aを良、Dを悪としてBレベルを限度とした。
【0041】
<インク裏写り>
インク裏写りの評価は、キヤノン社製インクジェットカラープリンターBJC−420Jを用いて印字し、印字直後のシート表面を白紙と重ね合わせて指で圧接し、インクの裏写りの程度を目視判定して、Aを良、Cを悪としてBレベルを限度とした。
【0042】
<トナー転写性>
ゼロックス社製カラーコピー機Acolor935を用いて、画像評価パターンの複写を行い、トナーの転写性を目視で判定した。なお、評価基準として、Aは特性が良好、Bは実用上問題ない範囲で良好、Cは実用上問題あり、Dは特性が不良を示す。
【0043】
<搬送性>
ゼロックス社製カラーコピー機Acolor935を用いて、A4サイズの大きさで連続複写を行い、1000枚複写したときの重走や紙詰まりの発生回数で判定した。なお、評価基準として、Aは0回で特性が良好、Bは1〜5回で実用上問題ない範囲で良好、Cは6〜10回で実用上問題あり、Dは11回以上で特性が不良を示す。なお、トナー転写性および搬送性の判定は、表面抵抗値の測定同様、20℃65%RHの環境条件下で行った。
【0044】
【表1】
【0045】
評価:
表1より、実施例1〜5の再生記録用紙は、長さ加重平均繊維長が本発明の範囲内にあり、インクジェット記録によるインク滲みやインク裏写り、および電子写真記録によるトナー定着性や搬送性ともに良好な結果であった。一方、比較例1、2の再生記録用紙は、長さ加重平均繊維長が本発明の範囲外にあり、インク滲み、トナー定着性、搬送性が劣る。また比較例3の再生記録用紙は、表面サイズ剤の付着量が規定外にあり、インク滲み、電子写真記録適性に劣った。また、比較例4の再生記録用紙は、表面サイズ剤の付着量が多く、インク裏写りが劣った。
【0046】
実施例6
ダブルディスクリファイナーにて叩解した長さ加重平均繊維長0.7mmである新聞古紙パルプ100部に、軽質炭酸カルシウム10部、中性ロジンサイズ剤(商品名:NeuSize M−10、ハリマ化成社製)0.3部、硫酸バンド1.0部、両性澱粉(商品名:Cato3210、日本NSC社製)1.0部を添加して長網抄紙機で抄造し、酸化澱粉(商品名:MS3800、日本食品化工社製)を乾燥付着量0.5g/m2、カチオン性樹脂(商品名:ハイマックスSC−700、ハイモ社製)を乾燥付着量で0.5g/m2となるようにサイズプレス装置を用いて付着させ、マシンカレンダー処理を行い、坪量64g/m2である実施例6の再生記録用紙を作製した。なお、得られた該再生記録用紙の表面抵抗値は、3.3×1011Ωであった。
【0047】
実施例7〜8
実施例6のカチオン性樹脂(商品名:ハイマックスSC−700、ハイモ社製)を乾燥付着量で1.0g/m2、2.0g/m2とした以外は実施例1と同様にして、それぞれ実施例7、8の再生記録用紙を作製した。なお、得られた該再生記録用紙の表面抵抗値は、それぞれ2.6×1010Ω、3.6×109Ωであった。
【0048】
実施例9〜10
実施例6の新聞古紙パルプの長さ加重平均繊維長を1.0mmとし、カチオン性樹脂を変更(商品名:スミレーズレジン1001、住友化学社製)し、固形分付着量を0.75g/m2、1.5g/m2とした以外は実施例6と同様にして、それぞれ実施例9、実施例10の再生記録用紙を作製した。なお、得られた該再生記録用紙の表面抵抗値は、それぞれ1.3×1011Ω、7.2×109Ωであった。
【0049】
比較例5〜6
実施例6の新聞古紙パルプの長さ加重平均繊維長を1.5mmとし、カチオン性樹脂の固形分付着量を0.5g/m2、1.5g/m2とした以外は実施例6と同様にして、それぞれ比較例5、比較例6の再生記録用紙を作製した。なお、得られた該再生記録用紙の表面抵抗値は、それぞれ7.4×1011Ω、8.5×109Ωであった。
【0050】
比較例7〜8
実施例6の新聞古紙パルプの長さ加重平均繊維長を1.0mmとし、カチオン性樹脂を変更(商品名:スミレーズレジン1001、住友化学社製)し、固形分付着量を0.3g/m2、2.2g/m2とした以外は実施例6と同様にして、それぞれ比較例7、比較例8の再生記録用紙を作製した。なお、得られた該再生記録用紙の表面抵抗値は、それぞれ1.3×1014Ω、8.4×108Ωであった。
【0051】
上記により作製したインクジェット記録・電子写真記録のできる再生記録用紙を用いて下記の評価方法により評価し、その結果を表2に示した。
【0052】
<表面抵抗値>
表面抵抗値(単位:Ω)は、横河ヒューレットパッカード社製の4329A型絶縁抵抗計(HIGH RESISTANCE METER)と16008A型電極(RESITIVITY CELL)を用いて、20℃65%RHの環境条件でチャージ時間30秒で測定した。
【0053】
<画像耐水性>
キヤノン社製インクジェットカラープリンターBJC−420Jを用いて、画像評価パターンを印字して、24時間後に文字画像上に水を1滴たらし、放置乾燥後、滲みの程度を目視で判定した。なお、評価基準として、Aは特性が良好、Bは実用上問題ない範囲で良好、Cは実用上問題あり、Dは特性が不良を示す。
【0054】
【表2】
【0055】
評価:
表2より、実施例6〜10の再生記録用紙は、長さ加重平均繊維長が本発明の範囲内にあり、インクジェット記録によるインク滲みやインク裏写り、画像耐水性、および電子写真記録によるトナー定着性や搬送性ともに極めて良好な結果であった。一方、比較例5、6の再生記録用紙は、長さ加重平均繊維長が本発明の範囲外にあり、インク滲み、トナー定着性が極めて悪い結果であった。また比較例7の再生記録用紙は、カチオン性樹脂の付着量が規定外にあるために表面抵抗値が高く、いずれの特性も劣った。また、比較例8の再生記録用紙は、カチオン性樹脂の付着量が多いために表面抵抗値が下がり、トナー定着性が劣った。
【0056】
【発明の効果】
上記のとおり、本発明によれば、新聞古紙パルプを単独使用した場合でも、特定の長さ加重平均繊維長を有する該パルプを使用し、特定量の表面サイズ剤、特にカチオン性樹脂を原紙に付着させることで、インクジェット記録時に長繊維に沿ってインクが滲む現象を抑制することができ、画像耐水性に優れ、また、トナー定着性に優れ、搬送性の良好なインクジェット記録・電子写真記録のできる再生記録用紙を得ることができる。
Claims (2)
- 長さ加重平均繊維長1.0mm以下に叩解された新聞古紙パルプを単独使用して抄造された原紙に、表面サイズ剤を固型分当たり0.05〜0.15g/m2付着させてなることを特徴とするインクジェット記録・電子写真記録のできる再生記録用紙。
- 長さ加重平均繊維長1.0mm以下に叩解された新聞古紙パルプを単独使用して抄造された原紙に、カチオン性樹脂を固型分当たり0.5〜1.0g/m2付着させてなり、かつ表面抵抗値が1.0×109 〜9.9×1013Ωであることを特徴とするインクジェット記録・電子写真記録のできる再生記録用紙。
Priority Applications (1)
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JP2003065628A JP2004268524A (ja) | 2003-03-11 | 2003-03-11 | インクジェット記録・電子写真記録のできる再生記録用紙 |
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Cited By (2)
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JP2007139825A (ja) * | 2005-11-14 | 2007-06-07 | Nippon Paper Industries Co Ltd | 電子写真用転写紙 |
JP2011161720A (ja) * | 2010-02-08 | 2011-08-25 | Marusumi Paper Co Ltd | インクジェット対応オフセット印刷用新聞用紙 |
-
2003
- 2003-03-11 JP JP2003065628A patent/JP2004268524A/ja active Pending
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