JP2004268256A - 加熱ヘッド - Google Patents

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Abstract

【課題】写真などの精密な画像を熱転写法やインクジェット法などにより印刷する場合に、安価な通常の紙面などを用いても、鮮明な画像で印刷することができ、さらに、印刷の品質を長期間に亘って保持することができるように、アンダーコートやオーバーコートを低消費電力で均一な被膜で形成するのに適した加熱ヘッドを提供する。
【解決手段】平面形状がほぼ長方形状のヘッド基板1の一面に、ヘッド基板1の長手方向に沿って帯状の発熱体2が形成され、このヘッド基板1の他面側が接着剤4を介して基台3に固着されることにより、ヘッド基板1が支持されている。この発熱体2の少なくとも一部の下側における接着剤4および/または基台3の部分に、ヘッド基板1から基台3への熱伝導率を他の部分より低下させる熱伝導抑制手段が設けられている。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、たとえば紙、プラスティック、金属などからなるA4などの用紙やカード、シールなどの被印刷物に、熱転写法、インクジェット法などの印刷法で印刷するに先立って、画像を印刷する場合に、画像を印刷する前に、被印刷物の表面にアンダーコートをしたり、画像を印刷した後に、印刷面の全面にあるいは限定部分面にオーバーコートをする際、加熱転写するのに適した加熱ヘッドに関する。さらに詳しくは、加熱転写する際の加熱ヘッドの温度制御により消費電力を抑制すると共に、加熱ヘッドの全体に亘って均一な温度に制御したり、部分的に温度を変化させて任意の温度パターンにすることも容易にできる構造の加熱ヘッドならびにそれを用いた熱転写装置および熱転写方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
熱転写法やインクジェット法などにより被印刷物に画像を印刷する場合、被印刷物の表面状態が平坦面になっていないなど、印刷面の状態がよくないとその表面に施される印刷画像が鮮明な画像にならない。たとえば熱転写印刷では、熱昇華性または熱溶融性のインクを塗布したインクリボンをサーマルヘッドで加熱して被印刷物にインクを転写することで印刷を行っている。このサーマルヘッドは、セラミックスの基板上に複数の発熱部(ドット)を帯状に並べて形成し、この基板を金属性の放熱板上に固定したものであり、各発熱部を独立して加熱制御できる構成となっている。しかし、印刷面の平滑性が充分でなく、凹凸のある場合は、インクが凹部に充分に密着できないことにより、印字品質が低下する。
【0003】
一方、近年デジタルカメラの普及により写真の印刷やコンピュータグラフィックによる繊細な画像を印刷する場合が多くなり、明瞭な印刷が要求されてきている。このような印刷画像の高度な品質が要求される場合には、たとえば写真の印画紙のように、特別な処理工程により表面を平滑化して光沢処理をした専用紙が用いられている。
【0004】
また、たとえば図9に示されるように、透明材リボン51の上にインクリボン52を密着させて、サーマルヘッド53により透明材リボンに熱転写し、その透明材リボン51上のインクを加熱ローラ54で加熱して被印刷物55に熱転写するなど、一旦、弾力性のある中間体に転写して、その中間体を介して凹凸のある印刷面に再度転写する方法が知られている(たとえば特許文献1参照)。なお、図9において、56は保持ステージで、Rはローラである。
【0005】
【特許文献1】
特開平5−169692号公報(図1)
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
前述のように、鮮明な画像の印刷をする場合には、特別な処理をした専用紙を用いたり、再転写の方法が用いられている。しかし、専用紙は非常に高価であると共に、高価であるが故に通常の印刷と併用するのには適しない。さらに再転写を行う方法も装置が複雑になり高価になる。このような場合、簡単な方法として、用紙などの印刷面に予め樹脂被膜を印刷するアンダーコートを施してから印刷する方法が考えられる。また、写真などでは、長期間に亘って保存する場合が多いが、従来の熱転写法やインクジェット法などによる印刷では、その色素が昇華したり、分解したり、紫外線などの光による変色が生じやすく、印刷画像の変質を来しやすい。そのため、印刷面の表面に保護膜を形成して保護するオーバーコートを形成することが好ましい。
【0007】
このようなアンダーコートやオーバーコートを施す場合、従来の印刷のドットごとに加熱するサーマルヘッドを用いて熱転写により順次印刷していくこともできるが、たとえば連続して各色を専用のサーマルヘッドで印刷していくタンデム方式では、全面連続コートをする必要がある。この場合、発熱体の小さい全ドットで印刷することになり消費電力が大きくなると共に、高速で連続して全面に通電することになるため、サーマルヘッドが耐えられず、故障が起りやすいという問題がある。一方において、アンダーコートやオーバーコートは全面に行うものであるため、従来のサーマルヘッドのようなドットごとの加熱を必要とはしない。
【0008】
このような全面を加熱する加熱ヘッドとして、帯状の発熱体の全体を加熱させて、記録媒体などを帯状に加熱するものが考えられるが、この種の帯状の発熱体では、帯状の発熱体の両端部に電流を供給する一対の電極が設けられており、この電極は熱伝導率の高い金属からなるために、発熱体で発熱した熱がその両端部から放熱しやすく、中心部では温度が高く、両端部では温度が低くなり、帯状の発熱体の全体に亘って均一温度に発熱しにくく、結果として、良質のアンダーコートやオーバーコートを形成しにくく、均一で美しい印刷画像や、耐久性のある印刷画像を得にくいという問題がある。
【0009】
さらに、従来のサーマルヘッドと同様に、帯状の発熱体でも、熱伝導率の大きいアルミニウムなどの金属からなる放熱板に発熱体を保持した基板を接着することにより形成されている。しかし、サーマルヘッドでは、印刷するドット毎に加熱するオンオフを繰り返すため、オフにしたときは直ちに温度が下がるように発熱体を支持する基板の温度を常に常温になるように放熱板により冷却する必要があるが、アンダーコートやオーバーコートするための加熱ヘッドでは、帯状全体をほぼ連続的に加熱するため、余り冷却をする必要はない。むしろ、放熱板からの熱の逃げが大きいと、入力電力を増やす必要があり、消費電力が増大するという問題がある。
【0010】
たとえば、後述する表1に示されるように、ある発熱体に15V、2分間の入力を加えたときに、発熱体を支持する基板を空中に保持した場合には、周囲温度より130℃上昇し、そのときの消費電力が11.8Wであるのに対して、アルミニウムからなる放熱板に接着した場合には、周囲温度より31℃しか上昇せず、消費電力も12.6Wであった。この傾向は、24V、2分間の入力を加えても、空中に保持した場合には、周囲温度より310℃上昇するのに、放熱板に接着すると65℃しか上昇せず、非常に熱の無駄が大きく、消費電力の増大を招くことになるい。しかし、一方では、空中で保持するように、熱の伝導を全く遮断してしまうと、使用中に温度が上昇し、温度の変化が大きく、所望の温度に制御することが困難であり、連続的動作をさせることに不向きである。
【0011】
また、上述した従来のサーマルヘッドや帯状の発熱体を設けた加熱ヘッドにおいて、発熱体は、抵抗ペーストを印刷・焼成してパターン形成され、しかも高度の印刷を行うために、発熱体を形成する基板には、耐熱性や熱により反りや伸縮が生じにくいことが要求され、通常セラミックスが使用されている。さらに、この発熱体を形成した基板の強度を補強したり、印刷装置に取り付けるために、基板は、放熱を兼ねた金属性の基台上に接着されて用いられている。とくに、サーマルヘッドの場合は、均一な印字濃度を得るために熱応答を重視するものであるため、通電時、所望(一定)の温度に発熱させなければならず、そのために基板を常に一定の温度(常温)に保つ必要があり、基板を放熱板としての基台により冷却する必要がある。このように、従来のサーマルヘッドや帯状の発熱体を用いる場合であっても、前記放熱を兼ねた基台を必要とせざるを得ないために、上記消費電力が増大する問題は解決されていない。
【0012】
本発明は、このような状況に鑑みてなされたもので、写真などの精密な画像を熱転写法やインクジェット法などにより印刷する場合に、安価な通常の紙面などを用いても、鮮明な画像で印刷することができ、さらに、印刷の品質を長期間に亘って保持することができるように、良質なアンダーコートやオーバーコートを形成するのに適した加熱ヘッドを提供することにある。
【0013】
本発明の他の目的は、このような加熱ヘッドの加熱効率を向上させ、少ない消費電力でアンダーコートやオーバーコート用の熱転写をすることができる加熱ヘッドを提供することにある。
【0014】
本発明のさらに他の目的は、帯状の発熱体の全体に亘って発熱温度を均一にし得る加熱ヘッドを提供することにある。
【0015】
本発明のさらに他の目的は、供給される被印刷物の種類や印刷速度などが変化しても、あるいは連続運転により、熱転写する被印刷物の種類により、または熱転写速度により、発熱体の温度が変化しても、所望の温度に調整することができる熱転写装置および熱転写方法を提供することにある。
【0016】
【課題を解決するための手段】
本発明による加熱ヘッドは、平面形状がほぼ長方形状のヘッド基板と、該ヘッド基板の一面で、該ヘッド基板の長手方向に沿って形成される帯状の発熱体と、前記ヘッド基板を支持する基台と、該基台と前記ヘッド基板の他面側とを接着する接着剤とを有し、前記発熱体の下側における前記接着剤および/または前記基台に、前記ヘッド基板から前記基台への熱伝導を抑制する熱伝導抑制手段が設けられている。
【0017】
この構成にすることにより、たとえば発熱体の下部における接着剤や基台に、発熱体の長手方向に沿ってほぼ全長に亘って熱伝導抑制手段が設けられることにより、発熱体からの放熱を抑制することができ、消費電力を減少させることができる。また、発熱体の温度が下がりやすい両端部側ではさらに熱伝導率を低くして温度の低下を防止することにより、全体の温度を均一にすることができる。その結果、印刷面全体に亘ってアンダーコートやオーバーコートを施す場合でも、非常に少ない消費電力で、均一な被膜を形成することができ、非常に品質の向上した印刷画像を得ることができる。また、印刷物により、部分的に温度を異ならせて(印刷濃度を変化させて)印刷をしたい場合には、意図的に発熱体に温度パターンを形成することもできる。
【0018】
具体的には、前記熱伝導抑制手段は、前記基台のヘッド基板側に設けられる凹部であったり、前記接着剤の一部として熱伝導率の小さい接着剤が用いられたり、前記凹部内に、前記基台よりも熱伝導率の小さい材料が充填される構造とすることができる。前記熱伝導率の小さい材料は、樹脂に金属粉末が混合された材料を用いることができる。
【0019】
前記凹部が、該帯状発熱体の長手方向に沿って設けられる凹溝であれば、発熱体の温度はとくに下側のヘッド基板および基台に逃げるため、その温度の逃げを防止することができ、消費電力を抑制することができる。この場合、発熱体の長さ方向全体に設けられなくても、被印刷物の幅に亘って設けられれば充分であり、また、被印刷物の幅の一部でも構わない。
【0020】
前記熱伝導抑制手段が、前記帯状発熱体の中心部よりも両端部側で熱伝導率が小さくなるように、両端部側に部分的に形成され、または前記発熱体の長手方向に沿って熱伝導率を変化させて形成されることにより、両端部でとくに温度の下がりやすい帯状発熱体の場合でも、長手方向全体でほぼ均一な温度にすることができる。
【0021】
前記発熱体の長手方向に沿って熱伝導率を変化させる熱伝導抑制手段は、前記発熱体の長手方向に沿って前記基台に設けられる凹部の体積を段階的にまたは連続的に異ならせる手段とすることができる。ここに凹部の体積を異ならせるとは、凹部の幅や深さを異ならせることを意味する。この凹部を中空のままにすれば、空気の熱伝導率は非常に小さいため、その凹部の体積が大きいほど熱伝導が抑制され、凹部の幅および/または深さによりその熱伝導の程度を制御することができる。なお、段階的とは、変化を間欠的に行うことであり、連続的とは漸次変化させることを意味する。
【0022】
前記発熱体の長手方向に沿って熱伝導率を変化させる熱伝導抑制手段は、前記発熱体の長手方向に沿って設けられる凹部内に充填される充填材料または前記接着剤の熱伝導率を段階的にまたは連続的に異ならせる手段とすることもできる。これは前述の凹部の体積を変化させるのと併用することもできる。
【0023】
本発明による熱転写装置は、請求項1〜8のいずれか1項記載の加熱ヘッドと、該加熱ヘッドの発熱体を駆動する電源と、該電源および前記発熱体との間に直列に接続される基準抵抗体と、該基準抵抗体の電圧を検出する電圧検出手段と、該電圧検出手段により検出される電圧に基づき、前記発熱体の温度を計算により求める温度検出手段とを有している。なお、後述する図2に示されるように、ローラなど他の構成に関しては、従来の熱転写装置と同じ構成である。この構成にすることにより、供給される被印刷物の材料の違い(たとえば紙とプラスティックなど)や、供給される被印刷物のスピード(転写速度)を発熱体の温度変化により検出することができるため好ましい。
【0024】
前記温度検出手段により求められる温度に基づいて、前記発熱体の両端部に印加される入力電力を制御することにより、前記発熱体の温度を制御する制御手段がさらに設けられていることにより、発熱体の温度をその被印刷物に合せて常に一定に制御することができるため、品質のよい印刷をすることができ好ましい。すなわち、熱伝導抑制手段が設けられることにより、連続使用により発熱体の温度が上昇しやすいが、上昇しても、その結果をフィードバックして入力電力により温度を調整するので、非常に均一な温度を維持することができる。とくに、本発明の加熱ヘッドでは、熱伝導抑制手段が設けられていることにより、発熱体の温度が変化しやすく、温度制御が行われることが効果的である。
【0025】
また、突然被印刷物の材料や供給速度が変っても、その変化を前述の温度検出手段により検知し、その状況に応じた温度に制御することができる。なお、温度係数はできるだけ大きく、しかも正の温度係数の発熱体を用いることにより、たとえ温度が上昇し過ぎても熱暴走をすることがない(温度が上昇すると抵抗が増大し電流が減るため温度を下げる方向になる)ため好ましい。
【0026】
本発明による熱転写方法は、帯状発熱体により被印刷物を加熱しながら熱転写する熱転写方法であって、該発熱体の温度を検出することにより、前記被印刷物の材料および/または送り速度を検出し、該検出されるデータに基づき前記発熱体の温度を制御し、または前記被印刷物の送り速度を制御しながら熱転写を行うことを特徴とする。
【0027】
【発明の実施の形態】
つぎに、図面を参照しながら本発明の加熱ヘッドについて説明をする。本発明による加熱ヘッドは、その一実施形態の平面説明図および断面説明図((a)のB−B断面およびC−C断面)が図1に示されるように、平面形状がほぼ長方形状のヘッド基板1の一面に、ヘッド基板1の長手方向に沿って帯状の発熱体2が形成されている。そして、このヘッド基板1の他面側が接着剤4を介して基台3に固着されることにより、ヘッド基板1が支持されている。本発明では、発熱体2の少なくとも一部の下側における接着剤4および/または基台3の部分に、ヘッド基板1から基台3への熱伝導率を他の部分より低下させる熱伝導抑制手段が設けられていることに特徴がある。
【0028】
熱伝導抑制手段5(5a〜5h)としては、図1に示されるように、基台3のヘッド基板1側に凹部5aを形成することにより、中空部を形成して熱伝導率を低下させる手段や、その凹部内に熱伝導率が基台3よりも小さい材料を充填する手段、ヘッド基板1と基台3とを接着する接着剤4を部分的に熱伝導率の小さい接着剤にする手段などを用いることができる。この種の加熱ヘッドでは、発熱体2からの熱がとくに下側に伝わりやすいので、熱伝導抑制手段5が、発熱体2下側の接着剤4および基台3のヘッド基板1側に設けられることにより、とくに効果が大きい。
【0029】
図1に示される例では、基台3に凹部(凹溝)5aが形成され、その凹部5aが中空にされることにより、空気の熱伝導率の低さを利用してヘッド基板1から基台3への熱伝導を抑制する熱伝導抑制手段5とされている。この凹部5aは、図1に示されるように、発熱体2の下側およびその近傍に位置し、基台3のヘッド基板1側の上面に、図で左端から右端に貫通した状態で、たとえば幅が3〜6mm程度(ヘッド基板1の幅は10mm)、深さが1mm程度(放熱板3の厚さが5mm)の溝で形成されている。発熱体2の熱は、一般的にはすぐ下のヘッド基板1から基台3に向って逃げるが、そのすぐ下に凹部5aが形成されることにより、その凹部5aを迂回するように熱が逃げるため、中空部の幅や深さを大きくすると、それだけ熱伝導が抑制され、中空部の体積(溝の幅および深さ)を変えることにより、熱伝導抑制の程度を調整することができる。
【0030】
熱伝導抑制の程度は、また、この凹部5a内に基台3とは熱伝導率の異なる(小さい)材料を充填することにより、中空部よりは熱伝導率が大きく、所望の熱伝導率に調整することができる。この場合、後述する表2に材料例が示されるように、樹脂自体を熱伝導率の大きいシリコーン樹脂と熱伝導率の小さいエポキシ樹脂など、充填する材料により熱伝導率が異なるため、所望の熱伝導率になるように材料を選択することにより、さらに所望の熱伝導率に調整することができる。この充填する樹脂としては、たとえば熱伝導率の小さいエポキシ樹脂に、熱伝導率の大きい金属粉末やチッ化アルミニウム粉末などを混合させれば、その混合割合を変えることにより、任意に熱伝導率を調整することもできる。また、凹部の深さなどを変えたものに樹脂を充填することによっても、その熱伝導率を調整することができる。このように熱伝導率を調整することにより、使用目的に応じて、発熱体2の温度を所望の温度に維持し得るようにすることができる。
【0031】
さらに、凹部5aの幅や深さを調整するだけではなく、図3に図1(c)と同様の断面説明図が示されるように、2本以上の凹部5b、5cを形成することもできる。発熱体2が2本以上形成される場合もあり、そのような場合に、各発熱体2の下側に凹溝5b、5cを形成すると、より効果的である。なお、図3で、図1と同じ部分には同じ符号を付してその説明を省略する。
【0032】
ヘッド基板1は、たとえば写真の印刷用としては長さが約115mm、幅が約10mm、厚さが約0.7mmのほぼ矩形状板からなり、その材質としては、たとえばアルミナなどのセラミックスを用いることができる。しかし、使用時の発熱温度条件において耐熱性を有し、少なくとも発熱体を設ける面が絶縁性を有するものであればよく、セラミックスの他にもガラスエポキシなどの樹脂系材料、表面に絶縁膜が設けられたステンレスなどからなる金属板、ガラス系材料などを広く使用することができる。また、その大きさも、用途に応じて任意の大きさに形成することができる。なお、本実施形態では、ヘッド基板1として、アルミナ基板が用いられている。
【0033】
発熱体2は、たとえばAg+Pdのペーストを塗布して形成したり、これにさらにRuOを加えたものを使用することができる。Ag−Pd合金からなる場合、シート抵抗を100mΩ/Sq〜200mΩ/Sqが得られ、両者の比率により温度係数を変えることができる。また、導体(電極)として使用する場合、Agが多い程抵抗を低くすることができる。大きさは、たとえば幅約1mm、厚さ約10μmの直線状で、ヘッド基板1の長手方向の長さ一杯に印刷形成され、その抵抗値をたとえば長さ50mm当り、約6Ω、抵抗温度係数を約1500ppm/℃(温度が100℃変化すると抵抗値が15%変化する)としている。本発明において、発熱体2の発熱特性は、これに限定されず、自由に設定することができるが、発熱体2の抵抗温度係数は正に高い方が好ましく、とくに1000〜3500ppm/℃の材料を用いることが、後述する発熱体2の温度を検出して制御するのに好ましい。抵抗温度係数が正に高い方が発熱させた場合、より早く温度が飽和状態となり、高温時の温度安定性に優れているからであり、熱暴走などによる過熱を防止できるからである。
【0034】
また、抵抗温度係数が正に高いということは、温度変化に対する抵抗値変化が大きいことであるから、発熱させた状態における抵抗値測定により基準抵抗値からのずれにより実際の発熱温度の検出を容易に精度よく行え、印加電圧を調整し、または印加パルスのデューティを調整することにより所望の発熱温度からのずれを修正しやすくなる。
【0035】
また、発熱体2の両端部には、たとえば銀・パラジウム合金などの良導電体からなる電極6が印刷形成されている。この電極6は、図示されていないが、たとえばヘッド基板1の側面を介して、基台3上に設けられる図示しない配線基板と接続され、両端部に電圧を印加して発熱体(抵抗体)2を発熱させ得るようになっている。
【0036】
なお、図示されていないが、発熱体2の上には、磨耗および異物付着によるショートの防止として、たとえばガラスなどからなる保護層を設けてもよい。本実施形態では、図示しないがガラス層が設けられている。なお、発熱体2の温度は、発熱体2の電流により検知され、常に一定に保持され得るように構成されている。
【0037】
この発熱体2が設けられたヘッド基板1は、図1(b)に断面説明図が示されるように、基台3に接着剤4により接着され印刷装置などに配設される。この基台3は、たとえばアルミニウム板などの熱伝導率の大きい材料からなり、発熱体2の温度が上昇し過ぎないで、常に安定した温度を維持できるように形成されている。しかし、この基台3の材料は、アルミニウムのような金属板には限らず、ヘッド基板1をしっかりと保持しながら、発熱体2の温度を安定させ得るものであればよい。なお、図示されていないが、この基台3にはフレキシブル回路基板などからなる配線基板が設けられており、前述の発熱体2両端部への電圧印加をするための配線などが施されている。前述のヘッド基板1に対応する基台3は、たとえば長さが115mm程度で、幅が20mm程度、厚さが5mm程度に形成されている。
【0038】
ヘッド基板1と基台3とを接着する接着剤は、たとえばシリコーンゴムなどの弾力性のある接着剤が主に用いられる。これは、ヘッド基板1と基台3との材料の違いに基づく熱膨張率の差により、両者間に剥離力が働きやすいため、その熱膨張率の差を吸収するためである。しかし、接着剤4はこの材料に限定されるものではなく、とくに後述するように、熱伝導率を考慮して、たとえばエポキシ接着剤や銀入り接着剤などを用いることもできる。
【0039】
図1に示されるように、発熱体2の下側に発熱体2に沿って凹部5aが形成される構造にすることにより、無駄な熱伝導を抑制することができ、非常に消費電力を抑えながら、均一な温度にすることができ、後述するアンダーコートやオーバーコートをするための熱転写用加熱ヘッドの消費電力を大幅に下げることができる。たとえば前述のヘッド基板1に常温で14Ω、温度係数が+1500PPM(0.15%)の発熱体2を形成し、そのまま空中に保持した場合と、前述の構造の基台3に接着した場合における各入力に対し、2分間経過したときの発熱体2の温度上昇(℃)、およびそのときの消費電力を測定した結果を表1に示す。
【0040】
【表1】
Figure 2004268256
【0041】
中空部(凹部)が設けられた基台3にヘッド基板が固定されると、空中に吊るした状態よりは温度が下がるが、凹部(中空部)の体積が大きいほど空中の状態に近づき、小さい程基台に接着の状態に近づく。したがって、凹部5aの大きさを調整することにより、上記表1に示される温度の中間の値に設定することができる。この表1からも明らかなように、従来の基台3に直接接着すると、非常に温度が下がることが分る。そのため、温度を一定に保持しようとすると、非常に大きな入力が必要となる。なお、前述のように、この凹部5a内に樹脂などを充填することにより、中空部よりその熱伝導率が大きくなり、さらに表1の接着の状態に近づけることができ、充填する材料により、所望の入力に対して、発熱体2の温度を所望の温度で維持することができる。
【0042】
このように、本発明の加熱ヘッドによれば、ヘッド基板の熱伝導に関して、完全に周囲と遮断するのではなく、ある程度の熱伝導を有する基台に接着しながら、その接着部での熱伝導率が制御されているため、発熱体の温度が一方的に変化しないで、安定しながら高い温度を保持することができる。その結果、消費電力を大幅に低下させながら、比較的安定した温度の加熱ヘッドが得られる。なお、後述する発熱体の温度検出手段がさらに設けられ、その温度を検出しながら発熱体への入力電力を制御することにより、常に一定温度を維持することができる。このような温度を一定にする制御手段により温度を一定に制御することができるのは、基台に熱伝導をある程度有するものを用いているため、発熱体の温度をほぼ一定に維持できるようになっていることによる。
【0043】
つぎに、この加熱ヘッドを用いて、印刷する方法について説明をする。図2は、その要部の概略側面図である。基台3には、図示しない配線基板を介して、やはり図示しない制御回路と接続される。そして、加熱ヘッド10の発熱体2と対向するように回転手段である円形のゴムローラ11が配置されている。回転手段としては、ロール状のものであればとくに限定されることなく用いることができ、たとえばシリコーンゴムなどの耐熱性に優れ、摩擦係数の高い弾性材料を金属などの芯材の表面に被覆したものを好ましく用いることができる。
【0044】
また、図示しないがゴムローラ11と加熱ヘッド10との位置関係を調整する位置調整手段を備えている。この位置調整手段としては、とくに限定されず、ゴムローラ11の回転軸から加熱ヘッド10の発熱部(発熱体2)への垂線に対して略直角方向へ相対的に水平移動を行える機構であれば広く用いることができ、たとえば加熱ヘッド10の基台3にボールネジを螺着し、そのボールネジを、減速機を介してステッピングモータに接続しておけば、ステッピングモータの回転に伴うボールネジの回転により、加熱ヘッド10を所定寸法水平移動可能とできる。しかし、この加熱ヘッド10をゴムローラ11の回転軸の廻りに回転させることによっても、発熱部とゴムローラ11との位置関係を変えることもできる。
【0045】
そして、図2に示されるように、加熱ヘッド10とゴムローラ11との間に印刷をする用紙などの被印刷物12を被膜形成用樹脂などを塗布したアンダーコート用またはオーバーコート用のリボン13と共に通過させることにより、被印刷物13の印刷面にアンダーコートやオーバーコートなどの被膜を形成することができる。アンダーコートをしてその面にカラー印刷をする場合には、図2に示される加熱ヘッド10とゴムローラ11との組をさらに3段配置し、それぞれにイエロー、マゼンタ、シアンのリボンを用いて連続的に通過させることにより(さらに黒色の一段を追加する場合もある)、アンダーコートをして印刷面を平滑化したその面にカラーで所望の画像を印刷することができ、非常に鮮明な印刷画像を得ることができる。なお、アンダーコートは印刷と連続的に行わなくても、別の工程でもよく、印刷をする前に行えばよい。
【0046】
また、印刷した面にオーバーコートを施す場合には、さらにもう一段オーバーコート用樹脂層を設けたオーバーコート用リボンにより印刷する加熱ヘッドを設けることにより、イエロー、マゼンタ、シアンによるカラー印刷をした後、連続的にオーバーコートを施すことができる。したがって、アンダーコートおよびオーバーコートを施してカラー印刷する場合には、全部で5段または6段(黒色も入れる場合)のユニットが連続して設けられることになる。
【0047】
以上のように、本発明の加熱ヘッドを用いることにより、熱転写法により被印刷物の印刷面の少なくとも一部に印刷面を平滑化するためのアンダーコートをし、そのアンダーコートが施された面に熱転写法またはインクジェット法により印刷をしたり、被印刷物の印刷面に熱転写法またはインクジェット法により印刷を施し、その印刷が施された被印刷物の少なくとも一部に前記印刷により付着するインクの変質を防止するためのオーバーコートを熱転写法により容易に形成する印刷方法を採用することができる。
【0048】
この方法によれば、予め特殊な処理加工をした被印刷物を用いないで、通常の用紙などを用いても、所望の印刷をする場所のみにアンダーコートを施してから印刷をすることができるため、非常に簡易な方法で、写真のような鮮明さが要求される画像でも、非常に鮮明に印刷をすることができる。さらに印刷面にオーバーコートを施す場合でも、従来の印刷工程とほぼ同時にオーバーコートを施すことができ、非常に簡易な方法で、その印刷の質を劣化させず、長期間に亘って画像の品質を維持することができる。しかも、通常の印刷ヘッドの前に、アンダーコート用の加熱ヘッドとアンダーコート用リボン、およびオーバーコート用の加熱ヘッドとオーバーコート用リボンを設置するだけで、従来と同様の印刷工程だけで、鮮明で、耐久性のある印刷をすることができる。
【0049】
図1および3に示される実施形態では、帯状発熱体2の長さ方向のほぼ全長に亘って、その下側に熱伝導抑制手段5が形成されていた。このようにすることにより、発熱体2全体の温度降下を防止することができ、消費電力を少なくすることができる点で好ましい。しかし、一方において、この種の加熱ヘッドでは、その両端部に電極6が形成されているため、その電極6およびその電極に接続される配線基板などを介して、両端部側では温度が下がりやすい。この問題を解決するために、前述の構造に加えて、または前述の構造とは別に、帯状発熱体2の両端部において、とくに熱伝導抑制手段5が設けられることにより、帯状発熱体2の長手方向全体において、温度の均一化を図ることができる。その例について、図4〜6を参照しながら説明をする。
【0050】
図4は、とくに発熱体2の両端部における熱伝導を低下させることに主眼を置いた構造で、発熱体2の両端部近傍における基台3の表面側に、発熱体2と直角方向の凹部5dが形成され、その凹部5d内にたとえばシリコーン樹脂からなる接着剤4よりさらに熱伝導率の低い接着剤5e、たとえばエポキシ樹脂などを充填することにより、熱伝導抑制手段5が形成され、発熱体2の両端部における熱伝導率を中央部より低くしている。なお、図4は図1(a)〜(b)と同様の図で、同じ部分には同じ符号を付してその説明を省略する。
【0051】
図4に示される例では、基台3の長手方向両端部側に長手方向と直角方向の凹部5dが形成されることにより、両端部側に発熱体2から基台3に向っての熱伝導抑制手段5が形成されている。すなわち、凹部5dは、たとえばその幅Wが10mm程度で、深さhは0.2mm程度であるが、表2に示されるように、基台3の材料であるアルミニウムの熱伝導率は約236W/K・mであるのに対して、たとえば凹部5d内に充填される接着剤5eとしてエポキシ接着剤を用いると、その熱伝導率は0.2W/K・mと非常に小さく、この凹部5dでの熱伝導率が中央部に比べて大幅に小さくなっている。その結果、両端部での熱伝導が抑制され、温度の下がりやすい両端部での温度を高く保持し、全体として温度を一定に保つことができる。なお、接着剤4にはシリコーン接着剤が用いられ、その厚さはおよそ0.3mm程度である。
【0052】
【表2】
Figure 2004268256
【0053】
図4に示される例では、凹部5d内にヘッド基板1と基台3とを接着する接着剤4と異なる接着剤5eを充填したが、アルミニウムなどからなる基台3の熱伝導率に比べれば、あまり大差がなく、接着剤4と同じ接着剤を充填しても殆ど同様の結果が得られる。すなわち、接着剤を変えなくても、凹部5dの深さを調整しても、容易にその熱伝導率を調整することができる。
【0054】
熱伝導抑制手段としては、このように基台3に凹部5dを形成する場合に限らず、たとえば後述する図5に示される例のように、部分的に接着剤の材料を異ならせても、表2に示されるように、たとえばエポキシ接着剤と銀入り接着材とでその熱伝導率が約50倍程度異なり、接着剤の塗布パターンにより熱伝導率を異ならせることができる。また、これら接着剤の熱伝導率は、基台3として用いられるアルミニウムに比べて、非常に小さいため、接着剤の厚さを厚くすればするほど熱伝導率が低下することになる。そのため、後述する図6〜7に示される例のように、接着剤の厚さを変えても、その熱伝導率を調整することができる。この場合、基台3に深さの異なる凹部を形成してその凹部内に接着剤を充填すれば、自ずと接着剤4の厚さを調整することができるので、凹部を所望のパターンで、また所望の深さに形成することにより、簡単に発熱体2の温度パターンを調整することができる。
【0055】
図5は、ヘッド基板1と基台3との接着部の両端部における接着剤を変えることにより、熱伝導率を中心部と両端部側とで異ならせ、全体をほぼ均一な温度にする例を示した図である。たとえば両端部の接着剤5fとして、熱伝導率の小さいエポキシ接着剤などを用い、中央部の接着剤4として、従来のシリコーン接着剤または銀入り接着剤のような熱伝導率の大きい接着剤を用いることにより、発熱体2の全体の温度をほぼ均一にすることができる。
【0056】
図6は、発熱体2の温度分布が両端部に向かって徐々に下がっている場合に、全体を均一にする例で、基台3に設けられる凹部5gが長手方向の断面で矩形状の溝ではなく、テーパ状に形成された例である。そして、その凹部5g内にたとえばシリコーン樹脂からなる接着剤4が充填されている。このような構造にすれば、発熱体2の長手方向の両端部側では、深い溝で接着剤4の厚さが厚く、中央部側では徐々に溝が浅くなり、接着剤4の厚さが薄くなっている。前述のように、たとえばアルミニウムからなる基台3の熱伝導率は非常に大きいため、接着剤4の厚さが厚い部分では、熱伝導率が小さく、両端部側の温度を高く維持し、中央部での熱伝導率は大きいため、熱量が逃げやすく温度が下がりやすい。その結果、元々温度の下がりやすい両端部の温度を高くし、温度の高い中央部の熱の逃げが大きいため、結果として、全体でほぼ均一な温度にすることができる。なお、凹部の深さは、連続的に変化させないで、階段的に変化させることもできる。
【0057】
図7は発熱体2の温度を均一にするのではなく、部分的に高い温度の部分と低い温度の部分とを形成する例である。印刷によっては、たとえば被印刷物の送り方向に沿ってストライプ状の図柄を印刷する場合に、そのストライプによって印刷の濃度を変化させたいような場合に、意識的に発熱体2の温度を変化させて異なった印刷態様にする例である。また、印刷ではなく、たとえばホットメルト紙など加熱部分のみを接着する部分接着のため、部分的に加熱したい場合に用いるとき、所定のパターンで温度を上昇させたい場合に用いることができる。図7に示される例では、左半分の発熱体2の温度を高くして、右半分の発熱体2の温度を低くする例である。この例では、単純化のため、2種類の温度分布を半々にする例で示したが、この例に限らず、任意の温度パターンにする場合でも、基台に形成する凹部のパターンを任意の形状に形成するだけで、容易に所望の温度分布を形成することができる。
【0058】
もちろんこの場合でも、接着剤などの熱伝導率の小さい材料を充填しないで、中空のままにすれば、より温度を高くすることができる。このように所望の加熱パターンを形成したい場合でも、温度を高くしたい部分の接着剤および/または基台3に熱伝導抑制手段を設けることにより、所望の加熱パターンを形成することができる。
【0059】
本発明の加熱ヘッドによれば、ヘッド基板と基台との接着部における熱伝導抑制手段を調整するだけで、発熱体の消費電力を大幅に減らすことができると共に、全体の温度分布をコントロールすることができるため、前述のアンダーコートやオーバーコートをする場合のように、全体の温度をほぼ同じ温度の均一に保持することも、または所望の印刷パターンに応じて任意の温度分布を形成する場合でも、非常に安価に行うことができる。
【0060】
一方、基台への熱伝導の抑制を大きくすることにより、発熱体の温度が連続使用により高くなる可能性がでてくる。さらには、印刷物が紙とプラスティックでは、同じアンダーコートを施す場合でも、その加熱温度を変える必要があったり、印刷の対象となる被印刷物を送る速度により発熱体の温度が変化する。しかも、その印刷物には、紙やプラスティックなど、種々の物が任意に供給される場合がある。このような場合に、どういう媒体が印刷物として供給されたか、あるいはどの程度のスピードで被印刷物が送られているかを発熱体の温度を検出することにより、被印刷物の比熱などにより知ることができる。そして、印刷される媒体の種類や速度が分れば、その媒体に適した発熱体の温度に設定することができるため便利である。このような目的で、熱転写装置の発熱体3の温度を検出する構成が図8に示されている。
【0061】
前述のように、発熱体2として、温度係数を有する材料が用いられることにより、発熱体2の温度が変化すると、その抵抗値が変り、一定の電圧が印加されていると、その電流値が変化する。そのため、図8に示されるように、直流電源8と発熱体2との間に基準抵抗体9を挿入しておき、その基準抵抗体9の両端電圧Vを測定すれば、温度検出手段15により、両端電圧Vの変化量と、予め分っている発熱体2の温度係数(材料により定まる)とから温度を検出することができる。この場合、発熱体2としては、できるだけ温度係数の大きい材料を用いることが、温度変化を正確に知るために好ましい。また、前述のように、温度係数は正のものであることが、熱暴走を防止するために好ましい。
【0062】
そのため、その温度の変化の仕方により、供給される媒体の種類を想定することができ、その媒体に応じた温度になるように直流電源8を制御することができる。すなわち、制御手段16では、被印刷物と発熱体2の検出温度から、所定の温度よりも低ければ入力を増加させるように、高ければ入力を減少させるように直流電源にフィードバックする構成になっている。この直流電源8は、一般にはパルス印加で行われる場合が多く、そのパルスのデューティサイクルを大きくすれば、入力が大きくなり、同じ入力電圧で温度を調整することができる。この温度による入力調整は、媒体の種類や速度が変化するのに対応させる場合のみならず、同じ媒体を同じ速度で連続的に印刷する場合でも、前述のように、発熱体2からの熱伝導を抑制する手段が設けられていると、温度が上昇しやすい場合があり、常に発熱体2の温度を測定しながら、直流電源の入力を制御することにより、常に所望の温度に維持することができる。
【0063】
このように、温度検出手段が設けられていることにより、被印刷物の種類や印刷速度の変化を検出することができ、また、さらに制御手段が設けられていることにより、発熱体の温度を所望の温度に制御することができる。その結果、被印刷物の種類が変化したり、印刷速度が変っても、その変化を直ちに検出し、その変化の状態に応じて発熱体の温度を所望の温度に保持することができる。
【0064】
すなわち、本発明の熱転写方法は、帯状発熱体2により被印刷物12を加熱しながら熱転写する熱転写方法であって、発熱体2の温度を検出することにより、被印刷物12の材料および/または送り速度を検出し、その検出されるデータに基づき発熱体2の温度を制御し、または被印刷物12の送り速度を制御しながら行うものである。このような方法により、連続的に種々の材料からなる被印刷物が供給されても、また、可変速度転写装置において、その速度が適切でない場合でも、常に、目的の印刷に応じた温度で熱転写を行うことができる。
【0065】
【発明の効果】
本発明の加熱ヘッドによれば、発熱体の下側に熱伝導抑制手段が設けられているため、無駄な熱伝導を防止することができ、非常に低消費電力で、アンダーコートやオーバーコートなどを行うのに適した加熱ヘッドが得られる。また、加熱ヘッドの帯状発熱体の長手方向に沿った温度を任意に調整することができるため、全体を均一温度にしたり、所望の温度パターンにすることができ、所望のパターンの印刷をしたり、部分接着用の加熱ヘッドにすることができる。
【0066】
その結果、通常の用紙など、表面に凹凸のある被印刷物に対しても、写真のような非常に繊細な画像を鮮明に印刷することができる。しかも、通常の印刷工程と殆ど変らず、安価な用紙を用いて印刷をすることができるため、非常に安く鮮明な印刷をすることができる。さらに、カラーで印刷する場合、そのインクの色素の昇華、蒸発、分解、紫外線などの光による変質変色、外力による傷、破損、摩耗などが起りやすいが、本発明によれば、そのような印刷の表面にオーバーコートを印刷と連続して行うことができるため、直ちに印刷面を保護することができ、鮮明な印刷画像を長期間に亘って維持することができ、非常に耐湿、耐水性などの耐久性の優れた印刷を非常に安価に得ることができる。なお、各コートは表面状態、色調など、目的に応じて、多層にすることもできる。
【0067】
また、本発明の熱転写装置および熱転写方法によれば、被印刷物の状況に応じて、その状況を検出し、その状況に応じた発熱体の温度に調整することができるため、非常に安定した熱転写をすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の加熱ヘッドの一実施形態を示す平面および断面の説明図である。
【図2】図1の加熱ヘッドを用いて印刷する場合の概略説明図である。
【図3】図1に示される加熱ヘッドの変形例を示す図1(c)と同様の断面説明図である。
【図4】本発明による加熱ヘッドの他の実施形態を示す平面と断面の説明図である。
【図5】ヘッド基板から基台への熱伝導率を異ならせる手段の一例を示す断面説明図である。
【図6】熱伝導率を異ならせる手段の他の例を示す断面説明図である。
【図7】熱伝導率を異ならせる手段のさらに他の例を示す断面説明図である。
【図8】発熱体の温度を検出し、その温度を制御する構成例を示すブロック図である。
【図9】従来の凹凸を有する面への熱転写法により印刷する例の構成説明図である。
【符号の説明】
1 ヘッド基板
2 発熱体
3 基台
4 接着剤
5 熱伝導抑制手段
6 電極
10 加熱ヘッド
12 被印刷物

Claims (12)

  1. 平面形状がほぼ長方形状のヘッド基板と、該ヘッド基板の一面で、該ヘッド基板の長手方向に沿って形成される帯状の発熱体と、前記ヘッド基板を支持する基台と、該基台と前記ヘッド基板の他面側とを接着する接着剤とを有し、前記発熱体の下側における前記接着剤および/または前記基台に、前記ヘッド基板から前記基台への熱伝導を抑制する熱伝導抑制手段が設けられてなる加熱ヘッド。
  2. 前記熱伝導抑制手段が、前記基台のヘッド基板側に設けられる凹部である請求項1記載の加熱ヘッド。
  3. 前記凹部内に、前記基台よりも熱伝導率の小さい材料が充填されてなる請求項2記載の加熱ヘッド。
  4. 前記熱伝導率の小さい材料が、樹脂に金属粉末が混合された材料である請求項3記載の加熱ヘッド。
  5. 前記熱伝導抑制手段が、前記接着剤の一部として熱伝導率の小さい接着剤が用いられることである請求項1または2記載の加熱ヘッド。
  6. 前記凹部が、前記帯状発熱体の長手方向に沿って設けられる凹溝である請求項2、3または4記載の加熱ヘッド。
  7. 前記熱伝導抑制手段が、前記帯状発熱体の中心部よりも両端部側で熱伝導率が小さくなるように、両端部側に部分的に形成され、または前記発熱体の長手方向に沿って熱伝導率を変化させて形成されてなる請求項1記載の加熱ヘッド。
  8. 前記発熱体の長手方向に沿って熱伝導率を変化させる熱伝導抑制手段は、前記発熱体の長手方向に沿って前記基台に設けられる凹部の体積を段階的にまたは連続的に異ならせるものである請求項7記載の加熱ヘッド。
  9. 前記発熱体の長手方向に沿って熱伝導率を変化させる熱伝導抑制手段は、前記発熱体の長手方向に沿って設けられる凹部内に充填される充填材料または前記接着剤の熱伝導率を段階的にまたは連続的に異ならせるものである請求項7または8記載の加熱ヘッド。
  10. 請求項1〜9のいずれか1項記載の加熱ヘッドと、該加熱ヘッドの発熱体を駆動する電源と、該電源および前記発熱体との間に直列に接続される基準抵抗体と、該基準抵抗体の電圧を検出する電圧検出手段と、該電圧検出手段により検出される電圧に基づき、前記発熱体の温度を計算により求める温度検出手段とを有する熱転写装置。
  11. 前記温度検出手段により求められる温度に基づいて、前記発熱体の両端部に印加される入力電力を制御することにより、前記発熱体の温度を制御する制御手段がさらに設けられてなる請求項10記載の熱転写装置。
  12. 帯状発熱体により被印刷物を加熱しながら熱転写する熱転写方法であって、該発熱体の温度を検出することにより、前記被印刷物の材料および/または送り速度を検出し、該検出されるデータに基づき前記発熱体の温度を制御し、または前記被印刷物の送り速度を制御しながら熱転写を行う熱転写方法。
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