JP4345322B2 - 研削装置及びその制御方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、軌道輪などのワークに研削加工を施す研削装置及びその制御方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
例えば内輪素材に研削加工を行う研削装置には、同素材を回転させるとともに、その素材に形成した貫通孔内に、電動モータによって一定回転速度で回転させた砥石を挿入し上記孔壁面(加工面)と接触させることにより、所望の内周面を有する内輪に仕上げるものがある。このような研削装置では、その砥石と内輪素材(ワーク)との接触検知はワーク製造でのサイクルタイムやワーク品質を決定する上でとても重要なことであり、これら砥石とワークとの接触状態の検知を精度よく行うことが要求されている。
在来の研削装置には、例えば砥石がワークに接触したときの接触音を検出するセンサーを設けて、上記の接触検知を行うものがある。しかしながら、このようなセンサーを用いた場合、装置の使用環境によってセンサーの耐久性が低下したり、センサーの保護などを行うための部材等を設ける必要が生じて、当該装置の構成が大型で複雑化したりすることがあった。また、型番が異なるワークを加工する場合などにおいて、研削装置の加工内容の変更に伴ってセンサーの付け替えを必要とすることもあった。
【0003】
そこで、従来の研削装置には、上記のようなセンサーを用いた場合での問題点を解消するために、センサーレス方式による砥石とワークとの接触検知を行うものがある(例えば、特許文献1参照。)。
具体的には、この従来装置では、上記電動モータでの消費電力を検出する検出手段を設けそのモータの電力値を取得するとともに、その電力値に対して経験的に知られた所定の閾値をROM内に予め格納し、当該閾値と逐次取得した電力値とを比較して、電力値が閾値を超えた時点で砥石とワークとが互いに接触したと判定していた。
【0004】
【特許文献1】
特開平6−23665号公報(第5頁、第1図)
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、上記従来装置では、そのROM内に予め格納した所定の閾値を用いて砥石とワークとの接触検知の判定を実施していたため、上記電動モータの電力値に含まれたノイズに起因して接触検知の精度が低下することがあった。
具体的にいえば、研削装置では、砥石とワークとが非接触状態である研削加工の開始時点からワーク等の過熱を抑えるための冷却媒体(クーラント)を供給した状態で加工を行っており、このクーラントの供給量などに応じて変動するノイズによって上記電力値も変動することがあった。また、工場設備の電源電圧が変動した場合でも、その変動の影響が上記電力値にノイズとして現れて当該電力値もまた変動した。そして、上記のような外乱に起因して大きなノイズが電力値に含まれた場合に、その電力値が固定値である上記閾値を超えることがあり、砥石とワークとが非接触状態であるにもかかわらず、これら砥石及びワークが接触したと誤って判定されることがあった。
【0006】
上記のような従来の問題点に鑑み、本発明は、砥石回転用の電動モータの電力値にノイズが含まれる場合でも、そのノイズに起因して砥石とワークとの接触検知の精度が低下するのを防ぐことができる研削装置及びその制御方法を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明は、砥石を回転駆動する電動モータと、前記砥石とワークとの間の距離を変更して、これら砥石とワークとを接触状態または非接触状態とする制御部とを備えた研削装置であって、
前記制御部は、前記制御部は、砥石とワークとを非接触状態としているときに、所定期間での前記電動モータの電力値の最小値から最大値までの変動幅を検出するとともに、前記制御部は、前記変動幅を当該研削装置の固有のパラメータで所定倍したものに前記最大値を加算することにより、砥石とワークとが接触したかどうかについて判定するための閾値を決定し、その決定した閾値と前記所定期間を経過した後での前記電動モータの電力値とを比較することにより、これらの砥石とワークとの接触状態を検知することを特徴とするものである。
【0008】
また、本発明は、電動モータによって砥石を回転駆動するとともに、前記砥石とワークとの間の距離を変更して、これら砥石とワークとを接触状態または非接触状態とする研削装置の制御方法であって、
砥石とワークとを非接触状態としているときに、所定期間での前記電動モータの電力値の最小値から最大値までの変動幅を検出する検出ステップと、前記ステップで検出した変動幅を当該研削装置の固有のパラメータで所定倍したものに前記最大値を加算することにより、砥石とワークとが接触したかどうかについて判定するための閾値を決定する決定ステップと、前記ステップで決定した閾値と、前記電動モータの電力値とを比較する比較ステップとを具備することを特徴とするものである。
【0009】
上記のように構成された研削装置及びその制御方法では、上記電動モータの電力値の最小値から最大値までの変動幅を用いて、砥石とワークとの接触検知を行うための閾値を決定している。
つまり、本願の発明者等は、外乱に起因するノイズが上記電力値に含まれる場合でも、その電力値の最小値から最大値までの変動幅の大きさはあるレベル以上とならないことを実験的に得て、当該変動幅を上記接触検知の判断基準として用いることができることに着目した。そして、この接触検知前の上記所定期間におけるノイズを含んだ最小値から最大値までの変動幅を用いて決定した閾値と、当該所定期間を経過した後の電力値とを比較することにより、これらの閾値及び電力値に各々含まれたノイズを相殺または減殺することができ、接触検知の精度が上記電力値に含まれたノイズに起因して低下するのを防ぐことができることを見出した。
【0010】
また、上記研削装置及び研削方法では、最小値から最大値までの変動幅を当該研削装置の固有のパラメータで所定倍したものに前記最大値を加算することによって閾値を決定しているので、当該閾値は外乱等に起因するノイズ最大値を考慮して決定されることとなり、ノイズの影響を極力抑制した状態で砥石のワークとの接触検知を高精度に行うことができる。
【0011】
また、上記研削装置において、前記制御部は、砥石とワークとを第1の接近速度により接近させる割出工程と、前記第1の接近速度よりも遅い第2の接近速度によってこれらの砥石及びワークを接近させて互いに接触させる準急工程とを順次行うよう構成されているとともに、前記制御部は、前記割出工程に前記所定期間を設定するとともに、その所定期間での少なくとも変動幅を用いて閾値を決定し、かつ前記準急工程の際に前記電動モータの電力値が決定した閾値を超えたことを検知した時点で砥石とワークとが接触したと判定してもよい。
また、上記研削方法において、前記検出ステップの所定期間を、砥石とワークとを第1の接近速度により接近させる割出工程に設定するとともに、前記決定ステップを実施することにより、その所定期間での少なくとも変動幅を用いて閾値を決定し、前記第1の接近速度よりも遅い第2の接近速度によってこれらの砥石及びワークを接近させて互いに接触させる準急工程の際に、前記比較ステップを実施して、前記電動モータの電力値が決定した閾値を超えたことを検知した時点で砥石とワークとが接触したと判定してもよい。
上記研削装置及びその制御方法の場合、準急工程での砥石とワークとの接触検知が高精度に行われることから、当該準急工程を最適な時点で終了することができる。しかも、割出工程の際に比較的速い上記第1の接近速度により、砥石とワークとを接近させることができることから、ワークに対する研削加工全体の処理時間を短くすることができる。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の研削装置及びその制御方法を示す好ましい実施形態について、図面を参照しながら説明する。尚、以下の説明では、従来例との対比を容易なものとするために、内輪用の研削装置に適用した場合を例示して説明する。
図1は本発明の一実施形態に係る研削装置の要部構成例を示す模式図であり、図2は同研削装置の主な機能を示す機能ブロック図である。
図1において、本実施形態の研削装置は、砥石1の回転駆動を行う駆動機構部2と、ワークとしての内輪素材3を支持する支持機構部4と、これらの機構部2、4の各駆動制御を行う制御部としての制御ユニット5とを備えており、上記素材3の材質やその素材3での加工面の状態、形状寸法などに応じて適宜選択された砥石1による研削加工を素材加工面に施せるようになっている。
上記駆動機構部2は、図1の左右方向にスライド移動可能に構成されており、内輪素材3に研削加工を行う場合には、図1に破線の矢印にて示すように移動されて、上記加工面としての素材内周面3aに砥石外周面を接触させることが可能な加工位置に移動する。また、駆動機構部2が図1に示す退避位置に移動することにより、砥石1や内輪素材3の取替作業などを容易に行えるようになっている。
【0013】
また、上記駆動機構部2には、一端側に上記砥石1が着脱可能に装着されるとともに、図示しない軸受手段に回転自在に支持されたホイールヘッド(Wheel Head;以下、“W/H”という。)21と、このW/H 21を回転駆動する駆動用の電動モータ22とが設けられている。この電動モータ22は、インバータ駆動されるACモータなどにより構成されている。また、W/H 21の他端側及び電動モータ22の出力軸には、第1プーリ23及び第2プーリ24がそれぞれ一体回転可能に取り付けられている。これらの第1及び第2プーリ23、24には、ベルト25が架け渡されており、駆動機構部2では、上記制御ユニット5からの動作指令に応じてモータ22が回転したときに、その回転力をW/H 21に伝えて、当該W/H 21及び砥石1を図1のP方向に一定速度で回転駆動する。また、この機構部2では、上記W/H 21により、砥石1の回転動作を安定させ、かつその砥石1による研削加工も安定した状態で行えるようになっている。さらに、第1及び第2プーリ23、24の外径を変更しそれらのプーリ比を調整することにより、同一のモータ22を用いた場合でも砥石1の回転数の変更を行うことが可能となっている。
【0014】
上記支持機構部4は、切込み台41と、この切込み台41にボールねじ式連結機構(図示せず)を介して接続された切込みモータ42とを備えており、上記制御ユニット5から切込みモータ42への速度指令に応じて、同モータ42が回転することによって内輪素材3に対する砥石1の切込み速度(研削速度)を変更できるように構成されている。詳細にいえば、上記切込み台41には、内輪素材3を回転可能な状態で保持するマグネットチャックと、このマグネットチャックによって保持された素材3を図1のQ方向に回転するワーク回転用モータとが設けられている(図示せず)。そして、上記切込みモータ42が図1のR方向に回転したときに、上記ボールねじ式連結機構が動作することによって切込み台41は同図のS方向に移動される。これにより、回転中の内輪素材3も切込み台41の移動とともに上記S方向に押込まれて、その加工面3aと砥石1との接触(研削)位置がS方向に移動される。この結果、加工面3aに対する砥石1の切込み量(研削量)が変更されるとともに、切込みモータ42の回転速度を変えることにより、砥石1の研削速度もまた変更される。
【0015】
上記制御ユニット5は、CPUなどにより構成され、所定の演算を行う演算部51と、不揮発性メモリ等により構成され、演算部51で実行される研削加工用のプログラムなどのデータを記憶する記憶部52とを備えており(図2参照)、上記プログラムに従って、上記研削速度などが互いに異なる階段状の複数の研削加工、例えば割出、準急、黒皮、粗、仕上、及び仕上SP(スパークアウト)工程を内輪素材3に順次行うようになっている。これにより、内輪素材3は、上記割出工程及び準急工程開始時においては砥石1と非接触状態とされ、かつ準急工程中に砥石1と接触状態とされる。その後、内輪素材3は、黒皮、粗及び仕上工程において、砥石1との接触状態が維持されて加工面3aに対する研削加工が行われ、当該加工を終了した素材3は仕上SP工程の終了時点で砥石1との接触状態が解除される。
また、この制御ユニット5では、後に詳述するように、内輪素材3毎に当該素材3と砥石1との接触検知用の閾値を自動的に決定して、当該接触検知を正確に、かつ最適なタイミングで行えるようになっている。
【0016】
また、制御ユニット5では、研削装置や製造ライン等に設けられた検出手段、例えば上記電動モータ22での消費電力を検出するために同モータ22への供給電流を測る電流計や上記研削位置に供給される冷却媒体(クーラント)の供給状態を示すセンサーからの検出信号が入力されるようになっており、演算部51はそれらの検出データを記憶部52に適宜記憶させて研削加工を適切に行うようになっている。また、この制御ユニット5では、タッチパネルなどの表示機能をもつデータ送受信手段が設けられており、演算部51に対するオペレータからの入力指示や記憶部52に格納される新たなプログラムデータなどの受信及び上記検出手段の検出データを含む研削加工の状況を示すデータなどの送信を実施可能に構成されているとともに、上記パネルなどに必要な情報を表示させてオペレータがモニタリングできるようになっている。
【0017】
上記演算部51には、上記電動モータ22での電力値を検出する電力検出手段51aと、この検出手段51aによって検出された電力値に従って砥石1と内輪素材3の加工面3aとが接触したかどうかについて判定するための上記閾値を決定する閾値決定手段51bと、この決定手段51bからの閾値を用いて砥石1と素材加工面3aとの接触検知を行う接触検知手段51cと、この検知手段51cからの検知信号に従って切込みモータ42の速度制御を行う速度制御手段51dとが設けられている。
詳細には、上記電力検出手段51aは、上記電流計から入力した電動モータ22の電流値を用いて、同モータ22の電力値を検出するとともに、上記割出工程に設定された所定期間での電力値の変動幅及び電力値の最大値を取得し記憶部52に記憶させる。また、閾値決定手段51bは、所定の演算式に上記所定期間での電力値の変動幅及び電力値の最大値を代入し、上記閾値を求めて記憶部52に記憶させる。また、接触検知手段51cは、上記準急工程の際に記憶部52に記憶されている閾値と、電力検出手段51aからの電力値とを比較することにより、砥石1と素材加工面3aとの接触状態を判断してそれら砥石1及び素材加工面3aの接触検知の判定を行い、その判定結果に応じた信号を速度制御手段51dに出力する。また、速度制御手段51dは、接触検知手段51cからの信号に応じて速度指令を生成し切込みモータ42に出力する。
【0018】
上記のように構成された研削装置の動作について、図1〜図4を参照して、具体的に説明する。尚、以下の説明では、制御ユニット5での上記閾値の決定動作及びその閾値による砥石1と素材加工面3aとの接触検知の判定動作について主に説明する。
図3に示すように、制御ユニット5では、その演算部51が研削加工用プログラムに従って、割出工程を開始しているか否かについて判断する(ステップS1)。
詳細にいえば、研削加工の開始時には、上記駆動機構部2が支持機構部4側の上記加工位置に移動することによって砥石1は加工面3aと離れた状態で当該加工面3aに対向するよう配置されており、制御ユニット5は加工位置への移動終了を示す信号を駆動機構部2から入力すると、上記研削加工用のプログラムに従って割出工程を開始する。また、機構部2から信号を入力していない場合は、制御ユニット5は待機状態となる。
【0019】
上記ステップS1において、割出工程を開始していると判断すると、演算部51は記憶部52内に確保された割出工程用のレジスタを初期化する(ステップS2)。これにより、割出工程に設定された所定期間での電動モータ22の電力値Pnの少なくとも最大値Pmax及び最小値Pminが上記レジスタ内で保持可能となる。その後、演算部51では、電力検出手段51aが所定のサンプリング周期で上記電力値Pnを取得すると(ステップS3)、レジスタ内に保持されている最大値Pmaxとの比較が行われる(ステップS4)。そして、今回取得した電力値Pnがレジスタ内に保持されている最大値Pmaxよりも大きい場合に、そのレジスタ内の最大値Pmaxが更新される(ステップS5)。続いて、演算部51では、電力検出手段51aが今回取得した電力値Pnと、レジスタ内に保持されている最小値Pminとの比較が行われ(ステップS6)。そして、今回取得した電力値Pnがレジスタ内に保持されている最小値Pminよりも小さい場合に、そのレジスタ内の最小値Pminが更新される(ステップS7)。このように、演算部51が上記のステップS3〜及びS7を実行することにより、比較的速い第1の接近速度により、内輪素材3の加工面3aを砥石1近傍に接近させる割出工程において、上記所定期間での電力値の最大値を保持する保持ステップを含む、同所定期間での電力値の変動幅(Pmax−Pmin)を検出する検出ステップが行われる。尚、この割出工程の実施時間は数秒程度と短いものであり、上記所定期間は例えば当該割出工程全体をカバーするように設定されている。
【0020】
続いて、演算部51では、閾値決定手段51bがレジスタに保持されている最大値Pmaxと最小値Pminとを記憶部52から読み出すとともに、これらの最大値Pmaxと最小値Pmin及び予め設定されたパラメータAを所定の演算式(Pmax+(Pmax−Pmin)×A)に代入して閾値Psを求める(ステップS8)。この求められた閾値Psは、記憶部52内の上記レジスタで保持される。また、このように、演算部51が、ステップS8を実行することにより、上記変動幅を用いて閾値Psを決定する決定ステップが行われる。尚、上記パラメータAは、例えば研削装置を工場内の製造ラインに設置したときに、電動モータ22を無負荷状態で実際に運転することによって決定されるものである。
次に、演算部51は、プログラムを参照して現時点での研削加工が準急工程であるか否かについて判断し(ステップS9)、現時点での研削加工が準急工程でなく割出工程であると判断すると、上記ステップS3に戻る。また、現時点での研削加工が準急工程であると判断すると、演算部51は閾値決定動作を終了する。
【0021】
続いて、演算部51は、図4に示す接触検知の動作を行う。まず演算部51はい、上記ステップS9と同様に、現時点での研削加工が準急工程であるか否かについて判断し(ステップS10)、準急工程であると判断すると、電力検出手段51aが当該準急工程の際に逐次検出する電力値Pnがレジスタで保持される(ステップS11)。さらに、この準急工程では、上記割出工程での第1の接近速度よりも遅い第2の接近速度を用いて、素材加工面3aを砥石1側に接近させるように、上記速度制御手段51dは切込みモータ42への速度指令を生成し出力して、同モータ42による切込み台41の移動速度をコントロールしている。
【0022】
次に、演算部51は、図3に示した動作で決定した閾値Psと、電動モータ22の電力値Pnとを比較する比較ステップを行う。具体的には、接触検知手段51cが上記閾値Psと電力検出手段51aが上記ステップS11で今回取得した電力値Pnとの比較を行い、今回取得した電力値Pnが閾値Psを超えたかどうかについて判断する(ステップS12)。そして、今回取得した電力値Pnが閾値Psを超えていることを検知した場合に、接触検知手段51cは砥石1と内輪素材3とが接触したと判定し、接触検知信号を速度制御手段51dに出力する(ステップS13)。これにより、演算部51が準急工程の終了を把握し、速度制御手段51dは後続の黒皮工程用に設定された研削速度に変更するための速度指令を切込みモータ42に出力する。この結果、砥石1と内輪素材3とを接触状態とした黒皮工程以降の実質的な研削加工が素材加工面3aに施される。
【0023】
ここで、電力値Pnの検出波形の一例を示す図5を参照して、上記閾値Psの決定動作及びその閾値Psを用いた接触検知の動作での効果について具体的に説明する。
図5に示すように、上記所定期間において、電力検出手段51aが検出する電動モータ22の電力値Pnには、外乱に起因するノイズが含まれており、モータ22が無負荷状態(砥石1と内輪素材3とが非接触状態)にも係わらず、当該電力値Pnは変動する。また、このように電力値Pnを変動させる具体的な外乱には、例えば上記駆動機構部2のW/H 21を軸支する軸受手段での摩耗などの長期間の使用に伴う経時変化的な要因だけでなく、刻々と変化する研削装置の使用環境などに起因する要因、例えば砥石1等の過熱を抑えるための上記クーラントの供給量の変動やモータ22に電力を供給する工場設備側の電源での電力変動がある。さらには、モータ22をインバータ駆動するドライバに含まれた半導体素子の温度特性、あるいは湿度などによって変化する上記ベルト25のテンションの変化などによっても、電力値Pnは変動する。
【0024】
そこで、本願の発明者等は多数の実験を行うことにより、上記電力値Pnの変動幅の値が同一の研削装置であれば、上記のような外乱に起因するノイズを含んでいる場合でも、極端に大きい値とならないことを確認し、この変動幅を用いて上記の接触検知用の閾値として利用できることに着目した。すなわち、上記所定期間でのノイズを含んだ最大値Pmax及び最小値Pminの差で得られる変動幅に、研削装置固有のパラメータA(例えば1.5)を乗算した積の値を求め、さらに同期間でのノイズ最大値を含んだ上記最大値Pmaxを上記積の値に加算することにより、閾値Psを決定する。また、上記準急工程の際に検出される電力値Pnは、割出工程の開始時点T0からその終了時点T1までの間の上記所定期間とほぼ同程度のノイズによって変動しつつ、砥石1と内輪素材3とが瞬間的に接触することなどで僅かに上昇する。そして、このような準急工程での電力値Pnと上記閾値Psとの比較を行うことにより、それらの閾値Ps及び電力値Pnの各々に含まれる、上記のような外乱に起因するノイズを相殺または減殺することができ、ノイズに起因して検知精度が低下するのを防いだ状態で、砥石1と内輪素材3とが完全に接触した状態を検知することができる。
【0025】
尚、上記の説明では、変動幅の1.5(パラメータA)倍の値に最大値Pmaxを加算することにより、閾値Psを算出する場合について説明したが、パラメータAの値を大きい値(例えば1.8)とすることにより、最大値Pmaxを加算することなく閾値Psを決定してもよい。但し、最大値Pmaxを加算して閾値Psを決定する場合の方が、ノイズ最大値を含んだ当該最大値Pmaxを砥石1の内輪素材3との接触検知での基準値として用いて閾値を決定することができ、当該ノイズの影響を極力抑制した状態で上記の接触検知を高精度に行うことができる点で好ましい。また、最大値Pmaxを用いることにより、パラメータAの数値決定を簡単に行える点でも好ましい。
【0026】
以上のように、本実施形態の研削装置及びその制御方法では、上記閾値Psを用いて、その内輪素材3と砥石1との接触検知を行うことにより、外乱に起因するノイズが電動モータ22の電力値Pnに含まれる場合でも、そのノイズの影響を抑えた状態で上記の接触検知を精度よく行うことができる。また、本実施形態では、内輪素材(ワーク)3毎に自動的に閾値Psを決定しているので、ROM内に格納された所定の閾値を用いた従来例と異なり、内輪素材3の型番変更などに伴う閾値の変更をオペレータが行う必要がなく、上記型番変更時での閾値の設定作業などを省略することができ、接触検知の判断基準が異なる複数種類の研削加工に簡単に対応することができる。また、本実施形態では、内輪素材3毎に閾値Psを決定しているので、複数の各内輪素材3に対し研削加工を連続して行う場合でも、砥石1と各内輪素材3との最適なタイミングによる接触検知を安定した状態で行うことができるとともに、上記従来例に比べて、上記接触検知を正確に、かつ素早く行うことができる。尚、本願の発明者等の比較試験では、本実施形態品の方が従来例に比べて約0.5秒以上早い時点で接触検知を行えることが確認されている。また、本実施形態では、上記準急工程での砥石1と内輪素材3との接触検知が高精度に行われるので、当該準急工程を最適な時点で終了することができる。しかも、割出工程の際に比較的速い上記第1の接近速度により、砥石1と内輪素材3とを接近させているので、内輪素材3に対する研削加工全体の処理時間を短くすることができる。
【0027】
尚、上記の説明では、内輪用の研削装置に適用した場合について説明したが、本発明は砥石とワークとが非接触状態における所定期間での砥石回転用の電動モータでの電力値の変動幅を用いて、砥石とワークとの接触検知の判定用の閾値を決定するものであれば何等限定されるものではなく、外輪外周面などの他の加工面に研削加工を施す各種工作機械に適用することができる。
また、上記の説明では、切込み台を移動させワークを砥石側に接近させる構成について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、砥石とワークとの間の距離を変更してこれら砥石とワークとを接触状態または非接触状態とするものであればよく、砥石をワーク側に接近させるものでもよい。
また、上記の説明では、割出工程の全期間を上記所定期間に設定した場合について説明したが、この所定期間は砥石とワークとが非接触状態のときに設定されるものであればよく、割出工程の一部の期間や準急工程の前半部分の期間に所定期間を設定する構成でもよい。また、このように、準急工程の前半部分の期間に所定期間を設定する場合は、当該準急工程の終了時点での接触検知においてノイズの影響をさらに抑制することができる。
【0028】
【発明の効果】
本発明の研削装置及びその制御方法によれば、上記電動モータの電力値に含まれたノイズの影響を抑えて砥石とワークとの接触検知を高精度に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態に係る研削装置の要部構成例を示す模式図である。
【図2】上記研削装置の主な機能を示す機能ブロック図である。
【図3】上記研削装置での閾値決定の手順を示すフローチャートである。
【図4】上記研削装置での接触検知の手順を示すフローチャートである。
【図5】上記研削装置での砥石回転用電動モータの電力値の検出波形の一例を示すグラフである。
【符号の説明】
1 砥石
3 内輪素材(ワーク)
5 制御ユニット(制御部)
22 電動モータ

Claims (4)

  1. 砥石を回転駆動する電動モータと、前記砥石とワークとの間の距離を変更して、これら砥石とワークとを接触状態または非接触状態とする制御部とを備えた研削装置であって、
    前記制御部は、砥石とワークとを非接触状態としているときに、所定期間での前記電動モータの電力値の最小値から最大値までの変動幅を検出するとともに、
    前記制御部は、前記変動幅を当該研削装置の固有のパラメータで所定倍したものに前記最大値を加算することにより、砥石とワークとが接触したかどうかについて判定するための閾値を決定し、その決定した閾値と前記所定期間を経過した後での前記電動モータの電力値とを比較することにより、これらの砥石とワークとの接触状態を検知することを特徴とする研削装置。
  2. 前記制御部は、砥石とワークとを第1の接近速度により接近させる割出工程と、前記第1の接近速度よりも遅い第2の接近速度によってこれらの砥石及びワークを接近させて互いに接触させる準急工程とを順次行うよう構成されているとともに、
    前記制御部は、前記割出工程に前記所定期間を設定するとともに、その所定期間での少なくとも変動幅を用いて閾値を決定し、かつ前記準急工程の際に前記電動モータの電力値が決定した閾値を超えたことを検知した時点で砥石とワークとが接触したと判定することを特徴とする請求項1に記載の研削装置。
  3. 電動モータによって砥石を回転駆動するとともに、前記砥石とワークとの間の距離を変更して、これら砥石とワークとを接触状態または非接触状態とする研削装置の制御方法であって、
    砥石とワークとを非接触状態としているときに、所定期間での前記電動モータの電力値の最小値から最大値までの変動幅を検出する検出ステップと、
    前記ステップで検出した変動幅を当該研削装置の固有のパラメータで所定倍したものに前記最大値を加算することにより、砥石とワークとが接触したかどうかについて判定するための閾値を決定する決定ステップと、
    前記ステップで決定した閾値と、前記電動モータの電力値とを比較する比較ステップと
    を具備することを特徴とする研削装置の制御方法。
  4. 前記検出ステップの所定期間を、砥石とワークとを第1の接近速度により接近させる割出工程に設定するとともに、前記決定ステップを実施することにより、その所定期間での少なくとも変動幅を用いて閾値を決定し、
    前記第1の接近速度よりも遅い第2の接近速度によってこれらの砥石及びワークを接近させて互いに接触させる準急工程の際に、前記比較ステップを実施して、前記電動モータの電力値が決定した閾値を超えたことを検知した時点で砥石とワークとが接触したと判定することを特徴とする請求項3に記載の研削装置の制御方法。
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