JP2004267036A - 保冷材及びペット用クーラーマット - Google Patents
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Abstract
【課題】ペットに快適なひんやり感を与えることができる保冷材とペット用クーラーマットを提供する。
【解決手段】吸水した保冷材10を外袋20の中に収容したときにペットの座面となる外袋20の座面シート23と接する内袋11の部分に水を通し難い難通水性素材で構成される難通水性部18を設け、外袋20の座面シート23と接しない内袋11の部分の少なくとも一部に水を通し易い通水性素材で構成される通水性部17を設ける構造とする。具体的には、内袋11の縁部や分画部15の縁部に通水性部17を設ける。
【選択図】 図2
【解決手段】吸水した保冷材10を外袋20の中に収容したときにペットの座面となる外袋20の座面シート23と接する内袋11の部分に水を通し難い難通水性素材で構成される難通水性部18を設け、外袋20の座面シート23と接しない内袋11の部分の少なくとも一部に水を通し易い通水性素材で構成される通水性部17を設ける構造とする。具体的には、内袋11の縁部や分画部15の縁部に通水性部17を設ける。
【選択図】 図2
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ペット用クーラーマットに用いられる保冷材及びペット用クーラーマットに関する。
【0002】
【従来の技術】
夏などの高温期に暑さに弱い犬などのペットにひんやり感を与えるペット用クーラーマットが知られている。このペット用クーラーマットは、内袋の中に吸水性樹脂を封入したマット状の保冷材と保冷材を出し入れ自在に収容する外袋とから構成されている。
【0003】
使用に際して、保冷材を水に浸して吸水性樹脂に水を吸収させると、吸水性樹脂が水を吸収して膨潤し、吸水性樹脂がゲル化して膨らんだ保冷材を外袋の中に収容して使用する。吸水性樹脂から内袋の表面に滲み出た水が、気化熱を奪いながら気化、蒸発して保冷材の表面温度が室温より低下する。そのため、ペット用クーラーマットの上に寝そべっているペットが涼感を感じるものである。
【0004】
このような機能のため、図5に示すように、従来のペット用クーラーマット400の内袋410は、顆粒状の吸水性樹脂を封入できると共に、水を吸水し蒸発できるように、密度の高い綿等の織布や不織布の通水性シートで構成される上面シート411と下面シート412とを有する構造となっている。また、外袋420は、ペットの座面となる座面シート421が、水の蒸発を促進するため不織布や織布の通気性シートで構成され、床に接する床側シート422が床側に水が滲み出さないように塩化ビニル樹脂等の不透水性シートで構成されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来のペット用クーラーマット400は、吸水性樹脂から滲み出し、内袋410の表面に必要以上に漏出した水が外袋420の通気性の座面シート421を通ってペットを濡らし、ペットに不快感を与えてしまう場合があるという問題がある。
【0006】
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたもので、ペットが座る外袋の座面シートに水が滲出し難い保冷材を提供することを目的とする。
【0007】
また、本発明は、かかる保冷材を有し、ペットに快適なひんやり感を与えることができるペット用クーラーマットを提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、請求項1記載の保冷材は、内袋に吸水性樹脂を封入してなり、外袋の中に収容されてペット用クーラーマットを構成する保冷材であって、吸水した前記内袋を前記外袋の中に収容したときにペットの座面となる前記外袋の座面シートと接する前記内袋の部分に水を通し難い難通水性素材で構成される難通水性部を設け、前記外袋の座面シートと接しない前記内袋の部分の少なくとも一部に水を通し易い通水性素材で構成される通水性部を設けた。
【0009】
このような保冷材は、ペットの座面となる外袋の座面シートに接する部分を難通水性部としたことにより、内袋から直接水が座面シートに滲み出すことがなく、ペットに不快感を与えない。また、それ以外の部分の少なくとも一部を通水性部としたことにより、水の吸収及び蒸発が確保され、ペットにひんやり感を与えることができる。
【0010】
請求項2記載の保冷材は、請求項1記載の保冷材において、前記内袋の上面シートの全面に前記難通水性部を設け、前記内袋の下面シートの少なくとも一部に前記通水性部を設けた。
【0011】
このような保冷材は、内袋の上面シートの全面を難通水性部としていることにより、ペットの座面シートに接する内袋の上面シートから水が直接座面シートに滲出することがなく、ペットに不快感を与えない。また、内袋の下面シートの少なくとも一部を通水性部としたことにより、水の吸収及び蒸発が確保され、ペットにひんやり感を与えることができる。
【0012】
請求項3の保冷材は、内袋に吸水性樹脂を封入してなり、外袋の中に収容されてペット用クーラーマットを構成する保冷材であって、前記内袋の上面シート及び下面シートのいずれか一方又は両方の縁部の一部又は全部に沿って水を通し易い通水性素材で構成される通水性部が設けられ、前記通水性部以外の部分に水を通し難い難通水性素材で構成される難通水性部が設けられている。
【0013】
このような保冷材は、吸水した内袋を外袋の中に収容すると、内袋の縁部は膨潤してかなり厚みが生じた保冷材の側面乃至傾斜面を構成する。そのため、吸水して膨潤した保冷材の縁部は、外袋の座面シートと接しないことになり、座面シートとの間に空隙が生じる。この縁部に沿って水を通し易い通水性素材で構成される通水性部を設け、それ以外の部分を難通水性素材で構成される難通水性部を設けることにより、外袋の座面シートと接するのは内袋の上面シートの難通水性部である。そのため、座面シートに接する内袋の上面シートから水が直接座面シートに滲出し難い。また、縁部の通水性部から水の吸収及び蒸発が確保される。
【0014】
請求項4記載の保冷材は、分画線によって複数の独立した分画部に分画された内袋のそれぞれの分画部にそれぞれ吸水性樹脂を封入してなり、外袋の中に収容されてペット用クーラーマットを構成する保冷材であって、前記内袋の上面シート及び下面シートのいずれか一方又は両方の前記分画部の縁部の一部又は全部に沿って水を通し易い通水性素材で構成される通水性部が設けられ、前記通水性部以外の部分が水を通し難い難通水性素材で構成される難通水性部が設けられている。
【0015】
内袋の縁部と分画部の縁部は、膨潤してかなり厚みが生じた保冷材の分画部の側面乃至傾斜面を構成する。そのため、吸水して膨潤した分画部の縁部は、外袋の座面シートと接しないことになり、座面シートとの間に空隙が生じる。この縁部に沿って水を通し易い通水性素材で構成される通水性部を設け、それ以外の部分を難通水性素材で構成することにより、外袋の座面シートと接するのは難通水性素材で構成される内袋の上面シートである。そのため、ペットの座面シートに接する内袋の上面シートから水が直接座面シートに滲出し難い。また、縁部の通水性部から水の吸収及び蒸発が確保される。
【0016】
請求項5記載のペット用クーラーマットは、請求項1〜4いずれかに記載の保冷材と、この保冷材を収容する、通気性の座面シートと不透水性の床側シートとを備える外袋とを有する。
【0017】
このペット用クーラーマットは、前述した外袋の座面シートと接する部分が難通水性部である保冷材を備えるため、外袋の通気性の座面シートに内袋から水が滲出し難く、ペットに不快感を与えない。また、通水性部で水の吸収及び蒸発が確保され、ペットにひんやり感を与えることができる。
【0018】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の保冷材及びペット用クーラーマットの実施の形態について説明するが、本発明は以下の実施の形態に限定されるものではない。
【0019】
本発明の保冷材は、内袋に吸水性樹脂を封入してなり、外袋の中に収容されてペット用クーラーマットを構成するものである。また、本発明のペット用クーラーマットは、吸水性樹脂を封入した内袋からなる保冷材とこの保冷材を収容する外袋とから構成される。
【0020】
図1は、本発明の保冷材の一実施形態及び外袋の実施形態を示すもので、(a)は外袋の平面図、(b)は保冷材の上面シートの平面図、(c)は水を吸収しないときの保冷材の断面図である。図2は保冷材に水を吸収させて外袋に収容して使用するときの断面図である。
【0021】
この保冷材10の内袋11は、互いに同一の矩形状の上面シート12と下面シート13とが周縁で接合され、更に長辺に平行な複数の分画線14と短辺に平行な中央の分画線14で上面シート12と下面シート13とが接合されている。その結果、内袋11の内部空間が分画線14で複数の独立した分画部(図面では8つ)15に分画され、それぞれの分画部15に顆粒状の吸水性樹脂16が封入されている。分画部15に分画するのは、吸水性樹脂16の偏りを防ぐためである。
【0022】
図1(b)に示す内袋11の上面シート12には、短辺側の両縁部に沿って水を通し易い通水性素材で構成される幅が1〜4cmの帯状の通水性部17が設けられている。また、中央の分画線14に沿って両側に水を通し易い通水性素材で構成される幅が1〜4cmの帯状の通水性部17が設けられている。その結果、各分画部15の短辺側の両縁部に沿って通水性素材で構成される帯状の通水性部17が設けられている。上面シート12の通水性部17以外の部分は、水を通し難い難通水性素材で構成される図面上塗った部分の難通水性部18が設けられている。内袋11の下面シート13の全面は難通水性部18となっている。
【0023】
通水性素材は、水を通し易い性質を有し、封入する顆粒状の吸水性樹脂16を漏らさない網目を有する織布や不織布、あるいは有孔合成樹脂フィルムを用いることができる。素材としては、例えば高密度綿等の天然繊維、ナイロン、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレン、ポリプロピレン等の合成樹脂を挙げることができる。通水性部17の通気度は、フラジール型織物通気度試験機で測定した通気度が8.5cm3/cm2・s以上であることが好ましい。通気度が低過ぎると、吸水性樹脂16に水を吸収させる際の吸収速度が遅くなりすぎる場合や水の滲出が不十分となり、水の蒸発が妨げられて温度低下が不十分となる場合がある。帯状の通水性部17の幅は、後述するように、膨張した内袋11の側面乃至傾斜面を構成するように選択される。そのため、通水性部17の幅は分画部15の大きさなどによって適宜選択される。通水性部17は、各分画部15毎に吸水や水の蒸発のために必ず一箇所は必要である。
【0024】
また、難通水性素材は、水を通し難い性質を有し、全く水を通さない不透水性でもよい。例えば塩化ビニル樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート等の合成樹脂フィルム、防水加工を施した織布を例示することができる。防水加工を施した織布としては、ゴム引きのナイロン織布を例示することができる。難通水性部18の通気度は、フラジール型織物通気度試験機で測定した通気度が0.4cm3/cm2・s以下であることが好ましい。通気度が高すぎると、水が難通水性部18を通り抜けて外袋20に滲出する場合がある。
【0025】
上面シート12と下面シート13の縁部や分画線14の接合、更に通水性部17と難通水性部18との接合は、例えば熱融着、超音波融着、接着剤による接着、縫着などの方法で行うことができる。
【0026】
吸水性樹脂16は、平均粒径が25〜2000μm程度の粒状のもので吸水量が25g/g以上であることが好ましい。分画部15への吸水性樹脂16の封入量は、吸水性樹脂16が水を吸って膨潤したときの体積が各分画部15が膨らんだときの最大体積とほぼ一致するかそれよりもやや大きくなるような程度である。吸水性樹脂16の封入量が少なすぎると、吸水性樹脂16が吸水能力以上に吸水し、水の滲み出し量が多くなりすぎる場合がある。
【0027】
外袋20は、膨潤した内袋11を収容できる大きさで、周縁が不透水性シート21で縁取られた通気性シート22を有する座面シート23と全面が不透水性シート21で構成された床側シート24とを一つの長辺を除いた3辺の縁を接合し、一つの長辺が内袋11を出し入れ自在にするために開閉自在な開口部25に形成されている構造を有する。
【0028】
不透水性シート21は、水を全く通さない性質を有し、例えば塩化ビニルシート、ポリエチレンシート等の合成樹脂シートで構成することができる。
【0029】
また、座面シート23の通気性シート22は、内袋11から滲出して気化した水蒸気を外部に放散すると共に、気化により温度が低下した内袋11の熱をその上に座るペットに伝達するもので、座面として機能する。通気性シート22は、例えばナイロン、ポリエチレン、ポリプロピレン、綿等の織布及び不織布等の薄い素材を用いることが好ましい。また、水蒸気の通過を阻害せずに水を通し難いように撥水性とすることも可能である。
【0030】
外袋20の開口部25を開閉自在にするものとしては、例えば面ファスナー、チャック(ジッパー)等を用いることができる。
【0031】
次に、このような保冷材10と外袋20を組み合わせたペット用クーラーマット1の使用方法について説明する。図1(b)、(c)に示す保冷材10を吸水性樹脂16が均一に水を吸収するようにもみほぐしながら通水性部17を10分程度水に浸す。これにより、通水性部17を通って分画部15の中に浸透した水を吸水性樹脂16が吸収し、吸水性樹脂16が膨潤し、ゲル化する。このとき、粒状の吸水性樹脂16は分画部15の中の縁に偏って存在する傾向がある。そのため、分画部15の縁部に設けられた通水性部17から水が縁部に偏在する吸水性樹脂16に迅速に吸収される。その結果、本実施形態の保冷材10は、通水性部17の面積が従来の保冷材より小さくなっているにもかかわらず、水の吸収速度は劣らない。
【0032】
吸水性樹脂16が水を吸収して膨潤すると、内袋11の各分画部15は図1(c)のシート状から図2に示すように、パンパンに膨らむ。分画部15の厚さは分画部15の大きさにもよるが、数cmになる。膨張した保冷材10を外袋20の開口部25から外袋20の中に差し入れ、開口部25を閉じて保冷材10を収容する。保冷材10を収容した外袋20の床側シートを床に置き、ペットを座面シート23に座らせて使用する。
【0033】
図2(a)に示すように、保冷材10の上面シート12を上側にして外袋20の中に収容すると、保冷材10の上面シート12の分画部15の縁部に沿って設けられている帯状の通水性部17は、膨張した保冷材10の側面乃至傾斜面を構成し、通水性部17と外袋20との間には空隙が生じる。そのため通水性部17は外袋2の座面シート23の通気性シート22に直接接触することはない。外袋20の通気性シート22と接するのは、保冷材10の難通水性部18である。これにより、通水性部17から外袋20の通気性シート22へ水が滲出することが防止される。通水性部17と外袋20との間には空隙が生じるため、吸水した吸水性樹脂16’から水が通水性部17に漏出し、通水性部17から矢印のように蒸発する。蒸発により気化熱を奪い、保冷材10の表面の温度を低下させる。蒸発した水は、水蒸気となって外袋20の通気性シート22を介して外部に放散される。温度が低下した保冷材10の温度は外袋20の通気性シート22を介してその上に座るペットに伝達され、ペットに乾いた快適なひんやり感を与えることができる。
【0034】
図2(b)に示すペット用クーラーマット1bの保冷材10bは、内袋の下面シート13が図1(b)に示した帯状の通水性部17が分画部15の縁部に沿って設けられ、通水性部17以外の部分が難通水性部18で構成されており、上面シート12全体が難通水性部18で構成されている構造である。即ち、図2(a)に示した保冷材10の上下を入れ替えて外袋20の中に収容したものとなっている。
【0035】
この保冷材10bは、外袋20の通気性シート22と接するのは、内袋11の上面シート12を構成する難通水性部18である。内袋の下面シート13は外袋の床側シート24に臨んでおり、通水性部17は膨張した内袋の側面乃至傾斜面を構成している。そのため、外袋20の通気性シート22へ通水性部17から水が滲出することはなく、ペットに不快感を与えない。通水性部17と外袋20の床側シート24との間には空隙が生じるため、水を吸収した吸水性樹脂16’から水が通水性部17に滲出し、通水性部17から矢印のように蒸発する。蒸発により気化熱を奪い、保冷材10bの表面の温度を低下させる。蒸発した水は、水蒸気となって外袋20の通気性シート22を介して外部に放散される。温度が低下した保冷材10bの温度は外袋20の通気性シート22を介してその上に座るペットに伝達され、ペットにひんやり感を与えることができる。
【0036】
このように、本実施形態の保冷材10,10bは、通水性部17を有する面を上にして外袋20の中に収納しても通水性部17を有する面を下にして外袋20の中に収納しても、通水性部17が外袋20の通気性シート22に接することがなく、通水性部17に滲出した水が直接通気性シート22を介してペットを濡らすことはなく、ペットに不快感を与えることが抑制される。
【0037】
図1に示した保冷材10は、吸水した内袋10を外袋20の中に収容したときにペットの座面となる外袋20の座面シート23と接する内袋11の部分に水を通し難い難通水性部17を設け、外袋20の座面シート23と接しない内袋11の部分の少なくとも一部に水を通し易い通水性部17を設けた構成を有する。
【0038】
かかる保冷材の構成は、図1以外の態様によっても可能である。図3及び図4は、本発明の保冷材の他の実施形態を示す平面図である。
【0039】
図3(a)に示す保冷材10cは、内袋11の上面シート12の長辺に平行な複数の分画線14に沿った両側に帯状の通水性部17が設けられ、更に、長辺の縁部に沿って通水性部17が設けられ、通水性部17以外の図面上塗った部分は難通水性部18となっている。そのため、上面シート12の各分画部15の両長辺の縁部に帯状の通水性部17が設けられている実施形態である。
【0040】
図3(b)に示す保冷材10dは、内袋11の上面シート12の縁部全周に沿って帯状の通水性部17が設けられていると共に、全ての分画線14に沿って両側に帯状の通水性部17が設けられている。そのため、各分画部15の全周縁部に帯状の通水性部17が設けられている実施形態である。
【0041】
図3(c)に示す保冷材10eは、分画線が設けられておらず、内袋11の内部空間全体が一つの空間を構成し、吸水性樹脂は内袋11の中の空間全体を自由に動くことができる。この内袋11の上面シート12の全周縁部に沿って帯状の通水性部17が設けられ、通水性部17以外の部分は難通水性部18で構成されている構造である。
【0042】
図3(d)に示す保冷材10fの上面シート12は、内袋を4つの分画部15に分画する十字状の分画線14の交差点の近傍の一方の分画線14だけに沿って両側に帯状の通水性部17が設けられている。各分画部15の中央側の一つの隅部だけに通水性部17が設けられ、通水性部17以外の部分は難通水性部18で構成されている実施形態である。
【0043】
図3(e)に示す保冷材10gの上面シート12は、内袋11を4つの分画部15に分画する十字状の分画線14が形成され、内袋11の4角に縁部に沿った三角形状の通水性部17が設けられている。4つの分画部15のそれぞれが隅部の通水性部17を介して水の吸水、蒸発を行える実施形態となっている。
【0044】
図4(a)に示す保冷材10hの上面シート12は、内袋11を2つの分画部15に分画する短辺に平行な中央の分画線14が形成され、上面シート12の両短辺に沿って帯状の通水性部17が設けられている。各分画部15の一つの辺に沿って帯状の通水性部17が設けられ、通水性部17以外の部分は難通水性部18で構成されている実施形態である。
【0045】
図4(b)に示す保冷材10iの上面シート12は、内袋11を2つの分画部15に分画する短辺に平行な中央の分画線14が設けられ、両短辺に沿って及び分画線14に沿って両側に帯状の通水性部17が設けられている。各分画部15の対向する両側縁部に沿って帯状の通水性部17が設けられている実施形態である。
【0046】
図4(c)に示す保冷材10jは、分画線が設けられておらず、内袋11の内部空間全体が一つの空間を構成し、吸水性樹脂は内袋11の中の空間全体を自由に動くことができる。この内袋11の上面シート12の一辺に沿って帯状の通水性部17が設けられ、通水性部17以外の部分は難通水性部18で構成されている構造である。
【0047】
この保冷材10jは、内袋11を通水性部17を下側にして垂直方向に持ち上げると、吸水性樹脂は内袋の底、即ち通水性部17と接触する底部に集まる。この状態で通水性部17を水の中に浸漬させることにより、吸水性樹脂に迅速にしかも水へ浸す部分を少なくして吸水させることができる。
【0048】
図4(d)に示す保冷材10kの上面シート12は、内袋11を2つの分画部15に分画する短辺と平行な中央の分画線14が設けられ、一方の短辺に沿って帯状の通水性部17が設けられていると共に、その通水性部17が設けられていない側の短辺を一辺とする分画部15に分画線14に沿って帯状の通水性部17が設けられ、通水性部17以外の部分は難通水性部18で構成されている構造である。各分画部15の一方の側の縁部に沿って通水性部17が設けられている実施形態である。
【0049】
図4(e)に示す保冷材10Lは、内袋11を長辺に平行な中央の分画線14と短辺に平行な2本の分画線14によって6つの分画部15に分画し、上面シート12の一方の短辺及び短辺に平行な分画線14に沿って帯状の通水性部17が設けられ、通水性部17以外の部分は難通水性部18で構成されている構造である。各分画部15の一方の側の縁部に沿って通水性部17が設けられている実施形態である。
【0050】
図3及び図4の説明では、保冷材10の通水性部17が設けられている上面シート12に対して下面シート13は全体が難通水性部18で構成されている例を示している。しかし、下面シート13は、図1、図3及び図4に示したような通水性部17が設けられている上面シート10c〜10Lと同様の構造としてもよい。この場合、上面シート12の全面を難通水性部18としてもよく、あるいは上述したような通水性部17を設けるようにしてもよい。
【0051】
【発明の効果】
本発明の保冷材は、水を通し易い通水性部を適切に配置したことにより、水の吸収を確保できると共に、吸収した水がペットが座る外袋の座面に滲出し難く、ペットに快適なひんやり感を与えることができる。
【0052】
また、本発明のペット用クーラーマットは、かかる保冷材を用いたことにより、水の吸収を確保できると共に、吸収した水がペットが座る座面に滲出し難く、ペットに快適なひんやり感を与えることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の保冷材及びその保冷材を収納する外袋の実施形態を示すもので、(a)は外袋の平面図、(b)は保冷材の平面図、(c)は水を吸収しない状態の保冷材の断面図である。
【図2】図1の保冷材を吸水させて外袋に収容したペット用クーラーマットの断面図であり、(a)は保冷材の上面シートを上側にして収容した場合、(b)は保冷材の上面シートを下側にして収容した場合を示す。
【図3】(a)〜(e)は本発明の保冷材の種々の実施形態を示す平面図である。
【図4】(f)〜(L)は本発明の保冷材の種々の実施形態を示す平面図である。
【図5】従来の保冷材を吸水させて外袋に収容したペット用クーラーマットの断面図である。
【符号の説明】
10: 保冷材
11: 内袋
12: 上面シート
13: 下面シート
14: 分画線
15: 分画部
16: 吸水性樹脂
17: 通水性部
18: 難通水性部
20: 外袋
21: 不透水性シート
22: 通気性シート
23: 座面シート
24: 床側シート
25: 開口部
【発明の属する技術分野】
本発明は、ペット用クーラーマットに用いられる保冷材及びペット用クーラーマットに関する。
【0002】
【従来の技術】
夏などの高温期に暑さに弱い犬などのペットにひんやり感を与えるペット用クーラーマットが知られている。このペット用クーラーマットは、内袋の中に吸水性樹脂を封入したマット状の保冷材と保冷材を出し入れ自在に収容する外袋とから構成されている。
【0003】
使用に際して、保冷材を水に浸して吸水性樹脂に水を吸収させると、吸水性樹脂が水を吸収して膨潤し、吸水性樹脂がゲル化して膨らんだ保冷材を外袋の中に収容して使用する。吸水性樹脂から内袋の表面に滲み出た水が、気化熱を奪いながら気化、蒸発して保冷材の表面温度が室温より低下する。そのため、ペット用クーラーマットの上に寝そべっているペットが涼感を感じるものである。
【0004】
このような機能のため、図5に示すように、従来のペット用クーラーマット400の内袋410は、顆粒状の吸水性樹脂を封入できると共に、水を吸水し蒸発できるように、密度の高い綿等の織布や不織布の通水性シートで構成される上面シート411と下面シート412とを有する構造となっている。また、外袋420は、ペットの座面となる座面シート421が、水の蒸発を促進するため不織布や織布の通気性シートで構成され、床に接する床側シート422が床側に水が滲み出さないように塩化ビニル樹脂等の不透水性シートで構成されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来のペット用クーラーマット400は、吸水性樹脂から滲み出し、内袋410の表面に必要以上に漏出した水が外袋420の通気性の座面シート421を通ってペットを濡らし、ペットに不快感を与えてしまう場合があるという問題がある。
【0006】
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたもので、ペットが座る外袋の座面シートに水が滲出し難い保冷材を提供することを目的とする。
【0007】
また、本発明は、かかる保冷材を有し、ペットに快適なひんやり感を与えることができるペット用クーラーマットを提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、請求項1記載の保冷材は、内袋に吸水性樹脂を封入してなり、外袋の中に収容されてペット用クーラーマットを構成する保冷材であって、吸水した前記内袋を前記外袋の中に収容したときにペットの座面となる前記外袋の座面シートと接する前記内袋の部分に水を通し難い難通水性素材で構成される難通水性部を設け、前記外袋の座面シートと接しない前記内袋の部分の少なくとも一部に水を通し易い通水性素材で構成される通水性部を設けた。
【0009】
このような保冷材は、ペットの座面となる外袋の座面シートに接する部分を難通水性部としたことにより、内袋から直接水が座面シートに滲み出すことがなく、ペットに不快感を与えない。また、それ以外の部分の少なくとも一部を通水性部としたことにより、水の吸収及び蒸発が確保され、ペットにひんやり感を与えることができる。
【0010】
請求項2記載の保冷材は、請求項1記載の保冷材において、前記内袋の上面シートの全面に前記難通水性部を設け、前記内袋の下面シートの少なくとも一部に前記通水性部を設けた。
【0011】
このような保冷材は、内袋の上面シートの全面を難通水性部としていることにより、ペットの座面シートに接する内袋の上面シートから水が直接座面シートに滲出することがなく、ペットに不快感を与えない。また、内袋の下面シートの少なくとも一部を通水性部としたことにより、水の吸収及び蒸発が確保され、ペットにひんやり感を与えることができる。
【0012】
請求項3の保冷材は、内袋に吸水性樹脂を封入してなり、外袋の中に収容されてペット用クーラーマットを構成する保冷材であって、前記内袋の上面シート及び下面シートのいずれか一方又は両方の縁部の一部又は全部に沿って水を通し易い通水性素材で構成される通水性部が設けられ、前記通水性部以外の部分に水を通し難い難通水性素材で構成される難通水性部が設けられている。
【0013】
このような保冷材は、吸水した内袋を外袋の中に収容すると、内袋の縁部は膨潤してかなり厚みが生じた保冷材の側面乃至傾斜面を構成する。そのため、吸水して膨潤した保冷材の縁部は、外袋の座面シートと接しないことになり、座面シートとの間に空隙が生じる。この縁部に沿って水を通し易い通水性素材で構成される通水性部を設け、それ以外の部分を難通水性素材で構成される難通水性部を設けることにより、外袋の座面シートと接するのは内袋の上面シートの難通水性部である。そのため、座面シートに接する内袋の上面シートから水が直接座面シートに滲出し難い。また、縁部の通水性部から水の吸収及び蒸発が確保される。
【0014】
請求項4記載の保冷材は、分画線によって複数の独立した分画部に分画された内袋のそれぞれの分画部にそれぞれ吸水性樹脂を封入してなり、外袋の中に収容されてペット用クーラーマットを構成する保冷材であって、前記内袋の上面シート及び下面シートのいずれか一方又は両方の前記分画部の縁部の一部又は全部に沿って水を通し易い通水性素材で構成される通水性部が設けられ、前記通水性部以外の部分が水を通し難い難通水性素材で構成される難通水性部が設けられている。
【0015】
内袋の縁部と分画部の縁部は、膨潤してかなり厚みが生じた保冷材の分画部の側面乃至傾斜面を構成する。そのため、吸水して膨潤した分画部の縁部は、外袋の座面シートと接しないことになり、座面シートとの間に空隙が生じる。この縁部に沿って水を通し易い通水性素材で構成される通水性部を設け、それ以外の部分を難通水性素材で構成することにより、外袋の座面シートと接するのは難通水性素材で構成される内袋の上面シートである。そのため、ペットの座面シートに接する内袋の上面シートから水が直接座面シートに滲出し難い。また、縁部の通水性部から水の吸収及び蒸発が確保される。
【0016】
請求項5記載のペット用クーラーマットは、請求項1〜4いずれかに記載の保冷材と、この保冷材を収容する、通気性の座面シートと不透水性の床側シートとを備える外袋とを有する。
【0017】
このペット用クーラーマットは、前述した外袋の座面シートと接する部分が難通水性部である保冷材を備えるため、外袋の通気性の座面シートに内袋から水が滲出し難く、ペットに不快感を与えない。また、通水性部で水の吸収及び蒸発が確保され、ペットにひんやり感を与えることができる。
【0018】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の保冷材及びペット用クーラーマットの実施の形態について説明するが、本発明は以下の実施の形態に限定されるものではない。
【0019】
本発明の保冷材は、内袋に吸水性樹脂を封入してなり、外袋の中に収容されてペット用クーラーマットを構成するものである。また、本発明のペット用クーラーマットは、吸水性樹脂を封入した内袋からなる保冷材とこの保冷材を収容する外袋とから構成される。
【0020】
図1は、本発明の保冷材の一実施形態及び外袋の実施形態を示すもので、(a)は外袋の平面図、(b)は保冷材の上面シートの平面図、(c)は水を吸収しないときの保冷材の断面図である。図2は保冷材に水を吸収させて外袋に収容して使用するときの断面図である。
【0021】
この保冷材10の内袋11は、互いに同一の矩形状の上面シート12と下面シート13とが周縁で接合され、更に長辺に平行な複数の分画線14と短辺に平行な中央の分画線14で上面シート12と下面シート13とが接合されている。その結果、内袋11の内部空間が分画線14で複数の独立した分画部(図面では8つ)15に分画され、それぞれの分画部15に顆粒状の吸水性樹脂16が封入されている。分画部15に分画するのは、吸水性樹脂16の偏りを防ぐためである。
【0022】
図1(b)に示す内袋11の上面シート12には、短辺側の両縁部に沿って水を通し易い通水性素材で構成される幅が1〜4cmの帯状の通水性部17が設けられている。また、中央の分画線14に沿って両側に水を通し易い通水性素材で構成される幅が1〜4cmの帯状の通水性部17が設けられている。その結果、各分画部15の短辺側の両縁部に沿って通水性素材で構成される帯状の通水性部17が設けられている。上面シート12の通水性部17以外の部分は、水を通し難い難通水性素材で構成される図面上塗った部分の難通水性部18が設けられている。内袋11の下面シート13の全面は難通水性部18となっている。
【0023】
通水性素材は、水を通し易い性質を有し、封入する顆粒状の吸水性樹脂16を漏らさない網目を有する織布や不織布、あるいは有孔合成樹脂フィルムを用いることができる。素材としては、例えば高密度綿等の天然繊維、ナイロン、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレン、ポリプロピレン等の合成樹脂を挙げることができる。通水性部17の通気度は、フラジール型織物通気度試験機で測定した通気度が8.5cm3/cm2・s以上であることが好ましい。通気度が低過ぎると、吸水性樹脂16に水を吸収させる際の吸収速度が遅くなりすぎる場合や水の滲出が不十分となり、水の蒸発が妨げられて温度低下が不十分となる場合がある。帯状の通水性部17の幅は、後述するように、膨張した内袋11の側面乃至傾斜面を構成するように選択される。そのため、通水性部17の幅は分画部15の大きさなどによって適宜選択される。通水性部17は、各分画部15毎に吸水や水の蒸発のために必ず一箇所は必要である。
【0024】
また、難通水性素材は、水を通し難い性質を有し、全く水を通さない不透水性でもよい。例えば塩化ビニル樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート等の合成樹脂フィルム、防水加工を施した織布を例示することができる。防水加工を施した織布としては、ゴム引きのナイロン織布を例示することができる。難通水性部18の通気度は、フラジール型織物通気度試験機で測定した通気度が0.4cm3/cm2・s以下であることが好ましい。通気度が高すぎると、水が難通水性部18を通り抜けて外袋20に滲出する場合がある。
【0025】
上面シート12と下面シート13の縁部や分画線14の接合、更に通水性部17と難通水性部18との接合は、例えば熱融着、超音波融着、接着剤による接着、縫着などの方法で行うことができる。
【0026】
吸水性樹脂16は、平均粒径が25〜2000μm程度の粒状のもので吸水量が25g/g以上であることが好ましい。分画部15への吸水性樹脂16の封入量は、吸水性樹脂16が水を吸って膨潤したときの体積が各分画部15が膨らんだときの最大体積とほぼ一致するかそれよりもやや大きくなるような程度である。吸水性樹脂16の封入量が少なすぎると、吸水性樹脂16が吸水能力以上に吸水し、水の滲み出し量が多くなりすぎる場合がある。
【0027】
外袋20は、膨潤した内袋11を収容できる大きさで、周縁が不透水性シート21で縁取られた通気性シート22を有する座面シート23と全面が不透水性シート21で構成された床側シート24とを一つの長辺を除いた3辺の縁を接合し、一つの長辺が内袋11を出し入れ自在にするために開閉自在な開口部25に形成されている構造を有する。
【0028】
不透水性シート21は、水を全く通さない性質を有し、例えば塩化ビニルシート、ポリエチレンシート等の合成樹脂シートで構成することができる。
【0029】
また、座面シート23の通気性シート22は、内袋11から滲出して気化した水蒸気を外部に放散すると共に、気化により温度が低下した内袋11の熱をその上に座るペットに伝達するもので、座面として機能する。通気性シート22は、例えばナイロン、ポリエチレン、ポリプロピレン、綿等の織布及び不織布等の薄い素材を用いることが好ましい。また、水蒸気の通過を阻害せずに水を通し難いように撥水性とすることも可能である。
【0030】
外袋20の開口部25を開閉自在にするものとしては、例えば面ファスナー、チャック(ジッパー)等を用いることができる。
【0031】
次に、このような保冷材10と外袋20を組み合わせたペット用クーラーマット1の使用方法について説明する。図1(b)、(c)に示す保冷材10を吸水性樹脂16が均一に水を吸収するようにもみほぐしながら通水性部17を10分程度水に浸す。これにより、通水性部17を通って分画部15の中に浸透した水を吸水性樹脂16が吸収し、吸水性樹脂16が膨潤し、ゲル化する。このとき、粒状の吸水性樹脂16は分画部15の中の縁に偏って存在する傾向がある。そのため、分画部15の縁部に設けられた通水性部17から水が縁部に偏在する吸水性樹脂16に迅速に吸収される。その結果、本実施形態の保冷材10は、通水性部17の面積が従来の保冷材より小さくなっているにもかかわらず、水の吸収速度は劣らない。
【0032】
吸水性樹脂16が水を吸収して膨潤すると、内袋11の各分画部15は図1(c)のシート状から図2に示すように、パンパンに膨らむ。分画部15の厚さは分画部15の大きさにもよるが、数cmになる。膨張した保冷材10を外袋20の開口部25から外袋20の中に差し入れ、開口部25を閉じて保冷材10を収容する。保冷材10を収容した外袋20の床側シートを床に置き、ペットを座面シート23に座らせて使用する。
【0033】
図2(a)に示すように、保冷材10の上面シート12を上側にして外袋20の中に収容すると、保冷材10の上面シート12の分画部15の縁部に沿って設けられている帯状の通水性部17は、膨張した保冷材10の側面乃至傾斜面を構成し、通水性部17と外袋20との間には空隙が生じる。そのため通水性部17は外袋2の座面シート23の通気性シート22に直接接触することはない。外袋20の通気性シート22と接するのは、保冷材10の難通水性部18である。これにより、通水性部17から外袋20の通気性シート22へ水が滲出することが防止される。通水性部17と外袋20との間には空隙が生じるため、吸水した吸水性樹脂16’から水が通水性部17に漏出し、通水性部17から矢印のように蒸発する。蒸発により気化熱を奪い、保冷材10の表面の温度を低下させる。蒸発した水は、水蒸気となって外袋20の通気性シート22を介して外部に放散される。温度が低下した保冷材10の温度は外袋20の通気性シート22を介してその上に座るペットに伝達され、ペットに乾いた快適なひんやり感を与えることができる。
【0034】
図2(b)に示すペット用クーラーマット1bの保冷材10bは、内袋の下面シート13が図1(b)に示した帯状の通水性部17が分画部15の縁部に沿って設けられ、通水性部17以外の部分が難通水性部18で構成されており、上面シート12全体が難通水性部18で構成されている構造である。即ち、図2(a)に示した保冷材10の上下を入れ替えて外袋20の中に収容したものとなっている。
【0035】
この保冷材10bは、外袋20の通気性シート22と接するのは、内袋11の上面シート12を構成する難通水性部18である。内袋の下面シート13は外袋の床側シート24に臨んでおり、通水性部17は膨張した内袋の側面乃至傾斜面を構成している。そのため、外袋20の通気性シート22へ通水性部17から水が滲出することはなく、ペットに不快感を与えない。通水性部17と外袋20の床側シート24との間には空隙が生じるため、水を吸収した吸水性樹脂16’から水が通水性部17に滲出し、通水性部17から矢印のように蒸発する。蒸発により気化熱を奪い、保冷材10bの表面の温度を低下させる。蒸発した水は、水蒸気となって外袋20の通気性シート22を介して外部に放散される。温度が低下した保冷材10bの温度は外袋20の通気性シート22を介してその上に座るペットに伝達され、ペットにひんやり感を与えることができる。
【0036】
このように、本実施形態の保冷材10,10bは、通水性部17を有する面を上にして外袋20の中に収納しても通水性部17を有する面を下にして外袋20の中に収納しても、通水性部17が外袋20の通気性シート22に接することがなく、通水性部17に滲出した水が直接通気性シート22を介してペットを濡らすことはなく、ペットに不快感を与えることが抑制される。
【0037】
図1に示した保冷材10は、吸水した内袋10を外袋20の中に収容したときにペットの座面となる外袋20の座面シート23と接する内袋11の部分に水を通し難い難通水性部17を設け、外袋20の座面シート23と接しない内袋11の部分の少なくとも一部に水を通し易い通水性部17を設けた構成を有する。
【0038】
かかる保冷材の構成は、図1以外の態様によっても可能である。図3及び図4は、本発明の保冷材の他の実施形態を示す平面図である。
【0039】
図3(a)に示す保冷材10cは、内袋11の上面シート12の長辺に平行な複数の分画線14に沿った両側に帯状の通水性部17が設けられ、更に、長辺の縁部に沿って通水性部17が設けられ、通水性部17以外の図面上塗った部分は難通水性部18となっている。そのため、上面シート12の各分画部15の両長辺の縁部に帯状の通水性部17が設けられている実施形態である。
【0040】
図3(b)に示す保冷材10dは、内袋11の上面シート12の縁部全周に沿って帯状の通水性部17が設けられていると共に、全ての分画線14に沿って両側に帯状の通水性部17が設けられている。そのため、各分画部15の全周縁部に帯状の通水性部17が設けられている実施形態である。
【0041】
図3(c)に示す保冷材10eは、分画線が設けられておらず、内袋11の内部空間全体が一つの空間を構成し、吸水性樹脂は内袋11の中の空間全体を自由に動くことができる。この内袋11の上面シート12の全周縁部に沿って帯状の通水性部17が設けられ、通水性部17以外の部分は難通水性部18で構成されている構造である。
【0042】
図3(d)に示す保冷材10fの上面シート12は、内袋を4つの分画部15に分画する十字状の分画線14の交差点の近傍の一方の分画線14だけに沿って両側に帯状の通水性部17が設けられている。各分画部15の中央側の一つの隅部だけに通水性部17が設けられ、通水性部17以外の部分は難通水性部18で構成されている実施形態である。
【0043】
図3(e)に示す保冷材10gの上面シート12は、内袋11を4つの分画部15に分画する十字状の分画線14が形成され、内袋11の4角に縁部に沿った三角形状の通水性部17が設けられている。4つの分画部15のそれぞれが隅部の通水性部17を介して水の吸水、蒸発を行える実施形態となっている。
【0044】
図4(a)に示す保冷材10hの上面シート12は、内袋11を2つの分画部15に分画する短辺に平行な中央の分画線14が形成され、上面シート12の両短辺に沿って帯状の通水性部17が設けられている。各分画部15の一つの辺に沿って帯状の通水性部17が設けられ、通水性部17以外の部分は難通水性部18で構成されている実施形態である。
【0045】
図4(b)に示す保冷材10iの上面シート12は、内袋11を2つの分画部15に分画する短辺に平行な中央の分画線14が設けられ、両短辺に沿って及び分画線14に沿って両側に帯状の通水性部17が設けられている。各分画部15の対向する両側縁部に沿って帯状の通水性部17が設けられている実施形態である。
【0046】
図4(c)に示す保冷材10jは、分画線が設けられておらず、内袋11の内部空間全体が一つの空間を構成し、吸水性樹脂は内袋11の中の空間全体を自由に動くことができる。この内袋11の上面シート12の一辺に沿って帯状の通水性部17が設けられ、通水性部17以外の部分は難通水性部18で構成されている構造である。
【0047】
この保冷材10jは、内袋11を通水性部17を下側にして垂直方向に持ち上げると、吸水性樹脂は内袋の底、即ち通水性部17と接触する底部に集まる。この状態で通水性部17を水の中に浸漬させることにより、吸水性樹脂に迅速にしかも水へ浸す部分を少なくして吸水させることができる。
【0048】
図4(d)に示す保冷材10kの上面シート12は、内袋11を2つの分画部15に分画する短辺と平行な中央の分画線14が設けられ、一方の短辺に沿って帯状の通水性部17が設けられていると共に、その通水性部17が設けられていない側の短辺を一辺とする分画部15に分画線14に沿って帯状の通水性部17が設けられ、通水性部17以外の部分は難通水性部18で構成されている構造である。各分画部15の一方の側の縁部に沿って通水性部17が設けられている実施形態である。
【0049】
図4(e)に示す保冷材10Lは、内袋11を長辺に平行な中央の分画線14と短辺に平行な2本の分画線14によって6つの分画部15に分画し、上面シート12の一方の短辺及び短辺に平行な分画線14に沿って帯状の通水性部17が設けられ、通水性部17以外の部分は難通水性部18で構成されている構造である。各分画部15の一方の側の縁部に沿って通水性部17が設けられている実施形態である。
【0050】
図3及び図4の説明では、保冷材10の通水性部17が設けられている上面シート12に対して下面シート13は全体が難通水性部18で構成されている例を示している。しかし、下面シート13は、図1、図3及び図4に示したような通水性部17が設けられている上面シート10c〜10Lと同様の構造としてもよい。この場合、上面シート12の全面を難通水性部18としてもよく、あるいは上述したような通水性部17を設けるようにしてもよい。
【0051】
【発明の効果】
本発明の保冷材は、水を通し易い通水性部を適切に配置したことにより、水の吸収を確保できると共に、吸収した水がペットが座る外袋の座面に滲出し難く、ペットに快適なひんやり感を与えることができる。
【0052】
また、本発明のペット用クーラーマットは、かかる保冷材を用いたことにより、水の吸収を確保できると共に、吸収した水がペットが座る座面に滲出し難く、ペットに快適なひんやり感を与えることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の保冷材及びその保冷材を収納する外袋の実施形態を示すもので、(a)は外袋の平面図、(b)は保冷材の平面図、(c)は水を吸収しない状態の保冷材の断面図である。
【図2】図1の保冷材を吸水させて外袋に収容したペット用クーラーマットの断面図であり、(a)は保冷材の上面シートを上側にして収容した場合、(b)は保冷材の上面シートを下側にして収容した場合を示す。
【図3】(a)〜(e)は本発明の保冷材の種々の実施形態を示す平面図である。
【図4】(f)〜(L)は本発明の保冷材の種々の実施形態を示す平面図である。
【図5】従来の保冷材を吸水させて外袋に収容したペット用クーラーマットの断面図である。
【符号の説明】
10: 保冷材
11: 内袋
12: 上面シート
13: 下面シート
14: 分画線
15: 分画部
16: 吸水性樹脂
17: 通水性部
18: 難通水性部
20: 外袋
21: 不透水性シート
22: 通気性シート
23: 座面シート
24: 床側シート
25: 開口部
Claims (5)
- 内袋に吸水性樹脂を封入してなり、外袋の中に収容されてペット用クーラーマットを構成する保冷材であって、
吸水した前記内袋を前記外袋の中に収容したときにペットの座面となる前記外袋の座面シートと接する前記内袋の部分に水を通し難い難通水性素材で構成される難通水性部を設け、前記外袋の座面シートと接しない前記内袋の部分の少なくとも一部に水を通し易い通水性素材で構成される通水性部を設けたことを特徴とする保冷材。 - 請求項1記載の保冷材において、
前記内袋の上面シートの全面に前記難通水性部を設け、前記内袋の下面シートの少なくとも一部に前記通水性部を設けたことを特徴とする保冷材。 - 内袋に吸水性樹脂を封入してなり、外袋の中に収容されてペット用クーラーマットを構成する保冷材であって、
前記内袋の上面シート及び下面シートのいずれか一方又は両方の縁部の一部又は全部に沿って水を通し易い通水性素材で構成される通水性部が設けられ、前記通水性部以外の部分に水を通し難い難通水性素材で構成される難通水性部が設けられていることを特徴とする保冷材。 - 分画線によって複数の独立した分画部に分画された内袋のそれぞれの分画部にそれぞれ吸水性樹脂を封入してなり、外袋の中に収容されてペット用クーラーマットを構成する保冷材であって、
前記内袋の上面シート及び下面シートのいずれか一方又は両方の前記分画部の縁部の一部又は全部に沿って水を通し易い通水性素材で構成される通水性部が設けられ、前記通水性部以外の部分に水を通し難い難通水性素材で構成される難通水性部が設けられていることを特徴とする保冷材。 - 請求項1〜4いずれかに記載の保冷材と、この保冷材を収容する、通気性の座面シートと不透水性の床側シートとを備える外袋とを有することを特徴とするペット用クーラーマット。
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2003
- 2003-03-05 JP JP2003059230A patent/JP2004267036A/ja active Pending
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