JP2004268183A - 研削装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】砥石を電動モータにより回転駆動してワークを研削する研削装置の適応制御部52が、上記モータでの研削電力の電力検出値Prとその電力目標値Pcとを用いたフィードバック制御を行うとともに、上記電力目標値Pcに基づくフィードフォワード制御を実施して、砥石の研削速度を決定する。
【選択図】 図3
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、軌道輪などのワークに研削加工を施す研削装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
例えば内輪素材に研削加工を行う研削装置には、同素材を回転させるとともに、その素材に形成した貫通孔内に、電動モータによって一定回転速度で回転させた砥石を挿入し上記孔壁面(加工面)と接触させることにより、所望の内周面を有する内輪に仕上げるものがある。また、このような研削装置は、上記素材を砥石に対して移動可能に支持しており、在来の研削装置では、一定速度で素材を砥石に接近させることによる定速研削が一般的に行われていた。ところが、このような定速研削では、内輪素材(ワーク)の加工面での加工状態などに係わらず当該ワークに対して一定な研削速度の研削加工が行われることから、ワーク製造でのサイクルタイムの短縮や当該ワークの品質向上などを図ることが難しかった。
【0003】
従来の研削装置には、砥石のワークに対する研削力を基に上記研削速度を適切に変更する適応制御を行うとしたものがある(例えば、特許文献1参照。)。
具体的には、この従来装置は、電流計を含んだ検出手段あるいは歪みセンサーを含んだ検出手段を設けて、上記研削力としての上記電動モータでの消費電力あるいはワークから砥石に作用する接触抵抗(研削抵抗)を検出し、これらの検出値を各々設定された目標値に近づけ一致させるフィードバック制御を行うことにより、上記研削速度を所望速度に合わせていた。
【0004】
【特許文献1】
特許第3362952号公報(第5頁〜第7頁、第1図)
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、上記のような従来装置では、検出手段からの検出値と設定された目標値との差が大きいときなどの場合に検出値を目標値に一致させるまでに長い時間を要することがあった。この結果、研削加工の開始時点から所望の研削力による加工が行われる時点までの所要時間も長くなり、ワークの研削加工の処理時間、ひいては当該ワークのサイクルタイムの短縮を行えないことがあった。
【0006】
上記のような従来の問題点に鑑み、本発明は、ワーク処理時間の短縮化を確実に図ることができる応答性に優れた研削装置を提供する。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明は、電動モータにより回転駆動された砥石のワークに対する研削力の検出値及びその目標値に基づき当該ワークに対する前記砥石の研削速度をフィードバック制御する制御部とを備えた研削装置であって、
前記制御部が、前記研削力の目標値に基づいて、前記研削速度をフィードフォワード制御することを特徴とするものである。
【0008】
上記のように構成された研削装置における制御部では、フィードバック制御だけでなくフィードフォワード制御を行うことにより、上記砥石の研削速度を決定しているので、当該装置の応答性を高めることができる。従って、上記砥石の研削速度を所望速度に即座に変更してそのワーク処理時間を短縮することができる。
【0009】
また、上記研削装置において、前記電動モータでの研削電力が、前記研削力として用いられることが好ましい。
この場合、砥石の研削速度が電動モータの研削電力を基に制御されることとなり、上記研削力を直接的に測定するための検出器などを研削装置に設ける必要がなく、当該装置構成を簡略化することができる。
【0010】
また、上記研削装置において、前記制御部には、前記電動モータでの研削電力の検出値と目標値との差の値を、前記砥石とワークとの接触点での研削力に変換する第1の電力−研削力変換手段と、フィードバックゲインを用いて前記第1の電力−研削力変換手段からの研削力を補正する第1の補正手段とが設けられ、かつ前記研削電力の目標値を、前記研削力に変換する第2の電力−研削力変換手段と、フィードフォワードゲインを用いて前記第2の電力−研削力変換手段からの研削力を補正する第2の補正手段とが設けられるとともに、
前記制御部が、前記第1及び第2の補正手段からの各補正値とを用いて、前記砥石の研削速度についての指示速度を求める研削力−速度変換手段を備えることが好ましい。
この場合、上記フィードバックゲイン及びフィードフォワードゲインの各値、並びに研削力−速度変換手段での速度変換ゲインの値を適切なものとすることにより、上記応答性に加えて、研削装置でのロバスト性及びワークに対する加工精度を向上させることができる。
【0011】
また、上記研削装置において、前記フィードフォワードゲインを可変値としてもよい。
この場合、ワークの研削加工前にテストピースによる実機テストを行うことにより、外乱等の影響を排除することが可能なフィードフォワードゲインを適宜決定し設定することができる。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の研削装置の好ましい実施形態について、図面を参照しながら説明する。尚、以下の説明では、従来例との対比を容易なものとするために、内輪用の研削装置に適用した場合を例示して説明する。
図1は本発明の一実施形態に係る研削装置の要部構成例を示す模式図であり、図2は同研削装置の要部構成例を示すブロック図である。
図1において、本実施形態の研削装置は、砥石1の回転駆動を行う駆動機構部2と、ワークとしての内輪素材3を支持する支持機構部4と、これらの機構部2、4の各駆動制御を行う制御部としての制御ユニット5とを備えており、上記素材3の材質やその素材3での加工面の状態、形状寸法などに応じて適宜選択された砥石1による研削加工を素材加工面に施せるようになっている。
上記駆動機構部2は、図1の左右方向にスライド移動可能に構成されており、内輪素材3に研削加工を行う場合には、図1に破線の矢印にて示すように移動されて、上記加工面としての素材内周面3aに砥石外周面を接触させることが可能な加工位置に移動する。また、駆動機構部2が図1に示す退避位置に移動することにより、砥石1や内輪素材3の取替作業などを容易に行えるようになっている。
【0013】
また、上記駆動機構部2には、一端側に上記砥石1が着脱可能に装着されるとともに、図示しない軸受手段に回転自在に支持されたホイールヘッド(Wheel Head;以下、“W/H”という。)21と、このW/H 21を回転駆動する駆動用の電動モータ22とが設けられている。この電動モータ22は、インバータ駆動されるACモータなどにより構成されている。また、W/H 21の他端側及び電動モータ22の出力軸には、第1プーリ23及び第2プーリ24がそれぞれ一体回転可能に取り付けられている。これらの第1及び第2プーリ23、24には、ベルト25が架け渡されており、駆動機構部2では、上記制御ユニット5からの動作指令に応じてモータ22が回転したときに、その回転力をW/H 21に伝えて、当該W/H 21及び砥石1を図1のP方向に一定速度で回転駆動する。また、この機構部2では、上記W/H 21により、砥石1の回転動作を安定させ、かつその砥石1による研削加工も安定した状態で行えるようになっている。さらに、第1及び第2プーリ23、24の外径を変更しそれらのプーリ比を調整することにより、同一のモータ22を用いた場合でも砥石1の回転数の変更を行うことが可能となっている。
【0014】
上記支持機構部4は、切込み台41と、この切込み台41にボールねじ式連結機構(図示せず)を介して接続された切込みモータ42とを備えており、上記制御ユニット5から切込みモータ42への速度指令に応じて、同モータ42が回転することによって内輪素材3に対する砥石1の切込み速度(研削速度)を変更できるように構成されている。詳細にいえば、上記切込み台41には、内輪素材3を回転可能な状態で保持するマグネットチャックと、このマグネットチャックによって保持された素材3を図1のQ方向に回転するワーク回転用モータとが設けられている(図示せず)。そして、上記切込みモータ42が図1のR方向に回転したときに、上記ボールねじ式連結機構が動作することによって切込み台41は同図のS方向に移動される。これにより、回転中の内輪素材3も切込み台41の移動とともに上記S方向に押込まれて、その加工面3aと砥石1との接触(研削)位置がS方向に移動される。この結果、加工面3aに対する砥石1の切込み量(研削量)が変更されるとともに、切込みモータ42の回転速度を変えることにより、砥石1の研削速度もまた変更される。
【0015】
上記制御ユニット5は、砥石1の内輪素材3に対する研削力としての上記電動モータ1での研削電力に基づいて、上記研削速度を制御するよう構成されたものであり、不揮発性メモリ等により構成されたデータ記憶部(図示せず)内に格納された研削加工用のプログラムに従って研削速度などが互いに異なる階段状の複数の研削加工、例えば割出、準急、黒皮、粗、仕上、及び仕上SP(スパークアウト)工程を内輪素材3に順次行うようになっている。これにより、内輪素材3は、上記割出工程における砥石1との非接触状態から準急工程の終了時点で砥石1と接触状態とされた後、黒皮、粗及び仕上工程において、砥石1による実質的な研削加工が加工面3aに施され、仕上SP工程の終了時点で砥石1との接触状態が解除される。
【0016】
また、制御ユニット5は、図2を参照して、上記研削電力の電力目標値がオペレータによって入力される目標電力設定部51と、この設定部51からの電力目標値及び電流計を含んで構成された電力検出部6からの上記電動モータ22での消費電力を入力し、これら入力値を用いて上記研削速度に関する指示速度を決定する適応制御部52と、この制御部52からの指示信号に応じて、切込みモータ42の駆動制御を行う切込み台制御部53とを備えている。
また、制御ユニット5では、上記電力検出部6以外の研削装置や製造ライン等に設けられた他の検出手段、例えば上記研削位置に供給される冷却媒体(クーラント)の供給状態を示すセンサーからの検出信号が入力されるようになっており、適応制御部52はその検出データを適宜用いて研削加工を適切に行うようになっている。また、この制御ユニット5では、タッチパネルなどの表示機能を備えたデータ送受信手段が設けられており、適応制御部52に対するオペレータからの入力指示や新たなプログラムデータなどの受信及び上記検出手段の検出データを含む研削加工の状況を示すデータなどの送信を実施可能に構成されているとともに、上記パネルなどに必要な情報を表示させてオペレータがモニタリングできるようになっている。尚、上記目標電力設定部51を含むようにデータ送受信手段を構成してもよい。
【0017】
上記適応制御部52は、上記プログラムを実行可能なCPU等により構成されたものであり、電力検出部6からの電動モータ22の消費電力のうち、無負荷電力を除いた上記研削電力(すなわち、砥石1での研削負荷に応じて変動する負荷電力)の値を抽出し取得する。適応制御部52は、研削電力の検出値と目標設定部51からの目標値とを用いたフィードバック制御及びその目標値を用いたフィードフォワード制御を行うことにより、上記黒皮工程から仕上工程までの各々の研削加工において上記研削速度を最適に決定して加工面3aを処理できるようになっている。また、この適応制御部52は、研削電力の検出値を用いて上記準急工程における砥石1と素材3との接触検知及び仕上SP工程での砥石1の素材3からの離間動作を適切に行えるよう構成されている。
尚、上記の説明では、適応制御部52が上記消費電力から研削電力の検出値を抽出する構成について説明したが、電力検出部6において上記抽出動作を行わせ、当該制御部52での処理負荷を軽減させる構成でもよい。
【0018】
詳細には、適応制御部52は、図3に示すように、上記研削電力の電力目標値Pc及び電力検出値Prが入力されるフィードバック調整部52aと、上記電力目標値Pcが入力されるフィードフォワード調整部52bとを備えている。また、この制御部52には、上記フィードバック調整部52aからの出力値に対し積分定数I及び微分定数Dを用いて、それぞれ積分処理及び微分処理を行う積分部52c及び微分部52dとが設けられており、これらの積分部52c及び微分部52dとフィードバック調整部52aとにより、PID制御を行うようになっている。さらに、適応制御部52には、上記フィードバック調整部52a、フィードフォワード調整部52b、積分部52c、及び微分部52dからの出力値を用いて、切込み台制御部53への指示信号としての指示速度Vcを生成する研削力−速度変換手段52eとが設けられている。
【0019】
上記フィードバック調整部52aには、入力された電力検出値Prと電力目標値Pcとの差の値を、砥石1と内輪素材3との接触点での接線方向の研削力の成分値に変換する第1の電力−研削力変換手段52a1と、フィードバックゲインKbを用いて上記第1の電力−研削力変換手段52a1からの研削力成分値を補正する第1の補正手段52a2とが設けられており、この補正手段52a2からの補正値を研削電力に応じたゲイン出力値として出力する。
上記フィードフォワード調整部52bには、入力された電力目標値Pcを、砥石1の上記の接触点での接線方向の研削力の成分値に変換する第2の電力−研削力変換手段52b1と、フィードフォワードゲインKfを用いて上記第2の電力−研削力変換手段52b1からの研削力成分値を補正する第2の補正手段52b2とが設けられており、この補正手段52b2からの補正値を研削電力に応じたゲイン出力値として出力する。
【0020】
上記第1及び第2の電力−研削力変換手段52a1,52b1では、砥石1と内輪素材3との接触点で成立する下記(1)式に従って、入力された電力目標値Pcまたはこの目標値Pcと電力検出値Prとで定まる研削電力値から目標とする研削力の上記接線方向での成分値を演算により求めている。すなわち、上記接触点では、一秒当たりの研削電力Pの損失値は、砥石1が内輪素材3を研削する研削力の接線方向での成分値(研削抵抗の同方向での成分値)Ftと砥石1及び内輪素材3の周速度の差との乗算値に等しいことから、研削装置固有の電力効率をηとし、砥石1及び内輪素材3の周速度をそれぞれVs(m/min)及びVw(m/min)としたときに、(1)式が成立する。
【0021】
【数1】
【0022】
上記(1)式において、電力効率ηの値には研削装置のテストを行うことにより得られた数値が用いられている。また、砥石1及び内輪素材3の周速度Vsの値及び周速度Vwの値は、例えば研削加工開始時にW/H 21に装着されている砥石1のタイプ番号、加工対象の素材型番などの研削情報が制御ユニット5に入力されたときに、その入力された研削情報に関連付けられて上記データ記憶部に記憶されている複数の値から当該研削加工に応じた値が自動的に選択されるようになっている。また、上記周速度Vsの値は、砥石1の摩耗状況等に応じて適宜行われるドレス作業の実施回数に応じて自動的に更新されるものであり、上記実施回数に応じて砥石径が小さくなったときでの最適な周速度Vsの値が選択されるようになっている。
【0023】
上記第1及び第2の補正手段52a2,52b2は、それぞれ対応する変換手段52a1,52b1からの研削力成分値にフィードバックゲインKb及びフィードフォワードゲインKfを乗算することにより、対応する研削力成分値の補正値を求めて出力する。上記フィードバックゲインKbは、研削装置のテストを行うことにより得られた当該装置固有の値であり、上記データ記憶部に予め記憶された固定値である。また、フィードフォワードゲインKfは、加工対象の素材3等に応じて変更される可変値であり、テストピースを用いた試験結果に応じて外乱等の影響を排除することが可能な最適な値が適宜選ばれるようになっている。
【0024】
上記研削力−速度変換手段52eは、第1及び第2の補正手段52a2,52b2からの各補正値と、積分部52c及び微分部52dからの各出力値との加算値を入力し、この加算値と予め設定された速度変換ゲインKcとの積の値を所定の演算式により速度に変換し、砥石1の研削速度についての指示速度Vcを決定し切込み台制御部53に出力する。具体的には、研削力−速度変換手段52eは、次の演算式、上記加算値×Kc+F(r)(F(r)は砥石径をパラメータとする関数値)により、指示速度Vcを算出している。上記速度変換ゲインKcは、上記フィードバックゲインKbと同様に研削装置固有の値であり、上記データ記憶部に予め記憶された固定値である。
上記切込み台制御部53は、切込みモータ42への供給電流をコントロールするドライバを含んで構成されたものであり、同モータ42での回転速度が研削力−速度変換手段52eからの指示速度Vcと一致するように支持機構部4の駆動制御を行う。これにより、制御ユニット5は、その目標電力設定部51に設定された研削電力に対応した最適な研削速度にて素材加工面3aに対する研削加工を行うことができる。
【0025】
以上のように、本実施形態の研削装置では、フィードバック調整部52aのゲイン出力値だけでなく、フィードフォワード調整部52bのゲイン出力値を用いて、制御ユニット5が砥石1の研削速度を制御しているので、上記指示速度Vcに対する砥石研削速度の応答性を向上させることができる。つまり、フィードバック制御のみで研削速度を制御していた上記従来例では、設定目標値の変化の影響が検出値に現れるまでの時間、すなわち少なくとも一回のフィードバックループを実行させた後の検出値を取得するまでの時間を無駄にしていた。これに対して、本実施形態では、フィードバック調整部52aとフィードフォワード調整部52bとを併用することにより、一回のフィードバックループ実行後の検出値を取得するまでの無駄な待機時間を省略することができ、電力目標値Pcを電力検出値Prに早急に近づけ一致させることができる。この結果、砥石1の研削速度を所望速度に即座に変更することが可能となって、電力目標値Pcと電力検出値Prとの差が大きい場合などでも、内輪素材(ワーク)3の処理時間の短縮化を確実に行うことができる。
【0026】
また、本実施形態では、第1及び第2の補正手段52a2,52b2が、適切なフィードバックゲインKb及びフィードフォワードゲインKfを用いて、対応する第1及び第2の電力−研削力変換手段52a1,52b1からの研削力成分値を補正し、さらに研削力−速度変換手段52eが、適切な速度変換ゲインKcを用いて、入力した研削力成分値を補正して、指示速度Vcを決定している。この結果、本実施形態では、上記の応答性の向上に加えて、研削装置でのロバスト性及び内輪素材3に対する加工精度を向上させることができる。また、研削力−速度変換手段52eが積分部52cからの出力値を用いて指示速度Vcを決定することにより、電力目標値Pcに対する定常偏差を小さくすることができるとともに、当該変換手段52eが微分部52dからの出力値を用いて指示速度Vcを決定することにより、上記応答性をさらに向上させることができる。
【0027】
また、上記フィードバックゲインKb、フィードフォワードゲインKf、及び速度変換ゲインKcのうち、フィードフォワードゲインKfのみ可変値とすることにより、これらのゲイン設定操作を簡単化して、ワーク研削加工を容易に行うことができる。尚、本願発明者等の実験によれば、固定的なフィードバックゲインKbや速度変換ゲインKcを用いた場合でも、優れた応答性を確保した状態で研削加工を高速に行えることが確認されている。
【0028】
ここで、本願の発明者等が実施した比較試験の結果例について、図4を参照して具体的に説明する。
図4(a)及び(b)はそれぞれ本実施形態品及び従来品での検出結果を示す波形図である。尚、図4(b)に示すグラフは、上記研削速度を一定速度とした定速研削方式の従来品での試験結果である。この比較試験は、研削加工前のワーク加工面状態が粗い(悪い)もの、つまり研削加工初期段階での電力目標値Pcと電力検出値Prとの差が大きいものに対し実施したものであり、上記文献公知発明品の試験結果は上記定速研削方式の従来品のものよりワーク加工時間に長い時間を要したので、その文献公知発明品の結果については省略する。
上記従来品では、同図(b)の検出電力波形72に示すように、研削電力は黒皮及び粗工程での立ち上がり速度が遅いものであった。
【0029】
これに対して、本実施形態品では、図4(a)の検出電力波形71に示すように、研削電力は砥石1の研削負荷の変化に応じて黒皮及び粗工程で急峻に立ち上がって加工がワークに行われるとともに、上記従来品よりも短い時間(90%以下)でワーク加工を終了することができ、目標電力に対する応答性が向上されていることが確認された。また、電子顕微鏡による表面検査を実施したところ、本実施形態品の方が、従来品よりもはるかに仕上がり品質が向上されていることが確認された。つまり、本実施形態品は、上記黒皮工程などの各工程において、ワーク加工面の加工状態などを反映した最適な研削速度による加工を安定した状態で確実に行えることが実証された。
【0030】
尚、上記の説明では、内輪用の研削装置に適用した場合について説明したが、本発明は上記フィードバック制御に加えフィードフォワード制御を行うフィードフォワード補償型2自由度制御方式により、上記研削速度を制御するものであれば何等限定されるものではなく、外輪外周面などの他の加工面に研削加工を施す各種工作機械に適用することができる。
また、上記の説明では、電動モータ22での研削電力を検出し研削速度を制御する構成について説明したが、上記駆動機構部2に歪み計などを設けて内輪素材3から砥石1に作用する研削抵抗値を上記研削力の成分値として検出し研削速度を制御してもよい。この場合には、上記第1及び第2の電力−研削力変換手段52a1,52b1を割愛することができる。但し、上記歪み計などを含む検出機構は、一般的には電流計等を含んだ上記電力検出部6よりも構造が複雑であり、研削装置を大型化することから、研削電力を用いた方が当該装置構成を簡略化できる点で好ましい。
また、上記の説明では、フィードバック調整部52aとこの調整部52aからの出力値をそれぞれ積分及び微分する積分部52c及び微分部52dを備えたPID方式の構成について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、上記微分部52dを割愛したPI方式または積分部52c及び微分部52dを割愛したP方式のものでもよい。
【0031】
【発明の効果】
本発明の研削装置によれば、ワークの研削加工に応じて設定された設定値に対する応答性を向上させることができ、ワーク処理時間を確実に短縮することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態に係る研削装置の要部構成例を示す模式図である。
【図2】図1に示した研削装置の要部構成例を示すブロック図である。
【図3】図2に示した適応制御部の構成例を示すブロック図である。
【図4】比較試験における砥石回転用電動モータの研削電力の検出波形の具体例を示すグラフであって、(a)及び(b)はそれぞれ本実施形態品及び従来品での検出結果を示す波形図である。
【符号の説明】
1 砥石
3 内輪素材(ワーク)
5 制御ユニット(制御部)
52a フィードバック調整部
52a1 第1の電力−研削力変換手段
52a2 第1の補正手段
52b フィードフォワード調整部
52b1 第2の電力−研削力変換手段
52b2 第2の補正手段
52e 研削力−速度変換手段
22 電動モータ
Pc (研削電力の)電力目標値
Pr (研削電力の)電力検出値
Kb フィードバックゲイン
Kf フィードフォワードゲイン
Kc 速度変換ゲイン
Claims (4)
- 電動モータにより回転駆動された砥石のワークに対する研削力の検出値及びその目標値に基づき当該ワークに対する前記砥石の研削速度をフィードバック制御する制御部とを備えた研削装置であって、
前記制御部が、前記研削力の目標値に基づいて、前記研削速度をフィードフォワード制御することを特徴とする研削装置。 - 前記電動モータでの研削電力が、前記研削力として用いられていることを特徴とする請求項1に記載の研削装置。
- 前記制御部には、前記電動モータでの研削電力の検出値と目標値との差の値を、前記砥石とワークとの接触点での研削力に変換する第1の電力−研削力変換手段と、フィードバックゲインを用いて前記第1の電力−研削力変換手段からの研削力を補正する第1の補正手段とが設けられ、かつ前記研削電力の目標値を、前記研削力に変換する第2の電力−研削力変換手段と、フィードフォワードゲインを用いて前記第2の電力−研削力変換手段からの研削力を補正する第2の補正手段とが設けられるとともに、
前記制御部が、前記第1及び第2の補正手段からの各補正値とを用いて、前記砥石の研削速度についての指示速度を求める研削力−速度変換手段を備えたことを特徴とする請求項1または2に記載の研削装置。 - 前記フィードフォワードゲインを可変値としたことを特徴とする請求項3に記載の研削装置。
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